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2010年8月27日 独立行政法人評価委員会(第26回)議事録

○日時

平成22年8月27日(金)14:00~18:00


○場所

専用第21会議室


○出席者

   井原委員長、猿田委員長代理、今村委員、岩渕委員、内山委員、大島委員、川北委員、堺委員、篠原委員、鈴木委員、武見委員、田極委員、田宮委員、寺山委員、永井委員、平井委員、御園委員、茂庭委員、山口委員


○議事

(以下、議事録)
 
○井原委員長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第26回の独立行政法人評価委員会の総会を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、また、各部会においては、年度評価を精力的にご審議いただき、誠にありがとうございます。本日は、今年の夏の総まとめの会ということになります。本日は、五十嵐委員、上野谷委員、清水委員、祖父江委員、竹原委員、田村委員、樋口委員、真野委員、宮本委員がご欠席です。では、事務局から本日の議事等についての説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 議事の説明に先立ちまして、事務局内で人事異動がありましたので、ご挨拶申し上げます。

○政策評価官
 7月30日付で政策評価官を拝命いたしました篠原と申します。各部会でもご挨拶申し上げましたけれども、改めましてよろしくお願い申し上げます。それと、8月5日付で政策評価審議官も異動しておりますけれども、他の公務の関係で遅れて参りますので、後ほどご挨拶申し上げます。

○政策評価官室長補佐
 では、続きまして、議事の説明をさせていただきます。本日の議事は、大きく分けて3つあります。お手元に参考資料を用意していますので、そちらと照らし合わせながらお聞きいただければと思います。
 まず、1点目です。平成21年度で中期目標期間が終了した法人の当該中期目標期間の業務の実績の評価を行うものです。これは、独立行政法人通則法第34条第1項に基づき行うものでして、最終評価という表現をしています。年金積立金管理運用法人、医薬基盤研究所、この2法人についての評価です。
 2つ目です。今度は、今年度で中期目標期間が終了する法人に関する暫定評価です。これは、今年度で中期目標期間が終わりますので、来年度、次期の中期目標の策定等へこれまでの評価を反映させていただくために取り組むもので、厚生労働省独立行政法人評価委員会の独自のものです。暫定評価と言っておりますが、国立健康・栄養研究所、それから、労働安全衛生総合研究所の2法人について評価いただきます。
 3点目です。組織・業務全般の見直し当初案の審議です。独立行政法人の通則法第35条に基づきまして、「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずること」とされています。その検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聞かなければならないとされていますので、この検討に当たっての意見をお聞かせいただくために審議をいただくものです。なお、この検討に当たりましては、平成15年8月に閣議決定がなされていまして、参考資料の2の裏面のほうを見ていただければ流れが書いてあります。この閣議決定で決まった手順ですが、まず、組織・業務全般の見直し当初案というのを厚生労働省内で検討・作成をします。それの際に、?Aとしていますが、評価委員会で見直し当初案を審議してくださいとなっています。本日は、これに当たる審議をしていただくものです。その後?Bになっていますが、概算要求の提出期限までに見直し当初案を厚生労働省として総務省に提出します。その後の流れですが、?Cに書いてありますが、予算編成過程の中において、関係省庁との意見の調整もありますし、また、総務省が所管しています政策評価・独立行政法人評価委員会、こちらのほうから独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性というのが出されてまいりますので、そうしたことを踏まえて、厚生労働省の中で見直し当初案をさらに検討するということを実施します。その後、?Dですが、再び、「見直し当初案」を検討して「見直し案」にするわけですが、その際にも評価委員会で再検討結果について審議をいただきまして、最終的に、?Eですが、見直し案の策定・公表と、こういう流れになっていますので、本日審議いただきますが、それについては、また12月頃にこの2法人が所属しています調査研究部会と、それから総会において審議いただくという予定になっています。なお、この2法人ですが、昨年度も実は組織・業務全般の見直し当初案を審議いただきました。昨年度審議を行った理由としては、そもそもこの2法人については、平成19年12月24日の閣議決定「独立行政法人整理合理化計画」の中で、平成22年度までに統合するということが決まっていたところですが、これを「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2009」において見直しを前倒ししようという話がありましたので、昨年度、そのために見直しの当初案について審議をいただいたところですが、この大もととなっていました整理合理化計画そのものが凍結されましたので、見直し当初案、昨年度皆様に見ていただいたものは廃案という形になっています。今年度は、この2法人が中期目標期間の最終年度に当たっていますので、改めて見直し当初案を審議いただくということになったものです。
 これらの議事の順番ですが、まず、最終評価を先に行っていただきまして、その後暫定評価及び組織・業務全般の見直し当初案について、それぞれの法人ごとに国立健康・栄養研究所、それから、労働安全衛生研究所という形で議論をいただければと思っています。それから、最後に事務局からいくつか審議いただきたい点がありますので、終わりのほうに業績勘案率の決定方法の変更についてですとか、いくつか報告事項等ありますので、よろしくお願いします。以上です。

○井原委員長
 それでは、審議に入ります。まず始めに、年金積立金管理運用独立行政法人の最終評価書の(案)の審議を行います。8月20日の年金部会で最終評価書(案)が検討されていますので、年金部会長であります山口委員からの報告をお願いします。

○山口委員
 それでは、私のほうから報告します。先週の8月20日に行われました年金部会におきまして、年金積立金管理運用独立行政法人の第一期中期目標期間であります、平成18年度~平成21年度までの業務実績について評価をまとめました最終評価書(案)を検討しました。年金部会を代表して、私のほうからこの評価書(案)につきまして、概要を報告させていただきます。
 最終評価におきましては、管理運用法人に課せられた専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に年金積立金の運用を行うことによって、年金事業の運営の安定、延いては国民生活の安定に貢献するという使命を果たすために行われた具体的な取組に対する評価を基本としまして、その上で、中期目標に定めた事項が適切に行われたかについて、総合的に評価を行っています。第一期中期目標期間の業務実績全般の評価としましては、業務運営体制の見直しや改善が行われ、業務が適切に運営されていること、人件費の制約がある中で、外部の専門的知見を有する運用経験者の確保に努め、業務運営能力の向上に向けた取組が積極的に行われていることなどについて評価をしています。また、業務運営の効率化と、それに伴う経費削減につきましても、資産管理機関の集約化等により着実に取り組んでおり、受託者責任とか、法令遵守の徹底、情報公開の充実といった事項についても積極的な取組が行われています。年金積立金の運用実績としましては、長期的には年金財政の目標とされています実質的な運用利回りは確保できており、また、短期的には、市場平均でありますベンチマークとの対比で見ても、概ねベンチマーク並みの収益率が確保できているということです。さらに、平成19年度、平成20年度といった非常に不安定なマーケットの状況の下においても、適切かつ機動的なリスク管理を行ったこと。また、運用した期間の選定、管理及び評価についても適切に実施をし、全体として管理運用法人の設立目的に沿って適切に業務を実施したと評価をしています。
 これらを踏まえまして、今後さらに積極的な取組を期待する部分につきまして、評価書案の中で指摘をさせていただいています。具体的には、業務運営能力の向上を図る観点から、質の高い人材の確保及び育成を推進すること。業務運営の基盤となるシステムの整備・強化、及びその活用による業務の一層の改善を図ること。法令遵守の徹底など、内部統制の一層の強化に努めること。年金積立金の管理・運用のさらなる高度化のための調査研究を充実すること。年金積立金の運用に対する国民の理解を得るための広報活動の充実・強化を図ること。運用収益確保のため、運用手法の見直しも含めた運用受託機関の選定、管理についての取組を強化すること。平成20年度で、財政投融資資金の償還が終了したことに対応した寄託金の償還、キャッシュアウトやポートフォリオの管理(リバランス)への適切な対応を図ることなどについて指摘をしています。また、年金積立金の管理運用に当たっては、専門性の高い人材の確保・育成が不可欠であり、高度な専門知識を有する人材の維持のためにも、全独立行政法人一律の人件費削減目標の設定による制約については、慎重に検討する必要があることも合わせて指摘しています。さらに、管理運用法人において、第二期中期計画における基本ポートフォリオの策定に向けて精力的な検討を行ったこと、第二期中期目標における運用目標が暫定的なものとして示されたことから、最新のリスク・リターン情報を用いて、第一期中期計画における基本ポートフォリオが安全、効率的かつ確実であることの検証、確認を行い、第一期中期計画における基本ポートフォリオを第二期中期計画における基本ポートフォリオとして策定していることについても記載しています。なお、年金部会におきましては、管理運用法人について、法人のあり方や今後の方向性についても、評価書の中で言及すべきではないかという意見もありましたが、これにつきましては、現在、厚生労働省で検討会が立ち上げられ検討されているということも勘案しまして、年金部会としては特段の言及をしていません。以上が私からの報告です。 

○井原委員長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいま報告がありました最終評価書(案)につきまして、意見等がありましたらお願いしたいと思います。どうぞ。

○渡辺委員
 いまの説明の中で、実質運用利回りについて、この年度と全4年度の実績がわかれば教えていただけますか。

○大臣官房参事官
 資金運用担当の参事官です。ただいまの質問ですが、この年金財政との関係につきましては、資金運用報告書ということで、先般厚生労働大臣のほうからも報告しています。まず、この第一期中期目標期間、過去4年間ですが、この間の財政再計算、それから、財政検証上の前提となっています実質的な運用利回りは、0.53%です。これに対して、管理運用法人の実績、名目利回りと名目賃金上昇率から算出した実質的な運用利回りは、1.03%ということで、財政検証上の前提を0.50%上回るということになっています。なお、運用報告書の中では、自主運用が開始されました平成13年度からの過去9年の平均、それから、平成21年度単年度でも比較していますが、いずれも財政再計算及び財政検証上の実質的な運用利回りを上回っているということを報告しています。以上です。

○井原委員長
 よろしいでしょうか。その他にありますでしょうか。それでは、修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果としまして、法人及び政・独委に通知すると共に、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などにより修正が必要となった場合の対応につきましては、私に一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○井原委員長
 それでは、そのようにさせていただきます。最後に、三谷理事長からコメントをいただけたらお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人理事長
 理事長の三谷です。ただいまは、私どもの第一期中期目標期間の業務実績につきまして、業務運営及び積立金の管理運用等全般にわたりまして積極的な評価をいただき、どうもありがとうございました。また、この最終評価結果の中で指摘されておりますいくつかの点、例えば、人材の確保・育成であるとか、調査研究の充実、広報活動の充実・強化、運用受託機関の選定管理、運用手法の見直し等についての取組強化等々の課題につきましては、私どもも重要なテーマと考えておりまして、新しく始まりました第二期の中期目標期間の中におきまして、重要な課題として積極的に取り組んでまいりたいと思っています。また、この最終評価結果にも多少言及がありました付点ですが、私ども平成20年度に財政融資資金からの償還金がすべて償還されまして、現在特別会計の必要に応じまして必要に応じた資産の売却等々、そういった新たな業務が本格化され始めてきたところです。資産の購入と売却では、やはり市場に与える影響はかなり異なるところもありますので、引き続き金融市場に関する情報の収集、また、分析強化に努めると共に、市場への不測の影響がないよう状況に応じて適切に対応するよう努めてまいりたいと思っています。引き続きよろしくお願い申し上げます。

○井原委員長
 ありがとうございました。それでは、ここで法人及び所管課の入れ替えを行いますので、皆様しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び所管課入替)

○井原委員長
 審議を再開します。次は、医薬基盤研究所の最終評価書(案)の審議です。8月24日の調査研究部会において、最終評価書案が検討されていますので、調査研究部会長代理である鈴木委員からご報告をお願いします。

○鈴木委員
 医薬基盤研究所の中期目標期間(平成17年度~平成21年度)の業務実績についてご説明させていただきます。
 まず、資料2-2の(1)評価の視点についてご説明します。独立行政法人医薬基盤研究所は、3つの機関の組織の一部、すなわち、国立医薬品食品衛生研究所、国立感染症研究所、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の組織の一部を統合して、平成17年4月に新たな独立行政法人として発足したものであり、その設立の趣旨は、医薬品等に対する規制と振興の分離を図りつつ、様々な組織に分かれていた創薬支援に関わる部門を統合するとともに、独立行政法人という柔軟な組織形態を活かして、産学官連携を推進するというものです。医薬基盤研究所の目的は?@基盤的技術研究、?A生物資源研究、?B研究開発振興の3つの事業を行うことによって製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、最新の生命科学の成果や最先端の技術を活用した画期的な医薬品等の研究開発を促進することです。
 医薬基盤研究所の業績評価に当たっては、統合効果も発揮しつつ、医薬基盤研究所が提供する基盤技術、生物資源、研究資金が製薬企業や大学などにとって有効であり、中長期的に医薬品等の研究開発に役立つものとなっているかという観点から評価を行っています。当評価は、平成17年4月に厚生労働大臣が平成17年度から平成21年度について定めた中期目標全体の業務実績についての最終的な評価を行うものです。
 次に(2)中期目標期間の業務実績全般の評価についてご説明させていただきます。当委員会においては、医薬基盤研究所の業務により得られた成果について、その設置目的、すなわち「医薬品技術及び医療機器技術等に関し、医薬品及び医療機器等、並びに薬用植物その他の生物資源の開発に資することとなる共通的な研究、民間等において行われる研究及び開発の振興等の業務を行うことによって、医薬品技術及び医療機器技術等の向上のための基盤の整備を図り、もって国民保健の向上に資することを目的とする」という医薬基盤研究所法第3条にどれだけ寄与するものであったのか。また、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行った結果、中期目標期間全般については適正に業務を実施してきたと評価できるとしています。
 基盤的技術研究については、創薬に繋がる研究を積極的に進めており、画期的な成果を出しています。幾つかの研究成果は、企業に引き継がれて実用化に向けた研究が進められています。例えば、水痘ウイルス、ムンプスウイルスに効果を有する多価ワクチンを開発したこと。世界で類を見ない大規模・高品質の毒性学的遺伝子発現データベースを構築したこと、iPS細胞からもっとも難しいとされる肝細胞への高効率な分化誘導に成功したこと。自己免疫疾患治療薬開発の基盤となる抗体プロテオミクス技術を確立したことなどは高く評価できます。
 生物資源研究については、培養細胞等の高品質な生物資源や薬用植物、医科学研究のための霊長類といった当該研究所独自の生物資源を扱っており、これらの収集・保存・安定的な供給を進めていることは、創薬に向けた研究にとっては不可欠であり評価できます。生物資源の安定的な供給は、民間では採算が合わずに難しい分野であり、独立行政法人が柔軟な対応をしながら公的な役割をもって進めていくことが極めて重要です。例えば、カニクイザルを用いて慢性C型肝炎やデング熱のモデル動物の開発に成功したことなどは高く評価できます。
 研究開発振興については、プログラムディレクター(PD)やプログラムオフィサー(PO)を積極的に活用して、社会的ニーズや行政課題にあった的確な研究課題を設定し、適切な研究プロジェクトを採択しています。また、資金配分のみならず、専門的な見地から研究の進捗管理も的確に行っており、高く評価できます。
 とりわけ、当該研究所は京都大学・山中伸弥教授の研究に対してはヒトiPS細胞樹立以前の研究の萌芽期から、他の機関に先んじて研究費を配分して本格的にサポートしており、結果として、世界の研究を一段と加速させたことは、特筆に値する成果です。
 研究は年々進んでいくものであり、設立から日の浅い当該研究所が毎年様々な研究の成果をあげてきたことは、高く評価できます。
 次に2.具体的な評価内容についてご説明させていただきます。まず、(1)業務運営の効率化に関する措置についての説明です。機動的かつ効率的な業務運営に関しては、理事長のリーダーシップのもと幹部会、将来構想検討会等を活用し、理事長のトップマネージメントによる迅速な方針決定の下に適切な業務運営が行われ、多くの課題に研究所が一体となって取り組んでいること、プロジェクトチーム制による機動的な研究体制の確保と人員配置が行われたこと等、統合した独立行政法人としての機能を高めたことは評価できます。また、運営評議会、基盤的研究等外部評価委員会など、外部有識者も含めた業務管理体制の整備を図るとともに、透明性を確保しつつ、公正な判断ができる仕組みとしたことは評価できます。
 業務運営の効率化に伴う経費削減等は、一般管理費、事業費とも目標を大幅に上回る削減実績をあげていること、総人件費改革への取組みについても目標を大きく上回る削減を達成していること等から評価できます。その一方で、ワクチン開発研究機関協議会の設立、公的研究費の不正使用等の防止への取組みなど、社会的・政策的要請にあった対応がなされていることは評価できます。以上のように(1)業務運営の効率化に関する措置については、中期目標に基づく中期計画を上回る十分な成果をあげていると評価します。
 続きまして、(2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について説明します。
 Aの全体的事項ですが、戦略的事業展開、外部評価については、研究者一人当たりの競争的研究資金の獲得金額が、平成19年度から2年連続で全研究開発型独法の中で1位となるなど、戦略的な事業運営を行っている点、研究所内の情報交換と部門間の連携強化が図られている点、医薬品安全性予測のための毒性学的ゲノム研究の分野で内閣府の産学官連携功労者表彰、すなわち、日本学術会議会長賞を受賞している点、スーパー特区で採択された2つの研究課題が着実に進展している点、難病研究資源バンクで中心的な役割を果たしている点などは評価できます。
 成果の普及については、?@査読付き論文の発表数が中期計画を大きく上回り、質・量ともに充実していること、?Aホームページ・セミナー・研究所の一般公開により、研究成果の一般の人々への公開に努めていること、?B研究成果の活用促進を図っていること、?C特許出願数が中期計画を大きく上回っていること、?Dコンプライアンス委員会を設置して内部統制の強化を図っていること等から、数値的にも内容的にも評価できます。外部研究者との交流、共同研究の促進、施設及び設備の共用については、民間企業等との共同研究や受託研究が順調に増加していること、連携大学院の推進に積極的に取り組んでいること、共同利用施設の有効利用に努め、実績をあげていることは評価できます。
 Bの個別的事項です。?@基盤的技術研究のうち主な研究成果についても、先ほどご説明したとおり高く評価できます。そのほかの研究プロジェクトについてのさまざまな研究成果が得られ、論文、学会発表に積極的に取り組んでいるとともに、民間企業との共同研究が行われている点も高く評価します。以上のように、基盤的技術研究については、中期目標・中期計画に照らし、目覚しい成果をあげていると評価します。
 ?A生物資源研究のうち、遺伝子、培養細胞、実験用小動物については、中期計画の数値目標を上回る開発、収集件数を達成していること等は評価できます。
 薬用植物については、薬用植物等の収集、保存、品質管理、提供を積極的に行っていること、本邦で唯一の特徴を有する薬用植物統合データベースを整備・公開したこと、様々な新品種を開発していること、資源ナショナリズムが高まる中で外国との密接な交流を図りながら、我が国の薬用植物研究において中心的な役割を果たしていること等は評価できます。
 霊長類についても、先ほどご説明したとおり高く評価できます。以上のように、生物資源研究については中期目標・中期計画を上回る十分な成果をあげていると評価します。
 ?B研究開発振興のうち、国民の治療上の要請に即した研究開発の振興による国民保健の向上については、基礎研究推進事業では有望案件の発掘、社会的要請に基づく案件の採択、より適切な評価を行うための工夫がなされ、実用化に至った成果も出ていること、希少疾病用医薬品等開発振興事業では希少・難治性疾患の治療薬等が着実に製品化され、患者の治療に活用されていることは評価できます。特に、希少疾病用医薬品等開発振興事業については、当該研究所の事業としてさらに充実強化されることが望ましいと考えます。
知的財産の創出及び製品化の促進については、プログラムオフィサー制度により、指導・助言機能の強化を図ったこと等から特許出願数、論文数の増加が見られたことは評価できます。利用しやすい資金の提供については、公募時期の早期化を図り、約3か月間早期化するとともに、新たに全国7か所で公募説明会を開催し、また、中期目標期間前に比べて採択決定期間の大幅短縮を図ったこと、また前年度中に審査を終え、年度当初から研究に着手できる仕組みを取り入れたこと、応募者全員に審査結果等を通知したことなどは評価できます。承継業務については、5法人の清算の方針を決定するなど、承継業務の適正処理に向けての一連の措置が講じられていること、繰越欠損金に関する計画策定委員会を開催し、その解消に向けた取組みを進めていることは評価しますが、今後とも繰越欠損金の減少に向けての努力が必要です。以上のように、研究開発振興については、中期目標・中期計画に照らし十分な成果をあげていると評価します。
 (3)財務内容の改善等についてです。予算、収支計画、資金計画等については、中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されています。各年度における予算を踏まえ、一層の経費削減策を実施してきた結果、最終年度の平成21年度には、一般管理費及び事業費ともに中期目標の削減目標を大幅に上回って削減しています。
 また、人事に関する事項については人事評価制度を導入するとともに、適正な人事配置など、人事にかかわる措置が適正に行われたことは評価できます。以上のように、中期目標、中期計画に沿った成果をあげていると評価します。以上です。

○井原委員長
 どうもありがとうございました。ただいま、ご報告しました最終評価書(案)についてご意見等がありましたらお願いします。

○篠原委員
 この案の文書を直すかどうかではないのですが、例えば3頁の下から2行目に?Dコンプライアンス委員会を設置し内部統制の強化を図っていること等からという、いま内部統制していない。総務省で、独立行政法人の内部統制について専門委員会ができて、検討されて、いま導入しつつありますね。評価するときに5点法なら、3点は評価しなくて、おそらく4だと思うのですが、そういう意味で、私はいろいろな評価を見ていて、具体的なのはないなと。書いてあるところもあるのですが、こういう文章だと信用すればやっているなという感じはするのですが、具体例をもう少し書いていただいたほうが今後はいいのかという気がするのですけれども、あまり具体的になると読みづらくなるとか、いろいろなことがあって、こういうのが注目されてくると、こういう文章というのは疑問視されるのではないかと。今回の文章がどうのこうのではありません。今後、こういうものが注目されて、よりレベルを上げようとするときには、こういうところの具体性を書かなければということです。

○鈴木委員
 ありがとうございました。

○井原委員長
 要するに、今後の対応に対するご注文ですけれども、よろしいですか。等の具体化ね。

○篠原委員
 これですか。「強化を図っている」から、今回入れているから、みんなやっているではないですか。そうすると、導入時で上いっても定常時になっていないから、みんなやっているので、もしこれを評価するとなったら、もう少し具体的なことを書かないと評価できないのではないかということです。

○井原委員長
 わかりました。そのほかにございますか。よろしいですか。修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果として、これを法人及び政・独委員に通知するとともに、公表したいと思います。なお、このあと誤字、脱字、事実誤認などに修正が必要となった対応については、私にご一任いただけるでしょうか。
(各委員了承)

○井原委員長
 ありがとうございます。では、そのように致します。最後に山西理事長からコメントをお願いします。

 ○医薬基盤研究所理事長
 本日は、いろいろな視点から我が医薬基盤研究所の事業についてご検討いただきまして誠にありがとうございます。この研究所は、平成17年にできた研究所でありまして、5年を、やっと第一期を終わったという非常に若い研究所ですけれども、先ほど評価していただきましたように、着実に成果が出たものと私自身は自負しています。特に日本学術会議会長賞をいただいたり、スーパー特区の2つがこの研究所に選ばれたことも含めまして、最先端研究を担う存在価値があったと私自身は思っています。この研究所におきましては、創薬、生物資源、研究振興と、いままでにない非常にユニークな研究体制をとっていまして、これから、もっと進めていきたいと思っています。第二期は、さらに我々の研究所の重要なことは橋渡しの役なので、産学官の橋渡しを行って、さらに創薬の目的に対して我々の研究所が邁進できるように努力していくつもりです。今後とも、どうぞご指導、ご鞭撻よろしくお願いします。ありがとうございます。

○井原委員長
 ありがとうございました。ここで、法人及び所管課入替を行いますので、皆さましばらくお待ちください。
(法人及び法人所管課入替)

○井原委員長
 審議を再開します。ここからは暫定評価と組織・業務全般の見直し当初案、対処法人についての審議でございます。
 先に、国立健康・栄養研究所の暫定評価書の審議を行います。8月24日の調査研究部会で暫定評価書案が検討されていますので、調査研究部会長代理であります鈴木委員からのご報告をお願いします。

○鈴木委員
 それでは国立健康・栄養研究所の中期目標期間(平成18年度~平成22年度)のうち、今回、暫定評価の対象とした平成21年度までの業務実績について、ご説明させていただきます。
 まず、「評価の視点」についてご説明します。独立行政法人国立健康・栄養研究所は、厚生労働省の付属機関であった国立健康・栄養研究所が平成13年4月に新たに独立行政法人として発足し、平成18年度に非公務員型の独立行政法人に移行したものです。
 当該研究所の目的は国立健康・栄養研究法に規定されておりますが、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることであります。
 当該研究所の業績評価に当たっては、法人の設立目的に基づき、同研究所の業績が国民の健康の保持・増進に役立つものとなっているかという観点から評価を行うものとしました。
 次に、「中期目標期間の業務実績全般の評価」についてご説明いたします。当委員会においては、先ほど申し上げました平成21年度までの4年間で、業務により得られた成果が、「国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究、並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする(国立健康・栄養研究所法第3条)」という、同研究所の設立目的に照らし、どの程度寄与するものであったか、学術的成果の価値及び調査結果等の国民の健康増進施策への有効性、業務の効率性の観点から、適正に業務を実施したか等の視点に立って評価を行ってきました。その結果、平成18年度から平成21年度までの4年間の評価期間の全般については、次のとおり、適正に業務を行ってきたものと評価できるとしています。
 第2期中期目標期間の当初、研究組織を部室制からプログラム-プロジェクト制へと改編し、運営会議、研究企画委員会等による業務課題への対応を行うとともに、システムの最適化による効率的な業務運営を行ったことは評価できます。
 研究の具体的な成果としては、第一に運動・身体活動による生活習慣病の予防、運動と食事指導の併用効果については、コホート研究の途中ではありますが、運動と食事指導による一定の効果が明らかになりつつあること、第二にDLW法(二重標識水法)により、小児と成人の身体活動レベルの基礎的データを得ることができたこと。第三に高脂肪食負荷に伴うインスリン抵抗性の分子メカニズムを明らかにしたこと。第四に脂肪肝発症のメカニズムとそれを予防する食品成分を明らかにしたこと。最後に糖尿病感受性遺伝子のリスクアリルについての研究から、個々人の糖尿病予防についてテーラーメイド予防につながる成果が得られたこと等、生活習慣病の予防と国民の健康増進につながる多くの成果を挙げたことは大いに評価できます。
 これらの学術的成果等の発信については、4年間で、まず査読付き論文発表数で既に456報と中期目標である250報を大きく上回ったのをはじめ、学会発表数やインパクト・ファクターにおいても国立研究機関として極めて高い水準を維持していること、次に、ホームページでの健康食品のデータベース作成と開示により、管理栄養士・栄養士等専門職のみならず国民にも広く情報の提供を行ってきたこと。そして、国民健康・栄養調査や食事摂取基準についての普及啓発活動、セミナーや研究所の一般公開などの企画を通じて広く研究所の紹介、研究成果の普及・啓発を行ってきたことは高く評価できます。また、国民にとって関心の高い「健康食品」を対象にした食品成分の有効性評価については、食品安全委員会により評価が必要であるとされた大豆イソフラボンの代謝産物であるエクオールをはじめとする各種成分の安全性評価を行い、食の安全・安心に寄与したことは評価できます。なお、「具体的な評価内容」の報告については割愛させていただきますが、それぞれの事項については概ね高い評価としています。
 最後に、当該研究所の業績全般については先ほどまでの報告のとおり全体的に高く評価できますが、とりわけ、国の政策への寄与、開かれた研究所である点及び情報発信の推進については、当該研究所に対する国民の期待の反映でもあるので、引き続き推進していくことを強く望みます。
 また、来年の最終評価に向けて、国の独立行政法人である利点を活かし、民間や大学とは異なる点を明確にしつつ、行政ミッションを充実し、次の中期目標のテーマにつなげていくことを期待いたしまして、国立健康・栄養研究所の暫定評価に係る報告といたします。

○井原委員長
 ありがとうございました。ただいまご報告いただきました暫定評価書について、ご意見等がありましたらお願いいたします。

○猿田委員長代理
 いまの説明の最後のところにある、「民間や大学とは異なる点を明確にする」、この点はこれからもさらにやっていってはどうか。その点、ご意見をいただけますでしょうか。

○井原委員長
 そこが非常に重要な点だと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 いまご指摘の点、大変重要だと思います。私どもとしては、もちろん独創的な研究をすることは大事だと考えますけれども、行政ニーズ、あるいは社会ニーズに応えるような優先性の高い研究及び業務というものを、今後とも誠心誠意努めるつもりでおります。そして、私どもがやりました研究の内容を専門家はもちろん、国民の皆様にお知らせすることも私どものミッションではないかと思います。その点がいわゆる大学や一般研究所とは違うところではないかと考えています。

○猿田委員長代理
 特に生活習慣病における指針とか、そういうものはここでしっかりとした方針を出しておかないと、各業界からいろいろなものが出ているものですから。そういった点はここで統一していくように是非ともやっていただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 ありがとうございます。

○今村委員
 いまの話に関連してお伺いしたいのですが、この「暫定評価シート」の項目1、ア、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究というところです。
 いまのご指摘ですと、独法ならではの研究ということと、1つお伺いしたいのは、こちらの資料の中に「佐久総合病院と一緒に研究をやった」という書き方がしてあります。つまり、労働部会のほうでよく出てくるのですが、独法だけではなくて民間の非営利などの組織と共同しながら展開をしていくということも重要だろうということなのです。これは事例として、特にこちらの報告書のほうには書いていないのですが、民間と共同してやっている事例として考えてよろしいのでしょうか。

○国立健康・栄養研究所理事長
 そのとおりだと思います。先ほどのご指摘とも関連するのですが、私どもの研究所だけではどうしてもできないところがございます。そういう意味では研究内容も含め、あるいはスタッフの交流等も視野に入れ、大学、他の研究所あるいは地方公共団体との共同研究、あるいは連携を進めることは良いことではないかと考えています。ありがとうございます。

○井原委員長
 いまのご意見は何かを付け加えるという話ではないわけですね。

○今村委員
 いまのお話で結構です。

○篠原委員
 私も文章を変えるというのではなくて、今後の視点ということで言わせていただきます。独法はもともと、より費用を削減するとか人員を削減することが目標で、いまはかなり目標を行っていると。これを読むとほかの独法も同じようなのですが、目標や研究成果を得つつより費用や人員を削減している。我々が心配なのは、そろそろどこかに無理が出てくる。もういいのかなという視点も要るのではないか。
 削減したからいいと書いてあるけれども、実はやせ細っているのではないか。その部分の評価が私はそろそろ要ると思っています。今後、そういう視点で評価もするし、そういう意味で経営してもらって、ここはもう無理だということをはっきり評価でも言ってもらわないと、どんどん効率化、合理化のところだけ進んでしまうと、こういう研究型などは問題が出てくるのではないかという気がします。当面、どうのこうのと。

○武見委員
 そのことに関して、調査研究部会に所属していますのでよろしいですか。いま、ご指摘のあったことについては調査研究部会の中でも、国立健康・栄養研究所だけではなくてたびたび議論になります。そうしたことによって研究員への過重の負担がないかとか、そういうことをチェックしながら私たちとしては評価を進めてきているつもりです。場合によっては、そういうことに対する問題点なども最終の評価に入れ込むことも必要かと思いますが、現時点では議論の中でそういう点についても十分配慮いただきたいということで議論してきていることを付け加えたいと思います。

○井原委員長
 いまの時点ではことさら問題は発生していないというのが。

○武見委員
 来年度、最終評価のとき、またその辺をきちんと吟味したいと思います。

○井原委員長
 そのほかに何かございますでしょうか、よろしいですか。いくつかご意見が出たのですが、いずれも文章の修正という意見ではありませんでした。したがって、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、法人及び政・独委に通知するとともにこれを公表したいと思います。なお、このあと誤字、脱字、事実誤認等により修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただければと思います。
(各委員了承)

○井原委員長
 そのようにさせていただきます。最後に徳留理事長からコメントをいただきたいと思います。

○国立健康・栄養研究所理事長
 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長の徳留でございます。本日は私どもの研究所の第2期中期計画、平成18年度から平成21年度までですが、暫定評価をしていただきました。また、建設的な力強いコメントもいただきまして、まことにありがとうございます。
 私どもは3つの重点調査研究を行ってまいりました。また、健康・栄養調査、あるいは特別用途食品の許可試験等、いわゆる法定業務について真摯に取り組んでまいりました。全体的に高い評価を受けたものと私どもとしては理解しています。
 さて、来年度、私ども研究所は第3期中期計画に入ります。厚生労働大臣から第3期中期目標が提示されるものと理解しています。また、医薬基盤研究所を含めた3つの研究開発型独法との統合も予定されています。このように私ども独法に対してかなり厳しい状況にあります。第3期におきましても一層、私どもは独創的な、あるいは優先的な研究を行い、そして国民の付託に応えるように努め、社会・行政ニーズに応える業務を粛々と行いたいと思います。そして、組織運営の効率化、合理化を図りたいと考えています。
 皆様、評価委員の先生方におかれましては、今後とも私ども国立健康・栄養研究所に対し、ご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げまして、ご挨拶といたします。本日はまことにありがとうございました。

○井原委員長
 どうもありがとうございました。続いて、組織・業務全般の見直し当初案の審議に移ります。まず、見直し当初案について、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。そのあと、調査研究部会長代理の鈴木委員から、8月24日の調査研究部会での審議における意見等の報告をお願いいたします。それでは、担当課から15分程度でお願いします。

○大臣官厚生科学課長
 担当の厚生科学課、課長の塚本です。よろしくお願いいたします。
 独立行政法人国立健康・栄養研究所 組織・業務全般の見直し当初案について、資料3-3の?@に基づきましてご説明をいたします。
 まず、事務事業の見直し当初案のポイントですが2点書かせていただいています。まず、1つ目が制度自体の見直しを行うことです。栄養情報担当者制度、いわゆるNR制度と申しておりますけれども、現在健康・栄養研究所が担当しています。これが見直しによりこれは省内事業仕分の結果ですけれども、NR制度につきましては当該研究所が関与しないような方法で第三者機関への事業の移管を検討したい、進めていきたいと考えています。
 ただこの際、2点ばかり留意する点があると考えています。1点目は、国の通知によるアドバイザリースタッフの習得事項を満たす科学的水準の維持、中立・公正な制度運営の確保、これが1点でございます。もう1点は、既に資格を有している方々の活動や現在、養成講座を受講している方などの資格取得に支障を来さないような点に配慮すべきと考えています。
 次に、2点目の内容の見直し、推進に関する事項でございます。これも細かく言いますと2つあります。1つが調査研究です。これまで「運動基準」「健康日本21」等、厚生労働省の生活習慣病の重点政策に寄与してきていただいていますが、今後は生活習慣病の予防を効率的に推進するため、大きく2点の見直しを進めていきたいと考えています。
 まず、1点目が研究組織の見直しを行い、個人の生活習慣を決定する要因、生活習慣病予防の環境整備に関する研究を推進したいと考えています。
 さらに情報部門の見直しも行い、国・地方自治体に対し科学的根拠に基づく情報の提供、施策の提言などを行うとともに、国民にもわかりやすい情報を発信し続けるということを進めたいと考えています。具体的には、ちょっと細かい字で書いていますが、お読み取りをいただきたいと思います。
 2点目の健康増進法に基づく業務、国際協力、産学連携業務でございます。まず、法定業務である「国民健康・栄養調査」、収去食品の試験等については今後効率的な執行を継続するとともに、得られたデータの活用を通じ、科学的根拠に基づく子どもの食育、高齢者の栄養摂取に資する施策の提示、普及を推進したいと考えています。
 WHO関係につきましてはWHO研究協力センターの指定を受け、アジア諸国の国民健康・栄養調査、食品表示のシステム開発等の国際協力活動を推進したいと考えています。
 3つ目の産学連携業務でございます。知的財産権にかかる部門を設置し、さらに産学連携を推進したいと考えています。
 裏をお願いします、2番目の研究所組織の見直し(統合)案のポイントです。これまで「独立行政法人整理合理化計画」、平成19年に策定された計画ですが、これに基づき独立行政法人医薬基盤研究所との統合に向けた準備を行ってきたところです。昨年12月の閣議決定により、その先の旧政権下で行われた閣議決定については凍結をされております。見直し後、「研究開発法人のあり方の検討」や「独立行政法人・政府系公益法人等の抜本改革に向けた当面の進め方」という新しい方向性が示されています。こういった動向も踏まえつつ、他の研究開発型の独立行政法人との統合を行い、業務の合理化・効率化を図りたいと考えています。
 3点目の組織の見直し当初案のポイントです。4つ、記載しています。まず、1点目が職員の削減です。平成23年度に管理部門を1名削減する予定です。それから、平成23年度以降になりますが、他の研究開発型の独立行政法人との統合により、さらに役員、事務職員の削減を検討しております。この結果、国からの財政支出の削減に約5,000万円強の効果が見込まれています。2点目は、随意契約の見直し等取引関係の見直しでございます。入札時における公告期間の延長などさらなる競争性の確保を推進したいと考えています。3つ目の経費削減と自己収入拡大ですが、公募型研究に積極的に応募し、競争的資金の獲得を目指したい。プールや運動フロア等の研究施設のさらなる有効活用の可能性を検討したいと思います。
 最後に管理運営の適正化でございます。平成23年度以降、役員、それから事務職員4名を削減することにより、一層の削減効果を期待したいところです。ラスパイレス指数が現在100を超えていますので、異動時に年齢、あるいは給与を勘案した配置、中途採用などにより、さらに人件費の適性化を図りたいと考えています。説明は以上です。

○井原委員長
 ありがとうございました。続きまして、鈴木委員から研究調査部会の審議における意見等の報告をお願いします。

○鈴木委員
 ご報告いたします。まず、国立健康・栄養研究所の見直し当初案については8月24日の調査研究部会で議論が行われ、基本的に了承されました。
 次に調査研究部会におきましては、2つご報告しますが、第1は内容見直し・効率化を図る事項においてでありますが、3つの意見が出ました。1つは「調査研究」部分の「栄養教育等の個人の食と健康の改善の推進」という表現については、個人への働きかけだけではなく、環境づくりが重要である。また、国民健康・栄養調査のデータの活用について、今後の展開がわかるような記述をする必要がある。もう1つは、WHO研究協力センターに指定されたあとの国際協力活動の展開をどのようにするのか、明らかにする必要があるという3点です。これらの趣旨の意見が出され、本日の資料においてはこれを踏まえた修正がなされております。
 第2点として、組織の統合に関する事項に関しては、今までの研究成果を統合によって一層推進なり発展させるような統合のあり方を希望するという趣旨の意見が出されました。以上です。

○井原委員長
 ありがとうございました。ただいま説明がありました国立健康・栄養研究所の見直し当初案について、ご意見等がありましたらお願いします。

○篠原委員
 確か、この研究所はいちばん最初に独法化したものかと思います。私ども、実は厚生労働省の方に言ったのは、どうも、当時、研究型独法は、あまり政府外の独法は適切ではないのではないかということでした。イギリスの場合、政府の中の独法というのもあるのですが、そのメリットやデメリットを研究している人もいて、私も研究したのですが、最近、マスコミで確か政府内の独法もあるかなということも言われていたのですが、純粋な研究の部分はどちらかというと政府の中にあったほうがいいのではないかと思います。その中で、いまのような体制を含めるという検討がされてもいいのではないでしょうか。

○大臣官厚生科学課長
 当初、独立行政法人制度ができるとき、国の企画立案に関する部分は直接役所がやり、それに基づくいろいろな施策の実行に関する点については独立行政法人でするという整理がまずあった。その中で、例えば国立病院でありますとか、こういった試験研究機関などが独立行政法人化されたということであります。先生がおっしゃる政府の中か外かということとは、どういう整理でお答えしたらいいか、私も適切にお答えすることが難しいかもしれません。
 いずれにしても、政府の法律に基づく独立行政法人ですので、政府との密接な連携のもとに研究開発が進められていくと考えています。いまの制度でも、先生のおっしゃられる趣旨の活動は可能かと考えています。

○井原委員長
 そのほか、よろしゅうございますか。それでは、ここまでの議論をしまして、当委員会としては調査研究部会及び本日の総会での議論を踏まえて、引続き厚生労働省において検討を進めるようお願いをいたします。見直し当初案については、この委員会としては了承ということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

○井原委員長
 では、そのようにさせていただきます。ここで法人及び所管課の入替えを行いますので、皆様、しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び法人所管課入替え)

○井原委員長
 それでは、審議を再会いたします。次に、労働安全衛生総合研究所の暫定評価書の審議を行います。健康・栄養研究所と同じように、8月24日の調査研究部会で暫定評価書(案)が検討されていますので、部会長代理の鈴木委員からご報告をお願いします。

○鈴木委員
 独立行政法人労働安全衛生総合研究所の中期目標期間(平成18年度~平成22年度)のうち、平成21年度までの業務実績の暫定評価結果(案)についてご説明いたします。
 まず、資料の評価の視点について説明します。独立行政法人労働安全衛生総合研究所は、平成18年4月に、独立行政法人産業安全研究所と独立行政法人産業医学総合研究所が統合して発足した研究所であり、現中期目標(目標期間:平成18年度から22年度)は、発足に合わせて定められたものであります。このようなことから、現中期目標期間の業務実績の評価に当たっては、まず統合による効果を最大限に発揮し、業務運営の効率化とともに、産業安全及び労働衛生に関する調査研究の充実が図られているか、更には、業務の質の向上、社会への還元について十分に取り組まれているかという観点から評価を行っています。
 次に、中期目標期間の業務実績全般の評価について説明します。
 当委員会では、先に述べたような視点から当研究所の業務実績の評価を行ってきたところでありますが、中期目標期間全般については適正に業務を実施してきたと評価しています。
 ?@ 業務運営の効率化に関する取組について。当研究所においては、平成18年の統合以来、理事長のリーダーシップの下、旧両研究所の総務部及び研究企画調整部の一元化、研究体制の見直し、研究評価基準や個人業績評価基準の統一等研究管理システムの構築など、積極的な取組によって調査研究業務の一体的推進が図られてきていることを評価しています。
 なお総務部門については、一元化した以降も更なる業務の集中化等を行うことにより、総務部門の職員数を統合前の26人から9人削減し、平成22年4月1日時点で17人とするなど、業務運営の効率化において成果を挙げていることを評価しています。
 また経費の削減については、契約の見直しや省エネ対策など、積極的な取組を行っており、その成果として、平成21年度決算額における一般管理費、業務経費、人件費については、それぞれ中期目標期間の数値目標は15%減、5%減、5%の減となっていますが、これらに対して37.7%減、18.2%減、11.3%減と、目標を上回る実績を挙げていることを高く評価しています。
 ?A 業務の質の向上に関する取組について。全体的には、当該研究所は、行政ミッション型研究所として、高い研究成果を挙げていると評価しています。
 まず研究ニーズの把握についてですが、具体的な取組としましては、当該研究所が中心となって労使関係者、大学、関係研究機関等からなる労働安全衛生重点研究推進協議会を発足させ、また、業界団体等との情報交換会や、厚生労働省との定期的な意見交換会を開催するなど、労働現場のニーズ、行政ニーズを積極的に収集し、研究業務への的確な反映に努めていることを評価しています。
 研究所の中期目標に定めるプロジェクト研究のほか、政府長期戦略指針・イノベーション25に基づく研究、WHOのアクションプランに基づく研究について、社会的ニーズに対応しつつ、研究資源を重点的に投入して実施しており、それぞれ高い研究成果を挙げていることを評価しています。産業安全及び労働衛生の両分野の知見を活用した研究も着実に実施されており、統合によるシナジー効果も認められます。
 また、その研究成果の普及活用についてですが、研究で得られた科学的知見については、労働安全衛生法関係法令、通達等の制定・改正や、ISO、JIS等の国内外の基準の制定等に活用されており、行政ミッション型研究所としての社会的貢献について特に高く評価しています。また、学会発表及び論文発表数についても、中期目標を上回る水準となっており、評価できるものと考えています。
 次に、当研究所の業務として研究業務とともに非常に重要な役割を担う業務であります労働災害の原因調査等業務についてです。これについては、厚生労働省からの依頼等に基づく労働災害の原因調査のほか、刑事訴訟法に基づく鑑定や、労災保険給付に係る鑑別など、原因の特定・解明が困難な事案について、科学的知見に基づき調査、鑑定等を行うものでありますが、これを迅速・的確に実施しており、またその調査結果等の報告についても、依頼元である労働基準監督署、警察署等から高い評価を受けています。本研究所でしかできない事業であり、その実績及び社会的貢献については、特に高く評価しています。
 また、国内外の労働安全衛生関係機関等との協力の推進については、先ほども述べましたが、労働安全衛生重点研究推進協議会の活動において、我が国の労働安全衛生研究の将来に向けた指針となる、労働安全衛生重点研究領域・優先研究課題(案)の策定を行ったほか、シンポジウムの開催、国際学術誌及び和文学術誌の発行など、労働安全衛生分野の研究の振興への貢献について高く評価しています。
 そのほか、国内外の大学・研究機関等との研究協力や連携大学院協定に基づく若手研究者の育成等についても積極的な取組が認められ評価できるものと考えています。
 これらを踏まえると、平成18年度から21年度の4か年における当研究所の業務実績については、平成18年4月の統合以来、一体的な業務運営体制の構築に積極的に取り組みつつ、業務運営の効率化を図るとともに、調査研究及び労働災害の原因調査を適切に実施し、更に我が国における今後の労働安全衛生研究の指針の策定を行うなど、行政ミッション型研究所として非常に高水準の実施と成果を上げているものと高く評価しています。以上です。

○井原委員長
 どうもありがとうございました。それでは、ただいま報告いただきました暫定評価書(案)についてご意見がありましたら、お願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、修正意見が出ないようですので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、これを法人及び政・独委に通知するとともに、これを公表したいと思います。なお、このあと誤字脱字、事実誤認などにより修正が必要となった場合の対応については、私にご一任いただけますでしょうか。
(各委員了承)

○井原委員長
 では、そのようにさせていただきます。最後に、前田理事長からコメントをいただきたいと思います。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 独立行政法人労働安全衛生総合研究所理事長の前田です。ただいま、全般について概ね適正に業務を行っているという評価をいただきましたこと、誠にありがとうございます。各論については、必ずしも完璧ではなくて、いくつか指摘事項もありますが、それらについては修正して、今後またさらに一層よい成果を上げるよう努力していきたいと考えています。本日は、どうもありがとうございました。

○井原委員長
 ありがとうございました。続きまして、組織業務全般の見直し当初案の審議に移ります。まず、見直し当初案について、厚生労働省の担当課から説明をお願いします。そのあと、調査・研究部会長代理の鈴木委員から、8月24日の調査・研究部会での審議における意見等の報告をお願いします。それでは、担当課から15分程度で説明をお願いします。

○労働基準局安全衛生部計画課長
 お手元の資料4-3の?@に沿って、見直し当初案について説明いたします。見直し当初案については、大きく3つの柱で作っていますが、順次説明いたします。
 1点目として、「研究業務の更なる効率化の推進」です。その中に4つありますが、1つ目として効率化推進のやり方として・外部研究資金の獲得額の向上をしたいと考えています。それについては、目標を設定して取り組みたいと考えています。具体的には、平成23年度の目標については、研究所の研究費に占めます外部研究資金の割合を3分の1以上とすると掲げたいと思います。現状が約20%ほどになっていますので、さらに向上を目指して3分の1以上にしたいと考えています。
 具体的な達成に向けての取組として3点あります。1点目として、トップセールスといいますか、役員自らによる外部研究資金の獲得に努力したいということです。2点目として、研究員についても、外部研究資金を獲得するために1人2件以上の応募をしたいと考えています。3点目として、いま申し上げたような役員あるいは研究職員のそういう取組の結果を評価の重点項目化することにより、個人業績評価へ反映していきたいと考えています。
 2点目として、他の研究機関等との共同研究の実施、連携の強化に取り組むということです。具体的には、そこにありますように、プロジェクト研究の内部評価・外部評価において、共同研究の実施可能性の検討あるいはその進捗状況の把握・結果のフォローアップを重点的に実施したいと考えています。
 3点目として、組織の部分ですが、他の独立行政法人の統合等により効率化をさらに進めたいと考えています。具体的には、厚生労働省所管で研究開発を実施している他の独立行政法人と統合するとともに、化学物質の有害性(発がん性等)調査のための試験事業を別途行っています。これについて、当研究所に移管することにより、集約化し効率化を図っていきたいということで、そういう方向で現在検討しているところです。
 4点目として、管理部門の職員数の削減をさらに進めたいと考えています。これまでも進めてきているところで、平成22年度においては、管理部門の職員数が17名となっているところですが、23年度に向けてはさらに3名削減して14名体制で対応したいと考えています。先ほど申し上げました他の独立行政法人の統合等によりまして、管理部門の一層の効率化・合理化を進めたいと考えているところです。
 2点目は、「労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の推進」という、研究の中身の問題です。この点については、当研究所は行政ミッション型研究所として、労働安全衛生関係法令等の基礎になります科学的知見を得ることをはじめ、労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の実施に、これまでももちろん努めてまいったところです。今後もちろん努めることは言うまでもありませんが、さらにその研究成果やその社会的意義、貢献度について積極的なPRについても努力していきたいと考えています。また研究の中身についても、今後とも現場における労働災害、あるいは職業性疾病の発生状況、あるいは最近非常に重要度を増しております労働者の健康に係る状況等の情報収集に努めたうえで、一層的確な研究ニーズを把握していきたいと考えています。また、研究課題の選定方法あるいは評価方法についても、充実していきたいと考えているところです。
 3点目として、「他の研究機関で実施している重複研究課題等の排除」です。これについては、学識経験者、労使関係者等からなります外部評価委員会を開催していまして、他の研究機関における研究体制の整備、研究実績の集積の確認も含めまして、事前調査を実施しており、それに基づいて重複研究課題の排除、研究内容の精査に努めてまいったところです。これについては、今後とも一層適正に審査、評価を行ってまいりたいと考えているところです。以上、独立行政法人労働安全衛生総合研究所の組織・業務全般の見直し当初案について説明させていただきました。

○井原委員長
 それでは、次に鈴木委員から調査研究部会での審議における意見等の報告をお願いします。

○鈴木委員
 まず、労働安全衛生総合研究所の見直し当初案については、8月24日の調査研究部会で議論が行われ、基本的に了承されました。
次に調査・研究部会においては、(1) 労働現場における安全と衛生の一層の向上に資する研究の推進については、職業性疾病やメンタルヘルス等の健康要因への対応についても取組がわかるように記載すべきではないか。また、研究所の社会的貢献について、PRに取り組むべきであることを記載すべきではないか、という趣旨の意見が出され、本日の資料においてはこれを踏まえた修正が行われています。さらに、(2) 労働災害の調査等をはじめとして、行政ミッション型研究所としての労働安全衛生総合研究所のこれまでの実績及び貢献を特に高く評価しており、他の独立行政法人と統合する場合にも、研究所がその機能を引き続き発揮し、これまで以上に研究成果が上がるよう配慮する必要がある、という趣旨の意見が出されました。以上です。

○井原委員長
 ありがとうございました。それでは、ただいま説明がありました労働安全総合研究所の見直し当初案について、ご意見等がありましたらお願いします。

○篠原委員
 レベルの低い質問を2つほどさせていただきます。まず外部研究資金の獲得なのですが、これは当然国立大学法人や他の独法も獲得に向けてかなり高い目標でやっていると。いわゆる申請書のレベルをあげるとかいろいろな対策を立てているのですね。その一環として、役員を入れたのかなという気もするのですが、そういうスレスレに対する簡単に言ってしまうと魅力ある申請書作り、研究自体が重要なものではなくてはいけないのですが、そういう対応というのはここに書かないのかなということです。
 もう1つ研究の推進のほうで、人材の開発力、研究力の向上や、他との交流などは、ここで挙げる必要はなかったのかなと。あまりレベルの高い質問ではないのですが。

○労働安全衛生総合研究所理事
 1点目の役員自ら外部研究資金の獲得というのは、むしろ科研費の書き方のアピール力をアップするというよりは、この外部資金というのはいわゆる科研費のようなものと、それから受託研究、外部の関係の団体や民間企業から受託研究も受けていますので、そういう意味で受託研究について各団体についてのネットワークがありますので、そういう意味では役員が自ら団体や会社に乗り込んでいって、うちが持っている安全衛生研究のノウハウをアピールして、受託研究を取ってこようという趣旨です。

○労働安全衛生総合研究所理事長
 先ほどの科研費などの申請書の書き方のようなことについては、これまでも努力はしているところです。特段ここに記述をするまでもないかなという認識です。

○井原委員長
 よろしいでしょうか。そのほかにありますか。それでは、ここまでの議論をもちまして、当委員会としては調査研究部会及び本日の総会での議論を踏まえて、引き続き厚生労働省において検討を進めるようお願いをしたいと思います。それから、見直し当初案については、当委員会として了承ということでよろしいですか。
(各委員了承)

○井原委員長
 それでは、そのようにさせていただきます。ここで法人及び所管課が退室しますので、皆様しばらくお待ちいただきたいと思います。
(法人及び法人所管課退室)

○井原委員長
 それでは、最後に事務局から提案があるようですので、これについて審議をいたします。事務局から説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 3点ほどあります。まず1点目は、業績勘案率の算定方法の改定についてです。こちらは各部会で一度ご審議をいただいていますが、改めてご紹介をして、また各部会でいただいたご意見もご紹介させていただきたいと思います。資料5-1をご覧ください。業績勘案率の算定ですが、各部会で皆様にやっていただいているところです。昨年度、部会の中で業績勘案率を算定する際に、厚生労働省のいまの算定方式は法人の業績しか見ていませんが、各役員の方々それぞれ担当部門が分かれているのであるから、それぞれの部門ごとの業績を反映させる、個人の貢献を反映させるようなことを考えてみたらどうかという投げかけが委員からありました。それを受けて、事務局で検討したものです。
掻い摘んで内容を説明させていただきますと、現行の業績勘案率の算定は法人の評価の結果をS、A、B、C、Dを2点から0点までに配分しまして、点数化をして平均を出したうえで、さらにそうして出された各年度の平均を3分類に分けまして、1.5か1.0か0.5の3段階に分けて点数化をしています。改訂案は、それを0.1刻みにしたうえで、また法人業績率と個人貢献率を計算して足して出すという形にしています。足して過程の業績勘案率を出したうえで、あとはいま部会でやっていただいているやり方と基本的に一緒ですが、減算の理由がないかとか、財務状況が好調か、それから特に加算すべきことがないか等を議論いただきまして、実際に業績勘案率を算定するというようなことになっています。また、その数値の計算の仕方を変えるのと合わせまして、提案としては、例えば監事の方は個人の貢献率は算定しないとしてはどうかとか、役員の在任期間が1年未満の場合には1.0以下という形にしてはどうか、それから年度途中で退任された方の取扱いですが、半年で切りまして、9月より前の退任であれば前年度までの実績で計算をして、9月以降であれば在籍していた最後の年度の年度評価が確定するのを待って行ったらどうかといったような内容の提案になっていました。
 資料としては1枚めくっていただきますと、(参考)としまして現行の業績勘案率と、今回提案させていただいた計算式でやると何点になるかというものを付けています。こちらで議論いただいたのですが、各部会で現時点でいただいているご意見をご紹介しますと、資料の後ろに資料5-3として各部会での主な意見を付けています。まず、そもそも個人貢献率を加算することについて、冒頭申し上げましたようにそうしたらいかがかという提案があって取り組んでみたものですが、役員は法人全体に責任を持つ者であるので、個人貢献率の加算は適切ではないというようなご意見もいただきました。また、加算をする際の数値の設定を今回変えているわけですが、先ほどの参考で付けさせていただいた資料をご覧いただいてもわかるかと思うのですが、例えば法人ごとにS評価が多い所、少ない所とありますが、それで見たときに勘案率の差がほとんど出てこないという数値の設定はどうだろうというような指摘もありました。
 また、そもそも法人によっては低くなるところもあるのですが、高くなるところもありますので、業績勘案率を改定して高くなるような結果が出るということは、世間の理解が得られないのではないかというような発言もありました。それから、監事の方について、個人貢献率を算定しないという案にしていましたが、監事の方もコンプライヤンスを担っているなど法人の業績に貢献があるといえるだろうということで、個人貢献率を算定しないというのはいかがなものかという発言もありました。その他、いろいろ大枠についても、各部会によってSからDの評価の付け方にばらつきがある中で、このSからDを基に業績勘案率を算定することはどうだろうかという意見もあったところです。事務局としては、本日この場でもう一度皆様からいただける意見はいただいたうえで、そうした意見を踏まえて、再度また検討していきたいと思っています。以上です。

○井原委員長
 ありがとうございます。それでは、以上の説明に関してご意見、ご質問等がありましたらお願いします。

○渡辺委員
 いまの資料5-3で書かれている各委員の意見の中で、私自身も国立病院部会で話したことが相当ありますので、繰り返しになる部分もありますが申し上げます。やはり、どう考えても今回の改定は、先ほども説明があったようにおかしな部分が随分出てくると。黙っていても、1.5が1.3になって、黙っていても1.0が1.2になったりという、極めて先ほどよりもちょっとわかりにくいところがあるのが1点。これは、改めて強調しておきたいと思います。
 それから、在職期間1年未満資料5-3の場合1.0以下とすること及び、年度途中云々と、特にご意見なしとありましたが、私自身は言ったつもりなのですが、やはり在任期間が6カ月や8カ月で退職金の金額が民間に比べて率直に言っても、金額はあえて言いませんが、相当な金額だったのは、どう見てもこれは世間の理解を得られないと。1.0にするかどうか、1.0以下にするかどうか以前に、やはりそもそもそういった所に退職金を出すこと自体が、もう少し世間に説明しないと。先ほどあったように給与そのものは一率カットというのは私も反対です。給与だけは一率カットに反対して、これからの人材の投資というのは大事なのですが、退職金に関しては何か非常に。一率を施行で、短期間でも出そうということは、これは世間の理解を到底得られないということですので、その辺をもう少し、改めて私の意見として付け加えます。以上です。

○井原委員長
 そのほかにいかがでしょうか。

○篠原委員
 10年前に独法の監査をやっているときに、よく職員から意見が出ていたのは、役員だけ評価してあげて我々はどうなのという。結局役員の実績の一部は職員が頑張った部分がありますので、そのリンクというのも多少考えないといけないのかなという気もするのですが、その辺りの検討はされたのでしょうか。

○政策評価官室長補佐
 こちらは、あくまで役員の退職金ということでしたので、そうした視点は全くいまのところ入っていません。

○井原委員長
 そのほかにありますか。

○川北委員
 私もこの一覧表を見て、渡辺委員からあったように、ほとんど1.2前後に寄ってしまっているのがすごく気になっているところです。そういう意味で、ほかのところを見るというのもあまり好きな方法ではないのですが、多省庁の退職金の評価が平均どのぐらいになっているのか、たぶん1.0を挟んで分布しているような気はするのですが、やはり1.0を挟んで分布するような仕組みを作られることがいちばん望ましいのかなと、感想としては持ちました。

○政策評価官室長補佐
 ちなみに、多省庁の計算上の式まではすべからく押えているわけではないのですが、実際確定した業績勘案率の分布は0.9から1.2となっていまして、ほとんどが1.0です。たまに不祥事等があったりすると0.9になり、非常に業績がよいと1.2になるという形での分布になっています。

○岩渕委員
 いままで、こういう法人の役員の退職金などというのは、ほとんど利権に近い形で天下りの最も弊害の多いところではないかと見ていました。それが、最近はそれこそ理事長主導による業績の経費節減とかさまざまな形で、締め付けがたぶん現場ではかなり強く行われているように思われます。いろいろな数値目標や実績を見ても、そういうことが明らかにいえますので、このうえ例えば、退職金の評価の刻みが細かくなると、点数を積み上げるため、天下りを含めた役員がますます部下を締め付けたり、そのようにやっていく恐れがあるということからいっても、それは好ましいことではないという点。それから、役人のやるこのような制度改正も含め、大概は甘く流れていく傾向があります。最初は1.0に集約されているようでも、だんだんやっていくうちに甘くなっていくということが往々にしていままであったように私は思います。評価を刻むと、少しずつ甘くしやすくなります。
 我々も拳拳服膺しなくてはいけないと思うのは、我々の評価自体が往々にして甘くなりがちだということも、よく認識しておくべきだろうと思います。つまり、我々にとってみると、出された資料などを完全に咀嚼して、それを分析して批判するだけの知識が残念ながら持てない状況の中では、言われたとおり、あるいはそういったことに対する非常に甘い評価が出てきているのは、残念ながら事実だと思います。実を言えば、今回のさまざまな評価だって、たぶん相当甘いなというようなことは皆様感じていらっしゃるでしょうが、ただどこがどう甘いのだということを、我々はそこをきちんと指摘してそれを批判するだけの知識が残念ながらないというのも事実であろうと思います。余計なことまで幅を広げましたが、このような愚劣な改正はやめたほうがいいと思います。

○井原委員長
 そのほかに何かありますか。それでは、事務局ではただいまいただきましたようなご意見を踏まえまして、再検討をお願いしたいと思います。

○政策評価官室長補佐
 ありがとうございました。

○井原委員長
 続きまして、独立行政法人の不要財産の処分に係る独立行政法人評価委員会の意見の取扱いについての報告です。

○政策評価官室長補佐
 資料6をご覧ください。こちらは報告です。独立行政法人の通則法の一部を改正する法律が先の通常国会で成立していまして、年内に施行される予定となっていますが、施行日がまだ決まっていません。この改正法の中身ですが、事業仕分けを受けた改正ですが、独立行政法人の保有する財産であって、将来にわたり業務を確実に実施するうえで必要がなくなったと、不要になったと認められる場合には、当該不要財産を処分しなければならないとされていまして、またその不要財産については遅滞なく国庫に返納することが決められています。
 この不要財産の国庫返納にあたっては、当該不要財産の処分を厚生労働大臣が認可をする必要がありますが、その際には現行あります重要な財産の処分と同じ仕組みですが、評価委員会の意見を聞かなければならないとされています。先ほど申しましたが、施行日がまだ決まっていませんが、これが決まったときにすぐに部会を開催するような時期になる保証がありませんので、今回この夏の各部会において、資料6の下のほうに書いてある取扱いですが、予め予定されている不要財産の処分を行うことについて部会の了承をいただいて、実際に改正法が施行されて独立行政法人が当該不要財産の処分の認可申請を行うときには、部会長においてこの部会が了承した不要財産と、認可申請を行う不要財産が同一であるということを確認いただきまして、了承を得るということをもちまして、部会としての意見をいただいたという取扱いとしたいという話を、各部会にご相談をしてご了解を得たところです。
 なお、この部会長の確認と了承によって部会の意見をいただいたという扱いになったあとには、直近の部会においてその旨を報告することにしています。部会において了承を得たもので、今回は皆様にご報告申し上げるものです。以上です。

○井原委員長
 それでは、ただいまの説明の内容について、何かご質問等があればお願いします。よろしいでしょうか。それでは、当委員会としては報告を承ったということにしたいと思います。続いて、事務局から最後の提案ですが、独立行政法人委員会の総会と部会の役割の分担の改正についてです。説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 資料7をご覧ください。こちらは、いま申し上げました不要財産の処分に係る評価委員会の意見の取扱いについてです。評価委員会の中で総会と部会の役割分担については、総会において決定することにしています。先ほどの不要財産の処分について、部会の専決事項とするための修正を行うものです。資料7の右のほうに、部会の議決を委員会の議決とする事項とありますが、中程に第46条の2第5項、第46条の3第6項が追加していまして、下線を引いてあります。これが、通則法の改正により追加された条文で、不要財産の処分に係るところです。
 こちらの条文を追加するとともに、現行では財産の処分等の認可となっているところに、内容がよりわかるように不要財産又は重要なというものを追加しています。このほか、上のほうの「?T業務実績評価等に関する事項」に、「(3)役員の退職金に係る業績勘案率の決定(閣議決定)」を追加したいと思います。これは、現行も先ほどご紹介したように、業績勘案率の決定は評価委員会が定める業績勘案率の決定の算定方法についてのルールの中で、各部会でやりましょうというのは決まっています。この役割分担表上は、現行ですとその他委員会の決定等が求められる事項と書いてあるところの中で読むというような整理になっていましたが、こちらも明記をして(3)としてはっきり書いておこうという改正です。以上です。

○井原委員長
 ただいまの内容について、何かご質問はありますか。よろしいでしょうか。それでは、当委員会としてはこの改訂を了承したいと思います。最後に、1点私から報告があります。それは、厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第2項の規定に基づきまして、労働部会に分属する委員に五十嵐委員を追加で指名します。それでは、本日の会議は終了させていただきます。事務局から、今後の総会の予定等について説明をお願いします。

○政策評価官室長補佐
 この夏の独立行政法人の評価については、これで終了となります。例年以上に暑い夏に、連日にわたって委員の皆様方に精力的にご審議いただきまして、ありがとうございました。会議冒頭に申し上げましたとおり、次回は組織・業務全般の見直し案をご審議いただくため、12月の開催を予定しています。議事と日程等詳細なことが決まりましたら、委員の皆様方には改めてご連絡いたします。また、本日ご審議いただきました最終評価書及び暫定評価書は、郵送させていただきます。以上です。

○井原委員長
 それでは、長時間にわたり審議をありがとうございました。お疲れ様でした。


(了)
<照会先>

政策統括官付政策評価官室 

独立行政法人評価係: 03-5253-1111(内線7790)

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