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2010年7月9日 第1回 化学物質のリスク評価に係る企画検討会

○日時

平成22年7月9日(金)14:00~


○場所

経済産業省別館10階1031号会議室


○議事

○長山化学物質評価室長補佐 本日は、大変お忙しい中をご参集いただきまして誠にありがとうございます。ただいまより、第1回「化学物質のリスク評価に係る企画検討会」を開催させていただきます。
 本日は、平成22年度の第1回目ということですので、出席者のご紹介をさせていただきます。資料1「開催要綱」の裏側に本日の参集者名簿がありますので、この順に紹介させていただきます。
 日本労働組合総連合会総合労働局雇用法制対策局部長の金田委員です。独立行政法人労働安全衛生総合研究所前健康障害予防研究グループ部長の小泉委員です。中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター技術顧問の櫻井委員です。中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長の清水委員です。早稲田大学理工学術院教授の名古屋委員です。堀口委員は本日ご欠席です。社団法人日本化学工業協会環境安全部部長の山口委員です。独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部主幹研究員の吉田委員です。中央労働災害防止協会から棗田さんをお呼びしております。
 事務局側の紹介をさせていただきます。半田化学物質対策課長です。島田化学物質評価室長です。奥村調査官です。寺島化学物質情報管理官です。平川有害性調査機関査察官です。本日の司会進行をさせていただきます化学物質評価室長補佐の長山です。
 今回は初回ですので、座長の選出をさせていただきます。どなたか推薦していただける方がいらっしゃいましたらご発言いただきたいのですが。特段ないようでしたら、事務局より提案させていただきます。中央労働災害防止協会の櫻井先生にお引き受けいただければと思っておりますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○長山化学物質評価室長補佐 ありがとうございました。それでは、櫻井先生に座長をお願いいたしまして、以降の議事進行は櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 ご指名いただきましたので座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、リスク評価企画検討会の第1回です。議題は「リスク評価候補物質・案件の選定」など、5つの議題を予定しております。最初に事務局から、本日の議事予定と資料の確認をお願いいたします。
○長山化学物質評価室長補佐 資料をご覧ください。座席配置図、議事次第があります。本日の議事は5つ用意しております。(1)「リスク評価候補物質・案件の選定について」、(2)「がん原性試験(長期試験終了物質)の有害性評価小検討会における評価結果について(報告)」、(3)「がん原性試験対象物質の選定に係る今後の方針について」、(4)「今年度のリスクコミュニケーションの開催予定について」、(5)「その他」ということで予定しております。
 資料の確認をお願いいたします。裏側の配布資料一覧に沿って確認させていただきます。資料1「化学物質のリスク評価に係る企画検討会開催要綱及び参集者名簿」、資料2「リスク評価対象候補物質・案件一覧(案)」、資料2の別添として、候補物質??13「ホウ酸」に係る英文の資料を付けております。資料3「がん原性試験(長期試験終了物質)の有害性評価小検討会における評価結果について(報告)」、資料4「がん原性試験対象物質の選定に係る今後の方針について(案)」、資料5「平成22年度リスクコミュニケーションの開催予定(案)」、資料6「今後の検討予定」です。
 参考資料として、参考1は昨年9月の第2回のときの資料で「リスク評価対象物質・案件の選定の考え方」です。参考2「有害物ばく露作業報告制度及びこれまでの選定経緯・対象物質について」ということで、平成18年から平成22年度報告物質まで、過去の告示物質の一覧です。参考3はがん原性試験の評価結果で、「有害性評価小検討会」で評価していただいたときに使った2物質に係る試験結果の概要です。前半と後半で1物質ずつ、合計2物質付いています。参考4は昨年度の第4回企画検討会において作成した資料で、「がん原性試験対象物質の選定の考え方」です。参考5は昨年の第5回企画検討会において、「平成21年度のリスク評価の実績について」と、中盤以降は平成22年度の「リスク評価方針について」ということでご議論いただき、そのご議論を踏まえて修正したものを付けております。
○櫻井座長 議事に入ります。本日は最初の会合ですので、本検討会の開催要綱の説明を事務局からお願いいたします。
○長山化学物質評価室長補佐 資料1「開催要綱」について説明させていただきます。
 1「趣旨・目的」は、職場における化学物質の取扱いによる労働者の健康障害の防止を図るため、平成18年度より、重篤な健康障害のおそれのある有害化学物質については、国がリスク評価を実施している。リスク評価の結果を踏まえて特別規則による規制等が行われることから、対象物質の選定をはじめとするリスク評価の手続きが、規制の影響を受ける側である使用者、労働者等事業場関係者の参加の下に行われる必要がある。このため、学識者、使用者、労働組合等から成る検討会を開催し、リスク評価の基本方針の検討、リスク評価対象物質の選定等を行うこととする。
 2「検討事項」は大きく4つあります。(1)リスク評価の基本方針について。(2)リスク評価対象物質の選定について。(3)リスクコミュニケーションについて。(4)その他です。
 3「構成等」については、(1)本検討会は、別紙の参集者により構成するものとする。(2)本検討会には座長を置き、座長は検討会の議事を整理する。(3)本検討会には必要に応じ、別紙参集者以外の有識者の参集を依頼できるものとする。(4)本検討会は必要に応じ、関係者からヒアリングを行うことができるものとする。
 4「その他」事項として、(1)本検討会は、原則として公開するものとする。ただし、個別企業等に係る事案を取り扱うときは非公開とする。(2)本検討会の事務は、厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室において行う。(3)本検討会は、平成22年度の検討事項に関する報告書をとりまとめた時点で終了するものとする。
 以上が開催要綱です。
○櫻井座長 ただいまの説明に対してご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
(特に発言なし)
○櫻井座長 特にないようですので、早速議題に移ります。議題1「リスク評価候補物質・案件の選定について」を、事務局から説明をお願いいたします。
○長山化学物質評価室長補佐 資料2にある議題1について説明させていただきます。物質・案件の数が今回は22物質ありますので、適宜区切って説明させていただきます。今回は全部で22物質ありますが、この企画検討会、リスク評価検討会、健康障害防止措置検討会の3検討会のそれぞれの各委員から提案のあったものが前半の14物質です。
 後半の8物質については、日本バイオアッセイ研究所のほうで、がん原性試験(長期試験)を行っております。安衛法第57条の5で、国によるがん原性試験結果、この結果、がんを労働者に生じるおそれのあるものと判断された物質については、従前から健康障害防止の指針を策定しています。この指針については、いま現在、健康障害防止措置検討会のほうで、その指針の内容等を検討しております。その措置検討会の中で、これらの8物質については、国の機関でがん原性と判断された物質ですので、すべてリスク評価を行うかどうか、そういう検討を行う必要があるのではないかというご意見がありましたので、今回はその8物質を候補として入れさせていただいております。
 参考1は、昨年9月の第2回企画検討会のときに、その選定の考え方をまとめていただいたものです。今回の提案としては、前半の物質については有識者からの提案ということで、主に1.の(1)の中に?@から?Dまでありますが、主に?A?Bの生殖毒性とか神経毒性の辺りを中心に、GHSなどで分類されたものを中心にご提案いただいているものです。後半8物質については、がん原性指針の予定の8物質、発がん性ということで、こちらに該当するものと考えております。近年の化学物質による労働災害の発生の動向を見たところ、いまのところ特に目立った懸念が示唆されるものは、今回は見当たりませんでしたので、そちらからの候補は見当たらないということで整理しております。
 (3)は、パブリックコメントその他でリスク評価の要望が高かったものがありますが、6月から7月初めにかけてパブリックコメントを実施いたしましたが、今回は物質・案件等についてのご意見はありませんでした。したがって、今回は専門家からの14物質、がん原性指針予定の8物質、合計22物質を選定の母数として考えていきたいと思っております。
 参考1の裏面の2.~4.に考え方が書いてあります。2.は対象物質・案件からの除外についてということで、取扱いがわずかな場合や、既に法令等で対策が講じられている場合は除外してもいいのではないかと。3.は、かなり数が多くなって絞り込む場合には、有害性の程度や影響度の大きさとか、優先的に選定するときの考え方が書かれています。4.は、労働安全衛生法におけるMSDSの交付等、そういう対象となっていない物質については、そのばく露実態調査を行う上で支障が生じるので、そういう物質についてはMSDSの交付の標準対象となった段階で、リスク評価の対象とすることとする。そういう考え方が示されております。こういうところを基に、本日は資料2の中から選定を考えていただきたいと思っております。
 資料2について説明させていただきます。それぞれの物質に対し、左側から物質・案件名があり、次に化学式・構造式が書いてあります。あとは提案者が専門家と指針8物質のどちらに該当するかが書いてあります。次に提案理由として、それぞれ提案していただいた方からの理由を書かせていただいております。右側は各種情報ということで、それぞれの物質ごとに用途、生産・輸入量、物理的性状、有害性情報、許容濃度等、現行規制ということで情報を入れております。いちばん右の欄に「方針(案)」とありますが、こちらに事務局作成の案を示させていただいております。
 説明に移ります。候補??1から5までを説明し、そこで一旦区切りを入れさせていただきます。並べ方としては、MSDSのあるものから先に載せていって、あとはMSDSの第何号という若い番号の順に並べてあります。
 候補??1は「アジピン酸」で、提案は専門家からです。提案理由は、MSDS対象物質で神経毒性がある。ナイロン樹脂原料・化粧品原料・食品添加物等の使用目的で生産・輸入量が比較的高く、低いTLVの値を取っている。
 アジピン酸については、ナイロン66などナイロン樹脂の原料、各種医薬など各種原料として幅広く使われています。経産省の実態調査で、生産・輸入量は多い。物理的性状は、融点は152℃ということで、常温であれば通常は固体の扱いになっております。各種有害性情報が書かれておりますが、特にGHS分類において、反復ばく露のダスト吸入の場合に、自律神経系でGHS区分1という物質になっております。許容濃度は、産衛学会では未設定、米国産業衛生専門家会議のACGIHでは、TWAが5mg/m3ということで設定されております。現行規制としては、MSDS対象物質となっています。
 方針(案)として、これらを鑑みるとGHSの中で、自律神経系で評価され、高い有害性が判断されていますし、またMSDS対象ということもあり、リスク評価の対象とするということで案を作成しております。
 候補??2は「アセトニトリル」です。HPLC(高速液体クロマトグラフィ)など、機器分析の移動相の溶媒として、多くの研究室で使用されています。蒸気にばく露されることの頻度も高いということで提案されています。
 用途としてはビタミン剤やサルファ剤、抗菌剤といった各種原料や溶剤に利用されています。生産・輸入量は1,000~10,000トン未満ということで比較的使われている。物理的性状は無色の液体で、融点は-46℃。蒸気圧は9.7kPaということで高い。有害性情報がこちらにいろいろ書かれておりますが、特に単回ばく露における中枢神経系でGHS区分1とされている物質です。許容濃度は、産衛学会は未設定、ACGIHが、TWAで20ppmで設定されています。現行規制としてはMSDS対象となり、危険物・引火物、あとはPRTR、毒劇法の劇物の指定がされています。
 こういうことを踏まえ、事務局案として、リスク評価の対象としてはということで作成させていただきました。
 候補??3は「アニリン」です。提案理由は、生造・輸入量が10万トンを超えて、用途も多岐にわたっており、さらに、蒸気圧も40Paと高くはないが揮発し得ることを示しており、作業者へのばく露の可能性が考えられる。経皮吸収されやすいとの指摘もある。職業ばく露において、チアノーゼ、頭痛、めまい等の有害影響が過去に報告されており、TLV-TWAが2ppm、許容濃度が1ppmであることから、リスク評価対象物質たり得ると思われるということでいただいております。
 用途は、染料など各種中間体、各種原料など幅広く多用途になっております。生産・輸入量も多い。物理的性状は常温で液体、蒸気圧は40Paということでそれほど高くないです。有害性情報はいろいろ書かれておりますが、特にいちばん下にあるとおり、神経系に対して単回ばく露・反復ばく露について、GHS分類で区分1とされております。許容濃度等については、産衛学会のほうで1ppm、3.8mg/m3、ACGIHのほうで、TWAが2ppmと設定されております。MSDSが設定されており、PRTRと毒劇法の劇物という規制がかかっております。
 これらを鑑みますと、事務局案としては、こちらについてもリスク評価の対象とするということで挙げさせていただいております。
 候補??4は「3-(アルファ-アセトニルベンジル)-4-ヒドロキシクマリン」です。別名「ワルファリン」と呼ばれているものです。提案理由は、常温にて白色結晶であり、ばく露量は小さいと予測されるが、殺鼠剤、抗凝血薬として使用され、医学的に人体への作用が明白であり、生殖毒性1Aに区分される。TLV-TWAが0.1mg/m3として値が設定されている。このような有害性、物理化学的性質を持つ物質が他にもあることから、代表的な物質としてリスクを評価することは、同様の性質を持つ物質のばく露量類推として大いに参考になると考えられるということでいただいております。
 用途は農薬(殺鼠剤)、血栓症治療の薬などで使われています。農薬の量としては合計すると40トン台です。物理的性状としては白色の結晶です。有害性情報としては、ここに書かれているとおりですが、特にいちばん下に書かれているとおり、「生殖毒性」としてGHS分類で区分1Aとなっております。許容濃度等は、産衛学会では未設定、ACGIHのほうで、TWA0.1mg/m3ということで設定されております。
 MSDSの対象物質ということから鑑み、方針(案)としては、リスク評価の対象とするということで示させていただいております。
 候補??5は「イプシロン-カプロラクタム」です。提案理由は、生造・輸入量が多いこと、吸入性粉じんや蒸気によるばく露であることから危険性が高いこと、単回投与による神経系の毒性が報告されていること、ACGIHのTLV-TWAが5mg/m3である等から判断したということでいただいております。
 合成樹脂(ナイロン-6)の原料として使われていて、生産・輸入量も多い。物理的性状については白色の粉末ということで取り扱われています。有害性情報として各種書かれておりますけれども、特に下に書いてあるとおり、神経系について、単回ばく露でGHS区分1となっております。許容濃度については、産衛学会は未設定、ACGIHでは、TWAのほうで吸入性粉じん、蒸気5mg/m3ということで設定されております。MSDS対象物質であり、PRTRの対象となっております。
 こういうことから鑑み、方針(案)としては、こちらについてもリスク評価の対象とするということで示させていただいております。候補??1~5までは以上です。
○櫻井座長 ただいまの説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。
 1番のアジピン酸の提案理由の中のいちばん最後に、「低TLV値」と書いてありますが、TLVの値は5mg/m3というのは大きい数値のほうですので、必ずしも低いということではないと思います。そうではあるけれども、自律神経系に対する影響ということで、提案としては「リスク評価対象とする」ということでよろしいと思います。「低TLV」だけは削除したほうがいいだろうと思います。
○名古屋委員 5番も、TWAが5mg/m3です。一般のシリカは0.025なのだけれども、わからない粉じんの場合は3mgなのです。要するに炭酸カルシウムなどでも3mgなのに、これは5mgということで、結構高いのに何でなのだろうとすごく疑問に思うのです。普通の粉じんよりは毒性が高いから出てきているはずなのに、粉じんよりもはるかにリスクが低いというのがよくわからないのです。
○櫻井座長 呼吸器だけではないと思うのです。むしろ肺への沈着ということから考えると、普通は3mgを最大に考えています。10mgというのもかなりあります。ごくわずかですが100mgとか200mgというのもあります。ただ、5mgというのは全体の中では高い数値のほうです。そうだからといって、優先順位を低くすることもないだろうと思います。
 3番のアニリンは、通達で健康診断が勧奨されている物質ではあるのですが、だからといってこれを削除する理由もないと思います。
○長山化学物質評価室長補佐 提案理由書の情報とか、そういうものにつきまして、またリスク評価で見ていきます。
○櫻井座長 ワルファリンは、抗凝血薬として微量を毎日毎日飲んでいる人もかなりいます。それは、十分コントロールされた量であります。そうであっても、妊娠している女性には使わないようにということで使用されているようです。やはり催奇形性があるということです。これもTLVとしては0.1mg/m3という数値で相当低いですし、やはりリスク評価対象物質として当然だろうと思っております。
 ほかにご意見がないようでしたら先に進ませていただきます。
○長山化学物質評価室長補佐 候補??6~10までの5物質について説明させていただきます。候補??6は「N-エチルモルホリン」です。提案理由は、モルホリン環は代謝の過程でアルデヒド型代謝物を生じるので、毒性の原因物質となり得る。もし、N-エチルモルホリンが工業的にたくさん使用されているのであれば、ばく露と毒性の関係を知っておいたほうがいいということでいただいております。
 用途は、各種原料や溶剤で使われております。生産・輸入量はそれほど多くはないのですが、化審法の監視物質ということで、平成19年度に生造・輸入量として137トンという報告があります。物理的性状としては、常温で液体、蒸気圧は813Paと、ある程度あります。有害性情報として書いてありますけれども、特に生殖・神経GHS区分1ではないのですけれども、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑いということで区分2になっています。長期での神経系の障害のおそれということで、こちらはGHSの区分2です。区分2ですけれども、生殖と神経の両方にかかっています。許容濃度については、産衛学会は未設定、ACGIHはTWAが5ppmということで、規制としてMSDSの対象物質となっています。
 こういうことから、案としてはリスク評価の対象とするということで示させていただいております。
 候補??7は「ジエチレントリアミン」です。提案理由は、生殖毒性がGHS1Bということであり、用途も繊維関係や紙の湿潤強化剤、農業関係など多岐にわたることから、リスク評価が必要と思われるということでいただいております。
 繊維関係とか、特に紙の湿潤強化剤で使用されているものです。生産・輸入量もある程度多く、物理的性状は粘調性の液体で、蒸気圧は37Paと高くはありません。有害性情報として各種書かれておりますが、特に生殖毒性について、GHS分類で区分1Bとされているものです。許容濃度等は、産衛学会は未設定、ACGIHのほうではTWA1ppmということで、MSDS対象物質で、あとは化審法、PRTR法の対象になっているものです。
 こういうことから、方針としてはリスク評価の対象とするということで示させていただいております。
 候補??8は「ジボラン」です。提案理由は、特に半導体関係ですけれども、平成22年度リスク評価対象物質になっているリン化水素、平成19年度にリスク評価対象物質になっているアルシンと同様に、半導体の製造工場で使用している物質であります。強い肺障害性があるということで提案をいただいております。
 用途としては、主に半導体製造で、リン化水素、アルシンと同じように添加されるようなガスです。生産量は、「ホウ素及びその化合物」としてのデータはあるのですが、「ジボラン」単体としてそれだけ切り分けたデータは見当たりませんでした。物理的性状はガスということで使われています。有害性情報は特に下に書いてあるように、神経系において反復ばく露でGHS区分1となっております。許容濃度等は、産衛学会のほうは0.01ppm、ACGIHのほうはTWA0.1ppmです。MSDS対象、また変異原性が認められた物質、毒劇法の毒物ということでかけられています。
 これらのことから、リスク評価の対象とするということで案を示させていただいております。
 候補??9は「水素化リチウム」です。提案理由として、本物質は生殖毒性が区分1、TWAが0.025mg/m3と、他の物質と比較しても低い。用途が有機合成の還元剤・高純度シリコンの製造であり、我が国においてもリスク評価候補となるべき取扱いの実態があると思われるためということでいただいております。
 用途は有機合成の還元剤・高純度シリコンの製造に使われるものです。生産・輸入量は、リチウム化合物の出発原料の炭酸リチウムの製造量はあったのですけれども、水素化リチウムとしてのデータは見当たりませんでした。性状としては固体です。有害性情報としては各種こちらにあるとおりですが、特に生殖毒性についてGHS区分1Aとなっております。許容濃度について産衛学会のほうは未設定、ACGIHはTWAが0.025mg/m3となっております。MSDSの対象物質です。
 以上のことから、リスク評価の対象とするということで示させていただいております。
 候補??10は「パラ-ターシャリ-ブチルトルエン」です。提案理由は、ラットを用いた生殖毒性試験においての検査成績とか、精巣及び精巣上体の病理組織学検査というもので影響があるとか、神経毒性で影響が見られている。その両方で懸念されている物質ということで、ポリマー添加剤、防蝕剤原料、香料・溶剤原料、化学工業用中間体と用途も多く、TLVは1ppmと低く設定されているということでいただいております。
 用途としては各種原料、中間体として使われております。生産・輸入量については情報がつかめなかったので情報はありません。物理的性状としては液体で、蒸気圧は89.4Paと、そう高くはない部類になっております。有害性情報は各種書かれておりますが、特に生殖毒性はGHSで1B、神経系で反復ばく露についてもGHS区分1と、両方かかっているものです。許容濃度について、産衛学会は未設定、ACGIHでTWA1ppmとなっております。
 MSDS対象物質ということから、方針としては、リスク評価の対象とするということで示させていただいております。候補??6~10までは以上です。
○櫻井座長 ただいまの説明についてご質問、ご意見がありましたらお願いいたします。いまの説明の中で、蒸気圧についても触れられておりましたが、6番の物質は20℃で813Pa、TLVが5ppmです。普通の1気圧が約10万Paですから、813Paというのは飽和になった状態の飽和蒸気圧です。その状態では8,130ppmとなりますので、TLVが5ppmですから、そのように考えると簡単にTLVを超えることがわかります。7番もそうです。370ppmになり得ますから、それでTLVが1ppmです。いずれもTLVは比較的低い数値でその蒸気圧はいかがでしょうか。
 特段異存がなければ、リスク評価対象物質とするということで、いままでの物質はよろしいでしょうか。
 それでは、その先をお願いいたします。
○長山化学物質評価室長補佐 候補??11~14までの4物質について説明させていただきます。候補??11は「アルシン」です。提案理由として、レアメタルのリサイクル工場において急性中毒の労災事例が発生しました。その患者の血清及び尿中ヒ素の形態別分析をした結果、アルシンは生体内で速やかに三価のヒ素に変換し、その後メチル化を受けて尿中に排泄されていたことから、アルシンは溶血性貧血などの急性中毒のみならず、無機ヒ素と同様の低濃度長期ばく露における神経障害や発がん性の検討が必要と考えられます。なお、ACGIHも同様の考え方で、2004年にがん区分をA4(ヒトの発がん性分類ができない物質)にしましたが、2007年にそれを取り消しています、ということで提案をいただいております。
 用途は半導体用のガスということで使われています。生産・輸入量は、PRTRとして「ヒ素及びその無機化合物」ということでのデータはあるのですが、「アルシン」としての切り分けたデータは見当たりませんでした。物理的性状としては、無色のガスです。有害性情報としては各種書かれておりますが、中枢神経系に対し、単回ばく露でGHSの区分1となっております。許容濃度については、産衛学会が0.01ppm、ACGIHはTWAが0.005ppmです。現行としては、MSDSとして「砒素及びその化合物」の中に含まれています。PRTR法、毒劇法の毒物という形でかかっています。
 こちらについて方針(案)に書いておりますけれども、平成19年度に「砒素及びその化合物」については発がん性ということでIARCグループ1ということで、三酸化砒素以外の「砒素及びその化合物」でリスク評価を行っております。その際に、アルシンについても、平成19年度に評価を行って評価済となっているものです。当時の評価としては、平成19年度に実態調査をして、そのときに事業場として、半導体の関係なのですが、他の製剤の製造原料としての使用ということで、半導体製造の事業場において、個人ばく露測定を実施しました。
 そのときの二次評価値としては、ACGIHの0.005ppmを有害性評価のほうで設定いたしましたが、この二次評価値以下であったことから、平成19年当時、リスクは低いと考えられ、事業場においてリスク管理を行い、引き続き適切な管理を行うことということで一度評価されたものです。半導体の工場、製造する側ということで見ると、平成19年度には濃度から考えてもリスクは低いということで評価されているものと考えております。
 ただ、今回はレアメタルのリサイクル工場の中での取扱いについて提案理由をいただいております。こちらについては半導体ガスのようにドーピングしようということで、意図をもって使うものではなくて、この事案で見ますとガリウムヒ素を生成する過程の中で、ガリウムを取る中でヒ素が出てしまうと。アルシンが出るやり方、出ないやり方とか、その手法によってもさまざまあると聞いております。非意図的に何キログラム出るということがなかなかわかりにくい、意図してわかるものでもないということですので、MSDSは設定されておりますけれども、有害物ばく露作業報告で、事業場を把握するといってもそこは難しいのかなと。
 また半導体の工場のほうはもう一度出てきたとしても、平成19年度に一度評価をしておりますので、そういう意味で今後の進め方としては、レアメタルリサイクル工場における取扱いについて検討を行う必要があるということです。当面はリサイクル工場のガリウムヒ素が発生するおそれのある作業で、現状や実態を把握していく。
 平成21年度の候補物質の検討のときにも出ましたが、その際にも、当面はバイオロジカルモニタリング手法の検討を行うということで、TWAが0.005とかなり低いということで、ばく露の気中濃度のみならず、尿中からそういうモニタリングの手法も併せて考えていくことも必要ということで、今回、リスク評価対象としてばく露作業報告を求めるものではなく、当面、現状把握とモニタリング手法の検討ということで進めていきたいということで方針を書いております。
 候補??12は「1-ブロモプロパン」です。提案理由は、平成22年度評価物質として、2-ブロモプロパンはMSDSが設定されておりますので評価物質になっております。現状では1-ブロモプロパンが多量に使用されていて、神経毒性、生殖毒性が判明しているので、早めに評価したほうがいいのではないかということでいただいております。
 提案理由のとおり、2-ブロモプロパンのほうは平成22年度のリスク評価対象物質としていて、今が告示の対象期間となっております。ただ、2-ブロモプロパンの使用は健康障害の事例が発生したことから、1-ブロモプロパンのほうに、フロン代替溶剤としての使用がだんだん移行してきていますが、まだある程度使われているということで提案をいただいております。生産・輸入量は、そういった意味で、平成19年度のときにも1,000~10,000トン見込まれていました。物理的性状としては液体です。蒸気圧はかなり高いです。有害性情報として各種ありますけれども、中枢神経系に反復ばく露でGHS区分1。許容濃度は、産衛学会では未設定ですけれども、ACGIHのほうではTWAが10ppmとなっております。ただし現行規制として、1-ブロモプロパンについては、MSDSのほうは未設定の段階になっています。あとはPRTR法がかけられています。
 これらのことから、方針としては、参考1にもあった方針に従うと、MSDSが今は未設定ですので、ばく露作業報告の対象には該当しないことになりますが、MSDSが作成された段階で、速やかに検討を行うような形で示させていただいております。
 候補??13は「ホウ酸」です。提案理由は、2010年6月18日に、欧州の化学品庁で、認可対象候補物質として追加公表された8物質の1つになっています。生殖毒性ということで挙げられています。
 別添の公表根拠文献を参照ということで、別添の資料2の英文のほうで、ホウ酸の資料を付けております。4頁に概要が書かれています。特に上のポツ辺りにも書かれていますが、生殖毒性でカテゴリー2ということで提案され、対象物質になっております。
 また、後ろのほうに別添でいろいろ付いておりますが、その中に雄のマウスに対する精巣への悪影響とか、骨格の奇形といったものが観察されるなど、各種有害性の記載がなされているというものとなっています。
 資料2に戻っていただきます。用途としてはガラスの原料とか各種原料、医薬では昔から目薬とかが知られていますが、そういったものに使われている。生産・輸入量は比較的多くあります。物理的性状としては粉末、固体の状態となっています。有害性の情報としては各種ありますが、生殖毒性がGHS区分1B、神経系単回ばく露で区分1となっています。許容濃度としては、産衛学会未設定、ACGIHがTWAで3mg/m3という形になっています。ただ、こちらについても現行規制としてMSDSが未設定となっています。あとPRTRがかかっている。
 そういうことから、先ほどの前の物質と同じように、MSDS未設定のために、MSDSが作成された段階で速やかに検討を行う、という形で整理させていただくということで作らせていただいています。
 候補??14は「オイルミスト(切削油剤ミスト)」です。提案理由ですが、切削油剤ミストの有害性として、ミスト吸引による含有化学物質の毒性のほかに、水分を含むために油剤中で細菌などの微生物が繁殖したミストを吸引することによって、呼吸器系の障害が起こる可能性というものが、近年欧米を中心に報告されている。また、微生物が繁殖してしまうと切削油剤としての一次性能の低化、腐敗臭の発生、油剤の液分離等が生じて、金属加工現場の作業環境にもさまざまな悪影響を及ぼす可能性が考えられるということでいただいております。
 こちらは切削油剤ということで、用途ですが、金属加工ラインにおいて、そういった製品品質の維持、向上、工具の冷却、磨耗防止、切削粉の洗浄、回収ということで使用されているものとなっています。こちらについては、発生としては加工時にノズルから供給された切削油剤が加工物とか工具に当たって微粒子となって飛び散って、それが空気中に漂ってオイルミストとなる。また、切削油剤が切削点で高温にさらされることによって、蒸発あるいは分解するということで、油煙も合わせて発生するということで、そのオイルミストのみ、また、油煙も含めてオイルミストと言ったり、そういったものが作業環境に発生していくということになっています。
 現場での対策としては、今、かなりミスト抑制剤を添加したノンミストタイプの油剤とかも開発されていたり、環境を浄化するほうとしてはオイルミストコレクターなど、そういったもので局所的または全体的に浄化洗浄するといった対策がとられています。また、油剤劣化防止として、そういった防腐剤とか抗菌剤を添加したものもあるということになっています。ただ、それを入れたからといっても、ユーザー側のこまめな管理が必要ということで、そういうものを怠っていくと、やはりそういった微生物の繁殖が考えられるものとなっています。
 生産・輸入量としては、切削ということで切り出せなかったのですが、これは金属加工の多くの事業場の中で使用されているものと想定されます。物理的性状としては液体ということで、切削油剤については、JISで規格されており、水溶性と不水溶性の大きく2つに分かれて、その中でまた硫黄分や動粘度でかなり分かれていますが、基本的にはそういった液体で使われているものとなっています。
 有害性情報ですが、全般としての有害性情報として書かせていただきましたが、こちらはそういった肺障害とかの障害がある。また、発がん性についてIARCで「鉱油」についてありますが、未精製とか軽度処理油はグループ1となっていますが、高度精製油はグループ3ということで、たぶんこちらについては切削油で精製されたものということでなっていますので、一般的に鉱油としてMSDS対象として民間で扱われているものは、大体グループ3の精製されたものというもので取り扱われて、MSDSも交付されているものと考えられます。許容濃度については産衛学会がオイルミストとして3mg/m3、ACGIHが、TWAが5mg/m3と設定されています。現行規制は、「鉱油」としてMSDSが対象となっているものです。
 方針ですが、こちら鉱油でMSDSではあるのですが、メーカー側がユーザー側に渡すときには、そういったMSDSが付いていくという形になりますが、今回のリスクとしては、切削へのミストとなって、それがどのように作業環境のほうに出ていってばく露を受けるかということがポイントとなってきますので、こちらについてばく露作業報告を求めるというよりは、欧米を中心にされている報告の情報収集をまず行いまして、あと、さまざまメーカー側とユーザー側がかなりいろいろと対策をとっているということになっていますので、こういったものについて情報収集を行って、そういった実態面について、その技術開発について、当面調べていくという形で進めていきたいということで、案を作成させていただいています。
 14番までは以上です。
○櫻井座長 11番から14番までのただいまの説明の内容について、ご質問とかご意見がございましたらどうぞ。アルシンの急性中毒はおそらく溶血だと思うのですが。
○長山化学物質評価室長補佐 そうした血液系の症状があった。
○櫻井座長 はい。それで、非常に低い許容濃度になっておりますが、これも溶血を防ぐためにここまで下げないといけないという、非常に強い溶血作用がある。ですけれども、それ以外にご提案の考え方は、無機ヒ素と同様にも考えるべきだという、それもそのとおりだと思います。0.005ppmというのは、ミリグラムに直すと0.016mg/m3になります。無機ヒ素のばく露限界値が0.01mg/m3ですから、ちょうど同じぐらいのレベルですね。しかし、特殊なリサイクルというような状況での問題が中心ですので、現状実態を把握するという方針(案)になっています。
 オイルミストについても同様に情報収集、実態を調査した上で検討する。12番と13番については、MSDSが作成された段階で速やかに検討という方針(案)でよろしゅうございますか。
                  (賛同)
○櫻井座長 それではそのようにさせていただきます。では、15番以降をお願いします。
○長山化学物質評価室長補佐 15番から8物質、最後まで説明させていただきたいと思います。こちらについては、それぞれがん原性試験の結果、判断されたものです。
 候補??15は「塩化アリル」です。提案理由としては、指針対象物質についてはリスク評価を行う必要があるということで、以下8物質は同じようになっています。
 塩化アリルの用途としては、アリル誘導体化合物、各種農薬・医薬の原料となっています。生産・輸入量もある程度ありまして、物理的性状としても液体、蒸気圧も高いというものとなっています。
 有害性情報は、こちらのミスで有害性情報はMSDSなりのところから持ってきたのですが、提案理由と同じなのですが、国による試験の結果、がんを生じるおそれがあるということとなっていますので、以下の8物質有害性情報の中には、これがプラスかぶっているものもありますが、そういった国における試験の結果、がんを労働者に生じるおそれのあるものと判断された物質であることを、この有害性情報の中で、以下8物質を同じように入れさせていただきたいと思っています。そこを修正させていただきたいと思います。ということで、以下、有害性情報が書かれていますが、基本としては、そういったがん発生のおそれがあるものとなっています。
 許容濃度としては産衛学会未設定、ACGIHが1ppmとなって、こちらMSDSはあるので「リスク評価対象とする」と作らせていただいています。
 候補??16は「オルト-フェニレンジアミン及びその塩」です。こちらはオルト-フェニレンジアミンとしては各種原料として使われています。生産・輸入量もある程度ある。物理的性状としては固体となっています。有害性情報は各種書かれているものと発がんということになっています。許容濃度が産衛学会では0.1mg/m3で、ACGIHも同様となっています。
 こちらについてMSDS対象となっています。ただし、書き漏れましたが、MSDS対象なのですが、472号として、「フェニレンジアミン」としてMSDS対象となっておりますので、そうすると、オルト-フェニレンジアミンのほうはフェニレンジアミンの中で含まれているということで、ほかのメタ、パラからは報告を求めず、オルトのみで報告を求めて、この対象となっていますが、塩のほう、二塩酸塩についてはMSDSの対象とはなっていないということになりますので、そちらは対象から外しまして、オルト-フェニレンジアミンのみ、MSDSが設定されていますので、リスク評価対象とすると。二塩酸塩については「MSDSが作成された段階で速やかに検討を行う」というほうに、少しMSDS対象の範囲のほうで分けて進めていきたいと考えていますので、その旨、修正をお願いしたいと思います。
 候補??17は「1-クロロ-2-ニトロベンゼン」です。こちらについては、アゾ染料中間体、各種原料で使われて、輸入量もある。こちらは固体となっています。許容濃度は産衛、ACGIHとも未設定。こちらについてはMSDS未設定ということなので、「MSDSが作成された段階で速やかに検討を行う」と作っています。
 候補??18は「2,4-ジクロロ-1-ニトロベンゼン」です。こちらについては医薬品原料や各種中間体原料に使われているものです。生産・輸入量は古いデータしか残っていなくて、平成8年に使われているのがありましたが、ただ、今年、がん原性指針の作成のための実態調査を行ったところ、事業場はいま把握できていないという状況となっています。物理的性状は固体、許容濃度は未設定ということです。
 MSDSがまだ未設定ということなので、「MSDSが作成された段階で速やかに検討を行う」とさせていただいています。
 候補??19は「1,2-ジクロロプロパン」です。こちらは各種溶剤、活性剤として使われています。生産・輸入量もある程度ある。液体ということで使われています。許容濃度についてはACGIHが10ppmと設定されています。
MSDSの対象となっていることから、方針としては「リスク評価対象とする」と作成させていただいています。
 候補??20は「ノルマル-ブチル-2,3-エポキシプロピルエーテル」です。こちらについては各種染料などの改良剤となっています。生産・輸入量の情報はなかったのですが、指針の作成にあたって実態調査を行ったときに、取り扱っている事業場があるということは把握しています。物理的性状は液体、許容濃度等はTWAが3ppmと設定されています。
MSDSの対象物となっていることから、方針としては「リスク評価対象とする」とさせていただいています。
 候補??21は「パラ-ニトロアニソール」ですが、染料の中間体などで使用されています。生産・輸入量ですが、実態としては、いま製造等の事業場は把握されていません。物理的性状は固体で、有害性情報はまとまったものがなかったので記載していません。許容濃度は未設定です。
 MSDSも未設定のために、方針としても「作成された段階で速やかに検討を行う」と。
候補??22は「1-ブロモ-3-クロロプロパン」です。こちらも各種原料で使われているということで、使用量はある。物理的性状として液体。有害性情報は調べ切れていません。各種濃度も未設定。MSDSも未設定。
 ということで、「MSDSが作成された段階で速やかに検討を行う」という形で考えています。
 15番から8物質ありましたが、8物質中4物質がMSDSあり、4物質がMSDS未設定なので、今後作成された段階で検討を行うということで、まとめさせていただいています。
○櫻井座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの方針(案)、4物質についてはリスク評価対象物質として、残りはMSDSが作成された段階で検討ということでよろしゅうございますか。
                (賛同)
○櫻井座長 ありがとうございます。以上で議題1を終了いたします。今日の議論を踏まえまして、事務局においては「有害物ばく露作業報告」の対象物質についての告示発出作業など、よろしくお願いいたします。
 引き続きまして、議題2の「がん原性試験の有害性評価小検討会における評価結果について」、これは報告事項ですが、事務局から説明をお願いいたします。
○平川査察官 それでは資料3に基づきまして、事務局から説明させていただきます。資料3の有害性評価小検討会においての報告事項です。
 有害性評価小検討会は、日本バイオアッセイ研究センターが実施し、平成21年9月30日(2-メチル-1-プロパノール)及び平成22年3月31日(2,4-ペンタンジオン)に報告のあった試験報告書について、以下のとおり評価を実施しました。
 2,4-ペンタンジオンについては2年間(104週間)雌雄のラット及び雌雄のマウスに吸入ばく露させたがん原性試験において、2,4-ペンタンジオンの投与によって、ラットでは、雌雄とも、腫瘍の発生増加は認められず、発がん性はないと結論いたしました。マウスについても、雌雄とも、腫瘍の発生増加は認められず、発がん性はないと結論いたしました。
 2-メチル-1-プロパノールを2年間、雌雄のラット及び雌雄のマウスに経口ばく露させたがん原性試験において、ラットでは、雌雄とも、腫瘍の発生増加は認められず、発がん性はないと結論いたしました。また、マウスでも、雌雄とも、腫瘍の発生増加は認められず、発がん性はないと結論いたしました。
 これらを踏まえ、有害性評価小検討会においては、当該試験の評価結果として、2,4-ペンタンジオン及び2-メチル-1-プロパノールは、ヒトに対する発がん性は認められないと判断した、というような報告が小検討会からありましたので、報告させていただきます。
○櫻井座長 ただいま、報告の内容についてのご説明がありましたが、ご質問、ご意見がありましたらどうぞ。よろしゅうございますか。いずれも発がん性が認められないという結果であったようですので、特段の問題はないわけです。
 それでは次に進みたいと思います。議題3「がん原性試験対象物質の選定に係る今後の方針について」、事務局から説明をお願いいたします。
○平川査察官 資料4と本日配布しております参考4の2つの資料に基づき、説明をさせていただきます。本日の内容ですが、「がん原性試験対象物質の選定に係る今後の方針について(案)」です。昨年度のこの企画検討会において、フィージビリティ対象物質の選定ということで2物質を選定いただいたわけですが、今年度も同様の作業を今後お願いするにあたりまして、その事前の段階の作業を現在行っておりますので、その報告と今後の方針ということでの説明になります。
 資料4の1「作業の現状」ということで書かさせていただいています。まず、ここで優先試験物質のリストを決めさせていただいています。この決め方については、参考4に「がん原性試験対象物質の選定の考え方」というのを出させていただいています。ここの1の(1)(2)のものと、昨年度の企画検討会で出しました優先試験物質リストに掲載された物質を合わせて、試験候補物質として選定しました。
 資料4に戻りまして、?@ 新規化学物質の有害性調査において強度の変異原性が認められた物質:639物質というのが、参考4の1の(1)にあたる部分となります。また、(1)の?Aにあたるところ、既存化学物質のうち、GHS及び国際機関等で発がん性が不明な物質:376物質とありますが、これが参考4の(2)にあたる部分です。こういった約1,000物質を試験候補物質とさせていただきました。
 引き続きまして、そこから優先試験物質リストを選ばせていただいたわけなのですが、それが参考4の2番の作業にあたります。この2に従い、358物質の優先試験物質を選定しますということです。参考資料4の2の(1)ですが、リスクの大きさに基づいて優先的に試験をする物質を考慮することとし、例としては以下のようなものが挙げられるということで、製造・輸入量からみて、産業的利用(医療用の利用等も含む)がなされている物質、又は、近い将来、産業的利用が見込まれる物質、製造し又は、取り扱う事業場が多い物質、国内における製造又は取扱いにおいて、ばく露し易いと考えられるような物質をリストアップする。
 さらに、国によるリスク評価又は、リスク評価対象物質を選定する段階において、リスク評価関係検討会からがん原性試験の実施が必要とされた物質については、優先的に試験をする物質というようなことで、(1)(2)というものを、合わせて358物質という形にしたわけです。
 いまのところ358物質の選定において、参考4の(2)の部分については、いまこの段階では入っていないということになっています。現時点で358物質を優先試験物質として考えています。
 資料4の2の「今後の選定方針」です。参考4の3番にあたる作業を、今後行っていくということになります。1で選定した358物質について、「選定の考え方」3に従い、構造活性相関の解析をまず行います。その後、専門的知見を有する者の意見を基に、発がん性があると考えられる物質を選定し、優先的に試験をする物質としていくというような方向性で考えています。
 まず、構造活性相関の解析については、(1)にあるとおり、日本バイオアッセイ研究センターにおいて、国立医薬品食品衛生研究所の助言の下、以下の要領で行うということで、この構造活性相関の解析については、358物質あるうちの一部に、解析が困難な金属元素又は金属無機化合物47物質がありますので、それについては解析の対象から除外するということで、311物質分かけることになります。
 その311物質について、どのような有害性試験を対象とするかということについては、遺伝毒性の有無の観点から、エームス試験と染色体異常試験の2種類を有害性試験の対象ということで選ばせていただきました。さらに、がん原性試験に係る構造活性相関ということですので、がん原性試験も対象として、合計3つの有害性試験を対象とする。ただし、このがん原性試験に関する構造活性相関については、非常に高額な試験ですので、世界的にもデータ数が少ないということで、信頼性についての懸念があるため、あくまで、当方としては参考的な位置づけになるのではないかということで考えています。
 最終的な出力の仕方ですが、資料の最後の頁にデータの集計という形で、このようなイメージで、最終的には企画検討会の中で出していきたいということで考えています。
 この3つの試験を解析するということなのですが、解析ソフトを1つだけ使うというようなことになりますと、その1つが完璧かと言われればそういうわけではないので、3つの組合わせで対応することを予定しています。DEREK、MULTICASE、ADMEWORKSという3つの解析ソフトの組合わせで、できる限り無理なく拾い上げていきたいということです。
 このDEREK、MULTICASE、ADMEWORKSというものですが、基本的には、それぞれメーカーとかシステム提供者がそういったプログラムを作って提供しているものですので、どういったものかというのはこのような形で、例えばDEREKについては、化合物の構造からその毒性を予測する知識ベースのエキスパートシステムであったり、MULTICASEでいえば化合物の薬理学的及び毒性学的な性状を予測できる独自のCASE理論に基づいてFDAと共同開発したシステムであったり、ADMEWORKSでいえば、多変量解析/パターン認識による毒性予測モデルで、内蔵されている予測モデルは以下のように作られているというような形ですが、詳細については、そういうシステムメーカーとかが作ったシステムですので、なかなかブラックボックス的な部分もありますので、その3つのシステムをうまく組み合わせて予測をしていきたい、ということで考えているところです。
 そうした形で構造活性相関の解析を行った後、エキスパート・ジャッジメントということで予定しています。この解析結果を踏まえ、有害性小委員会の専門家等から意見を聴取し、どういったものが優先されるものか聞いていきたいと考えています。
 最後に、今年の12月から1月に開催されるであろう企画検討会において、対象物質の選定ということで、この2物質を選定する予定で考えています。
 スケジュールについては資料4の3にありますとおり、11月までを目処に解析結果をいただきまして、12月を目処にエキスパート・ジャッジメントの聴取で、1月に企画検討会といったようなスケジュールで、今後、候補物質を出していきたいというところです。
○櫻井座長 選定の今後の仕事の進め方についての報告がございましたが、何かご質問、ご意見がございましたらどうぞ。
○山口委員 エームス試験を実施しているものについては、要するにエームス試験のデータがあるものについては。
○平川査察官 やらないという。
○山口委員 やらないという意味ですね。
○平川査察官 はい。まさに、データ集計のイメージ図にありますとおり、実質的なものについては、このシステムに+-は出てきませんので、かけないということです。
○山口委員 逆に言うと、データがあるからこそやってみて、どの方向がいいということをやるべきではないですか。
○平川査察官 これについては、あくまでも構造活性相関システムに、実際にただかけるというだけで、本当にどういう結果になっているのかというのが、やはり優先されるべきと考えますので、あくまでもシステムにただかけているだけですので、本当の変異原性についてはどうかというのは、まだ100%が明らかでないので、それよりは、やはり実際にやっているデータというのを優先すべきであると考えています。
○山口委員 そういう意味からいうと、やはりあるものこそやって、相関がどの程度なのかというのをやっていかないと、これをいつまでもこうやるのだと、形だけになりますよね。
○平川査察官 その辺りも、実際に出ているデータと試験結果と、エームス試験との相関性ということについての研究については、国立医薬品食品衛生研究所で平成15年に研究を行っておりまして、そういったところで発表されています。その中でも、ある程度の相関性があるというようなことにはなっていますが、相関性というようなことについても、今回出している3つのシステムを入れて、それでほぼ9割方相関性があるという結果が出ているということです。
○山口委員 何かそこら辺の知見を、エームス試験染色体とかの3つの試験であれば、それぞれの特徴に基づいて、どれがいちばん信頼性の高い結果が出るのかとか、何か活かしておかないと、形だけやるような気がして、発展性がないというか。
○平川査察官 まさに先生がおっしゃるとおりなのですが。
○島田化学物質室長 それはもうこの場で口頭でお話をしてもしょうがないと思いますので、1つ、いま山口委員の、いわゆるこのシステム自体の信頼性ということに言及されているのだろうと思いますので。
○山口委員 要するに、少しでも良くなるように、発展的な方向で使っていかないと、形だけやるというのでは、あまり面白くないのではないかと。
○島田化学物質室長 1つは彼がいまご説明申し上げましたように、国立医薬品食品衛生研究所のほうは、その評価をした論文を出されておりますので、まず、それは次回にご説明をさせていただくようにします。ものによっては、場合によって、いまのご意見を踏まえて、やれるかどうか検討させていただこうと思います。
 併せて、いまのイメージ図の部分を補足で説明させていただきますと、実は前回、たぶん吉田先生だと思いますが、エキスパート・ジャッジメントが重要であるというご指摘をいただきました。このイメージ図を見ていただければわかると思うのですが、例えば物質ごとにAMES試験があって、その中に構造活性相関の解析ソフトのDEREKもMULTICASEもADMEWORKSもありますが、例えば+++というふうに、定性的に-か+で出てきます。そのときに+が3つ揃うと一応陽性の扱いという解析の手法になっているようです。
 2番目のようにAMESの++-になりますと、これも一応2つが+なので陽性。その下の--+といった場合には、1つしか+にならないので陰性という扱いの判定がされるようでして、それが各試験区分ごとに陽性、陰性という判定が出てきます。ただ、これが例えば全部-になった場合に、陰性だからもうやらないかということになりますと、このソフト自体が必ずしも100%信頼性があるとは言えないので、そういう意味では全部-になっていても、この表の中に書かせていただきまして、最終的には有害性小検討会の参考意見なども見ていただいて、その上で、この企画検討会で判定をいただくということで、あくまでも見ていただく最終判断は、エキスパート・ジャッジメントなり、この場の判断でさせていただきますので、そういうことでご認識をいただければと思います。
○清水委員 化審法のほうで、毎回(Q)SAR、エームスの試験ですね、実際に当日出てきた物質と、この(Q)SARで検討したデータと横並びで常に比較して出てくるのです。ですから、生データの陽性か陰性かというのは常に見ながら、そのシステムが正しく働いているかどうかというのをチェックしているわけです。それによって、例えばDEREKならDEREKのソフトを変えていくとか、こういうところの基があると陽性になる可能性があるとか、そういうふうにしていかないと、改善していかないと思うのです。だから、生データがあるのは、やはり常に見ながらやるべきだろうと思うのです。
○島田化学物質評価室長 いま言われているのは、実際に我々が持っているエームス試験の生のデータと突合させて、改良させていくようなことも考えていくべきであるというご意見ですね。そういうことも含めて、医薬品食品衛生研究所とご相談をさせていただいて、次の機会に報告をさせていただくようにいたします。
○櫻井座長 1つ質問ですが、DEREKその他のソフトで出てくるものは、基本的には、定量的に出てくるものをどこかで切って、+か-にしているわけでしょうか。(Q)SARというからには……。
○平川査察官 今回、出力する予定のものについては、まさに、ここからいうところの出力 パターンで+か-かというようなことで考えています。一部の出力パターンのものについては数字で出てくるものもあるのですが、定量的な変異原が強い弱いという意味ではなくて、あくまでも94%の確率で変異原性があるとかないとかというような判断基準でしかないものですから、そうした意味で言いますと、最終的に出力としては+と-というような形でしか出ないということでご理解いただくより仕方ないです。
○島田化学物質評価室長 したがって(Q)SARにはなっていない。
○櫻井座長 Qじゃないのね。
○島田化学物質評価室長 はい。
○吉田委員 この3つのシステムというのは市販のものであって、ユーザーが新たにデータを入れて改良することができないということなのですね。
○平川査察官 基本的には、今回の構造活性相関をやるにあたって、うちのほうでこういう改良をしてくれとか、そうしたところを言うということは、いまのところ予定していません。
○吉田委員 入れる予定はない。
○平川査察官 はい。
○吉田委員 ということは、逆に3つのシステムをどう組み合わせて最良の推定をするかというだけにしかならないですね。改良できれば、先ほど言われたようにいろいろな置換基があれば、ポジティブ(+)が得られるという改良ができると思いますが、それも含めて次回、ご紹介いただければと思います。
○島田化学物質評価室長 DEREK、MULTICASEは外国のものですので、逆に我々が改良するというわけにはいきません。ADMEWORKSなどはもしかしたら、我々がこういうようなことをやったことによって、そのデータを表に出せば、少し国内で検討いただけるかもしれませんので、その辺りはご相談をしてみるようにいたします。
○櫻井座長 それとエームス試験実施済みのものについて、やはりこの3種類をやっていて、データを対比させるかどうかというのも課題ですので、ご検討いただいて、そうでないと比べるのか比べないのか。
○平川査察官 いろいろな構造活性相関ということについては、国立医薬品食品衛生研究所をはじめ、各いろいろな機関で、まさに試験を簡便化させるための1つの手法ということで取り組まれています。今回については、うちのいろいろな構造活性相関を選んでいくメニューの中で、3種類のDEREK、MULTICASE、ADMEWORKSの3つの組合わせの試験結果を使って、それを出力した上でのやり方を選んで、今回やる方向でやっているということなのです。いろいろなやり方がある中で、1つ今回選ばせていただいて、それらを参考に出力をする。最終的には申し上げましたとおり、企画検討会の中で最終結論が出る。
 既に出ている結果とエームスの比較検討ということについて、まさに最前線の研究所のほうでやられている問題だと思いますので、うちのほうはあくまでも出した結果について、それを踏まえて何を選ぶかということに集中してまいりたいと思います。
○櫻井座長 ほかに何かありますでしょうか。特に追加したご意見がないようでしたら、ただいまの方針で今後進めていくということでご了解いただいたということでよろしいでしょうか。
                  (了解)
○櫻井座長 それでは議題4「今年度のリスクコミュニケーションの開催予定について」、事務局から説明をお願いいたします。
○寺島化学物質情報管理官 資料5によりまして説明させていただきます。「平成22年度リスク評価に係るリスクコミュニケーションの開催予定(案)」です。第1回として7月22日に、ここの同じビルの中ですが、「インジウムによる労働者の健康障害防止に関する意見交換会」を予定しています。詳細ですが、次の頁のような形での意見交換会をさせていただく予定です。内容としては、インジウム取扱い事業者、症例をお持ちの先生にご発表いただき、リスク評価検討会及び健康障害防止措置検討会の委員をしていただいています大前先生にご発表いただきまして、そういったご議論を踏まえまして、意見交換をしていただく予定にしています。本日、先生方にもご連絡を差し上げておりますので、メールをご確認いただければと思います。
 このリスクコミュニケーションは急遽決まったわけなのですが、そのきっかけとなりました「ITO(インジウム・スズ酸化物)の有害性試験について」ということで、後ろに資料を付けています。6月11日に改正されましたリスク評価検討会に提出した資料となっています。
 簡単に内容をご説明させていただきます。ITO(インジウム・スズ酸化物)の有害性試験について、日本バイオアッセイ研究センターで吸入ばく露の動物実験を行っています。委託したのは国ではなくて、ITO製造事業者が共同で出資して、その試験を実施しています。対象物質は、このITO(インジウム・スズ酸化物)の製造現場で出る研削粉でして、粒径が1μ~3μという非常に細かい粒子のものを使っています。インジウムはレアメタルの1つで、ITOは主に液晶パネル、太陽電池等の透明導電膜材料としてパネル等の内部に使われています。
 試験は平成18年10月から今年の3月まで行われていました。その試験の方法ですが、労働現場と同じようになるように、粉体の吸入ばく露ということです。
 試験結果ですが、6月11日はバイオから説明をしていただきましたが、当検討会は私から簡単にご説明申し上げます。後ろのパワーポイントはまた参照していただくとして、口頭でご説明申し上げます。
 ばく露濃度として、コントロールに加えまして0.01、0.03、0.1mg/m3という3段階で試験をしています。その結果、ラットでは腫瘍以外の病変として肺胞蛋白症、胸膜の肥厚がほぼ全動物に見られています。腫瘍病変については、肺胞上皮腺腫、肺胞上皮癌について有意な増加がみられたということで、発がん性が確認されたということです。マウスについても同様に試験をしておりますが、腫瘍以外の病変としては、出方は少し緩やかながらも、同じように肺胞蛋白症、胸膜の肥厚が動物の何割かにみられているということです。マウスでは腫瘍性の明らかな病変の増加はみられなかったということで結論が得られています。
 ということで、ITOについては製造事業者共同出資の試験において、そのようながん原性が認められたという結果があり、平成21年度に「インジウム及びその化合物」としてリスク評価を行っています。平成22年度に詳細リスク評価を行う予定となっていますが、その過程において、過去の有害性試験の結果も踏まえ、どのような対策が必要であろうか、現実的に対応可能な対策はどういったところなのだろうかというのを意見交換していただくという目的で、今回リスクコミュニケーションを実施する運びとなったということでご報告させていただきます。
 1枚目に戻っていただきまして、第2回、第3回、第4回とありますが、第2回は10月8日に全国産業安全衛生大会に合わせ、福岡市博多区で現在のテーマ、仮ということですが、一応リスク評価の結果とその措置について大方出てくるという時期になりますので、パブリックコメントの実施と併せ、業界の皆様方、関係者の皆様と意見交換を行う予定としています。
 3回目、4回目は来年、年明けに特化則の改正、そして今回ご議論いただきました有害物ばく露作業報告の対象物質等が告示という運びになりますので、そういったことについて、リスクコミュニケーションを行う予定としています。
○櫻井座長 今年、これから3回を予定しているということで、その内容について説明がございましたが、ご質問ご意見がございましたらどうぞ。
 特にないようですので、こういうことで進められていくということで了解いたしました。
 それでは最後、議題の5「その他」ですが、事務局から何かありますでしょうか。
○長山化学物質評価室長補佐 報告事項になりますが、参考資料の5番、前回、昨年度の最後の第5回のときに出させていただきました、そのときの実績と、次の年度の方針というもので、そのときのご意見を踏まえまして修正したものとなっています。もし、気付いた点等があればご連絡いただきたいと思いますが、変えた点だけをご説明いたします。
 5頁の下のほうですが、一酸化炭素の中毒に関して要請を行った旨のところを追記しています。
 6頁の上から7、8行目ですが、リスクコミュニケーションのところで、単にリスクコミュニケーションというのではなく、意見交換とか、その辺を区別したほうがいいということで、ここで「(意見交換)を実施した」ということを書きつつ、8頁に移りますが、リスクコミュニケーションは意見交換だけではなくて、パンフレットを作ったり、パブリックコメントを行ったりというものを含めたものということなので、そういった実績も合わせて書いたほうがいいのではないかということで、そういったパンフレットやパブリックコメント実績を書かせていただいています。
 9頁からは平成22年度の方針になりますが、修正したところは10頁の下のほう、3番の(1)で、ここは読みやすく誤解のないような表現ということで、所要の修正を行ったところです。
 12頁の真ん中辺り、こちらも先ほどと同様に、リスクコミュニケーションで意見交換やパンフレットの作成ということで、それぞれ書かせていただいています。
 最後に表としてイメージですが、年間のスケジュールというか、粗々がわかったものがあると便利だということで、これにすべて網羅して書いてあるものでもなく、時期は多少前後はしますが、大体この時期にこういう作業がくるなというものがわかるものをイメージとして、参考資料として付けさせていただいていますので、もし修正意見等があれば、事務局のほうにお知らせいただければありがたいと思っています。
○島田化学物質評価室長 もう1つ、今日の皆様というよりは、今日傍聴に来ている方々へのインフォメーションです。先ほどのリスクコミュニケーションですが、今日から16日までの予定で、ホームページで参加の募集をさせていただいていますので、もしよろしければご参加をいただければと思います。
 併せて、リスク評価でインジウムが評価された段階で、インジウムという物質が液晶に広く使われているということで、コンピュータ、携帯といったものに使われていますが、それらの単純なる使用に基づいてそういう病気が起きることはありませんという、風評被害対策をきちんとやってほしいということがございましたので、この場の先生方についても、その辺りの不安があるような場合には、ご助言をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○長山化学物質評価室長補佐 もう1点、報告です。資料は付けていませんが、21年度リスク評価について、検討会が3つあります。リスク評価の検討会で21年度の検討を行っておりまして、6月に評価検討会で一定の結論がまとまりました。本日の資料には間に合わなかったのですが、現在、報告書発表の準備を行っています。
 また、報告書の中で、詳細リスク評価の結果、何らか措置について検討する必要があるとされた物質が4物質あります。具体的に、「酸化プロピレン」、「1,4-ジクロロ-2-ブテン」、「ジメチルヒドラジン」、「1,3-プロパンスルトン」の4つについて、どういう形で規制をするか、もしくは業界の自主的な対応をするとか、どういった形で措置していくかということについて、健康障害防止措置に係る検討会において、6月に1回、7月の来週に1回、最後の7月29日にもう1回という形で、いま検討を行っているということを報告いたします。
○櫻井座長 ただいまの説明の内容について、ご質問、ご意見がございましたらどうぞ。
 特にないようでしたら、今後の予定について事務局からご説明いただいて、終わりにしたいと思います。
○長山化学物質評価室長補佐 それでは資料6です。「今後の検討予定」ということで、第2回は、議題としてはがん原性試験対象物質2物質を選定するということがありますので、時期としては平成22年12月から23年1月ごろまで、ある程度予算のみえた段階をみてから、また後日、日程調整を行っていきたいと考えています。また、そのときには今回のインジウムとか、10月の福岡の大会でのリスクコミュニケーションとかが終わっていますので、その辺りの報告も兼ねて議題にさせていただきたいと考えています。
○櫻井座長 最後に何かご発言はございますでしょうか。よろしゅうございますか。ありがとうございました。それでは、そろそろ閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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