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2010年7月22日 インジウムによる労働者の健康障害防止に関する意見交換会の概要(リスクコミュニケーション)

厚生労働省

○日時

平成22年7月22日(木曜日)13時30分~16時30分


○場所

東京都千代田区霞が関1-3-1経済産業省別館11階 1111会議室


○出席者

参加者:  90名

(1) 基調発表


発 表 者

長南達也 (日鉱記念病院病院長)
齋藤 亨 (JX日鉱日石金属磯原工場環境安全室室長)
黒木孝一 (黒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
大前和幸 (慶応義塾大学医学部教授)

(2) 意見交換


コーディネーター

堀口 逸子 (順天堂大学医学部公衆衛生学教室)

パネリスト

発表者4名
田中昭代 (九州大学医学研究院講師)
平田美由紀 (九州大学医学研究院助教)
島田 (当省)

○議事

意見交換事項:

1. 発症状況
・ 1990年台後半からこれまでの約15年間に、ITO(インジウム錫酸化物)粉じんの吸入による肺障害は十数症例報告あり(うち米国2例)。
・ 主な所見は、肺の間質性変化(肺胞蛋白症を含む)、肺気腫性変化であり、肺のX-Pで異常が認められる。重症例では気胸を併発し死亡例あり。
・ 間質性肺炎を発症した場合、急な症状の悪化もある他、完治も難しい。
・ ばく露作業からの配置転換後、血清In濃度やKL-6の値は数年かけて緩やかに減少する。
・ これまでにITOによると見られる発ガンの報告はない。但し、ITOの使用開始後まだ15年程しか経っておらず、発ガンについて判断できる時期ではない。
・ 現時点で、肺以外に明らかな障害は確認されていない(動物実験ではインジウム砒素で精巣障害、ITOで軽度精巣障害、肝臓、腎臓へインジウムの蓄積が認められている)。

2. 健康診断の実施と健康管理

(健康診断)
・ 肺の深部、肺胞に取り込まれたITO粒子の肺からの排泄速度は遅い。
・ 血中In濃度の半減期は長いので、採血時期は問わない。
・ 血清In濃度の生物学的許容値は3μg/L(日本産業衛生学会)。
・ ITO取扱い作業従事者に対する定期健診の頻度は、最低でも年1回とすべき。
・ 就業前健診(肺X-Pを含む)の実施も必須(有所見の早期把握に有効)。
・ 健診項目については、血清In濃度或いはこの値との相関が強い項目を選定することが妥当。具体的には、血清In濃度、KL-6(間質性肺炎の指標)、じん肺健診の項目(胸部X-P(直接撮影)、スパイロメトリー、フローボリューム検査、問診(職歴、作業歴含む)、聴診。更に、SP-D、肺拡散能等も項目に加えることは可能。高分解能CT(HRCT)は年1回でなくともよい。血清In濃度の高い者に対し実施することが妥当。
・ 血清In濃度の測定が可能な機関は、現在のところ九州大学、中災防労働衛生調査分析センターがあるが、他は不明。検査料は約1万円/検体。

(有所見者の処遇)
・ 所見の認められた者には配置転換を行う。間質性肺炎、肺気腫性変化が認められてから配置転換したのでは遅く、配置転換のタイミングとしては、血清In濃度が基準値(3μg/L(10μg/Lの提案もあり))を上回った場合やKL-6の上昇が見られた場合が適当。
・ 健診結果に基づき配転指示をする際、健康状態は一見正常のため、本人及び関係者に対して丁寧な説明が必要。

(配転後・離職後健診の扱い)
・ ばく露作業に従事しなくなった後も発症のおそれがあることから、できるだけ長く健診を実施する。
・ 退職後もできるだけ健診の機会を提供するようにすべき。特に血清In濃度が2桁以上の人は継続してフォローすべき(血清In濃度が3μg/L以下であれば、問題は少ない)。

(喫煙との関係)
・ じん肺同様、喫煙者と非喫煙者の間で肺障害のリスクは大きな違いがある。一方、喫煙の有無にかかわらず、従事者に肺障害が発生した場合には事業者の責任とされる(喫煙者でもじん肺の合併症として気胸が認められる)。Inと喫煙も切り分けはできないと推測される。
・ 従事者に対する禁煙の取り組みがより重要。

3. 動物実験からの考察
・ ラット・ハムスター気管内への投与による実験では、酸化インジウム、水酸化In、塩化Inのいずれも肺障害が強いことが確認されている。
・ 血清In濃度が指標となる。
・ 水酸化In(水に不溶性)では血清In濃度が高くなる。塩化In(水に可溶性)は血清In濃度の低下が早い。化学種ごとの水溶性、粒子形状・大きさによって、生体影響の発現の程度、期間が異なる。

4. 作業管理・作業環境管理
  
(密閉化・発散抑制措置)
・ 発生源を密閉化することが妥当。やむを得ず開放する場合でも、開放時間、開放面積を最小になるように工夫する。
・ 作業の湿式化。局所排気装置、全体換気装置について通常の粉じん対策と同様に工夫。
・ 発じんの可能性のあるもの(工具、雑巾等)は蓋付容器に保管。
・ 除じん機など粉じんの清掃時のばくろ低減にも取り組む。
・ 管理濃度レベルを下げるために、費用をかけずに改善する方法もある。特に中小企業では配置転換の余地が少ないため、有所見者を出さないように発症予防に取り組む必要がある。できないのであれば、参入すべきではない。

(保護具)
・ 作業時のみならず入室時は全て保護具着用を義務付け。
・ 保護具については、捕集率の高い防じんフィルターを選定。電動ファン付タイプであればフィットチェックが不要でよい。より廉価になるよう要望。
・ 最初から保護具を使ってばく露を防ぐという考え方ではなく、目標の作業環境中の管理濃度レベル(例えば0.01mg/m3)と併せて選定する。現在の管理レベルと防護係数(フルフェイスと半面形で異なる等)から適切なマスクを選定。

(作業管理・労働教育)
・ 作業服を家に持って帰らない、作業服を毎日洗う、作業服用ロッカーと個人ロッカーは別々にする等の基本の対策(粉じん対策)を徹底する。
・ 有害性(ハザード)についての教育、有害性を踏まえた作業手順、ばく露防止対策の教育をすべての作業者に実施すべき。発じんの実際の状況をビデオで確認して教育するのも一助

5. その他
・ 緊急アンケートでは危険性を認識していない事業場が1/3程度であり、情報提供が重要。
・ 国の規制対策、管理濃度が固まってから対応するとした事業場があるが、それでは遅く、対応を求める必要がある。
・ 成長産業であり、現時点での代替化は困難であり、その分、適切に管理して取り扱うことを徹底すべき。
・ また、過剰規制とならないよう必要な対策を慎重に検討する必要がある。
・ また、ITO製品及びこれを取扱う者が健康被害を被るといった、いやゆる風評被害が生じないよう考慮が必要。

(以上)


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