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2010年7月13日 第5回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録

○日時

平成22年7月13日(火)9:15~11:45


○場所

はあといん乃木坂


○出席者

本田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、木間委員、斎藤委員、長沼委員、西沢委員

○議事

(本田部会長)
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから社会保障審議会日本年金機構評価部会を開催いたします。
委員の皆様、大変お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、議事次第に沿って進めてまいりたいと考えております。本日の主な議題は、「日本年金機構の平成21事業年度の業務実績に関する評価について」及び「平成21事業年度業務実績報告等について」でございます。
それでは、まず日本年金機構の平成21事業年度の業務実績に関する評価について」、事務方よりご説明をお願いいたします。
(事業企画課長)
 おはようございます。年金局の事業企画課長でございます。恐縮ですが、着席して説明させていただきます。
それでは、資料1-1~1-3の御説明をまずさせていただきます。初めに恐縮ですが、資料番号相前後して申し訳ございませんが、資料1-3、1枚紙でございますけれども、こちらをご覧ください。
日本年金機構につきましては、厚生労働大臣が示しました中期目標に沿いまして、機構自らが中期計画と事業年度の計画を定めております。機構が定めました中期計画と年度計画はそれぞれの期間が終了いたしましたときに厚生労働大臣が評価をするとなっております。その評価に当たりましては、社会保障審議会、具体的には当評価部会に諮問させていただきまして御答申をいただくという仕組みになっております。本日を含め、今後3回程度審議会を開催させていただきまして、日本年金機構の平成21年度、すなわち22年1~3月までの実績に対する評価につきまして御審議をお願いしたいと考えております。今回はその方法を御説明いたしまして、次回以降、評価そのものにつきましての御意見をいただきたいと考えております。
恐縮ですが、資料番号の資料1-1にお戻りください。1ページをご覧ください。
資料1-1は、評価の基準案です。次回、この基準案に沿いまして、機構の昨年度の実績の御審議をお願いしたいと考えております。具体的には資料1-1の「2.平成21事業年度に係る業務の実績に関する評価」にありますように、評価はそれ以下に掲げております個別評価とそれを踏まえて行う総合評価を行いたいと考えております。個別評価の項目は、2.(1)?@以下に若干のページで列記をしておりますが、21年度計画に記載されております小項目毎に行ってはどうかと考えております。
個々の小項目につきましては、この後、説明を補わせていただきますので、恐縮ですが、6ページ、最終ページにあります一番上の?Aをご覧ください。小項目毎の判定基準は「S」~「D」までといたしまして、評価に当たりましては、その下の?Bにございますように、実績の質、あるいは実績に及ぼした要因、計画と実績に乖離がある場合にはその理由、妥当性などに留意することとしたいと思います。
総合評価は?Bの下、(2)にありますように、それまでに評価いたしました個別的な個々の評価の結果を踏まえ、まとめの評価を行うことにしたいと思っております。
個別の項目につきましては、資料1-2、個別評価の評価シート(イメージ)、例えば1ページをご覧ください。なお、このシートの表題で、(イメージ)としておりますけれども、これは評価しやすいように、ほかの例などをもう少し参考にさせていただきまして、レイアウトなどを工夫したいと考えておりますので、本日は(イメージ)という形にさせていただいております。
次回は、この様式に21年度の機構の実績、機構の「S」、「A」、「B」等の自己評価及びそれに対する機構のコメントを記載して委員の皆様の評価に対する御意見を賜り、それも踏まえまして、次々回に厚生労働省としての評価をお示ししたいと考えております。
先ほどの評価の視点を御説明いたしましたが、この様式のイメージでいきますと、左から4列目のところにございますように、こういう形で記載をさせていただきまして、左から順番に、中期目標、中期計画、年度計画、評価の視点、この間に、今後工夫したいと思っておりますが、実績、それから、機構の自己評価、最終的な厚生労働省の評価という形で、横に項目毎に見れるようなものを考えております。
なお、機構は独立行政法人と異なりまして、厚生労働大臣から委託又は委任されました業務を着実に実施するということが期待されておりますので、年度計画に掲げられました細かい項目の1つひとつの実績、実施状況を個別に評価し、それを総合評価の基礎にしてはどうかと考えております。そう意味で、点線で括っておりますけれども、この1つひとつの小項目を評価の対象とする。それぞれについて個別の評価を行うということを進めてまいりたいと考えております。
21年度の業務実績に関する評価につきましての資料の説明は以上でございます。
(本田部会長)
ただいまの説明内容につきまして、御質問なり御意見等がございましたら、お願いいたします。
(岩瀬委員)
評価をなさる場合の基準というのは何かお持ちなんですか、年金局は年金局なりの基準を持っていて、いつと比べてどういう評価をするとか、その辺がちょっとわからないので教えてもらえますか。
(事業企画課長)
 例えば、シートのイメージの1ページのところをご覧いただきたいと思いますけれども、そこの左から4列目に視点という欄がございますけれども、ここが年金局としての評価に当たっての物差しと考えております。具体的には年度計画に掲げられている項目につきまして、それができているかどうかということを評価とする。あるいは程度の問題としましては、それが判定としては「S」~「D」までとしておりますので、期待されていることが期待どおりに行われているのか、大幅に上回って行われているのか、あるいは下回っているのかという形の評価を考えております。
(岩瀬委員)
 その場合、結局現場を調査したりとか、ヒアリングをしたりして、進捗度とか達成度というのを見るということですか。というのは、ペーパーで上がってきただけだと多分わからないと思うんですよね。この後ろのほうで、私、気になったのは、相談体制のところを見ても、お客様の立場に立って利用しやすい相談体制の整備ができているかとか、懇切丁寧な相談が適正に実施されているかというのは、年金局が実際調査をして、自分たちでそういう基本的なデータを持ってないと、機構が上げてきたものと比較できないのではないかと思うんですが、そんなことはないんですか。
(事業企画課長)
 基本的には、私ども年金局と年金機構は表裏一体といいますか、車の両輪の関係でございますので、日頃の業務につきまして、ただいま御指摘いただきました事項について、実態がどうなっているのかというのを折に触れて把握するように努めているところでございますので、基本的には機構自身が行う自己評価に対する評価を日常業務の中で把握できた状況をベースにすることを基本としてはおります。
(岩瀬委員)
 機構自体がそういう実態評価ができていない場合はどうするんですか。機構が本当に年金相談の実態がきちんとできているかとか、整備ができているかというのは、機構の本部自体はそんなにきちんと把握されてないと思いますよ。
(事業企画課長)
 今回、昨年3か月の評価ということでございますけれども、この評価を進める中で、更にきちんとした評価を、より質の高い評価をするためにどうするか、ただいま御指摘いただきましたものにつきましては、年金局としても準備する期間なども必要ですので、それは次回以降の評価の中では考慮してまいりたいと思います。
(大山部会長代理)
 今の岩瀬委員の御質問は、私も思うんですけど、これ多分次の議題にも関係するのですけれども、平成21事業年度の業務実績報告書というのが上がっていて、これをいただいたイメージのところに照らし合わせて評価していくような格好になるわけだと、そういう想定なさっているのではないかと思うんですね。だけど、この実績報告書が、本当にこれそのままうのみにしていいのというのを、岩瀬委員はおっしゃっているんじゃないかなと。なので、次の議題に行っちゃうのかもしれないということを申し上げたのはそこなんですけれども、そこについて、例えばこの実績報告書の中身の検証自体は、年金局さんとして対応なさっているんでしょうかという、質問の仕方を変えるとそういうことだろうと思うんですよね。じゃないでしょうか。
(岩瀬委員)
 はい。
(事業企画課長)
 この実績報告書そのものの1つひとつにつきまして、新たに検証するような、例えばサーベイランスみたいなものを行っているかという御質問だとすれば、それは行っているわけではございませんけれども、先ほど申しましたように、内容につきましては、事前に年金機構とも打ち合わせを行っておりますので、我々としても、我々が知り得る限りにおきましては、内容につきまして、妥当なものと考えております。ただ、今、御指摘いただきましたようなより質の高い評価という意味で工夫する余地につきましては、大変恐縮でございますけれども、それなりの準備といったものも必要かと思いますので、それにつきましては、来年度以降の評価の際には工夫を加えたいと考えております。
(長沼委員)
 この評価シートの、例えば2ページに、【21年度における評価の視点】ということで、「(3)受給者・加入者への年金記録の確認作業を行うとともに、確認作業に当たって市区町村との連携を図り、年金記録の確認の促進を図ったか。」という記述があります。また、同じく4ページの、「1.適用に関する事項(1)国民年金の適用の促進」の箇所で、「住民基本台帳ネットワークシステムを活用した20歳到達者の適用促進等の対策を着実に推進したか。」という記述があります。これは日本年金機構では、そのように努力して、市区町村に協力をお願いしたけれども、市区町村の協力がなかなか得られなくて、必ずしも思ったとおりできなかった、という場合でも、(資料1-1の6ページにある)【判定基準】では、日本年金機構がそれだけしっかりやっていたということであれば、評価は高く評価して「S」なら「S」、あるいは「A」なら「A」と、高く評価していいと考えてよろしいのでしょうか。
(事業企画課長)
 先ほど評価の基準の資料1-1を御説明させていただきましたときに、6ページの「?B個別の評価に当たっては、以下の点に留意する。」ということの概略を御説明させていただきましたが、その中におきましても、例えば2つ目の「・」にございますように、「業務実績については、数量だけで判断するのではなく、その質についても考慮するものとする。」ということにしております。単に形式的な当てはめをするだけではなくて、実質についても評価の際の参考資料にするということですので、例えば単に数値が上がっていれば、形式的に見れば、今、御指摘の「S」とか高い評価してしまうかどうかということについては必ずしもそうではないと考えております。
 なお、それに対しまして、実態把握につきまして、年金局として実態を把握する方法につきましての工夫につきましては、もう少しいろんな方法論等につきまして、私どもとしましての工夫につきましても検討させていただきたいと思っております。
(大山部会長代理)
 先ほど申し上げたのは言い過ぎた面もあるので補足しておきたいと思うんですけど、日本年金機構さんが出されている次の議題に関係しちゃっているというのは申し訳ないんですけど、業務実績報告書を信用してないということではなくて、そこは間違いないでほしいんですけど、これを見て評価するにしても、わからないことがありますよね。例えば努力、極端に言うと、先ほどの長沼委員の例で申し上げると、2ページ目で言うと、例えば21年度計画には、最後のところだけとると、「促進を図る」となっていると。視点が「図ったか」で、実績報告書はきっと「図った」と書いてあると。そのときにどう評価するのというのが、「図った」と書いてあったら、「S」、「A」、「B」って、どこをつけるんですかということを多分気になさっていることがあって、別の言い方すると、そういう単純化できてしまうような話について、もう少し聞くないしは資料を出してくれという要求を我々のほうがやれるのでしょうか。その時間的な余裕はあるでしょうかというのを、後ろのほうから逆線引きしたときにどうかというのを多分皆さん方は御心配なさっていて、先ほどから聞かれているのではないかと思うんですね。
(事業企画課長)
 できる限り、業務実績報告書を補足するための資料等につきましては用意させていただきまして、審議に御提出をさせていただきたいと思います。
(大山部会長代理)
 これ、後ろ決まっているんでしたか、評価をいつまでに上げなければいけないというのは決まっているんでしたか。
(長沼委員)
 8月10日に予定されていると聞いています。
(大山部会長代理)
 8月10日はそれでセットされている。
(年金管理審議官)
年金管理審議官でございますが、若干補足をさせていただきます。
冒頭、事業企画課長のほうからは、現在予定させていただいている御審議いただく回数を概ね3回と申し上げましたが、これも御審議いただく過程で、ただいま御指摘ありましたようないろんな説明資料、詳細な資料、補足の説明等々、御指示ございました場合に、御多忙の中、恐縮ですけれども、もう一回、お願いするとか、1回当たりのお時間をちょっと長めにお願いするとか、その辺のお願いはさせていただきつつでありますが、開催回数は決して固定的に考えているものではございませんので、御審議いただく中で御不明な点ありましたら、資料の御注文、説明の御指示いただければありがたいと思っております。
(斎藤委員)
 このイメージの評価シートを拝見して、一番悩ましいなと思ったのは、図ったか、進めたかというふうに、イエス・ノーで答える形になっている点です。図ったというとマルが1個つく。でもどのくらい図ったのかがわからない。ちょっと図ったけど、だめで、すぐにやめましたということなのか、とっても頑張りましたということなのかというのは我々には評価できません。それをどうやって評価していくのかというのが非常に悩ましいなと思って拝見しておりました。定性的な文章にならざるを得ないところは多いとは思いますけれども、定量的というか、数である程度大括りをして、その上で全体的に定性的な判断をするというような形にしないと評価は難しいと感じております。
(本田部会長)
今のは感想ということでいいですね。
(斎藤委員)
 はい。
(本田部会長)
 本来的にいえば、事業計画等ができる前にこういう評価基準があるべきなんです。つまり、本当は、この1月1日に機構が発足する前につくっておかなければならなかったのではないかと。誤解があったら事務局のほうからお願いしたいんですけれども、あくまでも我々の仕事ということでいえば、この評価については、厚生労働大臣が評価をすると。その評価をするに当たって、我々の部会に御諮問があると。それに対して我々が我々の意見を言うということでよろしいんですか。
(事業企画課長)
 はい、部会長の御説明のとおりでございます。
(本田部会長)
 ということであれば、我々の評価部会の審議は、1つひとつの項目について、現場を見るとかというようなことはやや無理だと思うし、そこまでの問題ではないのではないかと。ただ、率直な印象を申し上げると、ちょっと細か過ぎるのではないかという感じがします。一番大事なのは、私はまずは年金機構の自らの自己評価というものはどれぐらい真剣にちゃんとやられるか、そこがちゃんとやっていただいた上で、私はもう少し大括りの中で評価されるべきではないかと思います。
 きょうの御説明の1-1、これが本当はもうちょっと詳しく御説明いただいて、ただ、シートでいくと、我々の部会でやるには、これはあまりにも細かくなっているのではないかなと。先ほど申し上げたような位置づけであるとすれば、まずは当然のことですが、どこの組織であれ何であれ、その組織体自体が主体的にまずはちゃんと評価ができているかどうかを年金局でまず見ていただいて、その上で、先ほど岩瀬委員をはじめ、いろいろな方から御意見があったようなことについて、答えられるような評価案をつくってもらおうということではないかなという感じがいたします。
 何か御意見、ほかありますか。
(石井委員)
 ということで、今、部会長がおっしゃったように、もう一度、確認ですが、評価をするのは大臣でこの部会ではないと、そこをまずはっきりしておいたほうがいいと思うんですね。どうも私は言葉の定義がよく理解できていないのです。諮問ということの意味です。評価をするのがこの部会だとすると、先ほどのシートの5段階評価をするのがこの部会になるのですが、もともとそういう整理ではないので、評価そのものの客観性というようなことに関して1つひとつ議論をすること自体が非常に難しいのではないかなというあたりの、委員全員の意識の共有化ですか、そのあたりは少しはっきりしておいていただいたほうがいいと思うんですね。評価をするのがこの部会だとすると、あのシートのランクづけをするのはこの部会なんですね。ただ、そうはなってないのは、法律がそうなってないので、そのあたりはきちんと認識してから作業を始めたいと思っております。
(本田部会長)
 今の件につきまして、事務局のほうから何かございますか。
(事業企画課長)
 説明が、済みません、不足しておりました点、申し訳ございません。今、石井委員から、あるいは部会長からも御指摘いただきましたように、あくまでも評価は私ども厚生労働大臣が行うと。したがいまして、事務局である私どもが評価そのものの案を作成するということでございまして、委員会の皆様にはこの評価について御意見をいただくということをお願いするということでございます。それに当たりまして、御意見といったときに、私どもがなぜそのような評価をしたのかということがわかるようなバックデータといいますか、といったものにつきまして、このシートなり、補足説明資料という形で評価をご覧いただく際にはそれを見ていただきながら、私どもの評価そのものについての御意見を賜るというような形で作業をお願いしたいと思っております。
(本田部会長)
 よろしいですか。
(岩瀬委員)
 結局この評価が、年金局なり機構の評価が妥当であるとか、そういうことを我々が、妥当なのではないか、あるいはこれの評価だと客観性がないよというようなことをこの委員会でやるということなわけですね。だから、それが判断できるような材料をつけて出していただかないと、何点というふうな点数だけ出てきても何も言えないということだと思うんですね。そこのところはよろしくお願いします。
(事業企画課長)
 できるだけ御審議に資するような資料につきましては用意させていただきたいと思います。
(木間委員)
 先ほど大山部会長代理が、次の議題に関連するとおっしゃっていましたが、私もそう思って読んでおりました。実際に自己評価をするときに、次の議題の業務実績報告書の中に数値がいくつか入っていますね。その数値を達成した場合には「B」評価となるのか、と併せて読まないと、最初のイメージでは、わからなかったのです。全部読めということなのかと思い読んでいたのですが、具体的にはここに挙げられている数値が評価の基準になるということなのでしょうか。
(事業企画課長)
 先ほど、シートにつきましてはイメージとさせていただきました理由につきましてちょっと述べさせていただきましたが、シート全体を見ていただければ、計画、期待していることと実際に行われたこと。それに対しまして、例えば「S」とか「A」とか「B」が付いているときに、なぜそのように評価したのかという根拠というか、考え方、そういったものを一覧表にしたいと思っております。そういう意味では、1つはそこの事業実績報告書なり、なぜ機構が自己評価として、「A」とか「B」という評価をつけたのかということの説明する中に、定量的なデータもできる限り入れるようにという御指示を賜ったと思っておりますので、そういった形の資料をつくらせていただきたいと思いますが、加えまして、数字の評価につきましては、先ほどの個別評価につきましての留意事項を御説明いたしましたように、それが単に数字がひとり歩きするという評価にならないように、質であるとか、あるいは不測の事態が発生していたということも場合によってはあるかもしれませんので、それに関しまして、数字はこうだけれども、この内容を考えればこうだからということを私どもの評価の考え方としてお示ししまして、そういったものをご覧いただいて、評価が妥当だったかどうかということについての御意見をいただくということにさせていただければと思います。
(本田部会長)
 ちょっと整理してみたいと思うんです。今おっしゃったように、もともと評価というものについては、事前に評価基準等があって、きょう実際の報告書を受けてどう評価するかという流れになろうかと思いますが、評価するかというときに、今まで評価の基準というものを御説明してなかったので、きょうはまずそれを御説明して、その上で今度は次の議題の実績、これはまさに機構のほうがこういうことをやりましたという内容を伺おうというのが本日の議題です。その次の段階で、今度はその実績を大臣が評価をどうするか。その諮問があったときに評価内容についての詳細な議論を行うことになろうかと思います。ひとまず、きょうの1番目の評価基準については、こういうような方向で評価をしていっていかがでしょうかというような感じでお聞きいただいて、次のまさに実績報告、これは21年度の機構がちゃんとやったか、やらないかを機構がどう考えておりますという御報告になろうと思いますので、評価基準については、皆さんのほうで、こんなやり方ではだめだということがなければ、およそこの方向で評価はやっていきましょうということでいかがでしょうか。実績を聞いた上でのことですが、当然、評価ということになりますと、機構の自己評価ともう一つは、それを受けて年金局、大臣のほうがどう判断したかという点に違いがあるかもしれない。そういうときには必ずそこらについてはちゃんとわかるようなことの御説明をお願いしたいというようなことで進めたらいかがでございましょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
(本田部会長)
 それでは、評価基準のほうについてはそういうことにさせていただきたいと思います。
 それでは、次に「平成21事業年度業務実績報告等について」、日本年金機構より御説明をお願いします。お手元にございます大変資料は分厚いものになっておりますので、2回に分けて御説明を受けたいと思います。まず業務実績報告書の「年金記録問題への対応」から「迅速かつ正確な年金給付の実施」の項目までを御説明いただきまして、そこまでで一たん委員の皆様の御意見をお伺いしたいと思います。
 それでは、年金機構より、よろしくお願いいたします。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 後ろの席から大変失礼をいたします。日本年金機構経営企画部の長田と申します。私のほうから、御説明をさせていただきたいと思います。恐縮でございますが、座って失礼をさせていただきます。
 業務実績報告書、資料2-1でございます。まず構成といたしましては、1~7ページまでを取組のポイントということで、8ページ以下に整理をしております内容のエッセンスといいますか、要約をつけております。8ページ以降でございますが、これが具体的に私ども厚生労働大臣のほうから、平成21年度計画というのがございますが、その平成21年度計画の項目毎に行った対応の実績というものを整理をした報告をしなさいという御指示を受けておりますので、各計画に沿って詳細にその取組状況というものを整理しております。説明につきましては、7ページまでの分は省略をさせていただきまして、8ページ以下の個表で、時間の関係もございますので、ポイントをかいつまんで御説明をさせていただきたいと思います。
 今回、業務実績報告書をつくるに当たりまして、私ども新たに民間公法人としてスタートするということで、これはあくまで行政向けの報告書ではございますが、できるだけ国民の皆様に対する情報開示というような観点から3点ほど意識をした点がございます。
 1つは、言い回しを堅苦しいものから少しやわらかくしようということで「です・ます調」で統一をさせていただきました。
それから、8ページの四角囲みをご覧をいただきますと、《用語解説》ということを加えておりまして、行政的には当たり前のように使っておりますけれども、読み手側にとっては必ずしも当たり前ではないといったようなものについて、適時用語解説を加えるというような工夫を今回させていただいております。後ほどいくつか出てまいりますけれども、できる限り、図表を取り入れていって、全体的な見やすさというものに、まだまだ不十分かとは思いますが、配慮をいたしたところでございます。
肝心な中身でございますけれども、まず記録問題の対応の関係でございます。これにつきましては、計画的に取組を進めるというようなことがもともと大臣から御指示をいただきました中期目標の中身になっておりまして、いわばこの3か月、そういったことの基盤整備のための期間というようなことで位置づけをいたしまして、1つ目の「○」にございますように、記録問題対応の「工程表」というものをこの3月末に策定をし、公表をしております。工程表の中身は説明は省略をさせていただきますが、その概要を9ページ、10ページにおつけをさせていただいております。
それから、ちょっと飛んで恐縮でございますが、12ページでございます。年金記録問題いろんな課題があるわけでございますが、最大のテーマの1つといいますのが、いわゆる宙に浮いた5,000万件をしっかりと基礎年金番号に結びつけていくことでございます。この間、さまざまな「ねんきん定期便」、「ねんきん特別便」等の取組を通じまして、この未統合記録の解明、統合ということに取り組んでまいりました。その結果、ここにございますように、5,095万件あった未統合記録のうち、統合をされた記録が、平成22年3月時点で1,403万件ということでございます。
13ページにございますように、いろんな形で解明というものを進めておりまして、ちょっと見にくくて恐縮ですが、真ん中の箱の3つ目のところ、今後、更に解明を進める記録というようなことで、いわば今のところ手がかりがないというような記録が995万件ということで、何とか1,000万件の大台を割ったというところまで到達をしております。こういった統合の進捗状況につきましては、3か月毎に更新をして公表をしていくというような取組も進めておるところでございます。
それから、飛びまして15ページでございますが、紙台帳とコンピュータ記録の突合せの作業の関係でございます。21年度の3か月につきましては、そういったものを進めるためのいわば基盤整備の期間というようなことで、紙台帳、紙の状態のままの照合というのは大変な作業でございますので、これを検索できるためのシステム構築に向けたソフトの開発等、また実際のそういった照合システムを活用しての突合せ作業というものにつきましては、22年秋を目途に開始をするというようなスケジュールを立てまして、そのために必要となる調達手続等の準備を図ったということでございます。
続きまして16ページでございますが、いわゆる再裁定、記録が見つかって、実際に改めて年金の再決定をいたしまして、年金をお支払いをするということの関係でございますが、これにつきまして、当初非常に多大なる時間がかかっておったということでございます。これの短縮化を図るということが大命題でございますが、率直に申し上げまして、機構発足当初さまざまな移行の混乱等もございまして、若干未処理件数が滞留をするというような事態が発生をしました。22年4月で2.5万件未処理件数になっておりますが、これにつきまして体制整備を図って、3月にはこの未処理件数というものを減らしてきたということでございます。
それから、再裁定の平均処理期間、下の表のところでございますが、平均2.3か月ということで、概ね横ばいから若干短縮化というような状況でございます。そもそもこういった0.6か月とか2.3か月といったようなことにつきましては、17ページの2つ目の「○」のところでございますが、先ほども触れました「工程表」の中で、具体的にどれぐらいの平均処理期間を満たすのかといったような数値目標を掲げたところでございまして、今年度以降、そういった目標に沿って短縮化に努めているということでございます。
なお、参考までに、18ページに、これは社会保険庁時代からの経年比較ということでございますが、未処理件数と再裁定平均処理期間の推移をグラフであらわしてございます。もう一段、努力が必要でございますが、徐々にこういったものの短縮化が図られているという状況でございます。
続きまして21ページでございますが、ねんきん定期便や常に年金記録が確認できる仕組みによる加入者情報の提供ということで、いわゆる年金通帳的なものということで、即時に御自身の年金記録を確認をしていただく仕組みの構築ということでございます。これにつきましては、既に社会保険庁時代からインターネットを通じての年金記録を確認いただくというようなサービスは実施をしておりますが、現状ではこれに結構時間がかかっているということがございます。まずこれを短縮していくということ。それから、パソコンない人はどうするのだという問題がございます。これにつきましては、ここにございますように、自宅でパソコンが使えない方でも、市区町村なり、郵便局の御協力をいただいて、そこから確認をできるというような仕組みといたしまして、これに向けての実際の実現のための基盤整備の作業に現在そういうフェーズに入っているということでございます。
以上が年金記録問題の関係でございます。
続きまして24ページでございます。ここからが年金機構におけます基本業務ということで、国民年金の適用収納の関係、厚生年金の適用徴収、また年金の給付の関係について整理をしたものでございます。国民年金につきましては、そもそも20歳になりましたら、これは全員当然に加入をするということになっておりますが、基本的には届出をしていただくと。ただし、届出のない方がいらっしゃいますので、そういった方につきましては、いわゆる住基ネットを使いまして、20歳到達者を把握し、その到達者につきまして、漏れのある方につきましては、手帳を送付するというような形で適用処理というものを行っておりまして、これにつきましては、全ての到達者、把握された全員についての手続を実施しております。
それから、25ページのところで、厚生年金等の適用の関係でございます。厚生年金の適用の関係につきましては、いわゆる未適用、未届の事業所の対策というものが重要課題ということでございます。?Aにございますが、職員が重点的な加入指導なり、従来いわゆる「職権適用」と言っておったものでございますが、「認定による加入手続」と言い方をしてございますが、そういったようなことで、行政指導的な手法をもって対応をするということでやってございます。これらの取組につきましては、25ページの下の「○」にございますように、前年度と概ね同等程度の水準ということになっておりますが、中期計画の目標であります18年度当時の実績水準を大きく下回っているということで、なお一層努力が必要な状況という認識をしております。また、ちなみに現時点で未適用事業所として把握をしている事業所数は、11万1,990事業所ということで、前年度よりも若干増加をしているという状況でございます。
ちなみに、先ほど18年度水準という説明をいたしましたが、27ページに未適用事業所対策にかかわります各種指標というものの年次推移を載せております。18年度の下のほうの呼出による加入指導、訪問による重点加入指導等々の数字がございますが、18年度はそういった取組によりまして、いわゆる適用に結びつけた実績と1万事業所といったような状況でございます。その後、19年度に年金記録問題が明らかになりまして、そこにかなり人員を投入したということから、こういった取組が停滞している状況にございます。ただ、22年度につきましては、適用対策の人員の増も認めていただきましたので、こういったものについての判定ということに今後取り組んでいきたいということでございます。
それから、28ページ以降が国民年金の保険料の関係でございます。国民年金の収納対策につきましては、いわゆる納付をいただいていない方に対します納付勧奨、悪質なケースにおける強制徴収、低所得者に対する免除対策というものが軸になりますが、このうちの納付督励の関係、免除勧奨につきましては、いわゆる民間委託による市場化テストによる実施というものが軸になっております。
具体的には30ページでございますが、表の下の「なお」ということで、事務所によっては部分的にやっているところなどもございますけれども、この市場化テストによる実施が軸になっております。その成果でございますが、委託の結果、ここに書いてございますように、コスト面では相当な効率化が図られておりますが、市場化テスト業者に要求をしている水準については、達成が十分できていないという状況でございます。その要因といたしまして低コストの電話督励というものが中心になりまして、個別訪問の実施というものが従前に比べてかなり大幅に減少していることなどが考えられるのではないかと。また、私どもといたしましても、やや取組が業者任せになっていた感があるのではないかということが反省点として挙げられると思っております。
こういったことから、ことしの10月に一部の契約が更新の時期を迎えますので、そこにつきましては、契約の在り方などについての改善、また受託業者との連携強化ということに取り組んでいく方針としておるところでございます。
それから、肝心の国民年金の納付率が実際にどうなっているかということでございます。ちょっと飛んで恐縮でございますが、34ページをご覧いただきたいと思います。大変申し訳ないのでございますけれども、最終的な21年度3月末の納付率がまだ整理がしきれていないという状況でございます。恐らく次回の評価部会の際にはきちんと数字は御報告できると思っておりますが、本日は準備が整ってございません。ただ、おおよそ見ていただきますと、平成20年度と平成21年度を比較していただきますと、前年同月比で概ね2ポイントほど下がっているというような状況でございますので、20年度3月が62.1ポイントということでございますので、大体そういった相場観になるのかなというふうに思っております。なお、小さい(注)で恐縮でございますが、(注)の一番下の行にございますように、機構としての21年度計画の目標といたしましては、12月までは社会保険庁としての取組でございますので、12月末の数字から3月末の数字の差を1ポイント以上上積みをしようというのが目標でございます。それにぎりぎり手が届くかなというようなラインでございます。
それから、35ページが「最終納付率の推移」と書いております。今、法案が提出されておりますけれども、現状の仕組みでは、2年間納付ができるという仕組みになっておりまして、例えば15年度の保険料であれば、17年度まで2年間の上積みの努力ができるということになっております。この上積み努力につきましては、中期計画の中では4~5ポイント程度、現年度納付率から上積みの達成をしようという目標を掲げております。まだ、こちらもそういう意味で結果が出ておりませんが、次回には御報告をしたいと思っております。
それから、36ページでございますが、厚生年金の徴収の関係でございます。口座振替実施率につきましては、ここにございますように、81.9%~81.2%ということで、若干の減ということになっております。また、保険料収納率の関係につきましては、98.4%~98.0%ということになっております。なお、厚年の収納率につきましては、未適用事業所対策との関係で、こういった収納率の指標を考えるのはどうかというような議論もございましたが、未適用事業所につきましては、現実としてはかなり小規模事業所が中心でございますので、こういった収納率の数字のラインにそれほど極端に大きな影響を与えるというものではないと思っております。私どもとしてはこの収納率というものについてしっかりと把握をし、確保していくことが必要だと認識をしております。
それから、38ページでございます。駆け足で恐縮でございますが、年金給付の関係でございます。年金給付につきましては、当然ながら迅速かつ正確に年金の支給を決定しお届けをするということが最大の使命でございます。したがいまして、そういった処理に必要な平均の期間というものをサービススタンダードということで設定をして目標を掲げております。このサービススタンダードの内容につきましては、旧社会保険庁時代からも取り組んでおりまして、基本的にはそのラインを踏襲をしております。
しかしながら、実際のサービススタンダードの状況につきましては、39ページにございますように、それぞれ年金の種別によって数字は異なりますけれども、かなり低位な水準にとどまっております。とりわけ障害厚生年金につきましては10%ということで、大変なる御迷惑をかけているという状況にございます。当然それに手をこまねいているわけにはまいりません。39ページ、頭のところでございますけれども、この4月から障害認定事務を担当する職員を56人から97人に大幅増員をして、今、一生懸命たまりの解消に努めているというような状況でございます。
それから、少し飛ばしていただきまして、前半の説明の最後になりますが、43ページのところでございます。申請忘れ、申請漏れを防ぐ取組ということで、本来、年金を受給をいただけるのに、例えば申請漏れなり等々の理由によりまして直接の年金のお支払いに結びついてない方というものを確実に結びつけていくということの取組が重要でございます。
そういった中で、2つ目の「○」のところでございますけれども、ここにございますように、オンラインシステム上の記録では、25年の受給期間を満たさないけれども、例えば外国におられた期間があったとか、61年3月までの間で専業主婦の期間で年金の受給資格期間にカウントできるけれども、そういったものが記録上結びついていない方がいらっしゃるのではないかということで、そういった可能性がある方についての中間期のお知らせをお送りをいたしました。その結果、ここにございますように、1万人の方について年金の受給に新たに結びつくというような成果に至っております。
なお、そういったお知らせのサンプルを45ページ、46ページにつけておりますけれども、こういったような形で、なるべく受け取られた方の目を引くような工夫を凝らしながら御案内をしたところでございます。
以上でございます。
(本田部会長)
 それでは、今までの御説明に対して御質問なり、ありましたらお願いいたします。
(西沢委員)
 ありがとうございました。用語解説をつけられたりして、言葉を一般化する作業は非常にいいことだと思いました。2つありまして、1つは、25ページ目だと思いますけれども、事業所数ということで、これは私もあまり今まで明確に定義できてなかったのですが、この間、お越しいただいて御説明伺ったときにも、法人数とイコールではないということで、例えば厚生年金ですと○○株式会社東京事業所、大阪営業所とかですと東京と大阪で恐らく別にとっているケースがあると思うんです、適用事業所。ですので、法人数を併記していただくと、適用事業所数より法人数のほうが少なくなると思いますので、法人数を併記していただくといいと思いますし、また、これに関連しまして、例えば東京と大阪であれば、それぞれ別の年金事務所が適用業務を行っているのか、あるいは一緒に行っているのか。通常常識的に考えますと、経理というのはどこか1つに集約していると思いますので、東京であれば、東京だけであればいいような気もいたしますし、その実態をできれば一緒に報告していただければと思います。
 2点目が、この様式の実績報告書の最初のほうに、リクエストでもありますが、半ページでも構いませんので、マクロの経済の総括をしていただけるとありがたいと思います。例えば倒産件数ですとか、新規事業所の開設数ですとか、賃金の動向、高齢者数の増減など、そういったマクロの経済や企業の環境の中で、皆様の仕事が成り立っているわけで、物すごくアゲンストの年の業績報告なのか、あるいはフォローの風が吹いている中での業績報告なのか、それによって出てくる結果の解釈もかなり変わってくると思います。これは後でお話があるかもしれませんが、マクロの関係は非常に悪い中、例えばリーマン・ショックが起きたような年度であれば、当然物すごいアゲンストの風が吹いているわけですので、そういった皆様の努力とそうではないマクロの環境といったものを峻別された中で評価していくべきだと思いますし、そういった意味で半ページでも構いませんのでマクロの総括していただいて、また定量的にも、できればそういった環境の変化と皆様の努力が峻別されればいいかなと思います。
(本田部会長)
 今のは御要望ということでよろしいですね。
(西沢委員)
 はい。
(斎藤委員)
財務諸表を拝見しますと、経費削減に多大な御努力をなさっていらっしゃるということがよくわかります。しかしながら、この実績報告を拝見いたしますと、どのくらいの経営資源が投入されたのかがわからないので、こんなに限られた予算の中でここまで頑張ったんだねと言うのか、あるいはこれだけジャブジャブお金を投入したら、このくらいは当然でしょうという評価になるのか、そのあたりの判断がつかないんですね。
民間の会社でしたら、予算と実績というのは必ずペアになっていると思うんですが、経営資源について少し触れていただくということは可能なのでしょうか。
(本田部会長)
 お答えありますか。
(日本年金機構副理事長)
 今回、こういう形で整理させていただいたのは、事業実績の報告ということで、6月の終わりに厚生労働省に出させていただいたものなんですけど、当然、今、斎藤委員おっしゃったように、そのバックにはこういうマンパワーとか、予算面は財務諸表に出てきますけど、こういうふうなものを投入したというのがございます。今回の報告書自体はこういう形でお出しさせていただいておりますけれども、事業の実態、そこら辺、どういったものが整理できるかというのは考えてみたいと思います。
(本田部会長)
 ほかに。長沼委員。
(長沼委員)
 斎藤委員さんの質問とも関連しますが、例えば、資料2-1の15ページです。【(4)の平成21年度計画に対する取組状況】欄に記載されている「紙台帳とコンピュータ記録の突合作業については、今後、平成22年秋頃までに開始する」という記述ですが、例えばこれに要するコストがいくらぐらいかかるのか、あるいはこれに要する人員がどれくらい必要なのか、ということを今後の業務実績報告書には書き込めればと考えている。もちろん、21年度計画に対する取組状況という記述欄なので、22年度以降についてはまだわからない、あるいは、22年度以降のことに関しては記述しづらいということもありますが現段階では、今後紙台帳とコンピュータ記録の突合作業については、このぐらいの費用で、このぐらいの人員を要しますということを書き込めれば書き込んでいただきたい。そのうえで、評価部会の委員としては、評価の参考資料としていきたいと考えている。例えば、同じ資料2-1の17ページには、「年金記録の訂正による年金額の増額は、約38億円」と記述されている。プラスイメージになるものは金額が入っているが、一方で、そこに要するコストがどのぐらいかかっているのか、という記載がない、という印象を私も斎藤委員同様抱いている。
 それから、2点目です。23ページの、重複付番についての判明件数についてです。要するに、日本年金機構になってから、新たな年金記録問題を発生させないということが大切だと認識しています。当然のことながら、5,000万件の宙に浮いた記録の解明作業も重要です。しかしながら、新たな年金記録問題を発生させないということは、日本年金機構にとって、最重要課題のひとつと認識しています。例えば、現在、一人に一つの基礎年金番号が付番されています。年齢が25歳なら、25歳の人口の数と基礎年金番号の付番数というのは、同じはずです。実際、同じ年齢における人口の数と基礎年金番号の付番数が、合っているのかどうか。聞くところによれば、同じ年齢で、人口の数と基礎年金番号の付番数が、3%から6%ぐらい差異があるとも聞いている。実際のところ、人口の数と基礎年金番号の付番数の差異がどうなっていて、それを今後どのように解決していこうとしているのか。資料2-1の23ページに記載されているのは、重複付番判明件数がこれだけあって、解消処理した件数がこれだけあります、ということは書いてあるが、現在の人口と基礎年金番号の付番数で、これだけ差異が生じているいうことについての記載がない。従って、重複付番の問題について、全体の中でどの部分を解決できているのかというのが、この取組状況では読めないし、見えない。なぜ、重複付番が発生しているのかもわからないので、その点についても教えていただきたい。
 3点目ですが、資料2-1の36ページ、37ページです。国民年金保険料の納付率の向上について、この間、いろいろと議論されているので、それなりにしっかりと進んでいくと思っています。しかしながら、厚生年金の保険料の収納については、必ずしもしっかりとした議論ができてなかったと私も反省しています。例えば、36ページで厚生年金の保険料収納率ということで、平成20年度が98.4%、平成21年度は98.0%、0.4%落ちたという記載です。0.4ポイント落ちたのはしようがないのかと思うところもありますが、しかしながら、資料2-1の37ページで、厚生年金保険の保険料決定額をみると、およそ22兆7,000億円、いわゆる賦課額が決定されている。つまり、調定額ベースで、厚生年金の保険料は22兆7,000億円ある。この1%だと、およそ2,200億円です。0.1%だと220億円。ですから、0.4ポイント落ちたということは、簡単に言うと、880億円取れなかった、ということになります。裏返せば、前年並みの保険料収納率が確保できていれば、あと880億円徴収できたということになります。もちろん、保険料決定額が同じであれば、という前提ですが。
そういった意味で、前から資料をお願いしていますが、不納欠損額、いわゆるどれだけ取れなかったのかという部分の記載がないと、昨今の経済情勢を踏まえると、0.4ポイントぐらい落ちてもやむをえないのかなというふうに数字上は見えてしまうことがある。しかしながら、その0.4ポイントを金額に換算してみると、およそ880億円です。結構大きい金額だと思います。
もちろん、日本年金機構が収納しなければいけないのは、厚生年金の保険料だけではありません。協会けんぽの保険料も収納しなければいけないし、児童手当拠出金なども収納しなければいけない。以前、提出していただいた資料によれば、例えば平成20年度の協会けんぽの不納欠損額は、およそ80億円と記憶している。それから厚生年金保険料ですと、およそ158億円、児童手当拠出金ですと、1億9,000万円程度と理解している。合計すると、240億円程度の不納欠損額があると記憶している。平成18年度であれば、不納欠損額については、厚生年金保険料・政管健保・児童手当拠出金合計で、383億円と認識している。特に、厚生年金の不納欠損となると、保険料は徴収できなかったけれども、そこの事業所に勤務していた人の厚生年金は、将来の年金給付に反映させると理解している。協会けんぽ、つまり、健康保険料であれば徴収できなくても、別に将来の給付に結びつくわけではない。しかしながら、厚生年金の場合は、徴収できなくても、そこの事業所に勤務する被保険者に対しては、将来の年金給付に結びついていくということで、しっかりと収納していかなければならないと考えている。そういった視点を踏まえると、もう少し記載内容などで、不納欠損の金額などを記載することによって、達成状況を評価する参考にさせていただきたいと思っている。そういう部分の記載について、今後、書き込んでいただけるのか、お伺いしたい。
以上です。
(本田部会長)
 今、3点ございましたけれども、機構のほうからお願いいたします。
(日本年金機構理事(事業企画部門担当))
 事業企画担当理事の矢崎でございます。まず1点目の記録問題の関係でございますけれども、紙とコンピュータ突合について、きょう資料も用意してございますので、その席で可能な限り、御説明の中でデータも言うようにしたいと思います。
 それから、いろんな記録問題のパフォーマンスだけではなくて、どんな投入をしているかということにつきまして、またお求めに応じて資料も用意したいと思いますし、先ほどの紙、コンピュータの突合関係も、また聞いていただいて、不足資料があれば、また御用意させていただきたいと思います。
○日本年金機構副理事長
基礎年金番号との不整合というか、ギャップの話というのは、実は年金記録の回復委員会のほうでも議論がございますので、そちらのほうでお出しするような資料もこれから整理をしたいと思っていますので、それを踏まえて、またこの場でも御説明したいと思います。
それから、事業実績報告について、こういうところが足りないという御指摘、何人かの先生からいただきました。今年度の報告はこういう形でさせていただいておりますので、御指摘いただいたことで、例えば来年度以降の報告の中で、もう少しこういうところがあったほうがいいといったことがあれば、それは我々検討したいと思います。それから、ことしのものにつきましては、報告はこういうことでございますけれども、これからの御審議に供するために、どれだけの資料が出せるかというのはございますけれども、補足資料という格好でそこは整理をさせていただきたいと思います。
(木間委員)
16ページと17ページですが、16ページに「年金記録の訂正や再裁定後の支給等を迅速に行うための体制整備」とあります。わかりやすい文章なのかもしれませんが、とてもわかりにくくてこれを読むのは大変でした。
年金受給者が再裁定を申し出てから本部に申出書を送付するまでに要する平均処理期間は再裁定の場合、2.3か月ということですが、お聞きしたいことは2点あります。受給者に再裁定の結果が知らされるのはどのぐらいの日数を要しているのかということ、2つ目は、年金記録が訂正されて増額分が支払われるのはどのぐらいの日数を要しているのかという点です。
(日本年金機構理事(事業企画部門担当))
 まず再裁定といいますか、年金額が増えるというお知らせがどうなるかというのが1点目だと思いますけれども、これは御本人からこういう記録があるはずだという申し越しがございまして、私どものほうで事務所で調べます。結構調べるのに時間がかかっていたわけですが、今は短くはなってきていますけれども、そうして見つかりますと、御本人にこういう記録が見つかりましたと。この記録を入れると大体年金額はこのくらいになりますというお知らせをします。それから、御本人のほうが、これは確かに私の記録なので、再裁定をしてくださいというお申し越しをいただきます。そのお申し越しをいただいてから、この期間の算定が、この計測上は始まりまして、それで、まず事務所のほうでいろんな準備をしまして、本部(高井戸)のほうに送ります。そこの期間が大体今0.6とか、0.5月、これは前はもっと長かったのですけど、今、そのくらいになっています。あと、長い長いと前言われていました本部のほうの高井戸の処理が、半年とかすごくかかってしまうということだったのですけれども、これも昨年の頃から、各地から人もかき集めて、事務所からも人をかき集めて体制をつくって、それが今ぐっと短くなってきて、ここにありますように、その期間というのは2か月強ぐらいの期間にはなっているということです。
 再裁定処理をして、いつ支払うかということですけれども、タイミングによって支払日というのが2月に1回の定期とか、あるいは随時の場合もあるかもしれませんが、そこで何か月間かラグはあると思うので、それはケースによって、支払日は決まっているものですから、再裁定処理してから、具体的にはケース毎に違うと思いますが、再裁定処理から実際の支払いまで、マックス半月ぐらいだと思います。ですからかなり昔は長くて非常にご迷惑かけたのですが、何とかここまで一応来ているということです。
(木間委員)
わかりました。私が聞いていた半年後といった事例は随分前のことだのだと思います。
(日本年金機構理事(事業企画部門担当))
 大騒動で各地から人をかき集めてですね。
(木間委員)
わかりました。17ページですが、先ほど私が発言しましたのは、これらの数字です。2.5か月とか、0.5か月とかありますが、こういうことが達成すると、「B」評価になるのかと言ったのです。
(本田部会長)
 今のはそちらはどういうふうに、評価ですね。
(事業企画課長)
 17ページにございます1つ目の「○」、また、再裁定云々かんぬんとありますところの2.5、2.4、2.9という数字に対する評価をどう評価するかという御指摘だと思います。これにつきまして、まず私どもが見なければいけないのは、機構がこれについて計画上どう考えていたのかということでございますけれども、ここにつきましては、年金記録の統合、16ページのところにありますけれども、(5)にありますように、「年金記録の統合状況等に応じて、再裁定の迅速な処理を行うための体制を整備する。」ということになっております。
 したがいまして、1つは、直ちに今、「A」とか「B」とかというのは申し上げられるものではないと思っておりますけれども、2.9なりに至った推移に対しまして、機構で先ほど御指摘ありましたように、体制としてどういう体制を当時整備していたのか、あるいは社会保険庁時代との比較ということも多分考慮としては考えなければいけないものだろうと思っておりますので、社会保険庁時代のやり方、体制の整備と年金機構になりまして、それがどう変わって、そのときのパフォーマンスとしまして、数字としてみますと、2.5、2.4、2.9という形ででこぼこございますけれども、それが投入した人的な資源、物理的な資源いろいろございますが、それとの関係でどのような状況だったのかということを踏まえての評価をしたいと思っております。大変恐縮でございますけれども、今の段階で、それが「A」なのか「B」なのか「C」なのかというのはもうちょっと我々も勉強させていただきたいと思っております。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 私ども評価を受ける側でございますので、お答えする立場にないのかもしれませんが、事実関係だけ少し補足をさせていただきたいと思うのですけれども、まず、そもそも当社会保障審議会で御審議をいただいた上で、厚生労働大臣が私どもに御指示をいただきました中期目標の中では、できる限り定量的な目標を盛り込むようにしなさいというような御指示をいただいております。したがいまして、当然ながら、少なくとも私ども自己評価するに当たりましては、そういった定量的な目標との関係でどうだったのかというのは大きな評価の軸になると思っております。
 ただ、実際問題、平成21年、今、御審議をいただいています平成21年度計画そのものは、立ち上がりの3か月の計画でございますので、実は定量的な目標はそれほど盛り込めておりません。後ほど資料はございますが、22年度の計画はそういう意味では本格的な計画ということで、21年度に比べれば定量的な目標が多く盛り込まれているという状況になっておるということはお含みおきをいただければということと、それから再裁定の関係の目標でございますが、これは平成21年度の当初の計画で盛り込んだものではございませんので、21年3月末に策定をした年金記録の工程表というものの中で、今後の取組の目標として掲げたものでございますと、そういう事実関係であるということは御承知をいただければと存じます。
(本田部会長)
 よろしいですか。
(木間委員)
はい。
(本田部会長)
 もし、よろしければ、次のほうへ入りたいと思いますが、よろしいですか。
(「はい」と声あり)
(本田部会長)
 それでは、続きまして、「年金相談の充実」以降の項目につきまして、機構から御説明をお願いします。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 それでは、引き続きまして、後ろから失礼をいたします。47ページでございます。年金相談の関係でございますが、年金相談につきましては、最大の課題が、大きくは2つあるかというふうに思っております。もちろんきちんとした相談をするということはもとより当然のことでございますが、非常に長いお待たせ時間ということがこの間ございましたので、目標の中でも、通常期30分、混雑期において、1時間を超えないより待ち時間の短縮に努めるといったようなことを掲げております。また、電話の相談について、なかなか電話がかかりにくいというような御批判もちょうだいをしておりました。この応答率をどう上げていくかというものが大きな意味での二大課題と考えております。
 この待ち時間の関係につきましては、さまざま月曜の開所時間の延長でございますとか、第2土曜の年金相談の実施のほか、3つ目の待ち時間短縮などの取組ということでの情報提供でございますとか、予約相談の実施などに努めてきましたと。また、お客様のイライラ感の緩和というようなことから、待ち時間の目安は一体どれぐらいかかるのかといったような目安表示なども全事務所で統一的に実施を図るといったような取組をやってまいりました。
 実際、平均待ち時間どれぐらいかというのが、47ページ下の表にございます。30分以上ということで括りますと、まだまだ平成22年3月時点で百五十数か所ということでございますから、全国312の半分ということでまだまだ道は遠しということではございますが、22年1月当初の1時間以上の待ち時間:98事務所という状況からは、3か月時点で45事務所ということで、徐々に待ち時間の緩和ということにはつながっていると思っております。
とりわけ、ここでは細かくは記載をしておりませんが、待ち時間のワースト20事務所というものを毎月把握をしておりまして、そういった長時間、2時間以上待ち時間のところについてはてこ入れの対策などもやっておりまして、直近の状況では、2時間待ちというような事務所は今なくなっているというような状況まで来ております。
それから、コールセンターの関係でございます。48ページにその関係をつけておりますが、グラフで見ていただいたほうがわかりやすいと思います。49ページをご覧いただきますと、これはねんきんダイヤルの月別応答率の推移を書いております。破線が20年度の実績、実線が21年度の実績で、基本的に20年度のかなりひどい状況からは、21年度は改善ということにはなっておりますが、かなり激しく折れ線がございますように、これは季節変動が非常に多い状況になっております。理由といたしましては、それぞれ書いておりますが、年金の問い合わせが集中をしますのが、なにがしか大量に文書を発出をしたときに、その関係の問い合わせが多いという状況でございます。後ほども出てまいりますが、文書そのものがわかりやすくなれは、この問い合わせも減ることにつながりますので、お客様にお送りする文書のわかりやすさの改善に向けた取組に着手をしているという状況にございます。
それから、50ページでございますが、市町村における年金相談の充実ということで、いわゆる私どもの業務端末、「ウィンドマシン」と呼んでおりますが、そういったものを実際に設置をして年金相談に協力をいただける市町村の数につきましては、社会保険庁時代の228市町村から若干ではございますが、7市町村増加ということで協力いただける市町村数が増加をしているという状況でございます。
それから、広報関係でございますが、いろいろ書いておりますけれども、53ページをご覧をいただければと思います。よくこの間、いろいろ御指摘をいただきますのは、国年収納率の対策という観点からも、国民年金のメリットもしっかり訴えていくべしというような御意見もちょうだいをしております。このような形で、具体例をつけさせていただいたほうがイメージがわくということで、このような啓発資材などを用いておりますが、更にどういった、例えば20歳の御案内の段階でこういったものをしっかり周知をするとか、そのような御意見もいただいておりますので、そのようなことにも今後取り組んでいきたいと考えております。
52ページに戻っていただきまして、ホームページの関係につきましては、これは大変私ども反省すべき点でございまして、機構設立当初におきましてはかなり準備不足というようなことがありまして、いわゆる準備中、工事中というようなページが多うございましたので、そういったものを解消していくというところからスタートをいたしておりますので、当初の計画から取り組めなかった部分はいくつかございます。基盤整備ということに軸足を置いたということでございます。
それから、55ページ以下でございますが、「お客様の声を反映させる取組に関する事項」ということで、私どもとして、一番意を砕いて力を入れてきた部分でございます。御案内のとおり、「お客様へのお約束10か条」というものを策定をいたしまして、具体的には58ページに現物の例をおつけをしておりますが、これにつきまして全ての年金事務所に掲示をして宣言をして、その取組の実現に向けて努力をしているということでございます。
それから、お約束10か条の中でもわかりやすい言葉で丁寧に御説明しますというようなことを掲げておりますが、それをスローガンだけではなくて、実の伴うものにしていきたいということで、3つ目の「○」でございますが、実際に「わかりやすい言葉置き換え例集」なるものをつくりまして、例えば「適用」や「裁定」とかいろんな専門用語がございますが、そういったものをピックアップして、それをどのように置き換えていこうかというような事例集みたいなものをつくって、これは各事務所で活用しております。
また、単に窓口の説明だけではなくて、先ほども申しました御案内文書自体もそういった言葉に置き換えていくということで、相当今文書がありますので、まだ手つかずの文書も多数ございますが、順次改善努力をしていくということで、これも組織的にやっていくというようなことで、機構本部の中に「文書審査チーム」をつくりまして、新規にお送りする文書や大量にお送りする文書については、必ずこの文書審査チームの審査を経てわかりやすさという観点からの審査を順次実施をしておりますし、また、より一層の受け手の方の視点ということで、お客様モニターを委嘱しまして、実際にこれが動き出しましたのは、新年度の4月以降でございますけれども、こういった文書モニター制度の導入にこの間取り組んでおります。
 また、事務所では「ご意見箱」なども設置をして日々お客様の声をお受けをしておりますし、56ページの3つ目の「○」ですが、事務所でいただいた御意見につきましては、全体状況を本部で全て把握をしていこうということで、本部にいろんな報告をしてもらう。また理事長へのメールなどの、そういった仕組みも設けまして、幅広くお客様の声を収集・分析に努めております。
 その結果につきましては、59ページ以下に資料をつけておりまして、59ページではジャンル別の意見・要望等の内容。それから、60ページのところにつきましては、そのジャンル別の具体的な件数とどんな声が具体的にあったのかということの事例なども挙げて、こういった声を見ながら順次改善できるものから改善に取り組んでいるということでございます。
 なお、ちなみに4月以降、分析の分類というのを変えておりまして、例えば国民年金に関するものといった場合には、実施上の問題と制度上の問題があったりとかするので、今の区分けは必ずしも適切ではないということから、来年度の実績報告の際には、そういった新たな分類での御報告をしたいと思っております。
 それから、61ページでございますが、電子申請の推進の関係につきましては、3つ目の「○」、数字だけ申し上げますが、20年度の50.1%の利用率から55.3%と5ポイントの上昇という状況になっております。
 62ページ以降が、効率化の関係でございますが、これにつきましては、特に現場の声を吸収しながら、きちんとした適正な業務のマニュアルをつくっていこうというようなことで、3つの「○」でございますが、毎月事務処理誤りというものを集計・公表をしておりますが、そういったものについて、具体的な改善策を現場からの声を集めて現在防止・総合対策などの取組をしております。
 それから、予算執行の関係でございますが、先ほど若干御指摘がございましたが、一般管理費、業務経費それぞれ予算額に対して執行残額はどれぐらいあるかということを記載しております。特に業務経費の執行額の減額は非常に多くなっております。要素といたしましては、調達コストの低減というのは、これは純粋に当初の想定よりも安くなったということなのでございますが、140.7億の分につきましては、お知らせの発送を年度をまたがって計画的にやろうということで、業務処理の平準化を図ったことによって実際に費用がかからなかったことによる減の要素も大きな状況ということになっております。
 それから、64ページ以降でございますが、外部委託の関係につきましては、閣議決定されました基本計画に基づいて粛々と委託の実施をいたしております。
それから、社会保険オンラインシステムの関係につきましては、65ページでございますが、1つ目の「○」の中ほどでございますが、内閣に設置されました社会保険オンラインシステム最適化評価ワーキンググループというのがございまして、そこでさまざまな専門的な点検・評価をいただきまして、その点検内容に踏まえた所要の調達仕様書の見直しなどに取り組んでおります。
それから、契約の効率化の関係、67ページでございますが、まず全体的には、今まで47の社会保険事務局単位でかなり契約をやっておりましたが、これをできる限り、本部に集約をして、できるだけ効率的に実施をするといったような取組をいたしております。
それから、競争入札の割合、いわゆる少額でそもそも競争契約の対象としませんという基準をつくっておりますが、そういったもの以外で、原則一般競争入札をするという契約については、中期計画の中では80%を競争入札割合にするというような目標を掲げておりますが、56.7%という状況になっております。この要因といたしましては、設立当初の今、移行期に年金事務所でいろいろ使用しなければならない帳票の関係が、当初の見積りが不十分で十分届いておらずに、緊急に調達をしないといけないというような事態が発生をいたしまして、このような数値になっております。
それから、69ページ以降でございますが、内部統制の関係でございます。これにつきましては、当初の3か月ということもありまして、基本的には、例えばコンプライアンスについてはコンプライアンス規定をつくるとか、法令遵守窓口をつくるといったような仕組みの基盤整備に取り組んだ期間ということでございます。それぞれそういった仕組みの整備ということを記載をさせていただいております。
また、コンプライアンスの関係につきましては、71ページにさまざまなルートで探知をしたコンプラ報告事案等につきまして、具体的に対応の必要があると判断をした11件の事例につきまして所要の調査・対応をやってきたということでございます。
72ページでございますが、「特に」ということで、これは旧社会保険事務所におきまして、年金記録確認第三者委員会へ送付すべき書類をため込んだ、その中には不正な処理をしたというような事例が発覚をしております。これにつきましては、3月末に公表しておりますが、こういった事案の再発防止に向けて特別自己点検とか、監査部による特別監査の実施といったようなことを22年度に入ってからの取組でございますが、そういった取組などを行っているところでございます。
その他、73ページは、情報公開の取組について記載をさせていただいております。
それから、人事、人材育成の関係は、駆け足で恐縮でございますが、75ページ、機構発足に当たりまして、正規・准職員併せて1,800人の民間出身者を採用をし、312の年金事務所長のうち、民間出身者(51人)、若手、中堅からの抜擢登用(24人)というようなことで所長の登用などを積極的に行ったところでございます。
それから、最後、予算、収支関係につきましては、財務諸表等のとおりということで、財務諸表のポイントにつきましては、会計部長のほうから御説明申し上げます。
(日本年金機構財務部長)
 会計部長の寺崎でございます。財務諸表について簡単に御説明申し上げます。
 大変恐縮でございますけど、座りまして御説明させていただきます。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 資料2-2の関係でございます。
(日本年金機構財務部長)
 資料2-2の27ページをご覧いただきたく、お願い申し上げます。
 まず最初に機構の会計は、機構の財務及び会計に関する省令によりまして、一般に公正に妥当と認められる企業会計の基準に従うものとされておりまして、また、独立行政法人会計基準を優先して適用することとなっておりますことを初めに御説明申し上げます。
次に貸借対照表でございますけれども、機構の主たる資産は年金事務所や機構の本部の土地・建物でございます。これらの資産は、機構が設立された際、政府から現物出資として出資を受けたものが大半でございます。
次に損益計算書でございますけれども、経常費用は534億円となっております。この内訳は、主たる事務事業より発生する諸費用でございます。業務経費経費が489億円、一般活動より発生いたします諸費用でございます一般管理費が45億円となっております。経常収益は749億円でございますけれども、このほとんど全てが運営費交付金収益でございます。運営費交付金収益は、運営交付金が期間進行基準という会計の基準によりまして収益化されて実現したものでございます。経常費用と経常収益の差額は215億円となっております。
この原因としましては、年金受給者への標準報酬月額のお知らせについての相談等が集中しないように、21年度の発送件数の一部を翌年度発送に変更したことや、オンライン記録と紙台帳の記録との突合事業を翌年度から実施することとしたことなどに伴う業務料の見直しによるものが140億7,100万円、入札の実施による調達コストの低減等によるものが46億1,900万円、職員欠員等による人件費の低減によるものが15億3,100万円が主なものでございます。
当期利益につきましては、全額国庫納付準備金として整理された後、前払費用と厚生労働大臣の承認を受けた金額を控除いたしまして、7月9日に国庫に納付を完了いたしております。
なお、小林、水島両監事、あと、会計監査人でございます有限責任監査法人トーマツより、いずれも監査適正意見をちょうだいしております。
また、6月29日に厚生労働大臣の御承認をちょうだいしておりますことを併せて御報告させていただきます。
以上でございます。
(本田部会長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ありましたら、よろしくお願いいたします。
(岩瀬委員)
 3点ばかりあるのですけれども、業務運営の効率化に関する説明の部分で、何が効率化なのかというのがよくわからなくて、マニュアルをつくったとか、そういうことは若干書かれていますけれども、それによってどんな効率化がなされたのかというのを詳しく説明していただけませんでしょうか。
それとコンプライアンスの件に関しても、結局仕組みはつくったけれども、機能してないということが言えるのではないかと思うんですが、機能してないがゆえに、いろんな入札情報が漏れたり、この後で説明あると思いますけれども、そういう不正なことがなされている。これに対して特別監査をすれば、それで済むのかどうか。これを機能させるためにどういうことをお考えになっているのかというのを説明していただきたいと思います。
それと人材及び人材育成に関してですけれども、研修を実施したと書かれていますけれども、どのような研修して、どういう効果が得られたのか、これも研修制度があって、制度の周知、理解を図りましたと書いていますけれども、周知、理解が図られていれば、浜松西年金事務所で行われたような間違った法律解釈なんかなされていないと。研修も十分されてないのではないかなと。これは特に設立委員会のときにもかなり議論がありましたけれども、研修をきちんとやるべきだという議論があって、それについて、パソコン使った在宅、個人でやるのだと。それが昇給、昇格に結びつくから、みんな自分でやるのだということが言われていましたけれども、そのパソコン使った研修がどの程度実施されて、どういう効果があったのかというのも併せて教えていただけませんでしょうか。
そういうことは、業務報告書に書かれるべきことだと思うんですが、そういうのを詳しく書いてないというのはどういうことなのか、それも併せて教えていただけませんか。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 まず1点目の効率化の関係につきましては、私から御説明をさせていただきます。
 これはある意味、恒常的な意味での効率化ということでは必ずしもないと思っておりますけれども、お客様からいろいろお受けをする文書類の処理につきましては、できる限り、集約化を図っていこうということで、私どもの基本構想の中では、従来事務所でお受けしていたものを都道府県単位に集約をされた事務センターというところで集約処理をするというようなことで取り組んでおります。しかしながら、これは集約が進んでいた地域と、機構発足と同時に集約をやったところなど、いろいろございまして、当初の混乱でございますとか、ベテラン職員の抜けたことによる業務処理遅延などから、とりわけ例えば保険証の交付などにかなり時間かかるとか、そういったような事態が発生をしまして、それから、事務センターで処理をするといいまして、事務センターへ直接送っていただいたものはいいのですけれども、年金事務所でお受けをしたものにつきましては、そこで受付処理をした後、事務センターへ回付するというような意味では、少なくともそこにデリバリーロスみたいなことが生じるというようなことで、当面の措置として、年金事務所においての本来事務センターで処理をするということを想定をしていた事務の一部につきましては、その事務所・事務センターの地域地域の状況に応じまして、事務所でも処理・対応ができるような仕組みにマニュアルを改正をしたということでございます。
 なお、本来的に事務所・事務センター、何を事務所で処理をし、何を事務センターで処理をすべきかという抜本的な在り方について今後本格的な検討を進める予定としております。
 1点目につきましては、以上でございます。
(日本年金機構副理事長)
 コンプライアンスの関係についてお答え申し上げます。岩瀬委員からおっしゃられたように、機構になってコンプライアンスの体系はつくったけれども、きちんとワークしてないのではないか。後ほど御説明をさせていただきますけれども、例えば、いわゆる業務処理という観点で申し上げますと、厚木の年金事務所、これは旧社会保険庁時代の事柄ではありますけれども、いわゆる処理の放置、これ自体は事業実績報告書にも書かせていただきましたけれども、処理の放置、更にはルールにのっとらない記録の訂正を行っていたという非常に問題の大きい事例がございました。
 こういった処理放置が起きるというのは、事務処理の流れ全体がどうなっているかというところにも絡んでくる問題であろうと思っております。そういうことで今年度に入りましてですけれども、いわゆる自己点検をやる。それから、特別監査をやるということで現在取組を進めておりますけれども、こういったものの再発を防止するために、これはいわゆるコンプライアンス上問題になる事案とコンプライアンス上の問題ということではないけど、事務処理誤りを減らしていくと、こういう観点、両方含めまして、事務処理誤りの総合防止策というのを特別自己点検なり、特別監査の結果も踏まえて、今月中を目途にまとめたいと考えております。もちろんそれで完成形ということになるかどうかありますので、引き続き、よく点検をしながら進めていくということであろうと思っています。
 それから、もう一つ、入札をめぐって問題事例ということがございました。これについても、御心配をおかけしておりますことに対しましてお詫びを申し上げたいと思いますけれども、現在これにつきましては、第三者による検証ということもお願いをしているところでございます。そういうものも踏まえて、例えば入札に当たっていろいろ情報収集するということは必要なのですけれども、それをどういうふうなルール、ここまでならいいよといったことをやっていく。それから、職員の意識の中で、この情報というのは出してはいけないというとこら辺の意識改革というか、そこが不十分だという点もございますので、そういうところも含めて再発防止に向けた取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
(日本年金機構(人事・会計部門担当))
 人事・会計を担当しております坂巻です。研修について、今、御質問ありましたことについてお答えをしたいと思うんですが、機構においてこの1月から3月の21年度にどういを研修をやってきたかということでございますが、先ほど説明の中に、機構になって新たに民間から1,800人ほど採用したというお話をしたかと思います。それから、旧社会保険庁時代にも民間から採用しているということでございまして、それから、その後に6月には正規の職員として200名採用しております。それから、准職員あるいは有期雇用職員を今年度の記録問題等への対応のため、1月から8,000人ほど全部で採っております。
 こうした方たちに対する研修なのですが、まず1月から3月につきましては、いわゆる正規職員の中で、旧社会保険庁時代からいる民間の職員を含めまして、正規の職員には集合研修で2~3週間ぐらいの期間をかけて研修を行ってきております。それから、有期雇用職員である准職員、あるいはそのほかの雇用職員につきましては、ブロック本部等においてマニュアルを本部のほうからお渡ししながら研修をやってきているという状況でございます。
そういうことで、機構が立ち上がってまだこの22年度につきましても、とりあえずのところの人の研修を足りないところはやってしまわなければいけないということでとりあえずの手当てをしている状況であります。
それから、正式な研修体系は今構築を考えておるところですが、来年の23年の4月に新規学卒者の採用を今やっているところですが、その方たちが入ってきたときの今準備をしておりまして、来年度以降の研修体系をどうするかということを今考えているところでございます。また、先ほどパソコンなどを使ったいわゆる通信研修と言われる部分ですが、これはまだ始まっておりませんで、来年度の新しい体系の中で、通信研修を今後やっていこうということで今検討を重ねておりまして、その内容について詰めている段階であります。
以上です。
(岩瀬委員)
 まず効率化についてお聞きしたいのですけれども、これは事務センターは効率化をするための1つの大きなポイントだったと思うんですけど、これが機能しなかったがゆえに、年金事務所でも業務処理を分担してやらざるを得ないというのが実態ではなかったのかなと私は思うんですね。ということは、事務センターを設計した段階での人員配置だとか、業務量の計算が間違っていたか、あるいはかなりラフだったかということがあって動かなかったわけですから、そういう反省をきちんと業務報告書の中に書かなければあまり意味がないと思うんですね。それはなぜ書かないのかというのをちょっと教えていただきたい。
それと、あと入札に関して、これは後で説明になるのだと思うんですけど、これは機構法に違反しているわけですね、今回の入札情報を漏らしたというのは。ということは、入札やり直すというのが普通だと思うんですけれども、その辺はどうするんですか。いわゆる調査報告書を待って考えるみたいなことがプレスリリースに書いてあるのですが、どうされるのか。後でもいいですけれども、教えていただけませんか。
それと研修も、研修すごく重要だと思うのですけれども、十分されてないというのが非常に疑問でしようがないんですけれども、パソコンの研修は新年度が始まってすぐやるという話を設立委員会のときに聞いていたんですが、やらないというのはどういうことなのか。仕組みが間に合わないということですか。
(日本年金機構副理事長)
 数点いただきました。1つは事務センターと事務所の関係、当初設計したとおりに動かなかった。それで4月というのは新しく新規の採用等あると。そういうことも踏まえて一応事務所と事務センターの業務、これ47都道府県それぞれ集約をしたのですけれども、実態上、各県必ずしも均一ではなかったと、そういった状況の中で、いずれにしても、通常業務が回らないことがあってはいけませんので、事務所と事務センターの職員を兼務させる等によりまして、それぞれの地域でちょっと工夫をしてやらせたというところでございます。
 ただ、今、岩瀬委員、御指摘ございましたように、事務所と事務センターの役割というか、そういったところ、どういうのが1つの形で動き出したのですけど、一番効率的なのか、そういったことについては地方のメンバーも含めて事務センターの在り方というか、事務センターにおける業務処理をどう進めるか。事務センターのことを考えるだけではなくて、事務所での仕事を進めるかというところも絡んできますので、それらを含めて改善をいかに図っていくかということを機構として詰めてまいりたいと思っております。
 それから、入札の関係は、後ほど事案については資料ございますので御説明させていただきますけれども、いずれにいたしましても、1つは機構法に触れるかどうかというところ、ここは私どもとしても捜査当局にも情報提供しているというのを記者発表させていただいておりますので、これはそちらのほうの中で進めていくということになろうかと思いますで、一方で、入札自体をどう考えるか、こういったことも含めまして、これは第三者に検証を今お願いしておりますので、その結果を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
 それから、研修の話も併せて私設立準備にかかわった立場で申し上げさせていただきますと、一応基本的な設計は、そういう構想でということでできておりますけれども、具体的には来年度の新規採用者から新しい研修体系でやっていくと。そのための教材を今、研修部のほうでつくっております。一方で、今年度については、1月新しく民間からも大勢お越しいただきました。昨年のうちに研修を受けられた方はよかったのですけれども、1月から初めて機構にいらっしゃった民間からの正規職員というのもいらっしゃいます。そういう方については、2月、3月、4月ということで集合研修を行いました。
 一方で、准職員とか特定アシスタントについては、1月当初、必ずしも研修の体系がきちんとしてなかったところがございまして、混乱がございましたけれども、これにつきましても、先ほど坂巻のほうから申し上げましたように、研修プログラムなり、相談はこういう形でやる、ブロック本部から出前で研修することも含めて、そのための材料の提供というのを、若干そこは齟齬がございましたけれども、進めてまいってきておるところでございます。いずれにしても、人材というのは機構はマンパワーで成り立つ組織だと思っておりますので、今年度過去の研修の残っている人についての研修等を行うとともに、来年度からはきちんとした研修体系をつくって進めてまいりたいと考えております。
(岩瀬委員)
 機構法に触れるかどうかというのは、機構としては判断できないんですか。捜査当局の判断を待つということですか。
(日本年金機構副理事長)
 ここは非常に微妙なお話なので、私どもとしては、こういうことがあるということについては、捜査当局にも常に情報を提供しながら進めております。それをどう評価するかという話は、これから中で、それも含めて最終的に整理をしていかなければいけないと思っております。今の段階でそこをこういうことですという判断をしてということでは、まだその段階にないと考えております。
(岩瀬委員)
 だけど、これは不正に情報を流しているわけですよね。機構法に違反するかどうかは微妙な問題があるにしても、外から見ると非常に不透明ですよね。これから、紙とコンピュータの記録を突合していくに当たって、こういうことがなされるということは、機構がスタートして、すごくみんなが期待しているのに、こういうことがなされたと。これは早急に機構として判断をして、司法当局に任せて、司法当局がどういう司法判断をするかは別として、機構としては、この問題に関してけりをつけるべきだと思うんですが、それはやらないということですね。
(日本年金機構副理事長)
 やらないということを申し上げているわけではなくて、機構としてきちんとこの問題を検証して、再発の防止も含めて考えていく必要があると考えております。ただ、その段階で、私どもとしては、機構だけでということにはまいりませんので、第三者による検証ということを今お願いしているということでございます。
(岩瀬委員)
 なぜ機構だけでならないんですか。これは機構が決めているわけですね、入札をして。しかも、これがもし仮に遅れれば遅れるほど工程表が狂ってくるわけですよ。早く変えるべきというのが普通なのではないかと思うんです。
(日本年金機構副理事長)
 繰り返しになりますけれども、私どもとして、こういうふうなものをどう評価するかというところございます。機構の中だけでやっても、それは手前判断ということにもなりますので、そういうことも含めて検証を今お願いしているということでご理解をいただけたらというふうに思います。
(本田部会長)
 岩瀬委員、御理解をいただきたいということでございますが。
(岩瀬委員)
 全く理解できない。
(本田部会長)
 長沼委員、お願いします。
(長沼委員)
 47ページの、平均待ち時間の関係です。先ほどの御説明ですと、最近では2時間待ちがなくなっているとのことでした。最近2時間待ちがなくなってきているというのは、22年の6月とか7月の話なのか、それとも、21年度のことなのか。私も日本年金機構の設立にかかわった立場上、川越年金事務所に、正月三が日の明けた直後の4日ですとか、3月にも行きましたけど、夕方になっても相当時間待っている相談者がいました。
私の感覚ですと、21年度の待ち時間の印象から言うと、これについては高い評価を与えられない。ただ、先ほどの御説明のように、2時間待ちは最近なくなってきているという説明があると、高い評価出してもいいのかなと思うのですが、今回はあくまでも、21年度計画に対する取組状況ということで評価してよろしいのですね。先ほどの再裁定の処理期間にしてもそうですが、21年度の段階では非常に長い時間であれば、それは高い評価与えられない。最近はよくなったからといって、これは最近のもので評価するわけではないんですよね。その辺、もう一度確認させていただきたいと思います。
 それから、48ページの、これは年金相談センターと年金事務所の関係の記載なのですが、例えば年金事務所から機構の本部に対しても疑義照会やっていると思う。市のほうからも年金事務所にいろいろと疑義照会やっている。例えば、今、年金事務所から機構の本部に対する疑義照会やったときの回答に対する標準タイムがどのくらいというふうに、目標が設定されているのか、それに対して、実際どの程度の期間で応答できているのか。これは今回の業務実績報告書の中で、そういう評価の項目はなかったから記載がないということなんでしょうか。
 私は、この後の議論にもなりますけど、22年度においては、そういう年金事務所から機構本部に対する疑義照会についても標準タイムを設定して、それに対してどの程度の期間で回答できているのかという評価項目も設定すべきと考えている。いずれにしても、21年度は年金事務所から機構本部への疑義照会の標準タイムなどの設定があったのか、なかったのかについてお伺いしたい。
 以上です。
(事業企画課長)
 年金局でございます。1点目の評価の問題につきましては、長沼委員、まさに御指摘のとおり、あくまでも今回の評価は21年度の評価でございますので、22年1月から3月までの実績に対する評価でございます。
(本田部会長)
 今の2点目、お答えはありますか。
(日本年金機構理事(事業管理部門担当))
 事務所から御照会いただいたら、目標としては内部的なルールですけれども、2週間を目途にお返ししようということですが、なかなか機構発足直後の状況でございますので、その期間は、昨年度に関しては守られていないという状況でございます。
(長沼委員)
 1点目については了解しました。2点目の2週間を目途に回答するということですが、例えば22年3月末現在で、どのくらいの疑義照会の件数のうち、どの程度が回答できているのか、という数字について教えていただきたい。
(日本年金機構理事(事業管理部門担当))
 資料を整理して、またお示ししたいと思います。
(木間委員)
 73ページの「情報公開の推進に関する事項」ですが、右側の2つ目の「○」のところに、年金記録問題への取組状況については、その進捗状況を毎週公表するとあります。定量的に数値だけで判断するなら毎週公表ということでよいことになるのでしょうが、その質についても考慮するという御回答が先ほどございました。そうなると、例えばきょうの資料にはないのですが、毎週公表しているものを私今持っています。これを見ますと、報道関係者各位とありますから、報道関係者の方がわかればよいのかもしれませんが、一体これは誰を対象に公表しているのでしょうか、とても難しい内容です。表に説明がありません、グラフに説明がありません。よく読めということなのかもしれませんが、せめて1ページのところに、毎週大変かもしれませんが、ポイントを1つとか2つでもあるとわかりやすいと思います。例えば5,000万件の未統合記録とあって、備考のところに、2行ぐらいありますが、そういうものをポイントのほうに持ってきたらわかりやすくなると思います。
 それと毎週、事例が掲載されているのですが、この事例を読むのが大変です。これは一体誰が読むのだろうと思うのですが、読むと、職員の方がこんなに努力なさっておられるのかということがわかります。まず、何が書いてあるのか、見出しを書く。見出しになるようなことは概要というところに書いてありますね。これを見出しにもってきて1行ぐらいで書く。それから経緯が、この枠の中に大体ワンセンテンスで書かれている場合がある。この枠に入れるために、そうせざるを得ないのかもしれませんが、もっと普通の人が読んでわかりやすい書き方をしてくだされば、ホームページを読む人は限られているかもしれませんが、御家族あるいは知り合いが、おじいちゃん、こういうことで回復できているよと教えることにつながるかもしれない。そうすれば情報は広がると思います。せっかく毎週皆さんが大変なご努力をなさって作成しておられると思いますので、もっともっとこれが活用されるような公表の仕方をしていただけたらと思います。
(石井委員)
 済みません、どうしてもこの後、他の評価委員会に出なければいけないので、あと15分ほどで退席をさせていただきます。
 今のわかりやすさという視点で、1つ可能であればお願いしたいのですが、例えば、業務実績報告書の25ページ、そこに「厚生年金・健康保険・船員保険の適用の促進」と書いてございます。右側の取組状況にかなり詳細な情報、結果コメントがございます。それに対して、最初に御説明いただいた個別評価シートイメージというのがございます。そちらの4ページのところを見ると、4ページの2段目のところ、「厚生年金保険等の適用については、未適用事業所を把握の上、促進すること」という記載がございます。中期の目標と計画と21年度計画と評価の視点というのがあって、こちらのシートに対して実績報告書で、計画と取組状況とございますが、なおかつシートのほうには評価というのがあるんですが、これとこれを1つにしていただいたほうがわかりやすい。
 多分一番最初の評価、評価部会という名前が適切かどうかもよくわからなくなりましたけれども、会議をしていく上で、同じような議論が出てくるだろうと。一言で言うと見づらいという議論が出る可能性がありまして、一緒にしていただけるととてもわかりやすいのかもしれないというようなことは、事務局には大変お手数なのですけれども、少し御検討いただいたほうが、時間効率がよくなるかなと思いました。済みません、よろしくお願いいたします。
(本田部会長)
 御意見として承りました。時間の関係もありますのであれなんですけれども、一応事業報告については、私のほうからも1点だけ、21年度は異常というか、3か月だけなんですね。財務諸表の後ろに出てきている21年度というのは、恐らく社保庁の業務と機構併せた資料になっているのだと思います。ただ、評価なり、また報告書は全て3か月間の内容になっておりますので、これを考えてみますと、3か月の一番の重要な事項だったのは、社会保険庁から年金機構に円滑に移行するということが最大の問題であったのではないかと思います。そこの点について、理事長から、この3か月間、円滑な移行ということに加えて、それぞれの業務をどうやったかということについて、一言、お願いしたいと思います。
(日本年金機構理事長)
 御配慮いただきましてありがとうございます。今、部会長、御指摘いただきましたように、1月~3月というのは、まさに旧社保庁から新しく年金機構という組織に切り替わりまして、その前の準備委員会でいろいろな機構の組み立てをつくっていただきまして、それをどうやってうまく回すか。それに腐心をいたした時期でございます。特に職員の方々が大きく身分が変わった方が全体の正規の方々の約9割。そこに民間の方々が約1割加わりまして、そういう人員構成でスタートをいたした時期でございまして、いろいろな意味で新しい組織をうまく回せるか。それを回す人たちの意識が切り替わるか。今でも両方ともこの段階で、6か月たっても、それが十全とは行かない状況でございますけれども、組織の運用と人の意識の切り替えというところに一番腐心をいたしたわけでございます。
 いろいろな意味で、よく言われます本部とブロックとその脇に事務センターもありますが、それから事務所、縦のいろいろな連携、いろいろなコミュニケーションのツールもさまざま用意いたしましたが、それらが十全に機能したかというと、まだその段階でなくて、かつ基本的な縦の本部・ブロック・事務所の縦の導線もきちんとつながっていたかというと、まだそうでなかったような実感というふうに存じます。いろいろな課題がこなせたかというと、そこは今いろいろ御指摘いただきましたけれども、それが十全にお応えできた時期ではなかったかと思います。
 その1~3月の反省を踏まえて、4月以降、さらにいろいろな課題を抱えながら、職員全体で、これ以上、問題を起こさないように、かつ今までの問題をクリアして、まさに信頼を回復できるように一丸となって奮闘しているところでございまして、その点を御理解賜れば幸いかというふうに存じます。
 ありがとうございました。
(本田部会長)
 それでは、事業報告につきましては、一応以上にいたしたいと思います。ただ、事務局のほうと機構両方にお願いしておきたいと思います。全体的には、ただいまの質問なり御意見の中で、委員の方々から御指摘があった事項等についても、評価書をつくるに当たって反映をいただきたいと思います。その上で機構のほうにお願いしたいのは、今日、かなり前向きに、報告書についてこういうことを盛り込むべきだという意見が出ました。非常にうまくはできているんですけれども、やや、我々民間的な視点からいきますと、事業報告書という非常に細かくはなっているけれども、一般情勢も含めて、総括してどう考えるか、その背景はというようなことも含めて考えて欲しいと思います。木間委員からの、「せっかくああいう発表されているのであればわかりやすいようなものにしてください。」といったものを含め、いろんなアドバイスがあったと思いますので、ぜひそこらを反映していただきたいと思います。
 それでは、次にその他事項ということでございますが、事務局のほうから、まずお願いします。
(事業企画課長)
 それでは、第4回の評価部会におきまして御質問いただきました点で、後ほど御回答するというお答えをさせていただきました点がいくつかございました。恐縮でございますけれども、西沢先生からいただきましたものとしまして、国民年金収納率につきまして、市町村との連携状況についてわかる資料という御指摘いただきましたので、資料3-1を用意させていただきました。
 また、大山部会長代理から、コンピュータ記録と紙台帳の突合せにつきまして、全体計画などについて説明する資料の求めをいただきましたので、資料3-2を用意させていただきました。
 それから、岩瀬先生からは、22年度の行動計画の策定につきまして、本部と事務所の連携状況がわかるような資料、もう一つは、国民年金の収納対策につきまして、社会保険庁時代の対策の概要についてわかる資料をお求めいただきましたので、資料3-3と3-4の御用意をさせていただきました。
 それから、西沢先生からは厚年保険料の収納率につきまして、マクロ経済ファクター等々の関係を分析できないかという御質問いただきました。
 大変恐縮でございますが、時間も若干押しておりますので、御要望いただきました資料につきましては、お手元にお配りした資料でございますけれども、御不明な点がございましたら、恐縮でございますが、個別に事務局に御照会していただきましてお答えをさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
(本田部会長)
 それでは、今、事務局からありましたように、時間の関係もございますので、個別資料については御不明な点があったら、事務局に問い合わせていただくということで次に進ませていただきます。
 長沼委員。
(長沼委員)
 (国民年金の収納に関し、市町村との連携状況がわかる資料についてという西沢委員が指摘した)前回の会議録、私も見させていただきました。本日、部会長の御承認がいただければ、志木市が厚生労働大臣に対して行った「平成21年度国民年金事務費交付金等交付申請書」について配付させていただきたいと思っています。これは、資料3-1とは違った視点で、法定受託事務の事務費がこういう形で、精算が行われているということを示すものです。差し支えなければ、後でお配りさせていただきたい。
(本田部会長)
 ありがとうございます。
それでは、前回の評価部会以降の主な動きにつきまして、事前に送付してあります「年金記録問題の対応の実施計画(工程表)」と「平成22年度計画」につきまして、年金機構より御説明いただきます。特に工程もですが、22年度計画もスタートしていますが、そこについて、よろしくお願いいたします。
(日本年金機構記録問題対策部長)
 記録問題対策部長でございます。座って御説明させていただきます。
 お手元の資料4-1に「工程表」というものがございます。これは記録問題につきまして、具体的な数値目標、期限とかのスケジュールを入れて対応していこうということで、年金機構になりまして初めて作成しました。3月に作成して今実施中でございます。4-1のところに、裏表、表がございますので簡単にこれで御説明させていただきます。
大きく申し上げまして、この7月末を目途に1つ作業を進めております。ねんきん特別便、去年の3月までにお送りいただいたものを今月末に処理をするとか、あるいは市区町村の御協力いただいて、今、フォローアップ照会というのをやっておりますが、これを7月末を目途に確認作業を行うとか、こういう作業を実施しております。それ以外の項目につきましても、ことしの年内12月末を目途に作業をするとか、あるいは裏にまいりまして、先ほどお話がありました紙台帳とコンピュータ記録の突合せにつきまして、今、国民年金の特殊台帳について作業をほぼ終えたところでございますけれども、秋からは本格的に全国29か所の拠点で実施していくと。こうしたそれぞれの事項毎にスケジュールを設定して作業を進めております。そういう状況でございます。
(本田部会長)
 22年度の計画もお願いします。
(日本年金機構経営企画グループ長)
 それでは、引き続きまして、平成22年度の年度計画につきまして資料4-3でございます。時間の関係もございますので、主に21年度計画との関係で追加をされた部分などを中心に御説明を申し上げたいと思います。
 まず年金記録問題の対応に関する事項でございますが、これは今ほど説明のございました記録問題工程表でかなりの工程を目標なりスケジュールを具体化をしておりますので、基本的にはそれを反映したような中身になっております。例えば(4)の紙台帳検索システムによるコンピュータ記録との突合せの関係につきましては、いつまでに何をやるといったようなことの計画になっております。
 また、再裁定の関係につきましても、3か月程度で処理をするという具体的な目標をここで年度計画としては初めて掲げているというような状況になっております。
それから、(7)の年金記録を即時に確認できる仕組みにつきましても、具体的な23年度末までに確認できるようにするというようなスケジュールを明記をしたものになっております。
それから、新たに追加事項といたしまして、(8)の厚生年金基金記録との突合せの関係、22年4月から1次審査を開始をしていき等々のこと。
(9)のところで、先ほども少し話題になりました基礎年金番号の重複付番の解消の取組というものを具体的に位置づけております。
それから、?Uの「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」の関係でございますが、(2)の厚生年金の適用の関係につきましては、機構全体及び各年金事務所毎に平成22年度行動計画を策定をするということで、現在この行動計画の策定は完了しておりますけれども、事務所毎の計画をつくって取り組むというようなことを位置づけをしております。
同様に、4ページでございますが、国民年金の納付率の向上の関係につきましても、年金事務所毎の行動計画を策定するというような内容になっております。それから、数値目標につきましては、ア以下に書いておりますけれども、最終納付率につきましては、2年間で4~5ポイント程度上積みをすると。それから、21年度分につきましては、1年分の上積み努力ということになりますので、これについては2~3ポイント程度の伸び幅を確保するということにしております。現年度納付率につきましては、前年度と同程度の水準を確保するということで、中期計画全体としましては、21年度納付率を底として回復を図っていくというような目標になっておりますが、22年度の年度の計画としては、前年度水準の維持・向上というようなことになっております。
それから、?Bのところで、市場化テスト受託事業者との連携ということで、先ほどの実績報告の中でも触れましたけれども、今後の取組についての連携・強化等に触れております。それから、?C強制徴収の関係につきましては、ブロック本部と事務所の連携を密にした対応。それから、厚生年金保険法上、国税庁に委任する仕組みが創設をされておりますので、そういったものについても適切に活用するといったことに触れております。
それから、6ページの(2)厚生年金等の徴収対策の関係でございます。これも厚生年金の適用、国民年金の収納関係と同様に年金事務所単位の行動計画を策定をするといったことを盛り込んでおります。
それから、給付の関係につきましては、?@のイのところで、先ほども触れました障害年金の裁定の処理の短縮化といったようなこと。?Cの年金受給にできる限り結びつけていくための取組というようなことで、先ほども御説明しましたが、ウ、40代以上(主婦)に重点を置いた、合算対象期間等の周知による受給に結びつけていく取組などについても位置づけております。
年金相談の関係につきましては、概ね21年度計画で書いている内容とほぼ同様でございます。
それから、9ページのお客様の声の反映の関係でございますけれども、新たに事項として明記をしたものとして、?Aお客様向け文書の改善というようなことで、これは21年度計画では、個別具体的には触れておりませんでしたが、計画上の重要な取組として位置づけをしております。
それから、10ページで、窓口サービスの改善の関係でございますけれども、できるだけ10か条をスローガンだけではなくて、実際にどう取組の実績が上がったかということを客観的に評価するための覆面調査の実施を予定しておりますので、そういったことの盛り込みをしております。
それから、効率化の関係につきましては、1.外部コンサルティングを活用した検証ということを22年度予算措置もされておりますので、そういった手法も用いた検証の取組。また、人員の関係につきましては、平成22年10月から基本計画に基づきまして、定員削減が予定をされておりますので、そういったことの盛り込みをしております。
それから、12ページの5の効率化の関係でございますけれども、先ほどもちょっと触れました競争入札の割合につきましては、中期計画上の目標と同様、80%以上の水準、また、調達計画額の実際の執行額の効率化目標につきまして、10%程度の削減といったような数値目標を掲げております。
それから、最後の内部統制の関係につきましては、21年度はいわば仕組みの基盤を整備するという時期でございましたが、22年度はそれを具体的に展開をしていくというようなことでリスク管理、コンプライアンス確保のための調査なり研修の実施。また、リスクの関係ではリスクアセスメント調査の実施、年金支払テープの移送訓練の実施などを盛り込んでおります。
13ページの情報公開の関係でございますけれども、今後、年次報告書、いわゆるアニュアルレポートというものを作成し発信をしていきたいと思っております。できるだけお客様目線に立ったわかりやすく、かつ一覧性のあるものとしていきたいということで現在作業を進めている状況でございます。
その他、14ページ以降、人事・人材の関係、個人情報の関係等々を盛り込んでおります。はしょった説明で恐縮でございますが、以上でございます。
(本田部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、今、2点の報告につきまして、何か御質問がありましたら。
(西沢委員)
 年度計画で、やや抽象的かもしれませんけれども、根本的な問題は、皆さんの日本年金機構が扱う年金というプロダクトといいますか、商品の性格づけがあいまいなことが根本的な重要な問題だと思っていまして、先ほど国民年金のパンフレットでも、メリットばかりが過度に強調され過ぎていると思いますけど、一方で賦課方式の年金財政なので、年金保険料を払うのは義務であるわけでして、時には毅然と払わない人に対しては立ち向かう必要もあるというのが公的年金制度だと思いますけれども、日本年金機構になったということによって、お客様目線という丁寧な対応は大変いいことだと思いますけれども、そうでなくて、賦課方式で払う義務があるという毅然とした態度をもって臨む制度であることもまた一方で間違いないはずであって、そこを過度にソフトな対応になってしまわないよう、線引きは非常に難しいと思うのですけれども、する必要があると思います。
(石井委員退室)
 これと関連して、先ほどの国民年金のパンフレットも、いいところばかりが過剰に、私から見るとうそも含めて書いてありますけれども、そうではなくて、障害年金や終身年金があるといったことは非常にメリットだと思いますが、一方で、賦課方式で少子高齢化の中で義務であるといった側面をもっと強調しておかないと、強制適用などの存立基盤を失うことにもなりかねないと思いますので、どういったプロダクツを皆さんが扱っているかといったことは一回きちんと定義しておいたほうがいいと思います。
(本田部会長)
 貴重な御意見で、御指摘の点は厚生労働省の大事な問題だと思いますね。機構の場合には運営を委託されていくわけですけれども、まさに今のお話は、国民の義務というか、それをちゃんともうちょっと言うべきではないかといった御意見でもあると思いますので、これは厚労省のほうが、より大きく受けとめていただきたいという御意見だろうと思います。それでよろしいですか。
(西沢委員)
 はい。
(本田部会長)
 それでは、時間でもございますので、「その他、最近の動き」につきまして、事務方からお願いいたします。
(日本年金機構経営企画部長)
年金機構の経営企画部長でございます。参考資料ということで、「最近の動きについて」ということで資料をまとめてございます。恐縮でございますが、簡単に要点のみ御説明をさせていただきます。
まず初めに紙台帳とコンピュータ記録との突合せ業務の入札に関しまして、先ほど岩瀬委員からも御指摘がありましたけれども、いくつか動きがございます。記者発表した資料をまとめてつけてございます。1ページ目から、これが一番初めに6月8日に出した情報ということでございますけれども、一番初めは紙台帳とコンピュータ記録との突合せ業務の入札に関しまして、実施場所の不動産情報が事前に流れていたのではないかということが最初に出てきたわけでございます。
その後、それを調べていきましたところ、9ページ目以下が次の記者発表でございますけれども、当該職員のメールの更新記録というようなものを復元していくという作業の中で、次に入札の仕様書の案が官報公示前に一部の業者に送付をされていたというような事実がわかってきたということでございまして、その次の14ページ以下が、3回目の公表ということでございまして、私どものほうで残っておりますメールの復元ということが終わった時点で発表したところでございますけれども、その特定の業者に仕様書の案に加えて予算の関係の資料といったようなことについても流れていたことがわかったというところでございます。
先ほど岩瀬委員からも御指摘ありましたけれども、これは私どもの職員の問題ではありますが、私ども自身がこの入札による契約の一方当事者でもございまして、相手方もあるということでございますので、これにつきまして、第三者による検証ということをお願いしようということで、19ページに、第三者検証の場の設置ということでの発表をつけてございます。こういうメンバーで今般の事案、どうしてこういうことが起こったのか、再発防止、入札に関する取扱いにつきまして検証をお願いしているところでございます。私どもとしても、できるだけ早くこれについてのお考えというものをまとめていただきたいということで、この第三者検証会議にお願いをしているというところでございます。
それから、2点目でございますけれども、その裏の20ページ目からでございます。これも先ほどの報告書の中でも出てきたところでございますけれども、厚木年金事務所、江東年金事務所でございますが、第三者委員会のほうに回すべき資料について、回さないでためてしまったというようなことがわかったということが判明をしたところでございます。特に厚木の事案につきましては、単に遅れたということだけではなくて、遅れたものについて、いわば不正に自分のところで訂正をしてしまったというようなこともわかったということでございまして、これについての、どういうことだったのかということがこの資料につけてございますけれども、私どもとしても、先ほど話がありましたように、特別自主点検、あるいは特別監査というようなことを行ったところでございますけれども、こうしたことを含めまして、再発防止ということでしっかり取り組まなければいけないということで、事務処理誤りの再発防止策につきまして、事務処理誤り全件を機構になってから毎月公表するということでやってきているわけでございますけれども、そのときから再発防止策を取りまとめるということで対策を考えてきているところでございますけれども、こうしたことも踏まえて、再発防止策というものについて、今月中を目途に取りまとめるということで取り組んでいるところでございます。
それから、3点目でございます。25ページ目の、これまた記者発表資料をつけてございますが、私ども日本年金機構の事務センターで、まさに数字や文字の入力業務というところについて派遣職員にお願いをしてやってきたというところでございますけれども、派遣の業務、派遣の対象になっている26業務というものがございますけれども、それの運用の実態について、厳格な運用を図っていくということで、各地労働局での取組が進められていると承知をしておりますけれども、東京労働局のほうから是正指導を受けたということでございます。
これを受けまして、私どもとしては、この10月からこうした入力業務について請負に切り替えるということで準備をしているところでございます。これから労働局とも十分に相談をしながら進めていきたいと考えてございます。
それから、4点目で、これはサービスコンテストということで、27ページに、これば6月26日にサービスコンテストというものを実施いたしまして、実施をいたすということで、その前にこういうことをやりますということでのプレスリリースで配ったものを資料でつけているところでございます。全国の年金事務所からサービスでこういう工夫をして取り組んでいるというものについて報告をいただきまして、そういう中から優秀なものを選んでいくということをやったところでございます。一部報道で率直に申しまして、まだまだこの程度のものでコンテストということで上げてきているということでの御批判もちょうだいいたした。率直に申しまして、我々報告書の中でもありましたように、サービスの充実ということに向けてまだまだ発展途上の取組だと思っております。
そういう中での状況でございましたけれども、各地の年金事務所での積極的な取組ということについては評価をして、少しでも全体として、またいい取組を広げるといったようなことをしまして、全体のサービスを向上していきたいと考えて取り組んでいるところでございます。その一端の御紹介ということでございます。
(総務課長)
 引き続きまして、年金局の総務課長でございますが、29ページにございますように、先回の当評価部会におきまして、将来の無年金・低年金の発生防止の観点で、例えば国民年金保険料の納付可能期間の2年から10年に延長する等の法案を3月に国会に提出させていただいたところでございます。これにつきましては、その後、国会の中でいろいろ他の予算に関連する法案等々審議の順もございまして、結論から申しますと、いわゆる年金確保支援法案につきましては審議に入っていただくことができなかったということでございます。法案は現在衆議院のほうに提出されておりまして、これは継続審議という扱いになっておりますので、次、国会が再開される段におきましては、私どもできるだけ早期の審議、あるいは成立ということでお願いをしてまいりたいということでございます。
(本田部会長)
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、何か御質問ございますか。
(岩瀬委員)
 仕様書だけでなくて予算関係の資料も漏れていて、相手があるから、自分で判断できなくて、委員会に頼んで判断を求めるというのはどう考えても私理解できないんです。こういう情報を漏らした職員に対する処分というのは厳しくなされるべきだと思いますけれども、それは司法判断を待ってやるというのはわかるんですが、機構が発注しているわけですよね。こういう不正がまた行われて。
もう一つ、お聞きしたいのですけれども、これを発注して入札というか、落札した業者との関係では全部業務は凍結しているんですか。そうではなくて入札したところは秋の突合せに向けて業務はスタートしているんですか、どちらなんですか。
(日本年金機構副理事長)
 ちょっと補足して御説明させていただきます。先ほど事実経過は経営企画部長のほうから説明させましたけれども、機構として第三者に丸投げということでは、私どもとしてもきちんと事案の検証をしなければいけないし、例えば職員の意識とかそういうところも含めて改革すべきところは、自分たち自身としてよく見きわめてやっていかなければいけないと思っているということをまず最初に申し上げました。
その上で、今回の入札のものについて、一応札が入った状態で、落札した人は決まった状態ですけれども、私どもとしてはまだ正式に、これは全者そうなんですけも、契約を締結というか、契約に判こを押してないという今状態にしてございます。そういう状況の中で、それぞれいくつかの事業者が落札しておりますので、それをどういうふうに評価するか。いわゆるそういうものにどういった影響があったのかということも含めて、私どもとしてももちろん議論しなければいけないと思いますけれども、私どもの目だけではなくて、第三者の検証も踏まえて、そこは整理をしたいと思っております。できるだけ早く、いずれにしても答えを出していかなければいけない事柄であるというふうに思っているところでございます。
(本田部会長)
 それでは、本日の議題は全て終了いたしましたので、次回の日程等につきまして、事務局のほうからお願いいたします。
(事業企画課長)
 次回の日程につきましては、委員の皆様にあらかじめお時間をお伺いさせていただきまして、8月2日(月曜日)10時からを予定しております。場所につきましてはまだ省内で調整中でございますので、改めて正式に御案内を差し上げたいと思っております。また、それまでの間に、当日提出させていただきます評価書の案につきましては、電子メールなどを活用いたしまして、事前に直ったものを皆様見ていただきましたところで、8月2日の日に御審議をお願いしたいと思っておりますので、お手数かけしまして恐縮でございますけれども、よろしくお願いいたします。
(本田部会長)
 それでは、本日の会はこれで終了といたします。長時間ありがとうございました。


(了)

(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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