2023年3月23日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会 議事録

日時

令和5年3月23日(木)
15:00~17:00

場所

オンライン会議
事務局設置場所:AP虎ノ門会議室 C室

出席者

委員

参考人

岡本京都府山城北保健所衛生課長
山内新潟県福祉保健部生活衛生課副参事
丸山東京都福祉保健局健康安全部食品危機管理担当課長

事務局

三木食品監視安全課長
福島食中毒被害情報管理室長
他3名

議題

  1. (1)令和4年食中毒発生状況について
  2. (2)令和4年に発生した主な食中毒事件について

議事

議事内容

○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会」を開催いたします。
 本日は、お忙しい中、御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本日、進行を務めさせていただきます食品監視安全課食中毒被害情報管理室の吉原でございます。よろしくお願いいたします。
 本年度におきましても、オンラインと対面のハイブリッド形式での開催とさせていただきます。また、本日の内容は、YouTube配信による公開での開催となっております。恐れ入りますが、オンラインで御参加されている委員の皆様、ビデオのほうをオンにしていただいてもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、開会に当たりまして、食品監視安全課長の三木から御挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
○三木食品監視安全課長 皆様、こんにちは。食品監視安全課長の三木でございます。日頃から、委員の皆様には食品衛生行政に御理解、御協力をいただきまして、誠にありがとうございます。また、本年度から、神村委員、鈴木委員、前田委員、水越委員、渡邊委員が新しく委員となっていただいております。また後ほど御紹介と御挨拶いただくことになっておりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の議題1つ目は、令和4年の食中毒発生状況について事務局のほうから御紹介させていただきますけれども、昨年と比較いたしまして食中毒の事件数は多少増えておりますけれども、500名を超える大規模食中毒は発生しておらず、また患者数も減少しているという状況でございます。新型コロナ感染症の関係で、飲食店の営業時間の制限であるとか、会食における人数制限といったものが緩和されつつありますけれども、こういった状況と食中毒の発生状況を分析するというのは、なかなか難しい状況となってきておりますけれども、皆様から忌憚のない御意見をいただければと思っております。
 また、議題の2つ目は、令和4年に発生した主な食中毒事件についてということでございまして、京都府の山城北保健所衛生課の岡本課長、新潟県福祉保健部生活衛生課の山内副参事、東京都福祉保健局健康安全部食品危機管理担当課の丸山課長に参考人として御出席いただき、それぞれ発生した食中毒の状況について御報告いただくということになってございます。
 本日、この2つの議題で御審議いただくことになっておりますけれども、皆様からいろいろ御意見を頂戴いたしまして、今後の食中毒対策につなげていきたいと思っておりますので、本日はよろしくお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 次に、委員の一部改選がございましたので、委員名簿を御覧ください。本年度及び今般の部会より新規委員に就任された方を御紹介させていただきます。新規委員の方におかれましては、一言御挨拶をいただければ幸いです。
 本年度、新規委員となられました公益社団法人日本医師会常任理事、神村委員、お願いいたします。
○神村委員 神村でございます。
 食品安全のほうでは、これまで多少、国の委員会に参加したりしておりましたけれども、食中毒部会、様々な事件があると思いますので、日本医師会のほうに持ち帰りたいと思います。今日は、どうぞよろしくお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 続きまして、越谷市保健医療部生活衛生課課長の鈴木委員が今回から委員となられましたが、本日は欠席とさせていただいております。
 続きまして、長崎県県央保健所所長、藤田委員、お願いいたします。
○藤田委員 長崎県の県央保健所で所長をしております藤田と申します。
 今回は、全国保健所長会の代表ということで参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 続きまして、一般財団法人消費科学センター企画運営委員の水越委員、お願いいたします。
○水越委員 消費科学センターの水越と申します。今年度より参加させていただきます。消費者向けの教育活動を担当しておりますので、こちらの部会で得た情報とか知識をシェアしながら、また消費者の意見をこちらの部会のほうへも届けたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 続きまして、国立研究開発法人水産研究教育機構水産技術研究所環境・応用部門水産物応用開発部安全管理グループ主任研究員、渡邊委員、お願いいたします。
○渡邊委員 水産研究教育機構の渡邊龍一と申します。
 今年度から委員を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございました。
 次に、事務局の異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 令和4年4月に食中毒被害情報管理室長として福島、10月に食中毒被害情報管理室長補佐として吉原が着任しております。よろしくお願いいたします。
 本日の部会は、16名の委員のうち13名に御出席いただいております。薬事・食品衛生審議会の規定に基づき、本部会は成立していることを御報告いたします。
 また、オンラインと対面のハイブリッド形式会議となりますので、初めにオンラインで出席される方へのお願い事項について説明いたします。円滑な進行のため、次の点について御対応いただきますようお願いいたします。発信者以外は、マイクをミュートに設定をお願いいたします。発信されたい場合は、画面下のリアクションのところから「手を挙げる」マークを使用して発言の意思をお伝えください。「手を挙げる」マークを確認しましたら、座長または事務局より指名させていただきます。指名された方は、ミュート設定を解除して御発言ください。また、お手数ではございますが、発言の冒頭でお名前をお伝えください。発信が終了いたしましたら、再びミュートの設定をお願いいたします。
 また、本日、対面で出席されている方の発言につきましても、オンラインと同様に、発言の冒頭でお名前をお願いいたします。
 それでは、以降の進行を部会長に議事を進めていただきます。よろしくお願いいたします。
○五十君部会長 皆さん、こんにちは。今回もハイブリッドという形式で開催させていただきます。トラブル等ないように進行させていただきたいと思いますが、御協力、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、早速議事に入りたいと思いますが、初めに、事務局より配付資料の確認をお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 本日の資料につきましては、事前にURLを送付させていただいております。厚生労働省のホームページに掲載させていただいておりますが、資料のほうは、議事次第、委員名簿、資料1「令和4年食中毒発生状況(概要版)」、資料2「令和4年食中毒発生状況」、資料3「東京都における現状と取組-ウエルシュ菌について-」、資料4「新潟県における植物性自然毒食中毒への対応」、資料5「生食用食肉による腸管出血性大腸菌0157集団食中毒事件について」となります。資料の不足や不具合等はございませんでしょうか。不足や不具合等がある場合は、挙手、またはオンラインで御出席の方は、画面下のリアクションのところから「手を挙げる」マークを使用してお知らせください。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。特にお手を挙げている方もいらっしゃらないようですので、それでは、議事に入りたいと思います。
 初めに、1といたしまして「令和4年食中毒発生状況(報告)」につきまして、資料1及び資料2に基づき御報告させていただきます。令和4年食中毒発生状況について事務局から説明をお願いいたします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございます。
 それでは、資料1、2に基づき説明させていただきます。
 まず、食中毒事件数ですけれども、令和4年は、事件数といたしましては961件、患者数といたしましては6852名、お亡くなりになられた方は5名となっております。冒頭でもお話しさせていただいたとおり、事件数につきましては、令和3年と比較いたしまして増加しておりますが、患者数につきましては6852名ということで、減少傾向となっております。お亡くなりになられた事例については、また後ほど御説明いたします。
 続きまして、患者数2名以上の事例について御報告させていただきます。令和4年次は、事件数が367件、患者数といたしましては6258名、お亡くなりになられた方は1名となっております。事件数につきましては、例年と同水準程度となっております。しかしながら、患者数につきましては、過去2年と比較いたしましても減少している状況となっております。
 続きまして、患者数500名以上の食中毒事例について御報告いたします。令和4年は500名を超える食中毒事例がございませんでした。なお、令和3年につきましては、富山市による牛乳の事例、倉敷市によるお弁当の事例で、いずれも2000名程度おりまして、その2事例を合わせて4000名強の患者が出ましたので、令和4年は大規模な食中毒が減った分、全体の患者数が減っているという状況は見られると思います。
 続きまして、お亡くなりになられた事例ですが、1番、3番、5番のとおり、植物性自然毒によるものが3名となっております。
 また、2の青森県のふぐによる動物性自然毒によりお亡くなりになられている方が1名いらっしゃいます。
 また、本日、最後に御紹介いただきますが、京都府のいわゆるレアステーキによる腸管出血性大腸菌による食中毒により1名の方がお亡くなりになっております。
 続きまして、年齢階級別食中毒患者数について御報告いたします。こちらにつきましては、令和4年は青の棒線になっておるのですけれども、例年よりやや低い傾向になっている。一方、70歳以上に関しましては、例年よりやや増加傾向にあるという状況となっております。こちらについて、食中毒の内容を確認したところ、施設によるノロウイルスによる食中毒やウエルシュによる食中毒が確認されております。
 続きまして、月別の発生状況となっております。令和4年は、1月から3月にかけてコロナによる時短営業等を行っていた状況もございまして、1月から3月については、過去と同水準となっております。それ以降につきましては、件数としては昨年よりも増加傾向となっている状況となっております。
 続きまして、病因物質別事件数の月別の発生状況となっております。こちらのグラフを見ていただくと分かるとおり、令和4年は一番右となっておるのですが、冬場にウイルスによる食中毒、夏場に細菌による食中毒、年間を通じて緑のグラフの寄生虫による食中毒が発生している状況となっております。また、春と秋口に植物性自然毒による食中毒が見られる傾向となっておりまして、こちらの傾向は例年どおりとなっております。
 続きまして、こちらが2名以上の病因物質別の事件数となっております。こちらにつきましては、先ほども御説明したとおり、4月以降、件数は増えているような状況となっておりますが、令和2年と比較すると、令和4年は若干少ないところで推移しているような状況となっております。
 続きまして、病因物質別患者数の月別発生状況となっております。こちらに関しましては、令和4年は一番右となっておるのですけれども、令和2年、令和3年はかなり大規模な食中毒も発生しておりまして、突出するようなグラフとなっておりますが、令和4年は過去2年と比較すると突出するようなデータとはなっておりません。
 続きまして、原因施設別の事件数について御報告させていただきます。ここで一番確認いただきたいのは、飲食店による食中毒が39.4%を占めております。飲食店による食中毒は、例年、件数として多い傾向になっておりまして、令和4年も同様に多い傾向になっております。
 また、こちらの表の家庭と不明を合わせると約45%あるのですけれども、その多くはアニサキスやカンピロバクターによる食中毒ということが確認されております。
 続きまして、患者数2名以上の原因施設別の事件数について御報告いたします。こちらは、飲食店による食中毒が63.5%となっておりまして、昨年は57.6%でしたので、こちらから見ても飲食店による食中毒は増加傾向となっているという状況が確認できます。
 続きまして、原因施設別の患者数について御報告させていただきます。こちらで特に見ていただきたいところといたしましては、事業場で13.8%、仕出屋で19.3%、約半数が飲食店という傾向となっております。こちらについては、ウエルシュやノロウイルスによる食中毒が影響して、事業場や仕出屋のパーセンテージを上げている要因として考えられます。また、飲食店につきましては、カンピロバクター等による食中毒もよく見られておりますので、昨年と比較すると、患者数としては、昨年が23.9%でしたので、かなり増えているという状況が確認できます。
 こちらは2人以上の原因施設別の患者数となっております。先ほどと同様に、事業場、仕出屋、飲食店でかなりの患者数となっている状況となっております。
 続きまして、原因食品別の事件数について御報告いたします。令和4年は、魚介類による食中毒の事件数が40%となっております。昨年は31.1%となっておりましたので、魚介類による食中毒の事件数が増加傾向にあるということが確認できております。
 また、不明、その他について簡単に御説明させていただきますが、その他につきましては、多くの食品、セットメニューが出されておりまして、個別具体的にどの食事というものが原因か分からなかったのですが、何月何日の食事であるということが確認できているものについては、その他と。逆に、特定もできないような状況の場合は不明という形となっております。
 続きまして、患者数2名以上の原因食品別事件数について御報告いたします。こちらにつきましては、その他による食中毒事例というものが非常に多かった状況となっております。その他についてですが、昨年も57.1%となっておりますので、今年もあまり変わらないようなところで推移しているということが確認できます。
 続きまして、原因食品別患者数について御説明させていただきたいと思います。こちらにつきましては、昨年はその他による食中毒が61.1%であったのですけれども、今年は45.6%ということで、減少傾向になっております。特に、このグラフの中でよく見ていただきたい点といたしましては、魚介類が昨年3.0%でしたのが、10.9%ということで増加傾向になっております。こちらの魚介類が増えているところについては、また後ほど御説明いたします。
 続きまして、2名以上の原因食品別患者数について御報告いたします。特に注目していただきたいところといたしましては、複合調理食品が28.6%となっておるのですが、昨年はこちらが9.7%となっておりました。さらに、その他に関しましては、昨年は63.2%、今年は49.9%という状況なのですけれども、2名以上の原因食品別患者数で見ると、複合調理食品とその他が大半を占めるという状況となっております。
 続きまして、病因物質別事件数についての推移を御報告いたします。こちらは、オレンジ色の線となっておるのですけれども、一番件数が多かったものはアニサキスによる食中毒が増加傾向にあるという状況でございます。その他に、カンピロバクター、ノロウイルス、ウエルシュ等については、例年と同水準、もしくはやや減少傾向にあるという状況となっておりました。アニサキスの件数が増えている要因といたしまして、いろいろな自治体の方とお話しをすると、お医者さんのいわゆるアニサキスの食中毒の認知度が高まっており、実際に胃カメラで虫体を取り除くと、食中毒として報告してくれるケースが多くなっているというお話を聞いております。
 続きまして、病因物質別患者数の推移について御報告いたします。右端になりますけれども、患者数として多いものは、1位がノロウイルス、2位がウエルシュ、3位がカンピロバクターという状況となっておりまして、こちらについては、例年と同水準であるということが確認できます。
 続きまして、病因物質別患者数の細菌のみを抽出させていただいたグラフとなっております。こちらを見ていただくと分かりますとおり、細菌で見ると、ウエルシュ菌による食中毒の患者数が一番多い。続いて、カンピロバクターという状況を確認することができます。また、この後、東京都の方からウエルシュ菌の対応等については御報告いただけると思いますけれども、ウエルシュ菌による食中毒患者が意外といるという状況が確認できます。
 続きまして、病因物質別事件数について御報告いたします。こちらは、令和4年は961件確認されておりますが、アニサキスによる食中毒が全体の58.9%となっております。昨年は48%となっておりましたので、こちらを見ても増加傾向にあるということを確認することができます。
 続きまして、患者数2名以上の病因物質別事件数の発生状況について御報告いたします。2名以上となりますので、アニサキスによる事例が減るのですけれども、逆に、右やや上のウエルシュ菌、真ん中下のカンピロバクター・ジェジュニ/コリ、ノロウイルスによる食中毒の事例が多く確認できているという状況となっております。
 続きまして、病因物質別の患者数について御報告いたします。特に、グラフの右側にあるウエルシュ菌、下にあるカンピロバクター、ノロウイルスによる食中毒というものは、一度食中毒になりますと複数の方がなる傾向になっておりまして、こちらでかなりの割合を占めているという状況となっております。
 2名以上の病因物質別の患者数の発生状況についても、先ほどのグラフと同様に、ウエルシュ、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、ノロウイルスによる食中毒の患者数が非常に多いということを確認することができます。
 続きまして、摂食場所から食中毒を見たものとなっております。今回のこちらのグラフにつきましては、摂食場所を家庭とする食中毒事件の月別の発生状況となっております。特に見ていただきたい点といたしましては、春以降、青色のグラフが伸びているところがあるのですが、こちらは食中毒の内容を確認いたしますと、アニサキスによる食中毒が多かったということが確認できております。また、10月も植物性自然毒による事件数が多くなっていたということが確認できております。
 そして、食中毒を見ていく上で、飲食店による食中毒の発生状況が多いということを先ほど御説明申し上げましたが、こちらが原因施設を飲食店とする場合の食中毒事件について、発生状況を示したグラフとなっております。1月から3月については、コロナによる時短営業等を強いられた関係で例年ベースとなっておりますが、春以降、令和4年の件数が増えているという傾向になっております。令和元年もございますけれども、令和元年、コロナに入る前と比較すると、同水準か、もしくはそれよりもやや低い傾向となっているという状況が確認できております。
 続きまして、原因施設のアニサキス食中毒事件の月別の発生状況となっております。こちらも、令和4年に関しましては、4月以降、例年と比較すると増えている傾向となっております。厚生労働省といたしましても、この春に向けて、Twitter等も活用しながら普及啓発していきたいと考えております。
 続きまして、原因施設(飲食店)のカンピロバクター食中毒による月別の発生状況となっております。こちらも1月から3月については、例年よりも低い傾向となっておりますけれども、それ以降は増えてきているということが確認できております。もしくは、令和元年のコロナ前よりもやや低い傾向となっているということが確認できます。
 続きまして、原因施設(飲食店)のノロウイルス食中毒事件の月別の発生状況について御報告いたします。令和4年は、特に令和元年と比較して見ていただくと分かるのですけれども、明らかにコロナ前と比較しますと低いところで推移している。一方で、令和2年、令和3年と比較すると、一部では増加傾向になっているという状況となっております。
 こちらの表は食中毒ではないのですけれども、ウイルス性胃腸炎、特にノロウイルス、サポウイルスによる検出報告数となっております。特に、青色のグラフと赤色のグラフについて御確認いただけると幸いでございます。その以前のピンク色や黄色の年と比較すると、近年は低いところで推移している状況となっておりまして、これはコロナによる手洗い等が普及されていった結果と思っております。引き続き、厚生労働省といたしましても、手洗いについては周知していきたいと考えております。
 こちらが最後のスライドとなるのですけれども、原因施設が飲食店または仕出屋であって、摂食場所がいわゆる家庭、テイクアウトとする場合の食中毒の発生状況となっております。令和4年に関しましては27件発生しておりますが、トータルの件数といたしましては961件ございます。このような割合の観点から見ると、テイクアウトによる食中毒がすごく増えているという状況ではないと認識しております。
 こちらのスライド以降は、参考資料となっております。私のほうから1点だけ追加で御説明させていただきたいところがございます。先ほど、アニサキスに関しまして普及啓発等を厚生労働省としても行っていきたいということで御説明させていただいたところですが、こちらのスライドは、アニサキスによる食中毒の予防で、SNS、Twitter等を通じて周知したものとなっております。
 こちらの一番右側のものが、つい最近、厚生労働省のTwitterで上げさせていただいたものとなっております。Twitterの閲覧数を見ていただくと分かるのですが、改訂する前は二千数百名だったのですけれども、実際に猫を活用して普及啓発を行ったところ、たしか300万を超えるような閲覧数となっておりまして、あまり見る機会がなかった方も見ていただいたというお話を聞いておりまして、厚生労働省といたしましても、引き続き、このように見ていただけるようなものをつくっていって普及啓発に努めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○五十君部会長 御報告ありがとうございました。
 ただいまの令和4年度の食中毒発生状況の御説明に関しまして、御質問等はございますでしょうか。
 それでは、大西委員、どうぞ。
○大西委員 鈴鹿医療科学大学の大西と申しますけれども、いろいろ教えていただき、ありがとうございました。
 まず、そこにアニサキスの食中毒のポスターが出ておりますので、それについてちょっと教えていただきたいのですけれども、「さらに冷凍・加熱が有効!」の四角で囲った、70度以上、または60度なら1分というところですが、70度以上だと何分なのでしょうか。後でもいいので、調べてお書きになったほうがよいかもしれません。
○福島食中毒被害情報管理室長 70度は1分間も必要ないということで、このように書いているのかと思うのですけれども、確認させていただきます。
○大西委員 何か入れておいたほうが親切かもしれません。
 それでは、ちょっと教えていただきたいのですが、スライドナンバー10から13までにある事業場というのは、具体的にはどういうところが多いのでしょうか。事業場というのは、具体的にはどういう施設が多いのでしょうか。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 そこの具体的な中身に関しましては、集計を取っていないので分かりかねます。申し訳ございません。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。これは、多分、食中毒統計で上がってくるので、その現場の判断ということになると思います。事業場で集団的に食品を提供しているような場合、事業場というカテゴリーになるかと思います。
 そのほか、御質問等ございますでしょうか。
 尾島先生、お願いします。
○尾島委員 詳細な御説明ありがとうございます。
 スライド15枚目などで、その他ということで、何月何日かは分かるけれども、どの食品かが分からないというのが結構多いのですが、以前に比べるとかなり増えているでしょうかというのと、その増えた原因として、どういう理由が考えられるかということで教えていただければと思うのですが。アニサキスとか、食品を調べても分からないようなタイプが増えたためなのかということが分かれば教えていただければと思います。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 ありがとうございます。
 こちらのその他に関しまして、特に15ページで御説明させていただきたいのですけれども、患者数2名以上の原因食品別の事件数ということで、その他があるかと思うのですが、こちらに関しましては、昨年は57.1%となっておりまして、今年は55.3%という状況でして、著しく増加傾向にあるというところではございません。
 また、その他に関しまして、実際の食中毒の病因物質を拝見させていただいたところ、カンピロバクターやノロウイルスによる食中毒というものがありました。また、病因物質がアニサキスというものも、この中に一部入っておりまして。すみません、間違えました。2名以上はアニサキスはそんなに数は多くないので、ほとんどがカンピロバクターやノロウイルスによるようなものが多くて、実際に飲食店に行かれて食べられている食事のメニューがかなり多いということもございまして、そのような状況から、なかなか特定に至っていないという状況が確認できております。
○尾島委員 ありがとうございます。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
 そのほか、御質問、御意見等がございましたら、お願いしたいと思います。
 どうやらアニサキスの単発といいますか、1名事例がかなり引っ張っているかなという。それから、昨年は500名を超える大型の食中毒が発生しなかったということから、トータルの患者数が前年より減少している。そういうものが特に特色であったと思われます。
 一方、従来からありますウエルシュ菌による食中毒につきましては、依然として患者数、事件数ともあまり動きがなくて、今日はその追加の報告があると思いますので、そちらのほうでまた意見交換をさせていただきたいと思います。
 それでは、特に追加がないようでしたら、次に参りたいと思います。続いて、報告事項といたしまして、令和4年に発生いたしました主な食中毒事件として「老人ホーム・社会福祉施設等におけるウエルシュ菌食中毒事例及びそれを踏まえた対応について」、こちらは東京都福祉保健局健康安全部食品危機管理担当課長の丸山参考人のほうから御報告をお願いしたいと思います。丸山参考人、よろしくお願いします。
○丸山参考人 東京都の丸山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、早速、資料を共有させていただきます。
 東京都における現状と取組ということで、事例を御紹介させていただきます。ウエルシュについてというお題を頂戴しておりまして、東京都の実情を簡単に説明させていただきます。
 まず、全国の状況から簡単に。先ほど説明がありましたので、簡単に説明させていただこうかと思うのですけれども、事務局のほうから議題1で説明があったとおり、全体の件数は、コロナの影響も恐らくあるという中で減ってきている中で、ウエルシュの件数は変わっていない。画面に出しているのは、令和4年は速報になっておりますので、先ほどの確定値とは若干違いますことを御了解いただければと思います。過去5年でも20件から30件ぐらいで大きく変化していない。ただ、全体としては減っているということで、平成30年では細菌性食中毒のうちの7%ぐらいだったのが、令和4年では8%を超えているという状況かなと思います。
 これを東京都で見てみますと、東京都としても同じような状況になっておりまして、ウエルシュは横ばい。過去5年を見ますと年間3件から5件、コンスタントに発生し続けているということで、全体の件数が減っている中、割合が大きくなっている。また、1件発生すると患者数が大きくなる食中毒でもあるため、目立つというものもあるかなと思っております。そういったウエルシュに私どもも注目し始めているといったものでございます。
 食中毒の事例紹介ということでもありますので、昨年、都内で発生した食中毒の事例で非常に典型的なものがございましたので、こちらを紹介させていただこうと思います。高齢者施設で発生した食中毒で、令和4年7月に発生したものです。先ほどの都内で発生した令和4年の5件のうちの1件となります。発症者数は27名、原因食品は、高齢者施設で朝・昼・夜、出ている施設ですけれども、そのうちの朝御飯で出ていた冬瓜と鶏肉の煮物が原因食品として特定された事例でございます。
 このメニューの調整工程ですけれども、いろいろなところにポイントがあって、そこがうまくいかなかったということが分かっているのですけれども、ざっと御紹介させていただきますと、この煮物は朝御飯に出すメニューだったのですが、調理は前日から開始されておりました。前日の午後2時半から食材を鍋で煮込むというところから始まりまして、それを氷水に浮かべて放冷。その後、冷蔵庫に保管して、その日の作業は終了になりまして、翌朝の早朝、ここは従業員1人で作業が行われるのですけれども、スチームコンベクションで再加熱されて、それが盛付けられて温冷カートでしばらく保管。その後、朝御飯として提供されるといったものです。
 この一連の流れで食中毒に結びつくような残念なポイントが幾つかありました。黄色い吹き出しで指摘しておりますけれども、次のスライドでそこは少し掘り下げていきたいと思います。なお、本当は放冷のタイミングでバットに移し替えて冷却していたのですが、イラストの都合上、鍋で冷やしているような状態に見せておりますけれども、この施設の名誉のためにつけ加えさせていただければと思います。
 その後、食中毒になってしまったのですけれども、残念なポイントがこちらにございます。ポイントとして4つ掲げておりますけれども、交互に絡み合っていて、なかなか一挙に解決できない、容易でないというものでございました。
 1点目、前日調理を行っていますというお話で、もしかすると眉をひそめた方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そういうことが行われていたということでございます。これは裏を返すと、朝食の提供業務がワンオペレーション、1人で行われていたということを申し上げましたけれども、そのワンオペを成立させるために前日調理を行わざるを得なかったということでございます。
 2点目のポイントとしては、その行わざるを得なかった前日調理の煮込み工程後の冷却、氷水に浮かべると申し上げましたけれども、この氷水を使った放冷が不十分だったということが分かっております。これは補足ですけれども、この事案が発生した直後に保健所が立ち入ったとき、たまたま類似した別メニューの調理が行われていたそうです。その類似したメニューの調理工程で、ちょっとごめんねということで、放冷中のメニューの表面温度を測定したところ、34.8度Cということで、全然冷えていないじゃないかということが分かっております。
 3点目として、この放冷後、冷却後の食品を一晩保管するための保管用冷蔵庫の温度が高かったということが推測されております。まず、その冷蔵庫ですけれども、残念ながら設備上の都合で、専用の冷蔵庫ではございませんでした。そのため、開閉頻度が非常に高い。温度が低くなりにくいということがあると同時に、10度C管理されていたということで、キンキンに冷えるようなところでもなかったということですので、高めの温度の放冷が不十分な食品を格納すると、それだけで庫内の温度が上がってしまうような状態だったということでございます。
 最後、4点目ですけれども、温冷配膳車、温冷カートの温度管理が不適切だったということでございます。温冷カートのうちの温蔵庫の部分、設定が60度Cで、実際の設定温度に対して、機械で表示している温度を見たところ58。さらに、別の温度計で計ったところ51度ということで、不十分な温度、望ましい温度よりも低かったということでございます。さらに、当然そういう状態でありますので、冷めた食品が格納されれば、さらに下がるような状態であったということであります。
 この4つが絡み合って食中毒に結びついてしまったと、この事例においては推測しているわけですけれども、その中で、まず食中毒の出発点となってしまったワンオペがどうにかならないかというところが1つのポイントになろうかと思います。保健所とその施設でもいろいろとディスカッションしているのですけれども、この元凶がワンオペだったということが、まず分かっております。と申しますのも、高齢者施設は日頃から予算の余裕がない、かつかつの状態で運営しているということでございます。そのため、朝食の提供業務は1人でやるしかない。となると、どうしても前日調理を行わないと朝御飯を出すことができなくなってしまうというところが非常に悩ましいポイントでありました。
 次善の策としまして、不備が出たところをしっかりやるしかないねということで、保健所のほうもお話しさせていただいているということですけれども、残念ながら、この事案においては、ここのポイントに甘さが出てしまったということでございます。
 また、温冷カートの部分も、使われている大量調理マニュアルなどを見ますと、温蔵する場合は65度C以上ということがうたわれているわけですけれども、65度に盛りつけられた食器ごと保管しますと、特に高齢者施設ですので、食器ごと熱々になってしまって、とてもじゃないけれども、提供できなくなってしまうというところで、これも非常に悩ましいところなのですが、ぎりぎりのせめぎ合いの中で、その温度ということでございます。人手不足ですので、食べる直前に一つ一つ盛りつけるわけにもいかないというところが、まさに難しかったところと聞いております。
 なかなかうまくいかないところだったのですけれども、最終的には、こちらの施設、非常に真面目な施設でありまして、レトルトとか冷凍食品を活用するということで、朝御飯を切り換えるとなったと聞いております。ただ、これは食費高に直結する話でもございますので、いつまで続けていけるかということも心配しながら見ていくという状況にあると思います。
 これは代表的な例だったわけですけれども、このようなウエルシュ菌の食中毒、継続的に発生し続けておりますので、東京都としてもウエルシュ菌対策を強化しております。令和4年度、今年度監視事業においても、6月からの事業期からウエルシュ菌を名指しで監視指導の計画に入れて、立入検査・啓発活動を強化しております。東京都独自ですけれども、1年間、5つの事業期に分けまして、細かい具体的な監視指導計画を立案して実施しているという中の、6月なので、年度としては2番目の事業期から年度末、今も含めて、ウエルシュ菌を名指しにしている状況でございます。
 また、来年度、令和5年度の監視指導計画におきましても、監視指導の目玉の項目としてウエルシュ菌を計画そのものに挙げまして、給食施設等において重点的に監視指導を実施するということで、現在、監視指導計画の策定作業の段階でございます。パブコメは既に終了しているのですけれども、そのまま策定される見込みでございます。
 また同時に、保健所等において事業所教育の強化をしてございます。こちら、画面にも出させていただいているのは、保健所が事業者教育、講習会等で使用するために作成している教材の一例でございます。東京都の保健所は全部で5つあるのですけれども、各保健所がそれぞれの実情に応じて、それぞれの工夫を重ねながら教材を作成して衛生教育を行っているという状況です。御承知のコロナという中で、施設に立入りを行って1対1でお話ししながらというのは、なかなか難しい状況にございます。特段の用事がないのであれば、なるべく来ないでほしいという施設さんも多くございます。保健所では、オンライン講習などもうまく活用しながら、工夫しながら普及啓発を図っているという状況にございます。
 また、オンラインということで申し上げますと、ウェブ配信で教育動画も作成しております。ウエルシュに関しては、令和3年に作成しておるのですけれども、「わたくし、ウエルシュ菌というものですが・・・」ということで、おもしろおかしくウエルシュについての知識の涵養が図れるように動画を作成して、事業者さんに見ていただくという取組を行っております。できれば見ていただきたかったのですが、今日は時間の都合もあろうかと思いますので、省略させていただきます。もしよろしければ「東京動画 ウエルシュ菌」と検索していただきますと、すぐに出てまいりますので、御覧いただければ幸いでございます。ちなみに、この動画、YouTubeで配信しておりまして、公開以来、5000回以上、実際に見られているということで、いわゆる行政機関が出している、この手の啓発動画では、なかなかの評判ということでございます。
 ちなみに、私ども、いろいろな衛生教育の動画を作成しておりまして、「潜入!食中毒サミット」、別のタイトルもあるのですけれども、こちらに2万3000回以上ということで、私ども、大ヒット作を連発しているところでございます。もしよろしければ御覧いただければ幸いでございます。
 私のほうからは以上です。
○五十君部会長 丸山参考人、どうもありがとうございました。
 ただいまの御報告に関しまして、御質問、御意見がありますでしょうか。受け付けたいと思います。よろしくお願いいたします。
 尾島先生、どうぞ。
○尾島委員 とても参考になる事例、詳細に教えていただいて、ありがとうございます。
 2点質問があるのですが、ウエルシュ菌というと、単純には再加熱は駄目じゃないかという思い込みがあるのですけれども、今回の事例で、温冷配膳車とかスチコンできちんと加熱されていれば避けられた可能性が高いでしょうかというのが1点目と。
 もう一つは、保管がきちんと温度が低いとよかったのだろうと思いますが、この冷蔵庫、10度管理だったということですが、そちらをもっと低い温度で管理するというのは、この施設の場合、かなり困難だった状況でしょうか。
○丸山参考人 御質問ありがとうございます。
 今、御指摘いただいた点、2つとも、基本的には発生後の施設における取扱いを検証した上での推論でございますので、どこかが決定的に悪かったという確証を持っているものではないということを、前提として御理解いただければなと思うのですけれども、それだけ見ると改善できるポイントが幾つもあった。裏を返せば、どれか、もしくは少しずつ関与して食中毒に至ったのではないかと推測されております。
 特に冷蔵庫なのですけれども、説明の中でも少し申し上げたのですが、そもそも開け閉めが非常に頻繁な冷蔵庫ということで、温度管理するのがもともと難しいハードウエアということもありますので、きちんと低い温度でキープできるのであれば、食中毒の可能性として挙げられることはなかったとなるのでしょうけれども、原則、そういう運用ができるかというと、この施設においてはかなり厳しかったという調査結果が得られています。
○尾島委員 ありがとうございました。
○五十君部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、砂川委員、どうぞ。
○砂川委員 感染研の砂川です。大変参考になる情報、ありがとうございました。
 私のほうがちょっと気になっていたのは、ウエルシュ菌は常在菌であるということで、菌自体の付着とかを防ぐことはなかなか難しいという認識が一般的だろうと思うのですが、そうは言っても、ある程度衛生状態が保たれた食品であれば、リスクはちょっと違ってくるのではないかと思ったりするところでもありますが、今回の事例に関係するところで、例えば冬瓜とか鶏肉の元の衛生状態に対して、何か改善する余地があったかといった辺りの所見もあったりするものでしょうか。
 以上です。
○丸山参考人 御質問ありがとうございます。
 非常にお答えしにくい質問かなと思ったのですけれども、食中毒の予防3原則のうち、つけない対策が非常に難しい菌かなと思います。今回、原因となった冬瓜と鶏肉の煮物ですけれども、どちらも生の食材からつくっております。中間品というのですか、半製品からつくられるようなものではないので、そういった意味では、調理前の仕込みの中でどこまで対応できるのかというのは、かなり限界はあるのかなと想像されるところです。
○砂川委員 ありがとうございました。
○五十君部会長 そのほか、ございますでしょうか。
 私のほうから、ちょっと確認させていただきたいと思います。先ほどスライドの図の事例紹介のページがあるかと思うのですが、こちらで流れを見ていきますと、氷水に浮かべて冷却というのは、バットで行ったというお話で、検証を行われて十分冷やされていたというのを東京都では確認されたのですか。
○丸山参考人 バットでの放冷について。もう一度よろしいでしょうか。
○五十君部会長 先ほどの話ですと、実際にはバットで氷水に浮かべて冷却されていたということで、全体的なことについて、東京都ではこの方法でどのような温度になっているとか、そういった検証実験等はされていないのでしょうか。
○丸山参考人 全く同じメニューの製造工程というのは、確認できていないのです。ただし、検証というと正確ではなくて、たまたま同じ調理工程の別メニューをつくっているところに立ち入ることができたのです。その場面において表面温度を測定したところ、6枚目のスライドになるのですけれども、出しますけれども、計ってみたところ、34.8度だったということで、この部分ですけれども、それほど下がっていなかったというのが分かったというものでございます。
○五十君部会長 今、研究班で並行して、ウエルシュについてはいろいろな検討がされているところなのですが、危険温度帯を2時間以内で通過させないと難しいと。それで、ここに時間の表示があまりなかったというか、ここで見ますと非常に短く下げていると思いますので、恐らく冷蔵庫の管理が悪かったという話だとしても、20度以下までには下がっていっているのかなと。
 次を見ますと、今度はスチコンで加熱というのが出てきて、これが加熱後の温度記録が欠落している。ここは指導しなければいけない部分かなという気がしたのですが、実際、いろいろなものが重なって起こったのではないかという推論だったようなのですが、次に指導しておかないと、また同じような繰り返しになってしまうような気がして、どこが本当にポイントなのかなというところが、ちょっと明確にはなっていないのかなという印象を受けたのですが、その点については、実際には最終的にはどういう御指導をされたのでしょうか。
○丸山参考人 御指摘いただいたとおり、スチコンの温度記録欠落。これは、もともと本来はやるべきマニュアルになっていたところが履行されていなかったということです。ですので、指導としては、マニュアルどおりにやりましょうねということの指導がなされております。
 どこが一番のクリティカルポイントだったかというのは、先生、おっしゃるように、なかなか特定できなかったというのが最終結論ですので、あそこも改善しましょう、ここも改善しましょうという指導だったということでございます。
○五十君部会長 ありがとうございます。
 大変難しい事例で、ウエルシュのコントロール、やればやるほど難しいという状況かと思いますので、今後、またいろいろな事例が出たところで参考になるような御報告をぜひお願いしたいと思います。
 ほかに御質問。
○丸山参考人 一言だけすみません。先ほど御説明させていただいた中で、1点だけ間違ったことを申し上げたので訂正させてください。ウエルシュを持ち込まないという点についてですけれども、先ほど、ここが全部生からやっていますというお話しをさせていただいたのですが、冬瓜に関しては冷凍食品を使っていたという記録がございました。したがいまして、冬瓜に関しては半加工品、それ以外は生から調理されていたというものでございました。失礼いたしました。
○五十君部会長 追加、ありがとうございました。
 それでは、神村委員ですか、御質問ございますでしょうか。
○神村委員 神村でございます。
 調理場の作業環境、温度の管理などは、私、あまり詳しくないのですけれども、そういうものはされるものなのでしょうか、教えていただければ幸いです。
○丸山参考人 室温の管理というお話でしょうか。室温の管理はやられるべきというのが大量調理マニュアルでも言われているところでございますけれども、今回のこの施設において、どのような温度管理がなされていたかということは、申し訳ございません、記録がございませんで、情報がございません。
○五十君部会長 よろしいでしょうか。
○神村委員 ありがとうございます。
 今回はウエルシュ菌の話なのですけれども、生のものを扱って、手作りで給食をしていらっしゃるとなると、ほかの汚染などについてもちょっと心配なところがありますので、室温の管理についても大事なのかなと思った次第です。ありがとうございました。
○五十君部会長 そのほか、ございますでしょうか。
 工藤委員ですか。
○工藤委員 御説明ありがとうございます。
 1点お聞きしたいのですけれども、この施設では検食は取っておられたのでしょうか。
○丸山参考人 もう一度お願いできますでしょうか。
○五十君部会長 検食は取っていたでしょうかという御質問ですが。
○丸山参考人 ありがとうございました。
 検食、保管されておりまして、そちらもウエルシュ菌の検査を実施しております。
○工藤委員 ウエルシュ菌の菌数はかなり高かったのでしょうか。
○丸山参考人 定量的な情報に関しては、すみません、記録が手元にございません。
○工藤委員 分かりました。もし菌量とかが分かりましたら、どこの温度管理かとか、そちらの参考にもなるのかなと思いましたので、質問しました。ありがとうございます。
○五十君部会長 そのほか、確認事項等ございますでしょうか。よろしいですか。
 どうも御報告ありがとうございました。ウエルシュ菌については、本当に難しい課題かと思います。今後、また事例がありましたら、報告をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、報告事項といたしまして、植物性自然毒による食中毒事例、及びそれを踏まえた対応についてということでお話いただきたいと思います。ここ数年、植物の誤食の事例が多いということもございまして、今回は、新潟県福祉保健部の生活衛生課副参事の山内参考人から御報告をお願いいたします。
○山内参考人 新潟県福祉保健部生活衛生課の山内と申します。よろしくお願いします。それでは、説明資料の画面に切り換えさせていただきます。
 本日は、新潟県における植物性自然毒への対応というテーマで、特に毒きのこが中心となりますが、まず、県内での植物性自然毒食中毒の発生状況について説明させていただきまして、それから、当県として実施しております予防啓発事業について説明させていただきたいと思います。
 今、画面に出ている写真のツキヨタケでございますが、新潟県内で最も食中毒が多いきのことなっております。食用のヒラタケとかムキタケなどと似ておりまして、見分け方のポイントとしては、柄の内部に黒いしみがあるということが知られておりますが、そのことを啓発するために、当県でよく使っている写真でございます。
 次に、新潟県内で発生した植物性自然毒食中毒、過去10年の年別の発生件数のグラフでございます。オレンジ色が毒きのこ、黄緑が毒草によるものでございます。過去10年で見ますと、平成28年が毒きのこ、毒草とも最も発生が多く、この年は毒きのこ食中毒発生警報を発令しております。この発令基準などにつきましては、後ほど説明させていただきます。また、令和3年でございますが、県内で統計が残っている昭和57年以降、初めて毒きのこ食中毒の発生報告がゼロ件だったという年になります。このように発生件数は年によってばらついておりまして、これは気象条件によって、きのこの発生量が変動するということなどが影響しているのではないかと思っております。
 続きまして、同じく県内の過去10年の発生状況を月別でグラフにしたものでございます。毒草によるものは春、毒きのこによるものは秋に発生していることが分かるかと思います。そこで、新潟県におきましては、例年9月1日から11月15日までを毒きのこ食中毒予防強化期間と設定いたしまして、この期間に重点的に予防策を実施しております。
 続きまして、過去10年の発生件数の原因となったきのこ、植物の種類別にグラフにしたものでございます。毒きのこでは、冒頭に紹介したツキヨタケが17件と、全体の6割以上を占めておりまして、次いで、食用のナラタケなどと似ているドクササコというきのことなっております。毒草では、芽吹きの頃に食用のウルイなどと似ているヒメザゼンソウというのが3件。あと、ニラと似ているスイセンが3件。あと、ウルイと似ているコバイケイソウが2件となっております。
 続きまして、県内で発生した毒きのこ食中毒の事例を2つ紹介させていただきます。
 1つ目の事例ですが、知人からもらったきのこによるもので、令和元年の11月に発生した事例でございます。これは、山で採取したきのこを知人からもらい受けまして、これをきのこ汁に調理して食べた3人が約30分後に吐き気、嘔吐を呈した。残品を鑑別した結果、有毒のツキヨタケでありました。知人は、食用のムキタケだと思って採取しておりまして、知人のお宅に残品がありましたので、それを確認したところ、こちらはムキタケのみだったということで、恐らくムキタケとツキヨタケの両方を採取して、ツキヨタケのほうを知人にあげてしまったと考えられました。
 事例の2つ目でございますが、自宅に生えてきたきのこ、これは令和4年11月の事例でございます。自宅敷地に生えていたきのこを採って、きのこ汁に調理して食べた5人が、約12時間後に下痢・腹痛などを呈したというものでございます。残品を鑑別した結果、有毒のコレラタケ、俗にドクアジロガサとも言いますけれども、そういったきのこであった。例年、敷地に食用のナラタケが生えていて、それを採って食べていたということから、これもナラタケだろうと誤った採ったものということでございます。
 以上のような発生状況を踏まえまして、新潟県における植物由来食中毒を予防するための取組について紹介していきたいと思います。
 まず、予防の心得といたしまして、きのことか山野草を採る県民の皆さんに当県が呼びかけているポイントでございます。
 1つ目は、食用と正確に判断できない植物(きのこ)は、絶対に採らない、食べない、人にあげないこと。
 2点目は、食用植物(きのこ)と有毒植物(きのこ)は同じ場所に生えることがあるので、採る際は1本ずつよく確認することということでございます。
 ちなみに、今、写真が出ているクサウラベニタケという毒きのこですが、県内でもしばしば中毒例がございますが、別名、名人泣かせと呼ばれておりまして、食用のウラベニホテイシメジというきのこと非常によく似ていて、名人でもなかなか見分けがつきづらいと言われております。
 先ほどの予防の心得、2点ございましたが、いかにして県民の皆様に周知していくかということで、新潟県では、こちらに示しております啓発事業を実施しております。
 1つ目が、にいがた食の安全・安心サポーターによる啓発。
 2つ目が、リーフレットの作成・配布。
 3つ目が、マスメディアを活用した啓発。
 4つ目が、店頭掲示板による啓発。
 5つ目が、インターネットを活用した啓発。
 6つ目として、毒きのこ食中毒の発生注意報と警報ということで、特に毒きのこにつきましては、先ほど申し上げましたが、9月1日から11月15日までの予防強化期間の間に重点的に実施しております。
 では、これら6点の中身を順に説明させていただきます。
 まず、1つ目の啓発事業といたしまして、にいがた食の安全・安心サポーターによる啓発でございます。これは、食の安全に関する豊富な知識を持っていらっしゃる人材をサポーターということで委嘱させていただいて、県民への普及啓発に取り組んでいただくというものでございます。これは、にいがた食の安全・安心基本計画という計画を策定しておりますが、そこの施策の一つでございます。
 現在、県内で35名のサポーターがいらっしゃいますが、そのうち12名がきのこに関するサポーターとして、きのこの鑑別相談とかきのこ講習会の講師として活躍していらっしゃいます。
 近年の活動日数・利用者数ということで表を載せておりますが、例年、約2000人から3000人くらいの利用者がございます。令和2年度と3年度の数字を見ていただくと、新型コロナウイルスの影響できのこ講習会を一部中止したりしたことがありまして、ちょっと利用者が減っているような状況でございます。
 あと、ここでもきのこの写真を載せておりますが、ハイイロシメジという毒きのこでございます。これは、中毒の事故はあまり多くないのですが、保健所に持ち込まれる鑑別相談が結構多いきのこでございまして、大ぶりのものが大量に採れる。あと、見た目も結構おいしそうなものですから、採って持ち込まれる方が多いのですが、ゆでると非常に臭いきのこということで、おいしくないと言われておりまして、そういったことの紹介でございます。
 次に、先ほど紹介したサポーターの活躍の場の一つであるきのこ講習会の様子について、ちょっと紹介したいと思います。
 県内各地の食品衛生協会が主催しております。あと、地元の保健所も共催ということで協力しております。ここにサポーターを講師として招きまして、住民を対象に野生きのこの見分け方ですとか、採取する際の注意点を講習しております。採取された野生きのこをこういうふうに広げて展示して、みんなに見ていただくようなイメージでございます。
 この展示きのこのことをもう少し説明いたしますが、この写真にありますように、採ってきたきのこの名称と食毒の区分を記入して展示しております。その中でも、特に参加者の目を引く、きれいな毒きのこ2種類を写真に示してございますが、左はドクツルタケ、真っ白できれいなのですけれども、1本でも食べると死に至るほどの猛毒です。それから、右側がベニテングタケ、オレンジ色できれいなきのこで、いかにも毒きのこというふうな見た目でございます。このように、目を引く、きれいなきのこがありますと、来場者が興味を持って見てくれるということでございます。
 続きまして、2つ目の啓発事業でございますが、リーフレットの作成と配布を行っております。こちらに示しておりますのは、きのこのリーフレットでございまして、左側が表面です。上のほうに予防の心得を記してございまして、下に県内で誤食が多い、代表的な3種類のきのこ、ツキヨタケ、ドクササコ、クサウラベニタケを載せてございます。裏にもほかの毒きのこを載せてございます。このようにカラーで印刷いたしまして、鑑別相談にいらっしゃった方ですとか、きのこ講習会の参加者に配布しております。
 続いて、リーフレット、今度は山野草のバージョンでございます。これも表面の上に予防の心得を書いておりまして、その下に県内で誤食が多い、代表的な植物、ここでは4種類です。イヌサフラン、バイケイソウ・コバイケイソウ、スイセン、トリカブトということで載せてございます。
 続いて、3つ目の啓発事業といたしまして、マスメディアを活用した啓発を実施しております。
 左は、県からのお知らせという、テレビの新潟県の広報番組がございますが、その画面のイメージ図でございます。画面にメッセージとナレーションもありますが、それをもって注意を呼びかけるということでございます。
 右側は、新潟県の新聞の広報欄に、毒きのこによる食中毒に注意しましょうという感じで載せております。
 続いて、4つ目の啓発事業でございますが、店頭掲示板による啓発というものを実施しております。これは、平成19年から実施している新潟県独自の取組でございます。こちらは、県内スーパーマーケットなど約200店舗の協力を得まして、お店の店頭に掲示板を設置しております。B2判、横が約51センチ、縦が72センチぐらいの大きなサイズの耐水性のポスターのようなものを店頭に貼っていただきまして、そこに県から年間20回ほど、いろいろな食の安全に関する情報をデータで配信して、申し訳ないのですが、各お店でカラー印刷をしていただきまして貼っていただくということをやっているということでございます。
 実際の掲示内容の紹介でございますが、毎年、春の山菜採りのシーズンには毒草の掲示。あと、秋のきのこ狩りのシーズンには毒きのこの掲示ということで配信しております。取組開始から15年ぐらいたっておりますので、マンネリ化を防ぐということに苦心しております。
 ここで、スーパーに来店するお客様に興味を持って見てもらえるように、最近では、このような感じで、クイズ形式でやっているということもあります。ここでは、きのこにまつわる言い伝えのクイズということで、「地味なきのこは全て食べられる? ウソ・ホント」とか「柄が縦に裂けるきのこはすべて食べられる? ウソ・ホント」ということで、正解はどちらもうそということでございます。
 それから、こちらは毒草の掲示物のイメージです。こちらもクイズ形式で出しておりまして、イヌサフランという毒草の毒の部分はどこかなということで、葉っぱ、花、球根と書いてありますが、正解は全部有毒ですということでございます。
 続きまして、5つ目の啓発事業といたしまして、インターネットを活用した啓発も実施しております。
 まず、ホームページ「にいがた食の安全インフォメーション」という食の安全に関する情報に特化したホームページを新潟県では運用しております。そこに、毒きのこと毒草の注意情報も常時載せておるということです。アドレスとQRコードを掲載しておりますので、御興味のある方はぜひアクセスしていただきたいなと思います。
 それから、インターネットを活用した啓発で、もう一つ、メールマガジンというものもやっておりまして、これは「いただきます! にいがた食の安全・安心通信」と題しまして、毎週木曜日に食の安全に関する様々な話題を配信しております。季節に合わせて、毒草と毒きのこの注意情報も配信しております。画面に載せているのは、秋のシーズンに、きのこの注意情報のイメージ、こんな感じで配信しております。
 先ほど紹介したホームページ、食の安全インフォメーションから配信の登録ができますし、これまで配信したメルマガのバックナンバーも、このホームページで全て掲載しております。
 最後、6つ目の啓発事業でございますが、毒きのこ食中毒の発生注意報と警報でございます。毒きのこ食中毒予防強化期間ということで、先ほど毎年9月1日から11月15日までを設定していると申し上げましたが、その期間中に最初の毒きのこ食中毒が発生しましたら、警報を発令することとしております。報道発表することとしております。これは、単に毒きのこ食中毒が発生しましたというだけで発令するよりも、注意報を併せて発令したほうが予防・啓発の効果が高まるということが期待されます。
 さらに、次に該当する場合は警報も発令するということとしております。どんな場合かといいますと、毒きのこ食中毒が今後も継続して発生するおそれがある場合、または死者・重症者が発生したような場合ということで、平成20年以降で警報を発令した年といたしましては、平成28年、23年、22年に発令しております。この3つの年は、毒きのこ食中毒が7件とか8件とか、結構多く発生した年でございます。
 あと、ここにも写真を1つ載せておりますが、これはカエンタケという猛毒のきのこでございまして、平成11年に新潟県内で死者が1名発生したものでございます。
 以上、新潟県における植物性自然毒への対応について説明させていただきました。御清聴ありがとうございました。
○五十君部会長 山内参考人、ありがとうございました。
 時間がかなり超過しておりますので、端的な御質問を1つか2つ受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。特に御質問がないようでしたら、先に進ませていただきます。どうもありがとうございました。
 続きまして、報告事項といたしまして、京都府で発生しましたユッケ様の食品等を原因とする腸管出血性大腸菌0157食中毒の事例につきまして、京都府山城北保健所衛生課長の岡本参考人から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○岡本参考人 京都府山城北保健所で衛生課長をしております岡本と申します。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
 最初に、時間が限られていて、ボリュームが多くて早口になってしまうことをお許しください。厚生労働省に提出した食中毒発生報告の項目立てに従って報告していきたいと思います。
 まず、食中毒事件の概要です。
 患者さんの発生ですが、8月23日から9月8日の期間にわたっています。発生場所は、持ち帰った食品を自宅で喫食して、家庭内で発生しております。原因食品を摂取した者の数、推定で900以上です。これは、この商品の販売数量から出しております。今月、立入調査の中で明らかになりました。食中毒発生報告には、まだ盛り込まれていない数字です。お亡くなりになられた方、1名。患者数は、その方を含めて40名。入院者は6名。原因食品は、8月21日から27日にかけて提供されたレアステーキ及びローストビーフ。原因物質は、腸管出血性大腸菌0157でございます。後のスライドでEHECと省略して記載している部分もございます。
 保健所の事件発生探知でございます。9月1日、管内の医療機関から、感染症予防法に基づき、腸管出血性大腸菌感染症発生届が提出されました。疫学調査の中で、喫食歴に肉系惣菜がありました。翌日、他の自治体でも、医療機関からの届出により探知した患者の喫食歴で、同じ店の肉系惣菜による食中毒関連調査依頼があったことから、これはクロスしているのではないかということで、その日に立入調査が始まったという初動でございました。
 患者及びお亡くなりになった方の状況です。
 まず、食中毒事件としての症例定義です。原因食品の喫食者で、以下の3つのいずれかに該当した者としました。
 1つ目、検査診断事例。8月18日から9月15日の間、下痢、血便、腹痛、発熱等の症状があり、腸管出血性大腸菌が検出され、ベロ毒素が確認されてEHECと診断された者13名が該当します
 2つ目、臨床診断事例。上記の間、上記の症状により医療機関を受診した者。菌の検出ができていない(1)を除く方、16名が該当します。
 3つ目、(2)の家族で同時期で発症しましたが、医療機関を受診していない者、11名が該当します。
 患者さんの性別及び年齢別の数です。横軸に患者さんの年代、縦軸に患者人数を取っております。赤が女性、青が男性です。90歳代まで、どの世代でも発生しておりますが、10代が一番多く、また女性が全体の75%を占めております。
 発症日別の発症状況をグラフで示すと、このとおりです。8月23日から9月8日までとなっております。なお、喫食から発症まで平均4.1日でした。最短で2日、最長で10日の方がおられました。EHECらしく、潜伏期間が長めだなと感じました。
 患者さんの症状及び症状別の人数です。腹痛が多く、次いで下痢。下痢のうち83%の方が血便を示しておられます。
 お亡くなりになられた方についてです。90代女性で、喫食歴はレアステーキ、その中の「切り落とし」という商品を食べていました。購入日は8月27日、同日喫食され、発症が6日後の9月2日、下痢(血便)と腹痛で、喫食の14日後に吐血。最終的に9月15日にお亡くなりになっています。
 原因施設及び原因食品についてです。原因食品断定までの経過及び理由です。
 同時期に医療機関から複数の腸管出血性大腸菌感染症発生届の届出があり、疫学調査の結果、共通食は当該食料店が調理したレアステーキ等のみであったことから、当該店が提供した食品を原因とする食中毒と断定しております。
 原因施設についてです。店舗形態として、1階が精肉中心の食料品店となっており、2階が別の許可になりますが、系列焼肉レストランとなっています。こちらの焼肉店からは、患者は発生しておりません。取得許可としては、飲食店や食肉販売業等、食品スーパー一式の許可を持っております。従業員数は、社員5名で、パート・アルバイト数名です。原因食品調理時、施設でコロナ感染者が発生し、社員は2名で従事していたことが分かっております。また、京都府条例の細則に基づく生食用食肉取扱業の届出はありませんでした。
 購入日別の発症状況をカレンダーに落としてみました。このとおり、8月21日から27日に購入した商品で患者が発生していることが分かります。「加熱加工?」とあるのは、後で説明しますが、レアステーキ等の商品にする3日ぐらい前に、ざっと1週間分を加熱しておくという製造パターンがあるという意味です。
 黄色い色塗りの部分、この間、施設内でコロナが流行し、社員2人で業務を切り盛りしていた期間です。また、購入して3日後に喫食していた患者さんもいました。
 では、レアステーキについてです。これは、「細切り」という商品のイラストですが、樹脂製容器入りの盛り付けた肉。アルミカップ入りの刻みネギ。そして、個包装のたれを樹脂製容器にセットしてフィルムラップで個包装してあります。ある意味セットメニューということになります。
 この商品については、レアステーキのアイテムは3種類ありました。まさにユッケ風の手切り加工の「細切り」と、ローストビーフ風の薄切りと、同じくローストビーフ風のスライサー加工の「切り落とし」商品です。消費期限は、当日を含め3日間。販売方法、冷蔵ショーケースで陳列販売しておりました。
 レアステーキの調理工程についてです。調理パターンとしては、販売の3~4日前に1週間分を加熱加工していました。どのような調理工程かと申しますと、まず、モモ肉300~800グラムの肉塊を、「切り落とし」という商品なら10キロ単位、「細切り」、「薄切り」という商品なら4キロ単位でバットに並べます。それをスチームコンベクションオーブンで300度、6分加熱します。この温度と時間は経験則で決めたとのことで、根拠はありませんでした。加熱後、オーブンから出して調理台で1~2時間放冷した後、保冷用冷蔵庫で2時間保管します。それを3~4キロごと、真空包装機で真空パックします。
 次です。この真空包装ですが、使用のたび、真空包装を解いて、残れば、また真空包装するという使い方をしておりました。手切り、またはスライサーで加工した後、卓上スケールに樹脂容器を乗せ、計量して盛りつけます。それを刻みネギ、個包装たれとともに樹脂容器にセットして、それら全体をフィルムラップ包装します。それをラベラーで表示シールしてから陳列販売していました。
 ローストビーフの調理工程です。モモ肉3~4キロを塩コショウで調味し、真空包装機で真空パックした後、スチームコンベクションオーブンで57度、4時間加熱。これも経験則からで、根拠はありません。加熱後、500~600グラムに切り分け、表面に焼き色がつくまでフライパンで加熱。塩コショウで調味し、真空包装機で真空包装。調製時に真空包装を解いてスライサーでスライスして、バットに並べて冷蔵ショーケースで、これは量り売りをしていたということです。
 汚染経路の追求です。
 一番最初の立ち入りのとき、商品を収去して検査に回すとともに、施設にO157の痕跡はないか、真空包装機からスライサーから包丁からラベラーとか、いろいろな部分を拭き取りしましたけれども、結局、検出されませんでした。従事者検便からも検出されませんでした。
 推定原因です。
 まず、考えられるのが、原材料の肉由来です。スチームコンベクションオーブンの加熱結果が不明で、肉ブロックの大きさとか中心温度の測定もしておりませんし、当然、記録も行っていませんでした。何らかの理由で加熱不足が発生し、原材料肉由来の菌が死滅していない可能性が考えられました。
 次は、ソフト面での交差汚染の可能性です。背景に、職員間でコロナが流行していて、従業員2人で回していて、業務過多、業務荷重になっていたという点が考えられます。
 まず、手袋の交換不備ということですが、精肉等加工作業後に、そのままの手袋で真空パック作業を含めて、生食用加工作業や包装資材を扱う事例がありました。まな板、包丁などの使い分けの不徹底ということですが、生食用加工とネギの刻み作業を同じまな板で実施するという点も見受けられました。消毒の不徹底。ここは、手袋とかまな板とかスライサー等の洗浄はやっているのですが、その後のアルコール消毒ができていないという事例が散見されました。これらから、ソフト面での交差汚染の可能性が考えられました。
 次は、ハード面での交差汚染の可能性です。スチームコンベクションオーブンは、惣菜コーナーにあって、加熱後の室温放冷は惣菜コーナーで行うなど、動線の交差、生食用食肉の加工場所は、精肉加工場所と兼用している、また、刻みネギ作業は、精肉加工場所にまな板を置いての作業ということで、動線の交差がいろいろ見られ、要は、生食用専用設備がなく、ハード面でも交差汚染のある環境であったということです。
 分離菌株についてです。
 13名から検出されており、いずれもVT1、VT2産生で、MLVA法で全てtype21m0199に一致しております。
 行政対応についてです。
 9月6日から10日までの5日間、営業停止処分を課しています。5日間の営業停止というのは、本府の場合、食中毒の営業停止は内規で大概3日なのですが、今回、ユッケの形態での販売という点や、衛生教育やO157の施設の消毒に必要な日数ということで、いつもより厳しく、5日間としております。さらに、9月14日に所長名で顛末書の再提出について文書指導をしております。内容は、会社としての推定原因の考え方、ユッケについての見解、再発防止策を文書で提出させるということを指導しております。
 事件の対応経過ですが、かいつまんで申しますと、9月1日、最初の感染症発生届で、翌日立ち入りして、拭き取りや生食用食肉の販売自粛を指導して、被害拡大防止策を取っています。6日、営業停止の行政処分をして報道発表しております。翌日、管内医療機関宛て、この食中毒事案や診断時の留意事項を周知して、患者の掘り起こしや適切な医療の提供を図っております。営業停止は9月10日まででしたが、その後、11日まで自粛を続け、12日に再開前に施設を立ち入り指導して、生食肉を扱わないように念押しの指導票を切っております。
 13日に再開しましたが、14日に顛末書再提出の文書指導。15日に患者の方1名がお亡くなりになったので、報道発表し、お店はその日から自粛。死者発生のニュースは、全国のワイドショーにも取り上げられ、その後、当時、体調不良だったとの苦情の申出が相次ぎました。10月5日に営業再開しました。さらに、この2月、営業者は、食品衛生法違反疑いにより書類送検されております。
 再発防止指導内容です。基準に適合しない生食用食肉の取扱いは禁止すること。衛生教育、衛生意識づけを行っております。また、加熱済み食品と非加熱食品の交差汚染が生じないよう、ゾーン分けすること。また、HACCPの考えを取り入れた管理、記録などを指導しております。
 府全体としての再発防止策ですが、監視指導の強化として、生食用食肉取扱い施設及びローストビーフなどを調理製造する食肉販売店及び焼肉店への緊急立ち入りを行っております。それから、業者向け啓発チラシの作成、関係団体へ注意喚起の通知を行っています。
 また、消費者啓発として、府のホームページやSNSを活用した啓発を行っております。また、小学生向け啓発マンガを配布しております。
 これが本庁で作成してもらった業者向けチラシです。お亡くなりになられた方の新聞記事を使っております。新聞は翌日には古新聞になってしまいますが、新聞社の承諾を得てチラシにすることで、ずっとこの記事が生きていくということです。また、業者に菌が怖いというイメージを持ってもらうため、コロニー写真や電顕写真を使っております。また、法令違反の可能性についても言及しております。
 保健所から見た課題についてですが、そもそもレアステーキかユッケかという点です。最初、問題になりました。レアステーキという表示で売られていました。しかし、外形的には明らかにユッケと認められます。ユッケの定義とは何かということになって、ユッケならば規格基準が規定された生食用食肉に該当します。一方、生食用食肉の規格基準に関するQ&Aに、レアステーキを含めてステーキは、規格基準の対象にならないという記載があります。営業停止処分に当たり、社長に、「これはユッケでしょう。」「いや、ユッケではない。」「いや、ユッケに見える。」「ユッケかレアステーキか、業界でも曖昧だ。」というやり取りを繰り返し、話し合いが並行線でした。日本刀の真剣で切り合いをしているような気分でした。
 そのような観点で、最終的に報道提供資料には両論併記をしております。原因食品、お店が言うところのレアステーキ。ただ、社会通念上はユッケと呼称されるものという形で、こちらの意見も入れながらプレスをしたということです。
 レアステーキに係る新通知を9月16日に厚労省から出していただいて、「食肉の表面を焼いた後に冷却したもので、中心部まで十分に加熱されていないものは、生食用食肉として取り扱うこと」と、改めてローストビーフ以外でレアステーキもこういうことをはっきり言っていただいて、すっきりしました。全国の食監をしている友達からも、やったなとか、これで指導しやすくなるとか、電話をいろいろいただいたところです。
 そういう中で、保健所で感じた課題ですが、今回、死者のプレスがあるまで、おなかを壊したという苦情は1件もありませんでした。そして、9月1日の医療機関からの届出で探知し、その後は家族検便の結果、分かったというパターンが続きました。9月15日にお亡くなりになったという方のプレスで、やっと大々的にマスコミに取り上げられてから、実は自分もそうだという電話が続きました。たとえ血便が出ていても、病院とかクリニックでは検便もせず、対症療法で終わっている方がこんなにも多くおられるのだと、大変驚きました。感染研で感染症の届出数として出ているのは、この菌の検出された黄色い部分だけで、実態の半数以上は全く把握できていないという現状が見えてきました。
 という視点で、EHECの届出数を見ますと、毎年3000人から4000人、数字が上がっています。ちょっと乱暴ですが、比例計算で先ほどの考えで見てみると、毎年8000人から9000人出ているのではないかとも推定されます。一方、今回、食中毒部会ですけれども、先ほどの食中毒発生状況の報告書にもありますが、腸管出血性大腸菌食中毒の患者数は令和3年で42人とか、ごくわずかです。つまり、実態の中の氷山の一角の一角しか表に出ていない実態があるのかなと。実際、営業停止で食中毒を認定しようと思ったら、裁判にも負けないだけの資料をそろえないといけないということで、事件まで立件するのはとても難しいということです。
 食中毒とか感染症は、我々が数字で把握しているよりはるかに多いというのが、保健所での肌感覚です。実際、内臓肉、サガリのユッケで体調を壊しました、胃腸炎になりましたという調査は来ます。けれども、全然事件化できていないなというのが実態です。
 課題2です。通常監視時の実態把握と指導が大切ということです。立ち入り時、施設基準だけではなく、生肉メニューがあるかというか、表示とか、そういうことも確認して、加熱の必要性とか生食用食肉の取扱いに係るリスク管理の指導啓発が必要ということです。食監は、単なる施設の基準のチェック機関ではいけないということです。「こんにちは」、「さようなら」とのれんをくぐって出るだけののれん食監では駄目だということです。施設、厨房の中だけではなくて、カウンターに回ってメニューを見て、本当に生肉を出していないか。今回はO157ですけれども、鳥の刺身を出していないかの確認が大事ということです。ただし、現実には店回りに追われている。立ち入りに時間をかけていられないという心理もあるのも実情でございます。
 課題3、事業者のHACCPの考えの認識不足。HACCP義務化と申しますけれども、業者が本当にHACCPを理解していれば、生の肉や内臓みたいなハイリスクな食品は提供できないはずです。そんな店はHACCPを全く理解していないということです。生食は食文化という言い訳は、プロでしたら通るものではないです。日本は、HACCPを義務化されたということなので、形ばかりの義務化にならないよう、我々、食品衛生監視員は、業者に生肉や生の内臓のリスクを理解させて、鳥の刺身とかも含めて出させないような指導継続が必要だということを痛感しております。
 今日は、消費者関係の方も見ていただいていますけれども、消費者への啓発です。特に、10代や10歳以下の子どもたちを食中毒から守らないといけません。今の学校教育で行われている食育の基本計画を見てみますと、ここにあるように、栄養バランスとか、朝御飯食べようとか、野菜を食べようという啓発ばかりです。それらは大事なことですけれども、子どもたちの命を守る。特に、安全教育観点というのがどうなっているでしょうということです。子どもたちが食べたらいけない食品がありますよという啓発です。これはどうなのかという点です。
 ハイリスクグループへの啓発ということで、これは全国の年齢別のEHECの届出数のグラフです。感染症発生動向調査からの引用です。縦軸が届出数、横軸に年代です。見てのとおり、10代こそが届出数が多く、また、発症すればHUSを起こしやすいハイリスクグループです。このターゲット世代は、まさに食育対象です。これだけの数字の子供たちが157で苦しんでいます。先ほどあったように、実際はこの数字よりはるかに多い子供たちが苦しんでいることが考えられます。
 ということで、当保健所で試験的に行った食育担当教諭を通しての啓発事例を紹介します。まず、食育の先生に生食を食べることのリスクを講習します。そして、文例やイラストを渡すからリスク啓発をしてほしいとお願いしました。このような給食だよりに載せる文例やイラストも載せて紹介しています。セリフ入りのパワポも渡すから、やってみてということでお願いしました。
 実際に、当保健所管内の食育担当者の会議において、講習会の時間を取ってもらって、生食のリスクの説明や依頼文例やアンケートを配布して、参加者の理解度検証を行いました。アンケートは無記名で行い、回収率は52.2%でした。
 アンケートの結果、食育の先生が広報紙で発表してくれるという積極的な姿勢が分かりました。実際、その後も保護者会でパワーポイントを使って説明したとか、いろいろ反響もありました。食育に食の安全教育のカリキュラムを入れるとかして、食育の先生を子供たちへのインフルエンサーにする手法も有効と思われました。
 また、直近の事例です。京都府内にはマンガ学部のある大学があるのですが、そことコラボして、生肉のリスクをマンガにしてもらって冊子を作っています。京都市を除く府内の小学校4年生、5年生全員に、先日配布したところです。
 二度と死者を出す痛ましい食中毒事件が発生しないことを祈りまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○五十君部会長 岡本参考人、ありがとうございました。
 ただいまの御報告に関しまして、御質問、御意見等、受け付けたいと思います。
 それでは、大西委員、どうぞ。
○大西委員 鈴鹿医療科学大学の大西でございます。大変詳しくお教えいただき、ありがとうございました。
 1つ教えていただきたいのですけれども、刻みネギの検査結果はいかがですか。
○岡本参考人 御質問ありがとうございます。
 我々の反省すべき点ですが、肉ばかり検査して、そこは漏らしたので、今となってはとても悔やんでおります。ありがとうございます。
○五十君部会長 そのほか、ございますでしょうか。ウェブのほうからも手を挙げれば御指名させていただきますので、よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、私のほうから1点、実際にはEHECの検査をされている表があったかと思います。汚染原因についてのところでやっていますね。生食用食肉の規格基準のほうでは、EHECだと非常に効率が悪くてつかまらないので、むしろエンテロバクテリアセーでサーベイをかけるという。n30という形で評価されているかと思いますが、ここではEHECの検査しか行わなかったということですか。
○岡本参考人 患者さんからもEHCEが出ていたので、それをターゲットということで検査しております。
○五十君部会長 今後、皆さんにお伝えするときに、食品の検査の場合は、むしろ残品に関してはエンテロバクテリアセーも調べていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○岡本参考人 御助言ありがとうございます。
○五十君部会長 そのほか、ございますでしょうか。
 工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 国立衛研の工藤です。丁寧な御説明ありがとうございます。
 使われていた肉ですけれども、これは柔らかくするような針刺しというか、中の筋を切るような加工されたようなお肉が原料になっていたのでしょうか。何か情報がありましたら、よろしくお願いします。
○岡本参考人 テンダリング等の加工作業はしていなかったです。肉塊だけです。
 以上です。
○工藤委員 また、これは原料の肉を入荷してから、どのぐらいで加工に回されていたとかいう情報もありますでしょうか。
○岡本参考人 入荷してから加工までの日数の情報は持ち合わせていないです。
○五十君部会長 次は、亀井委員ですか、よろしくお願いします。
○亀井委員 ありがとうございます。亀井と申します。
 大変詳しく、ご報告いただき、勉強になりました。ありがとうございます。
 1点、質問は、亡くなられた方が大変御高齢の方だというところです。そこで、食中毒に関する必要な知識を地域へ啓発することが大事ではないかと思いました。例えば食生活改善推進員さんなどが地域におられます。このような地域の資源を活用して、高齢者の方に生食肉のリスクなど必要な食中毒情報が届くような手だては考えられていらっしゃいますでしょうか。もしあればお教えください。
○岡本参考人 ありがとうございます。
 食監さんの講習会では、今回の事件の前から生食肉のリスクについては非常に力説しておりますし、高齢者の方以外にも、食改さんが検診にも活動で参加されるということで、お母さんにも啓発してほしいとお願いしています。それから、食品衛生協会のほうで食品衛生責任者養成講習会とかの際にも、いかに生肉が危険かという点を講習しています。
 以上です。
○亀井委員 ありがとうございます。
○五十君部会長 そのほか、ございますでしょうか。
 それでは、時間も押しておりますので、大変貴重な御報告ありがとうございました。
○岡本参考人 ありがとうございました。
○五十君部会長 以上で、本日準備いたしました議題につきましては終了いたしましたが、全ての議題を振り返りまして、もし御意見等がございましたら受け付けたいと思います。いかがでしょうか。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 すみません、事務局から、先ほど御質問があったアニサキス、70度に関する点と、事業場に関する情報について御報告させていただきます。
○五十君部会長 お願いします。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 アニサキスに関しましては、70度以上に関しましては、食品安全委員会のファクトシートも瞬時となっておりますので、その温度に達した段階で十分死滅するということでございます。
 あと、食中毒の事業場につきましては、給食施設等がございまして、この給食施設の中に老人ホームとか、そのようなカテゴリーが入っております。
○大西委員 分かりました。ありがとうございます。
○五十君部会長 事務局より御確認ありがとうございました。
 そのほか、言い残したこと、あるいは全体を通しての御意見等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
 その他、事務局から追加はございますでしょうか。
○吉原食中毒被害情報管理室長補佐 例年、食中毒部会は、この年度末に開催していることが多いのですけれども、前年の食中毒発生状況を報告しているところですが、必要に応じて年度途中でも本部会を開催し、御報告いただくこともございますので、またその際には御参集のほど、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○五十君部会長 ありがとうございました。
 先ほど京都府のほうから御報告がありました件につきまして、勝利だというお話があったように、レアステーキに関する新通知が厚生労働省から出されたというので、入口のところで言い訳ができなくなったという面で、大変すばらしい進歩だと思います。ですから、多くの地方の方も参考にして、入口のところで生食用食肉を扱うのだという認識をきちんと持っていただくようにしていただければと思います。
 それでは、本日の食中毒部会はこれにて終了させていただきます。長時間にわたる御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。

  • 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食中毒部会終了後、3月29日に資料訂正あり。
    (令和4年間事件数:1件増、令和4年間患者数:4名増)