第2回2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会:議事録

日時

令和8年5月8日(金) 14:00~16:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 7階大ホール
(東京都港区新橋1-18-1)

議事

○大河内課長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第2回「2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会」を開催いたします。
 構成員の皆様におかれましては、本日は御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。
 本日は、対面及びオンラインによる開催とさせていただいております。オンラインでの参加に係る留意事項につきましては、事前に送付しております「オンライン参加の留意事項について」を御覧ください。
 議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。事前に議事次第、構成員名簿、省庁関係出席者名簿、座席表のほか、資料1、資料2、資料3、参考資料を配付いたしておりますので、お手元に御準備いただきますようお願いいたします。
 本日は、大鳥構成員から御欠席の連絡、山口構成員から遅れてオンライン参加の連絡をいただいております。また、園田構成員は3時55分頃までの参加と伺っております。
 本日は、オブザーバーとして文部科学省高等教育局医学教育課の松本企画官に御出席いただいております。
 なお、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまででお願いいたします。
(冒頭カメラ撮り終了)
○大河内課長補佐 それでは、以降の進行は小野座長にお願いいたします。
○小野座長 それではよろしくお願いいたします。
 早速でございますけれども、議題に入りたいと思います。
 議題1「今後の看護職員に求められる資質について」と議題2「看護学生の実習について」を続けて事務局から資料の説明をお願いいたします。
○水谷看護職員確保対策官 事務局でございます。それでは、資料1及び資料2について御説明いたします。
 まず、資料1でございます。1枚目に前回の検討会でいただきました主な御意見を御紹介しております。
 今後の看護職員に求められる資質について議論が必要である。
 新人として必要な実践能力を身につけられる養成課程について検討する必要がある。
 人口減少を見据えて質の向上によって量の不足に対応する視点が求められる。
 質の議論が重要である一方で、地域医療の現場では、現実として看護職員の数が不足しているという深刻な状況がございますので、こうした実態を踏まえて喫緊の課題を優先的に取り上げつつ、段階に応じた課題対応進捗を明確にしながら計画的に施策について議論を進めていくべきであるといった御意見。
 あるいは看護学教育モデルコアカリキュラムについて御紹介する御意見などをいただいております。なお、看護学教育モデルコアカリキュラムをはじめとしました看護基礎教育に関する関連の法令ですとかガイドラインといったものを参考資料にまとめておりますので、適宜御参照いただければと思います。
 そして、病院のことだけではなくて在宅医療や福祉の仕組み、制度など、多様な知識の習得や教育が必要といった御意見をいただいております。
 3ページ目からしばらくは人口動態の変化ですとか、医療需要の変化について第1回の検討会でも紹介した資料の御紹介をしております。65歳以上の人口が2040年にピークを迎える、生産年齢人口の減少・高齢人口の増加は地域によって進行スピードにばらつきがある、入院患者数の全体としての増加傾向、外来患者数の減少傾向ですとか、在宅患者数が2040年以降にピークを迎えるといった増加傾向について御紹介しております。
 また、85歳以上の人口の増加が今後見込まれますので、医療だけではなくて医療と介護の複合ニーズを持つものが一層多くなることが見込まれるといった資料を御紹介しております。
 次に、9~10ページ目にかけましては、急性期の病院、介護施設におけます患者像の変化について御紹介しております。今後、急性期の病院におきましても85歳以上の患者の方の増加が見込まれます。左下に85歳以上の患者の方の頻度の高い傷病名を載せておりますけれども、嚥下機能の低下、心臓・腎機能の低下、運動機能の低下といった各種の身体の機能低下を抱える患者さんが増えてまいります。それによりまして多疾病が併存しやすい状態にある方が増えてまいります。そういった患者像の変化に応じた看護、退院後のリハビリですとか、地域での療養を見越したケアといったものが必要になってまいります。
 10ページ目、そうした患者像の変化に応じまして老健を含む介護施設や在宅での適切な管理、医療機関との緊急時の対応を含めた連携体制の構築、情報共有等の強化といったものが必要になってまいります。
 11ページ目の赤字で囲っている部分、今後は治す医療と治し支える医療を担う医療機関の役割分担を明確化して、地域完結型の医療・介護提供体制を構築していくといったことが必要になってまいります。
 12ページ目は、いわゆる地域包括ケアシステムの概念図を掲載しております。真ん中でございますけれども、住まいを中心といたしまして医療と介護が適切に連携して地域内での医療を完結させていく、また、地域で多職種の方が協働していく、情報共有の強化をしていくといったことが必要になってまいります。
 13ページ目、こうした人口動態の変化ですとか医療需要の変化を踏まえましたこれまでの看護基礎教育の見直しについて御紹介しております。段階的に老人看護学の追加ですとか在宅看護論の追加、看護の統合と実践の追加ですとか地域在宅看護論の追加といった見直しを行ってきております。
 14ページ目は近時の検討会における議論状況について御紹介しております。真ん中の赤で囲っている部分でございますけれども、今後の看護職員に求められる能力といたしまして、地域包括ケアを総括的に進める者の育成や、多職種連携を前提とした人材育成を実施すべきであるといったことですとか、多様かつ複雑な患者の医療・生活ニーズに寄り添って多職種と連携しながら患者のケアを中心的に担っていくことですとか、特定行為研修の推進といったことを掲載しております。
 15ページ目が直近の看護基礎教育見直しの際の検討会の報告書の概要を紹介しております。真ん中の左のピンクの囲みの部分でございます。例えば看護師におきましては上から3つ目のポツ、臨床判断能力等に必要な基礎的能力の強化、その下、対象や療養の場の多様化に対応できるように地域在宅看護論という形で内容を充実させるですとか、上から2番目のICTを活用するための基礎的能力、コミュニケーション能力の強化に関する内容の充実といったことを記載しております。
 16~17ページ目にかけましては新人看護職員研修について御紹介しております。看護師におきまして新人看護職員研修は努力義務とされておりまして、各医療機関ですとか施設に入職した職員に対して、新たに業務に従事する看護師等に対する臨床研修、その他の研修の実施を講ずるように努めなければならないこととされております。具体的な内容は新人看護職員研修ガイドラインで定めております。直近では平成26年2月に改定しておりますけれども、上の囲みの2段落目、新人看護職員が基本的な臨床実践能力を獲得するための研修として各医療機関施設において実施しております。
 18ページ目は新人看護職員研修も含めた各種研修の実施状況について御紹介しております。新人看護職員研修をはじめといたしまして、特定行為研修、認定看護師・専門看護師の研修、訪問看護職員の研修ですとか、地域での在宅療養支援、地域包括ケア等に関する研修といったことを各都道府県において行っていただいているところでございます。
 19ページ目はいわゆる特定行為に関する研修制度の概要の御紹介をしております。
 20ページ目、こうした看護基礎教育、新人看護職員研修、その後の臨床研修、OJT、特定行為研修、各種研修といったことをこれからはシームレスに積み上げていく必要があると考えております。看護基礎教育研修でジェネラリストとしての看護師養成の基礎をまず積み上げまして、その後、臨床研修、OJT、新人看護職員研修といった形で徐々に積み上げてきまして、特定行為研修、各種専門分野研修といった形で専門性を高めていくといったことが必要になってまいります。
 21~22ページ目にかけましては、いわゆるクリニカルラダーの例を御紹介しております。各看護職員の皆様は、看護学校での基礎教育ですとか、その後の新人看護研修を経まして、さらに各施設・医療機関におきまして、それぞれのカリキュラムに基づきまして段階的に習熟度を上げていくということを紹介しております。
 23ページ目は地域包括ケアシステムの概念図の再掲でございます。
 24ページ目は今後の資質に関する議論の参考といたしまして、直近の看護基礎教育検討会報告書の概要を御紹介しております。真ん中の囲みの後半の部分、人口及び疾病構造の変化といったことにあわせまして、患者をはじめとする対象のケアを中心的に担う看護職員の就業場所は医療機関に限らず在宅や施設等へ広がってまいります。そうした多様な場において、多職種と連携して適切な保健・医療・福祉を提供することが期待されていること、また、対象の多様性・複雑性に対応した看護を創造する能力が求められていることといったことを記載しております。
 25~26ページ目は若手の看護職員に関する資料でございます。今後、18歳人口が年々減少していくことが見込まれます。2040年には74万人という形で現在の3割減になることが見込まれております。一方で、最近の新人看護師さんの実態でございますけれども、特にコロナ禍以降、関係構築が苦手な新人看護師さんが多いですとか、看護実践に時間を要してひとり立ちできないとか、新人看護師の個人差も大きいといった特徴が見られてきております。こうした新人看護師さんの特徴も踏まえつつ、今後、若手の看護師さんの総数はどうしても減ってまいりますので、なるべく速やかに看護の基礎的な能力を向上させていくことが必要になると考えます。
 27ページ目、基礎的な看護能力を習得した後に徐々に患者の状態の変化に応じて自律的に看護ができるようになっていくことが必要になるわけでございますけれども、そうした訓練の一例といたしまして、特定行為研修を修了した看護師さんの効果の例を御紹介しております。特定行為研修を修了することによって、患者を的確に評価して医師に報告できる、情報を明確に報告することで円滑に診療につながれる、診療の質が向上して満足向上につながるといった効果について御紹介しております。
 28ページ目、そうした特定行為研修を面的に広げる取組として、令和7年度補正予算の御紹介をしております。
 29ページ目以降、看護職員の就業場所に関する資料を御紹介しております。具体的には30ページ目、現在の看護職員の方の就業の傾向といたしまして、1施設目は200床以上の比較的規模の大きい病院に就職される、その後、徐々に同規模、中小規模の病院へ転職していく、あるいは訪問看護ですとか介護施設といった他領域への転職を徐々に行っていく。年齢の経過、経験年数の経過に応じまして徐々に就業経験を広げていくといった特色がございます。
 31ページ目、そうした多様な場での就業経験を広げることをシステム的に行う取組といたしまして在籍出向の取組が広がっていることを御紹介しております。
 左側の箱でございますけれども、近年およそ2割の病院で在籍出向の取組が広がってきている、その成果として、自院の看護職員のスキルアップにつながったといった声が見られる。
 また、右側でございますけれども、そうした在籍出向の取組を自治体単位で取り組む例として京都府さんの人材交流プログラムについて御紹介しております。1つ目のポツでございますけれども、京都府全域の医療・介護・福祉施設及び看護職養成機関等に在籍している看護職に対し、在籍出向により別の施設等でのキャリア形成を支援している取組でございます。下の囲みに効果について記載しておりますけれども、人材交流によって施設間連携が深まりシームレスな看護実践と地域全体の看護の質の向上を図られるといった効果が見られております。
 32~33ページ目にかけましては、地域での多職種連携の例について御紹介しております。こちらはHITO病院さんの例でございますけれども、訪問看護に伺う職員の方がスマートグラスをつけて、訪問先の患者さんの状態をグラス越しに記録して、それを病院に飛ばします。そして、病院でほかの職種の専門職の方がその映像を御覧になって専門性に応じた適切なアドバイスを行うことで、よりケアの質を高めるといった効果が見られております。どうしても地域でのケアになりますと、1つの場所に多職種の方が必ずしもいるわけではないので、こうしたICT機器なども活用しながら効率的・効果的に連携を行っていくことが重要になると考えております。
 また、33ページ目におきましては、患者の同意の下に看護師が患者のそばにいる状態での診療に当たるいわゆるD to P with Nの取組が広がっていることについて御紹介しております。
 34ページ目以降は人口動態に関する資料をおつけしております。現在の主力であるミドル層・シニア層のボリューム層の方が、今後2040年にかけて年齢を重ねていくにつれて、2040年には65歳以上の層がボリューム層になってまいります。その中で、現在現場を支えているミドル層・シニア層の方がなるべく継続して活躍することが大事になってまいりますけれども、55歳以上の看護職員の方の現状について御紹介しております。
 2008年が17.1万人の方が働いているところが2024年には41.3万人と、2倍以上の方が就業するようになっていること、また、右側でございますけれども、50代の方、特に就業継続意欲が高い層でございまして、看護職として働き続けたいという方が6割弱、また、看護職であるかどうかにはこだわらず、興味や関心の持てる仕事をしたいといった方が3割を超える形で回答しておりまして、こういったミドル層・シニア層の方が、御自身の希望に応じて生涯働き続けられるといったことの支援が大事になってくると考えております。
 36ページ目、そうしたシニア層の看護職の方の活躍の事例について御紹介しております。従前勤めていた医療機関・施設の退職後に、次の施設で活躍している事例でございまして、病院スタッフとして活躍している事例ですとか、訪問看護ステーションで活躍している事例、また、5番の吹き出しの部分でございますけれども、介護系施設で看護師長として勤務したり、ケアワーカーのサポートなどで活躍している事例といったことを御紹介しています。
 資料1については以上でございます。
 続きまして、資料2「看護学生の実習について」を御説明いたします。
 1ページ目には先ほどと同じように第1回の検討会でいただきました主な御意見を御紹介しております。特に前回、看護実習について多くの御意見をいただきました。大きく3つのカテゴリーに分けて御紹介しております。
 1つ目、実習指導者ですとか中堅層が不足している、かつ指導の負担が集中していることでサポート体制が弱くなっているといった御意見。
 2つ目、見学中心の実習になっているのではないかといった御意見を複数いただきました。特に看護技術の実践におきましては医療安全のリスクがございますので密着した指導が必要でございますけれども、その担保がされていない、実践的な実習が行えていないといった御意見をいただきました。
 そうした実践的な実習を行えていないといったことも踏まえてか、3つ目、実践能力不足の新人看護師が増加しているといった御意見を複数いただきました。卒業時の能力が担保されていない懸念がある、現場で求められる能力と教育内容のギャップが拡大しているですとか、病院によって実習の質に大きな差があって、実習指導者の配置に対する支援や実習内容の質の保証が求められるといった御意見をいただきました。
 3ページ目、看護師等養成所における実習についての概要の御紹介をしております。
 4ページ目、実習施設と養成所との間で調整に当たる教員の方、具体的には専任教員の方、教務主任の方の要件ですとか概要について御紹介をしております。
 5ページ目、実習施設の側で実習指導に当たる実習指導者について御紹介しております。真ん中の囲みの部分ですけれども、担当する領域について相当の学識経験を有して、実習指導者講習会、またはこれに準ずる者が実施した研修を受けた者であることを実習指導者として求めております。こうした実習指導者講習会を受けることによりまして、左下の囲みでございますけれども、看護基礎教育における実習の意義及び看護師実習指導者としての役割を理解して効果的な実習指導ができるようなることを目指しております。
 6ページ目は、看護実習に関する保健師助産師看護師法における適用の考え方を過去に示したものを御紹介しております。1つ目の丸でございますけれども、看護師等の資格を有しない学生の看護行為であっても、その目的・手段・方法が社会通念から見て相当であって、看護師等が行う看護行為と同程度の安全性が確保される範囲内であれば違法性はないと解することができるといった解釈の御紹介をしております。
 7ページ目、実際の実習について、真ん中の囲みでございますけれども、看護実習を経て卒業した卒業生の約4割がもっと学習しておきたかったと回答した項目として、身体侵襲性が高い技術項目を答えていること、また、卒業後、就業するに当たって、自身の実践能力に不安を感じている方が8割を超えているといったデータの御紹介をしております。
 8ページ目、実習を行った後に、その実習病院に実際に就職された方が何割いるかといったデータを御紹介しております。全国平均で申し上げますと、看護師養成所を卒業した方は、その後、実習病院へそのまま就職される割合が63.4%、また、大学におきましても、その後、実習病院へそのまま就職される方が48.9%ということで高い率を示していることを御紹介しております。
 9ページ目、経年で見た数字でございますが、看護師養成所はおおむね6割前後、看護大学につきましてもおおむね5割前後の数字で推移していることを御紹介しております。
 10ページ目、学生を受け入れるに当たって受け入れ体制に関する規定があるかどうかの調査でございます。真ん中の※の部分でございますが、例えば実習指導に関する組織目標ですとか、実習指導の責任・権限の所在といった実習受け入れに関する規定があるかどうかにつきまして、上の囲みでございますけれども、57.2%の実習施設がないと答えているという調査を御紹介しております。
 11ページ目、実習指導体制、実習指導者の兼務の状況について御紹介しております。真ん中の2つ目の丸、実習指導と通常業務との兼務があると答えた方が8割以上を占めていること。また、体制についてですけれども、1つ目の丸、実習指導者が主となって学生を指導しているがケアなどは実習指導者以外のスタッフに依頼しているところが59.3%、また、次に多いものとして、実習指導者が概要を把握して、実際の場面はスタッフに主に依頼しているといった回答が21.7%であることも御紹介しております。
 12ページ目、技術項目の到達度が高い10の養成所と低い10の養成所の比較をした資料をおつけしております。技術項目の到達度が高い養成所の特徴といたしまして、看護師に占める実習指導者の割合が高い傾向にあるですとか、実習指導者講習会の受講者の割合が高い傾向にある、また、実習指導者と養成所との連携がうまくいっている、全ての養成所が実習指導者と定期的な会議を開催して到達目標を共有しているといった特徴について御紹介しております。
 13ページ目、養成所と実習施設の連携に関する実際の状況について御紹介しております。1つ目のポツ、実習前後に養成所と実習施設が十分な調整を行うこと、また、教員や実習指導者による適切な実習指導体制を確保することが求められているところでございますけれども、実態といたしましては、実際に養成所と実習施設がどのくらい連携しているかについては、きちんと適切に連携できているかという問いに対して「とてもそう思う」と回答しているのが約2割にとどまっているという現状を御紹介しております。
 その連携がうまくいっていない要因について、自由記載から幾つか抜粋して御紹介しております。実習指導者と教員との調整が不十分である、実習指導者と教員が実習目標についてきちんと共有できていない、実習指導者に必要な情報の共有ができていないとか、そういったことについて要因として挙げられております。
 また、14ページ目は実習指導者が自分の実習施設が実習受け入れに適しているかどうかについて回答したものでございます。どちらとも言えない、やや適していない、全く適していないと回答した割合が、科目により異なりますが1~3割程度ございまして、適していない場での実習が一定程度行われている状況が確認されております。
 その要因といたしまして、自由記載を引用する形で幾つか御紹介しております。右下の囲みでございますけれども、実習指導者講習会の受講者が不在である、実習施設の指導体制が不十分である、実習指導体制に関する周知が不足しているといったことが要因として挙げられております。
 15ページ目が、実習施設が実習の受け入れを断ったことがあるかどうかという調査について御紹介しております。約8.3%の施設が実習を断った経験があると回答しております。その理由といたしましては、ほかの養成所、学校の実習を既に受け入れているですとか、実習施設側の指導体制が十分ではないといったことが挙げられております。
 16ページ目、養成所がどのぐらい実習施設の確保に困難を感じているかといった動向をマクロの数字で示したものでございます。例えば直近、2024年度で言いますと、実習施設の確保に困難を感じている養成所が62.9%と、かなりの割合でおられるという数字を御紹介しております。
 17ページ目、領域別で実習施設の確保に特に困難を感じたところはどこかということをさらに調査したものでございますけれども、母性看護学実習ですとか小児看護学実習といったところで割合が高くなっております。
 18ページ目、実習施設を近隣ではなくて遠方で確保して行ったことがどのぐらいあるかということの調査でございます。具体的には1つ目のポツ、実習施設までの移動に1時間以上かかるですとか、宿泊を伴うといった実習を設定している養成所の割合が約2割存在しております。そのような遠方の宿泊を伴う施設を確保した理由といたしましては、近隣での実習施設の確保が難しいためと回答した割合が約9割を占めております。
 19ページ目、看護師養成所におけるDXの活用について事例の御紹介をしております。左の囲みの1つ目の段落、看護学生の実習の記録、指導、評価、データ分析といったことを関係者が一覧して見られる形でプラットフォームを導入している事例でございます。こうしたシステムを導入することによって、実習指導者がタイムリーに学生の記録の確認ができ、指導や情報共有が可能になった等の肯定的な意見が聞かれているところでございます。
 20ページ目、資料2のまとめに当たるスライドをつけております。
 まず、課題でございますけれども、現在の看護実習においては、患者とのコミュニケーションですとか、そのコミュニケーションに基づきまして状況に即した技術の実践ができているかどうか、そういった機会は十分に確保できていない、自身の看護実践能力と身体侵襲性の高い看護技術について学習不足を感じている学生さんがおられます。実習指導者による密着した指導が実施できていないので、看護学生が看護実践能力を身につけられていないという現状が指摘されております。
 本来、実習中であっても安全性が確保されていれば、看護師等が行う看護行為と同程度の看護の提供を行うことができるとされております。卒業時点から自律して基礎的な看護を提供できる看護職員となることを目指して、学生の段階から主体的に根拠に基づいた臨床判断ですとか看護計画の作成を行って、身体侵襲性の高い技術を含む看護の提供を行う経験を積む必要があるのではないかとしておりまして、下にそのために必要な支援として5つ掲げております。
 1つ目、看護学生の学習ニーズを満たしつつ、安全に実践的な実習を実施するためには、病院等の実習施設において実習指導者を十分に確保して適切に配置するための支援が必要ではないか。
 2つ目、実習病院に半数以上の学生が就職している現状を鑑みますと、その後の実習病院ですとか地域への定着を見据えて、看護実践能力が高くなるように実習前からの学内演習の充実及び実施の段階から実践的な指導を行う必要があるのではないか。
 3つ目、実習指導者が指導方法等に関する研修を受講して実習の質を高めることが必要ではないか。
 4つ目、学生の実習到達目標達成のためには、養成所と実習指導者の効果的・効率的なコミュニケーションの機会を十分に確保することが必要ではないか。
 最後に5つ目、実習施設の確保に向けては、必ずしも近隣の施設だけで確保できるわけではございませんので、都道府県において各地域の医療機関等の役割を踏まえたDXの活用などの遠方での実習を支援する取組が必要ではないかといったことを論点として掲げております。
 資料2の説明については以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 今、事務局のほうから「今後の看護職員に求められる資質について」ということと「看護学生の実習について」の2つの資料について御説明がありました。これから御質問・御意見を賜りたいと思います。本日は構成員の方が大勢お集まりですので、恐れ入りますが簡潔に御発言いただきますようお願いいたします。どなたからでも結構ですので挙手をお願いいたしたいと思います。
 では、早速ですが樋口先生、よろしくお願いします。
○樋口構成員 よろしくお願いいたします。樋口と申します。
 1点、御意見させていただく前に確認をさせていただきたいと思います。非常に多くの資料を提示していただいてありがとうございます。
 今回の話し合いの中で、看護職員に求められる資質についてと看護学生の実習について今説明いただきました。前回から看護師の資質については非常に議論する必要があるということで述べられていたかと思います。そこで、今回、学生の実習について、また出ているのですが、看護師の資質を上げていくには、もちろん今の学生さんたちの実習をどのように効果的に、そして、いいものにしていくかというのは大事かと思うのですが、既に資格を持っている方々の資質も大事かなと思って考えておりました。
 ただ、今回の議論におきましては、学生の実習について論点が載っているかと思ったのですが、今働いている者も含めての資質についての議論に関してはここにはないのです。このことに関して私が意見を述べさせていただく前に確認したいのですが、どのように考えたらよろしいでしょうか。
○小野座長 事務局、お願いいたします。
○水谷看護職員確保対策官 御質問ありがとうございます。
 就職後の研修等の取組につきましては、第1回の検討会の資料でも論点の一つとして挙げております。資料の構成の都合上、今回は実習だけの資料になっておりますけれども、また就職後の研修といったことにつきましては、回を改めて各論として議論できればと考えております。
○樋口構成員 ありがとうございます。
 そうしましたら、これから実習をしていかなくてはいけない、これから新たに学生の実習に関わる実習に関する論点ということで、そこを進めていくことが今後の資質に関わってくるといいますか、向上につながってくるということで考えた上で意見をさせていただきたいと思っております。
 7ページでも8ページでも出てくるかと思うのですけれども、これから2040年に向けて増加する在宅療養者のメーンは高齢者になってくるかと思います。高齢症候群とか、入院の患者さんも65歳以上になりますと、どうしても高齢者支援では専門性も大事ですけれども、ここの資料にもたくさん出ていますとおり、ジェネラリストの育成が必須になってくると思っております。もちろん専門性とか急性期は大事なのですが、治し支える医療に対して看護はどう担っていくかということを見ていくと、どうしてもジェネラリスト、広く様々なものを見ていける力は大事かと思っています。
 現在の教育の中でも老年の看護論だとか地域在宅看護の力を入れていると思うのですが、その中で、地域包括ケアとか多職種連携だとか、看護・介護連携とか、シームレスなケアを教育されてきていると思います。ただ、それでは不十分だったり、現場に即していないものがあるから特定行為研修制度が進められてきたのではないかと思っております。
 この制度なのですけれども、現在3~5年ぐらいの実務経験を持っている看護師がほぼほぼ受講になっているものではないかと思います。これがなぜ3~5年なっているかというと、今働いていて、さらに実践、根拠に基づくものをもっと応用して自律的にできていて、それがチーム医療のキーパーソンとして、これからも頑張っていってくれるだろうということで期待されているのだと思うのですが、そこから卒業してからやっていくことでは遅いものもたくさんあるのではないかと思います。
 目指すべき方向にあるのは、ここで今何度も出ているのですけれども、特定行為研修でもそうなのですが、20ページにも書いてありますシームレスな教育の部分で、共通項目の部分が非常に大事だと思っています。特定行為だけで言ったら38行為のうち、私は在宅にいますが、在宅でできるものは10にも満たないと思っています。ただ、手技的なことというのは、現場の実践の場で繰り返すことでなんぼでもうまくなれるのではないかなと思うのですけれども、大切なのは実症例によるアセスメントだとか判断能力の学びのほうだと思っています。これらの臨床推論とかを含めて早い段階から看護教育とか実習に入れていくことで、看護師の質の向上だとか、看護そのものの発揮につながるのではないかと思っています。
 そういうことを実習で取り入れていこうと思うと、実習指導者の力も今より一層必要になってくるかもしれませんけれども、そういうことを早めに行っていくことで、卒後にすぐに自律性だとか、多職種連携の必要性を新人の看護師さんたちが一層感じ取って発揮していって、1日も早く地域のキーパーソンとして芽を出してくれるのではないかと思っています。
 実習の様々な難しさはあるかもしれませんけれども、今、苦手としている学生さんのコミュニケーションだとか、観察とかというところに関しては、特定行為研修でいう共通項目の部分ですけれども、それを現場で実習中にもどんどんやっていくことでコミュニケーションも見る力も必須になってきます。そういうことが実習の中で入っていけるような教育体制が必要かと思いますし、実習に入っていける力だとか、実施をしていってくださる先生方に力を出していただけるような研修の機会が必要になってくるのではないかと私は今回の資料を見させていただいて思ったところです。
 少し長くなりましてすみません。ありがとうございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、会場の秋山先生、お願いいたします。
○秋山構成員 初めに、本検討会の議題検討の進め方について意見を述べます。
 今回、看護職員に求められる資質が議題となったことを歓迎します。ただ、議題1が今後の看護職員に求められる資質となっていますが、目先の数年間という話ではなく、2040年という将来を見据えて求められる資質を議論する場だと理解しています。また、看護の基礎教育は講義・演習・実習で構成されているにもかかわらず議題2は実習のみとなっており、論点も指導体制のことばかりになっています。
 本検討会では2040年に看護職に求められる資質について検討、整理、合意した後に、その資質をどう段階的に習得していくべきかを検討する必要があると考えます。本日構成員から出される資質についての意見を事務局で整理し、2040年に看護職員に求められる資質案として提示していただきたい。次回、その案について確認、合意した上で、それらを身につけるために必要な教育内容や時間等の養成の在り方について検討すべきだと考えます。
 臨地実習に出るまでにどこまでの資質を身につけるのか、その後、実習も含めて卒業までにどこまでの資質を身につけるのか、そして、免許取得後に新人看護職員研修でどこまでブラッシュアップするのか、シームレスに看護職を育成できるよう、段階的な整理が必要だと思います。前回もお願いしましたが、これらの検討スケジュールを資料として提示していただきたいと思います。
 その上で、本題の2040年に向けて看護師に求められる資質についてです。今後の動向によっても様々変化するものとは思いますが、端的に表現すれば、看護師の働く場は今以上に病院から在宅へシフトし、限られた人数で、地域に点在する医療・介護の複合ニーズを持った多くの人々に対し、必要な医療・看護を必要なときにタイムリーに提供できる看護師が求められるようになると考えます。
 労働人口が大幅に減少する中では、就職後に数か月から1年、ときには1年以上かけてひとり立ちを支援するといった、これまでのような新人教育体制は成立し得ないと思います。看護師免許を与える時点で、訪問看護を含めどのような場でも、ある程度は自分で判断し、基本的なニーズに対応できるようにすべきだと考えます。
 特に地方においては、今後さらに医療資源が減少する地域が増えることが想定されていますので、自身で判断できる看護師を養成しなければ地域医療は成り立たず、国民のニーズには応えられないと思います。日本全体で働き手の確保が大きな問題となりますので、医療・看護で多くの人数を確保しようとすれば、他の必要な産業とのバランスもいずれ問題になると思います。2040年以降は医療ニーズが減少することも踏まえる必要があり、養成については数を維持することよりも質の向上を重視するとともに、就業中の看護職が長期にわたって働き続けられる環境を整備し、潜在看護職に現場に戻ってきてもらう策を講じることで医療・看護ニーズのピークに対応すべきだと考えます。
 2040年に看護職員に求められる資質には、今よりも高いレベルが求められるものやさらに重要性が増すもの、新たに必要となるものがあると思います。例えば、医師との連絡に時間を要することも少なくない在宅でタイムリーに患者や利用者の状態変化に対応するためには、あらかじめ状態の変化を想定し、医師から包括的指示を受けておくことや、検査データが豊富にない中でも、状態の変化を見極めながら包括的指示の下で即座に判断・対応できる力が重要になります。
 また、独居や認知症、経済的に困窮する高齢者が増える中で、意思決定支援や、その人の望む生活を実現するためには、対象者に対する深い理解と洞察力、倫理的感受性、確からしい情報を選別するための情報リテラシー、合理的判断を導くためのクリティカルな思考力、医療だけでなく福祉制度についての知識、福祉関係の職種や機関と円滑に連携するための優れたコミュニケーション能力やマネジメント力も不可欠です。
 さらには、増加する医療ニーズに限られた医療従事者で対応するためには、入院や救急搬送で医療にアクセスしてくるのを待っているのではなく、こちらからアウトリーチし、疾病予防や重症化予防に必要なサービスにつなげていく、といった先手を打つ力がますます重要となります。訪問看護や介護施設等の看護師がこれらの能力を発揮すれば、救急搬送や夜間休日の受診、医師への連絡を減らすことができると思います。看護職によるそうした先手を打った疾病予防、重症化予防は、医療の総需要を減らすとともに健康寿命の延伸にも貢献すると思います。
 加えて、医療DXなど先進的な技術の活用が医療においても進んでいく中では、デジタル機器やAI、D to P with Nへの対応能力や、それらを看護に応用する力も必要になります。例えば、ハンディエコーで一人一人異なる摂食嚥下機能を評価しながら、その人に合った経口摂取の方法を確立することができれば、食べることを諦めさせることなく誤嚥も予防できるようになると思います。専門職として看護職が自らなすべきことを見定められるプロフェッショナリズムを醸成することも極めて重要だと考えます。
 重ねてお願いしますが、本日、構成員から出される様々な資質についての意見を事務局で整理していただいた上で、次回、2040年に看護職員に求められる資質案として提示いただき、合意に向けた検討をお願いいたします。
 長くなって申し訳ございません。以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 事務局からは特によろしいですか。
○秋山構成員 もし、あればコメントをお願いします。
○水谷看護職員確保対策官 進め方に関する御意見もいただきましたので、その部分だけ事務局からお答えさせていただきます。
 本日、資質に関する議論に必要な資料を事務局から提示しております。本日、皆様からこの後もいろいろ御意見をいただくことになると思いますので、その議論のまとめといったものを次回用意しようかと思っております。具体的な出し方については座長とも御相談したいと思います。
 また、スケジュールを紙で出してほしいといったことについても御意見をいただきました。初回に大体の各回の検討会のスピード感というか、月1回程度開催していくといったことは御説明して、また各回の論点についての案も提示して、皆様からおおむね御了承いただいたところでございます。ただ、具体的にいつどの議論をするかというのは各回における構成員の皆様の議論を踏まえて設定していくものになりますので、この段階で紙として今後いつどういう議論を具体的にやっていくかというのを出すのはなかなか難しいということは御承知いただければと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、会場とオンラインと交互に行きたいと思います。
 オンラインのほうで古元先生、お願いします。
○古元構成員 私からは医療と介護の連携について手短に申し上げたいと思います。これからは地域の方々の生活を支えることが重要であり、新たな地域医療構想にもあるとおり、医療と介護の連携が重要になると思います。看護職員の方は、例えば訪問看護ステーション、介護保険施設、看多機、療養通所介護などの介護サービスでも大変活躍しておられ、これまで以上にこうした分野での活躍が期待されます。
 そのため、例えば本日の資料1の18ページにある都道府県における研修や、31ページにある在籍出向、こういった機会を捉えて、介護の現場にも接する機会を着実に増やしていくことが重要であると考えます。
 以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 会場の鎌倉先生、お願いします。
○鎌倉構成員 資質・能力のことが課題になっていまして、看護教育のほうでは中央教育審議会の答申を受けまして、教育の質の向上ということが言われています。看護教育も同じようにそれが図られていまして、現状では前回も申し上げましたが、モデルコアカリキュラムができまして、そこの中で資質・能力が明確になっております。
 今回の参考資料の右下のところに看護学教育モデルコアカリキュラムが少し書かれておりますけれども、そこの中の基本的な資質・能力として、第1階層と言っていますが、対象を総合的・全人的に捉える能力、先ほどの御発言によりますと、例えばSOですと、地域社会における健康支援、こういった項目が11項目に分類されまして、それに合わせてどういった能力が必要かということで756の能力が示されております。それが資質・能力としてかなり根幹を占めるものではないかと思います。
 そして、教育のためには実習が非常に重要になってまいりますが、今、実習においては参加型臨地実習ということが求められています。現状では、例えば看護専門学校ですと教員がついていかないものですから、臨床の看護師が指導するという体制が多くありますけれども、大学に対しては、教員がついてこなければ実習は受けられませんと言われてしまいますので、必ず大学の教員が行っています。そうしますと、ほとんど大学の教員がその場を借りて指導するという形になってきます。
 その結果、何が起こっているかといいますと、調査をいたしましたところ、療養所の世話、そして、診療の補助、両方とも、特に診療の補助ですけれども、ほとんどできていないという現状が分かってきました。それを何とか参加型臨地実習を実行するためにどうしたらいいのかということを文部科学省の調査研究のほうで今、日本看護系大学協議会が行っております。
 1年間調査した結果で見えてきたところは、実習施設からは、臨地実習前の学生の能力を評価してほしい。どういう能力の評価があるのか、そして、その評価をしないと、診療の補助に関する技術などの看護行為はいくら違法性阻却があったとしてもなかなか行わせられないといったようなことが見えてまいりました。そこの中でたくさん出てくるのが実習指導者の問題、そして、教員の指導力の課題、そして評価の問題、連絡・調整、共同体制の問題、そういったことがたくさん出てきております。
 また成果は、報告は出したのですが、まだ公表されておりませんので、これから公表になりますけれども、そういった問題がたくさんあって、それを踏まえた形で参加型臨地実習を共同体制でできることが学生の能力を育成してく、ひいては新人の能力を育成する、そこからスタートできるという、そこが根幹だと思っております。まずは今の状況を御説明させていただきました。
○小野座長 ありがとうございます。
 では、オンラインの山口先生、お願いいたします。
○山口構成員 先ほど秋山構成員がおっしゃっていた議題1の資料1のところですけれども、私もこの資料1を拝見しますと、看護職員に求められる資質について関係すると思われる資料が並べられているという印象があって、資料2のような論点も書かれていないので、まだポイントが絞られていない気がいたしました。ですので、事務局として看護職員に求められる資質の問題点・課題点をどのような方向で考えてらっしゃるのか、次回以降で結構ですので、もう少し明確にしていただけたらと思います。
 その上で、資料1の20ページのところに、シームレスにというのがあるわけですけれども、医師の場合でもシームレスの必要性が言われ始めて、診療参加型臨床実習につながってきていると思うのです。シームレスを考えるうえでお聞きしたいのが、今、御発言の中でコアカリの話があったのですけれども、モデルコアカリキュラムに準じて教育が行われているのは大学です。大学を出て看護師になる人も養成校を出て看護師になる人も同じ国家資格だと思うのです。そうしたときにコアカリと養成校での教育内容の違いが具体的にどうなのかということが私では分からなくて、その辺り、このシームレスを考えるときにも重要ではないかなと思って、今日は無理でも、看護教育に関係している者以外も分かるような資料を出していただけたらと思いました。
 それから、医学部・歯学部・薬学部ではOSCEが導入されていて、医療面接、特に新人看護師さんのコミュニケーションが問題になっているということが何度も言われていますけれども、看護の場合は学生さんの人数も多いので模擬患者も足りないということもあって、正式導入というのがまだ行われていないと思います。ただ、模擬患者に30年以上関わって養成してきた立場から言いますと、今、医学部等で求められている医療面接の基本的な模擬患者の標準化はAIで十分同じレベルにできるようになってきていて、視線を合わすことができないという問題点はありますけれども、基本的なコミュニケーション能力を学ぶにはAIの導入でも十分いけるのではないかなと思っています。その辺りのOSCEの導入についての現状がどうなっているのかということを分かる範囲で教えていただければと思いました。
 それから、資料2の実習のことです。どうも現場の話を聞いていますと、今、大学の場合は大学の教員が行かれるということだったのですけれども、例えば現場では、「あの患者さんなら協力してもらえそう」と思うような患者さんには声をかけて、それ以外の場合は断られたということにして、結局トラブルの種をつくらないということが現場で行われていると聞いています。
 資料2の7ページ、かなり侵襲のある内容についての実習はできていないということなのですけれども、患者からすると、この人はもう看護師免許を持っていますと言われたときに、採血できない、注射もできないということだと、そのほうが患者としては不安なわけですので、実際に抜本的な改善をして、実習中に経験できる実効性の高い対策を取っていかないといけないのではないかということに加えて、患者側の理解を求める努力も、もう少ししていく必要があるのではないかと思いました。
 特に11ページ、スタッフに指導を依頼している、今のお話だとこれは養成校だと思うのですけれども、そうすると、どうしても患者とトラブルになると厄介だからというような感じになってきていると思います。きちんとそういう実質的な実習をさせなければならないというようなことを国としてももう少し踏み込んで言っていく必要があるのではないかと思いました。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
 事務局の方、最初のポイントのお話もあったかと思うので、その点、何かあればお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○習田課長 御質問ありがとうございます。
 養成所と大学を卒業した学生さんの能力について御質問があったかと思います。これは次回以降でということだったかと思いますので、何かお示しできるものがあるかということについては検討したいと思っております。
○山口構成員 能力ではなく、学習内容の違いを知ることができる、卒業したときに何ができるかというよりも、学んでいることの違いみたいなこと知りたいと思います。
○習田課長 承知しました。準備したいと思います。
 また、OSCEの現状についての御質問があったかと思うのですけれども、医師や歯科医師のような厳密な形でのOSCEというものではありませんけれども、各養成所の中で客観的な技術評価は行っていると承知しております。ただ、それが必ずしも一致した基準かどうかといいますと、養成所ごとでの評価をしていますので、そういった点では、十分かというと、必ずしもそうではないかもしれません。
 以上となります。
○小野座長 ありがとうございました。
 それでは、水方先生、お願いいたします。
○水方構成員 日本看護学校協議会の水方でございます。養成所の立場からお伝えしたいと思います。
 先ほど実習に関しまして、大学は教員がついてきているけれども、専門学校は指導者に任せているから実践力が身につかないのだというようなお話がありましたが、私が理解しているところではそうではないのです。養成所においても教員が実習場に出向くことは多くありますし、それによって、大学との実践力の差がつくということではないと思っているのです。養成所は実習できなくて、大学ができているみたいなことを聞くのですが、私は逆だと思っているのです。もし、そのような調査があれば教えていただきたいです。それと、そのような調査がないのであれば、しっかりした調査をしていただきたいです。誰かが何とか言っているといううわさ話的なことではなく、ちゃんとした調査をしていただきたいと思っております。
 あと、モデルコアカリキュラムのことですけれども、ただいま専門学校には適用されておりません。そして、非常に細分化された能力管理みたいなものを養成所でするには無理があるというのか、そういうものを必要としていないところが現状だと思うのです。看護を学ぶということはどういうことなのかということを中心に置きながら実践していっているのが専門学校の特徴でございます。
 あと、数より質の維持ともおっしゃっていましたけれども、質だけで2040年がうまくいくとは思わないのです。供給量と地域分布、定着、そして、質の4つがそろって初めて成立するものだと思いますので、看護職養成の多様性を維持していく中で、病院も中小様々にありますし、看護が働く現場も様々なのだと思うのです。先ほどジェネラリストの育成と言われていましたように、まさしくそれがこれから求められてくるのだと思っております。よって、看護基礎教育をどうするかといったところの議論もあると思いますけれども、今働いている看護師さんたちの質をどうやって上げていくのかといったところも一緒に御議論いただけたらと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、オンラインの小林先生、お願いいたします。
○小林構成員 現在、実習に関する論点に焦点が当てられておりますが、これらの課題をすべて臨地実習のみで補完することには限界があると感じております。私自身、米国での学びやシミュレーション教育の現場を通して、実習前からシミュレーション教育やケースディスカッションを繰り返し行い、「なぜその判断をしたのか」「患者さんに何が起きているのか」を考えながら学ぶ教育が非常に体系化され、重視されていることを実感いたしました。
 また、米国の臨床実習では、学生担当のプレセプターや教員だけでなく、病棟全体で学生を育てる文化や体制が比較的強く存在していたことも印象的でした。もちろん施設差はあると思いますが、「学生教育は病棟全体の役割である」という考え方が浸透している病院も少なくありません。学生を単なる“実習生”として切り離すのではなく、医療チームの一員として迎え入れ、育成していく姿勢や文化がありました。
 通常、学生には担当となるRN(Registered Nurse:登録看護師)が付き、患者を一緒に受け持ちながら、アセスメントや優先順位判断、報告、申し送り、記録などについて指導を行います。しかし、その際も単に正解を教えるのではなく、「なぜそう考えたのか」と問いかけ、思考過程を言語化させる教育が重視されていました。
 さらに特徴的だったのは、学生担当ではない看護師も自然に教育へ関わっていた点です。例えば、急変時に「見にきてください」と声をかけたり、「この患者さんを今どう観ていますか?」と問いかけたり、検査値や電子カルテの見方を教えたり、カンファレンスで学生にも発言を求めたりと、病棟全体で学生を支える姿勢が見られました。背景には、「学生は将来の同僚である」という認識があり、自分たちの職場文化や安全文化を次世代へ伝えるという意識が根付いているように感じました。
 また、教育病院では、学生教育そのものが病院の重要な使命の一つとして位置づけられており、Clinical EducatorやNurse Educator、Student Coordinatorといった教育専任者が配置されている施設もありました。学生受け入れや教育評価、プレセプター育成まで含めて、組織的に教育体制が整備されている点も大きな特徴であると感じました。
 こうした教育は、単に知識や技術を習得するだけではなく、急変時や多重課題の状況においても、自ら気づき、優先順位を考え、適切に判断できる力を育成する上で極めて重要であると感じております。また、「失敗しない教育」ではなく、「安全な環境で失敗から学ぶ教育」が重視されていた点も印象的でした。例えば、シミュレーション教育の中で、状態悪化への気づきの遅れ、優先順位判断の誤り、報告の遅れなどをあえて体験させ、その上で、「何を見落としていたのか」「なぜ判断できなかったのか」「次回はどのように行動するのか」を振り返ることで、臨床判断能力を育成していました。
 実際の病棟でも、「失敗したこと」そのものを否定するのではなく、まず学生の考えを確認しながら、一緒に振り返る文化がありました。「よく気づきましたね」「一緒に考えてみましょう」といった、小さな承認や対話を積み重ねながら教育が行われていたことも印象的でした。また、“Teach-back”のように、学生自身が説明し返すことで理解を深める手法も多く活用されておりました。
 一方で、日本では、どうしても「学生担当者だけが教育を担う」「忙しいため学生対応が後回しになる」「失敗させないこと」が中心になりやすい傾向があるように感じます。しかし、今後、より複雑化する医療現場やAI時代に対応していくためには、単に知識や手順を教えるだけではなく、思考過程や臨床判断能力を育成する教育への転換が重要になってくると考えます。
 今後、AIやICTの導入はさらに進んでいくと考えられます。その中で、AIに過度に依存することで、自ら考え、判断する力が低下しないよう注意を払う必要があると思います。一方で、AIやICTを適切に活用しながら、自ら気づき、考え、判断する力を育成する教育は、これからますます重要になってくると考えます。例えば、急変対応や優先順位判断に関するシミュレーション教育、ICTやVRを活用した実践型教育、さらには実習指導者個人だけに依存するのではなく、病棟全体で学生を支える教育体制なども重要な視点になると思います。
 また、卒業時点で「どこまでできているか」を評価することも重要ですが、それ以上に、卒業後にどのように実践能力を育成していくのかを含めた教育設計が必要であると考えます。例えば、米国では「Transition to Practice」という考え方があり、卒業時点では臨床能力は未完成であることを前提に、「Nurse Residency Program」が整備されています。これは、卒業後おおむね1年程度をかけて、優先順位判断、多重課題への対応、急変対応、多職種連携などの実践コンピテンシーを段階的に育成する仕組みです。基礎教育で学んだ知識を、実際の臨床現場で活用できる力へと転換する期間として制度的に位置づけられており、シミュレーション教育、メンタリング、振り返り教育を組み合わせながら臨床判断能力を育成しています。さらに、こうした卒後教育プログラムについては、第三者機関による認証制度も整備されており、教育内容や質を一定水準以上に維持する仕組みが構築されています。
 今後、AIやデジタル化がさらに進展する中では、AIが提示する情報を適切に解釈し、患者さんの背景や生活まで含めて統合的に判断できる力が、より重要になってくると考えます。実際に、OECDやWHOにおいても、臨床能力、対話能力、多職種連携、統合的判断力、適応力、生涯学習力などは、AIに置き換えることのできない重要なコンピテンシーとして位置づけられています。
 そのため、卒前・卒後を通じて、臨床判断能力やAI時代に求められる実践コンピテンシーを継続的に積み上げていく仕組みとして、基礎教育と卒後教育を一体的に設計し、さらに看護職能ラダーに沿った段階的能力育成を組み込む視点が重要ではないかと考えます。これにより、学生から新人看護師、さらに中堅・上級看護師へと、経験段階に応じた実践能力や判断力を体系的に伸ばしつつ、AIやICTの活用能力を含めた現代的コンピテンシーを段階的に育成することが可能となると思います。
 以上になります。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、別府先生、お願いいたします。
○別府構成員 臨床の立場で言わせていただきます。私も同じように卒業してきたばかりの学生がすぐに活用できるとは思っておりませんし、私どもは主に大学なのですが、大学で概念化された知識とか技術とかというのを1年ぐらいかけて臨床の中で現実的なものに落としていく作業は非常に必要になると思うのです。ただ、それを学校の実習の中で集中的にやるということが、概念化された知識を大学のときに学ばなくていいのかと言ったら私はそういうことはないと思うのです。それはきちんと学んできてほしいと思います。
 それがないと、それからの発展性というか、ナースの学ぶ力ですとか、エビデンスに基づく実践ということが私たちには求められなくなってしまって、その場の判断だけで動くようなナースというのは、今後2040年を迎えて、先ほど地域医療とかの話もありましたけれども、大学病院でさえ医師の働き方で、夜、医師がいない、手術室に行って医師がいない、その中でナースが判断しなくてはいけないことが非常に増えています。包括指示をもらって、その中で判断して実行できることをどのようにやっていくのかということが現在始まっていて、AIの駆使ですとか何とかということもやっていかなくてはいけない。先ほどから出ています資質というのが、どういう資質が求められるのかというのは、きちんと考えていく必要があるだろうと思います。
 ここ何年かで補助金とかもあってAIとかの導入が非常に進んでいますけれども、医療の本質は先ほどから出ていますように技術的なことと本質的なことは分けて考える、分けてというわけでもないですけれども、きちんと考えられる人材も育成しておく必要があるでしょうし、それを発展的に考えられる資質も必要になってくるのではないかと思います。
 実習に関しましては、基礎教育の中で、私は管理者の立場として看護管理の学習というのが非常に薄いと思っています。人確法の改正ですとか、診療報酬のところで、看護管理者を重要視するとシフトしていると思うのです。急に看護管理者になれるわけではないですし、普通に仕事をしているときから多職種の中で連携する力ですとか、リーダーシップを執っていく力ですとか、そういうことを育成するための基本的な能力というのは、学生のときからきちんと学んでいってほしいということも思っております。
 もう一つは実習のことですが、先ほどから出ていますように、実習指導者の能力がすごく課題になっていますし、教員との連携が非常に課題になっていると思います。勤務がかなり厳しくて、そこにいる患者さんのほうを優先するので学生さんのほうがおろそかになってしまうということはスタッフたちには多々あると思うのです。その時間を担保できるかどうかというのは、臨床側としてそれを大きく担保できますというようなことを言える段階ではないということも思っております。
 ですが、教育機関に演習ですとかシミュレーションのときにスタッフを行かせるということをもう少し積極的にできる仕組みができないかと思うのです。それが現実的な教育ということなのだと思うのです。それを教員と協力しながら、カリキュラムをつくったり、そういうOSCEのストーリーとかをきちんとつくっていくことで、今度は臨床のスタッフが1年生と4年生の違い、カリキュラムを踏みながらどのように成長してきているのかということを臨床のナースが知っておくということも非常に重要だと思っているのです。それで新人教育のときにそれをちゃんと生かしていけて、人を育成するという臨床の教育力の育成ということも考えていただければと思っております。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、オンラインの春山先生、お願いいたします。
○春山構成員 今までの皆様の御意見と重なるところが多いかと思います。
 まず、求められる資質が整理されないと、その先の実習を含めた教育、教育も基礎教育と現任教育は連続性のあるものと考えられますけれども、それが論じられないのではないかと思います。求められる資質のところの整理がなされていないわけですけれども、現在の資料を見たときに、高齢者とか人口構造のことを示されていますが、ライフサイクル別のニーズであるとか、予防から疾病・障害を持つ人のニーズ、それから、様々な場におけるニーズというようなところを踏まえて、今後、2040年に向けてどういう看護職員が求められるのかというところを整理する必要があるのではないかと思います。
 資料の中にも現場と教育のギャップという話がありましたが、それはかなり前から言われていることで、そのために新人看護職員研修という仕組みができたわけで、では、その成果と課題は何なのか。それから、地域生活の場での看護や、これからは多様な専門職、あるいは看護の対象となるような非専門職の人たちと協働・連携した看護が重要になってくる、そういう背景を下に看護基礎教育の中に地域在宅看護論ができたり、それから、各大学や学校の理念とか、育成する人材像に基づいて実習は23単位中6単位をそれぞれ自由に設定してやっている。では、その成果と課題は何なのかという辺りも見据えて考えていく必要があるのではないかと思いました。
 資料の中にありましたコミュニケーション能力や対人スキルが近年弱いというようなところで、そういう中で臨床判断力などをつけた看護職を育てていくためには、限られた実習経験をきちんと振り返って、リフレクションなどに基づいて意味づけしていく、そして、頭づくりをしていくのが基礎教育においては非常に重要だと思います。
 資料2にあります看護学生の卒業時に求められる看護職員像というのを見ると少し寂しい感じがいたしまして、即戦力が重視されているような、時代に逆行したような感じで、これから人口がそれこそ減っていく中で魅力ある看護職像を示さなければならないときに少し貧弱ではないかと思いました。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
 会場の平原先生、お願いいたします。
○平原構成員 日本訪問看護財団の平原です。私は地域で30年以上の訪問看護の立場から意見を述べさせていただきます。現場で感じるのは、病院と地域の連携の課題が多くて、その大きな理由は、病院のナースが暮らしの在宅の様子、療養者の暮らしの実態を見る機会が少ないのではないかということを感じております。これから地域完結型医療とか、治し支える医療に移行されるということを随分聞いておりますけれども、病院の中でどんどん機能が落ちてしまう85歳以上の方が家に帰れないというのは、在宅の側からいうと、早く帰してほしいという声がなかなか届かず、家に帰れず施設に入られるという事例が本当にまだまだ後を絶ちません。
 これから先を見越したときに、85歳以上含めた高齢者の人が必要な医療が終わったらすぐに地域に戻していただけるためにはこれから先、あるいは今現在の看護師さんにも、在宅の療養の場所をよく理解していただく、その暮らしの中で自律した暮らし、そして、たまに医療が入るということを理解いただく、現任のナースもそうだけれども、これから先の若い人たちには、1年生のときから暮らしを知る実習とか教育を始めていただく。先ほど鎌倉先生がおっしゃっていた対象が地域で暮らしていることを早いうちから、病院の実習が始まる前に暮らしを見てから病院でどういう治療をしていくのか、そして、すぐに帰っていくということを学んでいただけたらいいなと思っています。
 もう一つ追加すると、手術とか外科的な高度な治療の看護というのは、後で専門的に知識をプラスするカリキュラムというか教育として、最初は本当に地域で暮らしている療養施設とか在宅を理解した後に、病院の急性期とか回復期とか、そういったところを後で学んでいくのも一つの手かなと思っております。
 新人の看護師の教育はもちろん、たくさんは地域ではつくれませんけれども、病院の中でももちろん育てながら、学生には多様な能力、すごく多様化していまして、訪問看護からやりたい学生もいるわけです。コミュニティナースに魅力を感じる学生もいますので、病院でも育て、でも、学生によっては訪問看護ステーションでじっくり育ちながら、療養の中で看護をしたいという人を伸ばすということも一つの手かなと思っております。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、オンラインの玉井先生、お願いいたします。
○玉井構成員 玉井です。求められる資質ですが、2040年に向けて医療と看護体制は在宅にシフトすることが言われており、在宅療養に対応できる看護師の育成が重要になるかと思います。
 現在でも訪問看護ステーションの数というのは倍増しておりますし、在宅看護のニーズが高い。それから、前回も言いましたけれども、ナースセンターでは求人も大変多い状況です。一方、訪問看護に応募する看護師は多くはないわけです。有効求人倍率は3~4倍あり、これは前回の資料でも提示されておりましたけれども、この求人に対応していくことが求められてくると思っております。
 訪問看護に興味を持つ看護師は大変多いのですけれども、在宅では医師が常時いるわけではなく、指示が即時に得られない環境にあるということで、看護師自身が状況を判断して対応していく必要があり、この点は看護師にとっては非常にハードルが高く、病院から訪問看護への就職、もしくは転職を躊躇する要因の一つになっていると思っております。在宅におけるニーズに対応していくためには、看護師が自身で判断・対応できる能力を大幅に引き上げる必要がある。で、そうすることで、訪問看護ステーションへの就職は非常に多くなっていくのではないかと思っております。また、侵襲的な技術も在宅においては大変必要とされるのですけれども、この技術は就職後に経験を重ねることで高まると思っていますが、看護に関する判断力というのは、基礎教育の講義、演習、実習の段階から育成していく必要があると思っております。
 さらに、在宅では、家族や多職種との連携、それから、現在、新人看護師に不足していると言われている関係構築能力やコミュニケーション能力、サービス調整能力、マネジメント能力、限られた資源の中で工夫する力、こういった創造性や適応力が求められると思います。ただ、これらの能力は臨床経験で獲得されるというよりも、基礎教育の段階から事例学習やシミュレーション教育、実習における振り返りを通して体系的に教育を考えていく必要があると思っております。
 実習に関しても一緒に意見を言ってもよろしいですか。
○小野座長 どうぞ。
○玉井構成員 実習に関しては、実習指導者、実際に学生と関わるスタッフ看護師も多くの課題を持っています。実習指導者は学生指導の責任を担う立場にありますが、日常業務との兼務であり、多忙な中で十分な指導時間を確保することが難しい。また、指導方法や評価方法に関する理解など、看護師は教育者ではなく専門家ではないので、非常に教育力には個人差があり、実習指導に非常に負担を感じるという看護師も少なくないのです。
 このため、各地域で実習指導者講習会は開催されているわけですけれども、これが180時間以上の研修が必要であり、全ての看護師が受講できているわけではありません。当協会でも実習講習会を開催していますが、22日間で長期的に無理なく受講できるようにということになると、5か月から6か月かけて教育をしているわけです。ですので、受講しやすい体制が必要かと思います。実際には学生と日常的に関わるのは病棟スタッフであることがほとんどです。看護師にはほとんど夜勤がありますので、1回夜勤をしたら、1つの実習が2週間ぐらいとすると、なかなか学生さんと接する機会もないのが現状です。実習指導者レベルだけではなくて、スタッフレベルでの指導力の向上が非常に重要かと思います。
 私は以前勤めていた病院で実習生の就職率の悪さが非常に課題になったことがあります。アンケート調査を行ったら、スタッフの関わり方が学生の就職率に非常に影響していたことがあり、大学と連携して、実習指導者ではなくてスタッフを対象として3日間の短期研修を実施したことがあります。そして、短期研修の実施後の実習後のアンケートでは、学生への関わり方や指導方法が非常に改善されて、実習の質も上がって就職率がすごく上がったということを経験したことがございます。
 このようなことから実習指導の質を高めるためには、実習指導者だけでなくてスタッフを含めた教育体制の整備が必要であります。また、そもそも実習指導者の設置基準というのがございません。基準を明確にするべきだと思っております。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、園田先生、お時間があるとお伺いしているので、もし、よろしければお願いいたします。
○園田構成員 まず、質問させていただいて、その後に意見を述べたいと思います。
 報道によることしか知らないのですが、昨日、別の検討会が開かれていまして、医療関係職種の安定的な養成・確保に関する検討会です。この中には看護師も含む12の職種を対象にした検討会のようなのですが、その検討会の位置とこの検討会の位置の差について教えていただきたいと思います。
○小野座長 事務局、どなたかいかがでしょうか。
○森光医政局長 昨日の検討会につきましては、若干方向性が重なるところあるとは思いますけれども、基本的に私ども厚生労働省として医療職種の中で養成校で養成しておる職種に対して、今いわゆる充足率が非常に下がってきている中で、地域においてどのような形で養成校を支援していくことが必要なのかというところを主眼としております。
 要するに、その地域においてどういう職種がどれぐらい必要なのかというところが見えていない部分があります。さらにその地域において、都道府県から見たときに、大学も含めて、どの養成校でどのくらい養成されているのか、そして、充足率はどうなっているのか、そして、さらに将来を見たときにどのくらい必要なのかとしたときに、地域におけるバランス等を見た上で、これから減っていく状況にある中で、どのような形で養成校を支援していくのか。それから、学校同士、地域で支え合わなくてはいけない可能性がある。それをどのような形で支えていくのかというようなことを中心として議論していくというものでございます。
 ここの中においては、基本的には看護の質の話、それから、需要と供給、正直に申し上げて、看護についてはかなり昔から需要と供給というような話、それから、質の話という議論、それからいろいろなシステムがありました。それについてはここで議論していただくことになると思いますけれども、基本的に昨日の検討会というのは、2040年を見据えたときに、各地にいろいろな職種の養成校がある中でどのような形で協力し合うのか、それを支える仕組みをどうするのか、規定をどのように変えていけばいいのか、どのような予算をつくっていけばいいのか、そういうことをしっかり見据えて検討していくということが必要になってくる。そのために起こした検討会になります。
○園田構成員 追加の質問をよろしいですか。今のお答えの中の基本的な考えとして、全国にできるだけ等しく養成所があったほうがいいというようなお考えがベースにあるのでしょうか。
○森光医政局長 等しくではありません。基本的な考え方に基づいて医療提供体制としては地域医療構想という形で全国の都道府県でつくっていただきます。そうしたときにその供給、それはいわゆる病院の数だとかベッド数だとか、そういうことを中心として医療機関数ということはしますが、そこで働く人はどうなるのかというところにおいて、どのような形でそれを支える人材をそこに確保していくのか、つくっていくのかという議論でございまして、等しくという話ではありません。基本的には地域医療を支える人材をどのような形で確保して養成していくのかという話です。
○園田構成員 等しくという言葉がふさわしかったかどうか分かりませんけれども、ありがとうございました。
 今度は先ほどからの議論に対する意見です。まず、資質のお話が一つ挙がっているのですけれども、学生の時代に勉強する内容、それから、資格を取ってから勉強すべき内容をきちんと分けて考える必要があると思います。シームレスという言葉があるのですけれども、どの時点でどのくらいの能力を持ってほしいかという意味の資質という考え方を持っていかないと、特に学生時代の勉強量があまりにも多くなってしまって実習・実践能力が非常に乏しい方もおられるように思います。そういう方を見ていると、もう少し早く資格を取っていただいて、早く実践しながら能力を高めていただきたいと思っています。
 先ほどのお話の中で、分布と質と数をバランスよく見るという考え方がありましたので、それはすばらしい意見だなと思いました。いずれにしても学生のときの教育のカリキュラムをあまりにも重くして、実践に入るのが遅れることはないようにしていただきたいと思います。最終的には、資質の議論をするときに、資格を取るレベルではここまで欲しい、卒後3~5年ぐらいの間にこのくらいの能力は欲しいというところをある程度段階的に考えていく必要があるのではないかなと感じます。
 それから、実習の場を提供する病院の立場から言いますと、ジェネラリストになっていただくのは本当に大切でして、きちんとした実践能力、考える力、対人能力のアップというのは、実践を通じてでないと身につけるのはなかなか難しいのではないかと思います。
 あと、在宅、訪問看護の話が出てきましたけれども、例えば卒業したてにすぐ能力として持つのは、私は難しいのではないかと思いますので、ある程度、5年程度の実際のジェネラリストとしての経験を踏まえた上で、さらに教育をして勉強して、資格制にする必要まではないと思いますけれども、勉強してそういう方向に行く能力をつけていただくというのが大切ではないかと思います。
 いずれにしましても、教育機関、それから、実習を提供する病院、あるいは実践をする病院、行政、それから、いろいろな職能団体、例えば看護職員の職能団体全てが合わさって、そういうレベルを上げていくのが必要ではないかと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、オンラインの松原先生、お願いいたします。
○松原構成員 手短に申し上げます。近年、精神科へのハードルが非常に下がったこともあって、メンタルの問題を抱えながら働いたり、学校に通学したりしている方々が非常に増えています。精神科の訪問看護のニーズが非常に高まっていると思います。その場合、例えば就労支援のA型B型とかもありますけれども、障害とか福祉とか、あとは患者の平均年齢が後期高齢者になっていますから複合的ニーズを持つ方々への看護、介護、ケア、こうした力が求められると思います。暮らしを創造する力、患者や地域をエンパワーメントする力が求められると思います。
 そういう意味でも、前回も申し上げましたが、看護、医療だけではなくて、介護、障害、福祉とか、ケアというものを学ぶカリキュラム、システムが必要で、それはナースだけではなくて医師も薬剤師もOTPT、そして、もちろん介護士・保育士、共通言語を持てるような仕組みづくりも必要だと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 会場の新田先生、お願いいたします。
○新田構成員 日本在宅ケアアライアンス新田でございます。まず、質の問題でございますが、先ほどの話でびっくりしたのは患者さんとのコミュニケーションが取りづらいのが第一に来ている。コミュニケーションが取れない理由は、医師にもいえるのですが、卒業したての医師でなかなかコミュニケーションが取れない医師から増えている。それは教育の問題が関わってくるだろうと思っています。コミュニケーションが取れない限り実習で教育効果が生じない。コミュニケーションがあって初めて実習効果がある。看護の質に基本的な質、能力としてコミュニケーションがあらためて重要であると感じます。コミュニケーションができない看護師をいくら養成しても実習になっていかない。
 もう一つは技術の問題でございますが、9ページの高齢者救急、地域急性期機能、そこで85歳以上の頻度の高い傷病名と包括期に考えられる傷病名、この上の文章は逆だと実は思っていて、在宅で療養を行っている患者の受け入れ等の役割を担うとされる地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟を有する、そういうものが重要と書いてある。実はこの人たちを在宅で見極める力です。それは先程秋山先生の発言にもありました。例えばいわゆる誤嚥性肺炎とうっ血性心不全、そして、体液量減少だから脱水、あと、尿路感染、これに対しては特定行為における看護師等の能力であれば、いくらでも防げることができるのです。だから、まず一番大切なことは、この人たちは入院することによって一番要介護を上げるわけです。そうすると、入院させないことが原則なのです。その原点を間違えているのです。
 川下議論とか、20年前の議論を聞いているような感じがして、実は違うだろうと、こういう世界になってきたら、地域でこの人たちをいかに見ていくか。それが先ほどから皆さんがいわゆる暮らしを支えるとは何なのと、こうした病的な状態を知った上で理解して、暮らしを支えるわけです。基本はそれが治し支えるです。それを誰がおこなうかが2040年に求められる看護師の質と考えます。
 例えば一番後ろから見ると分かりやすいのですが、36、35ページは当院のナースそのものなのです。50歳以上のナース、そして、病院を退職した看護師、この看護師は物すごく優秀な人です。この看護師が入院を防いで地域で生活を支えています。では、この看護師は特定行為を持った看護師が取れているかというと取れていない。なぜ取れないのでしょうか。今の実態だと時間的制約があり取れないのです。特定行為のあるところの研修に関わっているのですが、授業の時間とか困難さとかそうではないのです。現場で働いている看護師さんたちは本当に有能な看護師さんたちですが、それを受ける時間がないのです。だから取れない。
 だから、私は特定行為を行う看護師はとても重要だと思うのですが、これを取れない現状を考えた上で地域を見ていかないと、2040年問題は解決出来ないこれからの地方医療、地方の医療はこの構図のとおりだと思うのですが、こういう看護師さんがいないと地域は潰れていくと思うのです。ということで、現在の問題をきちんと把握した上で看護学生の問題にも関わるということをしないといけない。
 もう一つは、卒業生の看護技術に関する学生ニーズで、養成所でもっと学習しておきたかったという技術、これは園田構成員も言われましたけれども、看護師さんがどこで満足する状態に到達するかという話なのです。これをやらない看護師を育てて、意欲を持った看護師が育つかどうかなのです。この看護の技術は必要最小限の技術と思います。この技術をどこでいつまでに習得していくかの話です。これが特に訪問看護師にとって必要なことです。
 だから、この辺りのところをきちんとどこまでにするのか、4割の方がもっと学習してきておきたかったというのは、誰かが言われたように当たり前のことですとする、看護の学生のときに行う。私は今後求められる2040年に向けては必要だと思います。そういったような基本的な学校教育の在り方を考えていただきたい。
 もう一つ、法律で5条というのが病院等となっています。病院等のところはやらなければいけない。何で開設者は病院なのでしょう。仮名で、私が勝手に名付けて、地域包括看護師と名付けたとしましょう。そういう人の育成が必要だと。地域包括看護師はどこで養成するのですか。これは病院ではありません。地域ですよね。だから、例えば第5条等も含めて古くなったなという感じがして、これも考慮していただければと思います。よろしくお願いします。
○小野座長 ありがとうございます。
 次に、田中先生、お願いいたします。
○田中構成員 できるだけ手短に2つの視点からお話をしたいと思います。
 まず1つ目、現在、非常に多様性を求められる中で本当に広い内容を1つの現場で話し合おうとしているということが困難の要因かと思っています。まず、看護師さんの資質ですけれども、背景が大変違っているところをひとからげにしようとしているところに困難を感じています。前回もお話ししましたけれども、看護師さんになられる方は新卒で大学から出られる方、それから、現場の経験を積んで准看護師から養成校に行かれる方もいらっしゃいます。この看護師さんたちを一つの同じ資質というところにまとめていくことは非常に困難があると思っています。
 また、資料2の7ページに本人の言葉がありますけれども、2040年に活躍される方々の本人不在の話し合いが進んでいる気もいたしております。働いている方たち、それから、働く人たちがどのような看護師になって、本当に地域がどう求めているかというところを少し照らし合わせていかないと、何となく議論が上滑りしてしまうのではないか、議論が絵に描いた餅になってしまうのではないかと思っています。
 一方で、1の26ページにあるように、医学生、研修医もそうだと感じているのですけれども、コロナを経てコミュニケーションのスキルが非常に低下しているように感じられます。現在、チーム医療の中でそれぞれの職種がそれぞれの職種で完結しないような医療を行っています。それは在宅であっても病院であっても同じだと思うのですけれども、この辺りのところを抜本的に、多職種連携を学生の頃からできるような演習をもっともっと繰り広げていかなければ、それぞれの職種をリスペクトしてチームをつくっていくことは困難なのではないか。ひいては看護の質にも関わってくるのではないかと思っております。これがまず一つです。
 続いて、病院を経営している立場から申し上げたいと思います。実習指導看護師さんの話がたくさん出ていますけれども、現在、病院では本当に働き方改革や病院の働く看護師の人手不足が非常に深刻になっておりまして、その中で、実習生に何人もの人手を割くことが本当に困難だと思っています。そういった意味では、実習指導者をつけることに対しても、給料等を勘案するであったりといった何らかの手だてを執らない限りは、今、本当にかつかつの現場で、就職した看護師さんを指導するのが精一杯で、実習生の指導というところまで手が回らないのが現状です。できればラダーも含めてある程度、ひな形ラダーを地域にも配付していただけるような、本当に手を取り足を取りみたいなところのお願いになってしまって恐縮ではありますけれども、現場の余裕のなさは本当に喫緊の課題だと感じている、そういった状況も伝えつつ私の意見でございます。
 まとまらなくて申し訳ありませんでした。以上でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
 では、平山先生、お願いいたします。
○平山構成員 連合の平山です。私からは看護職に求める資質のところで、今後、看護の現場においてはICTの活用に加えてAIの導入が急速に進むことが見込まれます。こうした中でAIの特性やAIの判断の限界、リスク、さらには個人情報の保護やセキュリティに関する理解というのは、看護職員にとって今後基本的な素養になると考えております。看護職員の負担軽減や業務の効率化を行い、できるだけ患者さんに向き合えるようにしていく上で、これらの教育の内容の充実は不可欠であり、養成課程においても盛り込んでいくことが必要と考えております。併せて、既に現場で働いておられる看護職員の皆さんに対しても実効性がある研修の機会の確保を図る必要があると考えております。
 次に、地域全体で看護職員を育成するという観点で、医療機関間の出向について資料がありますけれども、異なる機能や役割を理解する上で有効な取組であると思っています。資料には約2割の医療機関が出向を実施しているとされています。一方で、出向に伴う交通費であったり各種費用負担、あと、出向中に送り出した側の医療機関では一時的に欠員が生じるなど、現場における負担も大きいと考えます。こうした点に対する財政支援であったり、制度的な対応の在り方についても今後御検討していただきたいと思います。
 次に、看護学生の実習についてですけれども、安全かつ実践的な実習を実施していくためには実習指導者の確保と適切な配置が不可欠であります。しかし、現場では多忙であったり、人員不足の中で指導者の確保は困難であったり、指導者の負担があると思います。実習指導者が必要な研修を受けやすい体制整備に加え、研修費用に対する支援も必要と考えております。教育を担う看護教員の処遇についても人材確保の観点から改善が必要ではないかと考えております。
 また、実習先の確保についてですが、実習先が困難な地域があったり、特に母性看護や小児看護分野においては困難な状況だと資料でもありました。その結果、遠方で実施を余儀なくされ、学生の経済的・心理的な負担が大きくなることもあると思います。学生が過度な負担なく実習できるように、地域における実習受け入れ体制の整備を進めることが必要と考えております。実習の質と受け入れ体制の確保は将来の看護人材の確保・定着に直結する重要な課題であると思いますので、国におかれましては補助金や各種基金の活用を含めた財政支援の充実をお願いしたいと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
 では、江澤先生、お願いいたします。
○江澤構成員 まず、介護分野の人材確保においては、目指すべき姿として従来のまんじゅう型から富士山型へシフトが提唱されてきています。すなわち人材の裾野の拡大を進めて、より多くの人材の参入促進を図り、本人の能力や役割分担に応じたキャリアパスを構築する一方で、専門性の明確化・高度化により質の向上を促して機能分化を進めることが示されています。今後の労働人口減少社会においては、看護分野においても准看護師等も含めてより多くの人材の参入を図って、個々に応じたキャリアアップを支援できる仕組みを目指すことが必要と考えています。
 今後、高度な技術を要する手術をはじめとして、急性期拠点機能の集約化が図られる一方で、包括期医療の提供が拡大するなど、治す医療を担う医療機関と治し支える医療を担う医療機関の役割分担と連携を促進していきますので、それぞれのフィールドで求められる資質はおのずと異なってまいります。疾患治療に特化した分野から、介護や障害福祉も含めた生活を支える医療の分野まで幅広い分野があって、1人の看護職員さんにおいても年齢に応じてフィールドが変化することもしばしばあるわけでありまして、働く医療現場が変わっても働きながら学べる仕組みを医療機関において一定程度備えていくことも方策ではないかと思っています。
 最後に、資質について必要な知識・技術の習得は当然ですけれども、患者さんを支える医療人としての資質、すなわち患者さんの心身の苦痛を理解して、受容と共感力で患者さんに寄り添い、コミュニケーション力を備えた人材の育成は不可欠であると思っておりますので、大学や実習においてもこれらについてより充実する必要があると思っております。
 私からは以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、影本先生、お願いします。
○影本構成員 影本です。実習に関する論点のところの最後の必要な支援というのは本当にいずれもすごく重要だと思います。一方で、卒業時に求められる看護職員像が先ほど寂しいという意見もあったとは思うのですけれども、もし、身体侵襲性の高い看護の提供の経験を積むとか、あと、状況に応じた技術実践の機会を確保するとなると、なかなか今の実習では厳しいのではないか、見直す必要があるのではないかと思います。
 法律の解釈で違法性とかはないという解釈だということでしたけれども、学生本人が自信を持ってというか、やる気を持ってやったり、あと、患者とか社会も安心して受け入れるためには、何らかの例えばCBTみたいな枠組みがあって認証していくようなものがないと難しいかなと思います。
 あと、私も自分の感覚と違っていたところなのですが、卒業して実践力を期待されているという御意見を聞く中で、それであれば実習期間であったり、そもそもですが教育年限だったり、そこの延長だったり、実習の期間をより早くするとか、そういうところからも検討が必要かなと思います。
 あと1点、市民の立場から資質のところです。安全安心に療養ができるというのはもちろんのことなのですけれども、最近取材をしていて感じるのは、治療の選択肢がすごく広がっていて、本当に患者さんが現場で悩んでいらっしゃる声を伺ったりとか、あとは家族の支える力が弱くなっていて療養場所をどうするかとか、揺れ動く人がたくさんいらっしゃっていて、寄り添う力とかいうと本当に一言になってしまうかもしれないのですけれども、意思決定だったり家族の選択を支える力というのは看護師なのかなと感じています。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
 申し訳ありませんが時間が押しておりまして、風間先生に1ラウンド発言していただいた後、今、樋口先生と秋山先生からお手が挙がっているのですけれども、2回目の御発言になりますので、次の議題の中で、お時間のある方もいらっしゃいますので、風間先生、事務局、次の話題で時間のある方に発言いただいた後、秋山先生と樋口先生に今のお話の続きをお願いしたいと思っております。
 では、風間先生、お願いいたします。
○風間構成員 福島県の風間でございます。地方自治の観点から発言させていただきます。
 少子高齢化、また今後、医療と介護の複合ニーズが高まってくる中で、高齢者救急、地域急性期に係る人材に加えて、地方においては特に在宅訪問看護の需要を最大限に考慮した場合に、一定程度、質の向上ということの議論は避けて通れない課題であると認識しております。
 ただ一方で、医療資源が全国的にも限られている中、こうした質を尖らせていくという課題の部分については全国的かつ地域的なバランス、つまり我々で言うところの地域的な偏在の是正を踏まえたなり手の確保、あとは将来的な2040年を踏まえた医療提供体制の在り方をセットで議論しなければならないのではないかと考えております。特に一定程度看護職員が充足している地域とそうでない地域がある場合に、質の問題の解決がイコール量的な不足を解決することには直結しない。場合によっては地域医療の縮小減退を招きかねない懸念もあろうかということを申し上げざるを得ない状況にございます。
 資料の18ページに都道府県における看護職、研修事業等の実施状況が示されておりますが、こうした研修制度の一層の推進を図る上では、当然、我々都道府県が一定の主体となって地域の課題に柔軟に対応していく。それを支援していただくために国による財政的な支援も非常に極めて重要なのですけれども、いわゆる地域医療を維持して看護職の先ほど申し上げた偏在是正の課題を解決する上でも、将来を見据えた医療需要を見据えた看護教育の在り方が大事だろうと考えてございます。
 先ほど一部の先生方からも御意見があったとおり、どの分野にどのような教育を受けた看護職が新人教育の場、また、現職の教育の場においても必要で、それをいかに確保・養成していくのかという立てつけをしっかりと議論する、整理をするということが大事ではないかと考えてございます。
 もう1点、在宅の話が非常に重要だと申し上げたのですけれども、都道府県においては資料の中にもある地域包括ケアの部分で、在宅医療の観点で市町村とのさらなる連携が今後の介護との連携において重要であると捉えております。本県においても特に地域の拠点病院、これは公立大学法人なのですが、そちらを拠点としまして、そこをハブとして周辺の市町村や診療所等をスポークとしてのハブアンドスポーク型で医療人材の派遣であったり研修であったりと、市町村との連携、診療所等に対する支援、また、オンライン診療の導入、そういったものも総合的に実現する在宅医療体制を模索しているところでございます。こちらについては将来的な看護実践教育の場としても非常に有効な部分ではないかと考えており、ぜひこうした取組の御支援も御検討いただければと考えてございます。
 以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 それでは、申し訳ありませんが、次の議題のほうに移らせていただきまして、今お手の挙がっていらっしゃる先生の発言はその後でお願いしたいと思っております。
 では、次の議題に参ります。事務局のほうから手短に資料の御説明をお願いいたしたいと思います。
○水谷看護職員確保対策官 資料3「看護職員の供給推計について」でございます。
 2ページ目に前回の検討会でいただいた主な御意見を紹介しております。
 地域・領域別偏在対策を進められる偏在指標を示して可視化すべき。
 受験者数の減少、直近の状況を反映させるとともに、養成所と大学の違いを踏まえて推計を行うこと、また、二次医療圏別の推計を行うことが必要であるといった御意見。
 複数の構成員からいただきましたが、推計期間が長くなりますので医療計画の見直しの議論等を踏まえて途中での見直しが必要であるといった御意見。
 また、需要推計についての御意見でございましたけれども、訪問看護については、医療保険だけではなくて介護保険サービス利用分も含めた精緻な推計が必要であるといった御意見。
 最後、60歳以上の方の雇用のさらなる進展は非常に大事なことであるけれども、同時にその年代の働き方や人件費に対する支援を考えていく必要があるといった御意見をいただきました。
 3ページ目、前回第1回の検討会でお示しした資料の論点を今後の作業に関する方針という形で改めて整理し直したものを提示しております。
 1つ目、推計は都道府県ごとに算定する。推計期間は新たな地域医療構想に合わせて2040年頃までとする。
 推計期間は17年程度の長期になりますので、年齢構造の変化を反映した推計方法とする。具体的には新規就業者数の推計に際しては若年人口の減少の進展等を考慮する。
 また、現在働いている方については約半数が45歳以上の方を占めておりますので、その方は2040年には60歳代から80歳となって、定年退職等による就業継続者の減少が見込まれますので、こうした年齢構造の変化を考慮した推計を行う。
 4つ目、直近の新規就業者数の実績値は令和4年以前の入学者が大半であって、近年の定員充足率減少の要素が反映されていないことから最新の傾向を踏まえたものを作成する。
 5つ目、高年齢者雇用安定法の施行・定着等によりまして、60歳代の労働者の雇用のさらなる進展が見込まれることから、60歳代の雇用を拡大する場合を作成する。
 以上の方針で推計作業を進めてまいります。
 なお、推計期間が長期になりますので今後必要に応じて見直しを検討してまいります。
 4ページ目、供給推計の今回のやり方のイメージ図を示しております。緑色の部分が新規就業者でございますけれども、足下2023年の数字を仮に3万とした場合、その数字を現状投影し続けるのではなくて、若年人口の減少率に応じまして徐々に新規就業者の数を減らしていく。また、現在働いている方につきましては5歳年齢階級別に区切りまして、それぞれのコホートごとに数の変化を見ていく。具体的にはあるコホートが5年後に次のコホートに移る際にどれだけの方が残るかというのを継続就業率と定義いたしまして、直近の実績値を基にそれぞれの年齢階級ごとに設定しております。
 具体的には黄色の部分、45~49歳の方が足下12万人いるとした場合に、5年後の2028年になりまして次のコホートに移る際には継続就業率0.9を掛けて10万8000人とする。また、その5年後ですけれども、2033年には継続就業率0.85を掛けまして9万1800人とするという形で継続就業率を掛けながら各年齢階級別にコホートを動かす操作を繰り返してまいりまして、より年齢階級ごとに精緻な推計を行ってまいりたいと考えております。
 今申し上げたような内容を文字にしたのが5枚目と6枚目でございます。新規就業者数については足下の実績値を基に20~24歳階級の人口変化率を適用して徐々に減らしていく。また、さらにということで、より直近の状況を反映するために最新の看護師等学校養成所における入学者及び定員充足の状況が2040年まで続くと仮定した場合の推計を行う。
 6ページ目、年齢構造の変化を考慮した推計方法ということで、各年齢5歳階級別に看護職員の数を区切りまして、継続就業率を掛けながら5年ごとにコホートを動かしていく。
 3つ目の丸でございますけれども、基準年の年齢5歳階級別看護職員数に設定した継続就業率を乗じて次の年齢5歳階級に移動させるという操作を5年ごとに繰り返してまいります。
 最後でございますけれども、さらにということで、高年齢者雇用安定法の施行定着等によりまして、60歳代の労働者の雇用の一層の進展が見込まれることを踏まえまして、60歳代を中心とした継続就業率が向上すると仮定した場合の推計を行うとしております。
 本日の御議論を踏まえまして、事務局で供給推計の作業を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 園田先生、お時間があると伺っておりますが、何か御発言はありますか。
○園田構成員 推計については特にございません。
○小野座長 ありがとうございます。
 では、山口先生もお時間があると伺ったのですが、山口先生は出られてしまっていますね。失礼いたしました。
 それでは、若干時間の延長をお許しいただければと思うのですけれども、今、御説明のあった推計の件について、御発言のある方がいらっしゃれば挙手をお願いしたいと思います。いかがでございましょう。
 では、小林先生、お願いします。
○小林構成員 プラチナナースの方々が現場で広く活躍されている現状を踏まえますと、60歳代以降の就業継続を供給推計へ適切に反映していくことは非常に重要であると考えております。
一方で、高齢層においては、実人員数と常勤換算数の乖離が拡大する傾向が見られます。若年層や中年層では両者の差は比較的少ないのですが、60歳以降になると、短時間勤務や勤務日数の調整、夜勤免除などにより、実人数と、実際の労働量である常勤換算数との差が大きくなっています。特に65歳以上では、その傾向がより顕著になります。そのため、単純に実人数のみで供給を評価してしまうと、実際の労働量を過大評価してしまう恐れがあります。したがいまして、「何人が就業しているか」という実人員数の視点と、「実際にどの程度の労働量を担っているか」という常勤換算数の視点を明確に区別し、両者を整理した形でデータを提示していく必要があると考えます。
また、供給推計の単位につきましては、都道府県単位での推計はもちろんのこと、今後は二次医療圏単位での推計がより重要になると考えております。現在、看護職員の地域偏在は大きな課題となっておりますので、地域ごとに「どの程度の看護職員を確保・供給できるのか」という視点から、二次医療圏単位の実態を把握し、推計に反映していくことが必要です。
 さらに、新規就業者の推計についてですが、単純に若年人口の減少のみに帰せさせるのではなく、「人口構造の変化による影響」と、「看護職を職業として選択する割合の変化による影響」とを分けて整理することが重要です。18歳人口や20~24歳人口の減少というマクロな要因だけでなく、近年の看護職の養成校における定員充足率や志願状況の変化なども、将来の看護の供給数を大きく左右する直接的な要因となっているためです。そのため、新規就業者数の減少については、これら2つの要因を区別して推計・提示することで、供給減少の主要因が「人口減少」にあるのか、それとも「看護職選択率の低下」にあるのかをより明確に示していく必要があるのではないかと思います。
 あわせて、供給推計においては、「現状維持」「選択率低下」「選択率改善」といった複数のシナリオによるシミュレーションを行うことで、供給減少の背景要因や、今後必要となる対応策をより具体的かつ明確に提示していくことも重要であると考えます。
○小野座長 ありがとうございます。
 それでは、秋山先生、まずは推計のことからお願いいたします。
○秋山構成員 供給推計に関する方針については前回の議論が反映されていると思います。ただ、ここ数年で、先ほど小林構成員からもお話があったように、特に養成所の受験者数が大幅に減少しており、18歳人口の減少スピード以上に看護師になろうと思う人材が減少しています。資料3の5ページの3つ目の丸のところでは、最新の看護師等学校養成所における入学者及び定員充足の状況が2040年まで続くと仮定した場合の推計を行うとありますが、最近の減少トレンドを継続した場合の推計も併せて行う必要があると思います。また、需給推計にあたっては、前回の需給推計の評価が不可欠ですので、ぜひ資料を提示していただきたいと思います。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございます。
 ほかに推計の件で御発言ある方、ぜひ挙手をお願いしたいと思います。
 では、平山先生、お願いいたします。
○平山構成員 資料にもありますけれども、若年人口の減少や年齢構造の変化を踏まえた推計をするという、これはそのとおりだと思います。ただ、より丁寧に反映していくためには、今後の人口減少を踏まえ、看護師養成校における定員充足率のさらなる低下であったり、養成校が今後も閉鎖したり、学部の閉鎖とか、そういったことも今後あるのではないかと思われますので、供給に影響する要素としてそういったことを踏まえ、複数のパターンをシミュレーションとして出していただきたいと考えております。
 以上でございます。
○小野座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでございましょうか。推計に関してはよろしいでしょうか。
 恐らく今お伺いした範囲ですと、先生方のほうでいろいろこういうこともやってみたらいいのではないかという御提案があったかと思うのですけれども、この方針自体には御異論がなかったという理解でよろしいでしょうか。

(構成員、異議なし)
 
○小野座長 今、御意見をいただいたことに関しては事務局のほうで整理していただいて、可能な範囲で反映するというか、考慮に入れていただいて、また、資料なども出していただく感じで進めていただければと思います。ありがとうございました。
 それでは、先ほどの議論の続きで、資質の件、また、研修の件に関しまして、樋口先生と秋山先生のお手が挙がっていらっしゃいましたので御発言のほうをお願いしたいと思います。樋口先生のほうからお願いしたいと思います。
○樋口構成員 お時間のない中ありがとうございます。今の推計に関しても関わってくるかもしれませんが、私は訪問看護とか老健とかいろいろ経験をして、また、学生の実習や授業とかも様々経験させていただいた診療看護師としていろいろ考えていることがございます。資質に関しましてつながってくるかと思うのですが、先ほど在宅の話がいろいろ出てきました。在宅の支えるナースを育てるには本当に今待ったなしだと私は思っております。先ほど4~5年の経験の中、それから、その中で様々な経験値を上げていって在宅にというお話もあったかと思いますが、本当に待っていられない状況になってくるのではないかと思います。そういう意味では職員の供給にも関係してくると思いますが、職場に人がいてくれないと本当に成り立たない状況になってきます。特に訪問看護ステーションなどは本当にそうです。
 そうなったときに何が大事かというと、先ほど話に少し出てはきたのですけれども、今回、学生の実習の話はあまり進まなかったかもしれませんが、新人教育の在り方についてはもう少し話が必要なのではないかと思っています。卒後の新人を育てるナースの資質、ここにもフォーカスを当てていかなくてはいけないのかなと思っています。新人を育てるナースの質というのは病棟だけではなくて在宅もです。どういう新卒の方が来ようと、中途採用が来ようと、そこでしっかりと育てられるというナースの資質がこれから大事になってくるかと思います。
 資質に関してまた議論していただけるものとは思うのですけれども、そのことがありましたら、このことに関してもお話を進めていただいて、新人を育てるナースの資質が上がっていくことで、職場の人の確保だとかにもつながってくるのではないかなと思いましたので、ここで意見をさせていただきました。ありがとうございます。
○小野座長 ありがとうございました。
 では、秋山先生、お願いいたします。
○秋山構成員 先ほど実習について意見を申し上げませんでしたので手短に申し上げます。平原構成員からもお話があったように、看護職は対象を全人的に捉える力が求められますので、早期から患者の療養生活に直接接し、統合された全体像を知ることから患者理解の教育を開始する必要があります。全体像から入ることで、解剖や生理の理解がより一層深まります。ここでは実習指導体制の強化のことだけが述べられていますが、講義、演習、実習を含む養成課程の在り方そのものを抜本的に見直す必要があると考えます。
 また、技術は経験の積み重ねによって体得されますので、長期間の実践的な参加型実習が有効となり、それを可能にするためのCBT、OSCE等による患者安全や質を担保する仕組みの構築も不可欠だと考えます。
 さらに、新田構成員からもお話があったように、資料2の7ページ、卒業生の過半数が就業継続するにあたって、自身の実践能力に対する不安が非常に大きいと回答していること、また、新人の離職の理由でも実践能力の不安が上位にきていることは非常に由々しき対処すべき事態だと認識しています。彼らが卒業時の到達目標をクリアしているのであれば卒業時の到達目標そのものの見直しが必要ですし、クリアしていないのであれば到達目標の見直しとともに教育の在り方の検討も必要だと思います。その際には前回のカリキュラム改正を経て、学生の卒業時の到達レベルがどう変化したのか、現場で求められる能力との乖離がないのかなどの情報が不可欠です。これまでの改正の評価をしていただき、実際にどのように能力を引き上げるかを具体的に検討していく必要があると考えます。
 以上です。
○小野座長 ありがとうございました。
 予定時間を超過してしまいましたので、ここまでで議論は終わりにしたいと思っております。
 それでは、事務局のほうから何かあればお願いいたします。
○大河内課長補佐 本日も活発な御議論をありがとうございました。
 次回の検討会につきましては詳細が決まり次第御連絡いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
○小野座長 本日は、私の不手際で時間が延びてしまいまして誠に申し訳ございませんでした。これで第2回の検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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