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2014年4月18日 第22回ILO懇談会議事要旨

大臣官房国際課

○日時

平成26年4月18日(金)10:00~12:00


○場所

厚生労働省専用第23会議室(6階)


○出席者

労働者側

桜田 高明 (日本労働組合総連合会国際顧問)
新谷 信幸 (日本労働組合総連合会総合労働局長)
吉田 昌哉 (日本労働組合総連合会総合国際局長)

使用者側

横尾 賢一郎 (日本経済団体連合会国際協力本部長)
松井 博志 (日本経済団体連合会国際協力本部副本部長)
間利子 晃一 (日本経済団体連合会国際協力本部)

政府側

堀江 裕 (厚生労働省大臣官房国際課長)
林 雅彦 (厚生労働省大臣官房国際課統括調整官)

○議題

(1)第320回ILO理事会について
(2)未批准条約について
 ・第132号条約について
 ・第155号条約について
(3)その他

○議事

(1)議題1:第320ILO理事会について 

堀江国際課長からの挨拶、政府側からの出席者紹介に引き続き、政府側より資料1に基づき第320ILO理事会の概要説明がなされた。

 

(労働者側)

1)監視機構について

  条約勧告適用専門家委員会のマンデートが合意されたことは重要な進捗であると考えている。監視メカニズムが機能不全に陥ることにより一番困るのは現場の労働者である。中期的な課題について早急の解決が図られるよう、政労使連携して取り組んで行きたいので、よろしくお願いしたい。

 

2)フィジーにおける政府による労働組合弾圧への対応について

 問題解決に想定したよりも時間を要しているが、今回の理事会では現実的な判断ができたのではないか。日本政府のサポートに感謝申し上げる。

 

3)企業との関係強化について

  労働側として少々残念なのは、今理事会ではILOと企業との関係強化、とりわけ、多国籍企業の関係で踏み込んだ議論ができなかった点である。多国籍企業の活動とディーセント・ワークとの関係で言えば、労働側は現場での国際労働基準の尊重・遵守をいかに確保するかという点を中心に議論に臨むことになる。この問題はILOが現在直面し、避けて通れない問題だと認識している。

 

4)ILOの基本的原則と権利に関する98年宣言のフォローアップの年次報告について

報告では、報告率は良いが、昨今基本条約の批准が下降傾向にある、基本的原則と権利の促進と実現の機運が衰えている様に思える旨記載されている。また、いくつかの政府が進捗に関して「no change」だと報告していることから、「no changeな国」というカテゴリーが報告に登場したことについて、労働側は驚きを感じている。

ILO は単に批准の可否という結果だけを見ているのではなく、そのプロセスを評価することにより、関係者に対する真摯かつ継続的な努力を促している。日本でも、労働側は残る2つの中核基準の批准を言い続けている。政労使それぞれの立場が違っても、障害を乗り越えるために知恵を絞り、努力を継続する不断の取組の姿勢を示すことが問われており、これは加盟国が最低限果たすべき責任だと思っている。

 

(使用者側)

1)ベネズエラの問題について

 今回の理事会で懸案であったベネズエラの問題は、使用者団体に対する結社の自由を阻害するような政府の動きについて、もう少しILOが使用者側にとっても何らかのアクションを取っていると分かる仕組みにしていただけるとありがたい。

2)邦人職員のアンレプについて

ILO で日本は「under-representation」であることは論を待たない。しかし、障害となっているのが言語要件に留まらず、日本人がILOそのものを魅力的に感じるかという疑念も否定しえない。したがって、ILOはどんな形では役に立っているのか、どんな機能をしているのかを公平に発信してほしい。

 

議題2:未批准条約について

 

○第132号条約

(労働者側)

1)この条約は2009年5月のILO懇談会でも取り上げているが、それ以降も、年次有給休暇の平均取得率47%、平均取得日数8.6日と下がり続けている。法定の初年度年休付与日数が6カ月以上の勤続で年10日となっていることなどから、条約批准が難しいとのことだが、長時間労働の是正やワーク・ライフ・バランス実現の観点から、一定期間の年休をまとまった形で取得させようとする本条約がもつ意義はますます高まっている。

 

2)現在労政審で年次有給休暇についても審議している。年次有給休暇をまとめて取得することや付与日数を増加させることなど、批准に向けた前向きな国内法整備を行っていくことが必要ではないか。

 

(使用者側)

1)条約上、年次有給休暇を分割する場合、分割した片方は中断されない2労働週ということになっているが、日本の動きは反対である。年休に対する考え方を変えなければ実現は困難である。実現するためには最低でも3労働週の年次有休休暇が必要であり、さらに計画年休が2週間取れるなど、何らかの法改正が必要ではないか。こうした法改正をすることは現時点では想定できない。

 

2)条約では退職時に年次有給休暇の残日数に対して金銭補償すること又はまとめて年次有給休暇を取得することについて定めがある。年次有給休暇の残日数に対して金銭補償はできないという理解でよいか。

 

(政府側)

1)有給休暇取得率が減少していることは承知しており、取得率の向上及び年次有給休暇に対する意識を変えるべく、助成金やコンサルタントの仕組みを活用しつつ取り組んでいるところである。

 

2)年次有給休暇について、退職等の理由で消滅する場合、残日数について、金銭の給付をすることは必ずしも労働基準法第39条に違反することではないところ、退職時に有給休暇の残日数に対して金銭補償することは、労使間でどのような取り決めを行うかの問題だと理解している。

 

 

○第155号条約

(労働者側)

1)安衛法の適用対象ではない公務員、船員、鉱山作業員等の担保状況はどうなっているか。既批准国は軍隊の扱いをどのようにしているか調査を行ったか。自衛隊法と条約の関係はどう考えているか。

 

2)第155号条約と関連して2002年に議定書が発効していると思うが、批准の手続きはどうなるか。別々に批准できるのか、それとも同時に批准しなければならないのか。

 

3)安衛法の改正と第12次労働災害防止計画の実施によって、批准に向けた環境整備が進むのではないか。労働者の健康と命に関わる条約であるため、批准している中国や韓国の状況の調査を行うことなどにより、批准の障害となっている課題を突き詰める努力をお願いしたい。

 

(政府側)

1)平成19年から関係省庁連絡会議を開催し精査したところ、国内法で担保する規定がないものがある。実態としては担保できていると考えられるが、精査が必要である。

既批准国の中には軍隊を適用除外としている国もある。自衛隊法と第155号条約の関係についても今後精査が必要である。

 

2)条約と議定書の批准手続きについて、条約批准後に、議定書を批准するということで問題ないと認識している。しかし、両方を同時に批准するのが望ましいとも言われている。

 

3)安衛法の改正が行われた場合、環境整備は進むと考える。しかし、1つの作業場で2以上の事業者が共同して作業する場合の安全対策についてはガイドラインを作成し、行政指導で進めることとなった。定着状況を見て法整備を検討することとなるため、今後も批准に向けた検討が必要である。


<大臣官房国際課>

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