ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会)> 第39回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録(2014年3月10日)




2014年3月10日 第39回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録

職業安定局建設・港湾対策室

○日時

平成26年3月10日(月)16:00~18:00


○場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 厚生労働省職業安定局第1会議室(12階)


○出席者

公益代表

鎌田座長、大橋委員、柴田委員

労働者代表

勝野委員、角委員、野村委員、山下委員

使用者代表

大木委員、加藤委員、鈴木委員、福田委員

事務局

内田高齢・障害者雇用対策部長、上田建設・港湾対策室長、早川建設・港湾対策室長補佐、百崎建設・港湾対策室長補佐

オブザーバー

国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課 小野課長補佐

○議題

(1)建設雇用改善施策について
(2)建設労働者の雇用の改善等に関する法律第14条第1項の規定による実施計画の変更について

○議事

○早川補佐 ただいまから、第 39 回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会を開催いたします。私は、建設・港湾対策室室長補佐をしております早川でございます。本日は約 1 年半ぶりの委員会であり、この間、委員の改選もありましたので、冒頭は事務局が進行させていただきます。

 まず、資料の確認をお願いします。資料 1 から資料 7 までです。もし、お手元に足りない資料がございましたらお申出ください。

 次に、新たに選任された委員の方々の御紹介をさせていただきます。資料 1 が最新の建設労働専門委員会の名簿です。平成 24 10 31 日付けで、古市委員に代わり、全国建設労働組合総連合書記長の勝野圭司委員が労働者代表委員として就任されました。当委員会の出席は今回が初めてですので、一言御挨拶をお願いします。

○勝野委員 全建総連の勝野と申します。よろしくお願いいたします。

○早川補佐 次に、平成 25 4 27 日付けで、才賀委員に代わり、株式会社大木組代表取締役の大木勇雄委員が使用者代表委員として就任されました。一言御挨拶をお願いします。

○大木委員 専門工事業者団体の日本躯体組合から来ました、大木組の大木でございます。よろしくお願いします。

○早川補佐 次に、平成 24 4 27 日付けで、山内委員から高濱委員へ代わった後、平成 25 4 27 日付けで、西松建設株式会社安全環境品室部長の鈴木睦委員が使用者代表委員として就任されました。一言御挨拶をお願いします。

○鈴木委員 西松建設の鈴木と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○早川補佐 次に、平成 25 8 23 日付けで、諸澤委員に代わり日本建設産業職員労働組合協議会政策企画局次長の角真也委員が、労働者代表委員として就任されました。一言御挨拶をお願いします。

○角委員 日本建設産業職員労働組合協議会 ( 日建協 ) よりまいりました角と申します。当委員会の一助になれればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○早川補佐 次に、事務所掌の変更により、当専門委員会関係業務の所管が職業安定局次長から、高齢・障害者雇用対策部長に移管されております。また、事務局である厚生労働省職業安定局建設・港湾対策室長の異動もありましたので、紹介させていただきます。まず部長からお願いします。

○内田部長 高齢・障害者雇用対策部長の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○早川補佐 それでは室長、お願いします。

○上田室長 去年の 7 月に就任して大分たちましたけれども、上田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○早川補佐 続いて、本日の委員の出欠状況の報告をさせていただきます。本日は全委員の御出席を頂いております。

 次に、当専門委員会の座長の選出についてです。資料 2 「建設労働専門委員会の設置について」の 2 (3) において、専門委員会に座長を置き、専門委員会に属する公益を代表する委員又は臨時委員の中から、雇用対策基本問題部会の部会長が指名することとされており、阿部部会長から、引き続き鎌田委員に当委員会の座長にという御指名を頂いております。それでは、以後の進行は座長からお願いします。

○鎌田座長 ただいまのような事情で、私が引き続き座長を務めさせていただきたいと思います。皆様の活発な御意見を頂き、進行を進めていきたいと思います。御協力、よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、一言申し上げます。先ほど来、退任された委員がおられるということで、私のほうからお話したいと思います。調べましたところ、前回の委員会が一昨年の 9 月ということで、 1 年半が過ぎております。その間に古市委員、才賀委員、山内委員、高濱委員、諸澤委員が御退任になりました。その間しばらく空いたものですから、御挨拶をする機会もなく、私は非常に残念に思っております。御退任された方はもういらっしゃらないのですけれども、この機会を借りて私から、これまでの専門委員会の運営に対する退任された各委員の御尽力につきまして、感謝を申し上げたいと思います。また、新たに委員に就任された勝野委員、大木委員、鈴木委員、角委員におかれましては、今後の当専門委員会等の運営に御協力いただきますよう、改めてお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

 それでは議事に入ります。議題は 2 つあります。 1 つ目の議題は「建設雇用改善施策について」です。具体的に 1 つ目は「労働者派遣法の改正に伴う建労法の改正内容及び消費税率引き上げに伴う建労法施行規則の改正内容について」の報告です。 2 つ目は「建設業を取り巻く状況について」です。 2 つ目の議題は、建設労働者の雇用の改善等に関する法律第 14 条第 1 項の規定による実施計画の変更認定についてです。なお、 2 つ目の議題はその審査につき、個別事業主の資産の状況等に関する事項を扱うこととなりますので、「審議会等会合の公開に関する指針」の「審議会等会合の公開に関する考え方」のうち、「個人に関する情報を保護する必要がある」及び「公開することにより特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開の取扱いとさせていただきます。

 それでは、 1 つ目の議題である「建設雇用改善施策について」のうち、「労働者派遣法の改正に伴う建労法の改正内容及び消費税率引き上げに伴う建労法施行規則の改正内容について」の報告を、事務局よりお願いします。

○百崎補佐 私は、建設・港湾対策室の室長補佐をしております百崎と申します。よろしくお願いいたします。今から御説明します議題については、先日来、各委員の皆様に個別に御説明に上がらせていただいた案件です。資料は、労働者派遣法改正関係が資料 3 、消費税率引上げ関係が資料 4 になります。まず資料 3 ですが、 3 種類の資料で構成しております。 3-1 が、委員の皆様が初めて御覧になるものかと思います。先月 2 28 日の職業安定分科会において答申がなされた、労働者派遣法の改正案の要綱です。 3-2 3-3 が先般御説明に上がった際に使用した資料で、それぞれ「労働者派遣法改正に伴う建労法の改正内容」及び「建設労働法への影響」という資料です。

 既に御説明しておりますので、簡単に触れます。建設業務労働者就業機会確保事業というのは、労働者派遣法に準じて規定されております。派遣法の改正に伴って、同様に変更している部分がありますが、建労法の趣旨に基づき独自に規定している部分については、今回の労働者派遣法によらないものとしております。

 労働者派遣法によらないものとしては、具体的に 4 点あります。 1 つ目は、労働者派遣法における特定労働者派遣事業の廃止です。これは許可制への一本化になります。建労法においては既に許可制の下で実施しておりますので、改正は連動しないことにしております。

2 つ目は、派遣労働者の個人単位の期間制限についてです。建設業務労働者就業機会確保事業では既に、各事業年度において所定労働日数の 5 割未満という就業日数制限を設けております。これより送出しの労働者側の身分の固定化は防げているので、適用しないことにしております。

3 つ目は、送出先での直接雇用の推進です。建設業務労働者就業機会確保事業は、送出事業主において雇用を維持するための制度ですので、受入事業主への直接雇用を推進する制度は不要であると考えております。

 最後の 4 つ目は、派遣事業の許可・更新要件の見直しです。これはキャリアアップ形成支援制度を有することについて、許可・更新要件に追加されたものです。こちらは就業機会確保事業の趣旨を踏まえ、建労法において法第 33 条に既に独自の許可基準があるため、改正は不要であると考えております。

 以上の内容について、職業安定分科会への答申に先立ち、 2 21 日に諮問が行われました。各委員にはこの諮問前に事前に御了解を頂いて、この手続を第 38 回の持ち回りでの開催という形を取らせていただいたところです。なお、今後の予定については 3 月中の閣議決定を経て、国会提出という流れになろうかと思います。今後、法律が順調に進めば、政令又は省令の作業が続きます。前回、平成 24 年度の法改正の際にも同様に、必要に応じて各委員にその改正内容について御説明に上がったところです。今回も同様に御説明に上がる機会があるかもしれませんが、その際はまたよろしくお願いいたします。

 続いて資料 4 です。こちらは、消費税率引上げに伴う建労法施行規則の改正についてです。こちらも既に御説明しているものですので、簡単に触れます。資料 4 1 の「改正の概要」の部分にも記載しているところですが、本年 4 月から消費税率が 8 %に引き上げられることに伴い、上限制手数料を採用している有料職業紹介事業者に負担増が起きぬように、手数料の最高額の見直しを行うものです。一般的な有料職業紹介事業については、職業安定法を根拠としております。この職業安定法では、建設業務に係る有料職業紹介事業は禁止されています。しかしながら建労法に基づき、事業主団体が厚生労働大臣から実施計画の認定を受けて、かつ許可を受けている場合に、建設業務に関する有料職業紹介事業について実施可能としております。今般、職業安定法施行規則とともに、建労法施行規則についても改正を行うものです。

 なお、この改正省令については、資料 4 の最後のページを御覧いただければと思います。こちらに官報の写しを添付しております。 2 18 日に既に公布され、 4 1 日から施行されることとなっております。事務局からの説明は以上です。

○鎌田座長 事務局から御説明がありましたように持ち回りということで、労働者派遣法の改正に伴う建労法の改正について、各委員の御了解を頂いているところです。ありがとうございます。本来であれば会議を開いてということでしたが、いかんせん労働者派遣法の建議・諮問が少しずれ込んで、その時間的余裕がなかったための措置ということで御了解いただければと思います。以上の説明について、何かありましたら御発言いただければと思います。

 よろしいですか。特に御発言もないようですので、次に移りたいと思います。続いて「建設業を取り巻く状況について」ということで、事務局及びオブザーバーとして参加いただいている、国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課の小野課長補佐より、それぞれ御報告をお願いいたします。

○早川補佐 初めに、事務局より説明させていただきます。資料 5 を御覧ください。まず 1 ページは「建設業における労働者の状況」についてです。建設業は、これまで建設投資額の急激な減少、競争の激化などにより、経営を取り巻く環境が悪化してきた結果、機材を手離さざるを得ず、また鉄筋工や型枠工を中心とする技能労働者の不足傾向といった構造的な課題に直面していると言われております。

 左側の表が、建設業就業者数の推移です。技能労働者数はグラフの黄色の部分ですが、ピーク時である平成 9 年の 455 万人から、平成 24 年には 335 万人へと、約 26 %の減少となっています。右側の表は、 55 歳以上と 29 歳以下の就業者の割合を表したものです。この間、平成 24 年には 55 歳以上が約 3 割となる一方で、 29 歳以下は約 1 割となっており、全産業を大幅に上回るペースで高齢化が進行していることが分かります。

2 ページの「建設業関連職種の有効求人倍率の推移」を御覧ください。建設業関連職種の有効求人倍率は、平成 20 年のリーマンショック時に急激に落ち込んでいますが、近年は震災復興需要などにより年々増加傾向にあります。平成 26 1 月では、建設以外も含めた全産業計で 0.9 倍であるのに対し、建設業務関連職種はいずれも高い倍率となっております。中でも型枠工、とび工、鉄筋工などの建設躯体工事の職種は 7.55 倍、建築・土木・測量技術者は 4.23 倍と、特に高くなっています。

3 ページを御覧ください。「建設業における賃金の推移」です。総合工事業や設備工事業と比べ、識別工事業は低い賃金水準ですが、これも東日本大震災以降は上昇傾向にあります。全国平均約 15 %という公共工事設計労務単価の大幅な引上げが行われた平成 25 年の賃金水準は、前年比で 1.6 %、平成 23 年比で 4.2 %上昇しています。

 次に「建設業における雇用環境について」です。左側の表は、年収額の推移です。建設業の生産労働者 ( 男性 ) の年収額は、ほぼ横ばいで推移しているものの、平成 24 年で 391 6,000 円となっており、全産業や製造業と比較して大きく下回っています。また、右側の表は常用労働者の月平均総実労働時間の推移です。建設業の労働時間は、全産業や製造業と比較して長い状況となっております。

5 ページは「建設業の事業所規模別の従業者数の構成比」です。建設業は 1 4 人の事業所規模で 17.5 %、 5 29 人の規模で 54.7 %を占めており、これを合わせた 29 人以下の事業所で働く従業者数は 72.2 %も占めております。これらは建設業が重層下請構造の上で成り立っていることが原因の 1 つと考えられますが、製造業の 31.3 %と比較すると、小規模事業所で働く従業者がとても多いことが分かります。

 そうした中で、 6 ページを御覧いただきたいと思います。左側の表が、平成 25 3 月の高校生卒業者で見た充足の状況です。青いグラフが建設業の数です。求人数が 2 6,256 人であるのに対し、就職者数は 1 3,187 人で、充足率は 50.2 %です。右側の表は、就職した高校卒業者の 3 年目までの離職の状況です。建設業に就職した 1 2,271 人のうち、 5,748 人が離職しており、離職率は 46.8 %にのぼります。その背景としては先ほど御覧いただいた年収や労働時間など、厳しい雇用環境にあることや、事業所規模が小さいといった状況が、経営の安定性や将来への不安につながっているなど、若年労働者の意識に大きく影響していると考えられます。

 ここまでデータを見てきましたが、建設業はこれまでの建設投資の減少の影響を受け、技能労働者の離職が進んだところに近年の震災復興需要などが重なっていること、技能労働者の高齢化が進み高齢者が仕事を辞めていく状況があること、ほかの産業と比べて厳しい雇用環境の下で若者が入職を避けるようになっていることなどを原因として、人材不足が顕在化している状況にあると言えると思います。

 このため、厚生労働省としても、建設人材不足対策の取組をしっかりと進めていく必要があるものと考えており、 7 ページ以降にその取組を掲載しております。建設人材確保に向けた取組は建設団体を初め、国土交通省と厚生労働省が連携して進めていく必要があるものと思います。その取組については左側にイメージ図として示しております。このうち厚生労働省の取組は、 1 「ハローワークでのマッチング強化」、 2 「公共職業訓練等の実施」、 3 「事業主や事業主団体が行う人材育成や雇用管理改善等の取組支援」とに分けて整理しております。具体的な取組を右側に記載しています。本日はこの中から 1 の「ハローワークでのマッチングの強化」より、建設人材確保プロジェクトについて、また 3 の「事業主や事業主団体等による取組への支援」の中から、建設労働者確保育成助成金及び地域人づくり事業を紹介させていただきたいと思います。

8 ページを御覧ください。まず 1 つ目として、「建設人材確保プロジェクト」についてです。この取組は、建設関係職種の未充足求人へのフォローアップの徹底等を取組内容とするもので、平成 25 6 月から実施しています。平成 26 年度からはこの取組を一層推進するために、被災 3 県を中心に、建設労働者が不足している地域の主要なハローワークに就職支援コーディネーターを新たに配置し、就職面接会や事業主セミナーを開催するなど、建設分野の人材確保に向けた支援を重点的に実施していくこととしています。

9 ページは「建設労働者確保育成助成金」についてです。従来は「建設雇用改善助成金」の名前で実施してきたものですが、これを見直すこととし、本専門委員会における議論などを経て、今年度「建設労働者確保育成助成金」として新たに創設された制度となっています。若年労働者の確保育成と技能継承という点に重点を置いており、建設労働者の教育訓練を実施した場合の経費や賃金の助成をはじめ、雇用管理制度の導入への助成、更には若年者に魅力ある職場づくりにつながる取組に対する経費への助成など、幅広く活用できるものとなっています。

 平成 26 年度に向けて、若年技能労働者の育成等をより一層図っていくために、教育訓練の賃金助成ではその額を、認定訓練の場合 4,000 円としていたところを 5,000 円に、技能実習の場合 7,000 円としていたところを 8,000 円にすることとしており、技能実習を委託で実施する場合の経費助成率を、 7 割から 8 割にすることとしております。同様に人材不足が顕著な技術者の育成を進めるため、技能実習の対象に施工管理の技能検定に関する講習を追加するなど、制度の充実を図っていくこととしております。

10 ページは、 3 つ目の地域人づくり事業です。本事業は今年 2 6 日に、平成 25 年度の第一次補正予算として成立しているものです。左のほうにスキーム図があります。都道府県に設けられた基金に厚生労働省からの交付金を交付した上で、これを基に都道府県や市町村が雇用拡大や処遇改善のための事業を組み立て、この事業を民間委託して実施する制度となっております。

 次のページを御覧ください。雇用拡大を図る事業の具体例の 1 つとして、コンソーシアム型の入職促進・人材育成事業を掲載しています。都道府県などが実施した共同体が若年者を期間雇用し、集合訓練や企業実習をすることにより、その間に技能を身に付けさせ、その先の正規雇用化に結び付けていこうとする例となっております。

 次のページを御覧ください。この事業はその対象を特定の産業に限定するものではないことから、建設分野における活用促進を図るために国土交通省とも連携し、事業の受皿となる建設業団体に対する事業の活用や、都道府県等に対する事業実施の要請などを行ってきております。一部の新聞報道などでも取り上げていただいているように、多くの都道府県で実施いただける見込みとなっております。こうした取組を通じて、建設人材不足対策を進めていくこととしているところです。

○小野補佐 ( 国交省 )  続きまして、国土交通省から御説明させていただきます。国土交通省建設市場整備課で課長補佐をさせていただいております小野と申します。よろしくお願いします。委員の皆様方には国土交通行政、取りわけ建設業行政の推進に関しまして、多大な御協力を頂きまして誠にありがとうございます。私からは「若年者の雇用捉進政策と今後の展開等」、建設産業の現状と課題と対応などについて御説明をさせていただきたいと思います。

1 枚目は「建設産業の課題と対応について」です。「課題」としては、左側に地域の建設産業の再生。そもそも建設投資の急激な減少、それに伴う受注競争の激化、ダンピング受注など、企業の利益率の悪化、人員削減などが進行し、地域の建設産業は非常に痛んできています。中でも数字としてよく見て取れるのは、平成 4 年度にはピーク時で 84 兆円の建設投資があった一方で、平成 25 年度には 50 兆円程度で、ピーク時で 40 %程度減っています。地域社会の担い手である建設企業の事業継続に非常に不安が生じてきている状況です。

 一方で、右側の担い手についても非常に厳しい状況があります。これはもう先ほど厚労省から御説明がありましたが、低い賃金水準あるいは就業者の高齢化などに伴いまして、将来の担い手の確保あるいは技術の承継などには懸念が生じてきています。

 これに対しまして私どもとして、これまでこういった取組をしてきているということの御紹介です。まず、「低入札価格調査基準の見直し」は昨年 5 月に実施いたしました。低入札価格調査基準において、一般管理費の算入率を 30 %から 55 %に引き上げました。国土交通省の直轄の標準的な土木工事において、予定価格に対する低入札価格の割合が 86 %から 88 %に上昇したということです。これは低入札価格調査をやるときの価格の基準が上昇しているということで、一定の効果を見ております。

 次に、処遇の改善。まずは建設産業の担い手を確保・育成していく観点からは、建設業の取りわけ技能労働者の方々の処遇を改善していく必要があります。公共工事設計労務単価の引上げ、あるいはそれに伴う建設業界への賃金支払い等の要請、社会保険等未加入の業者なり労働者の方々が多いので、こういった対策を講じてきています。

2 ページに参考資料を付けております。公共工事設計労務単価については、昨年平成 25 4 月に全国平均 15.1 %に引上げをさせていただきました。平成 25 年度としては二度目の引上げとなりますが、本年 2 月から更に引き上げまして、全国平均で、平成 25 4 月比で 7.1 %、被災 3 県では 8.4 %のアップになっています。これは平成 24 年度から比較しますと、全国平均で 23.2 %、被災 3 県で 31.2 %の引き上げです。

 これはどういうことかと申しますと、1「単価設定のポイント」の (1)(2) にありますが、まず最近の技能労働者の不足等に伴う労働市場の実勢価格を適切・迅速に反映したということです。要するに、最近非常に実勢の労務費が上がってきていて、予定価格との乖離によって入札不調などもたくさん起こってきています。こういうところに適切・迅速に対応して、実勢価格が上がった分を労務単価に反映をしたということです。

 それから、これは平成 25 4 月の設定内容から継続ですが、社会保険への加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を反映させて設定をさせていただいたところです。平成 26 1 30 日に発表しましたが、これと合わせて関係者への要請。建設業団体には適切な賃金水準の支払い、社会保険等への加入徹底、若年入職者の積極的な確保、ダンピングの排除、消費税の適切な支払いなどを要請しています。

 また、それぞれ公共団体や民間などの発注者に対しても適切な対応をお願いしたところです。

 「今後の取組み」ですが、技能労働者の方々の賃金水準の実態を注視をしながら、適切な形で労務単価を見直していきます。

(2) は社会保険加入徹底の観点から、必要な法定福利費相当額を税金で予定価格に積んでいます。そういう観点から、更に社会保険への加入徹底を進める必要があるだろうということで、国土交通省直轄工事の元請・一次下請については、社会保険加入企業に限定をしていく。これまで別に社会保険に入っていようが、入っていまいが国交省直轄工事を受注できましたが、元請ないし元請から一次下請で請けた企業については社会保険加入企業に限るということで、平成 26 年度中に実施していきたいと考えています。

3 ページ目は、公共工事設計労務単価を大幅に昨年 4 月に上げて以来、累次にわたって国土交通大臣以下、いろいろな形で業界に働きかけをしております。これを受けて業界でも様々な取組をしていただいています。

4 ページは、「社会保険等未加入対策の全体像」です。これまで社会保険未加入対策について、いろいろと取り組んできているということです。

 戻りまして、 1 ページです。こういった形で、技能労働者の方々なりの処遇改善の取組も進めてきております。更に、ダンピング対策も進めてきておりますが、建設産業の担い手確保・育成に向けて、やはり何よりも重要なのは中長期的な見通しを確保していくことだと思います。建設企業の方々が安心して人材に投資していただくためには、中長期的に公共事業関係予算について、安定的に推移をしていくのが大事だということです。

 そういう意味で、一発目として、平成 26 年度当初予算については、ほぼ前年並の 5.4 兆円になりました。予算の基本方針の中では、今後の社会資本整備については、当然厳しい財政状況の下ではありますが、国民生活の将来を見据えて、計画的な整備を推進していく必要があります。今後、安定的、持続的に公共事業についてもやっていくということで、将来の見通しを立てていきたいと考えています。

 その他、後ろには、富士教育訓練センターという職業訓練施設を、今後の建替えに向けてどんどん活用していく。あるいは戦略的広報ということで、業界のイメージアップにつなげていこうという取組。あるいは 8 ページには建設業法と入札契約適正化法と公共工事の品質確保に関する法律として、この 3 法を一体的に改正をさせていただきます。

 今回、品確法、公共工事の品質確保の促進に関する法律については、議員立法という形で出ていきます。これと併せて、入札契約適正化法と建設業法の改正ということで、大目的としては、インフラ等の品質確保とその担い手の中長期的な確保を進めていきたいということです。そういった中長期的な担い手確保と品質確保を図るという観点から、入札契約制度の改革、あるいは建設業者の担い手の確保・育成に係るその取組の支援など、こういったところを法律改正の中で位置付けていくことをさせていただいております。

9 ページは「建設産業活性化会議」です。これまで、縷々短期的な施策あるいは中長期を見据えた施策を講じてきております。更に、いろいろな形で講じていくべき施策をきちんと課題とともに整理をするという観点から、私ども高木副大臣をヘッドに「建設産業活性化会議」を設置させていただき、いろいろな形で関係者の方々のお知恵を頂きながら、本年夏項までを目途に中間的な取りまとめを行って、更なる担い手確保のための施策を講じていきたいと考えています。私からの御説明は以上です。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。かなり社会保険の手帳など、画期的な取組も行われておるようです。こういったことを踏まえまして、せっかくの時間でありますので、御自由に発言をして、意見交換をしたいと思います。どなたからでも結構です。御発言をお願いしたいと思います。

○柴田委員 私はいつも思っているのですが、建設労働の担い手の人たちは、本当に日本の安全を守るために大切な人々です。この方たちをきちんと人材育成していくことも大切ですが、就業した人の離職率が高いので、定着していくことが大切です。国交省は賃金を上げる努力を、企業を通じながら関接的にやってくださるのはすごくいいことだと思います。厚労省はどちらかというと、マッチング、訓練などに力を入れておられます。基本的に最賃でできるかどうか分かりませんが、賃金をきっちり上げていくのが重要なので、もう少し何とか厚労省としてのアプローチはできないかという、すごく素朴な疑問が 1 つあります。それがひょっとして正社員化できるのかどうなのかちょっと分からないのですが、それを 1 つやることだと思います。

 あとは、結構移動したりとか、一人親方などいろいろな人が多いと思いますが、老後の蓄えみたいなものも建設業の人は少ないと思います。建設労働者退職者共済も実はもらえるはずのものがもらえない人もいるという話を聞きました。老後の蓄えという意味でも、もうちょっと長く勤めることが建設労働者にとって安心につながるのだという、制度的な支えも何とかできないかとお聞きしていて思いました。

○鎌田座長 ありがとうございます。今、感想のような形でおっしゃったのですが、事務局で今のような感想について、何かコメントがありますか。

○上田室長 貴重な御意見、本当にありがとうございます。正に柴田先生がおっしゃっているとおりのことだと思っています。基本的に、いろいろな業界で人手不足だと言われています。例えば介護、農業などいろいろありますが、賃金の問題はどこにでも付いている問題です。賃金の問題はやはり労使が決めることになっています。なかなか業界としてどうやっていくのか、が一番大きい方向になっていくと思います。したがって、国交省が今取り組んでいることについて、私たちは支援をしながらやっていく。

 ただ、人手不足はそれだけではなくて、定着という意味合いを考えれば、先ほどの数字の中を見ていただくと分かるのですが、休みの関係など、特に若い人たちは今は休みがないと入ってこない。それから、退職金、ボーナスなど、こういったところのいわゆる雇用管理上の問題は非常に大きな問題だと思っています。これについては、私どもとしてもどういう形で取り組んでいくのか。特に建設の関係を考えると、いわゆる零細企業に対する雇用管理改善をどうやっていくのかを大きい命題として考えています。それについての取組は進めていきたいと考えています。

 今は助成金という形でやっていきますが、それだけではなく、例えば社労士を使ってのアドバイザーみたいなもので、雇用管理改善を積極的に推進する事業を進めていくなど、そういったことも考えなければいけないと思っています。そこのいわゆる雇用管理改善の重要さを思いながら、今、検討するというか、そこを中心に検討していきたいと考えています。

○福田委員 先ほど柴田委員からお話がありましたが、若年者が入職はするけれども辞めていく。これがかなり離職率が高いのです。私もいろいろなところに出て、ヒアリングをしたりしてお聞きしています。国交省は賃金を昨年からずっと上げていただいて、いろいろやっていただいているのですが、 1 つ忘れているのは適正な工期と適正な契約条件です。そういうことを忘れているのではないかとすごく思うのです。

 私は使用者側で出ています。このようなことを言うと大変申し訳ないのですが、これは強く踏み込んでもらいたい。やはり、適正な工期については、元請側も特急料金を払えばいいのだという意見も中にはあるのです。お金で解決できる。しかし、お金で解決できるものが末端までの労働者にきちんと賃金がその分払われるかというと、払われないのです。きちんとした工期を設定して、その工期が決してダンビングしてはいけないと、強くこれから言っていかないといけないのではないか。各社みんな競争でダンピングしています。ダンピングと同時に工期までダンピングしていく。その辺が若い人が離職していく唯一の問題ではないか。だから、ワークライフバランスは非常に大事なことだと思って、厚生労働省にはその辺を強く査察するなり、いろいろして、きちんとしてもらいたいと考えます。

○鎌田座長 何か、コメントがありますか。

○上田室長 おっしゃるとおりだと思います。……やっていますが、そういったところもかなり必要なことだと思います。先ほど言った雇用管理改善の根底をどこからやっていくのか、どういうやり方で中小企業にやっていくのかは、本当に大きな問題だと思っています。

○大木委員 やはり、賃金を上げるのが大事だと思います。国交省が設計労務単価を上げていただいて大変有り難いと思っていますが、まだまだ先端の作業員までは、そのパーセントが上がっていないのが実態です。東北はかなり上がっていますが、首都圏ではまだまだ実際まで浸透していないのが実感です。

 先ほど資料にもありましたように、また室長もおっしゃったように、中小零細というか、本当に先端の労働者は 5 人、 10 人くらいの、社長というか親方に抱えられている人たちが非常に多い。国交省が元請と一次をもう使わないとおっしゃっていました。実際に雇われているのは二次下請、三次下請でして、そこまでやらないと、本当に働いている作業員たちの実態が把握できないのかと思います。また、重層下請は本当によくないと思うので、その辺をお役所として、そこまで突っ込んで、一次までにするなど、そこまで行政としてやるべきかどうかちょっと難しいところがあるかもしれませんが、重層下請が一番よくない根源だと思います。

○小野補佐 貴重な御意見ありがとうございます。末端の労働者まで賃金はなかなか行っていないというお話ですが、職種によってはということなのかという気もします。それから、今回、労働単価が上がったことが賃金が上昇傾向にあることの 1 つの証左だろうとは思っています。これは正に使用者の方に積極的に取り組んでいただくのがまずは重要なことだと思いますが、引き続き私どもとしても積極的に働きかけていければと思っています。

 重層下請構造の話も、私どももそういう問題はあると思っております。近年一層進展しているのだろうとは思っています。これは基本的に企業のアウトソウシングの 1 つなのかという気もしています。日建連は二次までにするとおっしゃっております。そういった取組がいかに進んでいくかについても期待していきたいと思います。いずれにしても、重層構造の問題も、ちゃんと末端の方々の処遇が悪くなっているのが最大の問題だと思います。下請制限というのも諸外国の事例を見ても難しいというお話もあります。まずは、きちんと末端労働者の方々の賃金水準をしっかりと上げていただくことが最大の取組と思っております。

 社会保険未加入対策について、今回やる取組については、一次までいくのは企業ベースの話です。労働者ベースまでそういったことをチェックするというのは、まず技術的にというか、発注者の立場から、どこまで真正性を持ってチェックできるかは、極めて難しいお話であり、行政コストもものすごくかかります。それに伴う建設企業に対する影響もものすごく大きいでしょう。昨今、入札不調などと言われますが、それに一層拍車をかけるのではないかという議論もあります。そういう意味では、様子を見ながら、いつのタイミングでどこまでできるかをしっかりと今後も注視して、検討していかないといけないと考えています。

○鈴木委員 先ほど柴田先生からお話がありました建設業退職金共済制度の件ですが、勝野委員の所属団体とも 1 年に 2 回、いろいろとお話をさせていただいております。やはり国土交通省、官庁工事はちゃんと建退共費用を積算の中に組み込んでおりますが、民間工事はお施主さんが建退共費用をなかなか認めてくれないため、下請事業者からこれを請求されても、手前どもが負担することになります。その辺を、民間工事の企業先に、国交省も強くおっしゃってくれておりますが、厚生労働省も少し強く言っていただくとよろしいかと思います。

 あと、社会保険未加入問題に関しても、国交省が設計労務単価を上げていただいて、調査基準価格も上げていただいた中で、私たち建設会社も悪いのですが、予定価格から 10 %を切った価格で受注している。建設会社は 7 8 %の荒利益を出すのが一生懸命な中で、 10 %を切った価格で受注しているため、お互いに社会保険未加入問題についても、努力しようというのが実際だと思います。その辺を更にもう 1 つ踏み込んで、設計労務単価及び調査基準価格を更に上げていただきたいと思います。勝手なお願いです。○勝野委員 この間のいろいろな社会情勢の中で、日本の建設業界が大変疲弊をして、それを何とか再生をしていかなければいけない。そのための大きな課題として、人材対策がある。こういう形での認識がここまで行政の皆さん、また経営者団体の皆さん、又はこちらの労働側も含めて一致をしたときというのは多分初めてのことだと思っています。私たちとしても、今はいろいろな経営団体の方とも、また企業の方ともお話をさせていただいてますが、社会保険の加入対策を含めて、労働団体として同じ方向を向いて、何とかこの建設業をよくしていきたい。そういう気持ちで今取組を続けている段階です。

 先ほど、大木委員からもありましたが、国交省をはじめ、設計労務単価の見直し等々を画期的なことだと大変歓迎しております。ただ、それが現場サイドまで浸透、波及をしていない実態がまだあります。国交省には手を緩めることなく、施策を進めてもらいたいのが 1 つです。

 もう 1 つは厚労省サイドとして、建設業における人を育てるといいますか、そういう視点での話のできる委員会として、この場は今非常に大切な場だと思っております。 1 年半近くたって開かれたということですが、できるだけ共通認識を持てるような、又はより効果的な施策が打てるような場をしっかりと設定をしていただきたい。そういう点で、今の建設業の実態の中で、私が 1 つ懸念をしておりますのは、私どもの組織の実態からいってもそうなのですが、一人親方が非常にやはり増えているなと実感を持っております。その点について、人を育てるというところから、是非厚労省として、そういう実体を何らかの形でしっかりと把握をしていただきたい。なぜそうなっているのか、その結果どういったような影響が出ているのかという点について、把握をしていただきたいと考えております。

 加えてそうなりますと、厚労省としてどうしても雇用保険を活用した対策が中心になっておりますが、一人親方対策を考えますと、なかなかそこではカバーしきれない部分が出てくると思っております。ですから、雇用保険会計とは別立てのそうした一人親方対策と申しますか、そうした人材対策が必要になってくるかと思います。その辺を含めて、是非御検討をお願いしたいと思っております。

○野村委員 労働側 2 人目です。先ほども少し話がありましたが、ある意味、建設業が雇用環境を改善する大きなポイントは賃金だろう。もう 1 つは、私は労働環境の中の大きな割合を占める労働時間の短縮が必要だろうと思います。先ほどの厚労省の説明の中の 4 ページの表を見ても、全産業、製造業とも比較すると、大幅に建設業の実労働時間は長い。その上、先ほども話したとおり、賃金も低いということであれば、普通に考えれば、労働時間が長くて賃金が低いなどというところに人は集まる訳はないわけです。基本的にはここをどうやって是正をしていくのかが、やはり建設業に人材を集めるためには、まずここをしっかりと改善しなければいけないだろうと思います。

 賃金については、これは公共事業なり、また民間なり、それぞれの立場があろうかと思います。やはり、労働時間の短縮については、 1 つは適正な工期が私は一番ポイントになると思います。労働組合も労働時間短縮を図るために、特に現業の組合員の労働時間を減らすためにはということで、土曜の閉所運動をやっております。これは日建協とも一諸になっていますが、毎年 6 月、 11 月第 2 土曜日を設定して、この日は要は作業所を閉めましょうという運動です。

 その集計を毎回取っていますが、閉所できた所の話を聞きますと、適正な工期であった。あと、もう 1 つはその現場の所長の意識が高い。なぜ、その所長の意識が高いかというと、大体企業トップが労働時間を減らしましょうと言って、社長がある意味では先頭を切って旗を振っている所の閉所率が明確に高くなっている。トップの意識は極めて大きいと思っております。

 したがいまして、適正な工期と、併せて仕事が急激に入ってきますと、どうしたって限られた人数です。できましたら、これはなかなか難しいのですが、昔からよく発注の平準化で、できれば少しならしていただければ。これは特に公共事業の場合は、その辺少し中長期な視点に立ってそういう発注の状況を見ていただければありがたいと思っております。

 あとは法的な問題です。建設業はいまだに時間外、年間 360 時間の適用除外業種になっております。これは大臣告示などになっているかと思うのですが、連合はこれを法制化しようと取組を今しております。我々はそれはそれでやっていただいても結構ですが、建設業の 360 時間の適用除外を置いていかれては困りますと、我々も政策として発信をしております。

 いずれにしても法のところで、しっかり一般業種は全部年間 360 時間で、頭をちゃんとキャップをかけているわけです。ここは同じように、早く業種の適用除外を撤廃をしていただいて、一般と同じようにしていただく。このことも労働時間を短縮する意味では、極めて必要なことではないかと思っております。以上です。

○鎌田座長 ありがとうございます。

○加藤委員 今、現場で声を聞くのは、都内などでもそうなのですが、専門工事業者が圧倒的に足らないと、あと、復旧復興工事でも絶対的に不調が多いという話が先ほどありました。これについては、先程来あるように、賃金を上げるとか、あるいは休みを多くしようとか、対策として成り立つかもしれないけれども。 1 つ私が経営者として思ったときに、復旧復興工事も何とか 5 6 年先あるかもしれない。オリンピックも 6 年先にある。しかし、オリンピックも 1 年前には施設を完成させてなければいけないから、せいぜい 5 年だろうと。そうなってくると、その先の話を考えた場合にやはりそこに明るいビジョンがないと、では新規採用しましょうかといっても、なかなかそういうふうにはならない。

 先ほど野村委員が言われましたように、仕事の平準化といったらおかしいですが、オリンピック、復旧復興工事は絶対的にやらなければいけない緊急の課題なのだけれども、その未来、 10 年後、 15 年後、建設業はこうなっているのだよというふうなビジョンがないと、若い人も、今だけなんだ、それが終わったらまた昔に戻るのではないかというような感じになると、やはりそれなりに魅力がなくなってくるだろう。その上、ビジョンと言ったらおかしいけれど、明るさがほしいと。これは、これから先、日本をどのようにいくかということが、将来的には一番ほしいところではないかという気がします。以上です。

○鎌田座長 あと、いかがですか。いいですか。

○福田委員 先ほど言い忘れてしまって、大変あれだったのですけど。前回までは大木さんに代わって才賀さんが出られたわけです。才賀さんは昨年の 4 月の終わりか 5 月に、太田大臣が召集した意見交換会に出ていて、日建連も会長、副会長、全建もそうですが、執行部というか、会長、副会長が出られていました。そんな中で才賀さんが何を言ったかというと、太田大臣に向かって、今の一番いけないのは、諸悪の根源はゼネコンのダンピングにあると言ったのです。才賀さんがそこまで太田大臣に言うものだから、それで日建連のほうも必死になって、変えていかなければいけないということで、今はずっと進めているわけですけども。

 ただ、最近になって非常に難しい問題が。先ほども出ましたが、お金が、特に民間工事はお金をもらっていないから払えないという、ゼネコンのトップも中にいるのです。ただ、日建連の幹部はそれを打ち消して、ダンピングをいけない、きちんと払うにはダンピングをしなければきちんと払える、そういうことをみんなで守っていかないと末端の労働者にきちんとお金が払えない、そういう受注活動はしてはいけないと、今かなり強く言っているのです。

 これは国交省さんも、厚労省もそうですが、やはり何かにそういうのを強く訴えていただきたい。今、強く訴えていただいていますが、そういうことを再度強く発信していただきたいと思ったのです。ダイヤルとか、いろいろありますので、何かそんなものを活用して、公にしてもらって、何かおかしいのではないかというようなことも公表していただきたいと思ったのです。

○角委員 すみません。初めてで、何か発言して帰らなければと思いまして、思わず手を挙げてしまいましたけれども。私どもが以前にやった調査で、先ほど離職率が高いというお話がありましたが、 20 代の職員の 4 割が転職を考えているという結果が出ておりました。事情を聞くと、労働環境、特に賃金のほうではなくて、労働時間のほうが非常に大きく原因となっている。あと、東京オリンピックがありまして、事業量の増加は見込めるのかという中で、その辺りをケアしていかなければいけないなと。

 今回、先ほどお話がありました、品確法とか入契法とかの改正に伴なって、確か発注者責務といったところの話があったかと思います。やはり労働環境が厳しいのは、どうしても民間工事のほうが公共工事よりも厳しいものでして、民間の発注者に強い働きかけみたいなものをしていただけるとうれしいかと思いました。以上でございます。

○柴田委員 ちょっとだけいいですか。福田さんのお話をお聞きして、先ほどは言うのをやめようと思っていたことを言おうかと思います。元請の会社はそこの工事全体の責任を持っているわけだから、そうなると、品質に何か問題があったときは、もちろん下請に文句を言ったりいろいろするのでしょうが、一応全体の責任を持つ。それと同じように、雇用管理の全体の責任も持つべきだと私は思っていて。そうなってくると、自分の所の直接の下請は一次下請だから、下請までの雇用管理は見るけど、その下は見ないというのはおかしくて。才賀さんがおっしゃったのか、福田さんがおっしゃったのか、ずっと調べてみたら、一番大きい所で 13 下請まであったという話をお聞きしたことがあるのですが、少なくとも 13 下請まで雇用管理の実態を把握する責任もあるのではないか。

 それはどうしてかというと、雇用管理が品質に大きく結びつく可能性は高いわけですから、能力のない人がやっている可能性もあるし、すごく過重労働のためにミスが起こることもあるので。そんなことは今すぐには言えませんが、行く行くはやはり元請は最終的には雇用管理の責任も持つのだというようなことで、実態をきちんと把握する。それはもちろん労働基準局がやってもいいのですが、元請として、時々はサンプル調査をするとか、そういった責任を持っていただくことによって、両方の責任を果たすのが本当なのではないかと、前から思っていたので。これを言うと経営者側にすごく怒られてしまうと思いましたが、行く行くはそんなことがありそうだと思ったので、ちょっと言わせていただきました。

○大橋委員 若干別の角度からの質問になるかもしれません。大きくはつながっていると思いますけれど。 1 点、国交省の資料の中で、最近メディアで伝わっていることと、どう考えたらいいのだろうということの中に、先ほどもダンピング受注という話があって。他方で、不調・不落の話でもいろいろな個別事例が報道されている部分があると思いますが、ここの部分はどう頭の整理をするのかという。結局、これは需給の問題が非常に深く根っこに絡んでいる話だと思います。ここの辺りはどういう考え方の整理をされているのか非常に感心があるのですが、そこはどうなのですか。

○小野補佐 入札不調の問題は、どちらかというと実勢価格と予定価格がずれていると。実勢価格が予定価格を大幅に上回ってしまっているので、そこは適切に対応していくことが最大の入札不調解消に向けた課題ではないかということで、先日来、施行確保パッケージということでいろいろと打ち出しております。労務単価の話だとか、最新単価をちゃんと適用しましょうとか、あるいは復興の中ではとか、いろいろな形で打ち出しており、そこはそういった形でやらせていただいているということです。ダンピングとの関係性の整理は非常に難しい問題だと思います。

○大橋委員 私、ちょっと分からないのは、雇用管理の問題なのか、あるいは入札という競争制度の中で業務の安定化というのは、ちゃんと安定的に仕事を取っていくことを言っていると思います。ある程度、安定的に仕事を取っていかないと、人は育っていかないというか。あるとき仕事がパタッとなくなって、あるとき 3 倍ぐらいの仕事が来ましたというとなかなかやりづらいと思うし。これは人材の確保を考える上で私の感心は、これは入札制度に根差す問題なのか、あるいはそうではなくて雇用管理に根差す問題なのか、そこまで頭の整理がついていないのですけれど。すみません。何か全然、ここの会議の場で議論すべきかどうかは分かりませんが、問題意識はそうだったのですけど。

○鎌田座長 いや、全然。せっかく国交省の方も来ておられるので、自由闊達に御議論いただいて。少し迷惑かもしれませんけど。

○柴田委員  2 つ質問していいですか。 1 つは、今後、土木関係では老朽化というのがありますよね。そういうものを安定のために、今後、長期的にどういうメンテナンスをしていくからこういう発注が出るとかという、長期何とかのようなもので安定的なものに資することができないかと。

 もう 1 つは、製造業はイノベーションといって、単に技術をもう少しよくすることで労働時間や労働環境をよくするという、親会社から技術の伝播みたいなものがあるのですが、建設業のイノベーションというのは、余り末端にいくようなイノベーションはないのかなという、この 2 つです。

○小野補佐 生産性の向上という面については、確かに建設業は労働集約的な産業になっていると思います。技術革新していくのと労働集約をするのと、どちらがコストが安いのかということもあるでしょうか。そこは業界の方々のほうが詳しいと思います。

○福田委員 私が言うのもあれなのですけども。日建連は来年度の事業計画を策定中なのですが、その中にイノベーションを入れて、今後のオリンピックに向けての人手不足をどう解消していくか。前回のオリンピックのときもいろいろと技術革新があったのです。例えばプレハブ化、それからユニットバスとか、そういうようなものが普及していると。やはり、何か目標に向かってやっていかなければいけない。何があるのかというと、今のところはないです。だから、これからどんどんイノベーションしていかなければいけないのかと考えています。

○鈴木委員 建設業にとって、今までいわゆる冬の何年間というのがありました。要は、技術革新に充当する完工、受注、荒利益がなかった時期、上のスーパー数社は違いますが、手前どもの会社になると技術革新費を出すだけの予算がない。会社を維持していく程度の業績でした。先程来の話の通り、入札不調の原因である技能者が足りない状況と同じように、私どもも技術職員が足りないのです。うれしいことに、今年度は本当に仕事がたくさんありました。要は工事を選別して、取り組みたいけど応札しないケースが多々ありました。だから入札不調のケースもあったのです。

 今後は、先ほど加藤委員がおっしゃっていたように、 20 年後は建設投資がどうなるのかというのがある程度明確でないと、少なくとも今の 3 か年計画では職員を増やしていこうという話はあるのですが、ではどこまで増やしたらいいのか。それが不確実なので、そうすると、どうやって会社を発展させたらいいのか、多分に見えないところがあります。私も使用されているほうなので、経営者の考えをそういうイメージで理解しているつもりです。

○鎌田座長 盛り上がってきたところで、もう 1 つ議題があります。そろそろ。

○勝野委員 おっしゃったとおりで、それぞれの企業として、工法のイノベーション等はかなり日進月歩のように進んでいると思います。ただそうなると、現場で働く労働者のそれに対応した教育訓練と申しますか、現実的にはそういうものが追いついていくのが大変だという側面も一方ではあろうかと思います。新しい工法等に対する現場で作業する人たちの技能取得に対して、現状からすると、実際に誰が負担しているのかについては、業界でなかなか一律になっていないというのがあると思います。そうした点で、建設業は非常に労働集約型、しかも移動型、労働者の移動が激しいことがありますので、それは会社単位、又は労働者単位ではなくて、業界単位としてイノベーションに対応した技能取得の方法を考えていかないと、そういうシステムを作っていかないといけないのではないかと思います。

○鎌田座長 ありがとうございました。盛り上がってきたところで大変申し訳ないのですが、今日はもう 1 つ議題がありまして、そちらのほうに移ります。

2 つ目の議題は、「建設労働者の雇用の改善等に関する法令第 14 条第 1 項の規定による実施計画の変更認定について」です。これは冒頭に申し上げたとおり、非公開といたします。恐れ入りますが、傍聴されている方はここで御退席をお願いします。

                                  ( 傍聴人退席 )

○鎌田座長 それでは、本日の当委員会はこれで終了いたします。最後に、本日の会議に関する議事録の署名委員につきましては、労働者代表は勝野委員、使用者代表は大木委員とさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、本日はお忙しいところをありがとうございました。どうもお疲れさまでした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会)> 第39回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会議事録(2014年3月10日)

ページの先頭へ戻る