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2014年6月9日 第3回ハローワークの求職情報の提供に関する検討会

職業安定局総務課首席職業指導官室

○日時

平成26年6月9日(月) 10:00~12:00


○場所

職業安定局第1会議室(厚生労働省12階)


○出席者

構成員

鎌田座長、坂下参集者、福田参集者、林参集者、高松参集者、沼野参集者

事務局

職業安定局次長、首席職業指導官、労働市場センター業務室長

○議題

(1)第1回及び第2回検討会を踏まえた論点整理
(2)その他

○議事

○鎌田座長 定刻より少し早いのですが、皆様もうお集まりですので、ただ今から第3回「ハローワークの求職情報の提供に関する検討会」を開催いたします。

 参集者の皆様方には、本日、御多忙のところ御参集いただきありがとうございます。本日は、参集者の皆様全員に御出席いただいております。

 それでは、早速ですが、議題 (1) 「第 1 回及び第 2 回の検討会を踏まえた論点整理」について、事務局から説明をお願いします。

○首席職業指導官 おはようございます。では、まず資料が前後して恐縮ですけれども、参考資料 1 で第 2 回のヒアリング結果の概要のおさらいをさせていただきたいと思います。参考資料 1 「ヒアリングにおける参考人の主な意見の概要」ということで、各発言の末尾に略号を付けておりまして、略号は上の四角で囲んでいるものを示しております。かいつまんでお話をさせていただきます。いろいろな御発言がありましたけれども、それぞれをテーマ別に並べ替えてお示ししております。

1 番目の「必要な求職情報の範囲」ということで、例えば収入は年収ベースで書いてほしいとか、あるいはどういう役職だったかというのが職歴以外にも必要という御意見もありました。また、 2 ページでは、最寄りの駅や就業上留意を要する家族、仕事をする上で身体上注意を要する点なども情報として必要と、あるいは希望の職種だけではなく業種も必要という御意見もありました。

 一方、 2 ページの下から 2 番目の○では、求職者と提供先双方の申出の段階では、それほど細かな情報は必要ない。直接連絡の段階で、適確紹介につながる情報を得ていく必要があるという御意見もありましたし、 2 ページの一番最後では、「身体上注意を要する点」などは、恐らく機微情報に当たって、準個人情報的なところであるので、取扱いは非常に慎重を要するというお話がありました。

3 ページの 2 番の「提供先の範囲」では、「申請時に過去 3 か月以内に常用就職の実績が 1 件以上とある」が、その「常用」というのを外していただきたいというお話もありました。マネキンや配ぜん人などになりますと、ほとんどが 6 か月未満の契約であると。あるいは、第三者による個人情報管理等の認証要件を削除していただきたいという御意見もありました。

4 ページの 3 番で、「情報提供システム」について、例えば提供された求職情報と各社で使っているコードとが違っているので、そのマッチング等で、やはりコストは事業者のほうで発生するという御意見や、あるいは 5 ページの上から 3 番目の○で、ウインドウズ XP が期限切れになっているなど、世間で最低限のセキュリティは事業者に担保していただく必要があるというお話もありました。

6 ページの 4 番の「個人情報の保護・適正管理」について、上から 3 番目の○で、求職者から形式的に同意を得ても、法的には同意ではないとされることがあり得る。本人がきちんと理解して、どういう状況にあるかというのを十分に理解した上で同意するという措置を講じることが特に重要という御意見を頂いております。

7 ページの 5 番の「利用方法のポイント」について、一度に求職者に大量の情報が行くと迷惑がかかるので、情報の内容、量について何らかの基準を設ける必要があるというお話もありました。

 また、 6 番の「苦情処理、違反行為等の防止」では、 2 番目の○で、実際は紹介のときには、事業者と本人の間の契約になっているので、それ自体にはハローワークが介在していないということを求職者本人にきちんと理解していただく必要があるというお話がありました。また、 8 ページの一番上の○で、事業者に遵守してもらいたい仕組みがあるのなら、ハローワークと職業紹介事業者の間の何らかの取り決めが必要。あるいは 2 つ目の○では、あまり行政側の一方的なペナルティを課すものとなると、それは行政処分だと裁判所から言われる可能性があるということがありました。

 また、 8 ページの 7 番の「利用料金の徴収」についても幾つか御意見がありました。ヒアリングについては以上です。

 併せまして、参考資料 3 を御覧ください。「プライバシーマーク制度について」、運営団体にお話をお聞きしていますので、かいつまんでお話をさせていただきます。

 まず 1 番、「 P マーク付与状況」では、自治体の発注入札条件として JIS 規格適合者というのが割と要件になってきているので、取得者が増えてきていて、割と小さい事業者も取得している場合があるということでした。

2 番の「申請要件」は、 JIS 規格の個人情報管理が適正に行われているかを判断するものということで、 4 番の「審査の方法」があります。まず社内規程の文書審査を行います。それから現地に 2 1 組で審査員が調査に入るということで、これは 1 日で大体終わるということで、小規模事業所は 5 時間ぐらい、大規模事業所になると 8 時間ぐらいの時間がかかるということでした。そこで調べた内容を報告書に取りまとめて、マル3ですが、過半数が外部有識者で構成されている審査会にかけて、そこで審査をするということでした。

5 番の「審査に要する期間」ということで、「申請からマーク付与までが最短で 4 か月ぐらい」、いろいろ不備な点を指摘して改善していただくことがあるので、そうすると 8 か月ぐらいかかる場合もあるということでした。

7 番で、プライバシーマークを取得している事業者が途中で個人情報について事故を起こしたときはどうなるのかということですけれど、これは事故の内容によって、漏洩か紛失か不正使用か、故意・過失かなどで類型化・点数化して、個々の事案がどこに当てはまるかということで、付与の取消や付与の一時停止、勧告文書発行などで対応しているということでした。

 なお、「 JIS 規格の第三者認証制度について」は、プライバシーマークは、代表的なものですと、日本でほかにもまだ複数あるということでした。

 後の別紙 1 で、実際の審査の内容が何かということを示しております。緊急事態への準備をきちんと文書規定しているか、社員への個人情報の教育について文書化しているかなど、そういったことが全部入っています。

 別紙 2 は料金についてです。 P マーク付与の有効期間は 2 年です。初年度はやや高くなっていて、大規模な所では合計で 123 4,286 円です。次回の更新からはやや安くなっていくけれども、やはり数十万円かかるということで、規模の分類は下の表にあります。一番小さい所では 2 5 人ということで、業種別に分類されているということでした。以上です。

 続きまして、恐縮ですが、戻っていただきまして、資料 1 「ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について」です。これは、第 1 回の論点資料をこれまでの議論を踏まえて改訂しているものです。 1 ページ目に、「本事業の趣旨・目的」を改めて記載させていただいております。「求人・求職のマッチングに係るインフラとして、一種の公共財的な性格を有するハローワークの求職情報を職業紹介事業者に提供する」ということで、その目的は、「外部労働市場全体のマッチング機能の最大化」を図ることによって、求職者が容易に利用できるマッチングの様々なチャネルを拡大し、早期に良質な雇用機会を確保していくこと、これが趣旨・目的ということで、改めてお示しさせていただいております。

2 ページ目は【提供イメージ】です。前回、矢印がたくさんありまして、非常に複雑な感じがしておりましたので、若干簡略化をさせていただいております。

 求職者がハローワークの求職申込みをすると、ハローワークシステムに求職情報が登録されます。提供を希望する求職者については、ハローワークシステムに登録された求職情報から個人を特定できる情報を除いたものが求職情報サイトに自動的に掲載されます。一定の要件をクリアして、 ID ・パスワードを発行された右の提供先 B がそれを閲覧することができます。閲覧した提供先が、特定の求職者に連絡を取りたい場合は、当該サイトを経由して案内等を送信します。この案内については、事前に労働局に届け出ていただいた十分な情報を含んだものを提供します。それは、サイトからメールで求職者に情報提供がなされます。そこで匿名のまま、何か求職者が聞きたいことがあれば、サイト上でやり取りもできます。ただ※印にありますように、求職者の判断によって、個人情報を含めて提供先が提示する連絡先に直接連絡することも可能ということで、基本的には、サイト上では、氏名や連絡先などの個人情報のやり取りはしないということです。マル5で、提供先の職業紹介の利用を希望する求職者は、求職申込みの案内を受け、提供先へ直接求職申込みを行うという形です。

3 ページ目は、「提供先事業者の範囲」ということで、修正点は赤でお示ししております。 1 つは提供先の事業者ということで、職業安定法の第 33 条の 2 1 項、これが学校で、生徒の職業紹介ですので、これは対象に必要ないであろうということで消しております。それから、過去 3 か月以内に職業紹介事業者として就職実績を有することが申請要件になっておりますけれども、以前はこの常用就職の定義をお示ししておりませんでした。これは職業紹介事業者の毎年の事業報告の定義に合わせて、常用というのは、この場合、 4 か月以上の期間を定めて雇用されるもの又は期間の定めなく雇用されるものとしております。

3 番は「第三者機関の個人情報管理についての認証を受けていること (P) 」を要件とするということですけれど、これは (P) としておりまして、少し厳しすぎるのではないかという御意見を頂いております。ここで四角で囲んでいますが、 1 つの選択肢として、「提供先の条件とはせず、提供先の一覧に取得状況を表示し、求職者が区別できるようにしてはどうか」ということでお示ししております。

 それから、一番下の四角の枠の更新の要件に、「ハローワークの求職情報を利用した職業紹介による常用就職の実績が 1 件以上であること」というのを、更新の際に上の条件に付け加えるということで御提案をさせていただいておりましたけれども、ここもややきついのではないかということで、ここは一応その「常用就職」でなくても、その情報を利用して職業紹介の実績があればいいのではないかということで、御提案させていただいております。

4 ページの「求職者の範囲」と「求職情報の範囲」については、赤い所で、「利用権限の取消し」というのを「契約の解除」というふうにしておりますが、「利用権限の取消し」ということになると、いかにも行政処分的でありますので、用語の整備をさせていただいたということです。

5 ページの「利用方法のポイントについて」は、ほとんど変わりはありませんけれども、上の四角の枠の下から 2 番目の○の所が赤くなっております。提供先がサイトを利用して求職を受理したときに、定期的に就職状況等の報告を頂くことを規約に定めるということですけれども、ここは 1 回目は頻度が明記されておりませんでした。この取組自体をモニターしていって、年度途中でも改善することが必要ということもありますし、個々の事業者についても、モニターをしておいて、また数字的に非常に偏りがある等のときには、いろいろ御事情をお聞きしたりすることも必要かということで、取りあえずここでは、四半期ごとに御報告を頂くということでお示ししております。あとは変わりありません。

6 ページでは、「利用申請の手続きについて」です。当初は、 4 か月程度前から申請受付を開始するということで、その後は四半期毎ぐらいに申請を受け付けるということで、その場合は前回と変わりありませんが、一番下に、「提供希望を把握した後も、ハローワークは個々の求職者の希望や状況に応じた就職支援を行う」と付け加えさせていただいております。これは民間事業者への情報提供を希望するか否かというのをお聞きして、求職者が「希望する」と言ったときに、それでは民間事業者に依存してやっていくんだなということで、ハローワークの支援を判断しないということで、それはまた別個に、ハローワークとして個々の求職者の希望、状況を見て、必要な就職支援を判断して行っていくということを、あえて整理として明記しております。

7 ページ目の「苦情処理、違反行為等の防止について」ということで、ここまで前回と変わりありません。先ほど申し上げた「権限の取消し」というのは「契約の解除」ということで、文言の整備をさせていただきました。

 最後に 8 ページの「利用料金の徴収について」も、いろいろ御議論がありますけれども、ここでは、先ほど冒頭の趣旨がこの取組についてで、それに鑑みると、「多くの提供先の利用を得ることが必要であり、ハローワークの求職情報提供の仕組みについては、利用料金を徴収せずに行うことが適当である。ただし、本事業は公費を用いて運営するものであり、この仕組みを通じ、有料職業紹介事業者が求職者を就職させ、手数料収入により利益を得るのであれば、有料職業紹介事業者からは一定の利用料金を徴収すべき、との意見がある」というふうに明記しております。以上が論点です。

 引き続きまして、資料 2 の枝番 1 3 です。利用規約に盛り込むことが考えられる事項ということでお示ししております。これは、中身は利用規約そのものではありませんので、行く行くは利用規約の条文化をして決めていくということで、その中身のイメージ、骨子といったものです。

1 ページ目は、「求職情報の取得・利用についてのルール」です。 1 つは、その事業者が求職申込みをする以前の情報の取得・利用についてのルールということで、まずは、求職情報の取得については、自ら行う職業紹介を目的として案内するということのみに使ってくださいということです。 2 番目は求職者の意に反した営業活動を一切行わない。 3 番目は偽りその他の手段によって求職情報を取得しない。 4 番目は求職者本人の同意を得ずに、第三者に求職情報を提供しない。 5 番目は求職者から求められた場合、当該求職者の求職情報を直ちに削除して、対処状況を遅滞なく本人に通知していただく。

6 番目のマル1は求職者がシステム上で個々の事業者の提供先のアプローチをブロックしたということが把握された場合には、当該求職情報を廃棄していただくということです。 6 番目のマル2はいつまで情報を保有できるかということで、基本的には求職情報を取得した月の翌々月の末日。これは基本的にハローワークの求職申込みの有効期間と同じで、それまでに求職受理に至らなかったものについては、直ちに廃棄すると。ただその 2 か月余の間に求職受理に至ったものについては、受理した日の翌年度の 1 年間まで保有することができるとしております。 7 番目は提供先が求職情報提供の仕組みの利用を停止した場合。これは自発的に停止した場合もありますし、不適切行為で契約の解除をされた場合もあります。いずれの場合も、遅滞なく、提供を受けた全ての求職情報を削除・廃棄するとしております。

 次に 2 ページ目です。事業者として求職情報を受理する際、以降の取扱いについてです。まずは 1 番として、職業紹介をしようとすれば、改めて事業者として求職受理を行うと。その際に有料のサービスが発生する可能性がある場合には、求職受理の事前に、求職者に対して、その内容を詳しく説明していただくということが 1 番目です。 2 番目として、職業紹介と関連しないサービスの提供は行わないということ。職業紹介以外の就職支援サービスは、有料のものについては求職者の希望がある場合に限って提供することができるとしております。 3 番目は、また、提供先が職業紹介をする場合には、求人者に対して提供先が受理した求職者であることを明確に示すということが必要と書いております。 4 番目は、職業紹介については、提供先の責任において実施するということで、その紹介自体については、あるいは関連サービス自体については、ハローワークは一切の責任を負わないということですけれども、求職者から苦情等を受けた場合については、当然、労働局またはハローワークが必要な対応を行うということです。

 次のページは、「提供先から報告が必要な事項」ということで、これは 3 種類あります。 1 つは、定期的な実績報告を頂くということ。 2 つ目は、個々の求職者の就職状況について、ハローワークの求職者でもありますので、状況を教えていただくということ。 3 つ目は、随時ハローワーク等の求めに応じて実績等の状況を教えていただくということ。この 3 種類です。

1 つ目の実績は、先ほど申しました案としては四半期毎にということで、内容としては、案内の送信件数や、それによって新規に求職者申込みが何件あったかなど、就職の件数、苦情受付の件数、それから途中でサービスを受けることを中止されて動静が分からなくなった方の件数といったものです。 (2) は、個々の求職者が提供先の紹介で就職に至った場合については、それを求職受理をしたハローワークに教えていただくということが必要かなということです。 (3) は、苦情対応等でハローワークから求めがあれば、求職情報の利用状況等報告を頂くということがありますし、また場合によっては、提供した求職情報の利用状況について、ハローワークが実地に調査にお伺いするということがあります。

 資料 2-3 は、「苦情の種類と対応及び利用制限等について」です。これは論点の概念整理に沿って、どういう行為があるかというのを例示しているものです。 1 つは「職業安定法違反が疑われるもの」ということで、 ( 個人情報の取扱に係わるもの以外 ) ということで、これは求職申込書の不受理や、建設業等禁止職種への職業紹介をしているなど、取扱職種の範囲等や手数料に関して、あらかじめ明示をしていないなど、そういう職業安定法違反ということですので、ハローワークでお聞きして、情報収集した上で労働局に連絡して、労働局で事実確認、行政処分や指導を実施すると。それに伴い、是正がなされるまで求職情報提供の利用停止にするか、あるいは利用契約を解除するという対応になるかと存じます。

2 番目の「職業安定法違反が疑われるもの」です。この求職情報の提供に伴って可能性が高まるものということで整理をしておりまして、例えば「第三者へ個人情報の譲渡」ということです。ちなみに、この第三者への個人情報を渡すということについて、例えば同一事業者内で他のセクションに個人データを提供するのは、この第三者提供に該当するかということですけれども、有料職業紹介の担当部署に確認をしたところでは、それ自体は第三者提供に該当しないということです。ただ、他部署に個人データを持って行って、それによって当初特定した利用目的と超えた個人情報の利用がなされる場合には、あらかじめ目的外利用に関する本人の同意を得なければならないということでした。ほかにも、求職申込み前に個人情報を求人先に開示してしまうなど、あるいはその紛失、漏洩、目的外利用といったものがあります。これも同じく、ハローワークで情報収集をした上で、労働局につないで、利用制限についても同じ対応をするということになるかと存じます。

 次のページが「職業安定法違反に該当しないもの」ということで、これは事案の深刻度によって、この (a)(b)(c)(d) 、あるいはそれを組み合わせて対応するというのを、第 1 回で御説明しております。例えば (1) で、「提供先による宣伝、他のサービスへの誘導等」ということで、マル1ですが、求職申し込みに向けたアプローチではなく各種面接会やセミナー等、そういったサービスの宣伝的行為を一方的に行っているなど、或いは実は単なる求人広告の提供目的でしているなど、或いは販売広告など職業紹介と関係のない情報をたくさん送っているといったことが、まず 1 つあるかなと考えております。マル2で、対応として、 1 つは提供先からの連絡を求職者がブロックできる仕組みをシステム上に設定するというのがあります。併せて、ハローワークが事実確認をして、必要によって是正要請を行うとともに、一時的な利用の停止を行うといった対応を図るということです。

(2) 「過剰な営業活動」ということで、大量の求職者へ働きかけを行なって求職申込書をさせるけど、実はもともと非常に紹介対象を絞り込んで選別を行って、そこにしか対応しないということです。これは程度の問題もあるかとは存じますけれども、場合によっては求職者の就職活動を著しく阻害するおそれがあるので、やはりそこは一定、制限が必要かなということです。

 対応としては、システム上で、提供先が求職者へ一定期間内にアプローチできる求職者数をシステム上で機械的に制限してしまうというのがあります。例えば 1 週間に 1,000 件までとかというのもありますし、ハローワークに苦情があれば、事実確認をして利用停止か、あるいはそこまで深刻でない場合には、改善の要請をして、更に不適切な行為が行われれば利用契約解除するなどということがあるかなと思っております。

 最後の 3 ページは、 (3) 「提供先による不適切な報告、情報の不正取得、第三者への提供等」ということで、行政への必要な報告を怠るとか、虚偽の報告をするなど、あるいは個人が特定されない求職情報を第三者に提供するというような場合があるかと思います。これについても、ハローワークで事実確認をして、一定期間利用停止をするとか、悪質性の高いものについては即時に利用契約を解除するということがあるかと存じます。 (4) はその他です。例えば想定されるものとして、本人が希望していないのにもかかわらず在職中の会社に頻繁に電話連絡を入れるなどということで、求職者に非常に迷惑がかかる場合ということがありますので、これも事案の深刻度に応じて利用制限を行うということです。

 最後に、そういうことで利用解除された場合に再び利用申請が行えるかということですけれども、ここでは一応※印として、 3 年間は再び利用申請が行えないということで、これは 2 回目の更新からは 3 年更新で、その1更新期間ということで、利用は行えないと。ただし、 3 年経過後については再申請可能ということです。さらに、こういった不適切行為を防止するために、利用制限や利用解除を受けた提供先については、リスト上で求職者に分かるようにするということのお示しをしております。以上が規約の内容の骨格です。

 最後に、参考資料 2 ということで、求職情報提供のシステム関係について、労働市場センター業務室長から御説明します。

○労働市場センター業務室長 それでは、参考資料 2 「ハローワークの求職情報の提供に係る費用について」として、一枚紙を入れておりますけれども、これについて私から御説明申し上げます。システム経費については、冒頭記載しておりますように、アクセス見込み量あるいはシステム要件によりまして、額も変動が見込まれますけれども、検討案としてただ今提示しております仕組みの場合の粗々の見積りが出てまいりましたので、御報告申し上げます。

 まずは、一番の一時経費ですけれども、システム改修経費に約 10 億円、ハードウェア導入経費には約 2 億円が見込まれております。なお、一番下の段ですけれども、※印で記載しておりますように、現在、ハローワークシステムについて見直し検討を進めているところでありますが、現行の利用状況等を踏まえた削減を検討しております、サーバー等を転用することにいたしますと、 ( ) ということで記載しておりますけれども、ハードウェアの導入経費については、 1 億円ほどになる見込みです。

 また、次に 2 番のランニングコストですけれども、ハードウェア、ソフトウェアの借料・保守料、さらに保守運用経費がそれぞれ約 1 億円ということで、全体で 3 億円が見込まれておりますが、こちらもハードウェア、ソフトウェアの借料・保守料については転用、あるいは既存のサーバーへの同居ということで検討することとしておりまして、そうしますと、 0.5 億円となることが見込まれております。その結果、一時経費では約 11 億円、ランニング経費では 1.5 億円ほどと現在見込まれております。私からは以上です。

○鎌田座長 ただいまの御説明について、御質問、御意見がございましたらお願いします。

○林参集者  3 点ほどあります。まず、資料 1 の「ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について」の 6 ページ、一番下の赤い所の「提供希望を把握した後も」の所です。これは私からお願いして入れていただいた文章なのですが、補足させていただきます。

 ハローワークの実際の業務を見せていただいた中で、求職者から細かいインタビューをしながら、その方の要望をお聞きして、ハローワークの職員が入力するという作業をされていました。その中で、求職者の就職あっせんの緊要度チェックがあり、 5 段階くらいの評価をされていたようですが、「ハローワーク以外のこういった職業あっせんの機関を使っていますか」という質問に対して、その方が有るか無いかを答えることが、緊要度の判断に少なからず影響があるようなのです。もちろん、それだけではなく、その方の年齢とか、今の勤務の状況なども全部勘案した中でのチェックですが、その質問の 1 つに、「ハローワーク以外のこういう所を使っていますか」という質問があり、「それを使っている」というと、おそらく緊要度を下げる項目になるのだろうと思います。

 この場合、ハローワークに来た方が、求職情報提供システムで職業紹介事業者に求職情報を提供していいですといったときに、それが緊要度を 1 つ下げる条件には使われるべきではないと思いました。この文章ですと、少し軟らかいかなという気がしております。趣旨としては、情報提供したことが緊要度を下げる直接的な要因とはしないというようなニュアンスなので、問題があるようでしたら、この文章にとどめていただいてもいいのですが、そうした趣旨がわかるような文言を是非入れていただきたいと思ってお願いした次第です。

 次に質問です。システムの費用の所で、初期費用、ランニングコストの説明がありました。前回からのヒアリング、実際のハローワークでの業務を見せていただいて受けた感覚としては、システムが動き出した後も手直しをしていく必要はあるという感覚を受けました。足りない項目があったり、こういった項目を頂かないと、民間の事業者にとっては、データとして使えないということがあったときに、実際にこれに手直しが掛かっていくと思うのです。費用が発生するような事案であった場合には、実際の手直しをするのかしないのかを、どなたとどなたが打合せをして、費用対効果などをどのように勘案して、やろうという決断をされるのかなという、その後の流れを確認したいというのが 2 点目です。

 もう 1 つは、「ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について」の 3 ページのプライバシーマークの所で、これも私が発言させていただいた所なのですが、「プライバシーマークを取っているかどうかを提供先条件とはしないで、求職者がそれを見て区別できるようにしたらどうか」と発言させていただきました。原則、このシステムは求職者が選別するのではなくて、提供先が一旦登録すれば、おそらくもともとは無条件に提供されるべきところを、 1 つ、このチェック項目を入れたらどうかという話をしたのですが、その場合に、原則論はそれで、ただ、このプライバシーマークだけは個人情報に関わることなので求職者に見せるべきだという論調でいくのか、又はもっと選択条件を入れたほうがいいのではないかという論調にいくのか、というのは整理しておいたほうがいいのではないかと思いました。もし求職者に選択させるのであれば、もう少しいろいろな条件を出す、例えば過去 1 2 か月の間に、こういった常用就職の実績があるのかどうかを出すとか、もっとほしい情報はあるかもしれないのですが、そもそも論がどちらなのかというところは一度整理をしておいたほうがいいと感じました。 3 点ほど発言させていただきました。

○鎌田座長 御意見が 2 つ、質問が 1 つということでよろしいですか。

○林参集者 はい。

○鎌田座長 とりわけ費用の点についての御質問だったと思います。事務局からお答えをお願いします。

○労働市場センター業務室長 ハローワークシステムの改修等につきましては、御指摘のとおり、使っている中で、この点はこのようにというような、改修等の要望も出てくることもあると思います。そういった中で、一義的には私どもで、費用対効果はある程度整理させていただきますが、いずれにしても、予算要求をして経費を獲得した中で改修していくということですので、例えば仕組み的には、概算要求の内容については職業安定分科会などにもお諮りして、要求を進めていくことになりますので、そういった中で、先生方の御意見も踏まえて、前に進めていくことになるかと思います。

○林参集者 そうすると、民間業者の声を吸い上げる際に、例えば 100 社あったときに、個別に要望を受けるのか、それとも代表者の方を選んで、何か意見集約をするような仕組みができているのかというのは、どのような形になるのでしょうか。

○労働市場センター業務室長 現在、具体的に意見集約の仕組みがあるということではありませんが、これからこういった形で求職者情報を提供していくことになってきますと、単にシステムのみならず、仕組み全体について、関係の業界の方あるいは関係する皆さんの御意見を聞きながら進める必要もあろうかと思いますので、そういった場面を捉まえて、全体の意見をまとめていく。特定の方の声だけを聞くということになってしまっては、バランスを欠くことになると思いますので、そういった仕組みを首席室とも相談しながら進めていくのかと思います。

○鎌田座長  3 番目の「選択条件について、 P マーク以外に考慮していますか」というのは、ある意味では質問という側面もあるのですが、この点についても何かお考えがあれば、事務局からお願いします。

○首席職業指導官 御指摘のように、いろいろな意味でそういうことは必要かなというのはあります。 1 つは、例えば大量の案内が 1 人の方に押し寄せてくると大変ですので、一定、チェックすると、ある程度ブロックできるとか、そういうことの中で、 P マークとかほかの実績でやることは十分に考えられるとは思うのですが、コストの面で、当初にできるかどうかは検討が必要かなと思います。

○林参集者 基本的に、選択するということも視野には入れていくというお考えでしょうか。

○首席職業指導官 そうですね。

○鎌田座長 関連したことでも、別のことでも結構ですが、御意見、御質問をお願いいたします。

○高松参集者 連合の高松です。前回からヒアリングを受けて精度を上げていただいたので、有り難いと思うのですが、幾つか意見と質問を言わせていただきます。

1 つは P マークの件です。事務局で調べていただいた資料が入っていまして、私が感じたところでは、それほど取得に関して困難なことはない気がしておりますし、小規模の所でも、必要とあれば取っていることが分かりましたので、本来であれば、 P マーク取得を条件に入れていただきたい。ただし、記載のように、認証までに 4 か月から 8 か月かかるということですから、スタート時点でそれを要件に入れるのは難しいと思います。先ほどの林参集者の話も絡むのですが、求職者への情報提供として、 P マークを持っているほうが安心だということになると思うので、そういうものをこの業者は持っている、あるいは持っていないことが分かるようにしていただきたい。

 それと、次の段階に向けて、 P マークを取得していない所のいろいろなトラブルと、取得している所のトラブルに何らかの関連性があって、取得しているほうが確実に、個人情報の保守義務とか全ての面で優れているということであれば、 P マークを将来的に条件化していくようなことも併せて考えていただきたいと思った次第です。

2 つ目は費用の問題です。前回のご説明では、求人システムのほうでは約 13 億円かかるけれども、それに比べたらこの求職情報システムはかからないというお話だったわけです。これを見ますと、ミニマムでは、先ほど事務局がおっしゃっていたように、イニシャルコストとして 11 億円で、ランニングコストで 1.5 億円という話ですが、これはあくまでも経費を削減できた場合のミニマムであり、そうした前提がなければ、イニシャルコストとして 12 億円、ランニングコストとして 3 億という形でかかっていくという見通しをお示しいただいたわけですから、求職情報のほうは費用がそれほどかからないようなイメージを持っていたのですが、求人システムと同じようにかかっていくなという気がしています。私としては、有料職業紹介事業者に限ってもいいと思うのですが、それで利益を上げるところから、某かの徴収はすべきであると、改めて感じた次第です。

 次は質問です。資料 2-2 に、「提供した求職情報の利用状況について、ハローワークが必要に応じて実態調査」と書いてあります。この「必要に応じて実態調査」について、具体的にどのぐらいのやり方で、どのようにやるのかについて、イメージがあれば教えていただきたいと思います。

 最後に、資料 2-3 2 ページに、 (2) 過剰な営業活動のマル2の利用制限等ということで、「一定期間内にアプローチできる最大数 ( 例えば 1,000 / ) を設定する等により対応」と書いてありますが、業者は民紹協が持っているような小さな所から大きな所まであると思うのですが、これは企業単位で 1,000 件なのか、事業場単位で 1,000 件なのかとか、いろいろな見方があると思うのです。これはどのぐらいのものをイメージされているのでしょうか。

○鎌田座長 御意見と御質問がありました。とりわけ資料 2-2 、資料 2-3 に関わっての御質問について、いかがですか。

○首席職業指導官 実態調査については、 1 つは実績報告が自己申告ですので、その正確性を確保する必要があるということで、場合によっては実績状況について実地で教えていただくことを、主な目的としているところです。

 頻度については、どれぐらい利用申請があるかとか、そことのバランス等がありますので、具体的なイメージを持っているわけではないのですが、全面的にカバーするということではなく、サンプリング的なものと考えております。

 もう 1 つの案内の数にブロックを掛けるということで、例として 1 1,000 件とお示ししています。企業単位か事業所単位かということですが、ここも必ずしも明確に整理できているわけではありません。申請が企業単位であって、求職者に膨大な情報が殺到しないようにということですので、まだ全然整理は付いていませんが、今の時点では企業単位なのかなと思っています。

○鎌田座長 現段階でのということですが、こういったような御回答です。ほかにございますか。

○坂下参集者 イニシャルコスト、ランニングコストについて、費用の見込みをお示しいただいていますが、そもそも費用はどこから捻出されるのでしょうか。まだ検討中なのかもしれませんが、いずれ重要な論点になりますので、以前もお尋ねしましたが、改めて質問させていただきます。

 続いて幾つか意見があります。まず、 P マーク、 ISO の取得についてです。 1 回目の会合でも申し上げましたが、既に個人情報保護については職安法で規定されています。個人情報保護の取り扱いについての検討に当たっては、個人情報でない情報をサイトから取得する手続きについて、この仕組みの中でどこまで規制を掛ける必要があるのかがポイントだと思っております。提供先が取得する情報は個人情報ではないということ、その後のマッチングで取得した個人情報の適切な取扱については、職安法で適切に規定されること、違反に対しては行政処分等がなされるということを踏まえる必要があります。

 加えて、提供先が目的外利用等を行った場合には、利用規約により対応されます。これらを鑑みると、 P マーク等の、屋上屋のような規定を入れる必要はないと考えております。

 また、提供先の一覧の中で P マーク等の取得状況を出すことの是非については、どの程度提示することに伴うコストがかかるのかによるのではないかと思います。

1 回目の会合の資料によると、それほど P マークとか ISO の取得をされている事業者が多くないとのことでしたので、数が多くなければ、それほど一覧への登録にコストはかからないのかもしれませんが、本当にこの表示が必要なのかどうかということは、コストも踏まえて検討すべきではないでしょうか。

 次に料金の徴収についてです。こちらについては、基本的には事務局の整理でよろしいと思います。公共財的な部分もありますので、料金徴収になじまないのではないでしょうか。ハローワークに登録されている求職情報は公共財的なものでありますし、新たにできる仕組みそのものも公共財的な位置付けになるのではないでしょうか。この仕組みに関連するものが、全て公共財でありますので、その中で有料職業紹介事業者のみから料金を徴収するという考え方はなじまないのではないかと思います。

○鎌田座長 御質問の部分が冒頭、財源についてあったと思います。これについて、現段階でお答えできればお願いしたいと思います。

○首席職業指導官 求職情報の提供の仕組みの財源については、雇用保険二事業含めて、何を財源とするのかは省内で、現在検討中でして、事業の性質とか、現行ある事業予算の考え方等も踏まえて決めていきたいとは考えております。

○坂下参集者 仮に二事業から捻出する場合の考え方について申し上げます。

 二事業自身は PDCA で、政策効果の有無を見極めながら、事業の存続、廃止を検討しています。ハローワーク関連事業等、本来二事業で負担すべきでない事業が二事業の中に入る傾向があるので、使用者側が財源を負担していることを踏まえ、本当に必要な事業に絞っていただきたいと常日頃から主張しております。

 その観点から申し上げますと、そもそもこの仕組みにかかる費用を二事業から捻出することに対しては、反対という立場にあります。これから、どこで費用を捻出していくかというのは、省内で検討されて明らかになっていくのだと思いますが、現段階ではこのような認識を持っていると申し上げます。

○鎌田座長 そのような認識を示されたというところで、また別な観点からの御質問、御意見も結構ですので、よろしくお願いします。

○沼野参集者 初回に論点整理をして、前回はヒアリングをしてということで、実質、今回が具体的な内容の討議の場かと思いますので、意見を述べさせていただきます。

 「論点整理」の 2 ページ目です。初回も私は、「なるべく単純なほうがいいのではないか」という話をしました。図で整理していただいたと理解していますが、実質的な内容は大きくは変わっていないという認識です。

 これでの意見ですが、真ん中のマル4に、求職者と提供者を結んでいる矢印があります。これは提供先からの案内等と求職者からの返答のやり取りとなっています。私の意見としては、マル4の後半の求職者との返答のやり取りというのは、必ずしもここにはなくてもいいのかなという気がしています。

 その理由は、この仕組みそのものが民間の活力を生かして就職のマッチングをしていくことになります。「民間の活力を生かす」ということになると、行政の関わりは必要最小限ということになると思います。つまり、仕組み上では、なるべくシンプルに、行政の関わりはなくして、むしろルール上正しく運用されているかとか、あるいは求職者の不安を払拭するような相談窓口の充実、あるいはこの仕組みそのものの効果の把握、それを改善に結び付けていくというようなところに、行政は強く関わっていたほうがいいと思いますので、民間の活力を生かすという意味では、必ずしも、「返答のやり取り」まで提供するような機能を、この仕組みに持たせるまでもないのかなというのが 1 点です。

 これに関して、もう 1 つの理由としては、一番下に、「求職情報の利用状況などを踏まえつつ、今後必要な対応について検討を行う」となっています。つまり、基本の部分をまず作って、それから状況を見ながら、必要であれば機能を上げていくという考え方が、私はこういった仕組み作りにはいいのかなと思います。

 もう 1 つは、マル4の「提供者からの案内等」という所ですが、この図でいうと、提供者 B から求職者 A へ、イメージ的にはダイレクトに行くような感じになっています。ただ、これは必ずしもこういう形がいいのか。あるいは現行のハローワークシステムを通して実施していくというやり方があるのか。現行のハローワークシステムは、私は今回は見学できなかったのですが、お話があったように、対面でいろいろと職業相談をして、いろいろアドバイスをしていく所なわけです。その 1 つのプロセスの中で、例えばこういう事業者があなたの役に立てるかもしれないと言っているという情報を、職業紹介の中で提供するというやり方もあるのかなと思いました。

 この理由は、これまでの検討の中で、求職者の視点がもう少し吟味されていいのかなと思いました。一番心配なのは、先ほど来から出ているように、大量の情報が求職者に押し寄せるような問題があります。これは提供先と求職者とをダイレクトに結んでいる限りは、仮に提供先の発信の件数を 1,000 件と絞ったとしても、 1 人の人に大量の案内が行くということは防げないのではないかという気がします。

 併せて、この仕組みはメールや WEB をベースに考えているわけですが、メールや WEB を使えない人は少なくなりましたが、いるかもしれないのと、使いたくないという人もいるかもしれません。例えばそういう人たちも含めて、この仕組みを多くの人に使っていただくとなると、直接に提供先と求職者を結ぶラインではなく、提供先から、こういう人にはうちが役立てるかもしれないという情報をハローワークがもらって、ハローワークでそれをまとめて、求職者に伝える。そういう意味で、大量の個人情報が行ったりすることもコントロールできますし、既存のハローワークとの連絡体系をそのまま使えば、誰でもこれを利用できるということがあるのではないかと思いました。

 長くなりましたが、ここは基本的な部分なので最初に考えをお話しました。こだわるつもりは全くありませんので、意見として申し上げました。

 次に、 3 ページの一番下の四角で、今回変えていただいた所です。実績が 1 件以上あるというところですが、これは今後の議論かなと思いますが、これを多くの事業者に使っていただくことが非常に重要だと思っていますので、当初の登録のときの要件を満たしているのであれば、この仕組みを使って、実績が 1 件なければ、 2 3 年で終わりというのも、バランス感覚上どうなのかという感じがしました。

 あと、先ほどの話とも関係しますが、 5 ページの一番上に、「提供先が一定期間に案内を行うことができる求職者数に上限を設けて、規約に定める。また、上限に達した場合には、システム上で新たな案内の送信が不可能となるようにする」ということです。

 これについては、求職者が多量の情報を受けないようにという趣旨であれば、これでは支えにならないという気がします。それと、一方で、紹介事業者が経営をしていく上で、この人たちに案内をしたいと積極的に思ったときに、それを仕組み上で上限で区切るのは、理解が得られるのだろうかという気がします。

 この仕組みは積極的に使っていただきたいというのが基本的な趣旨で、その中でマッチングを高めていくということですので、民間の活力を生かして、民間の判断で活用できる情報はどんどん使っていただくというのが、この仕組みを考える上での基本的な考え方ではないのかなということがあります。

○鎌田座長 御意見だとおっしゃっていますが、冒頭におっしゃった論点の 2 ページ目の【提供イメージ】で示されたマル4に関わる御意見は、かなり根本的なイメージの違いを受けました。

 沼野さんはマル4については、そもそも直接的な応答はなしにしたほうがいいということですか。

○沼野参集者 そうです。

○鎌田座長 むしろ職業紹介のハローワークの業務の中で行うべきではないかという意見に聞こえたのですが、そういうことですか。

○沼野参集者 そうですね。直接的なやり取りというか、そもそも再興戦略を読み直してみても、民間活力を生かすということと、民間人材ビジネスの活用を希望する場合は円滑に誘導支援するということになりますので、やり取りではなく、つなげてあげればいいと。あとは御本人が判断して、それを使うかどうかは本人に任せればいいのです。

 ですから、求職者との返答のやり取りは不要で、こういう事業者がお手伝いできると言っていますよと。前提としては、情報を公開しますと。提供してくれるのであれば、お手伝いしてくれるのなら使いたいという意思表示があって、その上で、こういう企業があなたのお手伝いができそうだから、あなたとアプローチしたいという意思を持っているということを本人に伝えてあげれば、以降は本人の判断でそれをすればいいという考え方です。

 それを直接やらないで、ハローワークを経由して今の職業指導の中でやるのが、私としては理解がしやすかったというところです。

○鎌田座長 やや深入りして議論してみたいと思うのですが、ヒアリングの中で民間の職業紹介事業者の方たちは当初、匿名で提供される、そしてハローワークに蓄積されている求職情報では、実は企業活動を開始する上では不十分であるという話をいろいろなされていました。

 それはそうなのだろうなという感じはしますが、しかし、それは私のイメージでは、マル4の所で、いわば匿名というか、匿名求職者 A さんという形でのアクセスを、職業紹介事業者がアクセスして、その中で、ある意味での彼らの支援をするというか、協力の手掛かりをつかんでいこうという仕組みではないかというイメージをしています。だから、マル4というのはこの仕組みの肝に当たるのかなというイメージがあったので、その部分で違うイメージを問題提起されているとすれば、かなりこの仕組みの全体像が違ってくるのかなと思います。

 それで、事務局の回答ももらいたいのですが、沼野さんにお聞きします。今、申しましたように、ハローワークに蓄積されている求職情報だけでは、紹介事業者としてはビジネスとしてゴーするかどうかという判断が難しいという、それを埋める意味でマル4があって、ただし、これはまだ求職申込み前ですから、求職者としての特定はできないと。その仕組みをある種の記号化したような形で行うというイメージで、私は捉えていたのですが、ハローワークがこういった事業者がいます、あるいは紹介事業者に対して、こういった求職者がいますと、蓄積した情報の枠を超えながら説明するというイメージなのでしょうか。

○沼野参集者  4 ページになりますが、ここの四角の枠です。ここがポイントかと思っていまして、ここで提供される情報がどこまでなのかということがはっきりして、これでうちの案内をしたいという話をして、あとは御本人の応答を待つというのが、スタートとしてはシンプルな形かなというイメージを持ってお話をしたのです。

○鎌田座長 そうすると、下の枠の【公開しない情報】というのは、今言ったマル4の所では公開しない情報ということですよね。

○沼野参集者 はい。

○鎌田座長  < 参考 : 提供の対象範囲となる主な求職情報 > というのは、希望職種、希望条件、職歴、退職時の税込月収、学歴、免許・資格。この情報で、民間職業紹介事業者がアクセス可能であるというようなことですか、イメージとしては。

○沼野参集者 そうですね。ここの部分をどう決めるか、これから具体的に検討は必要かと思うのです。要は、実際の求職マッチングができるかどうかというのは、登録をして、御本人のいろいろな過去のキャリアなども聞いて、実際に今、こういう求人企業があるからということでマッチングするようになりますので、実際のマッチング作業は登録してからがスタートになるのではないかなと私は理解しています。

○鎌田座長 登録というのは、紹介事業者に求職の申込みをしてから、受理してからということですよね。

○沼野参集者 そうです。そこが実質のスタートになりますので、そこにどうつなげるかということが、この仕組み、この仕組みを作った再興戦略の狙いはその辺かと理解をしたものですから。

 マッチングできるかどうかというよりは、マッチング対象として、登録対象としてなり得るのかどうかを判断できる情報は公開してあげて、あとは本人の意思によってということでいいのかなと。

 御本人は基本的には、マル4が例えば提供だけであっても、御本人が希望すれば、その会社はいいなと思ってアプローチはできるわけで、それは名前を明記してもいいですし、匿名であっても全く問題なくできるわけで、この仕組み上でそこまでやるのもいいのですが、仕組みとして、必ずしもこれは必須ではないのだろうなということを申し上げたのです。

○鎌田座長 私のイメージも間違えているかもしれないので、つまり違っているのか違っていないのかも含めて、事務局からマル4のイメージ、こういった仕組みを作った事情を御説明いただきたいと思いますが、いかがですか。

○職業安定局次長 マル4の所は、確かに両方に矢印があって、マル5は A から B しかないとなっていますが、一方でマル4の下の説明の所に※で書いてあるとおり、「求職者の判断により、個人情報を含めて、提供先が提示する連絡先へ直接連絡することは可能」となっています。ですから、このマル4については矢印が両方に向くか、あるいは B から A の向きになるだけかということは、必ずしも両方を向くとは限らないです。

 例えば今お話があったとおり、一番簡単なのはマル4で、企業から求職者へ連絡が行って、ここの企業であれば求職を登録してみようということで、マル5の矢印にいくというのが、一番基本的な形です。ですから、原則どちらの矢印なのかということになって、図の描き方なのかもしれませんが、一方で※にあるとおり、特に求職者の側としては、いきなりマル5で直接自分の名前を名乗って、企業に求職活動する前に、匿名で問合せをしてみたいという余地は残しておいてもいいのではないか。それがマル4の両方の矢印の所だろうと思っています。

 ですから、頻繁に矢印で A B の間をメールが行ったり来たりするというものではないだろうとは思っています。

○鎌田座長 この点について、委員の皆さんはどのようなイメージで捉えていたのか。

○高松参集者 前回までの仕組みのチャート図と多少違ったので、混乱しているのだと思いますが、私は今、次長がおっしゃったように、マル1、マル2、マル3の○の間が、数回行き来した上で、御本人が納得しなければ E メールアドレスは流れないわけですから、その点はこれで大丈夫だと感じておりましたので、今の説明のとおりと理解しています。

○沼野参集者 私も、基本的には次長の話のとおりだと思うのです。ただ、スタート時点でここまで必要かどうかを考えたときに、先ほどの民間活力を生かしていくという意味で、仕組みを基本の部分で作って拡大していくという考え方からすると、必須のものではないという趣旨を申し上げただけで、これがあって何か問題があるというわけでもないと思います。

○鎌田座長 何かございますか。

○首席職業指導官 先ほどのもう 1 点ですが、この仕組みですとメールとか WEB サイトを使えない人が排除されるのではないかという話がありました。もちろん、これはメールを使える人が使うという前提ではあるのですが、昨年の 11 月ぐらいから、民間人材ビジネスへのハローワークによる誘導を別にやっておりまして、それは民間人材ビジネスから、求職者に得意分野などの情報を提供したいという方を募って、各民間人材ビジネス会社のプロフィールなどを書いたリーフレットをハローワークに用意していて、求職者が職業相談等の過程で、そういう民間人材ビジネスを使ってみたいというときに、その情報提供を昨年の終わりからやっていまして、それで、一定、ベースは手当ができるのかなと思っております。

 ほかにも、今でも匿名の求職者情報の公開はしておりまして、それはハローワークの職員が希望に応じて経験職種などの情報を持って求人開拓に行って、「こういう人がいるのですが、どうでしょうか」という対応もしているので、その辺で一定、カバーはできるのではないかと考えています。

 また、先ほどのマル4の所についても、求職を受理してから細かいことを聞けばいいこともあるのではないかという話でしたが、求職者側から見ると、最初にボンと会社の案内が送られてきて、どういうところなのか、何をしてもらえるのかというのを匿名で聞きたいというのもあるのではないかと思っておりますし、「職業安定法上、法令違反がない限り民間事業者も求職を無条件で受理しなければならない」となっていますので、ある程度大丈夫だという情報がないと、非常に慎重になる部分があるのではないかということもありまして、今のような仕組みを考えているところです。

○鎌田座長 沼野さんが御心配なのは、大量に案内が送られてくるといったことも心配だとおっしゃっていたのですが、それは何らかのカバーを考えるということです。

 これは私の質問なのですが、これに関連して、マル4のシステムがこのシステムの肝で、目新しいところかなと思っています。それで、法律の適用関係を教えていただきたいのです。

 まず、求職者からの応答という所で、匿名情報が原則だと思うのですが、中には個人が特定されるような恐れもないわけではないのですが、その場合、職安法第 5 条の 4 で、個人情報の取扱い保護が掛かっていますね。マル4については、基本はハローワークに限定して個人情報保護規程が適用されて。民間事業者についての個人情報保護の適用関係というのは、求職申込みを受理したところからと考えてよろしいのでしょうか。

 それと同時に、労働条件等の明示は、求職申込み前はないのだと思うのですが、これは第 5 条の 4 の特に第 1 項に関わるような労働条件に当たるようなものの明示義務というのは、マル4では民間事業者は負わないということに整理はなるのかなと思うのですが、分かれば教えていただけますか。

○首席職業指導官 後段については、この情報のやり取り自体について、求人条件の明示義務はないかと存じます。

○鎌田座長 民間事業者が求職受理をすれば、民間事業者の個人情報保護の義務付けの範囲に入ってくるのは当然だと思うのですが、どこからがこの義務が発生するのかということなのです。

○首席職業指導官 第 1 点として、第 5 条の 4 ですが、サイト上は個人を特定できない情報であるということはありますが、それ以前に本人の同意の下に提供しているので、基本的には抵触しないのではないかと。

○鎌田座長 ハローワークについては、個人情報保護の中で同意があるから OK ということです。民間事業者についての適用も、この段階であるということですか。同意があって OK だという意味は。

○首席職業指導官 そこのところは担当部署に確認して御報告させていただきます。

○鎌田座長 はい。細かい話で、余り大したことのない話かもしれません。

○職業安定局次長 よろしいでしょうか。

○鎌田座長 どうぞ。

○職業安定局次長 沼野参集者からの、一番基本的な、そもそもの御意見のところでコメントさせていただきます。

 そもそも、今回、再興戦略の中で、こういった求人情報とか求職情報の提供というものが打ち出された目的というのは、最初の所に書いてあるとおり、労働力が不足していく中で、マッチング機能をより強化する。そのためにハローワークの持っている情報をハローワークだけが活用するのではなく、社会基盤という形で、民間も含めて活用していただく、それがまず基本であると。

 そして、もう一方で、我々としてこういった仕組みを考えるに当たって考えなければならないのは、ハローワーク側の体制、ハローワークがそういう中でどういう機能を中心になって果たすべきかだろうと思います。

 御案内のとおり、見学いただいて実態も見ていただいたわけですが、正直、ハローワークの体制というのも、我々として十分なものだとは思っておりません。国家公務員の定員、ハローワークの定員についても年々削減されている状況の中で。

 一方で、ハローワークには大変様々な方が求職者として来所されます。特にハローワークの場合、求職者の 3 割以上が、例えば障害者あるいは母子家庭の母、最近でいえば生活保護受給者の方、そういった方が 3 割ぐらいで、最近は更にそのウエイトが高くなっている状況にあります。そういう中で、先ほどのマッチングの機能を強化するというもう一方の命題の中で、ハローワークは一方でそういった非常に就職困難の方について、より丁寧な相談をしていく必要がある。

 一方で、ハローワークに来る方の中には、自分でインターネットを活用して、自分の適職を判断できるという方も多数いらっしゃいます。そういった方については、こういった仕組みの中、民間あるいはハローワークのインターネットシステムの中で、自発的に、もっと今までよりも更にインターネットを活用して、仕事を探していただくということも、これから更に進めていこうと思っています。

 したがって、一方で丁寧にやるのであれば、こういった求職情報を民間に提供するのかということについても、一通り、全て相談の中でチェックをしていくというのも、考え方としては非常に丁寧な考え方だと思います。

 ただ、それをきちんと全部できるのか。先ほど首席からありましたとおり、一方では民間への誘導支援も別途行っています。その中で、この仕組みとしては、御自身で判断できる方については、御自身の判断で民間情報の提供も受けてみようというような仕組みを持ちたいと思っています。

 さらに、もう 1 つの御意見として、この仕組みというのは、メール、 WEB 、インターネットに接続できる方でないと、基本的には利用が困難であるというところもあります。

 これも、最近ハローワークへの来所者で、インターネットを使える環境にある方はどのぐらいいるのかについて、ごく小規模な調査をしました。都会と地方と両方したのですが、 75 %ぐらいの方は PC なりスマホなりを持って、使える環境にはあると。これは地方も含めて、余り変わりませんでした。我々が思っていたよりも、かなり高い比率でした。

 そういう現状の中で、一方で、正直言えば、そういった環境をなかなか使いこなせないと、ほぼニアーイコール就職困難者の方も多数いらっしゃることも確かだろうと思います。

 そういう中で、これも繰り返しになりますが、我々の考え方としては、丁寧にハローワークで対応する方についてはきちんと窓口で対応したい。一方で、御自身で適職を選ぶ能力がある方については、そういった部分も使っていただきたい。基本的には、限られたハローワークの体制の中で、今回こうした形の仕組みを取っているということですので、私どもの考え方としては、そういったものであるということで御理解いただければと思います。

○林参集者 それを踏まえた上での意見です。沼野先生のおっしゃったところというのは、私もしばらく勘違いしていたのですが、この仕組みというのは、提供先に対して求職情報を一方的に流すだけの仕組みであって、双方向ではなくて提供先から、「こういう人を求めています」という情報をもらっていないので、ハローワークがマッチングをさせて、こういう提供先があなたのお手伝いをさせますというところは、現在のこの仕組みでは恐らく不可能だと思うのです。どういうものを求めているかが分からないので。

 あくまでもハローワークにおいては、人は介在せず、情報を一方的に提供先に開示するだけだということなので、そういう流れになってしまうと思うのですが、これからの課題として、例えば提供先から、「こういう方を求めています」という情報がもらえるのであれば、ハローワークでの業務を実際に見せていただいた中で、求職者が自分の年齢、最寄り駅、このような職種を選びたいということを端末で打つ、打てない方はハローワークの窓口の方と一緒に検索をすると対象の企業が出てくるのですが、その中に、そういった条件の企業を抱えている提供先の名前が出てきて、この提供先の方でしたらお話をさせていただければ、あなたがお望みの企業を持っていらっしゃるようだというお話ができれば、それほど人力を割かずに、今のハローワークの方の中でのマッチング機能ができると思うのですが、将来的にそういうことに持っていければ、もっとマッチングの精度は高まると思うのです。今は情報を提供しているだけなので、今後の課題ということでいろいろ検討していただければいいのかなと思います。

○職業安定局次長 正におっしゃるようなことというのは、この仕組みがうまくいけば、御案内のとおり、求人に関してハローワークが得意としている部分、正直に申し上げれば、「ハローワークの求人」というのは 90 %以上が中小零細企業です。一方で、非常に専門的な求人を得意としている民間の会社というのもあります。

 ですから、例えばハローワークに来所した方について、この仕組みがうまくいって、かつ民間企業から実績の情報を頂ければ、それを踏まえて、そういった方がハローワークの窓口に来たときに、「ここはあなたが就職したいような職種、業種について非常に強いですよ」というようなアドバイスもできます。それは、双方についていろいろな形で実績が積み上がっていく必要はあると思いますが、将来的にはそういう部分も含めて、冒頭に申し上げたとおり、全体としてのマッチング機能強化という方向に向かっていければいいのかなということだと思います。

○鎌田座長 ほかの点でもございますか。

○福田参集者 日本商工会議所の福田です。第 1 回会議から申し上げてきた意見の繰り返しになりますが、前回のヒアリングも含めて 2 点申し上げます。

 まず 1 点目は提供先範囲における、「個人情報管理及び情報セキュリティにおいて」です。プライバシーマークについては、職業安定法の下で、厳正に対応されているということですので、項目としては不要かと思います。「料金徴収」の部分についても事務局の整理のとおり、料金については求めないということで賛成したいと思います。

 最後に、先ほど財源の問題がございましたが、本件については、私どもから御意見を申し上げたいと思っており、できるだけ早期の明示を頂ければと存じます。以上です。

○沼野参集者 料金徴収についてですが、私もこういう整理の仕方で非常にいいと思いました。私は第 1 回の検討会でこのテーマが上がったときに意見を申し上げましたが、それは職業紹介事業者がマッチングに成功すると、ビジネス上の利益を得ることに着目して、受益者負担という観点で何らかの手数料が必要、徴収があって然るべきということで意見を申しました。

 ただ、この仕組みを考えていくと、例えばこれでマッチングした場合に、職業紹介事業者はビジネス上のコミッションを得ることにはなると思いますが、一方で求職者は職業を得る。例えば年収が 500 万円の仕事で決まったと考えたときに、御本人は 500 万円の収入を得ることになり、職業紹介事業所はコミッションとして、例えば 20 %取るとすると、 100 万円のコミッションを得ることになります。

 一方で、実際の雇用をする求人事業者については、年収 500 万円の給料を支払い、コミッションの 100 万円を支払っても採用するに足る人材を獲得するという意味では、みんなハローワークの求職情報を民間に提供することによって、それぞれがメリットを得るとも考えられ、むしろこういう形でどんどんこの仕組みを使ってもらって、結果としてもマッチング率を高めて、国の再興戦略の描いているような部分になれば、それはそれで国民全体で受益するという意味では、あえて職業紹介事業者だけに手数料徴収を求めるのは、必ずしもどうなのかなと、今、少し意見が変わってきました。

 それから、前回のヒアリングで伺って、ヒアリングのまとめにもありますが、この仕組みの中心的な対象者を考えると、職業紹介事業者については、結構、中小の職業紹介事業者の活躍でマッチングされるというのが、ハローワークそのものの抱えている求人の層から考えても重要だと思いますので、積極的にこの仕組みを使っていただく意味でも、そういった費用負担がない形で職業紹介事業者に使っていただくのがいいかなと思うようになりました。

 この整理は私もこれで結構だと思いますが、私は初回とは検討している過程で少し考え方が変わってきたということを申し上げたかったのです。

○坂下参集者 更新要件と、就職状況等について事業者に求められる報告の 2 点について申し上げたいと思います。まず更新要件を入れることについては、沼野参集者からも、バランス的に疑問がある旨のご発言がありました。

 私も 1 回目の会合で申し上げましたが、このシステムを利用できる参加要件として上の囲みがあり、更新においてもその都度、同じ条件でチェックをすれば足りるわけです。このシステムを使って実績が 1 件以上、 1 件という数字の根拠もよく分かりませんが、これをあえて更新のための要件として加える必要はないと思います。「常用就職」という条件をとっておられるというのが今回の修正案だと思いますが、そもそも更新要件は必要ないのではないかと考えております。

 もう 1 点は報告についてです。 1 回目の会合でどの程度のスパンなのかお尋ねをして、四半期毎もあり得るという説明がありました。今回、「四半期毎」というお考えが示されましたが、これはかなり煩雑になりそうだと思っております。職安法による職業紹介事業者の事業報告は年 1 回となっており、これと同じ頻度で十分ではないでしょうか。

 ただ、運用開始後、この事業がどの程度機能しているかを細かく把握されたいという理由で、四半期ごととしているのであれば、例えば最初の 1 年目は、今申し上げた観点から、半年に 1 回程度チェックをして、次年度以降は事業報告と同じように、 1 年毎の報告で十分ではないかと思っております。

 細かく把握して利用状況を見ながら、必要な改善、アドバイスを行うということでしたが、ハローワークの体制も厳しいと聞いており、どの程度そのような対応が実際にできるのかも、余りよくイメージが湧きません。

 根本的な問題になりますが、今回なぜ 10 億円以上掛けて、このシステムを作るのか、それは民間も活用しながら、労働市場のマッチングをオールジャパンで高めることにあります。必要以上の規制や、煩雑な手続きにより参加者が少なくなると、本事業の趣旨から大きく外れることとなりますので、ここも是非見直していただきたいと思います。

○鎌田座長 この点については、ほかの委員から何か御意見はありますか。

○福田参集者 手続きの点については、小規模事業者の方々における煩雑さの点から考えても簡素化をしていただく方向が望ましいと思います。報告についても、頻度が多過ぎるかと思いますので、もう少し長めの期間を取っていただきたいと思っています。

○林参集者 私のほうは、「使用料の料金」のところですが、オールジャパンでこのシステムを立ち上げることに関しては、確かに理解できるのですが、システム利用ということに関して、一定程度料金を取るというのは決して間違った考え方ではないと思います。

 当然、 10 何億円の税金を初期費用として使うということと、補修料とかランニングコストが掛かるということですから、システムを利用するに当たっての料金を徴収するというのは、一般的に妥当性があると思います。

 先ほど私も申し上げたように、どんどんこのシステムを良くしていきたい、将来的にはこういう機能も盛り込んでいきたいというのが、多分双方から出てくると思いますが、そういったところにも、より柔軟にシステム対応をして、本当に皆さんがいいマッチングができたと言えるようなシステムを作っていくということから考えると、ある一定の費用負担をしていただくというのは妥当な考え方だと思います。「初期立ち上げ費用」という考え方よりは、「システム利用料」という形でも構わないと思います。民間の事業者の方というのは、基本的には営利目的もありますので、ある一定の料金を徴収すべきではないか。そのことによって、より安定したシステムであり、安心の置ける業者が参画してもらえるということの担保にもなるのかなと思いますので、これは 1 点、お願いしたいと思います。

○鎌田座長 坂下さんと福田さんから、更新要件の件と、報告の回数というか、頻度についての御意見がありました。煩雑なシステムを作ることによって、この利用がしづらくなるのは趣旨からいって、おかしいのではないかという御意見だったと思います。

 一方で、国が経費を投ずるということから、事業をモニターする必要もありますし、また新たな制度として求職情報、個人情報と非常に密接な関係がある求職情報の提供ということで信頼できる事業者について、この制度を充実させていきたいという気持ちがあると思います。こういった考え方は双方にあるわけですが、事務局として、この点については何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

○職業安定局次長 まず、更新のときの要件ですが、これは御意見を頂きましたので、それを踏まえて検討してみたいと思います。

 もう 1 点、実績報告の頻度ですが、これも国としてこうした事業を行う以上、やはり実績報告の頻度というのも、我々としても、「この事業の実施状況はどうなのだ」と問われたときに、正直なところ、 1 年に 1 回というのでは、今の状況の中で少々厳しいなと思っております。

 そういう中で、特に最初の立上がりの 1 年間は、四半期ごとぐらいで報告を頂いて、少し状況を見ながら微修正をしていくことはどうしても必要かと思います。その後、例えば 2 年目以降については、 1 年に 1 回は少々厳しいけれども、四半期ごとでなくても、半年に 1 回という形でフォローしていくことは、我々としても検討できるのではないかと思っています。

 いずれにしてもコストも掛かる話ですので、ハローワークシステムの全体としてコストの見直しも進めていく中で、今日お示ししたコストの試算についても、より低廉な形でできないかということについても、引き続き検討していく中で、実績報告については、今申し上げたような形でお願いできればと考えております。

○坂下参集者 細かく把握されて、必要があれば微修正もということですが、どのような微修正があり得るのか、具体的なイメージが湧きません。システム自体は、先ほど分かりづらいというご意見もありましたが、私としては比較的シンプルな仕組みかと思います。

 ハローワークが持っている求職情報を、職業紹介事業者に無条件に渡すわけにはいかないので、個人情報が特定されないサイトを作りそこに入れます。このシステムを使いたい提供先は参加要件を満たして、サイトの求職情報を見てマッチングできると思われる求職者については、そのサイトを経由したメールを 1 通送る。求職者が複数の提供先をどのような要素で選ぶのかは分かりませんが、いずれにしても求職者が関心を持った提供先とやり取りをするだけの仕組みであると思われます。このような仕組みのあり方を踏まえた上で、どの指標に注目して運用状況を把握し、どう改善することが可能なのか、イメージが湧かないのでご説明願います。

○職業安定局次長 我々からしても、当初、こういった事業をスタートして、その後は何の変更もなしに活用が進むという姿が一番理想です。例えば往々にしてほかの事業でもみんなそうですが、やってみたら、こういう所は使いづらい。 1 つの典型的な例で言えば、提供する情報についても、個人情報に当たらないにしても、こういうものができないかということもあると思います。

 一方で、こちらが予期していなかった形でこういう所から個人情報が出てしまったということも、可能性としては考えられることです。そういうときに当然、事業として提供する情報についての範囲を変える。それはまたそれでシステムそのものも、これとこれとこれを提供するというので、 1 つのシステムの中に項目としてありますので、システムの変更という形は一方にあります。

 ですから、可能性としてそういうことがあるかどうか分かりませんが、特にスタート当初は実績がどうなっているのか、あるいは業種とか規模によってもいろいろ違ってくるかもしれませんし、そういったところを見ながら、それぞれの御意見等々も見ながら、当面は少しきめ細かく対応していく必要があるのだろうと思っています。

○坂下参集者  IT ソフトを導入した時など、新しい仕組みの運用当初は検証の期間というのが当然あり、必要な見直しが発生しますので、必要に応じ、細かくチェックすることは重要だと思います。この点については否定するものではありません。但し、それが四半期毎に必要なのかという問題はありますし、また、運用が安定化してきたときに頻度を見直すかどうかについても議論すべきかと思います。。

○沼野参集者 観点の違う話で、資料 2-1 は、ルール、規約のイメージをするためにということで作っていただいたものですが、私はこういうことかなと思いますが、前回のヒアリングのことも踏まえて考えますと、私は個人情報は保護に偏らずに、有効活用もしなければいけないという考え方です。ただヒアリングで弁護士からもお話がありましたが、個人情報として提供先が受け取るわけではなくて、匿名の状況ですが、 1 つの求職者情報を受け取る。それの取り扱いについてというのは、やはり重要な問題かなと思います。例えばこの間のヒアリングのときにもありましたが、既存のデータとのマッチングをして、個人が浮き上がるような活用はしない。あるいは第三者へ提供はしない。そういう基本的な部分はこの中で重要なこととしてうたっておいたほうがいいのかなと。

 もう 1 つは、職業紹介事業者は ID とパスワードで、そのサイトにアクセスするということなので、職業紹介事業者として ID ・パスワードの管理についてもしっかり重要なこととしてうたっておくことが、この規約の中でもポイントとしてあるのかなと思いました。これは意見です。

 もう 1 つだけ確認をさせていただきたいのです。資料 2-3 の「苦情の種類と対応及び利用制限等について」ですが、これを読んでいて、私も理解できたつもりです。 1 点思いましたのは、ハローワーク経由で来た情報ではないのだけれども、例えば職業紹介事業者が労働局でいろいろな指導を受けたりした場合、あるいは処分を受けたりした場合は、利用制限にはもちろん入ってくるという理解でよろしいわけですよね。

○首席職業指導官 はい。

○沼野参集者 そういうことですね。この情報はハローワークに寄せられた情報のように、最初は私は読んでしまったのですが、労働局に寄られた情報から、あそこの事業者がいろいろな処分を受けたという場合も連動して、このシステムの提供が制限されるという理解でよろしいわけですね。

○首席職業指導官 はい、そうです。

○鎌田座長 時間もだんだん押してきたので、私は意見だけですが、今、沼野さんがおっしゃったことは、法的に見ますと、規約というのは、まず法的性質は何かというと、恐らく公権力の行使に関わる部分ではなくて、行政契約によってこのような規約を設け、その規約を各民間事業者が契約を結んで利用するという仕組みだと思います。

 先ほど言いましたように、職安法に定めるような様々な規定の適用というのがどこで止まって、いわゆる規約の部分がどこから始まるのかということを、ある程度分かるようにしないと、規約上のサンクションはせいぜい解約ですね。ところが職安法違反ということになると、刑事制裁まで考えられる。その辺が曖昧にされると、使う側は大変つらいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 取り分け、資料 2-3 の「職安法違反が疑われるもの」とか「職安法違反には該当しないが、規約上の違反として制裁を受けるもの」ということをもう一度法令の適用等を勘案して、少ししっかりと事業者に分かるようにしていくことが必要だと思います。規約はこれに基づいて作るわけですから、それで結構だと思いますが、そうしていかないと困るかなと思っております。

 時間も押してきていますが、今までの議論の中で、少し意見の違いがあるのは、「利用料金の徴収」のところではないかと思っております。既に委員の皆様の御意見は出たところで、私も一委員として私の考えを少し述べたいと思っております。

 まず、「利用料金の徴収」に関わってですが、論点の 8 ページに書かれておりますが、私は今度の求職情報の提供の仕組みは非常に重要な仕組みだろうと思っております。それはここにも書かれておりますが、 1 つは「外部労働市場全体のマッチング機能の最大化」ということです。これはある意味の国民経済的な観点から非常に求められているということで、そういう意味では、国や地方のみならず民間企業もこれに積極的に参加し、協力してもらうことが大切だと思っております。

 もう一方では、求職者の視点も非常に大切だと思っています。究極的には求職者がこのシステムを用いることによって、ハローワークだけでは満足できない、あるいは民間事業者だけでは満足できない、双方の協力の下に最終的には早期に良質な雇用機会を確保し、就職につなげていくことが非常に大切だと思っているわけです。

 そういう制度として、「求職者の視点」ということが大変重要で、そのためにできるだけこの制度を民間事業者にも活用、参入してもらって充実させていきたいと思っております。そういった観点から、利用料金を徴収するということではなくて、当面は利用料金を徴収しないで、この制度を進めることが必要ではないかと思っております。

 私としては、実はこの問題は法的な観点から、ここ数日というか、数週間、非常に悩んでおりまして、まず利用料金を取ることが、規約上から取ることになった場合に、単に行政との契約だけで可能なのだろうか。いわゆる行政の財産に当たる部分を利用料を取るということが、しかも有料事業主だけから取って、あとは取らないという仕組みが、「それは個別契約で決めたことです」ということで説明できるのか、若干の不安を持っております。

 それから、「利用料金を決める」と言っても、一体どうやって決めるのかという問題も非常に大きな問題ではないかと思っています。さらに、仮に利用料金を取ることになって、国が事業者に対する金銭債権ということになりますが、金銭債権をちゃんと払ってくれれば問題がないわけですが、払ってくれない場合には、債権の履行確保というのは大変な行政コストが予想されます。分かりませんけれども、場合によっては、この債権履行確保によってかなり費用がかかることも考えられます。

 一方では、高松さん、林さん、皆さんがおっしゃっているように、民間事業者がこの仕組みを通じて収益を得るのであれば、そういったもののコストは負担すべきではないかという意見も分からないわけではありません。ですから、この制度としては、こういった趣旨を生かすような形で、無料で開始して、今後利用状況等を考慮しつつ、先ほどから問題になっている様々な点も併せて検討するということでいかがかと私は思っております。というのが私の意見です。この点について、何か付け加えることはありますか。

○高松参集者 先生からいろいろな法的根拠も含めてお話いただきましたが、基本的には求人システムについて議論したときにも、労働側は同じ発言をしています。有料職業紹介の場合は、先ほど沼野先生がおっしゃっていましたが、平均すると年収ベースで 30 %ぐらいの報酬を頂いていると我々は聞いておりますので、国が求めている就職者の数を増やすという本質的な意味から言えば、ボランタリーな感じでやっていただけるのであれば別ですが、このシステムを使って利益を得るという部分は、あくまで商売の幅が広がるという意味ですから、そこについては何らかの料金を徴収すべきというのは、ずっと変わらないところです。公共財だからということであれば、ほかの公共財でも料金を取っている所も幾つもあるわけですから、特定の業種に限って、この業種の中のこの業者がということで利益が発生するのは目に見えているわけですので、そこについては徴収すべきという考えは、ずっと持っております。

 今回は検討会ですので、 8 ページの論点案にあるような形で併記していただいて、こういう意見があったということで、あとは職業安定分科会で御判断いただくということでよろしいかと思いますし、最終的には鎌田先生がおっしゃったような形になるのかもしれませんが、ここの場では 1 つの意見にまとめさせていただくのは、私のほうでは無理ですので、この案で進めていただければ有り難いと思っております。

○鎌田座長 ありがとうございました。御意見の中でいろいろ検討会として検討すべき課題も幾つかあったかと思います。ただ、ある意味では、検討会として一定の取りまとめをする上で困るものでもないと私は考えておりますので、次回取りまとめをさせていただいて、細かないろいろな御意見については、次回期日間にいろいろ調整をさせていただくということでいかがでしょうか。よろしいですね。

 では、事務局もそのような形でよろしくお願いしたいと思います。ほかに何かありますか。

○事務局 次回の日程につきましては、 17 日の火曜日を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 それでは、本日は大変貴重な御意見をありがとうございました。本日の検討会はこれをもって終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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