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2014年5月23日 第2回ハローワークの求職情報の提供に関する検討会

職業安定局総務課首席職業指導官室

○日時

平成26年5月23日(金)10:00~


○場所

共用第8会議室(19階)


○出席者

構成員

鎌田座長、坂下参集者、福田参集者、林参集者、高松参集者、沼野参集者

参考人

根本参考人、板倉参考人、樋口参考人、仲村参考人、原野参考人、野村参考人

事務局

職業安定局次長、首席職業指導官、労働市場センター業務室長

○議題

(1)第1回で出されたご意見について
(2)関係者からのヒアリング
(3)その他

○議事

○鎌田座長 ただいま定刻となりましたので、第2回「ハローワークの求職情報の提供に関する検討会」を開催いたします。

 本日はヒアリングを用意しておりますが、御多忙の中、参集者の皆様には御参集いただき、まことにありがとうございます。

 本日は、まず、前回の議事進行について意見の取りまとめ、それから、ヒアリングに移りたいと思います。

 報道関係の方がいらっしゃれば、頭撮りはここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 では、本日の議題の第1でございますが、第1回の検討会でまとめて出された御意見について事務局でまとめていただいておりますので、御説明をいただきたいと思います。

 その後、6名の参考人の方に来ていただいておりますので、順番にヒアリングを行ってまいりたいと思います。

 それでは、議題第1の第1回で出された御意見について、事務局から説明をいただきたいと思います。

 よろしくお願いします。

○首席職業指導官 それでは、資料1をごらんいただきまして、前回出していただきました御意見について取りまとめを行っております。

 1番といたしまして「求職情報の提供の仕組み」ということにつきましては、最初のうちは個人情報を出さないで求職情報サイトを介して求職者と提供先の民間人材ビジネス事業者とがやりとりをする仕組みを想定しておりますけれども、この求職情報サイトを介して行うところについては、なるたけ仕組みを簡素なものにすべきではないかという御意見をいただいております。

 2番の「求職情報の提供先範囲」ということで、求職情報を利用できる権限を受けるための基準についてでございますけれども、ここでは個人情報の管理及び情報セキュリティーにおいて、第三者機関の認証、プライバシーマーク等を受けていることを案に挙げておりますが、その件については除外すべきではないかという御意見をいただいております。

 職業安定法で基本的に個人情報の取り扱いは担保されているということもございますし、この取り組み自体が参入者をふやしていく必要があるので、その障壁を高くするということは少し考えるべきではないかという御意見でございました。

 一方、求職情報を無料で提供する仕組みの中で個人情報の管理について厳格な要件を設けないとするとかなり危険性があるのではないかということでございまして、そうした要件を設けないならば、紹介事業者から利用料金を徴収するということで安易な事業の参入を防止すべきではないかという御意見もいただいております。

 関連する御意見といたしまして、例えばプライバシーマークの取得を要件にはしないけれども、プライバシーマークを取得している事業者が求職者から見てわかるような一覧をつくって、そこで求職者みずからが事業者を選択できるようにしてはどうかという御意見をいただきました。

 また、プライバシーマーク等の取得を事業者が利用申請の際に、申請していただければ行政側の審査の段階で一定の配慮を行うとして審査に組み込んではどうかという御意見もいただきました。

 また、プライバシーマークの取得を要件とするのではなくて、個人情報を厳正に取り扱うということを提供先と求職者の間で何らかの書面等で交わして担保するということではどうかという御意見をいただいています。

 観点は違いますけれども、個人情報保護法は一定規模以上の法人に適用されるものなので、個人情報の保護についてどういう法律が適用されるかというのをきちんと整理した上で議論するべきではないかという御意見もいただいております。

 次に(2)の「適正な提供先の確保について」ということで、提供先の民間人材ビジネス事業者から保有する求人者に紹介がなされるわけでございますが、その場合の求人の質の確保というのをどう図っていくかということも重要ではないかという御意見をいただいております。

 また、求職者に良質な雇用機会を提供するための取り組みであるので、提供先の有する求人に関する苦情についてもハローワークがきちんと対処すべきではないかという御意見をいただいております。

 2ページ「職業紹介事業者の種類について」ということで、1つは学校が届け出で有料職業紹介をできるようになっておりますけれども、自校の学生・生徒以外の者を職業紹介の対象とできないのであれば、提供先になり得ないのではないかという御意見をいただいております。

 なお、このほかに職業安定法で特別の法人、農業協同組合や商工会議所等も届け出によって無料の職業紹介ができるとなっておりますけれども、この場合は当該法人の直接もしくは間接の構成員を求人者とし、または当該法人の構成員もしくは構成員に雇用されているものを求職者とする無料の職業紹介を行うことができるとなっておりますので、構成員が求人者である場合に、求職者は必ずしもその構成員の中でなくてもいいという規定になっているということでございますので、そういう意味ではちょっと学校と事情が違うということでございます。

 3番、利用権の「更新について」でございまして、更新の条件として求職者情報の提供で得た情報によって常用就職実績があるということを更新の条件にするという案になっておりますけれども、これは常用実績を求める必要がないのではないかという意見でございまして、そのほかの新規で参入するときの基準をクリアしていて、それを依然としてクリアしているかどうかということが確認できればいいのではないかという御意見をいただいております。

 財源との兼ね合いもございますが、例えば2事業であれば、PDCAの目標管理できっちりチェックをするということになっているので、それを通じて検証ができるのではないか。

 一方、常用就職というノルマをかけると求職者との良好なマッチングを進めていく上で若干支障を来すのではないかという御意見でございました。

 4番は「実績報告について」ということで、この取り組みによって利用された民間人材ビジネスから利用実績をハローワークに報告をしていただくという件でございますけれども、これについては事業報告が年1回なので、それと合わせて年1回の報告でもいいのではないかという御意見をいただいております。

 最後に5番「利用料金の徴収について」ということでございまして、求職情報提供の仕組みが公費を投入して設けられるので、紹介事業者が利益を得るということであれば情報の利用料金を徴収することが必要なのではないかという御意見でございます。

 一方、この取り組みは求職者の希望に基づいて求職者のために早期に良質な雇用機会を確保していくことを目的としていて、そういう意味でも情報が公共財的な性質を担うということでございますので、利用料金を徴収するのは適当ではないという御意見をいただいております。

 さらに、料金徴収の前提となる事業者の受益というところが、求職情報の提供そのものなのか成功報酬の部分なのかといった点をもう少し整理して考える必要があるのではないかという御意見をいただいております。

 以上でございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 ただいま御説明がありました御意見につきましては、本日のヒアリングを踏まえまして第3回の検討会でまた皆様に御議論をいただきたいと思いますが、もし、この段階で御質問、御意見、または御訂正ということがございましたら御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 本日は、これから関係者の皆様にヒアリングをいただきたいと思っております。

 本日、ヒアリングにお越しいただいた方々を参考資料1の名簿の順に私から御紹介をさせていただきます。

 まず、公益社団法人全国民営職業紹介事業協会主任職業紹介事業アドバイザー、仲村榮次様。

○仲村参考人 仲村でございます。

○鎌田座長 一般社団法人日本人材派遣協会事務局長、野村浩和様。

○野村参考人 野村でございます。よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 株式会社インテリジェンス執行役員雇用開発本部本部長、原野司郎様。

○原野参考人 原野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田座長 公益社団法人全国民営職業紹介事業協会事務局長、樋口静夫様。

○樋口参考人 樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○鎌田座長 ひかり総合法律事務所弁護士、板倉陽一郎様。

○板倉参考人 板倉です。よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 厚生労働省CIO補佐官根本直樹様。

○根本参考人 根本でございます。よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 では、ヒアリングの進行につきまして、御説明いたします。

 最初に、民間職業紹介事業の関係者ということで、野村参考人と原野参考人のお二人について20分程度、樋口参考人と仲村参考人のお二人について20分程度、それぞれ行います。

 次に、個人情報保護関係の有識者ということで、板倉参考人について20分程度行います。

 3番目に情報システム関係の有識者ということで、根本参考人について20分程度行います。

 それぞれのヒアリングの冒頭に、参考人の方から10分程度、今回検討している内容について御意見やお考えを述べていただきたいと思います。時間の関係上、長くなりましても12分程度でおさめていただけるよう、御協力をお願いいたします。

 また、参集者の皆様におかれましては、参考資料2「ヒアリングのポイント」も参考に御質問を行っていただけばと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それぞれのヒアリングが終了いたしましたら、最後に皆様から追加で質問を行っていただく時間も15分程度とりたいと考えております。

 以上のような段取りで進めてまいりたいと思います。

 まず、民間職業紹介事業の関係者からのヒアリングを行いますので、野村参考人、原野参考人からお二人あわせて10分程度で御発言をお願いしたいと思います。

 短いので大変恐縮でありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○原野参考人 私、株式会社インテリジェンスの原野のほうから口火を切らせていただきたいと思います。

 私どもはホワイトカラー層の人材紹介事業を主としてやっております者なので、その立場での発言ということで、幾つかお話をさせていただこうと思っております。

 まず、一番基本的なことなのですけれども、私どもはホワイトカラー層が主体ということで、実際にはハローワークの求職者層と私どものクライアントの求める層とが違っているということがございまして、この求職者情報を利用するという機会が多分、非常に少なかろう、原則的にはそんなに使わないのではなかろうかということがございます。それはそれでちょっと置いておきまして、使うとすればどういうところが必要かという話を別途させていただきたいと思っています。

 そこにつきましては、まず、多分、内容のお話をしなければいけないと思うので、いきなり詳細な話になるかもしれませんけれども、現在のハローワークの求職申込書のフォーマットを見ながら、どういうものが必要でどういうものが新たに開示してもらわなくてはいけないかみたいなことをお話をしたいと思っておりますので、資料を配付させていただきます。

 今、お手元にお配りしたものがハローワークの求職申込書、それに対して我々の人材紹介の事業のほうで必要な項目、不要な項目、そういったものを書いたものになるのです。

 一つお断りしておかなくてはいけないのは、これは最新版のフォーマットではないらしいのです。それが入手できなかったものなので旧版のフォーマットということですけれども、項目はほぼほぼそろっているという状態でございます。

 まず、右側を見ていただきたいのですけれども、大前提なのですが、全項目記入済みであること。これは当たり前のようではありますが、実際には入力に不備があったりというケースがございます。そういう状態ではなかなかマッチングのための検索ができないということがございますので、それは大前提でございます。

 もう一つ、非常に重要なことなのですけれども、個人情報というところで、現住所、氏名というのは、これは一定を明らかにする、しないという話があろうかと思うのですが、私どもはそこは全く不要だと考えております。そこはなしで、それ以外のさまざまな要素でまず、我々の求職者として登録できるかどうかということを判断することが必要だと思っております。

 それを大前提としました上で、右側に「項目」として我々が使うような項目と求職申込書の項目の中で一致するもの。それから、追加開示要望というものを書いております。

 実は、かなりの項目が網羅されておりまして実際には一致する項目が多いのですけれども、一致はしていても具体的に中身がこのように書かれていないとまずいな、なかなかそれとは合わないというものはございました。それを「項目」の横の「追加対応」というところに書いてあります。

 一番重要なのは仕事でして「希望する仕事」というところをできるだけ詳しく書いていただくということ。これは非常に重要な条件になります。

 「希望収入」なのですけれども、ここにつきましては、私どもで通常やっておるやり方というのは、希望の年収。年収ベースが基本なのです。年収ということと、希望というと非常に高く書かれる方も当然いらっしゃるわけで、ミニマム。ここだったらやっていけるという最低希望年収を書いていただくというのが一つ基本的なことになります。

 「学歴」なのですけれども、学歴につきましては、その方がどういう専攻をされて、どういう勉強をされてこられたのかということが、マッチング上、重要なことなので、学校名、学部、学科など、やはり詳細なほうがよろしいということです。

 「職種・内容・期間」というところになりますけれども、ここもマネージメントをしているのか、していなかったのかということが大きな要素で、そういうことが職種という中ではあらわれませんので、例えばどういう役職であったかということをきちんと書いていただく。

 「退職時の税込月収」というところがございますけれども、ここも先ほど申し上げたように月収ベースよりは賞与等も含む直近の年収ベースというのが一番わかりやすいということでございます。

 「追加開示希望」つまり現時点では開示されていないものの中でぜひ必要だと思うのがここで黄色にマークされております。

 まず第一は「最寄駅」です。

 通勤の範囲内かどうかということはこれ以外に判定のしようがございませんので、ここをしっかり開示していただきたい。この部分だけで結構なのです。

 それから、これも先ほど言いましたけれども「就業上留意を要する家族」であるとか「仕事をする上で身体上注意する点」とかというのは、多分、機微情報だということで伏せられているのだと思いますが、実際に仕事をマッチングする上では、時間的な制約があるかどうかとかあるいは例えば車椅子で来られるとしてそれに対応できるものがあるのかどうなのかなどということを見なければいけないことなので、実は必要。

 ただし、この件もまず大前提で個人の住所、氏名の情報を完全に伏せてしまうのであれば、別に問題がないのではないか。個人情報は特定できないのではないかと思っております。

 あわせて、直近、どこの会社におられたのかということ。自営であれば自営ということ。

 これも重要なのですけれども、退職の理由です。必ず確認するものなので、ここら辺については、あくまでも個人を特定できない範囲で、そこはマッチングのために必要だということで開示をしていただくというのがよろしいかと思っております。

 それ以外に、追加開示で下に書いてありますように「希望業種」。

 実はハローワークの求職申込書には業種がありません。私どもの考え方は業種×職種というマトリックスで仕事内容が特定できると基本的に考えているのですけれども、業種という概念がないので、希望の仕事が特定できません。この業種であるとか、転職を何回ぐらいされておられるのかということには、求人企業は非常に関心を持たれる。

 そういうことが必要ですし、それ以外に当然ながら、どんなスキルをお持ちなのかというものがあればいいということになります。むしろ、このスキルの手前までのところは最低限の話で、この後にスキルというのが出てきて初めてマッチング可能になっていくというのが我々の場合の紹介の流れでございます。こういった点を内容的に変えていただけるとありがたいと思っています。

 細かくなって時間を食ってしまっているかもしれませんけれども、引き続き、機能の面のお話をしたいと思っております。

 機能に関しまして、第1回目の意見でありますように、シンプルな仕組みにしたほうがよいということは大賛成です。余りコストをかけるべきでもないと思っております。

 まずマッチングのための検索性がよいことが重要です。

 現状、この希望の仕事に関しましても、コード化がされていません。これを目検でコードを当てていくということであれば、大変、工数がかかるわけで、やはりコード化というのは必須ではないかと思っています。これは仕事内容に限らず、検索に必要な項目のコード化の整備ということがまず第一。

 それから、求職者が今どんな状態にあるのかということ。現在、求職中なのか、例えば求職者情報を見に行った瞬間に実はもう決まっているみたいなことがあるかもしれない。そういうことはないようにしなければいけないので、ステータス表示などと言いますけれども、求職者の方が今どんな状態にあるのかというのが何らかの形でわかるということが重要です。

 それと同じような意味になりますけれども、求職情報が常にアップデートされているということが重要で、ここら辺というのはシンプルにするという話といろいろ矛盾したりすることが出てくるのです。

 そこで一つ提案がございまして、今これはデータベースが前提になっているのですけれども、データベースを前提にするのではなくて、新規の求職者のリストを個人名を完全にマスクした形で、一定期間開示されるというだけでもいいのではなかろうか。そして、例えば2週間あるいは1週間でもいいのですが、皆さんが閲覧して必要な情報を受け取ったら、その後は一旦、削除するという運用にすると、情報の更新の問題であるとかアップデートといってもどうやって誰がアップデートするのかという問題などが解消されるのです。

 我々の人材紹介の仕組みの場合は、マイページというのがございまして、必ず求職者自身が自分のページを持っていて、そこからアップデートを自己責任でしていくとかアップデートを促すという機能があるのですけれども、そういったものをこの規模で持つのは大変難しいことであると思っておりますので、結局、開示の期間を短縮するということが実は非常に簡単な解決方法になるのではなかろうかと、そんなふうに考えております。

 ほかにもございますけれども、長くなりましたので一旦ここで。

○野村参考人 では、続きまして、私から紹介予定派遣の観点でお話しをさせていただければと思っております。

 今ほどお話しのありました、主にホワイトカラー層と比較しますと、我々の業界が担当しております紹介予定派遣に関しましては、もう少しハローワークに求職にいらっしゃる方々に対してのサービス範囲を広げられるかとは考えております。

 一方で、我々の扱う求人案件に関しましては、いわゆる経営層、管理層あるいは幹部候補生と言われる方々の求人と比較して、より実務レベルのスキル、経験を期待されるケースが大変多くなっております。

 皆さん御存じのわかりやすい例を挙げますと、例えば経理業務。経験3年、簿記2級、これだけではほぼマッチングできない状況です。例えば簿記の資格はいつぐらいに取られて、その後その資格を使ってどれぐらいの業務を続けていらっしゃったのか。1020年前に取られた資格であれば、その間に会計制度はいろいろなことが変わっておりますし、なかなか通用しないという状況です。

 また、経理の業務も最近はIT化が大分進んでおりますので、高機能なアプリケーションを使いますと数字の入力だけでも経理業務をある程度できてしまうという、補助的な作業のみ

になるケースもございます。むしろ、経理全体を理解して、例えば貸借対照表や損益計算書などについても理解があり、そうした基礎作業を超えた業務ができるかどうか。こういったことが実務レベルの中でどこまでやられているかという情報がないと、経理3年というだけだと非常に広い範囲の方に御案内を出してしまったりとか、あるいは対象が見つからないということで、せっかく開放いただく情報に対してリーチができないということが起こり得るかと考えております。

 このあたりは今後の検討かと思いますけれども、先ほどホワイトカラーのところでもございましたが、より実務レベルのところではこういったことが重要になろうかと思われます。

 また、いわゆるホワイトカラー層と比較すると、この領域での就業を望まれる方々は我々の経験からするとワークスタイルあるいはワークライフバランスということを非常に重視される傾向が強うございます。全国に転勤があるとか、あるいは自分の経験、それから成長のために職務を変えるという御希望が強いゾーンとはちょっと違いまして、通勤範囲内でぜひお仕事をしたいとか、昨今では高齢化の問題もありまして、御家族との時間帯を非常に重視しなくてはいけないとか、働き方そのもの、通勤時間も含めて非常に強い御希望のあられる方々が多いので、御本人の就業希望に関しましても、お仕事内容だけではなくてどのような働き方がよろしいのかということの事細かな情報がないと、同じように広い対象に案内し過ぎてしまうとか、あるいは御迷惑がかかるということで情報が活用できないということが起こり得ます。

 こうした観点からも、先ほどの御指摘にもありましたが、やはり情報内容は可能な範囲で、システム搭載をするとなるとコストの問題もかかると思いますが、細分化された情報が必要かと。さらに、それらはシステム的な検索ができないと、せっかく情報を開示いただいても事業者のほうが自社で御登録いただいている方々に対しての検索性は非常に高い仕組みになっておりますので、そことのバランスでなかなかハローワークからお仕事を期待いただいている方々に対して情報提供が難しくなってしまうということが起こり得るかと思います。

 ちなみに、我々民間事業者では、例えば職務経験コードというものは、わかりやすく言うと10桁近いコード化をしておりますので、それだけの種類があるとお考えいただければよろしいかと思います。

 情報に関しましては、そのような観点で今後の御検討に御参考いただけると考えております。

 また、では、どのような事業者が参画可能なのかということで言いますと、基本的には職業紹介をしてよろしいという許認可を受けている事業者でございますので、その段階で一つのハードルはクリアしているのではないかと思います。

 したがいまして、現在はデータベースサイトを使うという御提案かと思われますので、このサイトの使い方ということでイレギュラーがあってはいけない、あるいは間違った使い方があってはいけないということは十分理解できますので、その観点で追加の規制が何かあるというところまではよろしいのではないかと思います。

 事業者としての規制がさらに必要だというところは、なかなか我々の事業者の理解が得にくいところかと考えております。

 お時間もございますので、一旦ここまでとさせていただきます。ありがとうございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 先ほど申しましたように、後ほどまた時間をとりますが、現段階でもし御質問があれば、少し時間の制約がありますが、お願いいたします。よろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、このまま残っていただいて、最後のところでまた御質問にお答えをお願いしたいと思います。

 続きまして、樋口参考人、仲村参考人からお二人あわせて10分程度で御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○樋口参考人 樋口でございます。

 本日はこういうような意見を申し述べる機会を与えていただきまして、お礼を申し上げたいと思います。

 私ども民紹協は民間の職業紹介事業者向けに各種事業を実施している団体でございまして、会員数が約1,400事業主でございます。

 きょうは私どものほうの意見等につきまして、参考人提出資料1として皆様方のお手元に私どもの申し述べたいことをまとめてまいりましたので、それに沿いまして御説明申し上げたいと思います。

 参考人提出資料1の1のところでございますけれども、御案内のとおり、民営職業紹介事業者は、ホワイトカラー系の職種や伝統的職種を中心とする事業者等、多岐にわたっております。ハローワークと同じように全職種を対象としている事業所も少なくありませんが、多くは得意とする職種を絞って求人求職を受け付けまして職業紹介を行っているというところでございます。

 このうち、家政婦、マネキン、調理師、芸能家、配膳人、モデル、こういった伝統的職種を中心とする事業者について、御理解をいただく機会が少ないと思いますので、そこに重点を置いてお話を申し上げたいと思います。

 1の第2パラグラフのところでございますけれども、伝統的職種の取り扱いを中心とします事業者というのは、常用就職は少ないのでございますが、短期反復継続的な雇用形態での職業紹介が多くなっております。平成24年度の事業報告によりますと「臨時日雇就職延数」が、配膳人で約605万人日、マネキンが約324万人日、家政婦で約244万人日となっておりまして、私どもは労働市場において極めて大きな役割を果たしていると認識しております。

 また、今後も相当な雇用吸収力が期待できると考えておりまして、ただ、この多くの雇用形態というのは、先ほど申し上げましたように有期雇用、臨時、日々雇用といった非正規の雇用であるということでありまして、求人者にとっては変動の大きい労働事情に対して有用な労働力確保、また、求職者にとってはそれぞれの求職ニーズに合った雇用形態として機能していると考えております。

 非正規雇用者から正規の労働者に移行するということについては、私どもも重要な政策課題だと認識しておりますけれども、全員参加による能力が発揮される社会の構築といったためには、この伝統的職種での雇用機会の増進といったことも役割が大きいと考えておりますし、また、女性、高齢者の方々が労働参加に向けていくための一つの雇用形態につながっていくものと考えております。

 こういった観点から、伝統的職種に係る求職者は現在、著しく不足をしておりまして、特に景気の回復によってその傾向が強まっておりますので、この求職情報サイトの活用に向けましても、これらのものが活用できるような、そういった企画をしていただくことを私どもとしては望んでいるところでございます。

 具体的な要望事項として、1ページの下以降にまとめてございます。

 まず第1番目が「求職情報の提供先範囲」といたしまして「過去3カ月以内に常用就職の実績が1件以上あること」が挙げられておりますけれども、先ほど申し上げました趣旨から申しまして、この「常用就職」の要件を「就職」といったことに見直しをしていただけるとありがたいと思っております。

 また、この伝統的職種だけでなくて、ホワイトカラー系職種の中でも医師などにおきましては、期限の定めのない常用就職だけでなくて有期の雇用形態での就職も数多くあると私どもは認識をしておりまして、民営職業紹介事業の実態を考えた場合に、この常用就職ということだけに限らずに御対応いただけるとありがたいと考えております。

 2ページの(2)で「求職情報の提供先範囲」の要件といたしまして個人情報の認証等を受けているということが挙げられておりますけれども、私どもとしてはできればこの要件の削除をお願いしたいと考えております。

 これにつきましては、職業紹介事業者が厚生労働大臣から許可を受ける際の許可基準として「個人情報管理」ということが位置づけられておりまして、個人情報の適正な管理、秘密を守るための必要な措置ということが既に求められております。

 また、職業安定法に基づきます指針の中でも、個人情報保護法を含めての適切な対応が求められておりまして、紹介事業者につきましては各種研修の機会に、このことについては繰り返し周知徹底が図られているということとともに、都道府県の労働局によります監査、指導監督が定期的になされているところでございます。

 こういったことから、この要件の削除についてお願いできればと考えております。

 2ページの(3)でございますけれども、提供の対象範囲となる主な求職情報のうちに職歴がございますが、この職歴の情報提供に当たりましては、私ども職業紹介を行うに当たって求職者の能力適性を把握するために過去の職歴というのは非常に重視をしておりますので、そのことについて、できるだけ具体的な職種となるよう、御配慮をいただければありがたいと考えております。

 3ページの(4)でございますけれども「苦情処理、違反行為等の防止について」のうちで、職業安定法等の法令違反のほか、運営上のトラブル防止策も盛り込む必要かあると思っております。

 私ども民紹協といたしまして、日ごろから紹介事業者様また求職者のほうからいろいろな職業紹介に関する相談、苦情を受け付けておりますけれども、その中で事業者のある意味での強引な勧誘といったものについて、または、在職中の会社への電話連絡といったようなものがあって、そのことについて困っているといったような苦情もございます。そういうことについての禁止も挙げられることが必要なのではないかと考えております。

 5番目が提供先、職業紹介事業者から求職者に提供される情報の内容、量について、何らかの基準を設ける必要があるのではないかと思います。

 事業者のほうから求職者に対して、余りにも多くの情報、余りにも意味不明な情報が提供されるということになりますと、求職者に混乱を与えることになると思いますので、そのことについての基準を設ける必要があるかと思っております。

 6番目が「利用料金の徴収について」でございますけれども、既に第1回目で多くの御議論がされていると伺っておりますが、私どもとしては利用料金の徴収になじまないと考えておりまして、特に小・零細事業所が多い民営事業所におきましては、経営実態等から金銭的な負担はぜひ避けていただければとお願いをしたいと思っております。

 最後に7番目でございますけれども、先ほど申し上げました有期の雇用といったことを考え合わせまして、求職申込書のうちの希望就業形態欄には「有期雇用」または「日々雇用」といったものも追加をいただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

○仲村参考人 それでは、私のほうから。基本的には今の樋口からの意見のとおりでございます。

 ただ、若干追加させていただきますと、1つは常用雇用という問題がこれまでの案の中にもありますけれども、いわゆる事業報告の集計結果といって民間の事業者が厚労省に出しているデータがあります。その中で言う「常用」というのは、実際には4カ月以上の雇用を常用としているのです。ですから、あのデータの中には本来の意味の常用というものと1年未満あるいは短期有期雇用契約、有期雇用の4カ月以上のものも入っているのです。ここは、この「常用」ということを考える際に御判断いただきたいと思います。

 実際には伝統的職種、例えば、マネキン、配膳といった職種は、契約はほとんど6カ月未満です。それ以上の雇用契約期間というのは、ほとんどないといってもいいと思います。その辺が、この雇用形態についての通常のホワイトカラー等の常用とは非常に違うということがありますので、そういうものを含めてこの中にどういう形で取り決めるかということになるのです。

 そういった意味では、今の意見にもありましたけれども、いわゆる求職申込書の中に現在ありますのは、正社員・派遣・請負というものと、あとパートとか季節労働というのがあります。こういうものがいわゆる雇用形態の希望欄の中に書いてあるのですが、ここに有期雇用契約を希望するとかあるいは臨時日雇いを希望するという方はそんなに積極的ではないと思うのですが、ただ、実際にはそういう形態が非常に多いという背景がありますので、求職申込書の中にはぜひそういったもの、雇用形態をもうちょっと広げた形で収集できれば、求職者の対応あるいは紹介事業者のほうも情報として活用できる可能性がふえるのではないかと考えるのが一つでございます。

 もう一つ、検索システムが考えておられますので、これについてはいわゆるフリーワード的なものも入れるのかどうか。やはり、使い勝手のいい検索機能といったものを設定していただければいいのかと感じております。

 以上でございます。

○鎌田座長 ありがとうございます。

 現時点でのこのお二人の御発言について、何か御質問はございますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、また後ほど御質問させていただきたいと思います。

 次は、個人情報保護関係の有識者からのヒアリングを行いますので、板倉参考人から10分程度で御発言をお願いいたします。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○板倉参考人 板倉でございます。

 ヒアリングのポイントというのを参考資料2でいただいておりますので、おおむねこれに従って私のほうから気づいた点等を御説明しようかと思います。

 弁護士の仕事として、ITとか個人情報保護について多く携わっている者です。一方、労働関係を必ずしも専門にしている者ではないので、その観点から間違ったことがあれば、適宜、質疑応答等で御指摘いただければと思います。

 順繰りに行きます。最初の「求職申込み前のやりとりに関し」というところなのですけれども、まず、前提として、個人情報の取り扱いに関して国や事業者が制度やシステムを何らか設計しようと思った場合には、2つやり方があります。本人の同意を得るタイプと同意を得ないタイプです。

 同意を得ない場合にはどうしたらいいのかというと、それは法令に基づく場合でやるというのが基本的です。今回は法令を何かいじるわけではないので、本人の同意に基づいてやるというのが前提になります。そうすると、どうやって同意を実質化して制度というかやり方を設計していくのか、という観点になります。

 もう一つ、前提としてどういった法令が適用されるかということですけれども、日本の個人情報保護法制は大変入り組んでおりまして、客体によって適用される法令が違います。職業安定法はまた別ですのでそれは置いておくとして、ハローワークに適用される個人情報保護法令は、ハローワークが行政機関個人情報法が適用されます。厚生労働省の一部ですので、行政機関情報保護法が適用される。

 職業紹介事業者のほうは、民間事業者がほとんどであると認識しておりますが、民間事業者の場合は個人情報保護法と当該分野のガイドラインです。厚生労働省さんから出ているガイドラインがある。これが適用される。

 独法等の場合には、独立行政法人等個人情報保護法というベースの法律がありますが、これが適用される。

 自治体の場合には、それぞれの自治体の個人情報保護条例が適用されます。これは県の場合は県の個人情報保護条例、市町村の場合は市町村の個人情報保護条例、全部違います。1,700以上ありますが、別々の個人情報保護条例が適用されるという状況になっております。

 これに加えて、職業紹介事業者については、個人情報保護法制から見た位置づけは特別法になりますが、職業安定法上の個人情報関連規程が置かれている。この職業安定法上の規定のほうが当然、一般法である個人情報保護法等よりは行政処分や罰則等の観点では厳しいものになっていると見られます。

 実は、個人情報の定義も一般の民間事業者に適用される個人情報保護法に比べると、広い。広いというのは、行政機関個人情報保護法と独法の個人情報保護法とほぼ同じなのですけれども、詳細は省きますが、若干広いものになっているということです。

 最初のところに戻っていきますが、本人の同意で今回の取り組みは進めるということですので、同意をどうやって実質化するかということが必要になります。一部、誤解があるのですが、形式的に同意を得てもそれは法的には同意ではないので、本人がきちん理解して同意をして、第三者提供を伴う場合にはどこにどういうものを出すというものに対して同意をしたかというところが問題になってきます。

 ユーザーインターフェースの工夫にはなりますけれども、原則としては個人情報の世界では、「プライバシー・バイ・デフォルト」と言いますが、何も考えないでオーケーを押すとかはいと言ったときに全部出ていくようにはしないほうがいいだろうということがあります。第三者提供する事業者さんがたくさんあると、チェックボックスに一々、1個ずつチェックするのは大変かもしれませんが、最初にシステムに入った段階では全部チェックされていないけれども「全部チェックする」のボタンを押すとか、こういう条件でチェックするを押すとか、一応、そこで本人の意識を介在させた上で同意して第三者提供する先を決めるというのがいいだろうと思います。

 もう一つは、これもシステムでできるかどうかなのですけれども、同意の撤回が実質、できるのであればそれはそのほうが望ましいだろうと思います。

 最近だとダッシュボードとか言われますが、皆さんの持っているスマホで位置情報の提供をするとか、iPhoneの設定のところを見ていただくといつでもオフにできるようになっているわけです。アンドロイドというかグーグルの設定そのものもそうですけれども、いろいろなサービスにおける提供の同意がいつでもオフにできるようになっている。こういった機能は持っていたほうが本人の同意を確実に得ているという観点からは望ましいだろうと思います。

 これらは、基本的にはハローワークのほうのシステムと業務フローで手当てできるものだろうと思います。

 最初のこの仕組みをきちんと説明しないと、システムだけあってもなかなか本人の同意が適切にとれているということになりませんので、説明の仕方も含めて工夫していただくことが重要だろうと思います。

 次が、求職申し込み受理後に懸念される点です。

 求職申し込みを受理した後は、今度は職業紹介事業者さんと本人とが新しく契約をして、恐らく、その職業紹介事業者さんのほうのウエブサイトであるとかサービスのほうに入って紹介してもらうということになります。そうすると、本人はほとんど意識していないのでしょうけれども、最初はハローワークさんとの、一種の権力関係なので契約そのものではないですが、約束でやっていたものが、ある日、そこから紹介を受けてそこから面接に行きますという話になった瞬間に民民の契約がもう一つ出てくるわけで、ここの契約はハローワークは関知しない。関知しないというか、口が出せないわけです。

 もちろん、その契約をどういうものにするのかということについて、職業紹介事業者さんとハローワークさんとの間でこういう契約にしておいてくださいという約束はできますが、職業紹介事業者さんと本人との間の契約というのは、ハローワークは介在していないのだということはきちんと理解していただいて進めることが必要だろうということです。

 今のことと関連して、この仕組みを利用して契約する際に、事業者に遵守してもらいたいような内容が仕組み全体としてあるのであれば、これはハローワークと職業紹介事業者さんの間の何らかの取り決めで手当てしておくことが必要だろうと思います。

 一般的に気にされるであろう内容としては、もとから職業紹介事業者が所有している情報があって、それとマージをしていいのかどうかとか、さらに第三者提供していいかどうかとか、共同利用というのが個人情報保護法上の仕組みでありますが、これをやるのかやらないのかとか。インテリジェンスさんが先ほどおっしゃっていましたが、保有期間を定めるかどうか。こういうものは、本人との関係というよりはあらかじめハローワークさんと職業紹介事業者さんの間で決めておく必要があるだろうと思います。

 次のポイントに行きまして、その他、どういった観点から懸念される点があるかということなのですが、これはもう既に皆さんのヒアリングで出てきていますが、ハローワークの求職情報を事業者さんが見るといっても、それは目で見るということはほとんどないわけで、ロボット等で一度に収集することになると思われます。

 インテリジェンスさんは最初からデータでくれというお話でしたが、そうではなくても技術力があるところは簡単にプログラムを組んで自動的に取得するようになりますので、そういうものが何千社もあるとシステムがそれに耐えられるかという問題もあります。それは気をつけてつくっていただいたほうがいいだろうということです。

 それから、不適切な取り扱いが発生した場合のペナルティーというお話ですが、基本的には職業安定法上の行政処分とか罰則は個人情報保護法の一般法に比べると相当厳しいので、これが基本的にある。

 それに加えて、いろいろなものを規約というか契約という形で担保するということであれば、これは余り一方的なペナルティーが課されるようなものになると、それは行政処分になってしまうでしょうと、最終的には裁判所からですけれども、言われてしまう可能性がある。「法律による行政」ですので、行政処分を課すように見える規約になってはいけないということです。行政契約の観点からです。

 法律上の根拠なしに契約という形態で行うのであれば、関連する最高裁の判例として「宝塚パチンコ条例事件」というものがあるのですけれども、それとの関係を気をつけないといけない。

 この最高裁「宝塚パチンコ条例事件」はどういうものかというと、行政機関のほうで裁判を通じて何らかのペナルティーを法的に執行できるというのは、基本的には財産的な契約だけですというものです。ものすごく簡単に言えば、ボールペンを行政機関のほうがどこかの業者から買う。お金を払ったけれども、ボールペンが届かない。こういうものは行政機関のほうが裁判所に行って執行するということができる。そうではない、いわゆる行政処分に近いようなものは、これは裁判所に持って行っても執行できませんということになっています。

 しかしながら、これは本にも書いたことがあるのですけれども、ほとんど対等な立場で行政機関と民間の事業者さんがやるような約束であれば、それはこの判例の射程が及ばないのではないかというようなことも言えるわけです。対等な立場で結ぶ、契約なのか規約なのか…名前のつけ方は法的な性格とは余り関係がないのですが、余り一方的な取り決めで、こういう取り決めなのでこれで入ってきて取組に参加してください、と定めるのではなくて、きちんと行政機関と事業者で協力する中身があって、お互い納得ずくで、場合によってはその契約が解除されるというような契約にして仕組みをつくっていただくことが重要だろうと思います。

 プライバシーマークのお話がほかのヒアリングでもありましたが、るる申し上げているとおり、職安法の定めとか、エンフォースメントは相当厳しいものですので、プライバシーマークをどうしても義務づけるというのであれば、その差分をきちんと見て、なぜ足りなくてなぜプライバシーマークの取得を義務づけるのかというのを、もうちょっと精査してから考えられたほうがいいのではないかと思います。それなりにコストを事業者さんに要求するものなので、そこはもうちょっと検討してやっていただければというのが感想です。

 とりあえず、私からは以上です。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。

 現時点で何か御質問はありますでしょうか。よろしいですか。

 ありがとうございます。それでは、また後ほど御質問させていただきたいと思います。

 次は、情報システム関係の有識者からのヒアリングということで、根本参考人から10分程度で御発言をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○根本参考人 根本でございます。よろしくお願いします。

 ヒアリングのポイントでいただきましたポツの1つ目の「システム上のセキュリティ担保の観点から」ということでございまして、これも先ほど来から、例えば検索のしやすさであるとかコード化、コードをふやしてほしいとかといったこともございましたが、セキュリティーを無駄に強くするとコストがかなり発生してしまうということでございまして、セキュリティーも今回の検討されているシステムを見ますと、ステークホルダーとしましては求職者、求人情報サイトを提供するハローワーク側、厚生労働省側、そして、民間の提供先のほうになりますけれども、それぞれがそれぞれに対してセキュリティーというものを考えなければいけないのですが、なるべくでしたら求職者であるとか民間の提供先に対して過度なセキュリティーを課すということはコスト的には見合わないだろうと考えています。

 そうなってくると、どこでセキュリティーを担保するかという話になりますが、仮称でございますけれども、求職情報サイト側で、昨今はやっておりますが、外からのサイバー攻撃を受けないであるとか、もう一つは、どういった操作が行われたか。もし何かが起きた場合にどういうことがされたのかということをちゃんと記録、いわゆる監査証跡でございますが、ログをきちんととっておくということが重要になるかと思います。もし何かあった場合に、後から本当にどこから何をどうされたのか、いつされたのかということを調べるためには、きちんとサイト側でログをとっておくということが重要になるかと思います。

 ただし、民間の提供先に対しましては、最低限のコストでセキュリティーを担保していただくためには、つい最近ではございましたけれども、マイクロソフト社のウィンドウズXPの期限切れということがございましたが、そういった世の中的に知られていることに対してきちんと対応していること。例えば、求職情報サイトにアクセスする際には、ウィンドウズXPのパソコンからはアクセスしない。少なくともそういったこと、いわゆる本当に世の中的に対処しなければいけないことをきちんとやっていただいた上でアクセスしていただくということ。

 ウィンドウズXPというのは非常にトピックでございましたけれども、もう一つは最低限のこととしましては、アクセスするパソコンのウイルス対策ソフトをきちんと導入するということと、導入しただけではだめでございますので、きちんと更新をかける。最新の定義ファイルに更新をしていただくということが最低限のことかと考えております。

 もう一つは、2つ目のポツのところで「求職情報サイトはハローワークシステムからデータを受け取ることを想定しているが、懸念される点、留意すべき点は何か」ということでございますが、ここでも先ほど参考人の方々からもいろいろありましたが、データを受け取ることに関しましては、例えば、政府。私は内閣官房のほうにも属しておるのですけれども、オープンデータの考え方ということで、いわゆる機械判読性という言葉を使っているのですが、自動的にデータをとる仕組みであるとかということを考えますと、機械判読性というキーワードが上がってくるかというところがあります。

 もう一つは、検索のしやすさ。

 先ほどの話だと、フリーワードで検索ができたほうがより調べやすいという御指摘もございましたが、最近は世の中的には例えばグーグルであるとかヤフーであるとか、そういったところのウエブ系の情報提供サイトですと、高価なデータベースは余り使っていなくて、どちらかというと無償のオープンソースソフトウエアを使って、かなり大規模なデータ、いわゆる「ビッグデータ」というキーワードでありますけれども、そういったところで使われている、かなりこなれてきている安価に使えるデータベースのオープンソースソフトウエア等を使ってやっていくといいのかな。

 プラス、そのデータベースを使って検索エンジンというものが必要になってくるのですけれども、検索エンジンに関しましても、基本的にはオープンソースのものもございますので、そういったものを検討しながらコストを余りかけずにできるようなことを検討すべきではないかと考えております。

 これに関しましては、ウエブ上で、かなり一般的という言葉は何ですが、ウエブ系でかなり洗練されているものがございますので、そういったものを採用することも検討されてはいかがでしょうかということを考えております。

 もう一つございまして、使いやすさ、わかりやすさということでございますけれども、例えば、先ほどステークホルダーは求職者とサイトを提供する厚生労働省、提供先である民間の事業者の方であるということで、どの視点に立ってつくるかということが非常に重要かと考えております。

 特に、求職者の方は非常にいろいろな層の方がいらっしゃるかと思います。ITを使うリテラシーということに関しましても、当然、いろいろなことを考えなければならないと考えております。

 そこに関しましては、先ほど申し上げましたウエブ系のところでは、いわゆる見せ方のところ、ユーザーインターフェースに関してはいろいろな手法等もありますので、そういったものをきちんと、民間の一般的によく使われているサイトを参考にしながらやっていくのが一番いいのかということを考えております。

 そういったことを考えていきますと、使いやすさということに関しましては、今、一番はやっている業界でございますけれども、ウエブ系の業界のものを見ていく。

 セキュリティーに関しましては、最低限のことをどこまで求めるかということをきちんと明確にしていくということ。

 パフォーマンスに関しましては、いわゆる検索のしやすさ、検索機能、絞り込み、フリーワード検索ができたほうがいいということがございましたが、これに関してもやはりウエブ系のところをきちんと見ていく。最新の技術を見ていくということが重要かと思っております。

 ユーザーインターフェースに関しましても、そういったところを見ていく、ウエブ系のところをちゃんと見ていくというのが重要かと考えています。

 セキュリティーに関しましては、特にどちらかというと求職情報サイト、いわゆる厚生労働省側できちんとログのほうをとっておく。もう一つは、きちんとした制限をかけるもしくは暗号化等々をかけていくとかということも考えられるのですけれども、そこもセグメンテーションというか、それぞれの負担ができる範囲できちんとやっていくということが重要かと考えております。

 大体、ポイントとしては以上でございます。

○鎌田座長 どうもありがとうございます。

 それぞれの参考人の方から貴重な御発言をいただきまして、大変ありがたいと思います。これから時間もそう多くはないのですがとっておりますので、ぜひ御質問に答えていただきたいと思うのですが、どなたでも順番は特に限定いたしませんので、自由に御質問していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 高松さん、どうぞ。

○高松参集者 連合の高松でございます。きょうはありがとうございました。

 大変、我々の知らないような話を頂戴しまして参考にさせていただきたいと思うのですが、お話をいただいた中で幾つかもう少し詳しく教えていただきたいと思うのです。

まず、日本人材派遣協会加盟のインテリジェンス原野様からは、ハローワークと層が違うのでお使いにならないということはわかりましたが、日本人材派遣協会の野村様のほうではそういう仕組みができたときに、どのくらい事業者様が利用されるかという予測がおありでしたら教えていただきたいと思います。

 同じ質問を民紹協様にもお尋ねしたいと思います。お願いします。

○野村参考人 現段階では、正直、予測が難しいかと思っています。

 先ほど申し上げたような、この仕組み自体が求職者の方々に対して我々事業者がサービスを提供しやすくでき上がるかどうかというところがやはり肝要でございまして、もしそれが可能であれば、皆様御存じのように我々事業者は求職者の方々をいろいろな手段で募集もしております。外部にコストをかけてもおりますし、それから、なかなか求人を頂戴いたしましても地域性や職種性とかで狭い分野になりますと御案内が難しい場合がございますので、そういった場合にはハローワークという全国にネットワークを張られている情報から、それに対してサービスを提供するというのは非常によろしい機会になるのではないかと思っております。現段階でどれくらいかというと、ちょっと難しい。私の近いところで、例えばよくコミュニケーションします大手事業者さんなどは、非常に関心は高く持っていらっしゃいます。

 回答が長くなりますが、今後の仕組み設計によるかと思いますけれども、例えば実績がないとなかなか使えないというようなことですと、地域などにおいては自社の求職者もいますし、こちらからお預かりする求職者の方もいるかと思います。そういうバランスの中で、実績のないところをどんどんだめという形にしていけば、当然、使う事業者はどんどん減っていくということになりますので、そのようなところも御検討いただくことが必要かと思っております。

 以上です。

○鎌田座長 それでは、樋口参考人、どうぞ。

○樋口参考人 私どもは事業者様のほうでどの程度実際に活用に至るかということにつきましては、現段階では十分にわかりかねるという感じです。

 ホワイトカラー系につきましては、先ほど原野様のほうからお話がございましたので、そういった方向かと認識をしておりますけれども、先ほど来、御説明をしてまいりました伝統的職種に係る事業者様につきましては、実は厚生労働省様のほうからこのお話を受けまして、すぐさま関係団体の方々にお集まりをいただいて意見を聞いたところなのですが、御存じのように、現在のハローワークの求職者、求人と伝統的職種の扱っている求職者、求人とはずれがございます。したがって、直接的なニーズにはすぐさまつながるということは少ないと思っておりますけれども、伝統的職種の事業者のニーズとしては、自己努力も含めてあらゆる機会を捉えて求職者の確保に努めたいと努力をしております。

 この求職情報の提供サイトができ上がった場合に、そういった機会も捉えて日々雇用ないしは限定的な期間を定めた雇用の求職者ではなくても、そういった方々にこの業種の方々から働きかけをして、もし希望されれば、こういった短期的な就業についても職業紹介につなげていく努力をしたいという強い希望がございまして、そういった状況だったと認識しております。

○高松参集者 今の件、事務方にお聞きしたいのですけれども、お二方のお話を聞いておりますと、どちらからもそれほどニーズがないような話なのですが、どう捉えたらいいのでしょうか。

○首席職業指導官 ニーズ調査では、やはり必要ないという事業者の方も全体の回答の35%ぐらいはおられまして、そこの理由というので割と多いのはやはり対象層が違っているという御回答がございましたけれども、ニーズ調査でいけば65%はそうではなくて必要ですということでございますので、一定の対応は必要かということでございます。

○原野参考人 ちょっと補足で申し上げていいでしょうか。

きょうは人材紹介業の立場でということでお話をさせていただいていますが、弊社は求人広告業もやっております。紹介をやりながら求人広告をやっている事業者というのはたくさんあるわけなのですけども、求人広告業においては、求職者層でいいますと、ハローワークの層とぴったり一致している。年収ゾーンも同じですが、非正規雇用の方が多いというところでもぴったり一致していまして、そういう求人広告業を主にしている、あるいは求人広告業と人材紹介事業を両方やっておられるという会社さんにおいては、多分、ニーズはかなり強くあるのではないかと思います。そういう方々が御回答されていれば、必要という結果になっていくのかと思います。

 ただ、今回のお話があくまでも紹介事業者という大前提で始まっていますので、そうなってくると私どもも求人広告のところを置いてお話をせざるを得ませんでした。

○鎌田座長 林参集者、どうぞ。

○林参集者 JAMという産業別の労働組合という立場で参加させていただいております林と申します。

 今のことに少し関連しての確認なのですけれども、お二方のお話をお伺いしておりますと、やはり個人情報よりはむしろ希望職種ですとか職歴ですとか、そういったところの情報がより細かくないと、なかなかマッチは難しいと私は受けとめさせていただいたのですが、このハローワークの求職申込書を見ますと、仕事に対する部分というのは確かに非常に少ないのかと思います。

 もし、このままの情報でスタートする場合には、例えば、こういった情報が来たときにコード化もされておらず、文字で書かれているだけであれば、事業者さんのほうでもある程度コストを割いて、それをコード化する人的な仕事がふえたり、例えばコード化されたとしても事業者さん自身で使っていらっしゃるコードと当然違うのであれば、そこのマッチング作業が生じたりということで、やはりある程度の費用というのは事業者さんのほうでも発生するということが大前提と考えていらっしゃるのでしょうか。

 私はこれが公開されれば即使えるのではないかと安易に考えていたのですが、どうも違うのかという感覚で聞いておりましたので、そのあたりのところをお伺いしたいです。

○野村参考人 御指摘のとおり、コストは発生するかと考えております。

 そういう意味では、できるだけシンプルに御検討いただければと思っておりまして、先ほど申し上げたようなある一定範囲までの絞り込みができる情報検索ができれば、当該の御本人に対して、このような求人情報があるけれどもというアプローチをさせていただく形になります。

 この流れを見れば、その後、御了解を得られた段階で求人情報を持っている事業者のほうに御本人が御登録をなさるということになるかと思います。御登録なさった時点で求人会社の情報データベースに御本人の御職歴だったりとか希望条件だったりとか、その会社、それぞれの会社ごとに特徴がございまして、それがまた差別化にもつながっておるわけですけれども、そういったところに入っていただくということになります。

 一般の求人募集をすると直接ここに来るわけですが、ハローワークさんのほうの情報をいただくとその前のやりとりが発生する。そういう意味でコストは発生いたします。事業者ごとにコード化している体系が違いますので、ハローワークさんのコードをそのままぱんとはめるということは、まず、できないと考えております。

 それから、1つ前の高松様の御質問のところで、使いたいか使いたくないかで言うと、アンケートにあるような結果だと思っています。ただ、使いたいものが使えるような仕組みかどうかというところが重要なポイントかというところを回答させていただいたつもりでございます。恐れ入ります。

○鎌田座長 樋口参考人、どうぞ。

○樋口参考人 拝見をしております求職情報サイトの構想として、まず、求職者、提供先双方の申し出があって、そこの段階では求職情報等について、それほど事細かな情報は必要ないと私どもとしては思っておりまして、まず、端緒として必要な情報が完備されていればいいだろう。その上で直接連絡の段階に移りますので、その段階では的確な紹介につながるような求職者様の細かな情報を把握しながら紹介につなげることを、私どもとしては考えております。

○鎌田座長 よろしいですか。

 では、ほかの御質問ありますでしょうか。

○高松参集者 ちょっと言葉の定義を確認したいのですが、先ほど、仲村様から常用就職の定義について、4カ月とか6カ月の話がありましたけれども、今回使っている「常用」と確認だけさせていただきたいと思います。お願いします。

○首席職業指導官 現在の想定している案では、常用就職実績というものを要件に入れておりますけれども、それは一つは単に就職実績ですと、ただ1日だけ就職してというものが出てくる可能性があるので、それを防止するためという意味が非常に大きいということでございます。

 定義的には、先ほどお話がございましたように民間職業紹介事業の事業報告の中では定義がされておりまして、それは4カ月以上の期間を定めて雇用されるものまたは期間の定めなく雇用されるものとなっておりますので、今、想定しているのは、その設定の趣旨からしてもこの定義に沿うのかというイメージでやっております。

○鎌田座長 よろしいですか。

 沼野参集者、どうぞ。

○沼野参集者 私のほうから、弁護士の板倉先生に御質問させていただきたいと思います。

 先ほど、個人情報について、法の体系とかその中でも特に職安法についてはしっかり規定されているという御説明をいただきました。

 現在、検討しているこの仕組みの中では、一応、住所とか氏名とか本人を特定できるような情報の間にハローワークが入ることによって、直接的な、そのままでは個人情報とは言えない情報を今、やりとりをして、結果で求職者の人が希望すれば通常の申し込みの流れに従って個人情報を提供する。合意をして提供する。こういう枠組みかとは理解しています。

 そうは言いながら、やはり関連する情報とひもづいたりした場合には個人情報になるということもありますので、十分な個人情報への配慮が必要だと思うのですけれども、今、世の中では個人情報として個人は特定できないですが、ここではある一定の求職者のプロフィールの情報が行き来するということで、パーソナルデータというような議論もあって、プライバシー侵害との関連でいろいろ議論をされているということを聞いております。

 この現在の検討している仕組みを前提とした場合に、個人情報保護あるいはプライバシー保護の観点で、パーソナルデータというような認識も踏まえて何か考慮しておくべきこととか考えておかなければいけない事項というのがもしあれば、御指摘いただければと思います。

○板倉参考人 内閣官房のIT総合戦略本部のほうで「パーソナルデータに関する検討会」というものが開かれていまして、別に私は委員でも何でもなくたまに聞きに行っているぐらいなのですけれども、パーソナルデータというのは片仮名で、要するに個人に関連する情報を広く捉えてパーソナルデータと言っています。それは今の個人情報の定義というのが、個人を特定識別される情報または、個人情報保護法の場合はそれと「容易に照合される」情報全部、行政機関法等の場合は「照合される」情報全部という定義になっていますが、この定義についても変えることも排除せずに検討するという形で、保護されるパーソナルデータの範囲を決めようという議論になっています。

 私が解説するのがいいのかどうかわかりませんが、事務局案は履歴情報とか位置情報とか、必ずしも氏名、住所が直についていなくてもそういうものは「準個人情報」にしようとか、一定の匿名化技術を用いたものについて「個人特定性低減データ」と呼んで別異の取り扱いを定めようとかやっているのですが、議論百出でして、全然収束する見込みがないように外野からは見えているわけです。

 それとは別に「機微情報」と言って、一定のセンシティブなデータについては、これは取得についてもきちんと同意をとろうというところで、事務局からは出ていたと思います。そこについては、多少の異論はありますが、カテゴリーを設けることについては恐らく決まっているだろうということで、機微情報に該当するようなものが入っていた場合には、取り扱いは少し気をつけたほうがいいだろう。ただし、先ほどヒアリングの回答で申し上げたとおり、基本的にはきちんと同意をとるというスキームでやっていれば、取得する情報に機微情報が入っていても、第三者提供するということについてもよほどのものでない限りは大丈夫だろうとは思います。

 例えば、インテリジェンスさんが欲しいとおっしゃっていた身体上、注意を要する点みたいなものについては、恐らくカテゴリーを設けた場合には機微情報に入ってくるのだろうと思いますが、それは求職の際にも、受け入れる側も必要であると。出すほうについても申告しないと配慮が得られず仕方がないということであれば、きちんと同意をとった上でそのような項目も出す。気をつけると言えば、だんだんシステム的になってしまいますが、こういう機微情報についても書き込んでいますけれどもいいですかと、いうのを送信する前にもう一回チェックするとかという工夫にはなってきますが、機微情報との関係ではそういう話です。

 あとは、氏名、住所自体が個人情報ではなくて、氏名、住所にひもづいている情報全部が個人情報なのですが、ハローワークから民間事業者さんが受け取る際に特定識別情報が全部なくなっていると、受け取ったほうにとっては個人情報がないのではないかという話は十分にあるわけです。そういったものについても、プライバシーに対する脅威があるので準個人情報と言うとか、低減性データとして扱って一定の規律は要るだろうという議論を今やっているわけですが、受け取る段階では個人情報ではないと言ってしまうと個人情報の規律はかかってこない。それはおっしゃるとおりなのですが、これぐらい詳細な情報が入っていて個人情報ではないものとして扱うというのは、それは受け取る事業者さんのコンプライアンスの観点からは恐らくやらないだろうと思います。それで、個人情報の規律がかかる前提で回答したのですが、御疑問に対する回答としては今のようなことになります。

○沼野参集者 わかりました。

 もう一つ、情報システムの関係で根本様に質問したいと思います。

 この仕組みは現行のハローワークシステムのデータも活用していこうということだと思うのです。

 ただ、現在のハローワークは前回、事務局の方からいろいろお話をお伺いすると、特に求職者の情報については、ハローワークの職員の方が職業相談とか職業紹介などに基本的に使うということで、余り一般の民間事業者がそれを活用するというつくりというか考え方になっていなくて、どちらかというと厚生労働省さんのハローワークの内部のシステムという位置づけが強い。

 一部、インターネットで公開している部分もあると聞いていますが、そういう意味では、ハローワークの全国に散らばっていて地域密着の形で職業紹介をハローワークの職員の方がやる際に活用しているということなので、今回のような使い方をすることが、先ほど職業紹介事業者の方からの検索性の問題とかいろいろ御指摘があったところです。多分、登録の用紙を見させていただくと、例えばですけれども、希望の就職地みたいなもので「東京都」と書く人もいれば「品川区」と書いたりする人もいて、地域性がありますから地元ではほとんど町とかというレベルで登録したりもしているかもしれないので、そういうデータでできているのかなと思うものですから、そういう意味では、これを一般に公開していくというと、そもそもシステムのつくりとして基本的な考え方として大分違ってくるので、それはそれなりのいろいろな課題あるいは検討事項とかがいろいろあるのかと思うのです。

 そういう意味で、現在の検討しているこの仕組みについて、システムの観点から、そういうハローワークの特性、現在のハローワークの位置づけもありますので、それをこう使っていくということについての課題とかあるいは御意見をシステムの観点からお聞かせいただければと思います。

○根本参考人 確かに御指摘のとおりでございまして、ハローワークの現行のシステムそのものに手を加えるとなるとかなりの改修があって、改修が必要ということは当然コストがかかるということになってきます。

 そうなりますと、考え方としまして、現行のハローワークシステムに載っているデータのほうをマスターにして、今回検討されている求職情報サイトのほうにコピーして持ってくる。その上で、コピーしたときにデータの構造を変えるということが一番現実的な回答かと。

 なので、データベースの世界は、なるべくだとマスターデータはいじらないでいじるときは大体コピーしてからいじるというのが定石でございますので、そうなると、先ほど御意見いただきましたとおり、検索をしやすいようにする、使いたいデータが欲しいときに使えるように、使いたいときに使いたいものが提供されるような仕組み、システム上、仕掛けをつくるということになると、マスターデータはいじらないということを基本にして、新しい求職情報サイトにコピーした形で、コピーするときにデータの構造を先ほどの御意見をいただきました、使いやすいように構造変更をかけるというのが一番現実的な回答になろうかと思います。

 そのときに使う技術が先ほど御説明申し上げたとおり、例えば、よく皆さんグーグル検索エンジンをよくお使いかと思います。あれは完全なフリーワード検索かと思います。あそこでグーグルさんがよく使っている技術というのは実は論文化されておりまして、その論文をもとにしてつくったフリーのソフトウエアなどもございますので、そういったものを使っていくことがいいのかと。

 当然、そこにはある程度、最新技術でございますので、そのときには当然最新技術を使いこなせる技術者という者を、構築をされるであろう業者さんにお願い、仕様書でどう反映させるのかというのが一番重要かと思っています。

 基本的にはマスターデータ、現行のハローワークシステムはいじらない。それでコピーして使う。この流れかと考えております。

○沼野参集者 結構、時間はなるべく早くということで段取りをとっていこうということになるのですけれども、今の最新のそういう検索技術であるとかオープンソフトウエアを使うことによって現実的な対応ができそうだという理解でよろしいですか。

○根本参考人 そのとおりでございます。

○沼野参集者 ありがとうございました。

○鎌田座長 ほかに、林参集者、どうぞ。

○林参集者 板倉弁護士様に質問させていただきたいのですけれども、前回の話の中でも出たのですが、やはりこの仕組みは求職者がより安全で安心な職を探せるというのが最終目的かと思うのですが、トラブルになったときの対応なのですが、個人情報が漏れたというトラブルであったり、余り自分が欲するとしない職に何らかの形でついてしまった、その上で発生するトラブル、いろいろな側面があるかと思うのですけれども、先ほどのお話を伺っている感じですと、確かに本人はハローワークに登録したが、その後、民間事業者との間にやりとりが始まった。ただ、民間事業者とのやりとりが始まった時点で、そこはある程度、本人の意思が発生しているので、その時点ではハローワークの責任はなくなるですと、私は受け取ったのです。

 そうなったときに、あとは本人と事業者との何らかの責任ですとかということになってしまうのか。その際、ハローワークができることは、次回からその事業者の名前を一覧から削除しデータを登録しませんというところ以上の何か罰則なり法的なところというのは、その事業者にはかけられないのかというところなのです。

 民間事業者さんに直接ある方が来て登録をしたトラブルとハローワークを介して紹介されてきた方とのトラブル等が同じトラブルだったときに、法的には同じ措置しかできないのかというところも含めて御説明いただきたいのです。

○板倉参考人 基本的には一緒でして、殊個人情報保護法の観点で言えば、苦情についてはきちんと個人情報取扱事業者のほうで受け付けなければいけない。ちゃんとやっていなければ、個人情報保護法は主務大臣制という形になっており、事業を所管する省庁が今のところ監督していますので、きちんとやっていなければ、それは事業所管省庁である厚生労働省のほうから指導・勧告・命令という形で行政指導・行政処分が出る。

 同様に、職業安定法上もそういった仕組みがあります。職業安定法上はきちんと遵守していないものに対して個人が厚生労働大臣に申し立てるような制度があるように見受けられるので、これを使うということもあります。厚生労働省としては、個人情報保護法上の措置と同様にきちんとやっていないというようなことであれば報告を求めたり、場合によっては行政処分だということになります。これらの措置は、ハローワークを通じるかどうかというのと、法的には関係がない、通じていても、いなくても措置はなされ得る。

 ただ、おっしゃるとおり、ハローワーク上で民間事業者に情報提供するシステムに登録される方に、システム上の何らかのメッセージが来て、どこかの事業者さんに登録したとする。メールかメッセージかに従ってその事業者のサイトに登録して進めていったところ採用がうまくいかなかったとか、紹介された案件が変なのだったというときに、本人が、それがハローワークなのか事業者さんなのか何なのかを理解しているかという問題は別途あるわけで、そこはどう見るかです。

 だから、ボランタリーにハローワークさんのほうで、そこについてはきちんと説明するようなものを設けるのか、そこは登録した以上は民間事業者さんのお話ですのでできません、ただし普通の苦情申し立ての仕組みはありますと御説明されるのかは、幅があると思います。

 ただ、本人は、登録される方の層を考えるとなかなか理解しないままいっぱいいろいろメッセージが来て、たまたま来たのに登録するという状況は容易に考えられるので、誤解を招かないように、法律上のというよりはオペレーションできちんとやるというのは重要だろうと思います。

○林参集者 ということは、あくまでもハローワークの責任ではないということはもう間違いないので、そこをいかに説明するかというところしかないということですね。そこは難しいのですね。ハローワークさんが間に入ってということには、なかなかいかないということですね。

○鎌田座長 その辺については、事務局から苦情処理の仕組みとハローワークの関与の程度ということを既にお示しいただいた図がありますので、もう一度、事務局から御説明を。

 要するに、人材ビジネスに渡した時点でハローワークは完全に責任から切り離されるのかというのは、私の理解から言うと、必ずしもそうでもない。というか、実際、ハローワークに登録して私はハローワークの求職は抜きますという構造になるわけでもなくて、多分、今、先生がおっしゃったように受け手のほうはどこからどうなっているかというのがよくわからない状態になっていると思うのです。

 ということを含めた苦情処理のシステムに一応なっているのではないかと思っているので、御説明をお願いします。

○首席職業指導官 お手元に第1回の検討会の資料があるかと存じますけれども、それの資料2の6ページをごらんいただきますと「苦情処理、違反行為等の防止について(案)」ということでお示しをしておりまして、求職者と民間事業者の方々の間でのトラブルということで、概念的にはこの四角が3段重ねしておりますけれども、こういう概念整理になるかということで、マル1はそもそも職業安定法違反ということで、紹介できない建設とかの紹介をやっているとか、そういうものでございます。

 マル2はこれもやはり職業安定法違反で、個人情報についての義務などの違反でございますけれども、ここは今回の取り組みを導入することによって苦情の可能性が高まるだろうということでグレーにしております。

 マル3は御本人が希望しないにもかかわらず、有料の紹介と余り関係のないサービスの営業を執拗にかけるとかといったところでございまして、それは例えばその規約上で、そういうものの防止の規定をつくって、そこに抵触する場合ということかと思います。

 右に絵がございますが<苦情処理体制の整備>ということで、一つは提供先、民間人材ビジネスのほうに個人情報の管理と苦情処理を行う責任者の設置を規約上義務づけるということになるかと思います。

 さらに、ハローワークに苦情受付窓口を設けて、求職者の方が申出者でございますけれども、こちらはハローワークでもその方から求職を受理しておりますので、求職を受理したハローワークの相談窓口で苦情を受け付けるという形にいたします。

 その内容が明らかにマル1のそもそも職業安定法違反であれば、これは従来、労働局が行って事実確認をして、行政処分あるいは許可の取り消し等を行いますので、そのルートで対処するということでございまして、マル2も明らかに個人情報の保護の関係で職業安定法違反であれば、労働局から事実確認、指導を行う。微妙なものについては事実確認、指導をまずはハローワークから行うということでございまして、3つ目の規約に違反して不適切な行為があるということであれば、それはハローワークが責任を持って事実確認、指導を行って、場合によっては、下にございますようにこの求職情報提供の仕組みの利用停止をするとか、そういうペナルティーを適用するということになるかと思います。

 あわせまして、先ほどの御指摘はさらに提供先が求人情報、求人を持っておられて、提供先から求人への紹介のところでトラブルが発生した場合ということだと存じますけれども、一つは基本的には職業紹介ですので、求職者とその提供先の事業者が一義的には責任があるということではございますけれども、その求職者自体はあくまでハローワークにも求職申し込みをしている求職者でありますので、それは引き続き、御本人の希望、能力に応じた適切な職業紹介、就職支援をしていくという流れの中で、そういうトラブルについてもハローワークでも対処していくということになるかと思います。

○鎌田座長 という整理でございますので、何かトラブルがあっても、それについてはもうハローワークは関係ありませんとはいかないということです。

 坂下参集者、どうぞ。

○坂下参集者 本日はどうもありがとうございました。

一点、前回の資料2の6ページの<ペナルティー>に関連して、板倉参考人にお尋ねしたいと思います。規約違反があった場合に不適切な行為に係る類型を整理した上で以下のようなペナルティーを適宜組み合わせて行うこととしてはどうかとあって、ペナルティーに(ア)~(エ)の段階が設けられているのですが、どの程度の規約違反がどのペナルティーに相当するのかについて、基本的な、妥当な考え方がもしあればご教示ください。

倉参考人 先ほど申し上げたとおり、要するに、法律をつくらないで行政契約の範囲でこうやるということですので、余り曖昧で国のほうが勝手に決められますということになると、どちらかというと行政処分に近寄ってきてしまってよくないということになります。行政処分であってもそれは基準はきちんと決めたほうがいいのですが、より一層、契約で決めているという形をとる以上はどういうことになったらどういうことになるというのは明確にしたほうがいいし、場合によっては、協議の上で納得の上でこうするという仕組みにしないと、一方的なものに近寄ることで、行政処分でしょうということになってしまうので、あくまで対等な立場でやる。

 契約としてきちんと理解して同意した上で、こういう場合には一定期間は使わないことにしますという形にするのが必要だということになりますが、余り機械的に点数制でペナルティーをこうしますというのも、それは難しいでしょうから、事前に協議みたいなものを入れるのか、こういった意見をもらった上で考えて両者で決めるとか、そういう仕組みがあることが望ましい。もちろん解除ということになれば、それは通常の契約でも一方的なことになります。利用権限の取り消しというのは、それは民事的には解除なわけですから、一方的なものなのですけれども、それ以外の途中のペナルティーみたいなものについて、一定程度話し合う機会みたいなものを設けるというのは仕組みとしてはあり得るし、全く設けないと問題があるだろうと思います。

○鎌田座長 よろしいですか。

 高松参集者、どうぞ。

○高松参集者 ありがとうございます。

 どうしても利用料金の話になってしまうのですが、民紹協様からは料金徴収がなじまないというお話が先ほどあったと思います。それはどこにおいても無料がいいというのはわかった上でお話をせざるを得ないのですけれども、やはり、かなりのイニシャルコストとランニングコストがかかることを、税金を使って運営するということでございますから、我々連合としては、少なくとも民間有料の方からは料金を取るべきだというのが主張でございます。

 徴収する料金が定額制であるのか従量制であるのか、金額の多寡の問題は別として、そういうことに対して、ぶしつけな質問で申しわけないのですが、それぞれ紹介事業主様から何か御意見をいただけたらお願いしたいと思います。

○樋口参考人 前回の御議論の中で利用料金の徴収について、いろいろな角度から御意見があったと私どもは認識をしているのですが、その際に、基本的な考え方として利用料金を取らない考え方もあるのではないかというお考えもあったやに認識をしておりまして、そういう観点に立った御対応をいただけるとありがたいというのがまずベースにあります。

 実態として、私ども事業者のほうにこの利用料金の徴収ということを考えた場合にどのように捉えるだろうかという実際的な観点で問いましたところ、職業紹介事業者は御存じかと思いますけれども、非常に大きな大手の会社もございますが、割合としては小・零細事業所が圧倒的多数でございまして、そういったところの負担能力ということを考えた場合には非常に厳しいというのが事業者の意見でございました。

 仮に、この利用に当たっての自分たちの効果と何らかの負担ということを考え合わせて、負担が重くなるようであればこの利用について躊躇せざるを得ないという観点でございまして、事業者からの私どもへの意見というのは、先ほど野村さんからもお話がございましたように、利用という観点については基本的には利用しやすいまた利用が可能な、そういった仕組みで捉えてくだされば積極的に利用したいという事業者の思いですので、この利用料金の徴収についてもそういった対応をいただけると事業者のほうはありがたいという御意見でした。

○鎌田座長 よろしいですか。

 野村参考人、どうぞ。

○野村参考人 私どもとしても同様に考えておりまして、そもそもこの件の事業目的といってよろしいかどうかわかりませんが、やはりお仕事を探されていらっしゃる方々により豊富で的確な案件を提供するために民間事業者を活用しようかというお話の向きだったと理解しております。

 したがいまして、言ってみれば失業されていらっしゃる方が1日も早く職業につかれて、雇用保険の支出を抑え、所得を得て税金を納め、社会保険をちゃんとお支払いになられるということの第1段階目のお手伝いを一緒になってさせていただくという考えでございますので、確かに利用ということでコストという考え方もあろうかとは思いますけれども、社会全体を考えたときに、そのことで全体コストを賄うことが大事なのではないかと理解しております。

○高松参集者 ありがとうございます。

 それは無料のほうがいいに決まっているというのはわかります。ただ、実際にこの求職者情報提供でどのくらいコストがかかるかというのは、事務方から提示されていませんが、先に進んでいる求人情報のオンライン提供システムは、13億円かかると聞いております。それも無料で進めようとしている。ということは、この求職情報提供システムをもとに有料職業紹介が成立してもうけが発生するということを考えたときに、一概に今の事業目的でいいのかという部分では、まだ議論の余地が残っていると私は思っておりますし、逆にこの程度なら料金を取られても情報量が極端にふえてプラスになるという費用対効果といいますか、分岐点みたいなものがもし御提示いただければありがたかったなという思いでございます。

 以上でございます。

○鎌田座長 福田参集者、どうぞ。

○福田参集者 日本商工会議所の福田と申します。

 先ほど、樋口様のほうから個人情報には適切な管理をなされているというお話をいただきましたが、現状、適切な管理をする上では、監査や報告への対応等、事務作業が発生すると思いますが、小規模事業者の負担感というのはかなり重いと理解してよろしいでしょうか。

○樋口参考人 負担感というよりも、許可をいただいて適正な運営をしていく上では必須事項だと事業者のほうは考えておりまして、これは負担があるなしにかかわらず遵守すべき事項という認識が浸透しております。

 したがって、そのことについては行政のほうからも、また、私ども団体のほうからも繰り返し説明し、研修会等で従事者の認識、育成に努めているところでございます。

○福田参集者 遵守すべきものと認識されているとは存じますが、その上での事務負担は重いとは考えていらっしゃらないということでしょうか。

○樋口参考人 繰り返しになりますが、この個人情報保護ということに関しては、求職者情報を初めとして職業安定法に基づいて職業紹介を進めていく上で必須事項だという認識が事業者のほうには浸透しておりますので、これは負担感あるなしにかかわらず遵守してやっていただいている、ないしは実行しているものでございます。

○鎌田座長 では、私のほうから幾つかちょっと質問があるのですが、まず、プライバシーマークなのですけれども、もしわかれば民紹協さん、人材協さん、どのぐらい構成メンバーで取得されているのか。割合でも、ざっくりで結構です。

 仮にプライバシーマークを取得しそれを維持するということになると、一体どのぐらい年間単位で費用がかかるものなのか。これもざっくりで結構ですが、少し教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

 事前に準備していただいていないので、突然なので後でも結構です。

○原野参考人 正直申し上げて、割合、費用ともに今は情報を持っておらず即答できません。申しわけございません。

○仲村参考人 プライバシーマークにつきましては、私どもの会員を含め通常の事業者はいわゆる個人情報の保護に関しては安定法で決められているものを遵守しております。労働局のほうからも監査があって、これについては厳しくいろいろなチェックがされるというシステムの中でやっておりますので、まず、紹介事業者自体が個人情報についてPマークを取るという意識。自体、余り今まで念頭になかったと思います。

 ということは、それがなくてもいろいろな研修の場もありますし、そのニーズといいますか、それがなければ紹介事業者に信用が保てないとかという感覚というのは、ほとんどかけ離れております。

 ですから、Pマークということを紹介事業者に言った場合に、非常に違和感を覚えるぐらいのテーマになっているのです。それだけ職業安定法あるいは個人情報保護法もありますが、厚生労働省からは取り扱いに関して留意事項が非常に細かく出されておりますので、その中身は非常に内容として濃いものがあると思います。ですから、それを紹介事業者の方々は守るためのいろいろな努力をやっているわけなのです。

 そういった意味では、Pマークがなくても十分にこういうシステムに対する対応は可能だと思いますし、万が一何かどこかということはいろいろなことも全くないということはないかもしれませんが、それに対する、その場合にどうするかという対応、苦情処理とかということについてもいろいろな研修をやって最大の関心事としておりますので、ちょっとPマークというのは非常にいきなりどかんという感じがいたします。

○鎌田座長 わかりました。

 私の質問も非常に突然で申しわけない。もしわかれば後で教えていただきたいということです。

 次に、ハローワークの求職情報の使い勝手という話はあったのですが、仮にこの方については民間ビジネス会社のほうでもいろいろ紹介業務に入りたいと考えた場合に、その時点では使い勝手の問題はありますけれども、匿名性といいますか個人情報性は薄い。ところがどこかの段階で紹介業務に入るということになれば当然特定していかなければということになって、その際にいわゆる紹介業者としての個人情報保護規定が今度は適用になってくるわけです。

 そうすると、個人情報の同意が一つの重要な柱だと思いますから、その方についての個人情報というか、その人についてのさまざまな希望を改めて調査し直すという形になりますか。

 一通り聞きますが、その上で、あなたについては派遣だとかあるいはもし御希望であれば、いわゆる求人広告のようなものも活用されたらどうですかという発想もあり得ますね。そうすると、最初に情報提供先としては職業紹介事業ということですが、企業としては部門は分かれていると思いますが、連携のある部門もあって、求職者としてもコーディネーターの方と話しているうちに、では、こういう選択肢はどうですかと、当然、努力の一環ですね。わかりましたということで、そうするとある種の2次利用という形で進んでいくということが考えられるのかあるいは現状においては普通は職業紹介で提供された情報なので、そういった利用というのはほとんど考えていないということなのか。

 もし、今、言ったように、いわば求人広告だとか派遣だとかということまで考えるということになると、例えばその際の個人情報の利用の状況というのは、個人情報の同意ということについてはどのような工夫をされているのか。

 後で板倉先生、そうなった場合にどう同意というのを、恐らく法律化ではないのでそれは流れの中でオペレーションでいくと思うのです。どう考えたらいいのかというのを教えていただければ。

 まず、紹介事業者の方、どなたでも結構です。

○野村参考人 御質問に関しまして、まず、ホワイトカラー系の人材紹介に関しましては、大変ざっくり言いますと、やはり人材派遣とかほかのサービスではなくて紹介というサービスを基本的に期待されている求職者の方が多く、そこで完結度合いが高いかと理解しております。

○鎌田座長 完結させるのですか。

○野村参考人 はい。

 御本人がほかもという御希望があれば、ラインナップがもっとあれば別です。

 私ども人材派遣協会でございますので、派遣の部門と紹介予定派遣、それから、直接の紹介という多くの企業がそういう3部門を持っております。これは先生も御存じのように、業法の中で派遣登録の方と紹介登録の方、これははっきり分けなくてはいけないということが決まっておりまして、今回のお話がなくても、そこに関しては非常に厳しい行政指導、監督をいただいております。

 ここがまたげるのは、丁寧な御案内の中で御本人の希望がはっきりとわかっているときだけ、御承諾をきっちりいただいているときだけということになりますので、なかなか紹介のほう、直接雇用を御案内するほうで案件が進まない。例えば、でもお仕事に就くのはお急ぎになっていらっしゃってこちらの派遣なら派遣とか、それ以外にもアウトソーシング業務のようなところで直接雇用ということもございますので、そういった領域にも本人が御希望されるといったときに初めてそれが成立するということになります。

 お話のように、御案内と御希望は当然、その会話の中で生まれますということにはなりますけれども、最終的な御本人の意思確認は必ず的確にやるということが非常に厳しく求められております。

○鎌田座長 そうしますと、御本人の希望に応じて2次利用、ただ、派遣と紹介は今おっしゃったようにかなりハードルが高いのですが、いわゆる求人広告関連という一つの企業で求人広告的なものが入っているのだったらどれだけあるのかよくわかりませんが、その辺のハードルというのはどうなっていますか。

○原野参考人 まず、基本的に今、野村さんがおっしゃったとおりで、個人情報をほかの事業のところに受け渡すことは全くないというのが大前提です。求人広告の情報を流す場合が全くないわけではないのですけれども、それについてもやはり同意をいただいて、例えばメールの形で求人広告を流しましょうかというようなことで情報は出していくということはございます。

 ただ現実的には、これも野村さんの最初のお話にありましたけれども、紹介で申し込まれた方が紹介できないとか紹介されないというケースは、当然ながら非常に満足が得られないということになるわけです。そうなると、もう紹介サービスから退会されるとか、何らかの形で終わってしまうということのほうが多くて、別途のサービスの案内は難しいです。

 ですから、求人広告の事業者からの情報がハローワークの求職者に提供されたほうがいいのではないのかという気持ちはございます。全国求人情報協会の調べでは現在100万件もの求人情報を民間で扱っています。その中には重複しているものもございますが、民間で大量の情報を持っていることは確かなので、今回の趣旨が民間の力も使いながら、マッチングをより広く拡大していこう、ミスマッチを最低限にしていこうということであれば、そこの情報をうまく使う仕組みを考えるほうが実は大事なのではなかろうかという意見です。

○鎌田座長 わかりました。

 板倉先生にちょっと御質問したいのですけれども、今のお話、原則はいわゆる2次利用というのはないという前提に立つのですが、ただ、実際には求職者との関係で、こういった選択肢を示されてでは私はこういった方面での、例えば派遣でもいいのですが、自分の情報を登録したいのですがとなった場合に、多分、普通に同意ということになると思うのですが、何が聞きたいのかといいますと、規約上、このシステムで出すときに、そういったことまで規定をしておかないとまずいのか、それとももう渡してしまったのだからその先はその事業者のレベルで処理してもらえばいいという話になるのかということをお聞きしたかった。

○板倉委員 事業者さんのほうから接触があって、今度はそこのサイト等に登録する。そこで同意をとって個人情報を出すわけですけれども、その際の登録で、通常は直接雇用をされたいと思ってハローワークに来ている人の登録をするときに、黙ってやると派遣のほうにもチェックボックスが入って同意をとるようなことをやると、もしかしたらそれは本人の希望と違うということになるのかもしれません。

 私は、そこは本人の気持ちが完全に読めているわけではないですが、ハローワークに来られている方が派遣でも何でもいいけれどもとりあえずハローワークに来ている、という人がほとんどであれば、登録のときに派遣も同時に登録して何でもいいからとにかく就職したいというようなことが考えられ、派遣への登録の同意も兼ねているほうがもしかしたら本人の気持ちに沿っているかもしれませんし、建前を重視するのであれば、そこはこの仕組みで民間の事業者さんに登録される際にはとりあえずはその派遣とかの登録は同時にはしないようにしておいて、しばらく探してもらってみて、見つからなかったもしくは派遣でもいいと本人が言った場合に切りかえるということであれば、それは一番安全というかトラブルは全く起きないと思いますが、それは本人の気持ちです。どうなのでしょうか。

 追い詰められている人の同意というのは後から落ち着いてみたらあれは違ったとなりやすいところがありますので、とにかく何でもいいから早く就職したいのだという気持ちのほうが強いのであれば、それは特段、規約のほうで規制する必要はないかもしれませんし、そうではなくて、やはり直接雇用がいいのだということであると、そこは規約上は、最初の登録では同時にほかのもの、派遣などは登録させないようにしてくださいということになるのですが、そこはどうですか。来られる方の通常のお立場によると思うのです。

○鎌田座長 わかりました。

 求職者にとっていい仕事チャンスが得られるというのは最大の目標なのですが、一方では求職者の方、自分の情報が仮にそういう目的で登録したにもかかわらずなかなかうまくいかないということになると、やはりそこに不満も出てくるということになって、そのころ合いをどのレベルで、規約で、要するに相互に事業者さんと厚生労働省さんのほうでリスク配分していくかということが大切かと思ったのです。わかりました。なかなか大変だということですね。

 ほかの先生、ありますでしょうか。

 ちょうど予定の時刻にも近づいてまいりましたので、本日のヒアリングはこれで終了したいと思います。

 参考人の皆様、本当にお忙しいところ、どうもありがとうございます。

 事務局から何か連絡等はありますでしょうか。

○事務局 事務局でございます。

 次回につきましては、第1回で出された御意見や本日のヒアリングを踏まえまして、論点について整理した資料を用意させていただきます。

 日程につきましては、2週間後あたりを目途に調整中でございますので、改めて参集者の皆様には御連絡申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○鎌田座長 それでは、これをもちまして本日の検討会は終了いたします。お忙しいところ、ありがとうございました。

 


(了)

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