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2014年6月13日 第13回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年6月13日(金)16:00~17:25


○場所

厚生労働省専用第12会議室(12階)


○出席者

委員

今野座長 神林委員 黒田委員 黒澤委員 櫻庭委員
佐藤委員 竹内(奥野)委員 野田委員 水町委員 山川委員

事務局

中野労働基準局長
大西大臣官房審議官
村山労働条件政策課長
岡労働条件確保改善対策室長
牧野職業安定局派遣・有期労働対策部雇用支援企画官
伊藤職業能力開発局能力評価課長
田中雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課長

○議題

(1)雇用管理上の留意点について
(2)その他

○議事

○今野座長 それでは、ただいまから第13回「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会を開催します。

 本日は、これまでの議論の取りまとめに向けた議論を行いたいと考えております。

 それでは、まず出欠と資料について、説明をお願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、冒頭に、国会対応等がありまして、欠席あるいは遅参する事務局の者が多くて大変申しわけありません。おわび申し上げます。

 本日は、委員全員に御出席いただいております。

 続きまして、配付資料でございますが、まず資料としてこれまでの議論を踏まえた本懇談会の報告書の骨子案が、通しページで1ページから続いております。別紙といたしまして18ページから雇用管理上の留意事項の案をつけているところでございます。

 その上で、参考資料といたしまして33ページ以降でございますが、前々回集中的に御議論をいただきました「雇用保障と労働条件明示」に関する整理案、参考資料2といたしまして、前回集中的に御議論をいただきました「転換制度と均衡処遇」に関するこれまでの議論の整理案、そして、参考資料3として前回の本懇談会における主な議論をまとめた資料になっております。

 資料について、不備等ございましたら、事務局までおっしゃっていただければと思っております。

 先ほど、座長からいただきましたように取りまとめの重要な回で、先生方も全員御出席をありがとうございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

○今野座長 それでは、議論に入りたいと思いますけれども、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○今野座長 それでは、まず事務局から資料を説明していただいてから議論をしたいと思います。

 お願いします。

○岡労働条件確保改善対策室長 それでは、資料を御説明申し上げます。

 まず、表紙をめくっていただきまして、骨子の「目次」でございます。

 これは、前回の懇談会でも資料でお付けしたものでございまして、まず1(ローマ数字)として「総論」で「多様な正社員の普及が必要とされる背景」と活用状況、2(ローマ数字)として使用者が留意すべき事項とそれを促進するための方策について、別紙1では先ほど課長から申し上げましたように「雇用管理上の留意事項」と「多様な正社員のモデル」といった構成になってございます。

 4ページ目から本文でございます。

 最終の報告書はこれに肉づけをして、報告書にしたいと思っております。

 事前に、先生方にメールでお送りいたしておりますので、逐次御説明は申し上げませんが、簡単に御説明を申し上げたいと思います。

 まず、最初に「総論」で「多様な正社員の普及が必要とされる背景」といたしまして、我が国の労働市場では「いわゆる正社員」と非正規雇用の二極化が指摘されておりますけれども、まず背景といたしましては、従来「いわゆる正社員」の長期雇用慣行を中心に、伝統的な人事労務管理が行われてきたわけですが、近年経済成長が低下したり、あるいは女性の社会進出で働き方の意識が変わってきたということで、働き方の見直しが求められるようになってきた。

 そうした中、企業もいわゆる多様な正社員的な新たな区分を設けるような動きもあり、また他方で付加価値を求めるということで、専門性を持った労働者を求めるようになってきている。

 こうした中で、二極化の解消ですとかワーク・ライフ・バランスの実現、企業による優秀な人材の確保のために多様な働き方が求められており、その1つとしてこの「多様な正社員」の普及というのが、重要となっているということでございます。

 しかしながら、先ほど申し上げたような、伝統的ないわゆる正社員を中心とした人事労務管理が定着しておりますので、なかなか急に転換ということを申し上げてもさまざまな困難や課題が多いということで、この懇談会では現状をヒアリングなどを通して把握いたしまして、さまざまな課題への対応等について整理するとともに、雇用管理上の留意事項と今後の施策に向けた提言を行うということでございます。

 2は活用状況ということで、これは先行の調査ですとか、あるいは懇談会のヒアリングでわかったことを改めて整理しておるものでございますので、説明は省きたいと思っております。

 8ページの下のほうからが、使用者が留意すべき事項と促進するための方策でございます。

 まず、1つ目はどういった場合に活用が期待できるかということで、9ページ以降に限定の種類ごとに分けてございますが、まず勤務地限定については人材の確保や定着に課題を抱えている企業において活用が考えられること、あるいは改正労働契約法の無期転換の受け皿としても活用が考えられるといったことがございます。あと、少し飛びますが、ものづくりの分野でも技能の蓄積、あるいはサービス業などでも地域のニーズに合ったサービスの提供が可能となることなど、いろいろな場面での活用が考えられるということでございます。

 次に(2)で職務限定については、いわゆるプロフェッショナルとしてのキャリア形成が可能となるということで、そういう活用もできますし、3つ目の○ですが、ゼネラリストではなくて特定のスペシャリストとしてキャリア・アップさせることも考えられるということが書いてございます。

 飛ばしますが、次のページ、10ページの(3)で「勤務時間限定正社員」の活用ということで、これも勤務地限定と共通するところがございますけれども、人材の採用や定着に課題を抱える企業において、何らかの制約がある優秀な労働者の方を採用したり、定着させたりということで、活用が考えられるということでございます。

 ただ、3つ目の○でございますが、この懇談会でもヒアリングを通しまして、時間限定というのが余り見られなかったわけですけれども、その要因として長時間労働を前提とした正社員の働き方、職場というのがあるのではないかということで、そういうものを前提としない職場づくりが必要ではないかということが書いてございます。

 次に2でございますが、これは前々回に御議論をいただきました限定についての明示についてでございます。

 紛争の未然防止、あるいは労働者本人にとってはキャリアの見通しや、ワーク・ライフ・バランスの実現といった観点から、明示が必要だということでございます。

 ただ、明示して限定があれば解雇が自由というわけではなくて、雇用維持のための解雇回避努力というのは求められることと、当事者間の明示とは異なることでございますけれども、多様な正社員の導入をしているということを外部に公表・公開していくことによって、求職者がその企業を評価する指標になって、企業にとっても有利な情報となり得るということも書いてございます。

 (2)は促進策ということで、法律で義務づけという御意見もあったわけですけれども、まずは運用が定着するまでは労働契約法の第4条の書面による確認という中で、こうした限定についても含まれるのだということで、解釈を示していったらどうかという御提案をいただいていたかと思います。それとあわせまして、当事者間の明示とともに対外的な公表という意味で、次世代法ですとかいろいろな手法を通して促進策というのをやっていくことが考えられると書いてございます。

 次に3でございますけれども「事業所閉鎖や職務の廃止等の場合の対応」ということで、JILPTの判例分析でも整理解雇法理が否定する裁判例はない。

 他方で、高度な専門性を伴った場合ですとか、他の職務とは明らかに違うような職務限定といった場合については一定の影響が見られたということでございますが、いずれにしても、使用者は配置転換などを可能な範囲で行うとともに、それがどうしても難しいという場合は、それにかわる代替方策を講じることが紛争の防止につながる。また、雇用の安定を通じて、長期的な生産性の向上につながると考えられるということを述べてございます。

 次の12ページで「能力不足解雇」につきましても、判例の傾向といたしましては、高度な職務限定の場合は、教育訓練とか配置転換がなかなか難しいという場合もあり、そういうものが求められない場合もあったわけですけれども、ただ、改善のチャンスを与えるという意味での警告ですとか、そういったことは必要だということで、少なくともそういったことは行うとともに、可能な範囲で教育訓練や配置転換、降格など、できることを行うことが紛争の未然防止につながるということを述べてございます。

 次に「転換制度」でございます。

 転換制度は大きく分けまして、アの非正規から多様な正社員への転換でございますけれども、こちらにつきましては改正労働契約法による無期転換もございますし、さらにいわゆる正社員へ転換を希望する方というのもいらっしゃると思いますが、有期のときといわゆる正社員では職務の範囲などがかなり違いますので、有期の間でも契約の更新ごとに職務の範囲を広げていったり、あるいは無期転換後もステップアップをしていくことが考えられるのではないかということを述べてございます。

 次に、イでございますけれども「いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換」ということで、これも労働者のモチベーションですとか、キャリア形成の観点から転換や再転換が望ましいということと、曖昧に運用でやるということもできますけれども、できれば社内制度化して明確化することで活用の促進や、紛争の未然防止に資するということが書いてございます。

 そして、13ページには、この懇談会で新たな御提言といいますか、いろいろな御提言をいただきましたけれども、限定の種類に応じて対応を変えていくことが考えられるのではないか。

 (1)のところでございますけれども、勤務時間限定については労働時間を短縮する、あるいは所定外労働を免除するということで「労働条件の変更」であり、必ずしも「キャリアの変更」を伴う必要はないのではないかということで、できるだけ要件を緩くしたり、あるいは転換をしやすくしたりしてはどうかという御提言がございました。

 他方、職務限定については職務の内容が変わる、範囲が変わるということで、これは「キャリアの変更」になる場合も多いということでございます。

 (3)の勤務地限定については、職務の内容が余り変わらない場合は勤務時間限定と同じように「キャリアの変更」を伴わないほうが望ましい。他方で、職務の内容と関連する場合については「キャリアの変更」となってしまう場合もあるということを述べてございます。

 そして、促進策につきましては、これについても法律で義務づけという御議論もありましたけれども、まずは運用が定着するまでということで、労働契約法第3条第3項の(仕事と生活の調和への配慮)の中に転換という趣旨も含まれることを解釈で示してはどうかという御提言がございました。

 次に14ページでございますが「処遇」、15ページの「均衡処遇」と関連する項目でございます。

 賃金について、勤務地限定については、同一の賃金テーブルを適用しつつ、転勤のリスクがあるいわゆる正社員については、別途手当を払うということが考えられるのではないか。また、一律に何割ぐらいということは言えませんけれども、ヒアリングですとかアンケート調査によると、大体いわゆる正社員の9割~8割ぐらいの水準が多かったということで、1つの参考になるのではないかということでございます。

 職務限定についてはなかなか難しいのですけれども、職務の範囲を狭くすれば職務給に近くなるということで、特定の専門性を生かした働き方などに資するのではないかということでございます。

 勤務時間限定につきましては2パターンございますけれども、所定労働時間が短い場合については時間比例で考えてはどうか。それから、所定外労働が免除される場合につきましては、先ほどの勤務地限定と同じように同一の賃金テーブルを適用した上で、残業のリスクがあるいわゆる正社員については別途手当をする。ただ、長時間労働がいいというわけではございませんので、いわゆる正社員についても所定外労働をできるだけ減らすことが望ましいのではないかということを述べてございます。

 (2)の「昇進、昇格」につきましても、先ほどの転換と類似でございますけれども、勤務時間限定あるいは勤務地限定でも、職務の範囲に余り影響がない場合については、いわゆる正社員との差をできるだけ小さくしたほうが、うまくいくのではないかということを述べてございます。

 「均衡処遇」につきましては、まず必要性ということを書いた上で、ただ、なかなか何をもってというのは判断が難しい。それから、先ほど9割~8割というのがございましたけれども、全体的にはそういった水準だということで、1つの参考になるのではないかということでございます。

 促進策といたしましては、労働契約法の第20条類似の規定を法定化するという御意見もあるわけですけれども、こちらにつきましても運用の定着、あるいは議論を待つということで、まずは労働契約法第3条第2項の(均衡の考慮)の規定に、いわゆる正社員と多様な正社員の均衡というのも含まれることを解釈で示してはどうか、そういった御提言をいただいたところでございます。

16ページでございますが、この懇談会を通じまして何度も御意見をいただいたのですが、そもそも多様な正社員、特に勤務時間限定がそうかもしれませんけれども、活用しやすくするためには長時間労働を前提としたような、いわゆる正社員の働き方の見直しというのも行っていくことが望ましいのではないか。

 それから、勤務地限定などにつきましても、本当に転勤や配置転換の必要性があるのかどうか、あるいはあるとしてもそのスパンといったものを再度見直すことも考えられるのではないかということでございます。他方、制度化をしてきっちりやっていくというやり方もありますし、運用で柔軟にうまくいっている場合もありますので、そういったことも考えられるのではないか。

 いずれにいたしましても、多様な正社員の普及自体が目的ではなくて、あくまで非正規のキャリア・アップやワーク・ライフ・バランス、あるいは企業による優秀な人材の確保・定着、そして、日本全体の労働力の質の向上と生産性の向上というのが目的でございますので、そういったものにつなげていく必要があるのではないかということでございます。

 次に「人材育成・職業能力評価」ということで、これは4月の会議のときに能力評価課長から御説明申し上げましたけれども、新たに評価制度を整備し、能力の「ものさし」を整備しまして、職業能力の「見える化」を促進する。そして「見える化」によって明確になった目標に即して、職業訓練というのをやっていく、またはそれを支援していくということが重要ではないかと述べております。

 最後は労使コミュニケーションということで、制度の導入や運用に当たりましては、労働者には十分に情報提供するとともに、十分な協議を行うことが適切である。また、組合がない場合についても、いろいろな形でのコミュニケーションを行うことが必要ではないかということを述べてございます。

 以上が本文の骨子ということで、18ページからは別紙で「雇用管理上の留意事項」でございますが、こちらにつきましては今御説明申し上げました、本文の中の使用者が留意すべき事項を再度整理したものでございます。内容的には重複いたしますので説明は省略させていただきます。

 また、25ページからは「多様な正社員のモデル」ということで、この懇談会でも8社に来ていただきましてヒアリングを行いました。その企業ですとか、あるいは別途事務局のほうで企業から教えていただいた就業規則の規定ぶりですとか契約書の規定ぶりを少し加工した上で参考として載せてございます。

 それから、32ページは高度専門職、いわゆるジョブ型のキャリア形成の事例ということで、金融業や情報サービスの分野でそういった働き方が見られるということで、余り詳細ではございませんけれども、事例を載せておるということでございます。

 以上でございます。

○今野座長 ありがとうございました。

 それでは、議論していただきたいのですが、全部だと少し散漫になりそうなので、大きく言うと総論と、留意すべき事項と促進するための方策と2つに分かれていますので、目次を見ていただくとわかりますので、まず総論について御意見をいただいて、その後に留意すべき事項等について御意見をいただく。あと、時間があったら、もう一度全体を議論していただくということにさせていただければと思います。

 それでは、まず総論の部分はいかがでしょうか。

 どうぞ。

○竹内委員 修正を何か要するという意味でのコメントではありませんけれども、先ほど御説明の中であったとおり、事前に委員の中でメールをやり取りしつつ、適宜修正を加えたという話がありましたが、そことの関係で言うと「1(ローマ数字) 総論」のところでは、「必要とされる」という表現が本当に適切かどうかはややわかりませんけれども、何で多様な正社員という働き方の1つのあり方というのが求められるのかということをまず明らかにした上で、それがどういうメリットがあってとか、留意しなければならない点があってということで後半につながっていくことになろうかなと、そういう意味では普及が求められる背景、必要とされる背景ということが、この1(ローマ数字)の1にあるとおりにあっていいと思っております。

 いろいろありますけれども、この多様な正社員の施策というのが唯一とか、あるいはそれで十全な施策ということではもちろんないと思いますが、いわゆる非正規雇用と呼ばれている人々の処遇の改善とか、キャリア・アップということとか、あるいはワーク・ライフ・バランスの実現という観点、ほかにもいろいろ優秀な人材の定着とかということもありますけれども、それは今申し上げたこととも実質的には共通するところもあろうかと思います。

 特に何かということであれば、非正規の雇用改善とワーク・ライフ・バランスの実現に資する1つの形ということで求められるのだと、そこのところに特に力点があって、それ以外のものをもちろん否定するつもりではありませんけれども、あっていいのかなという気がいたします。そういう意味で「こうした中で」と、1(ローマ数字)の1の下から2つ目の○で書かれていることとかが出ているということで、私は比較的よろしいのではないかと思っております。

○今野座長 水町さん、手を挙げましたか。

○水町委員 総論と各論というのでしょうか、後半の部分と両方にまたがる問題なので、総論の話が終わったほうのつなぎで結構です。

○今野座長 ほかにいかがですか。

 どうぞ。

○山川委員 5ページに限定の内容の明示状況が、活用状況として書かれていますけれども、これは結構なのですが、後のほうで多様な正社員といっても多様であるというお話が出てきて、どのように多様なのかというのは、処遇等多様な正社員に与えられるものが多様である場合と、限定の仕方が多様である場合と2つに分かれると思うのですが、限定の仕方が多様であるというのが余り書かれていないのです。後のほうでは就業規則の規定例とかで、例えば地域がぴったり限定されている場合と、割とふんわりと限定されている場合とかいろいろありますので、限定の仕方が多様であるという実態もほかに出てくるところが余りないようですので、この活用状況のところで正社員の多様性みたいなところを、限定の仕方に着目する面でもちょっと説明したほうが、後からわかりやすいかなと思います。

 以上です。

○今野座長 今おっしゃられたのは、8ページぐらいから始まるところですか。

○山川委員 こちらだと一種の政策論になってしまいそうで、5ページくらいにその活用状況というのがありますので、言ってみれば(3)をちょっと膨らませるみたいな形かなと思いますが、5ページの一番下の2の(3)でしょうかね。

○今野座長 なるほど、それはよろしいですね。

○村山労働条件政策課長 前々回に御議論をいただいたときも、結局限定の多様性のときに有無なのか、ある程度グラデーションなのかというところは、もうこれ以上立ち入るのはやめようということでしたけれども、裁判例の分析等をやっていく上で1つの重要な視点だと思います。ちょっと書き漏らしておりましたので、御指示のようにしたいと思います。

○今野座長 ほかに何かありますか。

 どうぞ。

○神林委員 済みません、根本的なことがわかっていないのですが、これは報告書の骨子(案)と書いてあるのですけれども、この書類の目的というのでしょうか、何のためにこの書類が書かれているのか。これは、報告書をこの文言のとおりに書いていくということですか。

○村山労働条件政策課長 まさにおっしゃるように報告書のもとになる、前回本当の骨組みだけでこれでは議論にならないというお話もございましたが、少し内容を書き込んで、これからさらに具体的なデータですとか、注釈や図表などは別の作業としてありますけれども、話の流れとして、先ほどの話ではないですが、総論があり、こういう各論の整備であり、あるいは「雇用管理上の留意事項」等について、労使双方にとっていいものになるようにこういうモデルですとか、例示のようなものも示していく構成でよろしいでしょうかというので、きょうはお集まりいただいているということでお願いしたいと思います。

○神林委員 わかりました。

 そうすると、日本語として何かここはおかしいとか、そういうことは別に今は必要ないわけですね。

○今野座長 それは最後です。

 ほかにいかがですか。総論のところはいいですかね。

 どうぞ。

○黒澤委員 なぜ必要とされるのかというところで、先ほど非正規の労働環境の改善についてというお話がございましたけれども、それに加えてやはり今後労働供給というか、労働力人口がなくなっていくという中で、できる限り人々の能力を生かしてそれを活用するのだというその視点を、もうちょっと入れていただけたらなと思います。

○今野座長 そのとおりでございます。

 そうすると、入るとしたら4ページの下から3つ目ぐらいの○のところで、そういうのも膨らませるということですかね。

 それでは、留意すべき事項と促進するための方策というところに入りたいと思います。

 では、水町さん、先ほどのことで。

○水町委員 ありがとうございます。

 総論の6ページのところで(4)のアの「賃金」の「多様な正社員の賃金水準はいわゆる正社員の賃金水準に比べて8~9割超の企業が多い」というところ、それを踏まえて1415ページのところなのですが、ここになると「勤務地限定正社員」と「職務限定正社員」に分かれてきて、そして右の15ページのところでは「均衡処遇の必要性」でいずれも9割超~8割と書いてあるのですが、これでいいのかなというところが少し疑問で、恐らく一番最初の6ページの総論のところは、調査をしたら大体8割~9割超が多かったですよというところなのですが、14ページになって「勤務地限定正社員」のところは多分調査の結果、ほとんど勤務地限定の例で9割超~8割程度で、14ページのアの○の3つ目で「9割超~8割程度で比較的円滑に運用されていることから」と書いてあるのですが、この「比較的円滑に運用されている」というところが本当にそうだったのかどうか。典拠を示すのか、理由を少し変えるのか、これでそのまますぽっとくるのかというのが1つです。

 それと、その下の「職務限定正社員」のところで専門性が高い1つ目の○のところは、賃金制度を別にしたほうがいいのではないかということなのですが、でも、2番目で専門性がそんなに限定されて高くない、職務の範囲が広い場合には、今度はアと同様に9割超~8割程度が参考になると書いてありますが、これは本当に参考になるのかなというところが2番目の疑問です。

15ページの「均衡処遇」のところになってきますと、これは多分職務とか勤務地という限定のない一般的な話として、6の(1)の3番目の○ですが、賃金水準は9割超~8割で、多様な正社員からも比較的納得が得られている場合が多いことから参考となると書いてありますが、そうだったのかなという、どこの調査のどこら辺のところがその根拠になっているのか。何となくそんな感じだったよということなのか、少し全体として整合性をとって、はっきりしているところであれば参考になるけれども、そうではないところは、もうちょっと書きようがあるのかもなというところがここでの大きな疑問です。

○今野座長 はい。

○竹内委員 関連して、これは恐らく最後の17ページの9のところに集約されていると読めるかもとは思うのですけれども、賃金の8割、9割というヒアリング調査とかをしたときも、もうちょっと差があるような企業とかで労使の話し合いでそうなったとか、そういう意味では数字だけではなくて、労使が話し合って、当該企業の労使としてはそれぐらいが納得できる水準だねということに至ったところもあると思うのです。

 そういう意味では9のところで集約をしているのかもしれませんけれども、賃金にかかる5の1415ページのところか、あるいは6の「均衡処遇」のどちらかはわかりませんけれども、こういう賃金水準の差異をつけることも含めて決定に当たっては労使が話し合って決めることが重要だということもあってよいのではないかと思います。

○今野座長 そうすると、今問題になっているのは8割~9割という数字が、それぞれのタイプ別に書いてあるわけだけれども、それでいいのかという問題と、もう一つはそれが円滑な経営とか、納得性があるとかというその副詞的表現をどうするかということだと思う。

○水町委員 今の議論の関係で私の記憶だと、私は全部出席したわけではないので、私が直接ヒアリングで見聞きしたのは限定的だと思うのですけれども、差がすごく広がっているときは余り利用がされていない。かつ、その差が広がっているときの決め方はどうしたのかというと、余り労使で話し合いをしないでとりあえず決め打ちでやって、広い差だったら余り利用されていない。それが例えば91とか92とか、かなり高い水準になると利用率が高くなって、かつ労働者も積極的に利用して円滑に回っていることが多いという記憶があるのですが、それが8割~9割超で円滑に運営されていて、比較的納得が得られているとざぱっと書いていいかというところも、いずれにしても、今までのヒアリングはほぼ勤務地限定のパターンだったので、職務限定のところはまた別の話が必要なのかなという気がします。

 ただ、数字を入れるということ自体は否定的ではないので、何か参考になるようなことというのはあったほうがしかるべきだと思いますが、もうちょっと何か書きようがないかなということです。

○今野座長 私の意見は、この8~9割という数字は、例えば勤務地限定でそういう数字があっても実質上職務限定が絡んでしまっているケースもあり、実はすごく複合的なのですね。

 決めているほうは余り分析的に認識していないかもしれませんけれども、ですから、ざくっと書いておいたほうがいい。つまり、このタイプはこれ、このタイプはこれと余り書かないほうがいいのではないかと思うのです。ですから、限定している場合はいろいろなことがあるけれども、大体8割~9割だということは事実だと思うのです。

 それともう一つは、納得しているかどうかというのは、一番安全なのは中立的に書く。例えば、先ほど竹内さんが言われたように、労使で考えたら大体そのぐらいで決まっているところが多いとか、相場だとかというぐらいで、かえって中立的に書いておくという方法はあるかなと思うのです。

○水町委員 労使で話し合ったというケースは余りこれまでない。

○今野座長 わかった。

 では、労使で話し合うは載せてもいいけれども。

○佐藤委員 調査のことだけで言うと、やはり皆さんが言われたように勤務地限定と職種限定と時間限定は相当違うので、時間限定は基本的に時間比例だよね。職務限定の場合はここに書いてあるように賃金体系が変わってしまうので、いわゆる正社員と賃金の支給が違う場合が、限定すると職務給と職能給みたいなことがあるから、その8割~9割というのは誰と比較してかというのがまずあります。

 もう一つは、そういうことがあるので、皆さんが言われるようにこれまでの調査だと基本的には勤務地限定でやる。ただ、その場合も勤務地の限定の仕方もいろいろあるから、世界中転勤等とかというのと日本国内すごく近いところがあるから、実際上それによっても相当違うのでかなり分布が広いのですね。

 大体、8割~9割が多いというだけで、かなりばらつきが実際にあるし、あともう一つは従業員の結果と企業の結果をリンクすると、差が大きくても両方納得しているというのが結構あるのだね。均衡点というのは幾つもあるみたいだから、余り8割~9割で均衡すると書かないほうがいいかな。

 基本的に皆さんと同じなので、データ的にもそんな感じです。

○今野座長 現状はそうなっていますというのだったらいいわけですか。

○佐藤委員 現状ではもうすごくバリエーションが、8割~9割は多いけれども、そうではないもっと差があるのもある。

○今野座長 いずれにしても、現状を書いておけばいいということですか。

○佐藤委員 ほとんどが8割~9割ではないからね。

○今野座長 私はざくっと、余りこのタイプはこれで書かないほうがいいと提案しましたけれども、書き方としてはそう書くか、実は職務限定は余り書きたくないという気もあるのですよ。この職務限定の職務の範囲が非常に曖昧で人によって違うので、もしタイプ別に入れるのだったら、勤務地限定だけ入れておいたほうが安全で、どちらかだなと私は思うのだけれども、どうですかね。

○水町委員 先ほど、座長が言われた勤務地限定といっても、結局職務の幅の広さにかかわるというところをざくっと書けないかどうか。

○今野座長 私のざくっとというのは、個別の限定で書かないで全体的に限定正社員というのを書いて8~9割と本当にざくっと書いてしまうか、職務限定に限定して8割~9割と書くか、どちらかの選択肢かなと思うのです。

○山川委員 勤務地限定に限定してということではないですか。

○今野座長 ごめんなさい、勤務地限定に限定してです。

○櫻庭委員 8~9割というときは、初任給のレベルで8~9割なのでしょうか。それとも、平均的にですか。

○今野座長 この場合の気持ちは、同じような仕事をしている人ということですよね。

 ですから、前回この辺のおっしゃった言葉で言うと、プレミアム分が1~2割ということかな。

○佐藤委員 職種限定を書くときに難しいのは、誰と比較するかというのが限定されていないわけですよね。パートタイマーの均衡処遇みたいな話になってきて、パートのほうは非常に職種限定で職務給に近くて、これとのあれが8割~9割という議論はしないわけですね。だから、それと同じようなことなので、私はちょっと、やっている仕事も違うし、いわゆる正社員が職務給みたいになっているかといったらそうではないので、8割~9割とは書けない、実際上無理ではないのですか。

○今野座長 佐藤さんの案は、書かないほうがいいということですか。

○佐藤委員 はい。

○今野座長 そういう提案か。

○佐藤委員 職務限定については書かないようにしておく。

○今野座長 職務限定についてですね。

○佐藤委員 職務限定だけです。

○今野座長 勤務地限定はいいわけですね。

○佐藤委員 書く。

○水町委員 職務限定が今は少なくて、もう少しジョブに見合った処遇体系もつくっていったほうがいいのではないかという中で、1つは、ジョブに見合った賃金制度にするという方向性もいいのですが、ただ、ジョブに見合った賃金制度にするとしても、正社員とジョブ型というのが余りにも開き過ぎた場合にどうするかということを考えなくてはいけない。

 ここの懇談会では、余りこれまで意識して議論してこなかったかもしれませんけれども「望ましい働き方ビジョン」とか、佐藤先生がこれまでずっとやられたことの中で、例えば職務が違ったとしても、職務の難易度とかに応じてバランスをとった賃金制度にするといういわゆる職務評価とかということで、難易度とかそういうものを考慮しながら設定することが考えられるだろうとか、職務のほうはそういう書き方で、数字を入れるというよりかは、そういう考慮要素みたいなものを入れるというのは考えられないかな。

○佐藤委員 それは賛成です。

○今野座長 いいですよ。私は問題ないと思います。

○佐藤委員 では、別のことでいいですか。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 いろいろ苦労してまとめていただいて、ありがとうございます。

 特に24ページの「いわゆる正社員の働き方の見直し」。

○今野座長 その前に、今の件はそれでいいですね。

○佐藤委員 はい。

○今野座長 どうぞ。

○佐藤委員 そうしたら4つ、1つは10ページの2の(1)のところで「将来にわたるものか不明な場合も多い」と書いてあるのです。このことにかかわって、9ページのところの職務限定なのですけれども、勤務地限定や時間限定と違って、将来にわたって一番わかりにくいのは職務限定かなと思っていて、1つは世の中にジョブ型みたいな議論があるのです。

 どういうことかというと、例えば26ページに就業規則の例示があるのですけれども、上の(3)のところで販売職として商品の販売業務に従事します、こういう限定の仕方は多分今もそうだし、今後もこうなってきて、その上の営業事務、顧客サービス業務に従事しますと書いたときに、今は営業事務と顧客サービスを両方やっていないということなのか、今は営業事務だけれども、顧客サービス業務もやることになりますよという限定かというのがわからないね。

 そういう意味で、今やっている業務がずっと続くという限定の仕方と、今はこれだけれども将来動いていきますという限定の仕方、勤務地限定も同じなのですが、転勤はあるけれどもこの範囲と言っているのは、今の事業所だけではこっちをやりますと言っているのだよね。将来のことも言っているのだけれども、職務の場合はすごくわかりにくいので、そういうことをちょっと書いたらどうかなということなのです。

 つまり職務限定については今やっている仕事に限定するのか、将来つく仕事の範囲を限定するのか、大きく言うと2つあることを少し書いてたらということなのです。皆さんはどう書くのかな。それが1つ。

 あと11ページの3の上から3つ目の○で、これは今まで議論になったところなのですけれども「勤務地限定や高度な専門性を伴わない職務限定については、整理解雇法理の判断に与える影響は小さく」と書いてあるのです。職務限定のほうは高度な専門性を伴わないと限定しているのだけれども、勤務地限定は全てがそうなのと、勤務地限定のあり方によるのではないのというのが書かれていないのはどうかなというのが1つです。

 今のはちょっと小さい点だけれども、3つ目は12ページの(1)のアの2つ目の○も、改正労働契約法で有期の方が5年を超えたときには余り変わらないと書いてあるのです。これはいろいろな調査があるのですけれども、いわゆる正社員に転換するというのは結構あることはあるので、これはデータ的にそうかなということです。

 最後の1個、これはちょっと大きな話で、先ほどのところの15ページの限定したことと「昇進、昇格」の関係で、昇進の上限と勤務地限定はどこか書いてありますか。

○今野座長 (2)の○の2段落目です。

○佐藤委員 ここはスピードに余り差をつけるなと書いてあるのですけれども、私の考え方としては勤務地を限定したりしていると、そのことによって今野先生が言われたように経験できる仕事がすごく限定されることによって、結果的にあるポスト以上につく職務遂行能力が明らかに獲得できないという状況があれば、それである程度労使で納得できれば限定するのはあるけれども、そういうのは余り多くないのではないか。つまり、もう一つの選択は人事側が限定しない、結局上のポストにつく能力があるかないかで判断すればいいというのがありますよね。

 つまり、基本的には勤務地限定だって昇進の上限は設けないで、基本的には上のポストにつく能力があるかないかで、昇進管理でやればいいというもう一個の選択があるので、私はそちらのほうが人事管理上はいいのではないかと思うのです。逆に言えば、これだとすごく能力がつかない人も上げていかなければいけないととれなくもないのです。逆に読むと、明らかに勤務地が限定されることによって、経験できる仕事の範囲が狭くてどんなに頑張ってもほんのちょっとの人しか店長になれない。だけれども、頑張っていわゆる正社員が店長までいくのだから上げろみたいなことにもとられなくもないなと思うので、ちょっとここは大きいかなと思ったのです。

○今野座長 ここの文章は「勤務地限定」と限定してしまったとして、それはいいのですけれども、でも限定した範囲内で仕事経験ができるのに最初から人事管理上経験させないということが今あり得るのです。

 したがって、勤務地が限定されても経験が大体できるのであったら、そこは無差別にいわゆる正社員と同じように経験させろという意味だと思うのです。

○佐藤委員 でも、これは昇進の上限は差を小さくと書いてあります。

○今野座長 だから、そういう人にはちゃんと経験させて昇進させるというという意味だと思います。

○神林委員 そういう意味にはとれないと思います。

○佐藤委員 とれません。

○今野座長 では、文章が悪いのだ。

 ただ、今、佐藤さんが言われた能力の問題は入っていないのです。それは入れたほうがいいと思います。今は制度上、最初から勤務地限定だからという理由のみで仕事経験をさせないケースがあるからそこは外そうという気持ちだと思います。

○佐藤委員 ただ、現状で一番多いのは、勤務地限定ごとに昇進の上限を決めているのです。

○今野座長 その昇進の上限を決めているときに本当に仕事経験ができるのに低目に設定しているケースもあるから、そこはちゃんと経験できるのだったら目いっぱい行けるようにしてあげなさいという趣旨だと思います。

○佐藤委員 ですから、多分、現状でいうと昇進の上限を設定しているからその昇進まで行ける程度の仕事しか経験させないということが下から起きているのです。だから、私は昇進の上限を設定しないという選択があるのではないかと思います。

○今野座長 そうすると、そういう文章だと社長まで行けということですか。

○佐藤委員 もちろん、可能性としてね。でも、基本的にはいわゆる正社員だって社長まで行かないわけだから、昇進管理のところで能力があるかないか見ればいいのです。

○今野座長 でも、先ほど言ったように勤務地限定でやると仕事の幅が限定されるのは事実ですね。

○佐藤委員 結果的に、昇進の上限は分布としては下のほうに来るのです。それは結果であって、初めから設定するわけではないです。

○今野座長 多分、ここの文章で言っていることと佐藤さんの言っていることは基本的に一緒だと思います。あとは表現の問題です。

○佐藤委員 そういう趣旨があれば、わかりました。

○今野座長 神林さんが心配している日本語の問題なわけです。

○佐藤委員 わかりました。

 私は以上です。

○今野座長 佐藤さんは4つぐらい言っていたので、一個一個やっていかなければ。

 次は何だっけ。

○佐藤委員 9、10ページの職務限定について説明するかどうかということです。職務限定とは何ということをちょっと説明したらということなのです。

○今野座長 でも、これは全部将来込みですよ。

○佐藤委員 入っているということですか。

○今野座長 そうなのではないの。

○佐藤委員 そう書いていただければいいのです。ただ、ジョブで限定するというのは、普通に考えると将来ではなくて今のジョブでしょう。普通は職務限定は今の職務ではないですか。

○今野座長 それは最初の契約の問題で、広目にジョブで契約しておいて、現在、狭目に扱って、将来は広目にいきますよということです。

○佐藤委員 だから、そういう意味では限定は結構いろいろあるということを読み手がわかるように書いていただければ。我々が思ったことが相手に伝わればいいというだけの話です。

○今野座長 つまり「職務限定」と言ってしまうと、今の仕事だけに限定していると思われては困るという意味ですね。

○佐藤委員 それだけです。多分、ここでは合意できているのです。ただ、読み手が誤解する人がいないかというだけの話です。

○今野座長 また文章の問題です。

 もう2つ、何か言っていたよ。

○佐藤委員 11ページの3の(1)の3つ目の○です。

 与える影響は小さいというので「高度な専門性を伴わない」と職務限定については限定がついているのです。勤務地限定は限定がないので、あらゆる勤務地限定はそうなのかということです。

○今野座長 竹内委員、どうぞ。

○竹内委員 その点に関しては、これも伝わり方、読まれ方というのもあるかと思いますけれども、この整理解雇に関して報告がなされた回のときの議論では「他方」というところで出ていますが、高度な専門性を伴っている職務限定のときについては解雇回避の中身についてそもそも雇用維持を前提とした解雇回避ではなくて、例えば再就職支援だとか退職金上積みという、ある意味、離職を前提としたような策でもいいのだという意味で、求められる中身がそもそも違うという指摘があったと思います。勤務地限定の場合とかあるいは高度な専門性を伴わない職務限定の場合については、そういう質的な相違はないと思います。

 勤務地がどう限定されているかとか、あるいはそもそも事業所が1個しかない会社ですとか、そういう事案によっては、それは「配置転換、職務転換を可能な範囲で行う」と次の○で書かれているところで、もちろん、それはバリエーションがあると思うのです。

 現在の文章で言わんとしていることは、高度な専門性を伴う職務の限定の場合というのはそもそも判断の視覚として他と異なる傾向が見られるということであり、他方で、そういう意味での違いは見られないというのを、ここでは整理解雇法理の判断に与える影響は小さいと表現しているのかと思うのですけれども、それでいい表現かどうかはもちろん議論の余地はあろうかと思います。

○今野座長 それでいいのではないですか。あとは最後に出てきたときにそう読めるかどうかチェックしてください。

 もう一つ、12ページですか。

○佐藤委員 これはつまらない話です。4の(1)のアの2つ目の○です。

 「多いと現時点では考えられる」というのは、幾つかの調査を見るといろいろだなと思っただけの話です。いわゆる正社員に転換するという企業も結構あるのでと、それだけの話です。

○今野座長 これはどちらにしてもバックデータをくっつけるのですね。

 私は多いと思っていますが、今、多いのではないですか。

○佐藤委員 結構、いわゆる正社員に転換するという、調査によるのですけれども、どうするかという調査は3つか4つあります。

○今野座長 でも、大勢はそのままというのが多いのではないの。違うのか。

○佐藤委員 そんなに、3割か5割ぐらいの感じです。

○今野座長 そのままが7割か5割ね。

○佐藤委員 その3割ぐらいがいわゆる正社員にということです。そんな感じです。だから、そういう意味では多いです。

○今野座長 いずれにしても、これは事実の問題だからね。

○水町委員 これはかつ将来の目標なので、幅広に書いたほうがいいです。2018年以降の問題なので。

○佐藤委員 いろいろまだ企業は決めていないですよ。

○水町委員 決めていないという時点でアンケートに答えています。

○佐藤委員 それが正しいのではないですか。

○今野座長 そうすると、今のところの調査は意向調査に近いのですね。では、それについてはバックデータをくっつけるときに気をつけていただきたいということですね。

○佐藤委員 それだけです。これは大した話ではありません。

 以上です。

○今野座長 では、佐藤さんの問題は終わり。

 ほかはどうですか。

○水町委員 モデルとか就業規則とかあちらのほうはまだ後ですか。

○今野座長 もういいよ。

 では、神林委員、どうぞ。

○神林委員 日本語の問題もちょっとありそうなので一言だけ提案なのですけれども、15ページの6の「均衡処遇」というのと14ページの「処遇」というのを一緒にしたほうがわかりやすいのではないかということです。

 具体的には、まず「均衡処遇の必要性」というのを最初に持ってきて、その後、具体的な「賃金、昇進・昇格」というのを書いて、最後に促進策というのを持ってくるという構成です。日本語の問題です。

○今野座長 賛成です。

 黒澤委員、どうぞ。

○黒澤委員 10ページの2の「労働者に対する限定の内容の明示」の(1)の「限定の内容についての明示の必要性」なのですけれども、そこの一番下の○なのですが、なお書きの「限定の明示とは異なるが」というところなのです。

 企業が勤務地や職務等の限定正社員を導入している情報が公表されるといいよという話で、ここでは単にさらっと「導入している情報」と書いてあります。これについて我々はいろいろ議論したと思うのですけれども、実際にどうやって運用しているか、つまり、そういう制度があるなしだけではなくて、制度があってそれがどうキャリアに影響を与えるとか与えないとか、転換の有無があるとかないとか、賃金がどうだとかカフェテリア方式になっているとか、そういったことも全て含んだ形でどうやって使われているかを示すことが重要だと。つまり、明示の有無だけではだめなのだという話をしたと思うので、そのあたりが伝わるようなもうちょっと膨らませた書き方にしていただけるといいのではないかと思いました。

○今野座長 わかりました。

 私が考えているのは、今おっしゃられたことというのは制度の有無だけではなくて、運用をこうしてキャリアにこういう影響を与えて処遇にこういう影響を与えてというところまででしょう。さらっと書いてしまうと企業はすぐそんなの無理となるので、ちょっと書き方を工夫したいと思っています。

 ですから、そういうことをやるといいことがあるというのはいいのですけれども、このまま、例えばこの情報というところに今のものを全部すぽっと入れてしまうと企業はそんなの無理となってしまうから、ちょっと書き方を工夫したほうがいい。内容は私も賛成です。

 では、覚えておくから、考えてもらいましょう。

○岡労働条件確保改善対策室長 可能な範囲でとか、企業ごとに判断してとか、何かちょっと留保をつければいいですか。

○今野座長 そういうことではなくて、こうしたらいいことがあるぞ的に書けるかな。

○神林委員 日本語の話になってしまっているので、日本語で書くとすれば、やはりこういうものを書くときには「例えば」みたいな例示をして、こういう情報がこう伝われば利用者の人たちはこう評価することもあるだろうということを具体的に書くのが一番いいと思います。

○今野座長 したがって、やってみたらというやり方ですね。

 竹内委員、どうぞ。

○竹内委員 どちらかというと瑣末で字句修正の話に近いのかもしれませんけれども、13ページの転換制度で、このページの真ん中の少し上あたり(1)、(2)、(3)で*、*と幾つかついていますが、(2)と(3)のそれぞれ2つ目の*のところでキャリアの変更になるから転換の要件や回数制限について厳格に定めることが考えられると書かれているのですが、恐らく趣旨としてはキャリアの変更を伴わないような労働条件、時間だけが制限されるというところに比べれば、もうちょっと考えて設計する必要があるでしょうということだと思うのです。

 一律に厳格に定めなければいけないという書きぶりにする必要はないかなという感じで、余り変わらないかもしれませんけれども「より厳格に定めることが考えられる」とかぐらいにしておいて「より」と入れておいたほうがいいのかなという気がいたします。

 以上です。

○神林委員 その点なのですけれども、ここの項目の「イ いわゆる正社員と多様な正社員の間の転換」というのは、これはちゃんと書くときには全面的に書き直した方がいいと思うのですが、多分、このままだと何を言っているのか全然わからないのです。

 なので、書く要素はこれでいいと思うのですが、それはぜひちゃんと書きましょう。よろしくお願いします。

○今野座長 これは前回も出ましたが、一番上で勤務時間限定正社員の場合は比較的キャリアに影響を与えるのは小さいみたいな感じだけれども、それはこの前も出ましたが、労働時間が半分だったらそうはいかないぜとかがあるのです。

 だから、全体的にこの辺は上手に書いたほうがいいですね。それぞれに書かないで、もう少し全体をカバーする基本的な考え方ぐらいを書いておくのが一番いいのかもしれません。それぞれは状況が多様ですからね。

○佐藤委員 どの段階かも、初期キャリアのときとか、ある程度一人前になってしまってから短時間なのとまだ一人前になる前の短時間は、実際は全然違います。

○神林委員 なので、ここで書かなければいけないことの必須事項というのは、キャリアの変更というのと短期的な一時的な労働条件の変更というのを概念的には分けて考えてください。ただ、実務上、それが重なるということはもちろんあり得るでしょう。けれども、それはロジカルには全く別物なのだということを書くのがマスト、書かなければいけないことです。

 それが具体的にどういう組み合わせになるのかということを例えば例示するのだったら例示してもいいとは思いますけれども、一般的な考え方と具体的な例示という組み合わせで書くべきだろうと思います。

○今野座長 そのときに、今、神林さんが言ったのは一時的な労働条件の変更とキャリアの変更で「一時的」と出ています。これが恒久的な場合はどうしますか。

○神林委員 恒久的な労働条件の変更は恐らくキャリアの変更と並行するだろうと考えられます。それは各企業で決めるべきことだと思います。

○今野座長 ただ、恒久的な場合も先ほどほかのところで議論がありましたけれども、例えば恒久的に勤務地限定だとしても、キャリアが全く違うのかというのはその辺は少し考えたらという話があったわけです。

○神林委員 多分、合意がとれたのは、それは企業がどうキャリアを設計するかに依存するわけなので、その辺の組み合わせに関しては現場に任せればいいのではないかというのがボトムラインだと思います。

○今野座長 ところが、先ほど私と佐藤さんが議論したことは、そういうことではないのです。

○神林委員 そういうことです。

 なので、ちょっと違和感があったのですが、つまり支店勤務に限定しますという人をどういうキャリアに乗せるのかというのは、それは企業次第であって、今野さんがおっしゃったように支店勤務に限定された人が、本来だったらその支店の中にあるような業務なのだけれども、支店勤務に限定された人はもう幹部候補生ではないからそういう業務はする必要がないと判断してそれが合意されているのであれば、それは職務の範囲をそこに抑えるということはあり得る話ですね。

 ただ、それは労働条件をどう限定するかということとキャリアをどう構成するかということの組み合わせをちゃんと考えてくださいということに全て落とし込むことができるのではないかと思います。

○今野座長 黒澤委員、どうぞ。

○黒澤委員 逆に言えば、いわゆる一時的な労働条件の変更というものがあるとそれはイコールキャリアの変更とかなり連結してみなされてしまっているのが現状だ、というのをばんと出して、しかしそれは違うのだと。一時的というのはつまり生産性とかかわってくるわけです。だから、「一時的」のタイムスパンが長くなればそれはキャリアの変更も余儀なくされるだろうし、その一時的労働条件の変更にどういうバラエティーがあるのかによっても違ってくるだろうし、そこには非常に多くのバリエーションがあるのだと。だから、そのバリエーションのあり方によってキャリアへの影響というのは考えなくてはいけないけれども、労働条件が何らかの形で変わったからといって直ちに、つまり変更が一時的であろうが何であろうが、限定の内容が何であろうが、時間であろうが、勤務先であろうが、職種であろうが、ちょっと変わったからといってすぐにキャリアに変更するのはおかしいでしょうということを最初にばんと書いたらどうですか。

○今野座長 もしそれを書くと、佐藤さんと私が言った意見になるのです。こちらの意見にはならない。

○黒澤委員 いえ、同じです。

○神林委員 同じです。それで、佐藤さんと今野さんの意見ではないです。

○今野座長 そんなことないでしょう。

○神林委員 整理したほうがいいですね。

○今野座長 佐藤さんと私が言っているのは、勤務地限定だからといってすぐキャリアが違ってしまうということはなるべくやめましょうということを2人で言っていたのです。そのときに2人が想定していたのは、多分、一時的ではないのです。最初から勤務地限定社員で恒久的な人たちを2人は想定しながら議論していたのです。

○神林委員 わかりました。

 多分、違いはその「なるべくやめましょう」という言葉に規範的な意味が入っているかだと思います。なるべくやめましょうというのは、普通、そういうことは望ましくないので、ある意味、そういうことはやめましょうと提案しているわけですね。

 けれども、恐らく黒澤さんと私が考えているボトムラインというのは、それをそう設計するかどうかは労使にとりあえず任せるというのが前提にあって、それにプラス何らかの規範的なガイドラインというのをつくるべきかという話とかかわってきて、でもこれは前回、たしか労働時間の話で私が結構極論のことを言ったら、それはもうないと反対されたと思っているのです。

○今野座長 そんなことはないです。

○佐藤委員 私は、基本的にはどう設計するかというのは労使の選択であると思うのだけれども、人事管理上は限定しないほうが望ましいと思っています。

○神林委員 それは、望ましいというのは生産性が高くなるということですか。

○佐藤委員 そうです。だから、基本的には上限を設定したらそこまでだと思って、初めから能力開発をしなくなってしまう。だから、私はそういう意味で生産性と言ってもいいかもわからないけれども、それは望ましくない。ただし、労使の選択がまた別のことはあり得えるということです。だからそんなに変わらないです。

○神林委員 わかりました。

○山川委員 前回欠席したので議論についていけるかどうかわからないですけれども、やはりキャリアというのがよくわからないという点が一つあります。法的概念でもありませんし、門外漢ながらこういう場合はどうだ、こういう場合はどうだと議論してきていろいろ考えるべきことはあるのですが、もっと抽象化されたモデルみたいなものがあるのでしょうか。

 限定されるということが企業にとってのその労働者の価値の評価に何かの影響を与えているという前提で議論をしているのかなと。つまり、限定に理由があって限定の中身も多様で、しかし、この限定によって職務評価みたいなものでこの点の評価が低くなるとか、そういう議論を一種の前提としているとすれば、そういうモデルみたいなものをどこかで書ければ書いたほうがいいのかとは思います。

 ただ、これも例えば高度専門職に限定して雇用しているのは限定したら価値が低くなるわけではなくて、もともと高い価値を求めて雇用した人の価値を維持するために限定しているという色彩があるような気がするので限定の理由によっても違う気がするのですけれども、要は、限定ということによって生じたファクターが企業にとっての労働力としての価値の評価に影響を与える、そういう問題を議論しているのだということでよろしいのですか。

○今野座長 それももちろんあるのです。多分、限定をしたときに企業にとってみると、その労働者はどれだけの価値があるのか、あるいは価値にどういう影響を及ぼすのかというのは、前回も出たプレミアムの問題とかに関係して処遇などに関係してくると思うのです。

 今、ここで議論されているのは、言ってみれば何の仕事をさせるかということなのです。させ方によってキャリアを積んでいくので、黒澤さんと神林さんが言ったのは限定するということと、あとはこちらでキャリアを選択する。つまり、エリートコースとかというのがあったときにいろいろな仕事をどんどんさせる。そうすると、限定した途端にそこから外れるということはなしでしょうということを言っているのでしょう。

○神林委員 その「なしでしょう」というのは労使が決めることだということです。なしになるかどうかというのはそこで決めてください。けれども、ちゃんと決めてくださいということです。

○今野座長 論理的には1対1には必ずなるというわけではないということですね。

○神林委員 ないということです。

 黒澤さんがおっしゃったのは、今は自動的になってしまっているので自動的になるという状況はもうおかしいでしょう。労使で話し合った結果、それはそう一致させましょうということであれば仕方がないという立場ですけれども、それに対して2通りの答えがあって、一つは社会的に見てそれを労使で合意したからといって、例えば一時的に育児休業をとったらもう幹部候補生から外しますというキャリアを労使が合意したからといって認めるということは正しいのかどうかという議論が一つです。

 もう一つは、そういうことをやったら人事管理上、生産性は高くならないという議論が一つです。2つあるという整理ができるのではないかと思います。

○今野座長 佐藤さんと私は多分、後者の件を強調しているのです。

○神林委員 前者の件はもう言うのはやめましょうという話になったということですね。わかりました。

○山川委員 何となくわかってきました。要するに、限定されていることを理由として、人事制度上、労働力の価値を評価することに対する規範的な要素をどこまで盛り込むかということですか。

○今野座長 価値については差をつけてもいいと言っているのです。

 でも、仕事配分とかキャリアをどう積んでいくのかということについては1対1の関係ではない。今はもう完全に1対1の関係になってしまっているので、そこは論理的には別だということを明確にしたい。そういうことですね。

○山川委員 そうすると、あとは評価をどこまでそれをやってはいけないというのを、望ましくないレベルにするか、それとももっと高度なものにするかという議論なのでしょうか。

○今野座長 そのときに、多分、ここの2人は労使でちゃんと話し合ってくれと言ったわけですけれども、佐藤さんと私は、仕事があるのだったらやらせろよということなのです。

 例えば、支店があったとして、勤務地限定で今までだったら支店だったら係長までと制度的にすぱっと決めていたのを、いや支店長だって仕事はあるではないか、そこは能力があったらやらせればいいではないかというのが2人の話なのです。それは人事管理上です。だから、言っていることは一緒なのです。

○黒澤委員 全くそれは私も合意します。そのとおりです。

 今のこの報告書の例えば13ページの*があるところは、生産性という概念からいって、その人の予測生産性というものもあると思うのですけれども、限定の時間、期間とか限定の内容によっては、キャリアの変更を伴う必要が時間の変更であっても生じるかもしれないし、そのバリエーション、組み合わせによっていろいろなことが労使の相談の結果、あり得るわけなのです。

 ただ、今の状況を見ると、時間だったら必要ない、となっている。もちろん、時間の場合は、それが本当に短期の場合は特にキャリアの変更にはつながらないということは規範的に言ったほうがいいということは、以前、議論になりましたけれども、ただ、それをもう少し限定のあり方とか限定の期間によっていろいろなバリエーションがあるのだということを含ませた上での整理でないと、何となく今のままだとその中の一部だけを抽出しているので全体像が見えにくいのです。

 ですから、本当に言いたいこと、つまり先ほど神林さんがおっしゃった別にしなさいということをまずメッセージにして、その次に例えばねという形でおりてくるといいのだけれども、この「例えば」の一部だけが最初に出てきてしまうから、全体で一番伝えたいメッセージが届かないような気がしたのです。

○今野座長 ということで、先ほど神林さんとはそうしようという話になりました。基本的な考え方を一番最初にぱっと打ち出します。

○黒澤委員 ありがとうございます。

○櫻庭委員 今の神林先生の規範的な要請があるかどうかという点なのですけれども、育児介護休業法で、条文は手元にありませんが、勤務地の変更に当たって育児をしている労働者については一定の配慮をしなければいけないとか、何歳までの子を養育している場合には短時間勤務の措置をとりなさいとありますね。その一定期間だけ限定で、育児、介護などを理由に勤務地の限定とか勤務時間が限定される場合にキャリアの変更を伴っていいかどうかという点については、一定の規範的要請はあるような気もあるのですけれども、そこは書かなくてもいいのですか。どこまでの要請があるかということをはっきり書くのは難しいかもしれないのですが、少しは言及してもいいように思ったのです。

○佐藤委員 当然、制度でカバーされるということを書いておきますか。

○今野座長 そうしますか。

○山川委員 あとはどこかに書いてあるけれども、均等法上、必要性がないのに転勤に応ずることを昇進の要件にすることはそもそも違法になりますので、そういうことも書いてもいいのかもしれません。

 先ほど黒澤さんの言われたように、モデルと言いましたが、もっと原理的なこと、要するに限定したということのみをもってステレオティピカルに決めつけてはいけないということだったら一致するのかという気がしました。

○神林委員 今の話は結構重要だと思います。なので、労使合意を基本にするとはいえ、もう既に幾つかの要素については、法律上、規範的にこうするべきだということはもう定まっているということは一段落ぼんと入れて、こういう要素についてはちゃんと考えてくださいというのを挿入しておくということです。

○今野座長 多分、佐藤さんと私が2人でやっていたときには、例えば1年間だけ短時間して帰ってくるとかという人はキャリアの変更などはもう既に余りないと、2人はもうそう思っているのです。

○佐藤委員 あるいはそうしなければいけないと思っています。

○今野座長 だから、もう少し広目に考えて2人で議論していたと思います。

○山川委員 運用で正社員について前も言いましたけれども、ちょっと事情がある人はしばらく転勤させないようにというのは、やはりそういうことがあるからだと思うのです。

○今野座長 これはいいですね。重要な点が合意できたので。こういう話になるとここからこちらがにぎやかですね。法律の話になるとこちら側です。

 ほかにいかがでしょうか。

○佐藤委員 水町さん、モデル例はどうですか。

○水町委員 25ページ以下のところで細かい点も含めて2~3あるのですが、一つは数字の問題ですが、25ページの下からちょっと上の(3)の通勤圏内というときに「概ね通勤時間1時間30分の範囲」というのが、これから将来に向けて示すモデルとして大丈夫なのかという素直な感想でございます。

 あと、これは数字が全然入っていないものと数字が入っているものがありますが、28ページの一番上と29ページの上から6~7行目ぐらいです。転換を1回したら3年以内は行わないというこの「3年以内」というのは、これは大体アンケートというかヒアリングでこういうのが多かったのですか。この「3年以内」というのが相場観としていいのかどうかというところで、数字を具体的に入れるとすれば少し前向きな、実態にも比較的に合った数字のほうがいいのかという気がしました。

 そして29ページの下の段「経営上の理由等により事業所閉鎖等を行う場合の人事上の取扱(解雇事由)」。これは就業規則にこういう規定を設けるという趣旨で書いてあるのですか。

 1(ローマ数字)はこの検討会の中で議論をしてきた内容とか検討してきた内容と結構合っています。そして、特別な高度な専門職という例外的な場合を除いて、一般的な場合には他の職務への転換が困難な場合とか通勤可能なほかの事業所がなく本人の事情により異動できない場合というのが新しく加わっているので、モデル就業規則としてこれはぜひ入れていただきたいと思うのですが、2(ローマ数字)のところは現行の就業規則とほとんど変わらないし、どういう場合にこれに意味があるのかというのがわかりにくいので、これは入れる必要があるのかということです。

 次の30ページの3(ローマ数字)の「配置転換と解雇を並列に規定」という、これは就業規則規定で例えば配転可能というのを書いたとしても、労働契約上限定されればそちらのほうが有利な取り扱いとして優先されるので、これは就業規則上このようにモデルで書きなさいということも法的に疑問なので、ここは1(ローマ数字)だけのほうが前向きかなという気がしました。

 同じ30ページの(2)「労働契約書の規定例」というところで、(1)で「労働契約書(労働条件通知書)のみで」と書いてありますが、これは「のみ」をとったほうがいろいろな意味でいいかなというのが私の意見です。

 以上です。

○今野座長 最初の25ページの通勤時間と転換後3年というものは、これは○○でいいですね。別に数字を入れる必要はないですよ。

 あと3点ほど言ったので、それは上手にやってください。

○佐藤委員 やはり、こういうものが出ているとこれがスタンダードだと誤解するので、水町さん、今野先生が言ったように、できるだけ○○にしてしまったほうがいいかという気がしないでもないです。

○竹内委員 今の話だと、先ほど議論になりましたけれども、27ページだと賃金水準のところで100とか95とか出ていますが、その辺はそれでいいのでしょうか。

○水町委員 私は逆にここは入れておいていただきたいと思って、余り全て一般化したくないと思ってそこだけ言ったのです。

○今野座長 これも○○ですかね。ここだけ数字が入るのはおかしいでしょう。

○水町委員 では、先ほどの3年は残してもいいです。

○今野座長 それよりどう書くかだけれども、先ほどの話とも関連するのですが、資料として情報をどこかで提供してあげておけばいいのではないの。それではだめですか。ここを○○○にして、例えば例示をどこかの資料か何かにくっつけておくとか。

○神林委員 私のアイデアは、全部固有名詞を入れてしまう。△△とか○○というのを全部外して適当に全部入れてしまう。数字のところも適当に入れてしまう。そうすれば、これは架空のものだというのがわかるので、多分、そのほうが具体的でいいのではないでしょうか。△△、□□とか××というのは、すごくうそっぽいです。

○佐藤委員 逆に、複数を並べるのはどうですか。例示も10080とかいろいろ入れて、いろいろあるということをわかるように。

○神林委員 それもわかりにくいのではないですか。

○今野座長 ここで具体的な数字を入れるとか○○にちゃんと具体的に入れるというのは、これが影響力を発揮して周りが余り引っ張られてしまうと困るということでしょう。それだけだよね。

 そうすると、それを回避したい。でも、わかりやすくしたいのですね。

○竹内委員 すごく当たり前かもしれないですけれども、全体として読めばもちろんわかるのでしょうが、別紙2と現在なっているこの規定例の冒頭で「数字はあくまで一例です」というぐらい注記をしておけば、数字を入れるというのはありかもしれません。

○今野座長 だから、私はよくわからないのですよ。ここに数字が入っているとどの程度の影響力を発揮するのかということがわかっていれば対応ができるのだけれども。

○水町委員 我々がモデル就業規則というのでいろいろな資料をつくるときは、必ず具体例を入れておきます。そうしないとリアルでなくてみんな読んでくれないのです。

 ただ、それが一例だとわかるように架空のところは下線をしておくとかという工夫もできるかもしれません。

○今野座長 では、○○もちゃんと入れてですか。

○水町委員 ただ、引っ張られないかどうかというところはまた人事労務管理の専門家の御意見をお願いします。

○今野座長 でも、それこそモデル就業規則などをつくられたときにどういう影響を及ぼしているかというのはそちらがよく知っているわけだから、それを踏まえて考えるべきです。

○水町委員 我々は我々の名前で書くときは、そこの規範的な意味合いなども踏まえながら具体的な数字とか名前を入れていきます。

○今野座長 では、それではないですか。数字も全部入れよう。水町さんの先ほどの通勤時間も却下ね。

○水町委員 これを1時間30分と入れるのかほかの数字にするかというところは、御検討くださいということです。

○佐藤委員 そしたら60分にするとか70分ぐらいにするとか、もうちょっと短目にする。

○今野座長 余り短目にすると読んでいるほうがふざけるなと思うよ。これを30分か何かにしておいたら。

○佐藤委員 それはそうですね。

○水町委員 そこは専門家に任せます。

○今野座長 わかりました。

 ほかにどうでしょうか。

 山川委員、どうぞ。

○山川委員 先ほど、水町さんに言われてそう思ったのですが、30ページの就業規則の3(ローマ数字)の「配置転換と解雇を並列に規定」という、この規定の例を入れた趣旨がよくわからないということです。

 つまり、配置転換を行うことがあると、アとイがどういう意味を持っているのか。以下の場合にという趣旨かもしれないし、でも、配置転換をアとイに限定するというのは少し考えがたい就業規則です。

 それと解雇の関係もこの2つの条文がどういう関係にあるかもわからないので、これは余りいい例ではないから取ってしまったほうがいいような気がします。

○今野座長 水町さんも取ってしまえという話ですね。

○水町委員 はい。あと2(ローマ数字)も一緒に取ってしまえということです。

○今野座長 では、それはそれでいいのだね。

○佐藤委員 18ページの別紙1の内容のことなのだけれども、出て行き方なのですが、これは中のものを切り出してあるのです。これがどう出て行くかなのですが、つまり、別紙1の部分だけが独立して出て行くとすると、若干前にあったほうがいいのかと思います。例えば、4ページの「総論」の少しぐらいがくっついていたほうがいいかと思ったのです。

○今野座長 これは、趣旨は前のところのものをもう少し留意事項に絞って整理する。あとは全体をちゃんとわかりやすくするにはどうするかというのは、私は見てからでいいかなと思います。つまり、本論が決まってからまたこちらが動くからと思っていたのです。

○佐藤委員 この別紙1をつくったというのはなぜですか。

○今野座長 これを広く配りたいということなのです。

○佐藤委員 そうですね。なぜ「多様な正社員」なのというのがどこにも書いていない。

○今野座長 入れたほうがいいですね。

○佐藤委員 そうかなと思ったので、そうすると「総論」にこういうものがあったほうがいいかと思ったのです。

○今野座長 賛成です。

 ほかにいかがですか。

 竹内委員、どうぞ。

○竹内委員 1点だけ、事務的なことかもしれませんけれども、今の議論があったのに関連して確認ですが、きょう一まとまりで資料が出ていますが、最終的な形で出て行く資料として、別紙2の後にさらに参考資料などがついていますが、この辺は出て行かないということでよろしいですか。わかりました。

○今野座長 この本論と、今、議論になった留意事項と、あとは基本的な情報みたいなものをつくるのですね。

○佐藤委員 ヒアリングを整理した後ろの資料は何も入らないわけですか。

○村山労働条件政策課長 少なくとも、今、座長からありましたデータ等は入れていく必要はあると思っています。ヒアリングは抽象化したもので表に出している1枚、2枚のごく簡単にまとめたものは入れたほうがいいという御意見であれば入れさせていただきます。余り詳細なものは個社との関係で。

○今野座長 ですから、きょう議論の本論をつくってもらって、留意事項もつくってもらって、資料もくっつけてもらって、それをざっと見て資料の点についてはこれがあったほうがいいとかと言っていただければいいということですね。

○佐藤委員 本文に必要なものを後ろにつけるということですね。

○今野座長 ほかにいかがですか。もういいですか。

 それでは、これで事務局に報告案をまとめていただきますので、もう一度事前に見ていただくという手順をとって、それでまた最終報告案をつくって次回の委員会ということですね。

 次回の日程等について事務局からお願いします。

○岡労働条件確保改善対策室長 次回の日程につきましては調整中でございますので、決定いたしましたら御連絡いたします。

○今野座長 決まっていなかったですか。

○岡労働条件確保改善対策室長 候補は大体決まったので、なるべく近いうちに御連絡します。

○今野座長 教えてということです。候補は2日ありましたね。

○岡労働条件確保改善対策室長 7月4日の17時と11日の13時からです。

○今野座長 とにかく調整していただいて、やはり事前に皆さんの意見をもう一度きちんと聞いたほうがいいのでそこのリードタイムが必要ですので、そこまで含めて考えてください。

 それでは、きょうは終わります。ありがとうございました。


(了)

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