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2014年5月14日 第1回ハローワークの求職情報の提供に関する検討会

職業安定局総務課首席職業指導官室

○日時

平成26年5月14日(水)10:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室(厚生労働省 22階)


○出席者

構成員

鎌田座長、坂下参集者、福田参集者、林参集者、高松参集者、沼野参集者

事務局

職業安定局次長、首席職業指導官、労働市場センター業務室長

○議題

(1)検討会の開催について
(2)ハローワークの職員情報を提供する場合の論点について
(3)その他

○議事

 

第1回ハローワークの求職情報の提供に関する検討会を開催いたします。参集者の皆様方には、本日、御多忙のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。座長が選出されるまでの間、司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、資料の確認をお願いいたします。資料 1 「ハローワークの求職情報の提供に関する検討会開催要綱」、資料 2 「ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について」、資料 3 「検討会の今後の進め方について」。参考資料 1 「審議会等会合の公開に関する指針」、参考資料 2 「職業紹介業務のワークフロー」、参考資料 3 3 28 日に開催された分科会の資料、参考資料 4-1 「プライバシーマーク制度関係資料」、参考資料 4-2 ISO27001 関係資料」となっています。落丁、落札がありましたらお知らせください。

 検討会の開催に当たり、職業安定局次長より御挨拶申し上げます。

○職業安定局次長 おはようございます。職業安定局次長の宮野でございます。本日は大変お忙しい中、委員の皆様方お集まりをいただきまして、ありがとうございます。第 1 回目の冒頭ということで、私から一言御挨拶をさせていただきます。

 この検討会を開催するきっかけ、経緯ですが、既に皆様に御案内のとおり、昨年 6 月に閣議決定された「日本再興戦略」において、労働市場におけるマッチング機能の強化という観点から、 1 つは、ハローワークの求人情報についての民間あるいは地方公共団体への提供ということがうたわれています。それと併せて、今回御議論をお願いします求職情報の提供ということにつきましても、まずこちらについては、ニーズ調査等を行うべしといった内容が盛り込まれています。これを踏まえまして、私ども厚生労働省としまして、求職者の方あるいは民間の職業紹介事業者の方を対象にニーズ調査を実施いたしました。

 その結果ですが、求職情報について提供可あるいは提供を希望するという割合は、両者ともに全体の 3 分の 2 以上を占めているということで、一定のニーズがあるという結果は出ております。

 その一方で、求人情報と違いまして、求職情報については、個人が特定できるという個人情報に関わるものですので、個人を特定できる情報のニーズに両者に大きな乖離がある。例えば「提供可」とする求職者の過半数は、目的外利用の禁止など、情報の適切な取扱いを希望している。したがって、求職情報を提供するにしても、その仕組みあるいは取扱いというものをどうのようにするのかについて、慎重に検討する必要があるということが、同時に明らかになっています。

 このニーズ調査の結果について、本年 3 28 日の労働政策審議会職業安定部会の場で御報告いたしますとともに、今後の検討の進め方について、外部有識者あるいは労使の方を加えた検討会を発足させ意見をお伺いすることについて、御提案を申し上げました。そして、「慎重かつ丁寧に検討を進めてほしい」という御意見も頂戴しつつ、検討会を設けることについて分科会の委員の皆様から御了解を頂いたところです。こうした経緯で、今回この検討会について、第 1 回の開催をお願いすることに至ったところです。

 以上、申しましたとおり、外部労働市場におけるマッチング機能の強化といいますのは、非常に今後の我が国にとって大きな課題であると考えています。その中で、今、申しましたとおり、求職情報に関しては、個人情報、プライバシー等、非常にデリケートな問題も含んでいるということで、こうした形の検討会での御審議をお願いすることになった次第です。

 私ども、これからの検討のスケジュール等もありまして、非常にタイトな検討をお願いしております。そういう中で、委員の皆様方は大変お忙しいところ恐縮ではございますが、是非、忌憚のない御意見を頂ければと考えているところです。是非よろしくお願いいたします。

○事務局 続きまして、本日は第 1 回目ということですので、各参集者の方々と、厚生労働省からの出席者を紹介させていただきます。まず、五十音順に従いまして、事務局から参集者の方々の紹介をいたします。

 東洋大学法学部教授の鎌田耕一様です。日本経済団体連合会労働政策本部主幹の坂下多身様です。日本労働組合総連合会雇用法制対策局長の高松和夫様です。株式会社沼野 Associates 代表取締役の沼野伸生様です。 JAM 中央執行委員の林典子様です。日本商工会議所産業政策第二部副部長の福田泰也様です。

 続いて、厚生労働省からの出席者を紹介いたします。宮野職業安定局次長です。野村首席職業指導官です。星労働市場センター業務室長です。

 続いて、本検討会の開催要綱について説明いたします。資料 1 を御覧ください。まず、検討会開催要綱の「趣旨」については、次長の挨拶で申し上げたとおりですので、割愛いたします。

2 番目の「主な検討事項」として、 (1) 求職情報の提供先の範囲や参加要件、 (2) 提供対象となる求職者の範囲や求職情報の範囲、 (3) 厳正な情報管理の仕組み、苦情処理、利用規約違反行為等の防止の在り方、 (4) 利用者の利便性向上の方法や取組の成果把握の方法等を考えています。

3 「検討会の運営」についてです。 (1) 検討会は、厚生労働省職業安定局長が学識経験者等の参集を求め開催するものである。 (2) 検討会の座長は、参集者の互選により選出する。 (3) 座長が必要があると認めるときは、関係者の参加を求めることができる。 (4) 検討会の庶務は、厚生労働省職業安定局首席職業指導官室において行うとしています。

4 「参集者」については別紙とありますが、裏面のとおりとなります。 5 「開催時期」については、平成 26 5 月からということです。

 次に、要綱に従いまして座長の選任に入ります。座長は要綱 3 (2) において、「検討会の座長は、参集者の互選により選出する」とされています。そこで、事務局の案としては、鎌田教授にお願いしたいと考えているところですが、いかがでございましょうか。

                                  ( 異議なし )

○事務局 ありがとうございます。異議がないようですので、本検討会の座長を鎌田教授にお願い申し上げます。鎌田教授におかれましては、これからの議事進行についてよろしくお願いいたします。

○鎌田座長 改めまして座長ということでよろしくお願いいたします。。私はこの問題を大変重要な課題だと考えておりまして、是非、皆様に忌憚のない御意見を頂き活発に御議論いただくよう取り進めてまいりたいと思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。座らせていただきます。

 まず、議事の公開について申合せをしておきたいと思いますので、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 参考資料 1 を御覧ください。 3 ページです。会議の公開について、厚生労働省における「審議会等会合の公開に関する指針」において、懇談会等行政運営上の会合については、マル1個人に関する情報を保護する必要がある。マル2特定の個人等に関わる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれる。マル3公開することにより市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある。マル4公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼす恐がある。などといった場合を除きまして、公開することとなっております。特段の事情により、会議又は議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することともされております。

 これに従いまして、本検討会につきましても、会議及び議事録については、原則公開という扱いとさせていただきたいと考えております。なお、参集者から、会を重ねていく中で、議題等によって非公開とすべきとの御意見があった場合のみ、会議及び議事録の公開についての取扱いをその都度判断することとしたいと考えております。また、配布資料につきましても、会議及び議事録と同様に原則として公開するものといたしますが、取扱いに注意が必要な資料の場合にはその旨を表示し、非公開の扱いとするものとさせていただきたいと思います。以上でございます。

○鎌田座長 今、御説明がありましたように、この会議の公開方法に関して、何か御意見はございますでしょうか。

                                   ( 特になし )

○鎌田座長 よろしいですか。それでは、今の御提案のように取り扱うこととさせていただきます。

 本日の議題に入ります。まず、議題 (2) ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について、事務局から御説明をお願いします。

○首席職業指導官 論点につきましては、私から御説明させていただきます。資料 2 「ハローワークの求職情報を提供する場合の論点について」を御覧ください。

1 ページ、最初が情報提供そのものの仕組みについてのイメージということで、絵を描いています。求職者 A というのは、ハローワークに求職申込みをされる方です。ハローワークの窓口で、公開について御希望を個別にお聞きするということです。御希望があれば、求職申込書にコードを用意してコードを振ると、自動的に求職申込みに伴って、インターネット上の求職情報サイトに求職情報が反映される形をイメージしています。ただ、それは希望職種、資格、経験等、個人を特定できるような情報を除いた求職情報を掲示するということです。

 右の提供先 B は民間人材ビジネスで、これについては一定の参加要件、基準を設けて、それをクリアした方については、 ID ・パスワードを付与し、それが使える方だけが求職情報サイトを閲覧できるとするということです。提供先 B が求職サイトで匿名の個別の求職情報を見て、この方にアプローチしたいということであれば、求職情報サイトを介して案内を送付するとなります。それに対して、求職者 A のほうで、関心がある、どういうサービスがあるのかを聞きたいということであれば、それも求職情報サイトを介して提供先 B に問合せができるという形にしています。

 この段階では、飽くまでも求職者 A については匿名のやり取りとなります。最終的に求職申込みを行うということであれば、求職申込みについて提供先 B から、サイトを通して求職者 A に案内が行き、それ以降は個人情報、連絡先を提供することも含めまして、直接求職者 A と提供先 B でやり取りをしていただくことになりますので、求職申込みと、その受理以降のやり取りは、一番下にあるように、求職者 A と提供先 B の当事者同士の直接のやり取りを行う形をイメージしています。なお、求職者 A は飽くまでもハローワークの求職者ですので、ここで公開に載ったとしても、ハローワークでも就職支援を継続的に行っていくということです。

 一番下に書いている「求職情報の利用状況などを踏まえつつ、今後、必要な対応について検討を行う」というのは、当面具体化すべきことと、運営状況を見て考えたほうがいいこととか、いろいろ論点があると思いますので、包括的にそういう場合もあるということでお示ししています。

2 ページは、提供先の範囲です。下の 1 から 5 の条件を全て満たす事業者を、提供先にするということで整理をしています。 1 つ目は、職業安定法上の「職業紹介事業を行う事業者」。これについて安定法上は 4 種類ありまして、いわゆる有料職業紹介事業者、許可による無料職業紹介事業者もあります。それから、法第 33 条の 2 の第 1 項は学校ですが、安定法上は「小学校・幼稚園を除く」となっておりますが、ここでは更に、中学・高校を除いたほうがいいのではないかと考えています。

 それから、届出制の無料職業紹介のもう 1 つの形態として、特別の法人ということで、農業協同組合、商工会議所等が届出を行ったという場合に、無料職業紹介ができるというのがありまして、右にいろいろと吹出しがありますが、これは議論の参考として関連するデータ等をお示ししています。

 職業紹介事業者の範囲については、学校が生徒や卒業生に対する職業紹介を行う、それから特別の法人については、法人の構成員あるいは構成員に雇用される方々について職業紹介を行うということになっていまして、範囲が限定されているので、そこに求職情報を提供するということは、場合によっては必要はないかもしれないということをお示ししています。

2 つ目が「職業紹介事業者として一定の実績を有していること」ということで、ここでは、仮に申請前、過去 3 か月に常用就職の実績が 1 件以上あるということを要件としてはどうかということで、職業紹介事業がきちんと運営されていることを確認するということです。ちなみに、平成 24 年度の紹介事業の事業報告の集計結果を見ますと、月平均の常用就職実績は、有料紹介で 2.2 件ぐらいとなっていますので、そんなに高いハードルではないのかもしれないということです。

3 点目は、「個人情報管理及び情報セキュリティーにおいて第三者機関の認証を受けていること」を要件にしてはどうかということです。当然、職業安定法上で守秘義務があるわけですが、非常に秘匿性の高い個人情報が含まれていますので、更にハードルを設けてはどうかという案です。代表的なものは、プライバシーマークあるいは ISO27001 があります。これは後で若干内容を説明いたします。

 ただ、プライバシーマークの付与事業者数のデータを見ますと、平成 26 5 月現在で 1 3,592 社が認証を受けていますが、そのうち民営職業紹介事業者は 46 社となっています。 ISO のほうは法人単位の認証ではありませんので、組織単位ではありますが 4,515 組織が認証を受けています。業種別にはデータがないという状態です。

4 つ目は、利用規約を設け、「利用規約に同意し、かつその遵守が可能と認められること」ということで、基準としたいということです。

 「その他」としては、求人情報のオンライン提供について、利用停止等の対象になっていないことというのがあります。先ほど抜けましたが、職業安定法上の事業停止命令、改善命令等を受けている機関については、その参加は認められないということです。

 実は、職業紹介事業というともう 1 種類ありまして、それが一番下の●に書いてあります。地方公共団体が安定法第 33 条の 4 に基づいて、届出で無料職業紹介を行うことができるという場合があります。さらに、国や地方公共団体が法令に基づいて指定した団体が運営する機関が職業紹介を行う。これは看護師のナースセンター、介護士の福祉人材センター等があります。こうした機関についても、求職情報の提供の範囲に含める必要があるのではないかということですが、これらについては、ここでは 3 番のような高いハードルは、公的機関ということで必要ないのではないかということです。ただ、地方公共団体が職業紹介をやっている場合に、民間人材ビジネスにそれを委託して実施している場合があるので、その委託先については、要件の 1 から 5 を課す必要があるのかなということです。

 さらに、更新制にするべきではないかということで、初回は 1 年の有効期間で更新の申請をしていただく。 2 回目以降は 3 年ごとの更新ということで、実績、内容を見させていただいて、審査をするのがいいのではないかと考えております。直近の参加期間において、求職情報の提供を活用した常用就職実績があるということが更新の要件となって、上の 5 つに加わるということではないかと考えております。

 ここで、若干プライバシーマークについて内容を説明いたします。参考資料 4-1 が「プライバシーマーク制度関係資料」です。運営団体のパンフレットそのものを付けています。

1 ページに「プライバシーマーク制度とは」とあります。プライバシーマーク制度は「日本工業規格に適合して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備し運用している事業者を認証している」と書いてあります。

 さらに 5 ページを見ていただきますと、申請から認証の付与契約までの流れが書いてあります。最初は書類審査のようになっていくわけですが、流れ図を見ていくと、 4 番で「現地審査」があって、個人情報保護のマネジメントシステムはこのようにしているということを書類で見て、それを実際に現場で確認するというように審査が流れていくということです。

6 ページは「プライバシーマークの付与に係る費用」で、料金表が出ています。事業規模に応じて料金が若干異なっていて、新規の場合で大規模の場合には 120 万円ぐらいかかると示されています。有効期間が 2 年ですので、新規で 120 万円、その後 2 年ごとに更新の手続が必要になって、それは大規模では 90 万円となっています。簡単でございますが、こういったシステムになっているということです。

 さらに、 ISO27001 については参考資料 4-2 です。これは国際機関ですので、 International Organization for Standardization のホームページの冒頭を訳出しているものです。「 ISO 規格 27000 ファミリーは、組織の安全な情報管理に役立ちます」と書いていまして、この規格の使用は、財務情報、知的財産、従業員情報などの情報セキュリティの実施に役立つということで、ここに先ほどのプライバシーマークとの違いが出ています。プライバシーマークは飽くまでも個人情報のセキュリティを対象にしているけれども、 ISO は財務情報とか知的財産とか、組織として保有していて、保護すべき価値のある情報資産についてのセキュリティ全体を対象にしているということです。

 次のページには日本に導入された経緯等が書いてありますので、後で御覧いただければと思います。 2 番の「 ISMS 適合性評価制度の目的」の一番下の所にありますが、国際的に整合性のとれた情報セキュリティマネジメントに対する第三者適合性評価制度であって、諸外国からも信頼を得られる情報セキュリティレベルを達成することを目的としているということで、国際標準となっているということです。以上が、第三者機関の認証についての御紹介でした。

 論点の 3 ページに戻ります。ハローワークの求職者で情報提供する範囲ということで整理しています。提供対象とする求職者の範囲ということでは、ハローワークに求職登録を行っている方。そのうち、対象から除く求職者ということで、求職情報の提供を希望しない方。また、特別な支援体系にあるので、新規中卒・高卒者は除外すべきではないかと考えています。

 「なお」とありまして、障害者については、いろいろ議論の余地があるかとは存じますが、非常に秘匿性の高い情報が障害者求職情報には含まれていることがあります。登録制をとって、特別な支援体系がとられていて、いろいろな機関が協力して就職支援をしているということがありまして、ここでは当面対象から除くことが適切ではないかということでお示ししています。ただ、求職情報の提供の実施状況を踏まえて、対象に加えるか否かを検討していくことは必要ということですし、一般求職者として求職登録も行えますので、その場合は一般求職者として同等の情報を提供することはあるのではないかということです。

 もう 1 点の中卒・高卒者は除くとしても、新規大卒者の求職情報があります。これについては、ここでは提供していく方向ということですが、求職活動の経験が非常に乏しいということで、いろいろなトラブルに巻き込まれるおそれが他の求職者よりも高いことがありますので、特別の取扱いを規約に設けるということで、対応できないかと考えています。

1 つは、新規大卒者等に対しては、職業紹介以外の有料のサービスの提供を原則的には認めないということで、飽くまでも職業紹介サービスで利用してくださいということにして、ただし職業紹介に伴う履歴書の書き方とかセミナーとか、いろいろあるわけですが、そういったものをやるということであれば、そのサービスの種類・金額について、詳細を労働局に届け出ていただくことが必要かなと。求職者等のほうから苦情があれば、ハローワークで情報提供先に是正の要請をするとか、何らかの違反があれば利用の取消しをするという措置を講じる仕組みを入れていくことが必要かなと整理をしています。

 次の四角が、提供対象となる求職情報の範囲です。公開しない情報として 2 種類考えられます。 1 つは、個人が特定できるような名前、住所等の情報です。これは公開しないということですが、求職申込書の中にはそれ以外にもいろいろな情報がありまして、初期段階で提供する必要がないものがあるのではないかということで、ここでは、性別、年齢、生年月日、配偶者の有無、扶養家族の人数等がありますので、この辺は当初の提供対象からは除外しておいて、求職者と提供先のいろいろなやり取りの中で、情報提供があり得べしということかなと考えています。

 そうしますと、下の「参考」にあるような情報が、当初提供する求職情報となります。さらに、※で住所は提供しないということですが、そうするとどういう求職者にアプローチしたらいいかというのが難しくなるので、ここでは、各求職者の勤務希望地を○○県○○市ぐらいの範囲でお聞きして、それを提供することはありかなと考えております。

4 ページは、この仕組みのいろいろな運用の中でポイントとなるような点を整理しました。 1 つ目の○は、提供先がある一定期間に案内を行うことができる求職者数に上限を設け、それを規約に定めるとしてはどうか。機械的にサイト上でチェックしていけば、案内はどんどん送れるわけですが、そうすると、多数の方に同一者からたくさんの案内がいって、その後は応答がないということにもなり兼ねませんので、ある一定期間については、何件までしか案内を送るチェックができないとしておいて、システム上もそれを超えると送信できないようにならないかというのが、 1 点目です。

2 点目は、冒頭に申しましたが、最初に提供先が求職者に、我々はこういう得意分野がある、こういう点で実績があるというような案内を送っていただいて、その求職者が案内に応じるかどうかを判断できることが必要ですので、判断するに十分な情報が当初に提供される必要があるということで、それについては規約の中で、最初の案内については、これとこれは必ず情報として入れてくださいという必須情報を定めることにして、利用申請の際に提出していただいて、内容を確認することが必要かなということです。

4 つ目の○は、個々の事業者からの案内について個別に求職者が受信を拒否できることをシステム上に組み込むということです。さらに、個々の提供先事業者ごとに、サイトの運営者が受信拒否をされている件数などをシステム上で監視、把握できるようにしておいて、場合によっては、非常にそういうことが多いところについては、利用状況の確認、指導を行政側からある程度行う仕組みを入れることでどうかということです。

 あとは、求職情報提供に伴ってどういう効果があるかの把握は必須ですので、提供先に紹介状況、就職状況を定期的に報告を頂くことを規約に定めることが必要かと考えています。

 最後の○は、求職者が自ら提供を中止したいということであれば、サイト上でチェックすれば、即座に提供中止になるという仕組みを導入してはどうかということです。提供先事業者については、利用を中止する場合には労働局に申し出ていただかないと状況が分からなくなりますので、そちらは労働局に申出をいただいて、利用を中止することになるかなということです。

 下の四角は、システム構築についてということです。 1 つは、求職情報を、希望職種、保有資格、希望勤務地等で、検索が一定できるようにする必要があるのではないかということです。あと求職情報の更新は、 1 1 回ぐらいかなと考えています。

 求職情報のサイトへの掲載期間については、ハローワークの求職登録の有効期間と同一とする必要があるのではないかと考えています。基本的に求職の有効期間は求職申込みした翌々月の月末ですので、基本的には 3 か月ですが、求職者の方が相談を続けたいということであれば、 1 か月ごとに延長していくとなります。ただ、ハローワークで就職をされれば、それで就職済みということで、求職登録有効期間終了という処理をしますので、自動的にこちらのサイトからも消えるということを考えています。

5 ページを御覧ください。ここは利用手続ということで、非常に事務的なことで恐縮ですが、当初の利用申請の受付のスケジュール感としては、どのような感じかということです。提供開始の 4 か月程度前から申請受付を開始するということで、これは受付期間が 2 か月ぐらいを用意をしておいて、その後、審査の期間に 1 か月は必要かなということです。あと、実際に情報提供をする 1 か月ぐらい前から求職者の方に公開の希望を確認していく必要があるので、全体を足すと 4 か月ぐらいがスタートまでの準備期間となります。

 その後、利用申請の受付をどうするかということですが、随時受け付けるというのもありますが、事務的に大変な面がありますので、当初以降については、四半期ごとに申請期間を設け、審査をするのがいいのではないかと考えております。申請は法人単位ということで、必要書類を添付して申請書の提出を労働局にしていただくこととなります。

 真ん中の四角です。審査を通過した提供先は一覧表を作って、それを求職情報サイトに公開するとか、求職者に最初に希望を聞くときにその一覧表などの提示をし、あるいはこのサービスを利用する場合の説明を書いた資料を作って、それでいろいろと説明をする。その資料は料金が発生する可能性があることも含んで説明する、ということで利用したいということです。

 新規の求職者については、当然、求職受理時に個別に提供先の希望の確認をするのですが、情報提供スタート以前から求職中の方がおられまして、その方々についてどうするかということです。これは、こういう求職情報の提供を始めるといった周知を行った上で、既存の求職者は、本人の申出によって希望があれば提供するということでどうかとしています。

6 ページは、「苦情処理、違反行為等の防止について」です。苦情の種類の概念図が、 1 2 3 と描いてあります。概念的には、 1 つは職業安定法違反が疑われるものと、求職情報の提供のこの仕組みを導入することにより発生率が高まるようなものであって、職業安定法違反が疑われるもの、そうではないけれども規約違反等で対応が必要なものというぐらいに分かれるかなということです。

 マル1については、建設業等、禁止されている職種への紹介をしているというのは、職業安定法違反ですので、それはそれで対応する。マル2は、個人情報をどこかに譲渡するとか漏洩するといったことで、職業安定法で守秘義務が掛かっているので、それで対応します。マル3は、例えば職業紹介と無関係な有料サービスの勧誘をこの情報に基づいて行うとか、虚偽の実績報告をするといったことがあるかなと考えております。

 それぞれについて対応の仕方が若干異なってくるかなということで、右に「苦情処理体制の整備」とお示ししています。 1 つは、提供先の事業者に苦情処理の責任者を設置していただくことも、規約で義務付けるということです。ハローワークの苦情受付窓口としては求職情報ですので、基本的には職業相談窓口を苦情受付窓口として、いろいろ事業主指導などもあるかもしれませんので、求人部門とも連携して対応に当たるということです。

 マル1の、そもそも事業運営形態が職業安定法違反になっているものについては、従来から労働局で事実確認をして、是正指導等を行うというルートがありますので、ハローワークから労働局につなぐ形かなと思います。マル2については、明らかな違反のものは労働局につなぐということでしょうけれども、微妙なもの、マル3の規約違反等については、ハローワークで提供先に事実確認をして、必要な指導・対応を行うとなるかなということです。

 下に「ペナルティ」と書いていますが、職業安定法違反であれば、当然、改善命令、事業停止命令、許可の取消しなどの行政処分が行われます。それに伴って、求職情報提供の利用権限の取消しを行うことになるかなと思います。

 規約違反、その他については、先ほどのようないろいろなケースがあるということで、不適切な行為の類型化を図って、それに応じてペナルティを組み合わせる対応をする必要があるのかなということです。例えばペナルティとしては、一定是正が確認されるまで情報提供を止めるとか、あるいは一定期間止める、再度不適切な行為があったら利用権限を取り消す、あるいは即座に利用権限を取り消すというようなパターンがあるかなということです。

 もう 1 つ、不適切な行為に対する抑止力を一層高めるということで、こうしたペナルティを科された事業者が、求職者に分かるようにする仕組みを導入したらどうかと考えています。

 論点の最後は、ハローワークの求職情報の提供の仕組みを利用するに当たり、民間人材ビジネス等から利用料金を徴収する必要があるのではないかというものです。これについて、ここでの整理は、ハローワークの求職情報の提供の仕組みについては、国・地方・民間が、それぞれの役割・機能を果たしながら連携を強化し、オールジャパンでマッチング機能の最大化を目指すことが趣旨です。それから、求職者が容易に利用できるマッチングの様々なチャネルを拡大していくことで、求職者に早期に良質な雇用機会を確保していくことを目指すものです。それから、ハローワークの求職情報は、マッチングに係る一種のインフラとして公共財的な性格も有しているのではないかということで、料金徴収については合理性が乏しいのではないかということで、論点として整理させていただいています。

 最後に、参考資料 2 「職業紹介業務のワークフロー」です。現行、ハローワークで求職情報をどのように取り扱っているかについて、紹介させていただきます。

 最初の流れ図です。求職者が来所、受付を行い、求職申込書に記入していただきます。右に流れていきまして、内容を確認、いろいろお聞きしながら補正を行い、求職者には「ハローワークカード」という本人だとすぐに分かるバーコード付きのカードを交付し、それを持って来ていただければ次回からは即座に情報が引き出せるようになります。求職申込内容については、ハローワークシステムの求職管理情報に入力をしていき、情報が蓄積されます。これは職員端末で、職員が見ることができるものです。

 求職申込書の記入の所で、下に枝分かれをしています。現在も求職公開の仕組みはありまして、求職申込書の記入の際に公開を希望するかをお聞きし、希望するということであれば、求職申込書の内容の一部が求職公開情報として公開されます。ただ、それは※の 1 にあるように、希望する仕事、勤務時間、免許や資格など、非常に限られた情報が匿名で出るだけとなっています。

 ただ、もっと細かい自己のアピールポイント、詳しい経験職種を公開したいということであれば、求職公開申込記入という所で申込書に記入していただければ、それをシステムに入力することによって、併せて匿名ですが、そういった情報が公開できるとなっていまして、それはハローワークの求人者閲覧用の情報端末で見ることができます。併せて、※ 3 の下に書いている求職者情報一覧を出力することができるので、それをハローワークの職員が持って求人開拓に行って、このような方がいるというように求人開拓をするとか、求人者からリクエストを頂いて紹介をすることができる状況です。

 次のページは職業相談の状況です。先ほど申しましたハローワークカードを持って来ていただければ、バーコードを読み取ると、求職管理情報が即座に職員端末に表示されますので、これまでの相談内容を職員が見られるということで、そこでいろいろ相談をして、相談等の記録を入力します。これは、応募したけれども、どういう結果だったかとか、いろいろな情報が蓄積されていきます。相談の中で、応募を希望する求人が確定されれば、当該求人の応募状況や補足情報をシステム上で確認して、いろいろな情報を求職者に提供し、「応募します」ということであれば、ハローワークから事業主に連絡をして、紹介状を発行し、最終結果の報告を頂くという流れになります。

 次のページは求職申込書そのものです。ここに個人情報から、いろいろな希望条件、資格等の記入をしていただきます。この情報は原則全て非公開ですので、御本人とハローワークの職員しかこの情報を見ることはできないという情報ですが、先ほど申しましたように、公開制度がありますので、免許資格、経験職種などは、希望があれば匿名で公開されるということです。したがいまして、この情報が外に出るのは職業紹介の際で、個別の事業主に面接の設定などをお願いするときに、求職者の方に了解を得て、この方がこういう職種で希望されていて、こういう資格を持っているという情報を、応募先に提供するところで初めて公開されるということです。

 この様式に太線で四角が描いてありますが、これは先ほどの論点の中で、この部分は今回の求職情報公開でも公開しないのが適切ではないかという部分です。この情報のほかには職業相談の過程でいろいろな情報、応募の経過を書いているわけですが、それはシステムに入力して、職員が見られるだけですので、それは公開はされない状況です。以上です。

○鎌田座長 ただいまの説明を受けて、御質問、御意見がありましたらお願いします。論点は幾つかあると思いますが、特に順番を定めておりませんので、どこからでも結構です。よろしくお願いします。

○高松参集者 全体的には非常に丁寧に論点をまとめていただいたという印象を持っております。幾つか質問をさせていただきます。まず、 1 ページの仕組みを拝見して、先ほどの説明も併せてお聞きしましたが、求職者への周知の部分について、ハローワークに見えた方に対して周知するということでしたが、それ以外の周知を何か考えていらっしゃるかということが 1 つです。

 また、このチャートの中で 10 ぐらいのやり取りがありますが、マル9・マ 10 は別にして、その間にハローワークがどのように求職者に対して指導や支援を行っていくのかというイメージを教えていただきたいと思います。

 それから、本仕組みのスタートに当たって、現在、既に求職中の方については周知をする中で希望を確認するという話でしたが、どういうやり方でやるのか、詳しく教えていただければと思います。

○首席職業指導官 求職情報の提供の周知については、もちろん求職者にハローワーク内で周知するということもありますが、提供先の方は申請をしていただく必要があるので、全般的に広くこういう仕組みを導入しますという周知をする必要があるかと考えております。

 求職者とハローワークの関わりですが、先ほど申し上げたように、飽くまでハローワークの求職者ですので、情報提供したからそちらに行ってということではありません。就職支援を継続的に実施する中で、民間人材ビジネスの利用方法や、こういう所から来ているのだけれども応答したほうがいいかとか、いろいろな御相談があると思いますので、可能な限り御相談にも応じることになるかと思います。

3 点目の、スタートのときに、以前、既に求職申込みをしている求職者についてですが、非常に多数おられます。スタート時点で求職申込みをしているけれども、すぐ有効期間が終わってしまう人とか、いろいろなケースがあるということで、事務的に考えるとしたら、スタートのかなり前から、こういう求職情報の提供を行うので希望があれば申し出てくださいということを周知しておいて、既存の求職者については申し出て来られた方を公開するということでどうかと。悉皆的に個別に全員を確認するのではなく、周知の前提の上で申し出て来られた方を確認する。スタート以降の求職者は全部、申込みのときに個別に確認するのが現実的かと考えております。

○高松参集者 最初の宮野次長の御挨拶にもありましたが、去年のアンケートを拝見しても、求職者側には個人情報の取り扱いに関する不安がかなりありますし、情報がどの辺まで漏れてしまうかという不安もありますので、是非、ハローワーク、特にキャリア・コンサルタントを含めて関わりを強く持ちながら進めていただくことをお願いしたいと思います。

○鎌田座長 その他の御質問、御意見はありますか。

○坂下参集者 まず、今回の対応の規模に関し、このシステムの利用者である、求職者や提供先の方々については、大体どの程度の数を想定しているのでしょうか

 また、今回の対応に伴う費用について、どの程度を想定しどのような所から財源を捻出されるつもりなのか。制度設計の段階だと思いますので、詳細は分からないのかもしれませんが、可能な範囲で教えていただければと思います。

○首席職業指導官 年間のハローワークの新規求職者が大体 700 万人で、先ほど申し上げた現在の公開制度で公開されている方々は 1 割強ぐらいです。ニーズ調査では、情報提供して OK という方が、個人情報を含めるかどうかは別にして 65 %ぐらいなので、どのようになるかはなかなか難しい。極端に格差があるので、現行やっているのは 10 何パーセントしか希望がない状態で、どうなるかという予測は難しいと思っております。

 システムのコスト面等については、現時点では先ほど申し上げたどういう検索機能を設けるかとか、セキュリティをどこまで高めるかということで、非常に違ってくるのではないかと思いますので、この場の御議論を踏まえながら検証していきたいと考えております。

○鎌田座長 提供先の、提供事業所数は予想されますか。

○首席職業指導官 例えば、平成 25 3 月末のデータですが、許可制の有料職業紹介事業が 1 6,916 事業所あります。学校や特別な法人等々は 855 程度で、事業所単位では全体で大体 2 5,000 事業所ぐらいになるかと思います。ここに持ってきているデータが事業所単位ですので、法人単位で申請をしていただこうと考えているので、正確な数字が今は分かりませんが、対象となりそうな所はかなり多いということです。

○坂下参集者 今回の対応においては、資料 2 の7ページにも書いてあるとおり、オールジャパンとしての外部労働市場全体のマッチング機能の最大化が目指されています。これは重要なことだと思っており、そのために必要な対応を、もちろん労働者の不安を十分解消しながら実施することが求められると考えています。このマッチング機能の最大化を図るためには、当然に民間の活力も十分に活用しなければならないと思います。

 そうした問題意識を持ちながら、 2 ページの提供先の範囲の案を見ると、 (P) が入っていますが、 3 点目の個人情報管理と情報セキュリティについて、先ほどの説明では更なるハードルを設ける必要があるのではないかということで、論点として挙げられていますが、ハードルとしては非常に高いのではないかと思います。職業安定法の中で個人情報の取扱いや、守秘義務等については、行政処分を含めて適切に対応されておりますし、規約の中でも相談体制を作る等の規定があるので、更にハードルを高くする必要がどの程度あるのかということについては、大いに疑問です。吹き出しにもあるとおり、ほとんどの事業者が現時点で P マークや ISO27001 を取得していないと思いますので、この要件によって、事業者がかなり排除され、全体としてマッチング機能を高めていくことになりづらいのではないかと懸念しています。この点についてはどのようにお考えですか。

○首席職業指導官 求職公開については、既存の仕組みはあるにしても全くの匿名でやっているので、全く新しく取り組むものということで、最初は匿名ですが、最終的に個人情報は事業者と求職者がやり取りをするので、その情報の取扱いについて厳しく管理していただくことが必要ということで、職業安定法の守秘義務の上に重ねて第三者機関の認証はどうかということでお示ししております。何らか一定のハードルは必要かと思いますが、取組の趣旨も含めてここで御議論があれば、それを踏まえてこの部分の取扱いを検討したいと考えております。

○坂下参集者 それでは、意見として改めて申し上げます。もともと職業紹介事業者が個人情報の取扱い等で不備があった場合には、職安法による処分が科されており、今回このサービスを利用するに当たっての規約違反に関しては、この仕組みの中でペナルティが科されるので、 3 P マークないし ISO の取得は提供先の条件の 1 つに入れる必要はないと考えます。

○鎌田座長 今、提供先範囲の所で、とりわけプライバシーマークが話題になっておりますが、坂下さん以外の方でこの点について何か御意見、あるいは御質問があれば頂きたいと思います。

○林参集者  JAM の林です。 JAM は産業別労働組合の 1 つで、主に中小企業が集まって組織している労働組合です。そこの執行部という立場で私は今回参加しております。

 プライバシーマークと ISO は、私もかなり懸念しているのですが、多くの求職者が個人情報に対してナーバスになっていることを考えれば、ある一定の指針は出しておくべきではないかと思っています。ただ、現状、この認定を受けているのが 45 社という数字では少し厳しいところもあります。これは意見ですが、例えば提供者が 100 社あった場合、一覧表で事業者名を見せた上で選んでもらうというお話でしたが、名前だけ見て判断できるのかというと、恐らく求職者としても、名前が並んでいるけれども、「いいです」「悪いです」の 1 つの返事しかできないと思うのです。

 実際サービスが始まってみれば、提供先からの案内を拒否することができるようですが、事業者名を公開する段階で、一覧の中に ISO を取得している事業者や、プライバシーマークを持っている事業者等、いろいろな条件をある程度公開して、全部の提供先に対してオール○なのか、 ISO を取得している事業者だけにしてくださいというふうに求職者が選べるような仕組みも必要ではないかと思います。 100 社や 200 社並んでいる中で名前だけ見せられても、求職者は選択の余地がないのです。以前、受信の拒否はできるけれども、オール○かオール×しか、今のところ選択が想定されていないというお話を伺ったことがあったので、是非そういった観点から幾つかの条件で選べることにすれば、今、申し上げたプライバシーに関する求職者の希望と提供側の希望をある程度マッチさせることができるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○高松参集者 今の御発言に関連するのですが、私は認証取得についてはこの部分だけでは判断できないと思っております。というのは、先ほど坂下さんからの発言もありましたが、コストの問題と絡んでくると思うのです。連合の立場では、利用料金が無料というのは反対で、特に無料の職業紹介事業者から徴収すべきということではありませんが、民間の有料職業紹介事業者からは徴収すべきだと思っております。それがすべて無料とした中で、更に認証についてもフリーにしていくとなると、先ほどの問題については極めて危険ではないかと思います。そういう中でしっかりとチェックを入れるものの 1 つとして、民間有料職業紹介事業者から徴収していくことが大事だと思っています。

 特に民間の有料職業紹介事業者が受け取る手数料については、事務局でもいろいろ調査されていると思いますが、私どもに入っている情報では、多い事業者では年収の約 30 %を成功報酬として受け取っていると聞きます。現在、サラリーマンの平均年収が 408 万円とすれば、 120 万円もの成功報酬があるという状況も踏まえて考えると、オールフリーにしていくことがいろいろな危険を増やしていくということにつながりますので、最初の話に戻りますが、ほかのバランスも含めて判断していくべきではないかというのが私の意見です。

○福田参集者 質問です。プライバシーマークは、民間の事業者は 46 社ということですが、先ほどプライバシーマークの説明で、資料 4-1 で小規模、中規模、大規模という区分けの中で、 46 社の区分けが分かれば教えていただきたいと思います。

○首席職業指導官 公表されているデータには、規模別等はありません。

○福田参集者 もし分かれば後ほど教えていただければと思います。恐らく大企業が中心になるのではないかと思いますが、マッチングの最大化の観点からすると、プライバシーマーク等は障壁が高いと思われますので、 3 の「配慮」という形で検討していただきたいと思っております。

○沼野参集者 今、議論になっているプライバシーマークや ISO27001 という認証規格を要件にするかどうかですが、私の個人的な意見は、実際にプライバシーマークを取得している事業者は非常に少ないし、 ISO に至ってはもっと対象の事業者としては、職業紹介をやっている事業者としては少ないのではないかという気がしています。これを必須条件にすると、そもそも仕組みができても、実効性というか、実際の利用が進まない可能性もあると思います。ただ、そうは言いながら、求職者の個人情報がそこに渡るわけですから、求職者の懸念もあると思うのです。

 最近、こういう認証資格をどういう評価で仕組みの中に取り入れていくかという 1 つの考え方として、例えばこの仕組みに入ってもらう職業紹介の事業者について、プライバシーマークや ISO27001 を取っているのであれば、ここまでは評価しません。もし取っていないのであれば、具体的な内容を評価します。その結果として、そこが適切かどうかを判断します、という取組が多いのではないかと思います。事業者は、ある意味ではコストを掛けても説明責任を果たそうということで、自らの中にそういう管理の仕組みを作って、定期的な外部の審査も受けて事業に活用していこうと、私たちはちゃんとやっているのだとコストを掛けても説明しようとしているので、それは参考にするべき情報だと思います。

 しかし、それを必須にしてしまうと、この場合は非常に狭まってしまうということがあるので、評価上は参考の情報として、例えばこれに参加していただく職業紹介の事業者の審査は労働局でやるという説明でしたが、その審査の内容はこれからのことだと思いますが、その中でプライバシーマークを取っている所は、ある意味では定期的な外部の監査を受けていたりするので、ここまでは確認しないと。取っていない所は、中小の所がありますが、そういう所はもう少し突っ込んでチェックをすると。その結果で判断をするといったやり方もあるのかなと思っています。

 少し話がそもそものところに戻りますが、皆さんの御発言を聞いていて私も同じだなという部分で、この仕組みはマッチングを高めることが非常に重要で、それが再興戦略の中でも求められている。それに当たっては、ハローワークの求職者情報を民間に積極的に公開して、民間の活力を活用しながらマッチング力を高めていこうという仕組みなのです。全体の論点の説明や案をお聞きして感じたのですが、それが最大の目的なので、個人情報保護は重要ですが、保護に余りに偏ることのないように、積極的な有効活用の視点も入れて、再興戦略の中で言っている施策の成果を刈り取っていく考え方が必要ではないかと、個人的には感じています。

 そういう観点から見たときに、それぞれの論点で検討が必要なところが出てくるような気がします。 1 つだけ、最初の仕組みの部分で、私が十分にこの仕組みを理解しているわけではないので、ピント外れな理解なのかもしれませんが、例えばマル5・マル6ということで一定期間ハローワークを通して利用者との間で情報のやり取りをして、何となく固まったら連絡し合って、あとは当事者同士でという仕組みのような気がするのです。この仕組みは、そもそもがハローワークの情報を民間の事業者にうまくつないで、民間の事業者の活力を利用してマッチング力を高めようという話ですから、極端に言うと、つなぐまでやれば、あとは民間にお任せする形で、活力を発揮してやってもらって、問題が起こったり、苦情相談や監督のほうに注力したほうがいいような感じがします。

 一定期間、ハローワークを介して情報をやり取りしていただくというイメージが私にはぴんとこなくて、要は情報を渡して民間に積極的に活用してもらうということですので、やり取りのプラットフォームを提供するわけではなくて。きちんと情報提供すれば、必要な情報を本人の同意を得て必要な人に渡す。あとは当事者同士でやってくださいという形で、シンプルにしてしまうのも 1 つかなと思います。ただ、その過程での状況を把握しながら、不正な利用がないようにということでイメージされているかもしれませんが、そういう意味では、それぞれの論点について余り個人情報保護に偏らないで、積極的な活用の観点からも検討していく必要があると思っております。

 先ほどのプライバシーマークの話も、積極的に使っていただくためには、絶対条件みたいな形にするのはどうかということですが、参考にはなる情報なので、それをうまく使っていくという手があるかと思っております。

○鎌田座長 幾つか論点が出されました。今後、少し議論を深めていきたいと思っておりますが、論点として高松さんが利用料の話を、御意見を含めてされました。これについて、ほかの方の御意見もお聞きしたいと思います。また、沼野さんからの御発言は、目的を含めた仕組み全体について、求職情報を民間事業者につなぐという趣旨で考えるべきで、今のこの仕組みでは、ハローワーク管理の下でプラットフォームを作るような感じがするという御趣旨ですね。

○沼野参集者 そうです。そうです。

○鎌田座長 つまり、仕組み全体をどう考えるかについて、少し議論してほしいという御意見が出ていたかと思います。利用料について、高松さんから追加的に御意見があればお聞きして、ほかの方の御意見を伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○高松参集者 先ほどお話したことの繰返しになる部分もあるかと思いますが、私が考えているのは、民間職業紹介事業者のビジネスにとっては非常にビッグチャンスで、そういう中で民間の有料職業紹介事業者が実際に職業紹介を行い、成約時に受け取る手数料は、先ほどお話しましたが、かなりの金額になると聞いています。平均年収 400 万円の方なら 2 割でも 80 万円、 3 割だと 120 万円というお金が入ってくる。この仕組みには、イニシャルコストだけではなくて、ランニングコストも掛かってくるわけです。その額がどのぐらいになるかは分かりませんが、先に議論されたハローワークの求人情報の提供システムについては、 13 億円のコストが掛かるという話を聞きました。そこまではいかないにしても、相当の国民のお金が流れていく中で、全くお金を取らずにその方々が儲かることに対して国民が納得できるのかという意味では、それは難しいと思っております。

 民間の有料職業紹介事業者については、成約手数料以外にも事業着手の段階で受付手数料を納めるわけで、そういう意味では 1 件当たり幾らという取り方ができないわけではないと思います。何某かのものを民間有料職業紹介事業者から取ることで、国民の理解が得られるのではないかと思いますし、先ほど申し上げたように、いわゆる厚生労働省の管理、チェックが入るための手段にもなり得るのではないかという思いで発言しました。

○鎌田座長 ほかの方で、この点について御意見があれば伺いたいと思います。

○沼野参集者 極端に言うと、大手の事業者がハローワークの情報を全部くださいと。件数制限も設けるという話もありますが、事業展開、全部活用できると。だから全部くださいというような、極端なこともあるかもしれません。ただ、必要な情報を渡して必要でない情報は渡さないのが、個人情報保護上も重要かなという感じがするので、ある程度取りあえずくださいみたいなものを避ける意味でも、一定の手数料、利用料というのは検討課題なのかなと思っています。

 これを使える事業者、使えない事業者があるので、そことの差という意味でも、お金を頂いたときのお金をどう処理するかという問題もあるのかもしれませんが、全くフリーという最後の考え方の御説明は、現状の求職者と求人企業とをつなぐハローワークの世界では何となくスッと落ちてくるような気がするのですが、職業紹介事業者について特別に情報提供をすることになったときに、同じ考え方で整理できるのかなというのが率直な感想です。

○坂下参集者 資料のとおり、民間人材ビジネス等から料金を徴収する必要はないと思っております。そもそも今回のサービスで職業紹介事業者に自分の求職情報を提供してもいいというのは、本人の希望によるものです。その人もハローワークにまず求職情報を出していて、早く就職先が見つかればそれに越したことはありません。そうした中で、合意の上で職業紹介事業者にも自分の求職情報を公開するものです。手数料を取られるかもしれないとか、有料サービスの利用により料金が発生するかもしれないということについては、周知の段階で十分説明されるので、それは本人の判断に任せればよいのではないかと思います。

 また、この公共的な性格を有しているものもあるので、私どもの立場としては、民間の人材ビジネスのみから料金を徴収する必要性は乏しいと考えております。

○林参集者 私も、ある一定の手数料を取るべきであろうと思っています。それが初期費用なのか 1 1 回の成功報酬なのかはまた別としても、ハローワークは公的インフラということで、それを整えるに当たっては税金を使って公的なものとして作っているわけです。ハローワークは職業紹介を公的サービスとして行っていますが、民間職業紹介事業者はこれをビジネスとして行っているわけです。求職者にとっては当然どちらに行っても同じという発想かもしれませんが、その先にあるものがビジネスなのか社会インフラとして整っているものかでは性質が違いますので、ビジネスとして成り立っているものについては、この仕組みにより一定の情報を得る以上、ある程度の費用を求めるべきではないかと思います。

○福田参集者 私も、こちらの事務局の用意されたペーパーに賛成です。公共財としてのインフラを利用する場合に、適切な仕組みを整えた事業者が数多く参入することでマッチングを拡大させるという観点から、料金を徴収することについては合理性が乏しいのではないかと思っております。

○鎌田座長 この点については、論点ということで確認をしていきたいと思いますが、私から問題の性格を明らかにする意味で質問させていただきます。特に高松さんに対する質問かと思いますが、民間事業者が受益を受けるということで、売上げとの関係で説明をされました。一方、林さんは情報提供に対する受益という考えでおっしゃったように思います。売上げというのは、人材ビジネスはもちろん成功した場合に売上げが出てくるわけですので、民間事業者が受益をするのは、恐らく情報を自ら開拓して得るのではなくて、ハローワークの情報を受け取るという意味での受益ということで、成功して何パーセントの手数料をもらうというのは受けた後の受益で、ある意味で企業努力もあります。その辺りの「受益」の発想は、どのようなことでしょうか。

○高松参集者 基本的に、林さんのおっしゃった意見と、私の話した意見は変わらないと思います。そういう意味で事務局にお願いしたいのは、最初にお話しましたが、次回若しくはその先かは分かりませんが、どのぐらいのイニシャルコスト、あるいはランニングコストが国として掛かるのかを出していただきたいのです。その金額が大きいのか小さいのかにもよると思うのですが、その費用が国民の税金から出ている。そして、そのお金で作ったシステムの上で、民間有料職業紹介事業者が収益を上げることに対して、何も料金を取らないということに納得性があるかというと、私どもはないと思っております。ただ、その金額、コストがどのぐらい掛かるのかは今分からない中でのお話をしておりますので、できるだけ速やかにそういう情報を頂戴できると論議が進むのではないかと思っております。そういう意味で申し上げました。

○鎌田座長 分かりました。もし可能であれば、論点としては今確認ができたと思うのですが、そういった情報も今後少し考えていただければと思います。

○首席職業指導官 分かりました。

○鎌田座長 もう 1 つは、先ほど沼野さんから御意見を頂きましたが、仕組み全体をどのような発想で考えるのかについて、これは総論の話なので具体的にどこに落とすかとの関連で言わないとなかなか難しいかと思いますが、もし御意見があればこれについても何らかの御意見を頂きたいと思っております。

○首席職業指導官 事務局の提供イメージということで、かなりサイトを介してということをしつこく書いているのですが、これは個人を特定する情報をどのタイミングでやり取りするかということで、個人を特定する情報なしでもある程度求職者から問い合わせたりできる仕組みにしたいということです。それも、インターネットのサイト上でチェックをすれば、自動的にメールが届くような感じですので、そういうやり取りの仕方を確保しておいて、しかしいきなり求職申込みをしたいということであれば、直接やっていただくというイメージでは書いてあり、それ自体はハローワークがいちいち間に入ってどうということではないというイメージです。

○高松参集者 今、事務局がお話されていましたが、沼野さんのお話を聞いたときに、基本的な考え方は全く同じだと思っておりました。ただ、求職者の個人情報がメールアドレスも含めて提供先に公開されるタイミングが、御本人が安全と判断したレベルになったときに公開されるような形にすることが大事なところだと思っています。これはきちんとシステムが決まっていく中でそれが反映されていくのだろうと思っております。

○林参集者 総合的なイメージということで、提供イメージの所に求職者と提供先という絵がありますが、実際には沼野さんがおっしゃいましたように、提供先の後ろに求人を求めている企業が当然あるわけで、多分その絵がないので、その部分のチェックをどうするかが余り深く議論されないのではないかという懸念があります。実際に、求職者にとって何がゴールかといえば、良質な雇用というか、優良企業に就職できることがゴールであり、その意味でいけばハローワークに求人を出している企業もあれば、当然、民間の職業紹介事業者が 100 社あれば、その 100 社ごとに求人を出している企業もあるわけですから、求人を出している企業が良質な企業であるかどうかのチェックを、どこがどのようにするのかは、非常に重要なところだと思っています。

 それについては、求職者と民間の職業紹介事業者との間で面談なりやり取りをする中での話であり、求職者が求職情報の提供先として自分で選んだのだから仕方がないということでは余りにも乱暴だと思います。どういう求人企業を抱えている提供先なのかというチェックに加え、当然苦情は受けなければいけませんが、苦情以前の部分でどこまでハローワークなりチェック機構が働くのかというところを、最終的に議論したほうがいいのではないかと思います。

○鎌田座長 この点について今御指摘を受けたのは、提供先から背景にある求人企業との関係で、今の仕組みの中では何かチェックをするようなイメージはあるのでしょうか。

○首席職業指導官 まず、職業安定法上、民間の職業紹介事業者についても、求職者に対して求人の労働条件等の明示義務があります。さらに、それに関連して指針が出ていて、そこでは明示する労働条件等が虚偽や誇大だったりすることのないようにすること、というようなことで指針が出ております。そういう前提の上で、民間紹介事業者も求人をチェックして対応しているということは、 1 つは仕組み上あるかなとは思います。

 いずれにしても、先ほど苦情処理体制の話がありましたが、まず規約でどのように定めるかというのもあります。例えば求職者の条件を不当に低い所に紹介をするのは問題ではないかなど、いろいろあるかと思いますので、規約をどのように定めるかがあります。それに基づいて、求職者から苦情を受けて、事実確認の上で、もし問題があれば情報提供の参加を取り消すというようなことで、民間人材ビジネスについても求人条件のチェックをきちんとやってくださいということを側面からも確保することは、ある程度可能かなとは思っております。

○鎌田座長 私も大変重要な指摘だと思いますのでお聞きします。要するに、最終的には苦情処理の問題になるかとは思うのですが、今、林さんが御指摘いただき、野村さんが御説明いただいたように、例えば企業から求人票なりが出てきて、その内容について例えば具体的に書かれていることと実態が違っていたといったような、いわば提供先とその後ろの求人企業との間の情報の落差といった問題も出てくるわけです。ここでの苦情処理のシステムというのは、提供先との関係で問題になっていますが、そのような問題、つまり求人企業からの求人内容に問題があったというようなことは、ここでのシステムの受け皿になるのですか。

○首席職業指導官 基本的には、職業紹介に入りますと、仲介役の紹介事業者が一義的には責任を持つということでしょうが、それに伴いいろいろと苦情等があれば、それは当然相談に応じることになるかと思います。

○鎌田座長 求職者とすれば、もちろん提供先との間の受け答えの問題もありますし、実際に求人企業との間で求人企業を紹介されたというときもあり、その全体の一連の過程の中の苦情は出てくる可能性はありますよね。その全体の過程の中で起きた苦情というのは、恐らくこのシステムだと、求職者はハローワークの苦情受付窓口に言ってくれという可能性は十分あるわけですよね。それを受け付けていただくシステムなのですか。

○首席職業指導官 はい、そうですね。

○鎌田座長 というようなことですので、一応、林さんが心配されている提供先からの苦情も、ここでは受け付けをするというような仕組みのようです。

○林参集者 分かりました。そうすると、確認なのですが、恐らくハローワークを介さないにしても、この提供先 B という所が今単独で事業を行っていて、例えばそこでもトラブルが起こる可能性はあると思います。仮に余り優良ではない企業を紹介してしまい、求職者との間にトラブルがあった場合に、現状でもチェックするなりの対応があると思うのですが、それ以上のチェックや対応はこの仕組みに乗ったからといって、やはりやりづらいということになるわけです。例えば、提供先が ID を発行してもらうに当たり、今までどういう苦情があったかを事前にチェックする、いわゆるブラック提供先かどうかをチェックするというように、今まで以上には厳しいチェックは掛けられないと思ってよろしいですか。何か、新たなチェック基準を設けるというわけではないのですか。

○首席職業指導官 現時点では、上乗せでチェックをすることは想定はしておりません。

○林参集者 分かりました。

○鎌田座長 これも 1 つの論点ということで、議論していきたいと思います。今日は、様々な論点を皆さんから少しお出しいただきたいとは思っていますが、いかがでしょうか。

○高松参集者 提供先範囲の 1 番です。「職業紹介事業を行う事業者であること」という要件を設けることは、非常に妥当だと思っております。その中で、学校等となっているわけですが、これはおそらく自分の学校の生徒の求職活動の支援ということで事業認可が与えられているものだと思います。それ以外に、別の方の求職支援をすることは認められていないと思いますので、あえてここに入れるべきかというと、これは最初から外したほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○鎌田座長 という御意見があったのですが、特に御意見があれば言っていただきたいと思います。論点ということですので、そのほかの論点の御指摘でも結構です。

○沼野参集者 論点という意味で、私は余り個人情報保護に偏らないほうがいいという考え方ではあります。提供先を考えるときに、現行の個人情報保護法では、一定規模以上の事業者に対して個人情報保護法上でのいろいろな義務が課せられていると。確か、 5,000 件とか、ラインがあると思うのですね。

 以前頂いた現状調査をしたところでは、アンケートに答えていただいた企業の大半が、結構小規模の事業者なので、個人情報保護法上での個人情報取扱事業者としての義務を、法上は対象にならない事業者もあるように思ったりしますので、その辺りの法律上の専門の方の確認や整合性もとっていく必要があるのかなと思います。特に、利用者についてあとで削除してほしい、提供を停止してほしいというような個人情報保護法上、個人情報取扱事業者というものに義務付けられている事項が、中小の余り個人情報の取扱いが少ない所だと、法上は適応外になってしまうので、そこについては法上は適応外ですが、そういう対応はきちんとしていただくことを前提に対象になっていただくと。その辺りの法との整理も論点として必要かなと思います。

○鎌田座長 今の御質問も含めて、何かありますか。

○首席職業指導官 個人情報保護法もありますが、紹介事業者ですと、職業安定法の中で個人情報の取扱いについて義務が課されておりますので、そこでは担保されているわけです。御指摘のように、別の法律でどのように分けられているかというものも、御指摘を踏まえて整理をさせていただきたいと思います。

○坂下参集者 まず、先ほども申し上げたとおり、私どもとしては、職安法で個人情報保護について規定されておりますし、それに対して不適切な対応をした場合には行政処分、場合によっては許可取消までなされます。その上で、更にもう 1 つ何かしなければいけないとなったときに、民間の事業者が着いて来られないハードルを入れると、今回の趣旨から大きく外れてしまうことが懸念されます。

 例えばですが、これがいい方法かどうかは分かりませんが、職業紹介事業者と求職者が直接やり取りをするときに、個人情報取扱いについては、適正に対応するというような誓約書や念書等を必ず交わすという対応も考えられます。一律的に規制するのではなく、実態をよく見て対応を考えるべきです。

 もう 1 つ、新しい論点として申し上げたいのは、提供先範囲案の 2 ページの、更新の際の条件です。初回 1 年、 2 回目以降 3 年ごとの更新の要件に、「ハローワークの求職情報を利用した職業紹介による常用就職の実績が 1 件以上あること」が入っているのですが、これが必要なのかということです。もともと、私は 3 はいかがなものかと思っているのですが、 1 から 5 の条件を全て満たしている所が参加でき、 ID とパスワードをもらえる制度となっています。この参加要件で、更新のときに判断すべきです。

 またハローワークの情報だけで実績を出せるかどうかも分かりません。民間職業紹介事業者が扱っている労働者の対象は、少し高いレベルの方も多いのかもしれません。他方で、ハローワークを使われる方々は、また違う層の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。そのような実態を考えると、この更新条件の中に、今回のサービスの利用を通じた実績が 1 件以上なければならないとする理由がどの程度あるのか、疑問に思います。この点も論点として挙げさせていただければと思っております。

○鎌田座長 何かコメントはありますか。

○首席職業指導官 今これを設けているのは、先ほどお話もありましたが、コストを掛けてこういう仕組みを運用していく中では、それなりに政策効果を確保する必要がある観点から、この取組に参加していただいている所では取組の情報について効果を発揮していただきたいということで設けてはおりますが、いろいろ御議論があるところかもしれません。

○鎌田座長 今の点でも結構ですし、また新たにここで挙げたいということでも結構です。

○坂下参集者 今の説明にも関連するのですが、政策効果の検証は私どもも必要だと思います。最初に質問した財源はどこから出てくるのかということにも関わりますが、例えば二事業から出るのであれば、当然二事業の中でやっている PDCA サイクルによる評価は必要になると思います。更新条件を設けて政策効果を測るのではなく、そもそも巨額の公費を投入する以上、 PDCA サイクルの中での政策効果の検証と、それを踏まえた見直しが必要だと思っております。こうした検証を、どのように実施するのかは、財源との兼ね合いもあるのだと思いますが、重要な論点になると思います。

○鎌田座長 財源は二事業ですか。

○首席職業指導官 それも含めて、検討させていただきます。

○鎌田座長 検討課題ですか。ほかにありますか。

○林参集者 今の件に関して、意見と質問です。私も、確かに常用就職の実績が 1 件というところは、飽くまでも求人者と求職者のマッチングの中で成り立つものなので、変な意味でノルマになってしまってもいけないと思いますので、これは必要ないと思います。

 もう 1 つは、更新時期が初回は 1 年、 2 回目以降は 3 年ごととなっています。初回 1 年は確かにうなずけるのですが、 2 回目以降は 3 年ごとと少し緩やかにすることについては何らかの目安があるのでしょうか。例えば過去にこういったことをやったときに、更新は大体こういうタイミングが通例なのかなど、 3 年の根拠をお聞かせいただきたいと思います。

○首席職業指導官 確か有料職業紹介の許可の有効期間が、初回 3 年、以後 5 年ではなかったかと思います。それで、 3 年を採用しています。

○坂下参集者 もう 1 つ論点として挙げさせていただきたいのが、資料 2 4 ページの「利用方法のポイントなど」です。提供先は紹介状況や就職状況の定期的な報告を行うことを規約に定めるとあります。この報告頻度について、どの程度を考えているのでしょうか。

○首席職業指導官 今、特に明確にスパンをある一定根拠をもってこれぐらいと考えているわけではありませんが、四半期、半年、 1 年という感じになってくるのではないかと思います。

○坂下参集者 私どもとしては、有料職業紹介事業の報告も年 1 ですので、それに準ずる形で十分ではないのかと思っております。

○鎌田座長 そのほかに論点、あるいは御意見はありませんか。これから、この検討会の進行についてのお話もいたしますが、もし追加で論点があれば、この場でなくても結構ですので、事務局なりに追加ということで言っていただければと思います。事務局では、この論点の整理はしていただけるのですか。私がしなければいけないのですか。

○首席職業指導官 いえ、論点を整理させていただき、次回、前回このような御議論でしたということを御報告させていただきます。

○鎌田座長 よろしければ、資料 3 、今後の進め方についてに移りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。では、資料 3 「検討会の今後の進め方について」、事務局から説明をお願いいたします。

○首席職業指導官 資料 3 「検討会の今後の進め方について」として、 3 点あります。 1 つは、次回、有識者の方々からヒアリングを行いたいと考えております。ここで想定しているのは、情報システムそのものについて御意見を頂く方がお一人。それから、個人情報保護について主に法的な観点から御意見を頂く方をお一人考えております。それから、実際の民間職業紹介事業の関係者の方々から、できれば大きい所と小さい所各 1 程度、次回ヒアリング対象にすることを想定しております。このあと、何か御意見があれば頂きたいと思います。

2 番目が、全体のスケジュール的なことです。ここで議論いただいて取りまとめを行ったあと、その結果を職業安定分科会に報告いたします。その結果に基づき、必要があれば平成 27 年度の概算要求に反映させますので、現時点で想定しているのは、 6 月上旬をメドに取りまとめることを目指すということです。取りまとめに向けては、 2 回目以降ヒアリングを含めて複数回検討会を開催するということで進めることになるかと思います。

3 点目は、ハローワークの現場で求職情報をどのように取扱って処理しているかを御理解いただくということで、ハローワークの視察をセットする必要があるかということです。これについては、いろいろなやり方があると思いますが、検討会としてセットすることもありますし、御希望の皆様に個別に御案内することもあると思いますが、その辺りも御意見を頂ければと思います。

○鎌田座長 今、御提案いただいたのは、次回はヒアリングをしたいということです。そのあと、一応 6 月上旬をメドに取りまとめを行いたいということで、次回が 1 回そして取りまとめの 1 回の 3 回でいくのか、あるいは少し議論をするということでもう 1 回プラスしていくのか、つまり 4 回でいくのかといったところで、少し皆さんの御意見を頂きたいと思っていますが、何か御意見はありますか。

○高松参集者 今の進め方をお聞きして、 1 つは意見聴取については是非やっていただきたいと思いますし、我々もいろいろな情報を入れたいという思いです。また、情報という意味では、 3 「その他」にありますハローワークの視察についても、是非早急に実施していただきたいと思います。特に、参考資料 2 でワークフローを頂戴しましたが、この内容をより詳しく知ることは、このシステムをどう考えていくかという議論を行う際に非常に大事だと思いましたので、これは是非やっていただきたいと思っています。

 それから、今、座長から出ました本検討会の開催回数ですが、 6 月上旬をメドに取りまとめたいということでお急ぎになっているのは分かるのですが、次回ヒアリングを入れるとなると、それで 3 回目で終わりというのは少し論議が浅いような気がしますので、少なくとも私は今日を入れて 4 回は必要だと思っております。

○鎌田座長 そういう御意見があったのですが、これについて御意見はありますか。あるいは、仮に 4 回を組むとすると、どういうスケジューリング、イメージで考えればよろしいのでしょうか。

○首席職業指導官 現時点で皆様からスケジュールを頂いておりまして、全ての皆様が空いているのが現時点では 6 11 日です。改めて、また日程はお聞きいたしますが、今の段階でお聞きしているのは 6 11 日で、 6 10 日前後が空いていて、その後になると 6 月下旬です。 4 回となると、場合によっては一部御欠席があっても開催することもあり得るかとは思いますが。

○鎌田座長 これは、夜の 18 時以降ということで御希望も聞いていましたか。普通は、厚労省ではそういうことはあり得ないですか。

○職業安定局次長 たまにあります。

○首席職業指導官 ありますね。今のところは日中だけで希望を取っていたので。

○鎌田座長 そうですよね。皆さんにとっては大変負担だとは思うのですが、このような重要な会議ですので、場合によっては 18 時以降。私は大学の教員なのですが、 18 時以降であればまだ授業が少し軽減されますので、少し組んでいただく可能性もあるかなと思います。よろしいですか。 18 時以降も組む観点で、少しイメージを作っていただければと思います。回数について、ほかに何か御意見はありますか。

○坂下参集者 論点が多数ありましたので、十分に議論はすべきと思います。

○鎌田座長 よろしいですか。では、一応 4 回をメドにということで、それから日程については今申しましたように、夜に掛かったような形での皆さんの御希望を聞きながら設定をしていただければと思います。それから、視察なのですが、高松さん、検討会として視察、あるいは希望者で視察というのは、どういうイメージですか。

○高松参集者 それは事務局にお任せいたします。

○鎌田座長 視察となると、半日という形になると、なかなか全員でスケジュールを組むのは難しい可能性もありますので、その辺りのことも含めて少し立案をしていただければと思います。

○首席職業指導官 日程については、改めて調整をさせていただきます。視察については、個別に御希望をお聞きしながら、また個別で御案内をするかは若干検討させていただきたいと思います。

○鎌田座長 分かりました。では、この検討会の期日間で進行については調整をしていただくということで進めたいと思います。今日はこれで終了したいと思います。事務局から何か追加の御連絡はありますか。

○事務局 第 2 回ヒアリングの開催日時をお伝えいたします。次回の開催は、 5 23 ( ) 10 時から 12 時を予定しております。よろしくお願いいたします。

○鎌田座長 最後に、何か御意見、あるいはこれについては調べておいてほしいというようなことがあれば、事務局に御連絡ください。お忙しいところ、ありがとうございます。これをもちまして、本日の検討会は終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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