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2013年10月18日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

○日時

平成25年10月18日(金)17:00~


○場所

厚生労働省専用第14会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

○新 井 洋 由、 庵 原 俊 昭、 大槻 マミ太郎、 奥 田 真 弘、
  川 崎 ナ ナ、  菊 池    嘉、 佐 藤  俊 哉、 鈴 木 邦 彦、
  関 水 和 久、 田 島  優 子、 田 村 友 秀、 豊 見 雅 文、
  中 島 恵 美、 濱 口    功、 半 田    誠、 福 山    哲、
◎吉 田 茂 昭
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(4名)

清 田   浩、 前 崎 繁 文、 増 井   徹、 山 本 一 彦

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田 雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野     惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会」を開催いたします。本日はお忙しい中、また、遅い時間に御参集いただきまして、ありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、清田委員、前 委員、増井委員、山本委員より御欠席の旨、御連絡を頂いております。また、大槻委員、鈴木委員より、少々遅れる旨、御連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち15名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。また、本日はその他の事項に関しまして、国立成育医療研究センター総合診療部の土田尚先生を参考人としてお呼びしております。吉田部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○吉田部会長 本日の議事に入ります。本日は審議事項がありませんので、審議事項に関する競合品目・競合企業リストの報告はありません。事務局から配布資料の確認をお願いします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に「議事次第」、「座席表」、当部会「委員名簿」を配布しております。議事次第に記載されている資料1~資料4をあらかじめお送りしています。このほか資料5「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を配布しています。また、当日配布資料として資料6「佐藤委員からの御質問」を配布しております。以上です。

○吉田部会長 本日は、報告事項が3議題、その他事項が1議題となっています。その他事項について、参考人に来ていただいておりますので、まずその他事項について、先に行いたいと思います。

 その他事項に移ります。その他事項の議題1について、事務局からの説明をお願いします。

○事務局 その他事項議題1、資料4「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」事務局より御説明いたします。

 1ページを御覧ください。バンコマイシン塩酸塩に「メチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(以下、MRCNS)」及び「ペニシリン耐性腸球菌(以下、PRE)」を適応菌種として追加し、「グラム陽性球菌による血流感染」、「好中球減少時の発熱」、及び「ペニシリンアレルギーのある場合の代替薬」を適応症として追加する要望に係る報告書について説明いたします。

 6ページの5.では、要望内容に係る国内外の公表文献・成書等に記載された情報をまとめています。これに基づき、31ページの7.の項では、要望内容の公知申請への妥当性について、それぞれ検討を行っています。特に()の有効性の総合評価においては、適応症における「グラム陽性球菌による血流感染」及び「好中球減少時の発熱」並びに適応菌種における「MRCNS」については、国内外の文献調査の結果、要望内容に関する文献が公表されていること、教科書や国内外の各種ガイドラインで本剤が推奨されていること等から、治療薬として確立されたものであり、臨床現場においても使用実績が蓄積されているものと判断されています。一方で、適応症における「ペニシリンアレルギーのある場合の代替薬」及び適応菌種における「PRE」については、ガイドラインに本剤を推奨する記載はあったものの、国内外の文献調査の結果、要望内容に関する文献に乏しく、使用実績が蓄積されているとは判断しがたいとされています。安全性については、32ページの()に記載しておりますとおり、疾患に特異的な有害事象は報告されておらず、用法・用量も既承認の用法・用量と同一であることから、安全性に大きな問題はないと考えられるとされています。

 以上を踏まえ、「()要望内容に係る公知申請の妥当性について」ですが、「好中球減少時の発熱」並びに適応菌種における「MRCNS」については、公知申請が妥当と判断されています。なお、適応症における「グラム陽性球菌による血流感染」については、提出されたほとんどの文献報告が「敗血症」を対象としたものであることなどから、本邦では既に敗血症の効能・効果を有している現状を勘案すると、改めて適応として追加する必要はないものとされています。一方、適応菌種における「PRE」及び「ペニシリンアレルギーのある場合の代替薬」については、公知と判断することは困難とされています。

 以上を踏まえて、効能・効果については、33ページに記載しておりますとおり、適応菌種に「MRCNS」を、適応症に「好中球減少時の発熱」を追加することとし、そのうち、「好中球減少時の発熱」については、既承認薬の効能・効果、及び臨床現場における用語を踏まえて、表現を「MRSA又はMRCNS感染が疑われる発熱性好中球減少症」と修正されています。また、MRCNSについては、成書及びガイドラインの記載や使用実態に基づき、その適応症を「敗血症、感染性心内膜炎、発熱性好中球減少症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、腹膜炎、化膿性髄膜炎」とすることが適切とされています。

 用法・用量については、34ページ上段に記載しておりますとおり、調査した文献、ガイドライン及び成書における用法・用量は既承認の範囲内であったことから、用法・用量の変更は行わないことが適切であると判断されています。

 なお、3435ページの「10.備考」の項に記載しておりますように、本剤は耐性菌による重症感染症治療において重要な位置付けにある治療薬であり、不適切な経験的投与による耐性菌の拡大を防ぐ観点から、追加される適応菌種及び適応症に係る本剤の適正使用が確保される環境整備が必須であると考えます。この点については、日本感染症学会及び日本化学療法学会の協力により「MRSA感染症の治療ガイドライン」の追補が今年9月に公表されていることを踏まえ、これらの追補に基づき、本剤を適切に投与することが必要とされております。

 本剤の適正使用については、本剤の添付文書の「用法・用量に関連する使用上の注意」で、既に注意喚起を行っているところですが、引き続き適正に使用されるために必要な情報提供等を行うよう、製造販売業者に求める予定です。バンコマイシン塩酸塩に関する説明は以上です。

○事務局 続きまして、資料4の「組換えB型肝炎ワクチン(酵母由来)」及び「抗HBs人免疫グロブリン」について説明いたします。

37ページを御覧ください。日本小児栄養消化器肝臓学会及び日本産科婦人科学会より、B型肝炎ウイルスの母子感染の予防の効能・効果において、B型肝炎ワクチンを生後直後から新生児に接種する用法・用量の要望が提出されております。

 医療上の必要性及び海外の承認状況等について、3768ページに記載しております。母子感染による新生児のB型肝炎ウイルス感染は、容易にキャリア化し、肝細胞癌といった致死的な疾患に至る場合があることはよく知られているところです。

 要望用法・用量については、3756ページに記載したように、欧米等6か国の承認用法・用量もほぼ要望に沿ったものであり、ガイドライン等で接種スケジュールの詳細が示されているところです。また、5768ページに記載したように、国内外の臨床試験成績等から、要望用法・用量に関する臨床上の有用性も示されており、平成25年3月に開催された検討会議において、本剤の医療上の必要性が高いと判断されました。

 公知申請の妥当性について、6871ページに記載したように、海外ガイドラインに標準的療法として記載され広く実施されていること、また、複数の公的研究を含む国内外の臨床試験等において、要望と類似したスケジュールでB型肝炎ワクチンを接種した際の有効性及び安全性が報告されていることから、要望された用法・用量の有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると平成2510月の検討会議において判断されました。

 以上を踏まえ、B型肝炎ウイルスの母子感染の予防に関する用法・用量として、7273ページに記載したように変更することが妥当と判断されました。また、1回目の接種が生後12時間以内に接種できない状況も考慮し、【用法・用量に関連する接種上の注意】に、12時間を超える場合であっても、可能な限り早期に接種する旨の注意喚起を行うこととされております。なお、用法・用量においては、明確な接種スケジュールを提示するため、現行のスケジュールから本要望のスケジュールに置き換えることとされており、要望2学会も了承されているところです。B型肝炎ワクチンについての説明は以上です。

 続きまして、77ページを御覧ください。日本産科婦人科学会より、B型肝炎ウイルスの母子感染の予防に使用される抗HBs人免疫グロブリンについて、現行用法・用量の範囲内ではあるものの、併用するB型肝炎ワクチンの1回目の投与時の目安と同様に、「生後12時間以内が望ましい」との記載にすべきとの要望が提出されております。医療上の必要性及び海外の承認状況等について、7784ページに記載しています。疾患の重篤性は、先ほどのB型肝炎ワクチンで説明したとおり、致死的な疾患です。本要望は既承認用法・用量の範囲内ではありますが、欧米等6か国で広く実施され、有効性及び安全性が確立された用法・用量であることから、平成25年3月に開催された検討会議において、本剤の医療上の必要性が高いと判断されました。

 公知申請の妥当性について、8485ページに記載したように、要望内容は現行用法・用量の範囲内であり、初回投与時間は、米国、カナダの添付文書及び米国CDCのガイドラインに記載されていることなども踏まえ、要望された用法・用量の有効性及び安全性は、医学薬学上公知であると、平成2510月の検討会議において判断されました。

 以上を踏まえ、B型肝炎ウイルスの母子感染の予防に関する用法・用量として、8586ページに記載したように変更することが妥当と判断されました。なお、本要望は、既承認用法・用量の範囲内であることから、承認用法・用量の記載整備を行うことで対応したいと考えております。抗HBs人免疫グロブリンについての説明は以上です。

○吉田部会長 本議題については、参考人として土田先生に来ていただいていますが、何か追加コメントなどありましたら、お願いします。

○土田参考人 B型肝炎ワクチンと抗HBs人免疫グロブリンについてですが、HBウイルスのキャリアというのは、出生時の母子感染によるものが多いと言われています。キャリアというのは、自分の体の中にB型肝炎のウイルスをずっと持ち続けるということですので、これが例えば慢性肝炎、肝細胞癌などといった致死的な状況に至ることも可能性として含めていますので、私たちは母子感染による新生児のB型肝炎ウイルス感染は、できるだけ予防に努めたいと思っています。抗HBs人免疫グロブリンは受動免疫ですので、ワクチンより予防効果が早く現れるのですが、その予防の効果が時間的に短いものですから、まずできるだけそれを早く打つ。同時に、B型肝炎のワクチンを打って、しっかり能動免疫もつけていくことをしたいと思っています。

 実際には、米国CDCのガイドラインとか、欧米の添付文書などに示されているとおり、1回目は抗HBs人免疫グロブリンとワクチンを、出生後12時間以内に打つということ。HB型ワクチンの2回目は、1回目から大体1か月後ということで、出生後1か月、生後1か月に行います。3回目のHB型ワクチンの追加ですが、これは1回目から大体6か月後ということで、生後6か月に行います。ですから、出生時の抗HBs人免疫グロブリンとHB型ワクチンに関しては、出生された病院で行うことができます。2回目のHB型肝炎ワクチンは、生後1か月に当たりますので、1か月健診のときにできます。3回目のHB型ワクチンを行うのが生後6か月に当たりますので、これは私どもが6、7か月健診を、乳児健診のスケジュールをやっている中でできます。ですから、要望されたとおり考えていきますと、新生児のB型肝炎、母子感染による新生児のB型ウイルス肝炎は、キャリア化が防止されることが考えられますし、私たちが日常診療で行う中で、きちんとできていくだろうと。このスケジュールが明示されることで、それがしっかり行われるだろうと思っています。キャリアのお母様から生まれて、この処置が必要なお子さんたちのうち10%ぐらいが接種漏れに当たっているのではないかという報告もあるぐらいですので、ここをしっかり押さえたいと思っています。以上です。

○吉田部会長 委員の先生方からの御質問等ありましたら、お願いします。

○庵原委員 2点あるのですが、1点は0.25mLという量ですが、μgに直すとこれは2.5μgですね。ワクチンの投与量の話です。そうしたときに、各国のデータを見ていますと、5μg/ドーズでやっている国と、2.5μg/ドーズでやっている国と、両方あるわけですね。一般的には抗原量が多いほど抗体価は高く出ますので、なぜこれは2.5μで承認したのか。要するにアメリカとかオーストラリアは5μgですので。

 もう1点は、HBIGの投与量に関しても、この投与量はアメリカでは100単位/kgになっていますが、これですとアメリカのMAXの投与量の2分の1の量なのです。この量でいいのかどうか。やはりこれもHBIG投与量が多いほど予防効果が高いですので、そこまで引っ張り上げられないのですかという、そこの質問です。その2点の確認です。

○事務局 申し訳ありません。要望されているB型肝炎ワクチンについては、ビームゲンとヘプタバックス-IIになりますが、これは0.5mL当たりの抗原量が10μgということで、0.25mLで5μg接種されるということになろうかと思います。

○庵原委員 0.25mLというのは5μgですか。

○事務局 5μgです。現行の添付文書の有効成分量ですと、そういう形になっております。決して製剤が変わるわけではないので。

○庵原委員 2.5μgではないということですね。

○事務局 2.5μgではなく5μgです。抗HBs人免疫グロブリンについても、現在が新生児においては1回の接種量は0.51.0mLということで、ここは変更はありませんので、現行製剤で100200単位を接種することになりますので、そこも米国とそれほど変わらない値になるかと思います。

○庵原委員 勘違いをしていました。ありがとうございました。

○奥田委員 1点、教えてほしいことがあるのですが。バンコマイシンの用法に関して、諸外国の用法・用量の中で、60分以上かけて点滴という項目は、小児に関しては掛かっていると。しかし、成人の部分に関して、そういう記載がある国が、見逃していたのですが、アメリカではあるということですね。60分以上かけて点滴することが成人において必要というのは、どのぐらい。臨床では日常的にそういう投与をされるということで、承知されている内容ではあるのですが、現在のバンコマイシン製剤において、以前と比べるとかなり精度の良いものが使われているという状況において、成人で60分以上かけて点滴する必要があるかどうかということについて、何か情報があれば教えていただきたいのですが。

○事務局 事務局からお答えします。今、手元に資料がありませんが、基本的には治験が行われたときの投与方法に沿って、投与時間等も設定されているものと思います。現行、どこまで日本でデータが得られているか、手元にありませんが、今のところ日本で変更はされていないものと思います。先生からの質問については、PMDAから答えさせていただきます。

○機構 お答えします。現在バンコマイシンの点滴静注用のものについては、用法・用量に関連する使用上の注意の中で、「60分以上かけて点滴静注すること」とされておりますので、そのような投与方法がなされている状況です。

○奥田委員 諸外国で60分以上必要としている国がほとんどないという状況との違いは特に何かあるのですか。データに基づいたものではないということになるのでしょうか。

○事務局 こちらは企業から例えばデータが提出されて、添付文書の改訂がなされましたら、今後、日本でも削除される可能性はありますが、現状、企業の方でどういったデータを持っているかについては調査をして、先生の方にまた後日、御回答ということでよろしいですか。

○機構 点滴静注用製剤についての御要望を頂いておりましたので、本件については、点滴静注用の、いわゆる60分かけて投与する部分について検討させていただいたということで、ワンショットの部分などについては今回は検討されていないという状況です。

○事務局 事務局から申し上げます。例えば3ページの英国の用法・用量ですが、腎機能が正常な患者における点滴投与の場合ということで、6時間ごとに500mgという数字が出ております。こちらですが、いずれの投与も10mg/minを超えないように投与するべきであるということになりますので、例えば500mgということになると、50分かかるということで、1時間ではありませんが、かなりの時間をかけて投与するように設定されているものと思います。ほかの国もですが、アメリカは60分以上となっております。「注入時間は60分以上とする」という所は、書き方の関係で、これが小児だけに掛かっているのか、成人も含めて掛かっているのか、不明ではありますが、英国などにおいても投与時間の規定はあって、ほぼ1時間程度かかるような状況になっております。

○奥田委員 分かりました。

○庵原委員 もう一度確認ですが、RECOMBIVAX0.5 cc 、5μgと書かれていますね。これはヘプタバックス-IIと一緒のものではないのですか。

○事務局 申し訳ありません。RECOMBIVAXについては、多分、米国で承認されている品目だと思うのですが、今、手元にあるヘプタバックス-IIの添付文書を見る限りでは、0.5mL10μgの抗原を含むとされていますので、0.25mLですと5μgの抗原かと思いますが。

○庵原委員 いや、0.5mL10μg。ということは、アメリカよりも2倍濃い量のワクチンが日本には入っているということですか。ビームゲンも同じように0.25mLに5μg入っているという。

○事務局 はい、ビームゲンも、現在、添付文書で確認する限りは0.25mLに5μgの抗原ということになっております。

○庵原委員 ということは、ヘプタバックスも0.5mL10μg入っていると。

○事務局 はい、そのとおりです。

○庵原委員 ということは、外国のよりも2倍濃いものが日本では流通しているという理解で、よろしいですね。

○事務局 はい、そのとおりです。

○吉田部会長 最後に書いてありますが、バンコマイシンに関しては、ガイドラインを遵守するというところを太く書いてください。乱用されると大変なことになりかねないので、よろしくお願いしたいと思います。ほかによろしいでしょうか。

 ないようですので、本議題については御確認いただいたものといたします。土田先生、ありがとうございました。

 報告事項の議題1にまいります。議題1について、よろしくお願いします。

○事務局 報告事項議題1、資料1「医薬品アバスチン点滴静注用100mg/mL及び同点滴静注用400mg/16mLの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。

 アバスチン点滴静注用100mg/mL及び同点滴静注用400mg/16mLは、ヒトの血管内皮増殖因子(VEGF)に対するヒト化モノクローナル抗体であり、VEGFの受容体への結合を阻害することにより血管新生を抑制し、腫瘍増殖を抑制すると考えられている抗悪性腫瘍剤です。現在は、「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」、「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」「手術不能又は再発乳癌」及び「悪性神経膠腫」の効能・効果で承認されています。

 今般、中外製薬株式会社から、「卵巣癌」の効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 なお、資料6にあるとおり、事前に佐藤委員から、日本人集団における有効性の情報について御意見を頂きましたので、機構から回答させていただきます。

○機構 御意見は以下のような趣旨です。「審査報告書21ページ、下から19行目以降において、機構は『ただし、GOG-0218試験の日本人集団における有効性の情報については、添付文書等により適切に情報提供をする必要があると考える』と述べており、その考えに賛成です。一方、機構が「日本人集団のイベント数が極めて少なく」と述べているように、審査報告書15ページの2010年2月25日データカットオフでのPFS追加解析結果の表とKaplan-Meier曲線では情報提供の意味がないと思う。2010年2月25日をデータカットオフとした理由については、審査報告書12ページ、本文の上から1行目以降に、『再発卵巣癌に対する本薬投与に保険が適応可能な施設では、各被験者の開鍵コード判明後は、疾患進行前であっても、プラセボ投与を受けていたCPP群及びCBP15群の患者に対し本薬の投与が開始され、本薬の効果を適切に評価できなくなる可能性が考えられるため、追加解析は各施設に開鍵コードが開示された2010年2月25日をカットオフ日として実施された。』と説明されている。しかしながら、国内の施設では保険適応とならないため、CPP群もCBP群も本薬の使用はできなかったはずで、日本人集団については2010年2月25日以降も適切な追跡が可能な期間があるように思う。そうであれば、追加の情報を収集して、アップデートした結果を添付文書等で情報提供していただきたい。」というものでした。

 今般の承認申請時に提出された資料には、アップデートした結果として、2012年3月にデータカットオフしたCPP群で10件、CBP15群で6件、CBP15+群で9件のイベントが認められた時点におけるPFSのフォローアップ解析結果も含まれていました。しかしながら、当該フォローアップ解析結果については、治験参加医師に被験者の開鍵コードが開示された後に得られたものであり、かつ治験医師判定のみの解析であることから、バイアスが入る可能性があるため、結果解釈に注意が必要と考え、2010225日をデータカットオフとした盲検性の担保されたPFSの追加解析結果を審査報告書に記載し、また、情報提供することを考えていました。

 なお、2012年3月をデータカットオフとしたPFSのフォローアップ解析結果につきましては、結果の確認は重要と考えており、2010年2月25日をデータカットオフとしたPFSの追加解析結果と同様の結果であったことを確認しています。機構としては、GOG-0218試験の日本人集団におけるPFSの結果を情報提供することは重要と考えていますが、いずれの時点のデータを情報提供すべきかについては、本部会での議論も踏まえて申請者に指示します。

 なお、佐藤委員からは、「審査報告書32ページ、審査報告()の冒頭の日付が抜けている。」との御指摘もありました。御指摘の箇所については、「9月26日」と記載します。御指摘、どうもありがとうございます。回答は以上です。

○吉田部会長 佐藤先生、いかがですか。

○佐藤委員 確かに添付文書には、多分、盲検性が確保されたデータを記載するのがいいと思いますが、配布資料とか、そういったところで追加のフォローアップの情報も提供していただけるといいのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○機構 御指摘を踏まえ申請者に指示させていただきます。御指摘ありがとうございました。

○吉田部会長 これは一部変更承認なので、市販後というか、保険承認後の臨床試験は予定していないのでしたか。

○機構 はい、現時点では予定しておりません。

○吉田部会長 ほかの委員の先生方、御質問はありますか。GOG試験のときにOSからPFSにエンドポイントが変わったのは、何か理由があったのですか。

○機構 審査報告書の7ページの中間辺りになりますが、今回の承認は初発の試験になるのですが、別途、再発の卵巣癌患者を対象とした試験も実施されていまして、その結果を踏まえてNCCNガイドラインで卵巣癌に対して本薬が推奨される記載になったこと、また、卵巣癌のコンセンサスグループや学会等でPFSはOSの代替エンドポイントとして妥当あるという意見もあったこと等を踏まえて、途中でOSからPFSに変更された経緯があります。

○吉田部会長 結局、OSだと差は出ないのですか。

○機構 最初にコンセンサスグループでの議論は、古い細胞障害性の抗悪性腫瘍剤での検討結果となっており、今回のアバスチンの成績を考慮すると、PFSがOSの代替エンドポイントになっているかどうかについては今後も議論があるところかもしれませんが、当時の議論としてはそのように判断されたというような経緯です。

○吉田部会長 分かりました。よろしいですか。ほかにありますか。田村先生、何かコメントはありますか。いいですか。

○田村委員 特にないです。

○中島委員 お伺いしたいのですが、このような追加申請ということで、副作用も強く、生存期間の延長も4か月とか5か月という薬の場合には、この薬の有効性もそうですが、例えばQOLをこの間に上げるターミナルケアとの兼合いも考えなければいけないと思うのですが、そういう場合の資料とかはこの添付文書以外に何か揃えていただけるのか、お伺いしたいのですが。

○審査第五部長 基本的にこの薬は、ターミナルケアというよりは積極治療で用いられるということだと思っていますが、先生が御指摘のように非常に強い副作用もあり、消化管穿孔とか、そういう副作用についても今回の臨床試験の中に見られています。これについては、これまで承認している効能における副作用とプロファイルがそれほど大きく変わるものでもありませんが、この添付文書を御覧いただくと、重篤な副作用についての警告を、かなり項目も多うございますが、警告欄でがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師の下で御使用いただくとか、これは既存の効能と同様によく熟知をしてお使いいただくということで、メーカーにも医療現場に対して適切に情報提供をするように指導していきたいと思っております。

○吉田部会長 質問の趣旨はそういうことではないような気がするのですが。

○中島委員 ドクターだけではなく、チーム医療のように、例えば薬剤師に対しても、こういう指導が必要だという資料を頂きたいと思ったわけです。

○審査第五部長 質問の御趣旨を理解しました。こういった添付文書以外にも「インタビューフォーム」等で、今回の効能に関する注意も含めて、主に「インタビューフォーム」は薬剤師が読まれるものだと理解していますが、情報提供を徹底したいと思っています。

 ○吉田部会長 よろしいですか。よろしくお願いします。ほかに御意見はありますか。御意見がなければ、本議題については御確認いただいたものといたします。

 続いて、報告事項の議題2と3について、説明をお願いします。

○事務局 報告事項議題2、資料2「医薬品ファルモルビシン注射用10mg及び同注射用50mgの製造販売承認事項一部変更承認について」御報告いたします。

 ファルモルビシン注射用10mg及び同注射用50mgは、アントラサイクリン系の抗腫瘍性抗生物質であり、現在は、「1.急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌及び尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)の自覚的並びに他覚的症状の緩解、2.乳癌(手術可能における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法」に関する効能・効果にて承認されております。

 今般、ファイザー株式会社から、肝癌に対する肝動脈化学塞栓療法の用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。

 続いて、報告事項議題3、資料3-1、資料3-2、資料3-3、資料3-4「優先審査指定品目の審査結果について(スミスリンローション5%)(テノゼット錠300mg)(ザイティガ錠250mg)(ジェブタナ点滴静注用60mg)」御報告いたします。

 資料3-1を御覧ください。優先審査の指定品目の審査結果ですが、優先審査の取扱いについては、2ページに概要を示しております。この制度は、薬事法第14条第7項の規定に基づき、希少疾病用医薬品や、その他医療上特に必要性が高いと認められる品目を指定し、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては、適応疾病の重篤性、医療上の有用性を総合的に評価して判断されます。

 1ページを御覧ください。今回の対象品目は、販売名「スミスリンローション5%」、一般名「フェノトリン」、申請者は「クラシエ製薬株式会社」です。本剤については、「疥癬」に係る効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、本剤の優先審査の該当性について御説明します。

 資料の右上に「別紙」と記載のある報告書の3ページを御覧ください。「適応疾患の重篤性」については、今回の申請において対象としている疥癬は、ヒゼンダニが皮膚角質層に寄生することにより発症し、駆虫しない限り治癒することはなく感染源となり続け、感染した場合、激しいそう痒感を伴い、夜間に特に強く不眠になることもあること等から、当該疾患は、「イ、病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患である」に該当すると判断されました。

 5ページを御覧ください。「医療上の有用性」については、国内第II/III相試験において良好な結果が得られており、また、既存療法と比べて肝機能障害等の重篤な副作用の懸念が少なく、使用方法の簡便さから患者への負担が少なく済むことから、本剤はイ「有効性、安全性、肉体的・精神的な患者の負担の観点から、医療上の有用性が既存の治療法、予防法若しくは診断法より優れていること」に該当すると判断されています。

 以上を踏まえ、本剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。本剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定です。

 続いて、資料3-2の1ページを御覧ください。今回の対象品目は、販売名「テノゼット錠300mg」、一般名「テノホビルジソプロキシルフマル酸塩」、申請者はグラクソ・スミスクライン株式会社です。本剤については、記載のような「B型慢性肝疾患」に係る効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、本剤の優先審査の該当性について御説明します。

10ページの下段の<総合判断>の項を御覧ください。「適応疾患の重篤性」については、B型慢性肝炎は治療を行わない場合、最終的には肝細胞癌や肝不全に至る疾患であり、基準のア「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されました。「医療上の有用性」については、これまでに実施された国内外の臨床試験の結果を踏まえると、B型慢性肝疾患において、類薬と同等の有効性、安全性及び忍容性が示されており、また、多剤耐性例に対しても有効性が期待できることから、基準のイ「既存の治療法よりも医療上の有用性があるものと考えられる」と判断されています。

 以上を踏まえ、本剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。本剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの部会で御審議いただく予定です。

○事務局 続いて、資料3-3を御覧ください。販売名「ザイディガ錠250mg」、一般名「アビラテロン酢酸エステル」、申請者はヤンセンファーマ株式会社です。本剤については、「前立腺癌」の効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、本剤の優先審査の該当性について御説明します。

 資料の報告書別添の1ページを御覧ください。「()適応疾病の重篤性」については、申請された「前立腺癌」は「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると考えております。

 次に「()医療上の有用性」については、本邦では、術後再発又は進行性前立腺癌に対する初期治療として、アンドロゲン除去療法などが行われており、これらの治療後に病勢進行が認められた去勢抵抗性前立腺癌に対しては、ドセタキセル水和物が使用されています。しかし、現時点で、ドセタキセル水和物による治療後に病勢進行が認められた患者に対しては、有効な既存の治療法は存在していません。

 本剤は、ドセタキセルを含む化学療法による治療後に病勢進行が認められた去勢抵抗性前立腺癌患者に対して、プラセボとプレドニゾン又はプレドニゾロンの併用投与群と比較して、本薬とプレドニゾン又はプレドニゾロンの併用投与群で全生存期間の有意な延長等が認められています。また、現時点で得られている安全性情報より、本剤は忍容可能と考えられることから、4ページの「総合判断」にあるように、本剤の医療上の有用性は高いと考えております。

 以上を踏まえ、本剤は優先審査品目に該当すると判断しました。本剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの場で御審議いただく予定です。よろしくお願いいたします。

 続いて、資料3-4を御覧ください。販売名「ジェブタナ点滴静注用60mg」、一般名「カバジタキセルアセトン付加物」、申請者はサノフィ株式会社です。本剤についても、「前立腺癌」の効能・効果で承認申請がなされています。事前に取りまとめられた医薬品医療機器総合機構の報告書に基づき、本剤の優先審査の該当性について御説明します。

 資料の報告書別添の3ページです。「()適応疾病の重篤性」については、申請された「前立腺癌」は「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると考えております。

 「()医療上の有用性」については、本薬はドセタキセルによる治療後に病勢進行が認められた、既存の治療法のない去勢抵抗性前立腺癌の患者に対して、ミトキサントロン塩酸塩とプレドニゾン又はプレドニゾロンとの併用投与群と比較して、本薬とプレドニゾン又はプレドニゾロンの併用投与群で全生存期間の有意な延長などが認められています。また、現時点で得られている安全性情報より本剤は忍容可能と考えられることから、5ページの総合判断にあるように、本剤の医療上の有用性は高いと考えております。

 以上を踏まえ、本剤は優先審査品目に該当すると判断いたしました。本剤の承認の可否については、今後、機構での審査を経た後に、改めてこの場で御審議いただくことになる予定です。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 説明は以上です。

○吉田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問がありましたらお願いします。

○佐藤委員 議題2について質問したいのですが。審査報告書を読ませていただくと、一部変更承認申請は肝動脈化学塞栓療法になっているのですが、塞栓物質に関する審査報告書の記述がほとんどないのです。この書き方だと、塞栓しない肝動脈化学療法には使えないように思うのですが、それはどうなのですか。

○機構 機構よりお答えします。今、御指摘のありました塞栓物質については、ジェルパートやディーシー ビーズなどが医療機器として承認をされていますので、医療機器の有効性・安全性については医療機器の審査の中で議論が行われていると承知しています。

 それから、塞栓物質を使わない、いわゆるリピオドリゼーションという方法もありますが、今回は公知申請の経緯の中で要望として承っているのが肝動脈化学塞栓療法についてですので、リピオドリゼーションについては、今回の一変においては追加される用法・用量に含まれないという認識でおります。

○佐藤委員 分かりました。では、リピオドールと塞栓物質の方の添付文書の変更も、これからなされるということですか。

○機構 本薬の一変に伴って、リピオドールの方の添付文書や医療機器の方の添付文書においても、関連する薬剤の添付文書を熟読するという旨が注意喚起されると承知しています。

○佐藤委員 ありがとうございます。

○鈴木委員 資料3-1の疥癬の薬についてです。疥癬は介護施設などで集団発生することがあり、特に夏場は治療に難渋するのですが、なかなかいい薬がなく、適応外というか未承認の薬などを使ったりして何とか治しています。この薬は本当に画期的な薬なのか、皮膚科の専門の先生もいらっしゃいますので、教えていただけますでしょうか。

○吉田部会長 大槻先生お願いします。

○大槻委員 疥癬の治療は、糞線虫の薬が内服で疥癬でも使えるようになるまで、非常に苦労しておりました。硫黄のお風呂に入ると有効ですが、硫黄は皮膚を非常に乾燥させますので、疥癬の皮疹が徐々によくなっても乾燥性皮膚炎に変わってきて、どこまでを治療のゴールとしていいか分からない。それから、オイラックスという薬があるのですが、これだけで治療すると、2~3か月かかるということで、非常に苦労しておりました。イベルメクチンが内服できるようになって、2回くらいの投与で、蔓延が疑われる医療従事者への投与を含め、治療の方法が目覚ましく改善されたわけですが、中に、やはり肝障害などで投与できない場合もあると聞いております。スミスリンローションが実際に画期的な薬かどうかということについては、私も少し疑問符が付くところもありますが、これは毛ジラミや頭ジラミに対しては市販されていて、古くからずっと使われているということで、このような薬を、内服できないような症例や、外用薬でほかで対処できないような場合に実際の臨床の場で使われている例は多々あると理解しております。これまで歴史的に非常に苦労してきた疥癬の治療選択肢は広がった方がいいのは当然で、皮膚科の立場からは、こういうものがOTCではなく、処方薬として承認していただけるようになることを強く要望したいと思います。

○吉田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。

 御意見がないようですので、議題2、3についても御確認いただいたものといたします。

 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がありますか。

○事務局 次回の部会は、1118日(月)13時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。

○吉田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。御苦労様でした。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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