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2014年3月25日 第83回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成26年3月25日(火)10:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、岡本浩志、勝野圭司、栗林正巳、城内博、新谷信幸、鈴木睦、角田透、土橋律(分科会長)、中澤喜美、中村聡子、縄野徳弘、半沢美幸、三柴丈典、水島郁子、山口直人

事務局:

中野雅之 (労働基準局長)
半田有通 (安全衛生部長)
井内雅明 (計画課長)
奈良篤 (安全課長)
泉陽子 (労働衛生課長)
森戸和美 (化学物質対策課長)
野澤英児 (建設安全対策室長)

○議題

(1)石綿障害予防規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(3)労働災害防止団体法第2条第2項の規定に基づく業種の指定の取消しについて(諮問)
(4)労働安全衛生法の一部を改正する法律案について(報告)
(5)その他

○議事

○土橋分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第 83 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況は、公益代表では桑野委員、労働者代表では小畑委員、辻委員、使用者代表では中村節雄委員が欠席されております。それでは議事に入ります。本日は諮問が 3 件と、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案について」の報告になります。次第では、 4 番目になっておりますが、最初に労働安全衛生法の一部を改正する法律案についての報告を受けたいと思います。事務局から説明をお願いします。

○中野労働基準局長 労働安全衛生法の一部を改正する法律案について、 2 4 日の審議会におきまして法案要綱の答申を頂いたところですが、 3 11 日に閣議決定されるまでの間に、答申案とは異なる内容に修正することになりましたので、その経緯について御説明いたします。

 答申後、法案の閣議決定に向けまして、労働安全衛生法の改正案については与党に御説明し、与党内で議論が行われました。その議論の中で、ストレスチェック制度について幾つかの御意見を頂きました。

 具体的には、産業医の専任義務がないなど、体制が整備されていない小規模事業場に実施を義務付けた場合に、適切にストレスチェックが実施されない懸念があること。ストレスチェックは、医師や保健師以外の専門職でも実施可能であること。医師や保健師などは必ずしも精神保健の分野に明るくないため、資質の向上に向けた取組が必要であること。ストレスチェックを受けた労働者が、事業者に面接指導を申し出る以外の道筋として、直接医師や保健師などに相談できる体制が必要であること。ストレスチェックを受けたくないという労働者にまで受診を義務付ける必要はないと考えること。そのような内容の御意見でした。

 これら、いずれの御意見もストレスチェック制度の実効性をいかに高めるかという観点からの御意見と考えましたので、厚生労働省としては、 2 4 日に答申いただいた案は、公労使三者で議論を重ねた上で合意いただいたものであることは十分認識しておりましたが、資料 4 の裏面に書いてあるように、法案を修正することとしました。具体的には、1、産業医の専任義務のない 50 人未満の事業場については、ストレスチェックの実施は、当分の間、努力義務とすること。ストレスチェックの実施者については医師、保健師だけではなく、厚生労働省令で定める者を加える条文の修正を行い、省令で定める者には、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士を含めることとすること。2、産業医等への研修の充実、労働者に対する相談・情報提供体制の整備として、国はストレスチェックを行う医師等に対して、精神保健に関する研修の充実・強化に努める旨の条文を追加すること。国はストレスチェックを受けた労働者に対する、企業内外の相談・情報提供体制の整備に努める旨の条文を追加すること。

 3、労働者に対して、ストレスチェックの受診を義務付ける条文を削除する、という修正をさせていただいて、 3 11 日に閣議決定されて国会に提出されております。以上、法案の内容の変更について経緯を御説明いたしましたが、私どもとしては、今後とも労働政策審議会の答申を十分に尊重していく考えですので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 中野局長から御説明を頂きました。ありがとうございました。ただいまの説明について、質問等ありますか。

○新谷委員 意見を申し上げます。ただいま中野労働基準局長から経緯を御説明いただきました。私ども労働側としては、先日行われた労政審の本審でも意見を申し上げましたが、本分科会においても、改めて発言をしたいと思います。

 もともとこの分科会で建議を上げて、法律案要綱についても、おおむね妥当ということで確認を行いました。答申をした内容は、 ILO の三者構成原則に基づいて、労使が論議を重ね、もちろん公益の先生にも入っていただいてまとめた内容であったわけです。

 従来の我が国の不文律とも言える慣行であれば、三者構成の審議会で確認された法律案要綱に即した形で改正法案が閣議決定され、国会に提出をされるわけです。そして、本来は、国会の中で論議をされて修正されることになります。これはもちろん立法府の意思として尊重すべきであり、特に労働における立法においては、三者構成の審議会との関係では、そういうスタイルを踏襲してきたわけです。今回、この分科会で答申された内容が、法律案ができるプロセスにおいて与党の法案審査の中で大きく修正をされるということに至ったわけです。この修正の内容は、この分科会で確認した、おおむね妥当という範囲を大きく逸脱すると考えております。こういうことが続きますと、三者構成の審議会である労政審の軽視や形骸化につながりかねないことを危惧するわけです。

 特に、修正されたメンタルヘルス対策については、今回の修正によって従業員数が 50 人未満の事業場におけるストレスチェックの実施が努力義務とされました。また、労働者のストレスチェックの受診義務の規定が削除されました。特に取組が遅れている中小企業の取組の強化を目指して、今回我々としては建議をまとめたわけです。建議の内容とも大きく異なる、後退した内容と言わざるを得ないと感じているわけです。

 しかし、一方で、労働安全衛生法は、 2011 年に提出された旧の改正法案が一度廃案になっているという経緯もあるわけです。早期の法改正が強く待たれる法案ですので、労働者の命や健康に直結する労働安全衛生法改正法案を早期に成立させ、労働者の労働安全衛生施策を前進させるということも非常に重要であると感じているところです。労政審で答申された内容が尊重されるべきであることを強く申し上げた上で、今回提出されている法案の早期成立に向けて、政府としても努力をお願いしたいと思います。以上です。

○中野労働基準局長 ただいま新谷委員の御発言は、我々として真摯に受け止めなければならない内容だと思っております。その上で、今後とも労働政策審議会の答申については十分に尊重していく考えを堅持してまいりますので、どうか御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。

 また、今回、国会に提出した労働安全衛生法改正案については、労働者の安全と健康を確保するための重要な事項を含んでおりますので、早期の成立に我々としても全力を挙げていきたいと思っております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、労働安全衛生法改正案に修正の入った経緯について御報告を受けたということで、次の議題に移ります。次に、 1 番目に戻りまして、議題 (1) 「石綿障害予防規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問に移ります。事務局から説明をお願いいたします。

○森戸化学物質対策課長 私から「石綿障害予防規則の一部を改正する省令案要綱」について御説明いたします。資料 1-1 と資料 1-2 を配布しております。資料 1-2 に基づいて御説明いたします。石綿については、関係省庁が連携して大気中の石綿濃度のモニタリングを行っておりますが、その結果、飛散が確認され、なおかつ労働者へのばく露の恐れのあるものについて、今回の改正により対策を講じるものです。

 今回の改正は 2 本の柱があります。第 1 点目が、石綿含有保温材、耐火被覆材等による石綿ばく露防止対策の強化です。そこにレベル 1 やレベル 2 と書いてありますが、これは一般に業界で言われている言葉ですが、単に吹き付けられたものをレベル 1 と言っております。保温材のように、一定の成型がなされているものがレベル 2 と言われています。石綿スレートのように、固められたといいますか、ある意味で封じ込められたものについてレベル 3 と呼んでおります。この順番に損傷や劣化がしやすいものとなっております。今回については、レベル 2 と言われている石綿含有保温材について、飛散が見られたということから、その対策の強化を図るものです。

 その内容については、まず下の改正内容の1、労働者を就業させる建築物において保温材、耐火被覆材等が損傷、劣化し、労働者が石綿等の粉じんにばく露する恐れがある場合について、これまでレベル 1 、いわゆる吹付け石綿において措置を講じられたものについて、同じように講じることとさせるものです。2、封じ込め・囲い込みの作業について、労働者を従事させる場合には、これも吹付け石綿と同様の措置を講じることを義務付けるものです。

 裏面の柱の 2 番目は、隔離した作業場所での石綿等の漏えい防止対策の強化です。先ほどのようなレベル 1 、レベル 2 の除去の作業を行う場合には、現在においては、下の図にあるような隔離空間で、隔離した状態で石綿が外部に漏えいしないような形で、その工事を行うこととされております。ただ、実際にモニタリングをしてみますと、前室の出入口辺り、その集じん・排気装置の排気口で、石綿粉じんの漏えいが見られたということで、それぞれについて対策を強化するものです。まず、前室からの漏えいについては、改正の内容は1から3までの措置を講ずることとしております。1前室には、今も作業指針において、エアーシャワーがある洗身室、更衣室、これを経由して外に出たり、あるいは中に入ったりすることになっております。これを石綿則上明確化するということです。2、前室が負圧になっていれば、外側から空気が入ってくるということで、隔離空間の石綿粉じんが外に出ることはないということですので、その日の作業開始前に、前室の負圧の状態を点検するということです。3、負圧が確認できない場合には、その吸引力が弱いことも考えられますので、集じん・排気装置の増設等の措置を講じてもらうということです。

 次に排気口からの漏えい防止対策については、これは Hepa フィルターというものを通過させて外に出ることになっておりまして、そこに完全に空気が通過していれば、外に出ることは全くないわけですが、その設置の仕方が悪かったり、あるいは集じん機がかなり老朽化しますと隙間ができて、その隙間から出るということがあります。そのために作業開始直後に集じん・排気装置からの排気口での漏えいの有無を点検することをし、更に漏えいが実際に見られたときには、装置の補修等の措置を義務付けるということで、排気装置からの漏えい防止対策の強化を図るというものです。施行時期については、いずれも 6 1 日の施行にしたいと考えております。以上です。

○土橋分科会長 ただいまの説明について審議をお願いします。質問等はありますか。

○勝野委員 今回の石綿則の改正については、点検の義務化等、ばく露防止のためにより安全に進めていくための規制の強化であると認識しておりまして、評価をしていきたいと思っております。

 とりわけ、解体等を含めて、現場で働く労働者は本当にアスベストにばく露する。そういった本当に危険な現場の中での作業を行っております。そういった労働者が安心して安全な作業ができるよう、工事の元請事業者などに、こうした石綿則に基づく作業や点検を徹底させることや、環境省等と連携を取り、工事現場周辺住民への理解をきちんと進められるよう、そうした安全対策を進めていただけるよう改めてお願いしたいと思います。以上です。

○森戸化学物質対策課長 今、お話がありましたが、環境省等とも連携しながら、現場の指導についてきちんとやっていきたいと考えております。

○犬飼委員 今回の石綿則の一部改正については、勝野委員が言われたように、安全対策を強化する内容ということで、方向性について妥当と受け止めています。ただし、今回の改正は、石綿の漏えいが確認されたことを受けて、後追いで対策を強化するところがあります。 2 つ目の隔離した作業場所からの石綿等の漏えい防止対策の強化にある、洗身室と更衣室の設置などは、現場でほぼ実施されていることを後追い的に省令で義務化するものと認識しております。厚生労働省としては、石綿対策に関する実態を把握した上で、更なる対策を講じるということだとは思いますが、石綿による健康被害の重大さを考えてみれば、石綿の漏えいやばく露が起こる前に所要の対策を速やかに講じていくことが極めて重要であると考えております。今後は、是非、後追いでの対策になることのないように、一層迅速かつ適切な対応を図っていただくことを要望申し上げておきます。

○森戸化学物質対策課長 今後におきましても、予防的観点から種々の対策の実現を図っていきたいと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、石綿障害予防規則の一部を改正する省令案要綱について、当分科会として妥当と認めることとしてよろしいですか。

                                  ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。

ここで中野局長はほかの用務があるため中座されます。次に議題 (2) の「高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問に移ります。まず、事務局から説明をお願いします。

○泉労働衛生課長 高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令案について資料 2-1 と資料 2-2 ですが、資料 2-2 を用いて説明いたします。はまず、資料 2-2 3 ページ、現行の高圧則の概要です。この規則は、労働者が高気圧下の作業に従事することによって、労働災害が発生することを防止するための、労働安全衛生法に基づく特別規則です。起源を遡りますと、安衛法成立以前の昭和 36 年にできている高気圧障害防止規則からのものです。対象となる業務は、高圧室内業務と潜水業務の 2 つです。共通する規制として、特別教育、特殊健診などの規制があり、また、それぞれ個別の規制として、設備、業務に関する規制を持っているという構造のものです。

1 ページ、今回の改正の趣旨については、技術の進展などにより、空気だけではなくて、酸素、窒素、ヘリウムなど、混合ガスを使うことが、既に実用化されております。このために現行の減圧表で規定されている圧力よりも高い圧力下での作業が可能となっております。また諸外国では、新たな知見に基づき減圧停止時間を求める方法が普及しております。これらの状況を踏まえて、専門家の検討を経て、混合ガスの使用等、現在の業務実態に合った形で適切な作業管理を行えるように、高圧則を改正しようとするものです。

 改正の概要の 3 番です。まず、高圧下の作業の時間の制限については、現行規則では、減圧表という形で、圧力の上限や、加圧から減圧までの時間、業務間・業務終了後の一定時間の重激作業への従事禁止、減圧を停止する圧力及び時間を規定しております。これは空気呼吸を想定して作られており、現状にあわせて様々な混合比で使われているガスに対応しようとすると、この減圧表を何十枚も作らなければいけないということになります。このため、現実的な対応として、計算式によってこの減圧停止時間を設定する方法に改定したいと考えています。それが右側の下にある、新たな減圧停止時間を求める計算式です。これを満たす時間を求めることによって、安全な作業ができる規制に変えようというものです。この計算式は、体内に蓄積された不活性ガスの分圧と、人体が許容することのできる最大の不活性ガスの分圧をそれぞれ計算式によって求めて、前者が後者を超えない範囲で、各圧力下における必要な減圧停止時間を設定するという方法を使っているものです。また、重激な業務への従事を禁止する時間を 14 時間とするという改正を行います。

2 ページ、改正する 2 点目としては、(2)呼吸用ガスの分圧制限です。現行では、空気のみを呼吸用ガスとして使用する前提で、二酸化炭素の分圧の制限のみを設定しておりますが、改正後は酸素、窒素、ヘリウムの混合ガスを使用する実態を踏まえて、二酸化炭素に加えて、酸素、窒素の分圧の制限を規定するというものです。また、酸素中毒の防止については、分圧の管理で適切に行えることから、潜水業務における純酸素の使用禁止規定については削除するというものです。なお、ヘリウムについては、中毒の原因とならないために規制は行わないというものです。

(3) 作業計画の作成及び記録の保存に係る措置として、現行では、減圧を行う圧力、時間については、高圧則別表に明記されておりますので、別表のとおりに管理していただければいいということになります。今後は、別表を廃止して計算式を示すことになりますので、事業者があらかじめ、減圧を停止する圧力及び時間を示した作業計画を作成し、その計画に基づいて業務を行わなければならないという形にするものです。また、その内容を当該労働者に周知することを規定するものです。また、記録の保存については、現行の減圧の状況のみならず、使用する呼吸用ガスの成分組成、減圧を停止する圧力及び時間など、その計画に定めた事項の記録を作成して 5 年間保存することを規定するものです。

施行期日ですが、関係者への周知とともに、高圧室内作業主任者、潜水士の免許試験への対応のために、施行は約 1 年後の平成 27 4 1 日を予定しております。以上、御審議をよろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 ただいまの説明について審議をお願いします。質問等はありますか。

○縄野委員 高圧室内業務と潜水業務については、東日本大震災の被災地において、橋脚や防波堤、あるいは岸壁の建設等、復興事業に従事する労働者が少なくないと思っております。

 一方で、建設関連労働者の人手不足が顕在化しております。今後、作業経験の少ない管理者、あるいは労働者が増えることも想定されます。高圧室内業務と潜水業務については、常に危険が伴う作業であり、高い専門性を持った管理者の下、適正な安全教育を受けた労働者が作業に当たることで、安全性の確保が図られると思っております。特に、今回の省令改正案で示されている減圧を停止する圧力や時間の設定については、労働者の生命や健康に直接影響を及ぼすものです。省令の改正後も、作業管理が適切かつ円滑に行われるように、特に減圧に関する計算方法の分かりやすさにも配慮しつつ、周知徹底に取り組んでいただくよう是非お願いしたいと思います。以上です。

○泉労働衛生課長 今、御指摘いただいた分かりやすい周知というのは大変重要なことだと考えております。今回、減圧表をやめて、計算式を示すことになるわけですが、関係団体である日本潜水協会、あるいは日本埋立浚渫協会、建設業労働災害防止協会等において、この計算式を用いたモデル的な作業工程、呼吸用ガスに係る減圧表を作っていただきまして、それを関係事業者に周知していただくことを、こちらからもお願いしていきたいと思っております。また、これらの関係団体におかれては、「高気圧作業安全衛生規則改正検討会」のほうにもオブザーバー、あるいは参集者として御参画いただいておりますので、内容については既に御理解いただいていると考えておりますが、今後施行に当たっての留意事項、あるいは詳細な点を施行通達に示すなどにより、またリーフレットを作成するなどして、周知徹底に努めていきたいと考えております。

 実際に作業される方への教育という観点については、高圧室内主任者、高圧室内作業従事者、潜水関係業務従事者に対しても、事業者が改正内容について適切な教育を行うように施行通達に示すなど、周知徹底に取り組んでまいりたいと考えております。

○土橋分科会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。それでは、高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について、当分科会として妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。続いて、議題 (3) の「労働災害防止団体法第 2 条第 2 項の規定に基づく業種の指定の取消し」に移ります。事務局から説明をお願いします。

○井内計画課長 資料 3-1 と資料 3-2 に基づいて、労働災害防止団体法に基づいて、鉱業の指定取消しについてお諮りするものです。資料 3-2 を御覧ください。 1. 労働災害防止団体制度について検討しております。労働災害防止団体法による労働災害の防止を目的として組織された団体は、全業種を対象とした中央労働災害防止協会と、指定業種ごとに設立される労働災害防止協会があります。これは厚生労働大臣が、労働政策審議会の意見を聞いて指定する業種です。現在は、中災防以外、建設業、陸上貨物運送事業、港湾貨物運送事業、林業及び鉱業の 5 業種が指定されております。

 鉱業については、厚生労働大臣が労働政策審議会、経済産業大臣が中央鉱山保安協議会の意見を聞いて指定をすることになっております。鉱業については、昭和 39 年に以下の事情等を考慮して指定業種としたわけです。1労働災害の発生率が常態として著しく高いということ。2業種の業態が特殊であるために、一般産業とは別にその業種において、独自に自主的な労働災害防止活動が行われることが、労働災害防止対策上必要であること。3独自に自主的な労働災害防止活動を行うことができる組織的な基盤があって、かつ、その活動の効果が十分に期待されうることということで、昭和 39 年に指定をしたわけです。ただ、今回の取消しについては、 2 、昭和 39 年当時と比べて、鉱業に係る事業場における労働災害発生率は低下している。これは保安技術の向上や、国内鉱業の縮小を受けて災害発生率は低下しております。鉱業労働災害防止協会 ( 鉱災防 ) が平成 26 3 20 日の総会において、解散決議を行いまして、今月末の平成 26 3 31 日をもって解散をする予定で決議を行ったために、3にあった独自に自主的な労働災害防止活動を行うことができる組織的基盤がなくなったことから、指定を取り消すこととしたいというものです。下に表がありますが、昭和 39 年の鉱業の災害発生率は、災害発生率 ( 度数率 ) で見まして 100.48 ということで、この時点では全ての業種の中で一番高い災害発生率でした。それが右のほうです。平成 24 年は 0.43 ということで、これは業種の中で一番低い災害発生率まで下がったわけです。あと事業場数も 1 3,000 余から 2,700 余に減っております。また、労働者数も約 38 万人から約 3 万人と減少してきているわけです。

 災害防止団体の関係については、裏面の (2) にあるように、鉱災防の収支状況は年々悪化しております。平成 23 11 月の労働政策審議会安全衛生分科会の下の労働災害防止団体改革検討専門委員会の報告書において、「鉱災防については、対象とする事業場数や労働者数が減少する中で、健全な業務運営を維持しつつ、更に人件費等の運営経費を大幅に削減することはこれ以上困難と考えられ、近い将来、事業の継続が困難な事態に陥ることが予想される」という指摘を受けております。この報告書の内容については、平成 23 12 月の労働政策審議会安全衛生分科会にも御報告したところです。

 こういった事情を受けて、 (3) にあるように、昨年の 6 月に開催された鉱災防の総会で平成 25 年度末で事業を終了させるということで、改めて臨時総会を 3 20 日に行いまして、解散決議を行って、 3 31 日付けで解散することとなったわけです。

 表の面を御覧ください。こういったことを受けて、今後の鉱業に係る労働災害防止活動については、鉱災防の解散後、鉱業関係団体等は、中央労働災害防止協会の会員となれば、中央労働災害防止協会が実施する各種事業を利用することが可能となります。また、これまで鉱災防が行ってきた事業のうち「教育研修事業」については、鉱業関係団体等が当該事業を実施するための環境を整備するまでの 3 年間は中災防が実施する予定です。こういったことで、鉱災防の解散、災害発生率の大幅な減少を受けて、今回、指定業種、鉱業の取消しについてお諮りするものです。御審議をよろしくお願いいたします。

○土橋分科会長 ただいまの説明について審議をお願いいたします。質問等はありますか。

○半沢委員 意見を述べさせていただきます。今回、指定業種から鉱業を取り消すという御提案です。鉱業の労災発生率の低下や、労働者数の減少、また、鉱災防が解散に至った経緯などを勘案すれば、やむを得ないものとして受け止めております。ただし、鉱業という業態の特殊性がなくなったというわけではありませんし、人員が減少したとはいえ、いまだ 3 万人を超える労働者が従事している実態があります。労働災害の防止に向けた取組は、不断に求められるものと考えております。

 資料 3-2 3 番の、今後の鉱業に係る労働災害防止活動についての記載では、教育研修事業については、鉱業関係団体等が当該事業を実施するための環境を整備するまでの 3 年間は、中災防が実施する予定とされております。これまで鉱災防が長年にわたって蓄積してきたノウハウを無駄にすることがないように、しっかりと鉱業関係団体がその内容を引き継いでいただいて、教育研修に当たることができるようにするなど、今回の指定取消しを機に、鉱業に関する労働災害防止活動が停滞することのないように、万全な対策、御指導を是非お願いしたいと考えております。以上です。

○井内計画課長 ただいま頂いた御意見はそのとおりでございまして、今後 3 年間は中災防が鉱災防の安全管理士さんにも御活躍いただいて、年 40 回程度の教育研修事業を実施することとしており、私ども行政としても、中災防が実施する教育研修事業が適切に行われるように、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。

 また、その 3 年後についても、鉱業関係団体等において、その 3 年の間に教育研修事業に準じた対応を御検討いただいて、環境整備が進むものと考えております。

○土橋分科会長 ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。それでは、労働災害防止団体法第 2 条第 2 項の規定に基づく業種の指定の取消しについて、当分科会として妥当と認めることでよろしいですか。

                                  ( 異議なし )

○土橋分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で手続をお願いいたします。本日の議題はこれで全て終了いたしました。最後に事務局から連絡事項をお願いします。

○井内計画課長 本日も熱心に御議論を頂きまして感謝申し上げます。次回の分科会の日程については、別途御連絡をさせていただきます。

○土橋分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は半沢委員、使用者代表委員は中澤委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。


(了)

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