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2014年2月3日 第3回労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部高齢者雇用対策課

○日時

平成26年2月3日(月)18:15~20:15


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第14会議室


○出席者

【公益委員】

岩村委員、山川委員

【労働者代表委員】

新谷委員、冨田委員、八野委員、芳野委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、遠藤委員、小林委員、鈴木委員

【事務局】

(労働基準局) 中野局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、大隈労働条件政策推進官
(職業安定局) 内田高齢・障害者雇用対策部長、中山高齢者雇用対策課長

○議題

1 有期雇用の特例について
2 その他

○議事

○岩村部会長 それでは、ほぼ定刻となりましたし、予定の委員の方々、皆おそろいでございますので、始めることにしたいと思います。

 ただいまから第4回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第3回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」の合同会議を開催させていただきます。

 きょうは公益委員の阿部正浩委員が御都合により御欠席ということでございます。また、同じく公益委員の猪熊律子委員は少々遅れるということですけれども、場合によっては御欠席になるかもしれないと伺っております。

 議事に入ります前に、事務局から定足数についての御報告をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、定足数について御報告いたします。労働政策審議会令第9条によりまして、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

 議事に入りたいと思います。前回のこの合同会議におきましては、有期雇用の特例に係る論点につきまして一通り御議論をいただきました。今日は、前回の議論を踏まえて修正した論点案及び関連資料について、まず事務局から説明をいただきたいと思います。その後、残された論点について、それを中心に議論を進めてまいりたいと思います。

 その後の進め方でございますが、国家戦略特別区域法の検討規定によりますと、平成26年の通常国会に所要の法案を提出することを目指すと定められているところでございますので、この合同会議としても、そろそろとりまとめに向けた検討に入る必要がございます。そのため、労使からいただいた御議論を踏まえまして、この合同会議としての報告の骨子案を事務局に作成していただいた上で、さらに議論を進めたいと考えております。

 それではまず、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、資料1~5について順次御説明させていただきます。

 まず、資料1でございます。「『有期雇用の特例』に係る論点(案)」ということで、これまで毎回お出しして、その都度御意見を反映して追記してきておりますが、先週金曜日の議論も踏まえて新たに整理したものがこちらでございます。

 まず、「1 特例の対象及び効果」でございますが、最初の○の後の2つ「・」は、これまでと同じ記載でございます。1つ目が、無期転換ルールの趣旨に反しない範囲とすることが必要ではないかということ。2つ目は、有期契約労働者の特性に応じて能力の有効発揮ができるよう、能力の維持向上や活用を図るための特別な措置を講ずることを目指すべきではないかという点でございます。

 それから、高度専門労働者につきまして、まず1つ目のゴシックのところは前回と同じでございますが、その後の部分は議論を踏まえて追記しております。一定の期間内に終了すると見込まれる事業の業務の具体的な範囲についてですが、経済のグローバル化の進展等に伴う企業活動を取り巻く環境の変化を踏まえ、企業内の期間限定のプロジェクトの業務のうち、高度な専門的知識等を必要とするものも対象としてはどうかということでございます。

 その後2つ「・」を並べております。これは前回までと同じでございますが、「高度な専門的な知識、技術又は経験」の具体的範囲と、年収の要件についてでございます。その下に前回の議論を踏まえて書かせていただいておりますが、まず、年収及び高度の専門的知識等の要件については、1回の労働契約期間の特例の要件として、大臣告示に定められている基準を参考に定めることが適当ではないか。それから、具体的には法案成立後、改めて労働政策審議会において検討の上、厚生労働省令等で定めることとしてはどうか。その際、国家戦略特別区域法において対象者すべてに常時雇用される一般の労働者と比較して高い年収水準を設定することが求められていることに留意すべきではないかということでございます。

 次のページですが、高齢者につきまして前回さまざまな御意見をいただいたところでございます。ここにつきましては、高齢者(特に定年後継続雇用されている高齢者)を対象にすることについてどう考えるかということで、(P)とつけさせていただいております。前回の合同会議における議論のポイントとしては、そこにありますとおり、まず、労働者側委員からの御意見として、定年に達した後に同一事業主に雇用されている高齢者に限るべきとの意見がございました。それから、使用者側からの御意見として、定年に達した後、同一事業主だけでなく特殊関係事業主や取引先の事業主等に雇用されている高齢者も含むべきとの御意見もいただいておりますので、あわせて書かせていただいております。

 次のところですが、これらのものについての通算契約期間のあり方についてどう考えるかということで、ここについても前回の御議論を反映させた形で書いております。例えば、次の期間は無期転換申込権が発生しない特例とすることについてどう考えるかということで、高度専門労働者については、対象となる事業が完了するまでの期間(上限10年)ということで、その下の注意書きとして、前回御意見もいただきました研究開発力強化法では、この期間を一律10年としている旨も追記しております。それから、高齢者につきましては定年後引き続いて雇用されている期間としております。

 「2 労働契約が適切に行われるために必要な措置」ということで、ゴシックの部分は今までと同じでございますが、その下の部分を今回新しく入れております。

 これも前回までの議論を踏まえまして、まず、特例の対象となる労働者については、その能力を有効に発揮することができるよう、事業主による適切な雇用管理が必要ではないか。例えば、厚生労働大臣が対象となる労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定した上で、これに沿った対応が取られると厚生労働大臣が認定した事業主に雇用される対象労働者については、無期転換ルールの特例の対象とする仕組みとすることについて、どう考えるかということでございます。

 以上が、法律の枠組みのような話ですけれども、その下が運用面での事項でございます。

 まず、特例の運用に当たっては、労使双方に無期転換申込権発生までの期間が明確になるようにすることが必要ではないか。それから、労働契約の締結更新時に特例の対象となる労働者に対して、無期転換申込権発生までの期間を書面で明示することが必要ではないか。また、高度専門労働者に対しては、特例の対象となる業務の具体的な範囲も書面で明示することが必要ではないかということでございます。

 最後「3 その他」でございます。改正労働契約法の運用に当たっての利用可能期間到達前の雇止めの抑制策のあり方についてですが、これも前回までの議論を踏まえて2点書かせていただいております。

 まず、無期転換ルールについて、雇用の安定がもたらす労働者の意欲や能力の向上や、企業活動に必要な人材の確保に寄与することなどのメリットについて十分に理解が進むよう一層の周知を図るとともに、労働契約法第19条に法定化された「雇止め法理」の内容や適用範囲等についても、あわせて周知を図ることとしてはどうか。

 2点目は、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(大臣告示)」に規定する雇止めの予告や雇止めの理由の明示など、有期労働契約に関する労働基準関係法令の諸規定の遵守の徹底を図ることとしてはどうかということで、これが本日御議論いただく論点でございます。

 資料2以降は、これに関連する参考資料等をお付けしております。

 まず、資料2でございますが、事業主による雇用管理の関係の論点について、これは前回御質問等も受けて事務局から口頭で御説明したものでございますが、今回ペーパーとしてお出ししているものでございます。中小企業労働力確保法の体系ということで、既存の法律の中で雇用管理についての法的枠組みがある例としてお付けしております。

 まず、中小企業労働力確保法の目的でございますが、中小企業における労働力の確保、それから、良好な雇用機会の創出のために、中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置を促進し、それによって中小企業の振興、労働者の職業の安定その他福祉の増進を図ることがこの法律の目的となっております。

 その目的の下で、その下からがスキームになりますけれども、まず基本指針がございます。主務大臣、この場合は厚生労働大臣と経済産業大臣ですけれども、この法律の目的に照らして、必要な雇用管理の改善に係る措置について基本的な指針を定めることになっておりまして、指針に定める事項として、中小企業者が行う雇用管理の改善に係る措置の内容に関する事項などが定められる。

 その上で、実際に個別の計画は第4条以下ですが、改善計画の認定の中で行われるということで、実際に計画を作成する主体は、そこにあります事業協同組合等あるいは中小企業者になります。その箱の中にありますけれども、それぞれ雇用管理の改善に関する事業について、一定のものについて計画をつくることができることになっておりまして、その計画を行政に提出する。この法律の枠組みの場合は都道府県知事になりますが、都道府県知事に計画を提出して、その計画の内容が厚生労働大臣及び経済産業大臣が策定する基本指針に照らして適当な場合に、この計画の認定がなされるという仕組みでございます。

 計画の認定がなされることによる法的効果は、その下に4つございます。雇用管理改善の取組に対する助成・援助の措置。それから、経済産業省関係の法律の特例ですけれども、中小企業信用保険法の特例、それから、中小企業投資育成株式会社法の特例がございます。それから、労働関係法令では、職業安定法における委託募集の特例ということで、本来であれば許可制であるところを、一定の計画の認定を受けた場合には届出により実施可能という特例がセットされているという法律の枠組みが一例としてございます。

 それから、資料3でございます。これも前回議論になりまして、事務局から口頭で御説明しておりましたが、参考の条文とともに改めてお示ししているところでございます。これは行政による認定によって、民事的な法律の特例が生ずるという立法例でございます。

 8ページは「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」ということでございまして、まず、102条で危険または有害な状況にあるマンションの建てかえの勧告ということで、市町村長が、構造設備が著しく不良であるため、居住の用に供することが著しく不適当なものとして、国土交通省令で定める基準に該当する住戸が相当数あるといったような一定の要件に合致するものについて、このマンションの建替えを行うべきことを勧告できる。

 これが勧告マンションということで位置づけられますが、その後、104条で計画が出てまいります。この勧告マンションの住戸の賃貸人1人または数人が、建替え実施者と共同して賃借人の意見を求めた上で、この勧告マンションについて居住の安定の確保、それから、建替えに関する計画を作成して、市町村長の認定を受けることができるということでございます。

 その法的効果として124条にございますが、この認定を受けた賃貸人が賃借人に対して賃貸借の更新の拒絶の通知をする場合においては、借地借家法にある規定は適用しないということでございます。

 借地借家法は次のページにございますが、これはいわゆる民事法規でございますが、26条に建物の賃貸借について期間の定めがある場合について、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に、相手方に対して更新をしない旨の通知等をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなすというような、みなし規定がございます。

 それから第28条も、更新しない旨の通知などは、正当の事由があると認められる場合でなければすることができないというような規定がございますが、前のページにあるようなマンションの建替えの計画の認定を受けたような場合は、今あるような民事的な効力を有する規定は適用しないという特例が借地借家法の外側の別の法律で置かれているという例でございます。

10ページでございますけれども、もう一つの例として港湾法がございます。これも第54条の3で、重要港湾における特定埠頭を運営し、また運営しようとするものは、当該港湾の港湾管理者、これは港務局または地方公共団体になりますが、港湾管理者に対して認定を申請することができる。

 認定を受けた場合、その後8項になりますが、認定を受けた上で貸し付けを受ける場合については、民法第604条、借地借家法第3条、第4条の規定は適用しないということになっております。

 民法と借地借家法の規定はその下にありますけれども、賃貸借の存続期間、借地権の存続期間等に関する原則の規定ですが、こういう認定を受けた場合はその規定は適用しないというような特例の規定の例でございます。

 資料4でございます。通算契約期間の特例、原則5年を何年とするかにつきまして、まず、高度専門労働者については、論点にも対象となる業務が完了するまでの期間(上限10年)と書かせていただいておりまして、そうした場合は具体的にどういう効果が発生するかということを図示したものでございます。

 まず、Aパターンですけれども、これは一定の期間内に完了する業務、いわゆるプロジェクトが7年間である場合。開始の日から完了の日までの間に、これは1年の契約を反復更新しているということでございます。原則であれば5年たった後に無期転換申込権発生になりますが、今回この特例の対象になる場合は6年目、7年目も申込権が発生しないというのが特例の効果として出てくるということでございます。

 次がBパターンですけれども、これはAと同様に一定の期間内に完了する業務は7年間ということで、そのプロジェクトの完了の日まで7年間勤めたと。その後、プロジェクトは終わったのですが、同一の事業主に改めて通常の業務に従事する有期契約労働者として雇用された場合ということでございます。こうすると、8年目につきましては法律の特例の対象ではありませんので、通常ルールの5年に戻りますということで、無期転換申込権が発生するという取り扱いになろうかと思います。

 最後Cパターンですけれども、これは一定の期間内に完了する業務、プロジェクトが11年間であるケースです。これは開始の日から完了の日まで11年間勤務するわけですけれども、仮定で上限10年としておりますので、10年たったところで無期転換申込権が発生するというような効果になろうかと思います。

 それから、もう一つ高齢者の場合です。高齢者についても論点では、定年後引き続いて雇用されている期間とするという形で置かせていただいておりますので、その場合の例でございます。

 Aパターンは定年が60歳。60歳まで無期雇用で来て、あとは1年更新で5年、65歳を迎えた後も引き続き雇用されているということで、それがつながっている間は特例として無期転換申込権が発生しないという効果。

 Bパターンにつきましては、定年は60歳とは限りませんので、62歳定年だった場合ですけれども、これも5年間たって6768歳になるところで特例がなければ無期転換申込権が発生するところですが、この特例であればその先つながっている間は発生しないというものでございます。

 Cパターンについても同様、65歳定年だったときもその先は同じような仕組みになろうかと思います。

 それから、※で書いておりますが、仮に認定が取り消されたような場合には、特例の対象となる労働者に該当しなくなることになりますので、その時点で通常の無期転換ルール5年に戻ることになろうかと思います。

 資料5でございますが、論点のその他の施策の周知の関係です。前回、労働者側委員から御意見もございましたが、施策の周知の効果についての資料でございます。

14ページは「改正労働契約法の周知の取組について」ということで、平成24年8月の改正法成立後、各種の取組を実施しております。改正内容を説明したリーフレット、パンフレットの作成・配布、ホームページで専用ページを設置していること、各都道府県で説明会、平成24年度は約200回というような形で実施。それから、新聞、経済誌、インターネット等の広告。それから、労働契約解説セミナーという形で全国47都道府県で実施しております。これも一般向け、学生向けというような形で展開しております。

 こうした取組を実施した結果、改正労働契約法の認知状況につきましては、昨年1112日公表のJILPTの調査の中で認知状況はとれておりますが、「改正内容まで知っている」は63.4%、「改正されたことは知っているが内容はよく分からない」が30.4%、「知らない・分からない」が4.5%となっております。

 次のページですけれども、今のは労働契約法に特化した話ですが、もっと一般に労働法の認知状況はどうかという資料でございます。これは厚労省の中の「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」という研究会をかつて開催していたところで使っていた資料です。これは、いずれも連合総合生活開発研究所のアンケート調査、2003年と2007年からデータを拾って資料化したものでございますが、上は労働組合をつくること、育児休業を取得できること等々項目がありまして、それぞれ例えば43.8%、41.4%というような割合で権利を理解しているという数字が出ております。

 下は2007年調査ですけれども、雇用保険や最低賃金、残業手当というような項目について、認知割合がそれぞれ一番右側の欄にあるような数字が出ているということでございます。

 事務局からの資料の説明は以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま資料について説明をいただいたところでございますので、御意見あるいは御質問がございましたら、お出しいただければと思います。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 前回の部会で、使用者側委員から私どもに対する質問がございましたが、時間の関係もあり、回答を持ち越しておりましたので、まず、これについて見解を申し述べたいと思います。

○岩村部会長 その点、私の方でも失念しておりました。ありがとうございます。よろしくお願いします。

○新谷委員 使用者側委員からの御質問は、高齢者にかかる特例の対象範囲をどうするかという論点について、労働側が「65歳までの希望者全員の雇用の確保」という改正高齢法の内容を援用する一方で、特殊関係事業主を特例の対象から外すのは論理が合わないのではないかという趣旨だったかと思います。これについては、既に論議の中でも私どもは考え方を申し上げておりましたとおり、今回の検討は労働契約法という純然たる民事法規の特例扱いを論議しているわけでございますが、労働契約法における労働契約の締結の主体は、あくまでも使用者と労働者という関係でございますので、そこに第三者が入ってくることについては、今の判例上の解釈から言えば、法人格否認の法理を使っても、法人格が形骸化している場合、あるいは法人格の濫用が起こって第三者と当事者が一体になっている場合にしか適用できないはずでございます。

 そういった意味でいきますと、労働契約法のような民事法規の中に、公法である高年齢者雇用安定法上の特殊関係事業主という概念を持ち込むことはなじまないのではないかということを申し上げていたわけです。

 仮に、特殊関係事業主を特例の対象として認めることになると、もともと労働契約法は年齢に関係なく、すべての労働契約に適用されるべき民事法規ですから、例えば、親会社であるA社に3年勤務して、特殊関係事業主であるB社に2年勤務をすれば、使用者側の御主張であれば、有期労働契約を反復更新して通算して5年たったときに無期転換申込権を生じさせるというのが、論理が一貫した考え方だと思います。こうしたことを考えても、民事法規である労働契約法の中に特殊関係事業主というものを特例扱いにして持ち込みにくいと主張しているところです。

 我々がこの間、終始一貫して申し上げていたのは、定年後、継続雇用で働く高齢者の無期転換ルールに特例を設けるということであれば、65歳までの確実な雇用確保が前提であるべきであり、それは高齢法の要請ではないか、という主張です。多分こういうことは想定されていないと思いますけれども、仮に定年後の再雇用あるいは継続雇用で、65歳までの雇用確保をせずに、5年を超えて有期契約の更新をしても無期転換申込権を生じさせないというような特例を設けるということであれば、高齢者の雇用が不安定になるだけであって、まさしく有期労働契約の濫用につながりかねないと思っております。

 無期転換申込権を設けた目的は、使用者側も認識は同じだと思いますけれども、有期労働契約の濫用的な利用を抑制するということであり、それで労働者の雇用の安定を図るということが目的でございます。また、使用者側も前回主張されていたように、労働契約法の改正趣旨に反しない範囲で議論することには賛成であるという御発言もいただいておりますので、私どもとしては、高齢者に関する無期転換ルールの特例を検討するということであれば、前提となる65歳までの雇用が高齢法の趣旨に従ってきっちり確保されるということがあって初めて、論議が成り立つということを改めて申し上げておきたいと思います。

 さらに付言すれば、高齢法が適用されて継続雇用に入った後、有期契約を反復更新する際の非更新事由の定めについても、私どもとしては、就業規則の解雇事由、退職事由に準じたものとすべきことを定めておくべきであり、それによって65歳までの雇用、有期契約の反復更新が確実に実施されることが必要であるということを、前々回申し上げておりますので、そうした見解を改めて申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 前回お尋ねした件に関しまして、冒頭御回答いただき、どうもありがとうございました。

 まず、使用者側の意見を申し上げる前に事務方にお尋ねしたい。9条1項、9条2項について、昨年4月1日から改正高齢法が施行されているわけですが、9条2項に該当する形で、それが高年齢者雇用確保措置に反するような事例が、地方労働局から中央に上がってきている実態が現実問題として生じているのかどうか、これが1点目の御質問です。

 2点目ですけれども、ただ今、労働側がおっしゃっているような65歳までの雇用確保措置に関して、9条1項と9条2項で差異があるのかどうか。前回、事務方の御説明の中では、守るべき法益というお話がございましたが、9条1項と9条2項で法律上の差異があるのかどうかについてお尋ねをさせてください。

○岩村部会長 では、事務からお答えをお願いします。

○中山高齢者雇用対策課長 最初の質問の地方労働局でどのような事例を把握しているかという件に関しましては、6-1報告で、まずはその制度を講じているかどうかという点を把握しておりますので、個別具体的に違反する事例といった形での把握ではないということ御理解いただきたいと思います。

 それから、第9条1項と2項の法益の関係でございますけれども、これは継続雇用する事業主が同一の場合と特殊関係事業主範囲でやる場合でございますけれども、さきの法改正の議論のときに特殊関係事業主は、議決権が一定割合以上あるようなケースであれば一体のものとしてみなすという形で御回答していたかと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 ありがとうございました。

 まず個別の事例はわかりました。次に9条1項と9条2項の位置づけですけれども、これは御説明するまでもなく、高齢者の方々の特殊性を踏まえたときに今後、受け皿をどういう形で拡大していくのかという議論の中で、一定の資本関係がある特殊関係事業主という新たな枠組みを講じ、さらにその場合については、契約を別途結ぶことで9条1項にプラスアルファする形の枠組みが整ったということです。65歳までの雇用確保措置に関しては、9条1項と9条2項の2つで第9条の内容が定まっていると理解しています。そういうことで申し上げれば、少なくとも定年後の継続雇用という対象で考えれば、特殊関係事業主を異なる形で位置づけるという先ほどの御説明については、納得しがたいということをまず申し上げたいと思います。

 その上で、繰り返し申し上げて恐縮なのですが、今回の使側の主張というのは、あくまで定年後の高齢者の方々を今後も活用していこうという前提の中にあって、でも一方で、高齢者としての特殊性をかんがみれば、やはり1年の有期で更新しながら労働条件を変え、また、働きがいのあるような仕事も別途提示するよう枠組み等も含めて、今後の広がりを持って考えていこうというのが、今回の私どもの根底にある考え方ということでございます。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ちょっとだけですが、先ほど新谷委員の御発言の中で、定年後の継続雇用で元の企業に例えば3年有期契約で更新して雇われて、その後、特殊関係事業主に移ってという例を挙げられましたが、まだ決まっていないので何とも言えませんが、直感的には特例の適用というのはあくまでも更新回数の問題ですから、したがって、特殊関係事業主のところから更新回数のカウントが始まっていくということであって、いずれにしろ、それは継続雇用制度の枠の中でやりますよねという話ですから特例の適用があると。したがって、5年の上限というのは適用されないと。だから、特殊関係事業主との関係でも特例の適用はないと私は理解していたのですが、もし、特殊関係事業主を入れるとするとそういう理解になるのか、それとも先ほど新谷委員が言われたように、3年と2年で5年になって、本来だと無期転換ができるのだけれども、特例の適用があるからできなくなるという理解なのか、そこは、もし特殊関係事業主を入れることになったときは、どちらの解釈なのでしょうか。直感的には私は前者だとばかり思っていたのですが。

○村山労働条件政策課長 この点は、まさにこれからの御議論だと思っております。もし、特殊関係事業主も含めて考えることになれば、法人格否認の法理まではいかないのだろうけれどもという若干のサジェスチョンもございましたが、特殊関係事業主自体が実質的に支配することが可能となる関係にある事業主ということで切れているので、今後の御議論であり、よく御意見も重ねていただければと思いますけれども、私どもとしては新谷委員が言われたような通算するという考え方もあるのではないかと思っているところです。

 それは結局、実質的な支配の関係にあるところについて、企業間でも契約を締結した上で、一体となって高年齢者の雇用の確保をする制度が含まれるという考え方ですので、そういったことであれば、逆の言い方をすると、それ以外の特殊関係事業主以外のものと切り分けるという整理も、また道は開けてくるかもれしないと思っております。まだ、私どもも生煮えで、よく労使の御意見も伺いながら詰めていく必要があるところだということで、非常に生煮えな暫定的な答弁ということでお許しをいただければと思います。

○岩村部会長 ありがとうございました。問題の所在自体はよくわかったと思います。

 ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員 私の理解が至らないので質問させていただきたいと思うのですけれども、最初に新谷委員から契約法は民事法の議論なので、主体は労使だという御指摘はそのとおりだと思うのですけれども、いわゆる第三者が入ると契約法上の解釈として、法人格否認の法理のときのみ関係すると聞こえたのですが、まさに先ほど課長からも御指摘があったように、契約としては特殊関係事業主とそこで働く高齢者の方、あるいは取引先の会社と高齢者の方という意味では、契約主体はもう移っているので、そこを濫用法理でないと契約を結ぶことができないというような趣旨でおっしゃられたのかどうか確認をさせていただきたいと思います。

○岩村部会長 では、新谷委員、お願いします。

○新谷委員 私どもとしては、無期転換ルールの特例についての議論は、あくまでも労働契約法上の問題ですので、高齢法の概念をこの中に持ち込むべきではないというのが、まず大前提の考え方です。その上で、継続雇用後に親会社から特殊関係事業主に移れば、確かに契約は移転しているということなのですけれども、先ほど申し上げたのは、その際の通算契約期間のカウントをどうするかという話です。無期転換ルールの特例については、私どもとしては、先ほど岩村先生が御提起され、村山課長が御発言されたように、あくまでも労働契約法上の問題として処理すべきであり、特殊関係事業主を特例の対象範囲とするというのはなじまないということを申し上げているわけです。

 以上です。

○岩村部会長 遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 主張の繰り返しになって恐縮なのですが、私どもは高齢者の働き方の実態をみたときに、高齢法上の位置づけを踏まえて整理すべきであるということを申し上げているので、恐らくこれはお立場の違いということが、まずは鮮明になったと思います。

 その上で、高齢者の現行の就業実態は、他の年齢層に比べて数字としては大変喜ばしい状況にあることは御承知のとおりかと思います。そういった中にあって、特例という対応をとったことによって、高齢者の就業実態にどのような影響を及ぼすのかという点では、むしろ私どもはプラスの効果が出るのだと理解しております。特殊関係事業主が対象になったとして高齢者の就業実態にマイナス影響を及ぼすのだということがもしあるのであれば、そこは御指摘いただければと思います。

 以上です。

○岩村部会長 これは前回以来大分御議論をいただいているところで、なかなか労使の議論が歩み寄らないところでもございます。ほかの論点で御意見があれば承っておきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

 遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 資料1の論点案では、先ほど御説明がございましたように、幾つかの追加部分と、前回も示されていたものであったとしても十分な議論が進まなかったと思える部分がありますので、何点か御質問させていただければと思います。

 まず、資料1の3ページ、「2 労働契約が適切に行われるために必要な措置」について、「・」が4つほどあります。その一番下の「・」ですが、「労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して無期転換申込権発生までの期間を書面で明示することが必要ではないか」とあります。ここの意味合いでございますけれども、特例の対象が仮に高度専門労働者と高齢者となった場合、双方にかかわってくる内容なのかどうか、これが1点目の質問です。

 2点目ですが、2つ目の「・」です。「例えば、厚生労働大臣が対象となる労働者に応じた適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定した上で、これに沿った対応が取られると厚生労働大臣が認定した事業主に雇用される対象労働者については」以下云々と書かれています。前回、労働側から、この中身についてもう少しわかるような絵という御指摘があったかと思いますが、この辺をもう少し付言していただけるようなことがあるのだとすれば、お願いしたいというのが2点目です。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局への御質問ですので、よろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 お答え申し上げます。順番が入れ違って恐縮ですが、資料で出てくる順でございます。厚生労働大臣が対象となる労働者に応じた雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定した上で、これに沿った対応がとられると認められた事業主に対して、そこで雇用される対象労働者については特例の対象とする仕組みとすることについてどう考えるかということです。資料2をお開き願いたいと思います。これは中小企業労働力確保法という、前回引いてお答えした法律だったと思います。中小企業における労働力の確保や良好な雇用機会の創出を行うという法目的のために、ただいま遠藤委員から御質問のございました、大臣定めの指針と具体的な計画認定のイメージをフロー図でまとめたものです。必ずしもこの資料でもはっきりしていない部分があるかもしれませんけれども、若干付言して申しますと、第3条で法目的に沿ったような措置といたしまして、基本指針に定める多様な事項として、中小企業者が行う労働力確保や良好な雇用機会の創出のために資するような雇用管理の改善に係る措置の内容に関して、この法定の基本指針で多様な事例を示しているところでございます。具体的には各委員のお手元の黒表紙の『労働総覧』と銘打った法令集がございますが、その1,725ページから中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のため雇用管理の改善に係る措置に関する基本的な指針というものが、何ページか書かれております。最初のところで中小企業における経営や雇用の動向に関する事項について述べた上で、例えば、労働時間の設定の改善の関係ですとか、あるいは男女の雇用機会均等の確保や、両立支援の関係、職場環境の改善、福利厚生の充実、募集・採用の改善、教育訓練の充実等々につきまして、さまざまな分野の措置はもちろんすべて実施することを求めるということではなく、こういったことが望ましいのではないかという多様な例示として掲げている訳です。

 こうした基本指針に沿って事業協同組合や、あるいは個別の中小企業者が計画的にこうした改善に取り組もうという計画を策定した場合に、この法律では、都道府県知事が基本指針等に照らして適当な場合に認定するというスキームになっております。

 翻って、今回考えていることでございますけれども、今回、もし枠組全体を新しくつくる方向で御議論をおまとめいただきますならば、法目的としては、対象となる一定の限定がかかった有期契約労働者の方々の特性に応じて、その能力の有効な発揮ができるようなということで、その必要な措置の例を指針に定め、計画的にそれに沿ったような取組を行うという枠組みの計画が提出されたときに、それを認定して、事業主において、そうした方向で有期労働契約者の方々の能力の発揮に向けて、あるいは雇用の安定も図られた中での活用をやっていただけるということであれば、それとワンセットの措置として、無期転換ルールの特例も発動するという仕組みが考えられるのでなはいか。それは資料2で申しますと、改善計画の認定がありましたときに、認定の効果としてさまざまな法律の特例が発動されるようなスキーム、こうしたスキーム自体は他の分野も含めてさまざまな法律があるところだと思いますが、そういったことが考えられるのではないかということが資料2を通じて御説明したかったところです。それが1点目です。

 1行空いて、個別の労働契約の際の労働条件明示の関係です。前回、公益委員からの御示唆もあり、予測可能性の向上あるいは労働者の保護の観点から、紛争防止の観点から、こうした仕組みが入れられるのではないかということで、2つの下の「・」を書いているところです。

 その際に、無期転換申込権発生までの期間の書き方が、高度専門労働者と高齢者で意味がかなり違ってまいりますので、こうした書き方で書くのがいいかどうかという御提起も含めて申し上げております。そこは、よりよい書き方を具体的なイメージとして考えることができればと思いますが、先ほどの遠藤委員からの御質問にお答えすれば、高度専門職と高齢者と、それぞれについてこのようなことが考えられるのではないかと考えておりますが、その際に実際に記載する事項としては、高度専門職のほうは仕事の内容ですとか、期間といったことをかなりリジットに明示いただくのに対して、高齢者の場合はそこまで書く必要があるかないかというのは当然あるのだろうという、先ほどの御質問の背景にあるお気持ちではないかと思います。そこはよくこれからの議論で詰めさせていただきたいということです。

 雑駁ですが、以上です。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 どうもありがとうございました。

 例えばということではございますが、指針をつくっていくということになりますと、対象が異なる形で、その適切な雇用管理に資するような内容をそれぞれ書いていくということになり、その具体に沿った計画を行政で認定していくというイメージでよろしいのかを再度確認させてください。これは質問です。

 次に、意見といたしましては、一番下の「・」についてです。御説明の中にありましたように、高齢者の場合は、1年ごとの更新、とりわけ健康状態に伴って労働能力の発揮度合いを見ていくこと等々を考えていくと、60歳の定年越えの段階から65歳までを契約書の中で明示していくことについては慎重でありたいと考えています。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 では、御質問の点について。

○村山労働条件政策課長 前段の御質問にお答え申し上げます。ただいまの御質問にありましたように、おっしゃるとおり高度専門職の方の場合に何が求められる雇用管理になってくるかといえば、恐らく一定の年収要件をクリアされ、高度な専門的な知識・技能・経験等をお持ちの方であるということを考えるならば、その方が長期間にわたる職業生活を通じた安定したキャリア形成を行っていくためには、その方の交渉力の源泉になっている職業能力が陳腐化せずに、常に時代やニーズに合ったものに対応していけるように、また、恐らくそういった方ですので、自発的な職業能力開発機会の確保等を中心とするようなさまざまな雇用管理上の措置について、いろいろと考えていくということが必要なのではないかと思います。

 翻って高齢者の方々に関しましては、むしろ内部労働市場におきまして長期間にわたって培われてきた職業能力・ノウハウ・経験といったものを、引き続き安定した雇用機会の確保措置の中で活かしていく。さらに、それを65歳以降も引き続き活かしていくため、先ほどの御質問でございますが、高度専門職と高齢者では当然、それぞれの特性に応じた雇用管理の例示として挙げられてくるものが違うのだろうと考えているところでございます。

 その上で、もし仮にこのスキームが法案化され、法案が成立したとしましたならば、基本指針については「労働政策審議会」の場において十分な御審議を経て制定されるべきものと考えているところでございます。

 以上でございます。

○岩村部会長 鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ただいまの件について関連の発言をさせていただければと思います。

 特に高度専門労働者に対しまして、労働条件の明示、義務事項として追加することにつきましては、基本的には違和感はございません。ただし、明示内容は何かということは今後詰められるということで、先ほど課長より仕事内容や期間が中心ではないかという御発言がありましたが、例えば、プロジェクト期間中の年収を確定的かつ法的に保証するということを労働条件の明示を通じて事実上されてしまうことになりますと、実態との乖離が出てしまいますので、この辺の技術的な問題については今後詰めさせていただければと思っております。今のが意見でございます。

 もう一点は質問でございます。資料の13ページの一番下の※で、認定が取り消された場合には、特例の対象となる労働者に該当しなくなるため、その時点で通常の無期転換ルールに戻るという御説明がありましたけれども、このような認定の取消しというのは、先ほど御紹介がございました中小企業労働力確保法とか、マンションの建替えの円滑法の中でもあるのかどうか。そのときの法的効果について教えていただければと思います。

○岩村部会長 では、御質問ですので事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 このような計画認定スキームを置いている法律には、基本的に変更とともに取消しのスキームが置かれているのが一般だと考えております。お手元の法令集の1,711ページをお開きください。そこに、ただいま鈴木委員から御指摘のございました中小企業労働力確保法の第5条、改善計画の変更等というのが中段から下段にかけてございます。その2項、都道府県知事はそうした認定に係る改善計画が要件に適合しなくなったと認めるとき、または、改善事業を実施しないと認めるときは、その認定を取り消すことができるという規定が置かれておりまして、積極的にこうした規定が現実問題として発動されているかどうかは別といたしまして、このような規定は一般に置かれておりますし、介護労働者雇用管理改善法ですとか、林業労働力確保法など、似たようなスキームのものに等し並みに置かれているのではないかと理解しているところでございます。

 以上でございます。

○岩村部会長 それでは、先ほど冒頭でも申し上げたように、この後案をお配りするということでもございまして、今の段階で議論しておく必要があるものについて御発言をお願いし、そうでなければ案を配った後に再度議論をお願いするということで整理させていただきたいのですが、今お手が挙がっているのが八野委員と冨田委員だと思いますが、いかがでしょうか。

○八野委員 高度専門労働者に関して意見を言わせていただきたいと思います。

 今ほど雇用管理に関してさまざまな議論がありましたが、前回も労働側から申し上げたように、高度専門職に関する特例の範囲は縛り込むべきなのではないかということを申し上げておきたいと思っています。

 もう一点は、企業内の期間限定のプロジェクトの業務についてですが、プロジェクトというのはさまざまあるわけで、産業競争力会議の議論などを見ても、「産業力強化に資するもの」ということが、特例の対象とするプロジェクトの性格を検討するにあたっての一つの位置づけを示しているのではないかと思います。

 もう一つ、これも前回労働側から申し上げたように、こうしたプロジェクトで、なおかつ高度な専門知識・技術・経験を要する業務があり、それに就く者、その対象となる者という整理をすることで、特例の対象のあり方は具体的なものになってくるのではないかと思います。論点(案)に記載された文言だけでは、かなり広い意味にとられるのではないかと思います。

 年収要件については、前回労働側が発言したように、労働基準法第14条の告示で示されている「1,075万円以上」という数字や高度人材外国人の認定基準などは、最低レベルということになるのではないかと思いますので、その点については、もう少し踏み込んで記載する必要があるのではないかと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 冨田委員のお手が挙がっていたと思いますが。

○冨田委員 ありがとうございます。私のほうからは、今、八野委員が申し上げたことと少しかぶる内容と、後の論議で御意見を申し上げたいことがございましたので、この場では結構でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、労使それぞれからいろいろ御意見を頂戴したところでございますが、先ほど冒頭でも申し上げましたように、この合同会議としての報告の骨子案を事務局に作っていただいて、それをベースに議論をさらに進めていきたいと思います。そこで、先ほど双方から頂戴した御意見も踏まえて、これから少し時間を頂戴して私と事務局で打ち合わせをさせていただきたいと思います。今から10分程度休憩ということになりますので、大体1925分ごろには再開したいと思いますので、しばらく休憩にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

(休 憩)

 

○岩村部会長 お待たせいたしました。それでは、議事を再開いたします。

 休憩前の議論におきまして、労使各側に御意見をいただきました。それも踏まえる形で事務局に報告の骨子案を用意していただきましたので、これから各委員にこの資料を配付していただきます。よろしくお願いいたします。

(「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について(報告)(骨子案)」配付)

○大隈労働条件政策推進官 それでは、報告の骨子案について御説明いたします。

有期労働契約の無期転換ルールの特例等について(報告)(骨子案)

 

  1 無期転換ルールの特例について

(1) 特例の枠組

一 一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識、技術

又は経験を有する有期契約労働者。

二 定年後引き続いて雇用される有期労働契約者

について、それぞれの特性に応じた適切な雇用管理を実施するとともに、無期

転換申込権が発生するまでの期間の特例を創設する。

 

(2) 特例の対象となる労働者の具体的要件

    一 「一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識等を

有する有期契約労働者」の具体的要件

     ア 一定の期間内に完了する業務については、経済のグローバル化の進展等に

伴う企業活動を取り巻く環境の変化を踏まえ、企業内の期間限定のプロジェ

クトの業務のうち、高度な専門的知識等を必要とするものを含むこととする。

     イ 年収及び高度の専門的知識等の要件については、1回の労働契約期間の特

例の要件として大臣告示に定められている基準を参考に定める(具体的には、

法案成立後改めて労働政策審議会において検討の上、厚生労働省令等で定め

る。)。

       なお、国家戦略特別区域法において対象者全てに常時雇用される一般の労

働者と比較して高い年収水準を設定することが求められていることに留意す

る。

    二 定年後引き続いて雇用される有期労働契約者の具体的要件

      定年に達した後に、同一の事業主又は当該事業主と一体となって高齢者の雇

用機会を確保する特殊関係事業主(P)に引き続いて雇用される高齢者につい

ては、特例の対象とする。

 

(3) 特例の対象となる事業主の具体的要件

     特例の対象労働者が、その能力を有効に発揮するためには、事業主による適切

な雇用管理の実施が求められる。このため、厚生労働大臣は、対象労働者に応じ

た適切な雇用管理の実施に関する基本的な指針を策定することとした上で、当該

指針に沿った対応が取られると厚生労働大臣が認定した事業主に雇用された対象

労働者については、無期転換ルールの特例の対象となる仕組みとする。

 

(4) 特別の具体的内容

(2)及び(3)の要件を満たす事業主と労働者との間の労働契約については、労働

契約法第18条の無期転換申込権発生までの期間について、次のような特例を設け

る。

    一 高収入かつ高度の専門的知識等を有する有期契約労働者:プロジェクトの完

了までの期間は無期転換申込権が発生しないこととする(発生しない期間の上

限は10年とする。)。

    二 定年に達した後に同一事業主又は特殊関係事業主(P)に引き続いて雇用され

る高齢者:当該事業主に継続して雇用されている期間は、通算契約期間に算入

しないこととする。

 

(5) 労働契約が適切に行われるために必要な具体的措置

     有期雇用の特例の運用に当たっては、労使双方に無期転換申込権発生までの期

間が明確になるようにすることが求められる。

     このため、事業主は、労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に

対して無期転換申込権発生までの期間を書面で明示することとする。

     また、高度専門労働者に対しては、特例の対象となる業務の具体的な範囲も書

面で明示することとする。

 

  2 改正労働契約法に基づく無期転換ルールの円滑な施行について

    平成25年4月から施行された無期転換ルールについて、無期転換申込権が発生す

る直前の雇用止めについて懸念があることを踏まえ、厚生労働行政において以下の

取組を積極的に進めることが求められる。

   ・ 無期転換ルールについて、雇用の安定がもたらす労働者の意欲や能力の向上や、

企業活動に必要な人材の確保に寄与することなどのメリットについて十分に理解

が進むよう一層の周知を図るとともに、労働契約法第19条に法定化された「雇止

め法理」の内容や適用範囲等についてもあわせて周知を図ること。

   ・ 「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省

告示第357)に規定する雇止めの予告や雇止めの理由の明示など、有期労働契約

に関する労働基準関係法令の諸規定の遵守の徹底を図ること。

 以上が、骨子案でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。

 それでは、今、事務局から説明をいただきました、報告の骨子案についての御議論をお願いしたいと思います。御意見があればお出しいただきたいと思いますけれども、議論の整理をするために大きく2つに分けて順序よく御意見をいただきたいと思います。1番目が無期転換ルールの特例についてということ。2番目が雇止めの抑制策についてという項目の順序で御意見を伺いたいと思います。

 まず最初に、「1 無期転換ルールの特例について」を取り上げたいと思います。御意見・御質問などがありましたら、お願いしたいと思います。

 小林委員どうぞ。

○小林委員 急に出てきたので、まだすべてを読み込んでいるわけではないですし、今までの論点をまとめた形になっているのかという意味で、幾つか御意見を申し上げたいと思います。

 まず、1ページの()の定年後引き続いて雇用される有期労働契約者、今まで論点の中にはもう一つございました。特殊関係事業主や取引先の事業主というのがあったので、Pはそれも含めて入っているのかお伺いしたいというのが1点。

 もう一つは、()の具体的要件の中で、厚生労働大臣が認定した事業主に雇用されるという、認定の手続についても入っているのですが、先ほど言ったほうがよかったのかもしれないですけれども、中小企業の関係の中小労確法の先ほどの図がありますけれども、中小労確法の仕組みをそのまま持ってこられたら多分対応できないということを申し上げたいと思います。

 先ほどの資料2を見ていただきたいのですが、事業協同組合と中小企業が都道府県知事の認定を得るということで、私どもでも傘下の団地組合などが労確法の事業協同組合として計画を提出する手続をとっています。かなりしっかりした計画書を出している側面がございます。これはなぜかといいますと、認定の効果として助成制度があるということと、融資関係の保証関係の特典がいろいろあるわけです。今回の場合、そういう金銭的なものではないわけですし、手続的にかなり細かいものまで書くようなことになると、企業側も含めて制度ができたのに使われないものになったら困るということがございます。

 先ほど課長からの説明では、雇用される専門的な方々のスキルを維持するという仕組みがあるでしょうし、高齢者についても過去に持っていたスキルを継続的に維持できるような形というのは、ある程度できると思いますけれども、それから広げてどんどん認定の要件みたいなものに幾つも指針の中で追加されると、逆に難しくなると思います。

 それと、それが実行されないと結局変更とか取り消しになってしまうと、なおさら使われないものになってしまう可能性があるので、この認定の手続については、できるだけ簡素化したものを考えていく必要があるということだけ申し上げたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。お尋ねと御意見ということだったと思いますので、事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、第1点、お尋ねの点でございます。1の()の二でございますが、先ほど論点の説明をさしあげたときにも、ここは労使の間で前回も御意見に違いがある部分であるということを意識しつつ、PはペンディングのPということで書いておりますけれども、同一の事業主に限るべきだという労側の御意見と、同一事業主、特殊関係事業主、さらには取引先等も含めて考えるべきだという使用者側の御意見双方を勘案した上で、このような形で書いた上でPをつけているということでございます。

 その際、あえて同一事業主と特殊関係事業主のみを書いておりますのは、1つには、先ほどの御議論にもございましたように、特殊関係事業主は高年齢者雇用安定法第9条の改正の中で支配力の関係から一定の整理がなされているということに着目しての御議論もこれから深めていただき、限られた時間の中でお願いできればという気持も込めていることは事実でございます。

 もう一点は御意見ということでしたが、確かに中小企業労働力確保法は、法律の形として基本指針に則した認定、そして他の法律の特例効果の発動という形の前例として挙げておりますが、例えば、小林委員からありましたとおり、具体的に助成金の不正受給防止ですとか、融資の際の詳細な事前のチェックといったことの意味も込めて、非常に多くの添付書類等も含めて提出いただいている、様式としては非常に複雑な様式となっております。先ほどの御意見にもございましたように、具体的な様式ですとか、あるいは指針の具体的な中身については、今回の法律の趣旨がきちんと貫徹できるように、なおかつ、もちろん不要な負担はおかけしないようにということで、今後よく考えていく必要があるものと私どもとしても考えているところでございます。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 先ほど冨田委員が、案が出てきたところで発言をということでしたので、冨田委員に発言をお願いして、その後に鈴木委員ということでお願いいたします。

○冨田委員 ありがとうございます。報告の骨子案の「()特例の具体的内容」に記載されている、無期転換申込権が発生するまでの期間についてですが、先ほどの論点ペーパーの中でも、無期転換申込権が発生しない期間の上限を10年とすることをどう考えるか、という論点を示していただきました。これにつきましては、前回も申し上げましたとおり、特例が認められる期間の上限はなるべく短い期間とすべきだということを、もう一度申し上げたいと思います。先ほどの論点ペーパーでは、研究開発力強化法を例にとられて10年という案を示されていましたが、この研究開発力強化法は労政審の論議を経ていない中で10年という期限を示していることもありますので、期間のあり方については、当部会でも改めて論議するべきだと思いますし、労働側としては10年という期限は長いのではないかという御意見を申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 高度専門労働者の対象範囲についてでございますが、先ほど労側委員から狭い範囲でという御指摘があったところでございますが、これは法律の中でも3つの要件で示されていると理解しておりまして、相当この要件自体からもかなり狭い対象範囲だということが読み取れるのではないかと思っております。

 それから、取消し時に労働契約法第18条のルールに戻るという解釈がされるということであるならば、相当程度効果としては強い部類の規定だと理解しております。そうした中で、指針の策定、とりわけ高度専門労働者に対する指針の策定ということにつきまして付言して申し上げますと、当然、相当程度高い年収を得ている方が対象になるというのは、私どもも十分理解しております。であるがゆえに、高い技術・知識・経験を持っているからこそ、プロジェクトに参加して以降、企業として能力の維持・向上あるいは活用を図るといっても、改めて専門知識を付与するという必要は小さいと理解しております。そうした中で、特に雇用管理の介入とならないような十分慎重な議論を今後させていただければと思っています。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 ただ、技術力の高い方であっても、技術というのは今、日進月歩ですので、新しいのが出てくればそれをフォローアップしないと、その人自身が使い物にならないということも当然ありますから、そういうものも含めて雇用管理のあり方は考える必要があるかなと私自身は思っております。

 では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 部会長からの御指摘につきましては、中身次第だとは思っております。例えば、弁護士資格を持っている方が、自らアメリカの各州の弁護士資格を取りたいということでその休暇を与えたり、あるいはそれを金銭的に支援するということまでは当然、企業としては考えにくいところです。例えば、必要な専門雑誌・書籍の購入などの情報提供など、ベース部分で各社が高度専門労働者に対して措置している一般的な内容というのはあると思っております。そういった実態をベースにぜひお考えいただければという趣旨で申し上げたということで御理解いただければと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、市瀬委員のお手が挙がっていますので、その後、新谷委員ということでお願いします。

○市瀬委員 前回も申し上げていることでございますが、中小企業には大企業を定年退職した方を採用して65歳を過ぎても活躍していただいている企業が多くございます。前々回の部会の資料で、65歳を超えても働きたいという高齢者が約7割、70歳を過ぎても働きたいという方も半分程度いるという調査結果をいただいております。こうした高齢者の方たちの雇用の受け皿は、まさに中小企業が担っていると思っておりますので、中小企業の一経営者としましても、こうした方々が65歳を超えても能力や健康状態などを定期的に確認しながら、少しでも長く働いてもらいたいという思いでございます。それにはやはり1年ごとの有期契約の更新という形が適切ではないかと思っておりますので、この点を十分に御理解いただいて、適切な処置が講じられるようにお願いいたします。

○岩村部会長 それでは、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今、骨子案をお示しいただいたわけですけれども、この骨子案は短い期間で論議した内容のうち、制度の変更についての、まさに骨子しか入っていないと思います。特に定年後の労働者に対する特例措置については、ずっと申し上げておりますけれども、国家戦略特別区域法から授権されたものではなくて、使用者側からの提起を受けて論議してきた内容ですので、冒頭に申し上げたように、もともと高齢法を踏まえれば65歳まで雇用が確保されるという前提があって初めて特例の議論が成り立つものと考えています。したがって、高齢法の趣旨や65歳まできちんと雇用が確保されるということをさらに強化するという旨の記述がないと、私どもとしては、これ以上論議を進められません。冒頭からずっと申し上げていることでございますので、その書きぶりについて、さらなる踏み込みをお願いしたいと思います。

 雇止めの話は、また後ほど申し上げます。

 もう一つは、やはりこの特例措置のスキームについては、民事法規と行政行為との接点をどうするのかという懸念が残っております。我々としては労働者、国民・市民の権利義務を規定する労働契約法においては、行政の関与を最小限とするべきだと一貫して申し上げてきました。今回の議論においては、国家戦略特別区域法附則の規定を受ける形で労働契約法そのものが見直される懸念もあった中で、このような特例措置という形に収斂してきたことについては、これまでの経緯を考えればまだましという感はいたしますけれども、それでもやはり行政が民事法規に関与して、労働者の権利義務に対して一定の影響を及ぼすことについては抑制的であるべきだと思っております。

 その上でお聞きしたいのですが、骨子案の()に、特例の対象となる事業主の具体的要件が記されているのですけれども、民事法規上の法律効果の民事効と行政における認定という行為との関係で、個別労働紛争が起こったときにどういうプロセスで解決していくのかというところがよくわからない、まだ見えないと思っています。労働者が、だれに何を訴えたらいいのかということです。認定を行った行政に対して行政訴訟を起こすのか、個別の司法の救済を求めて裁判所に訴えるのか、その仕組みがまだ見えませんので、骨子案が示されましたけれども、()についてさらなる資料を御準備いただきたいと思います。これは重要なポイントだと思いますので、限られた時間ですけれども、御準備をお願いしたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 最後の()のところについて、事務局の今のお考えがあればお願いします。

○村山労働条件政策課長 大変重要な御指摘をいただきました。公益委員の先生方ともよく御相談の上で、既存のさまざまな紛争処理スキームとの関係、裁判も含めて、どのように最終的に整理することができるのか。これは一方で、民事的な法律の特例を設けるですとか、あるいは先ほどの新谷委員の言葉をかりれば、今までも御紹介してきたとおり、純粋な民事法規と行政法との接点がないわけではないと思いますので、そうしたものとの整合的な理解も含めまして、よく公益委員の先生の教えも請いながら次回までに整理させていただきたいと思います。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 お手が挙がっていたのは八野委員だと思いますので、よろしくお願いします。

○八野委員 高度専門職の年収については非常に重要なポイントであり、労働契約法の特例を設けるという話になって、高度専門職を絞り込んできていますので、そういう意味でいくと、年収要件を高くすることによって、ある程度の範囲に絞られてくるのではないかと思います。

 そういうことから考えますと、労働基準法の第14条の告示でも1,075万円以上という数字が示されていますが、特例の年収要件の水準を検討するに当たっては、先ほども言いましたけれども、1,075万円よりも高い水準とすべきではないかと思っています。

 また、先ほど弁護士の例がありましたけれども、その方々が本当にプロジェクトの時にだけ事業主に雇われる有期契約となるのか、業務契約としてやる場合もあるのではないかとも思いますので、そういうことも念頭に置いた上で、年収要件について意見を申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 年収要件そのものは議論の対象ではありますけれども、他方で今日のこの骨子案では大臣告示というか、厚生労働省令で定めることを予定していますので、いずれにせよ、またこの場なのかほかの審議会なのかわかりませんが、議論するだろうと思いますので、また改めてそのときに御議論いただければと思います。

 では、遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 事務局にお尋ねさせていただきます。高度専門職の場合の特例の対象についてです。企業内の期間限定のプロジェクト業務のうち、高度な専門的知識等を必要とするものを含むこととするという書きぶりなのですが、例えば、企業内の実務のお話を伺っていますと、プロジェクトに最初から10人いるわけではなくて、そのプロジェクトが一定期間動いた後に、さらに高度専門的な方を加えていくことはままある話だと聞いています。そういう場合の取扱いをどうするのかというのが1点目です。

 それから、2点目ですが、プロジェクト自体が終期を迎えます。しかし、実際には残務処理というのがあって、その残務処理も実は高度専門的な知識を要しないとできないような場合があり得るのだそうです。その場合、プロジェクト自体は解散するのだけれども、そこにいた方がいわゆる残務処理として対応するような場合についての扱いをどうするのかということをお尋ねいたします。

○岩村部会長 では、2点お尋ねということでので、事務局からお願いします。

○村山労働条件政策課長 まず、1点目でございます。具体的に何年間のプロジェクトで、それぞれの方が何年反復更新されるかというケースにもよると思いますけれども、基本的に一定の期間のプロジェクトについて、こういう雇用管理をしますということを企業から認定申請していただいて、それを行政が認定するという仕組みな訳です。先ほどから労側委員からも繰り返し確認がありますように、個別の労働契約を認定するような仕組みではございませんので、一定の期間でなおかつ5年超の方が複数ちょっとずつずれているというようなことは、むしろこのスキームの中で無理なく対応はできる。あるいはAさん、Bさん、Cさんという方々の個別のコントラクトまで行政が関与するという仕組みではないということで御理解いただければというのが1点目でございます。

 2点目の残務処理のところは、前回も山川先生から第14条の場合の不確定終期の問題として難しい問題があるということがございました。本質的には同じような問題があるのだろうと思いますけれども、一方で、これは1年とか半年の反復更新の話でございますので、不確定な終期もある程度の幅の中にはおさまってくる中で、人事労務管理上の工夫も含めてどのように考えていくのかということはあるのだろうと思っております。

 例えば、トンネル工事で7年というときの不確定終期の問題とは幅の寄せ方は少し短い範囲になってくるのではないかと考えておりますが、大変貴重な御指摘もいただきましたので、さらに運用上どのようなものの言い方ができるか、よく考えていきたいと思っております。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょうか。遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 これは労側の意見表明があったことに対してのお答えだと受け取っていただければと思います。先ほど、労側の委員から、いわゆる特区法によって授権されたものではないので、新たに特例の対象にするということになれば、現行の高齢法以上に65歳までの雇用確保に関して、その趣旨が強化されるものが別途ない限りにおいては議論できないという御発言があったかと思います。使側としては、さらなる強化という枠組みを今回入れることについては反対をさせていただきたく思います。その理由は、高齢法の対象者基準の廃止を行った今般の改正そのものが、強化以外の何物でもないわけでございまして、それをさらにこの近時の間に二度も強化するなどという必要性は何ら感じていないということでございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 1番目の無期転換ルールの特例のところはよろしいでしょうか。山川委員どうぞ。

○山川委員 先ほど新谷委員からも御発言のありました、ルールの特例の性格についてですけれども、お話を伺っていますと、ある意味では労側も使側も行政の関与に関しては、もし採用される場合でも余り過度に当たらないようにするということについては、くしくもというか、結果的にというか御意見としては共通していると感じました。

 その上でですけれども、労働契約法自体の中にこういうルールを入れるとなると、やはり労働契約法の性格との関係が議論されると思いますが、今回もし入れるとした場合でも、特例法のようなことであると。それから、国家戦略特別区域法自体がある意味では政策立法的なものであるということからすると、どういう法律をつくるか、どこに位置づけるかにもよりますが、それなりの性格的位置づけを持つことはあり得るのかなと思っております。ただ、それにしても労働契約法の特例ということですから、行政の関与的な色彩については労使の御意見のようなことになろうかと思います。

 あと一点だけ、前の話ですけれども、特殊関係事業主との関係で、通算期間の問題が若干議論になりまして、前回途中で退席したので議論の経過がよくわからないのですが、部会長もおっしゃったことですけれども、第18条は通算の前提が同一事業主ということですので、そのこと自体について議論することもあるかもしれませんけれども、もともと事業主が違えば、通算のものはそこで切れるということも考慮した上で検討することになるのかなと思っております。ですので、検討すべき場合が生ずるとすれば、定年後、同一事業主に例えば2年とか継続雇用されて、その後、特殊関係事業主に3年継続雇用が移ったような場合に同一事業主の問題が生ずるかと思いますけれども、それは第18条の別要件の問題として検討すべきことだと理解しております。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

 労契法の第18条は事業主ではなく使用者ですので、済みません、その点だけです。

 よろしければ、2番目の論点に移りたいと思います。すなわち、雇止めの抑制策でございますが、これについてはいかがでしょうか。

 新谷委員どうぞ。

○新谷委員 雇止めの抑制策は、もともと労働側から提起させていただいた内容で、さきにまとめられた労働契約法改正の際の建議に記載されていて、その検討がいまだなされていないという前提の中で今回行うべきだと申し上げました。

 今回、骨子ということで2つ書かれておりますけれども、これは骨子ですので、まだ踏み込みが不足しているのではないかと私どもは思っておりますので、さらなる踏み込みをお願いしたいということでございます。

 以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、骨子案全体を通じまして何か御意見等ございますか。よろしゅうございますか。ありがとうございます。

 それでは、今日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。今日の委員の皆様の御議論を踏まえまして、次回は今回の報告の骨子案を基礎としながら、事務局で必要な修正を行いまして、報告書の案という形にした上で改めて提出をいただくことをお願いします。その上で、最終的なとりまとめに向けた議論を頂戴したいと考えております。したがいまして、事務局におかれましても、とりまとめに向けた作業・調整について最大限努力をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次回の日程につきまして、事務局から説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 次回の特別部会は2月14日金曜日の14時から16時を予定しております。場所は調整中でございますので、追って御連絡いたします。

○岩村部会長 それでは、今日の議論の議事録の署名につきましては、労働者代表は芳野委員に、使用者代表は鈴木委員にそれぞれお願いをいたします。

 それでは、これで第4回「有期雇用特別部会」及び第3回「高年齢者有期雇用特別部会」を終了したいと思います。お忙しい中、今日は遅くまでありがとうございました。

 


(了)

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