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2013年12月11日 第96回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

職業安定局雇用保険課

○日時

平成25年12月11日(水) 13:30~15:30


○場所

中央合同庁舎第5号館(厚生労働省)12階 職業安定局第1・2会議室


○議題

・雇用保険制度について
・その他

○議事

○岩村部会長 第 96 回雇用保険部会を開催します。今日は、皆様お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の出席状況ですが、阿部委員、野川委員が御欠席ということです。それでは早速、議事に移りたいと思います。カメラの撮影は以上までということで、お願いいたします。

 本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、「雇用保険制度について」ということになっています。まずは、事務局から資料を提出していただいていますので、それに沿って御説明いただき、そのあと質疑ということにさせていただきたいと思います。それでは、「資料 1  第 95 回雇用保険部会で委員から頂いた御指摘に関する資料」について、事務局から説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○高島雇用保険課長補佐 それでは、お手元の資料 1 について御説明させていただきます。第 95 回、前回の雇用保険部会で委員から頂いた御指摘に関する資料ということで整理をさせていただいています。

 前回の雇用保険部会で委員の皆様から頂いた御意見としては、大きく 2 つありました。 1 つ目は、中長期的なキャリア形成を支援するための措置ということで、教育訓練給付に関する拡充など、様々な教育訓練の支援を行うことを考えているわけですが、そちらについて、委員の方々から、その給付の水準、その対象となる方々の範囲などについて御意見を様々頂きましたので、再度たたき台を整理し、今回お示しさせていただくものです。

 後半は、基本手当の関係で、離職理由の考え方、今は「自己都合」ということで離職をされているが、そうした方々の中で、例えば時間外労働が長くなった方や賃金の不払いがあった方について、そのように取り扱うのかといった御意見があったことを踏まえて、整理させていただいているものです。

 資料 1 1 ページ、「中長期的なキャリア形成を支援するための措置関係」です。 2 ページ目ですが、前回お示しした給付の内容・水準について見直しをさせていただければということで、 ( ) という形で整理しています。「今般の中長期的なキャリア形成を支援するための教育訓練給付の拡充について、従来の教育訓練給付に比べ給付額が高額となることを考慮し、非正規雇用労働者である若者にとって利用・活用しやすいものとなるよう留意しつつ、給付の内容・水準の見直しを行う」というものです。

 前回お示ししたもの、現行の教育訓練給付の内容、今回の見直し案を表の形で整理したのが、下の図になります。支給要件期間、どれぐらいの被保険者期間があれば給付を受けられるのかということについて、現行の教育訓練給付は 3 年にしていました。今回の新しい拡充措置は、給付の水準が高くなることを踏まえて 5 年にさせていただきましたが、今回の見直し案では、委員の方々から、非常に高い給付の内容でもあるし、複数回受講を何度も認めるのはどうかといった御意見もあったことを踏まえ、見直し案としては、 10 年という支給要件期間にさせていただければと思います。

 それと対になる初回の利用者の方々に必要な支給要件期間は、現行の教育訓練給付は 3 年の要件が原則で、初回の場合は 1 年で可となっていますが、今回の見直し案では、 10 年を原則としつつ、初回の方については 2 年とさせていただければと考えています。こちらは、趣旨としては 2 つあります。御説明させていただいたとおり、非正規雇用労働者である若者にとって利用しやすいものになるということで、初回の訓練の方には一定程度間口を広げておく必要があるということが 1 つ、もう 1 つは、どれぐらいの期間の訓練に対して支援するかということとのバランスを考慮して、 2 年とさせていただいています。

 それと関連するのが、給付の期間です。現在の教育訓練給付は最長 1 年で、前回の部会のたたき台では 3 年ということで提示させていただきましたが、今回の見直し案では、基本的に訓練期間は 2 年としようと考えています。ただし、資格につながる等の訓練、例えば医療関係のものでも、 3 年間の履修がその資格の取得に当たって前提になっているものもあるので、そうしたものについては例外的に 3 年とさせていただければと思います。この基本訓練期間 2 年、給付期間 2 年ということと対として、初回の支給要件期間も 2 年を求めるという形にさせていただければと考えています。

 給付水準については、前回たたき台で示したものから特に変更はせず、 40 %に追加給付 20 %ということで考えていますが、上限額及び追加給付の要件について見直しをしています。給付額についてですが、現状の教育訓練給付については、訓練費用の 2 割を給付するということにして、その給付額は 10 万円を上限としていました。ですので、講座の費用としては、年 50 万円までを費用の支援の上限にしていたということです。

 前回の部会のたたき台は、講座の費用は 100 万円を上限としつつ、費用としては、その 6 割ということで 60 万円としていました。こちらについては、他の給付などとのバランスなども考慮して、講座の費用の上限、支給上限年 48 万円、講座の費用の上限年 80 万円ということで考えています。こちらは、訓練の対象としてこれから様々能開分科会でも議論がされることになりますが、専門学校の講座といったもののグループなども見まして、こうした訓練の費用の範囲としたいと考えています。

 追加給付の要件ですが、こちらは新しい給付の設計です。前回の部会のたたき台では、資格取得等の一定の成果が上がった場合ということで提示していましたが、雇用保険制度の中で行う支援ということを踏まえ、資格取得等に合わせて被保険者として職に就いている場合ということを要件とした上で追加給付を行うという形に変更しようと考えています。こちらが、給付の内容・水準の見直しについてです。

 こちらを踏まえ、特に委員の方々から御意見がありました、教育訓練給付を複数回受けたりするような場合についてどう考えるのか、といったようなこともありましたので、支給要件期間の考え方について再度整理をして、幾つかのパターンを 4 ページ以降で図で示させていただいています。

3 ページ、教育訓練給付の支給要件期間の考え方についてですが、現行の教育訓練給付、そして今般拡充される、中長期的なキャリア形成支援のための措置の要件を対比しています。支給要件期間 3 年、 10 年、初回受講の場合は 1 年に対して 2 年というところは、先ほど御説明させていただいたとおりです。そちらと合わせ、給付前の訓練、あるいは給付を受けた場合にどれぐらいの期間まで空けることを求めるかという、インターバル期間を新たに設けようと思っています。これは今回新しく措置として設けようと考えていまして、現行の教育訓練給付については訓練開始までに 3 年間、新しい給付、中長期的なキャリア形成支援のための措置の給付については、訓練開始までに 10 年のインターバルを空けることを求めようと考えています。こちらを、また図で詳しく説明させていただきます。

3 ページの下にある※ですが、今回給付が新しく見直されることに伴い、教育訓練給付については上の 2 つの類型ができることになります。初回受講の場合の特例要件というものも当然あるわけですが、今回の考え方として、現行の教育訓練給付の指定講座を受けた場合、給付割合が 2 割になるパターン、中長期的なキャリア形成支援のための訓練、給付割合としては 40 %、 20 %、足して 60 %に最大なるパターンの、いずれを受講したい場合であっても、両方の訓練について、以後の訓練は初回受講としない取扱いとしてはどうかと考えています。ですので、例えば最初に中長期的なキャリア形成支援のための措置を受けた場合に、次の訓練までには当然、同じ拡充版を受けるのであれば 10 年必要になりますが、現行の場合を受ける場合でも、 1 年ということではなく、 3 年の支給要件期間を求めることを考えている次第です。

4 ページの図で説明させていただきます。これまで教育訓練給付は 1 つのパターンしかありませんでした。在職者の場合を例に置いて考えますと、初めて受ける方は 1 年間の被保険者期間があった上で教育訓練を受けられる。それを終わったあと、前の教育訓練を受けているときからまた 3 年間被保険者期間がたまれば新しく教育訓練を開始することができるというものになっています。

 離職者の場合であれば、初回 1 年で教育訓練を受けて、教育訓練給付を受けられるということがあると思いますが、そのあと、次の教育訓練を受けるためには、被保険者期間が 3 年必要になりますので、現在離職者であれば、再就職後、被保険者資格を取得され、そのあと 3 年間被保険者期間を得られれば、新しい教育訓練をまた受けられるというパターンになるかと考えています。

 こういったものが今回の見直しで、先ほど 3 ページで説明させていただいたものを踏まえてフローを作るとどうなるかですが、ケース1です。こちらは、現行の給付を 2 回連続して受ける場合ですが、初回の場合は 1 年というところはこれまでと変わりません。教育訓練を受けて修了され、給付を受け取られた場合に、その給付が終わってから 3 年間は新しい教育訓練が受けられないということになります。在職者であれば、教育訓練中に被保険者期間が新たにまた蓄積されるということもあると思いますが、教育訓練が修了して教育訓練給付を受け取られたあとから 3 年間、次の教育訓練を受けるまでに期間を求めるということにしたいと考えています。

 ケース2は、旧タイプの訓練を受けて新しいタイプの訓練を受けるというパターンの場合です。旧タイプの訓練を受ける場合には、これまでどおり、まず初回 1 年の要件を満たせば受けられることになります。そのあと、次の教育訓練を受けようとする場合には、新しい教育訓練までに 10 年間の期間を求める。こちらは、前の教育訓練が修了して給付を受け取られてから 10 年間は次の教育訓練が受けられないという形で考えています。

 その逆のパターンが、ケース3の場合です。最初に新しいほうの教育訓練、訓練の内容が拡充されて、かつ給付内容も拡充された訓練を受ける場合ですが、こちらは、初回 2 年間の被保険者期間を求めることにした上で、教育訓練を受けて、修了し、給付を受け取られたあと、 3 年間は、古いタイプの教育訓練であっても、受けるまでに期間を求めるということを考えています。

 次は、新しいタイプの訓練を 2 度受講する場合です。初回は 2 年間の要件、新しい訓練を 1 回修了したあと、次の訓練を受けるまでには、訓練修了後、給付終了後 10 年間求めるという形で考えています。

 以上のような形で、支給要件期間、給付の水準なども整理をしました。雇用保険制度で実施をして、かつ安易な複数回受講を防ぐという観点で、このような措置を設けたものですので、後ほど委員の皆様に御議論いただければと考えています。

 続きまして、基本手当の関係の説明に移らせていただきます。 7 ページ以降になります。前回の部会で、古川委員から、基本手当の支給決定に当たっては離職理由を確認して支払うことになるが、現在、解雇・倒産等の方は、特定受給資格者ということで長い給付日数になっている。それ以外の方は一般の給付日数になっているが、その中の 1 類型である自己都合離職者の中の方には掘り下げてみるといろいろあるということで、その中の超過勤務の方や賃金の不払いなどがあったような方について、本当に今の分類のままでいいのかという御意見を頂きました。そういったものを踏まえて整理させていただいたのが、あとからのものになります。

8 ページに現在の「特定受給資格者」の基準が設けられています。全体としては、倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方が、特定受給資格者であると考えています。倒産といっても事業所の廃止なども含めていますが、倒産等により離職した方、それから解雇等により離職した方がありまして、その解雇等のパターンのより様々なバリエーションを、括弧の中に書いています。いわゆる解雇の場合もありますし、 (2) の労働条件が事実と著しく相違して離職した者もあります。今回特に紹介させていただきたいのは、 (3) のパターン、「賃金の額の 3 分の 1 を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き 2 か月以上となったこと等により離職した者」です。こちらは現行の基準で設けられています。

(5) は超過勤務の関係です。離職の直前 3 か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する期間 ( 各月 45 時間 ) を超える時間外労働が行われたために離職したような方です。こうした形で、 (3) (5) のルールによって、現行でも、賃金の不払いのケース、超過勤務が連続したケースについては、一定の場合について、特定受給資格者として、所定給付日数が長いパターンで給付を受け取ることができるようになっています。

 今般、そのケースについて更に精査し、一定の見直しを行いたいと考えています。 9 ページ、 10 ページになります。 9 ページは「特定受給資格者の基準の見直しについて ( ) 」となっています。趣旨ですが、賃金の不払い・遅配のパターン、あるいは時間外労働・過重労働など、その離職理由についてやむを得ない面もあったと考えられるものの、その事由が連続していなかったり離職直前でなかったことなどによって、現行の特定受給資格者の基準には該当せず、結果として「自己都合」離職となっている事例が見られるということから、見直し案を検討するというものです。

1 つ目は、賃金の不払い・遅配のパターンです。現行基準は先ほど紹介させていただいたとおりです。具体的に言うと、賃金の支払額が 3 分の 2 に満たないような月が 2 か月連続した場合、あるいは賃金の支払いが遅延した月が 2 か月連続したような場合について、特定受給資格者としていました。ただし、その後 3 か月継続して通常の支払いが行われた場合は該当しないということになっています。

 課題としては、賃金の不払い又は遅配が離職前の 6 か月間を見た場合には 3 か月もあったが、それが連続していなかったようなパターンがあります。この場合には、現行の基準でいうと、上の12どちらにも該当しない形になりますので、結果としては自己都合離職者という取扱いとなっていたわけですが、賃金の不払いが一定程度あった方というところでは同水準の方かと考えています。

 今般の見直し案では、上記の基準に加えて、例えば離職前 6 か月の間に賃金が支払われていない月や遅配のあった月が一定月数、 3 か月程度を想定していますが、それがあった場合などにも特定受給資格者に該当するという見直しを行いたいと。必ずしも連続を求めるわけではなくて、離職前 6 か月の間に一定月数あった場合には特定受給資格者としてはどうか、というものです。

10 ページが、時間外労働・過重労働に関する要件の見直しです。現行の基準は、離職日の属する月の前 3 か月間において連続して 45 時間超の時間外労働があったパターンです。このパターンにおける課題ですが、 3 か月間連続して 45 時間超の時間外労働があったということで離職を決意された方がおられた場合、離職直前の月、例えば最後の引継ぎの業務整理などあるとは思うのですが、そうしたときに結果的に短い労働時間に収まった場合には、当初そういった事情があったにもかかわらず、結果として、直勤の月まで、離職の月まで 3 か月連続していなかったというルールの判定になりますので、自己都合離職者と取り扱われていた事例がありました。

 あるいは、連続は必ずしもしていないのですが、時間外労働が過度に長時間にわたった結果離職することとなった方もいらっしゃいます。そうした方についても、 45 時間超が 3 か月連続しなかったということであれば、それは結果として自己都合離職者として取り扱っていましたので、このような事例が見られたというものです。

 こちらを踏まえて、見直しの案ですが、これまでの基準に代えて、例えば、離職前 6 か月間の間に、 1 つ目のパターンとしては、 3 月連続して 45 時間超の時間外労働があった場合、これは 6 か月間の間に 3 か月連続があった場合ということです。 2 つ目のパターンとしては、 1 か月の時間外労働が 100 時間を超えるようなことがあった場合にも特定受給資格者に該当するという見直しを行ってはどうかと考えている次第です。

 これらと併せ、特定受給資格者の判定に当たっては、離職証明書を事業主から出していただいた上で、御本人にも最後に受給資格決定に当たって確認するという手続になっていますので、このルールを適用するに当たっては、周知の強化も併せて行いたいと考えています。

 以上の要件緩和のほか、賃金不払い・遅配、時間外労働・過重労働、パワハラや嫌がらせなどにより離職した場合、労働者から離職を申し出たとしても特定受給資格者に該当することを、リーフレットの見直しを行うなどして、特定受給資格者の基準に関する周知を強化したいと思っています。このような形で、基本手当の離職理由の見直しについても、委員の皆様に御議論いただいた上で御了承いただければ、そういった見直しについても併せて検討を進めさせていただきたいと考えています。資料 1 の説明は、以上となります。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました資料 1 について御意見、御質問がありましたら、お願いしたいと思います。

○亀崎委員 前回の部会で労働側として主張した事柄が、おおむね反映されたものと受け止めています。その上で何点か確認をしたいと思っています。 2 ページに「給付期間を原則 2 年としつつ、資格につながる等の訓練に限り 3 年とする」となっていますが、受講期間が 2 年を超える訓練については、 3 年間本措置の給付がされる訓練と、受講途中の 2 年間で給付終了となる訓練の 2 つに分かれるということなのかどうかということです。それとも、本給付の対象となる訓練は原則 2 年以内のもので、先ほど医療などという話がありましたが、そういった資格等につながる訓練については訓練期間が 3 年のものも給付対象の訓練として認めるということなのかどうなのか、ということが 1 点です。

2 点目は、本給付措置の対象訓練に関して、前回の部会でも労働側として申し上げましたが、例えば 11 12 日の部会資料において、類型 2 とされた中堅正社員が MBA を取得する場合など、およそ雇用保険本来の目的からかけ離れた支援を行うようなことは避けるべきだと思います。支援の対象範囲については、更に詰めていく必要があると考えます。いまだ本措置の対象となる訓練の詳細が見えてきていませんが、対象とする訓練は、いつまでに、どのような手続を経て決めていくのかということも確認したいと思っています。よろしくお願いします。

○高島雇用保険課長補佐 後半の部分は訓練に関わる部分ですので、後ほど能開局から答弁させていただければと考えています。前半の部分、亀崎委員の御質問の趣旨としては、給付の期間と訓練の期間というものが合うのか、それとも別々になるのかという御質問だと理解しています。こちらについて、確かに最終的に訓練の内容の設計に関わる部分ではあるのですが、雇用保険の給付の今回の見直しのポイントとして、成果に応じて給付をする、資格を取得した上で就職をする、あるいは職に就いているといったことも給付内容に当たっては前提になってきますので、例えば非常に長い訓練を対象としつつ、最初だけ給付をしてということをしますと、成果をどうやって見るべきかというところで、なかなか難しい問題も生じると思います。最終的には能開局ともよく連携して考えていく必要があると考えていますが、基本的には、成果報酬などのことを考えると、給付の期間と訓練の期間は合わせていく方向で整理をしていくべきではないかと考えています。 1 つ目の質問に対する答えは、以上となります。

○岩村部会長 続けて、お願いします。

○青山職業能力開発局能力開発課企画官 訓練の内容については、並行して職業能力開発分科会でも議論しています。今、これまでの御議論を踏まえて、訓練の考え方について議論を頂いていますが、具体的には、訓練は厚生労働大臣が指定することになりまして、その指定のときの基準というものを定めなければいけないと思います。その指定基準については、法律が成立したあと速やかに職業能力開発分科会にお諮りし、御議論いただき、策定したいと思っています。

○新谷委員 今、亀崎委員が最後に言われた点、本措置の対象となる訓練の詳細が見えてきていないという指摘は、そのとおりだと思っています。今、事務局から答弁を頂きましたが、法律を制定したあと指定するというのは当然の措置ではあるのですが、今、枠組みを作っている段階で、どんな訓練を給付対象とするのかという詳細が見えていません。これは本当に検討を急いでいただかないと、どんな訓練を対象とするのかの検討は枠組みができたあとですというのは、ちょっと乱暴ではないかと思います。訓練の詳細については、職業能力開発分科会の論議になると思いますが、共通のコンセンサスがとれるものがないと、これから先の論議は難しいと思います。検討を急いでいただきたいと思います。

○岩村部会長 事務局は、その点をよろしくお願いします。

○遠藤委員 私からは、質問を 2 点させてください。まず、資料 1 2 ページです。初回の取扱いについて※の所で御説明いただきましたが、こういう取扱いは望ましい方向であると思っています。そういった意味で、例えば離職をして別の会社に移る場合、人で見れば 1 回取得しているわけなのですが、企業が変わる、あるいは事業主が変わるときの初回はどういう取扱いを考えているのか、というのが 1 点目です。

2 つ目は、 10 ページの特定受給資格者です。例示として、パワハラ、嫌がらせということですが、パワハラが実態としてあった、あるいは嫌がらせが実態としてあったということは、ハローワークではどのような形で認定しているのかを、お尋ねさせてください。

○高島雇用保険課長補佐  1 つ目の御質問、初回の考え方については、ポイントとしては、現行の教育訓練給付においても初回については 1 年となっていて、その初回というのは人で見ることとしています。ですから、例えば教育訓練を受けて就職をされて、事業主が変わる場合というのはもちろんあると思うのですが、その方としては、仮に、その後また新しい教育訓練を受けられた場合でも、同じ方が 2 度目の訓練ということになりますので、そこは、 2 回目の場合は初回とならないと考えています。今回の新しい教育訓練の拡充が行われたあとも、そこの考え方は同じだと考えています。その間で様々な職を経由するということは考えられますが、その人において初回であるかどうかということで判断をしていきたいと考えています。

2 つ目の御質問についてです。先ほどの説明の中でも触れさせていただきましたが、特定受給資格者、あるいは一般の離職者であるかどうかということについては、離職証明書を出していただいて、それに基づいて判定することとしています。離職証明に基づいて判定をするに当たっては、事業主にまず記載していただくということはもちろんあるのですが、労働者本人に確認をするということが当然あります。また、特に先ほど遠藤委員から御質問があった部分などは、もしかしたら労働者と事業主で言い分が食い違うケースなども想定されるところかと考えています。そうした場合、典型的には、事業主からは特にその部分について御説明がなかったものの、労働者がそういうことをおっしゃっていたという場合は、ハローワークで事業主に確認を取るなどの調査を行った上で、最終的に総合的に考慮して離職理由を判定するという取扱いになっています。事業主、労働者双方から確認をする。その上で、ずれていた場合には、ハローワークで事業主に調査をする。そういった段取りで離職理由の判定を行っているということです。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。そのほか、いかがでしょうか。

○三島委員 私からは、教育訓練給付の支給要件の考え方についてです。複数回利用する場合のイメージについて、ケース1から4まで示されていますが、その中で、 10 年間のインターバルを設けることについては理解をしますが、特にケース2のように、現行の教育訓練給付を受けた方については、新たな支援措置を受けるには 10 年間のインターバルが必要となっています。 1 点確認ですが、既に教育訓練を受けたことがある方についても、新たな措置を受けるためには 10 年間のインターバルが必要になるのでしょうか。

○岩村部会長 既にというのは、仮にこの法律を改正したときに、その改正よりも前の時点に、という意味でよろしいですね。

○三島委員 はい、そうです。

○高島雇用保険課長補佐 こちらは、最終的に法律にしていく上で様々な経過措置を設ける上での判断ということになってくるとは思いますが、今回、教育訓練給付の拡充をするに当たっては、当然、これまで受けてこられた方にとっては、予測がつかない部分になるとは思います。ですので、新しい給付が今回創設されるということでしたら、基本的には、その給付の措置が設けられてから判定をすることになるだろうと考えています。ただし、その新しい給付が施行されれば、資料の 5 ページのケース2のような運用を現実的に行っていくことになると思います。ですので、その施行がされたあと、例えば御本人が最初に給付内容が 2 割の訓練を受けたいということになって、受けたあと、次に 6 割のほうも受けたいという話になった場合には、それは 10 年間必要ですよということに、ルールとしてはすることになるだろうと考えています。ですから、ここに当たっては、御本人にもよくよく訓練の内容を検討していただいた上で、雇用保険の中でどのような支援を受けるのかということを考えた上で利用していただく必要があると考えています。

 法律が施行される際には、ハローワークにも、施行の準備として、給付の窓口で、この給付のルールについてよく説明をした上で、訓練の内容などを判断していただきたいと考えています。

○岩村部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

○三島委員 はい。既に現行の教育訓練給付を受けることを前提に、現時点で指定講座を受講している、あるいは受講しようとしている方もいることから、新たな支援措置と現行の教育訓練給付の目的、位置付け、指定講座の違い、新給付を受ける要件となるインターバル期間など、新制度については、十分周知する必要があると思います。ついては、新制度のスタートはいつ頃を想定しているのか、また、企業、労働者に対してどのように周知をしていく予定なのかを確認させていただければと思います。

○高島雇用保険課長補佐 新しい制度の施行に当たっては、様々準備がございます。もちろんハローワークの体制の準備だけではありませんで、まず訓練の指定を実際に行う必要があります。指定を行った上で、労働者・求職者に、その中からどれを受けようかということを考えていただく時間もありますし、仮に今私どもが想定している内容のままで実現するということになれば、訓練を受けるに当たってキャリアコンサルティングを受けていただくということも考えています。そうしたキャリアコンサルティングの体制整備などもありますので、そうした様々な施行準備の内容を踏まえて考えていきたいと思っています。恐らく新年度早々ということではなくて、新年度の中でも一定程度たったあとでの施行ということで考えています。

○新谷委員 関連して確認させてほしいと思います。三島委員が指摘されたケース2で、既に現行の教育訓練を受けておられて、次の新しい訓練を受ける際に、新しい訓練は、ハローワークなどの窓口でキャリアコンサルティングを受けることになりますので、そこで周知が図られるのですが、現行の教育給付を受ける段階では、ハローワークとの接点はないはずです。現行の教育訓練が終わったあとに、修了証等々の書類をそろえて申請に行くということになります。今の説明だと、新しい訓練ではハローワークで事前の周知はできると思うのですが、現行の教育訓練給付については、そうした機会がないため、周知をしっかり行わないといけないと思います。現行の教育訓練が終わったあとに給付を申請しようと思ったら、新しい訓練を受けることができるのは、実は 10 年後だと分かったということになりかねないので、ここは本当にうまく対応しないといけないと思います。インターバル期間が余りに長いものですから、うまく考えていく必要があると思います。そこを検討していただきたいと思います。

○高島雇用保険課長補佐 現行の教育訓練給付についても、確かに新谷委員のおっしゃるとおりですので、施行に当たってよく準備したいと考えています。現行の教育訓練給付に当たっても、一定の被保険者期間を求めることにはしています。そこの事前の確認などもありますので、そういった場面や、その他どういった周知を図っていくかというところがあると思いますので、施行に当たっては、法律の準備をよくよく考えていきたいと思っています。

○新谷委員 資料の 2 ページで、マトリックスで 3 つの制度をそれぞれの要素別に分析されています。これは前も指摘しましたが、給付の要件が、現行の教育訓練給付と新しい訓練では違うわけです。現行訓練だと修了しないと給付を受けられないのに対して、新しい訓練は、多分、訓練途中でも給付を行うつもりなのでしょう。訓練期間が長期にわたるので、半年とか 1 年ごとに給付をしていくことになると思うのです。そうしたときに、職業能力開発分科会では、現行の教育訓練給付でも対象としている通信教育もこの新しい訓練の対象に盛り込みたいという話も聞いていますので、例えば 1 年ぐらいの資格取得のための通信教育があったときに、現行の教育訓練給付でも対象になっているし、新しい訓練でも対象になったときに、片や修了が要件になっていて 10 万円しか出ない一方で、新しい訓練だと、訓練途中にも給付があって、しかも受講費用の 4 割も支給されるということになります。両制度の整合をどうとるのかが、ここに書いていないのです。新しい訓練をやれば受講費用の 4 割の給付がもらえて、かつ、それは修了しなくてももらえるということになれば、現行の訓練などもう誰もやらなくなるのではないでしょうか。また、モラルハザードの防止をどうするのかということも、考えておかないといけないと思います。給付要件の詰めを急いでほしいと思います。

○吉永雇用保険課長 給付の水準がかなり高くなりますので、モラルハザードをいかに防止するかというのは、非常に重要だと思っています。確かに現行の教育訓練給付だと金額が少ないので、そういう意味では余り問題がなかった部分はありますが、今後、増えるに当たって、今御指摘がありました、通信教育をどうするのかなど、様々な議論があると思っています。基本的には、履修状況が確認できるということが、中間的に支払うために必要な条件だと思っています。その辺りをどういう形でセットしていくのか。あるいは、現行の教育訓練給付の指定講座と新しい講座との関係をどう整理するのか。この辺りについて厳格に見極めながら、問題が起きないような形にしていきたいと考えています。

○岩村部会長 そこは、よろしくお願いしたいと思います。

○古川委員 基本手当ですが、前回の部会で指摘した点を踏まえて見直し案を御提示いただきました。労働環境の過酷さなどから、やむにやまれず離職を選択する者が特定受給資格者として認定されるように、現行の特定受給資格者の基準を緩和するものであり、とても評価できるものであると思っています。併せて、 10 ページの「周知の強化」にありますように、基準に関する周知を強化するとしています。基本手当を受けようとする離職者は、離職理由による受給区分など、雇用保険制度の内容について十分理解しているわけではありませんので、ハローワーク等での周知を是非ともきちんとやっていただけるように、お願いしたいと思います。

 加えまして、連合の電話相談、労働相談ダイヤルには、法令で定める離職証明書などのハローワークへの届出を期限内に行わない事業者がいるとか、事業主都合による解雇であるにもかかわらず、離職理由を「自己都合退社」とするなど、虚偽の報告を行う事業主がいるという相談も寄せられています。ですから、こうした事業者に対する罰則の適用の強化など、取締りの徹底を併せてお願いしたいと思います。

○吉永雇用保険課長 離職証明書自体は、最終的にはハローワークの所長が離職証を発行する形になりますので、離職された労働者に御負担がないような形にしていくということが、まずあると思っています。一方で、御指摘のように、事業主に取るべき手続を取っていただけないという形であれば、現行法でも罰則は付いていますが、この辺りについてはきちんと周知していきたいと思っています。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。今日は、中長期的なキャリア形成を支援するための措置、基本手当の特別受給者の資格の基準について、いろいろ御議論いただきました。まず、中長期的なキャリア形成を支援するための措置についてですが、先ほども少しお話がありましたが、この措置というのは、いままでの教育訓練給付に加えて、対象となる訓練と給付水準の拡大を伴うものです。ですので、制度が開始されたあと、その実績について定期的に確認していただき、雇用保険制度における支援措置として適切なものとなるよう、本部会においても必要に応じての議論を行うべきであろうと考えています。事務局には、そのことをよろしく御配慮いただきたいと思います。

 それから、特定受給資格者の基準についてですが、過重労働による健康障害防止のための総合対策では、資料 1 10 ページに挙がっている「月の 100 時間超」の場合のほかに、「 2 か月ないし 6 か月平均で月 80 時間を超える場合」についても、健康障害のリスクが高まるとされています。今日の 10 ページの案ではその部分が入っていないということもありますので、基準を策定するに当たっては、その点も踏まえて御検討をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、次に、事務局から提出されている資料 2 の「財政運営」、資料 3 の「雇用保険二事業」があります。まず資料の説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高島雇用保険課長補佐 資料 2 「財政運営について」です。こちらの議題については、これまで様々な給付の見直しの案について御議論を頂き、委員の皆様から様々な御意見を頂いて、給付のたたき台、あるいはそのたたき台を変更した内容などもありましたが、これまでの議論を踏まえた上で、今般、整理させていただいて御議論をお願いするものです。

1 ページと 2 ページです。こちらは現状の失業等給付と雇用保険二事業の 2 つについての収支の状況です。平成 26 年度は、現在概算要求をした状況で、通例であれば年末に向けて予算案の取りまとめが行われますが、こちらの数字については、今回部会の中で御議論を頂いている見直しの内容は、まだ反映されていない状況です。ですので、失業等給付については、この後御説明いたしますが、制度改正による影響なども踏まえて財政の見通しの議論をお願いする予定です。

2 ページの雇用保険二事業について 1 点説明させていただきたいと考えているのは、平成 24 年度の決算の部分で、これまでの法律の特例措置で設けていた失業等給付の積立金からの二事業への借入措置 370 億円を平成 22 年度に行っていたのですが、そちらについて返済を行ったということになっています。返済を行って、結果として今、借入はなくなっている状況ですので、こちらの二事業の財政の状況として 1 点、補足で説明させていただく次第です。

 こちらを踏まえて、今回の議論です。これまでの雇用保険部回の議論を踏まえて、様々、給付の見直しなどを行いましたが、この制度改正に伴う財政影響について、事務局としても試算を行いましたので、その内容について御紹介するものです。

3 ページは、基本手当と再就職手当の関係です。こちらは、求職者、失業者向けの給付を幾つか見直しを行っており、その結果、総合して平成 25 年度以前と比べての支出の増は約 310 億円程度になると見込んでおります。内訳ですが、再就職手当の制度改正に伴う単純な支出の増としては 900 億円程度です。ただ、これは当然早期再就職を促す結果として、基本手当の求職者給付の抑制効果もありますので、そうした 340 億円の差引きをして、更に暫定措置である個別延長給付について、延長の方向で前回もたたき台を提示しておりますが、真に必要なものに重点化することによる支出の圧縮などもありますので、それらを全て総合して 310 億円の財政影響になると考えております。

4 ページは 2 つあります。中長期的なキャリア形成支援のための措置として、教育訓練給付の拡充、下の段に育児休業給付があります。教育訓練給付の拡充については、所要額は約 890 億円と考えております。こちらについては、中長期的キャリア形成支援のための訓練費用に対する給付率の拡充です。これまで 20 %であったものを 40 %とし、そして追加給付として 20 %にするというものを含めております。そして、暫定的な措置として設けることを考えている 45 歳未満の若年離職者に対する特別措置、訓練を受講している最中に基本手当の半額を給付していくというものですが、それらの給付を全て合わせた形で影響額を試算したものがこちらです。

 先ほど三島委員からの御質問でもありましたが、こちらの制度については、平成 26 年度の中でも一定程度、準備期間を取らせていただいた上でスタートすることを考えております。ですので、制度がもう始まって、 4 月からその制度が全て通常どおりスタートしていた場合の影響額の総額は 890 億円ですが、平年度化と私どもは呼んでおりますが、平成 26 年度については、施行日をいつにするかによって財政影響は一定程度目減りし、圧縮をされているというものです。

 育児休業給付ですが、こちらは給付率の引上げ、休業取得後最初の 6 か月間について 67 %に引上げるというたたき台に沿って試算を行うと、総額の所要額としては約 800 億円になるだろうと考えております。こちらについては、これまで育児休業給付を取られている方に加えて、新しく育児休業を取られる方などのものも全て含めた上で影響額を試算しているものです。

 これらが、法改正による財政影響の試算で、それを踏まえて保険料率の御議論を頂くために、失業等給付費の今後 5 年間の収支の見込みを整理しております。 5 ページ以降となります。これまで、雇用保険部会で保険料率の御議論を頂く上では、このように 5 年間といった一定程度の期間の収支の見込みを整理させていただいた上で料率を決めることとしております。雇用保険制度自体が雇用失業情勢によって大きく影響される部分でもありますし、その単年度の収支のみならず一定の中期的観点で収支を見ていくことがありますので、このような形で試算をしているものです。

5 ページです。第 1 、試算の前提です。 2 つのパターンで試算をしております。雇用失業情勢によって影響されるものですので、今見込んでいるベースで推移した場合と、過去の例も踏まえて一定程度状況が悪化した場合の 2 つのパターンを試算しております。それは最終的に基本手当がどれぐらい支出が出るかが影響してくるわけですが、基本手当の受給者実人員について二通りを想定しています。

1 つ目が受給者実人員が 60 万人ぐらいのベースで、これは平成 26 年度、来年度の予算要求のベースで考えているものがずっと続いた場合です。受給者実人員が 66 万人というのが 2 つ目のパターンで、こちらはどうして 66 万人なのかというと、過去 5 年間、リーマンショックなどの時期もありました。様々、景気に山、谷があった時期も踏まえて過去 5 年間の実績で見たときに、 66 万人ぐらいの受給者実人員でしたので、そうした過去の実績を踏まえて、今よりも少し悪くなったとした場合のベースです。この 2 つのベースで計算しております。

 そのほかの試算の前提は、後ほど表を見ていただければ御理解いただけると思いますが、雇用保険料率をどうするかというところも、まずは一定の仮置きをして試算を行っております。何に仮置きしているかというと、平成 25 年度の保険料率、失業等給付については 1,000 分の 10 となっていますが、それが続くと仮定しております。平成 26 年度以降の収入はその概算要求のベースでそのまま仮定しております。

 そうしていくと、後ほど資料を見ていただくとお分かりいただけるのですが、今、弾力条項が適用できることになっていまして、 1,000 分の 14 が本来のところ、 1,000 分の 10 まで引下げを行っております。これをずっと続けていきますが、一定のときに弾力条項が適用できなくなる場合があります。その場合は本来の料率に戻るという形で試算をしております。

2 つ目ですが、先ほど御説明した法律の改正案の内容をベースとしたものです。個別延長給付、再就職手当、中長期的なキャリア形成支援の関係費用、教育訓練給付の拡充などです。及び、育児休業給付については、制度改正の案を反映した上で、支出は平年度化、これは支出の状況が落ち着いて、施行が年度途中のものもありますので、そうしたあとのものは一定と仮定して試算をしております。そのほか様々な諸費用などがありますが、そうしたものは全て一定と仮定をしております。

 試算の結果ですが、どちらかというと表で説明したほうがいいと思いますので、 7 8 ページを御覧ください。 7 ページが試算1、平成 26 年度の予算要求のベースです。現状の雇用失業情勢のベースが続く場合にどうなっていくかということの試算です。平成 24 年度決算、平成 25 年度予算の辺りは今のままです。平成 26 年度概算要求は先ほども御説明しましたが、法律の改正の内容が乗っていないベースです。この横に「平成 26 年度見込み」があります。この見込みから始まるものが、これまで御議論を頂いている制度改正の内容を盛り込んだものです。

 平成 26 年度については育児休業給付や再就職手当、個別延長給付、そして施行に一定程度時間を要することが見込まれますが、中長期的なキャリア形成支援などもあり、 700 億円ほど支出が増えると考えております。そして、それが平成 27 年度、平成 28 年度についてだんだんと増えていきます。ここがだんだん増えていく理由は、特に中長期的なキャリア形成支援について言えば、訓練の期間が原則 2 年間と考えておりますので、途中の年度になってくると、その年度に新しく始めた方と、その年度が 2 年度目の方もいらっしゃいますので、平成 29 年度までは一定程度増えていくと見込んでおります。そうした形で、平成 26 年度以降、制度改正の内容が乗って、平成 29 年度に向けてだんだん平年度化して、平成 29 年度、平成 30 年度は同じ額で推移すると見込んでおります。

 そうした場合に、差引剰余ですが、保険料率が 1,000 分の 10 と仮置きしておりますので、収入は一定の額で推移していくことになります。その一定の額で推移していった場合に差引剰余は当然マイナスになっていくわけですが、それに応じて積立金の額が減っていきます。それで弾力倍率がどのようになるかということが、下のゴシック体の所で整理していまして、今は 2 倍を超えている状況、平成 24 年度の決算ベースですと 3.70 になっていますが、それがだんだん 2 倍に近くなっていき、平成 30 年度の決算に当たっては 1.86 になると見込んでおります。これが保険料率の計算に当たってはどのようになるかということですが、平成 30 年度決算で 2 倍を切るということになりますので、平成 32 年度の保険料率については弾力条項の適用ができなくなり、そのままのルールで行けば 1,000 分の 14 の本来料率になるという財政の推移です。

8 ページが 2 つ目のパターン、雇用失業情勢が一定程度悪い状況で推移した場合にどうなるかということです。これは平成 26 年度以降の受給者実人員が当初の見込みよりも少し増えた形で推移するケースですので、先ほどの 7 ページと比べると、支出の額は当然増えた形になっています。こちらに、先ほど御説明しました内容と同じものだけ制度改正の支出が乗ってくることになります。同じように、平成 29 年度にかけて少しずつ増えていき、平成 29 年度、平成 30 年度は同じ支出になっています。こちらについては、当然、差引剰余が先ほどよりももう少し大きい幅でマイナスが続くことになりますので、弾力倍率が 2 を下回るのも少し早いタイミングになります。

 現在の試算ですが、このペースで推移した場合には、平成 28 年度決算において弾力倍率が 2 を下回る形になります。ですので、機械的にルールを適用すると、平成 30 年度の保険料率については本来料率である 1,000 分の 14 に戻るだろうと仮定しております。そうなると、当然収入が増えるので、平成 30 年度の収入が増えているのは、そのように保険料率を 1,000 分の 14 に戻したことによる影響だとお考えください。

 整理しますと、現在の見込みのままで推移していった場合には、今後 5 年間 1,000 分の 10 という保険料率のままで推移が可能ということになっており、平成 32 年度の保険料率においてどうするかが課題となってくるということです。もう少し実績が悪くなっていた場合には、そのタイミングがもう少し早まってくるというものです。

9 ページは、今、御説明した内容を図に示したものですので、説明は省略いたします。

10 ページ、 11 ページは、今私が説明の中で触れました弾力条項についての説明になっています。少し説明が前後してしまいましたが、失業等給付については、雇用失業情勢に応じて、その支出の状況が様々変わり得ることから、それを踏まえて一定程度の幅で保険料率を定めることができるようになっています。本来の料率は現在 1,000 分の 14 です。それについて、積立金の状況などを踏まえて、上は 1,000 分の 18 、下は 1,000 分の 10 まで引上げ、あるいは引下げをすることができるようになっていまして、そちらについては、この部会で御議論いただいた上で最終的に労働政策審議会に諮問を行って、大臣が告示することにより料率を定めるというものです。

 雇用保険二事業に係る弾力条項も近いルールがあり、こちらについても収支の状況などを見て、一定程度の財政的な余裕がある場合、これは 1.5 を上回った場合ですが、こちらの場合は機械的に保険料率を引下げるという形になっております。こちらは、現在、平成 24 年度の決算額における計算を、それぞれ書いておりますが、失業等給付については積立金の額が一定程度に達していますので 2 を超えています。 3.70 になっていますので、引下げが可能ということで、来年度も 1,000 分の 10 に引下げることが可能になっています。

 一方、雇用保険二事業については、平成 24 年度決算額による計算は 0.86 ということで、この式による 1.5 を下回っていますので、保険料率は来年度も 1,000 分の 3.5 になるということになっています。

11 ページは条文ですので省略させていただきます。

12 ページは保険料率の推移です。こちらも省略させていただきます。

13 ページが保険料率の推移を図で示したものです。平成 22 年度以降、保険料率は現在の弾力条項により、弾力倍率の中の加減の形で保険料率を定めているところです。そのほかは参考資料です。

16 ページは国庫負担に関してです。失業等給付に係る国庫負担について御説明いたします。雇用保険制度については、労使の皆様から頂いた保険料に基づいて運営をしておりますが、それだけではなくて、国庫負担を入れる形で運営を行っております。その基本的な考え方ですが、雇用保険の保険事故である失業については、政府の経済政策、雇用政策と無縁ではなく、政府もその責任の一端を担うという考え方に基づいて、労使の皆様の保険料だけではなく、国庫からもその費用の一部を負担しているという考え方にのっとって国庫負担を設けております。大きく 3 グループありますが、求職者給付、失業者向け給付については、基本手当や特例一時金については 4 分の 1 の国庫負担、日雇の給付については 3 分の 1 の国庫負担となっています。雇用継続給付ですが、育児休業給付と介護休業給付については 8 分の 1 の国庫負担となっており、高齢継続給付は国庫負担がない形になっています。そのほか、就職促進の給付や教育訓練給付は国庫負担がない形になっております。

 現在の国庫負担の状況ですが、今御説明したものは、いわゆる本則の国庫負担と私どもは呼んでおります。現在どうなっているかと言えば、雇用保険 ( 失業等給付 ) の国庫負担については、本来の水準、上で申し上げた水準の 55 %の額に暫定的に引下げられている状況です。例で言えば、基本手当は国庫 4 分の 1 ですので 25 %ですが、それの 55 %ということで、結果的に今の国庫負担の割合は 13.75 %という形になっています。こちらについては、暫定的な引下げという形に法律上も規定されていまして、附則の第 15 条でこの暫定的な措置については、「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で附則第 13 条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」とされている状況です。下のほうに条文も付けております。

 これらの説明を踏まえて、今般、財政運営に関して、委員の皆様に御議論いただきたい論点を 3 点掲げさせていただいております。

1 つ目は、失業等給付の国庫負担に係る暫定措置について、雇用保険法附則 15 条、先ほど御説明したものですが、「できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で附則第 13 条に規定する国庫負担に関する暫定措置を廃止するものとする」との規定を踏まえ、どう考えるかということが 1 つです。

2 つ目は「 5 年間の財政見通し」で御説明したものです。平成 26 年度の失業等給付に係る雇用保険料率について、給付の見直しの内容及び財政影響並びに今後 5 年間の失業等給付の積立金の推移の見通しを踏まえ、引き続き弾力条項を用いて 1,000 分の 10 とすることについてどう考えるかというものです。

3 つ目は休職者支援制度ですが、現在雇用保険制度の附帯事業として位置付けられている休職者支援制度の費用の負担の在り方について、財政状況等を踏まえ、どう考えるかというものです。資料の説明は以上です。

○岩村部会長 資料 3 が残っています。

○高島雇用保険課長補佐 失礼しました。「資料 3 雇用保険二事業」についても併せて御説明いたします。資料 2 2 ページで、雇用保険二事業の収支状況を説明しましたが、雇用保険二事業については、雇用安定事業と能力開発事業の 2 つの事業で運営をしております。資料 3 に雇用保険二事業の説明が載っております。

 「被保険者等に関する失業の予防、雇用機会の増大、労働者の能力開発等に資する雇用対策」ということで、「失業等給付の給付減を目指す」ことで失業等給付に資する事業として実施しているものです。こちらの事業の内容は、大きくはこの 2 つの柱があり、雇用安定事業としては、特定休職者雇用開発助成金や雇用調整助成金、労働移動支援助成金等があります。能力開発事業も、キャリア形成促進助成金などがあります。こちらについてですが、これまで雇用保険二事業については、使用者からの保険料、現在 1,000 分の 3.5 ですが、そちらの保険料を基に運営しており、かつ、雇用対策について様々な事業がありますが、その執行、事業の運営を効率的に行うべきという指摘を頂いたことを踏まえて、目標を設定する形で毎年度 PDCA サイクルの形で事業の評価をして、それを翌年度の予算に反映していくという形で見直しを行っているものです。

 その評価をどのようにやっているかということが、資料 3 2 枚めくった所に載っております。目標をそれぞれの事業ごとに定めて、その目標を達成しているか、いないか、あるいは、その事業の執行率が一定の期待された水準に達しているか、いないか、そうしたもので目標の管理を行っており、これらの目標、あるいは事業の執行率が一定の水準に達しない場合については、事業の廃止なども含めた上で効率的な実施に努めているものです。

 さらにもう 1 枚めくっていただくと、「雇用保険二事業に係る平成 24 年度評価の平成 26 年度概算要求への反映状況」となっていますが、先ほど御説明しました資料 2 2 ページにある雇用保険二事業の関係収支の平成 26 年度概算要求については、その 2 年前である平成 24 年度の事業の評価に基づいて概算要求を行っております。

 そちらの全体の状況を整理しているのが、こちらの表の上の部分で、目標、事業執行率等を達成した施策継続の A 評価の事業、そのほか目標が未達成であったり事業執行率が一定の程度に達しなかった B C D の事業などについて、事業の見直しを行いつつ、また、その費用の圧縮なども行った上で、現在、事業の運営を行っております。その後、個々の事業ごとに目標の設定の達成などの状況、そして平成 24 年度の評価を踏まえて、平成 26 年度の概算要求についてどのような見直しを行ったかということを、一つ一つ整理しておりますが、この場では説明は省略させていただきます。

 雇用保険二事業全体について、このような目標管理による運営で、できるだけ効率的に実施することとしており、その結果、平成 24 年度の決算において失業等給付の借入からの返済が完了したところです。引き続き、その目標の収支を踏まえた上で、効率的な事業実施に努めたいと考えている次第です。資料 2 と資料 3 の説明は以上です。

○岩村部会長 ただいま説明いただいた資料 2 と資料 3 について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○遠藤委員 質問させていただきます。資料 2 3 ページに「暫定措置の重点化による支出の圧縮」ということで、暫定措置が効いていることは資料の中から見て取れます。今般、個別延長給付の延長についても方向性が打ち出されていますが、過去 5 年間で個別延長給付を受けた方が、更なる延長の過程の中で再度受けるという場合があり得ます。先ほどの教育訓練給付とは異って、名寄せができないということが、議論の早い段階での質問の御回答であったと記憶しています。改めてお聞きします。個別延長給付については、複数回受給しているか、していないかということの判断について、現在の枠組みの中ではできないという理解でよろしいでしょうか。これが 1 点目です。

2 つ目ですが、 10 ページの保険料の弾力条項に関わる式です。上の段と下の段を比較すると、異っているのが、 1 つは 2 倍と 1.5 倍ということであるのですが、もう 1 つ異っているのが、分母の置き方です。二事業を見ると、二事業に係る保険料収入ということで、収入を比較対象に持ってきているのですが、上の段については、失業等給付費等ということで、支出を比較対象に持ってきています。先ほど、失業等給付については、いろいろ状況によって変わり得るという御説明があったこともあり、分母の比較対象が違っていることについて、改めて御説明を頂きたく思います。

○高島雇用保険課長補佐 遠藤委員から今、 2 点御質問を頂きました。 1 つ目が、個別延長給付を複数回受講する方を捕捉できるかといった点です。こちらについては、確かに制度上、現在個別延長給付については、受給をして、就職をして、また離職をして、結果的に基本手当の所定給付日数内に就職ができなかった方で要件を満たす方というのは、個別延長給付が制度の仕組み上は出得る形になっております。そこは、結果的にいらっしゃるところはあるのだろうとは思うのですが、そこを今、システム上パッと捕捉することはなかなかできない状況です。ただ、個別延長給付については、離職の対象者を絞る形になっていまして、解雇、倒産等による特定受給資格者、そして、特定理由離職者のうち雇い止めによる方ということで、やはり基本的に本人の責めによらない形での離職の方に限っておりますので、こちらについては、結果的に御本人がそういう状況に追い込まれて離職になってしまった場合については、結果的に複数回出るパターンはあるとは思いますが、それぞれの方に必要な給付を行わざるを得ないのではないかと考えております。

2 つ目の弾力条項についてですが、すみません、先ほど私のほうできちんと計算式を御説明しておりませんでしたが、確かに御指摘のとおり、失業等給付と雇用保険二事業の弾力条項の計算式で 1 点変わっている部分があります。失業等給付の計算式では分母が失業等給付費等ということで、簡単に言えば支出です。そこが分母になっています。雇用保険二事業に係る弾力条項では収入、雇用保険二事業に係る保険料収入ということになっております。こちらは過去の制度改正の経緯ということになってくると思うのですが、実は、もともと弾力条項の判定に当たっては、どちらも収入を分母として、その収入との関係でどれぐらいの財政状況があるかということで、保険料率の判断を行っておりました。この雇用保険制度自体が、当然一定の積立金があることを前提とした上で、様々状況が変わる中で必要な給付ができるかどうかというところで見ておりましたので、基本的には収入との比較においてどれだけのものを要し得るかで見ていたのですが、こちらの失業等給付に係る弾力条項の判定を、平成 12 年の法律改正で見直しを行っており、そのときに収入対比方式から支出対比方式に変更しているのです。

 そのときの経緯なのですが、平成 12 年の改正の時期は失業率が 5 %台に迫るなど、雇用失業情勢が非常に厳しい時期で、かつ、雇用保険の失業等給付の支出が収入を大きく超える状況が続いていた年でした。その中で雇用保険の財政状況、財政の運営状況を判定する上では、支出が収入を大きく超えている状況でしたので、財政運営をきちんと見ていく上では、収入というよりは支出で見ていくことが求められている状況でしたので、そうした制度の見直しを行ったという過去の経緯があります。その結果として、現在、弾力条項の判定の仕方は両制度の中で異なっているという状況です。

○遠藤委員 先ほどの中長期的なキャリア形成の部分も含めて、意見については資料 4 の素案で改めて申し上げる機会を頂けるという理解でよろしいでしょうか。

○岩村部会長 はい。

○遠藤委員 分かりました。それでは、個別延長給付の御説明なのですが、確かに本人が責めを負うべき部分ではないところもあるのかもしれません。ただ、所定給付日数の期間内で、どれだけ求職活動を行ったのかどうかということについては、必ずしも本人が責めを負わない状況ばかりではないわけです。どれだけ求職活動に熱を入れて行ったかを見た上で、いろいろ判断するということが必要であると思われます。そういったことを考えると、個別延長給付だから複数回受講してもやむなしというような帰結に至るということについては、私自身、個人的には納得していないということだけ申し上げておきます。

○岩村部会長 最後は御意見ということで承りたいと思います。ほかにいかがでしょうか。

○山本委員 資料 2 の財政運営の資料ですが、 3 4 ページに今回の制度改正によって、支出額が変動する給付の試算額が示されていますが、この数字を算出するに当たって、対象となる給付者数、若しくは 1 人当たりの平均給付額などの算定根拠があるはずだと思いますので、それの提示をお願いしたいということが 1 点です。

 今も若干説明もありましたが、特に 3 ページの個別延長給付の重点化による支出の圧縮額というのが 250 億円ということになっていますが、その前提となる暫定措置の重点化がどういう内容なのかということが、この資料では分かりません。現状、基本手当の受給終了者の約 7 割が個別延長給付を受給しているという状況からすると、この個別延長給付の支給要件を変更することによる影響は決して小さくないと思っております。この個別延長給付の支給要件の見直しの内容の明示をお願いしたいということと、その要件の変更をする場合の手続について、省令の改正という形でやるのか、この労政審のほうに諮問していくのかを含め、今後どのように進めていくのかについての確認をさせていただければと思います。

○高島雇用保険課長補佐 今、 2 点御質問を頂きました。 1 つ目が基本手当と再就職手当に関する試算の考え方です。再就職手当の制度の見直しを行った結果、私どもが事務局の中で試算をしている中で、新しく再就職手当を受けることになるであろう方々は約 30 万人と見込んでおります。そうした方について、かつ、再就職促進による求職者の給付の抑制が一定程度効いてくるということですが、先ほど日額についても御質問がありましたが、そうした日額の数字などは、今の雇用保険の基本手当の実績、約 5,000 円前後の現在の実績を基に計算を行っているものです。再就職手当の見直しを行った結果、もちろん再就職手当というのは、今であれば 3 分の 2 以上、あるいは 3 分の 1 以上という所定給付日数を一定程度残した中で就職いただいた場合に支給をさせていただくものですので、これまでそうした再就職手当をもらえない時期の就職者であった方でも、今回の制度見直しによって、一定程度就職行動が早まり、再就職に結び付くことを見込んだ上で試算を行っています。

 個別延長給付の重点化による部分ですが、その内容と手続について御質問がありました。内容については、こちらの個別延長給付が設けられたのが平成 21 年度、正にリーマンショックが起こった直後の状況でした。その後、 4 年間たつ中で雇用失業情勢も回復が進んできていますので、その状況を踏まえての見直しを行うというものです。その主な見直しの内容としては、個別延長給付について大きくは 3 つの要件がかかっているのですが、求人倍率等が悪い地域に居住されていた方、あとは 45 歳未満の方、もう 1 つは様々就職活動したけれどもどうしても就職が困難であった方。安定就職は個別に判定をすることになっております。そうした 3 つのグループがありますが、その 3 つのそれぞれについて、必要性に応じて厳格化を行っています。

 具体的に言うと、地域の指定については、全国の求人倍率や全国の有効求職者数の数字、基本手当をもらっている方の割合などについて、全国の平均を上回る地域であるか、下回る地域であるかということで指定を行っていたのですが、そちらについて、リーマンショックの時点では、やはり全国の状況は厳しいものであったのですが、平成 24 年度、平成 25 年度となってくると、全国の平均は徐々に改善しているところがありますので、全国平均から良いか、悪いかというのを見るところは変わらないのですが、その全国平均の視点を直近の全国平均ではなく、リーマンショック時点の全国平均で見ようと考えているものです。

 もう 1 つは 45 歳未満の方の対象者について、こちらは主に年長フリーター層を念頭に置いて要件を設けているわけですが、そうしたフリーター層、要するに離転職を繰り返している方であるかどうかを個別延長給付の支給決定に当たって考慮をするということを考えております。

3 点目ですが、先ほど遠藤委員から御指摘、御意見の表明があった部分とも重なってくるのですが、現在の個別延長給付の支給決定に当たっては、個別延長の前、基本手当をもらっている本来の期間にどれだけ応募活動をされていたかということを、その判定に当たっての要件としております。要するに、どれだけきちんと就職活動をされてきたかどうかを判定の要件にしているのですが、そちらについて厳格化を図っていき、応募要件がそれぞれの給付の日数に応じて一定程度以上行ってきた方であることを、個別延長給付の支給に当たっての条件とするというような見直しを考えているものです。

 これらの内容ですが、一部、安定所における業務的な要領になる部分がありますが、今回、法律の要綱の後、下位の法令によって見直しがされる部分がありますので、そうしたものの中では本部会においても改めて御説明させていただくことになると考えております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○山本委員 はい。

○岩村部会長 ほかにいかがでしょうか。

○新谷委員 関連してよろしいですか。今、山本委員から 3 4 ページに関連しての試算の前提がよく分からないということで、口頭で説明いただいたのですが、 4 ページの所も、例えば先ほど論議をした中長期的なキャリア形成支援措置による支出増が 890 億円と出ているのですが、このように出されても検証の仕様がないわけです。これが 800 億円なのか 700 億円なのか 1,000 億円なのか、算定根拠が何も書いていなくてこれで信じろというのがよく分からない。これに似たことが過去にあり、実は求職者支援制度を作るときも、雇用保険制度への影響などといって数字が示されました。今回の論議が始まったときに、当時の試算が正しかったのかどうかの検証は、その算定ベースが分からないので難しいという説明がありました。やはりこれはこの場で論議をして、どういう基準で算出したのか、次の世代に残すためにもきちんとした試算表を付けて明らかにしていただかないと、後から検算ができないので、そういった意味でも是非資料を付けていただきたいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。それは事務局のほうでお願いできますか。

○高島雇用保険課長補佐 はい。

○岩村部会長 よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。

○新谷委員 財政の関係でよろしいですか。

○岩村部会長 どうぞ。

○新谷委員 資料 2 に試算が幾つか出てくるのですが、その試算の前提になっている平成 25 年度予算のスタート時点がどうなっていたのかということです。毎年この時期に雇用保険課長に答えを求めて、次の年には、当初予算額と大きく違っているではないかといつも申し上げるしかないのですが、平成 25 年度予算では、差引きの剰余がマイナス 2,000 億円になっているのです。もう既に平成 25 年度の執行が 9 か月たっていますので、例えば半年経過後ぐらいの直近のデータで分かるのであれば、この予算で出している差引き 2,000 億円というのが、現在、大体どれくらいの見込みで推移をしているのか、最終的にはどれぐらいの数字で落ち着くのか、プラスなのか、マイナスなのか。 5 9,257 億円という前年度末の残高が出ていますので、これが増えるのか、減るのか。毎年、スタート時点と 2,000 億円ぐらいのずれが出ていますので、まず、そこを教えていただきたいということが 1 つです。

17 ページに論点が示されていまして、 3 つ出ています。「どう考えるのか」とそれぞれ書いてあって、特に 1 番目と 2 番目は国庫負担の問題に関連しますので、このようなものを「どう考えるのか」と言われても、答えることはもう、多分、労働者側も使用者側も同じだと思います。 12 ページにこれまでの国庫負担の推移も出ていますが、やはり憲法で定める勤労権の保障ということを踏まえれば、国が雇用保険財政について一定の責任を持つのは当然のことだと思います。 12 ページにあるように、雇用保険制度はもともと失業保険制度として始まった当初は、国と使用者と労働者が 3 分の 1 ずつでこの財政の負担をしてきたものが、昭和 34 年から 4 分の 1 になって、更に暫定措置がかかって今の数字になってきているわけです。来年度から安定財源とされる消費税の引上げが始まるわけですので、やはりこの暫定措置については早急に撤廃をして、本則の 25 %に復帰させるべきであると思います。

 求職者支援制度についても、もともとこれは全額国庫負担になると思っていたら、 2 分の 1 になって、更にそれに暫定措置がかかっていますので、これについても早急に暫定措置を外して、まず 2 分の 1 に戻す。もちろんこれは、将来的には全額国庫負担で行うべきだと思います。一方で、財務省の財政審議会では全く違う方向で論議がされているようですので、そういった動きを跳ね返す意味でも厚生労働省としても、もうちょっと攻めのというか、前向きな書きぶりにしてもらいたいと思いますし、是非その辺りの考え方を開陳頂きたいと思っています。

○吉永雇用保険課長  2 点ほど御質問いただきました。 1 点目が予算の関係です。新谷委員には度々御質問いただいておりますが、予算と決算の乖離があり過ぎるのではないかという御指摘です。平成 25 年度も半分過ぎていますので、今後の状況というお話ですが、平成 25 年度予算の中にも 800 億円ほど予備費を積んでおりますが、現在の経済情勢の中では恐らく予備費には手を付けないで済むだろうと思っております。残り 1,200 億円ほどありますが、今後の経済情勢が上振れするのか、下振れするのかという辺りもありますが、現在の見通しの中では、そこまでの赤字にはならない水準ではないかと思っております。いずれにしても、経済情勢の見通しがなかなか難しい状況ではありますので、現時点ではその程度にとどめさせていただきたいと思っております。

2 点目の論点の立て方についてお叱りいただいておりますが、これまで財政について論点を立てておりませんでしたので、その中で立てるとすると事務局のほうで方向性を出すことはいかがかと思っておりまして、こういう立て方をさせていただいております。私どもとしても最大限努力する必要があると思っておりますので、今後とも労使の皆様を含めて御支援いただければと考えております。

○新谷委員 あとで御発言があるのかもしれませんが、多分それは使用者側も同じ意見をお持ちだと思いますし、資料 4 との関係もありますので、厚生労働省として今申し上げた方向で、是非、記述をしていただきたいと思います。

 なお、資料の 1 ページの記述が足りないのではないかと思っております。多分この資料がいろいろな所で雇用保険の状況として説明されることになると思うのですが、この国庫負担の平成 21 年度決算の所に 5,800 億円とありますが、ここには通常の年度と異なる国庫負担が投入されています。これは補正予算で 3,500 億円投入した年ですが、その説明が何も入っていません。政治によって雇用保険の財源に対して手当をした年があったということをやはりきちんと書いておかないといけないのではないかと思います。是非その記述も追記していただきたいと思います。

○岩村部会長 貴重な御指摘をありがとうございます。多分、財政の点だと思うのですが、後ほど資料 4 のところでもう一度財政の議論をさせていただくことにしたいと思いますが、そちらで御発言いただくということでよろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村部会長 それでは、資料 2 と資料 3 についてはここまでとさせていただきます。

 続いて資料 4 です。本日は「雇用保険部会報告 ( 素案 ) 」を御用意いただいております。併せて資料 5 「これまでに出された主な意見について」ということもお出しいただいておりますので、その説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○高島雇用保険課長補佐 それでは、資料 4 及び 5 について説明いたします。前回までの部会での御議論に基づき、雇用保険部会の報告ということで、素案ですが、取りまとめに向けての素材ということで、このようなものを用意させていただきました。これまで給付の内容等について御議論いただいた内容を反映した形で設けておりますが、こちらについて委員の皆様から御議論いただければと考えております。素案の内容について、簡単に御説明いたします。

 第 1 、雇用保険制度等の現状です。平成 20 年度後半以降の雇用失業情勢の悪化を受けて、雇用保険制度については累次の見直し、個別延長給付や特定理由離職者、適用拡大、賃金日額の引上げ等の措置を行ってきました。また同時に、雇用保険二事業、特に雇調金の支出増などもありましたので、それに対応できるような借入れの暫定措置なども講じてきました。

 雇用保険を受給できない者に対して訓練期間中の生活保障を行うための事業として「緊急人材育成支援事業」がありましたが、それを恒久制度として「求職者支援制度」とし、平成 23 年度から実施してまいりました。

 現在の雇用失業情勢は、平成 25 10 月時点の有効求人倍率 0.98 倍、完全失業率 4.0 %ということで、一部に厳しさが残るものの、改善が進んでいるという状況です。この状況の下で、雇用保険の財政収支、失業等給付に関しては比較的安定的。二事業については、雇調金の支出が徐々に落ち着いてきたということで、借入れを行っていた一時の厳しい状況から回復しつつあるという状況です。

 第 2 、見直しの背景です。 1 つ目ですが、様々こちらに書いております暫定措置の期限が今年度末とされていることについて、検討することが求められているという状況がありました。

2 ページの 2 つ目ですが、日本再興戦略のところで、非正規雇用労働者である若者等がキャリアアップ・キャリアチェンジできるよう、社会人の学び直しを促進するということで、労働政策審議会で検討を行い、次期通常国会への改正法案の提出を目指すとされており、そうした検討が求められているという状況でした。

3 つ目は、育児休業関係ですが、社会保障制度改革の国民会議の報告書、そして成長戦略の当面の実行方針において、育児休業期間中の経済的支援の強化について盛り込まれております。

 求職者支援制度については、平成 23 10 月からスタートしておりますが、法律の施行後 3 年後を目途に、施行状況等を勘案し、その在り方について検討することとされており、雇用保険制度の見直しと併せ、検討することとしたということです。

3 ページです。第 3 、見直しの方向です。 1 、基本手当について。 (1) 平成 25 年度末までの暫定措置について。現在の雇用情勢は、一部に厳しさが見られるものの改善が進んでいるとされています。一方、これまでの暫定措置の効果と終了した場合の影響を検討すると、雇止め等により離職した有期契約労働者については、その離職者は必ずしも減少傾向にないこと。また、今年度から施行された改正労働契約法等の非正規雇用労働者対策の状況を考慮する必要がある。個別延長給付については、運用上の見直しを行った平成 24 年度においても、 7 割程度の方が基本手当の受給後の個別延長給付を受給している状況にある。

 後ほど 3 に出てきますが、中長期的なキャリア形成を支援するための措置等の人材育成施策と併せて、労働者へのセーフティネットを十分に維持していくことが必要である。

 そうしたことを踏まえて、これらの暫定措置については、引き続き延長すべきである。ただし、個別延長給付の延長に当たっては、重点的な再就職支援が真に必要な者の認定を更に明確化するほか、対象となる地域の判定を暫定措置開始当初の全国の雇用情勢を基準として行うなど、運用上の見直しを行うべきであるとしております。

(2) 基本手当の水準についてです。こちらについては、現在の失業等給付の積立金状況や収支状況を考慮して、雇用のセーフティネットを拡充する観点から実を図るべきという御意見がありました。一方で、近年の制度改正により被保険者の範囲が拡大されたこと等による雇用保険財政への影響等を考慮して、その在り方を慎重に考えていくべきという御意見があり、議論を随時行ってきたところです。

 このような状況を踏まえ、本部会では、近年の制度改正による効果の把握を行うべく、基本手当の給付日数及び給付率について見直しがなされた平成 12 年及び 15 年の雇用保険法改正前後の時期を中心に、受給者の就職状況について調査・検証を行ってまいりました。

4 ページです。その結果は、労使のそれぞれの委員の方々の御意見を盛り込んでおりますが、労働者代表委員からは、基本手当の平均受給日数や平均受給額などの低下が見られることから、中長期的なキャリア形成を支援するための措置や育児休業給付等の給付に優先して、基本手当の改善を行うべきであるという意見がありました。併せて、基本手当の支給決定における離職理由の認定に当たり、賃金の不払い・遅配、時間外労働・過重労働等、その離職理由についてやむを得ない面もあったと考えられるものの、その事由が連続していなかったり離職直前でなかったこと等により、現在の特定受給資格者の基準に該当せず、「自己都合」離職となっている事例については是正すべきという意見がありました。使用者側の委員からは、これまでの基本手当の給付日数や給付率の見直しは、再就職状況に大きな影響を与えていないこと、また、就職が厳しい者に対しては個別延長給付等の暫定措置による手当てがなされているという御意見があました。

 このため、基本手当の水準については、今後の暫定措置の取扱い、基本手当受給者の就職状況の動向、基本手当支給額と再就職時賃金の状況等を踏まえて、引き続き、今後の在り方について検討すべきであると考えています。また、労働者代表委員から指摘のあった離職理由の取扱いについては、特定受給資格者として整理するべく、基準の見直しを行うべきである。先ほどの資料で御説明した内容です。

2 、再就職手当について。再就職手当は基本手当受給者ができる限り早く職業に就くことを積極的に奨励するために設けてきたもので、これまで基本手当の支給終了前の就職率が 5 割前後であるという状況からすると、職業紹介等の就職支援の政策と併せて、安定した再就職に向けたインセンティブを強化していくことは引き続き重要だろうと考えています。

5 ページです。一方、再就職時の賃金ですが、離職時よりも低下する傾向があり、その後のキャリアアップにより賃金の上昇は可能であるものの、再就職時点の賃金低下が、早期再就職を躊躇させる一因となっていると考えられます。

 そのため、再就職賃金が離職時賃金より低下する者を対象として、再就職手当を更に強化することにより、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和し、早期再就職を更に促すこととすべきである。

 具体的には、職場への定着を促すべく再就職した後に 6 か月間継続して雇用されたことを要件として、現行の再就職手当に加えて、その日額に残日数の 40 %を乗じて得た額を上限として、離職時賃金と再就職後賃金の差額の 6 か月分を一時金として追加的に給付する仕組みを設けるべきであるとしております。

3 、中長期的なキャリア形成を支援するための措置についてです。 (1) 教育訓練給付の拡充に関してです。非正規雇用労働者である若者をはじめ、労働者が技能や知識を身につけて希望する職業に就き、その力を発揮できるよう支援していくことは、積極的な雇用政策として重要であると考えています。

 非正規雇用労働者を中心としたキャリアアップ・キャリアチェンジを支援するための中長期的なキャリア形成に資する教育訓練については、一般的に長期あるいは費用が高額となるものが多くありますが、雇用の安定や就職の促進に対する効果は高く、持続的と思われます。

 現在の教育訓練給付は、 20 %の給付率で実施していますが、中長期的なキャリア形成に資する教育訓練を受講する場合に限って、全期間の受講費用に関する給付率を 40 %まで引き上げるべきとしております。その際、訓練修了や資格取得の上で、雇用保険被保険者として職に就いている場合に、一定割合 (20 ) を上乗せして支払うこととし、訓練効果を担保するためのインセンティブ機能を持つ給付とすべきである。給付の期間は、今般対象とする教育訓練の性質を踏まえて原則 2 年間 ( 資格につながる等の教育訓練に限り 3 年間 ) とするべきである。これらの給付に当たっては、高額な教育訓練について給付額が過大となることを避ける観点から、訓練費用のうち年間 80 万円までについて給付の対象とすることを上限とするべきである。

 また、自発的に受講する教育訓練ではあるが、 45 歳未満の若年離職者については長期の教育訓練の期間中の支援が必要であることを考慮して、当面の措置として離職前の賃金に応じた一定の額 ( 算定方法は基本手当に倣った上で、当該手当の水準の 50 ) を訓練期間中に支給すると。本措置の期限は、日本再興戦略を踏まえて、平成 30 年度末までの 5 年間とすべきであると考えています。

 なお、現行の教育訓練給付は 3 ( 初回に限り 1 ) の支給要件期間があることを設けて要件としておりますが、上記の新たな支援措置については、その給付水準を踏まえ、支給要件期間を 10 年。初回は 2 年。離職者については現在と同じですが、離職後 1 年以内に教育訓練を開始することが必要とした上で、給付率の引上げに伴う安易な複数回受講を防ぐ措置を設けるべきである。先ほど資料の中で御説明させていただいたとおりです。

(2) 対象訓練の適正な選定。今後、能開分科会で御議論いただく部分ですが、一定の基準の下で厚生労働大臣が個別に指定する仕組みとすることが適当である。

 そして、指定すべき対象訓練については、その受講について雇用保険制度で支援することを踏まえて、就職可能性が高い仕事において必要とされる能力の教育訓練であること。その効果はキャリアにおいて長く生かせる能力の教育訓練であること ( 中長期的なキャリア形成に資する教育訓練であること ) の考え方に基づき適切な内容のものとなるよう、具体的な検討を進めるべきであると考えています。

(3) 適正な訓練受講のための措置。キャリア・コンサルティングに関するものです。受けようとする教育訓練が中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練として有効であるか受講前に確認することが必要である。

 そのため、訓練の選択に当たって、有効かつ必要な教育訓練がどのようなものであるかを相談するために、本人がキャリア・コンサルティングを受ける。それを給付に当たって確認するという仕組みを設けるべきである。なお、企業の承認を得て承認を行う場合には、その企業が訓練の必要性・有効性を確認できることから、キャリア・コンサルティングを受けたことの確認を要しないとすべきであるとしています。こちらについてもキャリア・コンサルティングの在り方の詳細については能開分科会で御議論いただいているものです。

(4) 事業主に対する支援措置。これも同じく能開分科会で御議論いただいているものです。現在、キャリア形成促進助成金やキャリアアップ助成金といった従業員の教育訓練を支援する助成金がありますが、これらについてもその支給対象や支給金額を充実させることについて検討を進めるとしております。

4 、育児休業給付です。育児休業給付の趣旨は、育児休業を取得しやすくして、職業生活の円滑な継続を支援、促進するためのものとして失業等給付の 1 つとして設けられており、これまでも給付率の引上げ等を行ってきております。また、平成 22 年度には休業基本給付金と職場復帰給付金を統合して、給付額の全額を育児休業中に支給する制度に改めたところです。これらの見直しによって、育児休業給付の受給者が増加しており、育児休業給付の見直しは育児休業の取得促進に寄与していると考えられます。

8 ページです。一方、依然として収入が減るという経済的理由から育児休業を取得しなかった方が、男女とも一定程度存在するほか、特に男性の育児休業取得率が平成 24 年度において 2 %弱と伸び悩んでいる状況ですが、男性の育児休業取得を促進することは、男性のワーク・ライフ・バランスの実現だけではなく、女性の育児負担を軽減して、女性が職場で継続して力を発揮するということにも資するものです。

 また、夫の家事・育児時間が長いほど、第 2 子以降の出生割合が高くなる傾向があるということで、男性の育児参加の拡大は少子化対策にも資するものである。

 男女ともに育児休業を取得していくことを促進するため、育児休業給付の給付率を引き上げることとし、出産手当金の水準を踏まえ、休業開始時から最初の 6 か月間について 67 %の給付率とすべきである。

 なお、委員の方々からの意見ですが、労働者代表委員及び使用者代表委員からは、育児休業給付の見直しによる育児休業の取得促進が、ひいては少子化対策にも資するものであることから、育児休業期間中の経済的支援については、雇用保険財源によらず、本来は国の責任により一般会計で実施されるべきものであるとの意見があった。また、労働者代表委員からは、育児休業取得率の向上のためには、育児休業給付の見直しのほか、期間雇用者や中小企業の労働者が育児休業を取得しやすくするための育児休業制度の改善や環境整備を行うべきであるとの意見があったということを盛り込んでおります。

9 ページ。 5 、求職者支援制度です。求職者支援制度においては、訓練を受講する場合に、一定の要件に該当する場合には職業訓練受講給付金が支給されております。給付金の支給要件として、訓練への出席について、実施日に全て受講すること。やむを得ない場合であっても、 8 割以上の出席が求められています。受講生からはやむを得ない理由が複数回続くことにより 8 割以上の出席が困難となる場合があり、基準の緩和などを求める声が多い。訓練実施の効果の確保やモラルハザード防止の観点から、安易な水準引下げは認めるべきではないものの、やむを得ない理由の中には、事態の発生が想定できず、本人の努力のみでは解決できないような場合や、本制度の仕組み上、公共職業訓練を受講する場合の指定来所日やハローワークが指示する就職面接のように、訓練受講より優先して対応を求めている場合など、欠席と取り扱うことには酷な場合もあることから、このような場合については、訓練実施日から外して取り扱うべきである。

 また、やむを得ない理由により訓練実施日の一部を欠席した場合についても、残りの時間においてできる限り出席させることが訓練効果を維持・向上する観点からは重要であることから、やむを得ない理由で訓練実施日の一部について出席できなくても、残りの時間に出席したことが確認された場合には、訓練実施日の一部について出席したものとして取り扱うべきである。

 給付金は、 1 か月当たり 10 万円が支給されておりますが、一方で給付金の額と比較して、雇用保険の基本手当の給付額が低い額となる者が存在しています。本報告書において、基本手当の水準については引き続き今後の在り方について検討すべきとしていること等も踏まえつつ、雇用保険の給付とのバランスを取るための具体的方策等について、引き続き検討すべきである。

 求職者支援制度については、その成果として安定した就職を目指していくべきであるが、現状では就職の状況について受講生本人の申告に基づく就職状況の把握が必ずしも正確になされていない。制度の成果を適切に把握していくためにも、就職状況の把握や確認する方法を改善するとともに、就職としては雇用保険が適用される就職であるかを把握し、その就職を成果として捉えるよう見直すべきである。

10 ページ。求職者支援制度は、雇用保険を受給できない者をその対象としていますが、就職経験が少ない者の中には、就職意欲はあっても、訓練を継続して受講する自信が持てず、現行の求職者支援訓練の枠組みでは、訓練の受講に踏み切れない者も存在しているため、そういった者への配慮は必要である。

6 、政政運営はタイトルのみとしておりますが、本日、資料で用意しておりますので、その議論を踏まえて、また改めて案を用意する際には盛り込ませていただきたいと考えています。

7 「その他」は 2 つあります。 (1) マルチジョブホルダーについて。マルチジョブホルダーについては、適用に当たっての労働時間の把握方法や失業の判断といった課題もあり、 2017 年の番号制度のシステム運用の状況を考慮しつつ、中長期的観点から議論していくべきである。

(2) 高年齢雇用継続給付及び 65 歳以上の者への対応について。高年齢雇用継続給付及び 65 歳以上の者への対応については、今後の高齢者雇用の動向や社会経済情勢等を勘案しつつ、引き続き中長期的な観点から議論していくべきである。「その他」については、どちらも中長期的観点から議論していくべきであると整理をしています。

 こちらの内容が、現在素案として準備させていただいているもので、そのほか、これまでの部会の中で頂いた意見については資料 5 で全て整理をしております。こちらについて御議論いただいた上で、また報告書の案に向けて準備をさせていただきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。

○岩村部会長 それでは、ただいま御説明いただいたのは資料 4 、資料 5 ですが、特に資料 4 の部会報告 ( 素案 ) に関して御意見、御質問を伺ってまいりたいと思います。

 進め方ですが、報告の素案にある第 1 、第 2 という順番で区切って進めたいと思います。それでは、最初に第 1 から始めて、第 2 、第 3 1 2 、つまり 5 ページの真ん中辺りの「中長期的なキャリア形成を支援するための措置について」の前の所までを、まず最初に御意見、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。

○遠藤委員 素案ですが、今般おまとめいただいたことに対して、公益の先生方に御礼を申し上げたく思います。その上で、使側として何点か、先ほどの御説明も含めて、未だに納得できない部分があるので、質問という形でお尋ねさせていただきたいと思います。

3 ページの暫定措置の扱いですが、引き続き延長するということです。現段階における利用者の数等を見ますと、延長の方向というのはやむなしかと思っています。そういった中で、使側としては繰返し申し上げていますが、恒久化といった誤解が生じることのないように、延長幅については是非お考えいただきたい。使側としては、例えば 3 年間といったことを提案させていただきたく思っています。

 次に、 4 ページです。基本手当の水準についての部分です。労側・使側それぞれ立場が違うということで、両論書いていただきました。使側の意見ですが、「就職が厳しい者に対しては個別延長給付等の暫定措置による手当がなされている」、確かにこういう趣旨での発言もしましたが、併せて申し上げたのは、求職者支援制度の創設による対応について申し上げましたので、これも是非加えていただきたいと思います。

 次の「再就職手当について」です。先ほど資料の中で、財政への影響について、算定根拠として 50 万人という規模としては大変大きな算定基礎を持っているという御説明をいただきました。改めて今般のこの見直しの内容に対して効果があるのかどうかということについては、正直自信がありません。離職時賃金と再就職時賃金との差額についての対応として、 3 つのケースについてお尋ねを改めてさせてください。

1 つ目は、再就職した後の状況が、これまでの状況と比べて、週の労働時間が異なるような場合、どのような対応を考えているのか。 2 つ目は、離職時における働き方が、所定外労働が大変多かったといった場合、その場合の差額をどう見るのか。 3 つ目は、例えば離職前の状況が、大変高額な賃金を得ていたという方々が再就職する場合です。再就職して条件が下がったという場合、どんな状況下であったとしても、その差額を見ていくのかということについてお尋ねしたいと思います。

○岩村部会長 御意見にわたる部分もありましたが、御質問もありましたので、御質問について、現在答えられる範囲で事務局からお願いします。

○高島雇用保険課長補佐 遠藤委員から御質問いただいた再就職手当の見直しに当たって、離職前の賃金と再就職時の賃金の差をどうやって判定していくのかという御質問と理解しております。確かに遠藤委員のおっしゃられるとおり、離職前の働き方と再就職時の働き方というのは、様々なパターンがあり得て、その比較をどうやってフェアにやっていくかというところがあると思います。ここから様々制度を設計するに当たって、私ども事務局としてもいろいろ案を練りたいと考えています。例えば、年という広い単位ではなく、基本手当の算定のルールにのっとりつつ、あとは働き方が例えば週 5 日から週 3 日に変わった場合でも、 1 日当たりの賃金の水準でどうなのかということを考慮していくとか、あとは、パートタイムに変わったと言っても、例えば雇用保険の被保険者にもならないような働き方になった場合、どうなのかということもありますので、雇用保険の被保険者資格を得ていくことをきちんとベースとしていくとか、そういった様々適当でないような支給のされ方をされないように、いろいろ技術的な事項も含めて、きちんと検討させていただきたいと思います。

 ただ、再就職制度の見直しの一番の目的は、再就職の促進であると考えており、今般の見直しに当たっても、当然再就職時の判定を緩めるものではありません。所定給付日数を 3 分の 2 以上残した方、 3 分の 1 以上残した方に対して、再就職手当を出しつつ、賃金が低下した方について、更に出すというものですので、再就職の支援を行って、再就職をきちんと果たした方が受給者の大前提であるということを、きちんと踏まえて制度の運用をしていきたいと考えています。

○岩村部会長 遠藤委員よろしいですか。

○遠藤委員 ただ今御説明を伺った限りにおいても、暫定的な枠組みという形で導入して、その導入結果を十分検証した上で、恒久化の道を探っていくことを考えるべきではないかということを意見として申し上げたいと思います。

○岩村部会長 ほかにいかがですか。

○青山委員 素案の大きな考え方を取りまとめていただいております。基本的な考え方について、大きな違和感はそれほど散見されないのかと思いますが、 1 つ質問、 1 つ意見を申しあげます。

 まず、第 1 に、現在の雇用情勢の認識について書かれており「一部に厳しさが残るものの、改善が進んでいる」という表現があります。改善が進んでいるということは、雇用情勢が良くなっていると見ていいのかどうか。そのような前提でこの見直し案が出されているのかが質問です。

2 つ目は意見です。リーマンショック時の緊急雇用対策で暫定措置がとられましたが、これは当然必要だったものかと思います。ただし、だんだんと雇用情勢が改善してきたということであるならば、いつまでもこういうことをする必要があるのでしょうか。徐々に平時に向かっていくという状況の中では、平時の対応が必要なのではないかと思います。

 この暫定措置がどうしても必要というならば、その理由と、暫定措置ですので一定の期限を設ける必要があると考えます。 2 年もしくは 3 年で暫定措置を終わらせるのという目標を設定すべきだと思います。先ほどの資料説明の中で、雇用保険二事業については、 PDCA サイクルを回しているということなので、同じように、これらの事業についてもしっかりと効果があるのかどうかと検証しながら進めるべきであると思っています。いずれにしても暫定措置ですので、期限を設けるべきだと思います。

○岩村部会長 それでは、質問をいただいた部分について、事務局からお願いいたします。

○吉永雇用保険課長 雇用情勢について認識について御質問いただきました。現在の足下の状況ですと、ここに記載してあるとおり、 0.98 という状況です。もちろん求人の質の問題は様々あるかと思いますが、少なくとも過去の 20 年、 21 年という状況よりは改善しているということは言えるかと思っております。

 将来的にこのまま行くのかどうかという辺りについては慎重に見ていく必要があると思っておりますが、 20 年、 21 年の水準よりは改善しているということを前提としつつ、現在の雇用情勢の今後の見通しの範囲の中で、どういう対策が必要かということを念頭に置きながら、今回のいろいろなメニューについては整理させていただいたというところだと思っております。

○岩村部会長 青山委員、よろしいですか。

○青山委員 またこれからの議論を踏えて意見を申し上げたいと思います。

○新谷委員 まずこれまでの論議を踏まえてまとめていただきまして、ありがとうございました。幾つか申し上げたい点があります。のちほど各論で申し上げますが、まず 2 ページの最初の○にある学び直し支援について、日本再興戦略の閣議決定の内容が書かれています。もともと産業競争力会議の中から出てきたものがベースとなって閣議決定されたわけです。産業競争力会議というのは何回も申し上げているように、労使の代表が入っていない。正しく政府の委員と閣僚で決められた内容です。しかも決められた内容は、社会人の学び直しを促進するというところまではいいのですが、それを雇用保険制度で見直すという正しくステークホルダーとしての保険料を負担している労使の代表がここにいて、労政審という枠組みがあるにもかかわらず、産業競争力会議のような全く労使の代表が入っていない所で原案が決められて、それが閣議決定されて下りてくるというロジックなわけです。

 これを読んでいくと、唯々諾々で、これを完全に呑んでしまったような印象があります。特に職業安定関係の政策については、正しく使用者の代表と労働者の代表が実質的に協議する場で決めるべきという、我が国も批准している ILO88 号条約があるわけで、それと違う決定がなされているのに、何も反論していないわけです。厚生労働省としては、官邸との距離からいって、なかなか書きにくいのかもしれませんが、労政審で論議するに当たって、私も大分発言したつもりですが、 ILO 条約との関係で、何らかの言及をしておかないと、これが前例となって労政審とは別の所で枠組みが決められて、特に今回の学び直しのように、全額雇用保険で負担するなどという制度が押し付けられてくるわけです。しかも金額については、先ほど出された要件が減額されて 890 億円という水準にとどまりましたが、もともとの原案だったらもっと大きな金額が雇用保険から出ていったわけです。やはり雇用政策の基本は ILO の三者構成原則に従って、労政審で審議をするべきであるというのを、どこかに書いておかないと、この報告書の建議が後に残ったときに、我々は何を論議していたのだということになりかねませんので、是非そこを書き込んでいただきたいと思います。

 それに関連して、先の話になるのですが、時間がないので言わせていただきます。学び直しの関係で 3 ポツに、財源問題についての論点が何もないのです。これは小林委員もおっしゃったように、財源の問題をまず論議すべきではないかと何回も申し上げていたわけです。国庫負担の在り方を含めて、なぜ雇用保険の枠組みで行うのかということを論議してきたつもりですので、論点が漏れているということを申し上げておきたいと思います。書き込むべきだということです。

○岩村部会長 今、御意見を頂いた部分については、検討させていただくということにしたいと思います。もしよろしければと思ったのですが、今の学び直しの前の所までということでよろしいでしょうか。では、浅見委員、山本委員の順でお願いします。

○浅見委員 青山委員から指摘があった個別延長給付の取扱いの問題について、 3 ページの書き方に関してですが、労働者のセーフティネットを引き続き十分に維持していくことが必要であるとか、あるいは今年度から施行された改正労働契約法の関係を考慮する必要があるという書き方になりますと、無期契約への転換権が発生するのが施行から5年後ということですから、延長期間も 5 年間と読み込まれるおそれがあります。我々としては基本的に暫定措置ですから、極力延長期間は短くすべきだと考えています。この問題について、無期契約への転換権の問題をリンクさせてしまうと、一部の新聞報道等では、高度専門人材に限って、無期契約への転換権の発生期限を更に延ばすなどという話がありますし、そうなると、延長給付の期限を更に延ばすのかというおかしな議論にもなりかねないので、基本的には時々の雇用情勢等を踏まえ、個別延長期限については、いつ終わりにするのかということを明確にすべきかと思っております。意見として申し上げておきます。

○山本委員 基本手当の水準についですが、 4 ページの 2 つ目の○にあるように、今回提示された素案では、基本手当の水準について引き続き今後の在り方について検討すべきであるとされています。この約半年間にわたって議論された中で、労働側としては 2000 年及び 2003 年の法改正で引き下げられた基本手当の給付水準の回復を、今回の雇用保険制度見直しの第一義に据えるべきということを終始主張してきたにもかかわらず、それが受け入れられずに、基本手当の水準を引き上げるという方向性が示されてないことについては、誠に遺憾だと思います。

 しかしながら、基本手当の水準回復がこの部会を構成する公労使の一致した意見ではないことに鑑みれば、労働側の意見のみを押し通すことは難しいことについては、一定の理解をしております。

 ただし、 4 ページの 1 つ目の○に、労働者代表委員の意見である基本手当の改善を行うべきであることの理由が、単に基本手当の平均受給日数や平均受給額などの低下が見られることからとなっているだけというのは、言葉足らずだと思います。今後に誤解を与えかねないので、1の基本手当の平均受給日数や平均受給額などの低下の背景には、 2000 年及び 2003 年の法改正による所定給付日数や給付率の引下げがあること、それから過去 2 回の法改正で、所定給付日数が大幅に短縮された自発的離職者とされる特定受給資格者以外の方であっても、過酷な労働環境など、様々な理由からやむを得ずに離職を選択している方もいるという状況です。必ずしも離職前から再就職の準備ができているわけではないといった、これまで労働側が基本手当の水準を引き上げる理由として主張したことについても、きちんと明記していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 労使の御意見のバランスということもありますので、検討させていただければと思います。

 それでは、先へ進みます。先ほど新谷委員も触れられましたが、 5 ページの 3 の「中長期的なキャリア形成を支援するための措置について」から、 4 の「育児休業給付」、 5 の「求職者支援」、「その他」。財政は皆様いろいろおっしゃりたいことがあると思いますので、 6 を飛ばして、 7 まで御意見があればと思います。

○遠藤委員  6 ページの真ん中辺りです。先ほど資料の中で御説明がありましたように、インターバル期間の設定あるいは対象となる講座の上限引下げ等については、一定程度評価をしたいと思っています。しかしながら、今の段階においても、企業側の納得が十分に得られていないという枠組みであることをまず申し上げておかなければいけないと思います。

 その上で繰り返しの提案で恐縮ですが、利用回数の制限という考え方で、原則 1 回を導入いただくことについて、改めて御検討いただきたく思っています。

 それから、 10 ページの求職者支援制度です。これは質問ですが、上から 2 つ目です。短期のコースも含めて、多様なコースの対応について書かれている最後の結びですが、継続して受講できないような方々への配慮が必要であるという意味合いについて、ここに書かれている含意を改めて事務局から伺いたいと思います。以上です。

○岩村部会長 それでは、御質問ということですので、事務局からお願いいたします。

○鈴木派遣・有期労働対策部企画課長 それでは、 10 ページの求職者支援の関係について、お答えいたします。これについては以前の議論の中で、確かこういった制度については意義は認めるけれども、求職者支援制度の中でやるべきものではない。一般だけでやるべきだという御意見を頂いております。したがって、この意味については、現行の求職者支援制度の枠組みの中では対応できないが、こういったものは必要だということで受け止めて、それ以外の措置でやるべきだと受け止めさせていただいて、こういう表現をさせていただいております。

○遠藤委員 内容については全く異論がありません。その方向で是非組み立てていただきたく思っています。ただ、他の書きぶりを見る限りにおいて、ここが「べきである」という形で結べなかったことは残念であるということだけを一言申し上げておきます。

○岩村部会長 ほかにいかがですか。

○亀崎委員  6 ページの一番下の○に、指定すべき対象訓練の考え方が示されていますが、資料 1 の中でも指摘しましたが、対象訓練の詳細がなかなか見えてこないというのがあって、ここは職業能力開発分科会で詰めていくところなのかもしれませんが、新たな仕組みである本支援措置の肝のところです。こうした記述に雇用保険部会の報告書としてはならざるを得ないのかもしれませんが、現行の教育訓練給付の指定講座や求職者支援訓練との整理も含めて、ここはしっかりと詰めていく必要があるということを改めて申し上げておきたいと思っています。

7 ページの 2 つ目の○のキャリア・コンサルティングですが、訓練受講や給付認定に当たってのキャリア・コンサルティングの必要性については、これまでも主張しきたところです。これに加えて、参考資料 1 にも、職業能力開発分科会で出された主な意見の 2 ページに記載があるのですが、公正なキャリア・コンサルティングがなされるように、国が労働者の能力開発に積極的に関与する観点から、 1 つには、ハローワークにコンサルタントを常駐させるべきであり、 2 つ目には、仮に外部の団体に委託する場合があったとしても、委託団体は公益性とか信頼性の観点から厳正に選定すべきであり、選定後もハローワークと緊密に連絡しながら、しっかりとキャリア・コンサルテイングを行っていくことが必要だと思っています。以上のことについて、報告書にもしっかりと記載すべきだと意見として申し上げておきたいと思います。

○岩村部会長 御意見ということで伺っておくことにいたしたいと思います。

○小林委員 中長期的なキャリア形成を支援するための措置についてですが、先ほど新谷委員から、そもそも訓練について否定するわけではない。財源はこの雇用保険でということについては労使ともに反対というのは強く言っておきたいと思います。

 その上で、分からなかったのは、 7 ページの (4) 「事業主に対する支援措置」で、雇用保険二事業の助成金としてキャリア形成促進助成金、キャリアアップ助成金について、支給対象、支給金額を充実させることを検討すべきとあるのですが、検討すべきではなくて、見直しが必要だというような意見であったのではないかと記憶しているのですが、いかがですか。

○高島雇用保険課長補佐 小林委員からいただいたところですが、語尾が「検討すべき」ではなくて、実際に「措置を講ずるべきである」ということだと思いますが、ここの部分は能力開発分科会で、正に支援措置の充実の内容について議論を行っているところで、大変申し訳ないのですが、役割分担の議論になってしまうのですが、雇用保険部会の委員の方々から充実の方向性について御意見があったということは、事務局としても重々承知しつつ、その点について検討を能開分科会にお渡しするという意味で、ここはあえて書かせていただいたという趣旨です。申し訳ありません。

○小林委員 是非ともよろしく伝えてください。

 もう 1 点、育児休業の件ですが、これは労使ともども、本来子育て支援は必要であるが、財政面については、一般財源でということで言われたのですが、確かこれは遠藤委員が言われたのだと思いますが、 67 %に増やす部分の、せめて 7 %とか、何パーセントか国が負担すべきではないかということを言っていたのですが、そんなニュアンスの書き方はできないのですか。

○岩村部会長 即答は難しいかもしれませんので、検討させていただければと思います。○小林委員 そういう意見があったと。

○岩村部会長 そういう御意見があったということです。

○古川委員 育児休業給付ですが、給付率を引き上げることについて異論はないのですが、労使双方とも一般会計で実施されるというのは一致した意見であると思います。この報告書の書きぶりですと、あたかも少数意見のような記述にとどまっているのが、極めて遺憾であります。

 それから、最後の部分の記載ですが、労働側としては、有期雇用労働者のみに適用される同一の事業主に引き続き雇用された期間が 1 年以上という、現行の育児休業給付の給付要件の緩和を明確に主張してきております。ですから、下から 2 行目にある育児休業制度の改善や環境整備だけでなく、非正規労働者に適用される育児休業給付の給付要件を緩和すべきとの意見があったということを明記していただきたいです。以上です。

○岩村部会長 ほかにございますか。財源の議論が最後に残っていますが、その前に今まで出てきた御議論の中で事務局でコメントなり、何かありましたらお願いします。

○吉永雇用保険課長 今ほど頂きました御意見をどこまで落とし込めるかということはありますが、事務局で案を修正いたしまして、部会長とも御相談した上でまたお諮りさせていただきたいと思います。

○岩村部会長 それでは、最後に財源が残っておりますので、そこについて、御意見などがありましたら、お願いしたいと思います。

○小林委員 財政運営の資料 2 の最後に「財政運営に係る論点」というのがあります。正に新谷委員が言われたように、暫定措置については、国が責任を持つというのは同意見です。財源の問題では言いたいことはいっぱいあるのですが、先ほど来、申し上げました学び直しのための教育訓練給付について、それから求職者支援制度についても、更に育児休業給付の増額の部分等含めて、本来国が言ってくるのは分かるのですが、雇用保険財政は今潤沢ではない、かなりの準備金額があるからという理由をもって、この制度から出すというのは本末転倒というのが正直な意見です。

 論点に戻れば、本来の暫定措置については、国が責任を持つというスタンスは見失わず、この規定を暫定措置から外すような形で進めていただきたい。

 それから料率について申し上げたい。大前提として、以前の部会の中で申し上げとおり料率を引き下げて下さいというのが意見です。今ここに来て、いろいろな基本手当、再就職手当の試算とか、キャリア形成のための試算の 890 億円、育児休業給付の 800 億円などという金額を見てしまうと、 3 つを足すと来年増加になるのは 2,000 億円です。そのような状況でいくと、せっかく積み立てたものも試算で見れば、 60 万の受給者人員の試算と 66 万、固い試算がありますが、固くないほうを見ても、どんどん積立金が下がっていく予測をみると、料率を維持するのがせめてかという気持もあります。引き続き弾力条項を持って、 1,000 分の 10 の維持をしっかりやってほしいというのがお願いです。

3 つ目に書いてある求職者支援制度の費用の負担は、逸早く本当に国が責任を持って行うということで、雇用保険の付帯事業から外していただくように再度要求したいと思います。以上です。

○岩村部会長 ほかにいかがですか。○古川委員 雇用保険二事業ですが、日本再興戦略で雇用調整助成金から労働移動支援金に大きくシフトするとされていますが、雇用調整助成金はリーマンショックはじめ、景気後退のときに、とても多くの雇用を守ってきた実績がありますので、まずは雇用を守るため、守らせるための最大限の支援を行うべきであって、労働移動ありきという考え方については私たちは受け入れることができません。労働移動支援金を増額することが、単に人材ビジネスに多額の資金を流すことだけにならないかという強い懸念を覚えています。

 また労働者の受皿となる成長産業が整理されていない状況での労働移動は、単に労働者の失業者を増やすことにならないかという危惧もあります。転職するたびに労働条件が下がり続けることも起こりかねないので、雇用の質にこそ注目すべきであるということを申し上げておきたいと思います。以上です。

○岩村部会長 それでは、古川委員の御意見も含めて、いろいろ御意見を頂きました。取りわけ部会報告の素案についても労使双方からいろいろ御意見を頂戴したところです。先ほど課長からもお話がありましたが、今日頂いた御意見なども基にして、どの程度反映できるかということはありますが、事務局でこの報告書の案を準備していただくことにしたいと思います。その上でそれを基にまた議論を進めていきたいと考えております。

 本日の署名委員は、雇用主代表は小林委員に、労働者代表については新谷委員にそれぞれお願いいたします。

 次回の日程については事務局から改めて各委員に御連絡が行くということですので、よろしくお願いいたします。

 今日はこれで終了させていだきます。皆様お忙しいところをありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省職業安定局雇用保険課企画係
(TEL)03-5253-1111(内線5763)

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