2013年8月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録
日時
平成25年8月2日(金)15:00~
場所
厚生労働省共用第8会議室
出席者
出席委員(15名)五十音順
奥田晴宏、 神田敏子、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、
手島玲子、 豊見雅文、 野田光彦、 林邦彦、
平石秀幸、 古川漸、◎松井陽、 ○松木則夫、
山田清文、 村田美穂、 本橋伸高
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名)
小川聡、 加藤総夫、 木村剛、 鈴木邦彦、
武田正之、 増井徹
行政機関出席者
今別府 敏雄 (医薬食品局長)
成田昌稔 (大臣官房審議官)
佐藤岳幸 (審査管理課長)
森口裕 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山本弘史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
奥田晴宏、 神田敏子、 佐藤 田鶴子、 佐藤 雄一郎、
手島玲子、 豊見雅文、 野田光彦、 林邦彦、
平石秀幸、 古川漸、◎松井陽、 ○松木則夫、
山田清文、 村田美穂、 本橋伸高
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(6名)
小川聡、 加藤総夫、 木村剛、 鈴木邦彦、
武田正之、 増井徹
行政機関出席者
今別府 敏雄 (医薬食品局長)
成田昌稔 (大臣官房審議官)
佐藤岳幸 (審査管理課長)
森口裕 (安全対策課長)
矢守隆夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山本弘史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
俵木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)
議事
○審査管理課長 それでは、定刻を少し過ぎましたが、「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日の委員の出席についてですが、小川委員、加藤委員、木村委員、鈴木委員、武田委員より、御欠席との連絡を頂いております。増井委員は遅れるとの連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち、15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御報告いたします。まず、厚生労働省ですが、大臣官房審議官の成田です。安全対策課長の森口です。後ほど医薬食品局長の今別府が参るかと思います。
続きまして、医薬品医療機器総合機構から安全管理監の山本です。組織運営マネジメント役の國枝です。上席審議役の俵木です。審議役の山田です。最後に申し遅れましたが、審査管理課長に着任した佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、松井部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に「議事次第」「座席表」「当部会委員の名簿」を配布しています。「議事次第」に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」資料16について御報告します。各品目の競合品目選定理由については、次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。「ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ」ほか4品目ですが、本品目は「統合失調症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページの「タプコム配合点眼液」です。本品目は「緑内障、高眼圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目とて選定しております。
3ページの「ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mL」です。本品目は「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページの「リツキシマブ(遺伝子組換え)」ですが、本品目は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページの「Lomitapide mesylate」です。本品目は「家族性高コレステロール血症ホモ接合体」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページの「BYM338」です。本品目は「封入体筋炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は「なし」としております。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの御説明に対しまして、何か御質問、御意見等はございませんか。
それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、委員の皆様の御了解を得たことといたします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。
議題1「医薬品ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ及び同水懸筋注150mgシリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員、本橋委員、山田委員です。
議題2「医薬品タプコム配合点眼液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員です。
議題3「医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員、村田委員です。
議題4「リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員、本橋委員です。
議題5「Lomitapide mesylateを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員です。
議題6「BYM338を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員、村田委員です。以上です。
○松井部会長 本日は審議事項が6議題、報告事項が5議題、その他が2議題となっております。それでは早速、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概略を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ及び同水懸筋注150mgシリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるパリペリドンパルミチン酸エステルは、「統合失調症」の効能・効果で既に承認されているパリペリドンを持効性筋肉内注射製剤として開発するために化学修飾を行って、溶解速度を調整したパリペリドンのプロドラッグであり、海外では2012年12月までに66の国又は地域で承認されております。本邦では2005年11月より本申請に係る臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料15に記載されている8名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず有効性についてですが、審査報告書30ページの表17を御覧ください。国際共同第III相試験における主要評価項目であるFASでの最終評価時のPositive and Negative Syndrome Scale(表中ではPANSSと略しております)の総スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群6.9、本剤群-3.1、群間差は-9.7、95%信頼区間は-14.0~-5.4であり、本剤のプラセボに対する優越性が示されました。
次に、安全性についてですが、審査報告書39ページの表26及び40ページの表27を御覧ください。本剤の臨床試験における有害事象の発現割合とリスペリドン持効性筋肉内注射剤(表中ではRIS-LAIと記載しております)の臨床試験及びパリペリドン徐放錠(表中ではPAL-ERtabと記載しております)の臨床試験における有害事象の発現割合を比較したところ、精神症状や不眠症、統合失調症の発現割合について、試験間で差異が認められましたが、これらの症状はいずれも原疾患に関連する事象であり、これらの事象を含む精神障害関連の有害事象全体での発現リスクが製剤間で大きく異なることはないと考えております。
また、錐体外路症状、鎮静、耐糖能異常及び体重増加、血中プロラクチン増加並びに自殺及び他害行為関連事象についても、既存のパリペリドン又はリスペリドン製剤と大きく異なるものではないことから、それらの製剤と同様の注意喚起を行うことが必要であると考えております。
次に、用法・用量についてですが、審査報告書51ページの2)初期負荷投与法についての項を御覧ください。本剤では、統合失調症の治療では早期に十分な薬効が得られるように、血漿中薬物濃度を速やかに治療域に到達させることが重要と考えられたことから、初回に150mg、1週間後に100mgを投与し、その後、4週に1回の維持投与に移行するという初期負荷投与法が設定されています。設定の経緯ですが、まず海外第I相試験成績から、初回投与の1週間後に2回目の投与を行う方法が選択されております。
次に、審査報告書52ページの表46を御覧ください。初回投与量として150mgを投与したPSY-3007試験成績と初回投与量として維持用量と同用量を投与したPSY-3003及び3004試験成績の比較に基づき、初回用量として150mgが選択されました。
なお、同ページの表47を御覧ください。これらの臨床試験では、投与初期に有害事象の発現割合が高くなる傾向が認められておりますが、初回投与量の差異により発現状況が大きく異なる傾向は認められませんでした。これらの試験成績を踏まえ、海外では「初回150mg、1週後に100mgを投与する」方法で承認され、国際共同第III相試験では、この投与方法が設定されました。
次に、53ページの表48及び表49を御覧ください。こちらの表に示したとおり、国際共同第III相試験において、初回150mg、1週後に100mgを投与する方法の有効性及び安全性が確認されたことから、用法・用量として、この初期負荷投与法を設定することに問題はないと判断しました。
以上の審査を踏まえ、本剤の統合失調症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
また、事前に本橋委員より3点御質問を頂いております。1点目は「持効性抗精神病薬は再燃予防のために用いられるので、十分な有効性が要求されます。しかし、今回の長期投与試験ではかなりの脱落例があり、特に精神症状の悪化が多いようですが、この辺りはリスパダール・コンスタ筋注用と同等の効果が期待できると考えていいのでしょうか」との御質問を頂いております。
リスパダール・コンスタと本剤との比較については、海外で実施された短期投与試験において、非劣性が検証されております。一方で、長期投与時の精神症状の発現状況については、国内長期投与試験では、精神症状により中止した症例の割合は12.4%、リスパダール・コンスタの国内長期投与試験で精神症状により中止した症例の割合は2.4%と差が認められております。このような差が生じた理由は明確とはなっておりませんが、リスパダール・コンスタの臨床試験では、精神症状発現時に抗精神病薬のレスキュー投与が可とされていたこと、両試験の患者背景を比較しますと、本剤の臨床試験に組み入れられた患者は特に罹病期間が長い、ベースラインのPANSS総スコアが高いなど、より重症度が高いと考えられることから、これらの点が影響した可能性があるのではないかと考えており、本剤とリスパダール・コンスタで有効性に大きな差異はないと考えております。
2点目は「パリペリドンは心電図上のQTc延長が懸念される薬物です。今回の臨床試験では、心電図異常はなかったと記されていますが、QTc延長は長期投与試験でも認められなかったのでしょうか」との御質問を頂いております。
御指摘のあった審査報告書32ページの9行目ではQTc間隔が500msecを超えた被験者は認められなかったことから、「臨床的に問題となる変動は認められなかった」と記載しておりますが、480msecを超えた被験者は2例、450msecを超えた被験者は5例認められております。また、ベースラインからの変化量が60msecを超えた被験者は2.6%、30msecを超えた被験者は20.1%に認められております。以上のようにQTc間隔の軽度の延長が認められていることから、既存のリスペリドン及びパリペリドン製剤と同様に、QTc延長のリスクがある患者を慎重投与に設定し、本剤のQTc延長のリスクについて注意喚起することとしております。
3点目は「本注射薬の特徴として、4週間に1回の投与で良いことがあげられますので、おそらくリスパダール・コンスタ筋注用からの置換えが多く行われるものと推定されます。欧州の添付文書にあるように、薬物動態の項目以外に置換え時の方法を加えた方がいいのではないでしょうか」との御質問を頂いております。
御指摘頂いたとおり、リスパダール・コンスタからの切替えが想定されますが、リスパダール・コンスタから本剤に切り替える際の切替え方法について検討された臨床試験成績はないことから、添付文書の用法・用量又は用法・用量に関連する使用上の注意の項に切替え方法を具体的に記載することは困難と考えております。リスパダール・コンスタからの切替えについては、添付文書の薬物動態の項にPPK解析によるシミュレーション結果を記載するとともに、適正使用資材にはシミュレーション結果から推定された切替え方法について具体的に記載し、臨床現場に情報を提供することとしたいと考えております。
以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 本橋委員からの三つの御質問に対して答えが出たわけですが、本橋委員、いかがでしょうか。
○本橋委員 大体その程度の回答を得られればいいのではないかと思います。ただ、注意事項とか、QTcのことなどは、ほかの国の添付文書にはかなり大きく取り上げていますので、その辺はきちんと入れておいた方がいいのではないかと思いました。
○松井部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○松井部会長 それでは、そのほかの点について、委員の皆様からの御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 薬の投与の対象という所をお伺いしたいのです。簡単に言いますと、統合失調症のファーゼを起こした患者のときに、今まで飲んでいたリスパダールは別ですが、コントロールが利かなくなったので、多くは多分入院させると思います。入院させてそのファーゼに対して多分静注はできないので、筋注を使って抑える。それを4週間に1回の投与でよくなったという薬が出てきたという理解でよろしいのでしょうか。
それから、52ページのテーブル47に、有害事象をチェックしているのがありますが、最後は92日ということは約3か月の投与ですから、この薬でこの疾患が完治するとは思えないので、ここまでで大体落ち着くという日にちを見越して、マックスを3か月に取っているのですか。それと先ほど本橋委員から御質問があったのと同じで、そのあとは、もしファーゼが落ち着いて外来になれば、切替えてハロペリドールなどを投与することになるのですか。私は専門ではないので、薬の性質と投与パターンを概略で結構ですので、教えていただきたいと思います。
○松井部会長 機構からいかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。まず1点目については、本品目は統合失調症の患者が急性的に増悪した症状を抑えるということを目的とした薬剤ではなく、使われ方としては、錠剤でコントロールされていた患者が、症状が良くなってきた際に薬を飲まなくなる等して、コンプライアンスやアドヒアランスが悪くなってきたときに、1か月に1回筋注投与すれば良いという製剤に置き換えることによって、飲み忘れ等がなくなりますので、そこできちんと症状を維持するという目的で使われることが多いかと思います。
○佐藤(田)委員 そうすると、私が質問したのと逆の使われ方ということですね。ファーゼが起こったから経口薬では耐えられないので、これを使うというのではなく、逆に症状が落ち着いてきたので薬が使えていく。ということは入院するのではなくて、外来で筋注をして、通ってきてもらえばいいということの投与薬という考え方でよろしいですか。
○機構 はい、おっしゃるとおりの理解で結構です。
○佐藤(田)委員 分かりました。
○松井部会長 2番目の点についてはいかがですか。
○機構 2番目の点については、表47に示した試験は約3か月間の投与を行っておりますが、こちらについては試験の目的として短期間での有効性を検討することを目的にした試験ですので、薬を投与して症状が一旦落ち着いてくるまでの間の有効性を示したものになります。ですので、この試験では3か月間の投与しか計画しておりませんが、国内でもそうですが、別途1年間の長期投与試験を行っておりますので、長期的な有効性についてはそちらで検討しています。この薬についても3か月を超えて、1年、2年と本剤で症状が抑えられていれば、投与されるものと思います。
○松井部会長 検討ということでしょうか。
○佐藤(田)委員 最後の所で本橋委員から質問があったのと、私は非常に激しい症状のときに使っていくのだろうと勘違いしていたのです。そうすると、次の薬に切り替えることも余り必要がないほど、かなり良い薬という感覚で捉えてよろしいのですか。本橋委員は次に切替えの所で御質問があったと思うのです。
○本橋委員 先ほどの部分に追加しますと、この薬に似たような薬が既に出ておりまして、それは2週間に1回注射するのです。患者にとっては2週間に1回通院しなければいけないから負担になります。本剤は4週間に1回で済みますので、患者にとってはこちらを希望される方が増えるのではないかと。そういう意味で切替えの話をさせていただきました。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 基本的にはリスペリドンが効いた患者に対してということだと思いますが、この添付文書でそれが分かりますか。要するに、リスペリドンに禁忌の人には使ってはいけないとか、これがリスペリドン製剤だから、治療経験が少ない場合には対応性を示すというのがありますが、それをもう少しはっきり書いた方がいいような気がするのですが、現場で分かればいいのですが。
○機構 こちらに関しては試験がリスペリドン、パリペリドンを投与された患者に限定して行っているものではなく、ほかの向精神病薬からの切替え例も含まれておりますので、リスペリドン又はパリペリドン製剤で症状が安定している患者からの切替えに限定されるものではないと考えております。
○松井部会長 ほかにありませんか。特段の御意見がほかにないようでしたら、議決に入ります。なお、平石委員、本橋委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題2に移ります。機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品タプコム配合点眼液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、プロスタグランジンF2α誘導体であるタフルプロスト及び非選択的βアドレナリン受容体遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(以下、チモロール)を有効成分として含有する配合点眼剤です。各有効成分の単剤は、本邦において、いずれも「緑内障、高眼圧症」を効能・効果として、タフルプロストは2008年10月、チモロールは1981年6月に承認されております。
本剤は、本邦において□□年□月から臨床試験が開始され、今般、本剤の緑内障及び高眼圧症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本審査の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず本剤の有効性について、審査報告書12ページの表7及び13ページの表8を御覧ください。第III相試験として、緑内障又は高眼圧症患者を対象としたタフルプロストを1日1回投与するタフルプロスト単剤群及びタフルプロストを1日1回とチモロールを1日2回投与する併用療法群を対照群として設定した004試験及びチモロールを1日1回投与するチモロール単剤群を対照群として設定した005試験が実施されました。表7は004試験、表8は005試験の結果を示しています。
本剤を1日1回投与したとき、主要評価項目である治療期終了時のベースラインからの平均日中眼圧変化量について、004試験では本剤群のタフルプロスト単剤群に対する優越性、005試験では本剤群のチモロール単剤群に対する優越性が検証されました。また、004試験において、本剤群の眼圧下降効果は、併用療法群と比較して大きな差はないことが示されました。
次に、安全性について、審査報告書18ページ表10を御覧ください。第III相試験及び長期投与試験では結膜充血、眼充血及び鼻咽頭炎の発現割合はタフルプロスト単剤群、チモロール単剤群及び併用療法群と比較し、本剤投与時において発現割合が高い傾向が認められましたが、認められた事象はいずれもタフルプロスト単剤及びタフルプロストとチモロールの併用療法と同様であり、軽度又は中等度の事象であったことから、本剤点眼時の安全性が臨床上大きな問題となることはないと考えております。なお、本剤の安全性については、製造販売後調査において、引き続き検討する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤を「緑内障、高眼圧症」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年、製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の議題2につきまして、委員の先生方から御質問、御意見を賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 一つ単純なことですが、緑内障に適応するときに、片眼の方と両眼の方とあると思うのですが、この1滴の薬で眼圧の変化が当然あるわけです。そういうことが起こったり、いろいろな弊害作用がここに書かれておりますが、これは例えばチェックするときに、両眼に点眼した量として見越しておられるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○機構 まず臨床試験においては、本剤の投与方法として、審査報告書11ページに第III相試験である004試験の用法・用量を記載している箇所があります。ここに両眼に4週間点眼投与すると記載しておりますように、全ての試験で両眼に投与されております。したがいまして、両眼投与したときの安全性は評価されております。有効性については、どちらの眼を対象とするかを、あらかじめ決めた上で評価をしております。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 配合剤について一言言わせてください。審査報告書の16ページにも単剤療法、ガイドラインのことが書いてありますし、添付文書の最初の方にも原則として単剤での治療を優先することと書いてあることで、これは非常にいいと思います。
もう1点、これもどちらかというと感想かもしれませんが、審査報告書の17ページの「機構は」という段落から始まって、非劣性の試験がタフルプロストとチモロールの足したものの非劣性ではなくて、下から3行目の、タフルプロストは投与剤も考慮する必要があったと考えており、事前に試験の目的、デザイン等の詳細を機構と十分議論しておくことが望ましかったと考える、という反省文みたいな感じですが、これはここに書くことによって、次にはこれを影響させようというアナウンス効果を狙っているのか、自分たちの決意表明を書いているのか、よく分からないのです。
○機構 こちらについては、ここに記載したとおり、対面助言等で合意した上での試験デザインではなかったということで、設定された非劣性マージンというものが、非劣性というものを検証する上で適切であったかを考える上で少し足りなかったのではないか。今後こういう計画をする場合には、単剤に対する上乗せが確認できるよう計画する必要があるのではないか、ということで記載させていただきました。
今回の配合点眼剤を見る上での非劣性が必要だったかどうかの議論ではなく、実施するのであればという内容です。ここの試験結果から確かに結果をもって、併用療法群と本剤群の有効性が余り違わないということを評価することはできると思うのですが、事前に設定されたマージンが正しかったかと言われると、なかなかそうも言い切れない所があると思いましたので、記載しております。したがいまして、決意表明というわけではありませんが、今後はこういうことに気を付けていただきたいという内容を記載しております。
○松井部会長 ほかにありますか。それでは議決に入ります。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題3に移ります。機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるラニビズマブ(遺伝子組換え)は、VEGFに対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、本邦では2009年1月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」(以下、滲出型AMD)を効能・効果として承認されております。本申請の効能・効果である「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」(以下、RVOに伴う黄斑浮腫)及び「病的近視における脈絡膜新生血管」(以下、PMにおけるCNV)について、本邦においてそれぞれ20 □年□月及び20 □年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
海外では、2013年4月現在、RVOに伴う黄斑浮腫については米国、欧州等90の国又は地域、PMにおけるCNVについてはエジプト、エクアドル及びトルコの3か国で承認されております。本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。なお、本品目については、RVOに伴う黄斑浮腫とPMにおけるCNVの二つの効能・効果が同時申請されているため、RVOに伴う黄斑浮腫、PMにおけるCNVの順に説明させていただきます。
まず、RVOに伴う黄斑浮腫に対する有効性及び安全性について説明いたします。RVOは、網膜静脈の閉塞部位の違いにより、網膜静脈の分枝が閉塞した網膜静脈分枝閉塞症(以下、BRVO)と網膜中心静脈が閉塞した網膜中心静脈閉塞症(以下、CRVO)に大別され、海外においてはBRVO又はCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に、シャム対照二重遮蔽比較試験がそれぞれ実施されております。これらを以下、海外試験とします。
有効性について、審査報告書10ページ図2及び13ページの図3です。図2がBRVOを対象としたFVF4465g試験、図3がCRVOを対象としたFVF4466g試験における視力の指標であるBCVAスコアのベースラインからの平均変化量の推移を示しており、いずれの試験においても主要評価項目である6か月間の固定投与期終了時のBCVAスコアのベースラインからの平均変化量について、シャム群に対する本剤0.3mg群及び本剤0.5mg群の優越性が検証されました。
審査報告書18ページ表13です。国内においては、BRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象とした非遮蔽非盲検試験(以下、国内試験)が実施され、海外試験の結果と同様に、本剤0.5mg投与後にBCVAスコアの改善が認められました。国内試験においてシャム群との比較は行われておりませんが、公表文献等に基づき日本人と外国人の間でRVO発症による視力の自然経過に明らかな違いが認められていないこと、海外試験において、本剤群のシャム群に対する優越性が検証されていることも踏まえると、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者において、本剤の有効性は期待できるものと考えております。
安全性について、審査報告書24ページ表18です。海外試験において、結膜出血、網膜滲出物、網膜出血等の治験対照眼の有害事象が認められましたが、ほとんどの事象は注射手技によるものと判断されております。
審査報告書18ページ表14です。国内試験は試験期間が3か月であったため、BRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者に本剤を3か月以上投与した臨床試験成績はありませんが、こちらに示しているように、本剤投与3か月後までのBRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者における安全性について、外国人患者と比較して特に問題が認められなかったこと、また審査報告書16ページ表11に示しているように、日本人において既承認の効能・効果の対象患者である滲出型AMD患者とBRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者における投与3か月後までの有害事象発現状況に大きな違いは認められなかったことから、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者における安全性について、特段の問題はないものと考えております。なお、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者に本剤を3か月以上投与したときの有効性及び安全性については、製造販売後調査において確認する予定です。
用法・用量について、海外試験において、本剤0.3mg群よりも0.5mg群でBCVAスコアのベースラインからの平均変化量が大きく改善する傾向が認められ、本剤0.3mg群と比較して本剤0.5mg群の安全性に特段の問題は認められていないことから、本剤の用量を0.5mgとすることが妥当と判断しております。また、海外臨床試験成績から、BCVAスコアが改善し、その後に安定する時期は患者によって異なると考えられること、視力のみならず、黄斑浮腫の状態等も考慮して、本剤投与の必要性を判断する場合もあると考えられることから、用法・用量として、投与量と最低限必要な投与間隔を規定した上で、1か月に1回、視力等を測定し、本剤投与の要否を判断する旨、及び投与開始後、視力が安定するまでは1か月ごとに投与することが望ましい旨を注意喚起することが妥当と判断しております。
次に、PMにおけるCNVに対する有効性及び安全性について説明いたします。PMにおけるCNV患者を対象とした臨床試験として、ベルテポルフィンを用いた光線力学的療法(以下、vPDT)を対照とした二重遮蔽比較試験が国際共同治験として実施され、当該試験では本剤群として、本剤0.5mgを視力安定化の基準に基づき投与する本剤I群と、疾患の活動性の基準に基づき投与する本剤II群が設定されました。
有効性について、審査報告書29ページ、3段落目の「主要評価項目である」以降の文章です。F2301試験において、主要評価項目である3か月目まで、3か月間におけるBCVAスコアのベースラインからの期間平均変化量について、vPDT群に対する本剤各群の優越性が検証されました。また、日本人集団において全集団と同様の傾向が認められました。
安全性について、審査報告書33ページ表24です。F2301試験において、主な有害事象として結膜出血等の治験対象眼の有害事象が認められました。日本人集団では、全集団と比較して全ての有害事象及び治験対象眼の有害事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、これは日本人集団において点状角膜炎の発現割合が高かったことに起因すると考察されております。点状角膜炎は日本人集団のみで認められましたが、滲出型AMD患者及びRVO患者では日本人に限らず発現していること、F2301試験において認められた点状角膜炎のほとんどは軽度の事象であり、いずれも治験治療との関連は否定され、治験治療を中止した患者は認められなかったことから、臨床的に大きな問題となるものではないと考えております。なお、PMにおけるCNVを有する患者における安全性については、製造販売後調査において引き続き検討する予定です。
用法・用量について、審査報告書38ページ図7です。F2301試験において、本剤I群及びII群のいずれにおいても、12か月間における投与回数は幅広く分布していましたが、少数回投与の患者が多く認められており、必要な投与回数は患者ごとに異なると考えられました。また、本剤投与の判断基準について、視力の安定化を基準とした本剤I群と、疾患の活動性を基準とした本剤II群の投与12か月後までのBCVAスコアの推移に大きな違いは認められませんでしたが、本剤II群の方が投与回数が少ない傾向が認められました。これらを踏まえ、用法・用量として、投与量と最低限必要な投与間隔を規定した上で、定期的に視力等を測定し本剤投与の要否を判断する旨、及び疾患の活動性を示唆する所見が認められた場合に投与することが望ましい旨を注意喚起することが妥当と判断しております。
以上の審査を踏まえ、本剤の「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」及び「病的近視における脈絡膜新生血管」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能医薬品及び新用量医薬品に該当すること、及び初回承認が希少疾病用医薬品としての承認であったことを踏まえ、再審査期間は5年10か月とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 複雑なので、討論が錯綜するかもしれないと思うのですが、狙う効能・効果が「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫による視力障害」と「病的近視に伴う脈絡膜新生血管による視力障害」と、二つあるわけです。そこの所を区別して、ディスカッションしていただきたいと思います。いかがでしょうか。委員の先生方、御質疑をお願いいたします。
○豊見委員 基本的な知識がないので教えていただきたいのですが、9ページの注意の10、シャム投与について、「硝子体内投与の代わりに針のないシリンジを局所麻酔下で眼球に押しつけ、注射以外は同じ処置を行う」というのは、私は知らなかったので分からないのですが、具体的にどういう投与に当たるのですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。本剤は硝子体内投与をする薬剤で、硝子体、眼球に針を刺さなくてはいけないので、プラセボを投与することになると、かなりの負担が掛かってしまいますので、そういった問題からシャム投与としては針の付いていないシリンジを眼球に押し当てるということで、刺すリスクを回避して、それでもなおかつ盲検を保つための処置を行うという形で比較をしていることになっております。
○豊見委員 そうすると、薬剤は一切関係がないという、物理的な刺激だけということになるわけですね。
○機構 そうですね。針を刺さずに、薬液も投与せずに、という状況になります。
○松井部会長 これをもってコントロールとみなしたということでしょうか。ほかにいかがですか。
○佐藤(田)委員 私も基本的な所を教えてください。母集団についてなのですが、この薬自体が日本製造ではなくて、ノバルティス ファーマさんが申請していらっしゃる薬なので、この疾患が要するに黒い眼の日本人と欧州などの眼の色が違う人とか、そういう眼球が起こす疾患とは全く関係なく、母集団で起こりやすい罹患率と言っていいのか分かりませんが、その母集団はもともとどうなのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。審査報告書の16ページ目以降の「海外臨床試験成績の利用可能性について」に記載しておりますが、BRVOとCRVO、PMの方も併せて説明いたします。まず、BRVOとCRVOについてはこのページに書いてあるとおり、日本で実施された疫学研究と海外で実施された疫学研究を比較しておりまして、大体BRVOの有病率が変わらないだろうということ、そしてRVOに伴う黄斑浮腫の発現も変わらないだろうという所は確認させていただいております。
○松井部会長 頻度ということですか。
○機構 頻度です。次に、自然経過になりますが、審査報告書の19ページに、なかなか比較は難しいのですが、これまでに報告されている公表文献等から、何もしていない状態は難しかったので、経口薬ですとか、これまでにいろいろと用いられている薬剤はありますが、そういった状況下での視力経過を、外国人と日本人で比較しており、日本人と外国人で異なるような傾向、明らかに違う傾向はないということを確認しております。
○松井部会長 以上でしょうか。
○機構 はい。次にPMですが、まず「国際共同治験に基づく評価について」で、審査報告書の30ページに記載しております。こちらについては、疫学調査で発現を比較するのは難しかったのですが、この疾患の発現する機序が、眼軸長の延長によって網膜が薄くなり、そのような状態下で脈絡膜新生血管の発現が起こってきますので、こちらの発現機序が民族間によって変わるものではないと考えております。
32ページの図6に、この国際共同治験で実施したBCVAスコアの推移を日本人、外国人、全集団で載せておりますが、こちらを比較していただくと、日本人と外国人で大きく異ならないということは示されているのではないかと考えております。以上です。
○佐藤(田)委員 複雑ですね。
○松井部会長 私も先ほど同じ質問をいたしました。人種差の問題ですね。ほかにいかがでしょうか。
○佐藤(雄)委員 先ほどの豊見委員の質問の続きなのですが、9ページで、ダブルブラインドでやったと書いてあるのですが、どのようにブラインドになっているのかということを教えていただきたいのです。
○機構 機構より説明いたします。こちらについては、投与者には盲検は掛かっていないのですが、評価者を別に立てて、その方にはどちらを投与した群かが全く分からない状況で、視力とか有害事象の判定をしていただいたことになっています。ですので、評価者に盲検を掛けていたこと。そして、今回の押し付けるという行為とか投与するという前には、やはり消毒などの手技を行わなくてはいけないのですが、そういった所は統一した手順で実施していただいていて、患者にはどちらか分からないようにしているという状況で実施しておりますので、患者にも評価者にも盲検が掛かっているという状態で実施した試験であるということで、二重遮蔽試験と記載しております。
○佐藤(雄)委員 もう1点確認ですが、投与者は、その後、被験者には接触していないと考えていいですか。
○機構 そうですね。基本的には投与するだけです。
○松井部会長 ほかにいかがですか。特に御質疑がなければ議決に入ります。なお、野田委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題4に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より機構の評価報告書に沿って説明いたします。
資料の評価報告書のタブです。申請者は全薬工業株式会社、予定される効能・効果は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」となります。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、抗血小板自己抗体を原因とし、血小板減少を来す後天性の自己免疫疾患で、特に発症後6か月を経過した時点で寛解していないものを慢性型と分類しています。
対象患者数は次ページの上方にあるとおり、ITPは厚生労働省の特定疾患に認定されており、受給者証交付件数から、国内のITP患者数は2万3,000人程度とされております。慢性型ITP患者数は、ITP患者総数よりも少ないものですので、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たしているものと考えております。
医療上の必要性ですが、本邦のITP治療ガイドラインでは、第一選択として副腎皮質ステロイド、第二選択としての脾臓摘出に次ぐ第三選択として、複数の薬剤が挙げられております。しかし、国内で慢性ITPの治療薬として承認されているのは、頻回に継続的な投与が必要なトロンボポエチン受容体作動薬のみで、慢性ITPに対する新たな治療法は医療上の有用性が高いと考えております。
最後に開発の可能性ですが、次ページにあります。海外では既に第II相試験が実施されているほか、ITPに対する本薬のシステマティックレビューでも有効性が報告されております。さらに、本邦では、多施設共同オープンラベル試験が医師主導治験として2011年より実施されており、申請者は当該試験の成績を使用して、承認申請を行う予定としております。
以上から、本薬の開発の可能性は高く、希少疾病用医薬品の指定要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○平石委員 専門外ですが、一つお伺いします。評価報告書の2ページ、「2.医療上の必然性について」です。5、6行目に慢性のITPでは、ヘリコバクターの感染陽性者ではまず除菌治療を施行するというガイドラインのステートメントがあるわけです。その後、第一選択としてステロイドが用いられるという流れになっていると思うのです。このリツキシマブに対して、ヘリコバクター除菌の意義をどのように考えればいいのかという質問です。と言いますのは、リツキシマブは有効性も高いとは思うのですが、有害事象の発生も懸念されますね。一方、ヘリコバクターの除菌自体は、すでにヘリコバクター陽性の慢性胃炎に適応されているぐらい、安全性も非常に高くて、またITPに対する除菌の有効性も高いということが知られています。この点についてはいかがでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○事務局 手元の資料で分かる範囲になってしまうのですが、ヘリコバクター・ピロリの治療を行うと、約6割の患者で血小板数が増加すると報告されております。この患者についてはそのまま寛解すれば、リツキシマブの治療は必要ありません。なので、それ以降の侵襲性の高い治療であるとか、リスクの高い治療については、ヘリコバクター・ピロリの無効例に対して行う治療法となっております。
○平石委員 その一方で、医師主導で行われている臨床試験には、ヘリコバクターについての記載はないように思うのですが、いかがでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。詳しい組入れ基準については資料には記載されていませんが、試験の対象になるような重いITP患者に至るまでは、いろいろなファーストライン、セカンドラインの治療をなされている患者ですので、恐らくはもう既にヘリコバクター・ピロリの除菌が無効だという患者になっているかと思います。
○松井部会長 よく聞こえなかったのですけれども。
○機構 医師主導治験に入っているような重症の患者は、もうファーストライン、セカンドラインは終わっている患者ですので、既にヘリコバクター・ピロリの除菌で無効の患者というのが、今の重症の患者の医師主導治験には入っているということです。
○松井部会長 今の御質問は、ガイドラインにそれが書かれていないのではないかという御質問ですか。
○平石委員 いえ、医師主導で行われているのか、あるいは行われている予定なのかは存じませんが、30ページに記載がある治験計画の概要に、対象となっているのは重症型のITPの患者で、31ページにステロイドについても効果が不十分でしかも忍容性がない患者と、明確に記載されていますが、ヘリコバクターの除菌については記載がないようです。除菌の位置付けはどうでしょうかという質問です。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構よりお答えいたします。先生がおっしゃるように、資料には確かに記載がありませんが、これは概要ということになります。これは既に試験自体は行われているのですけれども、少しお待ちください。
○審査管理課長 今回はオーファンとして指定をする可否についてです。今、先生が御指摘の点は、本年の8月までが一応、試験期間です。エントリークライテリアには書いていない、あるいは除外、エクスクルードクライテリアにも書いていないという御指摘は確かにそうですが、実際にデータが集まって、今みたいな本剤の臨床的位置付けと、併せて審査の段階で整理をして、正に先生の御指摘の点を審査報告書の中で反映させていただければと思っております。
○佐藤(雄)委員 除外基準の中の12番が、「除菌療法を行った患者についてはエクスクルードされる」とありますので。
○松井部会長 何ページですか。
○佐藤(雄)委員 治験計画の概要の32ページの除外基準の12番が、恐らく該当するかと思うのですが。
○審査管理課長 すみません。見落としていました。
○松井部会長 書いてありますね。ありがとうございます。平石委員、よろしいでしょうか。
○平石委員 はい。結構です。
○松井部会長 ほかにありますか。もし御異存なければ、議決に入ります。なお、平石委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題5に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題5、資料5「Lomitapide mesylateを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より機構の事前評価報告書に沿って御説明いたします。資料の事前評価報告書のタブをお開きください。
申請者は、Aegerion Pharmaceuticals,Inc。予定される効能・効果は「家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)患者に対する治療」となります。お手元の資料を1枚おめくりください。家族性高コレステロール血症は常染色体性優性遺伝形式をとる遺伝子疾患で、平成21年に特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されております。家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)は、家族性高コレステロール血症の中でも血中LDLコレステロール値の著名な高値と、心臓血管系疾患の発現リスクの増加を特徴としており、致死的な転機をたどる場合があります。HoFHの患者数は100万人に1人以上とされており、本邦での患者数は約120~130人と推定されています。これは平成22年度の特定疾患医療受給者証交付件数の120件とも一致しており、対象患者数5万人未満を満たしていると考えます。
続きまして医療上の必要性ですが、現在のところ家族性高コレステロール血症に対する既存の治療薬ではHoFHへの治療反応性が非常に悪く、薬物療法は確立しておりません。ほとんどの患者さんで血液浄化療法(LDL アフェレーシス)が必要となっている状況で、医療上の必要性は高いと考えております。
資料を1枚めくりまして、開発の可能性です。海外第III相試験では有効性が確認されており、既に米国ではHoFHの補助療法で承認を受けております。また、本邦でも第I相試験が実施中で、今後HoFH患者を対象とする臨床試験が計画されているところです。
以上から、本薬の開発の可能性はあり、希少疾病用医薬品の指定の要件を満たしているものと考えます。それでは御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。特段御意見、御質問ありませんでしょうか。
それでは御質疑なしということで、議決に入ります。なお、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題6に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「BYM338を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。事前評価報告書のタブをお開きください。予定される効能・効果は「封入体筋炎」、申請者はノバルティス ファーマ株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に説明いたします。
まず対象者数ですが、1ページの下方において、平成15年度の特定疾患医療受給者証交付件数及び国立精神・神経医療センターの患者数の割合に基づき、約1,250人と推定されており、また平成22年度に実施された神経内科専門医による患者数調査に基づき、1,000~1,500人と推定されていることから、本剤の予定される効能又は効果における患者数は、指定要件の5万人未満を満たすと考えられます。
次に、医療上の必要性についてですが、封入体筋炎の治療ではステロイドをはじめとする免疫抑制剤等による治療が試みられておりますが、有効性が検証されている医薬品はありません。また、筋力維持を目的としてリハビリも試みられておりますが、明確な効果は認められていないことから、本剤の医療上の必要性は高いと考えられます。
最後に、開発の可能性ですが、本剤は骨格筋量を負に制御するシグナルを抑制し、筋肉量を増加させることが期待されており、海外で実施された封入体筋炎患者を対象とした第II相プラセボ対照二重盲検比較試験において、大腿筋容積及び大腿四頭筋力の増加並びに運動機能の低下の抑制が認められています。さらに、平成25年より封入体筋炎患者を対象とした国際共同後期第II/III相試験が計画されており、日本からも参加する予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えられます。
これらのことから、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。村田先生、何かコメントをいただけますか。
○村田委員 かなり少ない筋炎の中でも少ないグループで、しかもほかのステロイドなどが効かないことが普通なので、そういう疾患に効く薬が開発されるのは非常に重要なことですし、人数から言っても、重要性から言っても、希少疾病用医薬品にするということに全く問題はないのではないかと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見ございませんか。
それでは議決に入ります。野田委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、報告事項に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 報告事項について、まとめて御説明申し上げます。
報告事項議題1、資料7「医薬品レギュニールHCa1.5腹膜透析液、同HCa2.5腹膜透析液、同HCa4.25腹膜透析液、レギュニールLCa1.5腹膜透析液、同LCa2.5腹膜透析液、同LCa4.25腹膜透析液の製造販売承認について」、報告いたします。
本剤は、既存の腹膜透析剤からアルカリ化剤の組成を変更した類似処方医療用配合剤です。今般、既存の腹膜透析剤が使用されている慢性腎不全患者を対象とした試験に基づき、製造販売承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、慢性腎不全患者における腹膜透析に関する効能・効果で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題2、資料8「医薬品オラブリス洗口用顆粒11%及びミラノール顆粒11%の製造販売承認事項一部変更承認について」です。
本剤はフッ化ナトリウムを有効成分とする洗口用顆粒剤であり、現在「齲蝕の予防」の効能・効果で承認されております。今般、昭和薬品化工株式会社及び東洋製薬化成株式会社より、用法・用量に0.2%フッ化ナトリウム溶液による週1回の洗口方法を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題3、資料9「医薬品トレリーフ錠25mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
本剤はゾニサミドを有効成分とする経口剤であり、本邦では1989年に抗てんかん薬として販売名エクセグランで承認され、2009年に「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)」の効能・効果で承認されております。今般、国内臨床試験の成績を基に、パーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善のための用法・用量として、1日1回50mgを追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題4、資料10「医薬品ホスレノールチュアブル錠250mg、同チュアブル錠500mg、ホスレノール顆粒分包250mg及び同顆粒分包500mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
本剤は炭酸ランタン水和物を有効成分とするリン吸着剤であり、現在「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能・効果で承認されております。今般、バイエル薬品株式会社より、保存期の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の効能・効果を追加する新効能医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題5、資料11-1及び11-2「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書となっております。
資料11-1は、一般的名称はそれぞれ、「ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)、リバビリン」、販売名は「ペガシス皮下注90μg及び同皮下注180μg、コペガス錠200mg」のもの。資料11-2は、一般的名称は「ランジオロール塩酸塩」、販売名は「注射用オノアクト50」のものです。これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項は以上です。
○松井部会長 ただ今の報告事項1~5について、御質疑はございませんか。
○本橋委員 一つ確認したいことがあります。トレリーフ錠ですが、このゾニサミド錠を抗てんかん薬として使うときは、血中濃度をモニターして、有効治療域を調べるわけです。本剤をパーキンソン病に使うときは25mgと50mgで血中濃度、その血中濃度による反応性の違いとかはあるのですか。その辺を教えてください。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。血中濃度と反応性、有効性について、既承認時の試験の際にも検討されておりましたが、用量によって25mgは運動機能障害に有効であり、50mgがwearing-off現象に有効であるというように、用量間で有効である症状が違うという結果は得られておりますが、具体的に個別の患者さんの血中濃度と、実際のそうした症状の改善効果に相関があるかといった所を検討はされておりますが、明確な関係は見いだされておりません。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。特段の御質問ございませんか。ないようですので、ただ今の報告事項につきましては、御確認を頂いたものといたします。
その他の事項について、説明をお願いいたします。
○事務局 その他議題1、資料12「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外医薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」、御説明いたします。
資料の一番下のページ番号1ページを御覧ください。日本小児内分泌学会より、エストラジオールの性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症の治療に対する適応追加の要望が提出されております。
本剤の医療上の必要性について説明いたします。要望効能・効果に挙げられた疾病では、エストロゲンを適量補充しない場合、二次性徴、骨の成長、骨塩量の増加が不十分となることがあることから、適応疾患の重篤性は「ウ:その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当し、また要望された製剤であるエストラジオール貼付剤は、要望内容について米国において承認され、国内では同効能・効果での既承認薬は存在しないことから、医療上の有用性は「既存の療法が国内にない」に該当すると判断されました。
次に、本剤の公知該当性について説明いたします。資料の34ページを御覧ください。性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全では、いずれも卵巣機能の不全又は欠落によるエストロゲン欠乏症状を呈し、骨粗鬆症発生リスクや、血管内皮機能障害を介した冠動脈疾患発症リスクの上昇も推測されることから、エストロゲンの補充が必須となっております。また、エストロゲン貼付剤については、米国において既に要望効能・効果の適応を有しております。さらに、欧米のガイドラインにおいても、低エストロゲン状態の女性は原則的にホルモン補充療法の適応とされ、原発性卵巣不全の一つであるターナー症候群に対するエストロゲン貼付剤の使用が推奨されております。
国内においては、主にターナー症候群に関して、臨床研究の公表文献、教科書及びガイドラインでは、エストロゲン貼付剤の臨床的有用性にも言及されており、日本及び海外において、卵巣機能の不全による低エストロゲン状態に対するホルモン補充療法の位置付けは確立されているものと考えられます。以上より、要望内容については医学薬学上公知と判断されました。
次に効能・効果については、海外で承認されているエストラジオール経皮吸収製剤の有する効能・効果と同様に「性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症」といったものとすることが適当と判断されました。
用法・用量については資料36ページからを御覧ください。まず成人については、本邦において要望されている効能・効果の成人での患者集団と一部が重複すると考えられる、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状の用法・用量や、米国での承認用法・用量と1日放出量として同一となる用法・用量である0.72mg1枚(エストラジオール0.72mg含有)を2日ごとに貼り替える設定とすることが適切と判断されました。
次に小児の用法・用量については、日本小児内分泌学会の「ターナー症候群におけるエストロゲン補充ガイドライン」では、エストラーナテープ0.72mgの開始用量を8分の1枚(エストラジオールとして0.09mg含有)とし、4分の1枚、2分の1枚、1枚と段階的に増量し、約2年後に成人量まで増量することが記載されており、米国ガイドラインにおいてもほぼ同様の投与方法が推奨されております。少数例ではありますが、国内において日本のガイドラインで提示された用法・用量で投与された報告もあることから、小児の用法・用量は8分の1枚から開始し、4分の1枚、2分の1枚、1枚と段階的に増量する設定とすることが適切と判断されました。説明は以上です。
○松井部会長 御質疑をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。特にございませんか。
それでは、本議題については委員の皆様の御確認を頂いたものといたします。続いて、その他の事項の議題2に移ってください。お願いします。
○安全使用推進室長 その他議題2、資料13「医療用医薬品の販売名の制定について」、御説明いたします。医療用医薬品の販売名の取扱いについては、「医療事故を防止するための医薬品の表示事項及び販売名の取扱いについて」の通知等により運用させていただいているところです。本日は、その基本的な考え方の概要について、御紹介いたします。
まず、「1.医療用医薬品の販売名の類似性の評価に係る一般的な考え方」ですが、1.にありますように、販売名の一部を省略して記載した場合に、省略された販売名と同一の販売名の医薬品があること等が誤投与を招く原因となるおそれがあるため、これを防止する観点から「医療用医薬品の販売名の取扱い」として定め、新規医薬品の承認申請を行うものについては、これに従い命名するようにしております。
原則として、剤形及び有効成分の含量(又は濃度等)に関する情報を付すことが必要となっております。記載事項の原則の代表例としては、先発医薬品にありましてはブランド名+剤形+含量。後発医薬品においては一般的名称+剤形+含量+屋号。配合剤については販売名+剤形+接尾字となっております。なお、それぞれの当該医薬品の特性に鑑み、記載事項を必要に応じ修正することもあります。
続きまして「2.医療用医薬品の販売名の類似性の評価時期」についてです。医療用医薬品の製造販売承認申請直後となっておりますが、最終的には部会・分科会で御意見を頂き、承認をする時期となっております。
「3.医療用医薬品の販売名の類似性の評価方法」です。医薬品名称の類似性の判断をサポートするツールとして、一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)のホームページ上に公開されております「医薬品類似名称検索システム」がございます。このシステムの検索結果に基づき、医薬品の類似性の判定指標として利用されますのが、本日別添でA3サイズの参考資料として添付しております、平成17年10月改定の「新規承認医薬品名称類似回避フローチャート」です。本日は時間が限られておりますため、フローチャートの詳細についての説明は割愛いたします。参考までに、一部改変し、吹き出しの説明を付けておりますので、併せて御参照いただければと思います。
なお、判断に当たり、留意点としてはフローチャート上「要変更」となった場合には、販売名の変更を要する。また、フローチャート上「要検討」となった場合には、相手薬が糖尿病薬、抗がん剤、ジギタリス製剤、ワルファリン等、リスクのある薬剤であった場合に、販売名等を変更することとしています。ただし、要変更、要検討の場合であっても、相手薬の投与経路が違うとか、販売終了している場合には、原則として変更不要としております。
なお、原則的にこのフローチャートに基づき判断をさせていただいておりますが、必ずしもこれに該当しない事例もありますため、フローチャートのみに頼ることなく、販売名ごとに、医療安全の観点から、固有のリスクを評価させていただいているところです。医療用医薬品の販売名の制定については、以上です。
○松井部会長 御質疑はありませんか。私から、一応本日のようなこの会議に出てくるときには、既にこういうフローチャートによる点検は済んで出てくると考えてよろしいのですか。
○安全使用推進室長 はい。そのようになっております。
○松井部会長 もちろんそれでもなおかつ、委員の先生方のディスカッションは必要だと思いますが、そういうことだということです。いかがでしょうか、御質疑ございませんか。
それでは本議題についても、御確認を頂いたということにいたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がありますか。
○事務局 次回の部会は8月22日(木)、午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 よろしいですか。それでは、本日はこれで終了、閉会といたします。どうもありがとうございました。
(了)
本日の委員の出席についてですが、小川委員、加藤委員、木村委員、鈴木委員、武田委員より、御欠席との連絡を頂いております。増井委員は遅れるとの連絡を頂いております。現在のところ、当部会委員数21名のうち、15名の委員の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。
続きまして、事務局に人事異動がございましたので、御報告いたします。まず、厚生労働省ですが、大臣官房審議官の成田です。安全対策課長の森口です。後ほど医薬食品局長の今別府が参るかと思います。
続きまして、医薬品医療機器総合機構から安全管理監の山本です。組織運営マネジメント役の國枝です。上席審議役の俵木です。審議役の山田です。最後に申し遅れましたが、審査管理課長に着任した佐藤です。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、松井部会長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○松井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告してください。
○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に「議事次第」「座席表」「当部会委員の名簿」を配布しています。「議事次第」に記載されている資料1~13をあらかじめお送りしています。このほか、資料14「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料15「専門委員リスト」、資料16「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。
続きまして、本日の審議事項に関する「競合品目・競合企業リスト」資料16について御報告します。各品目の競合品目選定理由については、次のとおりです。
資料16の1ページを御覧ください。「ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ」ほか4品目ですが、本品目は「統合失調症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
2ページの「タプコム配合点眼液」です。本品目は「緑内障、高眼圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目とて選定しております。
3ページの「ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mL」です。本品目は「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」等を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
4ページの「リツキシマブ(遺伝子組換え)」ですが、本品目は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
5ページの「Lomitapide mesylate」です。本品目は「家族性高コレステロール血症ホモ接合体」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
6ページの「BYM338」です。本品目は「封入体筋炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目は「なし」としております。以上です。
○松井部会長 ただ今の事務局からの御説明に対しまして、何か御質問、御意見等はございませんか。
それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、委員の皆様の御了解を得たことといたします。それでは、委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。
議題1「医薬品ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ及び同水懸筋注150mgシリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員、本橋委員、山田委員です。
議題2「医薬品タプコム配合点眼液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員です。
議題3「医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員、村田委員です。
議題4「リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員、本橋委員です。
議題5「Lomitapide mesylateを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は平石委員です。
議題6「BYM338を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」。退出委員なし。議決に参加しない委員は野田委員、村田委員です。以上です。
○松井部会長 本日は審議事項が6議題、報告事項が5議題、その他が2議題となっております。それでは早速、審議事項の議題1に移ります。議題1について、機構から概略を説明してください。
○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品ゼプリオン水懸筋注25mgシリンジ、同水懸筋注50mgシリンジ、同水懸筋注75mgシリンジ、同水懸筋注100mgシリンジ及び同水懸筋注150mgシリンジの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤の有効成分であるパリペリドンパルミチン酸エステルは、「統合失調症」の効能・効果で既に承認されているパリペリドンを持効性筋肉内注射製剤として開発するために化学修飾を行って、溶解速度を調整したパリペリドンのプロドラッグであり、海外では2012年12月までに66の国又は地域で承認されております。本邦では2005年11月より本申請に係る臨床試験が開始され、有効性及び安全性が確認されたとして製造販売承認申請が行われました。本申請の専門委員としては、資料15に記載されている8名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず有効性についてですが、審査報告書30ページの表17を御覧ください。国際共同第III相試験における主要評価項目であるFASでの最終評価時のPositive and Negative Syndrome Scale(表中ではPANSSと略しております)の総スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群6.9、本剤群-3.1、群間差は-9.7、95%信頼区間は-14.0~-5.4であり、本剤のプラセボに対する優越性が示されました。
次に、安全性についてですが、審査報告書39ページの表26及び40ページの表27を御覧ください。本剤の臨床試験における有害事象の発現割合とリスペリドン持効性筋肉内注射剤(表中ではRIS-LAIと記載しております)の臨床試験及びパリペリドン徐放錠(表中ではPAL-ERtabと記載しております)の臨床試験における有害事象の発現割合を比較したところ、精神症状や不眠症、統合失調症の発現割合について、試験間で差異が認められましたが、これらの症状はいずれも原疾患に関連する事象であり、これらの事象を含む精神障害関連の有害事象全体での発現リスクが製剤間で大きく異なることはないと考えております。
また、錐体外路症状、鎮静、耐糖能異常及び体重増加、血中プロラクチン増加並びに自殺及び他害行為関連事象についても、既存のパリペリドン又はリスペリドン製剤と大きく異なるものではないことから、それらの製剤と同様の注意喚起を行うことが必要であると考えております。
次に、用法・用量についてですが、審査報告書51ページの2)初期負荷投与法についての項を御覧ください。本剤では、統合失調症の治療では早期に十分な薬効が得られるように、血漿中薬物濃度を速やかに治療域に到達させることが重要と考えられたことから、初回に150mg、1週間後に100mgを投与し、その後、4週に1回の維持投与に移行するという初期負荷投与法が設定されています。設定の経緯ですが、まず海外第I相試験成績から、初回投与の1週間後に2回目の投与を行う方法が選択されております。
次に、審査報告書52ページの表46を御覧ください。初回投与量として150mgを投与したPSY-3007試験成績と初回投与量として維持用量と同用量を投与したPSY-3003及び3004試験成績の比較に基づき、初回用量として150mgが選択されました。
なお、同ページの表47を御覧ください。これらの臨床試験では、投与初期に有害事象の発現割合が高くなる傾向が認められておりますが、初回投与量の差異により発現状況が大きく異なる傾向は認められませんでした。これらの試験成績を踏まえ、海外では「初回150mg、1週後に100mgを投与する」方法で承認され、国際共同第III相試験では、この投与方法が設定されました。
次に、53ページの表48及び表49を御覧ください。こちらの表に示したとおり、国際共同第III相試験において、初回150mg、1週後に100mgを投与する方法の有効性及び安全性が確認されたことから、用法・用量として、この初期負荷投与法を設定することに問題はないと判断しました。
以上の審査を踏まえ、本剤の統合失調症に対する効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品にはいずれも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。
また、事前に本橋委員より3点御質問を頂いております。1点目は「持効性抗精神病薬は再燃予防のために用いられるので、十分な有効性が要求されます。しかし、今回の長期投与試験ではかなりの脱落例があり、特に精神症状の悪化が多いようですが、この辺りはリスパダール・コンスタ筋注用と同等の効果が期待できると考えていいのでしょうか」との御質問を頂いております。
リスパダール・コンスタと本剤との比較については、海外で実施された短期投与試験において、非劣性が検証されております。一方で、長期投与時の精神症状の発現状況については、国内長期投与試験では、精神症状により中止した症例の割合は12.4%、リスパダール・コンスタの国内長期投与試験で精神症状により中止した症例の割合は2.4%と差が認められております。このような差が生じた理由は明確とはなっておりませんが、リスパダール・コンスタの臨床試験では、精神症状発現時に抗精神病薬のレスキュー投与が可とされていたこと、両試験の患者背景を比較しますと、本剤の臨床試験に組み入れられた患者は特に罹病期間が長い、ベースラインのPANSS総スコアが高いなど、より重症度が高いと考えられることから、これらの点が影響した可能性があるのではないかと考えており、本剤とリスパダール・コンスタで有効性に大きな差異はないと考えております。
2点目は「パリペリドンは心電図上のQTc延長が懸念される薬物です。今回の臨床試験では、心電図異常はなかったと記されていますが、QTc延長は長期投与試験でも認められなかったのでしょうか」との御質問を頂いております。
御指摘のあった審査報告書32ページの9行目ではQTc間隔が500msecを超えた被験者は認められなかったことから、「臨床的に問題となる変動は認められなかった」と記載しておりますが、480msecを超えた被験者は2例、450msecを超えた被験者は5例認められております。また、ベースラインからの変化量が60msecを超えた被験者は2.6%、30msecを超えた被験者は20.1%に認められております。以上のようにQTc間隔の軽度の延長が認められていることから、既存のリスペリドン及びパリペリドン製剤と同様に、QTc延長のリスクがある患者を慎重投与に設定し、本剤のQTc延長のリスクについて注意喚起することとしております。
3点目は「本注射薬の特徴として、4週間に1回の投与で良いことがあげられますので、おそらくリスパダール・コンスタ筋注用からの置換えが多く行われるものと推定されます。欧州の添付文書にあるように、薬物動態の項目以外に置換え時の方法を加えた方がいいのではないでしょうか」との御質問を頂いております。
御指摘頂いたとおり、リスパダール・コンスタからの切替えが想定されますが、リスパダール・コンスタから本剤に切り替える際の切替え方法について検討された臨床試験成績はないことから、添付文書の用法・用量又は用法・用量に関連する使用上の注意の項に切替え方法を具体的に記載することは困難と考えております。リスパダール・コンスタからの切替えについては、添付文書の薬物動態の項にPPK解析によるシミュレーション結果を記載するとともに、適正使用資材にはシミュレーション結果から推定された切替え方法について具体的に記載し、臨床現場に情報を提供することとしたいと考えております。
以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 本橋委員からの三つの御質問に対して答えが出たわけですが、本橋委員、いかがでしょうか。
○本橋委員 大体その程度の回答を得られればいいのではないかと思います。ただ、注意事項とか、QTcのことなどは、ほかの国の添付文書にはかなり大きく取り上げていますので、その辺はきちんと入れておいた方がいいのではないかと思いました。
○松井部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○松井部会長 それでは、そのほかの点について、委員の皆様からの御質疑をお願いします。
○佐藤(田)委員 薬の投与の対象という所をお伺いしたいのです。簡単に言いますと、統合失調症のファーゼを起こした患者のときに、今まで飲んでいたリスパダールは別ですが、コントロールが利かなくなったので、多くは多分入院させると思います。入院させてそのファーゼに対して多分静注はできないので、筋注を使って抑える。それを4週間に1回の投与でよくなったという薬が出てきたという理解でよろしいのでしょうか。
それから、52ページのテーブル47に、有害事象をチェックしているのがありますが、最後は92日ということは約3か月の投与ですから、この薬でこの疾患が完治するとは思えないので、ここまでで大体落ち着くという日にちを見越して、マックスを3か月に取っているのですか。それと先ほど本橋委員から御質問があったのと同じで、そのあとは、もしファーゼが落ち着いて外来になれば、切替えてハロペリドールなどを投与することになるのですか。私は専門ではないので、薬の性質と投与パターンを概略で結構ですので、教えていただきたいと思います。
○松井部会長 機構からいかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えいたします。まず1点目については、本品目は統合失調症の患者が急性的に増悪した症状を抑えるということを目的とした薬剤ではなく、使われ方としては、錠剤でコントロールされていた患者が、症状が良くなってきた際に薬を飲まなくなる等して、コンプライアンスやアドヒアランスが悪くなってきたときに、1か月に1回筋注投与すれば良いという製剤に置き換えることによって、飲み忘れ等がなくなりますので、そこできちんと症状を維持するという目的で使われることが多いかと思います。
○佐藤(田)委員 そうすると、私が質問したのと逆の使われ方ということですね。ファーゼが起こったから経口薬では耐えられないので、これを使うというのではなく、逆に症状が落ち着いてきたので薬が使えていく。ということは入院するのではなくて、外来で筋注をして、通ってきてもらえばいいということの投与薬という考え方でよろしいですか。
○機構 はい、おっしゃるとおりの理解で結構です。
○佐藤(田)委員 分かりました。
○松井部会長 2番目の点についてはいかがですか。
○機構 2番目の点については、表47に示した試験は約3か月間の投与を行っておりますが、こちらについては試験の目的として短期間での有効性を検討することを目的にした試験ですので、薬を投与して症状が一旦落ち着いてくるまでの間の有効性を示したものになります。ですので、この試験では3か月間の投与しか計画しておりませんが、国内でもそうですが、別途1年間の長期投与試験を行っておりますので、長期的な有効性についてはそちらで検討しています。この薬についても3か月を超えて、1年、2年と本剤で症状が抑えられていれば、投与されるものと思います。
○松井部会長 検討ということでしょうか。
○佐藤(田)委員 最後の所で本橋委員から質問があったのと、私は非常に激しい症状のときに使っていくのだろうと勘違いしていたのです。そうすると、次の薬に切り替えることも余り必要がないほど、かなり良い薬という感覚で捉えてよろしいのですか。本橋委員は次に切替えの所で御質問があったと思うのです。
○本橋委員 先ほどの部分に追加しますと、この薬に似たような薬が既に出ておりまして、それは2週間に1回注射するのです。患者にとっては2週間に1回通院しなければいけないから負担になります。本剤は4週間に1回で済みますので、患者にとってはこちらを希望される方が増えるのではないかと。そういう意味で切替えの話をさせていただきました。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 基本的にはリスペリドンが効いた患者に対してということだと思いますが、この添付文書でそれが分かりますか。要するに、リスペリドンに禁忌の人には使ってはいけないとか、これがリスペリドン製剤だから、治療経験が少ない場合には対応性を示すというのがありますが、それをもう少しはっきり書いた方がいいような気がするのですが、現場で分かればいいのですが。
○機構 こちらに関しては試験がリスペリドン、パリペリドンを投与された患者に限定して行っているものではなく、ほかの向精神病薬からの切替え例も含まれておりますので、リスペリドン又はパリペリドン製剤で症状が安定している患者からの切替えに限定されるものではないと考えております。
○松井部会長 ほかにありませんか。特段の御意見がほかにないようでしたら、議決に入ります。なお、平石委員、本橋委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題2に移ります。機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品タプコム配合点眼液の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
本剤は、プロスタグランジンF2α誘導体であるタフルプロスト及び非選択的βアドレナリン受容体遮断薬であるチモロールマレイン酸塩(以下、チモロール)を有効成分として含有する配合点眼剤です。各有効成分の単剤は、本邦において、いずれも「緑内障、高眼圧症」を効能・効果として、タフルプロストは2008年10月、チモロールは1981年6月に承認されております。
本剤は、本邦において□□年□月から臨床試験が開始され、今般、本剤の緑内障及び高眼圧症に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。本審査の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名しております。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。まず本剤の有効性について、審査報告書12ページの表7及び13ページの表8を御覧ください。第III相試験として、緑内障又は高眼圧症患者を対象としたタフルプロストを1日1回投与するタフルプロスト単剤群及びタフルプロストを1日1回とチモロールを1日2回投与する併用療法群を対照群として設定した004試験及びチモロールを1日1回投与するチモロール単剤群を対照群として設定した005試験が実施されました。表7は004試験、表8は005試験の結果を示しています。
本剤を1日1回投与したとき、主要評価項目である治療期終了時のベースラインからの平均日中眼圧変化量について、004試験では本剤群のタフルプロスト単剤群に対する優越性、005試験では本剤群のチモロール単剤群に対する優越性が検証されました。また、004試験において、本剤群の眼圧下降効果は、併用療法群と比較して大きな差はないことが示されました。
次に、安全性について、審査報告書18ページ表10を御覧ください。第III相試験及び長期投与試験では結膜充血、眼充血及び鼻咽頭炎の発現割合はタフルプロスト単剤群、チモロール単剤群及び併用療法群と比較し、本剤投与時において発現割合が高い傾向が認められましたが、認められた事象はいずれもタフルプロスト単剤及びタフルプロストとチモロールの併用療法と同様であり、軽度又は中等度の事象であったことから、本剤点眼時の安全性が臨床上大きな問題となることはないと考えております。なお、本剤の安全性については、製造販売後調査において、引き続き検討する予定です。
以上の審査を踏まえ、本剤を「緑内障、高眼圧症」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年、製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○松井部会長 ただ今の議題2につきまして、委員の先生方から御質問、御意見を賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○佐藤(田)委員 一つ単純なことですが、緑内障に適応するときに、片眼の方と両眼の方とあると思うのですが、この1滴の薬で眼圧の変化が当然あるわけです。そういうことが起こったり、いろいろな弊害作用がここに書かれておりますが、これは例えばチェックするときに、両眼に点眼した量として見越しておられるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○機構 まず臨床試験においては、本剤の投与方法として、審査報告書11ページに第III相試験である004試験の用法・用量を記載している箇所があります。ここに両眼に4週間点眼投与すると記載しておりますように、全ての試験で両眼に投与されております。したがいまして、両眼投与したときの安全性は評価されております。有効性については、どちらの眼を対象とするかを、あらかじめ決めた上で評価をしております。
○松井部会長 ほかにいかがですか。
○松木部会長代理 配合剤について一言言わせてください。審査報告書の16ページにも単剤療法、ガイドラインのことが書いてありますし、添付文書の最初の方にも原則として単剤での治療を優先することと書いてあることで、これは非常にいいと思います。
もう1点、これもどちらかというと感想かもしれませんが、審査報告書の17ページの「機構は」という段落から始まって、非劣性の試験がタフルプロストとチモロールの足したものの非劣性ではなくて、下から3行目の、タフルプロストは投与剤も考慮する必要があったと考えており、事前に試験の目的、デザイン等の詳細を機構と十分議論しておくことが望ましかったと考える、という反省文みたいな感じですが、これはここに書くことによって、次にはこれを影響させようというアナウンス効果を狙っているのか、自分たちの決意表明を書いているのか、よく分からないのです。
○機構 こちらについては、ここに記載したとおり、対面助言等で合意した上での試験デザインではなかったということで、設定された非劣性マージンというものが、非劣性というものを検証する上で適切であったかを考える上で少し足りなかったのではないか。今後こういう計画をする場合には、単剤に対する上乗せが確認できるよう計画する必要があるのではないか、ということで記載させていただきました。
今回の配合点眼剤を見る上での非劣性が必要だったかどうかの議論ではなく、実施するのであればという内容です。ここの試験結果から確かに結果をもって、併用療法群と本剤群の有効性が余り違わないということを評価することはできると思うのですが、事前に設定されたマージンが正しかったかと言われると、なかなかそうも言い切れない所があると思いましたので、記載しております。したがいまして、決意表明というわけではありませんが、今後はこういうことに気を付けていただきたいという内容を記載しております。
○松井部会長 ほかにありますか。それでは議決に入ります。なお、野田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題3に移ります。機構から御説明をお願いします。
○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品ルセンティス硝子体内注射液2.3mg/0.23mLの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
本剤の有効成分であるラニビズマブ(遺伝子組換え)は、VEGFに対する遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、本邦では2009年1月に「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性症」(以下、滲出型AMD)を効能・効果として承認されております。本申請の効能・効果である「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」(以下、RVOに伴う黄斑浮腫)及び「病的近視における脈絡膜新生血管」(以下、PMにおけるCNV)について、本邦においてそれぞれ20 □年□月及び20 □年□月より臨床試験が開始され、今般、有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認事項一部変更承認申請が行われました。
海外では、2013年4月現在、RVOに伴う黄斑浮腫については米国、欧州等90の国又は地域、PMにおけるCNVについてはエジプト、エクアドル及びトルコの3か国で承認されております。本申請の専門委員としては、資料15に記載されております4名の委員を指名いたしました。
審査内容について、臨床試験成績を中心に説明いたします。なお、本品目については、RVOに伴う黄斑浮腫とPMにおけるCNVの二つの効能・効果が同時申請されているため、RVOに伴う黄斑浮腫、PMにおけるCNVの順に説明させていただきます。
まず、RVOに伴う黄斑浮腫に対する有効性及び安全性について説明いたします。RVOは、網膜静脈の閉塞部位の違いにより、網膜静脈の分枝が閉塞した網膜静脈分枝閉塞症(以下、BRVO)と網膜中心静脈が閉塞した網膜中心静脈閉塞症(以下、CRVO)に大別され、海外においてはBRVO又はCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象に、シャム対照二重遮蔽比較試験がそれぞれ実施されております。これらを以下、海外試験とします。
有効性について、審査報告書10ページ図2及び13ページの図3です。図2がBRVOを対象としたFVF4465g試験、図3がCRVOを対象としたFVF4466g試験における視力の指標であるBCVAスコアのベースラインからの平均変化量の推移を示しており、いずれの試験においても主要評価項目である6か月間の固定投与期終了時のBCVAスコアのベースラインからの平均変化量について、シャム群に対する本剤0.3mg群及び本剤0.5mg群の優越性が検証されました。
審査報告書18ページ表13です。国内においては、BRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者を対象とした非遮蔽非盲検試験(以下、国内試験)が実施され、海外試験の結果と同様に、本剤0.5mg投与後にBCVAスコアの改善が認められました。国内試験においてシャム群との比較は行われておりませんが、公表文献等に基づき日本人と外国人の間でRVO発症による視力の自然経過に明らかな違いが認められていないこと、海外試験において、本剤群のシャム群に対する優越性が検証されていることも踏まえると、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者において、本剤の有効性は期待できるものと考えております。
安全性について、審査報告書24ページ表18です。海外試験において、結膜出血、網膜滲出物、網膜出血等の治験対照眼の有害事象が認められましたが、ほとんどの事象は注射手技によるものと判断されております。
審査報告書18ページ表14です。国内試験は試験期間が3か月であったため、BRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者に本剤を3か月以上投与した臨床試験成績はありませんが、こちらに示しているように、本剤投与3か月後までのBRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者における安全性について、外国人患者と比較して特に問題が認められなかったこと、また審査報告書16ページ表11に示しているように、日本人において既承認の効能・効果の対象患者である滲出型AMD患者とBRVO及びCRVOに伴う黄斑浮腫を有する患者における投与3か月後までの有害事象発現状況に大きな違いは認められなかったことから、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者における安全性について、特段の問題はないものと考えております。なお、RVOに伴う黄斑浮腫を有する日本人患者に本剤を3か月以上投与したときの有効性及び安全性については、製造販売後調査において確認する予定です。
用法・用量について、海外試験において、本剤0.3mg群よりも0.5mg群でBCVAスコアのベースラインからの平均変化量が大きく改善する傾向が認められ、本剤0.3mg群と比較して本剤0.5mg群の安全性に特段の問題は認められていないことから、本剤の用量を0.5mgとすることが妥当と判断しております。また、海外臨床試験成績から、BCVAスコアが改善し、その後に安定する時期は患者によって異なると考えられること、視力のみならず、黄斑浮腫の状態等も考慮して、本剤投与の必要性を判断する場合もあると考えられることから、用法・用量として、投与量と最低限必要な投与間隔を規定した上で、1か月に1回、視力等を測定し、本剤投与の要否を判断する旨、及び投与開始後、視力が安定するまでは1か月ごとに投与することが望ましい旨を注意喚起することが妥当と判断しております。
次に、PMにおけるCNVに対する有効性及び安全性について説明いたします。PMにおけるCNV患者を対象とした臨床試験として、ベルテポルフィンを用いた光線力学的療法(以下、vPDT)を対照とした二重遮蔽比較試験が国際共同治験として実施され、当該試験では本剤群として、本剤0.5mgを視力安定化の基準に基づき投与する本剤I群と、疾患の活動性の基準に基づき投与する本剤II群が設定されました。
有効性について、審査報告書29ページ、3段落目の「主要評価項目である」以降の文章です。F2301試験において、主要評価項目である3か月目まで、3か月間におけるBCVAスコアのベースラインからの期間平均変化量について、vPDT群に対する本剤各群の優越性が検証されました。また、日本人集団において全集団と同様の傾向が認められました。
安全性について、審査報告書33ページ表24です。F2301試験において、主な有害事象として結膜出血等の治験対象眼の有害事象が認められました。日本人集団では、全集団と比較して全ての有害事象及び治験対象眼の有害事象の発現割合が高い傾向が認められましたが、これは日本人集団において点状角膜炎の発現割合が高かったことに起因すると考察されております。点状角膜炎は日本人集団のみで認められましたが、滲出型AMD患者及びRVO患者では日本人に限らず発現していること、F2301試験において認められた点状角膜炎のほとんどは軽度の事象であり、いずれも治験治療との関連は否定され、治験治療を中止した患者は認められなかったことから、臨床的に大きな問題となるものではないと考えております。なお、PMにおけるCNVを有する患者における安全性については、製造販売後調査において引き続き検討する予定です。
用法・用量について、審査報告書38ページ図7です。F2301試験において、本剤I群及びII群のいずれにおいても、12か月間における投与回数は幅広く分布していましたが、少数回投与の患者が多く認められており、必要な投与回数は患者ごとに異なると考えられました。また、本剤投与の判断基準について、視力の安定化を基準とした本剤I群と、疾患の活動性を基準とした本剤II群の投与12か月後までのBCVAスコアの推移に大きな違いは認められませんでしたが、本剤II群の方が投与回数が少ない傾向が認められました。これらを踏まえ、用法・用量として、投与量と最低限必要な投与間隔を規定した上で、定期的に視力等を測定し本剤投与の要否を判断する旨、及び疾患の活動性を示唆する所見が認められた場合に投与することが望ましい旨を注意喚起することが妥当と判断しております。
以上の審査を踏まえ、本剤の「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫」及び「病的近視における脈絡膜新生血管」の効能・効果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は、新効能医薬品及び新用量医薬品に該当すること、及び初回承認が希少疾病用医薬品としての承認であったことを踏まえ、再審査期間は5年10か月とすることが適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○松井部会長 複雑なので、討論が錯綜するかもしれないと思うのですが、狙う効能・効果が「網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫による視力障害」と「病的近視に伴う脈絡膜新生血管による視力障害」と、二つあるわけです。そこの所を区別して、ディスカッションしていただきたいと思います。いかがでしょうか。委員の先生方、御質疑をお願いいたします。
○豊見委員 基本的な知識がないので教えていただきたいのですが、9ページの注意の10、シャム投与について、「硝子体内投与の代わりに針のないシリンジを局所麻酔下で眼球に押しつけ、注射以外は同じ処置を行う」というのは、私は知らなかったので分からないのですが、具体的にどういう投与に当たるのですか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。本剤は硝子体内投与をする薬剤で、硝子体、眼球に針を刺さなくてはいけないので、プラセボを投与することになると、かなりの負担が掛かってしまいますので、そういった問題からシャム投与としては針の付いていないシリンジを眼球に押し当てるということで、刺すリスクを回避して、それでもなおかつ盲検を保つための処置を行うという形で比較をしていることになっております。
○豊見委員 そうすると、薬剤は一切関係がないという、物理的な刺激だけということになるわけですね。
○機構 そうですね。針を刺さずに、薬液も投与せずに、という状況になります。
○松井部会長 これをもってコントロールとみなしたということでしょうか。ほかにいかがですか。
○佐藤(田)委員 私も基本的な所を教えてください。母集団についてなのですが、この薬自体が日本製造ではなくて、ノバルティス ファーマさんが申請していらっしゃる薬なので、この疾患が要するに黒い眼の日本人と欧州などの眼の色が違う人とか、そういう眼球が起こす疾患とは全く関係なく、母集団で起こりやすい罹患率と言っていいのか分かりませんが、その母集団はもともとどうなのでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構より説明いたします。審査報告書の16ページ目以降の「海外臨床試験成績の利用可能性について」に記載しておりますが、BRVOとCRVO、PMの方も併せて説明いたします。まず、BRVOとCRVOについてはこのページに書いてあるとおり、日本で実施された疫学研究と海外で実施された疫学研究を比較しておりまして、大体BRVOの有病率が変わらないだろうということ、そしてRVOに伴う黄斑浮腫の発現も変わらないだろうという所は確認させていただいております。
○松井部会長 頻度ということですか。
○機構 頻度です。次に、自然経過になりますが、審査報告書の19ページに、なかなか比較は難しいのですが、これまでに報告されている公表文献等から、何もしていない状態は難しかったので、経口薬ですとか、これまでにいろいろと用いられている薬剤はありますが、そういった状況下での視力経過を、外国人と日本人で比較しており、日本人と外国人で異なるような傾向、明らかに違う傾向はないということを確認しております。
○松井部会長 以上でしょうか。
○機構 はい。次にPMですが、まず「国際共同治験に基づく評価について」で、審査報告書の30ページに記載しております。こちらについては、疫学調査で発現を比較するのは難しかったのですが、この疾患の発現する機序が、眼軸長の延長によって網膜が薄くなり、そのような状態下で脈絡膜新生血管の発現が起こってきますので、こちらの発現機序が民族間によって変わるものではないと考えております。
32ページの図6に、この国際共同治験で実施したBCVAスコアの推移を日本人、外国人、全集団で載せておりますが、こちらを比較していただくと、日本人と外国人で大きく異ならないということは示されているのではないかと考えております。以上です。
○佐藤(田)委員 複雑ですね。
○松井部会長 私も先ほど同じ質問をいたしました。人種差の問題ですね。ほかにいかがでしょうか。
○佐藤(雄)委員 先ほどの豊見委員の質問の続きなのですが、9ページで、ダブルブラインドでやったと書いてあるのですが、どのようにブラインドになっているのかということを教えていただきたいのです。
○機構 機構より説明いたします。こちらについては、投与者には盲検は掛かっていないのですが、評価者を別に立てて、その方にはどちらを投与した群かが全く分からない状況で、視力とか有害事象の判定をしていただいたことになっています。ですので、評価者に盲検を掛けていたこと。そして、今回の押し付けるという行為とか投与するという前には、やはり消毒などの手技を行わなくてはいけないのですが、そういった所は統一した手順で実施していただいていて、患者にはどちらか分からないようにしているという状況で実施しておりますので、患者にも評価者にも盲検が掛かっているという状態で実施した試験であるということで、二重遮蔽試験と記載しております。
○佐藤(雄)委員 もう1点確認ですが、投与者は、その後、被験者には接触していないと考えていいですか。
○機構 そうですね。基本的には投与するだけです。
○松井部会長 ほかにいかがですか。特に御質疑がなければ議決に入ります。なお、野田委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題4に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題4、資料4「リツキシマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より機構の評価報告書に沿って説明いたします。
資料の評価報告書のタブです。申請者は全薬工業株式会社、予定される効能・効果は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」となります。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、抗血小板自己抗体を原因とし、血小板減少を来す後天性の自己免疫疾患で、特に発症後6か月を経過した時点で寛解していないものを慢性型と分類しています。
対象患者数は次ページの上方にあるとおり、ITPは厚生労働省の特定疾患に認定されており、受給者証交付件数から、国内のITP患者数は2万3,000人程度とされております。慢性型ITP患者数は、ITP患者総数よりも少ないものですので、希少疾病用医薬品の指定要件である5万人未満を満たしているものと考えております。
医療上の必要性ですが、本邦のITP治療ガイドラインでは、第一選択として副腎皮質ステロイド、第二選択としての脾臓摘出に次ぐ第三選択として、複数の薬剤が挙げられております。しかし、国内で慢性ITPの治療薬として承認されているのは、頻回に継続的な投与が必要なトロンボポエチン受容体作動薬のみで、慢性ITPに対する新たな治療法は医療上の有用性が高いと考えております。
最後に開発の可能性ですが、次ページにあります。海外では既に第II相試験が実施されているほか、ITPに対する本薬のシステマティックレビューでも有効性が報告されております。さらに、本邦では、多施設共同オープンラベル試験が医師主導治験として2011年より実施されており、申請者は当該試験の成績を使用して、承認申請を行う予定としております。
以上から、本薬の開発の可能性は高く、希少疾病用医薬品の指定要件を満たしているものと考えております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いします。いかがでしょうか。
○平石委員 専門外ですが、一つお伺いします。評価報告書の2ページ、「2.医療上の必然性について」です。5、6行目に慢性のITPでは、ヘリコバクターの感染陽性者ではまず除菌治療を施行するというガイドラインのステートメントがあるわけです。その後、第一選択としてステロイドが用いられるという流れになっていると思うのです。このリツキシマブに対して、ヘリコバクター除菌の意義をどのように考えればいいのかという質問です。と言いますのは、リツキシマブは有効性も高いとは思うのですが、有害事象の発生も懸念されますね。一方、ヘリコバクターの除菌自体は、すでにヘリコバクター陽性の慢性胃炎に適応されているぐらい、安全性も非常に高くて、またITPに対する除菌の有効性も高いということが知られています。この点についてはいかがでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○事務局 手元の資料で分かる範囲になってしまうのですが、ヘリコバクター・ピロリの治療を行うと、約6割の患者で血小板数が増加すると報告されております。この患者についてはそのまま寛解すれば、リツキシマブの治療は必要ありません。なので、それ以降の侵襲性の高い治療であるとか、リスクの高い治療については、ヘリコバクター・ピロリの無効例に対して行う治療法となっております。
○平石委員 その一方で、医師主導で行われている臨床試験には、ヘリコバクターについての記載はないように思うのですが、いかがでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。詳しい組入れ基準については資料には記載されていませんが、試験の対象になるような重いITP患者に至るまでは、いろいろなファーストライン、セカンドラインの治療をなされている患者ですので、恐らくはもう既にヘリコバクター・ピロリの除菌が無効だという患者になっているかと思います。
○松井部会長 よく聞こえなかったのですけれども。
○機構 医師主導治験に入っているような重症の患者は、もうファーストライン、セカンドラインは終わっている患者ですので、既にヘリコバクター・ピロリの除菌で無効の患者というのが、今の重症の患者の医師主導治験には入っているということです。
○松井部会長 今の御質問は、ガイドラインにそれが書かれていないのではないかという御質問ですか。
○平石委員 いえ、医師主導で行われているのか、あるいは行われている予定なのかは存じませんが、30ページに記載がある治験計画の概要に、対象となっているのは重症型のITPの患者で、31ページにステロイドについても効果が不十分でしかも忍容性がない患者と、明確に記載されていますが、ヘリコバクターの除菌については記載がないようです。除菌の位置付けはどうでしょうかという質問です。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構よりお答えいたします。先生がおっしゃるように、資料には確かに記載がありませんが、これは概要ということになります。これは既に試験自体は行われているのですけれども、少しお待ちください。
○審査管理課長 今回はオーファンとして指定をする可否についてです。今、先生が御指摘の点は、本年の8月までが一応、試験期間です。エントリークライテリアには書いていない、あるいは除外、エクスクルードクライテリアにも書いていないという御指摘は確かにそうですが、実際にデータが集まって、今みたいな本剤の臨床的位置付けと、併せて審査の段階で整理をして、正に先生の御指摘の点を審査報告書の中で反映させていただければと思っております。
○佐藤(雄)委員 除外基準の中の12番が、「除菌療法を行った患者についてはエクスクルードされる」とありますので。
○松井部会長 何ページですか。
○佐藤(雄)委員 治験計画の概要の32ページの除外基準の12番が、恐らく該当するかと思うのですが。
○審査管理課長 すみません。見落としていました。
○松井部会長 書いてありますね。ありがとうございます。平石委員、よろしいでしょうか。
○平石委員 はい。結構です。
○松井部会長 ほかにありますか。もし御異存なければ、議決に入ります。なお、平石委員、本橋委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題5に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題5、資料5「Lomitapide mesylateを希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より機構の事前評価報告書に沿って御説明いたします。資料の事前評価報告書のタブをお開きください。
申請者は、Aegerion Pharmaceuticals,Inc。予定される効能・効果は「家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)患者に対する治療」となります。お手元の資料を1枚おめくりください。家族性高コレステロール血症は常染色体性優性遺伝形式をとる遺伝子疾患で、平成21年に特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されております。家族性高コレステロール血症ホモ接合体(HoFH)は、家族性高コレステロール血症の中でも血中LDLコレステロール値の著名な高値と、心臓血管系疾患の発現リスクの増加を特徴としており、致死的な転機をたどる場合があります。HoFHの患者数は100万人に1人以上とされており、本邦での患者数は約120~130人と推定されています。これは平成22年度の特定疾患医療受給者証交付件数の120件とも一致しており、対象患者数5万人未満を満たしていると考えます。
続きまして医療上の必要性ですが、現在のところ家族性高コレステロール血症に対する既存の治療薬ではHoFHへの治療反応性が非常に悪く、薬物療法は確立しておりません。ほとんどの患者さんで血液浄化療法(LDL アフェレーシス)が必要となっている状況で、医療上の必要性は高いと考えております。
資料を1枚めくりまして、開発の可能性です。海外第III相試験では有効性が確認されており、既に米国ではHoFHの補助療法で承認を受けております。また、本邦でも第I相試験が実施中で、今後HoFH患者を対象とする臨床試験が計画されているところです。
以上から、本薬の開発の可能性はあり、希少疾病用医薬品の指定の要件を満たしているものと考えます。それでは御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○松井部会長 委員の先生方から御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。特段御意見、御質問ありませんでしょうか。
それでは御質疑なしということで、議決に入ります。なお、平石委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、議題6に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 審議事項議題6、資料6「BYM338を希少疾病用医薬品として指定することの可否について」、事務局より御説明いたします。事前評価報告書のタブをお開きください。予定される効能・効果は「封入体筋炎」、申請者はノバルティス ファーマ株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件の対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の3点について、順に説明いたします。
まず対象者数ですが、1ページの下方において、平成15年度の特定疾患医療受給者証交付件数及び国立精神・神経医療センターの患者数の割合に基づき、約1,250人と推定されており、また平成22年度に実施された神経内科専門医による患者数調査に基づき、1,000~1,500人と推定されていることから、本剤の予定される効能又は効果における患者数は、指定要件の5万人未満を満たすと考えられます。
次に、医療上の必要性についてですが、封入体筋炎の治療ではステロイドをはじめとする免疫抑制剤等による治療が試みられておりますが、有効性が検証されている医薬品はありません。また、筋力維持を目的としてリハビリも試みられておりますが、明確な効果は認められていないことから、本剤の医療上の必要性は高いと考えられます。
最後に、開発の可能性ですが、本剤は骨格筋量を負に制御するシグナルを抑制し、筋肉量を増加させることが期待されており、海外で実施された封入体筋炎患者を対象とした第II相プラセボ対照二重盲検比較試験において、大腿筋容積及び大腿四頭筋力の増加並びに運動機能の低下の抑制が認められています。さらに、平成25年より封入体筋炎患者を対象とした国際共同後期第II/III相試験が計画されており、日本からも参加する予定であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えられます。
これらのことから、希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。村田先生、何かコメントをいただけますか。
○村田委員 かなり少ない筋炎の中でも少ないグループで、しかもほかのステロイドなどが効かないことが普通なので、そういう疾患に効く薬が開発されるのは非常に重要なことですし、人数から言っても、重要性から言っても、希少疾病用医薬品にするということに全く問題はないのではないかと思います。
○松井部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見ございませんか。
それでは議決に入ります。野田委員、村田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議決への参加を御遠慮ください。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
異議のないものと認めます。承認を可として薬事分科会に報告いたします。それでは、報告事項に移ります。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 報告事項について、まとめて御説明申し上げます。
報告事項議題1、資料7「医薬品レギュニールHCa1.5腹膜透析液、同HCa2.5腹膜透析液、同HCa4.25腹膜透析液、レギュニールLCa1.5腹膜透析液、同LCa2.5腹膜透析液、同LCa4.25腹膜透析液の製造販売承認について」、報告いたします。
本剤は、既存の腹膜透析剤からアルカリ化剤の組成を変更した類似処方医療用配合剤です。今般、既存の腹膜透析剤が使用されている慢性腎不全患者を対象とした試験に基づき、製造販売承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、慢性腎不全患者における腹膜透析に関する効能・効果で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題2、資料8「医薬品オラブリス洗口用顆粒11%及びミラノール顆粒11%の製造販売承認事項一部変更承認について」です。
本剤はフッ化ナトリウムを有効成分とする洗口用顆粒剤であり、現在「齲蝕の予防」の効能・効果で承認されております。今般、昭和薬品化工株式会社及び東洋製薬化成株式会社より、用法・用量に0.2%フッ化ナトリウム溶液による週1回の洗口方法を追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題3、資料9「医薬品トレリーフ錠25mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
本剤はゾニサミドを有効成分とする経口剤であり、本邦では1989年に抗てんかん薬として販売名エクセグランで承認され、2009年に「パーキンソン病(レボドパ含有製剤に他の抗パーキンソン病薬を使用しても十分に効果が得られなかった場合)」の効能・効果で承認されております。今般、国内臨床試験の成績を基に、パーキンソン病における症状の日内変動(wearing-off現象)の改善のための用法・用量として、1日1回50mgを追加する医薬品製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題4、資料10「医薬品ホスレノールチュアブル錠250mg、同チュアブル錠500mg、ホスレノール顆粒分包250mg及び同顆粒分包500mgの製造販売承認事項一部変更承認について」、報告いたします。
本剤は炭酸ランタン水和物を有効成分とするリン吸着剤であり、現在「透析中の慢性腎不全患者における高リン血症の改善」の効能・効果で承認されております。今般、バイエル薬品株式会社より、保存期の慢性腎臓病患者における高リン血症の改善の効能・効果を追加する新効能医薬品としての製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。
続きまして報告事項議題5、資料11-1及び11-2「医療用医薬品の再審査結果について」、まとめて報告いたします。これらはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書となっております。
資料11-1は、一般的名称はそれぞれ、「ペグインターフェロンアルファ-2a(遺伝子組換え)、リバビリン」、販売名は「ペガシス皮下注90μg及び同皮下注180μg、コペガス錠200mg」のもの。資料11-2は、一般的名称は「ランジオロール塩酸塩」、販売名は「注射用オノアクト50」のものです。これらの品目について、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づき、再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。報告事項は以上です。
○松井部会長 ただ今の報告事項1~5について、御質疑はございませんか。
○本橋委員 一つ確認したいことがあります。トレリーフ錠ですが、このゾニサミド錠を抗てんかん薬として使うときは、血中濃度をモニターして、有効治療域を調べるわけです。本剤をパーキンソン病に使うときは25mgと50mgで血中濃度、その血中濃度による反応性の違いとかはあるのですか。その辺を教えてください。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構よりお答えします。血中濃度と反応性、有効性について、既承認時の試験の際にも検討されておりましたが、用量によって25mgは運動機能障害に有効であり、50mgがwearing-off現象に有効であるというように、用量間で有効である症状が違うという結果は得られておりますが、具体的に個別の患者さんの血中濃度と、実際のそうした症状の改善効果に相関があるかといった所を検討はされておりますが、明確な関係は見いだされておりません。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。特段の御質問ございませんか。ないようですので、ただ今の報告事項につきましては、御確認を頂いたものといたします。
その他の事項について、説明をお願いいたします。
○事務局 その他議題1、資料12「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外医薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について」、御説明いたします。
資料の一番下のページ番号1ページを御覧ください。日本小児内分泌学会より、エストラジオールの性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症の治療に対する適応追加の要望が提出されております。
本剤の医療上の必要性について説明いたします。要望効能・効果に挙げられた疾病では、エストロゲンを適量補充しない場合、二次性徴、骨の成長、骨塩量の増加が不十分となることがあることから、適応疾患の重篤性は「ウ:その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当し、また要望された製剤であるエストラジオール貼付剤は、要望内容について米国において承認され、国内では同効能・効果での既承認薬は存在しないことから、医療上の有用性は「既存の療法が国内にない」に該当すると判断されました。
次に、本剤の公知該当性について説明いたします。資料の34ページを御覧ください。性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全では、いずれも卵巣機能の不全又は欠落によるエストロゲン欠乏症状を呈し、骨粗鬆症発生リスクや、血管内皮機能障害を介した冠動脈疾患発症リスクの上昇も推測されることから、エストロゲンの補充が必須となっております。また、エストロゲン貼付剤については、米国において既に要望効能・効果の適応を有しております。さらに、欧米のガイドラインにおいても、低エストロゲン状態の女性は原則的にホルモン補充療法の適応とされ、原発性卵巣不全の一つであるターナー症候群に対するエストロゲン貼付剤の使用が推奨されております。
国内においては、主にターナー症候群に関して、臨床研究の公表文献、教科書及びガイドラインでは、エストロゲン貼付剤の臨床的有用性にも言及されており、日本及び海外において、卵巣機能の不全による低エストロゲン状態に対するホルモン補充療法の位置付けは確立されているものと考えられます。以上より、要望内容については医学薬学上公知と判断されました。
次に効能・効果については、海外で承認されているエストラジオール経皮吸収製剤の有する効能・効果と同様に「性腺機能低下症、性腺摘出又は原発性卵巣不全による低エストロゲン症」といったものとすることが適当と判断されました。
用法・用量については資料36ページからを御覧ください。まず成人については、本邦において要望されている効能・効果の成人での患者集団と一部が重複すると考えられる、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状の用法・用量や、米国での承認用法・用量と1日放出量として同一となる用法・用量である0.72mg1枚(エストラジオール0.72mg含有)を2日ごとに貼り替える設定とすることが適切と判断されました。
次に小児の用法・用量については、日本小児内分泌学会の「ターナー症候群におけるエストロゲン補充ガイドライン」では、エストラーナテープ0.72mgの開始用量を8分の1枚(エストラジオールとして0.09mg含有)とし、4分の1枚、2分の1枚、1枚と段階的に増量し、約2年後に成人量まで増量することが記載されており、米国ガイドラインにおいてもほぼ同様の投与方法が推奨されております。少数例ではありますが、国内において日本のガイドラインで提示された用法・用量で投与された報告もあることから、小児の用法・用量は8分の1枚から開始し、4分の1枚、2分の1枚、1枚と段階的に増量する設定とすることが適切と判断されました。説明は以上です。
○松井部会長 御質疑をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。特にございませんか。
それでは、本議題については委員の皆様の御確認を頂いたものといたします。続いて、その他の事項の議題2に移ってください。お願いします。
○安全使用推進室長 その他議題2、資料13「医療用医薬品の販売名の制定について」、御説明いたします。医療用医薬品の販売名の取扱いについては、「医療事故を防止するための医薬品の表示事項及び販売名の取扱いについて」の通知等により運用させていただいているところです。本日は、その基本的な考え方の概要について、御紹介いたします。
まず、「1.医療用医薬品の販売名の類似性の評価に係る一般的な考え方」ですが、1.にありますように、販売名の一部を省略して記載した場合に、省略された販売名と同一の販売名の医薬品があること等が誤投与を招く原因となるおそれがあるため、これを防止する観点から「医療用医薬品の販売名の取扱い」として定め、新規医薬品の承認申請を行うものについては、これに従い命名するようにしております。
原則として、剤形及び有効成分の含量(又は濃度等)に関する情報を付すことが必要となっております。記載事項の原則の代表例としては、先発医薬品にありましてはブランド名+剤形+含量。後発医薬品においては一般的名称+剤形+含量+屋号。配合剤については販売名+剤形+接尾字となっております。なお、それぞれの当該医薬品の特性に鑑み、記載事項を必要に応じ修正することもあります。
続きまして「2.医療用医薬品の販売名の類似性の評価時期」についてです。医療用医薬品の製造販売承認申請直後となっておりますが、最終的には部会・分科会で御意見を頂き、承認をする時期となっております。
「3.医療用医薬品の販売名の類似性の評価方法」です。医薬品名称の類似性の判断をサポートするツールとして、一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)のホームページ上に公開されております「医薬品類似名称検索システム」がございます。このシステムの検索結果に基づき、医薬品の類似性の判定指標として利用されますのが、本日別添でA3サイズの参考資料として添付しております、平成17年10月改定の「新規承認医薬品名称類似回避フローチャート」です。本日は時間が限られておりますため、フローチャートの詳細についての説明は割愛いたします。参考までに、一部改変し、吹き出しの説明を付けておりますので、併せて御参照いただければと思います。
なお、判断に当たり、留意点としてはフローチャート上「要変更」となった場合には、販売名の変更を要する。また、フローチャート上「要検討」となった場合には、相手薬が糖尿病薬、抗がん剤、ジギタリス製剤、ワルファリン等、リスクのある薬剤であった場合に、販売名等を変更することとしています。ただし、要変更、要検討の場合であっても、相手薬の投与経路が違うとか、販売終了している場合には、原則として変更不要としております。
なお、原則的にこのフローチャートに基づき判断をさせていただいておりますが、必ずしもこれに該当しない事例もありますため、フローチャートのみに頼ることなく、販売名ごとに、医療安全の観点から、固有のリスクを評価させていただいているところです。医療用医薬品の販売名の制定については、以上です。
○松井部会長 御質疑はありませんか。私から、一応本日のようなこの会議に出てくるときには、既にこういうフローチャートによる点検は済んで出てくると考えてよろしいのですか。
○安全使用推進室長 はい。そのようになっております。
○松井部会長 もちろんそれでもなおかつ、委員の先生方のディスカッションは必要だと思いますが、そういうことだということです。いかがでしょうか、御質疑ございませんか。
それでは本議題についても、御確認を頂いたということにいたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がありますか。
○事務局 次回の部会は8月22日(木)、午後3時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○松井部会長 よろしいですか。それでは、本日はこれで終了、閉会といたします。どうもありがとうございました。
(了)
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬食品局
審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)