ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(職業安定分科会労働力需給制度部会)> 第205回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録(2014年2月21日)




2014年2月21日 第205回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

職業安定局派遣・有期労働対策部需給調整事業課

○日時

平成26年2月21日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 職業安定局第1・2会議室(12階)


○出席者

(公益代表)鎌田委員、柴田委員、阿部専門委員
(労働者代表)石黒委員、清水委員、新谷委員、春木オブザーバー
(使用者代表)秋山委員、高橋委員、青木オブザーバー、大原オブザーバー

事務局

岡崎職業安定局長、宮川派遣・有期労働対策部長、鈴木企画課長、富田需給調整事業課長
松原派遣・請負労働企画官、鈴木主任中央需給調整事業指導官、亀井需給調整事業課長補佐、木本企画調整専門官

○議題

(1) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱について(公開)

○議事

○鎌田部会長 定刻より少し早いのですが、皆さんおそろいのようですので、ただいまから第205回「労働力需給制度部会」を開催いたします。

 本日は労働者代表の宮本オブザーバー、使用者代表の小林委員、公益委員の橋本委員、竹内委員が所用により御欠席されております。

 それでは、本日の議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

 本日は「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について御審議をいただきます。

 御承知のとおり、先月29日付で労働政策審議会より厚生労働大臣への答申が行われたところです。お手元の法律案要綱については、同答申に基づいた形で作成され、本日付で厚生労働大臣から労働政策審議会へ諮問がなされ、午前中に開催された職業安定分科会において、当部会において検討することとされております。

 それでは、事務局から法律案要綱について読み上げていただき、その後議論に移りたいと思います。

 では、御説明をよろしくお願いいたします。

○亀井補佐 それでは、まずお手元の資料の確認をさせていただきますけれども、議事次第をごらんいただきますと、配付資料として資料1及び参考1、2という形でお付けさせていただいております。

 資料1がこれから読み上げさせていただきます法律案要綱。

 参考資料といたしまして、参考1が建議でございます。

 参考2といたしまして「新たな期間制限の在り方」。こちらは期間制限の仕組みがわかりにくいということで、部会長の御指示を踏まえて本日御用意させていただきました。

 それでは、お配りしております資料1、諮問がなされました法律案要綱について読み上げをさせていただきます。

 資料1をおめくりいただきまして、法律案の要綱でございます。順次読み上げをさせていただきます。

   労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱

第一 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律の一部改正

 一 特定労働者派遣事業の廃止

   一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区別を廃止し、労働者派遣事業を全て許可制とすること。

 二 労働者派遣事業の許可の基準

   労働者派遣事業の許可の基準として、申請者が当該事業の派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであることを追加するものとすること。

 三 労働者派遣契約の内容

   労働者派遣契約の当事者は、当該労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所に加え、組織単位(労働者の配置の区分であって、配置された労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者が当該労働者の業務の配分に関して直接の権限を有するものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)についても定めなければならないものとすること。

 四 就業条件等の明示

   派遣元事業主は、労働者派遣をしようとするとき(八の1の(一)から(四)までのいずれかに該当する場合を除く。)は、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、次の事項についても明示しなければならないものとすること。

   (一) 当該派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所その他派遣就業の場所における組織単位の業務について派遣元事業主が六の2に抵触することとなる最初の日

   (二) 当該派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所その他派遣就業の場所の業務について派遣先が八の1に抵触することとなる最初の日

 五 派遣先への通知

  1 派遣元事業主は、労働者派遣をするときは、当該労働者派遣に係る派遣労働者が八の1の(二)の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること。

  2 派遣元事業主は、派遣先に通知をした後に当該労働者派遣に係る派遣労働者に関する健康保険法第三十九条第一項の規定による被保険者の資格の取得の確認の有無に関する事項等に変更があったときについても、遅滞なく、その旨を当該派遣先に通知しなければならないものとすること。

 六 労働者派遣の期間

  1 派遣元事業主が、労働者派遣の期間制限に抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行わない旨を派遣先及び派遣労働者に対し通知しなければならないこととしている規定を削除すること。

  2 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(八の1の(一)から(四)までのいずれかに該当するものを除く。)を行ってはならないものとすること。

 七 特定有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等

  1 派遣元事業者は、その雇用する有期雇用派遣労働者であって派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して一年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下「特定有期雇用派遣労働者」という。)その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令で定めるもの又は派遣労働者として期間を定めて雇用しようとする労働者であった者であって雇用の安定を図る必要性が高いと認められるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下「特定有期雇用派遣労働者等」という。)に対し、次のいずれかの措置を講ずるように努めなければならないものとすること。

   (一) 派遣労働者として就業させることができるように就業の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

   (二) 派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用することができるように雇用の機会を確保するとともに、その機会を特定有期雇用派遣労働者等に提供すること。

   (三) (一)及び(二)のほか、特定有期雇用派遣労働者等を対象とした教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令で定めるものその他の雇用の安定を図るために必要な措置として厚生労働省令で定めるものを講ずること。

  2 派遣元事業主は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して三年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者に対し、1の(一)から(三)までのいずれかの措置を講じなければならないものとすること。

  3 厚生労働大臣は、2に違反した派遣元事業主に対し、指導又は助言をした場合において、当該派遣元事業主がなお2に違反したときは、当該派遣元事業主に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができるものとすること。

  4 労働者派遣事業の許可の取消し事由として、3の指示を受けたにもかかわらず、なお2に違反したときを追加するものとすること。

 八 労働者派遣の役務の提供を受ける期間

  1 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないものとすること。ただし、当該労働者派遣が次のいずれかに該当するものであるときは、この限りでないものとすること。

   (一) 無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣

   (二) 雇用の機会の確保が特に困難である派遣労働者であってその雇用の継続等を図る必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣

   (三) 事業の開始等のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されている業務等に係る労働者派遣

   (四) 当該派遣先に雇用される労働者が労働基準法第六十五条第一項及び第二項の規定により休業する場合等における当該労働者の業務に係る労働者派遣

  2 1の派遣可能期間は、三年とするものとすること。

  3 派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して労働者派遣(1の(一)から(四)までのいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けようとするときは、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務に係る労働者派遣の役務の提供が開始された日以後当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について1に抵触することとなる最初の日の一月前の日までの間(4において「意見聴取期間」という。)に、三年を限り、派遣可能期間を延長することができるものとすること。当該延長に係る期間が経過した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とするものとすること。

  4 派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは、意見聴取期間に、厚生労働省令で定めるところにより、当該派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合の、当該過半数組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないものとすること。

  5 派遣先は、派遣可能期間を延長したときは、速やかに、4の過半数組合等に対し、派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項について説明しなければならないものとすること。

  6 派遣先は、派遣可能期間を延長したときは、速やかに、派遣元事業主に対し、当該事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について1に抵触することとなる最初の日を通知しなければならないものとすること。

  7 厚生労働大臣は、1の(二)の厚生労働省令の制定又は改廃をしようとするときも、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。

  8 派遣先は、派遣可能期間が延長された場合において、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(1の(一)から(四)までのいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けてはならないものとすること。

  9 厚生労働大臣は、派遣先が1、4、5若しくは8に違反しているとき、又はこれらに違反して指導若しくは助言を受けたにもかかわらずなおこれらに違反するおそれがあると認めるときについても、当該派遣先に対し、必要な措置等をとるべきことを勧告することができるものとすること。

10 厚生労働大臣は、9の勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができるものとすること。

 九 特定有期雇用派遣労働者の雇用

   派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所における組織単位ごとの同一の業務について派遣元事業主から継続して一年以上の期間同一の特定有期雇用派遣労働者に係る労働者派遣(八の1の(一)から(四)までのいずれかに該当するものを除く。)の役務の提供を受けた場合において、引き続き当該業務に労働者を従事させるため労働者を雇い入れようとするときは、当該業務に従事した特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限る。)を、遅滞なく、雇い入れるように努めなければならないものとすること。

 十 派遣先に雇用される労働者の募集に係る事項の周知

  1 派遣先は、当該派遣先の同一の事業所その他派遣就業の場所において派遣元事業主から一年以上の期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けている場合において、当該事業所その他派遣就業の場所において労働に従事する通常の労働者の募集を行うときは、当該募集する労働者が従事すべき業務の内容等を当該派遣労働者に周知しなければならないものとすること。

  2 派遣先は、当該派遣先の同一の事業所その他派遣就業の場所において労働に従事する労働者の募集を行うときは、当該事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して三年間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがある特定有期雇用派遣労働者(継続して就業することを希望する者として厚生労働省令で定めるものに限る。)に対し、当該募集する労働者が従事すべき業務の内容等を当該派遣労働者に周知しなければならないものとすること。

 十一 段階的かつ体系的な教育訓練等

  1 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者が段階的かつ体系的に派遣就業に必要な技能及び知識を習得することができるように教育訓練を実施しなければならないものとすること。この場合において、当該派遣労働者が無期雇用派遣労働者であるときは、当該無期雇用派遣労働者がその職業生活の全期間を通じてその有する能力を有効に発揮できるように配慮しなければならないものとすること。

  2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の求めに応じ、当該派遣労働者の職業生活の設計に関し、相談の機会の確保その他の援助を行わなければならないものとすること。

 十二 直接雇用の推進

   派遣元事業主がその雇用する派遣労働者等の雇用の安定を図るために講ずるよう努めることとされている措置として、派遣労働者以外の労働者としての就業の機会を確保することが含まれることを明記するものとすること。

 十三 待遇に関する事項等の説明

   派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあったときは、均衡を考慮した待遇の確保のため配慮すべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該派遣労働者に説明しなければならないものとすること。

 十四 派遣先における適正な派遣就業の確保等

  1 派遣先は、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者について、当該派遣労働者を雇用する派遣元事業主からの求めに応じ、当該派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する労働者が従事する業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練については、厚生労働省令で定める場合を除き、派遣労働者に対しても実施するよう配慮しなければならないものとすること。

  2 派遣先は、当該派遣先に雇用される労働者に対して利用の機会を与える福利厚生施設であって、業務の円滑な遂行に資するものとして厚生労働省令で定めるものについては、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者に対しても、利用の機会を与えるように配慮しなければならないものとすること。

  3 派遣先は、派遣元事業主により派遣労働者の賃金が適切に決定されるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する当該派遣先の労働者の賃金水準に関する情報を提供することその他の厚生労働省令で定める措置を講ずるように配慮しなければならないものとすること。

  4 3のほか、派遣先は、十一の措置等が適切に講じられるようにするため、派遣元事業主の求めに応じ、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者の業務の遂行の状況その他の情報であって当該措置に必要なものを提供する等必要な協力をするように努めなければならないものとすること。

 十五 派遣元責任者

  1 派遣元責任者の要件に、派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有する者として厚生労働省令で定める基準に適合するものであることを追加するものとすること。

  2 派遣元責任者の職務に、派遣労働者についての教育訓練の実施及び職業生活の設計に関する相談の機会の確保に関することを行うことを追加するものとすること。

 十六 派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳

   次の事項を、派遣元管理台帳及び派遣先管理台帳の記載事項に追加するものとすること。

   (一) 無期雇用派遣労働者であるか有期雇用派遣労働者であるかの別

   (二) 八の1の(二)の厚生労働省令で定める者であるか否かの別

   (三) 教育訓練(厚生労働省令で定めるものに限る。)を行った日時及び内容

 十七 事業主団体等の責務

  1 派遣元事業主を直接又は間接の構成員とする団体は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等が図られるよう、構成員に対し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならないものとすること。

  2 国は、事業主団体に対し、派遣元事業主の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関し必要な助言及び協力を行うように努めるものとすること。

 十八 その他

   六の2に違反した者に対し所要の罰則を科すこと、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、あらかじめ、派遣元事業主に対し派遣先の事業所その他派遣就業の場所の業務について八の1に抵触することとなる最初の日を通知することその他所要の規定の整備を行うものとすること。

第二 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律の一部改正

 一 労働契約申込みみなし制度

   労働者派遣の役務の提供を受ける者が次のいずれかに該当する行為を行った場合についても、労働契約の申込みをしたものとみなすものとすること。

   (一) 第一の八の1に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること(同八の4の意見の聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより同八の1に違反することとなったときを除く。)。

   (二) 第一の八の8に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること。

 二 その他所要の規定の整備を行うこと。

第三 その他

 一 施行期日

   この法律は、一部の規定を除き、平成二十七年四月一日から施行するものとすること。

 二 特定労働者派遣事業に関する経過措置

   この法律の施行の際現に特定労働者派遣事業を行っている者は、施行日から起算して三年を経過する日までの間は、第一の一にかかわらず、引き続きその事業の派遣労働者(業として行われる労働者派遣の対象となるものに限る。)が常時雇用される労働者のみである労働者派遣事業を行うことができるものとすること。

 三 同一の派遣労働者に係る労働者派遣期間の制限に関する経過措置

   第一の六の2及び八の8は、施行日以後に締結される労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣について適用するものとすること。

 四 同一の派遣先の事業所その他派遣就業の場所に係る派遣可能期間の制限に関する経過措置

   第一の八の1は、施行日以後に締結される労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣について適用し、施行日前に締結された労働者派遣契約に基づき行われる労働者派遣については、なお従前の例によるものとすること。

 五 経過措置等

   二から四までのほか、この法律の施行に関し必要な経過措置を定めるとともに、関係法律について所要の規定の整備を行うこと。

以上でございます。

○鎌田部会長 ありがとうございます。

 それでは、この件について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。新谷委員。

○新谷委員 幾つか確認したい点がございます。私どもとしては、横書きの建議を縦書きの要綱にするに際して、建議の内容が要綱に正確に反映されているのかどうかといった観点から、要綱の内容についての確認をさせていただきたいと思います。

 まずこの要綱の中に、ページでいきますと1ページの第一の二のところに、今回の許可基準に関する記述がありますが、建議では2つの許可基準を追加するよう提起されているわけであります。その1つは「無期雇用派遣において派遣契約の終了のみをもって派遣労働者を解雇しないようにすること」。もう一つが、「派遣労働者へのキャリア形成支援を有すること」ですが、この2点について許可基準として追加すべきということが建議の中に書かれているのです。これについて、要綱を見ると、許可基準は「省令に定める」ということで省令委任になっているのですけれども、建議された2点は必ず省令に規定されるのかということを確認したいと思います。要綱では法律に定める部分と省令に委任する事項の区分しか明らかになっていないものですから、省令に委任された事項の内容がどうなるのかというところの説明が何もない中でこの要綱だけを見て是非をすべて判断しろといわれましても私どもとしては非常に不安が残るところです。まずは、そこの点の確認をしたいということです。

 それと今回はこれまでの業務区分による期間制限を撤廃して、派遣元での雇用形態が有期なのか無期なのかによって期間制限のあり方が大きく変わってくるスキームとなったわけでありますが、今、いただいた要綱の中には派遣元での有期雇用・無期雇用に対する定義規定が入っておりません。いきなり「無期雇用派遣は・・・」、「有期雇用派遣は・・・」といった形の規定が入っているのですけれども、やはり今回のように大きなスキームの変更をする場合には根本的な定義規定がないと法律としての安定を欠くのではないかと思っておりますので、この法律の中で定義規定の扱いをどうするのかという点についても確認させていただきたいと思います。

 今回の建議を取りまとめる途中でかなりもめた点でありましたが、添付されている参考1として建議の全文がついておりますけれども、ここの2ページの3の(1)を見ますと、今回の派遣のあり方について、「派遣労働の利用を臨時的・一時的なものに限ることを原則とする」という記述が建議に入ったわけです。これについては、喧々囂々論議する中でこの原則を確認したわけでありますけれども、しかしながら、今日いただいている要綱の中にはこの考え方が出てきておりません。一切出てきていないと思います。本来これが記述されるべきは役務の提供を受ける期間ということで、要するにこれが期間制限としての年数が入ってくるところですけれども、なぜこれが3年になっているのかという根拠として、建議に書かれている「派遣は臨時的・一時的なものである」ということが説明されておくべきだと思うのですが、そのことは全く入っておりません。したがって、この3年という期間制限の意味合いについて、「建議に明記された原則を踏まえたがゆえの3年なのだ」ということがこの要綱からは導き出されないのではないかと思っております。したがって、建議のまさしく肝であります「派遣は臨時的・一時的な働き方である」ということを法律にもきちんと原則となる考え方として書いておく必要があると思います。派遣期間制限について、今回こういう大改正をするわけでありますから、ぜひ建議の精神をこの要綱の中にも明確に入れていただきたいと思います。

 それと建議の2ページのところに、個人単位の期間制限について同一の組織単位で3年を超えてはならない旨が書かれているのですが、「同一の組織単位」というのは一体何なのか、どの単位なのか、どういう組織なのかというのが、この要綱では明確になっておりません。これまでの論議の中では、今日配られている参考資料2に書いてあるように、これは課単位を想定するということ、すなわち、現行の規制では係単位であったものを課単位へと範囲を広げていくという論議をしてきたわけであります。したがって、「同一の組織単位」が本当に今までの係単位から課単位まで面積を広げているのだということが法律上明確にわからなければいけないと思っていますが、現行の要綱ですとそれがわかりにくくなっております。具体的には1ページ目の最後の行のところに書かれてありますけれども、これが本当にこれまでの論議を踏まえた課単位を意味しているということを確認させていただきたいと思います。

 なお、補足的に申し上げますが、参考資料2のポンチ絵をつくっていただき、それにより新たな派遣期間制限のイメージがわかりやすくはなっているのですけれども、これを私たちから見ると、少し問題があるのではないかと感じています。すなわち、一番上の人事課の箇所に派遣労働者Aが例として書かれていて、個人単位の期間制限として3年経過した時点の箇所にバツ印が入っていて、同じ人事課の中ではもう3年を超えてAさんは派遣としては働けないことが示されています。ところが、派遣労働者を入れ替えさえすれば、すなわち、別人である派遣労働者Bが3年目のこの時点に登場してくれば、そこから引き続き派遣労働の受け入れが始まり、新しい矢印がもう一回3年間走ることになるわけです。言い換えれば、組織単位での意見聴取を行い、派遣先の過半数代表者や過半数労働組合が継続受け入れにノーと言ったとしても、同じ組織単位である人事課において派遣労働者Bは3年たったときからAとの入れかわる形で就労することができるというのが今回の仕組みなわけであります。しかし、この絵には派遣労働者を入れ替えれば同一の組織であっても継続受け入れができるというところが明確に書かれていないのです。本日はマスコミの方もおられますが、このポンチ絵がそのまま各方面に配られますと誤解を与えることになるのではないかと思います。今回の派遣期間制限の仕組みは、そういった意味では、私どもとしては常態的に派遣の受け入れが続いていくものとなっているという認識で捉えております。このことは建議の中でも私どもの意見として付記させていただいておりますが、そうした観点からこのポンチ絵を見た場合、このままでは誤解を与えるのではないかと思っております。

 とりあえず以上です。

○鎌田部会長 ありがとうございました。

 それでは、この部分について事務局から御説明をお願いしたいと思います。確認しますが、まず第1点目が許可基準のところです。第2点目が有期・無期派遣労働者の定義に係る部分。3点目が臨時的・一時的働き方に限るという原則を建議では書いてあるが、これを要綱に反映していないのではないか、あるいは明確にすべきではないか。4番目に同一の組織単位を具体的にどういうふうに考えたらいいのか。係から課というような面積の広がりがここでうまく表現できているのか。それから、5番目にポンチ絵の表現の仕方ということでありました。

 では、お願いいたします。

○富田課長 御質問いただきましてありがとうございます。

 まず建議から要綱にした趣旨から御説明申し上げたいと思いますけれども、1月29日付で建議をいただきまして、私どもとしましては法律案要綱の形にするということにさせていただいております。法律案要綱をつくる考え方といたしましては、建議のうち法律として書くことが可能なもの、法律事項になるものを法律案要綱に書かせていただきまして、レベル的に省令として対応すべきものはこれまでの法律のつくり方の前例等に従いまして省令として整理すべき事項、そもそも指針として整理すべき事項、それから、通達等で、運用で対応すべきものというふうに分かれております。ですから、法律案要綱については建議のうち法律として盛り込むものは全て盛り込んだ上で、ただどうしても法律用語を使いますので表現ぶりが建議と変わっているものとか、あるいは手続的に建議でいいますところの関係法令の制度の必要な整備について、例えば派遣労働者に通知とか、法律をつくるに当たって手続上当然必要になってくるものについては法律案要綱に書き込んでいくという整理でございます。そういうことを申し上げた上で御質問にお答えしたいと思います。

 要綱の第一の二の許可の基準でございます。許可の基準あるいは実際許可の条件と呼ぶこともございますけれども、2種類のものがございまして、非常に大枠の話については省令で書きまして、もう少し細かいものについては業務取扱要領で書くということで整理しております。これは省令をまだ作成しておりませんので、最終的には省令を諮問させていただきますので、その場でまた御確認いただきたいと思っておりますけれども、現在私どもの整理として考えておりますのは、第一の二で書こうとしているものについてはキャリアアップの支援体制を有するものであるものというふうな非常に体制面の話については省令で書くということでして、新谷委員から御指摘のありました無期雇用派遣について派遣先の派遣契約終了のみをもって解雇してはならないということについては業務取扱要領で記載することを現在予定しているところでございます。もちろんこれはまた法令審査等もございますので、最終的にどうなるかは省令案要綱の諮問の際に、もちろん法律案が通った前提ではございますけれども、また御説明申し上げたいと考えております。

 有期雇用派遣、無期雇用派遣について法律案要綱に書いていないではないかという御指摘でございます。法律案要綱についてはできるだけ簡潔にわかりやすくするという観点から、もちろん法律の条文をそのまま引っ張るような形で書いているわけでございますけれども、有期雇用派遣、無期雇用派遣は当然裸で使えるような用語ではございませんので、現在そういうような法律用語として確立しておりませんので、当然法律案の中では書き込むことを現在予定しております。

 それから、臨時的・一時的な利用に限るという趣旨、建議でいうと2ページで書いているものについて法律案に反映されていないのではないかということでございます。これにつきましては平成11年改正においても自由化業務のところについて臨時的な利用に限る、一時的利用であるということが建議等でもうたわれていたわけでございますが、法律にする際には実際に行うこと、業務について助言が、そのときは1年でございましたけれども、そういうことでそれについては解釈としてお示しするという形になっておりまして、今回の見直しにおきましても法律のルートとしまして、その趣旨については法律には書かずに、実際の仕組みについて法律に書く。もちろん建議に書かれたことは非常に重く受けとめておりますので、その解釈について私どもとしては業務取扱要領等で十分に周知して、運用としては建議の趣旨がしっかりと反映されるようにはしていきたいと思っております。

 同一の組織単位のところでございます。これは今、御覧になっていると思います1ページの組織単位が第一の三の最後から2行目のところに書いているわけでございます。組織単位の括弧のところをずっと読んでいただきますと、最後に「厚生労働省令で定めるものをいう」と出てきておりまして、これもまた省令案のときにお示ししますけれども、現在予定しておりますのは建議のほうで書いてあって法律案要綱では書けなかった業務のまとまりがあるとか、そういったものを書く予定でございます。現在の運用については業務について上限が設定されているということになっておりまして、その業務は今、取り扱いとしては係単位となっているわけでございます。それが要するに業務のまとまりがあってというふうな複数の業務を前提にしたような表現を、今、省令で書くことを予定しているわけでございますし、もちろん建議のほうも課単位を想定しているような表現になっておりますので、省令の段階ではそういったことをお示しすることを予定している。もちろん課単位とは書けないわけでございまして、組織によりましてはグループとか言ったりすることがありますので、そこについては課ではないところについても適用ができるような条文案になることが必要であろうとは考えております。

 最後、ポンチ絵でございます。一応この趣旨についてだけ御説明申し上げます。参考2のポンチ絵、イメージ図でございますけれども、個人単位と派遣先単位と、無期については無期雇用派遣のところを一番最後に書いてあるということでございまして、新谷委員がおっしゃったとおり、個人単位と派遣先単位の両方を合わせて見ると(1)の人事課のところでも派遣労働者Aさんの後任でBさんが出てくることは、意見聴取が前提でございますがあり得るわけでございます。ただ、ここで書いた趣旨は、個人単位、Aさんについてどうなるのかということを表した図でございまして、Aさんについては人事課は3年までです、これは意見聴取があったとしても3年までなのですよと。これも意見聴取があることが前提ですけれども、経理課のほうに移れば3年を超えて働くことはできます。就労する場合については雇用安定措置をとることを図の中で表す必要があると考えておりまして、このような図にしている。新谷委員がおっしゃったところについては、(2)の派遣先単位のほうでもちろんAさん、Bさんと書ければその趣旨がもう少しわかりやすくなったのかもしれませんが、今日お示しした図ではこういう形になっているということで御理解賜れればと思います。

 とりあえず以上でございます。

○新谷委員 建議の4ページ目に記載されている許可基準についてですが、そこでは「派遣契約の終了のみをもって解雇しないようにすることを許可基準に記載することが適当である」という記述がございました。先ほどの説明ですと、キャリア形成の支援制度については省令で、今の解雇に関する部分については要領で、それぞれ規定するという御説明だったわけですけれども、なぜ同じ許可基準に関する規定でありながら両者で扱いが違っているのか。もともと「派遣会社での無期雇用は雇用が安定している」という前提認識が正しいのかどうかといったことに関する議論が行われ、「無期雇用といえども雇用は安定していないだろう」という主張があった中で、「無期雇用派遣についても、違法な解雇を起こさないようにするために行政罰としての最も重い許可基準に絡ませて、違法な解雇をした派遣会社については許可の取り消しをする」というロジックのもとに、この建議をまとめたわけであります。こうした経緯を経て建議された2つの許可基準について、その規定の仕方に相違を設けるということでありますので、要領と省令で規定することによって法律的な効果に違いがあるのかないのか、まずは御説明いただきたいと思います。

○富田課長 許可の運用についてはもちろん行政で行うものでございまして、省令で書いてあるものであれ、要領に書いてあるものであれ、効力に違いがあるということはございません。まず効果だけ申し上げます。

○新谷委員 なぜ分けたのですか。

○富田課長 今すぐ条文が出ないのですけれども、許可の省令で書いてあるもの、皆様のお手元に法令集がないと思いますので簡単に申し上げますと、省令で書いてあるものは非常に抽象的な内容が許可条件として入っておりまして、具体的なものについては許可基準のほうで書くという形になっております。ですから、要するに無期雇用派遣のものについてというものについては非常に具体的な取り扱いになってきますので、現行法上では業務取扱要領で書くという整理になると今のところ考えております。

○新谷委員 法的な効力には影響がない、どちらも行政指導、行政処分をする際の根拠規定になるということであればそれで構わないと思いますが、必ずそこは同じ効力を持って、違法な解雇をした派遣会社については許可基準に抵触したものとする、要するに、派遣事業の許可を取り消すという効果を生じせしめるように取り扱いをいただきたいと思います。

 もう一点申し上げた「派遣は臨時的・一時的な働き方である」という原則を明記することについては、99年改正の際にも法律の中に盛り込んでいないという回答でありました。それはそうだと思います。あの時は派遣期間について原則は1年であり、意見聴取をすれば3年に延長できるという形で、期間制限がしっかりと設けられた法改正でありましたので、そうした原則が明記されていなくても当然なのです。しかし、今回の改正では派遣期間制限が大きく変えられることになります。したがって、「99年改正法に原則としての考え方が入っていないから今回も入れなくていいのだ」というロジックは、今回においては成り立たないと思っております。今回は建議において「派遣は臨時的・一時的である」という大原則を確認しておきながら、法律の中にそのことがどこにも出てこないというのは、建議の内容を正確に法律に反映できていないと考えます。ついては、ぜひ原則としての考え方を盛り込んでいただくように再考をお願いしたいと思います。

 以上です。

○鎌田部会長 別なことで。高橋委員。

○高橋委員 意見を申し述べる前に感想的なことですが、わかりやすい制度を目指して見直しの論議を行ったにもかかわらず、この要綱は非常に難しい。派遣法そのものが大変複雑な体系でわかりにくい法律になっているところ、今回の見直しによって派遣法が少しでもわかりやすい法律になればと願っていたのですけれども、余りそうならないのではないかと危惧しています。以上は感想であり、意見ではございません。

 一点、私が最も気になっていることは、この法律案要綱で何回も出てくる、個人単位と派遣先単位の期間制限にかかわる表現です。5ページ程にわたって何回も出てくるものですが、最初に出てくるところで言及したいと思います。2ページの「四 就業条件等の明示」の(一)と(二)の記述です。(一)の個人単位については、「当該派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所その他派遣就業の場所における組織単位の業務」とあります。(二)の派遣先単位については「当該派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所その他派遣就業の場所の業務」とあります。しかしながら、建議した報告書では、例えば個人単位の期間制限は、派遣先は例外を除きまして同一の組織単位において3年を超えて継続して同一の派遣労働者を受け入れてはならないものとしており、そこには業務という概念はありません。また、派遣先単位の期間制限は、例外を除きまして派遣先は同一の事業所において3年を超えて継続して派遣労働者を受け入れてはならないとするものです。繰り返しになって恐縮ですけれども、今回の見直しは業務単位を撤廃する、業務という概念を期間制限からなくすものであるにもかかわらず、法律案要綱を見ると「組織単位の業務」とか「事業所その他派遣就業の場所の業務」と、業務という言葉が出てきてしまっており、建議と法律案要綱は違うように読めてしまう。なぜ業務という言葉が必要なのか、御説明いただきたいと思います。

○鎌田部会長 御質問はとりあえずそれで。

○高橋委員 はい。

○鎌田部会長 では、お願いします。

○富田課長 お答えいたします。

 これも建議を受けて法律案要綱に整理する際にどういうふうに書くかを調整したわけでございますが、労働者派遣といいますのは派遣契約がありまして、業務を特定して派遣するものである、この人をよこせと言って人を派遣されるものではなくて、業務を特定して派遣を行うというものからすると、やはり業務について派遣をするというものについては法律的には変わらない。ただ、期間制限をどうするかはまた別の問題でございまして、期間制限についてはそれぞれ同一の「組織単位の業務」「事業所その他派遣就業の場所の業務について」という形で、前の現行法については「同一の業務」という言い方をしているわけです。同一の業務ですから、同一の業務で、今、1年あるいは最長3年を超えてできないと。ここで関っていますのは、組織単位の業務ということですから、組織単位の中では業務を替わることがあるかもしれない。それについては替わっても組織単位ではやはり上限がかかってきますということ、あるいは派遣先単位のほうも事業所その他派遣就業の場所という範囲内で業務が替わったとしても上限がかかってくるという整理になります。

 2点目にありました「事業所その他派遣就業の場所」というふうな、恐らくは「派遣就業の場所」とは何なのだという御質問だと受けとめてお答えいたしますと、今回組織単位が課単位みたいなものをイメージしているということで、現行では派遣就業の場所が部署ということを充てているわけですけれども、部署と組織単位が重複しますので、そこはこの法律の際に解釈を見直しまして、事業所に類似した場所ということに再整理することを予定しております。事業所に類似した場所とは何かと申し上げますと、事業というのは事業を行っている場所である、事業を行っていない場所ということで、例えば家庭とかそういうふうなところでも派遣労働者を受け入れることは可能でございますので、そういう場所も受け入れができるのです。事業所だけにすると逆に限定されてしまうこともございます。そういうことも受けて「その他派遣就業の場所」と書いているということでございます。

○鎌田部会長 よろしいですか。

○高橋委員 二点あります。1つは業務という言葉を残すと、現行の制度との混乱が強く懸念されます。業務以外の言葉も検討されてもよろしいのではないかと思いますし、業務という言葉を残すと今の制度とどう違うのかが本当にわかりにくいので、何らかの対応を図るべきではないかということです。

 もう一つは、今回の建議でも明確に書かれていますけれども、今般の見直しは、組織単位というものを派遣契約上明確にする、明確にした上で派遣労働者を受け入れるという内容です。ということは、派遣先単位の記述は派遣先の「事業所その他派遣就業の場所ごとの業務」となっておりますが、組織単位が明確になっている以上はこの法律案要綱の文言も「場所ごとの業務」ではなくて「事業所その他派遣就業の場所ごとの組織単位の業務」とすることが適当ではないかとも考えられますが、いかがでしょうか。

○富田課長 正確に理解できているかどうかわかりませんが、お答えして間違っていたらまた御質問いただきたいと思います。1点目の業務についてわかりにくいということについては、法律の性質上やはり派遣が業務について派遣されるという立てつけになっているということでこういうふうに書くことになっているということですので、そこについては我々が周知する際にわかりやすく説明あるいは周知資料を作ったりして誤解がないようにしていきたいと思っております。

 組織単位の業務というところについてですけれども、ここから正確に理解できているかどうか自信がないのですけれども、個人単位のところについては組織単位ということなわけですけれども、派遣先単位については組織を超えても期間制限がかかってきますので、そこは組織単位というのは書けないということではないかなとは思っております。理解が違っていたら済みません。

○高橋委員 私が2番目に言ったことはそういった趣旨ではなくて、課長の御説明は、要するに派遣労働者は業務について役務を提供するからというそもそも論的な内容でしたので、それについて感じたこととして、そもそも論からすれば派遣労働者は組織単位が指定されて、特定の組織単位で役務を提供することになります。それならば法律上の文言も「事業所その他派遣就業の場所ごとの組織単位の業務」とすべきではないでしょうかという意見です。

○鎌田部会長 私も正確に理解しているかどうかわからないのですが、今、高橋委員がおっしゃったのはそもそも論の話なのですが、現行でも派遣は業務単位で特定して人を派遣している。人を特定することはできない。それについては恐らく変えようということはない。ただし、今、組織単位についていわば期間制限の問題がかかっている。ところが、その組織単位で期間制限がかかっているにもかかわらず組織単位の業務とやるから、この業務をどう扱えばいいのかというところになっていて、そもそも論の回答があって、高橋委員の御主張は、それだったらそもそも論も組織単位の業務というそもそも論でしつらえてみたらどうかという御意見だったですね。

○高橋委員 はい。

○鎌田部会長 かなり難しいというのが私の第一印象なのですけれども、事務局の説明をどうぞ。

○富田課長 現在の労働者派遣契約においてはもちろん今回見直し案においては組織単位も派遣契約に書いていただいて、業務も特定いただくということですので、高橋委員がおっしゃるとおり、実際の派遣は派遣契約に基づいて行いますから組織単位の業務についてのものになるとは思います。法律に書くときには法律のルールがございまして、こういう表現になるということで御理解賜りたいと思います。

○鎌田部会長 趣旨は組織単位で期間限定をかけるということははっきりしているし、要綱の内容もそれでよろしいのですけれども、心配されているのは、法律になったときに別の解釈を生み出すのではないかという御心配だと思います。その辺は要領とかそういうところで十分注意をしていただければいいと思います。確かに法律の要綱というレベルではこういう書き方になるのかなと。確かに違和感はちょっと私もあったのですけれども、要綱の立て方においても趣旨はぶれてはいないと思うのです。そういうふうに感じております。

 あとほかに。石黒委員。

○石黒委員 今回、個人単位で3年という期間制限が新たに認められましたので、そこを確認しておきたいと思います。おそらく要綱の3ページ目の「六 労働者派遣の期間」のところが該当箇所だと思うのですが、そこの2では「三年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣(八の1の(一)から(四)までのいずれかに該当するものを除く。)を行ってはならない」とされております。そこで、ここの「期間継続して」という文言について確認したいと思います。すなわち、現行でも1年という期間制限があるので考え方は同じだと思うのですが、「期間継続して」ということに関連して、空白期間については今回どのような考え方をしているのか、という点を確認したいと思います。

○富田課長 これについては現行法を引き継ぐことを事務局としては想定をしております。現行は継続の解釈として3カ月というものがありますので、3カ月が継続の1つのイメージである。ただ、今、石黒委員がおっしゃったのは個人単位のところですけれども、派遣先単位のほうで仮に反対意見があって、やめた、要するに派遣をストップしたというときにやはり3カ月でいいのかどうかという議論が別途あるかと思いますので、そこはまた施行の際にお諮りしたいと考えております。

○石黒委員 基本的な考え方はわかりました。しかし、今のように「空白期間は3カ月だ」とされますと、「3カ月と1日さえ空ければ問題ない」といったことがいろいろなところで言われており、また、実際にもそうした運用が行われている状況です。法律の運用をする際にはどこかで区切ってやる必要があるということもわかるのですけれども、いわゆる脱法行為というか、法の網から漏れるような形、すなわち「3カ月と1日だけ空けて、また同じ人を3カ月と2日目から派遣する」とか、もっとひどいケースであれば「空白期間の間だけ直雇用に変更した上で同じ仕事をさせ、その後に、あらためて派遣として賃金を下げて送り込む」といったことが行われているとも聞いていますので、そのように「法の網の目をくぐるようなことはやってはならない」ということを明確にすべきだと思っています。その前提として、空白期間・クーリングオフの期間についての考え方は、もちろん法案要綱において規定する性質のものではないと思いますけれども、その後、省令その他においてきちんと明確にした上でそれを徹底していくべきだと思っております。今回特に3年というような形での期間制限を新たに入れる以上、しっかりとやっていくべきだと思います。

○鎌田部会長 現行法においてもこういう問題があって、実際の運用のところで進めていくということですので、そういう御意見を。

○石黒委員 指導の仕方を含めてきちんと脱法的な行為が起きないようにしてほしいということです。

○鎌田部会長 そういう御意見をいただいたということです。

 ほかにございませんか。春木オブザーバー。

○春木オブザーバー 派遣期間制限のところで確認をしたい点が幾つかあります。具体的に申し上げると、5ページから始まっている八について、6ページに移った(三)以降のところで、有期雇用派遣において3年という期間の上限を延長する場合に関する規定が書かれております。7ページの4番では意見聴取のタイミングとして「派遣可能期間を延長しようとするときは意見を聞かなければならない」という文脈からいくと、「派遣期間を延長しようとするときは事前に意見を聞きなさい」ということを意味しているように読めるのですが、次の5を見ますと「派遣可能期間を延長したときは」という事後的な過去形の表現になっている。これを素直に読んだときには、使用者が行う省令規定事項に関する説明は事後的に行ってもオーケーだというふうに意味がとれてしまいます。しかし、説明義務の趣旨を踏まえると、事後的な形での説明では全く意味をなさないと思っていますので、この説明は、3年という上限に達する前に、すなわち事前に行われなければならないと思います。そうした観点からは、要綱にある「延長したとき」という表現は不適切なのではないかと思います。

 これとの兼ね合いで6ページの3の左から2行目には「派遣可能期間を延長することができるものとすること」という表現も書かれてあるのですが、ここも「3年という上限に達する前に延長そのものができる」ということを意味しているのではなく、「上限である3年に達する前に延長することを決定することができる」ということを意味しているのだと思いますので、言葉上の問題かもしれませんけれども、言葉の書き方についての整理が少し必要ではないかなと思います。

 加えて、これもまた7ページの5になるわけですが、建議では過半数組合等へ説明する事項については「対応方針等」と明記されているのですが、法案要綱では「派遣可能期間を延長した理由その他の厚生労働省令で定める事項」となっています。「延長した理由」といった規定だけでは「派遣を継続して受けられたとしても常用代替とはならないと考えた」といった形の説明にとどまってしまうおそれがあるように思いますが、そうした説明では何の意味もなさないと思いますので、ここはやはり建議どおりに、過半数組合の意見への対応方針等を説明すべきだというように明確に規定すべきと思っております。

 もう一つ申し上げます。建議には「派遣先による過半数代表者への不利益扱いの禁止」も盛り込まれているのですけれども、要綱ではこれに関する規定が抜けています。この点については極めて重要だと思っていますので、法律で規定しておくべきではないかと思います。ついては、この点についての事務局の考えを確認させていただきたいと思います。

○鎌田部会長 よろしいですか、特にまとめなくても大丈夫ですか。では、お願いします。

○富田課長 幾つかの御意見をいただいたと思っております。まずこれまでずっとわかりにくいという御指摘をいただいておりまして、先ほど読み上げただけにしておりますので説明が不十分だったところがあるかと思いますので、説明を加えさせていただきたいと思います。

 まず初めのほうから申し上げますと、6ページの3のところからでございます。これを見ますと、4行目の下のほうから「1に抵触することとなる最初の日の一月前までの間に、三年を限り、派遣可能期間を延長することができるものとすること」と書いております。もっとわかりやすく説明いたしますと、派遣可能期間が2で書いてありますとおり3年でございますので、派遣先は3年を経過する1月前までの期間、要するに2年11カ月までの間に3年という派遣可能期間を延長するのかどうかを検討して決定しなければいけないということでございまして、「派遣可能期間を延長することができるものとすること」というのは、2年11月の間にやるわけですから、延長することを決定することができるという意味でございます。

 それから、4項のところで、春木オブザーバーからもございましたけれども、「派遣先は、派遣可能期間を延長しようとするときは」ということですので、当然のことながら派遣先は派遣可能期間の延長の決定をする前に過半数組合等から意見聴取をしなければならない。4は義務規定でございまして、しなければならない。当然2年11月前に聞かなければならないというふうになります。

 次の5番でございますが、「派遣先は、派遣可能期間を延長したときは」と書いておりまして、これが事後みたいに読めるということでございますが、これは実は延長を決定したときはという意味でございまして、2年11月前に過半数組合等から意見聴取をしまして延長しますということを決定したときは説明しなければいけないということで、何で「延長したときは」と書いてあるかと申しますと、延長しなかった場合、延長を決定しなかったときは、してもいいのですけれども、そもそも法律上は説明する責務がないのではないかという整理で、意味としては延長を決定したときはとしているということでございます。ただ、これは事後になってしまうのではないかということが御心配だと思いますので、それはそういうことがないように運用のほうではしっかりとしていきたいとは考えております。

 対応方針等ではなくて、派遣可能期間を延長した理由その他のということで、理由が例示で書いてあるわけでございます。これも法律上の整理でこうなっているものでございまして、当然厚生労働省令で定める事項の中にはこの建議で書いております対応方針という言葉は書く予定でございます。延長した理由はあくまでも厚生労働省令にもう一回書きます例示の一つでしかないわけでございまして、実際の運用に当たっては対応方針等ということで説明していきたいと考えております。

 それから、不利益取扱いの禁止が法律事項に出てきていないということでございます。これは7ページの4番の1行目の「厚生労働省令で定めるところ」の中の一つの項目として不利益取扱いの禁止を書く予定でございまして、これは他法令でも省令で書いていることなどが前提となってそういうふうな整理になっているということでございます。

 ちょっと飛ばしたかもしれません。6ページの3の下から2番目ですけれども、「できるものとすること」というのがおかしいという、これはあくまでも3年間を延ばすということの意味だけでできるものとするということで書いているだけでございまして、当然その前においては過半数組合等からの意見聴取をしなければいけないということで、説明責任とかそういうものもかかってくると御理解をいただきたいと思っております。

○春木オブザーバー あくまでも運用を行っていく中できちんと法律の文言が意味するところについて行政が説明を行っていくということは明確に確認させていただきたいと思いますが、たとえそういうことであったとしても、やはりこのままの法文では、先ほどの高橋委員のご意見ではないですけれども、わかりにくいと思います。法律の文言としては別の意味に読めてしまう書き方がなされていながら、運用において本当に意図・意味しているところがうまく徹底できるのかなという点は、疑問に思います。そのあたりは重々慎重に対応いただくようにお願いしておきたいと思います。

○鎌田部会長 どうぞ。

○新谷委員 関連して。この条文を読むことになる派遣法の当事者において、今、課長が言われたような解釈が示されていなくても、条文を読んで自然に意味するところがわかるようになっていなければ、法は法として生きないと思うのです。先ほどの7ページの5項の「延長したときは」という文言は「延長を決定したとき」を意味しているのだと言われましても、そのような解釈は法律のどこを見ても書いていないわけです。派遣可能期間については、その前の2項に「派遣可能期間は、三年とするもの」と書いてあって、5項では「派遣可能期間を延長したときは」と書いてあります。これでは、どう考えても、「3年を経過したとき」というのが自然的な日本語的な読み方ではないかと思うのです。これはどう見ても、3年経過後に事後的に説明をすればいいというようにしか読めません。この点について、法の番人たる内閣法制局がどういうふうに言っているのか知りませんけれども、やはり法律のユーザーがきちんと解釈できるような書き方にしないと今の回答にあったような「延長を決定したとき」を意味しているということなどは、どこからもわからないものと思います。

 もう一つ前の「延長することができるものとする」という文言も、おっしゃるように「延長の意思決定ができる」という意味なのであれば、そう書くべきです。なお、ここでは何か延長することがありきのように、「延長することができる」と書かれています。「第一義的に延長はできるのだ」というふうにしか読めないのです。しかし、先ほど申し上げたように「派遣は臨時的・一時的である」という原則がある中で、この条文では、その原則と真っ向から対立する形になってしまっていると思います。これでは条文の書き方として建議の内容を適切に踏まえたものとなっていないように思いますので、ぜひ再考をお願いしたいと思います。

○鎌田部会長 今のは意見でよろしいですか。

○新谷委員 はい。

○鎌田部会長 ただ、法律案要綱は法的な観点から正確に記載しなければいけないという側面もあることも御理解いただければと思います。

○新谷委員 「正確に」というふうに今おっしゃいましたか。

○鎌田部会長 建議のということではなくて。

○新谷委員 「法律的に正確に記載しなければならない」というのであれば、まさに意図している内容を正確に規定すべきだと思います。申し上げたように7ページの5項は「派遣先は、派遣可能期間を延長したときは」と過去形になってしまっているのです。その前の箇所では「派遣可能期間は、三年とする」と書いてあるので、これらを併せて見た時に「三年を延長するように決定したときは」というように解釈しろといっても、誰がどう見てもそのようには解釈することはできず、「3年を経過したときには」というようにしか解釈できないと思います。部会長は法律的に正確なのだとおっしゃいますけれども、日本人がこの条文を読んだときには過去形になっているので「3年を経過したときには」としか読めないと思います。以上、意見として申し上げます。

○鎌田部会長 別なことでありますか。

○新谷委員 別件で今の意見聴取のところですけれども、意見聴取について建議では「過半数組合等の意見聴取をせずに3年を超えて継続した場合には労働契約 申込みみなし制度の適用の対象とすることが適当である」と書かれてあって、要綱でいくと14ページに、今回の内容を受けて労働契約申込みみなし制度のところに追加するという形で書いていただいているのですけれども、括弧として「同八の4の意見の聴取の手続のうち厚生労働省令で定めるものが行われないことにより同八の1に違反することとなったときを除く」と書いてあり、労働契約申込みみなし制度の適用除外条項がここに入ってきているのです。その具体的内容は厚生労働省令で定めることになっているのですけれども、省令で定める内容が全く見えてないものだから、何が適用除外とされていくのかがわかりません。建議の中には盛り込んでもらっていますけれども、過半数組合等の意見聴取を受ける主体が一体誰なのかということが問題になるわけでして、つまりは、法律が求めている「過半数組合等に対する意見聴取」はどういう要素が成立していれば法律の要件を満たしていると判断できるのかというところが重要だと思っているのです。過半数組合等となりますと、これは現行の枠組みを使うことになっていますから、過半数組合だけではなくて過半数代表者もこの意見聴取の対象として出てくるわけですが、この過半数代表者が今どんな状況になっているかを申し上げますと、JILPTの調査でもおわかりのとおり、約4割が不適切な選出となっており、その結果として、労働者代表としての正統性が疑われる実態にあるわけです。今回の派遣法でいくとまさしく期間制限のあり方について意見聴取がなされるわけですが、そういった不適切な選出による者に対して意見聴取を行ったとしても意味をなしません。過半数代表者の選出手続が民主的な手続で行われているということを必ず担保しておいていただかないと、意見聴取という手続きは全く形骸化してしまいます。省令によって適用除外となる範囲を規定する際には、その点への配慮をお願いします。

 もう一つは、意見聴取をするに際して、過半数代表が意見の表明をするに際していろいろな資料の提供が求められているわけですけれども、適切な資料の提供がなされなければ過半数組合等としても意見表明などできないわけです。何も資料がないのに意見の表明を求められてもできないわけですから、「資料の提供が行われている」ということも意見聴取が行われたと判断できるための要素として重要だと思っております。以上の点を必ず入れておいていただきたいと思います。

 もう一点は雇用安定措置、4ページのところです。雇用安定措置については、4ページ以降に書かれてあるのですが、建議を見ますと、雇用安定措置について優先順位が書いてあって、「(1)派遣先への直接雇用の依頼」というのが最初に講ずべき内容として、すなわち優先順位の序列でいえば最上位のものとして書いてありました。しかし、今回の要綱では、「まず派遣先への直接雇用の依頼を行う」という点が、雇用安定措置として何も書かれていないのです。これは一体どこへ行ってしまったのだということと、優先順位も書かれていないことから、この要綱は建議をそのままの形で反映したものとはどうしても見えませんので、その点の説明を求めたいと思います。

 また、建議にはなかった文言が要綱には入ってきております。4ページのところに「教育訓練であって雇用の安定に特に資すると認められるものとして厚生労働省令で」と例示として規定されているのですけれども、建議に入ってきていないものがここに入ってきていることについての説明を求めたいと思います。

 それと、もともと建議の(2)として入っていた「新たな就業先の提供」に際して、新たな就業先の提供が合理的な範囲で行われなければならないということを、この部会の議論の中で確認したわけです。たとえば、「今本人が持っているスキルと全く違う派遣先を提供したとしても、それでは雇用安定措置の義務を果たしたことにはならないのではないか」ということを確認していますので、その扱いは一体どのように今後されていくのかということも確認しておきたいと思います。

 また、4ページの(三)と建議の(4)のところとが対になっているのですけれども、よく見ますと、建議に書かれていた「雇用の継続が確実に図られると認められる」という表現がすっかり落ちてしまっています。この部分はどこに行ってしまったのかということも、確認させていただきたいと思います。

 以上です。

○鎌田部会長 どうぞ。

○富田課長 それでは、御説明申し上げます。

 まず半分御意見だとは思っていますけれども、みなし規定のところでございます。これも先ほど読み上げただけでございましたので、少し説明を加えさせていただきたいと思っております。14ページの第二の一の(一)でございます。第一の八の1は派遣先単位の期間制限のところでございまして、1といいますのは派遣可能期間を超えて役務の提供を受けること、超える場合といいますのは当然意見聴取をして延長する決定をした上でないとできないということでございますので、意見聴取をするというのは義務規定でございますので、意見聴取をしていなければみなし規定の対象になるという読み方になります。ただ、八の4というのは意見聴取の先ほどの規定でございますけれども、厚生労働省令が出てきて、先ほど私から説明申し上げましたが、厚生労働省令で書くのが建議で書いております過半数代表の選任であるとか不利益取扱いの禁止あるいは意見聴取の結果の事業所内周知といったことでございますけれども、そういったものについてはもちろん違反は違反として指導、場合によっては勧告・公表の対象にする予定でございますけれども、みなし規定の対象にまではしないという整理でこの括弧書きとなっているわけでございます。御意見がありました民主的な手続ということについてはもちろん省令案を作成する際には十分に踏まえて作成していきたいと考えております。

 雇用安定措置のところでございます。これも説明を加える必要があると思っておりますけれども、ページでいいますと3ページの七番の1以降でございまして、これも読み上げただけで不親切でしたので説明を加えますと、実はここの規定は、建議でいただいています雇用安定措置と平成24年改正法で入りました無期雇用推進措置がございます。その規定が一つの条文になった規定になっております。その趣旨といいますのは、24年改正に入りました無期雇用推進措置の対象者がかなり重複していること、行う措置についてもかなり重複しているということで、そこは一つの条文に整理すべきという審査を受けましてこういうふうに整理したものでございます。

 すみません、質問と違うこともお答えしてしまいますけれども、せっかくの機会ですのでお時間をいただきまして説明しますと、1番に書いております「派遣元事業主は、その雇用する有期雇用派遣労働者であって派遣先の事業所その他派遣就業の場所における同一の組織単位の業務について継続して一年以上の期間当該労働者派遣に係る労働に従事する見込みがあるものとして厚生労働省令で定めるもの」、これについてが今回建議でいただいております組織単位において1年以上働いている方で雇用安定措置の対象者であるということでございまして、次の2行目に出てきます「その他雇用の安定を図る必要性が高いと認められる者として厚生労働省令で定めるもの」については現在の無期雇用の推進措置の対象者でございまして、同一の組織単位では1年以上いないのだけれども同じ事業所内で組織を替わって1年以上働いている人についてはこの対象者で、2行目の厚生労働省令の方については無期雇用推進措置の対象になってくる。それから、次に出てきます厚生労働省令がございますが、これは無期雇用推進措置で認められております過去1年以上雇用した者であって、今、登録中の方を念頭に置いているということでございます。(一)(二)(三)となっていて、(三)が今回建議とは別の条文、書きぶりになっているわけでございますけれども、これも法律案を作成する際に調整の結果、派遣先への直接雇用の依頼がこれまでの法律上の規定等からして法律に書くことがかなり難しいという御指摘がありましたので、これについては法律には書かずに省令で規定をするということで、建議の中身については厚生労働省令のほうで書かせていただこうと考えております。

 そうしますと、(三)のうち新しく出てきたものは何だということでございますが、そうすると例示として書くものが何か必要ということで、雇用安定措置として別のものを少し書き加えさせていただく必要が生じて書かせていただいたということです。これで念頭に置いておりますのは、次の派遣先が決まる間、派遣元で雇用して給料を払いながら教育訓練を行うという場合も雇用がつながっておりますので、それも雇用安定措置として認められるのではないかということで、建議ではなかったわけでございますけれども、「(4)雇用の継続が確実に図られると認められる措置」の一つではないかということで例示として書かせていただいた。先ほど新谷委員からありました「雇用の継続が図られると認められる措置」というふうに、これも法律の用語上書けなかったわけでございますけれども、これについては厚生労働省令または運用ではしっかりと担保していきたいと考えております。

 派遣先の提供の合理的範囲ということでございます。これについては解釈にわたる話でございますので、通達等においてしっかりと明記して運用では対応させていただきたいと考えております。

○鎌田部会長 いいですか。条文の調整の話も途中入れられたので、もしかしたらよりわかりづらくなっているかもしれない。でも、恐らく私の理解では一応回答なさったのかなと。

 まだ追加でお聞きしたいことがありますか。

○新谷委員 確認させてください。法令審査において、建議の1番目に書いてある優先順位第1位の「派遣先への直接雇用の依頼」が法律の条文として書くことを認められなかった、という御説明があり、それゆえそれは省令で書くのだといった説明でありましたけれども、省令で書くときには建議にあるように、第一義的には「(1)派遣先への直接雇用の依頼」が第1優先順位に来ることになるということを明確に確認させてほしいのです。法令には書いていないのだけれども、省令に書くとすれば、建議のとおりにそれは第1順位なのだということの確認をさせてください。

○富田課長 これはもちろん運用のときには建議どおりと考えておりますが、建議のほうで(1)(4)と並べて書いてありますけれども、そちらの委員の方からまた別の御意見があるかもしれませんが、私どもとしては(1)(4)は並列であると理解しております。

○新谷委員 建議の読み方なのですけれども、3ページに(1)(4)まであって、「(1)から(4)のいずれを講じることも可」と書いてあって、その後に「(1)を講じた場合に、直接雇用に至らなかった場合は、その後(2)から(4)のいずれかを講ずるものとする」と書いてあります。この文章の書き方で、(1)(4)は並列であると読むのですか。

○富田課長 ※の1つ目で「いずれを講ずることも可とする」と書いておりまして、これで並列だというふうに、ただ次の文章がついておりますのは、(1)を講じた場合は、これは派遣元だけではいかんともしがたいことでございまして、派遣先がノーと言われたときには雇用が途切れてしまうということがございますので、(2)(4)、派遣元限りでできることをやる必要があるという意味で書いていると私どもは理解しております。

○新谷委員 これは素直に読めばどう見てもそのようには読み取れないと私どもは感じております。まず第1の雇用安定措置をやってみてだめだったときに次にいく、要するに1番目である「派遣先への直接雇用の依頼」を行って、それができなかったときには次の(2)(3)(4)に進む、といった優先順位を示したものだというように、建議の条文を読んで私どもは理解していたのですけれども、それはそうではないということです。これは大きな解釈の違いがここに出ているのではないかと思います。私どもとしてはこれを素直に読めば(1)が優先順位の第1位で、それができなかったときに(2)(3)(4)をやるのだという理解をしておりましたので、大きな解釈のずれがここにあるということが初めてわかったということです。

○鎌田部会長 使用者側としてはこの点についてはどう理解されていましたか。

○高橋委員 課長がおっしゃられたとおりで、(1)(4)のいずれでも可ということは、派遣元といたしましては(1)(4)のいずれを選択してもよいが、仮に(1)を選択した際に、派遣先にお受けいただけない場合は(2)(4)のいずれかを行うということであって、まず一義的には(1)(4)は並列であると理解しております。

○鎌田部会長 その部分については違いがあるようですね。

 その件に関してですか。

○石黒委員 普通の日本語で考えたら、「いずれを講ずることも可とする」という記述だけで別に終わってもいいわけで、あえて(1)を講じた場合に、その後(2)(4)と書いてあるということは、やはり優先順位として(1)があって、その後に(2)(3)(4)だ、というふうにしか日本語的には読み取れないと理解しています。

○鎌田部会長 私もどこかで議論をしたような記憶があるのです。そこで、次回もまた議論するので、そのときに当時の議事録も確認しながら再度議論するということでよろしいですか。今はどうも理解にずれがあるような感じがしますが、とりあえずこれは建議に基づいてこういう形にしたということで、審議の中でどう議論されたのかを少し客観的に見て議論したいと思います。事務局、それでよろしいですか。探しておいてください。

 どうぞ。

○高橋委員 労働契約申込みみなし制度に関係して、14ページを改めて確認させてください。14ページの(一)です。「第一の八の1に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること」で、括弧内で同八の4の意見の聴取の手続については今後厚生労働省令で定めるものが行われないことによって違反することになったときは除くとしているものの、除く規定は八の4だけです。ところが、建議と法律案要綱では、意見聴取期間として具体的に1カ月ということが明記された点が大きく異なっております。建議では、過半数組合等の意見を聴取せずに同一の事業所において3年を超えて継続して受け入れた場合のみを労働契約申込みみなし制度の対象としており、1カ月だとか2カ月だとかいうことはこの部会として議論もしていませんでした。法律上1カ月だと明示しているため、例えば1カ月より前に労使でこの日に意見を聞かせてくださいという約束をしたとしても、突発的な経営上の問題で予定がキャンセルになることも当然あり得ます。その場合にたまたま1カ月前までに意見聴取の手続が終了し得ないような事態も生じ得るわけであります。建議の精神に照らせば3年を超える前に意見聴取の手続が行われればよいのであって、もちろん1カ月前までに行われることが望ましいとは思いますけれども、1カ月前を超えたら直ちに労働契約申込みみなし制度が適用されるという例外が一切ないような規定ぶりとすることについてはいささか問題であります。

○鎌田部会長 この点については、どうぞ。

○富田課長 これについては解釈、法律の読み方を申し上げたいと思いますが、みなし規定、14ページの(一)ですけれども、「第一の八の1に違反して労働者派遣の役務の提供を受けること」となっておりまして、八の1が派遣可能期間を超えて受け入れてはならないということでございますので、みなし規定が適用されるのは3年を超えた日に適用されるという読み方である。超すのは意見聴取をしていないとできないということですので、当然やっておいていただくということ。ただ、要するに2年と11月を1日超して聞いてしまったという場合についてみなしまではいかずに、それは当然4項の違反でございますので、もちろん行政指導の対象にはなるという理解でございます。

○高橋委員 そうすると3年を超える前日までに手続を行っていれば労働契約申込みみなし制度は適用されないという理解ですか。

○富田課長 法律違反は法律違反です。法律違反ですけれども、要するに3年を超して受けたところがみなし規定の対象になってくるということです。

○鎌田部会長 最初の質問は割とシンプルな質問で、その期間内に意見聴取がなされなければみなしの適用になるのかということだったけれども、それにどうお答えになったのですか。

○富田課長 要するに意見聴取をせずに3年を超して受け入れた場合にみなし規定の適用になるとお答えしています。

○鎌田部会長 そうすると、期間内にやらなければ、それで3年を超えればみなしの適用になるということですか。

○富田課長 それは申し上げたと思うのですけれども、違反は違反であるということでございますけれども、みなし規定の適用になるのは意見聴取をせずに受け入れた場合ということでございます。認識が違うかもしれませんので、次回整理してもう一回発言したいと思います。

○鎌田部会長 そうですね。御質問は要するに意見聴取期間という手続がみなしとのかかわりでどういうふうに位置づけたらいいのかということですね。

○高橋委員 その通りです。

○富田課長 次回もう一回整理して申し上げます。

○鎌田部会長 どうぞ。

○新谷委員 今のところに関連して申し上げます。その点は実は重要でして、今回のロジックは、冒頭申し上げたように、「派遣は臨時的・一時的な働き方である、したがって期間制限を設けた上で過半数組合等の意見を聴取する」といった手続をかませているわけです。そして、「その意見聴取をやっていないということは重大な法違反となるので、その時は労働契約申込みみなし制度の対象にする」ということで、それを建議に盛り込んでいただいているわけです。そうすると、そこで働いている派遣労働者にとってみれば法が求める意見聴取が実際に行われたのか行われていないのかというのは、どうやったらわかることになるのですか。

○富田課長 意見聴取が行われたということについては意見聴取の概要を周知いただくということで担保しようと思います。

○新谷委員 そこなのです。先ほど申し上げましたけれども、意見聴取が行われたその結果について周知を今回義務づけているわけですから、意見聴取が行われたことの周知が行われないことになると、意見聴取が行われたのか否か自体が分からなくなり、結果として、当該派遣労働者は労働契約申込みみなし制度を使えなくなるわけです。したがって、労働契約申込みみなし制度の運用を考えるときに、先ほどの14ページでは、厚生労働省令で適用除外を規定すると書いてあるのですが、意見聴取結果の不周知は重大な手続違反と解されるべきですので、これは重要な違反行為である以上、適用除外となる省令には規定すべきではない、と申し上げておきたいと思います。

 以上です。

○鎌田部会長 いろいろな御意見がありますので、先ほど言いましたようにみなしの適用を受けるような意見聴取の内容について少し精査をして御回答いただければ、あと手続違反は手続違反でまた行政制裁の対象になると思います。恐らくその辺のイメージが今のところまだ収斂していないということだと思いますので、次回また事務局からのお話を聞きたいと思います。そういうことでこの点についてはよろしいですか。

 ほかにありますか。

 どうぞ、石黒委員。

○石黒委員 雇用安定措置のところの文言が、建議にある文言と違うので少し確認をしたいと思います。ページとしては5ページの初めの行だと思うのですが、建議では「雇用安定措置は上限に達する派遣労働者に対して行いなさい」というような意味になっているのですが、要綱では「上限に達する見込みがある」という形に表現が変わっています。見込みがあるというものまで対象になるのであれば、見込みがあるか否かというのはどういうふうに判断していくのか。見込みがあるということをどういうふうに判断するのかということが法律で明確になっているのかという点について、理解ができないので教えてください。

○鎌田部会長 お願いいたします。

○富田課長 これは運用の話にもなってきますので、これは省令でも定めることになりますから、また省令案要綱のときにお示ししたいと考えておりますけれども、派遣契約とか雇用契約等で1年以上派遣先で働くことが予定されているということが一つの例としては考えられるのではないかと考えております。

○石黒委員 派遣先で1年以上雇用契約がある。

○富田課長 派遣契約ですので雇用契約は派遣元との関係ですけれども、例えば通知をすることになっていますけれども、済みません、運用の話になってきますので書けるかどうかわかりませんけれども、何らかの形で客観的にわかるような形がとれないかなとは考えております。

○石黒委員 これは有期雇用派遣の話をしているのですが、派遣期間が3年間である派遣契約、例えば3年間の有期雇用の契約を派遣元と結んで、その上で3年間の派遣期間であるの派遣先に派遣労働者を送り込んだ場合には、これはぴったり3年となりますので、3年間の見込みがあるということはクリアなのですけれども、今は多くの有期雇用派遣の場合、そうした3年間の派遣期間を一度に定めるケースはほとんどなくて、半年とか3カ月とか1年とかといった有期の契約を結んで、それを更新していくことが多いわけです。そういうケースについての判断のあり方を少し明確にしていかないと、こういうふうにいわゆる常用代替の防止とかも含めて制度をつくってきたにもかかわらず、2年、1年、半年の契約なのだから当然この人は雇用安定措置の対象にならないといった話になったらよくないので、明確にするような形にしていただきたいと思います。

○富田課長 わかりました。

○鎌田部会長 運用の際にそういった御意見も考慮して御検討ください。

 そのほか御質問はありますでしょうか。

 そういうことでしたら、本日の議論はここまでとし、本法律案要綱については次回も引き続き御議論いただくこととしたいと思います。幾つか宿題のようなものもありますので、そういったことについても事務局より回答がいただければと思います。

 事務局から何かありますでしょうか。

○木本専門官 次回の部会につきましてはただいま日程調整中でございますので、追って事務局より連絡させていただきます。

○鎌田部会長 それでは、以上をもちまして205回「労働力需給制度部会」を終了させていただきます。

 本日の署名委員は新谷委員、高橋委員にお願いいたします。

 皆様、どうもお疲れさまでした。

 


(了)

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