ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会有期雇用特別部会)> 第6回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録(2014年2月20日)




2014年2月20日 第6回労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会 議事録

労働基準局労働条件政策課

○日時

平成26年2月20日(木)18:00~20:00


○場所

経済産業省別館114各省庁共用会議室


○出席者

【公益委員】

阿部委員、猪熊委員、岩村委員、山川委員

【労働者代表委員】

新谷委員、冨田委員、八野委員、芳野委員

【使用者代表委員】

市瀬委員、遠藤委員、小林委員、鈴木委員

【事務局】

(労働基準局) 中野局長、大西審議官、村山労働条件政策課長、大隈労働条件政策推進官
(職業安定局) 内田高齢・障害者雇用対策部長、中山高齢者雇用対策課長

○議題

1 「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」について
2 その他

○議事

○岩村部会長 それでは、委員の皆様おそろいでございますので、ただいまから、第6回「労働政策審議会労働条件分科会有期雇用特別部会」及び第5回「労働政策審議会職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会」の合同会議を開催させていただきます。

 議事に入ります前に、事務局のほうから定足数について御報告いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 定足数について御報告いたします。

労働政策審議会令第9条により、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされておりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、早速議事に入ることにいたします。

お手元の議事次第にありますように、本日の議題は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」について(諮問)でございます。2月14日に開催されましたこの合同会議におきましては、有期労働契約の無期転換ルールの特例等についての報告をとりまとめていただいたところでございます。そして、それをもちまして、厚生労働大臣宛てに建議がなされたところでございます。この建議を踏まえまして、本日、厚生労働大臣から「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」が諮問されました。

そこで、まず、その諮問の内容につきまして事務局から説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○大隈労働条件政策推進官 それでは、事務局から資料2について御説明させていただきます。

 先日いただきました建議に基づきまして法案要綱を作成いたしまして、資料2にあるとおり、本日付で、厚生労働大臣から労働政策審議会長宛て、法案要綱について貴会の意見を求めるということで諮問させていただいております。

内容は、別紙ということで、1枚めくっていただければと思います。法案の名称は、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案」ということでございます。

第一の「目的」ですけれども、「この法律は、専門的知識等を有する有期雇用労働者等の能力の維持向上及び活用を図ることが当該専門的知識等を有する有期雇用労働者等の能力の有効な発揮及び活力ある社会の実現のために重要であることに鑑み、専門的知識等を有する有期雇用労働者がその有する能力を維持向上することができるようにするなど有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する特別の措置を講じ、併せて労働契約法の特例を定め、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする」ということとしております。

第二が「定義」でございますが、まず、「専門的知識等」として、「専門的な知識、技術又は経験であって、高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当するものをいう」としております。これにつきましては、先日建議いただきましたとおり、厚生労働大臣が定める基準として、現在の労働基準法14条にかかわる基準を参考にして、法案成立後改めて労働政策審議会で検討の上定めるということでいただいているもので、それに対応するものでございます。

それから、次が「有期雇用労働者」ですが、「事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいうもの」としております。

続きまして、「特定有期雇用労働者」ですが、「次の1又は2のいずれかに該当する有期雇用労働者をいう」としておりまして、この1と2が今まで審議いただいた高度専門労働者、それから定年後の高齢者に対応するものでございます。1が「専門的知識等を有する有期雇用労働者であって、当該専門的知識等を必要とする業務に就くもの」ということですが、1行目に括弧書きがございまして、ここが年収要件に相当するものでございます。「厚生労働省令で定める額以上である者に限る」ということで、こちらにつきましても、先ほどの高度専門的知識の要件と同様に、現行の労働基準法14条の基準を参考にして、法案成立後、労働政策審議会で検討いただいて定めるということとしております。

それから、3行目の括弧書きですが、「五年を超える一定の期間内に完了することが予定されているものに限る。以下、『特定有期業務』という」としておりますが、これが今まで御議論いただいたいわゆるプロジェクトでございまして、5年を超える一定の期間内に完了する業務、これを「特定有期業務」として定義しております。

それから、2が定年後の高齢者でございます。「定年に達した後引き続いて当該事業主に雇用される有期雇用労働者」ということでございますが、こちらも括弧書きで、「高年齢者雇用安定法に規定する特殊関係事業主にその定年後に引き続いて雇用される場合にあっては、当該特殊関係事業主」としておりまして、これにつきましても、これまで議論いただきましたように、「定年に達した後に同一の事業主又は特殊関係事業主に引き続いて雇用される高齢者を対象とする」という部分に対応したものでございます。

第三が「基本指針」でございます。まず、「厚生労働大臣は、事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置に関する基本的な指針を定めなければならないもの」としております。

次が、基本指針の記載事項でございます。1つ目が「特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項」、2つ目が「事業主が行う特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項」でございます。

それから、「厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、労働政策審議会の意見を聴かなければならない」こととし、また、「厚生労働大臣は、基本指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないもの」としております。

それから、第四が「第一種計画の認定」でございます。第一種計画は、高度専門労働者に対応する雇用管理の計画でございます。まず、「事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主が行う第一種特定有期雇用労働者、これが高度専門労働者でございますが、この労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができるもの」としております。

次が、第一種計画の記載事項でございます。1つ目が、「当該事業主が雇用する第一種特定有期雇用労働者が就く特定有期業務の内容並びに開始及び完了の日」でございます。2つ目が、事業主が講ずる雇用管理に関する措置の内容でございます。若干例示もついておりますが、この第一種特定有期雇用労働者がその職業生活を通じて発揮することができる能力の維持向上を自主的に図るための教育訓練を受けるための有給休暇の付与に関する措置、これが一つの例示でございまして、その他の能力の維持向上を自主的に図る機会の付与に関する措置その他の当該事業主が行う計画対象第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容、これが2つ目の記載事項でございます。3つ目は、その他厚生労働省令で定める事項となっております。

それから、三のところが計画の認定に係る事項です。「厚生労働大臣は、計画の認定の申請があった場合において、その計画が次の1から3までのいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする」としております。

まず1つ目が、「特定有期業務が厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を必要とする業務であること」。2つ目が、二の2及び3に掲げる事項、事業主の雇用管理に関する措置ですが、これが「基本指針に照らして適切なものであること」。それから3番目として、2に定めるもののほか、これは当該事業主が行う雇用管理に関する措置の内容が「有効かつ適切なものであること」ということでございます。

それから、第五が計画の変更等に係る部分です。まず、第四の一の認定を受けた事業主が、この認定に係る計画を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならないものとしております。

それから2つ目は、厚生労働大臣は、この認定に係る第一種計画が、その前にあった第四の三の1から3までのいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとしております。

続きまして、「第六 第二種計画の認定」でございます。こちらは、定年後の高齢者について、その前にありました第一種計画と基本的に同じような仕組みの規定を置いているものでございます。まず最初に、事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業主が行う第二種特定有期雇用労働者、これが定年後の高齢者ですが、この特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画を作成し、これを厚生労働大臣に提出して、その計画が適当である旨の認定を受けることができるものとしております。

次が第二種計画の記載事項でございます。まず、事業主の雇用管理に関する措置が1番目でございまして、「当該事業主が雇用する第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮その他の当該事業主が行う計画対象第二種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容」でございます。

2が「その他厚生労働省令で定める事項」としております。

それから、三でございますが、認定に係る部分で、厚生労働大臣は、計画の認定の申請があった場合において、その計画が次の1及び2のいずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとしております。

1つ目が、二の1及び2に掲げる事項、雇用管理に関する内容ですが、これが基本指針に照らして適切なものであること。2つ目は、1に定めるもののほか、事業主が行う雇用管理に関する措置の内容が有効かつ適切なものであることでございます。

それから、第七は「第二種計画の変更等」でございますが、これは先ほどの第一種計画の変更等と同じ内容でございます。第六の一の認定に係る事業主は、その第二種計画を変更しようとするときは、厚生労働大臣の認定を受けなければならないものとしております。

また、厚生労働大臣は、その認定に係る計画が第六の三の1又は2のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができるものとしております。

続きまして、第八が「労働契約法の特例」の内容でございます。一が高度専門労働者についてでございまして、これも先日いただいた建議の内容をそのまま規定したものでございます。第一種認定事業主と当該事業主が雇用する第一種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とありまして、この原則五年の部分を次のかぎ括弧内で特例とするということでございますが、特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間とするということでございますので、そのプロジェクトが7年間であれば7年間、8年間であれば8年間ということでございます。

ただ、括弧書きで「当該期間が十年を超える場合にあっては、十年」とするということで、これも建議いただいたとおりですが、10年を上限とするという内容でございます。

それから、2つ目は高齢者の部分ですが、第二種認定事業主と当該事業主が雇用する第二種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、定年後引き続いて雇用されている期間は、通算契約期間に算入しないという旨を規定しております。

それから、第九は「援助」でございます。「国は、第一種認定計画に係る第一種特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置を講ずる事業主に対して、必要な助成その他の援助を行うよう努めるものとする」としております。

第十は「指導及び助言」で、厚生労働大臣は、第一種認定事業主又は第二種認定事業主に対し、計画に係る措置の的確な実施に必要な指導及び助言を行うものとするとしております。

第十一が「報告の徴収」でございます。厚生労働大臣は、第一種認定事業主又は第二種認定事業主に対して、計画に記載された事項の実施状況について報告を求めることができるものとしております。

第十二は「適用除外」でございます。これは労働契約法の規定と同様に、国家公務員、地方公務員等について適用除外を定めたものでございます。

第十三は「権限の委任」でございます。この法律に定める厚生労働大臣の権限につきましては、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を都道府県労働局長に委任することができるものとしております。

さらに、都道府県労働局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に委任することができることとしております。

それから、第十四は技術的な省令への委任の規定でございます。

第十五が附則でございまして、「施行期日」ですが、この法律は、平成二十七年四月一日から施行するものとしております。ただし書きがありますが、施行前の準備に係る規定につきましては、公布の日から施行としております。

二の「施行前の準備」でございますが、厚生労働大臣は、この法律の施行前においても、基本指針を定めることができるということとしております。

それから、三の「経過措置」ですけれども、この新しい法律の施行日前に既に労働契約法第十八条第一項に規定する通算契約期間が五年を超えることになった者に係る労働契約の締結の申込みについては、なお従前の例によるという経過措置を置いております。

それから、四は「関係法律の整備」ということでございます。

要綱の内容については以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまのこの要綱案の説明につきまして、御意見、あるいは御質問ありましたらお出しいただきたいと思います。

では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 本日は法律案要綱についての諮問を受けましたが、私どもとして何点か確認させていただきたい点がございます。いくつかありますので、順次申し上げたいと思います。

2月14日に確認しました横書きの報告書の文章が、縦書きの要綱という形できちっと正確に反映されているかどうかという点を中心に、私どもとしてもチェックさせていただきました。

まずお聞きしたいのは、3ページのところです。第三の二の(一)でございます。ここに基本方針の記述がありまして、(一)として「特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項」というのが入ってきているのですけれども、先日確認いたしました報告書の中にはこの文言が入っておりません。これは一体何を意図するものなのでしょうか。先ほども御説明がなかったものですから、まず、これは一体何なのかということを確認させていただきたいというのが一点です。

それともう一つ、第一種計画、第二種計画それぞれに、計画に定めるものの中に、「その他厚生労働省令で定める事項」ということが記載されております。私どもとしては、民事の基本法規である労働契約法がこういう形で特措法によって修正を受けるということ、しかも、行政の関与の中で修正を受けるということに際しては、行政の関与は最小限にするべきであるということを前々から申し上げてきたところです。しかし、ここにバスケットクローズ的な条項が入ってきておりますので、一体これは何を意図されているのかということを確認させていただきたいと思います。

基本方針と事業主が作るそれぞれの計画というのは裏と表の世界であると思っていまして、基本指針で詳細な内容を規定して、計画のほうは、厚生労働大臣の認定という部分で行政の裁量に委ねる余地できるだけ少なくするべきではないかと思っておりますので、あわせてお聞きしたいと思います。

以上です。

○岩村部会長 それでは、事務局の方でお答えをお願いします。

○村山労働条件政策課長 ただいま新谷委員から2点御質問をいただきました。まず1点目の、要綱案3ページ目の「1 特定有期雇用労働者の雇用の動向に関する事項」が含意しているものは何かということでございます。こうした法律の先例としては、累次申し上げていますように、中小企業労働力確保法ですとか、介護労働者雇用管理改善法ですとか、林業労働力確保法ですとか、幾つかの法律で大臣が基本的な指針ないし基本的な計画を定め、その上で、それに則した認定に伴って法律の特例効果が発生する法律があるということは建議に至る段階でも御確認いただいてきたところです。

そうした先例でも、雇用管理に関する措置の内容に関する事項を書く前に、雇用の動向に関する事項として、例えば中小企業労働力確保法で言えば、中長期的に見て、労働力需給がどのようになっていくのか、あるいはその中で中小企業の労働力確保や、あるいは雇用創出の状況がどのようになっているのか、そしてどんな課題があるのかということを書いた上で、具体的な雇用管理改善の措置に関する事項につなげていくという構成をとっているかと存じます。

要綱で意図しておりますのも、基本方針の特にここのところで具体に踏み込んだ案をということではなく、特定有期雇用労働者の方々、一つには高度専門職の有期の方々や、あるいはまた定年後の反復更新を繰り返される継続雇用の方々の動向がどのようになっているかといったマクロ的な動向、数字などについて、まずきちっと押さえた上で、主に柱であります2の「特定有期雇用労働者の特性に応じた雇用管理に関する措置の内容に関する事項」につなげていければと考えているものであり、基本的にデータに関して簡潔に記述するということを意図しているものでございます。

次に、2点目の御質問でございます。4ページ目、また第二種については後ろで同様の規定が置かれておりますけれども、具体的に計画に記載する事項のうちの3の「その他厚生労働省令で定める事項」が何を意図しているのかということです。率直に申し上げて、具体的に現時点で何か意図しているものはあるわけではございません。ですが、このような規定を置くことによりまして、仮に今後、この新しい法律を運用する中で、労使の御意見としても、何か新しいチェックポイントとして計画に記載したほうがいいなということになった場合に、先ほど新谷委員からも、バスケットクローズ的な条項というお話がございましたが、こうした規定が仮にないと、そのために法律を改正する必要が生じてしまいますので、こうした条項を置いているということでございます。

なお、先行する類似の法律におけるバスケットクローズ的な条項としては、例えば何々に関する重要事項とか何々に関する基本的な事項ということで、まさに行政が裁量的にも項目追加できる形になっている例も多うございますが、要綱で「その他厚生労働省令で定める事項」と敢えて省令委任しておりますのは、これは慣例ではございますけれども、こうした法律の下位法令に関しては、当然、労働政策審議会の議を経て、その内容について定めていくということになっておりますので、そのプロセスでも、行政の裁量が広がらないように、労使の皆様にもチェックいただけるような点にも配意してこのような規定にしているということも、あわせて御理解いただければと思います。

雑駁ですが、以上です。

○岩村部会長 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 中身はわかりました。その上で私のほうから要望を二点申し上げたいのですけれども、4ページに厚生労働大臣の認定の規定がございます。ここは第一種計画も第二種計画も同じ書きぶりなのですけれども、計画が要件に適合すると認めるときは認定するという規定です。しかも、第四の三の(二)に「基本方針に照らして適切なものであること」という規定があり、ここで裁量が入ってくるわけです。基本指針と計画の書き分けについては先ほど申し上げたように、計画に記述する内容は、定性的なものではなくて、デジタルに、要するに認定に際して裁量が余り入らないような形の計画であるべきだと思います。計画にいろんな論述があって、それをどういう判断をするかはまさしく厚生労働大臣の裁量である、ということではなく、非常にわかりやすい、デジタル的な中身にしていただきたいということです。これはまた、どういう計画のフォーマットにするのかという論議とも絡んでくると思いますけれども、それをあらかじめ申し上げておきたいというのが一点目の要望です。

もう一点は、前回、報告書をまとめるに際して申し上げたところであり、今申し上げた行政の関与とも裏腹な話ですが、報告書の中にも簡素で効率的な認定手続とするべきであると書かれてありましたので、その範囲内でということでありますけれども、認定申請の過程における集団的な関与、要するに過半数労働組合等への意見徴収ということについても、運用の中でこれを組み込むようなものとして考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。

では、鈴木委員どうぞ。

○鈴木委員 ただいま新谷委員から、集団的な関与、具体的には過半数労働組合等への意見聴取の御発言がありましたので、その点に関しまして申し上げます。

高度専門労働者、高齢者ともに、5年を超えて有期契約者として活躍されている方が現にいらっしゃって、労働者の保護に欠ける実態が現時点ではあるわけではないと理解しております。しかしながら、国家戦略特区法の附則の第2条の規定内容を踏まえ、また、本部会で議論を進めていく中で、労契法18条の特例を設けた場合、事後的な救済措置では十分でなく、事前に適切な行政の関与を行うべきという認識に至ったと考えております。

すなわち、行政が事前に雇用管理が適切に行われていることを認識する限りでの措置であると理解するのが自然であり、労使の適正手続を担保するということについては、その必要性について共通の認識には至ってないと考えております。

あわせまして、前回、遠藤委員からも発言がありましたとおり、行政の認定手続がある中で、個別企業労使による手続を付加的、画一的に要件としてかけた場合、企業は有期特例の活用に慎重となり、結果として高度専門労働者や高齢者の能力発揮を促し、雇用機会を確保・拡大するという特例を設ける目的を実現できなくなることを懸念する次第であります。

したがいまして、過半数労働組合等の意見聴取手続を、法律要件化したり、あるいは一律に推奨するということについて、使側として反対の立場であるということを改めて表明したいと思います。

○岩村部会長 ありがとうございます。あと、新谷委員の御意見について、事務局の方でお願いします。

○村山労働条件政策課長 2点ございましたが、まず第1点の計画の内容に関して、新谷委員の言葉をかりれば、デジタルにというお話についてでございます。これは報告書に至る御議論の過程でも、小林委員はじめ中小企業団体の御意見としても、簡素で効率的な仕組みということがございましたし、また、別な文脈で、労側の委員の方々からも、行政の裁量がなるべく働かないようにということがございました。

そうしたことを十分に踏まえ、基本指針も含めた下位法令に関しては、仮にこの形で法案が成立したとするならば、その成立後に十分この場で御議論を進めていただき、簡素なものとする方向で考えていきたいと思っています。

2点目の過半数組合ないし過半数代表者の関与に関しては、労使それぞれのとりまとめ委員から御意見をいただきましたけれども、いずれにしても、この法律自体をどうこうというよりは、運用面のお話も含めてのことだったと思いますので、この法案が仮に成立したとするならば、その後の御議論の中で十分双方の御意見を伺いながら考えていくべき事項と考えております。

以上でございます。

○岩村部会長 ほかにいかがでございましょうか。

では、芳野委員どうぞ。

○芳野委員 5ページから6ページですけれども、高齢者に関する第六の部分、第二種計画について発言させていただきたいと思います。

建議では、事業主が行うべき適切な雇用管理につきましては、高年齢者の配置、職務等に関する配慮は、高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえて行うべきということが明記されていました。しかし、法案要綱を見ますと、第二種計画の記載事項については、「第二種特定有期雇用労働者に対する配置、職務及び職場環境に関する配慮」として規定されているにとどまっておりまして、肝心の高齢法の趣旨を踏まえてという部分が欠落しています。ここにつきましては、建議どおりに、法案要綱におきましても、高齢者の配置等に関する配慮は高齢法の趣旨を踏まえて行うべきを明記するべきではないかと考えます。

意見として述べさせていただきました。

○岩村部会長 御意見ということですけれども、事務局。

では、村山課長、お願いします。

○村山労働条件政策課長 芳野委員からの御意見でございます。この点に関しましては、今、芳野委員からも御紹介ございましたけれども、報告書の3ページの※印をつけておりますところに、「高年齢者雇用安定法の趣旨を踏まえた高年齢者の配置・職務等に関する配慮等」とされているところを捉えて御指摘いただいたものと理解しております。

 技術的なことを申し上げて恐縮だとは思うのですけれども、高年齢者雇用安定法自体は、基本的な条項に関しては、55歳以上の雇用労働者皆さんに係る法律でございます。したがって、当然、この特例が射程する対象者に関しても、例えば高年齢者雇用安定法上規定されております求人開拓ですとか職業紹介、とりわけ事業主の雇用管理に対する配慮を求めるような規定というのは適用されているということで、逆に、適用が排除されるとか特例であるということであれば何か法律上の規定を設ける必要があるのだろうと思いますけれども、適用されているものについて重ねて書くというのはなかなか立法技術上難しいということもございます。趣旨としては、建議でいただいている内容を踏まえて、配置職務及び職場環境に関する配慮その他とさせていただいているということで、この点、大変恐縮なお答えでありますが、御理解いただければと考えております。

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

 八野委員どうぞ。

○八野委員 計画の認定要件という観点から少しお聞きしたいことがあります。先ほど新谷委員からもありましたように、今後この特例措置を進めていくということであれば、やはり行政の関与は最小限にすべきであるということを前提として話をさせていただきたいと思います。

 事業主が作った計画が、基本方針に照らして認定すべきものであるか否かの判定に当たって、可能な限り客観的に判定できる仕組みにすることが望ましいと思います。そういう観点から見ますと、4ページの第四の三に規定されている第一種計画の認定と、6ページの第六の三に規定されている第二種計画の認定については、第一種計画でも第二種計画でも厚生労働大臣が認定する際の要件の一つとして、「雇用管理に関する措置の内容が対象者の特性に応じた措置として有効かつ適切なものであること」ということが掲げられています。しかし、こうした規定を置いてしまうと、何が有効で何が適切であるかというものを、ちょっと言葉が適切ではないかもしれませんが、行政が主観的に判断することになってしまうのではないか。やはりそういう仕組みにすべきではないと思っています。

 計画の認定要件については、行政の判断余地をなるべく設けないようにし、やはり客観的な形で法律に明確に規定すべきであろうと考えます。こうすることで、これから企業が申請する際にも、行政が認定する際にも、また事業主が労働者に特例について説明する場合にも、適切な運用が確保できるのではないかと思います。

○岩村部会長 では、御意見ということで承りたいと思います。ほかにはいかがでございましょうか。

 冨田委員どうぞ。

○冨田委員 私のほうからは、意見を一点と、事務局へのお尋ねを一点させていただきたいと思っております。

内容につきましては、要綱の5ページの第五、同じく6ページの第七の「計画の変更等」の中に、計画認定の取り消しについて記載されている箇所があるかと思います。これは第一種計画でも第二種計画でも同様なのですけれども、計画が認定要件に適合しなくなったと厚生労働大臣が認めるときは、その認定を取り消すことができるとされております。しかし、計画が認定要件に適合していないということを主管大臣が認知しているということであれば、その計画は「取り消さなければならない」という義務規定にすべきではないかと考えてございます。

 とりわけ、今回のこの特例につきましては、建議のとりまとめに当たっても、計画認定が取り消された場合には特例の対象となる労働者に該当しなくなるため、通常の5年の無期転換ルールに戻るという整理をしておりましたので、計画に基づく雇用管理が適切に行われていないことを主管の大臣が認知したというときには、その計画認定を必ず取り消すこととし、特例となっていた対象の労働者に対して通常のルールに則した無期転換申込権の発生を認めるようにすべきだと考えてございます。

 あと1点、こちらはお尋ねなのですけれども、行政が認定した計画を取り消すという、今回と同様のスキームは、他の法令にも先例があると思われますが、それらでは「取り消すことができる」となっているのか、それとも「取り消さなければならない」となっているのか、先例がありましたら教えていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村部会長 では、事務局にお尋ねですので、よろしくお願いします。

○村山労働条件政策課長 お手元に『労働総覧』という法令集がございまして、1711ページをお開きいただきたいと思います。中小企業労働力確保法で、1条、目的、2条、定義、3条、基本指針、4条、改善計画の認定の後に、条見出しで「改善計画の変更等」としている5条がございます。変更等の「等」が取り消しの規定でして、1711ページ一番下の段の一番右側、「都道府県知事は」で始まる文で、「その認定を取り消すことができる」とされており、こうした先例にならって要綱の規定にしているものです。これは介護労働者雇用管理改善法ですとか林業労働力確保法ですとか、あるいは他省庁の似たような産業立法のスキームなどでも、いずれも「取り消すことができる」とされているところです。これが直接のお答えでございます。

 そして、決して裁量性の件を我々としても軽視している訳ではないということで御理解いただきたいのは、ごく軽微な、何か記入もれ等の問題があった場合に、当然、助言指導して直していただくというような流れというのは現実問題としてあろうかと思います。そうした際に、「取り消さなければならない」あるいは「取り消すものとする」という規定を置いて、再度全て一から申請をやり直していただくというのも一つの考え方かもしれませんが、そのような場合にはできれば修正し、そして適切に行っていただくという考え方に立っているということです。もとより、本質的な問題があり、冨田委員御懸念のような場合にあっては取り消すという対応をしっかりとっていくということで、それ全体をあらわす表現として、「取り消すことができる」と、他法の並びも考えながら規定しているということは御理解いただければありがたいと考えております。

 以上です。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

 では、新谷委員どうぞ。

○新谷委員 今の冨田委員の指摘事項のところは、「取り消すことができる」と言うと、行政の裁量の余地が残っている印象を強く受けたものですから確認させていただいたのですけれども、実は取り消しの効果がどこにも書いてないのです。当部会でも何回か確認させていただきましたけれども、認定の取り消しが行われたときには、有期労働契約の初回の締結時点を起点として通算契約期間が算定されていって、通算5年を超えるかどうかで、無期転換申込権の発生が判定されるという確認をしております。多分、立法論的には、民法の大原則に戻って、取り消された行為は初めから無効であったものとみなすということなのでしょうけれども、なぜ取り消しの効果が書かれてないのかということを確認させていただきたいというのが一点です。

 もう一点は、これも計画書の記載事項等の関係なのですけれども、7ページの第八の「労働契約法の特例」の第一種計画の適用期間についての確認です。3行目以降に、第一種計画に記載された特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間が適用の期間になる、と記載されています。これは特例の期間なのだということですけれども、先ほどもちょっと論議があった点ですが、5年を超えて長期にわたる有期のプロジェクトに対して計画を出しますので、例えば7年で計画の認定を受けていたのだけれども、プロジェクトが7年でなくて6年で終わってしまったときに、変更の手続をしなければ、プロジェクト終わっているのに、計画に記載された期間がそのまま生きてしまって、その間も特例扱いになってしまうのか、特例の適用を外すには必ず変更手続を行っておかないといけないのか、ということを確認させていただきたいと思います。

以上です。

○岩村部会長 では事務局、お願いします。

○村山労働条件政策課長 本質的に同様の御懸念であったと理解しておりますし、また、確かにこのいわゆる縦書きになった要綱で、そこのところ、以前、ポンチ絵で確認いただいたところが見えづらいというところがあって恐縮だと思っております。

その上で、全て認定のスキームの中で対象となっているのは、第一種とか第二種という冠がついておりますが、特定有期雇用労働者の方々であります。特定有期雇用労働者とはどういう人かということについては、先ほど御説明を差し上げた最初のほうの「定義」というところ、第二の三というところで、「この法律において『特定有期雇用労働者』とは、次の1又は2のいずれかに該当する有期雇用労働者をいうものとする」とされておりまして、ここでまず押さえた上で、その上で認定されるのは、それらの方々の特性に応じた雇用管理に関する措置についての計画、そういう構成になっているということでございます。

したがって、特にこの議論の途中でありましたような、例えば途中で違う業務に移されてしまうとかそういった場合には、当然、特定有期雇用労働者であること自体が外れますので、先ほど新谷委員もおっしゃいましたように、原則に戻るということで、そこは反射的に原則のルールの5年に戻るという理解でございます。

本質的にそういう構造になっているということで、7年の計画で出して、そもそも認定を受けたもの自体が6年で終わってしまったという場合には、もうその時点でそのプロジェクト自体が終わったということで、その時点でさらにその人が、御懸念は、さらに引き続いて、しかも有期の形で同じところに雇われるときの無期転換権がどうなるかということについてだと思います。それは次の業務についた瞬間に、本来5年で発生しているものですから、反射的に5年に戻って、無期転換権が発生するということは損なわれるものではないということでございます。

ただ、調整の規定みたいなものは、原則に戻るということはあえて法律は書かないものですからちょっと見えづらくなっておりますので、今後の説明や周知に当たっても、今、御指摘の点、胸に置いてしっかりやっていきたいと考えております。

○岩村部会長 よろしいでしょうか。

○新谷委員 はい。

○岩村部会長 ほかにはいかがでしょう。

では、遠藤委員どうぞ。

○遠藤委員 本日は実務的に今後整理をしなければいけない事項も出てきていますので、1点だけ、今まで申し上げてきたことの確認をさせてください。

先ほどのプロジェクトのお話なのですが、確かに認定を受けるということであれば、その認定期間内とする、これは何ら異論がないところです。議論の途中で何点か申し上げたのですけれども、プロジェクトが終わったとしても、そのプロジェクトの残務処理という形で、プロジェクト員の何名かが高度専門能力を使って対応をしているという実例は幾つもあります。

そうなったときに、当該期間を超えてということになってしまうと問題があるかもしれませんが、当該期間内の中でプロジェクトが一時点で終えて、その残りの期間を残務という形でメンバーの何人かが対応する実例は今後も出てくると思っていますので、運用の中で、何が黒で何が白なのかというところは丁寧に御説明していかないと現場が混乱してしまうと思います。これは何らかの法的な意図、目的を与えるものではなくて、誤解が生じないようにする意味で、一定のルールをつくっていく必要があると思っています。

以上です。

○岩村部会長 ありがとうございます。そのほかいかがでございましょうか。

よろしいでしょうか。

それでは、今日いろいろ御意見はいただきましたけれども、それにつきましては、その中には今後法案成立後に改めて労働政策審議会で議論の必要なものも含めたものかと思います。ただ、この要綱案自体についてはおおむね意見の一致が見られたのではないかと考えているところでございます。

そこで、この要綱案につきましては、本特別部会としてはおおむね妥当と認めることにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。今まで、労働条件分科会及び職業安定分科会の両分科会のもとにそれぞれ特別部会を設置しまして、2つの部会の合同という形で議論を行ってきたところでございます。労働政策審議会令第7条第9項及びそれぞれの特別部会の運営規程によりますと、「特別部会が議決したときには、当該議決をもって分科会の議決とする」ということになっております。また、労働政策審議会令第6条第9項及び労働政策審議会運営規程第9条の規定によりまして、「分科会の議決をもって労働政策審議会の議決とすることができる」と定められているところでございます。

以上のような規定を踏まえまして、事務局のほうに答申案を用意していただいておりますので、まず、これを配付し、読み上げていただくということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(答申案配付)

○大隈労働条件政策推進官 それでは、ただいまお配りいたしました、3枚ついているかと思いますが、1枚目は審議会長から大臣宛てで、次の紙がそれぞれの分科会長から審議会長宛てでございますが、この部会としてのものは3枚目でございますので、3枚目をご覧いただければと思います。

 

「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法案要綱」について

 

平成26年2月20日付け厚生労働省発基0220第1号をもって労働政策審議会に諮問のあった標記については、労働条件分科会有期雇用特別部会及び職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会は、下記のとおり報告する。

 

 

要綱については、おおむね妥当と考える。

 

 以上でございます。

○岩村部会長 ありがとうございました。ただいま配付して読み上げていただきました内容で、両特別部会長から両分科会長、両分科会長から労働政策審議会長宛てに連名で報告し、この報告のとおりで厚生労働大臣宛てに答申を行うということにしたいと考えますが、その扱いでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村部会長 ありがとうございます。

 それでは、そのように取り計らいたいと思います。

これまで非常に限られた時間の中で熱心に御議論いただきました委員の皆様方に改めてこの場でお礼を申し上げたいと思います。また、事務局の方でも、この答申を踏まえました法案の作成などについて、よろしく進行の方をお願いしたいと思います。

 最後に、事務局のほうから何かございますか。

○大隈労働条件政策推進官 今後の特別部会の持ち方につきましては、部会長及び委員の皆様と改めて御相談させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

○岩村部会長 それでは、これをもちまして、第6回「有期雇用特別部会」及び第5回「高年齢者有期雇用特別部会」を終了ということにさせていただきたいと思います。

 最後に、議事録の署名でございますけれども、労働者代表につきましては八野委員に、それから、使用者代表につきましては遠藤委員にそれぞれお願いいたしたいと思います。

 本日は、お忙しい中、遅くまで大変ありがとうございました。


(了)

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