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2013年12月24日 第80回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成25年12月24日(火)16:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、岡本浩志、小畑明、栗林正巳、城内博、新谷信幸、鈴木睦、辻英人、角田透、土橋律、中村聡子、中村節雄、縄野徳弘、半沢美幸、山口直人、田久氏(勝野委員代理)

事務局:

中野雅之 (労働基準局長)
半田有通 (安全衛生部長)
井内雅明 (計画課長)
奈良篤 (安全課長)
泉陽子 (労働衛生課長)
森戸和美 (化学物質対策課長)
角田伸二 (化学物質評価室長)
毛利正 (調査官)

○議題

(1)今後の労働安全衛生対策について(建議)
(2)新規化学物質の有害性の調査結果について(報告)
(3)独立行政法人改革の検討状況について(報告)
(4)その他

○議事

○分科会長 定刻になりましたので、ただいまから「第 80 回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催します。本日の出席状況ですが、公益代表では桑野委員、三柴委員、水島委員、労働者代表では勝野委員、使用者代表では中澤委員が欠席されています。勝野委員の代理として全建総連の田久様が出席されています。

 それでは議事に移ります。本日の議題は「今後の労働安全衛生対策について」の建議、それから報告案件が 2 件になっています。

 それではまず、議題の (1) 「今後の労働安全衛生対策について」ですが、前回の分科会で一部、文意を明確に修正するということで、修正内容は私に一任となっていました。まず、事務局から修正点について報告をお願いします。

○井内計画課長 前回、 12 17 日の分科会で、お配りしています資料 1 の中の「今後の労働安全衛生対策について ( 報告 ) 」の 7 ページの「 7 職場におけるメンタルヘルス対策」の中の ( 対策の方向性 ) のアについて文章が分かりづらいということと事業者自身がストレスチェックなどを行うように読めてしまうという御意見をいただきました。これを受けまして、土橋分科会長と御相談をしまして、全体を 2 つの文章に切って読みやすくする、それから医師又は保健師によるストレスチェックという用語で統一すると、そういう修正をいたしまして、本日、資料 1 の報告案として配布しています。以上です。

○分科会長 こちらで建議を行いたいと思います。労働政策審議会令第 6 条第 9 項の規定に基づき「本分科会の議決をもって審議会の議決とすることができる」とされていますので、この報告により労働政策審議会から厚生労働大臣に建議することとしたいと思います。資料 1 及び 2 ページ目の労働政策審議会建議案及び安全衛生分科会報告のとおり、報告及び建議することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 それでは報告及び建議について了承とします。これまで、今後の安全衛生対策について精力的に御議論いただいた労使各側及び公益委員の御協力に感謝します。それでは労働政策審議会会長に代わって建議したいと思います。

 労審発第 715 号、平成 25 12 24 日、厚生労働大臣田村憲久殿。労働政策審議会会長樋口美雄。今後の労働安全衛生対策について ( 建議 ) 。本審議会は、標記について、下記のとおりの結論に達したので、厚生労働省設置法第 9 条第 1 項第 3 号の規定に基づき、建議する。記、別紙の安全衛生分科会の報告のとおり。

 それでは建議をお渡ししたいと思います。

( 建議を中野労働基準局長に手交 )

○分科会長 ここで、中野労働基準局長から御挨拶をいただきたいと思います。

○中野労働基準局長 ただいま土橋分科会長から建議をいただきました。当分科会におきましては、第 12 次労働災害防止計画を踏まえた検討として今後の労働安全衛生対策につきまして、本年 6 月から 8 回にわたり熱心に御審議をいただきました。そして本日、このように報告を取りまとめていただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。

 建議の内容は化学物質の管理の在り方やメンタルヘルス対策など、合計で 9 項目に及ぶ大変幅広い内容となっておりますが、どれも重要な事項ですので法的整備を含めまして必要な対応をしたいと考えているところです。委員の皆様には、これまでの御協力に重ねてお礼を申し上げますとともに、今後も安全衛生行政をはじめとする厚生労働行政に対する一層の御支援、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。どうもありがとうございました。

○分科会長 ありがとうございました。ただいま建議をいたしましたが、これまで公労使のそれぞれの立場から時には厳しい議論を交わしながら今回の取りまとめに至ったわけです。この機会にそれぞれの代表者から報告書に対する感想なりコメントを頂戴してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 それではまず、労働者側からお願いします。

○新谷委員 まずもって、これまでの論議において、労使双方から様々な意見が出された中で、分科会報告をまとめていただいたことに対しまして、公益委員の先生方に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

 この労働安全衛生という分野は、働く者の命と健康、さらには安心して安全に働けるということに直結する重要な領域ですので、必要な対策を速やかに講じて行くことが不可欠であると思っています。そういった面では、前回の当分科会での建議をもとにした労働安全衛生法の改正法案が、昨年の衆議院の解散とともに廃案となり、成立しなかったということは、非常に残念な出来事でした。

 今回の建議は、前回の建議を踏まえつつ、 12 次防にも対応した内容にもなっておりますし、ただいま中野局長からありましたように、新たに化学物質管理のあり方の見直しや、企業単位での安全・健康に対する意識改革を促進する仕組みの導入など、前回建議からさらに進んだ内容が多岐にわたって盛り込まれています。われわれとしては、労働安全衛生対策を一層強化し、すべての労働者が健康で安心して働くことのできる環境作りにつながるものとして、評価をしたいと思っております。

 ただ、一方で、受動喫煙防止対策に関して、前回の建議で明記されておりました「全面禁煙、あるいは空間分煙を事業者に義務付ける」ということが盛り込まれなかった点につきましては、先般の国会審議の中で与野党が改正法案の修正協議を行ったことを踏まえたものであることは承知してはおりますが、われわれとしては、大変残念な内容であったと言わざるをえないと思っております。

 今後は本報告に基づいて、法律案要綱や法律条文の作成が行われることになると思いますが、事務局におかれては法律案要綱並びに法律条文につきまして、本報告の内容が正確に反映されたものを御準備いただくように強くお願いを申し上げまして、労働側としてのコメントとさせていただきます。ありがとうございました。

○分科会長 どうもありがとうございました。

 次に使用者側からお願いします。

○明石委員 公益側の皆さん、また労働側の皆さん、また行政の皆さん、誠にありがとうございました。今、新谷委員もおっしゃられたように、なかなか厳しい議論というか、どうしてもそこは労使の隔てのあるところだと思います。そういう中で議論が重ねられまして、ある一定のところに収斂をされたということで我々も一定の評価をしたいと思っています。

 ただ、今後は、議論の最後のほうで座長の御意見もありましたし、建議にも記載されていますが、細かい規制を積み重ねる以外に、やはり企業の自主性を重んじた対策を是非、大いに取り入れていただき、企業がまた元気が出るような対策を打っていただければと思っています。誠にありがとうございました。

○分科会長 ありがとうございました。

 最後に公益側からということで、私からコメントさせていただきます。まず、 9 項目にわたる、かなり内容のあるものがまとめられたと思います。相当、時間をかけて皆さん、御議論をいただきました。どうもありがとうございました。

 労働安全衛生行政ですが、当然、世の中の変化に即して変えながらやっていかなければいけないこともあると思いますが、特に今回の中でもメンタルヘルス、あるいは化学物質というようなところはそういった変化に即しているものになっているのではないかと考えています。

 今後につきましては、これをうまく運用して、効果を出していただいて安全衛生のレベルアップに是非、つなげていきたいと考えています。どうもありがとうございました。

 それでは次の議題に移らせていただきます。議題の 2 及び 3 は報告案件ですので、事務局から続けて説明をお願いします。

○角田化学物質評価室長 資料 2 「新規化学物質の有害性の調査結果について」を説明いたします。 1 ページを御覧ください。上半分の枠の中が、新規化学物質の有害性調査の仕組みです。まず、 1 つ目のポツとして、安衛法の規定で化学物質による労働者の健康障害を防止するために、新規化学物質を製造等する事業者は、労働者の健康に与える影響についての調査 ( 有害性調査 ) を実施し、厚生労働大臣に届け出なければならないとされています。 2 つ目のポツは、その新規届出がありますと、厚生労働大臣は名称を公表するとともに、有害性調査結果について学識経験者の意見を聴き、届出事業者への健康障害防止措置の勧告や微生物を用いた試験において突然変異を引き起こす性質 ( 変異原性 ) があるものについて届出事業者に健康障害防止措置について指示を行うこととなっています。 3 つ目のポツは、学識経験者の意見を聴いたときは、その内容を官報公表後 1 年以内に本審議会に報告するとされていますので、毎年この分科会に報告しています。以上が仕組みです。

 下半分の四角の中が報告の内容です。まず、報告対象です。今回、報告いたしますのは、平成 24 12 27 日~平成 25 9 27 日までに官報に名称が公表された新規化学物質 1,125 物質について、学識経験者に意見を求めました。その結果、学識経験者の意見ですが、健康障害防止措置の勧告については、該当なし。変異原性が認められると判定されたものは 43 物質ありました。これについては、3のとおり、 ( ) の指針に基づく措置を実施することが妥当とされましたので、届出事業者に労働基準局長名で指針に基づく措置を講ずるよう要請する通知を発出しています。注書きは、指針の内容です。作業環境管理・作業管理、作業環境測定、労働衛生教育、危険有害性の表示等を行うよう規定されています。

2 ページを御覧ください。化学物質管理の体系図です。三角の一番下の、危険有害性が確認されていない化学物質のグループの中でも、このような変異原性の確認により、指針による指導をしているものです。

3 ページの ( 参考 2) は、変異原性が認められると確認された 43 物質のリストです。名称公表の年月ごとにまとめています。

5 ページは指針の本体で、ばく露低減措置等を規定している指針です。 7 ページの ( 参考 4) は、御検討いただいた学識経験者の名簿です。報告は以上です。

○分科会長 続けて、資料 3 についても報告をお願いします。

○井内計画課長 資料 3 「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」は、本日付けで閣議決定がなされたものです。独立行政法人制度の見直しについては、これまで、独立行政法人改革に関する有識者懇談会や行政改革推進会議で議論がなされ、見直しの視点としては、法人の事務・事業の特性等に応じた法人の分類をし、その機能に合わせて見直しを図る。また、 PDCA サイクルが機能する目標・評価の仕組みの構築など、そういった観点からの見直しが検討されてきました。本日の閣議決定では、そういった基本的な総論的な見直しとともに、具体的に独立行政法人の今後の方針が閣議決定されています。

 本日は、この安全衛生分科会と大きく関わりのある労働安全衛生総合研究所について、統合の方向性、方針が決まりましたので、報告いたします。

2 ページを御覧ください。労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構について、上記 2 法人を統合し、中期目標管理型の法人とする。国が委託事業として実施している産業保健支援に関する事業及び化学物質の有害性調査 ( 日本バイオアッセイ研究センター事業 ) については、統合法人の業務として集約し、一元的に実施する。このため、産業保健推進センター事業に係る従前の「ブロック化」の方針を見直すとともに、関連する組織・予算の徹底した合理化を行う。併せて、労災病院については、法人本部が各病院の運営実態を的確に把握し、内部統制が有効に機能する体制を構築するとともに、その実効性を検証しながら、信頼性ある病院運営・指導体制の確立に努める、とされました。以上が閣議決定です。

3 ページには、労働者健康福祉機構と労働安全衛生総合研究所の統合について議論されてきましたが、その行革推進会議の分科会に提出された資料を参考までに抜粋して載せています。 1. 「勤労者の健康を取り巻く状況の変化と厚生労働行政に求められる役割」では、変化として、アスベスト関連疾患や胆管がんなど想定外の新事例が起こり、こういったものに対して、原因物質の特定や発生機序の解明を含めて、迅速・的確な対応が必要になってきています。また、その下にあるように、脳・心臓疾患や精神疾患など、労災の補償件数が増加しており、これに対しては、日常からの予防対策、迅速・的確な療養、早期の職場復帰支援が必要です。

 省略しまして、一番下の矢印の所ですが、こういったことを受けて、労災病院における臨床研究や医療提供の機能、安衛研における高度な基礎研究・応用研究機能を有機的に統合して、予防・治療・職場復帰支援を総合的に展開していく必要があるということです。

4 ページの 2. 「求められる役割を踏まえた組織のあり方」として、労福機構の労災病院、産業保健推進センター、それから、下のほうに、安衛研、日本バイオアッセイ研究センターと、それぞれこのような形で統合後の機能が有機的につながっています。

5 ページの 3. 「統合による効果の具体例」は、私どもが行革の会議などに説明してきたものです。労福機構と安衛研の統合により、労働災害による疾病・負傷の予防に関する施策について、発生からそのメカニズムの解明まで一貫して把握・研究できるような施策を企画立案するために必要な行政への情報提供や助言が迅速・効率的に行われるようになるということです。具体的な効果は1~3に挙げたとおりです。

 1として、労福機構 ( 労災病院 ) の保有する臨床データを安衛研とバイオが活用する。具体的な活用方法として○が 2 つほどあるように、同じ組織になることで、例えば労災病院が長年蓄積している病職歴データを活用した大規模疫学調査研究を行うとか、また、労災病院での症例などを端緒に安衛研による疾病の発生機序に関する基礎的な解析や、日本バイオアッセイ研究センターによる原因物質の有害性の有無の確認などに有機的につながっていくということです。

 2は、逆に、安衛研の基礎研究の成果を労福機構が活用するということです。安衛研の基礎研究の成果を、労福機構の臨床研究に活用する。具体的には、石綿やメンタルヘルス対策などの疾病の診断・治療に係る臨床研究に安衛研の石綿繊維の同定技術を活用できるなどです。また、メンタルヘルス対策について、安衛研の事業場のメンタルヘルス対策の取組状況に関する研究と、労福機構の臨床研究との連携による、メンタルヘルス対策の強化などが考えられる。そういうものが図られるということです。

 3は、安衛研と労福機構 ( 産業保健推進センター ) との連携による効果として、安衛研と産業保健推進センター等が連携して、産業医・保健師・企業の安全衛生担当者などの産業保健の専門家を通じて、社会還元が可能になるということです。こうしたことで、 3 者が統合される方向が固まり、以上のような効果が期待されるということです。

 それから、 6 ページに参考として、安衛研とバイオアッセイ研究センターの概要があります。全ては申しませんが、右のほうにあるとおり、日本国内で唯一の労働安全衛生分野の総合的な研究機関として、労働安全衛生施策の基礎となる科学的データを提供し、ここでも御議論いただいたように、法令改正やガイドライン、通達の策定などに活用されています。また、胆管がんの集団発生や海底のシールドトンネル建設工事の崩壊水没事故などの大規模な災害については原因がなかなか分からないところがありますが、安衛研が原因調査に入って、原因究明・再発防止のための調査など、行政機関等から依頼されて、そういったことも実施している研究機関です。

 また、バイオアッセイ研究センターは、日本国内で長期吸入によるがん原性試験が実施できる唯一の試験機関です。発がん性の有無を確認するための長期吸入試験、経口試験、生殖毒性試験等を実施しています。

7 ページは労福機構の概要です。これは省略いたしますが、労災病院の運営、産業保健推進センター事業、未払い賃金の立替払い事業などの事業を行っている大きな独立行政法人です。

 本日、この 3 者が統合する方針が閣議決定されましたので報告いたします。

○分科会長 資料 2 、資料 3 の説明でした。質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。報告案件でした。

 以上で本日の分科会の議題は全て終了いたしました。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

○半田安全衛生部長 先ほど基準局長からもお話がありましたが、 6 月以降、毎月のように御議論いただきまして本当にありがとうございました。本日の御議論いただいた建議を基に、委員からも御指摘いただいたとおり、しっかりと法令に落とし込んでいくよう努めていきます。この法律案要綱についても、また御審議をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○井内計画課長 次回の分科会は、年明けに法律案要綱を諮問させていただきたいと思います。日程は別途、御連絡いたします。

○分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名は、労働者代表は新谷委員、使用者代表は中村節雄委員にお願いいたします。

 本日はお忙しい中、ありがとうございました。


(了)

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