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2014年2月27日 第2回東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会  議事録

労働基準局安全衛生部労働衛生課

○日時

平成26年2月27日(木)
13:30~15:30


○場所

厚生労働省労働基準局第1・2会議室(16階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○議事

○得津室長 本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回「東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学的研究のあり方に関する専門家検討会」を開催いたします。

 本日の出席状況でございます。委員7名の方、全員に御出席をいただいております。

 お配りしている資料の3ページに、参集者の一覧を載せておりますけれども、今回から放医研理事の明石先生が出席されております。

 それから、長崎大学大学院の高村先生も、本日から御出席ということになっております。

 それでは、カメラの撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 本日の議事進行は、大久保座長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

○大久保座長 それでは、第2回の委員会をこれから始めますが、きょうも御協力のほど、よろしくお願いいたします。

 それではまず、資料確認をしていただきます。

○安井室長補佐 それでは、資料の確認をいたします。

 まず、1ページ目が次第でございまして、1ページ目めくっていただきますと、開催要綱がございます。

 4ページ目から、資料2といたしまして、前回検討会の議事録の案でございます。それから、

18ページから資料3といたしまして、ロシア連邦における「チェルノブイリ周辺住民・作業従事者の疫学登録」という資料でございます。

26ページから資料4ということでございます。

38ページに、資料5ということで、「第三者提供について」というレセプト関係の資料をつけてございます。

39ページから資料の6といたしまして、「年齢別線量分布表」というのをつけてございます。

 資料としては以上でございます。

○大久保座長 ありがとうございました。

 最後の2枚は、前回の審議の中で用意をしていただくようにお願いした資料でございます。

 それでは、前回に続けて、きょうは高村先生から「ロシア連邦における作業者の登録方法と集団の特性、それに現在までの疫学研究」ということで、今ごらんいただいた資料に沿って、10分程度でお願いできますか。

○高村委員 では、お手元の資料3をごらんください。

 「ロシア連邦におけるチェルノブイリ周辺住民・作業従事者の疫学登録」と書いておりますけれども、御承知のように、1986年のチェルノブイリの事故当時というのは、まだソビエト連邦でありましたので、その後国が崩壊して、各独立した国に現在では作業者がいらっしゃるという状況で、主に作業者の疫学調査をやっているのは、ロシア及びウクライナ、あるいはベラルーシということになるのですけれども、このうち比較的データがしっかりと出されているものを調べてみたのですけれども、やはり、ロシア連邦のものが一番出ているだろうと思いまして、今回はこのロシア連邦のものを紹介したいと思います。ただし、後から申し上げますけれども、英語で出されていな情報が結構ありまして、その点で情報が限られているのは御了承いただきたいと思います。

 1枚目は、ロシア連邦でどのような形で登録をやっているかということですけれども、非常に広いところですので、各主要都市に、地区のセンターをつくるという形になっておりまして、それを集約しているのがモスクワの近くにオブニンスクというところがありまして、ここに放射線医学研究所があるのですけれども、ここでデータを集約する形で疫学登録をやっているのです。

 きょう出しました資料は、主にそこの疫学の部長である、ビクトリー・イワノフ先生が出された資料を基本的に日本語訳して使わせていただいております。

 「登録者の内訳」というものが次にありますけれども、当時、汚染地域に居住した住民の方が367,000人ぐらい。そして、緊急作業者の方が186,395人ということで、全登録の大体3分の1を占めているということになります。この18万人のうち、下に書いておりますように、1986年から87年ですから、事故の最初の2年間に従事された方は約6万人なのですけれども、この方々が毎年受診。以降にサイトに入って作業された方については2年に一度の検診ということになっております。

 めくっていただきまして、実際の登録はどういう形になっているかということで書いておりますけれども、大きく分けて、がん登録があり、死因登録、そして、甲状腺疾患に関する登録というものがあり、がん登録の中に白血病登録が含まれるという形になっていると書かれております。

 その下のグラフは、横軸が、初めて実際に30キロ圏内に入った時期と、その平均の線量ということになります。見てわかりますように、86年4月26日から最初の1年間を区切っておりますけれども、当然ながら初期のほうが平均の線量が高いということが見てとれるかと思います。

 ちなみにこの線量をどのように把握しているかということなのですけれども、これも実は余り英語で信頼できるような資料が無いのですけれども、いろいろと文献を当たりますと、これはレオニード・イリーンの生物物理学研究所の所長が書いたモノグラフの中に書いてあるのですけれども、最初の数カ月についてはほとんど測定はしていないと、事故があった4月から6月中ごろまでについては、線量測定サービスというものは、ほとんどうまくいっていないと書かれております。それ以降、6月から7月くらいから、線量管理というものは、TLDまたはフィルムバッジを用いて行っていると。ただし、これは全員にやっているわけではなく、作業グループごとの1人に行っていると書かれております。正式な論文ではなく、彼のモノグラフの中に書いてある一説なのですけれども、そのような記載があります。

 次をめくっていただきまして、これは「年齢群における緊急作業者の人数分布」でありますけれども、ボリュームゾーンが、やはり30代後半にありますけれども、18歳から29歳という、かなり若い方もかなり含まれているということがわかります。その下にあります「年齢群における平均線量」で見ますと、大体、100から150ミリグレイというのが、各年代ごとですけれども、このような若い世代も140程度であるということがわかります。

 次をめくっていただきますと「線量群ごとの人数分布」と書いておりますけれども、ゼロから5050から150150以上というようにいたしておりますけれども、50から150が2万1,000人、150以上も1万9,000人ということになっております。

そして「線量群ごとの平均被ばく線量」と書いておりますけれども、これは当然ながら、群が上がるごとに線量が上がっていくわけですけれども、それぞれ、2194208ミリグレイということになっております。

 こういった緊急作業者に対して、次のページをめくっていただきますと、これはイワノフの論文の中にあるデータなのですけれども、A、B、C1C2C3と書いておりますけれども、この5種類のコホートが現在あると書かれております。AとBは、両方とも非がんの罹患率に関する調査でありますけれども、AとBの違いは、Aが1986年から90年に作業を開始した人のものでありまして、Bはそのうち最初の1年間、1986年から87年の最初の1年間に作業を開始した人に関する調査ということですから、当然ながら、AよりもBのほうが平均線量が高くなっているということになります。

C1につきましては悪性新生物の死亡率、C2というのは固形がんの罹患率、C3が白血病の罹患率についての、それぞれの調査を行っているということであります。

 実際の結果が、それ以降にあるわけですけれども、その下が「緊急時作業者の死因内訳」ということで、全死亡者数が1万896人でありまして、以下見てわかるように、循環器疾患が約4割、4分の1が外傷、12.8%が悪性新生物というようになっております。

 めくっていただきますと、さらに死因の内訳、これは続きですけれども、慢性虚血性心疾患が16%、脳血管障害は6.4%等となっております。

その下が「緊急作業員の疾患別死亡リスク」というように書いておりまして、1グレイあたりのERRというのをそこに示しておりますけれども、そこで見ますと、循環器疾患が有意に出ているということになります。

 次の24ページめくっていただきますと、がん、あるいは心血管疾患というところのデータが挙げられております。ここでは、心血管疾患が有意に増加しているということが示されております。24ページの下には「線量群ごとの固形がんの相対リスク」ということで、これは、ゼロから50ミリグレイをコントロール群としています。50から15ミリグレイの1群、2群が150ミリグレイ以上ということで書いております。こうして見ますと、第2群で相対リスクは、有意ではないのですけれども、相対的に上がっているように見えるということになります。

 次をめくっていただきますと「白血病リスク」ということになります。白血病リスクについては、フォロー期間を2つの群に分けて、最初の10年間と、それ以降というように分けております。それぞれ線量をゼロ、4590150から300というところを区切って、4群で見ておりますけれども、上から4つ目の相対リスクというところで見てみますと、これをゼロから45未満のところをコントロール群として見ますと、150から300という、比較的高い線量の部分ということでは、有意性は見られないのですけれども、4つのものを2つにまとめて見た場合、150から300と、それ以下にまとめて見ると有意性が出てくるということで、1986年から96年の分では2.2というように有意性が出てくるのです。ただし、97年以降については有意性が見られないということが観察されております。

 最後に書いておりますが、2011年のUNSCEARの報告ですけれども、これに一致するようなことでありまして、早い段階で白血病の増加が、線量が高い群において見られているけれども、この有意性というものが数年、短い段階で見られて、その後はそれが消失しているというようなことが書かれております。

 以上、簡単ですけれども、現時点でわかっているロシアの状況についてです。

 ただ、問題点としては、申し上げましたように、実際にどういう検診項目があるのか、具体的な検診項目については英文の論文で出てこない、私が調べている範囲で出てこなくて、本人に問い合わせてみたところ、一冊本を紹介されたのですけれども、ロシア語ですので、現在スタッフが関係の部分は翻訳しておりますので、次回までには何とか出したいというように思っております。

 以上です。

○大久保座長 ありがとうございます。

 御質問はございますか。はい、どうぞ。

○明石委員 放医研の明石でございます。

 おもしろいデータをありがとうございます。

22ページと書いてある部分で、コホートの種類が書いてあります。これは、A、B、Cがあるのですが、非がんと悪性新生物と、非がんのほうが早く始めており、これは恐らく、母集団が違うのですね。つまり、Aは86年からフォローアップをしていて、例えば、Cであれば、悪性新生物は91年からですよね。

○高村委員 はい。

○明石委員 始めているのが遅いですよね。がんのほうが。

○高村委員 そうですね。

○明石委員 白血病は86年からからですけれども。

 これは要するに、独立した調査というように考えていいということですか。

○高村委員 そういうことです。

○明石委員 そうすると、非がんと悪性新生物は同時にやっていないということなのでしょうか。

○高村委員 そうですね。

○大久保座長 でもこれは、数を足すと18万を超すので、中で複雑にオーバーラップはしているのですね。

○高村委員 済みません。そこの詳しいデータが、申しわけありません。

○大久保座長 この18万人というのは、ロシアに限るということでしたけれども。

 たしか作業者の、うろ覚えですけれども、40万、30万という数字を見たことがあるのだけれども、そうすると、ウクライナ、ベラルーシ、あるいは、作業者ではロシア人が多いのでしょうか。

○高村委員 作業者ではロシア人とウクライナが多いですね。あとはベラルーシとバルト三国。この辺ぐらいが多いと思います。

 個人的なのですけれども、前に中央アジアに行ったときに、同じようなデータを見せてもらったのですけれども、ある程度旧ソ連邦内に広がっていると。中央アジアも含めてです。

○大久保座長 この18万人というのは、半分ぐらいは、もうちょっと多いのですかね。ウエートとしては。緊急作業者の中の、どの程度の割合の人に相当するのでしょうか。

○高村委員 ちょっと、済みません。

○大久保座長 どこのデータだったか、よく覚えてないですけれども、私のうろ覚えでは、たしか36万人とか40万人という数字を見たことがあるのです。約半分ぐらいかなという感じがするのです。

○高村委員 ロシアとウクライナで、かなりを占めているというのはわかるのですが、詳しいデータは。

○大久保座長 それから、もう一つ、かなり早い時期には緊急作業者でなくなっている方が随分あるのですね。あれは、どの辺まで入っているか、これもわからないですね。

○高村委員 一般的によく出ている報告書では、初期のころに入った方で急性放射線障害で亡くなったのが28名ということです。

○大久保座長 そういう方が入っているかどうかも、ちょっとわからないですね。

○高村委員 わからないです。

○大久保座長 情報にまだ制約があるようですけれども。お聞きになりたいことがありましたらどうぞ。

○児玉委員 白血病に関してなんですけれども、御存じのように広島、長崎では急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、それから、慢性骨髄性白血病、この3つが放射線被ばくと関連して増えています。チェルノブイリの場合、ここには白血病と書いてありますけれども、中身については記載がありましたか。

○高村委員 このデータに関しては記載がないです。ただ、症例が限られているので、はっきりしたことはわからないですけれども、CLL(慢性リンパ性白血病)以外をたしか数に入れていたように思います。

○児玉委員 それ以外ですか。

○高村委員 はい。

○大久保座長 これは、笠置先生に教わったほうがいいかもしれないけれども、2324ページ当たりのPと、それからERRGyが出ているのですけれども、1が、0.00何とかと書いてあっても、ERRの信頼区間が1を挟んでいますね。これはいいのですか。

○笠置委員 ERRですから、ゼロよりも多きければということの有意性になります。RRだったら1を挟む、有意性がなくなるということになります。

○大久保座長 だから、ゼロを挟んでいなければいいということですね。

 ほかよろしいですか。

○安井室長補佐 被ばくの測定のほうは、はっきりされていないというお話でしたが、例えば、最初にかけて測定されていないということは、何らかの推定をされたと思うのですけれども、推定のやり方とかもわからないですか。

○高村委員 推定のやり方は、非常に単純で、空間線量と作業時間です。

○安井室長補佐 空間線量をどうやって。

○高村委員 要するに、その空間線量でどのくらい作業したかということ。

○安井室長補佐 東京電力でも、空間線量というのは物すごく場所によってばらついていまして、だから、その測定結果も十分にないという実体があるのです。

○高村委員 そのとおりです。非常にやはり、そのデータが、かなりばらついているという信頼性の部分ではどうかと思います。そういう意味で、最初の3カ月については、十分なデータはしていないと。

○安井室長補佐 内部被ばくについては、何か評価されているのですか。

○高村委員 この、今のデータ自体にはないのですけれども、その他のデータで書いているのは、内部被ばくに関しては、最初の1986年の4月から5月の最初のあたりで、実際に甲状腺の線量が評価をしていると書いています。

 そこで、600人余りをしたと書いていまして、64%が0.15グレイ未満、33%が0.15から0.752.5%が0.75から1.5。残り0.5%が1.5から3.0というデータがあります。

 これも、イリーンのモノグラフの中に書いています。

○安井室長補佐 600人程度しかやっていない。

○高村委員 はい。

○大久保座長 ほか、よろしいですか。

 それでは、高村先生、もし翻訳で追加でおわかりになることがあれば、また、次回以降、御報告ください。

 これで今までの既存の知識に関する報告の部分を終わりまして、いよいよこの委員会での議論に入りたいと思いますが、論点ペーパーに対して、前回の議論、あるいは前回以降に事務局に寄せられた御意見等も含めて、論点ペーパーが少し改良されています。

 これに沿って、全部で大きな項目が6項目ほどありますので、2項目ずつ御報告いただいては皆さんの御意見をいただくという順番で議論を進めさせていただきたいと思います。

 ということで、まず事務局のほうから、1と2について、もう一回復習も含めて、特に御意見があった部分について御説明ください。

○安井室長補佐 それでは、26ページの資料4で御説明をさせていただきます。

 まず、1点目の論点といたしましては、「1 集団設定、調査手法」ということでございます。

 (1)には既存研究が書いてございまして、広島、長崎、それから、放射線業務従事者に対する疫学研究。それから、現在行っております東電福一緊急作業従事者の甲状腺に関する研究。それから、先ほど御説明いただいたチェルノブイリの事故処理作業者に対する疫学研究ということでございまして、基本的に全部コホートでやっているということでございます。人数はさまざまなやり方でやっております。

 検討に当たっての留意事項ということでございますが、まず、対象規模といたしまして、厚生労働省の長期健康管理データベースというのがございまして、こちらの中には、緊急作業者従事者約2万人につきましてデータが全部ストレージされておりまして、この方々については、フォローアップ率、今のところ98%ということでございますので、住所でありますとか、そういった個人情報も含めた管理がなされております。

 一方、緊急作業従事者以外、ステップ2が完了した以降に入られた方を研究対象に含める場合は、独自の集団設置をする必要がございますので、大変な手間暇と労力がかかるということでございます。

 それから、前回の検討会でのコメントということでございますけれども、そもそも論ではございますけれども、緊急時線量による健康影響を対象にするのかという御議論もございまして、そういうことであれば、緊急作業従事者の集団であるのはわかりやすいということで、マッチングさせてほかの追跡集団に含めるというのも、あまり効果はないだろうという御指摘がございました。検討のポイントでございますが、今回の我々の一義的な考え方といたしましては、緊急被ばくのみによる健康影響の調査というのは、現実問題なかなか難しく、生涯線量のみでしか不可能だというように考えておりまして、基本的には、緊急作業従事者の集団、日本ではかつてなかったような高い被ばくをされた方もおられる集団を利用して生涯累積線量による健康影響を調査するというスタンスで行うほうがいいのではないかと考えております。

 対象と規模といたしましては、2つのオプションがございまして、1つは長期健康管理データベースで管理されている緊急作業者を対象とするということで、2つ目のオプションとしては、それ以外の者も何らかの形でマッチングした上で対象群として加えるかどうかという考えがございます。

それから、ウで「研究手法」でございますが、過去の先行研究は、いずれも基本的には前向きコホートで行っておりますけれども、人数がほかの研究と比べますと、2万人と少ないということがございますので、検出力を勘案して、緊急作業従事者の対象で十分かどうかという御議論が必要かと思います。

○大久保座長 今回に追加していただいた一番最後の表ですね。

 これに続けて説明していただけますか。

○安井室長補佐 わかりました。

 それから、ほかの研究手法が考えられます。これは、ケースコントロール・スタディーをまぜるとか、そういった混合的な研究は可能かどうかということでございます。

 座長から御指摘がございました資料でございますが39ページでございます。

 これは年齢別の線量分布表ということでございますが、総計としては40ページの一番下のほうに年齢別従事者数ということで人数が出てございます。

 きょう御用意したのはトータル3万1,383人ということでございまして、251231日までに東京電力福島第一に入った人数の総計になっておりますので、緊急作業従事者以外の方も含まれているデータを、きょうは御説明いたします。

 年齢分布といたしましては、ここにございますように、ピークが出ているのが40代でございまして、次が50代から59歳の代が一番多いということでございまして、以下は30代と60代という、特定の年齢層に物すごく偏っているという形ではないということでございます。

 年齢につきましては平成251231日現在の年齢でございますので、事故当時に戻すためには、ここから2歳ほど引く必要がございます。そうなると、この18歳から19歳という人々はいなくなるはずでございます。

 こちらもお時間をいただければ、緊急作業従事者に限定した同じような分布表をつくることはできると思います。

39ページに戻りますと、100ミリ超えの方は全て緊急作業従事者でございますので、それを見ていただくとわかりますように、20代、30代、40代と100ミリ超えは散らばってございます。50代にも若干おられる、60代までおられます。ということでございますので年齢にかかわらず、高被ばく線量の方は散らばっているという状況となっているということでございます。

 全体的な被ばく分布を見ていただくとわかりますけれども、1ミリシーベルト以下の方も相当量おられますので、コホート集団としての線量のばらつきは十分あるかとは考えてございます。

 資料を戻っていただきまして、28ページでございます。「2 必要な医学・生物学的検査の項目及び実施頻度」というところでございます。

 これにつきましては、既存の研究につきましてどういう検査を行っているかということにつきましては35ページの表の1にまとめてございます。

 3列に分かれてございますけれども、一番左の列が原爆被爆者に対する疫学調査ということでございまして、身長、体重から含めてかなり詳しい検査を入れてございます。真ん中の列が、緊急作業従事者に対して行っております検査でございまして、これは50ミリ超えの方、100ミリ超えの方で分かれておりますけれども、100ミリ超えの方につきましては基本的にがん検診を行っているという状況でございます。

 一番右が、ベースラインと言いましょうか、放射線業務従事者であれば、受診が義務づけられている健康診断、一般健康診断・電離放射線健康診断の検査の項目をまとめてございます。実際は、この右側の健診項目というのは、全員について基本的にやられているということになってございます。

36ページの表が、これが前回も御説明いたしましたが、研究のターゲットなる疾病ということでございますが、業務上疾病に関する医学的知見の収集に係る調査研究を厚生労働省が行った結果が一番左側の列でございまして、こういったがんについて放射線との疑いがあるというところでレビューをしてございます。

 真ん中が、WHOがヘルスリスク報告書というもので言及をしていたがん及び非がんの疾病の種類でございます。こういったものを参考にしながらターゲットとなる疾病を探して、それに見合う検査項目を決めさせていただくということになろうかと思います。

28ページ戻らせていただきますが、(2)の留意事項でございますけれども、表の2に列挙されている疾病は過去の文献で研究の対象やレビューとなったものでございまして、必ずしも放射線によって有意なリスクの上昇が認められていないものも含まれてございます。

 それから、今回、表の中に入ってございませんでしたけれども、既存研究では、心理的影響に関する研究もございますし、心理的影響に関する指摘も多数ございます。こういったものを含めるかどうか。

 法定検査につきましては、実施が義務づけられておりますので、そのデータをいかに活用するかというところも問題でございます。

 それから、当然、受検者の負担もございますので、検査の頻度については最適化、つまり毎年行う検査、あるいは隔年で行う検査、3年に行う検査みたいに色分けをするということも必要ではないかと考えてございます。

 それから、染色体に関する最新知見を利用した手法についても検討の必要があるということ。

 人口動態調査、がん登録制度等を利用した死因等の特定の調査というものも検討すべきであるということでございます。

 前回検討会でのコメントでございますけれども、がん登録制度が前国会で法律として成立してございますので、それを活用していくことが必要ではないかという御指摘と、レセプトの情報を活用できるかという御指摘がございました。これにつきましては調査をしてございまして、38ページでございます。

 こちらは保険局からいただいた資料でございますので、そのうちの抜粋でございますが、まず、レセプト情報を研究で使うためのルート自体は既にございまして、高齢者医療確保法はもちろん適応になりませんので、先ほどの本来目的以外の利用ということで、2本の縦のラインがございます。

 厚生労働省内が利用するラインと、独法、大学、それ以外、研究機関が国から研究費用を補助されている者ということになりますので、恐らく利用すると、このラインになるということでございますけれども、これにつきましては、申請を出していただいて有識者による審査を受けてデータ提供の可否を決定いただければ、使用可能ではあるのですが、下を見ていただきたいのですが、提供される情報がレセプト情報サーバーというものに入っているものに限られるわけですが、これが、審査支払機関からサーバーに入る段階で匿名化されてございまして、さかのぼって個人の匿名的な情報しか入手できないということですので、この仕組みにのっとって得られたデータで、我々の疫学をすることができないという残念な結果でございました。

 ですので、どうしてもレセプトデータを使うことになるのであれば、保険者に直接要請をして、保険者から直にデータをもらうと、そういった特別な仕組みが必要になるということでございます。

29ページに戻っていただきますと、検討のポイントでございますが、まず表の2に列挙されている過去の文献で研究の対象とされた疾病をどこまで研究の対象とするか。心理的影響についても研究の対象とするのか。それから、対象を特定した上で検査としてどういったものが必要十分なのかと。検査の頻度につきましては、疾病の進行、速度など踏まえて、不要な検査とならないような御配慮はいただきたい。

 それから、染色体に対する検査をやるかどうか。人口動態調査、がん登録制度を利用した死因の特定の方法などについても御議論いただきたいと考えてございます。

 説明は以上でございます。

○大久保座長 ありがとうございました。

 1と2の各項目の最後に四角で囲んだマスがございますが、これが我々に対して、事務局のほうから問いかけがある部分、このあたりを中心にもちろん、この中に入っていないもので重要な、欠落してる項目があったら、それについての御指摘もいただきたいと思います。

 一応順番にやりましょうか。行ったり来たりしても構いません。

○祖父江委員 検討のポイントというか、基本的な考え方として、ここの記述を見ると緊急作業者の人たちに今後どんなリスクの上昇があるかどうかを、静かに観察していますという態度ですね。ただ、緊急作業に従事された方々は、自分たちがそういうことをしたのだということをちゃんと認識されておられるでしょうし、その後どういうことが起こるのかに関しては心理的に不安もあるでしょうし、もう少し対象になっている人の要望など、そういうものを最初に聞いたほうがいいのではないかと思ったりします。

○大久保座長 一応、それに関しては説明ありましたように、現在、もう法律に基づいて特別な健康診断も行われておりますし、それから、不安を感じた労働者に対する相談制度も走っているのです。

 ですから、一応、我々今回の研究班は、今先生がまさに御指摘になったような作業者に対する、しなければいけないことがされているという前提で、それはあくまでもサービスなので、もう少し後で科学的知見としてしっかりした証拠をつくりたいという、そちらのほうへ考えて検討することになった。

○祖父江委員 もう一言言わせてほしいのは、観察的な立場でかかわるのか、もうちょっと積極的に予防的な介入をするという立場でかかわるのかというのもあると思うのです。

○大久保座長 おっしゃるとおりです。研究といっても、そういうアプローチのほうが恐らく心の通った研究ができるという、そういうことですね。

○祖父江委員 そういうことです。じっと静かに見ていますというのは、やはり、ちょっとやられている側にとっては、余りいい感じはしないと思いますし、できるだけリスクを減らすようなアプローチをすることで、逆に線量については、生活習慣等々の改善をすれば、コンパウンディングの影響が減るというような意味もありますから、そういうリスクを減らすような介入を念頭に置くアプローチが必要ではないかと思います。

○大久保座長 多分、対象者からの御協力を得る、信頼を得るという、そういう観点からも、今おっしゃったようなことは大事なことだろうと思います。

 そういうことを加味してやりたいと、1つの項目としてどこかに必ず書き込むようにしたいと思います。

 実際問題として、全部散らばった人にどうやってやるかという具体的な話になると、ちょっと難しい点もあるかもしれませんけれども。

○祖父江委員 一応、企業という枠組みがあるし、個人的なコンタクトをとるルートも一応確保されているわけですね。ニュースレターを頻回に出すなり、企業を通じてのアプローチをするなりというのは、あるかと思います。

○安井室長補佐 御指摘ですが、相談については健康相談を行っている事業がございますので、その中でどういった健康についての相談があったかということは、どういう分析できる範囲で分析して、次回御報告したいと考えております。

 それから、介入的なのかどうかということにつきましては、恐らく、精密検査の結果、何かああいう所見が出れば、多分、医療機関を紹介するなりというのは出てくると思うのです。

○祖父江委員 もうちょっと積極的に禁煙を指導するだとか。

○安井室長補佐 禁煙を何ですか。

○祖父江委員 禁煙支援をするだとか、あるいは循環器であれば、一般的なメタボ対策をするとか、保健指導するとか、あるいは除菌をするなり、ウイルス駆除するなりという、そういうようなアプローチです。

○大久保座長 多分、今申し上げたように、現にそういう事業は走っているので、我々がデザインするときに、そういう既存の事業とどういう連携をとるかという形でまとめていくのがいいのかと思います。

 おっしゃるとおりで、御協力いただくためには、常にそういう姿勢は大事なことだと思います。重要な御指摘だと思います。

○安井室長補佐 座長の御指摘いただきましたように、保健指導は既に事業が走っておりまして、離職後でございますけれども、在職中は事業者に基本的にはやっていただくことになっておりますので、離職後は国が保健指導等を行うということになっておりますので、その辺、自主的とあと既存事業とこの研究の兼ね合いということについて、次回ちょっとまとめて御説明させていただきます。

○大久保座長 それともう一つ、今、御提案があったようにこの研究班としてニュースレターを出すとか、それもいい方法だろうと思いますし、必要なことだと思います。

○児玉委員 今のニュースレター云々は、これは後で議論があると思うのですが、健診という形をとってやっていくのであれば、受診率を上げるというのが非常に大切なことになりますから、ニュースレターをお送りすることによって対象者の方々の関心も高まるということで、効果的だと思います。

○大久保座長 どうぞ。

○笠置委員 私、この疫学調査はそれについての検討をするという会なのですけれども、この疫学調査というのは一体何を目的とするのか、少し、祖父江先生と絡む話だと思うのですけれども、何を目的としてこの疫学調査を考えるのか、そこの目的がこれは抜けています。それにかかわって、集団の設定というのが全て入ってくるのだろうと思いますので、私はそれ自身わからなくて、この中の検討会の中で検討するのかとも思っていたのですけれども、まず、最初に何をどういうふうにするのかというのを一番根本ではないかと。

○大久保座長 先生、提案、何かありますか。

○笠置委員 緊急の線量による健康影響を検討するということならばある面で単純なのですけれども、逆に、線量と健康影響との関係ならば、その中に緊急の線量という言葉が入らないのですね。ただ単に線量と健康影響という関係の検討ならば緊急でその線量を浴びたという事象が入りませんので。では、緊急でその線量を浴びたという事象を入れるならば、緊急と何かを比較するということになると思いますが、そうすると、定常時で被ばくしている線量による健康影響と、急激に当たったときに健康影響に本当に差があるのかどうかですね。差がなければ、これは、緊急で被ばくした人たちの不安解消も一つ入ることだろうと思いますので。ですから、緊急な線量による健康影響という絶対的なリスクを見るのではなくて、あくまでも相対的なリスクを見るというのが、この疫学調査に対応するのかと、そういう目的になるのかと、そう考えます。御議論をぜひ。それに応じて集団選定というのが変わっていきますから。

○大久保座長 もう一つは、今リスクという言葉が出たけれども、リスクを探す方向なのか、あるいは調べてみたけれども何もなかったということで、それでいいという目的でやるのかによっても違います。

 多分、行政としては、リミットを一時的に解除して少し上限を上げたわけですね。ですから、そこのところに対する手当をしたいというのが主な動機ではなかったのかと私は理解しているのですけれども、そうなると、線量、累積とか何とかという話とは別に、緊急作業者という定義が大事なのかというふうにも私は理解していたのです。その辺はどうなのでしょう。それは変えたっていいと思いますけれどもね。

○安井室長補佐 厚生労働省が特別に行っております長期健康管理につきましては、まさに、座長のおっしゃったように、リミットを上げてしまったということで、生涯で1シーベルトという、ICRPの障害被ばく限度を超える可能性が出てきておりますので、そこを特別にケアしようという発想で行っております。

 今回の疫学研究につきましては、日本ではかつてこういった高い被ばくを、少なくとも100ミリを5年間で超えた方はいなかったものですから、そういう方を含む集団について、言ってみれば、かなりハイリスク集団という捉え方をして、それに対するリスクの検討を十分に行う必要があるのではないかと。特別な事故が起きたわけですので、最もたくさん被ばくした人々に対して調査をすべきだというアプローチで我々は、今、考えてございます。

 ですので、笠置先生がおっしゃるように相対リスクのような考え方も別にあると思いますし、あとは両方やるという手ももちろんありでございますので、そこは幅広く考えていただければとは思います。

○大久保座長 どうぞ。

○明石委員 今、笠置先生が御指摘になったのは、いわゆる緊急というのは短期間を考えると線量率が今までよりは高いという御指摘ですね。例えば、原爆の非常に短い高線量率の被ばくと、福島の事故の場合12月までだと今回が9カ月ぐらいですか。それと、ほかの何年、何十年とわたるのと、僕は疫学のことがよくわかりませんが、何か結果が出ると、それは出せるのですか。統計的に差が出るのでしょうか。

○笠置委員 原爆は原爆で、もう既に出されていますね。

 原子力施設作業者は線量率が非常に少ないです。

 今回は結構な線量率ですから我々にとってやはり線量値の違いによって、本当に健康影響に違いがあるのかというのは、まだ全くわかってない話なので、そこら辺に、研究的な意味に捉えるならば、比較することは研究において貢献ができるのかと思います。

 ただ、これは2万人ですから、統計的に出るそれだけの件数があるかというのは、御指摘のとおりだと思います。難しい問題だと思います。

○大久保座長 高線量率と言える人を絞るともっと少ないですからね。高線量率と言えるような被ばくをしている人だけに限ると、もっと人数が少なくなるから。

○笠置委員 でも、今おっしゃったように、緊急の作業をしている、したということも一つのファクターです。

○大久保座長 かなり、近い議論をしているような気がするのだけれども、今のでよろしいですか。

○安井室長補佐 もし、笠置先生がおっしゃるように、緊急と定常で分けるのであれば、定常をどうしてもコントロール群としてとらなければいけないことになってきますので、緊急作業以外の人間を研究に含むというのは必須になってくるとは思います。

○大久保座長 この中にそういう人はかなり入っているのではないですか。特に低い人については、限度を超えてないから、ずっとこのフローアップ期間中も続けて被ばくされ続ける可能性がありますね。

○安井室長補佐 被ばく線量という意味では、緊急作業以前にたくさん被ばくされて、定常作業で被ばくされた方は、たくさんおられますので、被ばく線量という意味でも、混ざりあってしまっているのは明らかです。

 あとは、被ばく以外の要素も含んだ緊急作業なのだという、心理的な面とかも含めた集団設計するという意味であれば、全くその期間に入ってない人を選んでコントロールするということになると思います。被ばくだけを捉えるのか、もっと作業をしたという全体を捉えて主題設定するかによって違うと思います。

○大久保座長 笠置先生のところの登録の内容で、生涯の累積をもちろんとられますね。

○笠置委員 とっています。

○大久保座長 それで、例えば、100ミリとか、200ミリとかとなる人たちは相当いますね。

○笠置委員 おられます。

○大久保座長 そういう意味では、両者を比較することは可能ですね。

○笠置委員 そうですね。

○大久保座長 多分、10年かけて100ミリになった人と、今回1年の間に100ミリになった人とを比較をする。それは、先生の趣旨には合うわけですね。

○笠置委員 これは議論になるのだろうと思うのですが、私が思っているのは、緊急作業に入るまでの線量というか、定常の線量を受けている人たちがおられますね。それをマッチングさせて、緊急に入った人と、そうではない人もたくさんおられるわけだから、

それとの比較をするということも、そうすると、定常でずっと受けている人と、その期間、緊急で作業をした人。その比較はできるのではないかと。

○大久保座長 それと、累積で同じでも、1年間でそういった人と、過去10年かかっていた人も。

○笠置委員 それもマッチングさせるわけです。従事年数というか、それをマッチングさせて。

○大久保座長 3群ですか。2群ですか。

○笠置委員 マッチングさせて、対照群をつくります。従事年数。

○児玉委員 線量に関してはケースコントロール的に、幾つかの群をつくる。

○笠置委員 緊急被ばくの作業者の人たちと、そうでない人たち。そうでない人たちはどうとるのかというと、緊急作業者のそれまでに定常時で被ばくした線量がありますね。それと従事年数があります。それと同じ条件を持っている人を緊急作業に入ってない人たちからとって、その人たちを対照にする。

 これは本当に難しい問題だと思うのです。だから、ここのところのプロトコールというのは、本当にしっかりやらないといけないのか。どういうふうに、人達を選んで、どのような方法で何を検証していくのかということは、しっかり押さえていく。

○大久保座長 そうすると、その辺のところをデザインするためには、この2万人の中で、おたくに記録が残っている人と、残っていない人が区別できるかできないか。できるとしたら、何人と何人に分かれるのか。しかも、線量別にそれがちゃんと出れば、それを見ると少し具体的にデザインができますね。

○笠置委員 私どもの疫学センターではなく、中央登録センターがありますので、その線量記録は中央登録センターのお仕事になります。

○大久保座長 同じ部屋にいても微妙な違いがあるのですね。それは、もちろん中央登録センターというのですか。直接電力会社がやっているのは。

○笠置委員 その協議会を設けて、電力会社だけではなくて、いろいろな事業者。

○大久保座長 協議会をやっている、中央登録センターの協力を得ることは可能なのですね。

○安井室長補佐 可能だと思います。同意のとり方ですけれども、中登のデータを使っていいという同意をとれば。

 先ほどの御指摘ですが、25年度の研究で中登のデータはもともと収集することを予定してございますので、そこでちょっとマッチングの方法とか、また、詳しいことはまたお伺いしますが、そういった研究は可能かどうかというのは、可能性はちょっと調べてみたいと思います。

 今の御議論ですと、コホート調査を行いつつ、いつもケースコントロールをまぜるという感じなのでしょうか。

○大久保座長 そういうことではない。

○児玉委員 私の言い方が悪くて混乱させてしまいました。ケースコントロール・スタディを行なうという意味ではありませんでした。2万人の方の調査のみならずそれに対してコントロールを幾つかつくるという意味合いですね。

○笠置委員 マッチングの一つとして。

○児玉委員 マッチングをして、別な比較できる集団をつくる。

○笠置委員 年齢を合わせるなら、年齢を合わせると同じような意味で、定常の線量を合わせる。

○児玉委員 いろいろな集団を設定するということです。ケースコントロール・スタディーのコントロールではなくて。

○安井室長補佐 ということは、2万人は2万人で押さえつつ、マッチングした別の集団というのが仮に1個別途つくって、それを両方ともずっと前向きにコホートとして調べていくというイメージ。

○大久保座長 それから、この2万人の中で、今まで中央登録センターに登録されていない、つまり、初めて原子力作業に従事したという人はどれくらい入っているのですか。

○安井室長補佐 調べてみないとわからないですね。現在は全員登録していますので、ですので、その23年3月11日に新規登録した、以降に新規登録した人数というのを調べるとわかると思います。今は、数字がないので。

○明石委員 対象群をとるときにシーベルトという数字で比べるのであれば、内部被ばくでも外部被ばくでもいいですが、今回の事例は、多少今までの事例と違っている方が多いのではないでしょうか。内部被ばくの部分は。かつての、笠置先生のところの人たちよりは、もしかしたら。

○笠置委員 過去はないです。

○明石委員 内部被ばくはないですか。ですから、今回と多少、そういう意味では少し違った部分もあるような気がするので、対象をとるときに単純に数字だけでとっていいかなと、多少は一部の人については、そんな気がしますが。

○数藤委員 もしかすると、今回の場合、場合によってはこの中の低1ミリシーベルト以下のほうがむしろ、状況的には近い状態で働いて1ミリシーベルトという数字になっている方ということになるので、今、全く従事してない通常の何十年で100以下だったという人たちというのは、基本的外部被ばくの人たちというコホートもあれば、この中の低いほうを調べるというのも一つの考えということにもなります。

○安井室長補佐 先ほどの、明石先生の御指摘は気づいておりまして、内部被ばくにつきましては、推定している人は非常に多くて、真の値がわからないという方もおられますので、マッチングするときは外部線量だけでやるとか、そういうのがあるかもしれないですね。内部はなくて高い、そうなると、100超えているかどうかぐらいしか、実はいないのですけれども、そういう方とマッチングするとか、何かそういうのがあるかもしれないです。内部被ばくの影響を除去するのであればですね。内部被ばくはない群をあえて。

○大久保座長 2万人の方についての、線量区分にすると、自動的に今のような少しずつ違う暴露の仕方とかというように分かれてくる可能性はありますけれどもね。

 ただ、最初に始めるときに、決断をしなければいけないのは、この2万人の方は当然対象になるわけだから、それ以外の人に手をつけるかどうかですね。ここだけは、ちょっとよく考えないといけないです。後からでは、やはり無理だと思うのです。

○児玉委員 先ほど話に出たのですけれども、放射線の影響、それも高線量率の、あるいは低線量率のというような影響を見るだけではなくて、もし、心理的影響にウエートを置くというのであれば、やはり、この2万人以外の方で比べる人があった方がいいように思いますので、これは、これからの議論の流れによって集団をどう選ぶかということになろうかと思います。

○大久保座長 実現可能性とか、この辺はまた後で議論して、一応、基本的な対象をどうするかという議論については、今のことを記録に残して後で生かしていきたいと思います。

 あと、生涯累積線量、この緊急時以降のフォローアップ期間中の線量をどうするかという話も、ちょっと言われているように思います。

 人数は今の話と同じ話ですね。

 当然、一旦コホート形成したら、その後の医療被ばくなども含めたその後の被ばくも、やはりモニターしないといけない。これもよろしいですね。

(異議なし)

○大久保座長 それでは、次の2のどういう内容を見るのか。心理的影響について今御発言がありましたけれども、疾病、ターゲットとして何を持っていくのか。あるいはそれに対してどういう検査をしたらいいのか。これはある程度今回議論いただかないと、次に進めないと思います。

 前回、数藤先生から、線量だけではなくて、ほかにいろいろ調べられるよという話も、御発言がありましたね。

○数藤委員 あと、私たちの調査では、例えば50ミリグレイ、50ミリシーベルトですと、検出がはっきり出てくる状況にはあります。ですから、例えば、対象を染色体検査で明確にわかる50なり100ミリ以上というのを対象にするのかどうかということですね。

 ただし、これはその方が検査日の採血時までに受けられた被ばく量を反映しますので、3月11日より前のものも、もちろん反映するわけです。

 こういった個人線量計などによるデータベース上の物理線量測定の値と、この生物学的な、体の反応性からわかる反応性と、それを反映する推定線量というのとが、どれくらい合うかどうか、あるいはその個人線量で正しく図られていたかどうかといったようなことは、不覚的にわかってくるかもしれません。

○大久保座長 今の50というのは。

○数藤委員 実験場の照射で50ミリやった場合というのは、明らかに上がって。

○大久保座長 だから、短期間の。

○数藤委員 もう、一瞬の、線量率は高くて、0.4 Gy/m です。

 ただし、線量率の問題は、今 ISO などでも検討しておりまして、線量率を変えてどれぐらい違うか。例えば線量率が低い場合、修復反応というのが同時に起こっていきますので、どれぐらい影響があるかというのは、調査中という状態です。

○大久保座長 実際、人を対象にしたフィールドスタディーでは、50ではとても調べられないということになっていますね。

○数藤委員 それは、一般的に緊急被ばくのために染色体検査が用意されていますので、通常のラボですと、500ミリシーベルトから上の検量線を持っているためにはかれないので、ある程度、各国のハイレベルのラボですと、200ミリ以上の検量線を持っています。放医研とかIRSになってきますと、100から50、もうちょっと下まで持っている状態です。

○安井室長補佐 染色体の調査をして、何がわかるかというか、アウトカムは何があるのですか。

○数藤委員 何がわかるとかというのは、一応一つには、線量評価という意味では、先ほど一応皆さんが、物理線量測定の結果を記録をずっと持ち続けて、各作業者がとられているということなので、それと、必ずしも本当に局所被ばくとか、例えば、遮へい効果とか、そういったことは全くわからないけれども、染色体調査ですと、そういうのがどういうふうに被ばくしたか関係なく、合計どれぐらいの被ばく量だったかという形になっていきます。

 あと、もう一つには、実際その人その人の染色体で、細胞を見て異常がなかったということは、心理的には例えば、今回の福島原発事故の初期に作業者の毎週1週間後にお答えをお返ししたときに、細胞に特記すべき異常がありませんでしたとお伝えすることで安心感は確かに個人個人の方にお伝えすることはできました。

 これを、例えば、1回調査して、毎年する必要があるかという問題がありまして、やるとしたら5年に一度とか、10年ごととか、あるいはとっておくだけとって、調査期間中に何らかの疾患などが出た方たちについて、再検査のような形とか、いろいろ考えられると思います。

最初とったものを、調べるまでやるのか、それとも、数十年の間に異常があった方に対して初期値として保存してあった資料からデータをとるかという考え方もできます。

○大久保座長 冷凍保存した場合には、後でも同じことを調べられますか。

○数藤委員 大体、私たちの経験では、20年前ぐらいのものは大丈夫です。

○大久保座長 そんなに変わらない。

○数藤委員 はい。

○大久保座長 今、冷凍保存、検査の頻度と保存ということとはお互いに関係のある話なので、例えば5年に1回でも血液が保存されていれば、研究上は十分だということであれば頻度は減らせると思います。

 今の検査項目をどうするかということと、対象とする健康異常を何にするか、頻度をどれぐらいにするのか、このあたりで、少し御意見をいただければ。

○児玉委員 染色体でいいですか。

○大久保座長 どうぞ。

○児玉委員 安定型を見る場合に、1つのラボで1日に何十例もというぐらいできるのですか。一体どれぐらいこなせるのか。

○数藤委員 どの方法をとるかですが、もし全部の染色体を検査する、つまり、全染色体のデータをとる場合ですと、例えば1台しか機械がないところで1人の検査者が担当するとしたら、1名について3~4日かかると思います。

○児玉委員 2万人の人をというのが頭にあったものですから、今、伺ったのです。

○数藤委員 ですから、例えば100ミリ超え、50ミリ超えという設定をしていくと、もちろん今の日本全国にあるラボの、例えば。

○大久保座長 この間、その議論はしていますね。

100人ぐらいは何とかなるとかと、あれはどれぐらいの分布だったか。

○数藤委員 それから、この前にも申し上げましたけれども、例えば被験者の方にお返しするかどうか。かつてのヒトゲノムプロジェクトのようにお返ししませんよという形での同意をとっている場合は、もう科学に貢献する、そんな同意をとっている場合ですと返さないので、そうすると、急いで全部検査する必要はなくなって、1年かければよいみたいになるわけで、多分、返すことを希望されると思いますが、逆に、そうなると、自分もやってくださいみたいな人、例えばぎりぎり設定したシーベルトに近い方たちとかの希望も出てくるのではないかと。どうでしょうか。

○安井室長補佐 人数というのは、緊急作業従事者2万人のうち、50ミリ超えの方というのは1,000人程度しかいませんので、全体2万人からするとごくわずかですので、そういった特別な調査をそういった方にするというのは考えられるのかとは思います。

○大久保座長 前回の議事録をお読みください。前提を決めた上で100人という数字を覚えているので。ちょっと今、どこだかわかりません。

 ほか、どうですか。時間が余りないので、ほかのターゲットにする健康異常、事務局で整理していただいている表はあるので、もしよろしければその形で、次回までに少したたき台をつくっていただくわけですけれども。

○安井室長補佐 我々的には、35ページの表は最大限の検査としてはこんなものだろうと認識しているのですが、その頻度はちょっと御議論いただきたいと思います。

○大久保座長 私どもの原爆の調査では、2年に一度ということでやってきています。二世については4年に一度でやっております。一番右側に書いてあるような法律に基づいてやっているものについては、今、黙っていれば、別にどこの医療機関でやってもいいわけですから、そうなると、そういうデータを実際使えるのか使えないのか、それにラボは関係してきます。

○数藤委員 済みません、一番右の検診は年に何回ですか。

○大久保座長 毎年です。

○数藤委員 1回ですか。

○安井室長補佐 いわゆる放射線業務をされている方は年に2回です。

○大久保座長 2回です。ごめんなさい。

○安井室長補佐 放射線業務をされていない方は特殊検診はなくなりまして、一般検診は年に1回だけになります。

○大久保座長 過去にやった人は2回ではなくて1回ですか。

○安井室長補佐 半年なら半年間に放射線業務を行っている方は年に2回です。今、現にやっていない、もう辞めましたという方は特殊検診がなくなりまして、一般健康診断だけが年に1回になります。

○数藤委員 この原発事故より前ですと、通常の検診の頻度状態だったということですか。

○安井室長補佐 それは人によると思います。原発に入る前も放射線作業従事者であった方もおられれば、一般の建設業だった方もおられますので、それによって検診の頻度は違います。

○大久保座長 毎年という必要はないような気はします。一応、いろいろなプランを立てる必要があるので、人数とか何かによっても変わってきますし、2年に1回ぐらいということで計画をして、さらにそれをもとにして検討しましょうか。

○安井室長補佐 今、出なくても、後でお寄せいただいても結構ですが、特定の検査について、これは頻度が高いとか低い、そういうのがもしあれば。

○大久保座長 これはどちらが先かという話で、何を調べるかと決めないと検査が決まらないし、この議論をすると堂々めぐりをしてしまうのですね。

○安井室長補佐 そうですね。そういう意味では、36ページの表で、これぐらいのがんを全部フォローするのだということになると、多分もう。

○大久保座長 いやいや、これは左側のがんを全部やったら大変なことになりますよ。

○安井室長補佐 大変なことになるし、検査のないがんも多いですので。

○児玉委員 真ん中に固形がんと書いてありましたね。

○大久保座長 これは多分がん登録とか診断書の検査でやる形になるのだろうと思います。そう言うと祖父江先生に怒られるかもしれません。全部バランスのとれた包括的なプランにはしないといけないと思いますけれども、今度は間が1カ月ありますので、この間に少し計画を具体的に詰めていただくことになっていますから、途中で御意見、お気づきの点があったら、御連絡ください。

○安井室長補佐 特に頻度について、これは毎年やったほうがいい、これは2年に1回でいい、そういう色分けが可能であればいただけると、非常に助かります。

○大久保座長 それでは、またもとに戻っても構わないので、時間切れになるといけないので、3、4について、また同じようにお願いします。

○安井室長補佐 それでは、資料の4番の30ページ、「3 生涯被ばく線量等の調査手法」でございます。

 (1)既存研究につきましては、広島長崎につきましては、当然、線量計をつけているわけではございませんので、この物理学的推定、あるいは生物学的推定、先ほどのものに加えまして、歯のエナメル質というのもあるようですが、そういったものもされておられます。

 放射線業務従事者に対する疫学研究は、電気事業者が測定している生の値を使っております。

 緊急作業従事者に対する甲状腺の疫学研究は現在進行中のものでございますが、まず外部被ばく線量につきましては、淡々とAPDなり、ガラスバッジの実測値はほぼ全員につきましてございますけれども、ヨウ素131が検出されていない、これはホールボディカウンターを受検するまで2カ月間ぐらい時間があった方がたくさんおられまして、既に検出下限値を下回っておられる方がかなりございますので、その方についてはヨウ素131の線量を推定してございますので、その推定方法について、今、レビューを行っているところでございます。

 緊急作業従事者に関する染色体に対する研究は前回、御説明いただきましたけれども、血液細胞による染色体による線量同定を行っておられます。

 チェルノブイリの件は調査中でございます。

 (2)留意事項といたしましては、緊急作業従事者につきましては外部線量は実測値でありますので、これはほぼ議論の余地がないことになります。

 内部被ばく線量につきましては、推計値を想定して採用しているデータがございますので、その評価は議論があるところでございます。

 (3)前回検討会でのコメントでございますけれども、今まで染色体のところでコメントがございまして、染色体の検査につきましては、事故後の相当の期間後に実施可能なものとしてフィッシュ法があって、これにつきましては、全数の染色体を調べるものと特定の染色体だけを調べるものがあるということでございますが、特定の染色体の場合だと、線量評価しかできませんが、全部調べると、それ以外の染色体異常についても見つけることができるが、費用と時間を要するというコメントがございました。

 (4)検討のポイントでございますが、事故前の被ばく線量について、中央登録センターを利用する必要があるのではないか。

 内部被ばく線量につきましては、特にヨウ素131につきまして推定を行っておりますので、その信頼性の評価が必要ではないか。

 それから、長期健康管理の観点から、内部被ばく線量につきましては、現在の評価としては最大限に安全側、つまり高い数字が出る推定を行ってございますけれども、疫学研究でこれをやってしまいますと、量反応関係からいうと検出力が落ちますので、非安全側になることがございますので、疫学研究の観点から採用する被ばく線量ということで再評価をする必要がある可能性があるということでございます。

 次のページの「4 交絡因子等の項目及び調査手法」でございます。これにつきましても表でまとめてございまして、37ページでございます。

 表3ということで、一番左側の列に広島長崎の原爆被爆者に対する疫学調査で調査されている調整因子ということで、まず検診時に毎回調査するものは、例えばここにありますように既往歴でありますとか、喫煙、飲酒といったものを調べている。それから、情報を初回だけ、あるいは定期的に毎回毎回は聞きませんよというのは教育歴でありますとか、放射線治療歴、その他の婚姻、職業、家族歴といったものがございます。

 真ん中の列が厚生労働省のデータベースの中に、必ずしも全部登録されているという意味ではなくて、登録可能とされている因子がここにございます。既往歴、飲酒歴、喫煙といったものが入ることができます。

 緊急作業従事者に対する甲状腺の疫学調査で調査されている交絡因子につきましては、こちらにございます4つだけを調べている状況でございます。

 また31ページに戻っていただきますと、(1)イで、先ほどの中に漏れていましたのは、放射線業務従事者に対する疫学研究での交絡因子につきましては、喫煙歴、生活習慣、飲酒、業務歴といったものも調べられているということでございます。

 チェルノブイリについては、わからないということでございます。

 留意事項といたしましては、長期にわたる疫学研究でございますので、交絡因子のコントロールは必要不可欠でございます。

 作業者の場合、特に原発作業者の場合は、化学物質など、ほかの有害因子に暴露している可能性が非常に高いので、職業歴の調査はかなり重要ではないかと考えておりますが、一方で、余りくどく調査し過ぎますと研究の参加率が低下することがございます。

 前回のコメントでございますけれども、これ以外の健康意識が有病率などに相関するような可能性もあるのではないかということでございますが、こういったものは調査するのはかなり難しい、例えば学歴というのもあるのではないかという御意見がございました。

 喫煙率や喫煙量は仕事の厳しさやストレスにも相関するということでございますので、仕事の、例えば重筋作業であるかどうか、そういった内容についても把握するといいのではないかという御意見がございました。

 検討のポイントといたしましては、職歴、家族歴、既往歴、喫煙状況、飲酒状況、これはどこまでやるのかと、ほかに調査すべき交絡因子があるかどうかということでございます。

 説明は以上でございます。

○大久保座長 ありがとうございました。

 一番大事なことは、この疫学調査用に線量の推定をもう一度見直す必要があるのかないのか、これは明石先生あたりが一番御存じなのではないですか。

○明石委員 ここは多分外部被ばくはPDからなどで出てきているのでいいのですが、内部被ばくは、計算すれば保守的なのと、そうでないのとは計算上はできますので、それはどこをとるかという問題は別にして計算は可能だと思うのですね。

 ただ、問題は人によって違うというのはあると思うのです。つまり内部被ばくは測ったポイントが少ない場合は保守的な計算をしているし、何ポイントかとっていれば、何回吸入したかがわかると、それだけ線量は下がってくるので、ここは安全側か、それとも、安全側の反対というと危険なというのは変ですけれども、やはりどこか考えを決めないと難しいですね。

○大久保座長 あるいはですが、どうせ理論的に検討できるものであるのであれば、将来どうにでも使えますから、生データがあるものはとりあえずきちっと全部入れておくと。

○明石委員 そうですね。ポイントはあるところは。ただ、データではCPMとベクレルしか残っていなくて、シーベルトに計算するときは何らかのシナリオを描きます。そこはどのポイントかと決めて計算した後から、線量は計算し直すことは幾らでも可能ですので、そこをどこととるかという考えさえ決めれば、ここの線量は出せると思います。

○大久保座長 そうですね。では、よろしいですか。

 そうしたら、散逸しないように、少なくとも、この対象者としてリストアップする方については、現時点で利用できる数値は全部とにかくきちっと一元的に管理して残しておく。後でゆっくり考えるということですね。

○安井室長補佐 これにつきましては、25年度で、甲状腺の被ばくに関する調査を行っており、甲状腺被ばくはほとんど内部被ばくしかありませんので、今、明石先生がおっしゃったように、いろいろなパターンがございますので、実測でヨウ素が出ている人もいれば、全然出ていない人、あと、測定の機械も違いますので、パターンは5つぐらいに分けていまして、それぞれについて、今、精査をしているところでございますので、その結果をまた踏まえて御説明できればとは思っています。

○大久保座長 では、それも生データをきちっと保存しておいていただいて。

○安井室長補佐 それも実は今、チャレンジングでございまして、東京電力も100%生データを持っているわけではなかったので、それを今、収集しようと非常に大変難航な作業をしております。

○大久保座長 恐らく最初の何週間かは個人線量計を持っていない人たちもかなりいたとか、あるいは管理も十分にできていなかったという話もございますから、その辺のとりやすさはもう大分やられているわけですね。

○安井室長補佐 外部線量につきましては、おっしゃるように、非常に名寄せが難航しまして、システム自体がもう津波で壊れてしまって手作業でやっていましたので、非常に難航しました。これについては、既にかなり整理は終わっております。

 もう一つ御指摘の線量計をつけていなかったというのは、つけていなかったわけではなくて、実はグループに1個つけていたのですけれども、これにつきましては約3,000データございますので、これにつきましては、グループで1つついていた均等被ばくとみなして評価するということでできます。

○大久保座長 関係数値だけで残してしまうと、後でどうしようもなくなるので、それは後で数値としても識別できますね。

○安井室長補佐 その3,000データが何なのかを特定するのは可能です。

○大久保座長 やはり被ばくに関しては、できるだけ生のデータを残しておいていただいて、後で再評価をする必要が出てきたときにできるようにしておいたほうがいいですね。

 交絡因子のほうはどうですか。これはどのみち同意をとる必要があるから、例えば個人に調査票を記入していただくことは、当然可能なわけでして、余り遠慮する必要はないと思うので、できればできるだけとっておいたほうがいいですね。

○数藤委員 もともと一般健康診断には少なくとも喫煙、飲酒は入っています。

○大久保座長 ただ、聞き方の問題があるのです。

 バラバラにやられてしまって、後で集計のしようがないということが起こるので、その辺だけを最初の企画できちっと定義をしておく必要はあると思います。

 どうぞ。

○祖父江委員 今、割と大規模コホートで使う質問票が標準化されつつあって、JPHCとか、JACC Studyとか、J-MICCとか、あるいは東北メガバンクとか、違う質問票を使っているものであれば、それを2つをひっつけるためのバリエーションスタディーなどもやるのですけれども、そういうのも少し進んでいるので、そういう既存の大規模コホートで使っている質問票にできるだけ合わせた形で設計したほうがいいかと思います。

○大久保座長 では、先生、具体的なものを事務局へ連絡してください。

○祖父江委員 はい。

○大久保座長 この項目についてはよろしいですか。また時間を残して、もとへ。

 どうぞ。

○笠置委員 やはり交絡因子は重要だ、確かにそうなので、これは職業の人たちを対象ですから、やはりそれに応じた特有の交絡を考えないといけないということで。先ほどの有害物質などというのはフィールドでは余りしないような項目でしょうし、そういうこともやらないといけない。学歴、それから、職位、職種も非常に大きくかかわってきますので、そこら辺もやはり調査に含めないといけないだろうと思います。

○大久保座長 労働安全衛生部ですから、ベテランなはずなので。その点は、私もお手伝いいたします。

○児玉委員 線量に戻っていいですか。

○大久保座長 どうぞ。

○児玉委員 線量についての質問です。先ほど甲状腺の線量が出たのですが、今ある情報で、臓器の線量は推定できるのですか。例えば白血病の話が出ましたけれども、骨髄の線量があったらありがたいですね。甲状腺は先ほど出たし、今度、目の被ばく線量は可能なのですか。

○明石委員 ほとんどの人の場合、今、実効線量で均等被ばくというふうに考えていますので、計算するつもりになれば、理論値ですけれども目も骨髄もできると思います。

○大久保座長 要するに、いわゆる臓器荷重係数を掛けるだけのことですね。

○児玉委員 そうですね。ですから、生データをきっちり保管しておけば後でできる。

○明石委員 そうですね。内部被ばくも理論的にはもう核種も同定されていますから、難しくはないと思います。

○児玉委員 もう一つ、線量でいいですか。

○大久保座長 はい。

○児玉委員 この線量評価で実は困るのが、医療被ばくというか、恐らくレントゲン検査をいろいろ受けられるでしょうし、CT検査等も受けられるので、これがかなりの線量になりますので、情報としてはとる努力をする必要があるのではないかと思います。

○大久保座長 ですから、健康調査のたびに必ず、これについてきちっとした問診をして記録に残しておく、もうこれ以外にないと思います。

○明石委員 特に胸腹部のCTなどは線量が大きいですから。

○数藤委員 ISOの標準でも必ず医療被ばくと職業歴による被ばくの公式の記録票があります。

○大久保座長 とりあえずは5と6を先に済ませてから、またもとへ戻りましょう。5と6、お願いします。

○安井室長補佐 続きまして、32ページの「5 研究体制」でございます。

 既存研究でございますが、広島長崎の原爆被爆者に対する疫学研究といたしましては、成人健康調査につきましては、受検者に広島市、長崎市にございます放射線影響研究所に来ていただいて、そこの検診部門で検査を行っているということでございます。

 放射線業務従事者に対する疫学研究につきましては、基本的にデータベースを用いた調査でございますので、検査は行っていないということでございます。

 チェルノブイリにつきましては、今、調査中でございます。

 留意事項でございますけれども、緊急作業従事者のうち、福島県内居住者は既に5,300人程度にまで減っておりまして、東北、関東を中心に全都道府県にばらついてございます。

 法定健診の結果を使用する場合、多数の医療機関のデータを使用する場合は、精度管理が非常に重要になってまいります。

 あと、追加検査を実施する、これは検診期間で実施できないような検査を行う場合は、どこの医療機関に行っていただくのかという選択も重要になります。

 実務的な問題として、血液検体を保存するのであれば、その保管用の冷凍庫の確保が重要でございます。

 同意書の取得につきましても非常に大きな問題でございまして、研究内容、研究機関が異なるために、同一人物から何度も同意書をとることは避けたいと考えておりまして、それをどうするかということでございます。

 前回検討会でのコメントでございますけれども、やはり標準化の議論が重要であるということと、あと、調査項目それぞれについて同意をその都度とるというのはとても無理なので、包括的な同意とすべきではないか。

 血液検体を長期保存する場合は、将来、新たな検査方法が確立する可能性もございますので、それを使った検査も認めるような同意が必要ではないか。

 同意取得の方法については、面接する方法、郵送する方法、それから、事業者に同意をとってもらう方法もございますけれども、これにつきましても、どういった方法が適切なのかという検討が必要ということでございます。

 検討のポイントでございますが、まず研究体制といたしましては、2万人、あるいはそれに別のコホートをつけ加えるとなると、さらに増えるということでございますが、1つの研究機関で実施するというのはなかなか難しいと考えておりますので、複数の研究機関による共同研究が必要ではないか。ただ、その場合であったとしても、やはり中心となる機関は指定すべきではないか。それから、研究機関がころころ変わるというのは困りますねと。長期的な研究を行うためには安定した財源が必要ではないかということでございます。あとは、コンソーシアムをつくる場合は、それぞれの機関の強みを生かせるような共同をすべきではないか。

 検査実施体制でございますけれども、全国に散らばる対象者をどのように把握していくのか。多数の異なる機関で実施した検査の精度管理をどのように実施するのか。検診機関で実施できないような検査を行う場合の医療機関の選択基準といったものも必要でございます。血液検体のための冷凍庫の確保も重要でございます。同意書一括取得のためにどういったところに留意すべきかというところもございます。

 こういったところが論点でございます。

 続きまして、34ページでございますが、「6 中長期スケジュール」でございます。

 既存研究に関しましては、まず広島長崎に関しましては、成人健康調査につきましては1958年から継続実施。寿命調査につきましては、1958年から継続実施という形で、特に区切りもなく続けております。

 放射線業務従事者に対する疫学研究につきましては、第I期から5年ごとに第IV期まで研究を分けて実施をしてございます。

 チェルノブイリにつきましては調査中でございます。

 留意事項といたしましては、がんを対象とする関係もございますので、基本的には生涯にわたる追跡調査が必要ではないかと考えてございます。

 前回検討会でのコメントといたしましては、年齢分布が欲しいということでございましたので、それは先ほど御説明したとおりでございます。

 検討のポイントでございますけれども、基本的に生涯にわたって追跡調査が必要と考えておりますけれども、ほかに何か方法があるか。

 それから、数年から5年ごとに、例えば第○期のように研究期間を区分する。その中で、例えば研究内容や検査内容を見直していくという考え方がございますので、そういったことがあり得るかということでございます。

 最後「7 その他」でございますが、何か検討漏れがございましたら御指摘いただきたいと思います。

 以上でございます。

○大久保座長 以上ですが、この辺もある程度御議論いただいておかないと、1カ月後のプランニングには難しい面もたくさんございます。

 先ほど少し事前に話をしていたときに、倫理委員会をどうするのかという話が出まして、私と事務局の話では、やはりこれはいろいろな機関が関与するので、どこか1カ所へ出すわけにいかないから、この委員会とは別に倫理審査専門の臨時の委員会をつくって、主要な関係機関から集まっていただいて、そこで中央審議をする。それを前提にして、それぞれ実際に被検者と接する機関がまたそこの個別倫理委員会で協議をしていただく、そういう二段構えをしないと、恐らく今の仕組みだとできないのではないのかということを考えました。中央を設けることは多分必要だろうと思うのですけれども、これはよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○大久保座長 そういうコンテキストで一応計画してもらいましょう。

 それと同時に、これは5と6両方にかかわる話ですが、こういう長期的な調査だと、客観的な第三者委員会みたいなものにときどきは評価をしてもらう必要があるのではないか。これには外国の国際的な委員を入れて、例えば5年に1回、10年に1回でもいいかもしれませんが、今、最後に出てくるように何期と分けるよりは、そのことのほうが大事かという気がするのです。例えば最初は5年に1回程度、国際的な評価を受けるというような簡単な書き方でとりあえず入れておいていただけますか。

 あとは、これも頭の痛い話ですけれども、全国に散らばっている機関、精度管理をどうするかと。これは全国労働安全衛生団体連合会という機関があって、そこで健康診断の標準化、精度管理のテストは一応やっているのですね。十分だとは思いませんけれども、たまたま私が今、そこの責任者をやっているものですから、そういうところである程度、特別にこの調査のためにちゃんと参加機関には厳重な精度管理をするとかという方法は考えられないわけではない。ただ、果たしてすんなりいくかどうかというのは難しいです。

○安井室長補佐 全衛連に加盟されている機関は、いわゆる職域検診機関に限られていまして、医療機関は入っていませんので、あれはどうするのか。

○大久保座長 健康診断は全部医療機関です。医療法で診療所の許可を取らないのです。

○安井室長補佐 それはもちろんそうなのですが、いわゆる純然たる医療機関、いわゆる健康診断を生業としていない機関は余り入っていません。例えば何とか何とか病院が入っているかというと入っていません。

○大久保座長 病院でなければいけないかどうかという議論ですね。

○安井室長補佐 そうです。

○大久保座長 病院を入れた場合に標準化は恐らく不可能ですね。

○安井室長補佐 先ほど御議論しました検査項目は全て職域検査機関にできるかどうかという問題もあろうかと思います。

○大久保座長 最近は、やはり下請というか、外部機関に出しているところが多いのですね。だから、自前で全部するというと、やはり少し難しいかもしれないです。職域健康診断機関でも難しい検査は日本全国で3つ4つしかないような大きな検査機関に委託することが多いのですね。その限りにおいては、精度管理はかなりできています。むしろ、毎回の検査の精度管理に精力を注ぐくらいなら、血液を集めてしまって保存して1カ所で同じやり方でやるほうが精度はいいと思うのですね。ですから、検査のほうに頭を悩ますよりは、もし包括的な同意がとれるのだったら、血液を保存させていただく、こういうプランにするほうがフレキシビリティは高いかもしれないですね。信頼性も高いと思います。この辺のことについてはどうですか。

 どうぞ。

○高村委員 今のところで基本的な質問ですけれども、その場合、保存は集めるということでいいのですけれども、では、実際の測定はそこの中央集約化したところで測定をする、それは要するに検査結果をどういうふうに返すかという話になってくるかと思うのです。○大久保座長 ですから、保存する場合は、先ほど少しお話が出ましたけれども、すぐお返しする返事はできないですね。将来のためという形で使う。ですから、当然、2つに分けて、すぐ御本人に現在の健康状態をお返しできる項目と、それから、保存させていただく。すぐお返しするほうについては、精度管理は諦めるかもわからない、そういうことを言うことになるわけですね。

 少し話は現実的になるのですが、そのほうが多分。

○数藤委員 HIVのウイルス検査などで、赤十字は献血の検査をもちろん一手にやっているわけですが、やはり検査自体も一手にやっていて、その代わり入札で1社、どこがその検査、例えば試薬提供をやるかというのであるのですけれども、例えば検査もたくさんの検査会社がある中で、複数あるいは1個みたいな絞り方をして年間2万人毎年お願いしますみたいなことは可能なのですか。

○得津室長 どういうふうにやるかですね。前回の会議のときにも、検査機関がやはり変わってしまうのは精度管理の面でよくないというお話もあったので、入札だけでやっていると、やはり変わっていく可能性があるのです。そこをできるだけ変わらないような形でできるかどうか、その辺を実際やるときには、既存のいろいろな制度の中でどうやってできるかをよく考えて、配慮していかなければいけないと思っています。

○大久保座長 その継続性という意味で、例えば20年間やって、2年に1回ずつやるとすると全部で10回の測定をしなければいけない。このときの第1回目、第2回目、第3回目での比較可能性という問題と、1回やったときの2万人のデータがどれぐらい信頼できるかという話と、この2つ考えないといけないと思います。これは研究管理、毎回、ただ黙ってぱんと渡してしまうのではなくて、例えばやる前に入札で業者を決めるにしても、その業者に対して、実際検査を始める前にちゃんとした精度管理を実施して、パスしたときに初めて依頼しますという形、それから、同じサンプルをとっておいて、継続的な比較可能性があるかどうかというのも、そのとき同時に検証する。今まではそれをしていないから比較できなくなってしまうので。

○数藤委員 ちょっと違うのですけれども、例えば次世代シーケンサーとか、そういった受託会社は必ず大もとになるところ、管理部門、どこかの会社が、それぞれの部門でテストにパスしたところにサーティフィケーションを渡して、そこが請け負うみたいなシステムがほかの分野ではあるので、そんな感じになるということですか。

○大久保座長 冒頭で祖父江先生からお話があったように、毎回御本人にお会いして、きちっとその場での御本人の要望にお応えしながら、ちゃんとした指導をする。そういう話と、今の血液を保存するという話と2つ立てていくのがやはりいいのでしょうね。でないと、恐らく成り立たないと思うのです。両方の要望を。単なる調査に、研究に終わらせないという側面と、研究自身はやはりきちっと信頼の置けるもので、永久に引用されるような研究をする、両方ないと恐らくできないでしょうね。

○安井室長補佐 今の血液の保存というのは、例えば何十年間も保存するという意味ではなくて、一括で評価するために保存するという。

○大久保座長 そこはまた議論ですね。

○安井室長補佐 例えば、もう数カ月間ぐらい保存しておいて、順次検査していくという意味の保存ですか。

○大久保座長 それもありますし、両方考えられますね。

○安井室長補佐 数十年間保存というのもまた別途あるということですか。

○大久保座長 それはやはり研究目的によるわけですね。どこまで手を広げるかは、こうなってくると、やはり研究資源がどこまで確保できるかというせめぎ合いの話になるので。

○安井室長補佐 技術的な質問で恐縮ですけれども、例えば今の35ページにあるような検査を行うときに、例えば心電図とか、超音波とかあったりするものですから、血液以外の検査はどうなるのかというのもございます。

○大久保座長 その場でやる分については、やはり依然として精度管理の問題が起こります。

○安井室長補佐 あと、例えば身長、体重は問題ないと思うのですけれども、例えば広島長崎でいうと、2番、3番、4番、5番、6番も血液でできるのですか。

○大久保座長 はい。

○安井室長補佐 7番も大丈夫ですか。

○大久保座長 大丈夫ですね。

○安井室長補佐 そうなると、血液以外は、あとは8番、9番、10番、11番ですか。

○大久保座長 身長、体重だって結構ちゃんとやらないと、めちゃくちゃになりますよ。みんないいと思っているから、いい加減な数字が出てくるので、これはきちっと標準化しないと。

○安井室長補佐 私もはかるたびに伸びたり縮んだりします。

○大久保座長 だから、血圧も、どの目盛りまで読むかをきちっと標準化しておかないと、ゼロとか5というところ、分布をとると、そこだけ増えてしまったり、いろいろなことが起こりますので、やはりちゃんと最初に企画しておくことは非常に大事だと思います。

○数藤委員 広島の経験で、何十年も健康診断されていて、機械は進歩していますけれども、初期の調査と近年の調査で差はないのですか。こちらも多分、数十年の調査になるのですけれども、どういうふうに。

○児玉委員 非常に技術的な話になって恐縮ですが、1958年からきょうまで同じ項目で検査できているものはそんなにないですね。検査というのは非常に進歩してきていますから、その当時からずっと測ってこれているもの、例えばコレステロールとかいったものは、これはその日その日の精度管理をやりますし、それから、測定装置が新しいのが入ったら、前の装置と新しい装置との両方で測って補正をするとか、そういうことをずっとやってきて、今回まで来ています。だから、1958年からきょうまで比較できるもの、それから、途中から比較できるもの等々いろいろあります。

 問題は、例えば肝機能検査など一律にできるようになったのは、そんなに以前ではなくて、そういうのが導入されると一気に肝機能障害という診断名が増えます。だから、そういういろいろなことをどう処理するかというのを検討しておく必要があります。

○数藤委員 でも、一応、こういう記録があるわけですね。この構成が変わったとか、検査法が変わった。

○児玉委員 それはもうもちろん検査室で、いつ、どの時点で変えた、どういう精度管理の手順を踏んで新しい装置にと、これは全部記録があります。それは当然持っておく必要があります。

○大久保座長 そういう意味で、必ずこの調査に関しての中央の継続的な機関がないと、それは多分うまくいかないと思うのですね。ですから、どこか1カ所にちゃんとヘッドクォーターを設定して、あと、協力機関を組織化する、その構造はどうしても必要になると思います。

 一応ざっと見ていただきました。あと15分ぐらいしかありません。全体をごらんになって、また何か基本的な疑問とかあると思います。もとへ戻っていただいても結構です。

○数藤委員 1件質問をお願いします。

○大久保座長 どうぞ。

○数藤委員 最後の5の研究体制で、これは一応、国内の研究機関に絞ると考えてよろしいですか。

○大久保座長 その一部の検査を国外と協力するということはあってもおかしくはないかもしれません。

○数藤委員 チェルノブイリですと、染色体検査は複数の海外が担当している部分があったのですけれども、ほかの検査は多分、日本だけでできますし、もちろん例えば100ミリ以上とか限れば、染色体検査も国内で賄えるとは思いまして、先ほどの5年に1回、外部機関からの審査を受けるようであれば、それはそれで大丈夫だとは思います。

○得津室長 今、国内の研究所に研究補助金という形になります。

○安井室長補佐 ただ、検査そのものを外注するのは可能だと思いますけれども、主任研究者とか、いわゆる研究費をお支払いする研究者は、国籍は問わないですけれども、多分日本の研究機関に所属の研究者に限られると思います。

○大久保座長 とにかく人を対象にする調査ですから、これは外国の人が直接表へ出ることは考えられないので、基本的に、主な研究実施者は国内の人、部分的に今おっしゃるように、技術的なサポートを得ることは可能ということぐらいでよろしいのではないですか。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。

○祖父江委員 しつこいようですが、レセプトの話ですけれども、ナショナルレセプトデータベースとか、特定健診のデータは使うのが難しいということですけれども、一応、東電の主職員なので、東電は1企業組合健保ですから、保険者と直接交渉するのも一つはありだとは思うのですけれども、その可能性はないですか。

○得津室長 それは言ってみないとわからないですね。東京電力さんが。

○大久保座長 最後についている表を見ていただくと、社員と書いてあるのが東電なのですね。これが4,088人、それ以外の健保に所属しているのが2万7,000人。

○祖父江委員 東電だけでも、例えば医療被ばくの追跡とか、そういうことをレセプトでやると、ある程度、客観的なデータは出ますね。

○安井室長補佐 レセプトで、具体的にどういうアウトカムを狙って。

○祖父江委員 全般的には疾病の把握というのもありますけれども、この場合、医療被ばくですね。

○安井室長補佐 被ばくはレセプトでは引っからないのですね。それは、むしろ。

○得津室長 医療被ばく。CTなどやったら。

○安井室長補佐 失礼しました。医療被ばくですね。

○大久保座長 はい。大体、本当に受けたかどうかを確かめることすら難しいので、それは確かにもしレセプトの情報が入るのだったら、こんな確かなものはないですよ。

○得津室長 ただ、包括払いとなっていると、そこのところはっきりつかめない可能性は出てくるかもしれないです。

 そういう限界があるので、レセプトを使う場合はやはりそういうところに注意しないといけないと思います。

○祖父江委員 逆に、医療機関でないとわからないですか。

○得津室長 そうなのです。

○祖父江委員 それは少ししんどいですね。

○得津室長 医療機関でどれだけ医療を受けたかというのをちゃんと自己申告してくれる協力グループを一部つくって、そこでデータは吸い上げる、そういうのはありだと思いますけれども、ただ2万人全員は多分できないですね。東電の中でも全員はできないと思います。

○祖父江委員 だから、一部でもいいので、ちゃんと医療被ばくが。

○得津室長 だから、そういう設定をするかどうかですね。

○安井室長補佐 東京電力の健保組合と交渉する余地はあると思いますが、例えば次回会合までに交渉が妥結することはないと思いますので、そういうことを検討すべきだということであれば、受けとめて、研究班が頑張るということになるのだろうとは思います。

○大久保座長 どうぞ。

○児玉委員 今のような客観的な情報が手に入るのは、後で解析したりするときに物すごく役に立つのです。よくあることは、たくさん被ばくした人は、その後、例えば1年2年でCT検査を受けたら、物すごく鮮明に記憶されているのですね。そうでない人たちは余り気にされていない。そういう人たちに、2年ごとに、例えば聞き取りをすると、正確に記憶している人からは正しい回数が出てくる、そうでない人からは恐らく少な目に出てくるということで、結果的に間違って解釈する、あるいは間違った答えが出るということがあるので、客観的な情報がもし手に入れば、可能な限り手に入れるべきだと思います。難しいですけれどもね。

○大久保座長 過ぎてしまった期間は別として、最初から計画をして2年に1回、かなり上手な健康カレンダーでもつけさせるようにすれば、今までやっていたよりははるかに信頼性が高いものができますね。ただ、この2年間、あるいはこれはすぐ始められるのかどうかわからないけれども、この間のもう4年5年たってしまいますから。あるいはその前、2011年以前のものも当然ありますね。例えば50ミリとか10ミリとかというと、医療被ばくのほうがはるかに多いから。

○明石委員 5回CTをやったら。

○大久保座長 医療被ばくは相当しつこく記録を残しておかないと、やった意味が後でなくなってしまうおそれが非常に高いので、何とかして医療被ばくの程度をちゃんと調べるという努力をしなければいけない、これは確かだと思います。

○得津室長 そういう医療被ばくの聞き方みたいなものは、先行研究ではあるのでしょうか。

○児玉委員 うちは2年の間に、どれだけレントゲン検査を受けられましたか、CT検査を何回受けられましたかなどを聞いています。病院によって、被ばく線量が違ったり、検査部位によって違ったりするものですから、回数しか扱えないというのが困ったことなのですけれども。

○明石委員 我々のところは子供の医療被ばくをやっていますけれども、医療機関を特定しています。そうでないとできないです。

○得津室長 研究協力医療機関みたいなものをつくって、医療を受診するときは、そこに絶対に行ってくださいというふうにできれば、その辺の客観情報は集めやすいと思うのですけれども、そういうことをして、どれだけ研究参加してもらえるかどうかというところもあるので。

○大久保座長 いろいろな制約を全部外せるのだったら、先ほどのレセプトで、医療機関番号が入っていますから、レントゲンを受けたという請求が出た医療機関にアンケートを出して回答してもらうことは、理屈上は可能だけれども、それは恐らく実施できないでしょうね。

○得津室長 ハードルがかなり高いと思います。

○大久保座長 高いですね。そんなことをやったら、医療機関から必ずクレームが出ますから。

○安井室長補佐 あと、レセプトの話もあるのですが、結局、協力企業の場合は、事業所数が非常に多いということと、現場の方になりますと、1日働いて幾らということになりますので、健康診断を受けることだけで、そのまま減収になるケースもございますので、正直なところ、今回やっている甲状腺の疫学調査についてもばく露分についてはかなり受診率が劇的に低いので、そういった点について、何か受診率なり何なりを上げる方策というのは何か。

○大久保室長 やはりこれは金銭的な報酬は無理だとしても、協力謝金、祖父江先生などは、フィールド調査などで、協力者に例えば謝礼を出すとかやられたことはないですか。

○祖父江委員 検診を受けるのにですか。

○大久保室長 検診というか、健康調査ですね。

○祖父江委員 基本的に余り負担をかけないものであれば、謝金はなしということでお願いしますけれども、物すごくインテンシィブな調査票でも、金銭的にというよりも、答えること、栄養計算とかの結果を返すことをインセンティブにする場合が多いです。

○大久保室長 そうすると、法定の健康診断と、今回、企画する調査とどういうふうに組み合わせるかによって、その辺が変わってきますね。完全に調査対象者だけは別にしてしまって、例えば事業者責任でやっている健康診断をもうこちらで、研究目的のほうで全部費用負担までしてすると。だから、事業者にとっては、その分の負担が減るからインセンティブにはなるわけですね。だけど、それをやると、費用的には相当な金額になってしまいますね。

 例えば、では逆にして、もう本当に健康診断そのものは全部事業者がやっている健康診断にしてしまう、あるいは法律でやっている健康診断にしてしまって、もう精度管理は諦める、血液だけを持っておくという方法まで、いろいろ千差万別なやり方があります。この辺決めないと次回の資料がつくれないと思うのですね。難しい質問なので、今すぐ最終のお答えは無理かもしれませんが、もう余り時間ないですけれども、最後お一人ずつそのあたりについての意見をいただいておかないと、つくりにくいですから。

○明石委員 先ほど児玉先生が言われたとおり、それは結局、長続きするということが最大の問題になるので、やはり参加していただける方に、何か利益というのは、お金ではないにしても、何かやって、自分がやっているのだという自覚と利益という言い方は正しくないかもしれないけれども、何かやって充実感、何か得られるものをつくらないといけないですね。参加することで何かいいことというか、何て言えばいいのですかね、そういうことを、それが何か。

○大久保室長 被爆者の場合は、謝金は払っていませんが、タクシーで送り迎えするとか、先ほど祖父江先生がおっしゃった、毎回の健康相談で、十分な時間をかけて、御本人が満足していただけるような御指導を申し上げる。これで十分なインセンティブになって、今は80%以上の受診をしていただいています。ただ、これは1カ所だからできることなのですね。これは全国ばらばらで何十という医療機関が加わるとなると、多分思ったようにいかないと思うのですね。

○明石委員 先ほど事務局が、例えば協力企業だと、毎日の日当払いなのでということになると、この検査に行く日ぐらいの補償はしてもらわないと行かなくならないでしょうか。

○得津室長 実際に動き出したときには、そういう意見が出てくるのだろうなと思うのですね。だから、お金で何か解決するというのも一つの方法としてはあるのでしょうけれども、むしろ法定の検査のときに、前もって説明をして、そのときに、余分にちょっと採血だけさせてもらって、それを別に分析をする、そういうほうがまだやり方としてはいいのかなと思っています。

○大久保室長 時間になりましたので、今の点は多分、決定的な問題だろうと思うのですけれども、一応、いろいろな御発言が出たので、両論併記で、こういう考え方もある、こういう考え方もあると。何かしないと成功しないよ、そういう筋書きにして、案をつくっていただけますでしょうか。

 それから、途中で、もし何かいいお考えがあるようでしたら、直接で結構ですから、事務局へお話をいただきたいと思います。

 以上でよろしいでしょうか。

○得津室長 それでは、これで今回の専門家検討会を閉会します。

 第3回は3月26日、水曜日、午後3時30分から開催予定とさせていただきます。よろしくお願いします。

 座長からもありましたが、追加で御意見がある場合は、3月の5日の水曜日までに事務局のほうにメールにて提出をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 本日は、どうもありがとうございました。

 


(了)

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