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2013年10月3日 第2回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年10月3日(木)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第14会議室(厚生労働省22階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議題

1.前回の確認事項について
2.安全管理のあり方について
3.その他

○議事

○事務局 本日の「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 ( 2 ) 」を開催いたします。本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほど、よろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧騒にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、申込時の留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日、御出席の構成員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日の検討会は、田代構成員より欠席との御連絡を頂いており、現在、 7 名中 6 名の御出席を頂いています。本検討会の開催要項に基づき、定足数に達しており、会議は成立していることを報告申し上げます。なお、山口構成員におかれましては、所用により途中退席される予定と伺っております。

 また、前回の検討会以降に事務局の人事異動がありましたので、紹介いたします。大臣官房審議官の成田です。安全対策課長の森口です。医薬品医療機器総合機構の安全管理監の山本です。

これ以降は議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。よろしくお願いします。以降の議事進行について、藤井座長にお願いいたします。

○藤井座長 議事に入ります。事務局から、審議参加に関する遵守事項について、御報告してください。

○事務局 本検討会での審議参加規程ですが、前回と同様に、薬事分科会審議参加規程を準用したいと存じます。本日、出席された構成員の方々の過去 3 年度における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を報告いたします。本日の議題は、サリドマイド製剤、レナリドミド製剤に係るものですので、関連企業として、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者であるセルジーン株式会社、藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の 3 社から、過去 3 年度における寄附金等の受取について申告いただきました。なお、関係品目、関係企業については、事前に各構成員に資料をお送りして御確認いただいております。

 その結果、本日御出席の構成員のうち、久保田構成員が、ヤンセンファーマ株式会社から、 500 万円を超える受取との申告がございました。久保田構成員は、平成 20 年のサリドマイド承認時に、 TERMS の管理手順等の検討を行うために開催された「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」に医薬品のリスク管理の専門家として御参加いただいた委員であり、今回の検討に当たっても参加が必要と考えておりますが、先生の参加が必要と御判断いただけるか、御確認のほどお願いいたします。そのほか、今回の審議に参加することのできない構成員はいらっしゃいませんでした。

○藤井座長 ただ今事務局から説明がありましたが、久保田先生の参加が必要と考えますが、よろしいでしょうか。

                                     ( 了承 )

○藤井座長 皆様に久保田先生の御参加について御確認いただいたので、また、関係品目、関係企業の妥当性について、特に御意見はありませんか。御意見がないようですので、御了解いただいたものとします。ありがとうございました。次に、事務局から、本日の資料の確認をお願いします。

○事務局 本日お配りしている資料の確認をさせていただきます。議事次第の裏に配布資料一覧がございので、そちらに沿って確認させていただきます。

資料 1 「安全管理手順の目的・要素」、資料 2 「クロザリル患者モニタリングサービス (CPMS) について」、資料 3 「欧米における妊娠事例の発生状況について」、資料 4 「登録された個人情報に基づき同一患者の二重登録が未然に防止された事例について」、資料 5 TERMS における個人情報の利用例について」、資料 6 「御審議いただきたい事項」、以上が資料になります。

 また、参考資料といたまして、参考資料 1 「クロザリル患者モニタリングサービスの運用手順」、参考資料 2 「欧米における妊娠事例の詳細情報」です。そのほか、前回の検討会において配布いたしました資料をファイルに綴じた形で先生方の机に置かせていただいておりますので、審議の際に参考にしていただければと存じます。

資料は以上ですが、不足や落丁等がございましたら、事務局までお申出ください。

○藤井座長 皆さん、資料はよろしいですか。それでは、本日の議題に関する議論に移りたいと思います。議題 1 、前回の確認事項ですが、前回の検討会において、各構成員より指摘やお尋ねがあった点について、事務局が資料をまとめているので、初めにそれらの資料の説明をお願いします。

○事務局 御説明いたします。前回の検討会では、 5 点ほど資料準備の御指示を頂いており、今回、資料 1 から資料 5 まで準備いたしました。順を追って御説明いたします。

資料 1 を御覧ください。こちらは安全管理手順の目的・要素について、 TERMS RevMate についてそれぞれ整理したものです。一番左のピンク色のカラムですが、こちらは目的として考えられる事項ということで、大目的としては、「患者アクセスを阻害することなく胎児曝露防止」が挙げられ、その中に「女性患者自身の妊娠防止」、「男性患者のパートナーへの曝露防止」、「第三者への曝露防止」、大きくこの 3 つが目的に挙げられるのではないかと考え、整理いたしました。

 これら 3 つのそれぞれの目的に含まれる要素として整理したのが、その横にある水色のカラムの部分です。女性患者自身の妊娠防止については、「確実な妊娠回避実施の確保」ということで、「患者本人の妊娠回避必要性の理解」、それから、「パートナーの妊娠回避必要性の理解」が要素として挙げられると考えました。

 「女性患者自身の妊娠防止」に関しては、「妊娠した女性への曝露防止」ということで、現在実施している妊娠検査に相当するものがこれに当てはまるのではないかと思いますが、妊娠防止という目的に必ずしも直接リンクするものではない点もあるかと思いますが、一応この中に整理として入れています。

 次に、「男性患者のパートナーへの曝露防止」については、こちらも「確実な妊娠回避実施の確保」ということで、「男性患者本人の妊娠回避必要性の理解」、それから「パートナーの妊娠回避必要性の理解」が要素に含まれるのではないかと考えております。

 「第三者への曝露防止」については、要素として「適切な薬剤管理の確保」があるかと思います。これについては、病院内、病院外、流通のポイントでそれぞれ必要な要素があるのではないかと考え整理いたしました。

 病院内においては、「医療関係者のリスクの理解」、「病院内で薬剤管理」が適切に行われること。病院外においては、「患者本人の適切な薬剤管理必要性の理解」、「家族の適切な薬剤管理必要性の理解」、「必要量のみが患者の手元にあるようにするための薬剤管理」が挙げられるかと思われます。

 流通に関しては、「適正な市場流通の確保」という点が要素になるのではないかと考えています。

そのほか、第三者への曝露防止という観点では、「献血・精子 / 精液・授乳を通じた曝露防止」「直接の関係者以外への注意喚起」も第三者曝露防止の要素になるかと思います。

 このようにして整理した目的・要素について、 TERMS で現在行われている手順がそれぞれどれに当てはまるかを整理したものが、この表の真ん中にある白色の部分になります。それぞれ対象者を明確にした上で、その横に現在行われている手順を記載しました。この表の中に緑色になっている箇所がありますが、患者の登録、遵守状況の確認については、こちらの検討会において特に御審議いただきたい事項ということで、前回もお願いした点ですので、それが分かりやすいように色を付けています。

2 枚目は RevMate に関して、同じように整理をした資料です。

続きまして、前回の検討会で、久保田先生からクロザリル患者モニタリングサービス (CPMS) について御紹介いただき、事務局でその説明資料を準備するようにという御指示を頂いておりましたので、今回、資料 2 として準備いたしました。

 クロザリルという薬ですが、こちらは治療抵抗性統合失調症の治療薬でして、無顆粒球症などの重篤な血液障害が発現することが知られています。米国等では、その早期発見、発現時の予後の重篤化抑制を目的として、血液モニタリングが実施されています。

 我が国では、平成 21 4 月に同じく治療抵抗性統合失調症治療薬として承認されており、その際には医療機関や医師の限定、定期的な血液検査を実施と、その評価結果に基づく適正な使用が図られるよう、必要な措置を講じることが承認条件として付与されており、これを受けて CPMS が導入されています。

CPMS の概要ですが、こちらのシステムは好中球減少症・無顆粒球症及び耐糖能異常の早期発見、重篤化回避を目的として導入された制度です。患者ごとの白血球数・好中球数、血糖などのモニタリングの確実な実施を支援するもので、ヒューマンエラーによって検査未実施が起こらないように支援することを目的として導入されています。

 このシステムにおいては、医療機関・医療従事者、患者の登録が必要とされています。医療機関・医療従事者の登録ですが、医療機関については、採血当日に血液検査等の結果が出せることが可能、無顆粒球症への対応が可能といった要件のほかに、登録要件を満たした登録医師、コーディネート業務担当者、管理薬剤師がそれぞれ 2 名以上いることが要件とされています。また、医師、コーディネート業務担当者、薬剤師もそれぞれ登録が必要とされています。なお、管理薬剤師については、コーディネート業務担当者との兼務が可能とされています。

 この医薬品の製造販売業者であるノバルティスにも話を聞いてみましたところ、海外ではコーディネート業務担当者を求めていない国もあるそうでして、日本でも当初、企業としては医師・薬剤師によるダブルチェックによることで可能と考えていたそうですが、薬剤師による負担が大きいといった意見もあったということで、コーディネート業務担当者を設置したとのことでした。

1 ページの下に、医療従事者の役割について、 CPMS の医療従事者用手順書の記載を抜粋して、御参考として載せています。こちらの内容には手順に関する事項も含まれていますので、後ほど投与手順の所で御説明いたします。

2 ページの真ん中からですが、次に患者登録と確認について御説明いたます。患者登録と確認は、定期的な血液検査の実施の確認、血液検査の中止基準によって本剤の投与が中止となった患者に再投与されないように管理するために行われています。また、これにより患者が複数の医療機関から同時に処方を受けることも防止するとされています。

 実際に患者情報としては、「イニシャル」「性別」「血液型」「生年月日」を登録しており、 CPMS センターと医療機関との患者情報に関する連絡は、患者登録番号を用いて行われているとのことです。これらの情報を用いて過去の投与中止基準によって投与を中止になった患者及び既登録の患者との一致の有無を登録時に確認しています。その具体的な手順の概要が、次の(1)から(5)になります。

 まず、入手している患者情報のうち、「性別」「血液型」「生年月日」で一致する患者がいるかどうかをシステム的に確認しており、一致する場合は、自動登録されずにシステム上警告が発せられることになっています。システムと申しますのは、説明が遅れてしまいましたが、 2 ページの真ん中辺りに小さな字で記載していますが、 eCPMS という CPMS IT 化したシステムでして、医療機関と保険薬局と CPMS センターとの連絡・報告をインターネットを通じて電子的に行うツールで、また、これはデータベースとしての役割も兼ねているといったものです。

 患者が登録されるときには、これを用いて、まず「性別」「血液型」「生年月日」で一致する患者の有無を確認し、一致する方がいらっしゃれば、自動登録されずに警告が出ますので、登録医又はコーディネート業務担当者が CPMS センターに電話連絡をすることになります。電話連絡を受けて CPMS センターは、一致した患者がいる医療機関の連絡先を登録医師等に伝えて、投与中止に至った患者と一致しているか、若しくは既登録の患者と一致しているかどうかの確認の依頼を行います。

 同一患者かどうかの確認は、守秘義務のある医師同士で行うとされています。このようにして確認した結果をシステムを用いて CPMS センターに報告し、 CPMS センターではこれを受けて過去に投与中止基準にて投与を中止した患者か、又は既登録の患者と同一かどうかという確認を行い、同一患者ではないという確認が取れたら、患者登録番号を交付する流れになっています。これまで約 1,900 名ほどの登録がなされているそうですが、この手順で確認が必要になったのは 10 数件程度と聞いております。医療機関同士で確認することになりますが、いずれも当日中に確認ができており、特にこの手順に関して苦情やトラブルはこれまでなかったと聞いております。

 次に投与の手順ですが、フロー図を準備しておりますので、そちらを用いて御説明いたします。この図の左上にある「クロザリル適正使用委員会」、こちらは医師、薬剤師、生命倫理、法律の専門家からなる第三者委員会ですが、(1)としてこちらによる研修の受講、理解度確認テストを医師に受けていただき、受講とテストの合格となりましたら、医師が(2)ということで、クロザリル適正使用委員会に登録の申請を行います。この委員会が登録審査を行い、その結果がノバルティスファーマに伝えられて登録となります。

 次に、登録医師は患者に対して説明、事前の血液検査、同意の取得を行います。同意書は、医療機関に保存ということで、企業には提供されません。これを行った後に医師が患者登録を行うということで、その確認手続は先ほど御説明申し上げたとおりです。次に、医師は、右側で赤い記載になっております(5)の血液検査を実施して、その検査結果、検査に基づいて使用できるかどうかの判断の結果、次回の検査日などを eCPMS に入力をして、 1 次承認を行います。

 この後医師は、処方せん、検査伝票をコーディネート業務担当者に渡し、それを受けてコーディネート業務担当者は、(8)として、医師が入力した検査結果が検査伝票と合致しているかどうか、判断結果、処方量・日数、次回検査日などが手順に沿っているかどうかを、 eCPMS にアクセスして内容を確認し、問題ないということであれば 2 次承認を行います。

 次に、コーディネート業務担当者は、(9)ということで、管理薬剤師に確認結果の連絡を行い、連絡を受けた管理薬剤師は、(10)として、こちらもシステムにアクセスして処方が可能とされていること、処方量・日数の確認を行い、特に問題なければ(11)ということで調剤される流れになります。

 この図における(5)以降の手順が、今後、毎回処方の度ごとに必要な手続になってまいります。 CPMS センターにはシステムを通じて様々な情報が登録されるのですが、登録される度に次のステップに移るために企業が承認を行うではなく、入力される情報をタイムリーにチェックして、その情報に何か問題があれば即座に医療機関に連絡を取って、必要な是正措置を行っていただく流れになっています。

CPMS は血液モニタリングの確実な実施を支援するものということで、管理する対象がサリドマイドやレナリドミドとは異っております。手順としては、医師、薬剤師等の登録、患者の登録、医療機関内や企業によるチェックなど似ているところはございますが、 TERMS RevMate との違いを見ていただくということで、ファイルにある前回会議資料のうち資料 3 TERMS RevMate について」を御覧下さい。

1 枚ページをめくっていただくと、 TERMS の手順が載っていますので、こちらと見比べていただければと思いますが、両者で大きく違っている点としては、医療関係者が患者に接触するのは、初回の説明、同意書の取得の部分と血液検査の実施というのが CPMS での状況ですが、 TERMS RevMate では処方医師や薬剤師が処方の度ごとに遵守状況の確認を行うということで、患者とのやり取りがございますので、両者を比べたときにこの点が違っている点の 1 つになるかと思います。

 あとは、企業への情報提供、登録というのが、 TERMS RevMate では、処方医師から薬剤師を通じて管理センターに情報を登録することになっておりますし、また、患者が直接定期確認調査票を管理センターに提出することを求めていますが、 CPMS では患者から直接管理センターにアクセスすることはない点が違っておりますし、また、医療機関からの企業への情報の登録という点についても、医師やコーディネート業務担当者が直接行っている点が、 TERMS とは異っている点かと思われます。資料 2 に関する御説明は以上です。

○事務局 続いて、資料 3 について御説明いたします。資料 3 「欧米における妊娠事例の発生状況について」を御覧ください。前回の検討会において欧米における安全管理手順についても御紹介いたしましたが、それらについて、欧米における患者の妊娠事例等がどれだけ発生しているのか確認すべきとの御指摘を頂きました。そこで、セルジーン株式会社に協力いただき、欧州、米国、それぞれのレナリドミドの妊娠関連症例について取りまとめたのがこちらの資料です。なお、同社は、サリドマイドについては国内承認を得ていないことから、サリドマイドについての情報は得られなかったため、資料 3 はレナリドミドのみの情報に限定されております。

 各症例の詳細な情報については、分量が多いことから、参考資料 2 としてお配りしており、御覧いただいている資料 3 については、それぞれの症例の概要をリスト化したものです。資料 3 に沿って御説明いたしますが、必要に応じて参考資料 2 についても御確認いただけますと幸いです。

 資料 3 1 ページです。こちらは、欧州におけるレナリドミドの妊娠関連症例の一覧です。上から、女性患者の妊娠事例が 1 例、男性患者のパートナーの妊娠事例が No.2 から No.4 までの 3 件、その他の妊娠として病院職員等の第三者である妊婦がレナリドミドに曝露した事例が No.5 から No.7 までの 3 件報告されています。一番上の女性患者の妊娠事例については、最終月経の 2 か月前にレナリドミドの服薬を終えており、服用中に妊娠したものではありませんが、女性患者の妊娠事例として整理しております。

2 ページです。こちらは、米国におけるレナリドミドの妊娠関連症例の一覧です。上から順に、女性患者の妊娠事例が 8 例、男性患者のパートナーの妊娠事例が No.9 から No.16 までの 8 例、第三者の妊婦の曝露が 1 例報告されています。このうち、女性患者の妊娠事例の No.1 から No.3 、男性患者のパートナーの妊娠事例の No.9 については、臨床試験の初期の段階での曝露事例となりますが、これらが発生した時期は、レナリドミドの催奇形性が明確になっておらず、妊娠防止のための管理も、現在のように実施されていない状況での事例となりますので、御承知おきいただければと思います。これらの症例については、セルジーン株式会社も詳細な情報は把握していませんので、先ほど申し上げた参考資料 2 にはこれらの症例は含まれていません。また、本資料に掲載している情報は、もともとセルジーン社が副作用情報の一環として整理・収集した情報ですので、主に患者や胎児の健康影響についての記載が多くなっており、妊娠事例が発生した原因や妊娠防止プログラムとの関連についての記載は若干少ないものとなっていますので、併せて御承知おきください。

 続いて、資料 4 の説明に移ります。資料 4 「登録された個人情報に基づき同一患者の二重登録が未然に防止された事例について」を御覧ください。 TERMS RevMate ともに患者登録時には患者の個人情報を用いて、過去に登録された患者データと氏名と生年月日を照合して、重複登録が行われていないか確認を行っております。前回の検討会において、重複登録の回避にどの程度活用できているのかについて御質問がありましたので、藤本製薬、セルジーン株式会社、両社に聞き取りの上作成したのが、こちらの資料 4 です。

 まず、 TERMS ですが、 1 つ目の○のとおり、登録手続ごとに二重登録の有無について確認を行っていますが、その結果、二重登録を未然に防いだ事例については記録を残していないため、これまで二重登録のおそれがあった事例の件数は不明とのことでした。また、 2 つ目の○のとおり、それらの二重登録の有無についての確認をすり抜けて登録を行ってしまった事例が、これまでに 2 例発生したとのことで、その内容を事例 1 、事例 2 として記載しております。これらの事例の発生を受けて、藤本製薬では確認体制の見直しを行っていて、それ以降に同様の事例は、この 2 例以外に発生はないとのことです。

 次に RevMate です。 RevMate でも二重登録の有無について確認を行っていて、記録を取り始めた平成 23 5 月から平成 25 6 月までの記録では、既に登録をしている患者について、同一施設内で再度、登録申請が行われてしまったケースを、登録前に事前に発見できたケースが 17 例。 2 つ目の○ですが、既に登録されている患者が、別の病院に転院されて、転院先の施設から再度登録申請が行われてしまったケースで、事前に発見できたものが 23 例、合計 40 例の事例があるとのことでした。

 続いて、資料 5 TERMS における個人情報の利用例について」です。 TERMS では、登録された患者の個人情報について、通常、二重登録の防止のチェックや登録時の患者区分の確認、患者アンケートの送付等に利用していますが、それ以外に、藤本製薬が直接患者さんにアクセスするために使用した事例があるため、その詳細について確認するよう、前回検討会において御指摘を頂きました。藤本製薬に確認したところ、資料 5 に記載しているとおり、 2 例、薬剤紛失事例があり、それぞれ、処方医師の了承を得た上で患者宅を訪問し、薬剤管理者や患者と面談を行った事例があるとのことでした。紛失事例の内容については、詳細は割愛させていただきますが、 2 事例ともにサリドマイドの製造販売や TERMS の運用が開始されたばかりの初期に発生した事例で、紛失に至った背景や詳細な情報を把握する必要があると、当時判断し、聞き取りを行ったというものです。その後の紛失事例については、医療機関を通じて、必要な情報を収集しており、同様の事例は発生していないということでした。

 資料 1 5 について、事務局からの説明は以上です。

○藤井座長 前回の検討会での確認事項について、資料を基に事務局から説明いただきました。各資料について御発言をお願いしたいのですが、まず、資料 1 、目的・要素の分類です。今後の議論をする土台となるものですので、まずここから始めたいと思います。どれが重要であるかは、また後で議論しますので、まずここでは、ピンク色と青色の、この目的・要素の分類がこれで適切かどうかについて御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

○遠藤構成員 事務局できちんと分類されて、整理していただいたと思っています。これを見ると、両システムの目的は胎児曝露の防止ですが、患者さんに近いところよりも、もう少し第三者的なところの手順の量が、この両方のシステムにはかなり多く含まれているのだということが、よく理解できました。

 それから、 TERMS RevMate を比較すると、まだ若干、 TERMS のほうが多少手順が多いように見えました。以上です。

○藤井座長 尾崎先生、この要素の部分はいかがでしょうか。

○尾崎構成員 やはり、当初の目的が、患者さん本人の妊娠、あるいは御家族の妊娠防止並びに第三者への薬剤の供給の禁止などの目的に沿った手順、管理体制ですので、それは全て網羅されていると思います。一番大きな違いは、恐らく薬剤管理者が RevMate では必ずしも必要でないというところで、あとは恐らくほぼ同等の管理ですが、実際は、登録のときのデバイスなどが違いますので、現場の医療機関では薬剤による煩雑さや、時間がどうかかるかなどが問題になってきていることにつながっていると思います。

○藤井座長 久保田先生、いかがでしょうか。

○久保田構成員 曝露防止というところなのですが、女性 C 患者本人については妊娠検査の実施ですが、妊娠検査の実施が直接的に曝露の防止につながるというのは、使用開始前だけなのです。使用開始してからの妊娠検査は必要だとは思いますが、直接的な意味での曝露防止には必ずしもつながっていないと思います。

 もう 1 つ。患者さんからの定期的な報告というのが「必要性の理解」という所に区分されているのですが、もちろん理解の確認というところもあると思うのですが、比較的定期的にこういうことを確認して、自分は確かにこういうことをしなかった、そして今後もきちんとやっていきますという確認を求めていることが、曝露防止に間接的にかもしれませんが、つながっているのではないかと思います。

○藤井座長 ありがとうございました。林先生いかがでしょうか。これでいいかということですが。

○林構成員 最初の論点である胎児曝露を防止するという意味で、患者区分別にどういう要素があるかというのは、分かりやすく論点整理していただいているように思います。少しずつ議論が出ていましたが、それにどの要素が必須であるかどうかについては、少し検討の余地はあると思いますが、まず最初のポイントについてはよく整理されているように思いました。

○藤井座長 山口先生いかがでしょうか。

○山口構成員 特に意見はございません。

○藤井座長 そうすると、言葉や、特に今、久保田先生が御指摘されたように、妊娠検査が曝露防止につながるか。最初はともかくとして、後というのはこれまでの第三者検討委員会でも議論されていて、私は産婦人科医ということもありますが、曝露を防ぐことはできなくても、できるだけ短く、量を少なくという意味では、久保田先生もおっしゃっていたとおりそのまま必要であると思います。分類上、これをどこに入れるか難しいので、とりあえず、曝露防止及び軽減ということになりますか。分類はこういうことでよろしいかと思います。

 続いて、資料 2 、クロザリル、 CPMS 、これについては、前回、久保田先生から御紹介いただきましたので、久保田先生、これについて御意見がありますでしょうか。

○久保田構成員 事務局のほうからとても詳しく御説明をいただいたと思います。ちょっとだけ付け加えると、コーディネーターの役割について、事務局からの御説明では、薬剤師さんに負担がかかり過ぎるのでそれを補うように、という経緯だと御説明されたと思います。経緯はそうなのかもしれませんが、ただ、実際に出来上がった CPMS のシステムの中では、コーディネーターが非常に重要な役割を果たしています。要は、違う人がダブルチェックをする。両方がチェックしないと次に進めないという仕組みになっているところがとても重要だと思います。確かに、企業が「次に進んでいいよ」と言うわけではなくて、あくまで現場での相互承認なのですが、ドクターが確認しただけでは次に進めなくて、 2 次承認担当の方が別の目で見て「確かにそうだ。オーケーだ」と言って、必ずそこで 2 人が承認したところで進めていくというところが、非常に重要な部分だと思います。現場で 2 人がダブルチェックすることがきちんとできていれば、患者さん本人については前面に出なくてもいいし、匿名された形でも、非常にきっちりした形でできるという意味で、確かにリスクの性質は違うのですが、そういうものを教えてくれるものとして重要だと考えています。

○藤井座長 今のこの TERMS RevMate は作業で非常に時間がかかって、患者さんが待っていて大変だという、アクセスがスムーズにいかないのではないかということにつながるとも考えられているのですが、この CPMS のほうではダブルチェックをやっても、そんなに時間はかかったりはしないのでしょうか。

○久保田構成員 現場での時間がどのくらいかは、私も 2 件ぐらいしか見ていないのでよく分からないのですが、やはりチェックの時間はかかるとおっしゃっていました。一連の作業が終わるのに、やはり相当時間はかかると聞いています。

○藤井座長 やはりこういうことをやるので、当然、時間はかかっているということですが、ほかの先生方から何かありますか。

○尾崎構成員 当院でも、実は精神科の医師に私から確認させていただいて、 CPMS をシステムで処方している先生がおられたのですが、やはり、このダブルチェックのところや患者さんの血液検査を見るところでは時間がかかって、受診のたびに、結構長期にわたって毎回ということだと、サリドマイドあるいはレナリドミドの管理体制にかなり似たところがあって、主治医の立場から言えば、やはり、その処方、あるいはそういう外来での時間はかかっているということはおっしゃっておられました。

○藤井座長 遠藤先生いかがでしょうか。

○遠藤構成員 説明を聞いて、今、コーディネーターの話が出たのですが、コーディネーターの部分が、この TERMS RevMate では、もしかしたら企業が担っているのかなと、思いました。

 それと、後でまた議論になるのでしょうが、企業のほうに出している患者さんの情報について、番号で院内だけで情報が完結していて、企業には個人情報が行っていないというのは、これだけの厳しいシステムを動かしても、別に、企業に患者の情報を出さなくてもいいというのは、とても参考になるのではないかと思いました。

○藤井座長 これは、実際に調剤の部門が大変じゃないかと思うのですが、林先生、薬剤部のほうの立場からするとどうですか。虎の門では CPMS はないのでしょうか。

○林構成員 当院では、残念ながら該当症例に関する重症例の扱いが、非常に極めて少ないということで、この CPMS が稼動しているわけではないのです。説明を通じて、あるいは関連の方の御意見を通じて理解しているところとしては、クロザリルの場合には検査が必ず実施されているかどうかということ、その検査結果が、投薬していいかどうかを確認することが、重要な要素になっていて、無顆粒球症等のリスクに該当する患者さんに継続投薬しないことが重要な要素で、そのことの確認、つまり久保田先生がおっしゃるダブルチェックをコーディネーターの方が専門的にやるという機能を果たしてくださっていると思うのです。

 一方で、 TERMS RevMate が目指しているのは、引き続き患者さんに適正に管理していただけるかを、医師か薬剤師が面談して確認した内容を企業側へ登録することでダブルチェックをしている形式です。そこが病院内で完結するダブルチェック機能に置き替えられるのかというモデルとしては、 1 つの大きな新しい提案と理解していました。いずれにしても、ダブルチェック機能を日常業務の流れの中だけでサラサラッと終わらせてしまうと少し不安が残るので、それは、薬剤師がその機能を担えるのかどうかも含めて、その作業工程をきちんと定義しないと、ダブルチェックが果たせるようにならないおそれもあります。現場としては、いずれにせよ、一定の手間をかけないと安全管理の工程が 1 つ追加することにならないと思いました。

○藤井座長 遵守状況の確認方法については、今後、協議事項で細かく議論したいと思います。山口先生、何かありますか。

○山口構成員 私は医業者ではありませんので、これについては全く初めて教えていただいています。伺って、非常に興味深いと思ったのが、まずはやはり、御指摘のあるように、コーディネーターの存在と、もう 1 つは、 TERMS は比較的前ということもありますので、ファックス等でいろいろやり取りをやっているということですが、このインターネットを通じて行うツール、 IT 化したシステムを使っているところなどが興味深いと感じました。

 そもそものところとしてお聞きしたいのが、このシステムを作る上で、こういったある程度コストといったものが、いろいろな所でもともとかかっているのではないかと思うのです。それと、患者の規模といったものもある程度関係しているのではないかという感じがしたのですが、それはどれぐらいになっているのですか。 TERMS などについては、登録患者数 7,307 人とか、 RevMate 1 万ぐらいということですが、かなり規模が違うものなのかどうなのかをお聞きできればと思います。

○事務局 患者数に関しては、確認したところ、発売されてからこれまで、約 1,900 名登録されているとのことでした。

○山口構成員 そうすると、逆にこちらのほうが規模としては小さいものなのですね。

○事務局 はい。

○山口構成員 では、コストとしてこれと同じようなものを作るということも、もしかしたら、この TERMS 等についても可能なのではないかと、まあ、ざっくりとした理解としてはそういった理解でよろしいのでしょうか。なかなかお答えしにくいとは思いますが。

○藤井座長 ただまあ、安全確認と患者さんが待つ時間というのは、どうしても裏腹になるので、今回は、待っている時間がすごく長くて患者さんが大変だというところが議論の出発点にもなっていますので、逆に言うと、規模が大きいので、やると大変だというところもあるかと思います。また、それは後で、遵守法の確認のところで協議したいと思います。

 続いて、資料 3 です。海外での妊娠事例の確認が必要ということを、この前、林先生から御意見を頂きましたが、先生、いかがでしょうか。

○林構成員 御質問させていただいた背景に、 US では企業主体で一元管理をしている。一方、 EU では行政の機関、そこには必ずしも個人情報が行くわけではなくて、医療機関側で個人情報を把握しつつ一元登録をしているというような、大きな違いがあって、その違いが、事故の発生の程度、頻度、内容に違いをもたらすのか、というところが関心事でした。

 もしかすると、今回の調査では企業の協力を得て自発報告の中からこの事故事例を抽出しているということで、調査の限界もあるのかもしれないですが、現時点で分かる根拠を基に考えるとすれば、 EU US で曝露の発生状況に大きな違いはないのではないかと、資料の説明を受けて感じました。ということで、その辺りの我が国における今後の方向性を再考する際に、どちらのパターンも、ある意味、同等の成果を上げていると受け止めてもいいのではないかと拝見していました。

○藤井座長 ありがとうございました。これについては、前回、林先生から頂いて、今回、用意していただいた資料ですが、その他の先生方、何か御意見ございますでしょうか。

 日本では、こういう事態は、確かほとんどなかったかと思うのですが。これをパッと見て、多いなという印象があったのですが。

○事務局 日本では現在までのところは、このような事例は起きていません。

○藤井座長 日本のほうが、はるかに厳しい基準でやっているということなのでしょうね。

○事務局 安全管理が適切に機能し、患者による理解・遵守が浸透しているということかと思います。

○藤井座長 分かりました。特に御意見ございませんか。

 それでは、資料 4 に移ります。これも、前回、林先生から二重登録の防止事例に関する事例がないかということで御意見を頂きまして、調べていただきました。林先生、いかがでしょうか。

○林構成員 現実としては、転院を機会に A 病院と B 病院で、ということは、論理的にも発生し得る二重登録の可能性だなというのは想像はしていたのですが、実際にそういうことは起こり得るのだなと。また、大きな病院になると、前任の A 医師が受け持ちの段階で登録して、きちんと引き継ぎしているはずなのだけれども、もう 1 人の次の医師が、また別途、自分も担当をされるということで登録することはあるのだな、というのは再確認できました。実在し得るのだろうと。それを誰かが見ていて「ダブッていますよ」ということが言える体制が必要なのではないかと。「実はヒューマンエラーで登録してしまいました」と、正直に申告していただいているのですが、そこはどういう手法をとられたのか、クオリティを上げられて再発していないということなので、適正に運用されているのだと考えると同時に、もし二重登録の問題を考えるのであれば、新しく考えるシステムの中でも、そこを少し配慮はしておかないといけないのではないかと感じます。同時に、逆に患者さんは 1 人なので、ここで出てきている事例を見ると、本人に倍量投与になることはないのかな、という事例が今までに発生していたのだな、というのを、今回確認させていただきました。ありがとうございました。

○藤井座長 ほかの先生方、個人情報、要するに名前から住所から電話番号から全てということになると思うのですが、そのうちのどれが必要かとは今後の議論ですが、とりあえず、二重登録の防止には役に立っているということが分かったわけです。 RevMate は合わせて 40 例ですか、こういうふうにできています。ただ、これについては非常にいいことですので、個人情報を今後もう少し考えて変えていくとすれば、それでも、二重登録をやったから何か起こるのかという問題もあるのですが、考えてもいいのかなという感じがいたします。

○尾崎構成員 先ほどの林先生のお話に追加させていただくのですが、実際の現場では、特に TERMS は患者さんの番号と、処方医師も自分の認定番号を書いて、それで処方が進むという手続ですので、ひょっとすると主治医が交替したときに勘違いしてもう一度自分の番号を登録し直したりなどがある可能性が 1 つあります。

 それと、 RevMate のほうは、同日すぐカードを登録できて、その日から処方できますが、 TERMS も最近では仮登録というシステムで同日処方ができるようになりました。そうすると、当然、照合の時間等起こりやすいかと思います。以前は TERMS の場合は、必ず送ってから、カードが来てからの処方でしたので、十分ダブルチェックはされていたとは思うのですが。

○藤井座長 よろしいでしょうか。

 それでは、最後の資料 5 です。個人情報を企業に登録するのが必要なのかというのはさんざん議論されてきました。では実際に、その個人情報がどのように使われているかということについて、 TERMS での利用例の事例が 2 つまとめてあります。この資料について御意見はありますか。

○遠藤構成員 直接的にこの 2 事例だけを判断すると、これは別に企業でなくても、本来であれば医療機関が確認する立場だったのではないかと思います。それを、病院であれば、当然、患者さんの住所も連絡先も分かっていますし、本来は病院がやらなければいけないのを企業に依頼して、企業は情報も分かっているので、企業が対応してくれた、というような事例に見えるのです。ですから、こういう事例に関して、別に企業が情報を持っているからといって、病院にはできないとは思えなかったです。

○藤井座長 山口先生、法律の立場からいかがでしょうか。

○山口構成員 法律の立場からということでは、若干、返答に困ってしまうのですが、遠藤先生と全く同じ意見で、やはりこれについては、要するに企業が持っていなければいけないということは、ここからは少なくとも読み取れない感じがします。ただ逆に、その分、病院が全て対応しなければならないというところには結び付く可能性があるかもしれませんが。

○藤井座長  Revlimid のほうは使っていないということですか。持っていないからいいのですね。

○遠藤構成員 名前は分かるけど、住所は持っていない。

○藤井座長 住所は持っていないからですか。

○事務局 電話番号は登録されていたかと思います。

○藤井座長 だから、こういうことは、やろうと思ってもできないということですね。

○事務局 薬剤管理者は連絡先として電話番号が登録されますが、患者御自身は、お名前と生年月日と性別です。

○藤井座長 なるほど。第三者の調査のときも、それで薬剤部で配ってもらったのですね。

 以上、資料 1 5 まで通して、改めて何か御意見ございましたらお願いします。ありませんか。

 続いて、議題 2 に移ります。議題 2 は安全管理のあり方の議論ですが、これに当たって、資料 6 の説明を、事務局からお願いします。

○事務局 資料 6 を御覧ください。今回、御議論いただきたい事項を事務局でまとめたものです。

 まず、第 1 点ですが、先ほど資料 1 で目的と要素の整理をしましたが、患者のアクセスを阻害することなく胎児曝露を防止するための安全管理を検討するに当たり、目的・要素の中でも特に重点を置いて安全管理を考えなければいけない要素があるかどうかを、初めに御議論いただいてはどうかと考えております。その上で、それぞれの安全管理手順がどうあるべきかについて、次に御議論いただきたいと思っております。安全管理手順については、前回の検討会で御了承いただいた今後の検討の進め方の中でも、特に遵守状況の確認方法と個人情報の取扱いについて御議論いただき、その他の手順についても必要に応じて検討いただくことになっておりましたので、これらの 3 点について御議論いただきたいと思っております。

 遵守状況の確認方法については、こちらに項目の例を挙げさせていただいておりますとおり、確認が必要な項目は何か、どのように確認を行うべきか、誰が確認するのか、頻度はどうあるべきか。また、実施したことを記録する目的、どのような方法で記録することがよいのか、などの点を御議論いただいてはと考えております。

 個人情報の取扱いについては、前回の検討会で、既にいくつかの御意見を頂いておりますが、それも踏まえた上で今回また改めて御検討いただきたいと思います。

 その他の手順については、これら以外にも手順がございますので、そちらについても目的・要素の整理結果を踏まえて、どうあるべきかを御検討いただきたいと思います。

○藤井座長 議題 2 の議論の進め方について、ただ今事務局から資料 6 に基づいて提案がありました。まず、安全管理に必要な要素について御議論いただきまして、その後、その議論を踏まえて遵守状況の確認方法や個人情報の取扱いについて御議論をいただくというものでした。そのような流れで、本日は時間の許す限り上から順番に議論を進め、残った部分は次回に引き続き検討を行うこととしたいと思います。よろしいでしょうか。

 まず、 1 つ目の、安全管理に必要な要素について御議論いただきたいと思います。資料 1 を御覧ください。安全管理手順の目的がピンク色、そのために必要な要素が水色です。この中で特に重点を置くべき要素について御意見を頂きたいと思います。前回もフリーディスカッションの形でしたので自由に御意見を伺いたいと思います。この目的の患者アクセスを阻害することなく胎児曝露を防止するために、特にどの要素が大事であるか、重点を置くべきであるかという点についてです。まず、実際に血液内科医として処方いただいている尾崎先生、お願いします。

○尾崎構成員 まず、 TERMS RevMate の安全管理対策として一番重視されるのは、女性 C 、妊娠可能患者さんへの曝露防止、妊娠の防止ということですから、基本的には教育ですね、十分に説明する。処方の前にはパートナーを含めてそういうことを説明しています。幸い日本ではそういう事例はないということですが、そこが一番中心になるのではないかと思います。その次が、第三者への供与です。それも同意説明文書等で十分に話はしていますので、恐らく、我が国でもそのような事例はないと思っています。その 2 点を確実にするということが、本安全管理対策の大きな目標ではないかと思っています。

○藤井座長 薬剤部で実際に処方されている立場から、林先生、お願いします。

○林構成員 今回整理していただいたリスクからすれば、 C の方の曝露防止には、医師の確認と薬剤師の確認した記録のダブルチェックのようなことがありますので、こういうチーム医療というか、ダブルチェックの機能が働いていることが必要なのだろうと私も思います。それから、御本人以外への曝露の防止については、同意も含めて御理解いただいているという今のお話もありましたが、先ほど、旅行に行って詰め替えて帰ってきて、なくなりましたというような話が散見されることも含めると、先般の手順改正では、残薬を持ってくることを必須にはしていません。御本人に副作用が出て飲みにくくなっていないか、あるいは、残りがあれば処方量を相殺するということも含めて、あれば持ってきていただく。持って来なければ調剤しないということはないのですが、薬を間に置いて薬剤師が患者さんと一緒になって、応援していくという意味も含めて、残薬の状況の確認は必須ではありませんが継続させていただいています。そういう意味では、薬がないということについて、御本人の理解で進めていただくことが主体ですが、サポートするというかダブルチェックするという意味では、そこは薬剤師も確認しているつもりでいます。それも 1 つではないかと感じています。

○藤井座長 薬剤の専門家は 2 人いらっしゃいます。まず、遠藤先生、どの要素が重点的にするべき問題でしょうか。

○遠藤構成員 お二人とほぼ共通していますが、やはり、女性患者 C の妊娠、患者さんは少ないのですが、そこの確認をきちんとすることと、それから、患者さん自身に継続的教育が必要とされるのではないかと思っています。また、第三者の曝露は、林先生もおっしゃったように、必要ではない薬が患者さんの手元に残らない、行かないことについて、 TERMS RevMate も、企業を巻き込んで、数、処方量をチェックしたりしているので、それを重点的に継続的に行っていくことで、理屈上は患者さんの手元にそれほど薬が残ることはありません。あとは、それを定期的にしっかりチェックしていけば過剰な薬が残ることはないと思います。それを徹底していけばいいのではないかと思います。小さいところはまだあると思いますが、大きなところではその 2 点ではないかと思っています。

○久保田構成員 特に女性患者 C で考えたときに、胎児曝露を防止するための手段として、先ほども申し上げましたが、開始前の妊娠検査は確実に防止するための手段として働く。これは間違いないところです。ところが、それを除くと、本当に良い手段はないというのが現実だと思います。胎児曝露の防止という意味では、 CPMS における血液検査の結果に当たるような、非常にクリアなものはない。結局、間接的なものになってしまうかもしれませんが、恐らく胎児曝露の防止につながっていくだろうということ以外にないのです。そういう意味では、使用開始後の妊娠検査も間接的には何らかの心理的な意味での曝露防止につながるのかもしれません。私自身は、使用開始後の妊娠検査は、曝露防止だけではなくて、むしろ、社会的に非常に大きな問題を起こしてしまった薬剤が正しく使われているということを、使っている人には大変申し訳ないのだけれども、使っている人が社会に対して説明する責任を負ってしまっていて、 1 例もそういうことが起きていないということをはっきりと記録としてデータとして残すことが求められているのだと思います。そういう意味で、使用開始後も妊娠検査をしていくことは重要なのだろうと私は理解しています。ただ、間接的には曝露防止にもなっているのだろうとは思います。

 もう 1 つは、先ほども申し上げましたが、定期的な確認というのが、単に知識を確認するだけではなくて、知識としては分かっているのでしょうけれども、定期的にこうでしたということをチェックすることが間接的に曝露防止につながっていると思います。私は、できれば本人のサインがあるべきではないかと思います。社会の中でも、分かり切っていることでも、やはり定期的に実行させられることは結構あります。例えば、アメリカに入国するときには入国カードにいろいろとチェックをして、サインをして日付を書いて、毎回それを提出する。 1 回経験があるから分かり切っているではないかということではなく、やはり、その度にやらされることは結構あると思います。

 私自身は行動科学の専門家でも何でもないのでよく分かりませんが、人は、分かり切っていることでもそうやってチェックしてサインをするという、そういう行為によって、自分の行動に対する規制が掛かるという意味で、ある程度有効なものとして認められているのだろうと思うのです。余り頻回にやってはどうかという話ももちろんあるとは思いますので、どのぐらい定期的にやるべきかというのは別にして、患者さん自身がそういうものに対してチェックして、今はサインをしていませんが、サインする。そういうことがとても重要だと私は思います。

 ただ、私も今回気が付いたのですが、サインはしなくていいことになっているのです。この経緯を調べたところ、これは初めはファックスで送ることになっていて、誤送してしまうと大変だということで患者さんの名前は要らないことになったようですが、今は郵送です。郵送の場合はその危険は少なくなっていると思います。私は、この紙を企業に送るかどうかということよりも、きちんと定期的にチェックして、患者さん自身がサインすることがずっと重要ではないかと思っています。企業に送るのが問題ならば病院の中にファイルしておいてもいいと思います。そのファイルにおける受取ナンバーのようなものを薬剤師さんが企業に送れば、必要があれば元に戻ってトレースできる。トレースできるものの中に患者さんがきちんとやったということが残っていればそれでいい。サインを求めることになればプライバシー保護の観点からますます企業に送れないというのであれば、むしろ、企業に送ることよりもサインしてもらう方を優先すべきではないかという気がします。

 大きく分けて、女性患者さん C に関しては、妊娠検査とこの定期的なチェックだと思います。定期的なチェックも、中を見ると「今回までやっていません」という内容です。どういう内容でも結局は形式的になってしまうところはあるかもしれませんが、やはり、何かもう一言「今後もきちんと遵守します」というようなことがあってもいいのではないか。確かにそういうことに自分は誓約したというリマインドがあるということが重要ではないかと思います。

○山口構成員 私は現場を存じ上げないので具体的なことについては申し上げられない部分がありますが、当然のことながら、女性 C が一番問題になるのだろうと思います。その目的の部分とその手順について、分類によって、ある程度のメリハリが必要になるのだろうと想像できます。それから、先ほどの久保田先生のお話を伺って、なるほどそうだと非常に共感した部分があります。やはり、手続等が非常に面倒であって、分かり切っている場合であったとしても、それをやらなければいけないという、先ほどの先生のお話の中で共感したのは、本人、患者ということだけではなく、世間に対する説明というか、それに対する責任という部分です。若干話がずれてしまいますが、例えば法律や憲法などについても、この国は、こういう歴史があったからこそ、この手続が設けられているということは、法律などにおいてもよくあることです。幾ら面倒な部分があったとしても、ある程度は、そういったものは必要なのではないかと感じました。

○藤井座長 皆様の御意見では、特に C 女性の妊娠防止という意味で、理解をしていただくことが大事であり、そのための教育及び確認方法、それが要素として重要であろうということであったと思います。正に、これから御議論いただく個人情報の問題や遵守状況の確認は、患者の理解を確認する方法であるということだと思います。私は座長なのであくまでも中立にものを言わなければいけないのですが、今回このような検討会が行われた経緯は、今のシステムが妊娠防止という意味ではよく機能していることは間違いないのですが、その一方で、骨髄腫の患者さんたちが、とにかくアクセシビリティが悪くて非常に大変なので、患者さんたちも、そういうことはよく分かっているとおっしゃっているのです。その辺がもう少し何とかならないのか、ということから始まりました。ただ、安全確認や安全対策ということを考えれば、それは今のように厳しくやることがいいのは間違いないということです。それが正にこれからの議論です。

 要素としては、そういう理解を深めるとして、それに対して教育をする。教育については今回は余り議論になっていないようですが、後で出てくる「確認」ということになると思います。確認については、安全管理の手順の中で、まず、個人情報の取扱いを取り上げたいと思います。これについては前回も具体的な意見がありまして議論が進んでいます。まず、個人情報の取扱いについて御意見を頂いて、その後、意見が分かれるかもしれませんが、遵守状況の確認方法について御意見を頂きたいと思います。

 まず、個人情報の取扱いです。現在、個人情報を企業に提供することが薬剤の安全管理にどのように寄与するのか、そもそも寄与するのかどうかという点を踏まえ、個人情報の取扱いがどうあるべきかについて御意見を頂きたいと思います。前回、遠藤先生から、安全管理上、企業に個人情報を提供する必要があるのかは疑問だという御意見を頂きました。本日は幾つか資料も出していただきましたが、それを踏まえて、遠藤先生、いかがでしょうか。

○遠藤構成員 資料を見せていただきますと、クロザリルのシステムなどを見ても、かなり厳重に管理されていて、企業に情報を出さなくても病院内だけでいろいろな部分に対応できていると思いました。前々から、 RevMate TERMS についても、あえて企業にまで患者の名前を出す必要はないと思っていました。医療機関の治験などを見ても、病院との連結可能な番号などは必要かもしれませんが、患者さんの氏名や住所を企業に提供しなくても安全管理上特に問題なく、動かすことができるのではないかと、本日の資料を見てそう強く思うようになりました。

○藤井座長 前回、林先生は、病院内で個人情報が保存されているのだから企業に一々伝えなくても遡及可能な管理体制はできているのではないかという御意見でしたが、本日の資料を見ていかがでしょうか。

○林構成員 前回も治験等の例を挙げたように記憶していますが、患者さん自身に必要なセキュリティを掛ける薬で、院内で登録管理していることは、現実にこれ以外でもう既に実行可能なものは存在していますので、企業にまで個人情報を出すことなく、施設内で患者さんをしっかりと把握して、その患者さんに、必要な人にだけ必要な薬が届くような管理は現実的に可能だろうと考えています。ですから、個人情報を企業にまで登録することは必須要件ではないと思っています。

 一方で、少し論点が変わるかもしれませんが、それでは製造物責任として、企業が一切を現場任せでいいのかということについては、やはり、この薬を供給している観点で、一定の責任感を持っていてほしい。全ては現場の医師と現場の薬剤師だというのはどうなのかなと思います。治験においては、一定のプロトコールどおりに行程が管理され進んでいることを企業側がビジットしてモニタリングすることは許容されていると思います。全部の情報が行くのではなくて、病院が適正に進んでいるか、企業側が責任を持つ部分を含めて、ビジット、モニターすることは許容してもいいのではないかと感じています。

○藤井座長 確認したいのですが、皆さん、登録は必要だと考えておられますね。企業に登録するときに、個人情報を全部するのかという問題になっているのですが、登録する必要はないと考えている委員の方はいらっしゃいますか。皆さん、登録は必要だろうということでよろしいですね。登録は必要で、それに個人情報を付けるかどうかということについて、久保田先生、安全管理のお立場からお願いします。

○久保田構成員 先ほど私はダブルチェックの話をしました。それに対して、今の TERMS でもダブルチェックを、ドクターがやると同時に企業はやっているのかという話がありました。私はそう考えていません。 CPMS などのダブルチェックというのは、 2 人の違った人が違った目で重要なことを確認するということなのです。同じようなシステムがサリドマイドに関しても不可能ではないと思いますが、例えばコーディネーターを 1 人置くことは、患者さんが前面に出なくて済むことにはなりますが、今度は病院の負担がまた 1 つ増えてしまうことにもなるので、そう軽々に是非やるべきだとまでは言えません。ただ、それは 1 つの選択肢としてあり得るとは思います。その場合には、患者さんは全く前面に出なくても構わないということです。しかし、コーディネーターを置けないということであるのならば、患者さんにもある程度このシステムの一翼を担っていただくしかないだろうと思います。

 これに関して私が「ダブルチェック」というのは、ビジットの度にドクターから聞いていただくこと、それと、患者さん自身が自らチェックすること、その 2 つです。患者さんとドクターは違う人格ですから、違うところでチェックするということが最も重要なのです。現状では、自らチェックしたものを郵送なりファックスなどで企業に送ることで、患者さんが確かにそれをすることが保証されているところがありますが、必ずしも企業に送ること自体は重要ではなくて、先ほど申し上げたように、私はできれば署名したほうがいいと思いますが、それを必ず病院内でファイルし、後日必要なら照合できることが担保されていれば、そのことで患者さんによる自らのチェックがかなりきちんと担保されるのでそれでよいと思います。その情報が院内にあること、そこから外に出て行かないこと自体は大きな問題ではないだろうと思います。

○藤井座長 患者の理解度の確認という意味では、今は医師と、薬剤師が処方するとき、調剤・服薬指導のときに確認しているのではないでしょうか。

○久保田構成員 はい。医師による確認が患者さんによるチェックとは別に行われているという意味でダブルチェックが行われていると思います。一番重要なことに関して、 TERMS でいうと「様式 24 」になるのでしょうか、催奇形性等リスク、妊娠回避の必要性を説明したなど、 3 項目を説明してチェックされると思いますが、その段階でドクターから患者さんに対してリマインドするという部分があります。それと同時に、女性患者 C では「様式 23 」があって、これは病院でのチェックとは独立に自らチェックして郵送するというプロセスです。そういう意味で、ダブルチェックが成り立っていると私は申しているのです。

○藤井座長 これを正に処方している尾崎先生、お願いします。

○尾崎構成員 まず、個人情報を企業に知らせるべきかについては、実際に TERMS でどうしているかをお聞きした場合には、このフローチャート図で、第三者評価機関が直接患者さんの自宅に郵送して、それをどのように管理しているかの調査をしている。そういう意味で、第三者機関にそのような情報提供をするということです。藤本も恐らくそちらに情報をお送りしているだけで、メーカーが把握しているのではないというようなこともおっしゃっていたこともあります。それを院内で、例えば CPMS のように、処方医師とコーディネーターあるいは薬剤師との 2 人で、患者さんのデータや遵守状況で確認したという書類を作っておけば、先生方がおっしゃったように、必ずしも個人情報を第三者機関に知らせる必要はないと感じています。最近では当院でも、もうほとんど医師と責任薬剤師が患者さんへの面談をしたり、このような用紙の記入などを残薬の確認とともにあらかじめ診察前に済ませています。院内で工夫すれば、かなりスムーズに確認は同等に行いながら、患者さんの個人情報を外に出すことはなく、院内での体制を取れるのではないかと考えています。

○藤井座長 確か、 RevMate の調査をするときに、個人情報が病院にしかないので、病院でお配りするという手段で第三者機関は調査したのです。藤本は住所が分かっているので送ってもらったようです。ですから、調査もできないことはないと言えると思います。山口先生、個人情報の取扱いについて、いかがでしょうか。

○山口構成員 今までの先生方の御意見にありましたように、システムとして動かすという点では、企業に個人情報がなくても大丈夫なのだろうと、これも私は現場ではないので、想像します。ただ、林先生がおっしゃった中で 1 点気になったのは、万一、何かがあったときの企業の責任という点です。その場合において、サリドマイド等の薬剤だけではなくシステム自体が 1 つの薬という形になっている中で、個人情報を持っていないということが、企業の責任を排除するための方便になる恐れがないかどうか、その点の検討の必要があるのではないかと感じました。

○藤井座長 個人情報というのは直接企業が患者にアクセスできるということが皆さんの理解であって、病院や薬局が間に入ると、それは登録なのでどこかで戻っていけないとならないので、アクセスはやろうと思えばできる。勝手にできないだけということです。そういう意味では、いいのではないかと思います。

○山口構成員 おっしゃるとおりですが、例えば、いろいろな義務違反について、裁判所等が認定していくような際に、場合によっては、企業ではなく薬局や病院の責任といったものがよりクローズアップされることになってしまうような可能性があり得るのではないか。全ての個人情報を持っていたとすると、そこのところでは企業としては言い訳は恐らくできなくなると思うのです。情報があるのだから、何か問題があった際に、企業が直接患者にアクセスすることもできたはずだというような。そこで何らかの義務を認定するということは、裁判所としてはより容易になるのだろうと思います。逆に、それがない。最終的にはできたとしても、こういうことになると、義務違反等を認めるのに少しハードルが高くなるのではないかという感じがします。そこも 1 つの懸念材料としてはあるという趣旨です。

○藤井座長 そういうときに、企業がアクセスできるように病院に求めたのかというのは問題にならないのですか。

○山口構成員 もちろん、そういうことにはなろうかと思います。

○藤井座長 そういう意味ではハードルの問題で、例えば ID だけを登録するような形にした場合に、完全にこれが免罪になるというわけではないということですね。

○山口構成員 恐らくそうはなるのだろうと思いますが、持っていたほうが、より認めやすいということにはなるだろうと思います。その点が、それでもいいのかという点についても検討しておく必要があろうという趣旨です。

○藤井座長  CPMS では個人情報は行っていないのですか。あちらはイニシャルだけでしたでしょうか。

○久保田構成員 イニシャルだけです。ただ、医療機関側からは患者名が見られるような仕組みになっているそうです。というのは、番号だけだと分からなくなってしまうことがあるのです。とにかく、企業側からは見えない、企業からはイニシャルだけというようなシステムだと聞いています。

○林構成員 治験のときに、例えば虎の門であれば、虎の門の 1 番、 2 番、 3 番、 4 番さんという被験者さんで管理していて、企業には個人情報が行っているわけではないのですが、必要なときは、モニタリングといって、病院をビジットして管理状況を確認することも含めて、 TERMS なども一緒のプロトコールだと思いますが、適正な管理プロトコールどおり進んでいくことは担保できています。先ほどの私の発言は、そういうことも含めて、やっていけるだろうという趣旨の発言のつもりでした。個人情報が企業に行かなくなったから企業の責任がなくなったということではないことは、この会議でも再確認しておいていただきたいという趣旨です。最初に皆さんと議論した安全管理のための要素からすると、この中に個人情報がなければ安全が管理できないということにはなっていないと思います。先ほどの私の発言は、総論として、企業の責任は企業の責任、現場が管理する責任は現場が管理する責任として、個人情報が付いた、付かないで変わらないだろうということを発言したものです。

○藤井座長 病院で ID を付けるという登録パターンは、先ほど資料を見ましたら、二重登録の防止には役に立ちませんね。ですから、二重登録はしようがないと考えるかどうかということだと思います。何々病院の何番と何々病院の何番が同じ人だということはチェックできないのです。そこをどうするかという問題はあると思います。ただ、二重登録すると何か悪いことが起こるかということも考えなければいけません。遠藤先生、いかがでしょうか。

○遠藤構成員 二重登録をして悪いことをする人がいるのではないかと言われれば、それは可能性はゼロではないかもしれません。

○藤井座長  40 例ぐらい事前防止という例がありました。

○遠藤構成員 林先生もおっしゃっていましたが、二重登録が仮にあっても、この薬はどうしてもほしくてたまらない薬ではありません。現状では、二重登録してたくさんもらおうとする薬ではないので、二重登録したからといって何か起こるということではないと思います。例えば同じ病院で二重登録しても、同じ患者さんに薬剤部から薬が 2 回立て続けに出ることはまずあり得ません。仮に A 病院から B 病院に患者さんが移って、 A 病院と B 病院で重なったとしても、紹介状がきちんと付いて行っていますので、 A でも B でも薬をもらって両方で患者さんが飲んでしまう可能性はほとんどないと私は思っています。先生がおっしゃるように、二重登録ができないようなことを考える必要はあるのかもしれませんが、仮にもし二重登録が起きても余り実害がないのではないかと思っています。

○林構成員 私も遠藤先生と同じように考えていました。もしかすると二重登録自体は発生し得るかもしれませんが、同じ病院同士の二重登録の場合には、患者さんに交付する場面でどうしても患者さんとお会いしますので、「さっき、もう交付した方ですね」と気付くことになります。管理台帳上は実名で管理していますので、 2 行が別の医師から出ていれば、それはおかしいというのはすぐに分かります。同一施設内でというのはまずないと思います。それから、残薬について飲めている、飲めていないも含めて聞いていますので、もし他施設でもらって「あと何錠残っています」と言われれば、お渡しする前に「まだあるのですね」ということになるので、多分そこで発見されるのではないか。あっちへ行って戻ってくるときに、「向こうの病院の残薬がそれだけあるので今回は大丈夫ですね」というような判断になると思います。実質的には過剰な量が患者さんの手元にあって管理に困るような残薬の量になることは想定しなくていいのではないかと考えています。

○久保田構成員 安全管理ということで言えば、必ずしも企業が患者名を持つ必要はない。特に一番重要な胎児への曝露の防止ということだけから言うと、それは問題ないと思います。ただ、二重登録うんぬんという話になったときにどうかということになると、それほどいいアイディアは持っていません。もし氏名が企業に行くことがどうしても必要だという結論になったとしても、それ以外の、それに結び付く、どういう安全管理をしてどのように遵守しているかという情報そのものが行くかという問題とは少し違う。氏名だけが行くのであれば比較的抵抗は少ないのかもしれないという気もします。二重登録等を含めて、そういうことが可能ならば、それでいいのかもしれないと思います。

○藤井座長 今はインターネットの時代なので、氏名は、例えば久保田先生の名前をネットで見ると、先生がどこの誰で何をやっているかが全部出ます。ですから、氏名を言ってしまうのだろうかと思います。イニシャルというのはあるかもしれません。皆さん、個人情報を丸々行く必要はないだろうとはお考えだということは一致しています。では、どうすればいいのか。

○山口構成員 先ほど、企業と患者さんとの直接の関係が切れることによる責任の件がありましたので、少し補足します。決して、私も、だから企業が持つべきだということではありません。具体的にどういった場合に企業が連絡を取らなくてはいけないかということは想像がつきませんが、この体制のシステムの中に、万一にでもそういった場合においてはこのような手順を取るという、そこまで想定しているのだという、そういう仕組みを作っておくべきではないかという、そういった趣旨です。持つべきだということではありません。

○藤井座長 例えば、虎の門病院の何番という人がどこかほかの病院に移っても、その ID は変えないというのも 1 つの手でしょうね。ほかの病院に移っても虎の門病院のナンバーが飽くまでも ID であって、所属は関係ないのであれば、二重登録はないのではないでしょうか。尾崎先生、いかがですか。

○尾崎構成員 登録のときには基本的にカードが来ますので、患者さんはそれをお持ちで、それを見せないと院内で処方を受けられません。実際は、主治医が「以前にサリドマイド、レブラミドでカードを持っていますか」と確認しないと、そのまま登録してしまうと二重登録になる。そのような主治医側の認識不足ということも原因だとは思います。もう 1 つは、登録のときに、レブラミドは登録用紙に氏名等を書く。既にカードも付いていますので即日交付が可能な体制です。サリドマイドの場合は、登録用紙プラス企業側に個人情報が行くという同意書の両方を書かないといけない。それが患者さんには心理的な、いろいろこのようなことを調べられて、このようなことで同意しますかという、両方を送ってからカードが後日届くというシステムです。 RevMate とサリドマイドの間でも温度差が若干あります。ただ、カードは、御本人に「これはどの医療機関でもずっと使えるものです」と周知しておけば、二重登録の問題は少ないのではないかと思います。

○藤井座長 カードには番号が打ってあるのですか。

○尾崎構成員 打ってあると思いますが。 ID といいますか。

○藤井座長 それは日本中に 1 つしかない番号なのですか。例えば 2560 番と言ったら、 2560 番のカードは日本中に 1 枚しかないのですか。

○事務局 そうです。 TERMS RevMate それぞれでその番号は 1 回限りのものです。

○藤井座長 そうすると、病院で処方したときにこの患者さんは何番のカードと登録してしまえば、それで二重登録もありませんね。番号が日本に 1 つしかないのであれば。その番号を現在何々病院で処方していると企業に登録してしまえば。

○事務局 正確には確認させていただきたいのですが、確かに番号は 1 つなのですが、 RevMate TERMS のいずれかでは病院が変わると番号が変わり、患者の記録は新たな番号に引き継がれるという形と伺った記憶がございます。

○藤井座長 そのカードというのは企業が病院に配るのですか。

○事務局 患者登録をすると、登録の申請を受けて、企業が病院側に提供する。それを患者さんに持っていただくという形だったかと思います。

○藤井座長 その番号を変えなければいいのではないでしょうか。一度出た番号は二度と変えない。後で追い掛けるのが大変になるのでしょうか。病院が変わると、どこに個人情報との連結があるのか分からなくなるのかもしれない。

○尾崎構成員 訂正です。私の記憶では、患者さんの番号は医療機関番号プラス個人番号で、主治医も医療機関によって番号が違うので、その辺で、同じ人が二重の番号というのは、これは必然的なシステムなのかもしれません。

○藤井座長 治験の何々病院の何番というのと同じシステムということですね。

○尾崎構成員 確か、病院番号名プラス、患者さんの ID 12345 、というのと、主治医も病院によって変わりますので。両方書いて処方するのですが。

○藤井座長 余り複雑なことをやるとかえって良くないのは間違いありませんので。久保田先生、何かいいアイディアはありますか。個人情報を出さずにうまくやるような。

○久保田構成員 前回もお話しましたとおり、私自身が個人輸入されるサリドマイドのシステムもやってはいますが、病院が変わると別の番号になってしまうのです。番号を 1 つにするかどうかというよりも、やはり、転院したときに大きな問題が起こるので、転院したときにきちんとそれを把握する、その情報を関係者が共有するという、そこに尽きるような気がします。

○藤井座長 転院したときに、以前にどこかの病院でサリドマイドとレブラミドを飲んでいたと言わない人は、まずいませんよね。そうすると、前の病院の登録番号が分かれば。逆に言うと、その登録番号と新しい登録番号をリンクさせて、それを企業でどちらかに統一してもらうことはできるのですか。

○事務局 申し訳ございません。現在の番号の運用に関して、今情報を持ち合わせておりませんので、正確にお答えすることができません。

○藤井座長 そうですか。

○事務局 差し支えなければ次回に正確に確認した上で報告させていただいてもよろしいでしょうか。

○藤井座長 分かりました。

○事務局 それから、先ほど山口先生から、企業が直接患者にアクセスしなければいけないケースがあるのかという御指摘がございましたが、これまでに企業が直接患者にアクセスしたケースは、例外的に販売開始初期に行われたものです。なお、 TERMS の手順の中では、仮に妊娠事例が出た場合には追跡調査を行って国に結果を報告することになっており、医師の異動や患者の転院で処方医師を通じた追跡調査が困難になるようなことがあった場合には、直接、患者、薬剤管理者、パートナーに連絡して追跡調査を行うことがあるという規定がございます。ただ、これを発動したケースはもちろんこれまでありません。

○藤井座長 企業に個人情報の名前や住所など全部が行くというのは、皆さんも、それは要らないだろうということで大体合意を頂けたと思います。転院して追い掛けられなくなることについて、例えば病院が本籍地を登録すれば、本籍地から追い掛けることはできないのですか。本籍地から住所は分からないのですか。私はよく分からないのですが。本籍は絶対に変わりませんから。

○安全管理監 (PMDA)  結婚すると変わります。

○藤井座長 結婚すると変わるのですね。そこまでいくともう切りがありませんが。どうしましょうか。個人情報を完全に企業に送る必要はないだろうということで皆さんの意見の一致を見ましたので、本日はそれでもいいとして、では具体的にどうすればいいかということについて、皆さんからある程度の原案を頂かないと事務局もたたき台を作るのが大変です。いろいろなやり方があるとしても、二重登録について、二重登録を 100 %は防げなくなってしまうかもしれないけれども、それは患者さんにしっかり申告していただく形になるのはやむを得ないということでよろしいでしょうか。やむを得ないと言ってしまうとあれですが、まず考えにくいだろうということですか。

○遠藤構成員 もしかすると瞬間的な二重登録はあるのかもしれませんが、転院のときも、この病気の性格からいって、元の主治医から次の病院へ紹介状が付かないまま患者さんが勝手に行ってしまう可能性はほとんどないと思うのです。主治医の先生に、転院のときには、この薬を投与しているということをきちんと連絡してほしいということを、書いていると思います。転院先の医師が今まで使ったことがない場合だと当初に少しあるかもしれませんが、今は情報をきちんと伝達していますし、このシステムそのものもかなり普及しています。確かに当初はシステムが十分に広がっていないので、あったのではないかと思いますが、きちんと周知すれば、ゼロとは言えませんが、起きる確率はかなり減るのではないかと思います。

○藤井座長 そのときに、紹介状に使っている ID を書けばいいのですね。

○遠藤構成員 そうですね。

○藤井座長 この場としては、個人情報そのものは行かないので登録はする。そのときに、何らかの ID を使って、病院が変わったときに、その ID の受渡しをして二重登録が起こらないようにする、ということで合意いただけたのではないかと思います。

 もう時間が余りありませんが、どうしましょうか。遵守状況の確認は 5 分では中途半端になりますね。これは相当に時間が掛かる内容です。この後の、遵守状況の確認方法については、一番皆さんのいろいろな意見が出ると思います。これについては次回にしますか。

○事務局 時間の制限もございますし、 5 分や 10 分程度で御議論いただける話ではないと思いますので、事務局としては、この点は次回に改めて御検討いただくことでも結構です。

○藤井座長 では、もう 1 回確認します。遵守状況の確認方法については、多分、一番大事な部分だと思います。資料 6 にありますように、遵守状況の確認を行う目的を考えて、アクセシビリティを阻害せずに胎児曝露を防止するため、確認が必要な項目は何か。どのように確認を行うべきかという、その方法。そして、誰がそれを行うのか。久保田先生は二重チェックのこともおっしゃっていました。さらに、実施頻度。これも、定期的なチェックをどのぐらいの頻度で行うのがいいのか、どうやって記録していくのか。次回はこれらを中心に議論したいと思います。委員の先生方は、次回の会議の前に御自分の考えというか、こうすればいいのではないかということを用意していただきたいと思います。

○久保田構成員 関連したことで 1 つよろしいですか。安全管理システムはもう既に 4 年、 5 年ぐらい走っており、今までいろいろな調査もされてきていると思います。どういう項目をどのようにしたら良い方向につながるかということを示唆するような調査結果というか、もしそういうものがあれば、まとめていただきたい。我々は、特に私などは直接調査結果を見ていないので、単にこうではないかという推測で議論を進めるということではなくて、実際の調査の結果のうちどの部分が一番重要かというようなことを示すようなものがあれば是非まとめていただきたいと思います。

○藤井座長 それは第三者評価委員会の調査で、確認方法のどこが大変であるのかということも含めてでしょうね。

○久保田構成員 あるいは、実際に関与されている方が、安全管理上どこが重要と考えているのかということです。

○藤井座長 確認ではどこが大事なのかということですね。

○遠藤構成員 それぐらいしかデータはないのですね。

○藤井座長 ないですね。あとは、最終的な結果で、妊娠がないということでしょうかね。こういう所では第三者評価委員会のものは使ってはいけないのですか。

○事務局 もちろん、第三者評価委員会での調査結果等も使っていただくことはできますし、前回の検討会資料に入っております。前回の資料の中の、参考資料 8 に「 RevMate の第三者評価委員会での調査結果」というものがあります。

○藤井座長 ありますね。そうですね。

○事務局  TERMS についても、同じく、参考資料 6 PMDA で実施された調査の結果で、参考資料 7 が第三者委員会で実施された調査の結果です。参考資料 8 RevMate に関して第三者評価委員会で行った調査結果です。こちらの結果等をこの検討会で御活用いただくことは可能です。

○藤井座長 次回はこのような資料も考慮しながら御議論いただくとよいのではないかと思います。それでは、次回更にまた発展させ、いよいよ一番大事な所の確認方法についての議論もいたしますので、そういう議論ができるように、今回どのような意見が出たのかを箇条書きのような形で次回までに事務局にまとめてください。それを次回に資料として配布していただきたいので、事務局は大変ですが、資料の準備をよろしくお願いいたします。最後に、事務局から連絡事項の説明をお願いします。

○事務局 次回の資料としては、本日の議論をまとめたものと、本日十分に御説明できなかった患者 ID の現在の取扱い等を整理しまして、準備させていただきたいと思います。次回の検討会については追って日程調整をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

○藤井座長 以上で本日予定していた議題は全て終了です。何かここで御発言はございますか。事務局から何か追加はございますか。

○事務局 特にありません。

○藤井座長 まだ少し時間はありますが、本日の検討会を閉会させていただきます。本日はお忙しい中を長い時間御議論いただきましてありがとうございました。


(了)

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