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- 2013年10月7日 第9回足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 議事録
2013年10月7日 第9回足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 議事録
労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室
日時
平成25年10月7日(月)15:00~17:00
場所
中央合同庁舎第5号館専用第13会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
出席者
参集者(敬称略)
小林謙二(座長)
大幢勝利
臼井伸之介
田村幸雄
鈴木芳美
小野辰雄
原田保
鈴木敏彦
才賀清二郎
宗像祐司
児玉猛
高橋元
加藤正勝
宮本一
オブザーバー
屋敷次郎 (国土交通省土地・建設産業局建設市場整備課長
事務局
奈良篤 (安全課長)
釜石英雄 (主任技術審査官)
野澤英児 (建設安全対策室長)
川越俊治 (技術審査官)
議題
(1)建設労務安全研究会からの意見表明
(2)一般社団法人建設産業専門団体連合会からの意見表明
(3)全国建設労働組合総連合からの意見表明
(4)一般社団法人住宅生産団体連合会からの意見表明
(2)一般社団法人建設産業専門団体連合会からの意見表明
(3)全国建設労働組合総連合からの意見表明
(4)一般社団法人住宅生産団体連合会からの意見表明
議事
- 議事録
-
○事務局 定刻になりましたので、ただ今から第9回「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」を開催いたします。
本日はお忙しい中、本検討会に御出席いただき誠にありがとうございます。私は、事務局を務めます厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課建設安全対策室の川越です。よろしくお願いいたします。
次に、資料の確認をさせていただきます。お手元に資料があるかと思いますが、まず、議事次第と書いてあるものが1枚目です。その次のページから、
資料1「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」の開催要綱です。
資料2、「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会 意見表明日程」
資料3、建設労務安全研究会からの提出資料
資料4、一般社団法人建設産業専門団体連合会からの提出資料
資料5、全国建設労働組合総連合からの提出資料
資料6、一般社団法人住宅生産団体連合会からの提出資料です。
抜け等ありましたら、挙手をお願いいたします。なければ次へ進みます。
本日の出席状況ですが、小島委員から連絡がありまして、遅れて出席するとのことです。また、金森委員からは特に御連絡いただいておりませんので、今、事務局の方で確認しているところです。また、事務局の半田安全衛生部長が所用により本日欠席しております。
本日の検討会ですが、前回に引き続き関係団体からの意見表明を行っていただきます。意見表明の順番につきましては、資料2に記載してあるとおりです。前回同様、1団体につき意見表明20分程度、質疑10分程度、合計30分程度を予定しております。また、本日固定式のマイクが皆さんの前にありますので、御発言のときはトークと書いてあるボタンを押していただくと赤いランプが点灯しますので、それを確認してからお話しいただくようにお願いいたします。御発言が終わりましたら、トークボタンを押してください。赤いランプが消えます。また本日、部屋が狭いということもありまして、大変暑くなっております。上着は脱いで議論を進めていただければと思います。
次に、傍聴される方への注意事項を説明いたします。
事務局の指定した場所以外に立ち入ることはできません。携帯電話等、音の出る機器については電源を切るかマナーモードに設定してください。写真撮影やビデオカメラ等の使用は事務局の指示に従ってください。なお、カメラ撮りは会議の冒頭までとします。会議の妨げにならないように静かにしてください。その他、座長と事務局の指示に従ってください。それでは、以後の進行を小林座長にお願いいたします。
○小林座長 皆さん、御苦労様です。今日は思いがけなく暑くなりまして、どうも御苦労様です。
それでは、第8回に引き続きまして第9回、前回4つの団体から御意見を伺いましたけれども、今回も4団体からの御意見を伺うという予定になっております。よろしくお願いいたします。
それでは、まず1番目に建設労務安全研究会の意見表明をいただきたいと思います。加藤委員にお願いいたします。よろしくお願いします。
○加藤委員 では、建設労務安全研究会より資料3に基づきまして、論点につきまして意見を述べさせていただきます。
論点の1ですが、資料3の6ページを見ていただきたいと思います。「平成23年度における組立・解体時における足場の最上層からの墜落・転落災害発生状況(死亡災害)」によりますと、死亡災害11件、これはこの表の一番右下の合計が11となっています。わく組が3件、くさび型が1件、合計、わく組、くさびで4件発生しています。これを一応、本足場とこれから呼ぶようにいたしますけれども、4件発生しておりますが、この表の一番上を見ていただきますと、安全帯の使用等きちんと法令を守っていたものという欄が一番上にありますが、ここで合計の欄の見ていただきますと、わく組、くさび足場につきまして、本足場につきましては、死亡災害0です。したがって、法令を守っていれば死亡災害は防げた。したがって死亡災害については、法令を守れていなかったところで起きているということです。
続きまして、資料の7ページを見ていただきたいと思いますが、今度は足場の組立・解体中における死傷災害については、ごらんのように表の一番下、118件発生しておりまして、本足場につきましては、わく組が26件、くさびが16件の計42件です。また、その一番上を見ていただきますと法違反がない場合、合計の欄でいくと、わく組が3、くさび0になっていますけれども、ただしこれにつきましては、一番左側にあるように不安全行動があったものということで、合計の欄のその左、法令違反がなくて、なおかつ不安全行動、構造上の問題がなかったという事案が2件発生しております。
ただ、この事案につきましては、私どもの意見に書いてありますように、平成23年度足場からの墜落防止の効果検証・評価委員会報告書、以下、平成23年度報告書と言いますけれども、その7、8ページに、この2件の災害というのは、一件は安全帯のランヤードの切断、安全帯をしていたのだけれども、安全帯が切れてしまったもの、もう一件につきましては、親綱が張ってあったのだけれども、そのかけてあった親綱が切れてしまったという事案です。したがって、法令違反あるいは法令が遵守されていない、あるいは不安全行動があった事案が40件ということで、これにつきましても、ここのマル3に書いてありますように、本足場では法令遵守を徹底すれば、死傷災害が大幅に減少させることが可能になるということが言えると思います。
また、私どもの建設業界の方ではわく組足場につきましては、墜落災害等をなくすために、お手持ちの資料の10ページないし11、12ページに模式図が載っていますけれども、「大組」、「大払」工法というものを採用して、極力高所作業を少なくするような努力もしております。
これを逆に言いますと、本足場以外のつり足場、一側足場、その他の足場からの墜落死傷災害は76件で、先ほど死亡災害は組立・解体中36%、死傷災害についても同じく36%と言います。くしくも組立・解体中の本足場での事故というのは36%になっていますけれども、本足場以外の死傷災害につきましては76件、64%と、これは死亡災害もそうですけれども、同じように64%と、本足場以外に比べて死傷災害が約1.8倍になっております。
これは推測でしかないのですけれども、実際の数を数えたわけではありませんが、本足場の施工現場数あるいはその他の足場についての従事者数は、私の感覚ですが、本足場の方が圧倒的に多いと思われるのですけれども、現実的には、死傷災害が64%を占めているということは、それだけつり足場、一側足場、その他の足場が危険な要素を内在していると考えます。
したがって、施工者としては仮設メーカーさんと一緒になって、こちらの組立・解体に関してはこちらのほうの対策、新しい資材の開発等が非常に大切なのではないかなと思っております。
また、6番目といたしまして、平成23年度の報告書によりますと、そこの9ページ目に足場の組立て等作業主任者の選任等において死亡災害11件全てで選任や職務の一部又は全部を怠っていた事案であり、足場の組立・解体等の作業主任者の職務の重要性の認識や徹底を図る必要があると思います。そのためには最新の技術や災害の傾向などを定期的に教育する能力向上教育の義務化、これは先日、全国中小建築工事業団体連合会の金森委員、建設業労働災害防止協会の高橋委員から意見も出ておりましたけれども、いわゆるハード面だけではなくて、教育がなおざりになっていたのではないのかなと思います。
また、7番目といたしまして、全部の責任を作業主任者に負わせるのではなくて、例えば考えてみますと、酸素欠乏箇所につきましては、酸欠の作業主任者等が必要です。その作業をやるときには、作業従事者に対して酸欠の特別教育が必要です。これを足場の組立て等を危険作業と考えるのであるならば、これにつきましても、特別教育等の実施をしていって、作業者に対してもっと意識レベルを上げるといいますか、ソフト面の対策ですね。法令を知らなかったとかあるいは不安全行動がいかに危険なことかということを教育していくということが大切であろうかと思います。
続きまして、論点の2です。これにつきましては8ページを参照ください。平成23年度における通常作業時等における足場からの墜落・転落防止災害の死亡災害です。17件中12件発生しております。これは一番右下の17の合計件数の内訳で、わく組が7件、くさびが5件となっております。ただし、これにつきましてもこの表の上から2行目を見ていただきますと、これの安衛則、法令に基づく措置を実施しており、かつその合計の欄の左側、不安全行動、構造上の問題がなかったものにつきましては、ここに書いてありますように、わく組、くさび足場ともに0件であります。
次ですけれども、死傷災害につきましては9ページを見ていただきますと、これにつきましては304件死傷災害が発生しております。それの右下の一番下のところ、わく組が111件、くさびが53件であります。これにつきましても上から2行目法令遵守のところで不安全行動、構造上の問題等がなしということが4件記載されております。この4件の内訳につきましては、先ほどの平成23年度の報告書の14ページと15ページに記載されておりますが、ここに書いてありますア)からイ)の、わく組足場上で立ちくらみを起こして躯体側から墜落した。くさび足場上で家屋の外壁を洗浄中に墜落した。これは多分、作業より躯体側だと思いますけれども、ウ)くさび足場上の昇降階段で足を滑らせての墜落。わく組足場上で作業中に40cm幅の足場が28cmしかなくて墜落ということが記載されております。
ここで強調したいのは、1番の死亡災害について言いますと、先ほど組立・解体中につきましては36%と言いました。ところが、通常作業時においては、死亡災害については71%が本足場から発生していることになります。組立・解体時における死亡災害に比べて2倍です。
死傷災害につきましても54%になっております。組立・解体時36%に対して、これは1.5倍に相当します。したがって、本足場につきましては、通常作業時の安全対策が大事になってくると考えます。
3番目ですけれども、躯体側の墜落を考えてみますと法違反や不安全行動、構造上の欠陥を含めて相当数あると思われます。多分私の記憶では、仮設工業会さんの自主基準か何かで30cmとか何とかという数字を示されておられたと思うのですけれども、やはり躯体との間の墜落ということを考えると、法令上何センチという数字は明示されていないのですが、例えば躯体と足場の隙間が20cm以下のときには、「墜落により労働者に危険を及ぼす箇所」に該当しないと明示をしていくのも一つの方法論ではないかなと思っています。
それと、4番目としまして統計上では残念ながら表れていないのですけれども、皆さん、町中の、あるいはいろいろ高いビルの足場を見ていただくと、メッシュシートが張ってあるのが見えると思います。これにつきましては墜落防止効果もあるし、飛来落下防止効果もあるし、業界としては、これにつきまして一生懸命取り組んでおります。
ただし、これもメンテナンスが非常に大変なのですね。例えば台風が来るよとなると畳んだりとか、最近ある突風になどにつきましては対応が不可能です。ただ、私どもはこれについては墜落防止効果もあるし、飛来落下についても非常に効果があるということで、法令では絶対にやれというふうには義務付けられてはいないのですけれども、これについては、業界として自主的に取り組んでおります。
したがいまして、望みたいのはこれらについて、墜落防止効果も当然あるものですから、強風にも対応でき、なおかつ墜落にも対応できるようなメッシュシートあるいはそれに代わるものを是非仮設業界さんとも一緒になってやっていけたら、墜落防止災害の一助になるのではないかと思っております。
次、論点の3に行きます。足場の点検義務についてです。これも平成23年度の報告書では、通常作業時における死亡災害17件のうち2件で足場の点検の実施が確認できたとありますけれども、残りの15件は記録が残っていなかったか点検をしていなかったか不明であります。
安衛則の567条には、事業者は足場における作業を行うときはその日の作業を開始する前に作業を行う箇所について点検し、異常を認めたときには直ちに補修しなければならないと決まっております。ただし、これが実際には記録を残しておくとか何とか報告書にあるように、非常に曖昧になっているものですから、ここにつきましても私ども元請としてはきちんと記録に残すというような感じで指導を徹底していきたい。
ただ、今、仮設工業会さんには足場の組立・変更時の点検簿というのがあるのですけれども、あれは台風時とか何とかの記録に残さなければいけない。567条の2項ないしは3項に基づいて記録に残さなければいけない点検ということで、非常に煩雑になっておりますので、これについては、毎日やったよと記録に残す簡便な方法を皆さんと一緒になって考えられたらいいなというふうには思っております。
また、2番としまして、始業前点検を幾ら一生懸命実施しましても、その後の作業関係上、躯体側の手すり等を外してしまったり、放置等が行われた場合、かなりの危険が存在してしまいます。
したがって、これも幾ら設備を良くしたとしても、それを外されてしまっては何にもならない。その辺に問題があるかと思いますので、これにつきましても作業員さんへの教育の徹底ということを考えていかなければいけないのではないかなと思っております。
次に、第三者点検についてですが、この点検義務につきまして結論から申しますと、今、アクセスさんがやっておられる点検につきましては、ボランティア的なものであろうかと思います。ボランティアにつきましては、ボランティアの原則で受入れ側がオーケーということについて私どもは一切反対するつもりはありません。
ただし、これにつきまして法制化となりますとかなりハードルが高くなってくるし、義務化ということですので、これにつきましては私としては反対です。私としてというより、労研としては反対をいたします。現実的に第三者点検が現在1%を切るような状況において、これを法制化して1%以下のものを100%に持っていくというのは実質上はかなり無理があって、また責任の所在もはっきりしないというふうになってくるかと思います。
次に、論点の4です。論点4のマル1、マル2につきましては、先ほど述べました。また、繰り返しになりますけれども、3番目、1、2で述べましたように、組立・解体中の死傷及び死亡災害、死傷災害等の墜落災害は本足場では36%、それ以外では64%ですね。死亡については、先ほども言いましたように2倍になっています。組立・解体中につきましても、死傷災害につきまして1.5倍です。したがって、組立・解体中の事故の防止のためには本足場以外のハード面での対策が急務であります。
なおかつ通常作業時につきましては、先ほど来言っていますように、解体中に比べて死亡災害は2倍、死傷災害は1.5倍ということで、通常作業については通常作業時の本足場での安全対策が急務であると感じております。
次にマル4です。先日の第7回の会合で全国仮設安全事業協同組合さんからこの提言が示されました。この提言の1ページ目、墜落災害の実態とその問題点ということで、「墜落災害ゼロを目指す3つの絶対的対策」ということで、2番目に「足場の全層に手すり先行工法による二段手すりと幅木を設置すること」とありますが、安全工学上、絶対的な安全対策というものは存在しません。技術は日進月歩でありまして、安全対策も同様です。
これにつきましては、先日金曜日に行われた発表の中で、仮設工業会さんからの要望ということで、その中の1番目として、新しい建設機材の開発や普及を阻害するようなことのないようにお願いしたい。その下の方に新しい各種の仮設機材の開発や改良、その普及を阻害するようなことのないようお願いしたい、とあります。私が思うに、現況、この足場の手すり先行工法を法制化となると、我々の建設技術の足場の時代がそこで止まってしまいます。私たちは、テレビができたときに、白黒テレビでしたけれども、すごいなと思いました。これを法制化してしまったら、カラーテレビも液晶テレビも存在し得ない。技術は日進月歩であって、それにつきまして法制化するということは考えられません。したがって、法制化については断固として反対します。
次ですが、5番目です。ソフト面から考えますと、法令遵守の不徹底や不安全行動等が依然としてかなりの大部分を占めております。今、ハード面の対策だけを一生懸命やっておりますが、我々はここから、ソフト面についても真剣に考えていかなければいけないと思います。先ほど来、申し上げていますように、「足場の組立て等作業主任者」への能力向上教育を義務化すること、あるいは足場解体や組立てに従事する人、あるいはその上で作業する人たちに対する教育、この面が抜けていたのではないかと反省をしております。これについてケアをしていくことが、今、我々にとって急務ではないかと思っております。
次に一番最後ですけれども、6番目、以上ハード及びソフト面からの対策を述べました。しかし、どのような安全対策を採ろうと、ヒューマンエラーは発生するというのが現在の安全工学上の考え方です。そのためには他産業でもやっているように、「本質安全化」を我々も足場に採用する必要があると思います。落ちない工夫、落ちても重篤な墜落災害につながらないような工夫です。
安全帯の使用だけではなくて、外側や妻側に墜落しないようにメッシュシート、これはメッシュシートに限るものではなくて、ほかのいろいろないい方法もあるかもしれません、これらの技術開発も含めてやるということ。あと、躯体側は構造上あるいは仕事上可能な限り隙間を小さくする、先ほど20センチという一つの提案をしましたけれども、または墜落した場合を考えて各段ごとに棚を設置する等の工夫が必要であると思います。落ちないのが一番ですけれども、落ちても事故につながらない、そのような本質安全化を足場でもぜひ皆さんと一緒になって目指していきたいと思っています。以上です。
○小林座長 どうもありがとうございました。今の御意見の中で一番最後の方なのですけれども、仮設工業会というようなお言葉があったのですけれども、これは全国仮設安全事業協同組合のことでしょうか。
○加藤委員 違います。前回、金曜日に資料の5で仮設工業会の鈴木委員様の方から示されました仮設工業会からの要望という資料です。その中に新しい建設機材の開発や普及を阻害するようなことのないように願いたいと、そのA4、1ページの資料が配付されておりました。
○小林座長 そうですか。僕、聞き間違えたらどうも申し訳ありません。
○加藤委員 済みません、仮設工業会さんからの御意見です。前回ヒアリングで出た意見です。
○小林座長 はい、分かりました。どうもありがとうございます。それでは、委員の皆さんから今回の建設労務安全研究会からの御意見の表明に関して、御質問あるいは御指摘をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小野委員 よろしいでしょうか。
○小林座長 はい、どうぞ。
○小野委員 毎回毎回私がこれに対して質問・意見を述べるのは心苦しいのですけれども、焦点が、アクセスが出した意見表明に対する反論がかなり多いと思いますので、私がやはりそれに対してお答えしなければいけないかなと思って質問させていただきます。お許しください。
まず、建設労務安全研究会の御発表ですけれども、前回、日建連さんの発表された内容と構成が酷似しているわけですね。それは何かというと、まず安衛則を守ってさえいればこうなっているという基本的な立場で全部分析されています。アクセスが言っているのは、手すり先行工法などのより安全な措置をもし守っていればこうなっていた、あるいは守っている現場はこうだよということで安全率を出したりということで私は言っているわけなのですが、今日の加藤委員さんの話は鈴木委員さんと一緒で、全く安衛則が中心な今までの切り口で今発表されています。
それから、何か絶対的対策に対してはおかしな言葉だと。もし、加藤委員が今解釈されるようなことでしたら、私もそういうような表現は適切ではないかもしれませんけれども、まず今、手すり先行工法などはより安全な措置ということで既に出されているわけですね。それをまずやるべきではないかという意味で言っているわけです。それで例えばそれの裏付けとして、例えば国交省がそれを実施しているわけですね。国交省が実施した部分から事故は起きていないというのは、国会でも2年続けて発表されているわけですね。やはりそういうことを重視するべきではないかということを言っているのです。
もちろん安衛則を守るのは当然ですけれども、しかし、より安全な措置、手すり先行工法をやることは安衛則を守ってなおかつ、ほかの要件も全部満たす部分がかなりあるわけです。例えば、実際の案件の数字から言えば不安全行動も採らないで済むようにしているのです。
ですから、ぜひより安全な措置、手すり先行工法を重視した現場についての安全率は、例えば私がこの前言ったように、平成23年の分については58分の1に減りますよということを言っているわけです。減りますよではなくて、減っている数字なのですね。だから、四百七十何がしかの事故があるのが11名まで減りますよと、これは大げさですけれども、何でそういうのをもうちょっと重視して評価しないのでしょうかということです。何でそんなに手すり先行工法が邪魔なのですか、面倒くさいのですかと、30%が現実にやっているわけです。何でそのように邪魔なのですか。
○加藤委員 邪魔とは一切言っていません。
○小野委員 ええ、それでは何なのですか。効果がないということですか。
○加藤委員 ですから、効果がないとも言っていません。手すり先行工法についてここでは述べていません。その中で、より安全な処置の中であるというのも存じています。民間では増えていっています。ここで言いたいのはいいものはひとりでに伸びていくでしょう。ここに書いてある、言わなかったですけれども、ここの論点4のマル4です。「消費者のニーズにあった良い製品は、値段が高くても消費者が支持をするのが我が国の安全文化である」とはっきり明示しています。
○小野委員 それに該当するということですか。
○加藤委員 そうです。
○小野委員 余りにもちょっと意味がわからないですね。いいものはすぐ、これだけの裏付けがあるのですから。手すり先行のガイドラインできてもう7年も8年も経つではないですか。
○加藤委員 ただ、言いたいのは、今の現況を法制化するということは、技術の発展を阻害する。先ほども言いましたように。
○小野委員 またそれは別の話だと思いますけれども。
○加藤委員 同じです。ブルーレイにしようがDVDにするというのは、消費者のニーズであってですね。
○小野委員 そういうことはいいでしょう、そこは他の人にまた判断してもらいましょう。阻害するなんていうのは、そんなことを言ったら今の安衛則そのものを阻害する部分があるのではないですか。
○加藤委員 安衛則を阻害するというのは、守られていないから問題であって、そこのハード面ばかりではなくてソフト面をもっとしっかりしましょうよと言いたいのが私の論点です。
○小野委員 より安全な措置がいいものだというなら、安衛則で入れてもいいではないですか。
○加藤委員 はい?
○小野委員 いいというならば入れてもいいではないですか。何でそれが阻害するのですか。
○加藤委員 そうではなくてですね。
○小野委員 その件は結構です。
○加藤委員 白黒テレビをいいものだからと法律で入れれば、カラーテレビや何も生まれませんよと僕は言いたいわけです。
○小野委員 そういうぐあいには誰も解釈しないと思います。
○加藤委員 同じですよ。同じ、技術というのはそういうものです。
○小野委員 それは加藤さんの解釈の仕方だと思います。
○加藤委員 私の解釈というか、労研の解釈です。
○小野委員 そうですか。では、労研と言われますけれども、労研というのはどういう団体なのでしょうか。
○加藤委員 ゼネコンが34社が集まって、あと5つの団体からの集合体です。
○小野委員 それは34社の。
○加藤委員 はい。
○小野委員 大手34社ですか、どういう会社ですか、どういう組織ですか。
○加藤委員 東京に本社があるところの、いわゆるスーパー、準大手と言われる会社です。
○小野委員 それは社団ですか財団法人ですか、何かの組織。
○加藤委員 違います。仲良しグループというか、いろいろ任意に集まって任意に意見が言える団体です。
○小野委員 任意に言える。ああ、そうですか。分かりました。それは全部日建連に所属しているわけですか。
○加藤委員 所属していません、どこにも所属していません。
○小野委員 ああ、そうですか。では、厚労省が認めた任意団体であるというのは。
○加藤委員 ではないです。
○小野委員 あくまでも、余りにも切り口が一緒なのでちょっとお尋ねしました。
○加藤委員 違います。
○小野委員 あくまで労研、労研と言われましたから。それから、第三者点検のことをまたここで言われていますけれども、私ども言っている第三者点検というのは厚労省が既に言っているより安全な措置をできる人、例えば安全衛生コンサルタントであるとか、能力向上教育を受けた作業主任者であるとか、計画作成者であるとか、あるいはその中にアクセスの仮設安全監理者であるとか、常に含まれているわけです。そういう意味合いで言っているのです。第三者という意味はそうです。何もアクセスが第三者とかと言っていません。ワン・オブ・ゼムです。何でもそうです。
第三者の目で点検するような仕組みがこんなに災害起きているところでやる必要ないのでしょうか。例えば消防法にしても電気事業法にしても、恒久的に残る物件についてはみんな検査が入ります。それでは、検査が入った人が何か起きた場合責任持つのですか、そういうことで思ってもらえばいいと思います。これだけの死傷者が出ているのに、第三者の目で見る点検が必要ないと言うのでしょうか。
○加藤委員 そういうことではなくて、先日アクセスさんが八万六千何件のほうを点検しましたよと、これは何件でやられたか分からないけれども、それに対する実施率は確か0.6%だったですね。
○小野委員 そうです。
○加藤委員 ですね。
○小野委員 1%に満たないですよね。
○加藤委員 そうしたら、100%にしようと思ったらどれだけの人数を出して、それを費用の面とかどうするのかという話ですよ。
○小野委員 ですから、アクセスがやると言っていないですよ。そういう対応策としていろいろこの業界の中で監視員制度を設けるのも一つのステップではないでしょうかということを申し上げました。
いずれにしてもこんな危険な作業です。こんな災害が起きているところで、第三者の目で見る点検が必要ないというあれはもう絶対間違いですね。私はそれははっきり言えると思います。
○加藤委員 ただ、私はそれを実現するとものすごく数量的にいってもかなり法律という観点でやるならば難しいのではないでしょうかと言っているわけです。
○小野委員 だから、ステップを踏んでやるべきだ。いずれにしてもですよ。
○加藤委員 それとあと、アクセスさんがやられているところの仮設安全監理者というのはたしか2日間の講習だったですかね。
○小野委員 ええ。
○加藤委員 そのグレードがピンからキリまであると思うのです。
○小野委員 最低でも作業主任者の資格を持っている人が対象です。いずれにしても、第三者というのはアクセスの仮設安全監理者にスポットを当てなくても結構ですから。私は、最初からそれを言っています。もっともっとこの輪を広げていかなければいけないですよ。こんな大事なことではないですか。恒久的に残る物件だけが大事ではないですよ。物件ができ上がるまでの仮設工事、こんなたくさん死傷者が出ているのを放置できないということなのです。
そんなことでいずれにしても、安衛則を守っていればということだけを対象にして切り口にするのはおかしいということは、私はこの前から言っています。
○加藤委員 私はそれが周知されていなくて、今日まだ金森委員は見えておられないですけれども、先日も中小の金森委員は1回やっただけでそれは後ずっとやっていない、継続教育が必要だ、と、その辺についてもかなり同意するわけです。こういう危険作業については、能力向上教育というのも定期的にやらなければいけないし、作業員さんに対しても抜けていたのではないかという反省のもとにハード面だけではなくてもうちょっとソフト面でも大事にしなければいけないのではないのでしょうか。先ほど言いましたようにハード面も当然大切ですよ。
○小野委員 もちろん私もソフト、ハードとも大事であると思います。
○加藤委員 なおかつ通常作業時の本足場での墜落災害が多いから、これについても何ら対策を採る必要があるのではないでしょうかとハード面の対策も言っているわけです。ただ、やはり物と人が建設業を支えるわけです。それに対して、物だけではなくて、もっともっと実際にやる作業員さんに対する教育のほうについても力点を置いてシフトしていくという、それが欠けていたのではないかという反省のもとに言っているわけです。
○小野委員 それは大事なことだと思います。
○小林座長 ほかの御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
○鈴木(敏)委員 先行手すりやっていくにしても、やはり安全帯をその時には使用しているわけですね。そういうことですよね。その先行手すりのみで災害が起きているか起きていないかというのはまだデータとしては分からない。安全帯を使用しているために災害が発生していないということかもしれない。
少なくとも、今出ているデータから申せば、とりあえずまずは今ある法を守りましょう。守れていない部分においては事故が起きている、ということなのですね。法律をさらに付加するのではなくまずは法律をいかに守らせるかだと思うのです。
先行手すり工法で本当に災害が起きないのはどうしてかということです。それが安全帯を確実に使用していることによることかもしれませんね。先行手すりを実施したから災害が発生していないということではなく安全帯の使用が守られたから起きていないということが言えるのではないかなと思います。
検査の点検の法制化についても、第三者が点検をするということを法制化すれば100%それをやらなければいけない、それが本当に現実的なのかということなのですね。かなり疑問を感じます。もしその提案をされるのならば、具体的にどうするかという提案をしていただきたい。
本当に多くの現場で足場の架けばらしの作業がある中で、工程に合わせて確実に点検できるのか疑問に思います。先ほど、毎日の点検というものはその使用者に任せますよということは、それはそれで結構だと思います。
水害なり大地震なり異常な時があったときに点検をするのだということであれば、本当にそれで工程の点検全ての要求される現場の点検が実施できるのですか。
○小林座長 ちょっとお待ちください。今、後で全体について御意見を伺うような時間があると思いますので、今は、加藤委員からの意見に対して補足あるいは御質問を特にいただきたいと思うのですが、どなたか。はい、どうぞ。
○田村委員 第2論点の下の方に、メンテナンスとかそういうのは大変だから、強風に対しても対応できて、落下防止効果等も期待できるような新製品の開発を期待したいというようなことですけれども、ここでおっしゃっている強風に対応ができてというのは、要するに養生しなくてというか、取っ払わなくても強風時にも大丈夫でと、そういう意味ですね。
○加藤委員 そうです。最近、台風とかで解体の工事現場で防音パネルとか付けている現場で足場の倒壊事例というのが結構あるのです。防音パネルなどについてはやむを得ないのかもしれないけれども、メッシュシートなどでももうちょっと工夫して、畳みやすいとかあるいは風にもある程度対応できるものをお願いしたいのです。
○田村委員 多分、充実率がある限度を超えてしまったら、どうしても風荷重が大きくなりますから、それは難しいのではないかと思います。結果的に、壁つなぎとかをもっと増やさなくてはいけなくなってしまいます。
○加藤委員 ただ、やはり施工上すぐに畳みやすいとか。
○田村委員 そういうのは大事ですね。
○加藤委員 ものすごく現実的には人工がかかるでしょう。現場はもっと非常に大変だし、台風の予報が出てくるとなると、足場について全部メッシュシートを畳んで、また台風が過ぎたらまたもとに戻すとかという話です。
だから、私の一つの提案としてグリーンネットみたいなのも墜落防止に耐えられて、なおかつ飛来落下にも耐えられるようなグリーンネットでも構わないし、グリーンネットの場合はボルトとか通ってしまうから、限定的になるかもしれないけれども、道路側に面して第三者に対して危害を及ぼすような所では使えないかもしれないけれども、ただ、もうちょっといろいろな考え方があるのではないかなと思っています。
技術開発は無限でいろいろなところでいろいろなやり方、アイデアが出るのではないですか。もうちょっと僕らも一生懸命他のところでお互いに考えましょうということを言いたいわけです。
仮設工業会さんで出している「仮設機材マンスリー」という本があるのですけれども、この中にでも型式認定でいっぱい新製品が出てきて認定されているのですね。このような感じで、1ページ、風に対しても強いメッシュシートとかそういう感じで努力されているのは事実です。ただ、もっともっと皆さんで努力していい製品を、僕らも意見言いますからお互いに進歩していけたらなと思っています。
○小林座長 少々時間配分として押しているようなので、後でまた御質問ある場合にはお願いしたいとして、次に移りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。それでは、一応、加藤委員からのご意見はこれで終わりということにさせていただきたいと思います。
次に、一般社団法人建設産業専門団体連合会から意見をいただきたいと思います。才賀委員にお願いいたします。
○才賀委員 平成23年度における組立て・解体時における足場の最上層からの墜落・転落災害発生状況は、死亡災害11件のうち、本足場の4件は手すり等を設置していたが安全帯を使用していない事例が2件、墜落防止措置を全く実施していなかった事案が2件であり、4件とも法令遵守がされていなかった事案であると思います。
上記、平成23年度の死傷災害については、118件と前回発表されておりますが、本足場の42件は手すり等を設置していたが、安全帯を使用していなかった事案が7件、墜落防止措置を全く実施していなかった事案が32件、安全帯の設置を実施していなかった不安全行動事案が1件であり、法令遵守をされていた2件については、枠組足場組み立て作業中に墜落し、安全帯のランヤードの切断が1件、親綱切断が1件ということでありました。
このようなことから、本足場では、法令遵守を徹底すれば死傷災害を大幅に減少することができるのではないかなと我々は思っているところでもあります。
本足場以外の足場からの死傷災害においても、安全帯を使用しない、墜落防止措置を採っていない不安全行動による、構造上の問題によるものが大半を占めているということです。
こんなことから各企業、各団体、我々31団体ですので、この31団体が建設現場においては、ほとんど足場を使っているという業者さんばかりなので問い合わせをさせていただきました。時間的にありませんので、一部の団体しか答がありませんが、次の丸だの三角だの付いているところが各団体からの意見です。全部読んでいますと時間がありませんので、一読をしていただきたいと思います。特に、足場の作業主任者の選任については当然行われている。手すり先行工法については、公共工事では見られるが、民間工事では手すり及び巾木等に他の仮設材が使われて、墜落防止措置には特に問題はないと見られております。
足場の組立等の作業主任者の選任については、作業開始前には必ず作業主任者を任命し、作業主任者の職務に関する安全看板を掲示し、周知を徹底しているところです。安全帯の使用に関しては、やはり事前の施工計画や作業手順の作成など、着工前協議においてその方法・構造・器具、二丁掛けとかハーネスの選定などを指定し、実際の状況による作業指示がされて、指導・教育すべきであると思います。
また、安全帯の使用は高所作業においてより強化すべき事項であると考えられます。これは、安全帯そのものの点検業務と併せて強化されるべきであり、作業員に実質的、最低でも教育をしていかなければならない、また使うように教宣もしなければいけないと思っております。
組立て・解体作業時の時期・範囲・順序等を周知・徹底させるというようなことです。以下何項目かありますけれども、ひとつ読んでいただければよろしいかなと思います。
その次の3ページに、公共工事においては手すり先行工法が普及され、墜落防止措置として効果を上げているように聞いております。しかし、民間工事ではコストを抑えたいとの思いから、従来のわく組足場、単管足場等で先行親綱の設置による作業が一般的です。
しかし、正しい手順が徹底されず、親綱なしの安全帯未使用や足元に親綱を張り安全帯をかけて作業したり、昇降の際に昇降階段を使用せず安全帯未使用のままわく組端部のよじ登り、更に降りようとして墜落につながっているというのが今でも後を絶たない現状であります。足場作業において、これ以上の法規制は組立て・解体の作業を著しく阻害する。改正法を含めて現行で十分であると思います。
次に、第2の墜落防止措置は十分かということについては、平成23年度における通常作業におけるわく足場からの墜落・転落災害の状況によれば、17件中12件が本足場からであるが、その全てが法令の一部、または全部を遵守していなかった事例である。同上の死傷災害については304件発生し、本足場からは164件であり、法令を遵守し、不安全行動等がなければ、休業災害の98%が阻止できることを示している。
これについて、企業・団体には、作業床に関しては、幅40cm以上、間隔が3cm以下を堅持するには、足場材の寸法や規格を見直すことも検討し、施工すべきではないかという意見もありました。
また、不安全行動の防止と足場の点検に関しては、同時に論じなければならず、足場の使用者が点検者であり、責任者は作業責任者や作業主任者、職長、安全衛生管理者である。使用前、使用後の点検は、保守管理を含め、作業のために足場を使用する上での作業手順や計画、方法が不安全行動や安全衛生上の義務違反の有無に直結していることにより、現況に即して教育・指導を繰り返し実施することを義務化するべきであるという、先ほど言ったように31職種が全て現場で足場を使っているものですから、足場を使った以上は、自分たちが責任を持って点検をし、修正をして、検査をするということであるならば、保守点検ができるのではないかなということだと思います。
それから、墜落する危険性がある時は、足場の組立て、解体時である。事前の打ち合わせにより作業手順、安全の確認方法等について関係者全員が共通認識を持って対処することが大事だろう。
これは専門工事業者のことだから専門工事業者、これは鳶の仕事だから鳶ということではなく、建設現場全体で管理・監督をすべきではないかということだと思います。
それと、次のページの頭から2番目に「改訂された安衛則は有効ではあるが、問題は作業のために臨時に取り外された設備が復旧してしないことであり、復旧に関する規則が必要である」として、今は誰が外したかわからないというようなことでなく、外した人がきちんと責任も取るというようなことにしていただきたいと思います。
それから、6ページの足場の点検義務は十分かということで、事前点検を幾ら一生懸命行っても、その後の作業の関係上、躯体側の手すりを取り外し、そのまま放置等が行われた場合は、かなりの危険性が存在している。ハード面の対策のみならず、作業員への安全教育の実施、ソフト面で強化する必要があるのではないかと思います。
点検が形骸化しないよう、各職に対する教育が必要である。併せて点検者の能力向上教育の普及が必要である。
また、組立引渡後の管理には、元請がしっかり行う必要がある。現場の足場の組立解体作業の点検は行われているが、使用者の点検がなされていない傾向がある。また、強風等の悪天候や地震後の点検についても現状は実施率は非常に少ない。ただ、目視だけで終わってしまうというふうなことが多いのではないかなと思いますし、誰が責任を持ってやっているのかというところまでは各現場においてはまちまちということだろうと思います。
さらに、補修等をする場合、我々鳶業者に依頼することもあり、条文どおりに加え、注文者を通じてのケースが実態としてある。また、鳶業者を含む関係請負人同士でやり取りし、鳶業者に依頼した場合、その鳶業者の費用負担が生じる問題がある。これがどこで払ってくれるのか分からないというような問題で、鳶がやらないとかやるとかという問題になるのだろうと思います。
最後の4番目、8ページ「安衛則に基づく墜落防止措置を履行させるための取組は十分か」ということで、平成24年における建設業での死亡者数367人中157人が墜落・転落による死亡であり、そのうち足場からは24名であった。平成23年度の足場からの墜落・転落による死亡災害の分析結果によると、法令を遵守し、不安全行動や構造上の欠陥がなければ防げたものが93%であり、ほとんど法違反だと思います。
また、この法令については、建災防さんができてもう50年ということで、50年前は年間に2,000人も3,000人も建設現場で同業者が亡くなってきたという事例があって、建災防ができて、50年たって、一昨年ですか、会長さんが365人、一日1件以下にするというものを提案してやっと実現できたかなと思った翌年に、東北の事故がありまして、やはり東京、または大都市に地方から来る未熟労働者が増えたということがあって、若干増えてはおりますけれども、毎年減少している現状だと思います。建災防さんの働きも非常に強いものがあると思いますし、もっともっと建災防さんらしく、強く我々を指導していただければいいかなと思います。
また、中高層建築物への対策は十分なされているとは思われますが、低層住宅、改修工事など短期間等の理由で、届出が必要がなく防止対策がなされていないということが見受けられる。このためこの分野の対策を講ずべきではないかという事案も非常に大きな数字を残していると思っております。
また、2m以下の低い高さからの墜落災害が多発している傾向があります。安全意識や手順による指導教育が十分ではないのではないか。また、簡単に仮設で物ができて、簡単に移動ができるという安易な気持ちで使っているものですから、そのもの自体が不安全行動につながり、また労働者が落ちるという傾向にあると思いますので、この辺も十分仮設工業会さんで研究をしていただきたいと思います。
その次の◎のマル1に、安衛則の改正等で、墜落防止措置等で設備的な安全対策は強化されています。今、現場ではほとんど安衛則違反のものはつくっていないというのが現状だというふうに思います。やはり使う人たちが不安全行動を起こし、また、使っていないということが大いにこの事故につながっているのではないかなと思います。
最後に9ページ、昨今のリース業者の動向については、建設生産体制においてメーカーとして本来の役割から逸脱し、一次下請として位置付けを確保しているかのように思われます。現在、行政が取り組んでいる重層化問題に対し逆行しているように我々は思います。
このようなメーカーの一次下請化は、利潤確保のための下請業者へのダンピングなどにつながり、公正な建設市場の確保に対する不安定要素として、現在国を挙げて適正な賃金水準の確保の妨げになり、入職率の低下や業界として後退の要因になるのではないかと危惧をしております。
平成21年6月より施行された労働安全衛生規則の改正により点検業務の義務付けがなされているが、現行の生産システムにおいて位置付けが不明確のように思われます。行政が求めている位置付けは、専門工事業者なのか元請業者なのか、リース業者なのか明確にしていただきたいと思います。
真ん中のマル2の各種技能に関する資格については、一部の業界内での一方的な働きかけでなく、実際に取り扱う専門工事業者の意見が反映できるようなものを考えていただきたい、またそういう場も設けていただきたいと思います。以上、発表を終わります。
○小林座長 どうもありがとうございました。早速ですが、今の建設産業専門団体連合会の才賀委員の意見表明に関して、御意見や御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。はい。
○田村委員 今までのお話、皆さん共通しているのですけれども、その安衛則に従ってちゃんとやっていればかなり事故は防げるというご説明で、それは理解できるのですけれども、この8ページの4番目で「中高層建築物への対策は十分なされていると思われるが」ということは、要するにそういう遵守されているのはこういうところの建設現場で、遵守されていないのは低層住宅とか改修工事などだとこの文章だとおっしゃっているように見えるのですけれども、実際にそういう死亡事故とかが起きているのはこちらのほうなのですか。
○才賀委員 結構多いのですよ。
○田村委員 ということですね。
○才賀委員 はい。
○田村委員 そうすると、やはりなぜこちらの方では遵守できないのか、法令を履行することがなぜ難しいのか。それはお金の問題とかいろいろ多分あると思いますけれど。不安全行動も、やはり多分何かの理由があって、起きているのだと思うのですけれども、その辺の御感想はどうでしょうか。
○才賀委員 ここは我々昔、昔と言うと笑われますけれども、ヘルメットをかぶりなさい、安全帯を使いなさいと言った時代に、例えば隣の現場で地元の小さい業者さんが仕事をやっていたときに、ヘルメットもかぶっていない、安全帯もかぶっていないところへ、基準監督署が査察、安全パトロールに入った。我々のところでヘルメットかぶっていないと一筆取られてきちんとやりなさいといって、では、隣はどうなのですかと聞いたら、あんたたちがきちんとやればその次にそこの仕事の人たちもあんたたちに倣うでしょう。だから、あんたたちをとりあえずきちんと取り締まればこちらも、というような時代を経てきたのです。
そういうことで、大都市圏のところは、そういうのがきちんとやれているのでしょうけれども、やはり田舎の地元に行くと足場がなくても木造の2階建てなら大丈夫だ、飛び降りても下は土だ、というようなことで事故が多いというのも現状ではないかなというふうには思います。
○田村委員 だから、そういうところでも遵守できて、かつ安全確保ができるような規則とか、あるいは何か特殊な資材とか、そういうものの開発というのはやはり重要になってくるのかなという気もしたのです。
○才賀委員 これは全建総連さんに指導・育成してもらわないとしようがないのではないかな。
○小林座長 どうぞ。
○宗像委員 住団連、宗像と申します。ここで言われている対策というのは、届出がなく、というところですが、足場の設置ということに関しても意味合いが大きいのかなと思っているのですが、低層住宅の建築工事ですと、足場の設置期間が短ければ20日、長くても40日まではいかないのですね。
改修工事になりますと、1日若しくは2日の足場の設置だけということもありますので、そういう意味で届出制の網にかかっていないということ、それが足場の設置期間から出てくることだと御理解をいただきたいと思います。
○才賀委員 だからそれは届出うんぬんよりもね、それにしても事故があるでしょうということを言いたいわけです。届出うんぬんよりもね、それだったら届出をしてやはりきちんとチェックしてもらった方が法違反にならないのではないですか。
○宗像委員 その辺は、自分の意見表明の中で重点説明はさせていただきたいと思います。
○小林座長 ほかに御質問ありますでしょうか。
○小野委員 一言。
○小林座長 はい。
○小野委員 今、才賀委員が発表された3ページですけれども、3ページの上ですね。「公共工事においては先行手摺が普及され墜落防止措置として効果はあげているが、民間工事ではコストを抑えたいとの思いから」従来のやり方でやっているので、いろいろ枠をよじ登ったり不安全行動のもとになっている。親綱も張るべきところに張れなかったりということですね。
これは、手すり先行工法も組立・解体の時も非常に役立つということを言っているのですが、コストさえあればやれるということですね。
○才賀委員 コストがあればできるのです。
○小野委員 コストが、お金がないからできないということですね。
○才賀委員 今で言うゼネコンさんがダンピング受注していれば、我々のところに入ってくる金も少なくなるし、それはそうなのです。
○小野委員 分かりました。
○小林座長 そのほかに御質問、よろしいでしょうか。それでは、建設産業専門団体連合会からの御意見はここで終わりにしたいと思います。才賀委員、どうもありがとうございました。続きまして、全国建設労働組合総連合からの御意見として宮本委員にお願いしたいと思います。
○宮本委員 よろしいでしょうか。では、全建総連の方から御意見申し上げたいと思います。全建総連、ほかの業界団体と違いまして、労働団体ということで視点もちょっと違うかなというふうにも思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
冒頭に何行か書いています。4行目の、全建総連は、墜落災害の防止については、「足場からの安全確保」を含め総合的な視点に立って、加えて丁場ごとに墜落防止措置の課題、そういうことも論じていくことが有効ではないかということであります。そういう中で、建設業の就業の実態だとかあるいは安全経費の確保の問題だとか、そういったものも、足場からの墜落災害防止の措置に通じる問題として提起をしたいと思っております。
論点4が示されております。主な報告については、意見1~4ということで次のページに進んでいただきたいと思います。
まず、全建総連というのはどんなところなのかということで御理解をいただいていない方もいらっしゃるかと思います。簡単に御説明をしております。建設に従事するあらゆる職種の労働者、職人、一人親方、零細事業主も含んで構成をしていて、全国すべての県に加盟組織を持つ連合体の組織ということでありまして、組合員が61万人を数えております。いろいろ何でもやっているというところでありますけれども、就労はどういうところでしているのかということで言うと、いわゆる野丁場あるいは町場、ハウスメーカーさんの下請の丁場、そういったところでの職域全てに就労をしているというような状況であります。
全建総連のいろいろ課題を探る上で、組合の中の死亡あるいは死傷災害が、どういう状況なのかということで分析をいたしました。四角枠に表がありますけれども、その合計ということで369人、これは9年間の死亡者ということでありまして、ここで注目していただきたいのは網かけの部分でありますけれども、事業主と一人親方、つまり現場で働く事業主、一人親方が189人、全体の51.2%がこの厚生労働省の死亡者統計に表記されていないのだと、我々としては非常にここを重要視しているところであります。
そういう中で、下の方に記載をしておりますけれども、真ん中辺り、21年度以降の改正規則以降の死亡災害と全建総連の死亡災害の比較ということを出しております。墜落・転落159人というのが全体ですけれども、組合員の比率というのはこの中で18.2%含んでいる。また、22年度ですけれども、全体としては墜落・転落が43.6%これは最大ですけれども、組合員としては63%がこの墜落・転落で被害に遭っているということであります。23年、24年とそれぞれその比率が大きくなっているというようなことを示しております。
次のページにまいります。そういった組合員死亡の特徴ということでありますけれども、資料の1ということで、後ろの方に記載をしている表を見ていただきたいと思います。全建総連の組合員の3年間の状況でありますけれども、一番左のところにあるのが墜落・転落、これが毎年最大です。一番上が死亡、それから、その次が死傷。死亡と死傷ということで年間の状況を書いておりますけれども、墜落・転落の全体の死亡が63%、死傷については21.8%というのが2010年であります。2011年も同じような傾向、2012年は更に墜落死亡災害が73.3%、あるいは死傷の場合でも24.5%と他の災害よりも断トツに多い状況を示しているということであります。
戻っていただきまして、マル1からマル4までのことを述べております。マル1ついては、建設業全体の死亡災害の1割前後が全建総連の組合員であるということで、命を守るという安全対策の強化に極めて高い関心を持っているところであります。そういう中で、マル2の死亡者の5割が一人親方、事業主ということになっている状況、統計に現れないそういった死亡、重篤な災害、こういうものの検証作業も必要ではないかということであります。
マル3のところでは、建設業全体の4割が墜落死亡という中で、全建総連では6割から7割が墜落・転落、これは小規模なところでの作業というところがかなり多いのではないかと思いますけれども、そういう事故に遭遇しているところが想定されるという状況であります。したがって、そういった一人親方で就労する場合の安全確保対策というのは特別に必要な課題ではないかということであります。
マル4の休業4日以上の死傷災害においても、墜落・転落がこれも最大要因でありますが、その中で「足場から」を含む総合的な災害防止対策というのが必要であろうと思っております。22年、23年、24年の割合は資料1に示したとおりであります。
さて、そういう状況の中で意見1として、一人親方の災害を含めた検討・対策が必要だということを強調しております。資料2、一番後ろでありますけれども、見ていただきたいと思います。これは折れ線グラフは御承知のように、厚生労働省の労働力調査における建設就業者、最大は1997年の685万人と言われておりますけれども、最近は500万人台、500万人前後というような状況になっておりまして、傾斜しているように就業者全体としては少なくなっているという中において、一人親方が非常に増えている。一人親方が増えているというよりも、一人親方労災に加入する人たちが増えている。12年度39万7,000人を厚労省の方で数えておりますけれども、下の濃いグラフの方は全建総連で加入している一人親方、35%ぐらいがこのうち全建総連の組合員という状況を見ていただけるのではないか。建設就業者はどんどん減っているのにもかかわらず、一人親方だけがどんどん、どんどん増えているという状況については御理解いただけるのではないかなと思います。
戻っていただきますけれども、今回、「効果検証・評価検討会」で検討された労働災害統計というのが、「労働者」のみを対象にした検討ということであります。そこには一人親方、一人親方というのは法律上の定義はないと思いますけれども、全建総連としては、個人事業主という見方をしておりますが、最近はこの個人事業主というには余りにおかしなといいますか、労働者に極めて近い、あるいは労働者であるといったような状態がどんどん、どんどん増えている、そういう状況があるのではないかということであります。全建総連の組合員の加入者統計を見ていただいたわけですけれども、その中で一人親方の加入者が増加している要因ということの想定でありますけれども、次のページに行きます。
1つは、やはり経費の削減というのが元請等からの圧力もありまして、かなり厳しくなっている。建専連さんのほうからもお話がありましたけれども、そういう中でどうしてもいろいろ経費を削っていくと労務費あるいは労働安全経費というものが最終的には削るということ。元請の方も労災の責任を回避したいといったようなこともあります。
さらには、事業者も消費税の課税だとかあるいは社会保険加入の負担、こういうものも回避したいといったようなことから、乱暴ですけれども、一人親方にしてしまえという状況がどんどん増えておりまして、最近は実態は労働者であるにもかかわらず、「一人親方労災保険への加入が強要されている」。一人親方で16歳なんてあり得ないはずなのですけれども、加入者がこの間、けがをしたということで全建総連に告発が寄せられております。
そうした一人親方、労務で請け負っているという人たちが実態は労働者であっても、元請の労災責任が果たされていないということで、労働基準監督署はいろいろ調査に回っておりますけれども、就労実態を含めた指導を行うということが必要ではないか。
さらに元請事業者の安全確保に対する意識変革、業界全体がそうだというふうには言いませんけれども、安全確保に対する意識というのが弱い、そういった部分も相当ありまして、墜落・転落災害防止にかかわる教育、情報提供、安全具の貸与等、そういったものがきちんと提供されるということが必要で、そういう安全文化というのが現場の隅々まで行き渡る指導が必要なのではないか。
全建総連に寄せられた声でありますけれども、電動ファン付きのマスクを全建総連で推奨しておりまして、販売協力もしておるのですけれども、この電動ファン半付きのマスクをゼネコンの粉塵現場で自主的に装着して就労しようとした一人親方に、元請の現場監督がそんな大げさものを付けられて仕事をされたのでは、周りから有害物を撒き散らしている現場だというふうに思われるからやめろというふうに言われているのです。もう困ったということで、仕方なく電動マスクは外して就労したという話がありました。こういうことはあってはならないのではないかと思うところであります。
「意見2」でありますけれども、安全経費が関係請負人すべてに確実に確保される必要があるのではないか。12次防に記載をされましたが、経費が関係請負人に確実に渡るというのが味噌であります。これは国土交通省と連携して対応すると書かれておりますから、国土交通省さんのほうでもよろしくお願いしたいと思いますし、全建総連のとしてもこの12次防に記載されたこの点について非常に重要だという認識を持っておりますので、ぜひ関係請負人に確実にあるいは別枠で確保されるということの必要性について関係業界が、努力をいただきたいと思っております。
また、12次防の記載の中で、本日の資料の提出というか、この間配っていただいたポイント17ページにも、「各主体ごとの留意事項」というのがありますけれども、この中にも必要経費について配慮と記載されております。これを「配慮」にとどめずに確実に履行され、そして「国土交通省と連携して」周知徹底をしていくということがどうしても必要です。そうでないと総価契約の中では競争原理の中で、安全の経費というのがどうしても十分確保できない、最終的には先ほどからお話があるような安衛則に定められた規定さえ不十分、守られないといったような事態が見受けられるのではないかなということでありまして、しっかりした足場ということであれば、そういった関係請負人にきちんと確保されるということが必要だということを主張したいと思っております。
次のページにまいります。そういう中で、安全文化の醸成というのは厚生労働省でも訴えておりますけれども、行政、業界、労働団体も含めて一体で取り組むことが課題ではないかということです。
「意見3」ですけれども、先ほど建専連さんからもお話がありました、一側足場や2メートル未満の墜落防止ということは、なかなか十分な安衛則が確保されていない状況、予算措置が本当に必要だと思います。墜落転落災害が4割も占めている現状の中で、特に低層のところでは、単管足場の中で作業床が設置されないというような状況があります。こういったところについては、きちんとリフォームも含めて作業床も確保されることが必要だと思います。官民協力してこういったことについての推進を図っていく必要があると思います。
最後の6の前の箇所でありますけれども、労働基準監督署単位で設置されている「安全推進協議会」というのがありますけれども、これが最近、国の予算が減額をされたということで、ここに十分な予算措置がないのですね。こういうところにきちんと予算措置を行うことによって、安全推進協議会の活性化を図るということで事故を防止するということが必要ではないかなと思います。
最後に、論点が示されておりますけれども、他の委員からいろいろ提起があります。最後の論点の4のところは、取組が十分かどうかと言うことでいうならば不十分です。その不十分さということで言えば、小規模事業者にそういった安衛則が周知徹底されていないのだということ、それから、「災防団体」等に活動の支援、国の予算措置、これが十分回っていっていないということを訴えておきたいと思います。
特に、建売現場では、事業主が売主。売主というのは顧客がまだ決まっていない場合ですけれども、この場合は、その事業主に労災責任がないのですね。では、労災責任の元請責任はどこにあるかというと、その事業主から最初に請け負った人、最初に請け負った一人親方の手間請けの大工が元請になるということになります。手間請け大工にそういった認識はありませんから、勢い大変な事態になりかねない。このことは従来からも訴えてきたところなのですけれども、そういった部分での措置がどうしても必要になってくるのではないかなと思います。
実際は安衛法の29条あるいは30条というのが機能しているのだと、だから、労災の責任はなくても安衛法上の責任はあるという御回答もありましたけれども、そうはいっても、これが十分機能しているのかということについて、甚だ疑問な状況であります。
したがって、全建総連はこうした安衛則に基づく墜落防止措置を履行させるために、厚生労働省への要請も行っておりますし、同時に組合員にも周知啓発を行っている。そして、災害防止のためには、やはりそういった安全推進協議会を含めた自主的な取組に行政が支援をする、そういうことが必要ではないかなと思っております。
下に写真がありますけれども、私が撮った写真なのですけれども、現実はこういった状況がまだまだある。ヘルメットはない、安全帯はない、単管足場に作業床はない。こういった不安全作業がかなりあるということで、本当になくしていくために、まずは安衛則をきちんと守っていく状況をつくり出していくことが必要ではないかなということを訴えさせていただきました。以上です。
○小林座長 宮本委員、どうもありがとうございました。では早速ですが、今の全建総連の宮本委員からの御意見について御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。はい、どうぞ。
○加藤委員 今の御意見の6ページ目の写真なのですけれども、私もやはり屋根の補修とか何とかでこういう状況、ヘルメットなし、足場なしとかではしごだけで上っていってやるような状況を時々町中でも見かけます。このような状況をやはり私たちの業界としてもなくしていかなければいけないなとしみじみと思っています。
○小林座長 どうもありがとうございました。ほかに。はい。
○小野委員 今の同じくこの業務の写真のところですけれども、まさしくこれは一側足場なのですね。一側足場がこうなので、それでは本足場関係、くさび緊結足場関係もこういうことなのだ、まずここから守っていきましょうということで、両方やらないといけないのだけれども、今、安衛則からいきましょうと、それも大事。しかし、安衛則からやることが全てだというような印象にとられるのは具合悪いですね。やれるところからやっていきましょうということなのだと思います。
しかし、本当に宮本さんの今の発表は大変貴重な発表でして、私たちも、ものすごくこれ、私のところの団体にも一人親方かなりいるものですからね、宮本さんところに入っている親方は一人親方が全てではないのですね。全体の約3分の1ぐらいですか。ですから、同じような率で、災害がまた3倍にかかってくるということを委員の皆様方には是非分かっていただきたいですね。
○小林座長 どうもありがとうございました。ほかに御質問、御意見は。それでは、先へ進めさせていただいてよろしいでしょうか。宮本委員、どうもありがとうございました。それでは、第4番目、最後になりますけれども、第4番目に住団連の宗像委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○宗像委員 住団連の宗像です。どうぞよろしくお願いいたします。
皆様のお手元にA4、1枚で資料を配らせていただいています。まず、これを私ども住団連の基本的な考え方から、論点1~4についてについて整理したものですので、これを読ませていただきます。
1.住団連の基本的な考え方
「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」報告書のとおり、災害のほとんどは、「規則で義務付けられている措置が実施されていない」現場で発生している。従って、平成21年6月に強化された足場からの墜落防止措置の効果は高く、規則遵守の徹底を図るべきである。というのを基本的に置いています。
以下、論点1から順に読まさせていただきます。別紙1は裏側にありますので、後ほど御確認いただければと思います。
足場の組立・解体時における最上層からの墜落・転落事案の98%(別紙のマル1)が規則で義務付けられている措置が実施されていない、又は不安全行動があった現場で発生しているという事実から、更なる強化には反対である。
なお、手すり先行工法については、低層住宅建設に使用する足場(わく組足場以外)への更なる普及には賛成である。ただし、従来機材の在庫状況、手すり先行工法機材の準備状況、組立作業者の習熟度(レベル出しを従来の足場より厳しく行わないと組立作業の遅延、後戻り等が生じる)、コスト等を勘案考慮しながら更なる普及を行う必要がある。と考えています。
論点2です。別紙マル2も裏面に載せています。通常作業時における足場からの墜落・転落事案の99%(別紙のマル2)が規則で義務付けられている措置が実施されていない、又は不安全行動等があった現場で発生しているという事実から、更なる強化には反対である。特に、墜落・転落防止用の幅木については、幅が45cm以下の作業床においては歩行が困難で極めて危険である。部長通達に定める「より安全な措置」については、各現場の状況(建物形状による足場設置の状況・・・建物躯体からの距離30cmを超える等)に応じて、適宜に安全確保のために対応すべきであり、規則に盛り込む必要はない。
と考えております。
論点3について、足場の点検・補修については、事業者に義務付けられている。従って、第3者による足場の点検については、責任所在の問題、点検待ちによる職人の手待ち等の問題があり反対である。
なお、現実として足場の点検・管理体制については、各々の住宅生産者において優劣の差があることは否めない。よって第3者による足場の点検については、まず自らが点検を行ったうえで、アドバイス・再確認を受ける意味で各住宅生産者が任意に取り入れるべきことである。
論点4について、関係団体が足並みを揃えて、普及啓発活動を継続的に行うことにより規則の周知・実行の徹底を図っていくとともに、米国、ヨーロッパ等の現場段階における違反に対する反則金制度等の調査も考慮すべきである。と考えます。
以上が論点1から4についてなのですけれども、ちょっと一側の足場の取扱いについて、ということで、補足の文章を読ませていただきます。
低層住宅現場は、狭小敷地であることが多く、抱き足場の場合や作業床幅が200~210、240~250、300~350、400~450(足場メーカーによる)等の足場がほとんどである。こういった状況の中で墜落・転落防止用の幅木を設置した場合、作業床上の歩行が困難で極めて危険である。また、中さんについても作業床が幅狭の場合は、腰を屈めて作業する際には中さんが腰から臀部に当たり建物作業面と正対できない場合があり危険である。従って、短絡的に墜落・転落防止用の幅木、中さん等を一側足場へ導入・規制することには反対である。というのが、住団連とりあえずの取りまとめ意見です。
こういったことを申し上げたことの背景でもないのですけれども、状況を簡単に補足で御説明しておきたいと思いますので、もうしばらくお時間いただければと思います。
住宅工事現場の足場というのは、先ほど宮本委員が御提示あった写真のように、これはリフォーム工事のものですけれども、ものすごく幅があるのですね。敷地に余裕がある場合もありますし、ものすごく狭いところで、隣地との離れが60センチしかないようなところで足場を組みながら作業をするということもあります。ですから、設置のレベルというものにものすごく差があります。
私は、新宿・中野・杉並を管轄する新宿労働基準監督署の木造家屋建築工事対策の協議会で安全パトロールを年に3回、ここ10年ぐらい参加をしております。そこで過去10年を振り返って感じたことを正直に申し上げますと、ようやっと足場先行工法が定着したなというレベルです。
そんなレベルに対して、この場でそのレベルの協議をしているわけではないので、そういうところは全く対象外と思ってもいいのだと思いますけれども、議論の場には上っていないのでしょうけれども、現実、住宅工事現場の足場にはそういった状況があるということをちょっと御認識の中の一端に置いていただければなと思います。
そんなところでは、自分たちが作業するために自分たちがとりあえず乗っかれる足場を作ろう、もう足場ではないようなものも足場として存在しているのが見られます。
それから当然、そういうところですから、一側だ二側だという考え方もその中にはない。ですから、規則の周知徹底、今ある法律、現行法の対策その他もろもろを周知すべき、そこからスタートすべきという感覚は、この辺りの現場の状況から申し上げたことだと御理解をいただければと思います。
それから、論点1の手すり先行工法の効果ということについて、もう少し補足をさせていただきます。
手すり先行工法、足場のかけ払いには非常に有効な方法だと思います。特に、足場の解体時の最上階で屋根面に足を乗っけれらないで手すりを外そう、中さんを外そう、転びどめを外そうという時には非常に有効です。
最近の工事の中では、太陽光のパネルを屋根面に新築工事の段階で設置することが多くあります。その太陽光のパネルの種類によっては、荷重をかけてはいけないというものもあります。物を乗っけてはいけないのですね。もちろん足をかけることも厳禁です。そんな太陽光のパネルが設置されていれば、屋根面に足をかけて足場をばらすということができないということが、手すり先行で最上階を組まないと現実的に不都合が生じることも出てまいりますので、手すり先行工法というのは、最大のメリットは足場をばらすときの最上階で効果が出てくるものだと思っています。その効果を一番メリットとして享受するのは足場の業者さんだと思いますので、この手すり先行工法の議論がもう少し具体的になってコストというところまで踏み込むような状況になった場合には、受益者負担というようなことも議論の中に入ってきていいのかなと考えています。
非常にレベル差のある、幅の広い住宅の現場では、まず一番最初に今の法律の周知徹底を図っていくことからスタート、それですべてを語れることではないと思いますけれども、その辺りをスタートにさせていただくということを意見として申し上げたいと思います。以上です。
○小林座長 どうもありがとうございました。今の、はい。
○鈴木(敏)委員 ちょっと質問なのですけれども、教えていただきたいのですが、その手すり先行工法で論点2番の低層住宅建設に使用する。これは基本的にはくさび足場になるわけですか。
○宗像委員 そうですね。
○鈴木(敏)委員 くさび足場ということですか。
○宗像委員 そうですね。
○鈴木(敏)委員 私自身ちょっと危惧するのは、結構建物を平面的に見ますと、形状の複雑な部分がありますよね。そういうところにもこの手すり先行工法というのは結構使えているのですか。
○宗像委員 非常にありがたい質問で、私がちょっと言い漏らした部分でもあるのですけれども、施工現場で手すり先行を実験的に採用して、現場で検証した時期があります。今から2年ほど前の状況ですけれども、その場合に細かな部材が結構足りないのですね。幅木がない、それから、出隅、入隅のところで部材が中途半端になってしまうようなことがありまして、まだまだ改良の余地ありという状況だと思います。
部材そのものの供給が全ての足場屋さんに行き着くのかということになると、その時点ではまだ数が足りないかな、また、足場の施工業者さんにすれば、新たに部材を買うことでコスト増になるので、その分はプラスアルファの要求が出てくるのではないのかな、とこれは想像ですけれども、こんなことを感じております。ですので、仮に手すりの先行ということ、私どもは基本的に手すり先行工法の普及を良しとしておりますけれども、余り急速に進みますと、業界の中での混乱が生じると思っています。コスト面でも部材の供給の面でも混乱が生じると思っていますので、時間をかけて軟着陸が望ましいと考えております。
○小林座長 はい、どうぞ。
○原田委員 先ほど御説明があった中で、1点だけ確認させていただきたいのですけれども、例えば太陽光パネルのお話がありまして、最終的には受益者負担が望ましいという発言があったのですけれども、具体的には受益者というのはどちらを指していると理解してよろしいですか。
○宗像委員 最終的に受益者負担が望ましいとまではちょっと申しておりませんで、受益者負担も考慮されるべきで、その最大の受益者というのは私が申し上げた中では足場のかけ払いをする足場屋さんということです。
○原田委員 分かりました。合わせて質問ではないのですけれども、各団体の方から御報告いただいて、例えば手すり先行工法、今、法制化するかしないか、別の議論としましても、有効であろうということは皆さん言葉の節々に私は感じておりまして、ただ一つ、やはり3団体とも聞いておりますと、やはりコストの問題、逆にいえば法制化されなくとも、コストが見合えば使っていってどんどん広げていってもいいのではないかという感覚も受けたのですね。
使えない現場もあるかと思いますが、特例を除けば全般的にはそんな感じを受けておりまして、となりますと、最終的に幾つか論点の中でやはりコストの問題。どこが負担して、どのような仕組みをつくればこのコストが出てくるのか。私も足場のレンタルをやっている業界ですけれども、普及はしていくべきだろうと思っておりますが、仮に法制化されるようなケースを想定しましたときには、相当の足場材の新規購入ということで供給していく必要もあると思います。
特に民間の場合、まだ2割、3割と聞いておりますので、全部ではないとしても相当数が出ていく。その際にやはりコストの面でどうしても切っても切れない、避けて通れない面になると思いますので、国の工事ではないし、民間工事に対して国がどこまで意見を吐けるかというのはまた別議論ですけれども、やはりどうしてもこの議論を聞いていまして、コスト面が避けて通れないものなのかとちょっと感じましたので一言、質問にかまけまして提案いたしました。
○小林座長 どうもありがとうございました。ちょっと宗像委員にお伺いしたいのですけれどもね、これも前回も出た話なのですけれども、幅が狭い場合の幅木の弊害なのですけれども、私もちょっと足場、手すり先行に関して、それ以外にも足場を組んで学生たちとちょっといろいろ遊んだりしておりますけれども、そのときに我々がやっているのは広いのですけれども、それでイメージしますとちょっと幅木がかえって危ないことになるというのはよく分からなくて、お尻が中さんに当たってというのは危険だということは容易にイメージできるのですけれども、そこら辺の幅木に関してちょっと教えていただきたいのです。
○宗像委員 間隔の問題もあると思うのですけれども、私もが足場の作業床と言っているのは主に40センチ程度です。場合によってそれが入らないところに24センチ、もしくはそれ未満のものもありますけれども、その程度の物で代用するということで対応しています。
専用の部材がない時代は、昔の歩み板のような物を代用していたときもあります。歩み板の場合ですと割と垂直に立つのですね。足場の専用部材になってくるとそれがちょっと斜めに立つような感じがあります。そうすると、足元がかえって狭く見えてしまうのですね。40センチのところ両側にそういった板状のものがずらっと並んでいると、非常に歩きにくい。これは慣れろと言えば慣れてしまうのかもしれませんけれども、今現状では職人の意見を聞くと非常にやりにくいとのことです。
それと作業性ということを考えた場合に、足場の床と構造体の離れが30センチ程度あればいいのですけれども、それ以下になってきますと、仕上げ用のコテが入らない。乾式ばかりではなくて湿式の工事があります。そうすると左官屋さんがコテが入れられない、コテ入れるために幅木を外す、外したままになってしまう場合もあったりもしますし、作業ができないから外すというようなことがまま見られますので、作業性を考慮すると幅木を一緒くたに法制化ということに対してはちょっと疑問を投げかけるという意味合いでの話です。
○小林座長 要するに狭いから幅木がなければ、例えば爪先もちょっと出してある程度の割合で仕事もできるとかということなのですね。
○宗像委員 そういうこともあります。
○小林座長 ありがとうございました。
○児玉委員 前回も同じような話をしているのだけれども、前回のこの足場の法改正のときも、一番の大本は交差筋交いのところで長さがないから後ろに落っこちてしまう。もうそれが一番の元になってああいう法改正をやっているわけなので、どうも私は理解ができない。かえってお尻が当たったらそれが安全ではないかなと思うのですけれども、そういう解釈ではないのですね。
○宗像委員 そこで感知すれば安全ということになるのですけれども、幅の狭いところでいきますと、今みたいに40センチ幅の床があれば中さんがあって全然問題ないのですけれども、24センチぐらいのところですと、建物との離れがほとんどないところですので、お尻が当たるというよりも、建物の作業面に真っすぐ向けないというようなことも出てくるのですね。そこら辺のことを申し上げただけで、中さんがあっていけないということではありません。
○小林座長 どうもありがとうございました。御質問いかがでしょうか。
○児玉委員 全体のことでよろしいのですか。
○小林座長 宗像委員に関して、御質問よろしいでしょうか。なければ全般、これまでのいろいろ御意見に即して意見をいただきたいと思いますが。もしよろしければ、全般のお話ということでお願いしたいと思います。どうぞ。
○児玉委員 ちょっと私のところだけ業界が違うので、ちょっとなかなか理解に苦しむことが。3つほどちょっと皆さんから意見、または回答いただきたいのですけれども、1つが、今日たくさん問題になっている一人親方。私どもの業界は労災保険は全部事業主負担ですから、それぞれ、もともと一人親方の人間が入って来られないのですね。うちの業界のようなところは一人親方が労災を掛けられませんから、結果として災害が起きて調べてみたら一人親方だったという人間はいることはいるのです。
この一人親方を廃止するということはできないのですか。労災保険を掛けられないようにしてしまえば、必然的にそういう人はどこかに雇ってもらわなければいけないということになると思うのですけれども、これが1点。
それから、今日非常に問題になっています労働安全衛生法なり労働安全衛生規則なり、これを守れば災害は減る、そういう意見が一杯あるのですけれども、これは別に今、これからのことではなくて、今までだってずっと同じことでやってきているわけなので、では何で守れないのか、そのためにでは法律を強化したらどうなのですか、罰則規定の119条だとか120条をもうがんがん締めつけて、そんなの守らなかったらもう事業もやっていけないのだ。そういうふうにすれば、では黙っていても安全成績が良くなるのですか、そこの具体的な対策というのが何も出ていないのですね。守ればいいというだけで、これは別に今でも将来でも過去でもみんな同じことなので、やはりそこら辺がもう少し具体化しないと災害は絶対減っていかない。法律守れば減っていくのは分かっているのですけれども、その守らせるということ、この辺をどう考えるのか。
それから、今日特別教育という話、足場屋さん、これはもう危険作業の最たるものですから、本来は特別教育は必要で個々にはみんなやっているとは思うのですけれども、いわゆる特別教育のマスト、絶対やらなければいけないもの、先ほど具体例が出ていた酸欠の恐れのある作業ですね、これはもう絶対やらなければいけない。有害作業で、有機溶剤作業だとかやったほうがいいですよという項目もあるのですけれども、なかなかこれ皆さんのところでやるとしたらどういうイメージなのか。
例えば、酸欠などもある業者さんが他のところで酸欠の特別教育受けてきましたといっても、うちの職場で酸欠の恐れのある職場に人をつけようとしたら、他でやってきたからといって信用できないのですね。状況も全然違うのでまたやり直さなければいけない。だから、その作業に就くたびにやらなければいけない。これが多分そうだと思うのです。足場でもやはり建設の場合には似たような足場多いですけれども、造船などはちょっと形状の違うところが多々あって、そういう規則をつくると多分その都度やらなければいけない。足場屋さんなどはどうしても人の入れ替わりが激しいので、なかなかちょっとイメージとしてどういうふうに皆さんが考えられているのか、もし意見がある方がいたらその3点、個別でも構わないのでお聞きしたいのですが。
○小林座長 いかがでしょう。はい、どうぞ。
○加藤委員 ちょっと1点目についてはなかなか答えにくい話なものですから、2点目と3点目の話にします。
先ほど来、私の方から言ってきましたように、足場の組立・解体等の作業主任者、これは先日金森委員さんも言いましたように、1回取ればそれまでですよ。今、そういう状況になって法改正があったとき、5年前に建災防さんが再教育、能力向上教育をやりました。その辺でこれが何年がいいのか分からないのだけれども、定期的に作業主任者に対する能力向上教育をやっていく必要があるのではないかのか。これはソフトの面でね。
あと特別教育についてです。これは今足場については特別教育が義務付けられていないのですよ。これについても足場の組立・解体等の作業主任者があるのだったら、これもワンセットで作業する人たちについて、特別教育も考えてもいいのではないかと、これは提案です。法的には今なければいけないよということはないのですが、そうやってソフト面でもうちょっと作業者教育を充実していけば、法令を無視した、法令無視したというのはおかしいのだけれども、法令を知らなかっただとかあるいは不安全行動だとかというのが減るのではないか。もうちょっと一つの反省として教育を重視していきましょうということであると思います。
特別教育につきましては、建設業では、いわゆるやったらどこかで受けていれば特別教育の修了証を持っていれば一応オーケーよというルールになっています。その代わり修了証で確認します。
ただ、それにつきまして、再教育が必要だとか何とかという話はまた別の議論になってくると思うのですけれども、一応特別教育者についてはどこかで受けていれば、その特別教育証を持っていれば一応確認できるというルールになっているはずです。ちょっと答えにならないかもしれないです。
○児玉委員 特別教育については、酸欠みたいに絶対やらなければ、受けた人間でなければもう就業させてはいけないというものと、受けさせたほうがいいですよという2種類があるので、そこら辺をどういうレベルで考えるのかなというのもちょっと考えておかなければいけないのかなと思います。
○加藤委員 ただ、今、足場については、特別教育あるいは特別教育に準じる教育というのは義務化されていないのは事実です。
○小林座長 どうもありがとうございました。宮本委員。
○宮本委員 一人親方で問題提起した立場からいいますと、先ほども申しましたように、一人親方というその法的な定義はないのですよ。本来は個人事業主なのですね。ですから、一人親方と言われる人たちが任意で労災保険に入っている、強制はされておりません。
したがって、一人親方労災に入っている人と入っていない人、実際いるわけですね。入っていなければ健康保険でかかるか、自腹でかかるかというのが実態です。だから、そういう中で一人親方労災を廃止してということであれば、すべて雇用者とみなして、例えば数日にわたる現場であれば、元方が労災保険の責任を持つということにすれば、これは廃止もできるのではないかなと思いますけれども、なかなかここは難しいのではないかのかなというのが現状であります。厚生労働省さんを前にして言うのも何なのですけれども、そういう思い切ったことがありませんと、なかなかそこの突破というのは、廃止というふうにはなかなかいかないと思います。
○児玉委員 建設業界の外から見るとまだ優遇されているのかなというような感じもするのです。
○小林座長 どうぞ。
○宗像委員 保険の面で考えれば、今、宮本委員がおっしゃったとおりなのですけれども、大工の世界で考えると、独立の第一歩が一人親方なのですね。雇われてずっと大工でいるぞというのはそれはそれでいいのですけれども、ちょっと意欲のある人は自分で請負で仕事ができるようになったということをすごく励みにします。そういう意味で、制度としてある意味有効なものだと思っていますので、そのように御理解いただければと思います。
○小林座長 児玉委員がおっしゃった、いわゆる一人親方が必然かみたいな御質問に一部なっているかと思いますけれども。ほかにいかがでしょうか。
○小野委員 今の児玉委員さんの意見にはちょっと関係ないのですけれども、座長にお伺いしたいのですけれども、もう時間になってくるのでかれこれ8団体から意見書が出ました。それに対応する反対意見とかあるいは言いたいことですね、これらについては、文書で座長宛て、この委員会でオープンにしてもらえる文書という形で出させてもらうことでいいのでしょうか。
○小林座長 この今までの御意見は今後、次回の11月の委員会でまとめていただいて、それをさらにここの委員会に出していただくということになっておりますが、その次回の皆さんからの意見表明をまとめた段階で御意見をいろいろいただくということでは。
○小野委員 それだと次回の委員会にいきなりこうぶわっとお互いに出し合っても、読む時間もなければ検討もできない。したがって、まだ時間があるので、今日終わった時点で、この次回の分に対する皆さんに意見を文書で言う機会を与えてもらえればなと、そう思います。
○小林座長 それは今後事務局としてまとめていただくものとの関係としてはいかがでしょうか。個人的には事務局にまとめていただいたものをあらかじめ各委員にお送りいただいて読んでいただく、一応皆さんの御意見を総合したという段階のをあらかじめ読んでいただいて、それに対していただく方がいいかなと思うのです。
○小野委員 ニュアンスの違いもあるし、ですから、お互いに出し合ってそれをまとめて、厚労省さんが今度の会議の1週間ぐらい前に皆さんに配付しておくというやり方はいかがでしょうかね。
○小林座長 それは御意見をそれより前にいただいて、それも含めてまとめていただくということですか。
○小野委員 そうですね。
○小林座長 いかがでしょうか。
○川越技術審査官 今回と前回の意見表明で質疑の時間が十分取れなかった部分もありますので、お互いこの団体のこの意見に対してはこうではないかというのを任意に提出いただくのは事務局のほうで全てお受けします。
その上で、もちろん既に各団体から出ている意見を基にこちらで意見を整理をさせていただきますので、その後で整理したものでまた皆さんにこの場で意見交換をしていただくということがまず基本ではありますけれども、それ以外の意見の出し方を止めるものではありません。
○小林座長 ということは出していただいて、その間も含めて事務局に今までの御意見の表明をまとめていただいて、皆さんに事前にそれを含めて多分1週間なり何なり前に読んでいただいて次の委員会に臨むということでよろしいですか。
○小野委員 はい。
それともう一つなのですけれども、厚労省さんにお伺いしたいのですけれども、この本会議は基本的には労使の関係という捉え方だと思いますけれども、大体の顔ぶれはやはり組織の長として出ておられます。ですから、どうしても使の方は、経営者の代表的な意見はかなり強い部分はあります。本当に労使の形の、労の生の意見が出ているでしょうかということを思うのです。ついては、もちろんこの委員会の内容についてはものすごい有効だと思いますけれども、プラスアルファ本当の労働者サイドの意見を別な形で多くの意見を集約されるような、集約してここの委員会にプラスした形でしていくということは考えていないのでしょうか。
○野澤建設安全対策室長 資料1の開催要綱にもありましたように、4の(3)に「本検討会は、必要に応じ、参集者以外の者に出席を依頼することができる」ということがありますから、この出席というのは当然そこで意見を言ってもらうなり、委員の方から質問してもらうなりということも想定されるものですから、ただ、具体的にそれをどうやるかというのは、今日の時間の中でできるか分かりませんけれども、もし提案があってそれについて委員会として、それは有効だからやりましょうということになる分には全然妨げるものではない、我々としてはできると考えています。
○小野委員 私が今、お伺いしているのは、厚生労働省さんはこの委員会を通じて、一つはこの業界の意見を吸い上げようということですよね。ついてはこの委員会の大体集まっているメンバーは、労使の関係のうちの使のほうに所属するのではないのでしょうか。ついては、もうちょっと現場サイドで働いている労働者、ここの意見をこの会で出る結論を出す前に入れるべきではないかということを私は言っているのです。
○野澤建設安全対策室長 ですから、そういう人を具体的にこういう人を呼ぼうではないかということにこの委員会でなれば、この4の(3)でそれは対応できる仕組みになっているから、具体的な提案が何らかの形であって、そして、この委員会の中で、そういう人の意見も聞かなければいけませんね、となれば、実施できると事務局としては思っているということです。
○小野委員 しかし、これは基本的に厚生労働省が主催なのですよね。ですから、厚生労働省が行政を行う上で基本的には労使の意見を全部吸い上げなければいけないはずなのですよ。ついては、このメンバーというのはほとんど使のほうに立っているのですよ。
○川越技術審査官 今回のメンバーを見ていただくと分かるように、全建総連さんはじめ建専連も含め、どちらかというと下請のお立場で現場で足場を使う団体も入っています。全建総連さんは労働者の団体だと思いますけれども、団体として推薦をいただいて各委員を集めてこの場を作っていますので、最低限そういった意見を取り入れられるように参集を求めているつもりです。これで足りない部分があるということであれば、この場で検討会で御議論いただいて、ヒアリングの場、実際の職人さんから意見を聞くとかそういったことをした方がいいということになれば、それはそのようにしたいと思いますので、ぜひこの場で御議論いただきたいと思っています。
○小野委員 私、提言させてもらいますけれども、やはり現場で働いている労働者の直の生の声ですね。それを厚労省としてどこかの調査会社に委託するなり何なりして、とにかく1,000人なり、2,000人なりの意見をいろいろな形で、切り口を入れて聴取してくると、そういうことは非常に大事だと思います。
○小林座長 先ほども言われましたけれども、宗像委員もそうですし、かなり具体的に働いている方のいわば代弁をしていただく部分というのは結構あると思うのです。
○小野委員 そうはいっても、ここに来ているのは指図をする立場の人だけですよ。
○小林座長 いかがでしょうか。
○才賀委員 今、小野委員が言われた現場で働く人たちの意見を聴取したいということはいいと思いますけれども、意見を聴取すればね、自分たちのためにだんだん、だんだん柔らかくなってきますよ。やはり我々は人を使って何とかしなければいけない、事故を少なくするにはどうしたらいいのかというのがみんなの頭の中にあるから、例えば法律もきちんとしようとか、再教育もしようとかというのは出てくるのだけれども、現場で働いている人たちがそういうことをしたら、いや、面倒くさいからそんなものはやめたほうがいいよ、何にも要らないよと言われたらどうするのですか。
○小野委員 確かに、才賀委員が言われる方向に、形になると思います。それは、ですから、調査の基本のポイントだと私は思います。よく経産省では、こういう事業を展開する源として調査会社を通じてかなりのことをやっていますね。もう才賀さんが言われるのは私も同意なのですけれども、だんだん柔らかくなって何もするなということになるのです。それはそれでいいではないですか。
しかし、意見を言いたい人は言いたい人で出てくると思うのですよ。それは切り口を与えてやるということだと思うのですけれども、いずれにしても、それは厚労省さんが調査することだと私は思います。
○小林座長 具体的に実際に現場で作業をしている方の御意見をここに寄せる。その対象の方を選ぶことから始まってなかなか難しい話だと思うのですけれども、そこら辺のことも考えて今回のまとめも行っていただきたいと、ちょっと、今ここでは。
○才賀委員 この前の委員会のときに職長さん呼んで現場の意見を聴いたではないですか。
○小林座長 去年か一昨年。
○才賀委員 あの時だって現場で実際働いている人を呼んでやっているわけですよ。
○小野委員 あのときは本音の意見もかなり出たのですよね。しかし、あれはやはりかなり数名なのですよね。
○才賀委員 だってそんなの数名しか呼べない。
○小野委員 呼んでやるのではなくて、ですから、調査会社に調査させるということですよね。それは各省もそういうやり方やっていますよね。
○才賀委員 今、我々建設業界でコンプライアンスを守っていないのは業界の中で8割も9割もいるわけですよ。これを一つ一つ守らせようと思って今一生懸命やっているのだから、少しは我々も知恵を出さないと守り切れないですよ。
○小野委員 ですから、我々は我々なりに今、一生懸命知恵を出しているわけですよ。
○才賀委員 だからそれでいいではないですか。それ以上、よその者呼ばなくても。
○小野委員 呼んでやるのではなくて、やはり厚労省がほかの実態調査をきちんとすると、現場で働いている最先端の人たちのということです。
○小林座長 例えばアンケート調査みたいなものなどもそれに当たるかもしれないですね。
○小野委員 たくさん民間には研究所ありますので、そういうところに委託するとか国交省でも、たくさん調査はやっていますね。研究所とか何かにですね。
○川越技術審査官 ただ、物理的な制約としまして、この検討会に、年末までにある程度の結論を得るという目標で進めてきております。そういった意味で、アンケート調査を仮に実施するとすれば、それの実施から回収、取りまとめ、その集計に時間がかかってしまいますので、年末までの結論というのは少し難しくなってくるかなと思います。
もう一つ、行政側でも検討はいたしますけれども、費用の問題等々ありまして、ちょっとすぐにできるかどうか、この場で結論を出すというのはできませんので、そこはこちらで持ち帰って検討させていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小野委員 持ち帰って検討して、それで結構です。
○小林座長 事務方にちょっと宿題として考えていただくということですね。
○小野委員 しかし、遅れるからどうのこうのではないですよね。やはり災害をなくすことに私たちは今、焦点絞っているわけですから。費用がないから調査ができない、これは先ほどの安全の問題と裏返しでコストの問題ですよ。
○加藤委員 ちょっといいですか。ちょっと1点目のことなのですけれども、今回8団体が発表したわけですけれども、それに対する疑問点というか、質問点があったら事務局の方に上げていただいて結構でしょうという話で了解していればよろしいのですかね。事務局さんの方にいつまでに上げればよろしいですか。
○川越技術審査官 本日が10月7日ですので、疑問点等ありましたら10日後ぐらいでしょうか、10月17日までに事務局まで書面、メールでも構いませんので、どういったところについて反論があるとか、こういったところがよく分からないとか、そういった部分も含めていただければ、それも含めまして、事務局のほうで論点整理させていただきます。
○加藤委員 分かりました。
○小林座長 そのほかに御意見ありますしょうか。意見を今日4団体からいただいたということは、これで終わりにして事務局にこの後のことをちょっとお願いします。
○川越技術審査官 それでは、次回の確認ですけれども、第10回の検討会は11月19日火曜日10時からです。場所は現在のところ未定ですので、追って正式な案内にて通知をさせていただきます。
また、先ほども確認でお答えしておりますが、前回、今回の意見表明で足場からの墜落防止対策については、ハード面、ソフト面、両面に御意見をいただいております。また、墜落防止対策全般にかかわる御意見も賜りましたので、事務局で論点を整理させていただきます。各団体への意見表明に対しての追加的な御意見、御質問も10月17日までに事務局に提出いただければそれも含めて整理をさせていただきます。その上で次回の検討会で皆様に御議論いただきたいと考えております。
また、整理ペーパーにつきましては、できれば皆様に事前に送付をさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○小林座長 先ほどのお話でも、目を通しちゃんと読んでいただくということには多分、ページ数も多いことになろうかと思います。1週間ぐらい前には読んでいただくような形で提供いただくということでよろしいですね。全体としてこういう流れということですので、こういうことでよろしいでしょうか。御了解いただけますか。
(「はい」と声あり)
○小林座長 では、今日はどうも長時間ありがとうございました。
(了)
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