ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会)> 第5回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録(2013年10月10日)
2013年10月10日 第5回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録
○日時
平成25年10月10日(木)10:00~11:30
○場所
都道府県会館4階 410会議室
東京都千代田区平河町2-6-3
○出席者
岩村委員長、大橋委員、菊池委員、首藤委員、諸星委員、山本委員 |
○議題
これまでの議論について
○議事
○岩村委員長
定刻になりましたので、ただいまから「第5回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」を開催することにいたします。
皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日の委員の出欠状況でございますけれども、池田委員、斎藤委員、鈴木委員から御欠席という御連絡をいただいております。
それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。
お手元の議事次第に沿って進めてまいります。
議事に入ります前に、事務局のほうから資料の確認をしてもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○政策企画官
本日の資料は、資料1、参考資料1、参考資料2-1、参考資料2-2となっています。
皆様、お手元にございますでしょうか。
○岩村委員長
よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
では、カメラ撮影はここまでということでお願いいたします。
(カメラ退室)
○岩村委員長
議事次第にありますように、今日は、「これまでの議論について」ということでございます。
これまで「主な論点」に沿いまして4回御議論をいただいたところでございます。
今日は、これまでの議論というものを踏まえて、委員会の取りまとめに向けた議論をお願いしたいと考えております。
それでは、まず事務局のほうから資料の説明をいただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○政策企画官
それでは、主に資料1について御説明をさせていただきます。
資料1は、これまでの議論を整理させていただいたものでございます。
おめくりいただきまして1ページですけれども、「これまでご議論いただいた論点」ということで、これは何度も出ておりますので、説明は省かせていただきます。
2ページ、年金個人情報の管理の現状についての資料でございます。
これも今まで出ておりますが、ポイントは2つございます。
1つは、年金個人情報は行政機関が保有する他の個人情報よりも厳格な情報の保護をしている。
2点目は、本人が最新の記録を確認できるよう、情報を提供・開示する仕組みとしている。最新の情報を提供しているということでございます。
3ページ目は、確認訂正手続の現状とその課題でございます。
これもおさらいになります。
現状は、今の確認訂正の手段としては3つございまして、行政機関個人情報保護法の訂正請求のほか、2つ目として年金事務所での年金相談、3つ目として総務省年金記録確認第三者委員会へのあっせんということがございます。
特に総務省第三者委員会の申し出に基づくあっせんは、これを尊重して記録を訂正するということにしてございます。
課題です。
○1司法手続も考慮に入れた記録確認の仕組みが必要との御指摘がございます。
あっせんは事実上の行為のため、訴訟にて却下される傾向がある。
○2は、事業主の届け出漏れ・誤りに起因する記録の誤りは、今後も発生する可能性があるということです。
次は、年金個人情報の正確性を確保するということは、国民一人一人の老後の生活設計や財産権に影響する重要な問題だということで、以上から、年金個人情報の特性を踏まえた恒常的な記録訂正が可能となる手続を新たに設けることが必要ではないか。
そういうことで御議論をいただいてございました。
恒常的な記録訂正手段の具体的な仕組みをどうするかということで御議論いただきましたので、その方向性を4ページ以降に整理させていただいております。
まず、年金個人情報の確認訂正手続につきましては、より簡便で迅速な手続とするため、被保険者が厚労大臣に対して、直接年金個人情報の確認訂正を請求することとしてはどうかということであります。
下の図は、今の厚生年金事業の現状の審査請求とかあっせん等の仕組みが図示されております。
その図の中で、上に書いてございますのが、今回のイメージとして、被保険者から大臣に記録の訂正請求を直接して、大臣から直接訂正・不訂正の決定通知をするというイメージでございます。
続きまして、5ページ目は対象でございます。
確認訂正手続の対象につきましては、今の厚生年金の処分だけではなく、国民年金における被保険者の資格の得喪や保険料の納付状況の確認など、「事実」として記録されているものも含めて、その対象としてはどうかということでございます。
下の図は、国民年金についての現状を図示しております。
被保険者から大臣へ直接記録訂正請求をするということで、上のほうの図は先ほどと同じということでございます。
続きまして、6ページ目は訂正手続の仕組みについてです。
これは、行政機関個人情報保護法制が現在ありますので、この個人情報の訂正手続を参考にしてはどうかということです。
2つ目の○ですけれども、新たに創設する場合、請求に対する応答は「正確性の確認」にとどまらず、「訂正をする」旨とか、「訂正をしない」旨を決定すべきではないかという方向性でございます。
続きまして、7ページです。
さらに、総務省の年金記録確認第三者委員会の訂正の仕組みにおける取り組みや経験を踏まえ、そのメリット、利点を参照してはどうかということで、2つございます。
国民の立場に立った調査審議をするということ、2点目として第三者が関与した仕組みであるということでございます。
続きまして、8ページ目は、今までの御議論をまとめた総括的な資料でございます。
今までの議論を整理しまして、年金制度においては、行政機関個人情報保護法制の例も参考に、御自身が年金個人情報の内容が真実でないと考えられるときは、厚生労働大臣に対し、原簿記録の訂正を請求することができる手続を明確に位置づけてはどうか。
請求に対する訂正の可否の決定を行政処分として担保する、位置づけるということにより、不服申し立て手続や司法手続への移行ができるようにしてはどうか。
3点目です。
厚生労働大臣は、国民の立場に立った積極的な調査を実施してはどうか。
具体的には、その調査・資料収集に関する法的根拠を付与し、公的機関や事業所、関係者等に対して必要な資料の提供・報告を求めることができるというふうにしてはどうか。
5点目は、訂正の可否の決定については、行政だけで判断するのではなく、民間有識者からなる合議体の意見を聞いて行うこととしてはどうかということでございます。
下の図です。
○1として、左の請求者(被保険者・受給者)から厚生労働大臣に対して訂正請求をする。
○2として、厚労大臣が関係機関や関係者、事業主に調査をする。
○3として、報告をいただく。
○4として、それを受けて厚労大臣は、民間有識者からなる合議体に調査審議をお願いする。
○5として、御意見をいただく。
○6として、厚労大臣はそれを受けて、左の請求された方に訂正または不訂正の決定通知をする。
請求された方は、不服がある場合は、○7として行政不服審査法に基づく不服申し立て、あるいは○8として直接訴訟の提起もできる。
これが仕組みのイメージでございます。
続きまして、9ページ目は、前回も議論がありましたが、特に不服申し立てについて補論として整理させていただきましたものです。
不服申し立てについて、どのように考えるかという小論点につきまして、現状です。
これもおさらいですが、「被保険者の資格、標準報酬、保険給付に関する処分又は保険料等に関する処分に不服があるときは、社会保険審査官又は社会保険審査会に審査請求又は再審査請求をすることができる」。
この審査会の裁決を経た後でないと処分の取り消しの訴えを提起することはできないというのが現状です。
課題です。
新たに、「第三者による国民の立場に立った審議を経て確認訂正を決定するとした場合、不服申立て先を社会保険審査官又は社会保険審査会とするか。あるいは、中立的な第三者による審議を経ていることや、簡便で迅速な手続きとする観点から、直接、厚生労働大臣に不服申立てを行うこととするか」ということでございます。
10ページです。
これまでの御議論を整理させていただきますと、「仮に、確認訂正の決定に当たり民間有識者(第三者)が関与する仕組みとするのであれば、迅速な確認訂正手続きを確保する観点から、社会保険審査官・社会保険審査会制度の対象としないことも考えられる」。
一方で、行政不服審査制度そのものについては、現在、時代に即した見直しが検討されています。
6月に出された「行政不服審査制度の見直し方針」によると、不服申し立てについての判断を公正かつ慎重に行うため第三者機関への諮問手続をとらなくてはいけないというふうに出されております。
ただ、ただし書きとして、「他の法律に審議会の議を経るべき」となっていまして、その審議会の議を経て処分が行われるのであれば、第三者機関へ諮問しなくてもいい。
そういう見直し方針が出されております。
3つ目の○です。
こういった行政不服審査制度の見直しの考えを踏まえますと、今回、年金個人情報についても、確認訂正の決定に当たり民間有識者(第三者)が関与する仕組みとするならば、社会保険審査官・社会保険審査会制度を経なくても、不服申し立てについて公正かつ慎重な判断が行われることが期待できるということですので、不服申し立ては厚生労働大臣に対して直接行うこととしてはどうかということでございます。
4点目です。
また、不服申し立てとするか、訴訟提起とするかは本人の選択とすべきではないか。
大体こういったような議論の方向性だったと考えております。
引き続きまして、11ページです。
大きな論点が2つありましたけれども、2つ目の論点「年金個人情報の適正な管理のあり方について」でございます。
小論点として、「年金個人情報の正確性の向上に資する取組みの検討」と「本人自身による年金個人情報の確認の推進」ということがありました。
まず、現状です。
御自身の最新の記録が確認できるよう、「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で積極的に情報の開示をさせていただいているというところでございます。
2つ目は、届け出誤りや届け出漏れの誤り防止のために、御本人や事業主様の意識啓発を実施させていただいている。
3点目として、一方で、事業主の届け出誤りや届け出漏れに起因する記録の誤りなどは、引き続き発生しているという状況でございます。
課題です。
現行制度では事業主から被保険者へ通知する義務がございますけれども、一部行われていないという現状が一方でありますので、「ねんきんネット」を拡充するなど、そういった情報提供の取り組みをさらに充実させる必要があるのではないか。
事業所への指導・調査や適用対策を推進していくとともに、届け出誤りや届け出漏れを未然に防ぐ取り組みも必要ではないか。
対応として4つ書いてあります。
「ねんきんネット」によって、年金記録の確認や検索機能のさらなる充実。
正確な届出書の作成を支援する機能の提供。
メール等による積極的な情報提供を行ってはどうか。
2点目として、利用者サービスや年金制度に対する理解の向上に資するための事業として、「ねんきんネット」のさらなる普及のほか、事業所の届け出誤りを未然に防ぐ観点からの調査分析を継続的に推進してはどうか。
3点目として、届出電子化といった利用者側で電子化された情報を作成し、年金機構でその情報をそのまま利用する(ミスの可能性がある入力作業を行わない)ことにより、適正かつ効率的な事務処理を進めてはどうか。
4点目として、年金個人情報の確認訂正手続の過程で今後得る具体的な事案や具体的な事例を分析し、誤りの傾向が分析されますので、今後の事業所調査や適用対策に活用することで、そういったことが防げるという取り組みが必要か。
そういうことでありました。
続きまして、12ページです。
3つ目の小論点として、年金個人情報の目的外の利用・提供について、どのように考えるかということでございます。
まず、現状です。
年金個人情報は厳格に保護ということですので、災害時を含む目的外のために利用することについては、大臣や年金機構の裁量の余地が少ない制度になっています。
一方で、現在、行政側が直面している課題として、認知症の方への対応の情報の活用、災害時の緊急時における情報の有効的な活用などの要請がございます。
課題としては、年金個人情報の目的外利用の範囲については、緊急性や公益性を踏まえ、再検討する必要はないか。
2点目として、その際、情報提供の可否は、情報提供により得られる公益と本人の不利益の比較衡量により判断することとなるか。
そういう論点で御議論いただきまして、13ページで今までの御議論を整理させていただきます。
まず1つ目、目的外利用については、法令に限定列挙したほうが個人情報保護にふさわしい。
その場合、レアケースについてどのように考えるか。
2点目として、目的外利用の範囲を包括的な規定とした場合は、情報提供の必要性と提供によって害される個人の利益性との関係が不安定な状態になってしまう可能性があるのではないか。
3点目として、公益を理由として利用できる場合は、一定の法令レベルで列挙し、提供の可否の判断を明確にする必要があるのではないかという御議論だったと思います。
以上を踏まえますと、年金個人情報の目的外利用につきましては、以下のような要素を勘案してということで、「以下の要素」というのは下に3つ書いてございますが、「緊急性・利益性」「公益性」「本人同意の困難性」、これらの要素を勘案して、年金機構法に定める「明らかに本人の利益になるとき」に該当するものを選ぶとともに、判断の統一性の確保を図る観点から、法令に列挙規定することとするか。
そういったことで整理をさせていただいております。
長くなりましたが、以上でございます。
○岩村委員長
ありがとうございました。
今、資料1に基づいて事務局のほうから御説明をいただきました。
議事の進め方を少し整理させていただきまして、最初に論点1「年金個人情報の確認訂正手続きのあり方について」御議論をいただきたいと思います。
御質問、御意見などをいただければと思いますが、これについて大体30分程度御議論をいただければと思います。
いかがでございましょうか。
先ほどの御説明の確認なのですけれども、資料1の6ページ、7ページにそれぞれ「記録訂正の流れ」というのが図式化されていますが、これは今ある2つのものの流れを示していて、こういったものを踏まえて、8ページで今度こういうものをつくってはどうかという御提案ですね。
○政策企画官
はい。
○岩村委員長
首藤委員、どうぞ。
○首藤委員
民間有識者からなる合議体なのですけれども、これはどういうふうなイメージで考えていらっしゃるのでしょうか。
今の総務省の制度を参考にしたというふうにおっしゃいましたが、今ですと、第三者委員会との違いとか、どういうふうなイメージをお考えなのか、教えていただけないでしょうか。
○岩村委員長
では、事務局、お願いします。
○事務局
事務局の事業企画課でございます。
今の首藤委員の御指摘のとおり、最初の厚労大臣の訂正決定の原処分の際に、民間有識者からなる合議体のメモ、審議をしていただく、第三者のメモを入れていただくこととしてはどうかということで、これまでの議論を受けた形で、8ページで一定の方向性を示させていただいているところでございます。
具体の合議体の構成についてでございますが、訂正決定をするに当たってポイントとなるのは、事実認定の争いというところが大きなポイントになろうかと思います。
そして、社会保険、年金制度に対して、詳しい方というのがこの合議体の構成として想定されるところでございます。
いわゆる事実認定が主、あるいは社会保険に詳しいということになってまいりますと、例えば社会保険労務士さん、あるいは弁護士さんといった専門職の方々が構成のメンバーという形で想定されるところかと思います。
事実認定が主ということになってまいりますと、今、まさに総務省の第三者委員会さんがつくられているような委員構成のメンバーというのは、参考にはなってくるであろうと考えております。
なお、総務省に今ある第三者委員会の構成メンバーというのは、参考資料1の11ページのほうに挙げさせていただいているところでございます。
こちらのほうでも、まさに社労士さん、弁護士さん、税理士さんなどが参画されて活動されていると伺っているところでございます。
事務局からは以上でございます。
○岩村委員長
いかがでございましょうか。
○首藤委員
その場合、民間有識者からなる合議体が調査審議して、厚労大臣に対して意見を言う。
それに基づいて、大臣が訂正・不訂正の決定通知をする。
○5から○6というふうになるのですけれども、○5と○6の関係といいますか、○5の意見がそのまま素通りで○6へ行くのか、それとも○5の意見と違うような結果が○6になるのか、その辺はイメージ的にはどうなのでしょうか。
○岩村委員長
では、事務局、お願いします。
○事務局
事務局の基本的な考え方といたしましては、訂正請求に対して、訂正をする、ないしは訂正をしないという決定の権限というものは厚労大臣にあるものだというイメージで考えているところでございます。
ですので、最終的には訂正の権限というものは厚労大臣にあるというところで、そこは民間有識者からなる合議体からの意見というものは、意見として尊重させていただくことになろうかと思いますが、法的な決定権限といたしましては厚労大臣という形になるのではないのかなと今のところ考えているところでございます。
もちろん、民間有識者からなる合議体のほうから、こういった資料などはもっと調査しないといけないというような求めがありましたら、当然その求めに応じて、○2の厚労大臣の調査のところで追加調査などをして、さらに民間有識者からなる合議体のほうにお返しをしながら審議を深めて、最終的に意見をいただく。
そうした意見を尊重して、厚労大臣の権限でもって訂正、不訂正の決定を請求人に対してお返しをするという形が現実の事務の流れになろうかと思っております。
○岩村委員長
では、お願いします。
○事業企画課長
補足をさせていただきますと、訂正に係る審議会の位置づけをどう考えるかという問題だと思っております。
いろんなパターンがあると思っております。
単に意見を聞くという話から、もうちょっと重い形にすると。
これは法律の位置づけの仕方の問題ですので、そこはいろんなパターンがあるかと思っております。
大臣が意見を聞くという場合に、大臣が基本的な決定権限を持っているのだというふうに考えるのか、審議会の意見を十分踏まえるのかという意味で言えば、事実上、審議会のほう、第三者組織で御審議をいただくわけでございますから、実質的にはそこの部分の意見というのは尊重せざるを得ないということになると考えております。
ただ、その上で、法律的な構成としまして、どこまで審議会の形を位置づけていくのかというのは今後の議論でございますし、そこのところは、本日の御議論を踏まえまして、私どものほうで検討させていただきたいと考えているところでございます。
いずれにしましても、実際に第三者の意見を聞くわけでございますので、そこは事実上尊重させていただくということになると考えているところでございます。
○岩村委員長
首藤委員、よろしいでしょうか。
○首藤委員
はい。
○岩村委員長
ほかにいかがでございましょうか。
では、大橋委員、諸星委員という順番でお願いします。
○大橋委員
まず、今のお話では第三者機関の意見は事実上尊重せざるを得ないということでした。
これは原処分に関わる話ですので、やはり決定権限は厚生労働大臣になければいけないのかなという気はするのですけれども、例えば情報公開・個人情報保護審査会の例を考えると、あちらも事実上尊重するという形になっていたと思うのですが、そんなに多いケースではないのですけれども、審査会の行った諮問内容と違う決定を行政のほうがするケースもあるという話を聞いていますので、事実上の尊重といえども、例えば尊重義務を明文で定めるとか、せっかく第三者機関を置くので、何らかの形でその意義をきちんと示しておくということで、完全に運用に委ねるというのではなくて、ちょっと縛りをかけるのは大事なのかなという気はいたします。
また、今回の仕組みが一般的な不服申立ての仕組みと違うのは、民間有識者の合議体が原処分の決定に関与するという点です。
行政庁による第一次的な判断が既になされていて、それに対する不服についての諮問を行うというのではない点が非常に特徴的なのかなと思うのですが、その場合、民間有識者からなる合議体が持っている調査権限が、厚労大臣の持っている調査権限との関係でどういう関係になるのか。
これはきちんと整理する必要があるのかなと思います。
厚労大臣が完全に調査権限を持って、第三者機関が何か疑問を持ったときは、厚労大臣にその調査を依頼して、厚労大臣がとりあえず主体的に調査を行うのだという仕組みもあるとは思うのですが、実際に民間の合議体が活動を始めると、厚労大臣経由ではなくて、直接知りたいというのが出てくる場面もあると思うのです。
そういった場合、何らかの形でその調査権限を第三者機関に付与してもいいのかなという気もいたしますので、この辺について、先生方の御意見を伺いたいです。
もう一点は、今回、8ページの御説明だと、訂正の可否の決定については、第三者機関に諮問するとなっているのですけれども、申立てを認容して情報を訂正することとする決定についても諮問する必要があるのかどうか。
第三者機関の負担との関係もあって、全てについて諮問する必要があるのかどうかと思ったのです。
以上です。
○岩村委員長
ありがとうございます。
諸星委員の御質問は、今の話とは全然違う中身ですか。
○諸星委員
関与しています。
○岩村委員長
では、諸星委員に御質問いただいて、それから事務局にお答えいただくことにしたいと思います。
○諸星委員
まさに今、大橋委員がおっしゃったところを私もお尋ねしようと思っていたのですが、今までの総務省の第三者委員会のあっせんというのは完全に尊重するということで、ほぼほぼ実態上は総務省の委員会で決めたことがそのままスルーしていくような形が現実だったのです。
ですから、もし今回こういった組織体制をするのであれば、先ほど大橋委員がおっしゃったように、法的に義務を、「尊重」という言い方でなくて、処分の前の決定がある程度強い意味を持つのかということを決めないと、ちょっと難しいかなと思います。
また、一旦厚生労働大臣のほうで調査をしても、第三者委員会で調査して新しい事実が出てこない、場合によっては全く事実認定が動かないという実態もございますので、先ほど調査権限のお話がありましたが、まさにそういったところも加味して行うべきではないかなと思います。
第三者委員会は今、各都道府県にあると思うのですが、そうなると、訂正手続というのは結構多いのです。
ですので、まず民間有識者からなる合議体という大きなものがあって、その組織、それはこれから議論されると思いますけれども、審査会みたいに1カ所しかないということですと、かなりのボリュームがありますので、各都道府県に設置をするのか、あるいは中央集中型にするのか、それなりの人数を集めるなりしていただかないと、この対応はできないのかなと思いますので、その辺の検討もお願いしたいと思います。
以上です。
○岩村委員長
幾つか御意見ということだったと思いますが、事務局のほうでお答えいただける部分はいかがでしょうか。
○事業企画課長
まず、第三者委員会の関係で調査権限について御意見をいただきまして、大変ありがとうございます。
調査権限については、通常は厚生労働大臣が調査権限を持って、その調査の結果も踏まえて、第三者からなる合議体に御意見を聞くというのが基本的な姿かなとは思っているのですが、委員会そのものが調査しないといけないという部分があるのではないかという御指摘をいただきましたので、他の立法例等々も踏まえて、私どものほうで検討、研究をさせていただきたいと思っております。
大橋委員から訂正しない場合とする場合ということで、する場合は第三者からなる合議体に聞く必要性があるのかどうかという御指摘についてでございますが、現行の行政機関個人情報保護法は、する場合もしない場合も一応審査会への諮問をするという形になっております。
これは、恐らく真実はどこにあるのかということについて第三者の意見を聞くという意義で、する場合もしない場合も求めているのではないかというふうに一見感じられるところでございます。
年金記録の問題につきましても、真実はどこにあるのかという、記録という事実行為の正誤の問題でございますので、行政機関個人情報保護法に沿えば、当然する場合も意見を聞くということになるのではないかと考えていたところでございますが、もちろん件数の問題がありまして、スピーディーな訂正の決定が求められるところもありますので、そういう意味では、御意見を踏まえて、そこのところについて、私どものほうでもいろいろ考えてまいりたいと考えているところでございます。
そういう意味で申し上げますと、大橋委員からも諸星委員からもいただきましたように、いわゆる第三者委員会の権限としてどういう部分を設けるのか、尊重するといった規定を設けるべきではないかという御指摘もいただいているところでございます。
もともと第三者からなる合議体のほうにどういう権限を持たせて、どうするのかというのは、今、いろいろ御意見をいただいているところでございますし、どういう形に変えたほうがいいのか、法律を位置づけたほうがいいのかという部分はいろいろあります。
そういう意味では、事実上尊重されるという部分はありますが、そういう法的な位置づけというのができるのかどうかという部分についても、私どものほうで検討し、研究してみたいと思っているところでございます。
最後に、体制の件について御意見をいただきました。
もちろん、事実上、地方、中央も踏まえて、今、第三者委員会のほうで調査をしていただいているところでございます。
調査等々をしますと、それなりの体制が必要ということでございますので、この訂正手続について検討していく際には、あわせて十分な体制というのも必要ではないかと思っておりますので、そちらの部分につきましては、私どものほうでもしっかり考えていくべきではないかと思っているところでございます。
以上でございます。
○岩村委員長
では、事務局、お願いします。
○事務局
諸星委員からの体制の御指摘の件で、1点だけ補足の説明をさせていただきます。
利便性の向上という点から考えて、中央だけでなくて、地方のほうにもそうした体制を組むべきではないかという点については、まさに御指摘のとおり、今後検討しなければならない課題だと考えております。
なお、御参考までに総務省の第三者委員会の今の体制について諸星委員から御指摘がございましたが、ことしの5月の時点で総務省の第三者委員会さんは、全国9ブロックの形で運用されているということだそうでございます。
参考資料1の7ページの下段に現状の全国9カ所という形で運営されているというのを参考までに書いておりますので、参照していただければと思います。
以上でございます。
○岩村委員長
では、事業企画課長。
○事業企画課長
先ほど私が言ったことに間違いがございまして、現行の行政機関個人情報保護法は、全て認容する場合は審査会の意見を聞かなくてもいいという法的構成になっているということでございます。
不勉強で申しわけございません。
そういう意味からいたしますと、それに倣えば意見を聞く必要はないということになるわけでございますが、一方、年金記録の特殊性という部分もありますので、そのあたりも踏まえて、こちらのほうでもう一度検討すべきものは検討したいと思っているところでございます。
○岩村委員長
個人的には訂正請求が全部認容であれば、民間有識者の合議体の意見を聞く必要はないかなと思います。
もちろん、一部訂正という場合は話が違うので、これはかける方向に行くのでしょうけれども、そもそも全部認容だったら、合議体にわざわざかけるという必要はそれほどないかなと思います。
では、審議官、お願いします。
○年金管理審議官
今、聞いていて、やや単純化して、整理なのですけれども、まさに諸星先生、大橋先生からもお話がありましたように、意見をどう尊重するかという、そこの規定の問題ということで、今、御議論いただいている全体の構図としては、今はまさに第三者委員会があって、第三者委員会の意見を尊重してというか、それに基づいて年金記録を訂正しているということになるわけですが、ただ、第三者委員会というのがあっせんをしているというところの法的根拠が、いってみれば、総務省、私ども行政機関に対する行政評価、行政監査の権限ということから来ているというところが、年金制度というところとちょっと距離があるような格好になっている。
それをしっかりした形で年金制度の中に位置づけていこうということの御議論でございますので、そういう意味で言うと、こちらのサイドにその根拠というものを設けていくということはそういうことで、ただ、それを尊重するというような書きぶりでいいのか、意見を聞くというだけでいいのか、そこの書きぶりをどうするかというのが、まさに御議論を賜りながら検討していくことだろうと思います。
あと、今の個人情報保護の場合と年金とどう違うか。これは若干私の個人的な感じですけれども、年金の被保険者と保険者との関係というのが、通常の行政の機能に比べるとやや契約的な要素があるということを考えていくとすれば、当事者間ということになるので、そうすると、不服に対して認容する場合というのは、第三者というところまで行かなくてもいいということもあるのかなという気がいたします。
この辺は引き続き勉強させていただきたいと思います。
○岩村委員長
ありがとうございます。
では、菊池委員、どうぞ。
○菊池委員
この第三者機関の位置づけについて、元をたどれば、年金記録問題に発する緊急避難的な社保庁、あるいは行政に対する不信というものがあって、緊急避難的に総務省にこういった第三者機関が設けられたということを考えると、中長期的には同じようなスキームでいくのがいいのか、それとも本来的には行政が直接やるべきものではないかという趣旨のことを申し上げました。
ただ、今日ありましたように、全体としての行政不服審査制度の方向性が、やはり第三者性を持たせるという方向ですので、そういった意味からすると、今日お示しいただいたような方向性でいいのかなと思っております。
その上で1つ確認したいのは、これが立ち上がるとなると、総務省の今の第三者委員会との関係はどうなるのか。
こちらのほうはなくなるという前提で今、お話を進めておられるのか、そこを確認したいというのが1点です。
あとは、先ほどの御議論ともかかわるのですけれども、社会保障審議会の下に分科会なり部会なり委員会なり、その機関は何ができるのか、どこまで権限を持つのかというのは、審議会のもとに置くとすれば、社会保障審議会令でしたか、そこから何か出てくるというものでないとすれば、新たにそこに何がどこまでできるのかというのを書き込むということになるのかなと。
審議会のもとにある機関に例えば調査権限なりを持たせる、持たせられないという話になるのかなと感じました。
それができる、できないというのはまた別ですけれども。
それは先ほどの議論を伺っていた感想です。
以上です。
○岩村委員長
ありがとうございます。
御質問の点があったと思いますので、そこはいかがでしょう。
事務局、お願いします。
○事業企画課長
まず、社会保障審議会のほうの話でございますが、現行の社会保障審議会は、厚生労働大臣の諮問に応じて社会保障に対する重要事項を調査審議したり、厚労大臣に意見を述べるといった一般的な権限のほかに、各個別法で審議会に属された権限を処理することという位置づけになっているところでございます。
私どもも、そういう意味では、個別法で明確に意見を聞く部分は書かせていただきたい、そういう形のことを想定しておりますので、どちらかといえば個別法で処理する事務を審議会が処理するという形になると思っております。
その場合に個別法でどこまで位置づけられるのかというところがございまして、先ほどから私どもがお答えしておりますように、それは審議会の部分の意見を聞くという話なのか、もうちょっと強い書きぶりなのか、そのあたりはさまざまな論点があって、それと社会保障審議会の全体の政策的な審議会というよりも、社会保障審議会の位置づけとの関係の問題でありますので、そこのところは十分勉強して研究をしていく必要があるかなと思っております。
いずれにしましても、一般的なあれではなくて、各法の個別法に位置づけた上で、どういう形で今の中におさまっていくのかということも考えたいと思っております。
社会保障審議会の中に設けるかどうかというのもまだ決まった話ではありませんので、もし社会保障審議会の中に設けるとすれば、そういう形になるだろうと思いますので、当然今後いろんな形での第三者の合議体のあり方というのがあると思っていますので、そこは組織、どういう審議会の下に設けるかという部分も含めて全部を考えていくということになるのだろうと思っております。
総務省の第三者委員会との関係ということでございますが、今回の年金個人情報の適正な管理のあり方に関しては、現行のいわゆる年金各法の中で、個人の請求に基づいた記録訂正手続というのがない、それが権利として確立していないということの中で議論をいただいているところでございまして、総務省のほうの組織の話が直ちにこちらに直結するという話ではないと考えております。
基本的には年金の法律の中で、いかに完結した訂正手続を設けるかということになりますので、先生がおっしゃられました総務省の第三者委員会との関係が、直ちにそういう法的な関係でリンクするという話になるわけではございませんので、私どもは、まずは記録訂正手続というものをどういうものにしていくかという部分について、精力的にこの場で御議論いただいておりますし、私どももそこを検討していく必要があるのだと考えているところでございます。
○岩村委員長
菊池委員、よろしいでしょうか。
○菊池委員
はい。
○岩村委員長
山本委員、どうぞ。
○山本委員
先ほどから若干の点について議論がございますので、繰り返しのような感じになってしまいますけれども、私なりの考えを申しますと、一つは、民間有識者の合議体の決定が尊重されるべきであるという点と、民間有識者からなる合議体が調査に実質的に関与して、そこを主導できるようにすべきだという点は、実質的にはまさにそのとおりであろうと思います。
こういう制度をつくる以上は、その制度の趣旨として当然そういうふうになるはずだろうと思いますので、その点はそうなのですが、あとは法技術的にどういうふうに条文に書けるかというところで、例えば尊重の点も、たしか行政不服審査法の改正議論の際に、なるべくそれを法文上明確にすべきだという議論をかなりしたのですけれども、それを法文上はっきりと書けないというようなことを言われましたので、そのあたりは法技術的にはさらに検討していただくということにならざるを得ないのかなと思います。
調査権限の点も、特に強制調査、義務づけるような調査になりますと、名前としては厚生労働大臣の名前でやらざるを得ないだろうと思いますので、法形式的には恐らくそうなるだろうと思います。
あとは、その中で民間有識者に重みを持たせるように法制上どこまで書けるかということで、書けないとしても、実質的にその点を十分確認しておくということが重要なのではないかと思います。
全部認容の場合は全部合議体まで上げなくていいのではないかという点は、確かに個人情報保護法もそうですし、行政不服審査法の改正案の中でも、第三者機関に上げる事案について、全部認容の場合は上げなくてよいということになっています。
特に行政不服審査法とか個人情報保護法の場合は、いろんな役所の関係の事案が全部集まってくるという状況があるので、第三者機関でそれは全部見切れないだろうということがあり、簡易迅速性という観点からいっても、そこまでやる必要は全くないだろうという考慮かと思います。
こうした制度が、一つ参考になるかとは思います。
ただ、逆に全部という御提案をされたのは、この場合は、民間の有識者が記録訂正だけをミッションとしていて、そこが今、どんな事案があるのか、現状どんな問題があるのかということを把握するためには、やはり全部の情報が上がったほうがいいだろうというような考慮で言われたのかなと思いますので、もしその点を担保するというのであれば、法的に認容事案まで全部合議体の議を経なくてはいけないようなことにはしないで、しかし、例えば報告を定期的にするとか、そういう形でやれば、合議体がどういう状態になっているかという全貌を把握できるので、そういう解決もあるのかなというふうに思いました。
○岩村委員長
ありがとうございます。
まだ御意見があるかもしれませんが、できれば不服申し立てのところについても御意見を伺えればと思います。
今日、資料では9ページと10ページに課題ということで論点をお示しいただいているところでありますが、今日お示しいただいている考え方ですと、社会保険審査官、審査会のルートでなくて、直接厚生労働大臣のほうに不服申し立てをするということではどうだろうかという趣旨でプランが書かれているということと、もう一つ、不服申し立てについて、さらに合議体の意見を聞くというのをかませるかということが論点としてあるのですけれども、これについてはいかがでしょうか。
御質問、御意見があれば、ぜひ伺っておきたいと思います。
では、大橋委員、お願いします。
○大橋委員
不服申し立てについて、厚労大臣に直接するのか、官・会の仕組みを経由するのかというのが一つ論点だったと思うのですが、前回までの会議でもちょっと申し上げさせていただきましたけれども、こちらは処分の内容に対する不服の仕組みとは別立ての仕組みとするのだとする、不服申し立てについて官・会を経由するというのはちょっと違うのかなという気がいたします。
もう一つ、訂正の仕組みと本来の官・会の不服申し立てルートというのは、並行して進む場合があり得るのかなと思うのですが、そうすると、審査官、審査会というのは、位置づけとしては、ある意味、処分の当事者的なものといえないこともない気がするのです。
標準報酬の決定とか、そういったものに関して。
そうすると、第三者性という意味では若干微妙な位置づけにもなってき得るのかなという気もしますので、第三者機関の諮問を経て厚労大臣が行ったものについて、もう一回厚労大臣にというのは、ケースとしてはそこまで多くないのではないかということも想定されますし、あえて官・会を経なくてもいいのかなという気がいたしております。
○岩村委員長
ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
では、山本委員、どうぞ。
○山本委員
私もつけ加えることはもうないのですけれども、今、御指摘がございましたし、9ページのところの※印にも書かれていますが、官・会が担当するのは、主には法律問題、法への当てはめにかかわってくる部分だろう。
それに対して、今回議論しているのは、まさに事実があったか、なかったかという話ですので、かなり性格が異なっているという観点から言えば、同じ仕組みをとる必要はないだろうと思いますし、特に事実確認ですので、現場で判断をしないといけない話で、それを例えば中央に集めてきて議論して、個別の事案についてその結論をひっくり返すというのは、恐らく余り考えられないだろうと思いますので、実際上の点からいっても、社会保険審査官とか審査会の仕組みに倣う必要はないのではないかと思います。
特に不服審査法の改正案の考え方などから言いましても、そもそも前置はなるべくやめていきましょうという話ですし、9ページの※印にもありますように、第三者機関が事前に関与していれば、さらに第三者機関を事後に関与させる必要はないという考え方をとっていますので、そういう不服審査法の改正案の考え方からいっても、それで構わないのではないかと思います。
○岩村委員長
ありがとうございます。
論点1について、ほかにいかがでございましょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、次に論点2のほうに移りたいと思います。
論点2は「年金個人情報の適正な管理のあり方について」ということになります。
これについても先ほど資料に基づいて事務局のほうから説明をいただいたところでございますので、これに関する御意見あるいは御質問があれば、お願いしたいと思います。
では、諸星委員、どうぞ。
○諸星委員
資料の11ページ「対応」の3つ目の○に「届出電子化といった利用者側で電子化された情報を作成し、日本年金機構側でその情報をそのまま利用する」と書いてあるのですが、今までの年金記録の関係もありますけれども、さらに入力することを避けるということなのですが、逆にここで疑問に思ったのは、そもそも事業主が出す内容が正しいのかどうかをどこで確認するのかというのをちょっとお尋ねしたかったのです。
○岩村委員長
私もその疑問はややあって、そもそもが間違っていると、間違って入力されていってしまうということになります。
多分受理の段階でのチェックという話なのだと思いますが。
では、年金機構さんのほうからお願いいたします。
○日本年金機構記録問題対策部長
これにつきましては、日本年金機構のホームページのほうは事業主からの届け出、「ねんきんネット」のほうは個人からの届け出について、電子申請という手段がない人であっても、なるべく届け出内容を電子化できないかということを考えています。
その中で、申請時に、エラーが出るところのチェックは最初させていただくということで、整合性のある届け出というところまではこれでできるのではないかと考えております。
ただ、虚偽の申請とか、そういうものまで見抜けるかどうかというのは、当然ながら届出の電子化の中では可能ではないと考えています。そこは届け出の内容についての帰責性といいますか、誰がその内容について責任を持つのか。
少なくとも日本年金機構でいつも問題になっている打ち込みの誤りというものは解消していくというレベルであるということであります。
○岩村委員長
ありがとうございます。
諸星委員、いかがしょうか。
○諸星委員
いろいろと事実関係といいますか、現場ではそういうのが見受けられますので、そこのあたりをどのようにされるかというのは、御検討いただければなと思っております。
○岩村委員長
そういうのがというのは。
○諸星委員
これは明らかに虚偽だろうというような届け出も中には見受けられますので。
実際算定などの届け出をするときに、例えばFDで出したときとかは、現場で必ず賃金台帳を確認されていますので、そういった方法があればなと思っております。
○岩村委員長
ありがとうございます。
では、年金機構さん、お願いします。
○日本年金機構記録問題対策部長
ここは基本的には人の手を介するという感じになりますので、電子化で全部解決するわけではなくて、その部分は職員が補っているという実態でございます。
○岩村委員長
ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
年金記録に直接関係はないのですが、たまたまさるところで経験した事例としては、使用者が届け出をそもそも出さないということがあると、後でそれが発覚して、保険料を全部さかのぼって取るとかそういうことが発生して、それが今度は被保険者の行動を非常にシュリンクさせるという効果を持つものですから、そういう意味で、この場合は届け出漏れとかそういったものが中心ですけれども、ぜひ事前のきちっとした適正な届け出の確保ということも大事な論点だと思いますので、その点も含めつつ実務のほうの改善というのを考えていっていただければと思います。
直接的に記録の届け出の話ではないのですが、実際問題としてはそういうことがありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
肝心なのは、事前に届け出漏れとか未届けとかというのが起きないというところが多分大事なのだと思います。
では、日本年金機構さん、お願いします。
○日本年金機構厚生年金保険部長
今、お話がありましたので、私どもの取り組みを紹介させていただきます。
ホームページとかで広報しているというのは、皆さん、御承知のことかと思います。
それ以外にも、例えば新しく法人が新設されれば、当然法務局に行って登記をするわけで、法務局さんに資料を置かせてもらったり、新しく新設されたところには法務局を通じてリーフレットを渡しているということがございます。
同じように登記情報を見まして、ここはどうも未加入だぞ、果たして適用事業所になるのかどうかということを考えなければいけないようなところには、私どもが加入勧奨に行かせていただいて制度の説明、加入の必要がある場合には、加入の必要がありますよという話をさせていただいているところでございます。
こういった努力を引き続きしていかなければいけないと思いますので、頑張ってまいりたいと思います。
○岩村委員長
どうぞよろしくお願いいたします。
では、首藤委員、どうぞ。
○首藤委員
何回目かの委員会でも申し上げたと思うのですけれども、今、まさにインターネットの時代でありまして、デジタル化の時代であることは十分承知してはいるのですが、年齢のこととか、100%パソコンを使える人ばかりではございませんで、「ねんきんネット」を拡充していかなければならないというのは十分わかっていますし、それがまさに王道だと思いますが、紙の「ねんきん定期便」も毎年来る。
そこで年金情報、自分の情報に気づく。
その気づきを与える効果はまだまだあると思っています。
今の対応の中に「ねんきん定期便」というのが一言も入っておりませんで、いつまでやるかというのは一つの議論だと思いますけれども、当分は並行して走らせないといけないと感じておりまして、何らかの形で「ねんきん定期便」の評価をしつつ、デュアルで走らせるみたいなところも残しておいていただければなと思っております。
意見でございます。
○岩村委員長
今の御意見について、年金機構のほうからコメント等ございますか。
では、よろしくお願いします。
○日本年金機構記録問題対策部長
現在でも年金記録照会という形、いろんなきっかけを持って窓口に来られる方が年間14万件ぐらいございますので、その中には「ねんきん定期便」というものを契機としてという方も大分おられると思います。
機構としても、被保険者の方、これを「お客様」と私どもは呼んでおりますが、コミュニケーションをとっていきたい。
そういう中で記録についても、御自身の記録が間違っているというものの発見の契機をなるべく広くとっていきたいと考えております。
○岩村委員長
どうぞよろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。
今、主として11ページを御議論いただいていたと思いますが、もう一つ、12ページからの「年金個人情報の目的外の利用・提供について」という問題も大変重要な問題なのですが、そこのところについての御意見あるいは御質問があればと思います。
では、山本委員、お願いします。
○山本委員
若干細かい問題になるのかもしれませんが、13ページの一番最後のところが結論かと思いますが、イメージとしてどんな感じになるのでしょうか。
つまり、法律にここに挙がっている「緊急性・利益性」等々の要件を一般的に書いておいて、例えばこういうもので省令で定めるものという感じにして、省令で具体的なものを挙げていくというイメージで考えてよろしいのでしょうか。
○岩村委員長
では、事業企画課長、お願いします。
○事業企画課長
今回の提供目的の話で出てきましたのは、ある程度細かく規定しなければ明確にならなくて、そこの部分で情報の提供というのが、ややもすれば漠とした一般的な規制では制約されてしまうという観点に立って御提案させていただいておりますので、ある程度細かい形で規定したいと思っております。
また、いろんな社会の状況の中でこういうものが必要になっているというのは、ある程度臨機応変な形で捉えていかないといけないという部分もございますので、具体的には法律でなく、下位法令で書いていくということを想定して、本日御議論させていただいているところでございます。
ただ、省令とか政令とか、いわゆる下位法令で書くといたしましても、そこで書くものの趣旨というのは明確にしないとよくありませんので、そういう意味で、山本委員から御指摘いただきましたように、こちらに書いているような観点を書いた上で、そういうものとして省令で定める場合とかいう形で書くことによって、まさしく省令で全く行政機関がフリーハンドに書けるのではなく、そこに限定をかけるという形での規定ぶりができないかという形で考えておるということでございます。
○岩村委員長
山本委員、いかがでしょうか。
○山本委員
私も、限定する必要があると同時に、新しい問題が出てきたときに対応できないといけないと思いますので、まさに今、言われたような方向でよろしいのではないかと思います。
○岩村委員長
ありがとうございます。
大橋委員、どうぞ。
○大橋委員
今の年金機構法38条の4号のところの話だと思うのですけれども、本人以外の者に提供することが「明らかに本人の利益になるとき」ということと、今、事務局が13ページの最後で挙げている3つの要素のうち、「公益性」というのはちょっと質が違う要素だと思うのです。
だから、「明らかに本人の利益になるとき」というものの具体化要素の一つとして「公益性」というのは出てこないと思うのです。
今、機構法38条についても若干手入れをする必要があるのではないかという流れで来ていると思いますので、今の条文だと、挙がっている3要素全てを包括するという雰囲気ではないので、法律自身の規定も文言をちょっと工夫する必要があるのかなという気がします。
その上で、省令なりのレベルでより具体的なことを書き込んでいくという方向がよろしいのではないかなと考えております。
○岩村委員長
今の点について、事務局のほうからございますか。
○事業企画課長
おっしゃっているとおりでございまして、今の日本年金機構法の38条の規定というのは、まさしく本人利益というのにかなり着目した形での書きぶりになっていると思っております。
前回も公益性だけで判断するというのはあり得るのかという御議論を御提示させていただいて、例えば民事訴訟法の関係についても御議論いただいたわけですが、あの場合は私的な関係、民民の関係でもあって、今の機構法の規定の趣旨からすると、ちょっとなじまないのかなというふうに我々の中では考えているというところでございまして、一方で、さまざまな情報提供の必要性が指摘されているところでございますので、本人の利益という部分を中心に置いて、どの程度まで許容できるのか、広げることができるのかという部分については、大橋委員からいただきました御指摘も踏まえて、ちょっと工夫が必要かなと考えているところでございます。
○岩村委員長
私の感じだと、「緊急性・利益性」というのは、どちらかというと情報提供の目的に係るもので、「公益性」というのは情報提供の相手方に係るものということと、最後のところは、もう一回必要性に戻ってしまうのですが、本人の同意が得られないということでもって、誰かが判断しなければいけない、そういうことが考慮要素として入るということかなと思っております。
ですから、公益性そのものが独立のものとして挙がってしまうと、御指摘のとおりで、本人の利益とどう結びつくかというのがよくわからなくなってしまうので、ここは本人の利益というのを判断する要素として、誰に提供するというのが本人の利益なのですかという、そこの観点から公益性というのを考慮するのかなというふうには思いますが、御指摘のとおり、少し条文そのものの手入れというか、そういったものも必要になるかなという気がいたします。
ですから、前回までの議論の中で、例えば認知症の高齢者の対応であるとか災害時の緊急時というのは余り問題にならなくて、先ほど課長も触れられたように、裁判所の調査嘱託による情報提供というのを入れるか、入れないかというのが一番大きな問題で、それが「公益性」ということと絡んで本人の利益のためかどうかということを考える、そういうことかと思います。
できれば調査嘱託についての皆様の御感触をいただければと思います。
前回の鈴木委員のお話だと、ありとあらゆるものがありという感じではあったのです。
個人的には、これは外してもいいのではないかという気はしているのです。
山本委員、どうぞ。
○山本委員
そんなに実態を存じているわけではございませんけれども、これだけで提供ができるということになると、際限なくとは言いませんが、かなり無条件に広がってしまう感じがするので、それを独立に要件にするのはどうかなと思います。
○岩村委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
情報の利用の観点について、ほかに御意見、御質問などございますでしょうか。
諸星委員、どうぞ。
○諸星委員
先ほど委員長もおっしゃっていたのですけれども、13ページの本人同意のところで、意識不明とか自己認識が困難ということで、誰かがというのは、これから孤立社会を迎える傾向がある中で、家族がいない場合は行政が判断するのか、そういったところをどういうふうにされるというイメージだけちょっと教えていただければと思います。
○岩村委員長
事務局、いかがでしょうか。
その辺、具体的にイメージをお持ちであるか。
お願いいたします。
○事務局
13ページで挙げている3要素については、一つ一つの照会について、そのときに判断をしていくというものではなくて、この3要素に合致するであろうことが想定される他制度からの照会というものをあらかじめ明確に規定しておいてはどうかということですので、現場で例えば本人同意の困難性を一つ一つ証明、確認していくということになると、それはそれで現実うまく対応できない点を持っておりますので、ここで申し上げているのは、この3要素に合致すると想定されるであろうものを技術的には法令で規定しておいてはどうかという趣旨でございます。
○岩村委員長
ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
論点2については大体このくらいでよろしゅうございましょうか。
最後、もう一度論点1と論点2を通して御意見、御質問、言い忘れたとか、今になって気がついたということがあればお願いします。
よろしゅうございましょうか。
ありがとうございます。
それでは、予定していた時刻より早いのですけれども、今日御議論いただくことを考えておりました論点について、おおむね御意見あるいは御質問等をいただいて議論ができたと思っております。
そうしますと、次回のこの委員会の日程等について、事務局のほうから御連絡等ありますでしょうか。
○事業企画課長
本日も熱心に御議論いただき、ありがとうございました。
本日、いろいろ御指摘等をいただいたこともありますので、事務局のほうでまたいろいろ勉強なり研究をさせていただきたいと思います。
そういう意味で、本委員会の次回の開催内容につきましては、追って正式に御連絡させていただきたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
○岩村委員長
ありがとうございます。
それでは、本日の審議はこれで終了とさせていただきたいと思います。
お忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
では、閉会といたします。
※(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)
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