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2013年12月18日 第2回社会保障審議会企業年金部会議事録

年金局

○日時

平成25年12月18日(水)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館17階専用第18~20会議室


○出席者

山崎部会長 井戸委員 小林委員 白波瀬委員
鈴木委員 高崎委員 冨高委員 平川委員
森戸委員 山本委員

○議題

(1)厚生年金基金制度改正の施行に向けた検討内容について
(2)その他

○議事

○山崎部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第2回 社会保障審議会企業年金部会を開催いたします。皆様、お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。

 まず、第1回の企業年金部会を御欠席された委員で本日御出席いただいている委員を御紹介させていただきます。所属と役職はお手元の部会委員名簿に記載されておりますので、お名前のみ五十音順に御紹介させていただきます。

 井戸委員でございます。

 白波瀬委員でいらっしゃいます。

山本委員でいらっしゃいます。

また、本日、臼杵委員からは御欠席の連絡をいただいております。

それでは、議事に入らせていただきます。カメラの方は御退室をお願いします。

資料の説明の前に、まず事務局から資料の確認をお願いいたします。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

それでは、資料の確認をさせていただきます。本日配付の資料ですが、

資料1     社会保障審議会企業年金部会委員名簿

資料2     厚生年金基金制度改正の施行に向けた検討内容

資料3     各厚生年金基金向けに発出する文書の骨格(案)

参考資料1   政省令等の改正案の概要

参考資料2   厚生年金基金に関する基礎資料

参考資料3   厚生年金基金の財政状況等

参考資料4   平成26年度与党税制改正大綱(抜粋)

参考資料5   社会保障審議会企業年金部会運営規則

を配付させていただいております。

資料の不備等ございましたら御指摘いただければと存じますが、いかがでございましょうか。なしということでよろしゅうございますか。

 

○山崎部会長

はい。ありがとうございます。

それでは、本日は、前回に引き続き「厚生年金基金制度改正の施行に向けた検討内容」を主な議題とします。

それでは、事務局より資料の説明をお願いいたします。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 それでは、お手元の資料2、資料3を中心に「厚生年金基金制度改正の施行に向けた検討内容」について御説明をさせていただきます。

資料2につきましては、前回1029日に開催いたしました第1回企業年金部会の資料4で、パブリックコメントに供するための主な検討状況についてごらんをいただきましたが、そちらに11月の上旬から実施をいたしましたパブリックコメントで寄せられた主な御意見、それに対して対応する際の考え方等を記載いたしまして、いわば前回の資料4に加筆をするような形でこの資料2を御用意させていただいております。順次、御説明をさせていただきます。

おめくりいただきまして、最初のページに目次がございます。この構成は前回の構成と変わっておりませんで、「1.法律の概要」、「2.特例解散等」、「3.財政運営」、「4.上乗せ部分の支援策」、「5.解散等に伴う手続き」、この構成は変わっておりません。そのうち「1.法律の概要」は成立をしておりますので、変更はございませんで、以下2.3.4.5.につきまして、寄せられた御意見、対応方針、それを受けて検討内容に加わっていくものというような体裁でこれから御説明も申し上げたいと思います。

それでは、1.を飛ばしまして、「2.特例解散等」、12ページ以降でございます。ごらんください。

この「特例解散等」の部分につきましては、13ページ以降で個別の記載がございますが、この内容でパブリックコメントに供しているわけですが、こういった部分についてはしばらく変更のないページが続いてまいります。少し飛びまして21ページをごらんいただけますでしょうか。

21ページに「納付計画提出の特例」についてという資料を追加させていただいております。これはまた後ほどごらんいただきますが、今回の改正法の中で、通常解散に対して例外的な取扱いを認めて5年間の期間内に解散を促進していくための特例措置が盛り込まれておりまして、その中の骨子の1つとして、いわゆる連帯債務外しというものが盛り込まれているところでございます。その取扱いは21ページの資料の左半分に図示をしているところですが、これまでの解散のやり方は、基金の皆様が国に対して全額不足金を返していただく。不足金の負担に対して設立事業主の方々が連帯をして基金に納めていただく、そういう形態でございました。ただ、この形態が一たん解散の志を決めた後で、事業主の倒産等の後で出てくる事象によって負担額が変わることが非常に将来の見通しを立てにくい、それが解散に踏み切りにくい1つの理由という御指摘がありまして、今回の改正法の中で、左側のような新方式、つまり基金と全事業主が納付計画を提出し、それを国でお認めをした上で連帯債務が外れる。事業主は国と直接の法的な関係を結び納付をしていただくというような新しい仕組みが導入をされるということが改正法の中で定められたということでございます。

今回のパブリックコメントの中で、こうした取扱いについて、基本的な方向性はよろしいのだと思いますが、ごく一部の事業主の方から、この計画の提出がいただけないケースがあり得るのではないか。その場合に左側の仕組みが一切使えないことになってしまうとせっかく新ルールをつくった実質的な意味が失われるのではないか。原則連帯外し、原則国と事業主というところをいじらずに、一部の方々について基金と一緒に納めていただくと、いわばハイブリッド方式のようなものが認められないのかというような趣旨の御意見をいただいたところでございます。それに対応する形で新方式のよさを生かしながら若干の事業主の方が御理解いただけないために、全く使えないことがないようにするということで、右側に書いてあるような特例措置を設けてはどうかということを考えているところでございます。

次の22ページをごらんください。「清算型基金」の部分でございます。

この規定は、前回の部会でも御説明申し上げましたように、いわば自主解散に向けた歩みを進めていただいている中で、どうしてもあと一歩踏み出せないという場合、同意の要件に若干足りないとか、そういう場合の伝家の宝刀というような位置づけで設けられた条文だったわけなのですが、これのほうが手続が楽なのではないかということで、何もしないで清算型の指定を待つというようなケースもあるのではないかという御意見がございました。

それにつきまして、前回の部会でも委員の先生方からお話をいただきましたが、もう少し具体的に清算型の指定を受けた場合にどうなるのか、自主解散の場合どうなるのか、制度が想定していないような力学が働かないようにすべきではないかというような御指摘をいただいたところでございます。

この資料につきましては、この四角の枠囲いの中のアンダーラインのところを前回の資料に加筆をしております。3つ目の「□」以降ですが、清算型基金の指定要件を満たす基金、これは財政状況等々から見て解散の道を歩むことが適切だと思われる基金なわけですが、こういう基金の方々にも、ぜひ今後の方向性についてさまざま選択肢を加えた上で適切に検討を進めていただきたいということなわけですが、その場合には取り得る選択肢が具体的に基金の持ち主である事業主・加入員・受給者の方々に提示がされ、今後の方向性について検討をいただくということが制度が想定をしているものでございます。仮にそうしたアクションがとられていない場合には、まずは指導なりでお願いをすることにはなりますが、なかなかそういった取組みが進まない場合には、厚生年金保険法に定められた法的な権限、報告徴収、改善命令等を用いまして、そういったアクションがとられるように法的な力も使って促していくことも選択肢ではないかということでございます。

その上で、清算型に指定されたあかつきには、なぜ指定されるに至ったのかといったこと、それに至った財産状況等々についても御説明をいただき、必要に応じて、ほかの厚生年金保険法の条文で提示をされている選択肢も念頭に置きながら対応することも考えられるのではないか。こういったことがしないで済むのにこしたことがないわけですが、そういうことも考えられるのではないか。そういったことも全部勘案した上で指定をするのが適切なのかどうか、その前提としての手続が踏まれているのかどうか等々を勘案した上で、清算型については指定をすることにしてはどうかということで、追記をさせていただいたのがこの資料でございます。

 少し飛びまして、29ページにこうした部分について寄せられた主な御意見を御紹介をさせていただきます。

前回の部会でも申し上げましたとおり、特例解散等の部分は、法律がまだ国会で審議をされている途上においても、厚生年金の本体の利益といいますか、リスクといいますか、そういったものと、基金を解散に向けて歩んでいただくという2つの要請をどの点で調和させるのか、非常にデリケートな作業でございまして、こういった部分については、両方の要請を満たす均衡点を探るような作業だったわけなのですけれども、お示しをしました特例解散等についての考え方自体について、根本的な御意見は非常に少なかったというのが今回のパブリックコメントで寄せられた意見の状況ということでございます。

 限られた数の中で、主に寄せられたものを主体に置きますと、まず1としまして、今回の基金制度の見直しについて、基金が果たしてきた役割、改正に至る経過、なぜこの制度改正をしなければいけなかったのか。今後の企業年金等制度への取組み方針について、国の考え方を各基金の理事長宛に文書で提示をしてほしいというような御要請がございました。

この話は、確かに基金の方々に理解を深めていただくという意味でもそうですし、重ね重ね申し上げますとおり、この基金の本当の持ち主は事業主であり、加入員であり、受給者であり、いわば労使になりますので、その方々にきちんとお伝えをするという意味合いもあろうかと思いますので、こういった問題提起は貴重なお話として受けとめさせていただいて、また別の資料、資料3で御用意しておりますが、そこを丁寧にお知らせする文書を発出する方向で考えたいと思っております。

2番目の話、これが先ほど資料でごらんをいただいた特例解散納付計画の特例について、若干の事業主の方から、どうしても紙が出ない場合に全部ストップしてしまうことを避けるような手だてを考えてほしいということでございまして、先ほどごらんいただいたようなハイブリッド方式も考えてもいいのではないかということでございます。

また、3番目にありますのが、少し技術的な論点になりますが、解散方針を解散に向けて歩み出すということを決めておられる基金の方々が、解散方針をまず決議をして、国に解散に向けた財政計画であり、解散計画を提出して、着実に歩み出している基金の方がおられて、この方々が実際に解散を認可されるまでに若干の日にち、数カ月とかかかりますが、この間に厚年本体の運用が上のほうに動いて、結果的に解散に向けて資産をキャッシュにしている過程で不足金の金額が変動してしまうことが起こりますと、解散に向けた歩みを進める上で非常に困ったことになるのではないかということで、方針を定めて着実な歩みを進められている方々について、その歩みをとめないために、この部分の利回りについては国債利回りで固定をすることでもよろしいのではないかという御提案でございました。この話は、今回の特例解散、厚生年金本体と基金と両者のバランスをとらなければいけないわけですが、その調和を図る意味で貴重な御提案だと思いますので、これはお受けをしてはどうかと考えております。

次の30ページにまいりまして、4番で清算型になるとどうなるのかということを詳細を示してほしいというお話もございましたので、先ほどごらんいただきましたような、つまり清算型というのはかなりそれに至る運営のあり方等々について問われることを前提にした仕組みということをお示しすること。それから、自主解散の場合には、たとえ代行割れしていても、上乗せ再建という選択肢が常に手元にはある。それを選んでいただくかどうかは労使の御判断ですが、ということもありますので、そういったこともお話をしていくことがこの両者の役割分担を発揮させていくことにつながるのではないかということでございます。

以上が大体特例解散等についての状況でございまして、繰り返しますが、この部分についてはお示しをした方針についての大きな御異論はなかったと理解をしております。

次の「3.財政運営」の関係でございますが、少しまいりまして、34ページの資料をごらんください。

この財政運営は5年間の特例期間における財政運営と存続基準が法定をされ、厳格なルールが適用される5年後以降の財政運営のルールという2つに大別をされますが、この34ページの資料は、そのうちの前者、つまり5年間の財政運営についての資料でございます。特に34ページの資料は、5年間の財政運営のうち、次に別の仕組みに移ると。解散する、代行返上することを決められた方々がつくっていただく解散計画や代行返上計画についてどういう利回り等々の前提を置いたらいいのかという点について、以下の付記をした資料でございます。

こうした点につきましては、現場の方々からさまざまな御質問なり御意見をいただいておりまして、要するにどういう利回りを設定していいのかという考え方を示したほうがいいのではないか、こういう話をいただきました。また、この利回りだけが現実の数字を離れた楽観的な数字で置かれますと、かえって不安定さを増す要素もございますので、34ページの真ん中の吹き出しにありますように、資産運用利回りの前提として、客観的な裏打ちがある幾つかの指標を御参考までにお示しをしたいと思っていまして、1つはその基金の過去の運用実績、2番が公的年金の運用利回り、3番が国債をベースに置いておりますが、最低積立基準額評価上の予定利回り等々を用いる、あるいはこの範囲内で設定をすることでいかがかということでございます。

また、右側の下のところにありますように、この計画を立てる上で、この計画期間内に積立不足が拡大をするという話になりますと、冒頭申し上げた厚生年金本体との役割分担のところでも課題が出てまいりますので、右側の下の吹き出しにございますように、積立水準を下回らないか、代行割れの場合は代行割れ額が拡大をしないという要請というのでも満たせることにしてはどうかということがここに書かれていることでございます。

次の35ページにまいりますと、5年間の間に法定の存続基準、責任準備金1.5倍というところまで、だんだん基準が厳しくなっていくわけですが、ここに向けて上がっていく途中で、一時的に運用の不調等々によりこの基準を下回ってしまうケースが想定をされるわけですが、そのときに、いつまでに回復すればいいのかということをはっきりすべきだという話がございましたし、5年後以降もその話がございました。

35ページに書いてありますのは、要はだんだん積立水準を引き上げていただけないと、存続基準を満たすようにならないので、このラインは置かせていただきたいということですが、5年間は言ってみれば上がっていく途中ということもあるので、不足金について翌年度末までにということにしますと厳しすぎる面もあろうかと思いますし、時間的な余裕も限られておりますので、35ページの下の四角にございますように、純資産が最低積立基準額を下回った場合には、翌々年度の競り上がった階段に到達をするというようなやり方でもいいのではないか。一段スキップして、翌々年度の上がった階段まで上がっていただくということでもよろしいのではないかということをここに書かせていただいているところでございます。

それに対しまして、飛ばしまして37ページにまいります。

5年経過後の話につきましては、これは存続要件も法定をされ、この要件に満たさない場合には、法律によって解散命令を行使することがあるということが、法が想定をしていることでございますので、37ページの右下のところにございますが、この基準を満たさない場合には、翌年度末までに回復をしていただくことにしてはどうか。つまり5年経過後は翌年度末まで、5年の範囲内であれば翌々年度末までに上がった階段まで上がっていただくというような回復のルールとしてはどうかということをここに書かせていただいているところでございます。

ざっとそんな感じでございますが、飛ばしまして、43ページにまいりまして、この財政運営等についてお寄せいただいた主なパブリックコメントについて御紹介を申し上げたいと思います。

ここの部分はかなりの数の御意見がお寄せいただいていますが、その中で当方で少し選ばせていただいて十数個書かせていただいております。

まず1番、これはこれまでの運営努力を勘案して、最低責任準備金の減額をしてほしいという御意見でございますが、この部分は法律の段階でも議論は整理をされていることになりますので、そこは難しいということでございます。

一方で、2番にありますように、別の道を選ぶ、代行返上します、解散しますということをはっきり表示をしていただけるならば、ここについては年次の目標の積立水準に向けた計画的な運営ということでよろしいのではないかということでございます。

それから、4番、5番、これは少しテーマが共通しておりますが、解散に向けて検討を進めている過程で、来年の4月にちょうど掛金引き上げの時期に当たる基金の方からの御意見で、そういう時期に差しかかるのですが、解散計画を出すのが年度内にはなかなか難しいので、次の代議員会まで猶予、仮の提出ということでいかがというようなお話が4番、5番でございます。3月末を1日でもまたいだらいけないというところまで申し上げませんが、これはどちらの道を歩むのかということが適用される財政ルールを切りかえるということになりますので、原則は適用開始までに整えていただくことが原則だろうと思いますので、この点については御理解をいただきたいところでございます。

それから、6番、財政運営ルールの中で、母体企業の経営状況等々についてもいただきたいということで考えておりますが、中小企業の場合には四半期ごとの決算等々については会計ルール上、まだ求められておりませんので、そういった点については配慮が必要だろうという御指摘でございまして、その点についてはごもっともな御指摘だと受けとめまして、その点については一定の配慮をする方向で考えたいということでございます。

次のページにまいりまして、8番、モニタリングの関係ですが、これも別の方針を定めた方々には要らないのではないかという話ですが、これはモニタリングは再発防止、基金の継続前提での新ルールですので、解散方針を議決をされている場合には不要ということにしてはどうかということでございます。

飛びまして10番、これが先ほどの資料と関係をいたしますが、5年以内の段階的に積立水準が上がっていく過程で、不足額が即ということにならないようにしてほしいという話でございまして、これは先ほど資料でごらんいただきましたように、翌々年度末までにその翌々年度末の上がった階段まで上がっていただくということであればよろしいのではないかと考えますし、12番にございますが、代行割れをしている基金の方々については、代行割れ額が拡大をしない範囲であれば合理的と認められるのではないかということでございます。

また、次の45ページにまいりまして、13番、積立水準の検証を年度末ワンポイントではなくて、周辺の数カ月でもいいのではないか、こういうお話もいただいております。財政の検証は基準時点を決めませんと、なかなか難しいと思いますので、原則年度末だと思いますが、別途毎月のデータもいただきますので、その話も含めて財政運営ということでいかがということでございます。

また、14番、15番は、5年後以降の存続基準の関係でございますが、これらの点につきましては、5年後以降は存続基準法定で解散命令あり得べしという厳格なルールが適用されるのが改正法の考え方ですので、この点については、先ほどごらんいただいたような方針で考えたいということでございます。

また、16番、業務委託先に所属しない年金数理人の関係についても、費用対効果でどうなのかという話もいただいておりますが、これも再発防止の一環ということで、この点については御理解をいただきたいと考えております。

以上が財政運営等でございまして、続きまして46ページ以降の「4.上乗せ部分の支援策」の関係に移ります。

この部分については非常に多くの御意見をお寄せいただきました。御関心がこの部分に具体的な御質問なり御意見として多くお寄せいただいていることは私どもとしても非常にありがたいことだと思っております。また後ほどごらんいただきます資料でもそうですが、上乗せ部分の重要性については、私どもも機会あるごとにお話をしていきたいと思いますし、そのためにも労使の方々に心を決めていただくような選択肢がきちんと提供されるような環境を整えていくように私たちも頑張りたいと思っています。

この関係で、資料を追加しておりますが、少し飛びまして63ページをごらんください。

今回この部分にかなり多くの御意見をお寄せいただいたのですが、その多くの御意見の中の相当部分は、この手続の関係でございました。前回の資料はどちらかというと、その上乗せを再建する場合の給付や負担の設計の仕方についての資料を中心にごらんいただいたのですが、この手続についての意見が多く寄せられまして、様子を見ますと、今、基金をつくられている事業主の方々が全員同意をすればそのまま別の仕組みに移行することが議論可能になるわけですが、そこが全員ではない。かなりの方々は同意をいただけるけれども、一部の方々は区切りをつけたい、あるいは行き先について意見が分かれるというようなケースも想定をされているようです。

そういった場合にどういう手続が取り得るのか。今回の改正法の中では、一たん解散をして残余財産の分配の中でそれぞれ行き先を決めていただくという新しい仕組みを導入しておりますが、これは幾つかの進路に御希望が分かれている場合にはその仕組みが比較的合理的だと思うのですが、大半の方が一定の心を決めておられる場合に全部説かないといけないのかという話もそれはそれでおありなのかと考えます。

この63ページ以降で新しい資料を御用意しまして、そういった場合、一部の方が別の道、大半の方はこちらという場合に、現行法体系の中でも認められているやり方がございますので、それをお使いいただくことも選択肢かと考えまして、この資料を御用意しています。63ページにありますが、4が先ほど申し上げた改正法で盛り込んだ解散残余財産分配パターンです。これですと中退協に行ったり、DB(確定給付企業年金)に行ったり、DC(企業型確定拠出年金)に行ったり、企年連に行ったり、いろんな選び方ができますので、御意向が分かれている場合にはこれがふさわしいと思いますが、それ以外に1~3、任意脱退のケース、権利義務移転、基金分割という3つの方法が現行の法体系の中でも認められておりますので、そういったものについてもごらんいただけたらということで資料を御用意しております。

次の64ページにまいりまして、この辺はかなりテクニカルな条文になりますが、一部の事業所の方が任意脱退をされるという形でも、別の道を選んでいただくことが可能な現行の法制度で認められている仕組みでございます。ただ、この場合には、「1任意脱退」というところの右側の網かけしてあるところにございますが、所定の手続がございますほか、ほかの事業主の方々の拠出水準に影響が出る場合、あるいは積立不足がある場合については任意脱退される場合に抜ける事業主の方々にいっときの負担が出るという話がございますので、その部分がこの仕組みが場合によっては使いにくいことが生じる1つの要因ということでございます。

次の65ページは、このバリエーションでございまして、任意脱退した事業主の方が脱退一時金を別の仕組みに持っていくことも可能な仕組みに現行制度上もなっております。

それから、66ページが「権利義務移転」でございまして、先ほどの任意脱退は事業所ごと抜けるというやり方ですが、66ページの権利義務移転はいわば同意がとれたケースだけ別の仕組みのほうに移っていくというやり方でして、これですと同意した方だけ移るということになる都合上、異論は出にくいとは思いますが、逆に言うとある事業所の方にとっては2つの仕組みをやらなければいけないという話にはなりますし、加入員の方々も、お隣の方は別の仕組みで、私はこちらでという方が出やすいという仕組みになろうかと思います。

次の67ページが「基金分割」でございます。これは現行制度上も認められている仕組みでございまして、厚生年金基金をつくっていらっしゃる事業所の方々の中で、2つの基金に分けて、その後でそれぞれの基金で志を同じくされている方々で道を選んでいただくというやり方でございます。これは現行法でも認められておりますし、その要件等々も法定をされておりますので、透明性は確保されているということだろうと思います。

この手続を使う上で1つ課題になりますのが、この基金分割の現在のルールは、分かれた後の基金も存続をするという前提ですので、余り小さな基金ですと不安定さを増すので、加入員要件が定められておりまして、経過措置も含めて最低500人という加入員を満たすことが、分かれた後の基金について適用されるルールということになっております。ただ、今回のように分かれた後で解散をしますというような基金、いわば継続はしないということになりますので、その場合には、今申し上げた人数要件は分かれた後で、お店を畳みますということがはっきりしているのであれば、その要件は弾力的に考えてもいいのだろうと思いますので、この人数要件については緩和をする方向で調整をしたいと思っております。

それから、68ページにございますが、事業所ごとにさまざま選択肢があって、それを尊重しようということでありますれば、この解散をして残余財産を分配して事業所ごとに決めていただくというやり方にも合理性があるということでございまして、上乗せ再建の際の給付設計についてもいろいろな選び方があるのと同様に、それに至る手続についても、今、ごらんいただきましたような幾つかの手続の中から、その基金の皆様、あるいは基金を構成をしている基金の持ち主である労使、事業主・加入員・加入者・受給者の方々のお気持ちに沿うものを選んでいただくということでお考えいただいてもよろしいのではないかということで、この資料を御用意しているところでございます。

なお、この部分についてお寄せいただいた御意見は75ページ以降でまとめておりますので簡単に御紹介を申し上げます。

この部分は多く寄せられておりますが、1番の部分は、先ほど御紹介したものと同じでございます。

2番、基金分割の場合の人数要件のお話がございますが、これは先ほど御説明しましたとおり、別の道を選ぶことが定まっているのであれば、現行の人数要件を杓子定規に適用する合理性も余りないので、ここは緩和をすることで考えてはどうか。

また、3番ですが、非継続基準の取扱いについての御質問がございます。この点につきましては、最低保全給付の取扱いについてもまだはっきりとお示しをしておりませんでしたので、現行でも一定認められているルールを緩和して右側に記載をしたような措置も認めてはどうかということでございます。

それから4番、これは確定給付企業年金に移行した後の財政検証についての配慮を求める御意見でございます。これはこれまでの措置の中で一定の配慮がなされていると考えております。

次の76ページの5番でございます。確定給付企業年金では掛金の滞納がある場合の滞納処分等々が認められておりません。そのこととの関係で、掛金の未納期間や脱退時の一括拠出の未納がある場合に給付制限が可能となるような規約が、フォローして整えたら認めていただきたいという御意見をいただいております。これは規約の内容にもよりますし、合理的なものと言えるかどうかという判断もありますので、これは個別によく整理をさせていただいた上で対応を考えたい。

それから、6番、7番は手続的なお話でございます。これは既存のラインの延長線上の話ですので、この部分については緩和する方向で考えたいと思います。

次の77ページ、10番でございます。これが先ほどごらんをいただいた手続的なやり方を選べるようにと、特に全事業主が同意をしない場合の選び方について幾つかのやり方ができるようにというお話でございます。特に解散しかないのか、こういう話でございますが、先ほどごらんいただきましたように、解散をとる方法もあり、別の基金分割や任意脱退や権利義務移転というやり方もあるので、そのやり方の中で選んでいただけるようにということで考えておりますし、繰り返しになりますが、人数要件については、心を決めていただけるなら弾力的に考えてもいいのではないかということでございます。

11番、12番、13番のところは、基金の運営を説くときのやり方についての細目についてのお尋ねでございますが、この部分については、制度の切りかえと併せてよく御相談をいただきたいということで考えております。

78ページにまいります。15番をごらんいただけますでしょうか。今回は「上乗せ再建支援」ということで、ほかの仕組みに移るときの移るワンポイントでさまざまな弾力化の措置を予定しておりますが、15番のお問い合わせは、移行時ではなくて、移行して運営が始まった後の「△」が立ってしまったときの取扱いについても基準の緩和をと、こういうお尋ねなり御意見でございますが、移行した後の運営はできるだけ確実に積立金が確保され、年金原資がきちんと確保されて、裏打ちを持った形で年金が加入者の方々・受給者の方々に確保されていくことが重要だと思いますので、移行時のワンポイントの弾力化は移行を支援するために行いたいと思いますが、この部分を余り緩和してしまうと、また行った先でトラブルが起こる可能性もございますので、この部分については余りゆるゆるにするということは合理的でないのではないかと考えております。

その次のページにまいりまして、19番でございます。これは複数事業主の場合は確保が大変なので、少し先の話になりますが、確定給付企業年金に移った後で、解散した後の不足金の一括拠出の要件についても考えてもいいのではないか、こういうような御意見でございます。ただ、ここも積立金の水準が裏打ちにあってのこの仕組みでございますので、これは余り緩和をしますと、どこに影響が出るのかということもよく考えた上での対応が必要だろうと思います。

それから、下の2123番までは制度論でございます。21番は受給者の意向をもっと強く尊重すべきではないかという御意見。22番は一連のお話の中で、受託者、労使のお金を預かっている方の責任がまだ弱いのではないか、そこをもっと強化すべきではないかという御意見。23番は支払保証制度の関係でございます。特に22番、23番につきましては制度論というような側面もございます。厚生年金基金のお話について一定の方向性が見いだせましたら制度論も行いたいと思っておりますので、そういった中でもこういった点については御議論に供していきたいと思っています。

続きまして「5.解散等に伴う手続き」、80ページ以降でございます。

この部分についてはかなり多くの意見をいただいているところでございます。若干資料も追加しておりますのでごらんいただければと思いますが、少し飛びまして83ページをごらんいただけますでしょうか。これが今回の特例措置の適用しながら解散の手続を踏んでいく場合の模式図でございまして、この赤の部分が今回追記したものでございます。つまり特例措置の申請をしながら、同時に解散の手続を進め、第三者委員会の承認を得て納付計画の裏打ちをもって納めていただくという流れでございますし、その裏打ちとしては、この図の真ん中のところにありますが、財産目録が確定をしてから納付が具体的に始まる、そういう手続でございます。

いろいろ御質問なり御意見をいただいていますのは、こういった中で、1つは、これまで基金として運営している中で生じている未納掛金をどうするのか。これはできれば国で引き取ってくれないかという話がございます。これは国で引き取りますと厚生年金の側にリスクが回ってしまうので、それはいかがかと思いますし、その部分については財産目録を確定させるまでの間に基金で確定をしていただいて、財産目録を確定していただくことが基本だろうと思っておりますが、実は基金の方々の中には長期にわたる裁判を抱えていらっしゃるケースですとか、償還等々について一定の年限がかかる資産をお持ちのケースもおありです。なので、財産目録を確定させて納付を始めていただくことが原則なのですが、そのような長期にわたる期間をかかるようケースについては、これは選択肢として、まずは一度、そういった資産について保守的に見積もった上で、国に対して納付を始めていただいた上で、基金を清算法人として残して、その法人としてプラスアルファの収入が得られればそれを分配するというやり方も認めてもよいのではないかということで考えておりまして、ここも選択可能というやり方にすることも1つの選択肢ではないかと考えております。

それから、少し先にまいりまして、この部分についてお寄せいただいた主な御意見を御紹介いたしますと、94ページ、95ページでございます。

94ページの1番にありますのが、これが非常に多く寄せられましたが、解散に当たっての記録整備について、できるだけ合理的な期間で合理的なやり方にしてほしいという御意見でございます。この記録の整備は、解散しますと、その後で厚生年金の代行部分も含めた支給義務が厚生年金に移りまして、いわばその支給義務が移ることと表、裏でお金がやりとりされるわけですが、その金額を算定する上での根拠になりますので、ここを余りいいかげんにしてしまうとどちらかに損得が出ますので、余りいいかげんにすることはできませんが、それでも一定の制度のところまで高まった段階で手続が進むようにするやり方もあるのでないか、そういう御意見でございます。

この部分につきましては、私どもとしても、関係機関と一緒にこの部分ができるだけ合理的な期間で、合理的に行われるようにということは検討を進めてまいりますし、特に全体の手続を行う上で必要となる仮完了という節目がありますが、この部分についても一定の合理化をしてもいいのではないかということで、そういった点については検討させていただきたいと思っています。

それから、3番は先ほど御紹介しました滞納掛金のお話です。これは国でそのままお引き取りするのはなかなか法的な裏打ちもないので難しいということでございまして、基本は財産目録の確定までに整えていただくということではないかと思っています。

4番、5番は手続の関係ですが、手続とはいえ、非常に大事な手続でございますので、今のところは現状どおりと考えております。

それから、95ページの7番でございます。基金職員の方々の雇用のお話です。この部分についてはかなり多くの御意見をパブリックコメントの中で私どものほうにもお寄せをいただいております。御意見の中では、同じ年金の仕事ということで日本年金機構に就職できるようにしてほしいという御意見を多くいただいております。この部分につきましては、日本年金機構という組織の成り立ちの話もありますので、透明性の確保という話が出てまいりますのと、前回も出ておりましたが、この基金の今後を占う上で、上乗せ年金の再建支援というところが非常に重要なポイントでございますが、前回の部会でも御意見出ておりましたように、この部分は複雑な作業でして非常に手間もかかり、関係者も多うございます。なので、こういった部分について御尽力いただけるのは、実は基金の今の職員の方々しかいらっしゃらないのが現状です。まずはそういったところにお力をいただくことが、それはひいては労使、関係者の方々の期待も大きいところだと思いますので、まずはそのような形で、こちらの対応(案)は書かせていただいているところでございます。

それから、8番、9番、物納の関係です。現在物納は国内株式、国内債券でインデックス型でインデックスの指標に忠実に連動するもののみという要件を課した上で一定の範囲で認められております。これを例えば換金しにくい、あるいは時価評価しにくい資産にも拡大すべきではないか、そのほか要件を緩めるべきではないかという御意見がございます。

この部分につきましては、現行認められている範囲で門戸が開かれておりますし、この部分については、引き取った後の厚生年金側で負うことになるリスクというものにも一定配慮が必要な点でございますので、こちらの対応(案)については、今ごらんいただいているような内容でとりあえずは御用意させていただいているということでございます。

以上が資料2でございます。

続きまして、資料3ほかを若干お時間をいただいて御説明をさせていただきます。

資料3でございます。先ほどの主な御意見でもごらんいただきましたように、基金向け、基金の理事長宛に今回の改正の趣旨等々について記した書面の発出をというお求めが以前からございますし、今回のパブリックコメントでもいただいたところです。

このお話については、基金の方々にという意味でもそうかもしれませんし、基金の持ち主である労使、事業主・加入員・受給者の方々にお伝えをするという意味合いでもそういった文書をお出しをすることには意味があるだろうと思っておりまして、きょうはその骨格を御用意しましたので、それを皆様にごらんいただいて御助言、御意見をいただきたいということでございます。

まず「制度改正の背景と必要性」でございます。これは代行割れという話が非常に大きくクローズアップされたり、AIJ事件が注目をされたりということでございましたが、その前提というか、背景は非常に構造的な変化と私どもは考えております。つまり厚生年金基金制度ができた昭和40年代と比べて、産業構造も大きく変化をしておりますし、運用の環境もグローバル化する中で大きく変化をしておりますし、この間、厚生年金基金として残っている基金の成熟度というものは、これは基金ごとにばらつきがありますのでいちがいには言えませんが、全体としては成熟度が非常に高まっていて、一たんロスが出たときにリカバーをするだけの体力というものがかなり限られてきているという面はあるのだろう。代行割れがなかなかなくならないという状況も、こういった背景を反映したものと考えております。

その中で、この下にありますように、代行部分と上乗せ部分を一体的に給付をする仕組みを限られた職域で将来にわたって安定的に維持・継続をしていくことは、今、既に3階部分まで含めてフルファンド積んであって、後は安定的に運営していけば大丈夫というような基金を除けば非常に困難だろうと思いますし、そういったことは基金の加入員・事業主の方々だけではなくて、厚生年金本体の被保険者、事業主にとっても一定のリスクだということは言えるのだろうと思いますので、こういった背景を踏まえて公的年金と企業年金の関係の再整理をしたいというのが、今回の制度改正の趣旨と記載してはどうかと考えております。

また、その次のページにまいりますと、「上乗せ給付再建」については、前回の会でもそうでしたが、上乗せ再建について労使が合意をしてくださり、少し形は変わるかもしれませんが、それをもう一回やろうと心を決めてくださるなら、それは非常に重要なことだと思いますし、それは加入員や受給者の方々だけではなくて、それを今まで支えてくださってきている事業主の方々にとっても一定のメリットがあるとも言えるのではないかと思います。今後のあり方の議論に際して、単に解散するかどうかということではなくて、上乗せの再建をどうするのかという点についても御議論いただきたいと思いますし、その下にありますように、今後、御議論いただく上で、まずは現状がわかりやすく提示をされることが必要だろうと思います。その上で具体的に選択肢が給付と負担入りで示されることが今後の議論の上でも重要だろうと思っております。この点につきましては、ぜひ委員の方々の御意見を頂戴したいと思っております。

最後に、あと2~3分だけいただきまして、データを2つ御紹介したいと思います。参考資料2「厚生年金基金に関する基礎資料」というものでございますが、これは前回もあった資料ですが、その16ページをお開き願います。厚生年金基金の解散、将来返上に向けた歩みのデータでございます。

前回の企業年金部会で、1021日時点のデータをお示ししておりました。それはこの下の3つ表があるうちの一番左側でございまして、そのときの時点で551あった基金の中で、解散内諾済95、将来返上済13、合わせて108、つまり約2割の基金の方々が方向感を定めつつあるというのが前回の部会の際の状況でした。これをアップデートいたしましたのが真ん中のコラムでございまして、その後、8基金が解散をいたしましたので、母数は543になっておりますが、そのうち解散内諾済が123、将来返上済14、計137でございまして、543分の137で4分の1の基金ということになっておりまして、前回の部会のときが約2割だったということでございますが、その間にまた道を心定めていただける基金の方々の数が増えているというのが現在の状況ということでございます。

また、参考資料3「厚生年金基金の財政状況等」ということでございまして、1枚お開きいただきますと、24年度の決算のデータがある程度整いましたので、それに即してこの紙を御用意しておりますが、23年度末の段階、これは法案審議の際もそうでしたが、精緻化後で、積立比率が1より下、いわゆる代行割れをしている基金が4割、1~1.5の間の基金が5割、1.5以上のところが1割というような比率でございましたが、24年度末の段階で、これは解散等々の方針を決められた基金を除きますと、2割、7割、1割という比率になっているということでございまして、昨今の運用環境の好転ということもあって、このようなお話になっているということです。

なお、方針を決めている方々を含めた母数につきましては、その下の「※4」に記載をしておりますが、積立比率が1を下回っている基金が全体の4分の1ぐらいということですが、1.5を上回っている基金の数は大体変わらず、1未満から1の上のところに少し動いたというのが現在の状況ということでございます。

少し長くなりましたが、以上でございます。

 

○山崎部会長

 ありがとうございました。それでは、ただいま説明をいただきました資料につきまして、委員の皆様から御質問や御意見等をいただければと思います。いかがでしょうか。高崎委員。

 

○高崎委員

今回寄せられた御意見は、実務上この制度の趣旨を生かして、前に進む上で気になったり、制度をせっかくつくったのに、実際それがワークしなくて使えなくなってしまうことがないようにする上での貴重な御意見ですし、それに向けた行政側の取組み、提案のほうもより制度をきちんと動くようにしていこうというものなので非常にいいものだと思っています。

1つ、お願いといいますか、この制度は各基金の状況に応じて使えるような選択肢をある意味複数提示していただいているので、選択肢が増えるということは、一方でその制度そのものがわかりにくい面も出てきてしまうので、今回、各基金に向けて書面を出されるということですけれども、その中ですとか、それ以外の行政側からの社会に向けた説明の中でも、今回やろうとしていることについて、具体的にどのようなことができ、枠組みはこうなっているということをきちんと提示していただいて、それを明確に説明いただいた上で、今度は一方で各基金側のほうで、各基金の状況をきちんと加入員であったり、受給者であったり、事業主に御説明いただいて、現実的な選択肢をきちんと選択できるようにしていただきたい。

あと、実際の実務に入っていくと、寄せられた意見でも幾つかありましたけれども、手続ですとか、決めていく上で準備することが非常に多いと思いますので、それを考えると、残されている時間は結構限られていると思いますので、行政側も基金側もきちんとしかるべきタイミングまでに判断し、運用というか、仕組みを動かせるように配慮いただきたいと思います。

 

○山崎部会長

 いかがでしょうか。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。まさにそのとおりだと思います。何ていうのでしょう、今回いろいろな御意見をお寄せいただいて選択肢の提示ということ、これは選択肢がないと選べませんので、道具づくりのほうを、私どもはやる仕事をまず先行させていますが、わかりやすい提示というところが多分ポイントだと思います。その上では、恐らく基金の皆様にお願いをしなければいけないことが多分たくさんあって、それから、私どもの職員・本省でも地方厚生局でもやらなければいけないことが多分いろいろあるのだと思います。

この法案をつくっていく過程で、いろいろな議論があって、なかなかその心を合わせるのに手間がかかるかもしれませんが、誰のためかと言われると、まさに今お話がありましたように、私はこの仕組みは労使、加入員と受給者と事業主のものだと思いますので、その皆様のところに必要な情報なりがきちんと選べるような状態で提供されるように環境整備は必要と思いますし、それに向けて我々がやっていかなければいけないことはぜひやりたいと思います。

もし、こういうお話があるといいと、次回でも今後でも構いませんので、お気づきのことをお寄せいただけると、私どもも励みになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

ほかにいかがでしょうか。井戸委員。

 

○井戸委員

 労使に情報がしっかり伝わることがすごく大事だと思うのですけれども、このパブリックコメントというのはどなたが入れてもいいことになっているのですけれども、これを拝見させていただくと、ほとんどが基金の方だと思うのですね。一般的に加入者の方とか受給者の方が、とても細かい資料なのですが、読まれても多分御理解しづらいところだと思うので、ある程度道筋が決まってから、加入者・受給者・事業主がどれだけ説明があったのか、情報公開というのが一番だと思うのです。

私はファイナンシャルプランナーなので、20代、30代の若い方が、年金とか企業年金に対してすごい不安を覚えていらっしゃることが多かったり、あるいは情報公開というか、情報開示というところがよくわからないという御意見を承るので、83ページにあったような特例措置の流れであるとか、それから、加入者・受給者の方は生活面にマイナスが出てくるので、なるべくスピーディーに、こうなったら生活はこうなりますよというような見通しを早目にお知らせしていただければというふうに思います。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 どうもありがとうございます。情報開示、今後、上乗せの再建なりということがテーマなわけですけれども、そのお話を受けとめていただくためにも、現状をつまびらかにしていただくことが多分前提になって、そこが十分よくわからない状態のまま違う議論を追記をしてもなかなか受けとめていただきにくいのかなという思いでおります。

それで、先ほど少しごらんいただきました基金の理事長宛に書面を出してほしいというお話があって、そういうものの中にも、少し前提としての情報をオープンにしてほしいという話を、項目としては少し入れてみましたが、ほかにも私どもができることもあるのかなという感じがいたします。特に基金向けに文書をお出しする機会は非常に大切な機会でもあると思います。少し自虐的になりますけれども、国が出す文書というのは非常に客観的にしようとする都合上、受け取った方々にとってなかなか伝わりにくいものになってしまう傾向もありますので、もしお願いできるようでしたら、きょうも御意見をいただきたいと思いますし、そういった文書についても個別に御助言なりいただけるとわかりやすさというものが高められるのではないかという感じもいたします。ぜひ情報は公開していただくという前提で手続がいただけるように、書面の中にも盛り込むと思いますし、プラスアルファの措置についても、ぜひ御助言いただきたいと思います。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 冨高委員。

 

○冨高委員

 資料3にもかかわるところなのですけれども、今、高崎委員、井戸委員からも御意見があったように、これをきちんと伝えていくことが重要だというふうに思います。また、そのような視点で言いますと、事務局から御説明いただいたように、年金は誰のものなのかということでは労使の持ち物であるというようなお話を何回も説明の中でもしていただいていたかと思います。

ただ、パブリックコメントを見てみますと、「加入員が少数である事業所の労働組合の意見をなぜ重要視するのか」といった意見も入っておりまして、これは人数とか企業の規模の問題ではありません。賃金の後払い的な、我々働く者にとってとても大切なものであり、人数規模とか、そういうことが意見として出てくるということは、年金が誰のものなのかということを改めていろいろなところで説明する必要があるのではないかと考えます。その点では、例えば資料3の中に、労働組合の役割や、年金のあり方ということもきちんと入れていただく必要があるのではないかと思いますので、つけ加えていただきたいと思います。また、具体的にどういうような発信の仕方をしていく必要があるのかということについては、また個別にいろいろと意見させていただきたいと思います。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 どうもありがとうございます。余り特定のものだけをオミットするのがよろしくないかと思って、典型的なものということで今回の意見を挙げさせていただいておりますが、今回の上乗せ再建にしてもそうですが、一たん組んだ保険のルールを組みかえ直すといいますか、もう一回、労使で心合わせをして組みかえ直すという作業だと私は思いますし、そうだとするならば、誰のものなのかというお話に言及をしないということはなかなか難しいのだろうと思います。誰がステークホルダーなのか、誰が当事者なのかというお話をきちんと書いた上で、法律ができたときはそこがあったから、例えば代議員会で何分の何だとか、諸手続が定められているわけですが、もう一度、原点に返って、何でそういう手続が求められているのか、誰のものなのかという話をもう一回する必要があるのかと思っています。

お話はまさに承らせていただきますし、先ほどの井戸委員のお話と重ねて申し上げると、それをどんなふうにしたらわかりやすくお伝えできるのかというところも1つのポイントなのかという感じがいたします。そういう要素をなるべく入れていく方向で考えたいと思いますし、できれば個別にこんなやり方をするほうがわかりやすくなるという御助言を頂戴をしたいと思います。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 冨高委員。

 

○冨高委員

 ありがとうございます。今回、改革法の附帯決議の中に、「従来以上に基金の資産状況等に対してモニタリングを実施し、基金が加入員、厚生年金保険者等に対する情報開示を積極的に行うよう促すなど、適切な対応を行うこと」と記載されていますので、そのような意味で、労働組合を入れてほしいということではなくて、加入員・受給者に必要な情報がきちんと届くように、先ほど皆さんがおっしゃったように、そこが一番重要と思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。ありがとうございます。

○山崎部会長

 山本委員。

 

○山本委員

私、一民間人的に考えまして、今の「わかりやすさ」という点に少し絡みますが、厚生年金基金そのものがなくなるというふうに思っていらっしゃる方も結構いるのではないかと思うのですね。ただ、これは代行部分を返上することであって、要するに新設は認めないけれども、3階部分の基金は別の形で残すことができると理解してよろしいわけですね。このあたりが、一般にちゃんと理解されているのかどうか心配ということが1点です。

それと、今回制度改正が行われることで、形をかえて確定給付型になったり、いろいろな形になったときに、現在、厚生年金基金から受給している年金額の総額が減るのか増えるのか。公的年金そのものは今後少しずつシュリンクすることを考えなくてはいけないとすると、現在、上乗せ部分を担う企業が今後の負担を考えていく上で、適切なシェアが一体どれぐらいになっていったらいいのかということを視野に入れながら、確定給付や確定拠出への移行を円滑にする仕組みをもう少し広げることによって、例えば制度運用上の税額の控除があるのかないのかわかりませんけれども、そうした仕組みをもっと増やし、適切な厚生年金とのバランスを将来的に保てるように、民間が負担するシェアを少しずつ増やしていく方向で行ったほうがいいのではないかと感じました。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。今後にもつながるような非常に大きな御意見をいただいたように思います。まず厚生年金基金の関係だけ申しますと、厚生年金基金は今回の改正法によって存続できる財政状況を満たすケースは存続できますが、それ以外の場合は運営を切りかえていただくという方針になっておりますが、代行返上なり解散をした場合には、基金が今出している年金のうち、厚生年金のかわりに出している代行部分は、そのかわり日本年金機構・国からお出しをする金額が戻って、国からお出しをするということになりますし、それから、上乗せの部分は、一たん基金が解散をしますとなくなりますが、その切りかわりの制度としての上乗せ再建というテーマを御議論いただくということでございます。

それで、現行の負担の範囲内でも選択肢としては設計ができますよと、後はそれで心が決まるかどうかということなわけですが、後は上乗せ再建の部分は事業主の方、加入員の方、受給者の方々で、こういうリスクとこういう給付と負担で行きましょうという合意がとれればできると、こういうことでございます。

それから、公的年金は別の、山本委員も御出席の年金部会で、財政検証というのが行われておりますが、長期的にはだんだん時間をかけながら、役割を重点化していくという方向になります。その中で、こういう上乗せの年金がどういう役割を果たさなければならないのかというのは非常に大きなテーマで、まさに社会保障国民会議でもそのような御議論があったと伺っていますし、そういう話は、この話にひと区切りがついた後の制度論をする上でも非常に大きなテーマだと思いますので、非常に大きなお話をいただいたと思いますし、あとはそれを拡充していくお話は、時間の都合上、御説明しませんが、税制改正大綱の中でも、確定拠出年金の拠出限度額を少し引き上げるということも認められておりますので、そういったものも含めてごらんいただけるように準備をしたいと思います。どうもありがとうございます。

 

○山崎部会長

 鈴木委員。

 

○鈴木委員

きょう御説明をいただいた中で、課長のほうからも上乗せの再建のところに非常に熱心というか、力が入っておられるというふうに感じたわけでございます。そのこと自体は非常に大事なことだ思いますが、ただ、きょうの資料3の中にもあるように、そもそもこういう厚生年金基金の問題が起こったのは、環境の変化が非常に大きいという話でございました。環境の変化というのは、もちろん代行部分に典型的にあらわれたのであろうと思いますが、それは企業年金一般に影響を与えているわけで、それは上乗せ部分についても同じように環境変化があるわけですね。

したがって、今回解散を仮にするという全ての基金に対して上乗せの再建をせよというのは、そもそも最初の前提からするとやや行き過ぎのような気がするわけでございます。したがって、やりたいという意欲のあるところを最大限支援をするというのは大賛成でございますが、ただ、そのやりたいというのが、それもまたこの資料3にありますように、本当に関係当事者間で一致をした意見なのかどうかというのが非常に重要なポイントだと思います。議論されて一致してやりたいというところに対して最大限の支援をするということは非常に大事ですが、一方で再建のところが行き過ぎて、特例の30年への期間延長のところで、再建計画があるかどうか、配慮するという表現がきょうの資料にもあると思うのですけれども、その配慮とは一体何なのかということですが、つまり非常にしんどいところが、返済の期間を30年に延長したいために、無理に制度をつくるというようなことはあってはいけないと思います。

それから、次に先程課長のお話があって安心したのですが、要は移行のときの規制緩和というのはワンポイントですと、このときだけですと、それ以降は確定給付なら確定給付の財政運営のルールに従っていただきますというのは非常に大切なことだと思います。ただ、ワンポイントであっても、規制緩和をする。具体的には期間を延長するとか、そういうことをしますと、一時的には掛金を上げなくてよくなるわけですね。しかし、それは一時的なものであって、トータルとしての拠出の金額は変わらないのですよということを関係当事者間でよく理解をして実施をしていただくことにしないと、今後また大変なことになる。

その2点について、ぜひお願いをしたいと思います。以上です。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。非常に大切な点だと思います。私ども思いますのは、先ほど申しましたが、誰のものなのかということをはっきりさせることが、今のお話への少し間接的にはなりますが、ある意味お答えなのかもしれません。要するに労使あるいは事業主・加入員・受給者の方々がこれで行きましょうということを決めないと組みかえはできない仕組みになっておりますし、その心を決めていただければこういうルールが使えますよということでもあるわけですので、そこは最終的にはお手を挙げていただく必要があるということです。

私ども少し危惧しましたのは、ただ入口からもう無理ですと、選択肢が提示されないために本案に入る前からもう無理ですということはできるだけないようにしていただきたいとは思うのです。単純に解散という形で区切るやり方、上乗せを再建するやり方、やり方も幾つかあるのかもしれませんが、それぞれでみんなが心を合わせなければいけないことは何なのかということがきちんと提示をされて、それで決めていただくことが必要なのかと私は思います。

ですので、無理やりというよりは、まずはそういった視点で議論をしてみてほしいと。ただ、心を合わせていただけるなら、それは非常に大切なことだと思いますので、そこは強調したい。何もなくても、とにかくもうやめてしまえというふうにならないように、こういう選択肢も、こういう選択肢もありますよということがきちんと労使に提示をされて決めていただくことが、遠回しなようですけれども、お答えなのかなと思います。

先ほどの30年の配慮の話も同じでして、これがあるからとにかくというよりは、もし心を決めていただけるなら、こういうところでも配慮しますよという意味ということなので、そこはそういうことだということですし、心を決めて、年金原資がないと最終的には年金の支払いが不安定になるということになるわけですので、財政的な規律を緩めればいいということに多分ならないと思うのですね。そこはまさに年金数理的な裏づけがあってのこういった長期保険の仕組みですので、原点がきちんと関係者で押えられるようにしたいと思います。

そういう意味ではお話の仕方、我々はこれは重要なテーマだと思いますので、きちんと選択肢が提示をされて、労使で心合わせをしていただいてやっていただけるなら、こうやるというのが、私どもが今持っているイメージなのですが、そのニュアンスがうまく伝わらないといけませんので、そういう意味では表現ぶりなりについても細心の注意が要るのかなと思います。そこは間違えて伝わらないように心したいと思います。どうもありがとうございます。

 

○山崎部会長

 小林委員。

 

○小林委員

先ほど来、皆様からも多数出ているように、今回の基金制度改正の中で、制度のステークホルダーというのは誰なのか、誰のための制度であるか、という原点に立ち返って議論すべきという点につきましては、まさにそのとおりだと思っております。例えば「上乗せ給付再建」の意義を含め、必ずしも今の制度ありきということではなく、従業員の老後保障という観点から、労使で今後の制度のあるべき姿について、改めて原点に立ち返って議論をすることが必要ではないかと考えております。

その前提としても、資料3にも書いていただいているように、関係当事者である基金と事業主のコミュニケーションがきちんと図られる必要があると思っております。例えば情報開示ということをとってみましても、一例ではありますが、私どものグループ会社の中で、総合型の制度を実施する会社が、基金の財政関係の情報を円滑に取得できないというような話も一部ございます。まずは、基金から事業主へ十分な情報が提供された上で、きちんと関係当事者が共通認識に立って議論できるような場をつくることが重要ではないかと思っております。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。先ほどの御意見とも重なりますけれども、前提として、今の個々の基金の現状がステークホルダーの皆様に届かないと、その後の議論がどうしてもうまくかみ合っていかないということになるのではないかと思います。そこは総論としての情報開示の重要性ということもそうですし、もう少し具体的にこうという話をしたほうがいいのかもしれません。そこはぜひ御示唆いただければ、こういう情報が重要という話があれば、そういう話をいただければと思いますし、保険の組み直し、皆、心合わせをもう一回するということなわけですので、そこをスキップしてということにはなかなかなりませんし、仮にいっときスキップして、またゴールに行く途中で、そういう道行きは悪路に差しかかってしまいますので、そこは省略してはいけないプロセスなのだろうと思います。

もし具体的にこういうものがあると有益だという話がありましたら、おっしゃっていただけると、これから私どもこういう文章の肉づけを進めていきたいと思いますので、個別でも結構ですし、ぜひ御示唆いただければと思います。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 白波瀬委員。

 

○白浪瀬委員

ありがとうございます。専門外なので、大ざっぱなお話になってしまうのですけれども、先ほど鈴木委員から少しお話があったように、そもそも論のところで、どうしていま改正について当事者として議論し検討しなければいけないのか、といったときのその背景や必要性について確認することがっ重要だと考えます。ここは運用環境がそもそも制度の前提条件とされたときとはかなり違ってきました。それは同基金のみならず社会の仕組みに広く影響はするのですけれども、どうして厚生年金基金の仕組み自体を改革しなければいけないのか、その改革する当事者として何が求められ、何が期待されているのか、ということをもう少し遠回しではなくて、ストレートに申されたほうが伝わりやすいのかという感じが少しいたしました。つまり運用環境の急激な変化といっても悪いものだけでなくてよい変化もありますし、長期的には良くなったり悪くなったりとその変化の意味も同じではありません。それでもやはり、制度の持続可能性を考えたときに、このままでは問題があるということ、どうしていま直面している問題が生まれたのかといった経緯について、今一度確認され、その問題意識が共有される必要があるのではないかと感じました。

それと情報開示についてすでに指摘されていますが、当事者の方に十分な説明がなされているのかをどこかで実際に確認しることができる工夫を考えてもよいのではないかとも感じました。

以上です。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 どうもありがとうございます。情報開示の話はほかの委員の先生方も問題意識として多分共有されるお話だと思います。総論として情報開示ですという話は、それはもちろん言うことになりますが、もう少し具体的に、こういうのを出したほうがいいとか、何かもう少し個別の話に入ってお話を、せっかく文書をお送りする機会だとすると話したほうがいいのかもしれないという感じもきょうのお話を伺っていたします。何かこういうやり方が有効だとか、特に加入員の方に届くようにするにはこうしたほうがいいという話がもしただけるとありがたいと思います。

それから、前者のお話です。これは誰の責任かというようなお話についての話だとすると、なかなか責任というのはいろいろな部分があるので、一言では言いにくいのですが、ただ、私の個人的な経験からしても、代行部分というのは厚生年金から借りて預かっているお金と上乗せのお金を両方持って、両方をこれだけ激しく変動する経済社会の中にお預けをして、確実に年金としてお渡しをしていくという仕事は、言ってみれば小さい保険会社をやるようなもので、非常に難易度が高い作業で、相当な覚悟がないとできない仕事という感じはいたします。

そういう意味では、責任がどうこうというよりは、どういう大切な役割を担ってきたのかという話もありますし、これがどうして今という話については、そういう部分をこれからより複雑になり、より変動要素が高くなっていく中で、どうしていかなければいけないのかという議論と重ねてということになるのかと思います。国会でもそういう話がなされていると思います。

 

○山崎部会長

 白波瀬委員。

 

○白波瀬委員

責任論を申すつもりは全くありません。年金制度というものは、1つの助け合いの仕組みであり、長期的な将来に向けた持続可能性というのを常に意識しなくてはなりません。そこのところの了解があって改正があることを、うまく伝えられるのがよいのではないかと思いました。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。まさに支え合いの仕組みだと思います。自助・公助・共助という言い方がいいのかわかりませんが、公的保険が共助だとすれば、共助の仕組みと公的年金と組み合わせて老後を支える仕組みだと思います。そういう意味では支え合いのもう一つの重要な輪だと思いますので、そういったメッセージがきちんと伝わるようにしたいと思います。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

平川委員。

 

○平川委員

 今、説明責任、情報開示ということで、皆さんから御意見がございましたけれども、財政規律という観点をどうしていくかというのもかなり重要ではないかと考えているところです。今回資料を出していただきまして、その辺も大分配慮されているとは感じているところです。例えば34ページで、「法施行後5年間の財政運営について1-1」の中で「資産運用利回りの前提」ということで3点出されていますけれども、ハイリスクな金融商品に手を出さないような仕組みが必要でありますし、基金の自律性を尊重しつつも、必要であれば資産運用方針やポートフォリオの見直しも含めて、厚労省として、場合によっては指導とか関与ができるような対応も検討していくべきではないかと思っているところであります。

また、35ページでは、「法施行5年後以降も厚生年金基金として存続を目指す場合」の最低責任準備金との比較をどうしていくのかということで、最終的には平成30年度までには1.5倍にしていくという形にされています。この5年間で、階段を1段ずつ上がれない場合は、翌々年度まで上がることができる仕組みが提案されているところでありますけれども、中には今年度は階段を上がれなかったけれども、翌々年度には何とかなるだろうと思って対応するところもあるかもしれません。また、場合によったら結局階段を上がることができないところもあるかもしれませんので、そのように無理がある場合は、解散に向けた指導を検討することも必要ではないかと思っているところであります。

特に財政規律ということでは、パブリックコメントの中には、解散に際して資産を納付する際、ハイリスク商品についても物納できるような仕組みにしていいのではないか、というような御意見もあるみたいですけれども、それは厚生年金にとってのリスクにつながりますので、そうならないような形でしっかりと検討すべきではないかと考えているところであります。

財政規律の問題は、どこまで財政規律を強化し、一方でどこまで自律的な運用を認めるか、なかなか難しいところではありますけれども、今日的な金融状況を見ると、また、年金は誰のものかということでは労使のものですので、ある意味、保守的な運営を行うべきではないかと考えているところであります。

以上です。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。幾つも大切なお話をいただいたと受けとめております。まず財政規律のお話につきましては、先ほど説明の中でも申しましたが、ほかの仕組みに移行していくとかというお話についてはワンポイントで移行しやすくしますけれども、そこから先はきちんと原資が確保されるようにという発想でおります。そうしませんと将来の年金の原資が確保されなくなって、不意打ちのような形で事業主の方に突然の負担が出たり、あるいは突然の給付が下げなければいけないとかというような不意打ちが出るからということになります。移行期間内においても計画的に階段を上がっていただくということが、存続を選ばれる場合は、存続に向けた条件整備なので、そのようなルールで、できるだけ考え方としては余りぶれないように考えていきたいと思っています。

それから、運用の手法につきましては、私どもは以前、5、3、3、2規制とか、運用自体を一定の枠をお示しをしておりましたが、そのやり方はしておりませんが、しておりませんの向こう側にあるのは、そのお話も含めて財政運営、つまりどういう予定利回りにするのか。それにふさわしい運用は何ですかという話を基金の中で御議論いただくからやってないという建前に、そういう前提で規制をしないというやり方になっております。そういう意味では、何でこういう運用をしているのか、あるいはこういう商品の投資をしたのはなぜかという部分については、きちんと内部のステークホルダーの方々で方針が共有をされているということがあってのそういうやり方だということになりますし、もし、それが十分に行われていないことがあるのだとすれば、それは行われないと、先ほど申し上げた方法規制しませんという話とうまく平仄がとれないということになってまいります。

この部分は制度論の際の受託者責任というのは何ですかという話とも関係をしてくる論点かなという感じがいたしますので、そういった文脈では制度論としても御議論をいただくことが最終テーマなのかという感じがいたしますが、今のところ、私どもは運用自体を縛ろうという方針にはなってないということでございます。

それから、それ以外の御指摘についても、厚生年金の本体のステークホルダーの方々の御意見も大切にしながら対応は考えていきたいと思います。どうもありがとうございます。

 

○山崎部会長

 森戸委員。

 

○森戸部会長代理

 幾つかコメントと事務局への質問とあるのですが、あちこち話が行ってしまうかもしれませんが、まず山本委員が先ほどおっしゃったことで、これは今後の、また先の議論ですが、山本委員おっしゃったように、仮に老後所得に現役の6割だ、7割必要だとすれば、そこの一部を占める公的年金が減っていくとすれば、それ以外を補わなければいけないので、その私的年金なり企業年金の役割は多分比重は増すのだろうと思います。それをどういうふうにしていくかというのは今後ここで議論していかなければいけないのだろうと思います。そういう議論にはまだ入っていませんけれども、そういうことは意識して今の議論もしなければいけないのではないかと思います。

それから、鈴木委員がおっしゃったことはまさにそのとおりで、難しいと思うのですけれども、最初から、上乗せなどは全然無理でしょうとなっても困るし、他方で何か負債を返しつつ、借金を負った制度をまた立ち上げろというのも非常におかしなことなので、そこはかげんは難しいのですけれども、そこは情報提供という言葉になってしまうかもしれませんが、客観的に状況を把握できるような情報提供して、そこは意思決定していただくしかないのだろうと思います。

それから、白波瀬委員がおっしゃったことは、今回の改正は言ってみれば公的年金のほうから厚生年金が厚生年金基金にはお金預けられないと言われたと、そういうふうに政策決定がされた。本当にそうかどうかというのはいろいろ基金が本当にやれないのかというのはいろいろ議論あるでしょうけれども、政策として、公的年金のお金は絶対棄損したくない、基金には預けられないという決定がされたということが、恐らく今回の趣旨だと思うので、それに沿ってこの制度が動いているのだろうと思います。

それで、今のような話の関連で、資料3でしたか、基金向けに文書を出されるということで、これはこう言っては何ですけれども、今、いろいろ政省令等でお忙しいのにこれをつくって出すわけで、ただで出すのもあれなので、何か意味があるものにすべきだと思うのですね。当事者間の議論の重要性という項目になるのかもしれませんが、この文書を基金に出すことで、その基金に対して、それをまさに関係当事者、受給者なり加入者なり事業主に、こういうことをちゃんと情報提供しなければいけませんよというようなことを事実上、こういうことをやらなければいけませんというのを義務づけるというのですか、そういうような内容を入れるべきだと思います。こういうことをきちんと説明して決めてくださいと。

それはいろいろ複雑なことがありますが、結局決めることは、基金はお金を積めば存続できるので、そういう道を選びますか、お金積んでいくことはできますか。積めないとしたら、基金を今後どうするか、どういうふうにやめていくか決めなければいけませんねという話。他方で、今度新しい制度をつくっていきますか、つくっていきませんか。どういうオプションがありますか。総合型なので、多くの場合、そのときにまさにみんな一緒に今後もやっていくのか、それともばらばらになっていくのかということ。そういう何か別れ道はあるのですけれども、言ってみれば、今の話がきちんと関係当事者に説明されて、これでどちらを選びますかという議論ができればいいと思うので、そういうことを当事者に説明してくださいということを、この資料3の文章に盛り込んでいただきたいと思います。

その中で、各委員から出たようなポイントも盛り込んでいただけたらいいのではないかと思います。いろいろ盛りだくさんになると誰も読まなくなってしまうので難しいですけれども、そこはお願いしたいと思います。

それはざっくりした大きな話ですが、少し資料についての質問というか、聞きたいこともありまして、今度は急に細かい話になるのですが、パブリックコメントでも、30ページの4番で聞かれているのですが、「清算型解散でなく、自主解散を行うことに対するインセンティブを示してもらいたい」という質問があり、対応(案)ですが、「当該基金の責任が厳しく問われることも考えられることから」と書いてありますが、基金の責任が厳しく問われるという内容、これは具体的に何を意味されているのかということをお聞きしたいです。

それとの絡みで、済みません、いろいろ言ってしまうのですが、それに関連して22ページの話になるのですが、自主解散ではなくて清算型になった場合に、デメリットというか、変わってくるのは、直ちに上乗せ給付が停止されるということ。それと上乗せの再建について十分な検討を行えなくなることということですね。逆に言うと、もう上乗せ、どっちみち再建など無理だという場合は関係なくなるということなのか。それから、上乗せ給付停止は残るとすれば、結局これは清算型か自主解散型かの分かれ目は、一部受給者の人が少し早目に損するかどうかだけなのか。余り言ってはいけないのかもしれないけれども、だとすると、清算型でもいいのではないかと思われるかもしれないと思って、でも、それはしようがない、もしかしたら合理的な行動かもしれないので、そういう場合は清算型の、意思決定を第三者委員会がやるのでしょうけれども、素早く割り切ってさっさと指定して、さっさと清算型の手続を進めていくしかないのかと思ったのですが、それの関連では、先ほど言った責任が厳しく問われるということの意味ですね。それは何を意味しているのかということを確認したいということです。

それで、22ページの四角の中の説明で言えば、報告徴収を求め、改善命令、基金役員の改任命令、こういうのが本当に発動される時代が来るとは思いませんでしたけれども、こういう規定を活用するというのは、それは必要だと思いますが、恐らく報告徴収とか改善命令も、従来のイメージでは、これはある程度、時間をかけて指導していくようなものだから、そんなにぽんぽん出るイメージではないのですけれども、この場合は少し素早くスピーディーにやっていく必要があるのかという感じがしました。今のはコメントです。

ここで聞きたいことは、清算型になるデメリットというのが、もしかしたら、そんなに大きくない場合もあるのではないか。そうすると何もしないほうがいいとなってしまわないかということ。それとの関連で、30ページの4の関係者の責任が問われるということの意味、それを確認したいというのが1点。

もう一つは、違う話ですが、21ページの「納付計画提出の特例」です。計画を出さない事業主がいた場合に、一部連帯なしでいいのではないかという、これを見て、マンションの建替えを思い出したのですけれども、一部の人だけ嫌だとか言うと話が進まないから、ある程度、割り切って進めなければいけないというのはそのとおりで、枠組みとしてはいいと思うのですが、まず一部の事業主が納付計画を提出しないのではないか。もう少し掘り下げて、何で事業主は出さないと予想されるのかということを、この際、聞きたいというのが1つ。

もう一つは、いずれにしても、特例でいいと思うのですが、こちらの従来型の連帯で基金が取り立てる側になったほうが得だとなってしまうと、また、これもおかしい話なので、いずれにせよ、これもきちんと納付計画出して連帯なしにしたほうが得であり、ほったらかしてもいいやみたいにしたほうが実は得だったとか、わかりませんけれども、国より基金のほうが取り立てが緩いだろうということが、あるのかどうかわかりませんが、そういうようなことがないように、フェアに進めるために何もしないほうが得みたいなことにならないような手当ては必要かと思いました。

済みません、いろいろ言いましたけれども、質問としてはその2点、21ページの事業主、計画出さない事業主は何で出さないのかというのと、自主解散を選ばないで清算型になるデメリットと、基金が責任を厳しく問われるという内容、それについてお聞きしたいです。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 どうもありがとうございます。御質問に入る前の前段のお話、資料3、特に基金の皆様にお願いをすることのお話については、先生のお話、各委員の皆様からいただいたお話とベースがまさに共通していると思いますので、そういったものをできるだけ取り込めるように、大事だよ、だけど、もともと無理強いはできないわけですけれども、大事だけれども、きちんとそれは選択肢を提示し、それは結局持ち主が誰かという話と全部連動していますので、持ち主にきちんと選択肢が提示をされて、情報が提示されて、選んでいただいて、後でこんなはずでなかったというふうにならないようにというライン。だけど、これを議論していただくことは非常に重要なテーマだという話、私どもとしてもきっちりお伝えをしたいと思っています。

それから、御質問いただいたお話の中で1つは清算型の話がございました。法律によって得られる特例の内容という意味合い、損か得かみたいなお話でいくと、法的な効果自身についてはそれほどの差がないということ、つまり与えられている恩典というか、厚生年金のリスクで基金に対して与えられる恩典のようなものには大きな法的な効果には差がないというのは、先生方、御案内のとおりでございます。

その上で、なぜ自主解散型のほうがあるべきだと私どもは考えているかというと、これも先ほどのお話と重なりますが、誰のものですかという話と重なります。つまり清算型にいきなりぽんとなってくると、それは国が指定したから解散するのですという力学に多分なるのだろうと思いますが、それは今後の選び方もそうですし、上乗せ再建するかどうは問わず、今後のあり方もそうですし、今、どうしてこうなったのかという話もそうですが、そこは当事者の間で御議論いただいた上で解散するならすると決めていただくのが筋道だと思うので、そちらがということだと思いますし、それをオミットして、国のせいだから解散をしますという説明のされ方はなるべくされるべきではないということがベースになって原点の話です。

その上で、命令をお出しをすることについては、年金の分野は割と法的な権限を行使をすることについては控え目にやってきて、ほとんどやってまいりませんでしたのが、これまでの歩みではありますが、いわゆる昨今ありますような、例えば受託者責任自体が問われるような事例ですとか、持ち主との関係でこれはどうなのかというようなお話については、その法的な権限を行使することもあってもいいと思いますし、つい先日もそのような法的なアクションを一部とった事例もございます。多分とられないだろうからという前提を置かれて、皆様がそういう見込みの下に動かないような、要所要所では法的な権限が行使されることもありますということを前提にしてお話をしていきたいと思っています。

それから、納付計画提出の特例の場合でなかなかという話のケースどこですか。個別の話はなかなかしにくいのですが、私ども幾つかお話を伺っているのは、そもそも解散をするという方針自体について、本当はそうしないほうがいいのではないかと思っている方々がいらっしゃる。それは3分の2の判断でできるわけですが、そこについてのしこりが残っているために、もともと反対だったのだからという話がどうしても出てくるケースはあるというような話は仄聞をしております。ただ、どちらに行ったほうが緩いとか、厳しいとかという話ができるだけないようにと思いますし、この部分は厚生年金本体の事業主の方、加入員の方々との兼ね合いもありますので、透明性は確保していく必要があると思っています。

以上です。

 

○山崎部会長

 よろしいですか。

 

○森戸部会長代理

 一言だけ。

 

○山崎部会長

 どうぞ。

 

○森戸部会長代理

ありがとうございました。法的な話を少し言うと、確かに運用とかで何か明らかにおかしな運用をすれば、受託者責任みたいな話になると思うのですけれども、この文脈で言うと、上乗せ制度の再建にそんなに頑張らないというのが法的に受託者責任的な責任を問われるのかというのは難しいのかなという気がするのですね。確かに年金は誰のものとか、そういう理念とかも大事なのですけれども、私、少し職業柄、性格がだんだん悪くなって、前から悪いのかもしれないですけれども、言いたいことは、これはプロセスの中で、いいやつ、悪いやつだったらわからないのですけれども、いいやつ、悪いやつの見きわめを早目につけて、悪いやつと言ったら怒られますけれども、政策の方向からしていいやつ、悪いやつの見きわめを早目にして、ここはだめだと思ったら、どんどん法的手続を進めていかないと、5年で制度を終息できないのではないかと心配していまして、年金はみんなのもので、みんなでつくっていって、再建考えましょう。それはそうなのですけれども、そんなことを言っても、他方でいろんな経済合理性に基づく、お金も絡むし、それぞれの事業主の利害もあるので、そこは政策のほうも、そういう思いは大事にしつつ、でも、何かこいつだめだと見切ったら、後で議事録を直します。

その見きわめは難しいのですけれども、少し割り切って進めなければいけないところもあるのではないかというのが印象としてあります。済みません。

 

○山崎部会長

 関連する御意見ですか。だったら先に、冨高委員。

 

○冨高委員

関連いたします。今、お話を聞いていて、そもそも30ページのパブリックコメントにある「インセンティブを示してもらいたい」ということ自体がどうなのかと思います。年金は基本的に労使のものということで、労使が協議してつくり上げてきたものです。それを今後どうするかというところにしっかりと真摯に向き合って労使で協議していく。そのために十分な時間が必要であるということです。今回の内容については自主解散が原則であるということで、清算型は本当に最後の最後ということであれば、「当該基金の責任が厳しく問われる」とか、「自主解散と比べて精算型解散のデメリットが大きい」ということは特に書かずに、基本的には自主解散でやっていく、ということでいいのではないでしょうか。そして、その中で上乗せ再建の検討を十分に行っていただきたいということだけでいいのではないかと私は思います。

年金が本当に誰のものなのかというのがメインなのです。それをきちんと安定化させて、次につなげていくために十分に時間をとらなければいけないということ、そのために、今回いろいろな選択肢を示していただいていると思いますので、まずそれが原則であるということを書けばいいのではないかと個人的には思っています。

 

○山崎部会長

 よろしいですか。

 

○森戸部会長代理

 はい。

 

○山崎部会長

 関連する御意見があれば。

 

○白波瀬委員

済みません。原則、確かにおっしゃる通りだと思います。ただ、基金内で体力等々において少なからぬ差があります。最終的には、もちろん当事者同士で納得し決定していただくということではあるのですが、当事者同士の意思決定にのみ委ねるというのも現実的には難しいところがあります。様々なデータから現制度を変えるべきと判断するのであれば、その目的に向かった工程表を作ることができます。当事者の選択に完全に委ねるだけでなく、改正にあたってのある程度の指針を提示することはあってもよいのではないかと思うのです。基金という性格上、上からの方針をトップ・ダウンで通達することはできませんし、ある方向に誘導することも望ましくはありません。ただ、ABの選択を完全に当事者に委ねることの難しさも現実にはあるわけで、その意味では、選択肢を提示するにあたっての指針のようなものはもう少し積極的に出されてもよいのではないか、という気がいたしました。

 

○山崎部会長

 山本委員。

 

○山本委員

 関連になりますが、なぜ、今、こういう制度改正が必要なのかという部分の1つのファクターとして、例えば行財政改革といった問題が、今、年金機構のほうへという意見もたくさん来ています制度的に考えると、そういうことが1つの財政コスト、あるいは国を運営するコストの低減につながっていくということが効果としてある程度見込めるとすれば、それは国家の財政にわずかながらプラスになって、それは皆さんからいただかなければいけない年金の総額を少しでも緩くしていくという循環につながるかどうかというベクトルが入るかどうかということを検証する必要があると、今の大義の部分をどうするかと考えたときに少し感じましたので、関連として申し上げました。

 

○山崎部会長

事務局からどうぞ。

○黒田企業年金国民年金基金課長

 ありがとうございます。先生方のお話の中で、1つはスピード感、1つは誰のものか、どちらが大事だといった話を決めるのはなかなか難しいのですが、ただ、私どもが自主解散が基本だと申し上げている原点は、どちらかというとスピード感の議論よりも、誰のものなのか、あるいは何で解散しなければいけないのかという説明は、約束を説く以上は、持ち主にきちんとされなければいけない。このプロセスが清算型には抜け落ちてしまう可能性があるという点が、自己決定されない恐れがあるという点を私どもは一番恐れます。きれい事に聞こえるかもしれませんが、関係の方から怒られるかもしれませんが、そこが私どもが自主解散のほうがいいと、あるべき論だと思っている大きな理由です。

こういう基金はないと信じますが、何もしないで指定を待っているという状態は、その間に必要な情報提供が労使にされてないという可能性があるという点が一番大きな問題なので、それはきちんとやっていただかなければ困るということではないかと思っています。ただ、たくさんの事業所の方がいらっしゃるケースもあるので、それを待っているとすごく時間がかかってしまうというようなケースもあるでしょうし、一定のプロセスを歩み始めたけれども、途中でどうしてもというケースがある可能性はあるので、一方でスピード感、それを待っていたためにずっと遅くなってしまうというのは避けなければいけないという森戸先生の御意見は誠にごもっともだと思いますので、自己決定のための情報はきちんと提示されるという前提で、ただ、時間が後ろ倒しにならないようにしていくという要素は考えたいと思います。できるだけその両方が二律背反にならないようにしていきたいと思いますが、時間軸が大事だと思います。

それから、行財政改革の要素があるのですかというお話については、このお話は行財政改革そのものではなくて、代行部分のお金は、言ってみれば厚生年金本体が出すか、基金がかわりに預り金とセットで出すかという選択ですので、行政コストの話では必ずしもないのですが、ただ、この話が制度本体との関係で語られているのは、基金に預かっていただいている間に含み損のようなものです、代行割れというのは。それが出てくることは本体にとってリスクなので、そこのリスクを軽減しましょうという話はその要素の中には入っているように思います。

山本委員おっしゃるように、この話を常に厚年本体との関係で議論をするというのを忘れないようにしなければいけないという話はそのとおりだと思いますし、むしろこれから先の議論の中でも、公的年金との役割分担をどのようにしていかなければいけないのかという話を頭に置きながら話していかなければいけないというお話は誠にそのとおりだと思いますので、そのようなことで、次のステップの議論にもその話がつながっていくのかという感じがいたします。ありがとうございます。

 

○山崎部会長

 よろしいでしょうか。随分活発な御意見をいただき、ありがとうございました。パブリックコメントで寄せられた主な意見につきましては、事務局からの提案と本日の各委員の御意見を踏まえて、政省令等の公布に向けて準備を進めるということでよろしいでしょうか。

 

(「はい」と声あり)

 

○山崎部会長

ありがとうございました。そのようにさせていただきます。

ほぼ予定の時間に達しましたので、本日の審議を終了いたします。次回の開催につきまして、事務局から連絡をください。

 

○黒田企業年金国民年金基金課長

 次回の部会の開催日時につきましては、改めて委員の皆様の御都合をお伺いをした上で調整をさせていただきたいと思います。年明けの開催に向けて準備を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○山崎部会長

どうもお疲れさまでした。


(了)

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