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2013年12月9日 第3回 積立金基本指針に関する検討会議事録

年金局

○日時

平成25年12月9日(月) 13:00~15:00


○場所

全国都市会館3階 第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○出席者

米澤 康博 (座長)
浅野 幸弘 (委員)
臼杵 政治 (委員)
小島 茂 (委員)
川北 英隆 (委員)
山崎 泰彦 (委員)

○議題

(1)積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき事項について
(2)その他積立金の管理及び運用に関する重要事項について
(3)その他

○議事

○米澤座長 定刻よりやや早いのですけれども、今お集まりになられる方は全ていらしているとお見受けいたしましたので、ただいまから「積立金基本指針に関する検討会」を開催させていだきたいと思います。

 本日は第3回目の会議となります。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、最初に事務局から委員の出席状況等について、御確認のほうお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 運用担当参事官の森でございます。

 委員の皆様方におかれましては、本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。

 本日の会議の出席状況でございますけれども、全委員の方々に御出席いただく予定でございますが、川北先生は所用により若干遅れる予定でございます。

 前回に引き続き、今回も各管理運用主体の方々にお越しいただいております。

 なお、本日は年金局長、総務課長は会議の関係で遅れておるほか、年金課長の度山が欠席のため、企画官の成松が代理で出席しておりますので、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入ります前に資料の確認をさせていただきたいと存じます。

 まずは議事次第がございまして、こちらに配付資料の一覧がございますので、こちらも参考にしながら御確認願います。

 資料1「積立金基本指針の概要」。

 資料2「積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき事項に係る各制度の現状」。

 資料3「その他積立金の管理及び運用に関する事項に係る各制度の現状」。

 資料4は各運用主体の方々からいただいた資料でございまして、4-1がGPIF、4-2が国共連、4-3が地共連、4-4が私学共済様でございます。

 資料5「モデルポートフォリオと個別ポートフォリオの関係に関する論点」。

 資料6の関係ですけれども、先日公表されました公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議の報告書(平成251120日公表)概要」と、報告書本体でございます。

 以上でございますが、もし御不足等ございましたら適宜事務局までお知らせください。

○米澤座長 よろしいですか。

 それでは、議事に入りたいと思います。初めに、積立金基本指針に規定すべき事項の検討に当たりまして、論点が大きく4つほどございました。前回までにそのうち2つを議論していただきましたので、本日は残りの2つを議論していただくことになります。

 続いて、積立金基本指針に適合するように管理運用主体においてモデルポートフォリオ及び基本ポートフォリオを策定することとされていることから、モデルポートフォリオと基本ポートフォリオの関係に関する論点を御議論いただきたいと思います。

 最後に、今、御案内がありましたように先日、取りまとめが行われました公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化に関する有識者会議の報告につきましても、事務局より説明をいただき、必要があれば議論させていただきたいと思っております。

 それでは、最初に積立金の管理及び運用に関しまして、管理運用主体が遵守すべき事項と積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項について、併せて議論を行いたいと思いますので、初めに事務局から資料の説明をお願いしたいと思います。では、よろしくお願いします。

○森大臣官房参事官 まずは資料1、進捗状況みたいなものでございますけれども、積立金の基本指針の概要、これは第1回の検討会に出させていただいたものでございますが、これをごらんください。

 この紙自体は法案説明等に利用しまして、積立金基本指針、今まさに皆様に御議論いただいているものでございますが、それについてどのようなものを定めるか想定したものでございます。

 1、2につきましては前回御審議いただきまして、今回3と4、先ほど座長から御紹介がございましたが、御審議いただきたいことでございまして、具体的には3のポツでございますが、

各運用主体がモデルポートフォリオを踏まえて基本ポートフォリオを策定すること。

 リスク・リターン特性の異なる複数の資産に分散すること。

 市場や民間活動への影響に配慮すること。

 流動性の確保に留意すること。

 運用実績を公開すること。

 運用実績の評価方法等を記載することなどが遵守事項として挙げられております。4としてその他重要事項といたしましては、移行ポートフォリオの策定、独自運用の評価方法などが想定されていたところでございます。

 まず私からこの論点につきまして、横断的に今の国なり各運用主体がどのように規定で定めているかにつきまして、資料2と資料3で御説明いたしたいと思います。

 資料2、積立金の管理及び運用に関し、管理運用主体が遵守すべき事項に係る各制度の現状でございます。

 めくっていただきますと、今、申した検討事項ということで、掲げられている項目順に目次を打ってございます。

 まず最初の各運用主体がモデルポートフォリオを踏まえて、基本ポートフォリオを策定すること。実はこれは既にモデルポートフォリオの作成のところで、どのように定めているか横断的なものにつきましては御紹介いたしましたので飛ばさせていただきまして、7ページのリスク・リターン特性の異なる複数の資産に分散投資することから御説明差し上げたいと存じます。

 8ページ、まず厚生年金保険の関係でございますけれども、GPIFの関係でございますが、一般に認められている専門的知見に基づき慎重な判断を行うものが同様の状況で払う注意に相当する注意に基づきまして分散投資をしなければならないという規定がございまして、GPIFの中期目標にございましても(2)でございますけれども、リスク・リターン等の特性が異なる複数の資産に分散することが、リスク管理の基本として定められております。

 9ページ、国共済の場合でございましても、集中投資の制約ということでございまして、同一の発行体が発行した債券については債券保有総額の10%を超えないもの。若しくは分散投資の原則としまして、業種、銘柄について適切な分散投資を図る。外債につきましては投資対象国、通貨について適切な分散化ということが定められておりまして、地共済、私学共済につきましてもほぼ同様の事項について分散投資の考え方が示されております。

11ページが市場や民間活動への影響に配慮することでございまして、12ページ、GPIFの関係でございますが、GPIFは規模が大きいので、市場規模を考慮して自ら過大なマーケットインパクトを被ることがないよう努めるとともに、市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮し、特に資金の投入及び回収に当たっては、特定の時期への集中を回避するように努めることとございまして、あと、民間企業などに対して影響を及ぼさないよう配慮するとともに、企業経営等に与える影響に考慮しつつ、長期的な株式等の利益の最大化を目指す観点から、議決権行使などの適切な対応を行うということとしており、GPIFについては自ら議決権行使の方針等は作っていないということでございます。

 これに対しまして国共済、地共済、私学共済につきましては、それぞれガイドライン等を作りまして、運用機関に対して示しているというような形になっております。

13ページから流動性の確保に留意することということでございまして、これにつきましては14ページ、15ページでございますが、各資金とも年金給付に必要な流動性、特に国共済、地共済、私学共済は自家運用、長期運用に関して書いていますが、それぞれ定めておるということでございます。

16ページ以降が運用実績の公開をすることということでございまして、これは実は一元化におきましては法律施行後、毎年被用者年金部分につきまして各主体が業務概況書を作成し、公表することになっておりますが、そのほかの事項としまして、例えばGPIFの関係でございますけれども、年金積立金の管理運用の方針及び運用結果につきまして、公開資料をより一層分かりやすくするよう工夫するとともに、運用受託機関の選定過程、結果の公表、株主議決権の行使の考え方及び結果の公表の更なる充実により、国民に対する情報公開、広報活動の充実を図ることと書いてございまして、また、GPIFにつきましては運用委員会がございますので、その議事につきましても一定期間を経た後、議事録を公表することということで規定がされております。

 国共済の場合は、自ら組合員に対して保険者でございますので、国共連の基本方針の中では運用の基本方針や運用の結果等、積立金の運用に関する情報について、時価情報も含め、関係者に対し、適宜、広く積極的に公開するとなっておりまして、地共連、私学共済も同じような考え方でございます。

19ページ以降は運用実績の評価方法を記載ということでございまして、これは20ページ以降に細かく書いてございますが、ほぼ皆さん定量評価と定性評価の組み合わせでございまして、例えば国は何も定めていないのですけれども、GPIFのほうで21ページでございますが、基本的には超過収益率とかトラッキングエラー等という定量的な評価のほかに、運用プロセス、組織・人材、コンプライアンス、議決権行使の取決め等を行った上で、必要に応じ、一部回収や解約等を行っておるということでございまして、22ページ以降、国共連、地共連、私学共済も、同様に定量評価、定性評価を組み合わせた形で評価を実施しております。

25ページ以降がリスク管理に関する事項でございまして、これはGPIFの関係でございますが、大まかに言いますとベンチマークを中心としたリスク管理ということで、27ページ以降、各運用方法につきまして、例えば格付をどうするかとか、それぞれどんなものを買ってよろしいのかみたいなものにつきまして、縷々定めておる。若しくはデリバティブの使用方法について書いてあるものでございます。共済も基本的には同じような形でございまして、国共連は30ページでございますけれども、国のほうは何も定めていませんで、自家運用、信託運用ともに格付等について定めておる。地共済もリスク運用の観点から自家運用と信託における委託運用に分けて、それぞれどのようなものを取得していいか等につきまして定めておる。私学共済につきましても、32ページでございますけれども、自家運用、信託による委託運用ということでございまして、リスク管理ということで重要な事項について定めておるものでございます。

33ページ以降はパッシブ、アクティブ、対象資産に関することでございまして、34ページでございますが、GPIFのほうはアクティブ運用につきましてはインデックス運用等のパッシブ運用を中心とし、適切に確たる根拠を説明できる場合にアクティブ運用が限られているという形になっております。

 国家公務員共済は35ページの下のほうですが、アクティブにつきましてアクティブポートフォリオ特性目標につきまして目標収益率、標準偏差、インフォメーション・レシオについて定めておりまして、36ページの頭のほうでございますが、そもそも運用スタイル別にパッシブをどうするか、アクティブをどうするかにつきまして資産配分構成を定めておるところでございます。

 地共連でございますけれども、運用スタイル等について登録して、それを遵守しなければならない旨、定めております。

 私学共済につきましては38ページでございますが、やはりパッシブとアクティブの併用ということを定めさせていただいています。

 ベンチマークの設定に関することは39ページ以降でございますけれども、GPIFの場合には40ページでございますが、国のほうでベンチマーク、どんな問題があるべきか。これは第2回のときにも紹介いたしましたけれども、市場を反映した構成であること。投資可能な有価証券により構成されていること。指標の詳細の開示等を勘案しつつ、適切な市場指標を用いようという形になっておりまして、管理運用方針のほうで具体的にどのようなベンチマークを作るかGPIFは定めております。

 国共済は積立金の運用の基本方針の中でそれぞれベンチマークを定めている。地共済は具体的には定めていませんで、私学共済のほうは長期勘定の積立金の運用に関する基本方針の中でベンチマークを別表2で定めていまして、国内株式についてはTOPIXではなくてRussell/NomuraTotal Marketインデックスを使っておるものでございます。

 これが管理運用主体が遵守すべき事項に関するものでございますけれども、資料3でございまして、4に相当しますが、その他積立金の管理及び運用に関する事項に関しまして、その他事項ということで資料を説明させていただきます。

 まず移行ポートフォリオなのですけれども、厚生年金保険の関係でGPIFは以前、財投預託をやっていましたので、そこからの移行ポートフォリオを作ったことがあるのですが、ほかの3共済につきましては移行ポートフォリオを策定した経験はございませんので、特段規定はございませんでした。

 後は運用に関する基本方針の見直しですが、これはGPIFも含めておおむね年に1回運用方針を見直すという形でございます。運用状況の評価につきましては、今度は法定されますが、現行で言いますと各主体とも評価方法については定めておって、主に原則時価評価という形でやっておるということでございます。

 私からは以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございます。

 今、ざっと簡単に説明いただきました。今日はせっかく皆さん方いらしていますので、続きまして、この説明に関しまして各運用主体において具体的にどう取り組んでいらっしゃるのか、ぜひお伺いしたいと思います。

 つきまして、まず年金積立金管理運用独立行政法人様から説明をお願いしたいと思います。以下、国家公務員共済、地方公務員共済、日本私立学校振興・共済事業団と各10分ずつぐらい説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○年金積立金管理運用独立行政法人青木審議役 それでは、参考資料に沿って年金積立金管理運用独立行政法人の運用に関し、御説明させていただきます。

 2ページ、これは市場及び民間の活動への影響に対する配慮でございます。当法人は各資産につき巨額の資産運用を行っているということもあるわけでございます。とりわけ国内債券市場と国外株式市場におけるシェアは相当の割合になりますけれども、このような中で可能な限り市場の価格形成や民間の投資行動を歪めないよう配慮しております。

 具体的には年金特別会計の寄託金償還等につきましては、持ち切りの財投債ファンド、キャッシュアウト等対応ファンドといったものの償還金、利金を極力活用いたしております。それでもなお足りない分が生じた場合には市場動向を踏まえつつ、時期を分散して回収を実施することといたしております。

 また、民間企業の経営に与える影響を考慮いたしまして、株式運用につきましては当法人自ら個別銘柄の選択は行わず、運用受託機関に個別銘柄指図も行っておりません。また、同一企業有価証券の保有を当該企業の発行済み株式数の5%以下とするよう各運用受託機関に求めております。

 3ページは株主議決権の行使状況でございますが、企業の個々の議案に対する判断を管理運用方針は行わないことといたしておりまして、運用受託機関が議決権行使ガイドラインを策定し、その策定状況、議決権行使状況を管理運用法人が管理・評価することとした上で、株主議決権の具体的な行使は運用受託機関に委ねることといたしております。

 左側真ん中辺の※印にございますように、コーポレートガバナンスの重要性を認識し、議決権行使の目的を長期的な株主利益の最大化を目指すものとすることを運用受託機関に明示しております。そして、その下にございますように行使状況報告書というものを提出していただきまして、これの評価を行っております。

 議決権行使の結果等につきましては、整理の上、当法人の業務概況書等でも公表を行っております。

 4ページは透明性の向上でございますが、当法人では業務概況書及び四半期の運用状況を公表しております。業務概況書は年度ごとというか年1回のものでございます。また、ホームページで当法人の役割や管理運用の仕組み、運用受託機関に外国の会社などの再委託先がある場合には再委託先、個々の運用受託機関等への管理運用委託手数料を公表しております。

 右側の運用委員会につきましては、運用受託機関の選定過程も審議の対象に加える。市場への影響にも配慮し、7年後に議事録を公表するといった透明性向上を図っております。

 5ページは運用受託機関の管理及び評価でございまして、定期ミーティング等、必要に応じたリスク管理ミーティングを実施しているほか、月次で運用受託実績等に関する報告を受けております。さらに運用上の問題が発生した運用受託機関につきましては、必要に応じて緊急に随時ミーティングを行っております。これらによりまして運用実績、リスクの状況の問題点、ガイドラインの遵守状況を確認し、警告、資金回収、解約等の措置を適切に講じております。

 右側の運用受託機関の評価につきましては、投資方針、運用プロセス、組織・人材等の定性評価。超過収益率とトラッキングエラー、インフォメーション・レシオといった定量評価を行っておりまして、これらを総合した総合評価結果を踏まえまして、資金の一部回収、配分停止、追加配分といった措置を講じております。

 6ページ、リスク管理でございますけれども、運用資産のリスク管理として資産全体、各資産、その他のリスク管理を行っています。また、運用受託機関等のリスク管理として、各運用受託機関に対し、投資対象資産、リスク管理手法等のガイドラインの提示。ガイドラインの遵守状況の確認。運用体制の変更などの確認を行っております。

 7ページ、資産全体のリスク管理につきましては、毎月、各資産の構成割合と基本ポートフォリオとの乖離状況を把握しまして、乖離許容幅に収まっているかを確認しております。また、必要に応じてリバランスを実施いたしております。

 各資産のリスク管理につきましては、各資産のトラッキングエラー、国内外の株式のアクティブファンドのベータ値、国内外の債券ファンドのデュレーションの推移を確認しております。

 その他リスク管理としましては、資産管理機関の格付状況等の信用リスク、カントリーリスクの確認や、1日当たり取引金額等により流動性リスクを確認いたしております。

 8ページは自家運用のリスク管理でございまして、自家運用につきましても法人内でけん制機能を働かせる仕組みとして、運用部から担当のインハウス運用室に運用ガイドラインを示しまして、また評価ミーティングを行うなどによりまして、ガイドラインの遵守を確保するようにしております。

 9ページは運用手法でございますが、中期目標でパッシブ運用を中心とすると規定されておりますが、パッシブ運用中心ということでございまして、24年度末のパッシブ・アクティブ比率は上のほうの表に記載のとおりとなっております。

24年度末の資産別アクティブ・パッシブ別の運用額とファンド数は、9ページ下の図のとおりでございます。なお、各資産の運用受託機関構成につきましては原則3年に1回全面的に見直すことといたしておりまして、今年8月には外株のアクティブ運用なども見直して、ファンド数は現在15ファンドとなっております。

10ページ、評価ベンチマークの設定ということで、当法人の各資産ごとの運用結果を評価する際に使用するベンチマークを記載しております。国内債券につきましては、まずキャッシュアウト等対応ファンドというものがございますので、それにつきまして、NOMURA-BPIに含まれない残存期間1年未満の債券も含まれていることなどから、ここに記載されているカスタマイズドのベンチマークを用いております。マネージャーによって付与しているマネージャーベンチマークも違いますので、国内債券のところにございます3つのインデックスを、それぞれの運用金額による構成比で加重平均した複合インデックスを国内債券全体の評価ベンチマークとしております。

 国内株式はTOPIX(配当込み)ですが、外国債券につきましてはパッシブ運用機関がシティグループ世界国債インデックス、アクティブ運用が、事業債なども含む世界BIG債券インデックスを用いておりますので、外国債券全体としてはこれらの複合インデックスで評価をいたしております。

 外株につきましては24年6月よりEMERGING株式運用を開始しておりまして、MSCIKOKUSAIEMERGING MARKETSとの複合インデックスを現在は採用しております。

11ページはかつて策定していた移行ポートフォリオの説明でございまして、年金積立金は平成12年度まではその全額を旧大蔵省に預託することが義務付けられておりまして、また、旧年金福祉事業団は旧資金運用部から長期借入金を借り入れて資金運用事業を行っていたということですが、13年4月に預託義務が廃止されまして、厚生労働大臣による年金積立金の自主運用が開始された。これに伴って預託されていた積立金は順次償還されることになりまして、償還された積立金は一部を除いて厚生労働大臣から旧年金資金運用基金、18年度以降は当法人に寄託されたという経緯があったわけでありますが、このような中で預託の償還が終わる20年度末までの8年間をかけて、12年度末の旧年金福祉事業団の運用資産及び預託金からなる資産構成割合から、最終的な基本ポートフォリオの資産構成割合に到達するものとし、この期間に毎年度の移行ポートフォリオを策定していたものでございます。

 移行ポートフォリオにつきましては2つございまして、1つは年金積立金全体についてのものです。これは預託金等も含む年金積立金全体についてのもの、第2に当法人で市場運用する資産に限ってのものがございました。

12ページにございますように、移行ポートフォリオは20年度末までに最終的な姿としての基本ポートフォリオに到達するように、毎年度均等に資産構成割合を変化させるように策定していたということでございまして、下の図は、この考え方を示したものでございます。預託金を含めた大きな四角形が年金積立金全体の移行ポートフォリオを示しております。そして、そこから預託金部分の、下のほうは点線ですけれども、三角形を除いた下のほうの四角形が市場運用する資産についての移行ポートフォリオでございます。

 一番下に全て実線で囲まれました細長い直角三角形がありまして、これが20年度末にゼロになっておりますけれども、一番下の三角形の部分は旧資金運用部からの借入れによる資金運用事業に係る部分ということで、最終的にはゼロになっています。

 最後に13ページでございますが、運用状況の評価でございます。賃金上昇率を上回る運用利回りのこれまでの実績は、平成24年度で10.09%、13年度からの12年間の平均では年度平均2.38%ということで、財政再計算、財政検証の前提を上回っております。厚生労働省の平成24年度年金積立金運用報告書には、このことについて「年金積立金の運用は年金財政にプラスの影響を与えている」と記述がなされているところでございます。

 以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、まとめて全部報告していただき、その後で議論をさせていただきたいと思いますので、続きまして国家公務員共済組合連合会から御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○国家公務員共済組合連合会長谷川資金運用部長 国共済連合会でございます。お手元の参考資料4-2を御説明させていただきます。

 1ページ、議決権行使状況でございます。上段の基本的な考え方でございますが、民間企業の経営に影響を及ぼさないことを前提といたしまして、個々の議案に対する判断は行ってございません。

 その下及び一番下には、当連合会、それから、委託運用機関との関係を示してございます。当連合会はコーポレートガバナンス原則に基づきまして、株主議決権行使ガイドラインを策定してございます。これを委託運用機関に示すとともに、各委託運用機関で定めているガイドラインと齟齬がないかどうかという確認を事前に行ってございます。その際、議決権行使の判断につきましては、長期的に株主利益の最大化を目指すということを提示しております。

 その上で、具体的な議決権行使につきましては、各運用機関に委ねるという体制となってございます。なお、個別判断を要する事項につきましては、事前に相談を受ける体制でございます。また、委託機関サイドでの行使状況につきましては、報告を受けまして年度に1回取りまとめを行いまして、ホームページ上で開示を行っているところでございます。業績不振先あるいは不祥事発生先等の企業の状況につきましては、別途取りまとめをいたしまして参考開示をしております。

 2ページ、流動性の観点でございます。ALMを踏襲いたしましてLDIの考え方で基本ポートフォリオを構築しておりますので、年金給付債務対応での負債ヘッジポートフォリオ、ここで預託金を含みますところの国内債券を保有いたしまして、負債サイドとのデュレーションマッチングを目指すことによりまして、実質的な金利リスクの中立化、それから、超長期投資によりますところの期間プレミアムの獲得を目指してございます。また、負債のキャッシュフローマッチングを念頭に置きまして、満期償還を構成するように管理してございます。

 なお、国内債券の種別構成でございますが、流動性の確保の観点から国債を中心といたしまして、公共債のウェートを高くしているところでございます。

 3ページ、ディスクロージャーの状況でございます。毎年度の運用実績につきましては、ここに掲げさせていただいてございますような市場動向、運用状況等の情報をホームページ上で開示してございます。そのほかにも運用の基本方針、あるいは先ほども申し上げましたような議決権行使のガイドライン等を含めたコーポレートガバナンス原則、それから、資産運用委員会で議論をしていただいた結果の取りまとめ等々につきましての開示を行ってございます。

 4ページ、委託運用機関の評価についてでございます。基本方針上の定めはそこに掲げてございますように、定量評価に定性評価を加えた総合評価とさせていただいているところでございます。

 まず1の定量評価につきましては、時間加重収益率をベースにベンチマークとの比較を行いまして、超過収益アルファの獲得状況でございますとか、アクティブリスクの取り方、その結果としてのインフォメーション・レシオの確認等のほか、ファンド相互間の横比較を実施しております。

 2で定性評価につきましては、運用組織の状況、運用体制、コンプライアンス体制の状況あるいは運用戦略の妥当性、リスク管理体制等々のチェックをすることとしてございます。

 5ページ、リスク管理の状況でございます。

 まず資産全体でございますが、基本ポートフォリオの遵守状況の管理ということでございまして、許容乖離幅の中に収まっているかどうかという管理がございます。この状況を踏まえまして、次に掲げてございますリバランスの検討というところに進んでまいります。

 次の年金財政上の評価に関しましては、大変恐れ入りますが8ページまでお進みください。運用の基本方針の定めの中に時価ベースでの総合収益の運用利回り目標につきましては、財政再計算において財務大臣が定める予定運用利率を実質的に上回ることというふうに定義をしてございます。

 下段を御覧いただきますと、この表記載のとおり、CPI勘案後の実質運用利回りをベースといたしまして、財政再計算想定値との比較を行ってございます。この際、単年度実績に加えまして5年、10年の中長期的な幾何平均値での評価も行ってございまして、この結果を資産運用委員会、外部の評価機関でございます評価委員会にお示し申し上げ、中立的な評価を受けているところでございます。

 直近5年につきましての単年度でございますが、リーマンショックが起こりました平成20年度には目標値を下回ってございますが、それ以外の各年度では上回ってございます。また、5年、10年の中長期的な期間で御覧いただいても、それぞれ上回る結果となってございます。

 大変恐縮ですが、もとの5ページに再度お戻りいただけますでしょうか。資産全体のところの上から4番目でございまして、基本ポートフォリオの検証につきましては毎年行うことが運用の基本方針に定められてございます。また、ALMアプローチを採用していることから、デュレーション管理を併せて行ってございます。

 次に各論部分ということで、まずインハウス運用についてでございます。対象は国内債券でございます。保険者の立場にございますので、負債サイドの年金給付のキャッシュフローに対応したポートフォリオ管理を行ってございます。国共済年金は成熟度が総体的に高うございますので、ネットの年金収支の不足分を運用収入で一部補うとともに、なお不足する分につきましては、債券・預託金の満期償還分を充てるという管理を行ってございます。そのほかにはクレジットリスク管理ということで、格付基準あるいは集中投資に係る制限といったものを設定してございます。

 なお、短期資金につきましてもクレジットラインの管理を同様に行ってございます。

 委託運用の対象でございますが、金融4資産ということでございます。委託運用機関の選定を公募手続を経て行った上、選定された運用機関には運用プロダクトごとにガイドラインを提示いたしまして、その遵守状況を適宜モニタリングいたします。

 次の運用状況管理につきましては、月次報告を徴求するほか、定期ミーティングは四半期に一度実施してございます。また、パフォーマンスの急激な悪化等、必要に応じて随時ミーティングを設定してございます。それから、組織運用体制、コンプライアンスの状況にも留意させていただいてございまして、運用体制の変更やコンプライアンス上の問題でのファンド解約等も実績としてございます。そのほかに信用リスク管理がございまして、トータルの評価として委託運用元本の変更や、委託契約の解約といったような対応をとってございます。

 貸付金や不動産といったいわゆる共済独自資産につきましては、想定どおりの約定元本の回収となっているかどうかといった管理を行ってございます。

 6ページ、委託運用資産のパッシブ・アクティブ比率を中心に掲げてございます。運用の基本方針には各金融資産別のメルクマールを掲げてございます。

 まず国内債券でございますが、原則100%パッシブということでございますけれども、ごく一部、事業再運用によるクレジットリスクを取ったアクティブ運用がございます。これは自家運用の国内債券部分が大宗でございまして、この部分ではデュレーションリスクを取る運用を行いまして、委託運用部分でごく限定的に専門の運用機関にクレジットリスクを取って、超過収益アルファの積上げをしてもらっている状況でございます。外債はパッシブ100%でございます。

 株式につきましては、資産運用委員会での御議論を踏まえましてパッシブコア、アクティブサテライト方式でございます。なお、超過収益アルファの獲得可能性の観点から、同様に運用委員会で御議論をいただいてございまして、国内株式のアクティブ比率を外国株式に比べまして多少高めに設定してございます。

 下段には平成24年度末の状況を示してございますが、基本方針に則った状況となってございます。

 7ページ、ベンチマークの設定状況でございます。政策ベンチマークはごく一般的なものでございます。外貨建て資産につきましてはヘッジあり・なしのそれぞれ2つございます。

 まず国内債券でございますが、NOMURA-BPI総合と超長期。負債のベンチマークはNOMURA-BPI超長期といたしてございます。国内株式はTOPIX、外債はシティのWGBI(世界国債インデックス)。外株はMSCI-KOKUSAI。短期資産は新発CDとしてございます。

 8ページは先ほど御説明申し上げましたとおりでございます。

 国共済連合会からの御説明は以上とさせていただきます。

○米澤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、続きまして地方公務員共済組合連合会から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○地方公務員共済組合連合会川島資金運用部長 地方公務員共済組合連合会から、資料4-3の参考資料を説明させていただきます。

 2ページ、まず議決権の現状でございます。地共連では受託者責任を果たす観点から、16年4月にコーポレートガバナンス原則を策定しております。また、株主議決権ガイドラインを制定いたしまして、株式の運用を委託しております運用機関に対しまして提示、遵守を求めております。

 地共連といたしましては、株式を実質的に保有する株主として、長期的な株式価値の向上に資するように行動することが重要だと考えてございます。

 運用の受託機関に対しましては、ガイドラインに基づきます議決権行使を求めますとともに、年次で議決権行使結果についてヒアリングを実施してございます。また、運用受託機関の意見等も踏まえながら、必要に応じましてガイドラインの改正を行ってございます。

 また、議決権の行使結果につきましては、ホームページ等で公表しているところでございます。

 3ページ、運用実績の公表資料でございますけれども、地共連では年に1回、年度の運用実績につきましてホームページで公表してございます。そのほか、組合員の代表者から構成されます運営審議会に対しまして、年度途中の12月末時点の運用実績を報告しているところでございます。このほか株主議決権の行使状況等をホームページで公表してございます。

 また、各共済組合向けの広報誌に年度の運用実績について掲載をいたしてございます。

 4ページ、運用受託機関の評価方法でございます。地共連では定量評価と定性評価を合せました総合評価によりまして、運用受託機関を評価しております。定量評価につきましては運用受託機関ごとに設定した資産別のマネージャーベンチマークに対する超過収益率を引用しているところでございます。また、定性評価につきましてはスタイル登録どおりに運用がなされているかどうかを中心といたしまして、定期的にヒアリングを行って評価を行っているところでございます。

 5ページ、地共連におけますリスク管理でございます。地共連では資産全体のリスク管理といたしまして、日々月末の資産構成比から推計いたしました基本ポートフォリオからの乖離状況を確認いたしてございます。当該乖離の状況を踏まえましてリバランスを行うかどうか検討いたしているところでございます。参考までに24年度末の資産構成比の状況を記載してございますけれども、いずれも資産のプラスマイナス5%の許容乖離幅の範囲内に収まっている状況でございます。

 資料の左下のボックスをごらんください。こちらに各資産のリスク管理につきまして記載してございます。

 1つ目に記載してありますように、地共連では毎年基本ポートフォリオの検証作業を行ってございます。この中で各資産の期待リターン等、ポートフォリオ時の数値と大きな変更がないかどうか確認作業を行っております。

 2つ目の要因分析につきましては、月次ベースで各資産の超過収益等につきまして分析を行ってございます。

 3つ目のスタイル分析につきましては、四半期ごとに行っている状況でございます。

 次に、資料の右下のボックスをお願いいたします。これらにはその他のリスク管理について記載しているところでございます。信用リスク、分散投資の状況について運用機関から報告を受けております。また、3つ目の運用機関の経営状況、運用体制につきましては定期的にヒアリングを行って、大きな変更が生じていないか確認をいたしております。

 4つ目の独自運用につきましては、資産残高といたしましてはかなり少額でございますけれども、一部地方公共団体に証書方式で貸付けを行っているものがございまして、利払いの際に償還状況を確認している状況でございます。

 6ページ、リスク管理について2でございます。こちらでは自家運用に関しましてどのようなリスク管理を行っているか記載してございます。地共連におきましては資金運用部の中に運用第一課というものがございまして、そこで国内の債券運用を行っている状況でございます。月次で執行計画書を作成するとともに、執行状況につきましては随時、企画管理課という別の課に報告する体制となってございます。また、内部の資産運用委員会で月次ベースで執行状況の報告、四半期ごとに証券会社との約定につきまして報告する仕組みとなってございます。

 7ページ、ベンチマークの設定状況でございます。こちらに国内債券以下、資産区分に基づきまして地共連が採用しておりますポリシーベンチマークを記載してございます。

 続きまして8ページ目の年金財政上の評価でございますけれども、地共連には年金財政再計算上の運用利回りから物価上昇率を控除いたしまして、実質運用利回りと運用実績の比較検証を行ってございます。基本ポートフォリオの策定時に対物価で行うのか、対賃金で行うのか検討いたしました結果、期待リターンの将来予測に当たりましては、将来の賃金上昇率を予測している機関が少ない等の理由から、対物価での運用利回りの設定を行っているところでございます。

 資料にございますように、実質の運用利回りの過去8年の平均が2.78%となっておりまして、財政再計算上の実質運用利回りの8年平均1.14%を上回ってございます。また、過去10年で見ましても、財政再計算上の実質運用利回り1.40%に対しまして、実質運用利回りが3.58%と上回っている状況です。

 以上、地共連の報告でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、最後に日本私立学校振興・共済事業団から御説明をお願いしたいと思います。

○日本私立学校振興・共済事業団酒井資産運用室長 それでは、私学事業団の運用関係について御説明いたします。

 参考資料の1ページ、議決権行使の現状をごらんください。私学事業団では議決権行使について株主議決権行使に関する実務ガイドラインを定め、受託機関へ提示しております。この受託者は実務ガイドラインの判断基準も勘案の上、株主議決権行使の具体的基準を策定し、実務ガイドラインの趣旨に沿った株主議決権を行使することとしております。また、受託者に対し、株主議決権の行使状況の報告を行わせており、その結果につきましてはホームページにおいて公表をしております。

 2ページ、流動性の確保でございますが、運用基本方針及び運用ガイドラインに基づき流動性の確保を考慮しております。具体的な投資行動といたしまして、資産の売却に当たっては市場動向を踏まえつつ実施。運用受託機関の解約に伴う資産の再配分は現物移管を優先。株式運用については個別銘柄の選択指図は行わない。同一銘柄保有の上限の規定。自家運用の国内債券においては、特定の銘柄に偏らないよう組み入れるなど、流動性の確保に努めております。

 3ページ、運用実績の公表をごらんください。ホームページ等において資産運用に関する情報を開示しております。

 まず、運用実績につきましては年度の運用結果として運用状況、資産配分の状況、その年度の投資環境と投資行動、そして株主議決権行使の状況を公表しております。その他の情報につきましては運用基本方針を掲載しております。基本ポートフォリオの変更の際には、これを御案内いたします。さらに株主議決権行使に関する実務ガイドラインを掲載しております。ホームページ以外では広報誌において資産運用の概況等を周知しております。

 4ページ、運用受託機関の評価方法につきましては、運用受託機関に対する評価については定量評価と定性評価を合わせて総合的に行っております。

 まず定量評価ですが、各資産ごとにベンチマークに対する超過収益等を比較することにより行っております。

 次に定性評価ですが、運用スタイルと投資行動の整合性、付加価値を生み出す能力、リスク管理等に関する評価を行っています。これらの具体的な評価方法としては、毎月運用受託機関から報告を受け、運用状況等を確認しております。また、四半期ごとに運用結果等についてヒアリングを実施しています。これらヒアリング等を踏まえ、運用実績等をもとに総合的に評価を行っております。

 5ページ、リスク管理について1を御覧ください。運用資産のリスク管理ですが、まず資産全体のリスク管理として、運用資産については資産全体及び資産ごとに時価変動などを毎月把握し、必要に応じ適切な措置を講じています。具体的には基本ポートフォリオからの乖離状況の測定、資産全体のリスク量の測定を行っております。

 次に、各資産のリスク管理として、各資産のトラッキングエラーの数値の変化要因の分析と確認、資産のアクティブリスク等の測定、債券ファンドのデュレーション推移の確認を行っております。

 また、その他のリスク管理として信用リスク及びカントリーリスクの確認、カウンターリスクの確認、流動性リスクの確認、そして金利リスクの確認を行っております。

 6ページ、リスク管理について2、運用受託機関等のリスク管理ですが、資産の運用又は管理を受託した機関は、運用ガイドラインに従って適正に管理・運用する責務を負うこととされていますので、その運用ガイドラインの遵守状況の確認として、投資対象資産、リスク管理指標、ベンチマーク等の遵守状況の確認、信用リスク、流動性リスクの管理、リスク管理データ、運用報告書等の確認を行っております。

 また、運用受託機関等の運用体制の変更等の確認として、事業譲渡、合併等があった場合の影響、CIO、ファンドマネージャー等の体制変更の確認を行っております。

 自家運用の運用状況等の確認につきましては、自家運用は法令の規定、運用基本方針等に沿った対象資産を組み入れており、国内債券及び短期資産につきましては債券の格付の確認、購入債券の発行体の財務状況の確認、保有債券のデフォルト率の推移の確認、取引金融機関の信用リスクの確認を行っております。

 独自運用につきましては、貸付金・不動産の残高、割合の確認を行っております。

 7ページ、パッシブ・アクティブ運用の割合を御覧ください。各資産におけるパッシブ・アクティブ運用の割合は表のとおりとなっております。国内株式、外国債券はおおむね5割前後の割合となっており、外国株式ではパッシブ運用が多めになっております。全体としてはパッシブ運用が若干上回っている状況でございます。なお、国内債券につきましては全て自家運用により運用を行っております。

 8ページ、ベンチマークの設定状況です。事業団において設定しているベンチマークにつきましては表のとおりとなっております。国内債券ではNOMURA-BPI/Ladder10年を60%、Ladder20年を40%の複合ベンチマーク。国内株式ではRussell/NOMURA Total Marketインデックス(配当込み)。外国債券ではバークレイズ・キャピタル・グローバル総合インデックス(日本円除く、ヘッジなし、円ベース)。外国株式ではMSCI All Country World Index(除く日本)。短期資産では有担保コール(翌日物)を使用しております。

 最後に9ページ、年金財政上の評価をごらんください。事業団においては財政再計算の前提となった予定運用利回りを基本とし、賃金上昇率を踏まえた実質的な利回りを確保することを目標としております。表にあります平成22年度から24年度の実質的な運用利回り、表の中段の数値、左から1.08%、2.84%、9.97%ですが、これは平成21年の財政再計算の前提となった実質的な運用利回り、下段の数値でございますが、これを上回っている状況となっております。

 資料に関する説明は以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございました。

 以上で大きく議決権行使の状況であるとか、流動性の確保だとか、運用実績の公表、受託機関の評価、リスク管理、ベンチマーク、その中にパッシブ・アクティブの割合も含めて、最後に年金財政上の評価ということを、こういうような軸でもって各所でもって今どういうことで行われていたかを報告していただきました。

 一旦ここで質問とか御意見をいただければと思っております。いずれにしても各所で管理運用指針を定めるわけですけれども、幾つかのところでは同じですし、幾つかのところでは異なっているようなところがあるわけなので、無理に一緒にする必要はないのかもしれないかと思いますけれども、ここはまずいのではないだろうか、ここはこういうふうにしたほうがいいのではないだろうかという御意見がありましたらば、お願いしたいと思います。

○浅野委員 その前に、多分この委員会で問題になるのは資料5だと思いますが、先ほどから説明いただいたことも資料5に関連しての議論になるでしょうから、資料5について先に説明していただいて、それを踏まえて全体を議論したほうがいいのではないかと思います。

○米澤座長 そうですね。先にする必要がありますが、当然それはこの後で資料5をやっていただいて、そこが中心になろうかと思いますけれども、それを踏まえないとまずいですか。

○浅野委員 どうしてもそれと関連してきますので。

○米澤座長 わかりました。では、資料5のポートフォリオの話も続けて行って、全体で御意見をいただくようにしましょう。では、資料5の説明を続けてお願いしたいと思います。

○森大臣官房参事官 資料5「モデルポートフォリオと個別ポートフォリオの関係に関する論点」について御説明したいと思います。

 これにつきましては皆様方には今回、積立金基本指針というものを策定いただきまして、それに基づきまして今度、管理運用主体のほうで共同しまして参酌すべき積立金の資産構成の目標、モデルポートフォリオと申していますけれども、モデルポートフォリオというものを作成いただくわけでございます。このモデルポートフォリオにつきまして定めた場合につきましては主務大臣、厚生労働大臣ほかに共済担当大臣、3大臣でございますけれども、積立金基本指針に適合しているかどうかということにつきまして判断するわけでございますが、その適合判断にも関係しますが、このモデルポートフォリオと個別ポートフォリオの関係につきまして、あらかじめ本委員会につきまして哲学といいますか、考え方を御整理いただくとありがたいと思いまして、今まで御審議いただきました、今回も御審議いただきますけれども、4つの事項とは別に論点を整理したものでございます。

 資料5につきましては、まず被用者年金が一元化されることや、各管理運用主体の実勢を踏まえつつ、以下の論点についてどう考えるべきかということでございまして、1つ目の○でございますけれども、各管理運用主体の基本ポートフォリオで、どの程度各運用主体の独自性を認めるべきか。例えばある運用資産につきまして、モデルポートフォリオ上の資産構成割合と個別ポートフォリオ上の資産構成割合の乖離をどの程度認めるべきか。また、それとの関係でモデルポートフォリオにはどの程度詳細に内容を定めるべきか。

 2つ目の○でございますが、モデルポートフォリオの期待収益率は、財政検証で設定された運用利回りに基づき定められることになるが、モデルポートフォリオの期待収益率と個別ポートフォリオの期待収益率の関係をどう考えるか。

 3つ目の○でございますが、モデルポートフォリオに定められていない資産区分を個別ポートフォリオで定めることについてどう考えるか。逆に、モデルポートフォリオに定められている資産区分を個別ポートフォリオでは定めないことについて、どう考えるかということでございます。

 最後の○でございますが、また、資産区分を設定する際に、伝統的資産以外の資産を、資産、オルタナティブでございますけれども、資産のリスク・リターン特性の類似性等の観点から、伝統的資産と同一の資産区分とすることについてどのように考えるかということでございます。

 これにつきましては、主として前回で議論した論点2に関係することかもしれませんが、お求めでございますので、今、説明させていただきました。

○米澤座長 ありがとうございました。

 ここまで説明していただいたので、今日のメインのところの説明は大体全部終わって、このような点に関して皆さん方から御意見をいただきたいというのが今日の会議の趣旨でございます。

 どうしましょうか。最初にもし必要であるとすれば、このモデルポートフォリオと個別ポートフォリオの関係から少し議論をいただいたほうが座りがいいのかもしれないので、そちらから議論を始めて、必ずしも意見の統一は必要ないのかもしれませんけれども、大体流れが出ているところでさかのぼって運用指針とか、最初に説明していただいたほうに関して改めてもう一回問題点があれば指摘していただくという格好で、順番が逆になりましたけれども、そういうような格好でもって少し議論をしていきたいと思います。

 大分時間の余裕がございますので、御自由に。では改めて浅野委員からお願いいたします。

○浅野委員 モデルポートフォリオと各運用主体のポートフォリオというか、基本ポートフォリオの乖離を認めるとした場合、乖離する理由は何かということになろうかと思います。ポートフォリオは基本的には現代投資理論に基づいて作成することになっていますから、その中身を具体的に何か特定するのは難しいですが、大体の感じからいくとMV最適化を使えということではないかと思いますので、それを前提にしてお話しすると、乖離が起こるのは2つの要因があります。1つはリスク許容度が違うこと、もう一つは各資産の期待リターンに違う数字を持ってくるということになろうかと思います。

 その中でリスク許容度が違うということは、概念的に言うと年金一元化によってリスクはプールされるわけですから、あり得ません。そうすると、期待リターンに各運用主体が違う数字を置いて、その結果、基本ポートフォリオも違うものが出てくるということになります。こう考えていいのかどうかということですが、そうなるともう一つ、多分それ以上に現状から考えると違いが出ているのはどこかというと、一番典型的にはLDIにしているかどうかではないでしょうか。ライアビリティに対するヘッジングをどの程度やるかどうかによって大きく違ってくるのです。あるいは明確にLDIとは言っていないが、ベンチマークとして違うものを置いていることも違いをもたらしています。典型的には債券ですが、NOMURA-BPIではなくてNOMURA-BPIの超長期を使ったりとか、あるいはここにはありませんが、Ladderを使ったりということだってあり得ます。そうなってくるとアプローチというか、考え方のところで違いがあるということも含めて、基本ポートフォリオがモデルポートフォリオから乖離することを認めるかどうかということになります。

 表面的に同じようなアプローチをとっていたとしても、違ったベンチマークを使うということは、単にベンチマークの問題というよりもっと基本的な考え方の違いによるかもしれません。先ほどライアビリティのヘッジングということを言いましたが、その延長線上で考えると、今の年金の給付は物価スライドになっているわけですから、ライアビリティヘッジングをもっと全面に出すなら、物価連動国債をどんと入れるのがいいということになってきます。そうすると債券のベンチマークとしてNOMURA-BPIですよと縛ってしまうのが果たしていいのかどうか。ベンチマークを特定して無理にでも縛るのか、各機関別々の考え方でやっても構わないと言うのか。

 同じような問題は株のところでもあります。株は今、国内と国外に分けていますが、グローバルで1つにまとめてしまうという考え方もないわけではないし、外国と国内を分けた場合でも先ほどの各機関の説明の中にも出ていたのですが、ヘッジありでやるのか、ヘッジなしでやるのか。モデルポートフォリオがどちらかで決まっていたら、それに縛られてしまうのかという問題が出てくると思います。

○米澤座長 今、うまく整理していただいて、おっしゃるとおりで、認識は私も同じですので、ではどうしたらいいのか。どういうふうに決めたらいいのかという多少の哲学と、これはどう見てもおかしいよというのもあるのかもしれないし、先ほど言ったようにリスク回避度が違うというのは少しおかしいというのはそのとおりだと思うのです。ですから、そのあたりでもってそれにつけ加えて浅野委員の、私はこういうふうにすべきであるという意見があったらば、いただけると嬉しいなと思っているのです。

 大体、今の整理の仕方で私も異議はなくて、もしそれに付け加えるとすれば、各箇所で特異の資産を持っていますね。不動産であるとか。そういうものは多少制約になるのかもしれませんけれども、それ以外のところは大体おっしゃったとおりなので、例えば今、浅野委員が地方公務員共済の委員をされておりますね。そういうところからも踏まえて、こういうふうにしていただいたほうが実際として運用しやすい。かつ、全体として整合性が取れるのではないだろうかというのをもし、今すぐでなくてもいいのですけれども、案が出たらそこまで少し踏み込んで答えをいただくと嬉しいなと思います。

○浅野委員 具体的にこういう案がいいというのは、個人的にはないわけではないのですが、今の研究のレベルとかから考えると、これで決まりというのはなかなかないというか、言えないと思います。ですから、そういう意味でモデルポートフォリオというのはある程度示すにしても、これと違うアプローチもありうるという感じのものにすべきではないか。あるいは資産クラスの分け方とか、それぞれの資産クラスのベンチマークなども代表的にはこういうものがあるけれども、それ以外の選択もあり得る。現状では、こんな具合がいいのではなかろうかと思います。

○米澤座長 簡単に言うと、そんなに縛られなくて各所の工夫が生かされるような余地を残しておいてくださいということですかね。

 川北委員、どうぞ。

○川北委員 今の浅野委員の御意見にも関連するのですけれども、モデルポートフォリオをどうするのかという問題と、実際の運用において自由度をどう認めるのかというのはお互いに関連していて、相対的な問題です。モデルポートフォリオでよく分からないのは、どういうふうにそれを決めるのか。それによって大きく変わってしまう。

 浅野委員がおっしゃったように、多少選択肢があるよというふうな自由度を認める前広のモデルポートフォリオにするのか、現状において多分考えられているのはもう少しかちっとしたものをイメージされているような印象を受けているのですけれども、そうだとするとモデルポートフォリオ自身を現在各機関がやられている共通的な部分を取ってくるのが多分、一番安直な方法になってしまうと思うのですが、それでいいのかどうか。ちょっと議論する必要性があるという気がするのです。

 例えば浅野委員がおっしゃったように、通常のように株式を国内外に分けてしまうのか、国内債券の位置付けをどうするのか。負債との関連で考えるのかとか、ヘッジのあるなしということもおっしゃったと思うのですけれども、これらについて現状がこうだからこうだというよりは、もう少し自由に議論をして、その結果として新しく定めるモデルポートフォリオはこうなりますよ、若しくはいろんな議論をしたけれども正解というものがないので、多少この範囲内で少し自由度を持たせた感じで選択してもいいですよとか、そうしていただくと実際の運用に関してより効率的なというか、現実に即した、若しくは弾力的な運用ができるような気がします。

○米澤座長 どうもありがとうございます。

 では、臼杵委員、どうぞ。

○臼杵委員 今、お話が出たところとそんなには変わらないのですけれども、1つはやはり今回幾つもの組織に分けているという意味を考えると、ある程度自主性を認めないと分けている意味がない。同じだったら全部GPIFに委託運用すればいいわけですから、そこはやはり各機関の自主性をある程度認めるということなのかなと思います。

 だから自主性を認めるときにどういう箍(たが)というか、どういう制約を設けるかということになると思うのですけれども、1つの考え方としては今、川北先生もおっしゃったようにモデルポートがなぜそういうモデルポートになっているのかという裏の考えをはっきりさせて、それにのっとっていれば細かいところはそれぞれ任せる。例えば私はそれはいいとは思いませんけれども、例えばモデルポートのリスクの尺度を標準偏差とするのであれば、標準偏差が5%なら5%という中で、自分たちはこのポートフォリオであればそれを守れるんだというようなこと、そういうリスク許容度というか、リスクバジェットというか、その範囲であればよい。そのときに5%以内になっているかどうかというのは、それぞれの運用機関が自分の判断で決める。パラメータを上から与えるのではなくて、自分の判断でまさにプルーデントな判断において決めていただく。それは5年なのか10年なのかわかりませんけれども、その期間の中で決めていくということかなと思います。

 もう一つ、モデルポートフォリオと各運用機関のポートフォリオをどう決めるかというときに問題なのは、各運用機関のガバナンスというか、そこをどういう縛るかかということですけれども、今の各運用機関さんのお話を伺うと、それぞれにプルーデントであろうとしてしっかりやっておられるようなので、余りぎちぎち決めずにやってもそんなにおかしなことにはならないだろうと思います。

○米澤座長 ありがとうございます。

 ほかにありますでしょうか。小島委員、どうぞ。

○小島委員 既存の機関を通じて積立金を運用するが、法律上は厚生年金に一元化されることになっています。なので、最終的な運用目標は、今日の資料5のペーパーの論点の2つ目の○のところですが、しっかりと統一しておかないとまずいのではないかと思います。いわば厚生年金の積立金の運用目標をどう設定するか、その目標を運用機関がどう達成するかということになります。その際の運用目標は一本ということですけれども、運用のあり方は資産配分のあり方、リスクについてどう許容範囲を見るか、あるいはベンチマークを何にするかということによって多少違ってくるということだと思います。現実的には今、資産構成が各運用機関によって違いますので一気にはいきませんが、将来的にある程度揃えていくことが必要。そのため、現実的には移行ポートフォリオではありませんけれども、そのような形で各共済の運用機関のこれまでの経緯も含めた一定の独自性といいますか、自主性を認めざるを得ないと思います。そのような範囲の中でどこまでの乖離が容認できるかということだろうと思います。初めから全てモデルポートフォリオ以外はだめだという話にはならないと思っています。許容範囲をどこまで認めるかということだと思います。

○米澤座長 ありがとうございます。

 確かに今でも小島委員が指摘いただいたように、運用目標等に関しましては財政検証で設定して、それと整合的な形で実際のポートフォリオはGPIFのほうで定めているわけです。ですからポートフォリオまでこうしなさいという格好でもって指示しているわけではなくて、GPIFのほうでいろいろ検討して定めてくれているわけなので、1つは目標がきちんと定まっていれば、各所はポートフォリオを作りにいくことは不可能ではないわけです。

 そのときにもう一度モデルポートフォリオをどういうふうに位置づけるのか、私も多少どういうふうにしたらいいのかなということで考えあぐねているところがあるのですけれども、ですので整理すると運用目標のところがきちんとまとまっていれば、その後は各所でもっていろいろポートフォリオを作ることはそんなに別に難しいことではない。そこでもって出てくるのは、そんなに違ったものも出てこない。今の実際のポートフォリオはそれに近いと言えばそうだと思いますが、そういうものが出てきて、もう少しそれが採用されるのか、ないしはそこのところでモデルポートフォリオというのは何か参考になるのかどうかということなのかなと思っています。

 森参事官、このモデルポートフォリオの策定に関して何となくイメージ等がございましたら、何か少しアイデアをいただきたいのですけれども。

○森大臣官房参事官 哲学でございますので、皆様に御議論いただければよろしいかと思いますけれども、少し示唆させていただきたいのは、今の御議論ですとまず経済前提なり目標のところは一致ということでございますが、もう一つ、法律上は資産構成の目標でございますので、構成について、つまりアロケーションについても目標を立てなければいけないというのがモデルポートフォリオの考え方でございまして、それに則していわゆる個別のポートフォリオがあるという関係になっています。

 御意見いただいたところでは、そもそものモデルポートフォリオ自体を弾力化する、若しくはモデルポートフォリオ等は将来的な姿としていても、移行ポートフォリオということで個別ポートフォリオを徐々に移行させていく。2つの考え方があると思いますので、そもそもモデルポートフォリオにつきましてアセットクラスみたいなものは当然立てるのだと思いますけれども、それを立てた場合に個別ポートフォリオで違う資産区分を立てたらいいのかどうかとか、運用手法の拡大の検討も言われていますので、それを例えば各運用主体で独自に考えた場合に、ではモデルポートフォリオの関係をどうしたらいいのかみたいなものについても、一段深く御意見をいただければありがたいかと存じます。

○米澤座長 わかりました。モデルポートフォリオも示さなければいけないということで、失礼いたしました。

 では浅野委員、どうぞ。

○浅野委員 モデルポートフォリオを立てるというときに、誰がどんな議論をして、どこで立てるのかということが問題になってきます。その中でどういう議論がされて、その議論の中からこの乖離の許容幅とかも出てくるのではないかと思います。ただ、それをどこまで議論するかはなかなか難しいですが。

 ここで想定されているものはかなりがっちりしたものではないかと想像しますが、実際にやってみたらなかなか議論が集約されないかもしれません。また期待収益率は財政検証で設定された運用利回りに基づいて定めるとことになっているようですが、これまでというか前回の経緯を見ると、長期的には1.6%の実質利回りが目標になっていましたが、足元のところはそれよりうんと低くなっています。それで、今は達成できましたと言っていても、急にバーが上がって、今後は達成が難しいという問題も残っているので、そのあたりも議論していただきたいと思います。

 それはさておき、モデルポートフォリオができたとして、その後、何を基準に乖離するのか。運用目標だけで乖離の幅というか、自主的な判断の部分が決められるのか、あるいはそうではなくて、リスクの取り方で自主的な判断の幅を設定するのかという問題が出てきます。リスクの取り方という場合、リスクをどう測るかという大きな問題もあります。例えばリスクは債務、それも実質的な債務の増加との関連で測るとなると、結構これは大変なことになってくるかとは思いますが、年金の運用という観点からすると、そうしたことも必要になってくると考えます。

○米澤座長 今の御意見につけ加えるようなことはございますか。

○臼杵委員 1つお伺いしたいのは、財政検証が来年あるわけです。財政検証がある場合に今までの例ですとポートフォリオまでは想定していないのかもしれませんけれども、資産運用についてこのぐらいのリターンが上がって、このぐらいのリスクであるということが想定されていたわけです。それはやはり来年もそうなるという理解でよろしいですか。

○米澤座長 それはこっそりやらないと、いい加減な数字しか出てこない。今までもいい加減な数字と言いたいのかもしれませんけれども、ちゃんと裏でやっています。ですからそれは無理な数字は出していない。

○臼杵委員 それとモデルポートフォリオというのはどういう関係になるのですか。

○米澤座長 それは私も1つヒントになるのかなと思っているのです。何を言っているかというと、御存じない方も今、説明しますけれども、経済前提の委員会では目標を与えるだけなのですが、目標を与えるときに実は大体このぐらいのポートフォリオだろうということを作って、そのもとで実現可能な数字を目標として与えるのです。ただ、出てきたときにはポートフォリオの姿は消しているわけですけれども、裏では作っているわけです。先ほど私が言ったように数字が出てきて、これだけのリスクでこれだけのリターンではなくて、賃金上昇率プラスアルファという格好でもってGPIFのほうに渡して、GPIFはそれを受けてポートフォリオを作ることになっています。

 ですので今、臼杵委員がそこまでのことを言っていたのかどうか定かではありませんけれども、作っているか作っていないかで言えば作っているわけなのです。ただ、それを例えばここで言うところのモデルポートフォリオに出したとすると、手続上には何か問題は出てきますか。法律のたてつけのところから言って。

○森大臣官房参事官 積立金基本指針につきましては大臣のほうで作ることになりますけれども、モデルポートフォリオにつきましてはあくまで各管理運用主体の自主性ということでございますので、各運用主体の方が集まって作っていただくことになります。それは要するに積立金基本指針に反しているか反していないかということで主務大臣がチェックすることになります。それは今、この検討会では保留させていただいていますけれども、経済前提積立金の専門委員会で財政検証を踏まえたところの運用目標の定め方等を検討しておりますので、それに関する資料等につきましては、それは管理運用主体の方で御検討いただくときに提供できるかと思いますが、あくまで作成主体につきましては管理運用主体の方々に自主的に作っていただくということでございます。

○米澤座長 例えば年金財政の財政検証のほうでは、ちなみにこういう格好でもって、こういうポートフォリオを想定して、こういうような目標を出したということで、参考として運用主体の方々にお見せするということは別に問題ないわけで、参考としてですね。それでもってそこに集まった方たちが作っていただくというプロセスは、特段問題はないという理解でいいですか。

○森大臣官房参事官 経済前提と積立金の専門委員会でやっているものは、分散投資効果ということではじいているものでございますが、必要があればそういうものについてお示しすることはあるかと思います。

○米澤座長 というか、やはり各主体が3つ作って平均値としてモデルポートフォリオというものではなくて、最初にモデルポートフォリオがあって、そこをリファレンスしながら各主体で作っていくほうが健全だし、もっともらしいと思うので、最初はゼロベースでモデルポートフォリオみたいなものを作っていただいて、一定の範囲内で各所がそれを参考にしながら工夫して精緻なものを作っていくというのが、私としては妥当かなというか、そちらのほうがすっきりしているなという感じだと思いますので、やはりどこかで作らなければいけないということですね。

○臼杵委員 そうすると、実際にモデルポートフォリオを作るときの手続を考えると、賃金プラス例えば何パーセントという目標はあるわけですか。

○米澤座長 あります。

○臼杵委員 それをだからできるだけ少ないリスクの中で達成するようなものが、モデルポートフォリオだと。それはそのときの考え方によるのですけれども、そういう理解でよろしいですね。

○米澤座長 だと思います。それが1つの考え方です。それは十分に可能な話ですね。

○浅野委員 運用目標の数字が与えられたとして、一方で各運用主体に自主性を認めて、期待リターンの置き方はそれぞれの見解を入れてやってもいいとなると、その間にギャップができるわけだから、必ずしもその目標どおりにはなりません。ある機関が慎重に期待収益率を出してやると、運用目標を達成するためにはやたらリスクを取らなければいけないということになってしまいますが、それはどうするのですか。むしろそういう場合はリスクのほうでこれぐらいとかいった縛りのほうがいいのではないかと思うのですけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。

○米澤座長 今はリスクを明示的に出してはいないのですけれども、運用目標を作るときにリスクのほうで押さえているので、結果的にはそこからそうずれない限りは、リスクとしてもそう大きなリスクを取ることにはならないようなポートフォリオになっています。ただ、以降も同じような目標でもって、要するに全額債券並みのリスクというところでもってしていくか、あるいは検討の余地があるのではないか。むしろ私としては現在の目標の与え方はそんなに悪くない目標の与え方、それの根拠になっているのが今、言ったリスクのほうですので、改めていい定め方の1つかなと思っています。ですから、そうでない場合に関しては、少し危険なポートフォリオを作ってしまう可能性もあるということを心配しているわけですね。

 森参事官、どうぞ。

○森大臣官房参事官 今の話はまさに積立金基本指針2ということでございまして、資料1を見ていただきたいと思いますけれども、積立金の資産の構成目標に関する基本的事項、つまりポートフォリオの定め方ということでございますが、これにつきまして想定された事項につきましては、財政検証における経済前提として設定される実質的な運用利回りを達成することや、モデルポートフォリオ利用に基づき作成されるということでございまして、これは経済前提専門委員会の経済前提が出ましたら、先ほど申しましたとおりこの検討会では現在保留させていただいたところでございますけれども、改めて御議論いただければと存じます。

○米澤座長 ということでございます。

 川北委員、どうぞ。

○川北委員 多少細部に入る議論なのですけれども、いずれにしてもモデルポートフォリオを作るときには過去の数値を検証して、それをベースにリスク、リターン、モデルポートフォリオに基づいて計算していくことになると思うのですが、そのときに公的・準公的資金の運用リスク・管理等の有識者会議で出ているような、例えば株式のベンチマークをどうするのか、ここは有識者会議の中ではTOPIXは疑問符が付くよという書き方がしてあって、ほかのベンチマークもというふうなことなのですけれども、このあたりをどうするのか。

 とりあえず長い数字があるのはTOPIXですし、有識者会議で書いてあるJPX400というのは試算されているのはたしか7年間ぐらいしかなかったり、それを使えと言われても多分なかなか使いづらいと私は思っているのですけれども、とりあえずはそういうTOPIXならTOPIXベースで計算をしてみて、その後で一定割合はJPX400でもいいですし、もっと違うものでもいいですと。そういう議論なのかどうなのか。この点も、実際にモデルポートフォリオを作って、多少自由度を認めるというのであれば、ある程度決めておかないといけない問題なのかなと思っています。

 それと同じような観点なのですけれども、これもモデルポートフォリオよりももう少し下の話なのですが、現在この資料1の3の遵守すべき事項ということで、ポツの3つ目に市場や民間の活動への影響に配慮することと書いてあって、各運用機関の説明にあった議決権行使の話が乗っているわけです。自分では行使しない、議決権行使の報告をさせているということなのですけれども、これも有識者会議のところで、そうではなくてスチュワードコード的な観点で考えなければいけない。単純な議決権行使よりはもう少し踏み込んだ書き方をしてあると私は読みました。企業活動への影響に配慮し積極的な行動はしないということは逆に言うと消極的であり機会損失を被っていることにもなり得ると思うのです。ダイレクトに各運用機関が活動することは無理だと思うのですが、委託先に対してこういうことをもっとやれと指示する。そこまで認めることができるのかどうか。私は認められると思うのですけれども、現状よりもう少し踏み込んだ認識になりますね。この点をどういうふうに位置付けるのか、考えておかないといけない。

○米澤座長 そうですね。この後、有識者会議の話で報告が中心になりますけれども、もしそれを全部やるとすると相当大変なハードルも書かれていますので、それをどこまで取り組むのか。

 ただ、私の感じではこれはいい意味でも悪い意味でも4つの中のGPIFにフライングぎみで先走れるところは先走っていただいて、あとのところはそれを見ながら取り込めるところは取り込んでいくというのが現実的かなと。その意味でも少しフリーハンドの余地を残しておかないと、そういうことはGPIFとしてもできないということなので、そんなイメージを持っています。ですから、そういう意味でがちがちにしなくて、何か少しいけるところはどんどん進んでいっていただくということですし、有識者会議でも念頭はGPIFを想定していますので、いきなり3共済に同じことをやれと言うつもりで書いていないわけですので、そこのところは少し順番があってもいいのかなと思っています。

 できれば前のものも触れていただきたいのですけれども、どうぞ。

○浅野委員 今、有識者会議の話が出ていたので、それとの関連で遵守すべき事項について意見を述べたいと思います。

 有識者会議の中では、アクティブをもっとやれというようなことが書かれていましたが、今、各運用機関から説明のあったところをまとめると、大体パッシブがかなり多いようです。それに対してアクティブ比率をもっと高めなさいということをモデルポートフォリオとともに言うことになるのでしょうか。個人的にはそれでいいと思うのですが、そのほかにも幾つかそういうものに関連して論点があると思いますので、それについて触れさせていただきます。

 1つは運用委員会と各運用主体の役員との関係です。資料2の17ページを見ると、透明性の向上のために運用機関等の選定についても、運用委員会の審議を経るという書き方がしてあるのですが、この運用委員会がどこまでそういうものに関与するのか。私は、運用委員会はパートタイムで大して報酬ももらっていないので、その人たちにそんな責任までとても負わせられない。やはり各機関の役員の方がしっかりそういうところで意思決定してもらって、運用委員会はせいぜい出てきた結果を見て注文をつけるとか、チェックをするとかくらいではないかと思うのですが、こういう運用委員会の役割とか、その前にさかのぼって組織などについてもある程度指示を出すのかどうかということが1つ。

 アクティブ・パッシブ比率については先ほど言いましたが、それに関連してどの程度アクティブにやるかということについても、ちゃんとそれぞれ定めなさいというところまでいくのか。

○米澤座長 それぞれの箇所で定めなさいと。

○浅野委員 そういうふうに言うのか、それともモデルポートフォリオのなかでアクティブ比率はこれぐらいで、アクティブを運用するときはこれくらいアクティブリスクを取ってもいいですよというようなことを言うのか、それは各機関で勝手に決めなさい、きちんと決めないといけないとだけ言うのか。

 例えば具体的に言うと、今の資料2の35ページでは、国家公務員共済連合会はアクティブポートフォリオの特性の目標と書かれているのですけれども、このようなことをする必要があるのかどうかということです。ほかの機関はそんなことやっていません。なお、私はこの数字に少々疑問があります。アクティブポートフォリオの標準偏差5.9bpというのは、これはアクティブポートフォリオだけではなくて、全体で薄めたときの数字を言っているのでしょうか。普通、株式でアクティブ運用というとき、例えば比較的アクティブリスクが、トラッキングエラーで測ってですが、小さいと言われているクォンツだって2%とか3%とかというレベルで、もっと伝統的な銘柄選択をアナリストに基づいてやるのだと5%だとか物によっては10%近いものがあります。ですから、この数字がどうして出ている数字なのか疑問に思っているのです。それはともかくとして、そうした数字の設定をするということまで各機関に要請するのでしょうかというのが質問です。

○米澤座長 そういうものもできれば決めてほしいのですが、そういうのはしないのではないでしょうか。上からはしないという理解で先ほど議論をして。

○浅野委員 上からはしないけれども、各運用機関はうちはこれぐらいでやりますということを言うのですね。

○米澤座長 もちろんアクティブ比率は決めていただいて。

○浅野委員 アクティブ比率は決めないといけない。アクティブリスクの程度までも決めて公表しないといけないということですか。

○米澤座長 各機関はそうだと思います。

 もし今すぐ答えられるのであれば、お願いします。

○国家公務員共済組合連合会長谷川資金運用部長 ここはあくまでも全体のアクティブポート特性ということでございまして、御案内のとおり我々の基本ポートフォリオは現行債券比率8割でございます。したがって、そこの部分はほとんどアクティブをとっていない。先ほど申し上げました事業債で若干とっているだけということでございますので、総じて全体で加重するとこういう比率になるということでございます。それぞれの内外株については相応のリスクレベルのものを前提としてございます。

以上です。

○米澤座長 森参事官、組織の話はここでは想定しておりませんね。

○森大臣官房参事官 これは昨年8月に開催されました一元化法に基づくものでございまして、各組織等につきましては既に共済も含めて、GPIFも含めて、別途というか、そこの組織を前提といたしまして、この積立金の基本指針、これは2710月施行ということでモデルポートフォリオの策定に基づくところの個別ポートフォリオの策定等に係る1つの手続でございますので、積立金の基本指針において例えば別途各共済、GPIFの組織の変更を御議論いただくという趣旨では全くございません。

○米澤座長 ありがとうございます。

 臼杵委員、どうぞ。

○臼杵委員 名古屋に帰らなければいけないので、3点申し上げさせていただきたいと思います。

 1つ目は、自主性をなるべく認めようという今の大きな議論の流れの中でどうするかということなのですが、今の浅野先生の議論とも関係するのですけれども、ある程度決めることとか開示する項目は上からある程度決めていいと思うのです。今の話でいくと例えばアクティブ運用についての考え方ですとか、アクティブ比率をどう決めるかとか、あと、私が1つ気になったのは運用成果の公表の方法なのですけれども、例えば幾何平均と算術平均が混ざっていたような気もしますし、本来であれば年金の運用からいくと時間加重だけではなくて金額加重みたいなものもあったほうがいいのかなという気がしますので、例えばそういうような公表の方法というようなことも含めて、モデルポートフォリオの裏の考えと成果について、こういうことを決めなさいということは上からあってもいいのかなというのが1つです。

 2点目は森参事官からも先ほどお話があったのですが、資産配分とか資産クラスの考え方なのですけれども、たしか法律ではかなりそれをきちんと決めるということになっていると思うのですが、今の流れから、例えば株式を内外一体にするのはかなり最近では普通になってきている中で、国内株と外国株を分けてももちろんいいのですが、分ける必要はないと判断したときに、それを妨げるようなことがあるか。あるいは債券で言うとヘッジつき外債というものを入れたいというときに、それを新しいアセットクラスとして立てたいというようなところがあったときに、それを妨げるようなことがあってはよくないと思うのです。それは法律とどういうふうに整合的にやるかというのは私はよくわからないのですが、ぜひ年金局のほうで英知を絞っていただいて、極力自主性を生かすような方向で考えていただければなというのが2点目です。

 3点目はここで議論すべきことではなくて、若干領空侵犯というか越権的なことになると思うのですが、先ほどから浅野先生も少しおっしゃっていたリスクをある程度縛ったほうがいいのではないか。リスク許容度というお話があったときに、リスクの尺度なのですが、1つは債券並みという話があるのですが、ただ、その債券並みもアセット側だけを考えた標準偏差で考えるのか、対賃金に対するトラッキングエラーというもので考えるのかでまた違ってくると思うのです。

 だから今のGPIFのポートフォリオが1つの出発点とすれば、もう少し有識者会議なんかの方向ですと、リスクをもう少し広げるということなのかもしれませんけれども、今のポートフォリオがどういうリスク特性を持っているのか検証していただく。

 そのときに、これは私の個人的な考え、思い入れも入っているのですが、先ほど浅野先生もちょっとおっしゃっていたALM的なものも少し入れていただければと。例えば外国の例でスウェーデンなんかですと自動修正条項でしたっけ、名前は違うと思うのですが、それが発生する確率をできるだけ下げるということで、その確率が多分、リスクの指標になっていると思うのです。それを日本のほうに持ってくると、例えばマクロ経済スライドが終了する最悪5%のタイミングとか、あるいはそのときのモデル所得代替率とか、そういうものも多分考え方としては入れられてはどうか、もちろん技術的にはいろいろあるかもしれませんけれども、今の積立金の中でもGPIFなんかでもやっていますが、積立金が財政検証の数値に比べて最悪の場合にどれぐらい悪くなるかということをやっているわけで、同じようなパラメータ、前提を使えば賃金と物価を確率変数にしなければ多分それはそんなに難しいことではないと思うので、ぜひそれも御検討いただければということです。

 以上です。

○米澤座長 どうもありがとうございます。

 それでは、こちらも少し駆け足で。

○小島委員 簡単に私のほうからも。

 初めの資料2の関係のところで、2つほど意見と質問があります。1つ目は株主議決権行使ガイドラインの関係です。GPIF以外の各共済関係ではガイドラインを自らが作って、受託先にそれに合わせたガイドラインの策定を求めている。この点については前からGPIF自身もガイドラインを作ればいいのではないかという主張をしているので、今後検討していただければと思います。

 もう少し踏み込みますと、先ほどの有識者会議の報告書の中にもスチュワードシップ・コードなども検討すると書いてあります。これは多分アクティブ運用をもっと積極的にやれということとの裏返しの話だと思うのですけれども、地共連も国共連も責任投資(ESG)に関する運用を一部やっていると伺っています。コーポレート・ガバナンスもESGの中に含まれていますので、社会あるいは環境等に配慮した投資ということについて、今後検討いただきたいと思います。

GPIFが先ほど説明の中で(資料4-1の3ページ)、運用ガイドラインをGPIFが作って、それに基づいて、運用受託機関が株主議決権行使ガイドラインを策定するとのことでした。運用受託機関が作っている株主議決権行使ガイドラインの中身については、GPIFとして検証というか、内容について触れているのかどうかというのが1点目の質問です。また、同じく3ページの右側の一番下に「改善が必要な指摘事項」として、「一部の運用受託機関は改善の必要性が認められ、その運用受託機関に対しては、個別に改善を求めた」とあります。これは株主議決権行使ガイドラインを作っておきながら行使しなかったということなのか、具体的にどういう点を指摘したのかというのが質問です。

 もう一つ、パッシブとアクティブの関係です。地共連以外は一応、規定の中でパッシブ運用とアクティブ運用の比率を決めています。地共連については特段触れられていないのですが、どのような基準で行っているのでしょうか。私学事業団は比率的には大体半々でやっているとなっていますけれども、一方、GPIFはパッシブを中心にと規定されています。国共連と私学事業団も、パッシブ運用とアクティブ運用を併用するという表現ですけれども、違いは若干ありますが、中身の実際の比率で見るとGPIFと国共連の全体の比率はそれほど大きく変わらないように見えます。地共連はどのような基準でされているのかというのが質問です。

○米澤座長 では2点大きく、最初の議決権行使に関しましてGPIFのほうで簡単にお答えできることをお答えお願いしたいと思います。

○年金積立金管理運用(独)青木審議役 1点目でございますけれども、運用ガイドラインとしてこの議決権行使に関する内容を、GPIFのほうから受託機関に対して何を示しているのかというお尋ねかと存じますけれども、先ほどの3ページのところの資料の※印に書いてございます「コーポレートガバナンスの重要性を認識し、議決権の行使の目的を長期的な株主利益の最大化を目指すものとする」という、まさにこのことを示しているということでございまして、細かな内容について何か示しているということは現状ではないということでございます。

○小島委員 運用受託機関が作っている株主議決権行使ガイドラインの中身を検証しているというわけではないということですか。その内容ついては何も触れていないのですか。

○清水調査室長 そこについては実際に作っているガイドラインを我々としてはちゃんと入手をして、それに基づいて実際の各運用受託機関が自らが作ったガイドラインに基づいて議決権行使をしているかどうか。そういったチェックをしていると御理解いただければと思います。

○年金積立金管理運用(独)青木審議役 2点目で、この3ページで言いますと改善が必要な指摘事項についてのお尋ねかと思いますけれども、24年度について申し上げますと、外国株式につきましてシェアブロッキング制度という制度がございまして、株主総会が終了するまでの一定期間、議決権を行使する株主の株式売買が凍結されるという制度がございまして、これが廃止された国であって、資産管理機関等からその国ではシェアブロッキング制度が廃止されているという情報がありながら、そういう情報を活用して議決権行使に取り組まなかったとか、そういうようなところがあったということでございます。

○米澤座長 それでは、次にアクティブ・パッシブの話でもって、これは地方公務員共済からお答えいただければと思います。

○地方公務員共済組合連合会川島資金運用部長 地共連のアクティブ・パッシブの話なのですけれども、基本指針のレベルでアクティブ・パッシブの運用の比率というのは決めているわけではないのですが、内部で目安的なものをもって運用させていただいております。結果として国内株式について見ますとパッシブが64.16、アクティブが35.84という形で、このような数字に結果としてなってございます。

○米澤座長 よろしいでしょうか。

 それでは、時間も大分押してきたのですけれども、残りの公的・準公的資金の運用リスク・管理等の報告書に関しまして、事務局からお願いしたいと思います。

○森大臣官房参事官 議論の中でも何回か言及されたものでございますけれども、去る1120日に内閣官房でございますが、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議から御提言いただきましたので、御報告させていただきます。

 報告書本文でございます資料6-2で御説明させていただきます。2ページ目を見ていただきますと、真ん中、当有識者会議の検討対象とした公的・準公的資金とございまして、ここで御議論いただいていますGPIF、国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済と独立行政法人等でございまして、全体200兆の中でこの公的年金の占める部分が大きいというものでございます。

 「2 デフレからの脱却を見据えた運用の見直し」でございますが、運用の目的のところは、被保険者の利益を優先する資金運用は結果的に日本経済に貢献するものとなり、また、各資金は資金運用により経済成長の果実を享受する立場もあるから、経済成長と資金運用の好循環が期待されるということで、専ら被保険者の利益という話と、我が国の経済成長のwin-winという形で整理されております。

 3ページ、運用目標の方針でございますが、適度なインフレ環境へと移行しつつある我が国経済の状況を踏まえれば、国内債券を中心とする現在の各資金のポートフォリオについては、見直しが必要であるということがメッセージでございます。

 2の収益目標、リスク許容度の設定につきましては、収益目標を設定する場合におきまして、その収益目標と表裏の関係にあるリスク許容度のあり方についても検討すべきということでございまして、具体的に注のところでございますが、フォワード・ルッキング的な検証等を実施。モデルを用いたリスク計測が必要だという形でございます。

 3の運用コストにつきましては、低水準の運用コストではかえって十分な情報は得られず、貴重な運用機会を逃しているという話がございまして、その御指摘がございます。

 4ページ、ポートフォリオの1、運用対象の多様化ということでございまして、市場環境の整備状況を踏まえつつ、リスク体制の構築を図った上で新たな運用対象、例えばREITとか不動産投資、インフラ投資、ベンチャー・キャピタル投資、プライベート・エクイティ投資、コモディティ投資などを追加することにより、分散投資を進めることを検討すべきということがございます。

 またアクティブ比率2でございますが、各資金とも総じて低くなっているということでございまして、各資金の規模や性格に応じ、アクティブ運用の比率を高めることを検討すべきである。ただ、なおとしまして、アクティブ運用については取引手数料、運用報酬とのコストが上昇し、パッシブ運用に比べてネットのリターンが必ずしも増加するかどうか明らかでない場合もあるという御懸念も示されているところでございます。

 5ページのパッシブ運用のベンチマークにつきましては、各運用機関は現行のTOPIXを中心に忠実にトラックしている場合が多いが、その対象先の中には十分な収益性等が認められない先も含まれることから、より効率的な運用が可能となるような例えばJPX400みたいなものを利用する等の改善策を検討してはどうか。ポートフォリオやヘッジ方針につきましても、経済環境や市場環境の変化が激しい昨今の傾向を踏まえれば適宜点検し、必要に応じて見直すことが重要であること。

 後はめくっていただきましてガバナンス体制のところでございますけれども、先回も御説明いたしましたが、積立金基本指針として大臣から示すわけでございますが、こういうものにつきましては運用機関の自主性や創意工夫を損なわないよう留意する必要がある。ただし、公的年金については担当大臣が運用機関の所管大臣としての立場に加えて、保険者としての立場もある場合もあるということで留意事項がついてございます。

 組織のところは飛ばしまして、7ページのリスク管理体制のところでございますが、フォワード・ルッキングなリスク分析ということで、過去のデータに依存したリスク分析を行うだけでは不十分ということでございまして、今後の経済状況の見通しを踏まえ、資産・負債の両面に係るフォワード・ルッキング的なリスク分析を行う必要があるということ。

 また8ページに移りますけれども、デフレ脱却を見据えた対応策も重要だということでございます。

 4は今日議論していただいた議決権行使も関係しますけれども、今、金融庁で検討されています日本版シチュワードシップ・コードに係る検討の結果も踏まえた方針の策定、公表を行い、運用受託機関に対して当該方針にのっとった対応を求めるべきであるという話。ただ、その一方で各運用機関本体による過度な経営の関与は一律の方針設定に基づく形式的な議決権行使が行われないよう留意が必要であるということが書いてございます。

 また、小島委員から御発言がございましたが、最後に財務的な要素に加えて、非財務的な要素であるESGを考慮すべきとの意見もあり、各資金において個別に検討すべきものと考えられている御提言をいただいてございます。

 以上でございます。

○米澤座長 どうもありがとうございます。

 大分時間も押しているのですけれども、ぜひ一言言わせてくれという方がおりましたら。

○浅野委員 有識者会議の結論で我々の運用に一番影響がありそうなのは、株などのリスク資産への投資を増やせということ、2番目がTOPIXではなくてほかの指数を使いなさいということと、3番目がもっとアクティブにやりなさいということですね。

 基本的に私はそれには賛成なのですけれども、ただ、今、我々が議論している現代投資理論に基づいてとなると、なかなかそういう結論は出てこないと思います。なぜかというと、リスクは、その測り方にはいろいろライアビリティの関係とか議論があるとしても、基本的に標準偏差で測るということですね。ところが、標準偏差が小さかったから安全で、年金は将来にわたって給付が安心ですよと言えるかというと、必ずしもそうではありません。年金の給付が将来にわたって安心できるというのは経済が活性化して雇用が増えるというような場合だと思いますが、我々の今のアプローチではそれは含んでいませんから、そういう要因まで考えてポートフォリオを組むとしたら、現代投資理論から脱却しないといけません。あるいはそれにプラスアルファの要素を加えなければいけないことになってくるのではないかと思うのですけれども、そういう余地はこれからの議論であるのでしょうか。

○米澤座長 これからというのは、有識者会議の延長ですか。

○浅野委員 ここ及びモデルポートフォリオを作る各機関が、そういう要素を加味して株のウェートを少し増やしますというようなことです。

○米澤座長 時間的には、物理的にはないと思いますので、あとは浅野委員が直接年金局のほうにレクをしていただいて、取り入れられるものは全然それはやぶさかではないので、いいところは取り入れたいと思います。もちろん今日もここまでの議論を踏まえて報告書に近いようなものも出てきましたので、そこのところでもう一度議論する余地はもちろんございますので、逆に言えば次回はそういうことになるのかなと思っております。ありがとうございます。

 全体を通して山崎委員何かございますか。よろしいですか。

 それでしたら、本日の議事は以上で終わりにしたいと思います。事務局から今後の予定などについて御連絡をお願いしたいと思います。

○森大臣官房参事官 本日はありがとうございました。

 次回の日程につきましては、座長とも相談させていただき、日程調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

○米澤座長 それでは、本日はどうもありがとうございました。御苦労様でした。


(了)

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