ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第78回労働政策審議会安全衛生分科会(2013年11月26日)




2013年11月26日 第78回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成25年11月26日(火)16:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、岡本浩志、小畑明、栗林正巳、城内博、新谷信幸、鈴木睦、辻英人、角田透、土橋律、中澤喜美、中村聡子、半沢美幸、水島郁子、山口直人、田久氏(勝野委員代理)

事務局:

半田有通 (安全衛生部長)
井内雅明 (計画課長)
奈良篤 (安全課長)
泉陽子 (労働衛生課長)
森戸和美 (化学物質対策課長)
野澤英児 (建設安全対策室長)
毛利正 (調査官)

○議題

(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)今後の労働安全衛生対策について(報告書案)
(3)その他

○議事

○分科会長 皆さまお揃いですので、ただいまから第 78 回「労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、公益代表では桑野委員、三柴委員、労働者代表では勝野委員、縄野委員、使用者代表では中村節雄委員が欠席されております。勝野委員の代理として全建総連の田久様が出席されております。

 それでは議事に移りたいと思います。本日の議題は諮問が 1 件と「今後の労働安全衛生対策について ( 報告 )( ) になります。まず議題 (1) 「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」の諮問について、事務局から説明をお願いいたします。

○野澤建設安全対策室長 建設安全対策室長の野澤です。それでは木材伐出機械等に係る安衛則改正の諮問についての説明をします。資料 1-1 が諮問文です。これについては 2 ページ目以降にその要綱がありますが、大分の量になっていますので、資料 1-2 で説明します。説明が前後し恐縮ですが、よろしくお願いします。

2 ページ目の上の趣旨について説明します。林業では省力化や効率化、そういった観点から動力を用いる不特定の場所に自走できる林業機械の機能の多様化、高度化が進んでおります。多くの林業現場でそういった機械を使用して伐木、造材、集材等の作業が行われております。後ほど説明しますが、車両系建設機械や不整地運搬車と類似の機械であり、類似の機能を有しているということから、死亡災害も含む労働災害が発生しております。そこで委託事業、あるいは業界での自主的な検討、そういったことを経て、平成 25 4 月から 5 月にかけて車両系林業機械の安全対策に係る検討会において、林業関係団体の参加の協力を得て議論を行い、木材伐出機械等を使用する作業による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則について必要な改正を行うことにしたものです。

1 ページ目です。今、申し上げた木材伐出機械等としてどのような機械があるかについて説明します。車両系木材伐出機械は次の 3 種類の機械です。まず、動力を用い、不特定の場所に自走することができる機械を規制の対象としています。一番左にあるのが伐木等機械で、伐木、造材、原木等の集積を行うための機械です。下の絵にあるように、これはハーベスタという機械ですが、木を切り、そこにある枝をはらい、玉切りという原木を一定の長さに切る、そういった作業を行う自走式の機械です。中央にあるのが走行集材機械です。車両の走行により集材を行うための機械です。従来、林内作業車の安全措置についての通達を出しておりましたが、それもこの機械に該当します。例としては、下にあるようなグラップルという木材をつかむ装置を有し、木材を運ぶフォワーダという機械等があります。 3 つ目は、右にあります動力を用いて原木等を巻き上げることにより運搬するための機械です。例としては集材ウインチというものがあります。そこにあるように、油圧ショベル等にウインチを装備して集材を行う自走式の機械です。

 そういう範疇ともう一つ、集材装置という範疇があります。これは集材機、架線、支柱等により構成され、動力を用いて原木等を巻き上げ、運搬する設備です。右のほうから説明したいと思います。これは機械集材装置で、空中において切った木材を運搬する設備が従来規制の対象となっておりました。それに加えて、左側は簡易架線集材装置で、右側のものが空中を運搬することに対し、原木等の一部が地面に接した状態で運搬する機械です。このような簡易架線集材装置も規制の対象としております。

3 ページ目です。これらの機械の保有台数の状況ですが、ここ 10 年を見ますと、全体としては一番上の折れ線の部分ですが、やや減少傾向にあります。吹出しにありますように、下から 4 つ目までのスキッダ、フォワーダ、伐木等機械、架線集材機械、こういった機械につきましては比較的操作が困難な機械になるわけですが、これが 10 年間で倍増している状況です。後ほど申し上げますが、これが災害増加の要因にもなっています。

 その災害については、 4 ページ目にあります。左側は死傷災害発生状況です。死傷災害は増減を繰り返しております。この黒丸は、車両系木材伐出機械です。先ほど言った 3 つの機械ですが、こういったものの死傷災害は増加傾向になっている。一方で白丸は、従来から規制してきた機械集材装置も含めた機械です。これについては減少傾向にあるということです。今回、中心に規制するような部分についての災害に増加がみられるという状況にあります。一方、死亡災害につきましては右にあります。木材伐出機械等による災害は死傷災害で、表の一番上の欄ですが、 87 人、死亡者数で 6 人です。林業における全労働災害の件数でいきますと、死傷者数が 2,219 人、死亡者数が 38 人ということです。木材伐出機械等による災害の比率を見ますと、その上にあるように 4% 16% ということです。上の囲みにありますように、件数として死傷災害は小さいわけですが、死亡災害の比率が高いということで、重篤な災害の多い状況になっています。

 そこで規制について、どのような規制をかけるかですが、 2 ページ目の改正の内容を御覧ください。上に、右から 3 種類の車両系、木材伐出機械、それから機械集材装置の 2 種類のものが書かれております。そして左のほうに、1として機械・装置による作業での危険防止、2として機械・装置の運転業務従事者に対する特別教育の実施があります。

 少し細かく説明しますと、一般的な措置としてヘッドガード等の設置、地形等の調査、作業計画の作成、最大使用荷重等の厳守、制動装置等の点検と補修、作業指揮者他につきましては、 5 種類の機械全てに新たに規定を新設します。そういう意味では機械集材装置も従来はなかったものをつけたということです。 2 点目、車両の転倒、逸走等の防止、制限速度の設定、幅員の確保、運転手からの離脱時の逸走防止。そういったことについても 5 種類の機械で新たに規制をします。機械との接触、飛来落下等の防止 ( 危険箇所への立入禁止、運転席の防護柵等、運転中の離脱の禁止他 ) 、これにつきましても 5 種類の機械について全て規制をします。

 続きまして、それ以下は機械の種類ごとの危険性に対する対策です。 1 点目、伐木作業及び造材作業での危険の防止につきましては、伐木等機械について、 2 点目は走行ということで、車両の走行による集材作業での危険の防止 ( 走行時の荷台への乗車禁止、積載時の荷崩れ防止措置 ) 、そういったものについては走行集材機械、 3 点目のウインチによる作業での危険の防止 ( ワイヤロープの安全係数、不適格なワイヤロープの使用禁止、点検、合図 ) 、これらについては走行集材機械、架線集材機械、簡易架線集材機械。簡易架線集材装置は正にウインチがなければできないわけですが、ほかの 2 種類の機械も一部ウインチがついているようなものがあるということで、これらについては新たに規制をしています。機械集材装置については従来から規定がされております。それから最後に、集材装置による集材作業での危険の防止 ( 制動装置等の設置基準、最大使用荷重等の表示、架線集材機械を集材機として用いる場合の措置他 ) につきましては、簡易架線集材装置と、従来からあった機械集材装置についての規定があります。

 さらに2として、これはいわゆる特別教育ですが、伐木等機械、走行集材機械、架線集材機械、簡易架線集材装置につきまして、新たに特別教育を課しております。

 これらの施行日ですが、公布につきましては、今日、もし答申をいただければ 11 月中に公布をしたいと考えています。12とありますが、要するに機械装置による作業での危険の防止については、半年後の平成 26 6 1 日、特別教育については、 1 年後の平成 26 11 1 日の施行としております。ただし1の一部につきましては、機械の構造にかかる規定を想定しておりますが、それにつきましては平成 26 6 1 日の前日までに製造中のものは平成 26 11 30 日までは未適用ということで、適用関係の猶予をしたいと考えております。以上です。

○分科会長 ただいまの説明につきまして審議をお願いします。質問等ございますでしょうか。

○犬飼委員 省令案要綱の 11 ページの特別教育対象業務の追加について数点要望を申し上げたいと思っています。当該事案については、私たち、森林労連、林業に関わる労働者として 2006 年から要望を申し上げてきた事案ですので、安全対策として一歩進んだものと考えています。 1 から 3 に記載された業務を追加することは妥当であると考えていますが、林業の現場で働いている就業者、そして、こういう機械を使っている人が 4 万人ぐらいいると言われています。その中には作業経験が 1 年以上の者が多く就業しており、それらの者は十分な知識と技能を有しています。そう認められる者については特別教育の免除などの配慮を、今後の施行通達の中でしっかりと整理していただきたいというのが 1 点です。それから、もちろん実技研修も行われますが、車両系の木材伐出機械というのは特殊な条件下で使用されていますので、実技研修は是非広い運動場などで設営された研修場で行うのではなく、実際に当該業務を行っている林業作業現場で行うことが望ましいのではないかと考えますので、研修フィールドの確保をお願いしたいと思います。また先ほど言いましたように 4 万人が作業に従事していますので、特別教育にあたる講師の確保についても円滑に行われるようにお願いしたいと思います。

 それから 1 点確認ですが、労働安全衛生法令にもとづく講習は厳しさからすれば、低い順から安全衛生教育があり、今回の特別教育があり、そして、その上に技能講習があり、免許という段階があると思っています。今回車両系木材伐出機械は特別教育ということに位置付けがされたわけですが、これらの機械とベースマシンがまるっきり同じで、アタッチメントの交換により使用されている油圧ショベル、パワーショベル、ドラムショベル、いわゆる通称で言いますとバックホーやユンボと言われるものが技能講習対象となっています。今回車両系木材伐出機械を特別教育対象業務と位置付けしたその経緯と、今後の取組みに対する考えを伺いたいと思っています。以上です。

○野澤建設安全対策室長  3 点あったと思います。まず 1 点目、経験者の特別教育、能力を有する者としての扱いですが、これにつきましては、いわゆる法令のところを除くとそれで結構かと思います。そのような対応、扱いについて示していきたいと考えておりますが、これにつきましては今回新たに法令化されたということで、それについての教育はしていただくという形でお願いをしたいと思っております。続きまして特別教育の実技を含めた実施体制、そのとおりだと思います。まず実技の現場につきましては関係する団体等に確認しましたところ、そういった形でやるところが確保できているところが多数というか、ある程度確認できておりますので、そういったところでしっかりやってもらうように指導していきたいと思っております。それから講師養成につきましては、これも関係する団体 2 団体で、今年度末までに 600 弱の募集要請をするという予定と聞いておりますので、それらの講師のもと、それぞれの特別教育がしっかりできるように指導してもらいたいと考えております。 3 点目の教育の位置付けのことですが、これは特別教育ということではありますが、学科についても 6 時間、実技についても 6 時間ないし 8 時間をやることを予定しておりますので、それらによって運転作業の安全が確保されるとまずは考えております。ただ御指摘のような、いわゆる教育なり資格の体系もありますので、これを施行する中でさらに資格としてもう少し違う位置付けでやらなければいけないのではないかということになったときには、また検討したいと考えております。

○分科会長 よろしいでしょうか。

○犬飼委員 大体分かりました。この 7 月にも破砕機などの建設機械が新たに規制対象に加わったわけですけれども、とにかく機械というものは、日進月歩といいますか、進化したり複雑化したりしていますので、是非それらに対する規制に漏れがないというか、隙間なく網羅されるような安全対策を今後前向きに検討していただきたいということを、最後に要望として申し上げます。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○新谷委員 犬飼委員が指摘をさせていただきましたように諮問案件ですので、この規則の改正、施行に当たっては改正内容を周知いただくとともに、林業の労働の現場で混乱が生じないように十分配慮をお願いしたいと思います。そういった要望を申し上げて、今回の改正について労働側としては妥当なものとして了承申し上げたいと思っております。以上です。

○分科会長 ほか、よろしいでしょうか。それでは労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱につきまして、当分科会として妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 ありがとうございました。それでは事務局で手続をお願いいたします。

 次に議題 (2) です。「今後の労働安全衛生対策について ( 報告書案 ) 」に移ります。まず事務局から説明をお願いします。

○井内計画課長 資料 2-1 に基づきまして説明いたします。これまで御議論いただいてきまして、今回、報告書案という形で事務局としてまとめさせていただきました。「今後の労働安全衛生対策について ( 報告 )( ) 」です。

 まず、 1 ページの最初の○が、これまでの経緯です。平成 22 12 月にこの分科会で建議を頂きました。それを踏まえ、「労働安全衛生法の一部を改正する法律案」が国会に提出されましたが、衆議院の解散により廃案になりました。 2 つ目の○、一方、今年 2 月に 12 次防が策定されました。 3 つ目の○、これらを踏まえ、「メンタルヘルス対策」「受動喫煙防止対策」「型式検定等の対象器具の追加」のほか、新たに 12 次防において検討することとされた事項も含めた検討を行った、として、1~9までのテーマが書かれています。このうち、なお、として、1及び3については専門家検討会により技術的・専門的観点から検討を行いました。また、5については、スーパーマーケット協会、社会福祉協議会からヒアリングを行った。7のメンタルヘルスについては、産業衛生学会、精神科七者懇談会からヒアリングを行いました。それらの結果を踏まえて検討を行った。一番下の○の、検討結果は下記のとおりで、今後の労働安全衛生対策として、下記の事項を踏まえて法的整備を含めた所要の措置を講じることが適当である、ということです。

2 ページの記の下の 1 から、テーマごとに記述しています。 1 「化学物質管理のあり方」についてです。産業現場では多くの化学物質が使用されているが、特に労働者への危険又は健康障害を生じるおそれの高いものは、個別の規則 ( 有機溶剤中毒予防規則などの「特別規則」 ) によって個別具体的な措置を講じることが事業者に義務付けられている。また、その特別規則の対象となっている化学物質を譲渡・提供する際には、安衛法の 57 条に基づき容器等にラベルを表示することが譲渡者又は提供者に義務付けられている、というのが現状です。また、併せて 3 行目ぐらいにあるとおり、一方、安衛法 28 条の 2 に基づき、全ての化学物質について新たに採用する場合などにリスクアセスメントを実施することが事業者の努力義務とされている。しかし、昨年来の事案の関係ですが、印刷事業場において集団で胆管がんを発症した事案は特別規則の対象となっていない化学物質に長期間にわたり高濃度でばく露したことが原因で発症し、リスクアセスメントが適切に実施されていなかったということです。次の段、こうしたことから、一定の危険性・有害性が明らかになっている化学物質については、事業場がリスクに基づく必要な措置を検討・実施するような仕組みを設ける必要がある、ということで、ここで事実関係と背景を述べて、その下の対策の方向性につなげています。

( ) として、人に対する一定の危険性・有害性が明らかになっている化学物質 ( 例えば、安全データシート (SDS) の交付が義務付けられている化学物質 ) を事業者が新規に採用する場合等において、事業者にリスクアセスメントを実施させることが適当である。検討会で言われた内容です。 2 3 ページの ( ) は、事業者が実施したリスクアセスメントの結果が労働者に周知されるようにするべきだということ。 ( ) は、国は、中小規模事業場においてリスクアセスメントが適切に実施されるよう、簡易なツールの開発・改善や相談・指導体制の整備など十分な支援措置を講じるべきである。コントロールバンディング等の説明もいたしましたが、そういったことを言っています。 ( ) は、譲渡者又は提供者に対してラベルを表示することが義務付けられている範囲を、少し飛びますが、安全データシートの交付が義務付けられている化学物質まで拡大することが適当である。その際、国際的な取扱いとの整合に留意することが適当である。 ( ) は、混合物についてです。混合物については、ラベルに表示すべき成分の種類が大幅に増加し、表示全般について縮尺が小さくなってしまい伝わりにくくなることが懸念される。このため、ラベルへの成分の表示については、合理化することが適当であるということとしています。 ( ) は、ラベルの意味や読み方が労働者に正確に理解されるよう、事業者において労働者に対する周知・教育を行うべきであるが、併せて、国が周知・広報を行うべき。以上が化学物質についてです。

2 「企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み」です。これについては、早い段階から意見の一致を見ていたと思っています。 (1) 安全衛生水準の高い企業の評価・公表です。労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業がより社会的に評価され認知されるようにすることで、社会全体の意識を高めていく必要がある。

 対策の方向性として、 ( ) では、企業の安全衛生水準を国が客観的に評価し、高い評価を得た企業を公表する仕組みを導入することが適当である。また、高い評価を得た企業に対する優遇措置を設けることが適当である。 ( ) は、この仕組みを導入するに当たっては、国は評価方法について専門家の意見を十分に聞くとともに、業種ごとの安全衛生水準の状況や中小規模事業場の状況を十分に勘案するべきである、ということでまとめています。

(2) は、重大な労働災害を繰り返す企業への対応です。こちらは、同様の重大な労働災害が同一企業の別の事業場で繰り返し発生する事案が散見されています。事業場に是正を図らせるだけでは十分に労働災害の防止を図ることが困難である。現在の労働安全衛生法に基づく国の対応としては、原因となった個別の法令違反に対する是正勧告・司法処分や都道府県の労働局長による安全衛生改善計画の作成指示が行われているが、これらはいずれも個別の事案や個別の事業場ごとに対応する仕組みとなっている。このため、同一企業の別事業場で繰り返される事態を未然に防止するための新たな仕組みが必要だということで、対策の方向性です。

 まず、 ( ) は、法令に違反し、一定期間内に同様の重大な労働災害を複数の事業場で繰り返して発生させた企業に対して、当該企業の事業場において再び同様の重大な労働災害が発生しないようにするための体制整備や具体的な対策を講じさせる計画を作成するよう、厚生労働大臣が指示することができる仕組みを設けることが適当である。なお、詳細については更に検討が必要である。これについては、まだ御議論を頂いていまして、本日もこの後、前回までの御議論を踏まえて、資料を提示して説明いたしたいと思っていますが、詳細については更に検討が必要だということでまとめています。 ( ) は、重大な労働災害、国が計画を作成させる要件となる重大な労働災害は、死亡災害、障害等級が一定以上などが適当。 ( ) は、法令に違反して複数の事業場で重大な労働災害を繰り返し発生させた企業が再発防止に取り組まず、別の事業場で重大な労働災害を再発させ、労働者に危害が及ぶような事態が想定されるときは、必要な勧告を行った上で、それに従わない場合は、例えば企業名を公表する等の仕組みを併せて設けることが適当である。これが 3 点目です。

 次に、 3 「欠陥のある機械等の回収・改善方策」です。これは幾つかの種類の機械がありますが、安衛法に基づいて構造規格が定められている機械等が規格を具備していない場合は、 43 条の 2 に基づいて製造者又は輸入者に対して回収・改善等、労働災害を防止するために必要な措置を講じるよう命じることができる。一方、構造規格は定められていないが事業者に労働災害を防ぐための措置が義務付けられている機械等にも、労働災害につながりかねない欠陥が認められる事例も見られる。必要に応じて国が機械の製造者又は輸入者に対して回収・改善を行うよう要請しているが、回収・改善が進まない事例が見られるということです。また、法令で規制のない機械等の回収・改善等については、引き続き行政指導による対応を図るべきであるが、現状ではそれが十分にできていないということで、対策の方向性として、機械の専門家検討会の結論です。

 まず、 ( ) として、 43 条の 2 に基づく回収・改善等の命令対象となっていない機械等について、回収・改善が促進されるように製造者又は輸入者に対して欠陥等に関する情報を公表するよう国が要請することが適当。また、回収・改善が進まない場合は国が公表に協力することが適当。さらに、流通業者に対して譲渡先に関する情報を提供するよう国が要請することが適当。 ( ) は、法令で規制のない機械等で欠陥が認められたものについて、再発防止を図る上で効果的と考えられる場合は、製造者又は輸入者に対して回収・改善を行うよう国が要請することが適当。ここで御議論がありましたとおり、なお、として、 ( )( ) の場合に、機械によっては流通途中や機械使用事業者によって改造がなされる場合があること等に留意する必要があることを付言しています。 ( ) は「機械の包括的な安全基準に関する指針」の普及促進等を着実に進めることが必要であるとしています。以上が機械の関係です。

4 「第三者に施設等を使用させる施設等管理者の安全衛生管理」の関係です。御議論いただいたように、陸上貨物運送事業では、労働災害の 7 割が荷役作業中に発生しており、発生場所は 7 割が荷主先等となっているということで、安衛法では対策を運送事業者に義務付けているのですが、荷主等による取組が必要なものも見られるということで、こういった状況を受けまして、対策の方向性として御議論いただいた結果です。

 まずは、 ( ) 、平成 25 3 月に厚生労働省が策定した「陸上貨物運送事業における荷役作業の安全対策ガイドライン」を国土交通省等の関係機関と連携して周知・普及し、その実効性を高めることが適当である。 ( ) は、荷主等による取組の進捗状態を踏まえて、施設等管理者による取組のあり方について改めて検討することが適当であるとしています。

 次に、 6 ページ、 5 「企業における安全管理体制の適正化」です。労働災害の傾向は、業種別では、建設業や製造業については労働災害の発生件数・発生率とも大きく減少している一方で、小売業、社会福祉施設をはじめとする第三次産業においては、件数・発生率ともに増加を続けている。 12 次防においては、小売業等を重点業種と位置付けて集中的な取組を行うこととされているが、安全管理者又は推進者の選任が法で議務付けられていない一部の業種では、管理体制が十分に整備されていないという御議論を頂きました。

 対策の方向性として、 ( ) は、選任が議務付けられていない業種、その他の小売業、社会福祉施設等において、安全管理体制の整備が徐々に進められていることから、まずはこうした取組を促進させることとし、事業者に対して国が安全の担当者の配置等を内容とするガイドラインを示し、指導を行うことが適当である。 ( ) は、小売業等の安全管理体制の整備促進を図るために、対策が進んできた業種での取組を効果的に活用しつつ、国が必要な支援を行うことが適当である。 ( ) は、こういった対策の実施状況や安全管理体制の整備状況を踏まえて、安全管理体制のあり方について改めて検討することが適当であるという観点でまとめています。

6 「規制・届出の見直し」です。背景を 3 つ記述しています。安全衛生法に基づく規制の中で、技術水準の向上等により、現在では当初の規制の目的が他の手段によって達成されているものがあれば、当該規制の見直しを検討する必要がある。

2 点目は、前回、使用者側委員から一部留保があったため、 (P) と付けてお示ししています。その論点ですが、グローバル化が進み、世界的に貿易の障壁の撤廃に向けた動きが進む中で、そうした国際化に対応する観点からの規制の見直しも必要。

3 点目は、公益委員、分科会長から御意見があったものをお示ししていますが、労働者側委員から、次回文書にして提案してほしいということでしたので、 (P) として提案しています。更に、過去に発生した労働災害を踏まえ、これまで設けられてきた規制が膨大になるとともに、技術革新の進展により危険有害要因が多様化する中、あらゆる危険有害要因に対して個別具体的な規制を設けていくという手法の見直しが必要になってくる。

 そのような背景を受けまして、 7 ページ、対策の方向性です。 ( ) として、建設物・機械等の設置・移転等を行う製造業等の事業者に対して事前に届出を求めている安全衛生法 88 条の 1 項は廃止することが適当である。 ( ) は、登録製造時等検査機関など検査・検定機関について、日本国内に事務所を有しない外国の機関も登録できるように見直すことが適当。 ( ) は、上記のほか、あらゆる危険・有害要因に対して個別具体的な規制を設けていくという手法について、我が国の活力向上の観点も踏まえ、事業者の自主的な活動を促すため中長期的に見直しを検討することが適当である。以上の 3 点を記述しています。

7 「職場におけるメンタルヘルス対策」です。背景として、平成 22 年の建議に基づく安全衛生法の一部を改正する法律案において、医師又は保健師によるストレスチェックの実施を事業者の義務とすることなどが盛り込まれたということですが、建議後のメンタルヘルス対策の実施状況を見ますと、平成 24 年には 47.2 %に増えているが、小規模事業場においては取組が遅れているなど、対策の促進が必要である。

 こういった背景を受けての対策の方向性です。 ( ) として、平成 22 年の建議に基づく改正法律案を踏まえつつ、各事業場で現在行われている取組も十分勘案した上で、労働者自身のストレスの状況についての気づきを促し、ストレスの状況を早期に把握して必要な措置を講じることにより、労働者がメンタル不調となることを未然に防止することを目的とする新たな仕組みを設けることが適当と、これまで資料でお示ししたものです。 ( ) は、職場環境等の改善の 1 つの方法として、労働者個人が特定されない形で職場ごとに集団的に分析された評価結果を事業者が入手して、当該職場ごとのストレスの状況を把握して職場環境等の改善に生かすという方法も考えられる、ということです。なお、この場合は、個人が特定されない形であることから、労働者の同意は不要とすることが適当。 ( ) は、検査の項目については既に行われている取組も十分勘案しつつ専門家の意見を聞き、中小規模事業場での実施可能性にも十分配慮した上で国が標準的な項目を示すべきである。その際、 8 ページにあるとおり、検査の目的はストレスの状況を把握するものであって、精神疾患の発見を一義的な目的としたものではないことに留意すべきであるとしています。 ( ) は、検査や面接指導は産業医の選任義務がある事業場においては産業医が関与することが望ましい。また、産業医の選任義務がない事業場に対しては、国が地域産業保健事業を通じて面接指導を実施できる体制を整備するなど、必要な支援を行うべき。産業保健スタッフや管理監督者等に対するメンタルヘルスに関する教育研修や、医師等に対する研修の機会が確保されるよう、国が必要な支援を行うべきである。 ( ) は、国は、検査の結果や面接指導の結果に基づき事業者が労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないことを示すべき。また、国はその実効性を確保するため専門家、労働者代表、使用者代表の意見を聞いて不利益な取扱いと判断される行為等を示すべきである、ということです。これまでのヒアリングやそれぞれの御意見を頂いてまとめています。

8 「職場における受動喫煙防止対策」です。こちらも、前回平成 22 年の建議に基づく一部改正法案において、一般の事務所、工場等については全面禁煙や空間分煙とすること、飲食店等については労働者の受動喫煙の程度を低減させる措置を講じることを事業者の義務とすることが盛り込まれました。

 建議後の受動喫煙防止対策の実施状況を見ますと、事業者による全面禁煙・空間分煙の取組率は増えている。平成 24 年が 61.4 %と着実に進んでいる一方で、 50 人未満の小規模事業場においては取組が進んでいない状況にある。これを受けまして、対策の方向性ですが、平成 22 年の建議に基づく一部改正法案を踏まえつつ、一部の事業場で取組が遅れている中で全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とした場合、国が実施している現行の支援策がなくなり、その結果、かえって取組が進まなくなるおそれがあるとの意見が出されたことにも十分留意し、また、建議後に受動喫煙の防止対策に取り組んでいる事業場が増加していることも勘案し、法案の内容を検討することが必要であるとして、まとめて提案しています。

 最後に 9 ページ、 9 「型式検定等の対象器具の追加」です。こちらは、前回の法律案の対策の方向性だけを紹介いたしますと、平成 22 年の建議に基づく一部改正法律案と同じく、電動ファン付き呼吸用保護具を型式検定及び譲渡時の制限の対象とするとともに、電動ファン付き呼吸用保護具の構造規格を定めることが適当である、ということです。これまで御議論いただいたものを、こういった形で報告書案としてまとめています。御議論いただきたいと思います。

○分科会長 ただいま説明を頂きました報告書案の審議に移ります。全部で 9 項目ありますので、項目ごとに進めたいと思います。まず、「化学物質管理のあり方」ですが、この点について質問等ございますでしょうか。

○辻委員 この資料の、対策の方向性で示された内容については、これまでの専門家の検討会や本分科会の議論を踏まえたものであり、おおむね妥当なものと考えています。胆管がんの事例を勘案しても、一定の危険性・有害性が明らかな化学物質についてはリスクアセスメントをしっかりと実施していくことが不可欠です。また、労働者がその結果や取り扱う化学物質の危険性を明瞭に理解できるようにすることも必要です。なお、労働側としては、これまで、リスクアセスメントの実効性を確保するためにはその実施状況を確認することが重要であって、具体例として、実施が義務化されている化学物質に関するリスクアセスメントの結果について、保存義務を課すことなども提案してまいりました。報告書には、そうした実効性の確保の方法についても明記していただきたいと思います。

○分科会長 という御要望ですが、事務局から何かございますか。

○森戸化学物質対策課長 すみませんが、もう一度、実効性の確保の点で。

○辻委員 これまで、リスクアセスメントの結果について保存義務を課すなども提案してきたということです。

○森戸化学物質対策課長 保存など。

○辻委員 そういった内容についても報告書に折り込んではどうか、ということです。

○森戸化学物質対策課長 そういう御意見があったことを踏まえまして、報告書の書き方について検討させていただきたいと思います。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○犬飼委員  3 ページの、対策の方向性の ( ) について質問です。後段に、ラベルの成分の表示については、安全データシートにも全ての成分が記載されていることを踏まえて合理化することが適当である、とありますが、「合理化」という言葉が少し気になります。これが意味するのはどのようなことなのでしょうか。

○森戸化学物質対策課長 全ての表示対象の成分をラベルに記載させるというのが現行の仕組みです。今回、表示対象物質を 640 に拡大しますが、そうしますと、成分の所の記載事項が非常に増えることによって文字が全体的に小さくなって、労働者にとってより重要であると考えられる絵表示、また、取扱い上の注意事項などが読めなくなることが懸念されるということで、これまでと同様に全ての表示対象物の成分をラベルに記載することが適当であるか否かについて検討して、その辺りを合理化したいということです。

○犬飼委員 趣旨はよく分かりました。そうすると、「合理化」という言い方ではなく、労働者に分かるようにということですから、「明瞭かつ端的に分かるものにする」など、合理化という言葉はそぐわないのではないかと思いますので検討してください。

○森戸化学物質対策課長 そのような御意見があったということで、報告書の書き方について検討させていただきます。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。前回の分科会においては、使用者側委員から、まずは中小企業に対する支援から始めるべきだといったような御意見を頂きました。事務局でまとめていただいた今の報告書の 3 ページの ( ) に、十分な支援措置を講じるべきと書いてありますが、こういった形で支援しつつ、報告書にある制度改正を進めていくということで、使用者側としてはよろしいでしょうか。

○明石委員 今の座長のお言葉で結構ですが、やはり、リスクアセスメントについても SDS の対象まで一気にやっていくのはなかなか難しいと思いますので、いろいろな事業場があることを勘案して順次やっていただきたいと思います。

○森戸化学物質対策課長 施行時期については御議論いただくのだと思っていますが、ここに書いてあるような簡易ツールの開発やコントロールバンディングの改善等については平成 26 年度には行いたいと考えていますし、相談・指導制度の整備などについても平成 26 年度には行いたいと考えています。

○分科会長 本件について、ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。多少御意見もありましたので、御指摘いただいた点、文言等について事務局で検討してください。

 次に、 2 番目の「企業単位で安全・健康に対する意識改革を促進する仕組み」についてです。このテーマでは 2 点あります。まず、「安全衛生水準の高い企業の評価・公表」の部分。これはこれまで審議してきたとおりです。こちらについては、この報告書案の内容でよろしいでしょうか。

○田久氏 ( 勝野委員代理 )  議論されてきた中身の所で構いませんし、その部分で言うと、社会全体の意識を高めるというところはいいのですが、評価をしていく際に、そこに固執してしまう企業等で労災隠しや、それに近いようなものの助長にならないような、こういった指導・監督は強めていただくという体制づくりは是非お願いしたい。評価をして社会的意識を高めていくことには賛成していますので、是非そういった点を検討していただきたいと思っています。

○分科会長 御意見ということでよろしいですか。ほかに、よろしいでしょぅか。

 では、 2 番目の「重大な労働災害を繰り返す企業への対応」についてです。これについて事務局から追加で資料を用意していただいていますので、簡単に説明をお願いします。

○井内計画課長 資料 2-2 に基づいて御説明します。この論点については、 3 番ですが、 10 29 日の分科会で公益委員から議論の取りまとめの方向性ということで、○に書いてあるようなことが議論されてきました。

 議論の状況としては、具体的な基準 ( 対象範囲等 ) について議論を深めることとなりました。

 基準に関する主な意見ですが、 11 12 日の分科会で公労使それぞれから御意見を頂きました。労働者側委員からは、2ですが、「法令違反」の対象について、労働災害の原因となる法令は安衛法令にとどまらず、基準法違反も対象とすべきという御意見がありました。

 3ですが、「法令違反」の対象について、36協定を出さない企業までをも対象から外すのはいかがなものかという御意見がありました。こちらについては、事務局としては今回御議論いただいている重大な労働災害を繰り返す企業に改善を促すという制度の趣旨からすれば、労働基準法ではなく、重大な事態を未然に防止するために設けられた労働安全衛生法令の規定を根拠とするほうが適当ではないかと考えております。公労使で御議論いただいた結果を踏まえて検討したいと思っておりますが、事務局としては前回申し上げたような考え方です。

 4ですが、「同様な」災害の範囲について、例えば同じ種類の機械の整備不良による火災と感電が起きた場合、厳格に過ぎるのではないかとか、事故の型が同一であることまでは求めず、起因物に着目して「同様」か否かを判断すべきという御意見がありました。事務局としては、起因物だけで判断した場合、例えばトラックの荷台の荷の上から地面に墜落したような災害と、作業場の構内で人がトラックに轢かれたような場合、起因物としてはトラックということで同じものなので、同様のものとなってしまう。そういった災害自体は、原因も対策も異なる災害であるのに、同様の災害とみなされてしまうことにもなるのではないか。他方で、ここで御指摘があるような事案もあると思いますので、前回も申し上げましたが、これまで議論してきたのは同様の重要な災害を別の事業場で繰り返すことがないようにと、それを予防しようという御議論ですので、基本的な考え方としては、原則としては起因物と型のいずれもが同じということを原則的な基準としつつも、個別の事案ごとに原因や対策が同じかどうかという観点から、同様の災害とみなすべきかどうかを慎重に判断していってはどうかと考えております。

 使用者側委員の御意見ですが、1として、「同一企業内」の定義を明確にしてほしいということです。恐らくホールディング・カンパニーや子会社の扱いのことだと思っておりますが、事務局としては、今回の制度で同一企業と捉える主体は、実際に事業を実施している法人の単位を想定しているので、ホールディング・カンパニーの下に幾つかの法人がぶら下がっていて、それぞれ別々の事業をやっているような場合は、それぞれの事業をやっている法人ごとの単位で考えることになるのではないか。また、子会社についても、別法人として安全衛生管理を独立してやっているのであれば、別の企業として考えることになるのではないか。こういった整理でいかがかと考えております。

 2ですが、企業単位での取組を行っていない企業もあるので、そのような企業にどう取り組ませるかということも考えるべきという御意見です。こうした企業に取組を行わせるための仕組みですが、実際の運用に当たっては、確実に取組が行われるように指導方法等を検討していきたいと考えております。

 公益委員の御意見は、先ほどの労働者側委員の御意見と同じポイントです。ただ、いずれにしても御議論をいただいて、更に詳細を考えていきたいと思っております。以上です。

○分科会長 まず、後段で御説明のあった使用者側委員からの前回の意見、「同一企業内」の定義、企業単位の取組について、使用者側としてはこういった考え方でいかがかということですが、御発言がありましたらお願いします。

○明石委員 文字にして書いていただいていないので、よく分からないところがありますが、大体のものの考え方としては理解をしました。ただ、やるときには、きちんとこの辺りも書いていただければと思っています。

○分科会長 それでは、本件について審議に入ります。労働者側委員から出された労働基準法も対象にすべきという御意見ですが、この点については、労働基準法の趣旨を考えると広げ過ぎではないかという指摘もありました。事務局からも難しいのではないかという考え方が示されましたが、追加で御意見がありましたらお願いします。

○栗林委員 対象とする法令の件で、前回、三柴委員からも御発言がありましたように、労働基準法では安全衛生以外の部分の側面もかなり含まれているので、現時点では、使用者側としても原案の安全衛生法に限るというところを支持したいと思います。

○半沢委員 「法令等に違反し」という文言が指す法令について、労働安全衛生関係法に限定したいという旨が示されたわけですが、労働側としては、労働災害は労働安全衛生法以外の法令違反が直接原因となって発生することもあるという現状を踏まえて、こうした事例についても、同様に企業単位での改善が必要ではないかと考えております。限ってしまうと、そうした労働災害が企業単位で改善を求めるという枠組みからこぼれ落ちてしまうことも懸念されますので、直接的な原因となるものであれば、幅広く対応する形で制度設計を行うべきではないかと思っております。今後の制度設計に当たってお考えいただけると有り難いと思います。

○分科会長 ほかに御意見はありますか。もう 1 点、労働側から頂いた御意見、起因物と型という基準ですが、この点について追加で御意見がありましたらお願いします。

○小畑委員 「同様な」の定義について、今、課長から御説明を頂きましたが、同じ起因物から違う型の労働災害が発生することも考えられると思っています。先ほどの例ではトラックでしたが、例えば掘削機械が起因物であったとしても、整備不良によって爆発、あるいは誤作動によって挟まれる、巻き込まれるといったことが生じることもあります。そうすると、こうしたケースにおいては、起因物も労働災害の原因も再発防止対策も同じだけれども、起因物と型の双方が同じでないために、計画策定の対象にはならないということになるのではないかという危惧があります。したがって、型は違っても、起因物が同じなら計画策定の対象とすべきであり、これは今後の検討課題だと思っております。

○井内計画課長 先ほど説明の中で例を挙げましたが、当然いろいろな事例が出てくるだろうと思っております。前回も申し上げましたが、ここで 12 次防の頃から御議論いただいてきたのは、同一企業の中に幾つかの事業場があって、同様の業務をしているときに、法令違反があっても、重大な災害が起こっているにもかかわらずそれに何ら対応をしないような企業に対して、同様の災害を起こしている企業に対して、放置しておけば、別の事業場で同様の重大な災害が発生するかもしれないということを未然に防ごうと。そのためには、何らかの改善措置を取ってもらう必要があるということで、御議論をいただいてきたと思っております。そのときの考え方の基本は、同様の業務をしていて、同様の災害がまた起こってしまうかもしれないというところを、未然に防止しようということであったと思います。私どもとしては、基本として起因物と型を見て、そのいずれもが同じであることを原則的な基準としつつも、それぞれの個別の事案ごとにそれに対する原因と対策が、同じ対策をとれば、ほかの事業場のものも防止できるといったことにつながるかどうかという観点から、同様の災害とみなすべきかどうかを考えていきたいと思っております。いろいろな事案があろうかと思いますが、そういった考え方で対応していってはどうかと考えております。

○小畑委員 正に「同様」のあり方によって、射程の範囲が大きく変わってしまうことがあるわけです。したがって、そこの部分は引き続き検討していただきたいと思います。

○栗林委員 労働災害の現場でやっていることを少し紹介します。災害が起きると、現場では「なぜなぜ」を 5 回繰り返せということをよくやっています。つまり、どんどん要因に入っていって、真の原因は何なのかを突き止めていく。そこに対策を打つことによって、リスクをなくしていくという活動をしています。「なぜなぜ」を 5 回繰り返すと何が起きるかというと、当然、真の原因にはたどり着くのですが、その内容の汎用性がなくなってくるのです。ただ、それを確実にやれば、同じ災害は防げる保証があるので、そういうアプローチの仕方を一般的な企業ではやっていると思います。何が言いたいかというと、汎用性はなくなるけれども、本質的なところに手を打つので、それを水平展開することが、同一災害を防ぐ意味では非常に有効な手段だと思っているので、今回の原案の同一型というところに絞るのが、実効性としてはいいのではないかと考えます。

○分科会長 ほかに御意見はありますか。

 いろいろ意見を頂きましてありがとうございます。御議論いただいた点は、制度の具体的な運用に関するものでもあるので、事務局側によく検討してもらう必要があると思います。事務局側はいかがでしょうか。

○井内計画課長 おっしゃるとおり、この制度を運用するに当たっては今頂いた意見も踏まえながら、実態としてこの制度の基本の考え方をどのように施行していくのか、実際の形で予防をどのように意味のあるものにしていくのか、私どもも引き続き検討していきたいと考えております。

○明石委員  1 つ質問ですが、報告書案 4 ページの ( ) で、「必要な勧告を行った上で、それに従わない場合」の「それ」は、勧告だけでいいのですか。勧告と受け止めていいのですか。

○井内計画課長 そのとおりです。勧告に従わない場合は公表とお考えいただければと思います。

○分科会長 ほかにはよろしいでしょうか。具体的な基準についてはいろいろ意見を頂きました。その辺りを踏まえて事務局でよく検討していただく形で、報告書案として、今の「企業単位で安全・健康に対する意識変革を促進する仕組み」についてはこのような内容でよろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。次に、「欠陥のある機械等の回収・改善方策」について審議します。この部分は、専門家検討会で検討いただいた結果を踏まえた記載となっております。報告書案の内容は特に問題ないということでよろしいでしょうか。

○犬飼委員 検討会を踏まえているのでいいのですが、少し対策の方向性が分かりづらい感じがするのです。要するに、問題点が 4 ページの後段に書いてありますが、輸入者に対して回収・改善を行うよう要請しているけれども、回収・改善が進まない事例が見られることが原因になっているわけです。

 検討会でも検討されたわけですが、 5 ページの対策の方向性を見ると、 ( ) でも譲渡先の把握が困難な場合は、製造者等に対して情報を公表するよう国が要請すると、ここでまた「要請」なのです。後段も、譲渡先に関する情報を提供するよう、国が要請すると。 ( ) の部分も、効果的と考えられる場合は、国が要請することが適当であるとなっています。国が要請しているけれども、原因が進まない事案があることに対して、対策の方向性も相変わらず国が要請するところにとどまっているのですが、これでどのような効果があると見込んでおられるのかを確認したいと思います。

○奈良安全課長 今の御指摘について、労働安全衛生法上、回収・改善の命令の対象にならない機械については、行政指導ベースで対策の効果をできる限り上げるようにやっていこうということです。

4 ページの回収・改善を行うよう要請しているけれども、なかなか進まない事例が見られるということに関しては、 2 つの方法があります。 1 つは、 ( ) の中ほどに書いてありますように、製造者、あるいは輸入者に対して、機械等の欠陥に関する情報を公表するように要請しようと、行政指導でやっていこうということです。さらに、譲渡先が分からないものもありますので、それに関しては譲渡先に関する情報を流通業者から入手して、それをメーカーなり輸入者に提供していくという新たな取組を、追加的に行政指導で当面やって、回収・改善の実効性を上げていこうという考え方です。

○犬飼委員 余り具体的なことは書けないと思いますが、方向性で私が言ったのは、行政指導をし、国が要請するのだけれども、なかなかできていない状況だということです。しかし、もう 1 回、国は要請するのだという見方に見えるのです。角度を変えて、公表が 1 つ入っているので、国が公表することに協力するのは新たな方向性だと思いますが、このような新たな効果が現れるものが方向性ではないかと思うのです。現状は、国が要請しているけれども、実効性があまりないわけです。実効性のある対策を取るために要請するのだと言われても、要請する事項なり方向性を明確に示していただいたほうが、改善される余地があるのではないかと思っています。文言の現し方かもしれませんが。

○奈良安全課長 分かりにくいという御指摘です。繰り返しになりますが、対策の方向性の ( ) に、公表するように要請をして、今、委員から補足いただきましたが、輸入者、製造者の取組だけでは情報が十分に行き渡らない場合は、国が公表に協力すると。どういう形で協力するのがいいのかについては、今後検討していかなければいけませんが、それをやっていきたいということです。

 また、先ほど申し上げましたが、流通業者に対して情報提供、どこに実際に譲渡したのかという情報がメーカーにないケースがこれまでも散見されるということで、流通業者に対して協力を求めていくことを、新たに国として実施していきたいということです。

○分科会長 よろしいでしょうか。それでは、本件はこのような内容で問題ということでよろしいですね。

 次に、 4 「第三者に施設等を使用させる施設等管理者の安全衛生管理」について審議します。この部分は、これまで審議してきたとおりの記載となっております。ただいまお示しした報告書案の内容で、特に問題ないということでよろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○分科会長 ありがとうございました。続いて、 5 「企業における安全管理体制の適正化」について審議します。こちらも、これまで審議してきたとおりの記載となっております。報告書案の内容で特に問題ないということでよろしいでしょうか。

○半沢委員  6 ページの対策の方向性の ( ) 2 行目の表現ですが、「安全管理体制の整備が徐々に進められている」という記述があります。「徐々に進められている」というのは、どのような根拠、状況に基づいて記載をされているのか教えていただきたいと思います。

○奈良安全課長 ここの記述に関する部分ですが、これは当分科会において小売業、あるいは社会福祉施設の団体からヒアリングを行った際に、それぞれの業界において全ての事業場というわけではありませんが、そういうことを進めつつある所があるのだというお話があり、そういうものを踏まえてこのように記述をしております。

○半沢委員 ヒアリングの中でという点については理解をしますが、実際は安全の担当者の選任が義務付けられていない第三号業種においては、労働災害による死傷者数が増えているのが現実だったと思っております。今回、国が安全の担当者の配置等を内容とするガイドラインを示し、指導を行うことが適当という方向性については一歩前進と評価をしております。ただし、将来的には、第三号業種でも安全の担当者の選任を義務付けることが必要であると思っております。その義務化に至るプロセスを明示して進めていくべきではないかと考えております。

12 次防においては、毎年、計画の実施状況の確認や評価を行って、この分科会に報告をしていただくこととなっていると思いますので、今後、安全の担当者の配置状況についても併せて把握・点検を行っていただきながら、配置の拡大・定着、義務化へのステップを着実に進めていくことが重要ではないかと考えております。

○分科会長 御要望ということでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、 5 番はこの報告書の内容でよろしいということで、特に御異論はありませんか。

                                (異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。続いて、 6 「規制・届出等の見直し」について審議します。この部分では、前回の分科会で事務局から新たに提起していただいた外国の登録検査検定機関を認めるという論点について、使用者側から検討したいという御意見を頂いておりました。 6 ページの (P) で囲った 1 つ目の部分、 7 ページの上の ( ) が該当しますが、使用者側から御意見がありましたらお願いします。

○明石委員 検討させていただきました。安全性を担保するために、行政が厳格な要件付けを行うことを前提に原案に賛成したいと思います。

○分科会長 よろしいですか。もう 1 点の (P) ですが、私から前回提案した安全衛生規則の中長期的な見直しについてです。この点は労働側委員から検討したいという御意見を頂いておりました。 6 ページの下の (P) と、 7 ページの ( ) が中心になりますが、いかがでしょうか。

○新谷委員 前回、口答で提案いただいたものを、今回、文書で頂いたわけです。具体的な対策、規制を行っていくということですが、現在の安全衛生対策が後退しないという前提であれば、この検討の方向で進めていただきたいと思っております。

○分科会長  6 について、全体としてほかに何かありますか。

○田久氏 ( 勝野委員代理 )  今、方向性の ( ) の部分で、外国の登録機関でできることを見直すと、日本の基準に基づいてという議論がこの間されてきていることは、議事録等で確認しておりますが、何かあったときは、国内での指導等はできないという部分で、取消し等を検討しているということで対応していくということが記載されていましたが、その辺りはそのようなことで進めていきたいということでよろしいのか、再度確認したいと思います。ここはきちんとしておかないと、また問題や事故が起きないようにしていかなければいけないと思っておりますので、是非もう一度確認だけさせていただければと思います。

○奈良安全課長 今の確認の点ですが、外国の検査・検定機関に対しては、大臣が命令等を行う権限がないということで、その代わりに一定の要件を満たさない場合には要件を満たすように請求して、それに従わない場合には取り消す仕組みを設けるということで、外国機関による適正な検査・検定をする仕組にしたいと考えております。これは現在、既にこういう制度を認めている電気用品安全法等と同じ仕組を設けるということです。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、 6 番について、 (P) の部分も含めてこの報告書案の内容で御異存ないということでよろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○分科会長 ありがとうございます。次に、 7 「職場におけるメンタルヘルス対策」について審議します。御質問、御意見等のある方はいらっしゃいますか。

○辻委員 前回の建議、あるいは廃案となった改正法案では、次の内容が織り込まれております。労働者が事業者に対し、医師による面接の申出を行った場合には、事業者が医師による面接指導及び医師からの意見聴取を行うことを事業者の義務とする、という内容です。ところが、今回示された報告案では、そうした内容は読み取りにくい印象があります。具体的には、 ( ) にあるように、労働者が特定されない形で集団的に分析された評価結果を入手して、職場ごとのストレスの状況を把握し、職場環境の改善に生かすといった内容が全面に出ております。そこで 1 点確認しますが、改正法案と今回の報告案の内容には、内容の不一致があるのかどうか。もしあるならば、その異なる点と理由を教えていただきたいということです。

 また、これは意見ですが、前回の建議には、うつ病等による休業者の職場復帰のための支援の実施や、配置転換後等のストレスが高まる恐れがある時期における取組の強化についても国が施策を講じる旨の記載があります。これらは依然として重要な課題であって、今回の報告にも盛り込む必要があると考えております。以上、確認と意見です。

○泉労働衛生課長 前回の法律案の内容と中身が変わるのかどうかという点ですが、 ( ) にありますように、前回の法律案を踏まえつつ、ストレスチェックとその後の面接指導も含めて前回の枠組を踏襲することを前提として議論してきたつもりですが、その辺りが少し分かりにくいということであれば、記載については工夫をしたいと思います。

 また、新しく制度化を検討する事項以外のメンタルヘルス対策については、もともとメンタルヘルス対策の指針の形で示している事項があります。その総合的に進めていくことの全体像としては変わらないと考えておりますので、当然、職場復帰支援も既存の施策と同様に、今後とも進めていく前提で考えております。

○新谷委員 建議に向けて大分詰めの論議を行っているので、今御答弁いただきましたが、今の御答弁を踏まえて、次回きちんと文章として盛り込むものは盛り込んでいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○角田委員 質問ですが、 8 ページの対策の方向性の ( ) の最後の 3 行に「また、国はその実効性を確保するため、専門家、労働者代表、使用者代表の意見を聞いて、不利益な取扱いと判断される行為等を示すべきである」という記載があります。具体的にどんなものをイメージされるのか、これだけでは分かりにくいのですが、いかがでしょうか。

○泉労働衛生課長 面接指導の申出をもって不利益な取扱いをしてはならないという原則については、前回の建議の際にも確認されていることと思いますが、その後の検査の結果や面接指導の結果に基づいて不利益な取扱いをしてはならないことを示すべきということですので、この具体的な内容について、今後、関係者とともに検討して、それを示していこうということで、現在、具体的な成案を持っているということではありません。

○角田委員 この種のことについて、労働者側から何か訴えが出るとか、争い事になるといったことがあると困るということが頭に浮んだので、質問させていただきました。ありがとうございます。

○分科会長 幾つか意見もありましたので、その辺りも踏まえて事務局で御検討いただきたいと思います。

 続いて、 8 「職場における受動喫煙対策」についてです。この部分は、これまで審議してきたとおりの記載となっております。何か御意見、御質問はありますか。

○小畑委員 対策の方向性の 2 4 行目ですが、全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とした場合、国が実施している現行の支援策がなくなり、その結果かえって取組が進まなくなる恐れがあるとの意見が出されたことにも十分留意し、法案内容を検討するとの記述があります。法令で義務化されたならば、事業者がそれを遵守すること、国が履行確保を徹底すること、これは文字どおり法令遵守上当然のことであって、義務化したら、かえって取組が進まないという見方は全く説得力がないのではないかと思います。したがって、前回の建議どおり、一般の事務所、工場等については全面禁煙、空間分煙とすることを事業主の義務とするということを報告書に明記すべきではないかと考えています。

○明石委員 職場における受動喫煙については、また以下の建議後で取り組んでいる事業場が増加していますし、喫煙者も減っているので、余り無理やり義務化をするのではなくて、かえって支援策がなくなってしまうほうが、中小企業にとっては困る問題もあるので、努力義務ということも 1 つの考えではないかと思います。

○分科会長 前回まではこの方針で来ていたと思いますが、大きく違う意見が出たという感じを受けます。ほかに御発言はありますか。事務局側はいかがですか。

○井内計画課長 これまで公益委員からまとめの方向性で頂いた御意見を踏まえて、今回このように事務局としてまとめたわけですが、今、また御意見がありましたので、その御意見を踏まえて検討を続けるということかと考えております。

○分科会長 ほかに御発言はありますか。それでは、御意見も出たということで、この件についてはもう少し検討する形にしたいと思います。

 最後に、 9 「型式検定等の対象器具の追加」についてです。こちらも前回の建議どおりですが、何か問題等はありますか。よろしいでしょうか。

                                (異議なし)

○分科会長 それでは、この形とさせていただきます。これで本日準備した議題は全て終了になりますが、特に何かありますか。よろしいですか。

 それでは、本日も熱心な御議論をありがとうございました。幾つか意見を頂きました。この辺りの意見を基に、事務局案で次回に向けて検討をいただきたいと思います。最後に、事務局から連絡事項をお願いします。

○井内計画課長 本日も、熱心に御議論いただきましてありがとうございました。次回の分科会は、今日頂いた御意見を踏まえ、引き続き御議論いただければと思っております。次回は 12 月の開催を予定しておりますが、日時については追って御連絡をさせていただきます。よろしくお願いします。

○分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。なお、議事録の署名については、労働者代表委員は辻委員、使用者代表委員は中村聡子委員にお願いします。よろしくお願いします。本日はお忙しい中ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(安全衛生分科会)> 第78回労働政策審議会安全衛生分科会(2013年11月26日)

ページの先頭へ戻る