ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活保護基準部会)> 第14回社会保障審議会生活保護基準部会議事録(2013年10月4日)
2013年10月4日 第14回社会保障審議会生活保護基準部会議事録
社会・援護局
○日時
平成25年10月4日(金)15:00~17:00
○場所
厚生労働省専用第23会議室
○出席者
駒村 康平 (部会長) |
岩田 正美 (部会長代理) |
阿部 彩 (委員) |
大竹 文雄 (委員) |
岡部 卓 (委員) |
栃本 一三郎 (委員) |
道中 隆 (委員) |
宮本 みち子 (委員) |
山田 篤裕 (委員) |
○議題
・生活保護制度の概要等について
・その他
○議事
○大西課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第14回社会保障審議会生活保護基準部会」を開催いたします。
まず、本部会を構成する委員でございますが、前回の部会において委員をお願いしておりました方々につきましては任期が満了したため、一部の方々につきまして再任をさせていただいております。また、新たに本部会の委員に就任いただいた方々も数名いらっしゃいますので、改めて委員の皆様を御紹介させていただきます。五十音順に御紹介いたします。お手元の資料1「委員名簿」をごらんください。
国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長阿部彩様。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○大西課長 日本女子大学人間社会学部教授岩田正美様。
○岩田委員 よろしくお願いします。
○大西課長 大阪大学理事副学長大竹文雄様。
○大竹委員 よろしくお願いします。
○大西課長 首都大学東京都市教養学部教授岡部卓様。
○岡部委員 よろしくお願いします。
○大西課長 慶應義塾大学経済学部教授駒村康平様。
○駒村委員 よろしくお願いします。
○大西課長 上智大学総合人間科学部教授栃本一三郎様。
○栃本委員 よろしくお願いします。
○大西課長 本日は御欠席となりますが、明治大学理工学部教授園田眞理子様。
関西国際大学教育学部教授道中隆様。
○道中委員 どうぞよろしくお願いします。
○大西課長 放送大学教養学部教授宮本みち子様。
○宮本委員 よろしくお願いいたします。
○大西課長 慶應義塾大学経済学部教授山田篤裕様。
○山田委員 よろしくお願いいたします。
○大西課長 以上10名でございます。
また、事務局側におきましても7月に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
岡田・社会援護局長。
○岡田局長 よろしくお願いいたします。
○大西課長 古都大臣官房審議官。
○古都審議官 よろしくお願いいたします。
○大西課長 藤原社会・援護局総務課長、今ちょっとおくれております。申しわけございません。
私は、保護課長を拝命いたしました大西と申します。どうかよろしくお願いいたします。
それでは、岡田社会・援護局長より一言御挨拶をお願いいたします。
○岡田局長 社会・援護局長の岡田でございます。本日の生活保護基準部会の開催に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、一部の委員は一昨年から引き続いて、また、一部の委員には新たに本部会の委員をお引き受けいただきましたこと心から感謝申し上げます。
御承知のように、生活保護制度は国民の健康で文化的な最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットでございます。しかし、近年、経済的困窮や社会的孤立といった生活困窮者をめぐる問題が深刻化しておりまして、生活保護受給者数は一昨年7月に過去最高を更新して以降も増加傾向にあり、国民の関心も非常に高くなっております。
政府といたしましては、現在、生活扶助基準を含めました生活保護制度の見直し、それから新たに生活困窮者対策の検討を進めておりますが、これからも生活保護制度が有効に機能し、国民の信頼と納得の得られる制度であり続けていくことが必要だと考えておりまして、そうした面からも必要な検討を進めていきたいと考えているところでございます。委員の皆様におかれましては、忌憚のない御意見を賜り、よりよい制度を一緒になってつくり上げていただきたいと考えておりますので、それぞれの御専門の知見を存分に発揮していただきますように、何とぞよろしくお願い申し上げます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○大西課長 続きまして、本日の委員の御出欠でございますが、先ほど申し上げましたとおり、園田委員より御欠席との報告をいただいておりまして、その他の委員は御出席いただいております。
続きまして、本部会の親審議会に当たります社会保障審議会の委員の任期が本年1月末で満了いたしまして、新たな任期期間として任命されることとなりました。新任期が始まったのに伴いまして、本部会の部会長につきましても確認を行いたいと思っております。
各部会におきます部会長につきましては、社会保障審議会令第6条第3項におきまして、部会に属する委員の互選により選任する。すなわち、親審議会、社会保障審議会の委員でおられます駒村委員、宮本委員に御相談を申し上げましたところ、互選によりまして、駒村委員にお願いすることで御了承いただいておりますので、引き続き駒村委員に生活保護基準部会長のお役をお願いいたしたいと思います。
それでは、部会長、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。
○駒村部会長 引き続き部会長を務めさせていただきます駒村でございます。どうぞよろしく御協力をお願いいたします。
それでは、初めに社会保障審議会令第6条第5項の規定により、私が不在の場合に議事の進行をお願いする部会長代理を、部会長である私が指名することになっております。これについては、引き続き岩田委員にお願いしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は、前回1月に開催した部会において、それまでの議論を踏まえた報告書が取りまとめられ、その後、ある程度の期間も経過し、また本日、従来の委員に加えて新たな委員、それぞれの分野を代表する方をお迎えしております。この間の経緯も動いておりますので、新しく委員に就いた方もいらっしゃいますので、まずは生活保護制度の現状、それから生活扶助基準の見直し、生活保護制度の見直し等の内容について、事務局より御報告いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○伊沢補佐 それでは、資料2「生活保護制度の概要等について」、御説明させていただきます。新しく委員になられた方もいらっしゃいますので、概要から改めて御説明させていただきたいと考えております。
生活保護制度でございますが、2ページの冒頭にございますとおり、最低生活の保障及び自立の助長、この2つを目的としております。
資産、能力等あらゆるものを活用することが保護の前提となっており、支給される保護費の額は厚生労働大臣が定める基準で計算されております最低生活費、そこから収入を差し引いた差額が保護費として決定される形になっております。一方、就労の可能性のある被保護者につきましては、ケースワーカーまたは就労支援員といった方々によって就労指導を行うなど自立の助長に資する施策も、福祉事務所を中心・基点といたしまして、ハローワーク等と連携しながら充実を図っている状況でございます。
3ページをお開きいただけますでしょうか。生活保護の種類に応じて、生活扶助など8つの扶助に分かれてございます。その扶助がどういった需要に対応して、どういった内容の支給を行っているのかを一覧表にまとめたものが載せてございます。
4ページにモデル的な世帯の生活扶助の額を載せております。
生活保護制度では、地域における物価差や生活水準の差といったものを勘案いたしまして、基準額に6つの地域差を設けております。このページの表で申し上げますと、東京都区部等といいますのが最も基準額の高い地域設定となり、地方郡部等とございますのが最も基準額の低い地域設定となっております。33歳、29歳の両親のもとに4歳の子がいる3人の世帯では、東京都区部では17万円弱、地方郡部では13万円強の支給額となります。このほか、必要のある方には民間アパートの家賃等に充当するための住宅扶助、これは現金ですが、それと医療扶助といった現物給付でございますが、これは別途行われる形になっております。
生活保護は、申請に基づき保護費の支給が決定されます。決定までには、資産・能力等について調査が行われます。保護の実施に責任を持つ行政機関でございますが、これは福祉事務所を設置いたします都道府県、市町村などになります。現在、福祉事務所は全国で1,251カ所ございます。主に市が設置主体となっておりますが、市町村合併の関係で都道府県事務所の管轄に飛び地が発生している状況がありまして、福祉事務所を設置する町村、これも何カ所か出てきているのが近年の動向でございます。保護費の費用につきましては、国が4分の3、地方自治体が4分の1の負担となっております。
次の5ページでございますが、これは相談から保護開始、または申請却下に至るまでの事務手続の流れを示したものでございます。
続きまして、6ページでございますが、生活保護を受給しています世帯数、人員、それに人口に占める受給者の割合、いわゆる保護率でございますが、これを時系列でグラフ化しております。ごらんいただきますと、被保護人員及び保護率は平成7年、被保護世帯は平成4年を底にいたしまして、現在まで増加の傾向を示している状況でございます。直近データでございますと、約216万人の方が生活保護を受給しているという状況でございます。ことしの4月と6月の2カ月に関しましては、前月の受給者数を下回ることがございました。4月に関しましては、例年受給者が減ることがございましたけれども、4月以外につきましては16年ぶりということでございます。
7ページでございますが、都道府県・指定都市・中核市別の保護率について、上位と下位10自治体をリストにしてございます。
8ページをごらんいただきますと、平成19年以降の月別で前年同月に対する伸び率をグラフ化しております。リーマンショック後、急激に伸び率が上がっておりましたが、直近の25年7月では、リーマンショック以前の伸び率、1.6まで落ち着いてきているという状況でございます。
次のページでございますが、完全失業率と生活保護を開始した人員、及び生活保護を廃止した人員を時系列でグラフ化しております。ごらんいただけるように、保護開始人員と完全失業率には正の相関関係が認められ、保護開始人員が近年減少傾向にあることがわかります。一方、保護廃止人員も若干でございますが、増加傾向が認められておりますので、保護受給者の急増傾向といったものについては、落ち着いてきているのではないかと考えられております。
10ページでございますが、この10年間で世帯類型の構成割合がどう変化したのか、平成15年度と平成25年7月の時点で比較した表を載せてございます。高齢者世帯にも母子世帯にも、または傷病・障害者世帯にも属していないその他世帯でございますが、この10年で3倍強に増加しているというのが特徴です。
続きまして、11ページですが、年齢別の被保護人員の動向を時系列で追ったグラフでございます。ごらんいただくと、高齢者の方の伸びが顕著であることがわかるかと思います。平成23年時点で被保護人員の過半数、51%を60歳以上の方が占めているという状況でございます。
12ページ及び13ページでございますが、ケースワーカーの配置数の動向と、都道府県別の標準配置数に対する充足状況をお示ししております。
続きまして、14ページですが、不正受給の状況をお示ししております。不正受給件数は年々増加しておりまして、5割強が稼働収入の無申告や過小申告という状況になっております。
次のページですが、生活保護費に係る費用の動向をお示ししております。平成23年までは実績をお示ししております。保護費の約半分の46.9%が医療扶助費で占められております。次いで、生活扶助費が34.5%、住宅扶助費が15.4%となっております。保護費総額に占める住宅扶助費の割合が、平成14年、11.4%だったものから、平成23年の15.4%へと増加していることも注目されてよろしいかと思います。なお、25年度の当初予算額は、近年の生活保護受給者数の伸び率や生活扶助基準の見直しなどの適正化を勘案いたしまして、事業費全体では3兆7,000億円、国費ベースで申し上げますと2兆8,000億円の予算規模となっております。
続きまして、16ページでございますが、生活保護制度における最低生活費の体系を一覧でお示ししております。
その概要と基準額を17ページ、18ページでお示ししておりますが、細こうございますので、後ほどごらんいただければと存じます。
続きまして、19ページですが、先ほど4ページでお示ししました3人世帯、高齢者単身世帯、高齢者夫婦世帯、それに母子世帯の4つのモデル世帯につきまして、住宅扶助の上限額を加えた場合の金額を級地別にお示ししております。住宅扶助でございますが、都道府県、指定都市及び中核市、それぞれで級地別に上限額を設定している仕組みになっております。
20ページですが、これまでの生活扶助基準の改定方式について、変遷をお示ししております。生活保護法が昭和25年にスタートしたわけですが、今日までに保護基準の代表的・基幹的な部分でございますけれども、生活扶助基準の算定方法は都合4回変更されてきております。それぞれの概要をまとめさせていただいております。
21ページですが、本部会におきまして1月に御報告いただきました検証結果をまとめたものでございます。お示ししている折れ線グラフは、報告書の中にも掲載されておりまして、年齢、世帯人員、居住地域の3要素別に見た生活扶助の基準と、一般低所得世帯の消費実態との均衡状況、乖離状況をあらわしております。この検証結果を踏まえ、政府といたしましては本年8月、生活扶助基準等の見直しを実施いたしました。その考え方と影響額を次の22ページから24ページに載せております。
22ページをお開きいただけますでしょうか。生活扶助基準は、そこにございます2つの柱に基づき、今回見直しを実施いたしました。1つは、本部会で御検証いただきました結果を踏まえまして、年齢・世帯人員・地域差による影響の調整を行いました。もう一つは、前回、19年検証の結果を踏まえて基準の見直しを行ったのが20年でございますので、それ以降の物価の動向を今回、勘案いたしました。それぞれの影響額でございますが、財政効果額といたしましては、基準検証結果の反映が90億円、物価動向の勘案が580億円となっております。
なお、今回の見直しでは、激変緩和の観点から手当てしておりまして、1つは、従前基準からの増減幅をプラスマイナス10%の限度内におさめるようにいたしました。また、施行に関しましても3年程度かけて段階的に実施することとしております。そのほかに、別途、期末一時扶助につきましてスケールメリットを導入したことにより、70億円の財政効果が生じております。
23ページでは、右下に今回の基準額見直しによります影響の分布を、推計でございますが、表にして掲載してございます。
左下のマル2デフレ調整分と書かれている箱にございますとおり、今回、物価の動向を勘案いたしまして、一律4.78%の引き下げを実施いたしました。悉皆調査でございます一斉調査、生活保護の関係で例年7月に実施してございますが、その一斉調査に基づき推計を行ったところ、右下の表にございますように、被保護世帯全体の約70%の世帯で物価の下落幅4.78を下回る下げ幅、そこまで下がらなかった。そういう下げ幅におさまることが推計されております。
24ページですが、モデル的な世帯について見直しの具体例を、本年8月施行時及び3年後の経過措置終了時でございます27年の時点で、給付金額がどう変わるのか、それぞれの世帯ごとの影響額をお示ししております。一番右側の欄をごらんいただきますと、最大で都市部の夫婦と子ども2人の世帯が2万円の引き下げとなるという状況でございます。
25ページですが、生活保護基準の見直しに伴い他制度に生じる影響についての対応方針をお示ししてございます。できる限り影響が及ばないように対応することを基本的方針といたしまして、関係機関との間で調整を行っている状況でございます。
26ページでございますが、本部会の報告書を含めまして、生活保護基準に関し、財政審等、さまざまなところからいただいた御意見のポイントを抜粋して載せさせていただいております。上から3番目の項目をごらんいただきますと、本年6月に閣議決定されました経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針でございますが、生活保護に関しまして、「支援の在り方(加算制度や各種扶助の給付水準)を速やかに検討し、見直す。不適正・非効率な給付を是正する」との一文が盛り込まれてございます。
27ページでございますが、生活保護制度の見直し及び生活困窮者対策の全体像のイメージ図を載せさせていただいております。社会保険制度、労働保険制度といった第1のセーフティーネットと、最後のセーフティーネットでございます生活保護制度の間に、既存制度でございます求職者支援制度を活用するとともに、生活困窮者対策を新たに創設し、第2のセーフティーネットを拡充・補強するというイメージでございます。
次のページでございますが、生活保護制度の見直しと新たな生活困窮者対策のテーマごとのポイントをお示ししてございます。1で生活保護法の改正、2で生活困窮者の就労・自立支援のための新法の制定、3で今回実施いたしました生活保護基準の見直しについて、ポイントをお示ししております。
29、30ページでございますが、さきの国会で審議未了、廃案になりました生活保護法の一部を改正する法律案及び生活困窮者自立支援法案の概要をお示ししております。
生活保護法改正案につきましては、保護からの脱却を促すための給付金の創設や、健康・生活面等に着目いたしました支援、被保護者の自立を促すための施策を盛り込んでいるところでございます。
生活困窮者自立支援法案につきましては、生活困窮者の就労、その他の自立に関する相談支援や、離職により住宅を失った生活困窮者等に対し、家賃相当の住居確保給付金の創設といったものが盛り込まれております。今月開会予定でございます秋の国会に、成立を目指して再提出するということでございます。
最後のページでございますが、さきの国会で成立いたしました子ども貧困対策の推進に関する法律について、案段階のものでございますが、参考といたしまして概要をお示ししております。
資料2の説明は以上でございます。
なお、参考資料1、平成25年7月の直近の「生活保護の動向」と、参考資料2、本部会が社会保障審議会の総会で設置を御承認いただいた際、設置趣旨等を説明するために添付させいただいた資料を、念のため一番最後につけさせていただいております。
説明は以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
では、資料2について御質問とか御意見、ございますでしょうか。山田委員、お願いします。
○山田委員 御説明ありがとうございました。
私からは、2点ばかり質問と、小さなテクニカルな質問を3番目としてさせていただきたいと思います。
まず、1点目ですけれども、きょう御説明いただいた資料の25ページにありますように、生保の制度を参照するような日本の最低生活保障の仕組みというものがありまして、他制度にどういう影響を与えるのかということは、前回の基準部会でも私以外にも多くの委員が非常に懸念されていたところでございます。こういう形での対応方針ということで対応してくださったと思いますけれども、既に8月に基準引き下げが行われて、実際に他制度にどういう影響があったのかということについて、もし御存じであれば教えていただきたい。
特に、これは今後の議論の進め方ということで、資料3に用意されていますけれども、今後、我々、モニタリングをして、この基準部会の議論をどういうふうに他制度にはねるかというのをもう一回確認しておきたいと思いますので、そちらについてどうなっているのかというのを教えていただきたいというのが1点目です。
2点目については、生活保護基準部会での報告とは別に、22ページにも書かれていますように、政府のほうで平成20年以降の物価の動向を勘案して、基準部会とは別に、基準を実際に動かしたということなのですけれども、総務省のほうの最近の月のCPIを見てみますと上昇している。ここ数カ月ですので、年単位では上昇していませんけれども、これがどうなるのかということ。あわせて、この間、来年の消費税の引き上げというのが表明されたところでありますけれども、これは当然物価に連動すると思います。それがどうなっているのかという見通しを、教えていただきたい。
3点目の非常にテクニカルな質問でございますけれども、これは先ほど挙げられた中に、住宅扶助の構成比が伸びている。15ページの生活保護費負担金実績額の推移で、住宅扶助の構成比が11.4から15.4に上がっているということであります。一方で、医療扶助に関しては52.4から46.9へと下がっている。これは、受給者の年齢構成が変化したことによるものと見てよろしいのかどうか、そういうテクニカルな質問です。
以上3点、おわかりになる範囲でお答えいただければと思います。
○駒村部会長 関連した御質問、御意見がある方はいらっしゃいますでしょうか。もしなければ、ここで一度事務方に今の山田先生からの御質問3点。
他制度にどのような影響を与えているか。この辺については、報告書の8ページにも、前回の報告書を書く際にも影響について言及しておりますし、あるいは政府のほうも閣僚の懇談会の形で、これについては政府を挙げて協力をお願いしているということであろうと思いますので、この辺の状況把握について御質問が1個あった。
2つ目でありますけれども、物価の扱いについても、報告書の8ページ。皆さんのお手元にある報告書。きょうは触れられていません。これは、事務局は前回報告書にきょう触れる予定はありますか。
○伊沢補佐 皆さんにお配りはしておりますが、きょう、そこに触れることはありません。
○駒村部会長 皆さんのお手元にはありますけれども、経済動向について、どのように勘案するかということは、根拠について御説明いただきたいということが書かれていると思います。
加えて、消費税が今後引き上がるときに、その影響をどのように扱うのかということが御質問としてあった。
3つ目は、住宅扶助の比重が変化した理由については、何だろうかという3つの御質問があったと思いますので、事務局のほうから今、答えられる範囲でお答え願えればと思います。
○大西課長 保護課長でございます。3つ御質問いただきました。
まず、1つ目の他制度への影響の分でございますけれども、これにつきましては先ほど補佐のほうから御説明しましたけれども、本年2月5日に、生活扶助基準の見直しに伴う他制度への影響は、できる限り影響が及ばないように、それぞれの制度の趣旨や目的、実態を踏まえまして対応することを、政府の基本方針として、閣僚懇談会という場で全閣僚で申し合わせたところでございます。
具体的には、25ページにも記しておりますけれども、まず各般の制度が参照しております個人住民税の非課税限度額につきましては、平成25年度はまず影響はないということをその場で確認いたしております。また、平成26年度以降は税制改正の議論を踏まえて、対応がなされることになるということでございまして、これは年末、予算編成と並行いたしまして税制改正の議論が進みます。それまで断定的なことは申し上げられないところでございますけれども、その推移を見ていただく必要があるということでございます。
そのほか、生活扶助基準の見直しに直接影響を受ける制度が三十五、六制度ございましたけれども、それにつきましては、この閣僚懇の場で、生活保護とリンクさせておる、連動させておる同様の趣旨の制度、例えば中国残留邦人の方々への給付などでございますけれども、そういうものは連動させることとして、それ以外のものにつきましては影響をさせない、できる限り影響が及ばないということを基本的な考え方で申し合わせたところでございまして、実際のところも影響を及ぼさない形でこれまで推移してきているところでございます。
あわせまして、地方単独事業、自治体で各般の事業を行っておられますけれども、それにつきましても、国の取り組み方針を、事務次官、官房長レベルで全省庁及び、都道府県知事にお伝えしまして、その趣旨をお酌み取りいただいて御対応いただくようにお願いしているところでございます。本年8月末、概算要求が取りまとまりましたけれども、来年度の概算要求におきましても、厚生労働省関係ではそういう影響が及ばない方向で要求をさせていただいてきておりますし、各府省におきましても、おおむねそのような方向で対応いただいていると認識しております。
また、重ねて、地方自治体のほうにも、2月の段階と同様に、事務次官名で、来年度につきましてもその趣旨をお酌み取りいただいて御対応いただきたいということで、お願いの通知を発出させていただいているところでございます。
その後のフォローアップにつきましては、所管の省庁の意向などもございますけれども、この場でこのような山田先生からの御意見があったということは伝達させていただきたいと思っております。
2つ目でございますけれども、消費税を来年4月に5%から8%に上げるということを安倍総理が10月1日に表明されましたけれども、それを受けての生活扶助基準の対応はどうなるのかということでございます。生活扶助基準につきましては、5年に一度の検証とは別に、毎年度、国民の消費動向や社会経済情勢を総合的に勘案しながら、毎年の予算編成過程の中で整理・対応させていただいております。消費税を引き上げますと、物価もそれに応じて上がり、おのずから消費水準も上がっていくことが見込まれるわけでございまして、消費税の引き上げによります国民の消費動向への影響を全体として勘案しながら検討していくものと考えております。
これは客観的なデータで、あくまで御参考ということでございますけれども、過去に平成元年度、消費税3%が導入されましたときには、改定率がプラス4.2%、平成9年度に3%から5%に引き上げられましたときにはプラス2.2%と、その時々のベースになる経済の情勢等もありますので、あくまで御参考ですけれども、そういう経過があったことは事実として御報告申し上げたいと思います。
3点目の住宅扶助のウエートが全体的に、相対的に膨らんできている、その背景なり分析につきましては、まだこの場ではっきり申し上げられるようなものはございません。
以上です。
○駒村部会長 山田委員、よろしいでしょうか。
○山田委員 御説明どうもありがとうございました。
特に1点目の質問については、村木次官のほうもいろいろ御尽力いただいていることは私も仄聞しておりますけれども、実態として、一体どうなったのかというのはぜひ把握していただきたいと思います。本当に影響が及ばなかったのか、それとも及んだ自治体が一部あるのかどうかということについては、実態をしっかりこちらのほうで情報を見せていただければと強く希望いたします。
○駒村部会長 ほかに。岩田委員、お願いいたします。
○岩田部会長代理 今の山田委員の御質問に関連して、それから別の点と、2つです。
1つは、インフレになった場合ということなのですけれども、これは前回の部会の最後のときに、デフレで下げるならインフレになったら上げるのですねと私は質問しています。それで、上げますという回答を得ていますので、検討というよりは、当然それは上げるのだと私は了解していますので、よろしくお願いしたいと思います。つまり、私たち部会報告ではない部分で、しかもある一定のまとまった分を、今、生活保護を受けている人にツケを回した感じになっているのですね。ですから、その部分は考慮していただきたいと思います。
もう一つ、他制度との関係なのですけれども、これは今後、御検討いただきたいと思いますが、生活保護基準とは別に、基準を参考にしつつ、低所得基準と言いましょうか、低所得者対策というのが生活保護制度とは別に存在した時期が長くありました。現在は、低所得対策、イコール生活保護というニュアンスで、つまり保護基準がストレートに参照されて他制度ができているという感じがありますが、かつては保護基準の1.2倍あるいは1.4倍というのが低所得基準とされていました。
これは、生活保護世帯の場合は租税公課が当然免除されていますので、一般世帯の場合はそういうものが含まれております。非課税世帯は別になりますけれども、その他のさまざまな負担があるということで、1.2とか1.4というのは地方によってちょっと違うのですけれども、例えば生活福祉資金貸付などは地方によって若干違いますけれども、1.何倍という低所得の水準というのを決めていた時代がかなり長くある。そのあたりが現在はあまりはっきりとしないので、保護基準の変更との連動は非常に微妙なところがあります。保護基準それ自体をどういう手法で決めていくかというのは非常に重要な問題で、今後も手法を検証しなければいけないと思いますけれども。
そのことと、保護基準のちょっと上にある、かつてボーダーラインという言い方でいわれた層、これが第2のセーフティーネットの議論の一つの焦点になっていくと思うのです。そこに対する諸制度は諸制度として、保護基準よりちょっと高目に設定するということも当然考えられるし、かつてやっていたわけです。ですから、最後のセーフティーネットがあらゆるものに参照されるわけですけれども、参照される場合、それより下回らないプラスアルファといいますか、ボーダーラインのちょっと上あたりの議論も必要なのではないかと思います。
ちょっと長くなって申しわけないですが。もう一つだけ、質問なのですけれども、9ページは、よく出てくる保護の開廃と失業率の関係のグラフですが、開始と失業率の関係では、どうということはない話なのですけれども、廃止人員の変遷が開始人員と似た動きをしているというか、違うところもありますけれども、なかなか判断が難しいですね、廃止理由に死亡というのがかなりあると思うのです。
これは、70歳以上人口が一番多いわけですから、死亡廃止があると思いますけれども、それは、このようなグラフの廃止から除いたほうがいいのではないかと思います。特に失業率との関係で見る場合に、死亡が入ると廃止のほうが、例えば景気がよくなって働けるようになって出ていく感じが出なくなってしまう。廃止理由にはいろいろな理由があると思うので、できれば仕事を得たからとか収入がふえたための廃止と、こういうものをあわせておけば、もうちょっときれいな図になるのかと。
以上です。
○駒村部会長 ありがとうございました。
ほかに。栃本委員、お願いします。
○栃本委員 事務局のほうから現況について説明がありましたので、その点についてお尋ねしたいのですが、その前に、一連の今回の扶助基準の関係で、他制度にはねるということで山田先生からお尋ねがありました。また、今、岩田先生からも御指摘があったわけですけれども、その点についてこの審議会で申し上げましたけれども、あくまでこの審議会は生活扶助の額をきちんと客観的に定めるということでして、それが他制度にはねるからといって、それでもって生活扶助基準というものについて云々ということでは、当たり前のことではないと思います。
むしろ、戦後一貫して生活扶助基準というものに直接連動する形で設定されたさまざまな他の制度の考え方について、それぞれの関係するところでさらに入念な生活扶助基準というものを勘案しつつ、検討するということがむしろ必要なのであって、それと今、岩田委員の御発言というのと全然矛盾することを私、申し上げているわけではない。
ということで、我々とすれば生活扶助基準について議論するということで、その際にその額というものが、審議会でも言われていたように、扶助基準の見直しに直接影響を受ける制度について、我々全委員が心配しているということではあるのだけれども、それについての対応策というのは、先ほど事務局から説明があったように、もっと大きいマターでもあるし、またそれぞれの最賃であれば最賃、その他もろもろのところをきちんとした議論をしていただくということを、逆に私はお願いしたいということです。
もう一つ、現況についてお尋ねしたいというのは、非常に細かい部分なのですけれども、14ページで不正受給の状況というものがあります。不正受給の状況というのは、国民が生活保護に対する見方として大変わかりやすい部分があって、その数字については慎重に公表されなければいけないと思うわけですけれども、ここにおいて不正受給の内訳で、収入が無申告であるとか過小申告などもあります。それと預貯金というものもあります。それらが多いわけですけれども、その一方で、各種年金等の無申告というのが25%弱と挙がっています。
ケースワーカーとか、そういうお仕事をされている方々からすれば、こういうふうにやっているのだよということなのですけれども、そもそもケースワーカーが月1回、保護を受けている方を面接するわけですけれども、年金等について申請に当たって、また実際に保護を受けている際に、捕捉と言うとあれなのだけれども、そういうものができていないということはどういうことなのでしょうか。実際のことで大変恐縮なのですけれども、ちょっとお教えいただきたいということです。
以上です。
○駒村部会長 お三方からの質問、意見がありまして、山田委員からは、他制度への影響については、引き続きフォローアップが必要ではないかというお話であったのかなと思います。これは、事務局においても関連部局と相談して、きちんとフォローアップしていただきたいなと思います。
それで、準拠していることについて岩田委員からお話があって、現実には準拠していると。この準拠していること自体についてどうなのかという問題意識が、岩田委員と栃本委員からあったかと思います。これは、おっしゃるように基準部会そのものの問題というわけではないのですけれども、低所得者向け政策として準拠していていいのか、どういう水準が望ましいのかというのは、少なくとも厚生労働省関係についてはきちんと整理して、議論はしていただきたい。こういうお話が両者から、岩田先生もそういう感じでよろしいでしょうか。今のことに関連しますか。では、道中委員、お願いします。
○道中委員 先ほど来の御発言と事務局のお答えに関連しまして、入念に確認ということなのですが、今回、長らく基準が据え置かれてきたということが背景にあって、国民目線からいたしますと、この大きな削減と見直しについては、検証委員会が5年に1回しか開催されない。そうすると、それはイコール、保護基準という問題も5年に1回ぐらいしか見直されないのではないかという誤解が随分とあるやに聞いております。
それは、もちろん消費者物価といったスピーディーな対応で、毎年必要があれば見直しをされるということが前提なのですが、多くの国民の皆さんは、5年に1回しか改定がなされないのではないかという誤解が1点あります。そういう意味で、そこをもう少し丁寧な御説明がなされるべきだということがあります。
もう一つは、物価というような、経済は生き物ですから、それが上がったり下がったりするということもあるのですけれども、とりわけ検証委員会で出した単身者等の部分ですね。そこで、お年寄りの場合については耐久消費財の購入のレベル、中身が少しつまびらかになれば納得できるようなこともあるのではないか。そこの内容の説明をもう少し詳しくしていただければ、より理解されるのではないか。そういった先行きの不安や誤解が払拭されるような方法を講じる必要があるだろうという確認です。
もう一つは、先ほど栃本委員がお話いただいたような不正受給事案についてです。実は不正事犯として刑事訴追しなければならないような悪質な事犯と、軽微な広い不正受給というものが国民目線から混同されているのです。
一般的に国民は不正受給というのは、刑事事犯としての告発、訴追しなきゃいけないという極めて悪質な事犯を想起します。しかし実際はそのごく一部の事犯の部分と、悪質でない78条での返還とか、もっと微細なものも含めて大網をかぶせたものが不正受給とされています。全て刑事告発に値するような可罰的な違法性がある重大な犯罪であるという拡大した、ざくっとした捉え方をされるのです。この国民の認識のズレは、保護費が適正に使われていないのではないかということで生活保護制度への不信に繋がるものです。不正受給の正しい認識の世論醸成が必要です。一方、今後の生活保護法の改正のところに不正受給に対する厳罰化という事項があると思うのですが、そこのところも過去、制度設計されて50年で刑事訴追で85条適用された件数は、毎年2件に満たないのです。だから、刑事訴追で重犯罪事犯として取り上げる事案は1.8ぐらいしかない。長年、ゼロという形がある。その85条をこの際、厳罰化ということで変えることについては、それなりに国民へのメッセージ的な意味合いや不正への牽制といった認識があると思うのです。保護基準と共に不正受給に関しては、社会的経済的影響が大きいので、その辺の丁寧な説明も要るのではないかと考えます。
以上です。
○駒村部会長 岡部委員、お願いします。
○岡部委員 今までの議論で出されてきた点について確認させて頂きます。山田委員が出された他制度への影響と、岩田委員、栃本委員が言われたことについての関連性についてです。別な言い方をするなら、生活保護基準部会はどこまでを守備範囲にするのかということになるかと思います。私の個人的な意見を述べれば生活保護基準はナショナルミニマム、国民最低限の基準であることが政策的にも国民的にも合意を得ている。
そういう合意を得ているときに、生活保護基準の守備範囲として考えたときに、本部会で前回やられた生活扶助基準だけの問題で、それは他制度として切り離して考えるか、そのことも含めてこれから議論される他の扶助の基準というものを、他の制度も視野に入れながら検討するかどうかということは、少し整理しておく必要があるのではないかと思っております。
と言いますのは、栃本委員がおっしゃったように、生活扶助基準で決めたことが他の制度の中でそれを活用するということは、別な言い方をするならば、生活扶助基準というのがそれを一つの尺度で考えるほど重みがある。そこまで視野に入れて、先ほど言われたようにモニターして、他の制度で尺度として自動的にそれを使用した場合不利益が生じないようにしなければならない。
1つの例を挙げますと、物価とか消費水準が下がったときに、私が所属する大学の入学金や授業料を下げているのかといったら、そうでもない。このことをどう考えたらいいのかという議論は他の制度でも議論しなければならない。なお大学進学は生活保護適用除外ですが、尺度としている関連制度は十分留意していただきたいと考えます。
話を戻しますと、守備範囲についてある程度は合意形成を図ったほうがよいと考えます。
○駒村部会長 関連しますか。
○山田委員 はい。もちろん、守備範囲についての議論は非常に重要だと思います。ただ、私が先ほど他制度への波及ということで考えていたのは、この基準部会での基準の検討の仕方というのは、低所得者層との比較によって、ある程度生活保護基準を考えていこうということがあって、その生活保護基準を変えた結果、低所得層のほうにいろいろな影響があったとしたら、比較対照のほうで、消費水準が下がる、所得が下がる可能性があり得る。
検討のあり方を考える場合に、そういう前提条件をある程度考慮に入れておかないと、悪いサイクルが起こってしまう可能性がある。比較対象となるものが下がっていく、基準を下げる。また、同じようにそれが他制度に波及して下がっていくという形でぐるぐる回り始めないように、どれくらい波及していくかというのは、いわゆる方法論上の問題として考慮しておかなくてはいけないという問題意識から、先ほど発言させていただきました。もちろん守備範囲をいろいろと議論しなくてはいけないというのは、岡部委員、栃本委員がおっしゃるとおりだと思います。
○駒村部会長 岩田先生、今の話ですね。はい。
○岩田部会長代理 私も1.何倍とか言ったので、誤解されたかもしれませんが、生活保護基準は生活保護利用者の生活を規定しているだけではなくて、国民全体の最低限の基準として機能しているということは、法律の大前提なわけです。したがいまして、例えば最賃制度を初め、国民生活のさまざまな分野に連動しているというよりは、その最低限をつくっている基準なわけですね。それを議論する部会ですから、当然それらへの目配りというものがないとおかしいわけです。もちろん、そのこと自体を議論しろというのではなくて、その波及する意味というのを十分踏まえて、その影響についても把握できるものはきちんと把握していかないと、最低限という意味がなくなると思います。
それから、5年に一度の話なのですけれども、全消の調査との連動でそうなっているわけですけれども、これはもともと年金もそうですけれども、賃金との関係で考えるのか、物価との関係で考えるのかという議論がずっとあった。だから、例えば賃金がどんどん上がっているときだと、生活保護も格差縮小のようなやり方はあったわけですから、別に5年に一度という限定を今後もずっとやっていかなきゃならないということはないと思います。
○駒村部会長 栃本委員、関連ですね。
○栃本委員 関連で一言。この間、最終的に1月だったか、きょうは報告書は配付されているだけで、それについての説明はないということでしたが、あれを取りまとめるときに、一番最後の部分で、生活扶助基準を客観的に見る際の、ほかのいろいろな代替的というか、さまざまな工夫について、阿部先生にも申し上げたわけだけれども、提案としてきちんとやらなきゃいけないという宿題にもなっているわけですし。
それと、今、岩田先生からお話がありましたように、5年に1回というのは全消との関係でそうなのだけれども、きょう聞かれているのもそうだけれども、適時適切に経済環境とかを受けて、見直しという言い方がいいのかどうかわからないけれども、運用レベルにおいて変えていくということで、今回も開催されているように理解しておりますので、前回の議論の中で、宿題としてきちんと書いてあるということ。
それと、岡部先生がお話になった、範囲はどこまでですかというのは、前回の任期期間中のときの議論でも、当然のことながらそれぞれ議論しまして、極めて限定的ではあるのだけれども、先生が御専門ですけれども、生活扶助というのは非常に大きな柱であるけれども、七つ八つの扶助の総体として最低生活というものが守られるわけだから、生活扶助だけで見てはだめなのだということを私、毎回指摘しました。そういう意味では、これにも書いてありますように、これからの進め方にもありますように、他の扶助とか加算についても時に言及しながら。
また、これは常に厳しく岩田部会長代理が指摘されたことですけれども、この基準部会における権能について、よく認識しながら議論を進めなさいということをおっしゃったのですけれども、その上で他の全体的なものとの往復関係というものが必要でして、その例として、今回、法律として出されて、まだ成立していませんけれども、それらの議論を進めた部会の議論を基準部会のほうでも御紹介いただきまして、それらについてもコメントする機会がありました。ということで、少し前からおりましたものですから、そういう範囲についても議論はしたということでございます。
以上です。
○駒村部会長 はい。
○岡部委員 前回は、生活保護基準の中の生活扶助基準を主に検討したということは了解しています。それについての波及効果がどうなのかということも、生活扶助基準以外の7つの扶助を含めて、生活保護基準は、先ほど述べましたようにナショナルミニマム、国民の生活の最低限の尺度としての側面も持っていますし、生活保護を受給される方々の尺度でもあります。私の主張の含意として非常に重いこと。また他の制度との関係でいくと、主に低所得者対策がそれに関連すること。さらには今回国会で上程される生活困窮者支援法もあり総合的に考えなければいけない。
もっと広く制度を俯瞰して述べれば高齢者は年金の問題が、またひとり親児童扶養手当の問題がなど広く全体に社会保障制度の総合調整的な話になりますけれども、ここはあくまでも生活保護の基準の部会ですから、生活保護の各種扶助の基準を丁寧にやっていく。しかし、もう一方では、背後にはそういう大きな問題が控えているということを念頭に議論を進めていければいいのではないかと考えております。
特にコメントを求めるということではなくて、構えとして私はそのようにとらえ参加しています栃本委員をはじめ皆さまが議論されてきたということでもありますので、私、新参者ですので、そのような気持ちでここに座っているということを表明する意味合いもありお話をさせていただきました。
○駒村部会長 ちょっと議論が長引いていて、実は資料3も重要な話が残っていますので、一通り終わらせないといけないと思います。今の話は、もし時間が余りましたら、また後で戻るということで、とりあえず資料3の話に入りたいのですけれども、一応簡単にまとめますと、不正受給の表現については、道中委員から少し丁寧にというお話がありました。
あと、この基準部会の役割については、5年に一度の構造的な見直しをやっているわけですけれども、余りにも間隔があくと影響の出方が非常に妙な出方になってしまうので、これについては特に消費動向について、きちんと対応する。これから消費税が導入されるわけですから、速やかに対応しなければいけない。その際には、前回の報告書に書いてあるように、きちんと合理的な説明はつくような形でお願いしたいという話があったわけでして、これについても確認したいと思います。
その上で、守備範囲についてでございますけれども、これは他制度へはねるという話でございます。守備範囲については、きょうの参考資料2に書いてあるとおりで、生活保護の基準にかかわるということですから、その他の扶助も含めての書きぶりになっていますが、確かに先ほど山田委員からお話があったように、ループは発生し得る。つまり、測定して動かしたら、他の制度にはねて、それがまた統計のほうに出てくるのではないか。ループは出てくるのだという話は、少し頭の中に入れておかなければいけない。
そういうことを考えますと、国がかかわる全ての制度について目配りするというのは、ほかの省庁との連携もあるでしょうからいろいろ課題もあるでしょうけれども、その辺については厚生労働省を中心に政府を挙げて対応していただきたいと思いますけれども、厚生労働省に関係するものについては、きちんと状況把握をして、影響について議論に反映できるようにしていただきたいという話だったと思いますけれども、事務局から何かありますか。
○大西課長 ごく手短に申し上げます。
刑事告発の関係につきましては、今後もっとわかりやすく整理ができればと思っております。もっとしっかり対応すべきところができるように、現場のマニュアル的なものも整理しなくちゃいけないという問題意識もかねてよりいただいているところでございます。
また、法案につきましても、これから再度国会に提出することになりますので、各方面に丁寧にやっていきたいと思います。
それと、他制度への影響の部分で、私、地方自治体の制度につきましては、強制的にお願いできるものではないにも関わらず、少し前のめりな申し上げ方をしてしまったかもしれませんので、そこは念のため申し上げておきます。
また、フォローアップにつきましても、全国に膨大な数のいろいろな取り組みがあると思いますので、それぞれどこまでできるかということもあろうかと思います。ただ、厚生労働省の本省でやっております国の事業につきましては、まずはしっかり整理させていただきたいと思っております。
○駒村部会長 続けて、年金に関して。
○大西課長 年金につきましては、平成23年3月に年金制度の関係を資産活用とあわせまして、相談があり申請いただくという段階で、細かい様式の調査票を定めまして確認させていただくよう、より丁寧な対応をするようにしてきておりますが、それでもまだ漏れが生じてきているところは、現実問題としてはあるのだと思います。
○栃本委員 申告だけじゃなくても、確認することができないとは言えないですね。確認できますね。
○小室室長 済みません、事務局ですけれども、委員おっしゃるとおりで、今、課長のほうからも説明ありましたとおり、福祉事務所がある年齢に到達したら年金申請を促すための台帳を整備しています。あくまでも事務所側が事前に調査していれば、78条ではなしに、あらかじめ事務所が把握して処理でできる事務所の案件もございます。
○栃本委員 それは事務所ですね。
○小室室長 はい、事務所サイドで調査していれば事前に把握できたそういうケースもごく一部含まれております。
○栃本委員 こういう機会ですから、説明していただいてもよかったのかなと思ったので。
○小室室長 はい。そこは、全国会議等を通じて、各自治体にも御指導させていただいております。
以上です。
○駒村部会長 宮本委員。
○宮本委員 時間も少ない中で、申しわけございません。私、初めての委員なものですから、ちょっと確認させていただきたいのですけれども、27ページの生活困窮者対策と、今回のこの議論の関係についてです。生活困窮者対策の主要な対象者が生活保護世帯なのか、それとももっと広い意味のいわゆる生活困窮、あるいは先ほどから出ている言葉で言うと、低所得層とかボーダーライン層を含むものなのか。ここは、いろいろな場でこの話が出てくるときに微妙に違っていて、きょうのこの委員会の中の御説明だと、これはほぼ生活保護世帯対象の支援になる可能性がある。
そうしますと、ちまたでは引き下げを含む今回の見直しということと、この生活困窮者対策というのが一体化して捉えられると、生活保護の切り捨てといいますか、就労強化ということになってしまい、予防という部分が全くなくなってしまうだろうということで、予防ということは、要するに生活保護世帯でない人たちをどう救済するかという問題ですね。そのあたりについて御説明いただければと思います。
○駒村部会長 はい。
○古都審議官 27ページで、私どもがこの2年余りずっと考えてきたのは、生活保護制度だけでは足らないのではないか。より積極的な意味合いで、そこに至る前にできるだけ早い時期に、例えば現在、先生方御存じのように、生活保護受給者は本当に資産を使い尽くしてからと言われてしまえば、なかなかすぐには立ち上がれないだろう。そういう意味で、例えば住宅手当であれば、家族であれば百万円、単身でも五十万円ぐらいの預金があってもいいし、物を持っていてもいいです。その上で、半年間、住宅手当を出すから頑張ってみませんかということをやっておるわけです。
そういう制度をこれまで予算措置でいろいろやってきたわけですが、現金給付も重要でありますけれども、大切なことは支援サービスが必要だろうということです。この層は支援サービスが非常に薄い層でありますので、生活保護に至る前の方々に、早い段階で予防的な考え方で生活困窮者の自立支援法案を国会に出すということで我々は考えております。そこの充実がなければ、むしろ委員御指摘の予防という意味合いのことはますますできないのではないかと思います。
いろいろな自治体からの御報告でも、ケースワークをうまくやれば、二、三カ月で早く支える側に回ることができるという実績もあるわけですし、御本人もそういうことで自信を取り戻していただくことが非常に大切でありますので、私どもは図の真ん中のところをしっかりやりたい。そういう意味で言いますと、黄色で塗ってある部分につきましては、生活保護受給者というよりも、至る手前の人を中心にやる制度としてつくっていく。それから、生活保護から脱却された方も不安定でございますから、そういった方についてもこの辺で相談、フォローしていくという形ですみ分けつつ、連動してやっていきたいと考えております。
○駒村部会長 よろしいですか。時間もなかなか迫っておりますので。では、阿部委員、簡潔にお願いします。
○阿部委員 現状把握ということで、資料のお願いです。それは、引き下げが起こってから生活保護受給者側のほうから、訴訟を含めていろいろな動きが出ているということは私たちも新聞等で知っておりますけれども、その方々が生活保護受給者の方々の総意をあらわしているとは決して思いませんけれども、私たちは基準部会の委員として、生活保護の受給者の方々がそれに対してどういうリアクションをしているかということを知っておく義務があると思いますので、どういう状況になっているのかという資料をつくっていただければと思います。
○駒村部会長 事務局のほうで対応してください。
それでは、済みません、急がせてしまったのですが、次に今後の本部会の議論を進めるに当たって、大まかな方針を議論しておく必要がありますので、この点について事務局より報告をお願いいたします。
○伊沢補佐 引き続き、今後の議論の進め方について御説明をさせていただきます。
資料3でございますが、1枚おめくりいただきまして、表紙の裏に目次といたしまして、本日御議論いただきたい、検討を要する3つの課題を提示させていただいております。資料では、それぞれの課題につきまして事務局のほうから御提案させていただく形で1ページずつ、各課題についての方針案をまとめておりますので、以下、各ページに沿って御説明させていただきたいと考えております。
2ページでございますが、生活保護基準に関しまして、1月にいただきました本部会の報告書や経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針などにおきまして、生活扶助以外の他扶助や加算制度についても速やかに検討を行うよう、指摘されてございます。また、本部会の報告書の中でも、将来の基準の検証手法の開発についても求められているところでございます。このため、今後とも常設部会でございます本部会におきまして議論を行っていく上で、以下のような方針で議論を進めていくこととしてはどうかという議論を賜りたいと存じております。
まず、今年度、残るところあと半年でございますので、全国消費実態調査など大規模調査の特別集計データの活用などが必要となる分析を行うには、十分な時間を確保することは困難でございます。このような分析が考えられる扶助、例えば住宅扶助や加算制度につきましては、慎重な検証を行う観点からも客観的なデータを用いた分析に取り組むために準備を早目に進めていってはどうかという御提案をさせていただいております。
1月に報告書をいただきましたさきの検証におきましても、総務省から借り受けました個別データの特別集計や分析にかなりの時間を要していたということもございます。その反省を踏まえまして、まずは総務省からデータの借り受けのための事務手続など、近々に着手できるところから早急に作業を開始したい、そのほうが合理的ではないかという御提案でございます。
次に、2つ目の丸の2ポツ目でございますが、現在、政府では、勤労控除の見直しや就労活動促進費の創設、就労自立給付金の創設の検討など就労・自立支援策の強化を図っているところでございます。このことから、各扶助の中でも生業費や技能修得費といったものを支給して受給者の就労自立を図るという目的を持った「生業扶助」に着目いたしまして、その活用実態を踏まえながら、今日的な役割の確認、またはより効果的な見直しができないかといった議論を実施してはどうかという御提案でございます。
さらに、さきの検証では、生活扶助の中で経常的な日常生活費を賄う基準生活費については検証を行っていただいたところでございますけれども、今回は、引き続きその生活扶助の中で臨時的な特別需要を賄うために設けられております「一時扶助」について、その活用実態を踏まえた上で御議論いただいたらどうかという御提案をあわせてさせていただいております。
残された課題でございますけれども、そこにも例示しましたとおり、将来の新たな基準の検証手法の開発など、結論を得るには時間をかけて丁寧な御議論をしていただくことが必要なものばかりが残っていると認識してございます。実態を踏まえた現実的な御議論をいただくためにも、データの分析は不可欠と考えております。既存の調査の活用、または新たに調査を実施することにより、実態をより正確に把握してまいりたいと考えております。
さらに、さきの国会で廃案となりましたが、生活困窮者自立支援法が成立した場合には、生活困窮者対策等がどのように進展していくのか、その検討過程につきましてもある程度見きわめていくことも同時並行的に必要になってくるのではないかと考えております。時間をかけて丁寧に議論する必要のある残された課題につきましては、これらのさまざまな状況も踏まえまして順次議論してまいったらどうかという御提案になります。
続きまして、3ページ、2番目の課題について御説明させていただきます。現在の生活扶助基準額につきましては、毎年度、国民の消費動向、または社会経済情勢といったものを総合的に勘案して定めているということでございます。5年に一度、現行の基準額が一般低所得世帯の消費実態と適切に均衡が図られているのか、検証を行っております。
しかし、本年1月にお取りまとめいただきました報告書におきまして指摘されておりますように、生活扶助基準について、将来の検証手法の開発が求められているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、結論がすぐ出るような課題ではございませんが、今後の検証に向けた新たな検証手法の開発について、どのような手法が考えられるかなど議論を開始することとしてはどうかという御提案でございます。
本部会におきましても、一昨年、マーケットバスケット方式を改良いたしました理論生計費による最低生活費の推計、または主観的な生活費による推計、またイギリスで編み出されております一般市民へのグループインタビューでマーケットバスケットを行うミニマムインカムスタンダード法による推計、こういった相対的な方式以外の考え方についても御紹介いただいたところでございます。非常に難しい課題でございますので、事務局といたしましても、ぜひとも委員の皆様からお知恵を拝借したい部分でございます。
議論を開始するに当たりまして、まずはこのところから具体的に始めてみてはいかがかという事項を、下の点線の箱の中に事務局案として御提案させていただいております。ぜひ専門的な御立場から御意見を賜れればと考えております。
続きまして、3番目の課題について、4ページで御説明させていただきたいと思います。今回の基準見直しにつきましては、本部会の報告書において、その影響の実態を把握し、今後の検証の参考にする必要がある旨、指摘されておるところでございます。また、今回の見直しとともに、生活保護受給者の就労インセンティブの強化を図るなどのために、基礎控除の引き上げや特別控除の廃止、自ら積極的に就労活動に取り組んでいる者に対して、その活動にかかる経費等を踏まえて一定額を支給する就労活動促進費の創設を行ったところでございます。
さらに、保護脱却直後に税・社会保険料等の負担が生じることなどを念頭に置きまして、保護受給中に就労収入の一部を仮想的に積み立てを行いまして、安定就労の機会を得たことにより保護脱却に至った際には、一時金を支給する就労自立給付金制度の創設の検討をしているところでございます。こうした取り組みによる影響について、今後、以下のような分析評価をしていくことにしてはどうかという御提案でございます。
まず、下の点線の緑の箱の1つ目の丸でございます。基準見直しの影響の評価につきましては、現在、厚生労働省で実施しております社会保障生計調査の平成25年調査世帯1,110世帯の各月の消費支出を測定いたしまして、評価してはどうかと考えております。この調査は、被保護者に毎月の支出状況を家計簿形式で記載してもらっている調査でございまして、本年8月の保護基準の見直し実施前後で消費にどのような変化があったか、把握することが可能と考えられます。ただし、当該調査のサンプルは無作為抽出のものではございませんので、統計的な処理によって世帯類型等といったカテゴリーでの特徴を分析するのは困難であるという点、御留意いただく必要があるかと思います。
次に、2つ目の丸でございますが、就労施策の評価については、同じく厚労省で実施しております被保護者調査を用いて、次のように評価してはどうかと考えております。この調査は、被保護世帯を悉皆調査したものでございまして、毎年7月時点の全被保護世帯の状況を把握しております。年度途中で保護廃止になっていなければ、本年8月の見直しを挟みまして、同一世帯の状況を把握することが可能となります。具体的に申し上げますと、見直し前の平成25年調査と、見直し後の平成26年以降の調査を用いまして同一世帯をひもづけした上で、世帯員の就労日数または就労収入額の変動を分析してみてはどうかという御提案でございます。
あわせまして、保護廃止の理由の項目から、就労を理由とする保護の廃止の割合の推移の分析もすることが可能でございますので、実施してはいかがかと考えております。
今後の議論の進め方について、事務局からの御提案は以上でございます。よろしく御議論のほどお願い申し上げます。
○駒村部会長 今後の部会で行う議論の範囲、スケジュールまではないわけですけれども、おおむねこういう範囲でやっていきましょうということで、1つは、その他の扶助と加算に関する評価をしましょう。もう一つは、基準の検証のやり方、データの使い方等々という意味ですけれども、基準の見直しに関する開発的な部分。それから、関連施策の政策効果測定に関する議論と、3つを守備範囲にしていきましょうという御提案でした。
あと30分ぐらい残されていますので、きょうは余り細かいところまでは行きませんけれども、今後の議論として事務局に用意していただくものがあったり、入り口としてこれは大事なのではないかということについて議論したいと思います。どうぞ御意見ください。道中委員。
○道中委員 ありがとうございます。
緑の箱、破線の2つ目、就労施策の評価についてというところの。
○山田委員 何ページですか。
○道中委員 4ページの一番下の緑の破線のところですけれども、お願いしたい事項は、例えば廃止理由の項目から就労を理由とする廃止の割合というところがございますけれども、1人で働く世帯と複数人が働いている場合。1人で働いておられる方の世帯の状況が53%と、小さい調査であるのですけれども、2人で働いている場合の廃止の割合は非常に少のうございます。それは控除の関係があるのかなと感じたりしますので、そういった収入金額別とか人数別とか、もう少し細かいところを資料として御提示いただければありがたいと思います。
2つ目で、基準見直しの影響の評価のところですが、母数が少ないということもあるのですけれども、現場の方が大変御苦労されて積み上げた家計簿調査とか該当の要保護世帯、受給されている方とそうでない世帯とあるのでしょうけれども、そこのサンプリングの仕方をもう少し厳密に捉えていただいて、ともすれば家計簿を比較しやすい単身世帯あるいは高齢者夫婦世帯の数が、ややもすると多くなる可能性もありますので、そこのところをもう少しきちんと条件統制されながらサンプリングを確保していただくようなことを、また今後そういうことをされるのであればお願いしたいと思います。
欠落補充をされても、同じような類型のものをそこに充当されるといったところで、少しコントロールしていただくようにすれば、より信頼性の高いデータとして材料ができるだろうと考えます。
○駒村部会長 ほかの委員、大竹委員、お願いします。
○大竹委員 まず、将来の基準の検証方法の開発の検討につきまして、2つのコメントがあります。
1つは、前回の報告書で低所得者層の消費水準の決定要因を推定された方法について、もう少し検証する必要があると思います。報告書の推定結果に基づいて、若年層は比較的引き下げになって、高齢層は引き上げになった。しかし、その推定結果を幾ら読んでも、なぜそのような推定結果が得られたのか、経済学的にも納得できる理由がよくわからないのです。私が理由として想像できるのは、次の二つです。第一に、低所得者層のサンプルを抽出してデータを分析されているのですけれども、推定式には個々の世帯の所得水準が説明変数に入っていませんから、そのグループの所得は基本的には同じであるとみなされて推定されています。一方、金融資産は説明変数に入れられています。そうすると、低所得世帯では高年齢層ほど消費水準が高いという推定結果が出たのは、実は年齢グループ間で平均所得が違っていたことを反映している可能性があります。つまり、同じ低所得層でも、高齢層の方が若年層よりも所得水準が高いという所得水準の差による消費水準の差を年齢による消費水準の差であると解釈された可能性があります。
第二には、仮に同じ所得であっても消費水準が違ってくる可能性として、若い人たちは同じ所得であっても、将来のことを考えて貯蓄する必要があるけれども、高齢者はその程度が低いということを反映しているということを推定結果が示しているかもしれません。そうであれば、同じ所得であるということの意味が若い人と高齢者では全く違う。若い人にとっては、同じ20万円でも、それが生活に回せる額は低くなってしまうということを意味しているのかもしれない。つまり、同じように低所得に直面していても、その深刻度は、若い人たちのほうが高齢者より深刻だったかもしれないという可能性があると思います。ただ、これらは私の推測にすぎませんので、本当のところはわかりません。これはもう少し検証する必要があるということです。今回の推定結果は、かなり精緻な分析がされていますけれども、もう一度見直す必要があるのではないかと思います。
もう一つは、先ほどのデフレの議論に関わることです。物価水準の変化が今回の給付水準の見直しで、一度に影響があったという議論ですけれども、それについてもより望ましい方法を検討した方がいいと思います。第一に、5年に一度大きな変更をする以外により頻繁に変更する方法も検討できると思います。第二に、物価の影響をどう見るかということも検討をしたほうがいいだろうと思います。例えば低所得層であっても、教育費はずっと上がり続けているという議論がありましたけれども、どういう世帯かによって消費バスケットが違いますから、あるグループはひょっとしたら物価水準が高いところで、今のデフレの影響を余り受けていなかったかもしれないけれども、別のグループは受けたかもしれないということをきちんと把握すれば、5年の期間内は消費バスケットを世帯属性ごとに固定して、個別の物価の変動を反映したマーケットバスケットに基づいた物価調整を自動的にするという制度ができるかもしれない。
そういうことをすぐにはできないとは思いますが、この部会の5年の中でどう細かい変動をしていくかということも分析すべきターゲットに入れてはどうかと思います。
もう一点だけ。データのところですけれども、確かに全国消費実態調査とか、ここで挙げていらっしゃるような被保護者調査とか社会保障生計調査というのも大事なのですけれども、厚生労働省がお持ちの業務データもたくさんあるわけですね。そうしたデータは、厚生労働省の中で使えるものですので、業務データで一体どこまで分析できるのかということも検討対象にしていただければと思います。
以上です。
○駒村部会長 ほかにいかがでしょう。岩田委員、お願いします。
○岩田部会長代理 私も業務データを取り上げるということは前にも申し上げたことがあると思うのですけれども、ぜひやっていただきたい。つまり、現場に負担をかけないようなやり方で、「行政業務報告」というデータがあると思いますけれども、生活保護は大変古い制度なので、世帯類型にしても、各項目にしてもかなり常識とは違うのです。国民生活基礎調査とも違う世帯類型を持っていますので、これまでの調査を時系列的に見ていく上で、そっちも確保できて、なおかつ一般的に誤解されないような世帯類型で見られるようなものができるのではないかと思います。家計調査は難しいと思いますけれども、改廃理由とか世帯類型はもうちょっと細かくできると思います。
それから、その他というのも改廃理由で結構多いのですが、こういうもののもうちょっと細かい内容を区分して書いてもらうということで、通常の業務から保護率も地域差がかなりありますから、その地域の生活保護の実態というのを、現場レベルで、自分たちの事業をデータ化してわかっていくことが基本的に大事かなと思います。
もう一つは、住宅扶助や加算を扱うと言われたのですけれども、住宅扶助は基本的に第2種公営住宅を参照してきたわけで、既にそれがない現状で、一体何を参照してやってきたという非常に困難な問題があるのですね。だから、住宅・土地統計調査を参照していいのか。加算も昔、私も一番最初の加算廃止のときの委員でしたけれども、加算をやるとき、世帯類型が関連してきます。母子などの場合、全消で見てもサンプル数が非常に少ないので、それで比較できるかどうかという問題があって、ずっと引っかかってきた。
もう一つは、生活保護の基準の決め方が標準世帯から展開すると決めているので、世帯類型から攻めていいのかという基本的な問題があるのですね。私は、そのことがずっと引っかかっていますので、全消のような規模の大きい家計調査を使う場合でも、展開でやるのか、前からモデルをつくろうみたいな話があるわけですけれども、そういうふうにして基本モデルをつくって、その他をどういう形でそこから展開させるという方法にするのか。過去3回やった検討会で、いずれも問題になった点だと思います。そのあたりを整理しないと、加算とか住宅扶助問題は到底処理できないと思います。
○駒村部会長 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 私も意見なのですけれども、影響の評価のところについて、今、御提示いただいている方法では、就労に置いておくにしても、基準見直しの影響のところでは、結局、生活保護世帯の中で消費の分布がどのように変わっているのか。全体のパイが低くなった中で消費の分布がどのように変わったのかということは、もしかしたら見ることはできるかもしれませんけれども、それ以外のところは、消費は絶対にここまでと決まっているので、基準のぎりぎりまでですので、余り見れないのですね。
でも、先ほど山田委員がおっしゃられたようなネガティブなループが発生しないかという点においては、生活保護以外の世帯への影響を見なければいけないわけで、それが先ほどの行政データのほうでどのぐらいが引き下げられたかという話もありますけれども、そちらの検証。これは、データが出てくるのは数年後になりますし、すぐできないのですけれども、長期的なことを今、考えているという観点で申し上げさせていただきますと、そのことも将来的には考えていかなければいけないところだと思います。
もう一つ、これは恐らくそれほど大きな影響はないと思われますけれども、基準が下がったことによって切られた世帯がいたかということですね。大きいところで10%も切られた可能性があるわけですから、そこで収入がぎりぎりのところであれば、その可能性はなきにしもあらずということですので、そのようなものは行政データから把握できます。恐らく、それはすごく少ないのだと思うのですが、ゼロであったと聞くだけで私たちも安心しますので、そこはぜひよろしくお願いいたします。
○駒村部会長 岡部委員、お願いします。
○岡部委員 その他の扶助の中で生業扶助を取り上げるというお話があったかと思います。自立の助長の観点から、生業扶助が就労自立に最も関連しています。そこで生業扶助の制度設計・運用をどうするかについては、例えば昭和20年代の現行生活保護法制定・施行当初の労働市場と、高度経済成長以降では労働市場の状態も違いますので生業扶助の活用の仕方やその数も違います。
今日「その他世帯」である稼働年齢層が増加傾向にあるなかで生業扶助を適用しより労働市場に参入しやすい仕組みを考える必要があります。現在受給している稼働年齢層がどういう状態・属性か、また労働市場のパス(経路)として、どういう職種、雇用形態、労働日数、賃金等、ある程度そういう検討していく必要がある。
今般、勤労控除の見直し、就労活動促進費、就労自立給付金の創設の検討等就労のインセンティブを図る方策が考えられています。。現下の労働環境の中で、より就労を促進する方向で生業扶助のあり方(制度設計・運用)をぜひ検討していただきたいと考えます。
そのことに関連して一般労働市場にて雇用される方もいらっしゃいますが、そうでない方の場合はどうするかも、これは生業扶助の範疇で考えるか、生活扶助の範疇で考えるか、それ以外の他の扶助の範疇で考えるか課題であると考えます。これは、今回のラウンドでなくても結構かと思いますが、生活困窮者自立支援法で中間的就労もだされてきておりますので生業扶助の範疇で扱うのか扱わないのかの整理は必要と考えます。
○駒村部会長 ほか、いかがでしょう。山田委員、お願いします。
○山田委員 大枠については、今、各委員が挙げられたことに賛同いたします。
私からは、2つほどテクニカルなコメントなのですけれども、4ページで、例えば被保護者調査を用いて、25年調査と26年調査をひもづけするということなのですけれども、調査票とかを見ると、25年と26年がひもづけできたということは、被保護者のままであったということです。重要なのは、25年はいたけれども、26年はいなくなったという人たちであって、それについては調査票からは、どうしてそこから抜けたのかは今のところわからないので、どうして次の調査では把握できなかったのかというのは、新しい項目、小さな本当に簡単な項目ですので、設ける必要があるのかなと思います。
社会保障生計調査も、調査に対しては大変な苦労があるということは私も伺っていますけれども、調査の途中で抜けてしまう方はどうしても出てしまうので、はっきり把握できない状況があると仄聞しておりますので、どうして調査から落ちてしまったのかという項目があると、もう少し詳しいところが分析的にわかるのかなというのが1点目です。
2点目もテクニカルな問題ですけれども、岩田部会長代理もおっしゃっていた開廃理由で私が気になっているものに貯蓄の減少というのがあるのですね。貯蓄の減少というのは、生活保護を受給するために資産を処分している人たちも入っていると思えるのですけれども、何かショックがあって貯蓄が減少したのか、それとも生活保護を申請するための条件を整えるために貯蓄を減らしたのか、それは今のところわからない。特に、4ページで就労自立給付金制度の創設にもかかわるところを見ると、貯蓄をどういうふうに減らしてきて、生活保護を申請しているのかという識別ができないですね。この影響がどうだったのかというのがわからないと思いますので、そこのところは開廃理由のその他も含めて工夫していただきたいと考えております。
私からは以上です。
○駒村部会長 ほかの委員はいかがでしょうか。栃本委員。
○栃本委員 2ページ目で、先ほど来、ほかの先生方からお話がありましたけれども、議論の進め方の緑の枠の中で、各種扶助については、生業扶助について早急に検討するということと、経常的な日常生活費については生活扶助でやったので、臨時的なもので特別需要を賄うと言われている一時扶助について、活用実態をきちんと事務局のほうで出してもらって議論することになるわけですね。
一番最初のほうの資料2で、事務局の説明にありますように、生活保護基準に関する主な意見として、財政審と経済財政運営と改革の基本方針、そして我々の生活保護基準部会においても指摘しております、生活扶助以外の他扶助や加算制度についても、表現は違いますけれども、速やかに検討し、見直すということが出されているわけだけれども、さしあたり生業扶助と住宅扶助についてはということですね。それ以外のものについても、順次行うという理解でよろしいわけですね。
もう一つ、岩田先生からの話で、この間の検証の場合、そもそも論も1つあったのだけれども、5年に1回のものを出さなきゃいけないということで、さはさりながら、これでやるのだとやった部分がありますね。それもあったからこそ、基準の検証手法の開発というところにつながっていくわけだけれども、先ほど展開でするのかという議論。これは基本なのです。
展開というのは、いわば操作という意味なわけで、これの出し方の根幹部分なのだけれども、それらについて、前回はとにかく正確に、客観的に従来のやり方を踏まえた上で、修正しながらできる限りいい形でやってきたということなのだけれども、多少時間があるわけじゃないけれども、手法についてと書いてあるわけだから、どういう形の議論がいいのか。
下手に議論すると、根本議論になる部分があるので、ハンドリングは難しいと思うのだけれども、研究者というか、そういう観点から、前回の場合でも、イギリスの例とか、そういう議論もあったわけだから、そのぐらいの試行的と言うとあれだけれども、そういう関係で議論をできたら少し進めていけば、比較的、ううんと思っている部分についての議論も、多少共通認識というか、共通してこうあるべきじゃないかという議論ができる。その持ち方はなかなか難しいと思うのですけれども、そういうことについて今後していただきたいなということと。
もう一つは、これは基本的な意味での今後の進め方で、影響の評価についてとかあるのだけれども、それ以外にも8月1日に下げて、来年4月1日にも行うわけだから、それらについても議論になるのだろうけれども、それはその時々のことだからと思っております。
以上です。
○駒村部会長 よろしいでしょうか。今、栃本委員から確認された優先的にやる、検証するところはどこなのだというのは、後で事務局でお答えいただければと思います。その上で、いろいろと御意見があって、前回の検証についてのコメントがございましたし、業務データをどういうふうに改善して活用していくのかというコメントもあり、それぞれの扶助をどう検証するのか。そのデータセットや扶助の意義自体が変わってきていることも少し考えたほうがいいのではないかという議論もありました。
非常に多くのコメントがありましたので、事務局側は今のコメントを少し整理していただいて、すぐ対応できる部分と、あとは課題的な部分。まず、次回あたりに整理していただくということで、お願いできればと思います。
それから、今後の進め方、私からも事務局に確認したいのですけれども、この3つのテーマについては、何か順番をもってやっていくのか、それともできることから、あるいは同時並行的に議論していくのかという点。データの問題とか、いろいろタイミングがあると思いますので、きちんと整理できないかもしれませんけれども、どういう順番というか、段取りでやっていくのかという考え方を確認したいと思います。栃本さんからのコメントも含めて、あるいは委員のそれぞれのコメントに何か今の時点でお答えすることがあれば、お答えいただければと思います。よろしくお願いします。
○大西課長 ありがとうございます。
栃本委員からの御質問ですが、まさに資料の1枚目、2ページに書かせていただいておりますように、当面、各種扶助、加算の中では、生業扶助と一時扶助につきまして御議論をいただければと考えております。補佐からも言及いたしましたけれども、特に生業扶助を中心に、現場でのケースワーカーの皆さんから見た活用の度合いなり使い勝手なり、またこういうふうに考えたほうがいいのではないかというようなアンケート的なものも、今、作業中でございまして、そういうものもごらんいただいて御議論いただければと考えております。
また、3つのページで書いておりますものの前後関係といいますか、どんな時間感覚なのかとの部会長の御質問でございますけれども、将来の基準の検証手法の開発、これはまさに次の5年後を目指して諸委員から御意見いただきました。さまざまな御議論なりデータの検証などをいただく必要があると考えておりまして、これはかなり高度な御指摘も含めていただいたと思いますので、データの見通しなり、どこまでできるのかも含めて、少しお時間をいただいて、また進め方を御相談させていただければと考えております。
最後の基準の見直しにおきます影響の評価は、先の2つの間でそれぞれ御指摘いただきましたデータなり統計のとり方の改善なり、考え、データが固まりましたら、順次、間を見て、ないし2つのテーマ同日かもしれませんけれども、御報告させていただくような時間感覚かなと思っております。
以上です。
○駒村部会長 そろそろ終わりの時間になってきました。これで本日の審議は終了したいと思いますけれども、何か次回までに特にという事務局にお願いするようなことはございますか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○駒村部会長 はい。では、最後に次回の開催について、事務局から連絡をお願いいたします。
○伊沢補佐 次回でございますけれども、今、日程調整中でございますので、また追って御連絡させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。
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