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2013年10月22日 第3回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年10月22日(火) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省16階専用第17会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 ただいまから、「第3回遺伝毒性評価ワーキンググループ」を開催します。本日は、朝早くからお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。以降の進行については、座長の清水先生にお願いします。

○清水座長 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 確認します。本日の議事次第ですが、(1)遺伝毒性情報収集対象物質の遺伝毒性の評価について、ア「強い遺伝毒性あり」と評価された物質の評価、イ「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」と評価された物質の評価です。(2)遺伝毒性試験、具体的にはエームス試験ですが、こちらの候補物質の選定です。(3)今後の予定などを確認したいと思っています。

 本日の資料ですが、次のページに配布資料一覧があるので、そちらに沿って確認をしたいと思います。資料は大きく資料1-1から資料3までのグループと、参考資料1から参考資料2-3のクループに分かれていまして、それぞれクリップないしホチキスで留めてあります。

 今回についても、資料の通しページの数字を各ページの右下に付けてあるので、そちらを資料ごとに申し上げていきたいと思います。資料1-11ページから、資料1-23ページから、資料1-35ページから、資料1-47ページから、資料2-19ページからです。そのあと資料2-2(1)(7)に分かれていまして、資料2-2-(1)13ページから、(2)31ページから、(3)35ページから、(4)37ページから、(5)39ページから、(6)41ページから、(7)45ページからとなっています。

 そのあと資料2-4から2-8が机上のみ配布となっていますが、またページを番号ごとに申し上げます。資料2-347ページから、資料2-485ページから、資料2-5119ページから、資料2-6129ページから、資料2-7137ページから、資料2-8147ページから、最後で資料3149ページとなっています。こちらは資料関係です。

 参考資料ですが、別のホチキス留めの綴りになっていまして、参考資料11ページ、参考資料2-13ページ、参考資料2-25ページ、参考資料2-311ページです。

 そのほか、資料番号を付けていない資料でA41枚のものがあり、追加配布資料となっているもので、「遺伝毒性評価手順」が1枚あります。ここまでが紙で配布している資料です。

 本日は文献関係については、紙ではなくてパソコンにデータを落として先生方のデスクに置いています。中身的には、本日の議論の中で強い遺伝毒性ありと評価された16物質、遺伝毒性はあるが強弱の判断不能と評価された3物質、こちらについてそれぞれ評価の参考になった文献をデータで入れているので、議論の際、必要があればご覧いただきます。よろしくお願いします。資料関係については、以上です。

○清水座長 資料2を御説明いただけますか。

○大淵有害性調査機関査察官 本日の議事の(1)の関係ですが、資料の9ページを御覧ください。資料2-1です。今回の「WGにおける遺伝毒性評価の経緯」の関係ですが、こちらの資料で1ページは前回お配りした資料と全く同じでして、前回と異なるのが次のページから、通しページでいくと10ページからが前回のものと変更があります。

 読上げます。3として、各委員による評価結果を踏まえた今後の作業の進め方ということで、第2WG、前回109日に開催しましたが、こちらでの議論の結果、次のとおり作業を進めることになったということです。

(1)として、物質の分類ごとの作業ということで、「丸数字3『強い遺伝毒性あり』の物質」については、行政対応の要否について、第3WGにおいて1物質ずつ精査する。次の「丸数字3以外の物質のうち、エームス試験なしの物質」は、遺伝毒性の評価を一旦保留し、構造活性相関の対象とする。「丸数字3以外の物質のうち、エームス試験ありの物質」は、アとして、エームス試験に不備がある物質(菌株不足、用量不足)については、「丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難」と評価し、エームス試験候補とすると。ただし、エームス試験以外の試験によって評価が可能であれば、評価をするということです。

 イとして、エームス試験に不備がない物質については、得られている情報の範囲で、遺伝毒性について再評価をするということです。先日の第2回、109日のWGの前に一旦先生方に評価をしていただきましたが、もう一度再評価をしていただく作業のお願いをしました。再評価の結果、「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」等と評価された物質については、第3WGにおいて議論するということです。

 評価の際の基本的な考え方として、不備のないエームス試験が1件以上あり、他の試験がない場合については、エームス試験の結果により遺伝毒性の有無を判断し、評価する。不備のないエームス試験が1件以上あり、他の試験も1件以上ある場合は、エームス試験を中心にして総合的に遺伝毒性の有無を判断し、評価すると。

(2)作業を行うための具体的な方法として、ア、上記(1)の作業を行うため、事務局は、資料2-2-(1)の総括表に「エームス試験の有無」「エームス試験の不備の有無」「再評価結果」の欄を追加して、委員にメールで送付する。

 イとして、各委員は、自分が担当した物質について、総活表の「エームス試験の不備の有無」欄を入力する。また、再評価により当初の判断から変更があった場合には、「再評価結果」の欄に入力する。こういった方向で作業しましょうということで、前回のWG、その後の調整の中でこういう作業の方向性が決まりました。

11ページにまいりまして、4、第2WG後の作業の結果として、(1)再評価結果。上記3に従って作業した結果、619物質の再評価の結果は次のとおりとなった。丸数字1遺伝毒性なしが493物質、丸数字2弱い遺伝毒性ありが56物質、丸数字3強い遺伝毒性ありが16物質(うち1物質はエームス試験なし)です。丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能が3物質、丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難が34物質、新しく設けた区分として「エームス試験なし」のため評価保留の物質が17物質です。

 参考ということで、エームス試験に不備があった物質について、評価の内訳も下に示していまして、全体としては619物質のうち、エームス試験はあるが内容的に不備があった物質が61物質でして、その内訳が次のとおりです。丸数字124物質、丸数字23物質、丸数字30物質、丸数字41物質、丸数字533物質となっています。

5、第3WGにおける作業。上記4の結果を踏まえて第3WG、本日ですが、こちらでは下記の事項について検討する。(1)「丸数字3強い遺伝毒性あり」と評価した計16物質についての検討ということで、再評価により、担当委員が「丸数字3強い遺伝毒性あり」と評価した物質に関する行政対応、具体的には変異原性に関する事業者への行政指導の要否について、1物質ずつ検討する。

(2)「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」と評価した3物質についての検討。再評価により、担当委員が「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」と評価した物質の遺伝毒性の強弱について、1物質ずつ検討する。

(3)として、エームス試験の対象物質の候補の選定。委託事業によるエームス試験の対象物質の候補を選定するということで、こちらは、一応事務局案も書いていますが、その内容についてはまた後ほどの議事で説明します。

6として、第3WG後の作業ということで、今回、試験の対象物質の候補を決めていただきましたが、その中から製造・輸入量、試薬の入手の可否等を考慮し、事務局にて試験対象物質を約50物質ほど選定し、委員の確認を受ける予定です。

 資料ですが、もう一度見てまいりますと、次の13ページですが、こちらは今回の評価対象全体の619物質、こちらを作業用番号の順番、1から619の順で示しています。前回の資料から変わっている所としては、この表の中で「第2WG後に追加」と書いてある3項目、事務局が追加したのはエームス試験の有無の部分です。委員に追加していただいた欄が2つあり、エームス試験の不備の有無があるかどうかという所、それから再評価結果の所です。こちらは、あらかじめ作業では委員には評価結果は変わったものについて入力していただきましたが、事務局の整理の関係で評価が変わらなかった物質についても一通りそのまま入力をしていまして、本日の作業では、再評価結果の所だけを見ていただければよろしいかと思います。

 こちらの資料がずっと続いていまして、29ページまでとなっています。その内訳の関係が次の31ページからです。31ページについては、評価の結果が丸数字2の弱い遺伝毒性ありとなりました56物質です。こちらについては、本日は特に議論の予定はしていませんが、一応評価の結果がこのようになったという趣旨です。

35ページ、丸数字3は強い遺伝毒性ありの16物質で、こちらは本日、後ほど御議論いただく物質です。こちらについては、再評価結果の右側に、物質の物性とか、製造・輸入量、主な用途の情報まで入っています。

37ページ、こちらも本日の議論をしていただく物質です。丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能となった物質、3物質をお示ししています。

39ページが、丸数字5として遺伝毒性の有無の判断困難な34物質です。本日、こちらの議論は予定していませんが、1点だけ、34物質の内訳ですが、この中で392番の物質はエームス試験の不備がなかったもので、それ以外の33物質はエームス試験に不備があって、評価が困難だったものです。

41ページにまいりまして、こちらも本日の議論は予定していませんが、エームス試験はあるけれども、試験の内容に不備のあるものということで61物質です。

45ページは(7)と書いてありますが、エームス試験のない物質で17物質です。こちらもコメントの補足をしておきますと、この表にも入っていない物質で503番という物質があるのですが、こちらもエームス試験はなしということですが、一応、試験の評価としては強い遺伝毒性ありの丸数字3のグループでしたので、こちらの表からは503番の物質は落としています。以上が一覧表形式のものです。

 本日、資料2-3から2-8までが実際の議論で使っていただく資料です。資料2-3は、前回も似た資料をお配りしていますが、強い遺伝毒性ありの16物質に関して、事前に先生方に見ていただいた物質ごとの試験結果の概要の資料を、先ほどの57番の物質から503番の物質までこちらに入れています。基本的にはA4の表、裏で1物質という形ですが、ものによっては4ページにわたっている物質もあります。一応、物質の作業用番号を右上のほうに書いていますので、そちらを御参考にしていただければと思います。

 本日、パソコンに必要なデータを入れているのですが、それを見ていただくときの御参考で、必ずしも使わないかもしれませんが、資料2-485ページにあり、こちらは文献の目次です。パソコン上で各物質のフォルダーを開いたときに、最初に文献が並んでいる画面が出るので、それをそのままプリントアウトしています。必要であればお使いいただければと思います。

117ページまでが強い遺伝毒性の16物質の関係の資料でして、遺伝毒性はあるけれども、強弱の判断不能という物質の関係については、119ページの資料2-5からです。119ページ以降について、まず3物質のそれぞれについての試験結果概要の資料をお付けしています。先ほどのものと同じ形で129ページからの資料2-6は、文献の目次を3物質についてそれぞれ付けています。

 あと、先生方からの個別のコメントということで、137ページからの資料2-7が荒木先生から事前に頂いたコメントです。147ページからの資料2-8、こちらは太田先生からのコメントということで、このあとの議論の際に御活用いただければと思っています。

 事務局としては、本日の資料は以上ですので、これについて、最初に強い遺伝毒性ありと評価された16物質について、変異原性物質としての行政指導の通達の対象とする必要があるかどうか、そちらについて1物質ずつ御議論いただきまして、そのあと、遺伝毒性はあるけれども、強弱の判断不能という3物質についても、同じように1物質ずつ議論をいただいて、こちらは可能であれば一応この会議で強弱の判断の決着を付けていただければと思います。データ不足等の理由により、どうしても強弱は決められないという場合については、強弱の判断不能という結論でもやむを得ないかとは思っていますが、できるだけ決めていただければと思っています。

○清水座長 事務局から前回、第2WG以降の作業、本日の議論の進め方について、御説明がありました。委員の先生方には、もう一度見ていただく作業も大変だったと思いますが、ありがとうございます。今の御説明に関して、何か御質問とか、御意見はありますか。

○角田化学物質評価室長 1点補足ですが、追加配布でこういうフローの図を付けています。これは今、説明した中身を簡単なフローにしたものでして、御検討の参考ということで机上配布にしましたが、御参考にしていただければと思います。

○清水座長 簡単に御説明いただけますか。

○角田化学物質評価室長 発がん性の情報なしというものが、今619物質ありまして、そのうちエームス試験があったのが左の601です。エームス試験のないものが18ありました。エームス試験のあったものを更に分けていくと、遺伝毒性ありが74ありまして、遺伝毒性のないものが一番左の493、有無の判断困難というものが34ありました。ありの中でも、強弱の判断不能が3つ、遺伝毒性の弱いものが56、強いのが16です。

 これで、今説明しました本日の議題ですが、1つは遺伝毒性が強いという16が真ん中辺にありますが、これについていろいろと行政指導なりの要否を検討するということ。2つ目は、強弱の判断不能が3つほどありますが、その遺伝毒性の強弱を、先ほどの話にありましたとおり可能であれば判断をするということです。それから、色を塗ってありますが、これは事務局案ですが、後ほどまた説明はありますが、エームス試験の対象候補物質ということで、これを整理しているということで、本日の議論の概要です。

○清水座長 何か御質問はありますか。ちょうど50物質になるのですね。フローチャートで非常に分かりやすくしていただきましたが、これから強い遺伝毒性ありと評価された16物質について、これが行政対応をするかどうか、1つずつ検討しなければならないと思いますが、ここまでで特に何か御質問がなければ先に進めたいと思いますが、よろしいですか。それでは、この16物質のうちで荒木委員が5768124について、御説明をいただけますか。

○荒木委員 51ページですが、試験はリストに挙がっているのは3試験あり、エームス試験が陰性、染色体異常試験が陰性、in vivoの小核試験が一応陽性になっています。NTPのデータでして、小核試験はシェルビー先生がやられたものです。内容的には多分きちんとしたもので、報告書にも試験データが載っていましたので、一応、これは陽性だということであれば、強い変異原性はあるという判断にはなるかと思います。ただ、NTPは同じように2年の発がん性試験をやっていて、この結果では一応ノーエビデンスとなっています。ですから、結果から判断すると、追加の措置は必要ないのではないかとは考えています。

○清水座長 これの製造量とか、そういうのに関する情報はどこかにありましたか。

○大淵有害性調査機関査察官 情報については、35ページに57の物質については、製造・輸入量の所に×印が付いていて、こちらは経産省で取っています化審法の統計ですが、関係する会社が2社以下の場合には数字を公表しないことになっているので、具体的に何トンかが分からない形になっています。用途は、染料とか顔料の中間体です。

○清水座長 今、荒木委員から御説明がありましたが、何か御意見はありますか。染料、顔料、中間体として使われるので、in vivo小核試験で陽性ということですね。行政対応をするかどうかですが。

○本間委員 小核試験の強さは、文献からでは分かりませんか。

○荒木委員 文献からで分かると思いますので、見ていただいたほうが早いと思います。

○本間委員 最初が雄で、雌だと。2回やっているのですよね。

○荒木委員 はい。

○本間委員 再現性があるというので十分だと思います。

○清水座長 これはNTPで発がん性試験が行われていますよね。

○太田委員 これ以上追加試験の必要はないですね。

○清水座長 これはネガティブですね。

○荒木委員 エームスがネガティブで。小核試験陽性とはいっても発がん性がネガティブなので、これ以上の試験は必要ないです。

○清水座長 行政対応は必要ないということでよろしいですか。

○荒木委員 はい。

○清水座長 では、その次をお願いします。

○荒木委員 68 番になります。これは、エームス試験が2本ありまして、陰性です。溶媒を変えてやっております。それから、染色体異常試験は弱陽性と書かれています。それから、in vivoの小核試験は3つあることになっているのですが、6番目のものはいわゆるin vivoの染色体異常の試験です。7番のHPRTの試験は、V79細胞を用いたものですが、陰性です。少し染色体異常は弱いのですが、可能性は否定できないので、6番の陽性の結果ですが、これをどう捉えるかということだと思います。

 一応、2つの小核試験が実施されておりまして、1つは国内のデータです。少なくとも、この6番の試験をどう捉えるかですが、小核試験の結果2本は一応陰性なので、特に強いというものではないのではないかという判断を、私はしました。

○太田委員 5番の小核は、厚労省でやったものですよね。

○荒木委員 そうですね、これは厚労省です。

○太田委員 それで、もう陰性としているのですから。

○清水座長 in vivo小核は、厚労省の試験ですか。エームスもそうですね。

○太田委員 これを採用してよろしいのではないでしょうか。6番はありますけれども。

○清水座長 特に、何か行政対応は必要ないという判断でよろしいですか。御意見は、特にありませんか。

○大淵有害性調査機関査察官 そうすると、物質の評価としても、こちらは弱い遺伝毒性と見たほうがよろしいのでしょうか。一応、今は強いグループに入れて評価をお願いしたのですが、in vivoがポジのものとネガのものとあり、ネガのほうが2つあったので、これからすると弱いというような感じで考えるのか、あるいはほかの評価になるのか、その辺りはいかがでしょうか。

○清水座長 染色体異常試験は、何か非常に高濃度の所で出ているわけですね。それから、これは出たとしても弱い陽性であるということですね。それから、小核試験は6で陽性という、ラット。この陽性というのは、この小核試験はどうなのでしょうか。

○本間委員 再評価で強くに変えていますが、何か理由があったのでしょうか。

○荒木委員 in vivoで出たら強くするという原則に従ってやり直しただけです。

○本間委員 そうですか。

○荒木委員 前回言いましたように、総合的評価としては、私は、これはもう弱い変異原性といっていいと思います

○太田委員 弱いでいいと思います。

○本間委員 私もそう思います。

○清水座長 では、弱い変異原性ということで、行政対応必要なしとします。次は、124番です。

○荒木委員 124番です。エームス試験は陰性、染色体異常試験は陰性、それからin vivoの小核試験陰性で、マウスリンフォーマアッセイが一応陽性です。ショウジョウバエは陰性です。in vivoの染色体異常試験は一応陽性ということで、結果としてはin vivoの系で出ているということで、一応陽性にしました。それから、マウスリンフォーマアッセイが陽性なので、可能性としてはあるのかなと思います。

 ただ、小核試験がやられておりますので、陰性ということなのですね。それから、NTPの発がん性試験データがあります。下のほうに書いてまとめてありますが、これですとB6C3F1F344の発がん性試験ですが、これではnot carcinogenicということになっております。ですから、これも追加の措置は要らないのではないかと思います。

○清水座長 変異原性としても、それほど強いものではないと。

○荒木委員 強いものではないと思います。

○清水座長 発がん性試験でも問題なしということで、それではこれも行政対応必要なしという判断でよろしいですか。

○森戸化学物質対策課長 変異原性は弱いということですね。

○清水座長 はい、弱いです。今、荒木委員の3物質が終わりましたが、特に何か問題はありませんか。

○岸化学物質評価室長補佐 1つ目の物質は弱い陽性ですか。

○清水座長 最初のですね、57番ですか。これも、確か弱いでよかったと思いますね。

○岸化学物質評価室長補佐 弱いでよろしいですか。

○清水座長 はい。

○本間委員 いや、小核試験は再現性があって、そこそこ出ていますから。

○荒木委員 でも、総合的判断としては、どうしますかということ。

○太田委員 よくても、発がん性試験をやっているから、アクションがいらないということですね。

○荒木委員 そうです。

○本間委員 この最初のスキームでは一応。

○本間委員 vivoの陽性はクラス2になりますので、このデータが確実であれば、強いものではないかと思います。ただ、発がん性試験がやってありますので、行政対応は要らないという判断でいいのかという気がします。

○清水座長 強い物質。

○本間委員 そういうスキームは問題がありますか。

○岸化学物質評価室長補佐 強いとしていたら、対応するのでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 遺伝毒性が強くても、発がん性でネガティブが分かっていれば、行政対応は必要なしということでいいと思うのですが。

○本間委員 必要ないということですか。

○太田委員 情報としては、もうあるから、試験をやる必要は何もないわけですね。

○本間委員 必要はないですね。

○太田委員 そういう情報をどうするかは、お任せしますが。

○本間委員 私としては、試験結果は強いでいいと思いますが。

○大淵有害性調査機関査察官 試験としてですか。

○清水座長 このスキームですと、in vivoで陽性は、いわゆる強い遺伝毒性で、化審法でクラス2と言われて、そちらへいってしまうのですね。一応、評価としては強い遺伝毒性で、ただし、行政対応はしなくていいということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 本来ですと、今回検討する物質は発がん性のIARCなりACGIHなどの分類がない物質です。発がん性の情報があれば、そちらの情報を優先して行政指導が必要かどうかを判断しますが、遺伝毒性の有無自体については、発がん性の情報とは関係なく、遺伝毒性の試験の結果から強い、弱いを判断していただいていいかと思います。今の124番ですと、遺伝毒性は一応in vivoで陽性なので強いと判断し、ただ発がん性試験の結果でネガティブの情報があるので、行政対応は必要なしという整理にさせていただければと思うのですが。

○大淵有害性調査機関査察官 57番は同じです。in vivo1つだけですが、一応それが陽性なので、これを採用して強い遺伝毒性ありで、ただ発がん性はノーエビデンスということでしたので、行政対応は必要なしという整理かと理解したのですが。

○太田委員 最初の手順が619物質というのは、発がん性情報なしで遺伝毒性ありという点でも、発がん性情報があったわけなので、除外していいということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうです。発がん性情報も、全く試験情報があるかないかではなく、委託事業で整理したのが、ACGIH値やIARCなど、何らかの発がん性に分類があるかどうかですので、試験があってもまだ分類の土俵に上がっていない物質ですと、このグルーピングの中に入ってしまっています。今の試験の内容からすると、行政対応には57番や124番は必要ないグループに入るかと思います。

○清水座長 そうすると、57番は強い遺伝毒性はあるが、発がん実験の結果がネガティブであるということで、特に行政対応は必要ないということでよろしいですか。ほかの2物質に関しても、よろしいですか。

○山田委員 57番と124番が強いのですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 強いです。

○清水座長 124は強いという。

○山田委員 小核が出ているからということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 ただし、行政対応は必要なしと。

○本間委員 いや、しかしこれは最初のものは量的に十分に証拠があるというか、ここで議論をしましたが、124番に関しては議論をしていないですね。強さと再現性に関しては。

○清水座長 これは、in vivoで陽性であると、マウスリンフォーマでも陽性であると。ただし、NTPの試験では発がん性はないということですね。

○本間委員 124番に関しても、再現性のある確実な小核試験のデータということは、言えるようでしたら強くても構わないと思いますが。

○清水座長 124

○荒木委員 124ですね。

○清水座長 全部NTPですね。

○荒木委員 NTPですね。

○清水座長 発がん性試験がNTPですね。

○太田委員 片方が陰性で、片方が染色体異常にvivoが陽性だったかは、どちらともいえないですよね。再現性とかそういうものは。

○本間委員 この場合は、vivoの染色体異常試験は陽性ですが、小核試験は陰性ですから、この場合は、エビデンスは低く取って、特に強く取らないということで弱いということでいいのではないかと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 124番は弱いほうですね。

○清水座長 はい。では、そういうことで。

○大淵有害性調査機関査察官 in vivoの試験が2つあって、小核は陰性で、6番の染色体は陽性だったので、そういう判断ということなのですね。

○清水座長 はい。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。

○清水座長 ほかによろしいですか。特に、この3物質に関して、ほかに御意見がなければ、太田先生のほうに移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。太田先生のほうは、162番、185番、240番、250番です。順番にお願いします。

○太田委員 57ページと147ページに私のコメントが書いてありますので、そちらを御覧ください。147ページの真ん中辺りに、162番のクロロピリジンをまとめてあります。エームス試験は、TA100でちょうど103 です。NTPの試験です。マウスリンフォーマで、やはり+S9で、対照値の7.2倍ということで、in vivoの小核試験は陰性ですが、スキームからは一応強い遺伝毒性に入ります。発がんなどのデータはありませんので、これをどうするかは。

○清水座長 162番でよろしいのですか。クロロピリジンですね。

○太田委員 クロロピリジンです。

○清水座長 エームスが103 であると。それから、MALが陽性で7.2倍であると。

○太田委員 4倍以上と。

○清水座長 4倍以上と。それから、in vivo、小核は陰性だと。

○太田委員 vitroでは強いですが、vivoは今のところ小核陰性といった状況です。これだけのデータは揃っています。

○清水座長 そのようなことから、強い遺伝毒性はあるということですが、この物質は1,000トン近い医薬品農薬の中間体に使われているものですね。これは、いかがでしょうか。行政対応をすべきかどうかということになるかと思いますが、このデータそのものに対して御意見はありますか。特にないようでしたら、これは強い遺伝毒性ありということで、行政対応必要という判断でよろしいでしょうか。

○本間委員 この発がんデータは分からないですよね。

○太田委員 ないです。エームスが一応103 をいっているので、何らかの対応を。

○清水座長 前に、エームスが非常に強く、既存化学物質の染色体異常試験をやって、これはCHFですね。非常に強いものは、行政対応していたのですね。大体それに似たような基準になるかと思います。MALが出ていますので。ということで、これは行政対応をしていただくということで、よろしいですか。では、185番をお願いします。

○太田委員 185番は、ピペラジンです。これは、エームス試験は陰性、in vitroの染色体異常も陰性ですが、MALだけが陽性です。対照値の9.7倍になっていたので、カテゴリーから強い陽性に入れました。発がん性試験の評価はありまして、これは国内でやっております。NITEでやっています。そこで陰性と出ていますので、MALが一応9.7倍ではありますが、私はもう全体的に見てエームスもネガティブですので、弱い変異原性ありで何もしなくてもいいのではないかと思っております。

○清水座長 太田委員からは、そのような弱い遺伝毒性であり、行政対応の必要はなしという御意見ですが、何か御意見はありますか。特になければ、そのような結論でいきたいと思います。この物質そのものも、2,000トンで医薬品の原料や触媒合成樹脂硬化剤ですか。特に御意見がなければ、弱い遺伝毒性ありで、行政対応は必要なしということで、よろしいでしょうか。次に、240番をお願いします。

○太田委員 240番は、別名マルトールという物質で、食品の着香料でカラメル色素になります。エームス試験は、Equivocalで、やや増加ぎみの程度ですので、問題になるものではありませんが、染色体異常試験がvitroで陽性で、in vivoの小核試験も250500mgといった高いip投与で、一応陽性というのが厚労省の試験データで出ております。これも、JECFAで評価済みのものですので、少なくとも追加のものは必要ないとは思うのですが、これを強いとするのか、弱いとするのかは、皆さんの御意見で決めていただければと思います。

○清水座長 いかがでしょうか。エームスはEquivocalで、染色体異常試験の強さは分からないのですか。

○太田委員 そんなに強くはないです。

○清水座長 それから、in vivo

○太田委員 が陽性。

○清水座長 これの強さは。

○太田委員 そんなに強くないです。確か、23倍弱だと思います。

○清水座長 そうですか。

○太田委員 まあ、再現性が出てくるので、一応陽性と思っています。

○清水座長 一応、JECFAの評価済みで、食品添加物としても使われているということで、アクションが必要かどうかということになるわけですが、いかがでしょうか。そうすると、これは太田先生の判断では、弱い遺伝毒性で、行政対応は必要なしと。

○太田委員 弱いでいいと思いますが。

○本間委員 確か、コウジ酸とすごく似ている化合物で、遺伝毒性としては再現性が高いのだが、非常に弱く出ると。いろいろな試験では陽性と出ますが、強さを考えたら私も弱いという判断でいいのではないかと思います。

○清水座長 ほかに御意見はありますか。では、弱い遺伝毒性で行政対応は必要なしということで、よろしいですね。では、次は250番に移ります。

○太田委員 250番は、ジクロロフェノールです。エームス試験は、基本的に陰性です。ただ、Hamster S9を使うと、少し怪しい、増加傾向のデータはありますが、基本的には陰性です。vitroの染色体異常も陰性、マウスリンフォーマが4.7倍です。in vivoの染色体異常試験で、これもip投与ですが、対照値のちょうど2倍ぐらいです。in vivoの染色体異常の結果で、一応強い遺伝毒性ありと判断しましたが、強さから見ればこれも弱いカテゴリーに入るのではないかと思います。

 同時に、NTPで、発がん性試験ではありませんが、長期毒性試験がありますので、これも追加のものは必要ないかと思っております。

○清水座長 250番は、農薬の殺虫剤など、除草剤あるいは染料の原料として使われています。これも、製造輸入量は不明ですが、遺伝毒性としてはエームスも非常に101 程度ですし、in vivoあるいはMALは弱い遺伝毒性であると。NTP、長期毒性試験でも問題なしということで、行政なしになるかと思いますが、何か御意見はありますか。よろしいでしょうか。では、そういうことでお願いします。

 一応、今、太田委員から4物質について説明と結論が出たわけですが、特に何か追加はありますか。よろしいでしょうか。なければ、本間委員から390以降、9物質についてお願いします。

○本間委員 390番は、酸化クロムです。見て分かりますように、vitroの試験しか行われておりませんが、全て陽性で、しかもエームス試験に関しては、リバータントが1,000以上の試験がほとんどなので、遺伝毒性としては強いと判断しました。私のほうは、発がん性は特に調べていませんが、それは、クロムはIARCでクラス1でなかったかと思いますので、発がん性はあると思いますので、何らかの対応が必要だと考えます。

○清水座長 390番は、酸化クロムに関してですが、エームスでも幾つかの試験系で陽性がかなり出ておりますし、染色体異常試験でも陽性と。発がん性試験は、ここでは報告されていないのですよね。

○本間委員 私のほうで調べていません。申し訳ありません。

○清水座長 これは、酸化クロムですか。

○本間委員 六価ですと、発がん性はありますね。

○清水座長 六価はもう確実に。

○本間委員 三酸化ですから、CrO3 ですね。

○清水座長 CrO3 ですね。

○本間委員 そうですね。

○清水座長 そのような判断ですかね。クロムそのものは、非常に有害な物質であることは、いろいろ言われていますが、エームスの比活性も103 以上ですね。変異原性としては、強い変異原性であるということで、行政対応はどうするかということになりますが。ほかのクロム化合物は、どうなっているのでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 行政ですと、重クロム酸関係やクロム酸関係は、特化則での規定が行われております。

○清水座長 やはり、これも類似の化合物であることから、労働環境で使うに当たっては、1万トン以上もありますから、何らかの、取扱いに関しては注意をする必要があるということではないかと思いますが、行政対応は必要ということでいかがでしょうか。よろしいですか。では、強い遺伝毒性が認められる、そして行政対応も必要であるということで、決めたいと思います。次は、いかがでしょうか。

○本間委員 410番です。こちらは、エームス試験とvivoの小核試験とSLRL、ショウジョウバエの試験、それからマウスリンフォーマの試験が行われていますが、全て陽性でした。エームスの比活性に関しては、1,000までには至りませんが、それに近い数値が出ているということで、全ての試験で陽性ということで、強い陽性と判断しました。比活性は、最大600です。

○清水座長 2,2'-[1,4-ブタンジイルビス(オキシメチレン)]ビス-オキシという物質で、1,000トンで接着剤の原料である液体物質です。エームスなどでは、比活性が600102 で、中等度の強さでしょうか。103 まではいかないですね。in vivo小核試験で陽性、それからSLRLで陽性、MLAでも陽性と。MLAは、強さは分からないのですか。

○本間委員 そうですね。ちょっと分からなかったです。

○清水座長 これに関して、何か御意見はありますか。そうすると、一応in vivoでも陽性ということから、強い陽性と判断されておりますが、行政対応はどうしますか。

○太田委員 NITEで、ヘルス評価が出されていますよね。

○本間委員 そうですか。

○太田委員 ですから、参考文献の2つ目にあるNITEに入っていますので、あえてアクションは要らないのではないかと思いますが。

○本間委員 参考文献はどれですか。

○太田委員 4262ですね。

○本間委員 410です。

○太田委員 410です、ごめんなさい。410番は全部陽性ですから、強いでいいと思います。

○清水座長 行政対応が必要かどうかという点に関しては、いかがでしょうか。強い変異原性ではあると。

○太田委員 必要です。ほかの情報がなければ。

○本間委員 ほかになければ。

○清水座長 ちょうど、今、1,000トンということで、量としてはそんなに多くはないですね。では、一応行政対応は必要という判断をいたします。

○本間委員 次の426番です。こちらはメタクリル酸-2-エチル、エームス試験は陽性、1件は陰性、染色体異常試験は2件あって陽性、小核試験は陰性です。

 エームス試験はそれほど強くはないのですが、染色体異常はデータを見るとかなり強い陽性反応が出ています。したがって、vivoの試験は陰性ではありますが、染色体異常試験が非常に高い陽性を示したということで、最終的な判断は強い陽性と考えました。

○清水座長 426番はメタクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチルという物質で、4,000トンの生産量で、樹脂類の合成原料、繊維処理剤、潤滑油添加剤、ゴム配合剤などに使われている物質です。エームスは弱いようですが、染色体異常は、D20値が0.19とか5.4ですが、これを強いと判断するかどうか。ほかのin vivoは陰性ですね。D20値は0.01以下であれば、非常に強いということで、それはそれほどでもないですね。

○本間委員 数字を見る限り、構造異常が74%、最高用量だけですね。これは弱いと判定しましょう。強い染色体異常は最高用量に限った反応と考えます。

○清水座長 では、弱い遺伝毒性であり、行政対応は必要なしという判断でよろしいですか。その次は428番です。

○本間委員 2-エチルペルオキシヘキサン酸、エームス試験は陽性、vivoの小核試験は陰性、HPRT突然変異試験は陽性、エームス試験と哺乳類の培養細胞試験では陽性で、エームス試験の誘発率はWP2で最大20.7倍とあったので強いと判定しましたが、これもHPRTの試験の強さは不明です。これもそんなに強いと判断しなくてよろしいかもしれません。

○清水座長 2-エチルペルオキシヘキサン酸。有機過酸化物、重合触媒に使われるもので3,000トンです。エームスで陽性、WP220.7倍ぐらいということですが、V79を使ったHPRT試験では陽性ということです。

 本間先生から、「弱いと判定してよい」という御意見ですが、ほかに御意見はございますか。特になければ、これは弱いとして行政対応の必要なしとしてよろしいでしょうか。次は429番です。

○本間委員 2-フェノキシ-オキシランです。エームス試験、染色体異常試験、vivoの小核試験、vivoの染色体異常試験、優性致死が行われています。エームス試験だけですが、非常に強い比活性を示していまして、最大で1万です。したがって、エームス試験だけの判定ではありますが、強い陽性と判定しました。

○清水座長 2-[[4-(1,1-ジメチルエチル)フェノキシ]メチル]-オキシランと、エポキシ樹脂の反応性希釈剤で、1,000トン未満の製造です。エームスが104 という、非常に強い変異原性を示しております。しかし、in vivoの小核試験、染色体異常試験、優性致死等で、陰性であるということですが。メチル基がハロゲン、ニトロ基に変わると、変異原性が増強するということですが。

○本間委員 参考データですね。

○清水座長 この物質そのものは。

○本間委員 それでもそこそこ高いという。

○清水座長 エームスだけが非常に強いという物質ですが、いかがいたしましょうか。エームスが強いということは皆さん御異存ないと思いますが、行政対応を必要とするかどうかという点では、いかがでしょうか。使用量、製造量はそれほど多くはないですね。今まで行政対応する判断というのは。

○大淵有害性調査機関査察官 行政対応を要するもの自体は、変異原性の場合には使用量はそれほど考慮をしていませんで、次のステップとして、発がん性試験あるいはその予備試験的なものをするときには、生産量は考慮して優先順位を決めています。行政対応自体は、遺伝毒性についてはハザードだけでご判断いただいております。

○清水座長 今まで新規化学物質で、エームスが非常に強い場合には、行政対応はしてきましたか。

○大淵有害性調査機関査察官 新規物質では生産量が少ないケースもありますが、一律に行政対応させていただいています。

○清水座長 これは104 ですから、今までの方針ですと行政対応ということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうです。

○清水座長 これは強い遺伝毒性ありということで、特にエームスが104 以上ということで、行政対応を行うとしたいと思います。次は444番です。

○本間委員 二酸化チオウレアです。エームス試験、染色体異常試験を行っています。どちらも日本のラボが行っていまして、陽性結果は信頼できると考えました。エームス試験は中程度の強さ、染色体異常は比較的高くて、D20値は計算できません。というのは、数値とすればそんなに低い値ではないと思いますが、絶対量としてはかなり高いと感じています。これも強いか弱いかを判断するのは難しいかもしれません。例えば染色体異常も38%程度です。これも先ほどの例でありましたように、最高用量でのみ出ていますので、これも強いとは言えないかもしれません。両方とも陽性ですが、どちらも中程度の強さと考えてよろしいかと思います。強弱に関しては、皆さんの御意見を聞きたいと思います。

○清水座長 in vivoの試験はないのですね。

○本間委員 ないです。

○清水座長 エームスと染色体しかなくて、両方とも日本で行われている試験結果であると。エームスは101 ということですから、弱い変異原性であると。染色体のほうは計算できていないけれども、これは。

○本間委員 1ぐらいです。50%出る用量が、1mg/mLですから。1ですので、D20値に換算すれば、それほど強くないかもしれません。

○清水座長 そうすると、弱い遺伝毒性ということになるかと思います。したがって、行政対応は必要なしという判断でよろしいですか。次は454番です。

○本間委員 5-ニトロインダゾールです。エームス試験のみが行われています。D20値は5,000であることから、このデータしかありませんが、エームス試験の結果だけから強い遺伝毒性と判断いたしました。

○清水座長 5-ニトロインダゾール、ニトロ基があるような物質で、103 以上のエームスの結果が出ています。ほかの試験結果は何もないということですが、生産量、輸入量は不明で、写真薬として使われているものだということです。今までの基準からいくと、103 ですので、強い遺伝毒性ありということで、行政対応をするということでよろしいでしょうか。次に500番です。

○本間委員 500番はヘプタオキシド二クロム酸二ナトリウム二水和物です。エームス試験、染色体異常試験、in vivo小核試験の3点セットが行われています。vitroは陽性で、食薬センターで行われたGLP適用試験で陽性反応が出ています。染色体の比活性値は1万以上で、染色体異常試験のD20値は低い値、vivoでも陽性反応が出ていることから、強い遺伝毒性物質と判断しました。

○清水座長 ヘプタオキシド二クロム酸二ナトリウム二水和物で、医薬品、原料酸化剤、染料原料、皮革なめし剤などに使われていまして、2万トンの製造・輸入量です。エームスでは104 を超えていますし、染色体異常試験、CHLを使った試験で0.00087、極めて強い染色体異常誘発物質であることから、強い遺伝毒性で行政対応を必要とするということです。

○太田委員 参考文献の中に、NTPで発がん性のレポートも入っていますので。

○荒木委員 クリアエビデンスで。

○太田委員 発がん性ありで、評価済みということで。

○清水座長 評価済みということでよろしいですね。これは行政対応が必要になるということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 行政対応は必要です。試験的には、次の発がん性試験などを国でやる必要はないということです。

○清水座長 結果が出ていますからね。強い遺伝毒性であって、行政対応が必要で、次のステップの発がん性試験は必要なしとなるかと思います。503番です。

○本間委員 臭素酸ナトリウムです。in vivoの小核試験しか行われていませんが、全て陽性です。コメントにも書きましたが、類似化合物の臭素酸カリは、食品添加物として小麦粉の改良剤として使われています。これは活性酸素を発生することから、非常に強い遺伝毒性を持つことが知られています。ナトリムに関しても同じ性質を持つものと考え、小核試験しかありませんが、これも陽性ですし、遺伝毒性としては強い部類に入るのではないかと判断しました。

○清水座長 503番は臭素酸ナトリウムということで、医薬部外品、パーマネントウェーブ剤などにも使います。1,000トン未満ということですが、エームス試験はなくて、in vivo試験で、3か所みんな違う報告で、全て陽性の結果が出ているということです。遺伝毒性は強いという判断になりますが、いかがいたしましょうか。

○本間委員 添加物においても、臭素酸カリは残留性がないと理由がされていましてパンを焼いたときに全て消失して、残りません。ただ、物自体にそういった性質があるということです。

○清水座長 労働環境でいえば、ばく露する可能性はあるのですね。食品添加物として扱われていると。

○本間委員 カリウムのほうです。性質からして、恐らく同じような性質を持つだろうと。

○清水座長 カリウムとナトリウムの違いではありますが、遺伝毒性は強いという判断は間違いないということで、行政対応をするかどうかということですね。いかがでしょうか。

○太田委員 したほうがいいとは思いますけれども。

○本間委員 カリウムは発がん性の報告があります。

○太田委員 残留しないから食べてもいいというだけの話で、その物質が安全ということはないので。

○清水座長 労働環境でばく露するということを考えれば、一応行政対応はすると。

○大淵有害性調査機関査察官 臭素酸ナトリウムのほうを行政対応するとすれば、既に発がん性まで明らかになっているカリウムのほうも対応しておかないと、バランスとしてはおかしいことになりますか。

○本間委員 評価がされているのではないかと思いますので、それを利用すればいいのではないかと思いますので。

○大淵有害性調査機関査察官 カリウムはこちらでも勉強して確認したいと思います。

○清水座長 そういう取扱い規制がされているかどうかですね。

○本間委員 今は外れているかもしれないけれども、かつては使われていました。

○清水座長 3人の方たちの判定は、強いという物質ではありましたが、評価が一応終わったということで、次に移ります。

○大淵有害性調査機関査察官 確認ですが、今現在で行政対応が必要と判断されたのが、1623904104294545005037物質でよろしいでしょうか。

○清水座長 7物質です。

 次に、遺伝毒性はあるけれども、強弱の判断が不能と評価された3物質について、評価したいと思います。37ページ、資料2-2(4)です。1物質ずつ検討します。411番です。

○本間委員 アクリル酸2-エチルです。エームス試験は再現性のいい、弱い陰性がTA98+S9で出ています。染色体異常は構造異常、数的異常とも高い誘発率を示しています。D20値は0.1で、微妙な状態にありますので、判断し兼ねたということで、こういった評価にさせていただいています。

○清水座長 123ページの一覧表では、エームスは再現性のある弱い陽性、染色体は構造異常、数的異常が高いということです。

○本間委員 陽性のほうも、日本の食薬センターでやっていますので、データの信頼性は高いのではないかと思いますが、直訳データだけから考えると、弱いと判断してもいいかもしれない。

○清水座長 一番下が、ヒトリンパ球を使った染色体。

○本間委員 これは外のデータです。

○清水座長 これは0.1ですね。D20値としては弱いですね。弱いと判断してよろしいでしょうか。では、これは弱い遺伝毒性であると判断します。次は417番ですね。

○本間委員 2メチルオキシランです。エームス試験は陽性です。陽性がかなり並んでいるのですが、ほとんどのデータが、結果が書いていないのです。報告だけなので、文献情報からは程度を把握することが困難ということで、判定不能としました。

○清水座長 2-[[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]-オキシランということで、シランカップリング剤ということで、3,000トンくらいですね。試験は行われていても強さのデータがないということですが、エームスは陽性、in vivo小核試験でも陽性がある、MLAでも陽性があるといった物質です。in vivo小核試験でも、陰性と陽性と分かれていますね。強さの評価ができないということですが、いかがでしょうか。何か御意見はございますか。エームスも随分昔のデータですね。

○本間委員 エポキシがあるので、構造的には気になるところがあるのですが。

○清水座長 エポキシがあるとエームスは引っ掛かりやすいですね。ちょっと判断に迷うところですね。

○太田委員 判断のしようがない。

○清水座長 これは、エームス試験に回して、やってもらうしかないですかね。

○本間委員 陽性であることは間違いないと思いますが、弱い強いは判断しづらいと思います。シーズのデータが1本しかないのですよね。強さを判定するのは難しいですよね。

○清水座長 ほとんど1970年代の試験で古いですね。これはエームス試験の候補に回すことはできますね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 次に574番です。

○山田委員 エームス試験をやってはいるのですが、菌株によって溶解性は「よい」と書いてあるのに、5,000までやっていなくて、1,500までだったり、500までだったりというので、エームス試験として十分な高用量まで全菌株でされていないところが気になりました。陰性だという結論にはなっているのですが、ちょっと気になったというだけなのですが。やってポジティブに出るかといったら、多分出ないのではないかなと。ほかの染色体異常と小核は陰性ということなのですが、エームス試験としてどうかというと、不備があるのではないかということで、ここに書かせていただきました。

○本間委員 エームスしかないのではないですか。

○山田委員 エームスしかないです。

○大淵有害性調査機関査察官 メモには染色体異常で。

○本間委員 ありますか。

○山田委員 いや、ほかのレポートの所には書いてあったのですが。

○太田委員 1,500までやってあれば。仮に5,000までやって陽性に出たとしても、比活性で見れば弱い物質になるはずですよね。だから強いということにはならないから、問題はないと思います。

○山田委員 私もそう思います。

○大淵有害性調査機関査察官 今のリストには入っていないのですが、IUCLIDのデータなどを見ると、vivoの試験の情報も入っています。IUCLIDの資料の37ページがvitroの試験で、38ページにvivoの試験が入っています。

○山田委員 153515371,500までという。

○清水座長 アルコールの誘導体ですが、40万トンと非常に量が多いのですが、可塑剤、香料、界面活性剤等にも使われているわけですが、データとしては若干不備があるけれども、構造的に見ても、それほど強い遺伝毒性を持つとは思えないのですが、例えあったとしても弱い遺伝毒性であるというようなことでよろしいでしょうか。

○山田委員 陰性という結論になっています。

○清水座長 陰性ということで。

○大淵有害性調査機関査察官 先ほどのvivoの試験は余り考慮しなくて大丈夫でしょうか。

○清水座長 陰性であるという結論は出ていないのですが、陰性と判断しますか。

○荒木委員 企業のデータで、その上に書いているのは、article in Russianと書いているので、このデータを採用しなくてもいいのではないですか。

○清水座長 判定としてはどうしますか。採用しないというのはあるのですか。

○本間委員 陰性ということで。

○清水座長 この3物質に関しましては、411番は弱い、417番はエームス試験を行う、574番に関しては陰性ということにいたします。いろいろと御意見を頂きましたが、全体的に何かございますか。特になければ、次の議題に移ります。議題2は「遺伝毒性試験(エームス試験)の候補物質の選定について」です。

○大淵有害性調査機関査察官 資料2-19ページからですが、候補物質の選定の関係は11ページの一番下の5(3)です。委託事業によるエームス試験の対象物質の候補を選定するということで、事務局案を説明いたします。

 まず、次のア及びイの物質を候補にしてはどうかということです。アは、「エームス試験不備あり」の物質のうち、「丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難」と評価された物質(33物質)、イ「エームス試験なし」の17物質ということです。

 前回の会議のときは、このエームス試験のない物質については、「まずは構造活性相関を検討して、その結果から必要があれば試験をしてはどうか」というお話だったかと思うのですが、今年の委託事業で、試験の枠が50物質ほどありますので、構造活性相関は必ずしもやらなくても、試験を先行してやってしまうという考え方もあろうかと思いまして、イのほうも掲げさせていただきました。

 それと、先ほどの議論で、エームスの情報が不足している417番も、試験候補に加えさせていただきたいと思います。事務局の提案は以上です。

○清水座長 ただいまの御説明に、御質問、御意見はございますか。候補物質ということですが、事務局案でよろしいですか。

○本間委員 実際の試験のほうが信頼性は高いので、やることには問題ないですが、同時にQSARもやっていただけると、相関性が分かると思いますので、お願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 ほかに御意見はよろしいですか。事務局案プラスQSARということで、事務局にお願いします。具体的な対象物質については、候補物質の中から事務局で選定して、これはメールか何かですか。

○大淵有害性調査機関査察官 委託先とも調整の上で、先生方にメールさせていただきます。

○清水座長 本日予定された議題はこれで終わりますが、何か御意見はよろしいですか。事務局から3番の「その他」をお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 資料3です。今後の予定についてですが、基本的には前回お配りした資料と同じで、前回は第3回ワーキングのことも含めて書いてありましたが、それ以外の部分については前回と同じです。まず、第4回のワーキングの前に、事務局で、ただいまの結果を踏まえて、実際の試験対象物質の絞り込みをさせていただき、先生方に御連絡させていただきます。

 それと別の流れとして、平成26年度から非遺伝毒性の発がん性試験についても、発がん性スクリーニング試験を考えておりまして、その関係を年明けに第4回という形でさせていただきたいと考えております。

 次の第4回の関係については、別途日程を調整させていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○清水座長 御質問はよろしいでしょうか。特になければ、本日の委員会は終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

電話: 03-5253-1111(内線5511)

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