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2013年10月9日 第2回遺伝毒性評価ワーキンググループ 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年10月9日(水) 13:30~15:30


○場所

厚生労働省16階専用第17会議室


○議事

○大淵有害性調査機関査察官 本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより「第2回遺伝毒性評価ワーキンググループ」を開催いたします。

 以下の進行は座長の清水先生によろしくお願いいたします。

○清水座長 議事に入る前に、事務局から議事次第と資料の確認をお願いします。

○大淵有害性調査機関査察官 まず、本日の議事次第です。(1)1回ワーキンググループで検討した各種の基準について、(2)遺伝毒性情報収集対象物質の遺伝毒性の評価について、(3)その他、です。

 議事次第の2ページ目、「配付資料一覧」を御覧ください。資料の造りとしては、資料1-1から資料3のグループでひとまとまり、そのうち、資料2-3は机上のみ配布のため別のホチキスにしています。それから、参考資料1から参考資料3までがまた1つの区切りになっています。後の進行のため各資料の右下に通しページを打っていますので、資料番号と対応させて御確認ください。まず、資料1-11ページから、資料1-23ページから、資料1-35ページから、資料1-47ページから、資料2-19ページから、資料2-2-(1)619物質が11ページから、資料2-2-(2)27ページから、資料2-2-(3)29ページです。資料2-3は机上のみ配布で別のホチキスになっています。また、資料3「今後の予定」については33ページです。

 もう1つの資料では、参考資料11ページから、参考資料2-13ページから、参考資料2-25ページから、参考資料2-311ページから、最後の参考資料313ページからです。

 さらに、追加配布の資料を机の上に置いております。まず、資料2-2-追加配布、これは先生方も傍聴の方も共通の資料です。また、関連する資料として資料2-2-追加配布の関連資料が机上のみ配布です。配布資料は以上です。

○清水座長 資料は全部おそろいでしょうか。不足がありましたらお申し出ください。

 では、議事に入ります。議題1「第1回ワーキンググループで検討した各種の基準について」、事務局から説明してください。

○大淵有害性調査機関査察官 第1WGは本年522日に開催いたしました。その際、遺伝毒性の評価に関係する様々な基準類を御検討いただきまして、いろいろな御意見を頂きましたので、それを反映させたものを本日の資料1-1から資料1-4までとしてお配りしています。修正箇所が多かったので、どこが変わったかという印は付けず、修正を反映した溶け込みスタイルのものとさせていただいています。資料1-1から資料1-4を簡単に説明いたします。

 まず、資料1-1「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の判断基準」です。このWGの大きな目的である既存の知見から遺伝毒性の有無や強さをどう判断するかという基準を、先生方に御検討いただきました。このスキームは、化審法で行っているスクリーニング評価の判断基準なども参考にして作っています。

 このページは、前回の議論で若干の修正がありました。大きな修正はありませんが、簡単におさらいいたします。このスキームの一番上の四角で、in vivoの変異原性試験については、「陽性」「情報なし、又は判断不可」「陰性」の区別をして、それぞれ下のスキームに進むという形です。in vivoの試験が陽性の場合、更に分かれて、生殖細胞変異原性のGHS区分が1Aかそうでないかによって分けています。

in vivoの変異原性試験で「情報なし、又は判断不可」の場合、あるいはin vivoの試験で「陰性」の場合は、in vitroの変異原性試験のデータを見ていくことになります。その際の判断基準としては、丸数字1細菌復帰突然変異試験で比活性がおおむね1,000rev/mg以上、丸数字2哺乳類培養細胞染色体異試験でD20値が0.01mg/mL以下、あるいはマウスリンフォーマTK試験で陰性対照の4倍又は陰性対照より400x10-6 を超えて増加、といった基準を設け、1つは「丸数字1、丸数字2のいずれかに該当、又は強弱不明の陽性結果」の場合のグループ、もう1つは「丸数字1、丸数字2いずれにも該当せず」のグループに分けます。「丸数字1、丸数字2いずれにも該当せず」となった場合には、更に下の枠の中で3つに分類分けをします。「丸数字1、丸数字2いずれも陽性(軽微な陽性を除く)」の場合、「丸数字1、丸数字2いずれかで陽性(軽微な陽性を除く)」の場合、「丸数字1、丸数字2いずれも陰性」の場合です。化審法では、これによって「クラス1」「クラス2」「クラス3」「クラス4」「クラス外」と分かれますが、ここでは5つではなく基本的に3つに分け、「強い遺伝毒性」「遺伝毒性あり(強い遺伝毒性を除く)」「遺伝毒性なし」のグループとして分けようというものです。以上が判断基準のベースになるものです。

 続いて、資料1-2「遺伝毒性の判断基準の細部事項」です。こちらもWG後の修正版です。資料1-1に示した基準だけでは判断が難しいところもあるため、細部事項を整理したものです。まず、1として「どのような試験結果を採用するかの基準」です。(1)の丸数字1テストガイドライン、GLPに準拠した試験の結果のみを採用する、丸数字2これ以外であっても信頼性があるものを採用するとして、丸数字2の、テストガイドラインやGLPに準拠していないものについても信頼性があれば採用することとしました。丸数字2の、信頼性があると判断する基準は何かというと、OECDHPV、世界的にたくさん製造・使用されている物質についての評価ですが、ここで使用しているKlimischコードに基づき、信頼性を判断しようということになっています。

2として「遺伝毒性に関する複数の種類の試験結果が存在する場合の判断基準」です。例えばエームス試験と染色体異常試験など種類の違うものがある場合というイメージですが、その場合、(1)複数の種類の試験結果がいずれも「陰性」の場合は陰性と判断。(2)複数の種類の試験結果がいずれも「陽性」の場合は陽性と判断。(3)試験結果が陰性と陽性の両方がある場合については、エキスパートジャッジにより判断するとしています。

3として「同一の種類の試験で複数の試験結果がある場合の判断基準」です。(1)いずれも「陰性」の場合は陰性と判断。(2)いずれも「陽性」の場合は陽性と判断。(3)陰性と陽性の両方がある場合については、エキスパートジャッジにより判断ということです。

4ページ、4として「定量的な試験(細菌復帰突然変異試験や哺乳類培養細胞染色体異常試験等)」において陽性の結果が複数あり、比活性値やD20値等の評価指標が異なる場合の判断基準として、値が比較的近い場合には、最も厳しい評価指標を示した試験により遺伝毒性の強さの程度を判断するとしています。また、その値が大きく異なる場合にはエキスパートジャッジにより判断するということです。

5ページ、資料1-3「発がん性スクリーニングにおける遺伝毒性の構造活性相関結果の評価基準」です。発がん性情報、遺伝毒性情報のいずれもない物質については、まず、遺伝毒性の構造活性相関について計算し、その予測結果により試験実施の優先順位を判断することとして、具体的には次のように行うということです。今回のWGでは、構造活性相関を試験実施の優先順位を決定するための判断材料に使うことを冒頭に記載しています。具体的には、1「構造活性相関の計算に使用するプログラム」として、遺伝毒性の構造活性相関の計算は各物質について、細菌復帰突然変異試験(エームス試験)に関して次の3つのプログラムを使用して行う。丸数字1DEREK、丸数字2MultiCASE、丸数字3Aworksです。

2「構造活性相関予測結果によるエームス試験実施のための優先順位の判断」では、(1)1優先順位として、3つのプログラム全てで陽性の予測結果が得られた場合、(2)2優先順位として、2つのプログラムで陽性の予測結果が得られた場合としています。

3「非遺伝毒性物質の推定」では、3つのプログラム全てで陰性の予測結果が得られた場合には、非遺伝毒性物質であると推定し、非遺伝毒性物質のための発がん性スクリーニング試験の優先侯補とする、ということです。

7ページ、資料1-4「遺伝毒性試験対象物質の絞り込みの方針」です。こちらも第1WG後の修正版です。遺伝毒性情報により、遺伝毒性「あり」と判断されるがその強さの程度が判断できない物質及び遺伝毒性が判断不可の物質について、国の委託事業により遺伝毒性試験を行う。その際、試験対象物質は、次の1及び2の観点から優先順位付けを行う。また、構造活性相関の予測結果により試験実施の優先順位が高いとされた物質は、2により更に優先順位付けを行うとしています。

 まず、1「遺伝毒性の観点からの優先順位付け」は、(1)細菌突然復帰変異試験で陽性の物質、(2)その他のin vitro遺伝毒性試験で陽性の物質、(3)遺伝毒性が判断不可の物質。

2「労働者ばく露の観点からの絞り込み」では、上記1で優先順位付けをした後、更に労働者ばく露の観点から優先順位付けを行うこととし、(1)(3)を総合的に判断するとしています。(1)国内の製造・輸入量が多い物質を優先。(2)用途として、幅広い用途で使用される物質や、開放系での使用が予想される物質を優先。(3)物理化学的性質として、常温で気体、液体、粉状の物質を優先。特に液体については蒸気圧の高い物質を優先ということです。

 以上の資料1-1から資料1-4が、第1WGの結果を踏まえて修正したものです。

○清水座長 ただいまの説明の件に関しては、既にメール等で御意見を伺っていますので問題はないと思いますが、何か御意見、御質問はございますか。

○本間委員 確認させてください。資料1-4に「構造活性相関の予測結果により試験実施の優先順位が高いとされた物質」と書かれていますが、先ほどの今回の絞り込みでやった化学物質に関しては、構造活性相関もやっているということでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 今回、先生方に作業依頼した物質の中には、構造活性相関のものはまだ含まれておりません。別途、今年度末までかけて行う予定にしていまして、そちらの結果が出ましたら、構造活性相関の結果を見て評価を頂いた上で、エームス試験が必要なもの、あるいは、遺伝毒性なしで別のスクリーニング試験に持っていくべきものの判断は次年度にやっていただく予定で考えています。

○本間委員 では、今回やったもので遺伝毒性の情報が不十分だと感じたものに関しても、構造活性相関はやらないで、このデータで評価するということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 原則はそのように考えていますが、もしデータが不十分なものについて構造活性相関をする意味があるということであれば、方針を変更することは可能ではないかと思います。その辺は、データでははっきりしないけれども構造活性相関をすればもう少し分かってくるというものがあるのでしたら、そういう考え方もあり得るのではないかと思います。

○清水座長 よろしいでしょうか。

○本間委員 後で議論の中でまたそれは出てくると思います。

○清水座長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。では、議題2「遺伝毒性情報収集対象物質の遺伝毒性の評価について」に移ります。事務局から説明してください。

○大淵有害性調査機関査察官 本日の実際の作業についての説明の前に、WGの役割に関して若干変更がありましたので、その説明を先にさせていただきまして、その後、評価の話に入らせていただきます。

 参考資料2-13ページを御覧ください。こちらは第1WGでもお配りした、平成24年度に「有害性評価小検討会」で取りまとめた資料の中から持ってきたものです。職場での化学物質の発がん性評価を加速化しようというスキームです。この全体のスキームの中で、このWGの仕事としては、上から3分の1ぐらいの所にある「遺伝毒性の有無の判断」、その下の「遺伝毒性の強さの判断」、それと関連して「遺伝毒性の試験の実施」の辺りについて作業していただくということで、前回の会議で説明いたしました。

 もう1つ、発がん性評価のWGがありますが、そちらから御意見がありました。このスキームの中の遺伝毒性の近くに、「in vitro形質転換試験、遺伝子の発現量測定による発がん性予測試験等」という項目があります。この辺りについては、発がん性評価WGで検討していただく予定をしていましたが、発がん性WGから、むしろ遺伝毒性WGで検討するほうがいいのではないかという御意見があり、それを踏まえ、関係の先生方に相談いたしました。大元の有害性小検討会の先生方にも相談いたしました結果、その御意見のとおり、ここの部分については遺伝毒性の先生にやっていただくほうがより適切だろうということで、役割分担を変えることになりました。

 具体的には、参考資料の5ページの参考資料2-2を御覧ください。WGの設置要綱のようなものが昨年度の検討会で取りまとめられていますが、関係者からの御意見を踏まえて一部見直しをいたしました。遺伝毒性評価WGに関係するページは9ページからの別紙2「遺伝毒性評価ワーキンググループの設置について」です。10ページのアンダーラインを引いた部分が、このWGの内容として追加したものです。

 まず、「丸数字2非遺伝毒性発がん性物質のスクリーニング試験対象物質の優先順位の決定等」が追加されました。また、(4)の「丸数字1非遺伝毒性発がん性物質のスクリーニング試験の方法の選択」ということです。上の丸数字2は、物質の優先順位の決定で、今の丸数字1では、どんな試験方法にするかの選択です。さらに、(5)の「丸数字2非遺伝毒性発がん性物質のスクリーニング試験の結果の評価」が入っています。どんな試験をするか、どんな物質を対象にするか、試験をした場合の結果の評価といったことについて、非遺伝毒性のスクリーニングの関係では、こちらのWGの先生方にお願いすることに変更されました。

 その辺りを少し分かりやすくするため、11ページ、参考資料2-3の図を御覧ください。真ん中辺りの上から下へ進むスキームは、先ほどの3ページのスキームです。そのスキームにおいて、発がん性評価WGと遺伝毒性評価WGがそれぞれ何をしていただくかを書き込んでいます。

 本日の遺伝毒性WGでは、この資料の一番右側にあるとおり、遺伝毒性の評価基準の決定、それに基づく個別物質の判断、細菌復帰突然変異試験の対象物質の選定、その試験結果の評価がまず1つの枠組み。非遺伝毒性の発がん性物質のスクリーニング関係がもう1つの枠です。当初予定していたよりも、少し仕事が増えた形になっています。

 本日の本題に移ります。このWGでの本日の作業についてです。資料2-19ページを御覧ください。具体的な物質の遺伝毒性評価をするに当たって、1「事前準備」として、私どもの平成25年度の委託事業「発がん性が明らかでない化学物質に対するスクリーニング実施事業」の中で、計619物質について遺伝毒性情報の調査及び整理を行っています。

(1)の調査対象物質は、その619物質はどういう物質を選んでいるかということです。平成23年度の医薬食品局の委託事業の「化学物質リスク評価対策事業」は、化審法のスクリーニング評価をするために必要な情報を集めた事業です。その事業で文献調査を行った1,878物質の中で、国際機関等による発がん性分類に関する情報がなく、かつ、遺伝毒性に関する何らかの情報がある物質をピックアップしたところ、全部で619物質ありました。ちなみに、国際機関等による発がん分類があるような物質は、もう1つの、発がん性評価WGにおいて検討する予定です。

(2)の調査範囲、調査方法については、上記の619物質について、試験結果の概要、陰性又は陽性、また試験の条件等を、平成23年度の委託事業において調査した情報、主として二次文献の情報が多いのですが、それを基に整理しています。また、遺伝毒性試験のうちエームス試験と染色体異常試験については、陰性、陽性の判断だけではなく、定量的な評価(比活性値やD20)についても整理しています。その際に、二次文献に定量的な評価が示されていない場合には、一次文献(原著論文等)のデータを見て、そこから計算により求めています。

2WG委員の分担による評価」は、今回のWG開催前にWGの先生に作業をお願いしているものです。今の619物質について、WGの先生方に分担していただいて遺伝毒性の評価を行っていただいています。

 まず、(1)の評価基準では、第1WG後に修正した遺伝毒性判断基準及び細部事項を使用しています。先ほど説明いたしました資料1-1、資料1-2に基づいて判断していただいています。

(2)の評価区分についてです。資料1-1の中では、「遺伝毒性が強い」「遺伝毒性あり」「遺伝毒性なし」という区分になっていましたが、今回は作業のしやすさを考えて、それにプラスした形の5段階区分にしています。丸数字1遺伝毒性なし、丸数字2弱い遺伝毒性あり、丸数字3強い遺伝毒性あり、丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能、丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難、の5段階に分けて評価していただいています。

(3)の評価結果です。まず、619物質の件数の内訳です。「丸数字1遺伝毒性なし」が491物質、「丸数字2弱い遺伝毒性あり」が60物質、「丸数字3強い遺伝毒性あり」が12物質、「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」が10物質、「丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難」が46物質です。

 具体的な評価結果は、11ページの資料2-2-(1)を御覧ください。物質数が多いので字が小さくなっています。リストには、619物質について、作業用番号、CAS番号、委員の先生方の評価結果、物質の和名と英名を入れています。非常に短期間でしたが、先生方に分担して作業していただきました。

10ページが、3「各委員による評価結果を踏まえた今後の作業の進め方」です。事務局としては、案1と案2を提案させていただきまして、どちらの方法が良いか本日は御議論いただきたいと考えています。

 案1は、第2回及び第3WGにおいて個別物質の遺伝毒性の評価、遺伝毒性試験、具体的にはエームス試験の候補物質の優先順位付けを行う方法というものです。ここでは、(1)2WGでの検討、(2)3WGでの検討と、2回のWGを使って作業していこうというものです。まず、本日第2回においては、分担評価において「丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難」と判断された46物質について、先生方には一通り分担して見ていただいていますが、それを合議制で、もう一度、遺伝毒性の有無、また、「あり」の場合の強弱の判断を行うということです。

 それを受けて、次の第3回の検討です。次の、ア及びイに掲げる物質の中から、試験候補物質の優先順位付けを行います。アとして、上記2の分担評価において「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」と評価された10物質、及び、イの、第2WGでの検討において「遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」あるいは「遺伝毒性の有無の判断困難」と評価された物質、これは検討してみないと件数は分かりませんが、その物質について、どれを試験の候補とすべきかという優先順位付けを行うというものです。以上が案1です。先生方には一通り見ていただいていますが、判断の難しかった物質については、このワーキングでもう1回議論しようというものが案1です。

 案2は、事務局において遺伝毒性試験の対象物質を選定する方法です。今年度は全部で約50物質を委託事業で試験しようと予定しています。今回、先生方の判断では、「丸数字4遺伝毒性はあるが、強弱の判断不能」の物質が10物質、「丸数字5遺伝毒性の有無の判断困難」が46物質の合計56物質で、試験予定としている50物質に近い状態です。試験物質を選ぶについては、この56物質を試験候補と考えまして、この中から、製造・輸入量や試験のための試薬の入手が可能かどうかなどを事務局が考えて最終的に絞り込んでいく。事務局で選定した結果を、WGの委員の先生に御確認いただきます。この確認は必ずしも会議形式ではなく、メール等で御確認いただく方法を想定しています。案2では、具体的な個別物質についてデータのディスカッションは行わず、事務局で試験のための物質を選ぶ作業をさせていただくというものです。

 本日は、案1、案2のどちらのやり方が良いのかを先生方で決めていただいて、それに従って今後の作業をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○清水座長 ただいま、事務局から今後の検討の仕方として案1と案2が提案されました。これまでの経過に関して、何か御質問、あるいは御意見がありましたらお願いします。

○本間委員 事業の予算のこともあると思いますが、具体的には50物質を実際に試験可能と考えていいということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 そうです。

○本間委員 そうすると、今選んだのがトータルで56で、実際に検体が入るかどうかが分からないとなると、結局はほとんどのものが試験可能だということなので、更にそこからわざわざ選ぶ必要はないような気もするのですが、そういう考え方でもよろしいということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○本間委員 それと、この間送られてきた資料を見て、恐らくこの5人で120検体ぐらいを調べています。ざっと見た感じで、人によって随分違う。違うというのは、評価のパターンが違うような気がするのです。例えば、強い遺伝毒性物質を12個リストされていますが、私が見たものが8つ入っているのです。私も自分自身の見方が厳しいのかという気もするのですが、果たして個々でやった評価の仕方が、もちろん最初に評価のスキームによってそう決めたのですが、委員によってかなり考え方が違うのではないかという印象を受けているのです。これはどう考えればよろしいでしょうか。たまたまそこにそういった化学物質が集中したということもありますし、そこを私はよく理解できないのです。それであれば、また見直すことを考えてもいいかと思ったのですが。

○清水座長 実際にデータの中で比活性値やD20値が出ていたわけです。それで強いと。

○本間委員 もちろん、私はそういうつもりで書いているのですが、たまたま私の所にそれが集中したから8つもあったのか、ほかの人のを見ていないから、それはよく分からないのです。

○清水座長 多少ばらつきはあると思います。私の所で、余り比活性値やD20値がはっきり出てきているものはないのです。幾つか弱いものはありましたが。

○本間委員 経験的なものとか、いろいろありますね。例えば、最後の臭素酸ナトリウムなどは、資料2-2ですが、データがほとんどないのです。ただ、臭素酸カリウムは添加剤として随分使われていて、これについては遺伝毒性・発がん性がはっきりしているのです。こういった情報があると、これは小核試験しかないけれども、小核試験で陽性だから、スキームでは当然強い遺伝毒性に入るのです。ですから、必ずしもそのデータだけで判断しているとは限らないのです。

○清水座長 皆さんの判定基準が、委員によって若干違うところはあると思うのです。私などは、エームス試験が1つしかないものは判定困難としてしまっていますが、その辺は人によって判断基準が若干違っていると思います。ほかの委員の先生は、何か御意見はありますか。

○太田委員 私は全部陰性で、条件が不十分でも、陰性の結果しかなければ陰性として処理しました。

○荒木委員 私も太田先生と同じような判断の仕方です。先ほど言った強さですが、私が見たところでは、D20値とエームスの103 を超えるというものはなくて、一部in vivoの染色体異常試験のようなものがあって、それは陽性が出ているので、それをどう判断するかということはありましたが、コメントを見るとそれほど強くはないという書き方をしてあるので、この評価の中では本来強いところにいくのでしょうけれども、強いという判断はしなかったということで、弱いという判断をしました。

○太田委員 1つだけ、食品添加物で小核陽性のマルトール、カラメル色素の香料ですが、グラム単位投与で小核陽性で、エームスもネガティブなのですが、この基準に従うと強くなってしまうのです。in vivo陽性だから。添加物で使う量なら全然問題ないと思いますが、このスキームに従う限りは強いということなので入れましたが、そういうものもありました。あとは、103 の基準で出たものを「強い」としています。

○大淵有害性調査機関査察官 物質数が619と多いので、なかなか1つ当たりのものについて長い時間議論することは難しいのですが、この5段階の評価の中で慎重な評価が必要なものは丸数字3の「強い遺伝毒性あり」です。参考資料2-13ページの真ん中に「遺伝毒性の強さの判断」があって、そこで「強い」とされたもの、あるいは実際に遺伝毒性試験をして強いと判断されたものについては二重の四角になっていて、「健康障害防止措置の指針による指導」、行政のアクションを起こすことになります。いわゆるこれまで出している変異原性物質の通達を出すというイメージなので、行政アクションに直接つながる部分は少し慎重な判断が必要かと思います。

 それ以外のものについては、行政アクションに直結するわけではなくて、何らかの試験に進む、あるいは試験をしないという判断になる部分が中心です。もしもう少し慎重に判断をしていただくとすれば、今日の追加配布でお配りしているものは遺伝毒性が強いと先生方が判断した部分なので、それについては今後行政通達になるとすれば、単に通達を出すというだけではなくて、その根拠として、それぞれの遺伝毒性がこういう状況だから通達を出すということを示して公表しなければならないので、それを考えると、もし必要があれば、先生方にはここの部分について御議論をしていただいたほうがいいかという感じもします。

○清水座長 できれば、オリジナルをちゃんと見て判断したほうがいいと思います。

○太田委員 強い遺伝毒性がある物の中の1つに、マウスリンフォーマの試験が7倍で、4倍を超していたので、一応「強い」としましたが、小核が陰性だとか、そういうこともありますので。

○大淵有害性調査機関査察官 何ページの何番の試験ですか。

○太田委員 162番です。プロロピリジンですが、エームスがプラスで、これは強くありませんが、リンフォーマが7倍、小核が陰性とあります。エームスがプラスだから「強い」でもいいのですが、185番はマウスリンフォーマが9.7倍で、4倍を超えていますが、染色体異常試験は陰性、エームス陰性なのです。これはアクションを起こすようなものではないと思うのです。スキームでいけば「強い」になりますが。先ほどの240番のマルトールですが、これも小核試験だけ陽性で、エームス陰性、染色体異常試験は分かりませんが、これも余り問題ないかと思っています。250番は、エームスもリンフォーマの染色体異常も+3で、「強い」でいいと思います。同じ強い中でも、185245はアクションを起こすようなものではないと思います。

○清水座長 そうすると、事務局から2つの案が出されていて、ここで全物質をもう一度検討するという案と、事務局で整理をするという案がありますが、いかがですか。

○山田委員 案2の場合は、これから事務局が作業をされるということですね。今日は、その議論はもうないということですか。

○清水座長 そのための御意見を頂くということはあります。

○山田委員 終わりということですか。

○清水座長 そういうことになります。ですから、例えば案2を採用するにしても、今、太田先生がおっしゃったように、もう一度見直していただいて、御意見を1週間か10日ぐらいでコメントを出していただくという形でもできると思うのです。ここで全物質を検討するには、担当者はいいのですが、ほかの人たちはデータを持っていないのです。また、ばく露量、あるいはその形態といったものも考慮して、労働者がどのぐらいばく露するかも勘案して考えなければいけないということもありますから、その辺は今データとしては我々も持っていないので、どういう方法が一番いいか御提案いただければと思います。

○本間委員 私としては、案2でよろしいかと思います。この作業において、優先順位付けは十分にできたと、目的の数に絞り込むことはできたと考えられるかと思うので、更にここで絞り込んで優先順位付けをしたとしても、現実的にはどういった化学物質が入るかということになると、現実に50前後やれるということであれば、かなり目的は達したのではないかと考えます。

○荒木委員 先ほど本間先生がおっしゃった構造活性相関の話ですが、明らかに塩素基がフッ素に変わることによって変異原性が見えなくなっているものもあるのです。それの判断をどうするか少し悩んだのですが、ちゃんとした試験があって陰性になっているので、一応陰性にはしたのですが、ひょっとすると、試験をちゃんとやると陽性になるかもしれないというものも結構入っているのです。

○本間委員 少なくとも、エームス試験のないものはQSARをかけてもらいたいと思います。もちろん、染色体異常試験のデータはあるのですが、Non-GLPだったりするとどうかと思います。基本はエームス試験ですから、エームス試験で判定して、それをQSARがある程度Predictionできるのだったら、エームス試験のないものに関してはQSARで見て、なければそれで判定は問題ないと思います。

○清水座長 そういうことは可能ですか。

○大淵有害性調査機関査察官 今年度は、まず委託先との相談で難しいかもしれませんが、次年度以降であれば、エームス試験のデータのないものについてQSARをすることは可能だと思います。

○清水座長 今、本間先生から案2という御意見が出ていますが、ほかに御意見はありますか。

○太田委員 変異原性なしの判断基準がどんなものでも適当にやってあって、陰性であればそうしてしまったのです。例えば清水先生が出しておられるものも、私はみんな陰性にしてしまっているので、もし統一するのであれば、そういう目で見なければいけないので。「判断不能」とした46物質ですが、このぐらいのものはみんな素通りしているので、もしそれを入れるのであれば、また見なければいけない。こういうものをどうするのか、ざっと見て。

○清水座長 エームスの報告が1例しかないようなものは「判断できない」としたのですが、それを抜くと相当減りますね。50幾つか、2030になってしまう可能性もあります。

○大淵有害性調査機関査察官 もし、最終的に判断不能となった場合に、予算の関係もあって、行政で追加できる試験はエームス試験だけを予定していて、エームスと染色体がセットでできればいいのでしょうけれども、片方しかできないので、追加で得られる情報としては、エームスの情報だけという状況です。その場合は、試験を追加でやったとしても、基本エームスだけで判断いただくことになるので、エームス一本でもそれが信頼性の低いようなデータであれば余り採用できないと思いますが、ある程度信頼性があるということであれば、それを採用して評価をしていただくことになるかと思います。

 その辺りが、資料1-1のスキームでは、最低限エームス試験と染色体異常試験ぐらいのデータはあるというスキームになってしまっているので、エームス、染色体の片方どちらかしかデータがないようなものは、このスキームだと読みにくかったところがあるかと、実際に先生方に作業をやっていただいてから感じております。

○太田委員 山田先生の所で判断できないというのは、vivoの小核だけがやってあって陰性というものがあって、私の所も何箇所かあったのですが、それも全部陰性にしてしまったのです。

○山田委員 エームスがないものは、私は「判断できない」としたのですが。

○太田委員 vivoで陰性だったから、そういうスキームでやっているから、そこをもう1回ピックアップするというのなら出しますが、どうしましょうか。データが少ないものは本当に多いのです。小核だけしかやっていない。でも、それは陰性だから。そういうものも不明と言ったら、大概のものが不明になってしまうのです。そんなにしっかりやっているものはないので。

○山田委員 CAS番号順なので、私の所は大きなCAS番号のものばかりなのです。だから、余りデータのないものが多かったのですが。

○大淵有害性調査機関査察官 確かに山田先生の所は、いわゆる化学物質とは少し違うタイプの物質、天然物に近いようなものが入っておりました。

○山田委員 それもあって、だからどうなのかなと、判断がつかなくて、分からないものは判断できないとしてしまったのです。

○太田委員 「変異原性はあるが、強弱の判断が分からない」というほうが問題があるのではないでしょうか。大体「判断不能」というのは、データのある範囲では多くはネガティブですね。一部陽性があるけれども判断不能というのは重要ですが、その辺りをやったほうが効率がいいような気がします。

○清水座長 それぞれ120物質ぐらい短期間で見ていただいたので、かなり判断が難しかったところもあると思います。構造活性相関があれば、エームスだけでも十分判断ができたと思いますが、それは来年度でないと無理だということですから、このデータで判断するしかないと思います。

○本間委員 本当にエームス試験で引っ掛かるものに関しては、100%ではありませんがQSARで引っ掛かるので、来年度はこの物質に関してもQSARをかけていただいて、今回やれなかった部分はそこから優先物質を拾い上げるという手もあるかもしれません。今年は遺伝毒性・発がん性データがないものをやるわけですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○本間委員 来年度は、あるけれども不十分なものをやるというくくりでやれば、またそこから拾い上げることができると。だから、今回は多少いろいろな考えの先生がいて、見逃したものがあるかもしれないけれども、来年度それでフォローするという考え方もできるかもしれません。

○清水座長 順位を決めるのは先延しになりますね。

○本間委員 今年は、もう始めるのですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね。御議論していただいて、試験候補は場合によっては50までいかないこともあり得るかと思いますので、もう少し情報を得てから試験の要否を判断したほうがいいような状況であれば、無理に絶対50しなければいけないということではないので。

○本間委員 試験も今年度中にやるのですか。

○大淵有害性調査機関査察官 今年度、残りの半年で、ラボで集中してやっていただく予定です。

○山田委員 先ほど事務局の方が、強い遺伝毒性があるとした場合にはアクションが必要だと言われていたので、この12物質に関しては数がそんなに多くないので、見直す作業はできるかと思ったのですが。

○大淵有害性調査機関査察官 12物質について、本日お配りしているような簡単な表の情報でディスカッション可能か、あるいは論文等を用意した形でないとディスカッションは難しいのか。この資料で足りるのであれば、その部分について本日御議論いただくという方法もあるかと思います。

○清水座長 これは、それぞれ担当された先生方が判断されているわけですね。我々もデータを持っていないのです。12物質ということで、量的には少ないから、この辺のデータをそろえていただいて判断をしていただくことは可能だと思います。ただ、これは試験をするわけではなくて、指針を出すかどうかの判断のためのものですね。そういう意味では慎重でなければならないということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○本間委員 これは発がん性試験の優先物質になるのですか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。それでは、12物質については、もう少し必要なデータをそろえて、次回先生方に御議論いただくような形を取らせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○清水座長 よろしいですか。それでは、トータル50幾つの物質について、若干評価の仕方が委員によって違っていたわけですが、事務局で検討をいただいて、優先順位を付けていただくと。もし何か御意見があれば、事務局にお伝えいただくということでよろしいでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 先生方によって、物差しが少し違うところがあって、場合によってはもう1回見直せば、若干判断が違ってくる可能性があるようなお話も伺ったのですが、そこをどう考えさせていただくかですが、例えば先ほどのエームス試験が1つしかないような場合について、清水先生は判断できないというグループに入れられたと。ほかの先生は、それが陰性ならば陰性ということで処理されたというところで、少し違いはありますが。

○角田化学物質評価室長 1つの方法としては、今日御議論いただいて、御意見も出ていますので、そういった論点をこちらで再確認の視点のようなものを整理して、お送りしまして、それに沿って、若干修正があるというものは、それに沿って時間までに見ていただくというのはあるかと思いますが。

○清水座長 今の事務局からの御提案はいかがですか。御異論がなければそういう形でやっていただくということになりますが。

○大淵有害性調査機関査察官 一番判断が分かれるところは、データが本当に少ないときに、それをもって判断してしまうか、あるいは判断は困難とするかで処理の仕方が分かれてくるのかなと思うのですが。

○清水座長 数が変わってくるかもしれないですね。

○本間委員 データが少なくて陰性のものしかないというときに、その中から判断は困難といっても、優先順位を付けるのも無理ですよね、何もないわけですから。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね。

○本間委員 やはり陽性のものがあったところで、怪しいものから。または、強弱の判断が不能とか、そういうものをやるしかないのではないかと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 そうすると、本日お配りしている中では、丸数字4のグループが試験の最優先ということでしょうか。遺伝毒性はありだけれども強弱の判断が難しいというような物質が、試験の最優先順位で、丸数字5のグループはもう少し精査しないと、試験に持っていく物質の判断が難しいということになるでしょうか。先ほど出た構造活性相関の情報なりがないと、振るい分けは難しいでしょうか。

○太田委員 個人的な意見ですが、丸数字5の中で試験の中に陽性というのがあって、それに関しては丸数字4で、判断ができないというよりも強弱が分からないと。試験項目が、取りあえず陰性しかないというのは、置いておくしかないのかなと思うのです。ですから、幾つか増えるか。

○本間委員 実際の試験をするのはエームス試験で確認するわけですから、やはり基本的にはデータが、エームス試験がないものとか、エームス試験が判定困難なものを中心にしたほうがいいのではないかと思うのです。

 例えばこの中には、エームス試験のデータはちゃんとあるのだけれども、染色体異常試験などがconflictしているというのも入っているかもしれません。でも、それは結局エームス試験をしたとしても解決できないです。ですから、基本はエームス試験のデータが十分にあって、そのデータが信頼できるかどうかを一番の判定材料にしたほうがいいのではないでしょうか。

○太田委員 エームス試験がないのは3件あったのです。それはコメントには書いておいたのですが、染色体異常はないけれども、エームスがない。本当はやってほしいですよね。陰性で終わってしまっているので、出したほうがよければ出します。

○荒木委員 私の場合にも幾つかありました。2つか3つぐらいあったかと思います。

○太田委員 そんなに大きな数ではないので、エームス試験がないというものは事務局で分かりますよね、ぱっと見れば。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 そういう方向で作業していただくということで。

○大淵有害性調査機関査察官 交通整理をしていくということですね。

○清水座長 そうですね。あとはいろいろな用途とか、製造量といった条件も教えていただければいいと思うのです。

○太田委員 強い遺伝毒性の12物質は、事前にデータをまた送ってくれるということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 一旦DVDを回収しておりますが、もう1回お配りする形にして、会議用の資料としては紙のものを次回お送りしますが、DVDはもう1回お渡しする形がよろしいでしょうか、そのまま見られるような形で。

○太田委員 会議当日にポッと見てもすぐにできるものではないので、強いと判断している理由はそれぞれが共有して。

○清水座長 強い物質だけ。

○太田委員 12個だけですから、全員で見れば。

○大淵有害性調査機関査察官 分かりました。それであれば、準備ができれば本日中にお渡ししますし、本日できなければ急いで郵送なりさせていただく形で対応いたします。

○本間委員 それなりのコメントを書いているはずですよね、強い理由をですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 それも入れてということですね。それをほかの委員が見てどうか。スキームにいくとそうなるけれども、全体で総合判断すれば余り問題ないのではないかというのは、結構あると思うのです。それを会議で議論していただければと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 分かりました。

○清水座長 大体よろしいでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○清水座長 ほかに御意見がなければ、これで終了になりますが。

○大淵有害性調査機関査察官 次回の会議の重点としては、強い陽性の物質についてもう少し精査をする作業と、次回の会議にいくまでに遺伝毒性の判断困難あるいは強弱の判断困難という物質について、必要のあるものについては、もう1回御意見を出していただく必要があるので、その辺の論点整理をこちらでペーパーを作成してお示しし、この物質も追加が必要だというものについては、先生方にお出しいただきます。事務局では、エームス試験の情報がない物質についてのピックアップが可能ですので、それをさせていただきます。

○清水座長 一応私は、エームスが1つしかないのは判断しましたが、エームスがあるということであれば、それは考慮してもいいかなと思います。

○大淵有害性調査機関査察官 エームスがなくて染色体だけとか、そういうようなものをピックアップするということで。

○清水座長 はい。

○太田委員 強い遺伝毒性の12物質以外に、強弱の判断不能という10物質もありますから、これも付け加えて、プラス10ですので、これも皆さんに見ていただいたほうが、評価できると思います。

○大淵有害性調査機関査察官 はい、分かりました。

○清水座長 次回の日程についてはいかがでしょうか。

○大淵有害性調査機関査察官 次回について、資料3に記載しています。次回の第3回は1022日ということで、余り間がないので申し訳ないのですが、この間に事務局も急いで作業させていただきます。会議日程としてここまでを取っておりますので、この会合で作業が残る部分があった場合には、場合によっては会議形式ではなく、メールでのやり取り等の作業をさせていただくこともあるかもしれません。

 それ以降は、年が明けてから、非遺伝毒性のほうのスクリーニング試験の関係で、こちらの試験方法をどうするか、対象物質をどうするか。平成26年度からこういった新しいタイプの試験についても導入したいと考えておりますので、この分野の試験をやっている先生などもお呼びする形で、こういった会合を開いていきたいと考えております。平成26年度はエームス試験の結果の評価、構造活性相関の結果の評価を行う予定です。

 委託事業のほうは、エームス試験を今年度後半で「約50物質」と書いていますが、こちらのWGの議論によっては、もう少し少ない物質になることもあるかと思いますが、それを実施するということで進めていきます。予定としては以上です。

○本間委員 今の形質転換試験のほうですが、来年度からやる場合に、専門家を呼ぶということでしたが、飽くまでも参考人のような形で、構成メンバーには入らないということですか。

○大淵有害性調査機関査察官 どういう形にするか、その関係のときだけの追加の特別な参集者のような形にする方法と、固定的なメンバーに追加させていただく方法と、両方があり得るかと思います。

 例えば構造活性相関については、第1WGには広瀬先生にお越しいただきましたが、広瀬先生は構造活性相関に関係するような議題があるときにお呼びするという形で予定をしております。非遺伝毒性のスクリーニングの関係については、まだどうするかは決めておりませんが、イメージとしては、必要のあるときにお呼びするのかなというイメージは持っておりましたが、毎回コンスタントに御出席いただいたほうがいいということであれば、メンバーの変更、追加をすることは可能です。

○本間委員 私が心配しているのは、QSARのような手法というわけではなくて、たとえば、Transformationの結果の評価が非常に重要で、そこで陽性が出た場合、陰性が出た場合、これを発がん性の結果として代替できるのかどうかは、発がん性の人たちの意見は随分違うのではないかと思うのです。

 やり方はここで決められたとしても、その判定をする評価というのは、発がん性の人たちと話をしないと、かなり難しいのではないかと思うのです。恐らく、そういった意味で発がん性の人たちはこちらに振ったのではないかと思うのです。我々はやり方などについては議論できますが、本当にTransformationが陰性だったら発がん性は評価済みとしていいのかどうかというのは、どうですかね。できれば発がん性の人も入るべきだとは思っていますが。

○清水座長 それは検討してみてください。

○大淵有害性調査機関査察官 どちらのグループでやるかというのは、合同でやるぐらいでもいいということでしょうか。

○本間委員 評価は違うと思いますからね。

○大淵有害性調査機関査察官 今回のスキームの中では、新しい試験の導入については、その試験の結果だけをもって行政対応というのはまだ難しいという整理を、去年の有害性評価小検討会の中ではしていまして、その結果をどう活用するかというと、参考資料2-1、スキーム図の3ページでいくと、形質転換なりで有害性がありそうだとなった場合には、次のステップは、短期・中期の発がん性試験に持っていくということで、形質転換が陽性だったからすぐに行政対応で通達を出すというのは、今の段階では予定はしていないのですが、そういう状態でもこのメンバーだけでやるのは難しいところがありますか。

○本間委員 はい。

○清水座長 合同でやるか、あるいは。事務局で検討していただくのでしょうね。

○大淵有害性調査機関査察官 発がん性のほうの先生で、どなたかにも入っていただいたほうがいいようなイメージでしょうか。

○本間委員 私はそのほうがいいと思っているのですが。もともとは発がん性試験であったわけではないですか。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね。

○本間委員 この辺はボーダーラインですから、きれいには分けられないのではないかと思うのです。

○大淵有害性調査機関査察官 発がん性WGの西川座長にも御相談させていただき、メンバーについて検討させていただければと思います。

○太田委員 次回の作業のことで確認したいのですが、強い遺伝毒性のあるものは事前にデータを見てレビューということですね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 次回のというのは、エームス試験の対象物質を選ぶという作業ですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 そうすると、強弱の判断が分からない物質であっても、エームス試験がしっかりやってあれば、やる必要はないわけです。結局は、エームスがないか、不十分な条件でしかやっていないものを探すという作業ですよね。

○大淵有害性調査機関査察官 そうです。

○太田委員 それは事前にやっておかないと、エームスプラスマイナスの表だけ見ても分からないので、そこは。

○清水座長 今回のものをもう一度見直してもらうしかないでしょうね。

○太田委員 エームスのないものをリストアップしてもらって、強弱の判断ができない10物質の中でも、エームスが完全にやってあればしようがないですよね。それは判断をした人が既に分かっていると思うので、その情報をもらって、エームスに不備があるとか、そういうのがあれば事前に表を作るなり。作業を指示していただかないと、また来て。

○大淵有害性調査機関査察官 そうですね。

○清水座長 判定基準をもう一度書いて、共通の認識でやらないと。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 丸数字4の判定不能の10物質に関しては、担当の先生にエームスがあったかどうか、十分であったかどうかを聞いていただければ済んでしまいますよね。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。

○太田委員 不十分であったものだけが優先物質でエームスをやると。丸数字5の判断不能の中も含めて、エームスがないもの、私が陰性としてやったものの中にもありますが、そういうのももう1回リストを作っていただいて、これをやるかどうかですよね。そうすると、リストアップされたものはみんなやると。

○大淵有害性調査機関査察官 はい。優先順位付けの作業にはいかずに、ほぼそれで決まりで、その作業さえできれば。作業方針を明文化して、早めに先生方にメールで御連絡するようにいたします。

○清水座長 事務局からほかにありますか。

○大淵有害性調査機関査察官 考え方を整理する上で、清水先生に御相談させていただくかもしれませんが、現段階では大丈夫です。

○清水座長 それでは、第2回遺伝毒性ワーキンググループを閉会にいたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

電話: 03-5253-1111(内線5511)

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