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2013年11月12日 第77回労働政策審議会安全衛生分科会

労働基準局安全衛生部計画課

○日時

平成25年11月12日(火)15:00~


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館9階)


○出席者

委員:五十音順、敬称略

明石祐二、犬飼米男、小畑明、栗林正巳、桑野玲子、城内博、新谷信幸、鈴木睦、角田透、土橋律、中村聡子、縄野徳弘、半沢美幸、三柴丈典、水島郁子、山口直人、山岸氏(岡本委員代理)、米村氏(中村節雄委員代理)

事務局:

半田有通 (安全衛生部長)
井内雅明 (計画課長)
奈良篤 (安全課長)
泉陽子 (労働衛生課長)
森戸和美 (化学物質対策課長)
毛利正 (調査官)

○議題

(1)第12次労働災害防止計画を踏まえた検討について(安全衛生分科会報告に向けての議論のまとめの方向性 その2)
(2)その他

○議事

○分科会長 それでは定刻になりましたので、ただいまから「第 77 労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、労働者代表では、勝野委員、辻委員、使用者代表では岡本委員、中澤委員、中村節雄委員が欠席されています。岡本委員の代理として、 JFE スチールの山岸様が出席されています。また、中村節雄委員の代理として日本商工会議所の米村様が出席されています。

 それでは議事に移ります。本日の議題は、「第 12 次労働災害防止計画を踏まえた検討について」です。前回の分科会で、「まとめの方向性」に基づいて、一通り全ての論点について審議することができました。今回は、前回の分科会で引き続き議論が必要とされた論点を中心に議論を進めたいと思います。また、規制・届出の見直しについて事務局から新たな論点の提案があるとのことですので、併せて審議したいと思います。

 最初に、事務局から追加資料が出されている論点から審議を進めたいと思います。この資料 2 と資料 3 になります。説明をお願いします。

○井内計画課長 それでは私から資料 2 と資料 3 について御説明します。前回、安全衛生分科会報告に向けての議論のまとめの方向性 ( 公益委員案 ) の中の 2 (2) になりますけれども、その重篤な労働災害を繰り返す企業の改善策につきまして、これまで御意見として、その具体的な要件について、もう少し示していただきたいという話がありました。それで今回、資料 2 で企業単位での改善を求める具体的な要件について、素案ですがお示ししています。「改善を求める仕組みの対象とする場合の基準」ですが、前回の資料にもありましたとおり、対象選定基準としては、同一企業内で法令違反により、同様の重大な労働災害を繰り返し発生させたにもかかわらず、企業単位での改善に取り組まないなど放置した場合は、同様の労働災害が当該企業内で繰り返されるおそれがあることから、改善対象とするということです。1として「法令違反」の定義ですが、労働災害の直接原因となった法令違反を指すということで、対象とする法令は労働安全衛生法と作業環境測定法、又はじん肺法並びにこれらの法律に基づいて制定されている政省令及び告示としてはどうかという提案です。

 「労働災害の直接原因となった法令違反」とは、その災害を引き起こすに至った直接的な原因となった法令違反を指すということです。例えば、違法な機械とか、違法な足場とか、そういったようなものを考えています。

 2として、同様の定義ですが、発生した労働災害の起因物が同じであって、かつ発生した労働災害の型 ( 種類 ) が同じである場合です。「起因物が同じ」とは、例えば木材加工用機械であれば、「丸のこ盤」とか「チェーンソー」あるいは、建設機械であれば「解体用機械」、「掘削用機械」といったような起因物小分類が同じであるもの。「労働災害の型 ( 種類 ) が同じ」とは、災害の態様により、例えばここにありますが、「挟まれ巻き込まれ」、「激突され」等と分類されるわけですが、この型が同じものを考えています。

 それから基準の3ですが、「重大な労働災害」の定義としては、以下のものを対象としてはどうかと考えています。死亡災害、それから障害等級 7 級以上の労働災害、これは障害補償年金の対象となる災害であり、労働者が生涯にわたって重い障害を負うことになる重篤な労働災害であることから、このように考えてはどうかということです。

 4として、「繰り返し発生させた」の意義ですが、今、1~3の条件に合致するような労働災害を 3 年間で 2 回以上発生させた場合を考えています。ただ、同じ事業場で 2 回発生させた場合、これまでも御紹介しましたけれども、そういった場合は今の安衛法 78 条の現行の都道府県労働局長が指示する改善計画の対象となりますので、そちらについては対象としないということです。ただもちろん、その同じ事業場で 2 回発生させたところが、また別途、別の事業場で発生させたというような場合であれば、もう 1 件追加ということであれば、そちらはこの考え方で言えば対象となります。

 考え方としましては、労災保険のメリット制が過去 3 年間の労働災害発生率をもとに算定しているために、その労災が繰り返されているかどうかを判断する期間として 3 年間を考えたということです。

 ただ、本来は、重大な労働災害を繰り返す企業の改善というものは、年限を区切って行うような類いのものではないのだろうと思いますが、労基法の 109 条に基づいて、労働関係に関する重要な書類の保存義務が 3 年間となっているということもあり、事実関係を確実に確認できる期間として 3 年間を考えています。安衛法の 103 条でも、安全衛生関係の各種書類の保存義務も、概ね 3 年間となっていることも考慮しています。

 5で、「企業単位での改善に取り組まない」と判断する基準で、これまでの1~4の条件に合致した場合に、企業として以下に掲げるような対応を何ら取っていないことが確認された場合に限り、改善を促すために対象とするということです。発生した重大な労働災害の原因を分析していない。また同様の労働災害の再発防止対策を検討・策定・実施していない。同様の重大な労働災害が起こり得る他の事業所に対して対策を横展開していない。こういった場合には取り組んでいないと判断したらどうかということです。

3 ページの「改善を求める仕組みの具体的な流れ」です。ステップ1として、「計画作成の指示」ですが、先ほど見ていただいた1~4の基準を満たした場合に、その当該事業者から重大な労働災害を繰り返し発生させた企業としての対応状況を聴取する。その対応状況が先ほど見ていただいた基準5に該当するような不十分と認められる場合に、同様の労働災害が起こり得る危険な状態が継続していると判断されるため、同様の重大な労働災害の再発を防止するための全社的な計画を作成するよう厚生労働大臣が指示をすることを考えています。先ほどの、対応が不十分と判断する基準というのは先ほどの5と同じです。

 ステップ2は、「計画変更指示」です。指示に基づいて計画を作成したものの、その内容が著しく不適切な場合には、内容を適切なものに変更するように厚生労働大臣が指示をする。どういった場合に、内容が著しく不適切と判断するのかということですが、発生した重大な労働災害の原因に対応した対策の内容となっていない、計画の対象が重大な労働災害が発生した事業場だけに留まっており、他の事業場で再発するおそれのある同様の労働災害を防ぐものとなっていない場合に、計画の変更指示を出してはどうか。

 それからステップ3は、「勧告」です。計画の作成指示、又は変更指示をしたにもかかわらず事業者が作成、又は変更をしない場合には、必要な措置をとるべきことを厚生労働大臣が勧告をする。また、その事業者が作成した計画を実施していないことが確認された場合には、実施すべきことを厚生労働大臣が勧告する。

 こういった場合に勧告を出し、ステップ4で「公表」になります。上記の勧告に従わない場合は、厚生労働大臣が企業名を公表する。こういう仕組みでいかがかということです。

 これまでも御議論をいただきましたが、あくまでもこの制度は、企業名の公表というのは改善を図らせるための履行確保手段であると共に、その労働災害が起こり得る危険な状態が継続していることを、当該企業の労働者、及びこれからその企業の労働者になりたいという求職者に注意喚起する趣旨で、制度を作っていこうということです。企業名の公表の方法としては、他の公表事例と同様に、報道発表及び厚生労働省のホームページへの掲載を想定しています。一番下の※ですが、なお書きで、これからもそうなのでありますが司法処分された事案については、それぞれ 1 1 件、その度に公表されています。これが 2 (2) に関係するものです。

 それから資料 3 ですが、併せて御説明させていただきます。外国立地検査・検定機関の登録に係る規定の整備 ( ) ですが、これは今回、新たに提案するもので、近年の国際的な動向に対応するものです。枠の中にありますが、 WTO の場におきまして、対日審査の際に、日本における適合性評価機関に関する質問が寄せられておりまして、国際基準を活用するように促す指摘もありました。また、後ほど御説明しますが、他省庁が所管する適合性評価制度では、外国立地の機関を認めて、その法的手当がなされています。機械の検定機関の話ですが、これまで日本国内に立地する機関しか認めていなかった労働安全衛生法に基づく検査・検定機関 ( 登録製造時等検査機関等 ) 、これは登録製造時以外に個別検定とか型式検定などの検査機関も当たるわけでありますが、そういった検査・検定機関について、日本国内に立地しないものも対象として認めることとしてはどうか。併せて、それに伴い、外国に立地する検査・検定機関による検査・検定の安全性を担保するために外国に立地する検査・検定機関の登録の取消し要件等について所要の整備を行うのはどうかということです。

2 番に外国においての検査・検定手続の現行と改正後の変更点を示しています。考えているのは、現行は、下にあるように日本国内の機関による検査・検定以外に選択肢がないわけで、外国の製造者については日本の検査・検定機関が出向いて行って、その検査・検定をするという形になっていますが、改正後、WTO等の指摘を受けて改正しようとするものとしては、外国立地の検査・検定機関を認めることによって、外国の製造者、機械の製造者は外国立地の検査・検定機関に検査を実施してもらって、それで輸出することができるということで、そういうことを選ぶ選択肢ができるような制度を考えています。

 裏面ですが、安全性を担保しなければいけないということで、その外国立地の検査・検定機関の登録に係る運用体制 ( ) です。こういったものも併せて考えていまして、基本的な考え方としては、登録要件や検査・検定の方法については国内の検査・検定機関と全く同じものを課すことであり、基準を下げるとか要件を下げるとか、厳しさを下げることではないということです。登録要件に合致しない場合には適合請求を、検査・検定の義務違反の場合には改善請求を、そのような外国の検査・検定機関に対して行う。それから請求や立入検査等を拒んだ場合には登録を取り消すこととする。外国立地の機関を制度的に認めている制度はほかにもありまして、経産省所管の電気用品安全法とか、国交省所管の船舶安全法などと同様の規定で、安全性を担保していくことを考えています。具体的には下のほうにありますが、左の登録要件、検査・検定の義務等のところで、上が国内立地機関、下が外国立地機関ですが、下の枠の中に書いてありますが、国内外を問わず、全く同じ要件を考えております。例えば登録要件で言いますと、検査・検定に用いる機械設備はきちんとしていなければいけないとか、検査・検定員の資格要件は要りますし、指揮、管理体制が整ってなければいけませんし、また第三者性の確保ということで、機械の製造者と、検査・検定機関は第三者の関係でなければいけないということです。また登録の更新は、やはり 5 年ごとと。それから検査・検定の義務としては、公正かつ労働安全衛生法令の規定に従って検査・検定を行う義務があります。その他の義務として、業務規程等の届出や書類の保存の義務を課しています。これは全く同じものが外国の機関にも適用されるということです。

 それから厚生労働大臣の権限ですが、下の枠にありますように登録要件に合致しない場合には、適合請求。検査・検定の義務違反の場合には改善請求。それから立入検査・報告の徴収については強制力がないのですが、これらを拒んだ場合は取消しとするということです。

 一番右の登録の取消し等ですが、国内と同じように、欠格事項に該当するに至ったとき、検査・検定等の義務違反があった場合、虚偽の届出等がなされたとき、それから請求に従わなかったとき、あるいは立入検査等を拒んだ場合も取消し要件として運用し、安全性を担保すると考えています。

 新たな提案ですが、こういった外国立地検査・検定機関の登録に係る規定の整備を今回の法改正の際に、併せて整備をさせていただければということで提案させていただくものです。説明は以上です。

○分科会長 ただいま、資料 2 3 に基づいて説明いただきました。まず、資料 2 の重篤な労働災害を繰り返す企業の改善方策について、質問や発言はありますか。

○犬飼委員 まず、基準1の法令違反の定義ですが、これを見ますと、対象とする法令は、「労働安全衛生法、作業環境測定法又はじん肺法、並びにこれらの法律に基づいて制定されている政省令及び告示とする」とされています。労働災害を見てみますと、ここに挙げられた法令以外の法令違反が直接原因となって発生することもあります。例えば、大手居酒屋チェーンで店長が指名した過半数代表者の要件を満たさないアルバイト店員に、 36 協定の署名をさせて、時間外労働をさせていたケースで、そこで働いていた労働者が過労自殺して、労災認定されたというような事例もあります。

 労働災害というのは、労働安全衛生法以外の法令違反が直接的な原因となって発生し得るものでありますので、こうした事例についても企業単位での取組みが重要ではないかと考えています。

 ところが、今回示されたように、対象を労働安全衛生法関連の法令違反だけに限ってしまいますと、今言ったような労働災害は、労働安全衛生法関連の法令違反ではありませんので、企業単位での改善を求める仕組みの対象からは当然こぼれ落ちることになってしまいます。

 同様の重大な労働災害を繰り返し発生させることを実効的に防止するという観点からすると、対象とする法令を労働安全衛生法関連に限定せず、その他の法令、例えば労基法違反にも対応して、計画の作成・変更の指示あるいは勧告、企業名公表を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

○井内計画課長 今、対象とする法令について御意見がありましたが、私どもは今回のこの制度ですが、新たに設ける制度として議論をいただいております。重大な労働災害を繰り返して発生させる企業に対して改善を求めていくという仕組みですので、重大な労働災害が繰り返されている事態をいかに防いでいくかという観点で検討しているのだろうと思っております。その観点からいきますと、要件とする法令違反については、労働災害の防止を主眼とする労働安全衛生法の中で判断することが適当だと考えております。

 先ほど、過重労働の話もありましたが、働き過ぎの抑制という観点から、労働基準法に基づくような限度基準告示が定められているわけです。それに加えて、過重労働による健康障害という重大な事態に至ることを防ぐ観点から、労働安全衛生法の中で第 66 条の 8 に基づく面接指導の制度が設けられているわけです。今回、御議論いただいているような重大な労働災害を繰り返す企業に改善を促すという制度の趣旨からすれば、その重大な事態を未然に防止するために設けられた労働安全衛生法の規定を根拠とすることが適切ではないかと考えております。

○犬飼委員 これまで、ずっと議論をしてきまして、 12 次防も作り上げたのですが、重点とする健康確保、職業疾病対策の中では、メンタルヘルス対策とともに、過重労働対策についても、この中で議論し、いいものを作り得たと思っています。これは、やはり切り離せない観点で、是非検討するべきものではないかと思いますので、要望を申し上げたわけです。

○三柴委員 法律論を専門とする立場から、少しコメントをさせていただきます。まず、労基法上の労働時間規制というのは、安全衛生法上の労働時間に関わる規制とは趣旨が異なります。労基法の場合も、もちろん健康を重要な趣旨として労働時間を規制しておりますが、それ以外に私生活時間の保護や、ワーク・ライフ・バランスに関わるもの、それから実は歴史的には国際競争力の調整など、様々な趣旨があり、現行規制上も基準が異なっています。労基法では、一般労働者では、月に 45 時間が原則的な基準になっていますが、安衛法上は 100 時間が原則的な基準になっています。以上のようなことから、労基法の違反をそのまま安衛法の政策上取り入れていいかどうかは、更に議論を要するところだろうと思います。

 それから、過重労働で、長時間労働が前提にある場合は、基本的にはとがめられるべきでしょうが、メンタルヘルス不調にはいろいろな背景があり、国際的にも作業関連疾患と捉えられていますので、そういう意味でも、労基法をそのまま援用することがどうかという疑問が生じるだろうと思います。

 あと 1 点だけ申し上げますと、メンタルヘルス対策は、単に労働時間だけの観点ではなく、総合的に経営や人事管理の質的な改善を図っていくというような取組みのほうが実効的な面もありますので、そういったことを総合的に考えて、この点に関する議論にとどめずに検討を進めていくことが適当ではないかと考えています。

○新谷委員 今、三柴委員から御説明をいただいて、なるほどというところもあるのですが、しかしこれは重大な労働災害を繰り返し発生させたという所を、要件として対象とするものですから、労働災害の発生の原因が、例えば労働基準法のような、本当に安衛法と近い領域で起こっているケースですね。確かに、おっしゃるように、安衛法上の時間の取扱いと基準法上の取扱いは違うのですが、ただ過重労働に伴う脳・心臓血管の労働災害については、労働基準法の世界でも規制が掛かっているわけです。

 ここで申し上げているのは、もともと労働基準法上の協定が結ばれていないとか、その手続きに瑕疵があるということについて現実に起こっているものであり、しかもそれが労働災害の原因になっている可能性があることに対して、ここで安全衛生法だけに限定されてしまう理由が、どうも私どもは理解しにくいということを申し上げております。やはり、近接領域の法律分野で違反があるのであれば、これもやはり労働災害を繰り返し発生させた企業として、指導の対象とするべきではないかということを申し上げたいと思っております。

○三柴委員 今、新谷委員から御示唆いただいた点に、もっともな点が多々あるとは思っております。ただ、先ほど計画課長からご説明いただいたように、安衛法の中でも既に労働時間を原則的な基準として過重労働を間接的に防止していこうという趣旨の規定はあります。他方、今回審議されている公表制度は、行政施策の一環として設計されることになると思います。そうすると、必ずしも罰則が付いている条文でなくても根拠とすることはできるだろうと思われます。となれば、本当に悪質な企業が出てきたときには、そうした規制の活用も検討されながら進んでいくだろうと思いますので、今、一気に労基法を援用する方法を取るよりも、そうした実施の状況を見ながら対応していくほうが、現実的かなと考える次第です。

○分科会長 ほかに、発言はありますか。

○半沢委員 基準4について、少し意見を申し上げたいと思います。もし聞き漏らしたのであれば大変申し訳ないのですが、 1 つ教えていただきたい部分があります。基準4の 2 行目に、 ( ただし同じ事業場で 2 回発生させた場合は対象としない ) とあります。基準4全体としては、1から3の条件に合致する労働災害を 3 年間で 2 回以上発生させた場合という中において、この括弧内はどういったことを想定されているのかを、少し教えていただきたいと思います。

○井内計画課長 現行の制度を紹介しながら議論をしていたかとは思います。現行の労働安全衛生法第 78 条で、安全衛生に対する取組が不十分な場合に、都道府県労働局長が改善計画の作成を指示することがあります。それは、今回括弧の中に入っているような同じ事業場で 2 回発生したような場合には、その事業場の問題、その事業場の取組が不十分だということで、その事業場に対しての指導をしていくと。それは、その事業場個別の問題であれば、これまでの現行の都道府県労働局長による改善計画作成指示の制度で対応するのだろうと。今回議論いただいてきているのは、企業単位でというようなこと、あるいは都道府県を跨がった別の事業場でということで御議論いただいてきていますが、同じような業務を全国の幾つかの事業場で展開されておられるような企業で、あちらこちらで同種の重篤な法令違反があり、重篤な労働災害を繰り返して死亡災害などが起こっているようなときに、その企業として横展開をせずに、対応を全くせずに放置していれば、今度は別の都道府県の別の事業場で同じような災害が発生してしまうかもしれないということで、それを防ぎましょうということで議論をいただいてきているわけです。そういった、別の都道府県に跨がるような所で、今は 3 年で 2 回というような要件を示しておりますが、そういったものに該当する場合には、その企業全体で改善の取組をいただくと。それは、大臣の計画作成指示というようなことで改善をしていただくということで考えております。

 ここで、同一事業場で 2 回発生させた場合は対象としないと言っておりますが、法施行後の話として、同じ事業場で 2 回繰り返して、局長指示の対象となっても、また今度別の都道府県で、もしも同種の労働災害が法令違反で起これば、その場合は今考えている制度に乗ってくるということで、別に排除するわけではありません。

○半沢委員 分かりました。そうすると、例えば同じ事業所で 2 回発生し、またその中で指導が行われたにも関わらず、ほかの県などで1から3に当たるような事故が起こった場合については、それは 2 回とみなして、今回の提案の対象として指導をするという認識でよろしいですか。

○井内計画課長 そのとおりです。

○半沢委員 はい、分かりました。ありがとうございます。

○犬飼委員 同様の定義なのですが、基準の2で、発生した労働災害の起因物が同じであり、かつ発生した労働災害の型 ( 種類 ) が同じであるというのですが、おそらくこの事故の型分類というのは、死傷災害、死亡災害の発生状況で、厚労省が出している分類だとは思います。この定義を見ますと、事故の型は傷病を受けるもととなった起因物が関係した現象で、分類に当たっていろいろ選択はされるわけですが、起因物が同じでも結局そこから派生して、「挟まれ・巻き込まれ」であったり、「切れ・擦れ」であったりとか、要するにそこから枝葉のように分かれていくわけです。ここに、かつ発生した労働災害の型となっていますので、分類をするときに、かなりの選択権があるわけです。

 この分類の方法を見てみますと、 2 種以上の事故の型が競合する場合には、災害防止対策を考える立場での重要度や、発端となった現象によるとか、分類番号の若い順によるというルールなのです。そうすると、起因物が同じでも、そこから枝葉のように分かれていきますので、この「かつ」の後半に書かれているものになりますと、起因物が同じでも、例えば分類的に分かれていくことが起こるわけです。そうすると、限りなく少なくなるというか、起因物が同じもの、同じ機械で起きているのだけれども、結局は型が違ってしまうこともあり得ます。そうなれば、ここは「かつ」ですので、繰り返し発生したとはならないということになるわけです。

 もう 1 点教えていただきたいのは、型分類の中でその他という分類と、分類不能という項があるわけです。その他と、分類不能とは一体何なのか分からないのですが、要は分類については主観が入るということです。起因物は同じでも、型に主観が入ってしまい、そこはいろいろな所に分かれてしまう現象が起こりますので、ここはできれば発生した労働災害の起因物が同じであれば、それが巻き込まれであろうが、切れであろうが、擦れであろうが、激突であろうが、それはやはり同様に対策は打つべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○井内計画課長 この制度自体は、先ほども申し上げましたが、議論があり、こういう制度を作ろうということで、ここまで議論をいただいています。基本的には、ある企業が同じような業務を別の事業場でいろいろと複数展開をしているときに、また同じような災害が起こり得るのを、何とか未然に防ごうということで考えているわけです。基本的には、同じようなものを使って、例えば同じような機械を使って、同じような作業をしていて、同じような災害が、不備があって起こっていると。その中に、何らかの違法性があるような場合に、同じものとして対応しようと考えております。その企業が、ある業務とはまた別の業務も合わせてやっていても、別の業務の別な災害と一緒にすることを主眼としているものではないのだろうと思っております。そういうことでいけば、同種の業務をやっていて、同種の重篤な災害が繰り返されることを防ごうと考えています。基本は、そのような考えでやっていきますので、その中で例えば分類の中で不明ではないかというようなことがあるようであれば、また議論していただきながら考えていくこともあろうかと思います。また、そういったところも含めて、議論いただければと思っております。

○新谷委員 資料 2 の基準の2の要件が、起因物が同じであり、かつ発生した労働災害の型が同じであるというように、「かつ」というアンド条件で結ばれています。今、犬飼委員が質問したのは、正しくこの「かつ」で結ばれた所の後段の型が、起因物が同じでも型が違うケースが当然出てくるのではないかということなのです。例えば、同じ機械を使っていても、ある工場の機械がどちらもメンテナンスされていなくて、ある工場の機械が整備不良・絶縁不良で感電事故が起こったケースや、ある所では、同じように整備不良で火災を発生させてしまったケース等々、起因物が同じでも出てくる災害は違うのではないかと思います。しかし、今の要件ですと、起因物が同じで、かつ発生した労働災害の型が同じとなっているので、では感電と火災は違うのだから、これは別々とするのか、一緒にするのかということなのです。ですから、やはりここは起因物が同じでも、出てくる災害は当然違う可能性があるので、素案でいくと何か違う型が発生したら、もう全く別物ということになるのなら、対象となる所が狭くなるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○井内計画課長 おっしゃっていることは分かります。例えば、何かの機械に当たったりして、それをその場で頭を打ったりという場合と、そこが結構高所だったりすると、そこからまた下に落ちましたというときに、その場合、型なり分類が違ってくるのはあり得ることだと思いますので、その辺りのところは実態をよく見て考えていくことにはなるのだろうと思います。基本的には、実際に同じようなことを複数の事業場で繰り返しやってしまったようなことが、基本的には同じなのであれば、それは今おっしゃったような観点から見れば、実態をよく見なければいけないとは思っております。

○新谷委員 論議をする際に、客観的に公正な基準といいますか、余り裁量が入らずに設計すべきと思うのです。要するに、制度の信頼性などを維持するためには、ここに書いてあるような要件の厳格化というか、明確な要件で指導するということは、制度の安定性のために必要だと思うのです。ただ、起因物が同じであり、かつ発生した労働災害の型が同じであった場合を指すと書かれてしまうと、これが正しく指導の基準になってしまい、起因物が同じなのだけれども、型が違うではないかと抗弁されたときに、これだと逃げようがないと思います。例えば、ベルトコンベアーに挟まれる災害と、それが切れてしまって当たってしまう災害は型が違うのではないか、と言われたときに、逃げられてしまう可能性があるのではないかと思います。ですから、ここは書き方がこういう厳格なアンド条件でつないでしまいますと、厳格すぎて、この制度が狙っているところがうまくワークしないのではないかという懸念も含めて、検討をお願いしたいと思います。

○井内計画課長 先ほどお話したことになるのだろうと思うのですが、ここで我々が考えているのは、同じような重篤な労働災害を、同じような業務をいろいろな事業場でやっていて起こしてしまうことについて、その他の事業場でも起こるかもしれないところは、未然に予防しましょうということで言っております。ここの起因物が同じであって、又はということで労働災害の型が、というような話になると、それは我々がもともと未然に防ごうとしているものとは違ってくるとは思いますので、要件はやはりそこは、起因物なり型は同じものだとしていかないといけないと。私どもは、そのようにしていくのが適切ではないかと思っておりますので、議論いただければと思います。

○新谷委員 申し上げているように、例えば全国で同じ装置が入っていて、その装置の維持管理がうまくできてなくて、ある機械は感電事故を起こした、またある機械では、火災を発生させてしまって労働災害を起こしたという場合、これは別物なのですか。

○井内計画課長 その辺りは、実態を見ながら考えていかなければいけないと思いますが、我々が今提案しているのは、私どもの分類で型の種類と起因物の種類について分類がありますので、それが一致するものをまず考えてはどうかという提案です。

○分科会長 今の件については、非常に場合分けが細かいということと、それの当てはめがやや任意性があるのかなということで、本当に実効性のあるものになるかどうか疑問があるということですので、少し整理していただいて、もう一度検討することにしたいと思いますが、よろしいですか。

 もう 1 つは、1で、どこまで法令に関係するかについて、もう少し近接領域の労働基準法まで取り込めないかというような要望があったということです。この点も、現実性がどうかというような意見もありましたので、少しこの辺りも整理していただければと思います。本件について、ほかにありますか。

○山岸氏 ( 岡本委員代理 )  非常に具体的な所になってしまいますが、もう一度検討していただく中で、併せてどのように考えていくかを議論していただきたいのですが、ステップ2の計画変更の指示ということで、その内容が著しく不適切な場合と書いてあります。例えば、企業がいろいろな労働災害の対策を取る上で、ソフト面の対策、ハード面の対策など、いろいろな所からアプローチをしていくわけですが、その内容に関して、どこまで、どういう状態なら適切と判断するのかという辺りは何かしら考えておかないと、いろいろな教育をするなどの対策を取っている中で、本当にその後、労働災害が再発しないかをジャッジするときに、本当にこれが妥当かどうかは、企業の考え方や指導をする側の考え方が違うかもしれませんので、どういった対策をもって不適切、適切とするのかという辺りを議論しておかなければいけないのかなと思います。

 もう 1 つ、指導するに当たって、何回か指導しました、計画ができました、聞きましたと、それを何回か繰り返しても、全く言うことを聞かないとか、思った対策にならないというようなときに、勧告や公表に繋がっていくステップなのですが、その辺りはどのぐらいやり取りを想定するのかとか。あとは、企業がとる改善計画は、どのぐらいのスパンの計画を出させるのか、 1 年なのか、 3 年なのか、もう少し長いのか。企業としては、いろいろなハード対策をする度に時間がかかる対策等もありますので、その辺りをどう考えるかは議論の中であらかじめ考えておいたほうがいいかと思いますので、少し検討をお願いします。

○分科会長 御要望ということです。ほかにはいかがでしょうか。

○明石委員  1 点は最初の括弧内の冒頭にある「同一企業内」というのも、一応、定義をしていただきたいと思います。同一企業内と言われると若干曖昧な気もします。

 それとこれは最初に懸念したことではありますが、既にこういう展開がなされるような検討が行われていますが、要は、これまでの事業場単位から企業単位の見直しを事業者もやらないといけないという話ですので、当然、全企業がやっているわけではないので、その辺をどのようにやるかということも、併せてお考えをいただければと思います。よろしくお願いします。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○鈴木委員 前回の分科会は欠席いたしましたので、そのときに、もしかして質問が出ていて重複しましたら申し訳ないのですが、前回の資料で、死亡災害の繰り返し発生状況ということで 13 社、 3 か月以上の休業災害の繰り返した社は 382 社と資料に出ております。これに対して厚生労働省がどのような指導をされたのか、それを受けてこういう発案が出たと思いますので、どういう指導をされたかだけを少しお聞きしたいのですが。

○井内計画課長 前回の第 76 回の分科会の資料の中に「休業災害の繰り返し発生状況」の所で、平成 21 年から 23 年の 3 年間に、同じような原因、種類の休業 3 か月以上の災害を複数の事業場で繰り返し発生させた企業は、 382 社ということです。資料の説明のときに、はっきりと申し上げたのですが、この中で法令違反があるかどうかは、 382 社の全部は分かっていないもので、企業名だけで一致したものをカウントしたということで、 382 社の中に、企業として法令違反をしていなかったものもあります。労災ですので労働に起因するものであれば労働者を保護しなければいけないので、労災保険を適用して給付をしなければいけないということで労災給付にはなりましたが、それを企業名で照らし合わせたときに 382 社となりました。前回も御説明しましたが、法令違反があるものは、多分その中の 3 割ないし 4 割ぐらいでありまして、 382 社の中で、法令違反がどれだけあったか、また企業に対してどのような指導をしたかというのは、現状では分からないということです。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、具体的な基準については引き続き議論とさせていただきたいと思います。

 続いて、資料 3 の外国立地検査・検定機関の登録に係る規程の整理について、質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

○縄野委員 今回の改正案につきましては、外国に立地する機関の検査・検定が適正に行われ、更に安全性をいかに確保していくかということが非常に重要であると捉えています。今日の資料の中で、国内と全く同じ登録要件、そして検査・検定を課すということですが、一方では、当該機関に対して日本の法令に基づく命令は行えないと、このように理解をするわけです。したがって、例えば外国での検査・検品が適正に行われないで、安全性に問題がある機械が輸入された場合、事故が発生をする危険性も当然出てくるのではないかという危惧を持っております。したがって、外国の機関による検査・検定が適切に行われているのかどうか、これをどのようにチェックをするのか、この点についてお伺いしたいと思います。以上です。

○奈良安全課長 安全課長でございます。私からお答えさせていただきます。外国立地の検査機関によって検査・検定が行われた機械等について、どういう形で安全性を担保していくかということですが、安全性の担保という意味においては、国内立地の検査機関の場合も、海外立地の検査機関の場合も、ある意味では同様のことだろうと思っております。私どもが考えておりますのは、 1 つは国内の流通する機械について、例えばサンプリング調査のようなものを実施しまして、基準に適合しない機械が発見されれば、その是正を図っていただくとともに、必要に応じて輸入者などに対して、法令に基づく回収・改善を命ずるということで、国内に流通する輸入機械等の安全性が担保できるよう検討していきたいということです。

 更にこれらの外国立地の検査・検定機関の登録に当たりましては、登録申請時に登録要件に合致しているかどうかというものについて、実地調査等により、厳格な審査を行う。更に登録後においては、国内外差別なく立入検査を行うことにより、検査・検定機関による、検査・検定が適切に実施されているか否かについて、検証する体制を構築していきたいと考えているところです。

○縄野委員 日本の法令等が外国にまで及ばないと、こういう制約については、当然理解をするわけですが、今回の見直しによって、安全性に影響が出るといったことがないように、是非万全の対応を取っていただきたいと思います。以上です。

○分科会長 ほかにいかがですか。

○明石委員 現行、指定外国検査機関制度があると思うのですが、これは新制度ですが、改正後も成立をされるのですか。それとも一本化になるのですか。

○奈良安全課長 これは、利用者の需要の問題がありますので、具体的に検討しているわけではありませんが、多分、併存する恰好になるのではないかと思います。

○明石委員 意見なのですが、この制度は、やはり安全性が 1 つと、外国で作られて、日本の技術力が落ちないかとか、そういう懸念が若干あります。この制度、 WTO が促進する話なので、否定するものではありませんが、初見なので、次回までに一度検討をさせていただければと思います。

○小畑委員 角度を変えた部分で幾つか質問をさせていただきます。外国で検査・検定が行われた特定機械等、これが輸入されたときに、水際で安全を担保するためには、厚労省通達の機械の包括的な安全基準に関する指針、これがどれだけ有効に機能するかというのが非常に大きいのではないかと思っています。 2007 年にこの指針の改定が行われたときに、厚労省におかれましては、機械包括安全指針による機械安全化のための研修会が開催されていますが、このときの研修会の定員は年間約 800 名程度というように承知していますが、実際の参加者というのはどのぐらいだったのかということをお聞きしたいと思っています。また、この指針の徹底のための研修会というのが引き続き行われているのかどうか、あるいはホームページ上にこの指針に基づく自己点検表が掲載されていますので、それで良しとしているのかどうか。こういったことについてお聞かせいただければと思います。

○奈良安全課長 今お話にあった 2007 年頃確かに研修を実施しておりました。申し訳ございませんが、手元に実際に受けた人数がどの程度になるかという数字を持っておりませんが、この機械の包括基準関係でいいますと、その機械の危険情報の提供のガイドラインを平成 23 年に示して、それに関する研修会も実施しています。そのときには 4,700 名余の参加者がありました。その後、昨年の 4 月、危険情報の通知について、御存じのように安衛則を改正して努力義務とした際におきましては、こういうことをしなければいけない立場にある中小のメーカーを対象とした個別指導を行い、その結果に基づいて通知情報の作成事例を作りました。それを現在ホームページの中に掲載しております。また、本年の 10 月から施行された食品加工機械の改正内容について、ユーザーに対する研修会も 1,200 名を予定しておりますが、既に大分定員を上回るような申し込みが来ているという情報が来ております。機械の包括的な安全基準をはじめとする機械安全に関する研修会は、これまでも継続的に内容や対象を変えながら実施しているところでございます。そのような研修を通して、今後とも機械安全に関する情報提供を確実に進めていきたいと考えております。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○角田委員 少し気になるので、質問させていただきたいのですが、国内の検査・検定機関と全く同じものを課すと、登録要件や検査・検定の方法について。機械の設備とか、資格要件や指揮・管理体制等々、資料 3 に書いてあるわけです。イメージなのですが、私の医療機関での経験から申し上げますと、実際に登録等に関連して、現場を見るというような作業、あるいは場合によっては一定期間の間隔をおいてきちんと行われているかどうかの審査的な監視、そのようなこともあるかと思うのですが、全く同じということは、全てが全く同じということなのでしょうか。

○奈良安全課長 基本的にそのように考えております。例えば、検査員の方について言えば、現実的にどういうことがあり得るかと考えますと、日本で検査経験がある方を採用して、外国で検査に当たってもらうというようなことが、ある意味では現実的には起こり得るかもしれません。

○角田委員 分かりました。ありがとうございました。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。本件は新たに出てきたものです。使用者側のほうも持ち帰りたいということもありましたので、引き続き議論ということにさせていただきたいと思います。

 続きまして、前回に引き続き検討とされた論点については、「化学物質管理のあり方」と、「企業における安全管理体制の適正化」という 2 点が残っております。これらについて議論をしたいと思います。最初に、化学物質管理のあり方について、御発言ございますでしょうか。

 資料 1-1 ということになりますが。確か使用者側のほうで、専門家検討会の報告書の内容を検討したいというお話がありましたが、特に何かございますか。

○明石委員 しっかり読ませていただきましたが、前回言ったことと変わらないのですが、まずは中小企業の底上げが先で、ここの中に書かれていますが、コントロールバンディングを使用させるのであれば、改良や普及を行うと書いてあったので、まずそこら辺を行ったり、相談窓口の設置ということも書いてありましたので、まずそこをやっていただきたいと思います。

 そのときに、これも以前にも申し上げたのですが、やはり使う量の多寡によって、コントロールバンディングを変えると書いてありますが、メニューとしてたくさんできるだけ出していただいて、企業ができるだけやりやすいように、自主的にやれることをやっていただければと思っています。以前も申し上げましたが、やはり同じような局所排気装置をどこでも付けろと、これではさすがに、なかなか企業活動がなっていきませんので、その辺りをよろしくお願いしたいと思います。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○山岸氏 ( 岡本委員代理 )  今、明石委員が発言してくださったことと、あと、実際に今回の表示とかラベル拡大とかの趣旨が労働者、実際に作業する方のばく露防止ということが趣旨だと伺っていますので、やはりそういう本来の趣旨にあったような対応ができるように、詳細を考えていただきたいと思います。以上です。

○分科会長 基本的にはまとめの方向性の内容ということで、今も言われたように、実際の実施に当たっては幾つか御要望がありましたので、その辺を入れて検討していくということでよろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 ありがとうございます。

 続いて、もう 1 点の「企業における安全管理体制の適正化」について、資料 1 4 番です。こちらにつきましては、前回、公益委員、労働側委員から取組を進めていくためにはガイドラインのようなものが必要ではないかという御指摘をいただいております。まずは、この御指摘について事務局のお考えをお願いいたします。

○奈良安全課長 安全課長からお答えいたします。事務局サイドとしては、ガイドライン的なものにつきましては 3 号業種の規模 10 人以上の事業場を対象として、安全の担当者の配置や職務内容を取りまとめた通達をお示しするというようなことでどうかと考えています。こういうものをお出しすることによって、労働局、あるいは監督署の斉一的な指導ということにもつながりますし、また、各事業所において、どのような対応を取るべきかということが明確になってまいりますので、そのようなことを考えております。

○分科会長 ただいまの部分も受けまして、御質問、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今ありましたように、第 3 号業種向けの安全管理に関するガイドラインを作成するということを追加するということで、前回の取りまとめの内容で了承ということでよろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 ありがとうございます。

 続いて、もう 1 点の「企業における安全管理体制の適正化」について、資料 1 4 番です。こちらにつきましては、前回、公益委員、労働側委員から取組を進めていくためにはガイドラインのようなものが必要ではないかという御指摘をいただいております。まずは、この御指摘について事務局のお考えをお願いいたします。

○奈良安全課長 では、安全課長からお答えいたします。事務局サイドとしては、ガイドライン的なものにつきましては 3 号業種の規模 10 人以上の事業場を対象として、安全の担当者の配置や職務内容を取りまとめた通達をお示しするというようなことでどうかと考えています。こういうものをお出しすることによって、労働局、あるいは監督署の誠実的な指導ということにもつながりますし、また、各事業所において、どのような対応を取るべきかということが明確になってまいりますので、そのようなことを考えております。

○分科会長 ただいまの部分も受けまして、御質問、御発言はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今ありましたように、第 3 号業種向けの安全管理に関するガイドラインを作成するということを追加するということで、前回の取りまとめの内容で了承ということでよろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 ありがとうございます。これで資料 1 のまとめの方向性、 2 (2) の重篤な労働災害の部分の具体的な基準についてもう少し検討ということですが、それ以外の部分としては一応御了承いただいたということになりますが、よろしいでしょうか。

( 異議なし )

○分科会長 全般を通して特段の御意見はございませんでしょうか。

 それでは、規制の見直しについて 1 点申し上げたいと思います。 12 次防にも盛り込まれましたが、労働安全衛生法の 1 つの課題、すなわち、非常に細かく規定することによりまして、法令自体が非常に膨大になってしまって分かりにくくなっているということ、それから画一的な対策しか許されないということで、新たな方策があっても、それがなかなか導入できない、あるいは想定外の危険有害要因が出てきても、すぐに対応できないといった問題もある。そういった課題を考慮して、合理的な規制体系に変えていくことも考えていただければと思います。これは簡単なことではありませんので、少なくともまずは検討ということを視野に入れて、これをまとめの報告書に盛り込んでいただきたいと考えております。この点について何か御意見はございますでしょうか。

○三柴委員 一言で申し上げて賛成です。日本の安衛法は、外国の制度にも倣いながら、また現場実態や諸科学の認識などを踏まえながら発展してきた経過があるわけです。しかし、どうしても規制内容と複雑多様で日進月歩の現場の齟齬や乖離が出てこざるを得ない面があるため、折々に見直しを図る作業を繰り返して来ました。ただ、見直しにも非常にエネルギーを要しますので、この機会に、労災防止の実効性の観点に立って、より根本的なモデルチェンジを将来構想として検討することについては、私自身はそうした立場からも賛成いたします。

○分科会長 ほかにいかがでしょうか。

○新谷委員 今、分科会長から重要な御提起がありましたが、今突然、私どもも口頭でお聞きしたばかりでございますので、その内容をどう咀嚼するのかについて、お時間をいただきたいと思います。是非、文書で御提起をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○井内計画課長 今、皆様方から御意見を頂きましたので、それを踏まえて、文書の形で報告書案として御提案したいと思います。

○分科会長 ほかにはいかがでしょうか。

○城内委員 以前の会議で申し上げたと思うのですが、特に化学物質の管理については、日本の法制度がモザイク状というか、べたべた貼ったような形で、いろいろな省庁で分担して持っているところがあります。この分科会でも、化学物質に関してはいろいろな議論があったのですが、やはり綺麗な形にいかないというのは、そういう現状もあると思っていますので、是非、国際的な整合性も考えながら、 1 つの方向でまとめるような形になればいいかなと思っております。現状で、余り建設的な意見が出にくいというのは、企業側から言うと、もっと更に二重規制になるとか、更にやることが増えるのではないかという懸念もあると思いますので、是非すっきりした形に持っていけるように、省庁間の調整も含めて検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○分科会長 ほかに御発言はございますでしょうか。それでは、報告書案を作りながら、その中で文書化したところで、いろいろ御議論いただければと思います。以上の議論で、全ての論点につきまして、御意見をお伺いいたしまして、概ね方向性は共有できたものと思います。

 次回については、年末の取りまとめに向け、これまでの議論を踏まえて、事務局から報告書案を示していただき、更に議論を深めたいと。その中で継続議論のものも含めて考えていきたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、本日も熱心な御議論をありがとうございました。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○井内計画課長 本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。次回の分科会は、 11 26 日午後 4 時からの開催を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○分科会長 それでは、本日の分科会はこれで終了いたします。

 なお、議事録の署名委員は、労働者代表委員として小畑委員、使用者代表委員は鈴木委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。


(了)

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