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2012年4月12日 第1回ダイオキシンばく露防止対策要綱の見直しのための専門家会議 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

○日時

平成24年4月12日 9:45~11:45


○場所

専用17会議室(中央合同庁舎第5号館16階)


○議題

(1)小規模焼却炉の移動解体時の作業実態及びダイオキシンモニタリング結果について
(2)ダイオキシンばく露防止対策要綱の見直しについて
(3)その他

○議事

○搆課長補佐 おはようございます。本日は、大変お忙しい中ご参集いただきまして、ありがとうございます。ただいまより、第 1 回ダイオキシンばく露防止対策要綱の見直しのための専門家会議を開催いたします。

 本日、田中茂委員が急遽ご都合がつかなくなったという連絡がありました。西村委員がまだ到着になっていませんが、進めさせていただきます。

 まず資料の確認をいたします。資料 No.1 「ダイオキシンばく露防止対策要綱の見直しのための専門家会議開催要綱」で、裏側が参集者名簿です。資料 No.2 「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」、安衛則も一緒に入っています。資料 No.3 「移動解体現場モニタリング結果の概要」、資料 No.4 「移動解体を行うための技術的検討について(案)」、この 4 種類です。資料の不足等はありませんでしょうか。

○半田化学物質対策課長 対策課長の半田でございます。今日は最初でございますので、趣旨などについてご説明申し上げます。資料 No.1 をご覧ください。先生方もご承知と思いますが、いまから 12 年前、平成 10 年にダイオキシンのことがいろいろと問題になりました。中でも焼却施設の解体などにおいて、ダイオキシン類にばく露されたという事例がありました。そこでどういう対策を講じたらいいだろうかということで、私どももいろいろ研究会をやりまして、それを踏まえ、平成 13 年に関係省令の改正を行うとともに、これに基づいて、「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシンばく露防止対策要綱」なるものを作って、お示ししたところでございます。

 この中には、焼却施設の運転に関するもの、あるいは焼却炉の解体作業に係るものなどが盛り込まれているわけですが、特に焼却炉の解体作業に関しては、解体前にダイオキシンが含有されているような付着物を除去し、その後切り離して解体を進める、こういう考え方で作っていたわけですが、その後、この対策要綱を策定したときに想定していなかったような事態が、少し出てきているということでございます。

 どういうことかと申しますと、いわゆる小規模焼却炉の解体において、まず現場で除去する前に焼却施設を細かい部分に分けまして、これを中間処理施設に持っていって処理をするということが行われている例が、ちらほらと見えてきています。違反云々というわけではないのですが、要綱で想定していない事態が起こっていますので、これに対して適切な方策というものをきちんとお示ししていく必要があるだろうということで、こういったことを目的として、この専門家会議を開催させていただきたいと考えています。

 検討事項ですが、 (1) は、別途実施する小規模焼却炉の移動解体時の作業実態及びダイオキシンモニタリング結果の取りまとめということです。これは日付でわかりますように、平成 20 3 月にこの開催要綱をセットしています。できれば平成 23 年度中に、会議を設けたかったところですが、年度末ということもあり日程調整が難しく平成 24 年度に入ってしまったわけです。作業実態の調査、こういったモニタリングに関しましては、平成 23 年度に少し実施しています。ですから、ここでは「別途実施する」とありますが、すでに実施したということになります。実施した結果については後ほどお示ししますので、こういったことも踏まえながらご検討いただきたいと思います。

(2) ですが、実態調査、モニタリングの結果などを踏まえまして、対策要綱の改訂案を作成していただくということです。

 そして (3) にありますが、焼却炉の問題は移動解体だけではないと思います、いろいろ出てくると思いますが、今回はまず、小規模施設の移動解体に焦点を当ててご検討いただきまして、そのようなことについては、それぞれ今後の対応等についてもご議論いただいて、ある程度の方針を取りまとめていただきたいと思っております。

 会議参集者については、裏側にお示ししたとおりです。今日ご出席の 4 方のほかに、十文字大学の田中先生、流機エンジニアリングの西村さんにご参画いただいております。以上、要綱の趣旨についてご説明申し上げました。

 次に、委員の皆さんにおいて座長を選任していただくことになるわけですが、事務局では田中先生にお願いしたいと考えています。そういうことで、田中先生には内々にご承諾をいただいていたのですが、大学の急な用務で、どうしても今日ご出席いただけないということでした。ということで、事務局としましては、座長は田中先生にお願いしつつ、今日のように田中先生に何らの事故があるときには、寺嶋委員に座長代理として、会議の進行をお願いしたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

                                  (異議なし)

○半田化学物質対策課長 ありがとうございます。そういうことで、座長は田中先生、座長が欠席の場合に、寺嶋委員に代理をお願いするということで、本日は寺嶋委員に座長代理としてお願い申し上げます。よろしくお願いします。

○寺嶋座長代理 田中座長の代理ということで、本日は座長役を務めさせていただきます。不慣れな点もあるかと思いますが、ご協力のほどお願い申し上げます。本日の会議は、おおむね 11 45 分を目処に終了したいと考えております。

 議事に入ります。議題 (1) 「本会議の検討事項について」です。この点については、先ほど化学物質対策課長から説明がありましたが、事務局から、本日の検討の流れについても補足をお願いしたいと思います。また、最終的には対策要綱の見直しにつながるわけですので、議論に入る前提として、現行の対策要綱の考え方などについても説明していただけると、ありがたいと思います。よろしくお願いします。

○搆課長補佐 検討の流れは先ほど課長から一通り説明がありましたので、本日の検討の流れをご説明します。まず、小型焼却炉の移動解体に関連し、厚生労働省においてあらかじめ作業実態とモニタリングの結果を取りまとめましたので、ご説明いたします。それをもとに、問題点あるいは現行の対策要綱を見直すに当たって留意しないといけない点等を、委員の皆様からご指摘いただければと思います。

 本日は第 1 回目ですので、事務局でご意見を賜りまして検討した後、次回の会議までに対策要綱の案を準備しておくということで考えております。

 ご承知の方には退屈と存じますが、議論の前提になりますので、現行の制度、対策要綱を含めて、簡単にご説明いたします。資料 No.2 をご覧ください。

 労働安全衛生規則の該当部分をご覧くださいこれは法令の都合上、特別の教育、第三十六条に業務が列挙してあります。すなわち、ダイオキシン特別措置法と同じく、第三十六条第三十四号が燃え殻を取り扱う業務、第三十五号が保守点検の業務、第三十六号が解体等の業務、この三本立てになっております。第三十四号、第三十五号は焼却施設での焼却炉の通常の運転と、保守点検に関するものです。一方、第三十六号の解体等の業務は、その焼却炉を取り壊す作業だということでして、ダイオキシン対策要綱は、この 3 つをいずれも対象に含めておりますが、今回着目しているのは、第三十六号の解体等の業務についてです。

 資料 No.2 をご覧ください。第五百九十二条の三に、解体等の業務に係る作業を行うときは、ダイオキシン類を含む物を除去した後に作業を行わなければならないという原則があり、ダイオキシン対策要綱は、これに基づいています。労働安全衛生規則の中には、付着物を除去すること、発散源の湿潤化、保護具等の措置、作業指揮者を置くこと、作業員全員に特別の教育を行わせてダイオキシンの有害性等をわかってもらうことなどが書かれており、これを適正に実施するために、労働基準局長名の通達によりダイオキシン類対策要綱を定めたわけです。

3 頁以降、ごく簡単にご説明します。 4 頁以降に列挙した対象作業は、先ほどの安衛則と同じになっております。

5 頁以降の組立ては、 5 頁の第 3 「ばく露防止対策」ですが、 1 「運転、点検、解体に共通して講ずべき措置」、2「運転、点検等作業において講ずべき措置」、 8 頁に、3「解体作業において講ずべき措置」があります。

 本日は、基本的に1の共通事項と、3の解体作業において講ずべき措置をご覧ください。具体的な対策は、施設に関する情報の提供、安全管理体制、空気中のダイオキシン類の測定及び付着物のサンプリングです。一定規模以上の焼却炉については、解体作業を労働基準監督署に届け出ることになっています。これは先ほど紹介しませんでしたが、労働安全衛生法第 88 条に基づく届出の義務を通達に示したものです。

 この測定結果等に基づいて、 (5) から解体方法を選択する、 (6) で、付着物の除去作業を実施する、 (7) は、除去をする際には作業場所の養生を行わないといけない、 (8) は、周辺環境への影響防止のための各種措置を講じないといけない、ということが書いてあります。現行の対策要綱は以上のとおりです。

 課題としては、先ほど課長から説明がありましたとおり、付着物の除去を行った上で解体することになっていまして、これは小さな焼却炉でも、中に入れないようなものも多いのですが、付着物をすべて取ってから解体するとも読めますし、想定していないということで、実際には別の方法でなされていることもあるということです。現行の制度の説明は以上です。

○寺嶋座長代理 ただいま議題 (1) 「本会議の検討事項について」の説明を受けました。以上の説明について、ご意見、ご質問がございましたら、出していただきたいと思います。現行の規制の仕組みを説明いただいたということですが、何かございますでしょうか。

○工藤委員 先ほどの課長の挨拶で、今回小型の焼却炉に絞りたいというお話があったかと思いますが、そうしますと、解体の届出は必要ないものという理解でよろしいのでしょうか。

○搆課長補佐 小型の焼却炉では特にそういう問題が起きているということは言えますが、どこまでを検討の対象とすべきかも含めてご審議いただきたいと考えています。したがって、大きな焼却炉についても移動解体が妥当ということであれば、届出が必要なものも今回の議論に入るということも視野に入れてございます。

 ただ、あまりに大きくて運べない焼却炉については、移動に制約が出るため移動解体の対象は無限に大きくはならないと考えています。

○半田化学物質対策課長 補足させていただきます。小型焼却炉の移動解体が当面の最終の課題なので、そのご議論をお願いします、今回の検討はそこに重点を置いていますということですが、それ以外を一切排除するという意味ではございませんので、それ以外にも必要な課題は整理していただいて、この移動解体の話を整理できたあとに、引き続きどのようなやり方をしていくかを考えて、またご示唆をいただきたいと思っておりますので、そのようにご理解ください。

○寺嶋座長代理 そのほかにございますでしょうか。

ないようですので、議題 (2) に入ります。全体の議題が終わったあと、最後に一括して全体を通してのご意見、ご質問をいただく場を設けたいと思います。議題 (2) 「移動解体時の作業実態及びダイオキシンモニタリング結果について」ですが、事務局から説明をいただきたいと思います。

○搆課長補佐 資料 No.3 をご覧ください。実際に焼却炉を移動した後に解体する作業が行われている現場を対象として、付着物からのダイオキシンの飛散の状況、作業の状況等について確認し、調査を行った結果です。細かいところも含めて書かれた報告書は委員の席に置かせていただきましたが、本日の検討のために、主要部分を抜き出した資料 No.3 に基づいてご説明いたします。

2 頁が現地における調査の状況です。図のように、小型焼却炉が据え付けられている所に赴き、現状把握、構造、残留灰・老朽化の状況等を確認して、移動される先の処理場の現状の把握を行いました。収集したデータとしては、一連の作業が行われるタイミングで行った、除去前解体時の空気中のダイオキシン類測定と、中間処理場で解体が行われている間の作業環境測定です。なお、解体時のダイオキシン類濃度の測定と申しましたのは、空気中の濃度を 1 点で測ること、それから、土壌中、周辺に含まれているダイオキシンを測るというものであり、中間処理場については、屋内作業場として、厚生労働省で示している作業環境測定基準に準じた形での作業環境測定を行ったというものです。この結果を取りまとめたのが、この報告書です。

3 頁をご覧ください。調査に当たり、焼却炉の解体がどのように行われているか、焼却灰等安定化技術協会で作成したチェック検討項目等を活用し、事業準備、事前調査、届出、現場養生、積み込まれる所、処理場での関係、あるいは廃棄物の処理等についてチェックを行ったところです。

4 頁は、測定等について少し補足説明いたします。 2-2 ですが、 2-2-1 が、設置されている現場で測定した項目です。少し繰り返しになりますが、焼却炉の中の付着物に含まれているダイオキシン濃度の測定と、周辺の土壌中のダイオキシン含有率の測定です。

 設置場所での空気中のダイオキシンの濃度の測定は、焼却炉を吊り上げている作業を対象に 2 時間採取、焼却炉より風上、風下で測っております。この測定は屋外ですので、周辺の風の影響を受けますから、風向風速等も確認しております。それから、焼却炉を移動して、吊り上げて、積み込む際に、残留灰がどのような飛散状況になっているかも確認しています。処理場で環境測定を実施していますが、これは作業前、解体作業中の結果です。

5 頁に、焼却炉はどのようなものであるかを記載してあります。先ほど工藤委員から、焼却炉の大きさについてご質問をいただきましたが、外寸が 1.4 m、幅が 1 m弱ということで、畳 1 枚を縦にすれば入ってしまうぐらいの焼却炉で、全体の重量が 2.5 トンです。この焼却炉の老朽化状況を見たところ、多少のひび割れがあり、金属部分については腐食が進んでいました。 3-1-2 ですが、中間処理場については、廃棄物の焼却施設で、燃え殻等を分離する施設、焼却炉の解体施設として許可を受けている施設だということです。建物の構造は、 13 m× 9 m、高さ 8 mです。

6 頁以降は施設の詳細を書いています。基本的には、外から焼却炉等が運び込まれますので、車両の出入り、入ったところで外部に飛散しないよう負圧集じん機があること。洗浄機、浄化設備、解体のための重機、その他必要な事項はこのようになっておりました。

8 頁から作業を記録しています。まず、 3-2-1 ですが、焼却炉の養生を行って、事前養生で飛散防止措置をした。 (2) で、焼却炉を吊り上げて、運搬車両に積み込みます。搬出して、跡地を処理します。それから、 3-2-2 では、処理場に持ち込み、除染の準備、除染作業を行った上で解体します。処理場での作業は、基本的には付着物を先に除去して解体をするという対策要綱の原則に沿った形です。

10 頁ですが、これは報告書の本体から主要部分を抜き出してきたものです。委員の方々、例えば測定の濃度は全体の等価量で書いていますので、個々のダイオキシン数十種類の分布がどのようになっているかが必要な場合には、お手元の報告書を参考いただければと思います。焼却炉が設置されている場所での焼却灰の濃度が、表 -1 にありまして、 0.035ng ということです。その周辺での土壌の濃度は、 130pg でした。

11 頁にいきまして、焼却炉が設置されている場所の作業中、風上と風下の両方で測ったところ、 1 立米当たり 0.034pg 0.035pg ということで、特段の大きな値ではありませんでした。

12 頁が、そのときの天候、風向等の状況です。 12 頁の下のほうは、先ほど申しましたように、焼却炉を吊り上げて積み込む際、残留灰がどの程度落下するかについてですが、残留灰については落下はありませんでした。付着した土壌の落下は、約 60 gであったということです。

13 頁は処理場に行ったところです。これは作業環境測定を行った結果です。この作業環境測定は、先ほど申しましたように、法令に基づく作業環境測定基準に準ずるような形で、これは対策要綱の後ろの「測定の仕方」で、別添で付いているところに基本的に沿ったものです。ここで測った結果が、一覧表になっております。結果は第 1 管理区域ということで、保護具については、いちばん軽い保護具を使えばいいという結果でした。測定の事実関係はこのようになっています。

14 頁以降、チェック検討項目に基づいて、作業の状況はどうだったかを確認したものです。簡単に申しますと、ダイオキシンの事前調査について、ダイオキシンの濃度の確認は、すべて実施している、工法適用。労基署への届出等も行っている。現場の炉体の養生等について、有害物の飛散防止については、粉じん等が外部に飛散するおそれがない工法のため有害物の個別の飛散防止は実施していないということで、ここは△になっています。躯体養生。煙突の取り外し、これは対象外です。分離・養生等も対象外です。

 現場から吊り上げて運搬車両に積み込むところについては、横倒しをしていないかどうか。これはそういう状態はありませんでした。跡地についてどのように処理をしているかについては、残留物が存在しないということになっておりました。ただし、周辺土壌については、もともとの工事仕様に入っていないということで、周辺土壌までの処理は未実施ということです。移送、落下時の汚染対策、廃掃法に基づいた措置等については、問題ないということでした。

15 頁です。処理場の中で、施設内設備についてのチェックです。車両のまま入場できる。密閉養生ができるようになっている。施設のほうの底盤が遮水性の部材で、下に浸みていくことがない。防流堤構造もある。浄化設備も併設している。負圧集じん設備によって、飛散した付着物等が外部に出ないようになっているかについても、しっかりやっていると。それから、前室セキュリティー、人が出入りするところから漏れるおそれがないかについても、確認しております。下のほうの測定分析関係ですが、作業環境側定を実施しているかについては、除染・解体時に随時実施していると。負圧集じん機は、吸った汚染した空気を排出する機構があるわけですが、そこでヘパフィルター等できっちりと有害物が取り除かれているかどうかの測定については、発注側から仕様に明記されていれば実施するという条件つきでした。それから、この処理施設の敷地境界での影響調査も、発注者の仕様によると。それから、施設内外の差圧を連続的にモニタリングするかどうか、負圧が常に維持されていることの確認をどうするかについては、これも発注者次第だということです。それから、除染作業後の確認分析は、 3ng を超える場合に確認分析をすると。作業に従事する人たちの血中ダイオキシンの濃度管理は、過去 10 年で 2 回実施したことがあるということです。

16 頁です。除染・解体作業そのものですが、管理区域の決定は、事前の調査に基づいて行うことになっています。保護具も、先ほどの保護具はどのようなものを使うかというのは、これに従って使用します。湿潤化、機器の点検も、決められた頻度でやっていると。除染の確認については、責任者による目視で実施していると。作業時溶断の禁止については、溶断はできる限りしないこと。これはダイオキシンが出る基になるのでしないようにとなっていますが、溶断を行っていないと。除染建屋の中の壁面清掃については、作業終了後にその都度清掃しているということです。汚染物質の仮保管については、専用施設で保管しているということです。残留灰の処理についても行っていると。洗浄凝集汚泥についても、あらかじめ分析したあとで、外部に処理を依頼しているということです。それから、廃棄物の処分について、汚染物飛散防止の処置については、飛散しないように袋詰めして移送、マニュフェストについても 1 基ごとに処理しているということでした。

 この報告書ありましたところ、総括が 17 頁、今後の課題が 18 頁にございます。総括については、そのまま読み上げさせていただきます。

 今回調査対象とした小規模焼却炉移動解体作業内容を、チェック項目と対比した結果、ほぼ問題のない状況であった。特に、現地での養生・吊り上げ作業は当初の作業計画どおり行われ、炉内部の残留灰が飛散し従事する作業者や周辺環境に影響を及ぼすおそれが全くない状況で行われた。また、中間処理場の主要設備及び作業従事者の防護体制は充実しており、ここでも従事する作業者や周辺環境に影響を及ぼすおそれは全くない状況であった。今後、対策要綱を見直す上での一つのモデルケースとして活用できるものと考えられる。

 焼却炉設置箇所の空気中ダイオキシン類濃度測定結果は、風上側と風下側でダイオキシン類濃度に差はなく、撤去前解体が作業従事者や周辺環境への影響はなかったことが推察される。

 中間処理場での作業環境測定結果は、作業前及び除染・解体作業中ともに第 1 管理区分であり、作業従事者が当日装着していた防護具(レベル 2 3 )は想定レベル以上のものを使用しており適切であった。

 炉内付着物の事前追加調査試験結果は、ダイオキシン類濃度 0.035ng-TEQ/g で、自治体が実施した事前調査結果 0.014ng-TEQ/g と若干の差異が認められた。その原因としては、試料採取場所及び採取方法の違いが考えられる。

 周辺地表部の表層土壌調査結果は、ダイオキシン類濃度 130pg-TEQ/g で、土壌環境基準 1,000pg-TEQ/g を十分に満足するものであった。

 以上、そのまま読み上げさせていただきました。

 それから、 18 頁の「今後の課題」についても示されております。これは報告書の依頼事項に上乗せして書いてあるものと理解いただければと思います。焼却炉周辺の残留灰の処理対策、これは先ほど△が付いていたと思いますが、これについて、工事発注仕様書に記載されていないので、手付かずの状態で工事が完了していると。当該箇所の土壌のダイオキシン類調査結果では問題ないと考えられるけれども、一方で、市街地よりは高いレベルであって、これは今回のケースということではなくて、ほかの場合でも、土壌汚染が出ているケースが考えられるのではないかという指摘がなされています。

(2) 事前調査方法の規定について、自治体が実施した調査結果と少し数字が異なっている。この数値は、事前調査に基づいて管理区分、どのような解体方法を取る、防護の方法を取る必要があるか、保護具はどのようなものを使う必要があるか、この分かれ道になるということで、あまり大きく違うとすれば問題ではないかという指摘です。

 それから、撤去前解体方法の規定についてです。現行の対策要綱では、先ほどからも説明のあったとおりですが、移動を先にしてから解体することを前提とした作業の方法、留意事項については規定はありません。これらについては規定する必要があるという指摘で、これはまさにそのとおりです。

 中間処理場の ISO 法上の位置づけです。これは、許可を受けた廃棄物焼却施設に係る燃え殻等を洗浄・分離する施設と位置づけられていますが、除染・解体を行うに必要となる設備・能力等の規定がないことについても、どうだろうか。以上、 4 点について指摘がされております。

 この 18 頁の今後の課題については、いま申し上げたとおり上乗せのところですので、ここに縛られるということではないのですが、ここも含めて、こういった参考意見があったということ、測定のデータ、作業に関する情報の収集については、このような状況であったということを説明いたしました。

○寺嶋座長代理 ありがとうございました。ただいま移動解体時の作業実態およびダイオキシンモニタリング結果についての説明がありました。ここで質問やご意見をいただきたいと思うのですが、山内委員にはモニタリングに際してご協力をいただいたと聞いておりますので、補足事項がありましたら説明をお願いしたいと思います。

○山内委員 特に補足はありません。実際施工に関して立ち会ってみたということはありませんで、事前の打合せ等には少し参加をさせていただきました。今回、報告書、あるいはいろいろな写真もちょっと見させてもらいましたが、非常に良い施工をなさっておられると思います。報告書にもざっと書いてありますが、移動解体のこの委員会で検討する際のモデル的な施工方法ということで、これを基準に考えることができるのであれば、この委員会の目的をクリアできるのではないかと思います。

 ただ、煙突の部分の実態が把握できていない。それから、小型といえど、部位が分離している構造のものもあります。今回のものは燃焼室と煙突が一体のものであって、煙突もない状態でしたので、一般的な今回対象となるような範囲の、規模の範囲なのですが、まだ数箇所やはり同じような状況での確認が必要ではないかと思っております。聞いたところ、ご担当なさった事業者の施設等、非常に立派なのです。ただ、類似する施設が全国にいくつあるのかという話は、少し危惧するところです。これまで 10 年ほど、移動解体をいろいろな所でなさっておられるのですが、今回やられたスタイルで全部やられたのだということはほぼないのではないか。その辺が今度この委員会で少し詰めないといけないところかと思います。枝葉はまだいろいろ問題があるのですが、一つひとつ上げてもしょうがないので、総括するとそのように思っております。個々はまた機会があるときにお話をさせていただきます。

○寺嶋座長代理 ただいまの説明について、ご意見・質問等ありましたら出していただきたいと思います。この工事を発注した発注者は、どのような業者、どういう施設の管理者といいましょうか、あるいはどういうところの小型焼却炉だったのでしょうか。差し支えなければお願いします。

○山内委員 自治体発注で、社会福祉関係施設です。居住区域のほか運動区域もある保護施設です。以前、この自治体は前向きに焼却炉解体をやっておられたのですが、基本的にはそのやり方でやりなさいというのがルールだったかと思います。

○寺嶋座長代理 公共の社会福祉施設ですね。

○山内委員 はい。

○寺嶋座長代理 そこに設置されていた小型焼却炉。

○搆課長補佐 報告書で見ますには、施設と運動場のような所の境目に置いてある焼却炉ということでした。ひと昔前、小学校などに置いてあった焼却炉と、形はいろいろあるのでしょうけれども、何となくそんなイメージでいいのかと思います。

○山内委員 事務局にこの委員会の進め方について確認なのですが、先ほどもちょっと言いましたが、小型焼却炉というのはパターンがいろいろな形のものがありまして、今回のものだけで代表できるとは全く思っておりません。今回の構造にないような問題が、今回検討する対象になることもあろうかと思います。この委員会の進め方なのですが、例えば今回やられているような実態調査、モニタリングを数箇所パターンを違うような形で確認する必要があると思うのですが、もちろん費用の問題もありますし、時期的な問題もありますし、その辺はどのように今後進められるのでしょうか。

○寺嶋座長代理 それは議題 (3) 、あるいは資料の検討事項ですね。これと関係してくるかと思うのです。

○半田化学物質対策課長 正直申し上げまして、いま非常に予算がタイトなところですので、実態調査を実際できるかどうかは、かなり厳しいところです。年度あとのほうになって少し余裕が出てくれば、そういうことも考えられますが、いま直ちにというのはできませんというのが状況です。ですが、いろいろなやり方がありますので、私どもがこういったものをやるときに、いろいろ工夫しながらやっておりますので、実際に調査をやるかどうかという以前に、これが小型焼却炉の代表するものではないというご発言だと理解しますので、大体どういうパターンがあって、あとどういうものが必要なのか。その辺りは結局、次の検討案のところにもかかってくるわけですが、小型焼却炉の移動解体というテーマで考えたときに、大体どういうパターンでどういったものがあるのか、その辺を少しお示しいただけるとありがたいと思います。私どもは直接に調査ができなくても、いろいろな手法を持っておりますので、何らかの方法で、できる限りデータを集めるように努力したいと思っております。大体幾パターンぐらいに整理できるものなのですか。

○山内委員 質問がちょっと難しい。どういう方向で答えればいいのか。

○半田化学物質対策課長 小型焼却炉といっても、今回のものは、構造や大きさの点で、必ずしも小型焼却炉を代表するものとは言いがたいとおっしゃているわけですね。ですから、様々な小型焼却炉を、いくつかのパターンに分ければよいかを知りたいということです。炉と何かが一体化しているとか、あるいは別々になっているとか、その辺りは山内さんがいちばんお詳しいところだと思うので、その点をおっしゃっていただきたいということです。

○山内委員 今回の報告書、資料 No.3 3 頁は、今回の対象となった小型焼却炉の構造にとらわれず、一般的な小型焼却炉に対して必要と考えられる項目を掲げています。これも、特に移動解体だけに的を絞っているのではなくて、この委員会としてチェックしておくべきではないかと思われる項目として挙げているのです。例えば、いま移動解体に的を絞ったときに、構造上底がないものがあるとすると、今回のように処置が必要となるわけですが、例えば今後、底がない焼却炉については、今回の処置がモデルになって、下のコンクリート土台部分ごと上げるかということになると、これは現場が大変な作業になると思うのです。だから、もっと簡便的に処理ができないかを検討すべきですし、底があったとしても、構造上、吊り上げたときに底が抜けるおそれがあれば、吊り上げ方にも工夫がいるということだろうと思うのです。

○搆課長補佐 いちばんのポイント、注意しないといけないところの 1 つとして、吊り上げるタイミングがあり、それは炉の構造や状態に大きく依存するということでしょうか。私どもは、対象となる焼却炉をすべて網羅した調査を行うことはできないので、類型化して検討し、なるべく想定外のものがないようにしたいと考えます。

 対象とする焼却炉の全体像がわかれば、今回の調査結果で不足するところがあるのか、この結果から類推できるものなのかを決められると思います。今回のモデルに対し、例えば底部の構造、炉の構造がいろいろな種類があるので、吊り上げるところがポイントだというところであれば、そこに特化した検討をいただくことになるでしょうし、もう 1 つ指摘いただいた中間処理場のことであれば、必ずしもすべて調査ではなく、私ども事務局のほうで資料集めをするとか、あるいは出先機関を通じて、届出情報を活用して内部で調査をすることもあり得ます。吊り上げ方と中間処理場以外にもポイントがありましたら、できるだけ今日の議論で把握しておきたいと思っております。

○寺嶋座長代理 両者のご意見をいろいろ聞いている中で、やはり小型焼却炉で構造面から見た分類ですね。その分類の仕方というのは、移動できる小型焼却炉の構造を持った焼却炉のいろいろなタイプがあるかと思うのです。移動できないものは現場で解体せざるを得ないということになり、現行の対策要綱に従うことになると思うのです。ですから、移動できるタイプの小型焼却炉というもの自体の定義なり何なりを、あるいは構造を、挙げられるのであれば挙げてみるということが必要になってくるのかとも感じたのですが、どうなのでしょうかね。

○工藤委員 確かに移動できない焼却炉というのもあると思いますし、移動できるものでも、移動の仕方に工夫が必要なもの。例えば先ほど部分が分かれている、どこかで切るような作業が必要なものがあるのではないかと思うのですが、ある程度は大枠ではまとめられるのではないだろうかという気はしているのです。

○寺嶋座長代理 移動できない判断基準みたいなものを列挙し、それをもとに移動できるものについては移動解体方法を対策要綱に盛り込んでいくということでしょうか。

○工藤委員 あと、この移動解体というものがどの程度いま進んで、一応、法律上は問題ないし、これから進む可能性もあると思いますが、検討会でもし検討すれば、より一層促進されてくると思いますので、そういう意味では中間処理場の問題も合わせて検討しておかないといけないでしょう。現状はいま移動解体はどの程度あるのでしょうか。何か調べる方法があるのかどうかですね。

○半田化学物質対策課長 そこは工夫してはみたいと思うのですが、正直言って極めて難しいかと思っております。と申しますのは、移動解体というのは、どの程度の大きさまで含まれるかということがありますが、いずれにしても大体、先ほど搆補佐が申し上げましたように、大体学校の焼却炉のようなイメージなのです。そうした焼却施設の所有者は、学校とか、社会福祉施設とか、さまざまな施設であり、個人経営者や教育、社会福祉関係の自治体施設であるなど、発注者を捉えるのが非常に難しいのです。この案件では、山内さんからも以前にご指摘をいただき、文部科学省などに要請をしようとしたのですが、把握しきれないという答えが返ってくるような状況です。

 そうはいっても、現実にあるわけですから、時間をかけてでも発注形態なども含めて調べてみたほうがよいでしょうか。

○工藤委員 小型の焼却炉という意味で、監督署に届出が必要な範囲に含まれているのなら、届出状況から移動解体を把握できるのか、またそこから調べてみたらどうかと思います。

○搆課長補佐 ありがとうございます。個々の届出は労基署長あてですので、移動解体があったかどうかはすぐにはわかりません。個々に審査しているはずですので、全数調査は難しいとしても調べてみることは可能です。

○工藤委員 あと移動解体に関する相談もあればよい /

○搆課長補佐 相談については、確認してみますが難しいかもしれません。

○寺嶋座長代理 労基署のほうへ届け出るというのは、かなり規模が大きくなりますかね。

○工藤委員 そういうものでも。

○寺嶋座長代理 そういうものであるかどうかですね。

○工藤委員 そうですね。その場合、どういうやり方をとっているかということだと思うのですが、参考になるのではないかと思うのです。

○搆課長補佐 大きさ等が議論になってきましたので、資料 No.4 も一緒にご覧いただいて、議論いただいたほうがいいかと思います。こちらは、私どものほうで得られた報告書から、今後検討するに当たって考慮しないといけない事項を列挙してあります。いまお話がありましたとおり、移動解体を行う対象をどのようにするか、特に大きさのほか、解体できるものとできないものの区別です。 1 つのモデルケースでは網羅できないということですので、それ以外のタイプの焼却炉のへの対応につき議論をお願いします。

 大きさについて言えば、事務局のほうで考えておりましたのは、まず届け出が不要な焼却炉、これはかなり小さいものですから、基本的には移動できると考えています。 1 つのポイントは、大型の貨物自動車に積み込めるかどうかですね。例えば幅が 2.5 mで長さ 10 m、高さが下から 3.8 mとすると、焼却炉の大きさはどのぐらいまででしょうか。やはり幅 2.5 mを大きく超えると搬送できなくなりますから、この辺がネックになるのでしょうか。分解してこの大きさになればいいという議論もある一方で、躯体を 2 つ、 3 つに割ることには慎重です。常識的には躯体は少なくともこの中にきっちり納まる大きさではないと無理だろうと思います。ただし、煙突は飛び出すでしょうから、汚染物が飛散しないように事前に外せるのかどうか、こういったところは技術的な事項になるのではないかと思います。搬送中に非常に不安定になるとか、搬送が難しいようなものは、おのずと除外されていくと思います。

 重複になりますが、そうしたときに、処理能力はここで届け出が必要かどうかというのが決まりますが、運搬車に載る大きさであれば届け出が不要なものは基本的にすべて入ってしまうと考えておりますし、形がよくても崩れているようなもの、何年も使われていないものがあったりして、これはかなり危ないのではないかというのは、途中の報告書でも、老朽化していないかというのはチェック項目に入っていましたが、輸送時、吊上げ時に影響してくるかということがあります。現実的に運ぶのは、重さの上限は大体どのぐらいと思ったらいいですか。

○山内委員 トレーラーを使うと、 20 トン、 30 トンは大丈夫かと。

○搆課長補佐 大丈夫なのですか。重さがネックになることはあまりなく、大きさの問題だと考えてよろしいですか。

○山内委員 ただ、積込みのための設備が当然必要になりますから、そういう施工スペースがとれるかどうかの問題は出てきます。小型の場合は入り組んだところに入っていますから、何十トンという話は無理だと思うのですが、実績として 10 トンぐらいまでは。

○搆課長補佐  10 トンぐらいまではそれほど問題なく積み込めるだろうということでしょうか。

○山内委員 そうですね。トレーラーまで近接できれば大丈夫だと思います。念のため確認したいのですが、現在、こういう対策要綱が出ているわけですから、作業者のダイオキシンに対するばく露、あるいは周辺への影響を極力なくしていくというのが国の姿勢、これは前提と考えてよろしいわけですね。

 焼却炉のタイプについていえば、大型焼却炉のメーカーは数社あり、メーカーごとにタイプが違ってくるわけです。小型焼却炉については、汎用的な既製品を売るメーカー、大手がいくつかあり、それはどれもによく似ている一方で地域地域にいる築炉屋がつくる焼却炉は、さまざまなものがあるのです。そうすると、移動解体できそうなものであっても、現場で作りこまれたものが多く、標準化というのが難しいです。構造が似ているけれども違うということもあります。だから、移動ができるものか、できないものかを概念としていうのも非常に難しいです。どんなことをしてでも移動するということであれば、トラックに載りさえすれば、いまの施工技術からいけばできると思いますので、線の引きづらいところであり、考え方を確認させていただいた次第です。

 私はいままでこの辺に携わっていて、移動できるかできないかとか、工法の中身がどうだということよりも、もっとこれを周知徹底して要綱の趣旨に近付けるためには、やはり労基署の指導等の機会を作ることがいちばんではないかという気がしております。届出基準ということで一見きちんと書いてあるように見えるのですが、前々から指摘させてもらっているとおり届出の基準となる焼却能力についても、一定ではないということです。厚生労働省は最大能力だと言われますが、焼却能力を計算するのに最大能力ですると、とんでもない小さいのまで 200kg を超してしまうという結果になりますので、届出をどうするのかということになろうかと思うのです。

 濃度とかいろいろなものを考えると、学校規模のものを届出を出していてもしょうがないのですが、労基署の指導機会をもう少し徹底されれば、これは移動できる、できないとか、その方法についても細かく指導ができるのか。そうすれば、要綱の趣旨がそこで活きてくれるようなシステムとなるのかと思うのです。アウトラインはこの委員会で決めるにして、やはり現場だろうと思うのです。

○半田化学物質対策課長 私どもの局や監督署に対してそういうご期待をいただいているのは非常にありがたいことなのですが、いま言ったようなそういう指導をきちんとやるためにも、ここでご議論いただきたいのは、移動解体をどういうときに認めて、そのときにどのようにやっていただくかということをきちんと定めることです。まず、それが定まらないことには、指導云々もありませんので、署に対するご期待はありがたく受け止めておきますが、どういう場合に解体を認めるのか、そのときに何を留意すべきであるのか。ここが焦点ですので、是非それを明らかにしていただきたい。これが明らかになれば、それ以外のところは従来の要綱に従って、事前除去とそれに続く解体でやってくださいということを、きちんと指導できるようになるわけです。そこをご議論いただきたいと思います。

○工藤委員 一応、解体作業時には空気中のダイオキシンを測定する。これはあくまでも現場で解体作業が行われたときに、どの程度の濃度が出ているのかということを測るためにやっているわけですが、移動解体となりますと、空気中のダイオキシン濃度を測定する必要性があるのかどうかというのが 1 点あると思うのです。ただ、問題は、堆積物のダイオキシンはどうするかということですが、これは必要ではないだろうかと私なりには思っているのです。移動解体の場合には、空気中については無理に測らなくてもいいのかという気はしないでもないです。問題は、中間処理施設においては、当然、空気中のダイオキシンの測定は必要になってくるかもしれません。

 次に、もし空気中のダイオキシンを測らないとなれば、移動解体の場合には、ある程度のダイオキシンが入っているというレベルを想定してしまって、こういう保護具を使用しなさいと決めてしまうかどうかというのが 1 点あります。

○搆課長補佐 移動解体といわれましたが、解体作業ではなく移動するときのことですね。

○工藤委員 移動するときですね。いま燃やしているわけではありませんので、おそらくガス状のダイオキシンは出てこないであろう、粉じん対策だけでいいのであろうと思います。そうすれば、かなり良いマスクが存在しますので、その様子をお客さんが知って、あと養生をきちんとさせてというやり方があってもいいのではないかと思うのです。

○寺嶋座長代理 いま工藤委員のおっしゃったご意見は、現場での空気中のダイオキシンの濃度を。

○工藤委員 焼却炉を移動するときに。

○山内委員 それはいま行われていないと思います。

○工藤委員 一応、いま測ることになっている。

○山内委員 いや、要綱の中に移動解体そのものがありませんので、いま実際、移動解体でなさっている現場では、移動時に付着物の残留物、あるいは付着物のダイオキシン濃度というのは、もちろん確認をされているのが多いだろうと思うのですが、積込み時の空気中測定はやっていないと思うのです。現場での測定というのは、あまり見たことがない。

○寺嶋座長代理 移動している間に振動等でもって、何か粉じんとなって飛ばないかと、そういう懸念なのでしょうか。

○山内委員 わかります。

○工藤委員 そこのところをはっきりさせておいたらいいと思います。

○山内委員 そうですね。

○寺嶋座長代理 梱包などはきちんとやりなさいということの義務付けなり何なりということで、対応可能かどうかとか、そういう問題にもかかわってくるかもしれません。

○工藤委員 先ほど想定外の解体作業、これが 1 つ移動解体と、移動して解体するということがありましたので、想定外のお話ですので。

○搆課長補佐 ありがとうございます。まさに移動解体が要綱に照らして合わないので、そこの判断が問題だと思うのです。移動している最中は、付着物の除去は行っていないので、だから測定はしていないとすればそういう整理だと思います。工藤委員が言われたように、そこは飛散がなさそうであれば要らないのではないかということと、保護具はみなしで、そこはやってもいいのではないかということですね。議論を少し反対側から見てみると、飛散をするようなものであれば、そこはたぶん認められないのだろうと思うのです。だから、飛散のおそれがない状態のものに限り、移動していいということにする。そうすれば、飛散防止措置を講じたことになるので、測ってみても意味がないので要らないだろうと。養生をしたうえで、見なしにより保護具を着用するということであれば、本来の対策要綱がこれまで焦点を当ててきた付着物の除去は、主として中間処理施設で行っているところの話になるわけです。だから、要綱では、それ以前の移動する場合をどのような制限を設けるかという話になるのかと思います。

○工藤委員 そう思いますね。

たしか石綿の吹付け作業の除去作業などでも、除去時は測定をさせていないのです。測定しなくてよろしい。その代わり、保護具はきっちりやれということと、石綿が入っているという仮定の下で作業を行っている形になりますから、ある程度その考え方に沿っていっていいのではなかろうかという気はしないでもないですね。そのほか、中間処理場の問題、廃棄物処理の問題はちょっとまた別にしていまして。

○搆課長補佐 空気中の濃度の測定をするとしても、技術的にもちょっと不安なところがあります。風上、風下で測るということですが、吊り上げているので、基本的にはそんなに出ないだろうという前提の下に測ったと思うのです。要するにある点で測定したら、風のぐあいでたまたま検出されなかったのではないかということにはなりませんか。

○小嶋委員 ばく露濃度を測ったほうが確かなのではないかと思うのです。

○搆課長補佐 結局そこは定点で、風上何メートル、風下何メートルと測ることでは、別にそれはきっちり測ったことにはならないのですか。

○小嶋委員 苦しいと思います。作業者のばく露濃度でモニタリングしたほうがいいと思います。

○工藤委員 運転作業時に関しては、一応どの程度空中に出ているかという意味で作業環境測定が義務付けられていますから、ダイオキシンの測定も義務付けられたと思うのですが、それ以外の特殊な作業についてはどの程度必要かというのは、 1 点あると思います。

○搆課長補佐 そこで見ると、少なくとも移動している間は、測定に頼らずに条件をはめるなり、その措置をきっちりすることで、飛散が出ないようにすることの徹底のほうがという感じは受けたのです。

○寺嶋座長代理 確かに小型焼却炉は、移動解体なり何なりで、大型の焼却施設と違って学校とか社会施設なり何なりで、それほどのお金をかけずに作ったものの、後始末のためになかなか。測定だけで何十万かかるとかいうのは、それなりに解体に関してきちんとやらなくてはいけないとわかっていても、 1 つの抵抗感というか何か出てくる可能性は確かに心理的にあり得ると思うのです。あるいは、解体できるかできないかは、資料 4 で焼却炉の大きさなどという形で、 (1) 重量の問題。「形状」というのは、「構造」としたほうがいいかと思うのです。構造ということにすれば、形だとか、材質だとか、焼却炉の製作の仕方、工法なども構造という言葉の中に入ってくるかと思いますので、山内さんのほうで移動解体できるような構造を持った焼却炉というものを、ある程度大まかに分類できるものならしていただけると。移動解体できるものであっても、老朽化してしまってなかなか運べないということになると、そういう判断基準ですかね。そういうものも列挙するような、ピックアップするような形にして。あとはこれはどうなのですか。個々の撤去をするという事業者が移動解体なら移動解体する業者に見積りをとったときに、非常に高い、すごい値段であったというときには、その現場での解体を選択するかどうかということとの判断が出てくると思うのです。その辺のところでいろいろな要素が絡んでくる、判断要素が絡んでくるのかと、いまお聞きしていて感じたりもしたのです。

○山内委員 構造についてはちょっと見てみます。モデル的なものでしかないので、現場での築炉みたいなもの、あるいはローカルな築炉屋さんのものについては、なかなか把握できないところもありますので、全部包括できるかどうかはわかりませんが、少し眺めてみます。それは準備委員会のときにちょっとお見せしたような写真があったと思うのですが、縷々事実がありますので、それはそれで。構造だけでなく、やはり座長が言われましたように、老朽化の問題があって、傍目から見たときの老朽化、底盤付近に錆があって心配だというときに、これは吊ったときに壊れるのか、壊れないのかというのは非常に難しいですよね。

 それから、分けるとすると、今度は立地の問題があります。部材関係、機材、そういうものが入る平面建造上の条件を満たすかどうかという問題もありますし、逆に、もちろん中の濃度にもよるのですが、周辺に環境保全対象物があるのかどうかというのも、 1 つポイントになろうかと思います。

○搆課長補佐 環境保全対象物とは。

○山内委員 というか、万が一のことなのですが、拡散した際に、ここは絶対拡散させられないと。ダイオキシンの影響を受けさせてはいけないというような施設です。例えば飲料用の水源とか、要は人間が摂取するような施設環境があったりです。以前ちょっとお見せしましたプールが、特に学校関連はプールの横に焼却炉を置いているというのが実はありまして、飛散せずにできるならいいのですが、とんでもない、ちょっと難しいというときなどはなかなか採用しづらいところもあります。余談ですが、コストは基本的に移動解体のほうが安いと思います。現地でやるほうが高くなる。

○寺嶋座長代理 そういうものですか。

○山内委員 養生関係などが問題です。どうしても現場で加工するということになると、現場での設置の部材、仮設、導入する機械関係は現地で必要になりますので、それは移動解体で中間処理場にもう完備されている施設に持っていって、そこでパッとやったほうが、トータルコストとしては安くなるのではないかという気がします。移動解体がということではなくて、この要綱そのものの小型焼却炉に対する規制のかけ方を十分検討しないと、とんでもないお金がかかり、買った費用の数倍かかるということにもなりかねません。だからこの委員会での議論においても、そこまで考えておかないと、不法投棄になるなどとんでもないことになってしまいます。そこはいかにコストを下げるか、下げてできるような検討項目にするのかというのも、別の意味で、移動解体のみならずですが、それは十分に検討しておかないといけないところだろうと思っています。

○搆課長補佐 山内委員、ありがとうございます。私どもがこの検討を始めた経緯は、コストの問題ではなく、小型の焼却炉、付着物の除去が実際に小さくて難しいこともあるし、現場で除去をするよりは、しっかりした施設に運び込んでからの除去のほうが飛散も少ないのではないかという技術的な観点からです。労働者のばく露も少ない合理的な方法があるのなら、既存の対策要綱にとらわれることなく直さなければいけないだろうという合理性のもとに検討を始めたのです。

 一方で、所有する施設の管理者あるいはその工事業者は、コストの問題を抜きにしてはやれないわけですが、私どもができることは、いろいろな方法がある中で、合理的な方法であるならば、オプションはちゃんと用意しておこうということです。施設管理者や工事業者がいちばんいいと思う方法、すなわちコストや作業性、工事期間など合理的な方法を選べるようにしておくべきだというのが基本的な行政のスタンスです。

 そういう意味で状況は正確に知らなければいけないわけです。全部を調べることはできないが、類型化した際に、間に落ちてしまって、危ない作業や認められない作業が生じないようにするということです。

○寺嶋座長代理 移動解体できる小型焼却炉によるばく露防止対策要綱と言いましょうか、新たに追加しようとしている要綱類をどのように適用するか、どのように使っていただくかということ自体も含めて、いろいろ考えていかなければならないという意味合いで山内さんが意見を出されたかと思います。

○工藤委員 先ほど移動解体をする場合、移動解体ができる構造という問題、老朽化の問題、部材を分ける場合の立地の問題という 3 点を山内委員が指摘されたと思いますが、大きくは移動解体できる構造と、壊れてしまうおそれのある老朽化、部材を分ける場合で、少なくても構造物ごと移動できる場合と、何かの仲立ちで処理が必要である、老朽化の場合も壊れてしまうおそれがある場合と分けて考えてみたらどうかというのが 1 点あります。

 もし現場で部材を分ける、または老朽化の問題があって壊れるおそれがあると判断できるときには、建物の解体と同じように周辺の敷地に囲いをすることを義務づけ、解体させていき、養生をしてトラックに運ぶということです。

 解体の方法については、すでに廃棄物焼却施設解体作業マニュアルがあるので、そこに「解体作業実施」という具体的なものが出ていますので、その方法を使って、現場で手でやるとか、機械でやらせればいいのではないかと思っています。現場で部材を分けたり、老朽化で壊れるおそれがある場合には、ばく露するおそれがありますので、養生した上に、マスクをしてやらせる、測定は義務づけないという形のものでいったらいいのではないか。

○寺嶋座長代理 先ほど No.4 の技術的検討についてで、 1 番と 2 番までいろいろ説明いただいたのですが、 3 4 の中間処理施設の付着物除去、中間処理場絡みのこと、あるいはその他で、事務局側から補足説明はありますか。

○搆課長補佐 すでにいろいろ議論が出始めているのですが、 3 番から簡単にご説明しますと、中間処理場に移ってからは、基本的にはしっかりした施設、臨時の施設ではなくて、恒久的な施設であれば、しっかりした管理がされているだろう、されるべきだというところから出発しているのですが、その場合には、搬入経路はどうか、どのような手順で入れていくかが問題です。先ほどのモデルモニタリングのケースですと、車両がそのまますっぽり入っていけるような状況にあったわけですが、これを外から別の方法で運ぶ場合には、そこでの飛散も想定されますから、そういった搬入の手順・経路は非常に重要だと思います。

 それから、作業環境における空気中のダイオキシン濃度の測定は、しっかりやらなければいけません。特に屋内作業場になりますので、測らなければいけません。ただし、定常的に行っている場合と、そうではない場合では少し考え方が違うのかなということがあります。それと除去作業や、その際の飛散防止措置です。労働者ばく露に着目すれば屋内のほうが、より空気中の濃度、飛散には注意しなければいけないという状況がありますので、一見合理的ですが、労働者のばく露が増えることがないことの確認が必要です。

 少し技術事項から外れるのかもしれませんが、発注者や解体の工事を請負った業者の責任の範囲についても注意が必要です所有者は現場から焼却炉がなくなれば作業は終わりとみなすわけで、工事業者も処理場に運ぶと、一見作業が終わったようになりますが、実際に解体を完了させなければいけません。この中間処理場で解体がされる際の請負関係がどのようになっているのか。おそらく処理場で作業を行う人がそのまま搬入も続ければいいのですが、工事を請負った所と処理をする人が違う場合には、この関係が問題になるのかと思いますし、特に「その他」にも書きましたが、解体工事が完了したこと、処理場での作業完了をちゃんと見届けて発注者に「工事が完了しました」という形にしないとまずいのかと思います。

 また、モデルケースも少し指摘がなされていますが、移動解体をすると、除去の作業が処理場に移りますので、移動する元に据えてあった所への関心が薄くなるということで、私どもはどこまでやれるかという問題がありますが、周りに残留灰が残っていたり、周辺に散ったものは、どこから、どこまでを工事業者がやるのかについては、明確に区分けしておかなければまずいということは、議論の材料として出させていただいた次第です。

○寺嶋座長代理 確かに 3 (5) の請負関係の留意事項は、いま説明を受けて大事だと思います。工事の完成、いわゆる小型焼却炉の移動解体工事を、もし請負で契約したとしたら、確かに据え付けてある所から吊り上げて、車に載せて中間処理場まで運んで、そこで除去解体作業を行って、汚染物は処分場がやる。そこまで全部終えて初めて工事請負が完了になるわけでしょうかね。そうすると、そういうものの確認をどこまで発注者が発注しなければならないのか、あるいはそういうもの自体は請負契約を結んだ段階で、中間処理業者が、中間処理施設の中に入った以降の問題は、中間処理業者の責任の範囲内で任せていいのかどうかとか、いろいろ判断しておかないといけないですね。

○搆課長補佐 想定をした上で対策を組んでいかないといけません。いちばん簡単なのは、あまりないのかもしれませんが、除去・解体を最後にする所は処理場になるわけです。だから、処理場を運営している事業者が、据え付けてある所から運搬も含めて工事を請負えば、受注関係は非常に簡単なのです。ただ、実際はそんなケースはあまりなくて、工事は運搬して運び込む所までの請負になっていて、そこから処理場への除去・解体の請負がなされているケースが多いのではないかと思います。

○寺嶋座長代理 産廃のマニュフェストみたいな仕組みを作らなければいけないと思います。これを徹底するということですね。

○山内委員 そのとおりだと思います。この委員会でそこまで踏み込むと、いまの発注体制ができなくなります。国交省の業種分類、登録分類で、各自治体が発注をしておりますが、移動解体は特にそうだと思います。現場作業が伴いませんので、実務として、現場での養生と移動段階及び中間処理場での作業がメインになってしまいます。そうすると、発注額の中の大勢をそこで占めてしまいますから、元請は何をやるのかという話になってしまいます。

 関係省の情報を見ていただくと、いまは中間処理場という言葉を使っていますが、ダイオキシンをいまの要綱に沿うような形で整備している施設が全国にいくつあるのか。モデルケースで実施されている事業所は 10 年少しになりますが、類似する施設が全国になかったため、最初は大変だったということでした。それ以降から移動解体は相当出てきていますが、本当に今回のモデルみたいにやっていただければ、全然問題はなくなると思います。それがなされていないので、ばく露ということで問題なのです。だから、本当にこれをモデルとしてきちんとやっていただくためには、中間処理場の整備を全部やらなければいけません。

 逆にいうと、いまはそういう施設を持っている所でなければ処理できないという話になってしまいます。それを遡っていくと、先ほどの発注体系にまで行ってしまいます。

○搆課長補佐 私が申し上げたのは処理場を持っている所でなければ受注できないということではなくて、そういう形を念頭に置くと、発注、受注関係がいちばん簡単で、実際はそうではないでしょうから、その場合に間がどのようになるかは、よくよく整理をしておかなければいけないということです。

○工藤委員 いま搆さんが言われたように、請負関係が大事だと思いますし、どこまでが請負の基盤取り業者に要求できるかということをきちんとしておくことは必要だと思います。ダイオキシンの対策要綱でも、周辺環境への事業者の対応は一応は書いてありますし、問題は処理したダイオキシン、周辺の汚れた土壌も併せて処理すれば、それに対する処理の仕方は、環境省が決めている廃棄物処理基準に従った処理をきちんと厚労省のほうでもやっておく必要があるだろうと思います。

○搆課長補佐 現状では工事を受注する所と処理をする所は、基本的に別だと考えてよろしいですよね。

○山内委員 特に移動解体の場合はそうです。

○搆課長補佐 受注して移動をして持ち込むまでの仕事と処理をする仕事は、分かれているということですね。そうであれば、それを前提に考えておかないといけないということ。

○山内委員 実態はどのようになされたかよくわかりませんが、大手ゼネコンが、県全域での何十基という受注をしていて、それは移動解体で全部しています。そうすると、そのゼネコンは何をやったのかということもあるのです。実態は、運搬業者あるいは中間処理業者が大勢なのでしょう。実態はそのような発注形態になっていて、そういう規模でやった場合に、移動解体をここで決めるのとどのぐらい整合させていけるのかということなのです。今回、モデルでやったのは非常に素晴らしいと思います。たぶん現地はこうではないため趣旨がずれてくるのです。

 もう 1 点は、先ほど気中測定の問題があったのですが、どこで採用する、どういう目的でやるかというのは、 1 つはコンサルが入る場合です。小型焼却炉の撤去でコンサルが入る場合があります。コンサルの考え方にもよるかと思いますが、環境影響に精通しているコンサルは、どちらかというと作業環境のほうに重きを置くのではなくて、この事業に対する周辺影響というところでの気中測定を行うケースがあります。厚労省ですから、あくまで作業者という捉え方でいくと、作業所内あるいは作業環境の測定をやりなさいということで、少し趣旨が違ってくるはずです。かつ要綱にも周辺影響がないようにという一文がありますので、周辺への影響の気中測定と、作業環境の測定が、コンサルによって使い方が非常にバラバラになっている所があったりして、分析が非常に高くついたり、コストまでバラバラになってしまって、その辺も交通整理をきちんとしておかなければいけないと思います。特に移動解体は、現場搬出時はきちんと要綱措置をとることということを前提にすればいいと思います。

 今日の委員会ですが、要は定番がない、あるいは老朽化で底が抜ける、吊り上げられないようなものをどうするかという問題と、連結部位の処置をどうするかという問題、現場の切り離しのときの養生をどうするかということと、いままで出ていなかったのですが、建屋内にある小型焼却炉の移動解体を、要綱としてどう照らし合わせていくのかということがあろうかと思います。そんなところの整理が、個々に、どういうケースの場合はこうしましょう、ああしましょうという枝あるいは葉っぱまで、話を項目的に挙げていければまとまるのかなという気がします。幹とか大きな枝は、その 3 つか 4 つだろうと思います。

○半田化学物質対策課長 いまの山内さんがやってくださった整理は、下手に焼却炉の構造を言うよりもすごくわかりやすいと思いました。一言でいえば、そのままそっくり持っていけるかどうか。それが構造的にできなかったり、老朽化してできなかったりというのはどうするのかというのが出てきますが、そっくり持っていけるかどうかという視点です。そこは伺っていて、なるほどなと理解できたのですが、 3 つ目に言われた建屋というのがどういう視点で建屋とおっしゃっているのか、いまひとつ理解できません。建屋があるのだったら、その周辺にかなりばらまくことは押さえられるのだろうから、比較的移動解体でも何でもやりやすくなるなと私などは思うのです。建屋の有無が問題というのはどういう視点なのでしょうか。

○山内委員 焼却施設専用建屋ということで、例えば漁港とか学校とか、焼却施設を中に入れている、囲い込んでいる建屋です。スレート関係が非常に多いのですが、そこで、昔の焼却炉ですから、燃焼ガスが建屋内に全部回ってしまっています。建屋があるために、建屋の外には出にくかったのかもしれませんが、建屋を含めて焼却施設という捉え方をしなければいけなくなると思います。

 そうすると、 2 間・ 3 間とか、 3 間・ 4 間ぐらいのプレハブのものが、この要綱でいくと、管理区域の 1 には絶対適用されてしまうのです。そのような格好の中で、移動解体で、その管理区域の中にある焼却炉を吊り出そうというのは施工上非常に難しい。屋根を外すことになってしまって、吊り上げるよりも施設の解体が先にきてしまいます。

 よく見るのは小型焼却炉を囲ってあるのです。そうすると、天井とか窓上の梁が灰だらけになっていて、そこの付着物を測ると、場合によっては基準値を超える、特管扱いをしなければいけないということも、ままあります。そういう所は建屋を先にやらないといじれません。建屋をやったあとに除染して、壊したあとに炉だけ残しておいて、吊り上げて持っていくのならできると思いますが、それは施工の順番上、難しい話なのかなということがあって、建屋の中の焼却炉をいじるときにはちょっと注意しなければいけないと思います。

 過去の場合は、建屋はあまり考えないで、建屋の天井を外して、ドンと吊り上げるというケースも見かけていますが、あれは要綱に守られていないと判断しています。管理区域ですから、濃度が低くてもレベル 1 という設定だとすると、レベル 1 の第 1 管理区域の解体方法は決まっていますので、それも除染をしていればいいのですが、現状はしていないままにやっていますので、その辺はきちんと指導していかなければいけないと思います。その辺の建屋内の焼却炉は難しいのです。

○工藤委員 焼却炉の形によって違うと思いますが、例えば自治体関係は建屋内にあるものを解体するというケースが多いのです。その場合に除染するかしないか。あらかじめ中のものを除染してから焼却炉を解体するかどうかということがあるかと思いますが、そういう意味ではどの程度の建屋を言うかということですから、一応小型焼却炉が中心ですが、小型でないものも考えてよろしいという話ですから、多少大きなものの解体もあるのかなと思います。

○搆課長補佐 一般廃棄物の焼却炉は、当然きちんとした建屋の構造体としてありますので、それを言っているのではなくて、小型焼却炉を保護する形のものでしょうか。

○工藤委員 考え方としては大型ですが、建屋があった場合でも考え方は同じではないかと思います。建物を壊すのか、壊さないでやるのかという話だと思います。

○搆課長補佐 そうすると、移動解体は難しいですねという話ですね。

○工藤委員 だから、そこで、建物を壊さない場合には、現場で部材に分けて細かくして持ってくるという方法が 1 点ありますよね。その場合の対策をどうするかということだと思います。壊さないで持っていこうとすると、山内さんが言われたような話になると思います。

○山内委員 建屋間の場合は、やり方は非常に難しいと思います。

○搆課長補佐 建屋があっても、移動解体が合理的だろうと思われるケースは多々あるということです。

○山内委員 移動解体を採用するのが難しいと。

○搆課長補佐 中で先に除去して、炉の解体をした上で処理するのではいけないということですね。

○山内委員 いまのばく露対策要綱の中身からいくと、要は建屋まで管理区域設定をしなければいけなくなるのです。付着物があるので、当然現状を調べると濃度が高いのです。ダクトなどに匹敵するぐらいの濃度が天井や壁に付着していますから。焼却施設という関連施設として捉えるわけですから、建物がいくらかの管理区域になるわけです。その中に吊り出せる焼却炉があった場合、いきなり屋根を外すわけにはいきませんよね。

○搆課長補佐 議論の最初に戻りますと、それは移動解体をする必要があるのか、合理的なのかということです。それは現実には費用の面でどんどんされてしまう傾向にあるということですか。

○山内委員 やられているということです。建屋関係なしに焼却炉だけというところで対処している現場がいくつか見受けられますので、それはまずいのではないですかということです。あくまで建屋がある場合には、最低でも建屋を第一管理区域という位置づけという捉え方をしないといけない。それを確保した上で、中に入っている焼却炉を移動解体できるのであれば、それはそれでいいと思うのですが。

○搆課長補佐 費用の問題があるのでしょうが、あくまでも移動解体ありきで進めていく議論ではないので、中で移動解体をどうやって使えるかという議論では困ります。

○山内委員 これは移動解体の適用ということで言っております。そういう場合は適用し辛いですよねということです。

○搆課長補佐 簡単には移動解体は難しかろうなということから出発する議論になるのではないかということです。例えば、吊り上げて持っていくにしても、既にある建物の梁から飛散する問題は別としても、梁に付着しているということは、炉の内部だけが汚染されているのではなくて、炉の外側も汚なくなっているということです。それを移動すればどういうことになるかということがそもそもあるので、そこまで何でもかんでも広げてやれるものではないと思います。実態をしっかり調べてみないとということはあります。

○寺嶋座長代理 小型焼却炉を移動解体できるまでの前段の整理、判断事項がたくさん、あるいはケースがたくさんあるということですね。これをどうやってうまく整理するかということが、この要綱を作る上で大事かと思います。

○工藤委員 建築物の解体または改修工事においては、やはり建物の中で養生させますが、そのときには、保護具は厳重にさせて、空気中測定はさせないという形を、石綿の場合は採っています。なぜかといったら、解体して物がなくなってしまうわけですから、改修してなくなってしまうわけですから、やっても意味がないのです。

 もう 1 つは、仮にもし建屋内にある焼却炉を、そのままの形で取り除けない場合には、移動解体してよろしいというのは部材を切ってやると思いますが、その中に出てくる灰等は当然厳しい。石綿の場合には除去したあとの吹き付け石綿を二重袋に入れるなどという規制をしておりますので、もし管理処理をやらせる場合は、そういう灰はそういうふうに処理するという対策が必要だと思います。もう無理というのだったら、最初からきれいに清掃してから解体するのが一般的だと思います。いま言われた建物内の焼却炉について移動解体を認めるかどうかという話もだいぶ神経質になっています。

○寺嶋座長代理 今日のところは、皆さんからたくさんのご意見をいただいて、事務局において今日出た意見を踏まえて、具体的な対策要綱の見直しを準備していただくことになろうかと思います。

 そういうことで予定した時間がきてしまいました。まだまだたくさんご意見がおありかと思いますが、本日のところはこの辺で終了とさせていただきたいと思います。

○搆課長補佐 いま一度確認を含めて、事務局からご説明いたします。今日いただいた貴重なご意見を基に整理しておきたいと思います。特に、さまざまな構造あるいはその種類のものがある、モデルケース以外もあるということでしたので、こちらについては事務局でも、できる限り個々に調べるというより、全体で網羅して大きな抜けがないかを中心に事前に確認をしておきたいと思います。

 山内委員にご協力いただければ、炉の関係、個別の作り込むものは別として、もしわかれば可能な範囲で情報提供いただければ、それも含めて、事務局で整理しておくようにします。その中で対象をどうするかなども含めて、今日ご議論いただいたご意見等を含めて整理をして、取りまとめられれば次回現行の対策要綱に対して、こういう形で作らなければいけないのではないかという提案をさせていただきたいと思います。集めた結果、あれもこれもあるということであれば、もう一度このような議論にさせていただく可能性もあります。我々は急いで作りたいとは思っていますが、技術的なこともあり、実態の把握もありなので、スケジュール化について、少し弾力的にお考えいただければと思います。

○寺嶋座長代理 そうしますと、事務局サイドである程度のまとめが整理できた段階で、次回、委員会なり何なりで、また声を掛けていただくことになりますかね。

○搆課長補佐 お願いしたいと思います。

○寺嶋座長代理 ありがとうございました。それでは、本日の会議はこれで終了といたします。ご協力ありがとうございました。

○半田化学物質対策課長 どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課

電話番号: 03-5253-1111(内線 5517)

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