ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会国立病院部会)> 第40回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録(2013年7月25日)




2013年7月25日 第40回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録

○日時

平成25年7月25日(木)9:30~12:49


○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

松尾清一部会長、田極春美部会長代理、亀岡保夫委員、高瀬高明委員、斎藤聖美委員、富田博樹委員、山口育子委員

○議事

(以下、議事録)

 

○政策評価官

 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまより「第40回厚生労働省独立行政法人評価委員会国立病院部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。私は、今月10日付で政策評価官を拝命いたしました原口と申します。以後よろしくお願いいたします。

 それでは、進行させていただきます。議事に入る前に本部会の開催に当たり、政策審議官の山沖から御挨拶をさせていただきます。

 

○政策評価審議官

 政策評価審議官をしております山沖です。どうぞよろしくお願いいたします。皆様方には、御多忙のところ独立行政法人評価委員会の国立病院部会の委員及び臨時委員に御就任いただきありがとうございます。

 今年度の独立行政法人の評価に当たっては、今週月曜日、722日に開催されました本委員会の総会において所要の審議を行っていただきました。これから8月下旬までに7部会において総会・部会で約70時間かけて審議していただくということです。このうち本部会では今日と820日ということで2回、全体の時間としては5時間程度を予定させていただいています。144の国立病院を運営している国立病院機構について、評価していただくことになっています。

 独立行政法人の運営に当たっては、自主性とともに公共性、透明性が求められているということで、そのために中期目標、中期計画等を定めて、その業務の実績を評価するということ、すなわちPDCAサイクルに基づき不断の見直しを行うことが極めて重要です。国立病院機構の場合、この中期目標期間は5年間ありますが、平成21年度から25年度で、来年3月末までということに、とりあえずなっています。現在、最終年度ですので、今回は暫定評価を行っていただくことになっています。平成24年度の実績だけではなくて、もう少し長いタームで御評価いただければということです。

 臨時委員の皆様方には、厳しいスケジュールの中ではございますが、独立行政法人に対して適正かつ厳正に御評価いただきますようお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 続きまして、72日付で国立病院課長及び国立病院機構管理室長の異動がありましたので、御紹介させていただきます。まず古川国立病院課長です。続きまして、廣田国立病院機構管理室長です。

 それでは、委員の皆様方を御紹介いたします。皆様方には、先に辞令を郵送させていただいておりますが、厚生労働省独立行政法人評価委員会委員又は臨時委員として、本年630日付けで厚生労働大臣の任命が発令されております。また、先ほど話がございましたが、今月22日に開催された委員会総会においても、お手元に配布している資料1-2にございますとおり、皆様方の国立病院部会の分属が正式に決定したことを御報告いたします。

 それでは、お手元の資料1-1に基づき、50音順に御紹介させていただきます。公認会計士の亀岡保夫委員、共同通信編集委員の高瀬高明委員、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社主任研究員の田極春美委員、名古屋大学副総長の松尾清一委員です。なお、松尾委員におかれましては、前期は労働部会委員でしたが、今期から国立病院部会と労働部会を兼務いただくという形になっています。続いて臨時委員です。ジェイ・ボンド東短証券株式会社代表取締役社長の斎藤聖美委員、日本赤十字社事業局長の富田博樹委員、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子委員です。

 最後に事務局を紹介します。室長補佐の和田です。

 それでは、議事に入らせていただきます。議事(1)部会長選出、部会長代理の指名です。まず最初に、部会長の御選出をお願いします。選出の手続について簡単に御説明申し上げます。お手元のピンク色の資料集50ページを御覧ください。厚生労働省独立行政法人評価委員会令におきまして、「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」ということが規定されており、委員の皆様方の互選により選任することになっていますが、いかがでしょうか。

 

○高瀬委員

 互選ということですので、私から松尾委員を推薦させていただきます。学識と経験が豊富であり、この分野でも幅広い見識をお持ちだと伺っていますので、部会長をお願いしたいと思います。

 

○政策評価官

 ただいま、高瀬委員から、松尾委員を部会長にという御推薦がございましたが、いかがでしょうか。

(異議なし)

 

○政策評価官

 ありがとうございます。それでは、松尾委員に部会長をお願いいたします。松尾委員、部会長の席にお願いいたします。それでは、以後の議事進行については、松尾部会長にお願いいたします。

(松尾委員部会長席へ移動)

 

○松尾部会長

 部会長を引き受けさせていただくことになりました、名古屋大学の松尾です。何分不慣れなところはありますが、よろしくお願いしたいと思います。

 最初に部会長代理を指名させていただきたいと思います。部会長代理については、先ほどの資料の50ページにありました評価委員会令の第5条第5項におきまして、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」とされています。したがって、私のほうから指名をさせていただきます。前期において部会長代理を務められて、御経験・御見識豊かな田極委員に引き続き本部会の部会長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

(異議なし)

 

○松尾部会長 ありがとうございます。それでは、田極委員に部会長代理をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

(田極委員部会長代理席へ移動)

 

○松尾部会長

 これから、委員の皆様に国立病院機構の評価をいただくことになります。まず、事務局から、この法人の概要について説明をいただきたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 事務局から、法人の概要について簡単に御説明したいと思います。資料1-3を御覧ください。国立病院機構については、医療の提供や医療に関する調査・研究、医療に関する技術者の研修等の業務を通じて、公衆衛生の向上や増進に寄与することを目的とした法人で病院の運営等を主に行っております。法人の本部は東京都目黒区にございまして、2511日現在の職員数は55,534人、2541日現在の病院数は144施設と、非常に大規模な法人になっております。また、厚生労働省の中では唯一の特定独立行政法人となっており、役職員の身分は国家公務員となっております。設立は平成1641日ということで、今年が独立行政法人になってから10年目に当たりまして、5年ごとに策定されます中期計画の2期目の最終年度ということになっております。

 詳細な業務内容については、個別評価に入る際に法人のほうから御説明します。資料1-4の開催日程に書かれていますが、本日は法人の個別評価を実施していただき、次の820日の部会で総合評価という形になりますが、中期計画の最終年度ということもあり、次回総合評価を行う際には、実績評価と第2期事業計画期間全体についての暫定的な評価なども実施していただくことになります。評価の進め方等については後ほど御説明したいと思います。以上でございます。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。今、事務局から説明していただいたのですが、何か御質問ございますでしょうか。それでは、追い追い、いろいろ説明があると思いますので、もし今なくても、あとで思い出された方は、よろしくお願いしたいと思います。それでは、次の議題に移りたいと思います。(3)国立病院部会における業務実績の評価についてです。この独立行政法人の実績評価に当たっては、先ほどちょっと説明がありましたが、なかなか複雑で、かつ、結構短い時間で評価を記入しなければいけない等、いろいろあります。今日は新任の委員の方もいらっしゃいますので、評価の流れや評価基準について、事務局から分かりやすく説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、評価の進め方について御説明します。資料1-5-1を御覧ください。

 資料に沿って御説明しますと、まず最初に法人の理事長から法人全体の業務について御説明していただくことになります。そのあと、評価項目が多数ありますので、全体の項目を5つのパートにグループ分けしまして、グループごとに法人から実績と自己評価の説明、その後、質疑応答という形で進めたいと考えています。グループ分けについては、資料1-7の左端に記載されています。このグループごとに審議をしていただきまして、委員の方々におきましては、SDの形で評定をしていただくとともに、その評定内容については、評定記入用紙のペーパーに記載していただければと思います。

 また、評価に当たっては、総務省に設置されている政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政・独委で作成した「評価の視点」や、今年5月に政・独委から示された「評価に当たって特に留意すべき事項」などを踏まえて評価を実施していただく必要がございます。評価の視点と留意事項については「独立行政法人評価関係資料集」の89ページと95ページにそれぞれ記載されていますが、国立病院部会では、これらに関する法人の実績を資料2-4の「業務実績評価別添資料」に取りまとめていまして、これに対する評価の留意事項については、1-5-2にチェックポイントを記載していますので、参考にしていただければと思います。

 なお、法人の個別評価が終わりましたら、各委員の御評価を踏まえた評価書の案を、起草委員、所管課で調整して作成していただくことになります。起草委員については、資料1-6のとおり、昨年に引き続き田極委員にお願いできればと思っていますので、よろしくお願いします。また、作成していただいた評価書案については、820日に予定している総合評価の部会で各委員に御審議いただく形になります。また、次の部会では、25年度が最終年度ということで、法人の暫定評価、それから組織・業務全般の見直しについて御審議をお願いしたいと思います。暫定評価については、資料集の59ページの(3)に「中期目標期間の最終年度に当たる法人は、次の目標期間の目標設定等に評価結果を反映させるために、中期目標期間の業務に関する暫定評価を行う」とされていまして、1年目から4年目までの実績をもとに暫定評価を実施していただく形になります。それから、同じく資料集の27ページの独立行政法人通則法の35条で「主務大臣は独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い」とされていまして、国のほうで作成した組織・業務全般の見直案についても合わせて議論を頂く形になります。なお、暫定評価と業務全般の見直しについては、部会で審議していただいた内容を、828日に予定されている独立行政法人評価委員会総会で部会長から報告していただき、総会の委員により御審議していただき、評価委員会全体としての決定となります。

 続きまして、資料1-7の説明をさせていただきます。左側の枠に第2期中期計画の業績評価、右側の枠に第1期中期目標期間中の5年間の最終評価を記載しています。左側の第2期のほうは年度ごとの評価になりますが、真ん中が24年度の評価ということで、今回法人のほうで作成した自己評定になります。その隣の23年度評定が、昨年も部会で審議していただきましたが、法人の自己評定と、それに対する評価委員会の決定という形になります。事務局からは以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。結構作業が膨大にあるのですが、説明は以上です。評価の手順等について御質問等ございますか。

 

○高瀬委員

24年度の評価をするということですね。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。

 

○高瀬委員

 それは、つまり、中期目標でいうと4年間分来ているわけで、その4年間分も含めてということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 本日の個別評価の部会では1年分の評価を実施していただき、次回、総合評価と合わせて、暫定評価という形で第2期中期計画分として、これまでの4年間分の実績の評価を実施していただく形になります。

 

○高瀬委員

 このA評価、B評価というのは、2通り付けるということですか。

 

○政策評価官室長補佐

 そうです。中期目標期間分の評価と昨年分の実績評価という形で、今年は中期目標期間最終年度になりますので、2つの評価を実施していただく形になります。

 

○松尾部会長

 本日は、24年度の評価、その中でも個別評価をまずしていただいて、次回の820日に、24年度の総合評価をするとともに、暫定評価も合わせて行うということですね。

 

○政策評価官室長補佐

 はい。

 

○松尾部会長

 ということで、本日は24年度分の、目標に見合って実績が上がっているのかという評価をしていただくと。どうぞ。

 

○斎藤委員

 ビジネスですと、経営陣はストレッチして高い目標を立てて、社員に対してむち打つわけですが、それがBに当たります。それをはるかに超えるASというものが並んでいるところを拝見すると、中期目標の立て方が少し低すぎたのではないかという感じがするのです。その辺りのことは中期目標に関して考えればいいことで、今日は24年度だけを、中期目標に照らし合わせて見るという形で考えればよろしいのですか。

 

○政策評価審議官

 ちょっと説明をさせていただきます。今日は、2-5の記入表は今年度ということで、法人からも、24年度の個別の話が中心になって説明されると思いますが、もともと業務というのは単年度で行っているわけではありませんので、皆さんの視点としては、今までの4年間分も合わせて聞く形で聞いておいていただいて、今回の評価書自体は、そのうちの1年分、24年度について御記入いただくという形になります。最終的には、その4年分を合わせたところで、中期目標、中期計画についての最終的な話合いを820日に行わせていただくという形になります。

 もう1つ、目標と評価との関係については、決まり事は特にないのですが、同じような議論が既に調査部会と医療専門部会という2つの部会でもあって、そのときにも御説明したのですが、もともとの目標がどこに設定されているかというのがなかなか難しいところがありまして、例えば普通ぐらいの目標のものもあれば、それこそチャレンジングに、先ほどお話があったように、高めの目標もあるということがございます。同じような目標について、高めの目標に対して、それを達成してB評価なのか、低めの目標でB評価なのかというところがありますが、その点については、チャレンジングな目標、高めの目標だと思われるところについて、目標として達成されているところについての評価でも構わないのではないかと、私などは思っています。

 その辺については、私などはこの方面は全くの素人ですが、詳しい方もいらっしゃいますし、私のようにこの方面は詳しくないという方の目線でも見ていただいて、もともと少し高めの目標でやっているということになれば、それはA評価ということで、それを大きく上回るようであればS評価ということになるかと思います。

 特に注意していただければと思うのは、資料1-5-1の四角の枠の中の3にありますように、基本的には理由をいろいろ書いていただくということになりますが、特にS又はDの評定をする場合には、「大幅に上回った」、あるいは「下回った」と判断した根拠を具体的に記載するとしています。要は、ABCについては特に理由がなくても御判断いただければと思うのですが、例えばSを付けるということに当たっては、どういう理由でということで、チャレンジングな目標で、更にそれを上回っているということが場合によってはあるかもしれませんし、もともとの目標が低めであるけれども、それを大幅に上回っているということでSを付けていただくということだと思いますので、SDを付けるときは、いろいろと考えていただければと思います。そういう形で御判断いただくということではないかと思います。特に決め事はありませんので、委員の皆さん方でこうしたいということがあれば、それでも構いませんが、大体こんな感じだということを、これまでの部会では御説明しています。

 

○山口委員

 初めてなので、具体的な作業のことについてお聞きしたいと思います。先ほど、資料2-5を記入しながら作業すると御説明にあったように思いますが、今日の目標として、これを書き上げて提出するということを作業の最終目標にすると考えていいのか、あるいは、お話をお聞きして、持ち帰って、後日提出ということなのか、具体的な作業の目標について教えていただけますか。

 

○政策評価官室長補佐

 基本的には、本日書き上げられるのであれば書き上げていただきたいのですが、時間も短いので、時間内で難しいということであれば、後日提出という形でも結構です。

 

○政策評価官

 お持ち帰りいただく場合は、731日までに事務方に御提出いただければと考えています。よろしくお願いします。

 

○政策評価審議官

 そのときに電子媒体を別途送らせていただきます。手書きではなくてパソコンで打ちたいという方もいらっしゃると思いますので、御送付させていただいて、メールでやり取りするということも考えています。

 

○亀岡委員

 私も初めてなもので、少しお聞きしたいのですが、先ほど、中期計画と実績ということがありました。あくまで4年目というお話でしたが、中期計画というのは、4年前に作られたもので変更はないということでよろしいのでしょうか。予算というのは、途中で状況が変わったり、実態が動いていくと、予算も見直しをするということが、一般の社会においても国においてもあると思うのですが、この中期計画というのは、4年前に作られたものは変わっていないと。それと24年度の1年間の実績を見ると。

 

○政策評価審議官

 基本的には、中期目標、中期計画というのは、まず変えてはおりません。

 

○国立病院機構副理事長

 中期計画は、一部は変えてございます。基本的なところは変えていませんが、投資の枠などについては若干変えてございます。

 

○亀岡委員

 分かりました。

 

○政策評価審議官

 変える場合に、いろいろと手続を経た上で変えるという形になっています。全くリジッドに決めているわけではなくて、もともと中期計画、中期目標というのは、割と、ふわっとした書き方というか。

 

○亀岡委員

 分かりました。言い換えますと、今一番有効であるということでよろしいわけですね。あと、私は先ほど御紹介いただいたように公認会計士で、どちらかというと会計的なところが専門です。評価というのはいろいろな評価があると思うのですが、ほかのところでやらせていただいたときは、一応全体についても評価しましょうということがありました。この辺の分担というのはあるのか、ないのか。評価というのは、いろいろな評価がありますよね。

 

○松尾部会長

 全体の御意見ももちろん言っていただいていいと思うのですが、この委員の中で、会計的な、専門的な見地からみられるのは亀岡委員かと思いますので、特にその見地から御意見を言っていただければと思います。全般の御意見は、もちろんいいのですよね。

 

○政策評価審議官

 国民目線という点もありますので、国民目線での全体的な御評価や御意見を頂くというのも重要な1つだと思いますが、そうは言っても、中身が専門的な部分もありますので、その辺は、御専門の先生がメインになってくる可能性があるのかなと思います。

 

○松尾部会長

 ありがとうございます。先ほどの目標と実績の関係については、これから個別に項目を説明していただく中で、委員の皆さん方に御判断をしていただければよろしいかと思います。これは目標が余りにも低いのではないかとか、高すぎるのではないかとか、いろいろ御意見があると思います。また、それは、質疑の個々の項目の中で忌憚なく御意見を頂ければと思います。ほかに、進め方についての御質問はよろしいですか。

 それでは、始めたいと思います。先ほどもありましたように、資料2-5という評価実績の記入報告書があります。それから、参考にしていただくと非常に分かりやすいと思うのが、全体資料の中の資料1-7です。ここに、法人からの自己評価があります。説明を聞いていただき、資料を見ながら、委員の皆様方の評価を記入していただければと思います。今日記入ができない委員の皆様方は、電子媒体で731日必着で事務局にお送りいただくということで、よろしくお願いしたいと思います。私の経験でいきましても、これを全部今日書き込むというのはなかなかストレスフルです。時間も非常に限られているということで、今日書ける委員の皆様はもちろん今日書いていただいていいのですが、不可能な方等については、31日までに評価を頂くということになります。よろしいでしょうか。

 

○亀岡委員

 今日こちらで書かれる方はいいかと思うのですが、持ち帰った場合に、評価している間に質問が出たり、御説明を伺いたいことが出たような場合は、それは可能なのでしょうか。

 

○政策評価官室長補佐

 後日、説明も可能ですが、時間も限られていますので。早めにお願いします。

 

○松尾部会長

 今日が25日で、31日ですので。週末も挟みますので、質問があれば早めにしていただいて。なるべく今日、議論の中でしていただければと思います。それでは、個別評価に入りたいと思います。先ほど言いましたように、個別の評価をまずしていただいて、それをまとめて、次回のこの部会で総合評価をするということになります。それでは、まず第1グループ、診療事業について評価を行いたいと思います。まず法人から説明を20分ぐらい頂きまして、そのあと質疑応答を、同じぐらいの時間をとって行いたいと思います。そのあと評価に入るということにしたいと思います。まず法人から説明をお願いしたいと思います。

 

○国立病院機構理事長

 理事長の桐野でございます。どうぞよろしくお願いします。一言御挨拶申し上げます。24年度の単年度の評価をこれからお願いするわけですが、平成24年度は、先ほどお話がありましたように、第2期中期期間の4年目ということです。私どもとしましては、この24年度の間に中期目標計画に従って着実に成果を上げてきていると考えております。これから個別の御説明はしますが、主な点は、資料2-1の「事業体系図」にあります。この中でもかいつまんで、主要なものについて簡潔に説明をさせていただきます。

 まず1枚目の診療事業についてですが、ポイントだけ申し上げます。「質の高い医療の提供」についてですが、ここでは特に診療データバンクを我々は使っています。これは、144病院全てのDPCのデータ及びレセプトデータを標準化したデータベースを構築していまして、その計測、分析により70の臨床指標を作成し、広く公表しています。その中の具体例としては、胃がん、大腸がん、膵臓がんの手術患者に対する静脈血栓塞栓症、これは重要なコンプリケーション、術後の合併症で、これを防がないといけないのですが、その予防対策の施行を目標値98%ということで行っております。また、この方法を国立病院機構以外の医療機関でも同様な臨床評価指標の作成を可能とするような計測マニュアルを公表し、我が国の医療の標準化に貢献するということを目指しております。

 診療事業はそのほかにたくさん事項がありますが、時間の関係もありますので、裏面を御覧ください。臨床研究事業については、理化学研究所と連携・協力の協定を締結していまして、先端医科学・医療分野に関する包括的な連携を構築しました。国立病院機構のネットワークを活用した臨床研究、例えば肺がんを対象としたNKT細胞を用いた治療の臨床研究をスタートするなどの事業を行っています。また、国際水準の臨床研究や、医師主導治験の中心的な役割を担う臨床研究中核病院に、国立病院機構の名古屋医療センターが選ばれました。これは、これまでは国立あるいは私立の大きな大学及びナショナルセンターに限られていましたが、その他の病院として初めて中核病院に選定されております。実際に選定されたのは平成254月ですが、24年中に準備をしたということです。

 それから、144病院全てを対象に、先ほどのデータバンクを用いて、近隣病院との疾患別のシェアの比較や患者の所在地の分析など、多角的な視点で臨床情報データバンクを活用して、臨床機能を分析できるようにしております。

 教育研修事業については、豊富な臨床現場と人材を活用して、高度な実践能力を持つ、あるいはチーム医療を提供できる診療看護師(JNP)の育成を行っております。平成24年度には、その14名が、厚生労働省の看護師特定行為・業務試行事業に指定された10病院で活動を開始しております。

 次に、経営の改善、固定負債割合の改善などについては、たくさん項目がありますが、かいつまんで言いますと、国立病院機構のスケールメリットをより一層活かすために、平成24年度に、国立高度医療研究センター、いわゆるナショナルセンターと、労働者健康福祉機構、いわゆる労災病院と医薬品、大型医療機器等について共同入札を実施し、材料費の抑制や効率的な投資を推進しました。また、それぞれの病院の運営面については、平成23年度決算において、減価償却前の収支が赤字になる病院等を対象に、平成24年度から3年間を実施期間とする「機構病院リスタートプラン」を実施しております。このプランに基づき、24の対象病院は、地域との連携強化等により早期に経営の再建・改善を図るために、経営改善計画を強力に実施するということになっていまして、本部としても、医療機器の整備促進などを助成し、ブロック事務所と密接に連携しながら、助言及び指導を実施してきました。こうした経営改善への取組の結果、平成24年度の経常収支が黒字化した病院が、このうち10病院と。逆に4病院が赤字になりましたので、法人全体の赤字病院は144病院中19病院にまで減少しております。また、法人全体としての経常収支は498億円プラス、収支率105.8%ということになり、中期計画を上回る水準を維持しております。

 また、長期借入金残高の問題については、機構発足時約7,600億円であった長期借入金を4,600億円を下回る水準まで削減していて、中期計画を達成しております。国立病院は、国時代には全体として国から2,000億円の国費の繰入れを必要とする状態でしたが、独立行政法人化した後、経営改善を進めて、平成24年度には診療事業に対する交付金は一切ないという状態で、赤字病院が19まで減少するということで、機構全体としては経常収支が498億円という状況となっております。

 ただ、それと同時に、投資が十分でないということがあります。平成30年度までに耐用年数を経過する老朽建物が、病棟で約4割、外来で約6割ということでして、今後は投資を促進して、利益を患者の療養環境の改善に還元しなければならないというような状況でございます。

 また、質の高い医療従事者の育成を更に推進するためには、看護大学等の連携をより強化して、国立病院機構のネットワークに集められた診療情報を分析研究する体制をも充実させて、こういったデータを活かした政策提言も今後促進していきたいと考えております。全体の中のポイントだけを申し上げましたが、概要としては平成24年度は以上のとおりでございます。

 

○松尾部会長

 桐野理事長、ありがとうございました。理事長のほうから、全般的な概要の説明をいただきました。続いて個別の項目について審議に入りたいと思います。最初、進行を間違えまして、桐野理事長から全般的な説明をいただいてから個別に入るという流れです。先ほど説明がありましたうちの第1グループ、診療に関する項目について評価を行いたいと思います。法人のほうから診療事業に関して20分ぐらいの説明をいただいて、そのあとディスカッションをいたします。よろしくお願いします。

 

○国立病院機構医療部長

 資料2-3A3横の資料を御参照いただければと思います。まず、グループ11「診療事業」、146ページまでの業務実績について御説明申し上げます。最初に1ページ右下半分の(1)患者の目線に立った医療の提供、1分かりやすい説明と相談しやすい環境づくり。患者満足度調査を平成16年度から実施しています。24年度も本音を引き出しやすいネガティブな設問形式を用いて、プライバシーに配慮して実施し、分かりやすい説明、相談しやすい環境づくりについて、入院については前年度平均値を上回り、外来では引き続き高い平均値を維持しています。また、2ページに機構病院全体の数値を記載しています。各病院ではそれぞれの調査結果を踏まえた取組、工夫を進め、特に前年度の平均値が低かった多くの病院で改善が進んでいるところです。例えば、クリティカルパスの積極的な活用や、3ページの、患者家族を対象とした勉強会、相談会の実施によって、分かりやすい説明のための更なる取組を進めています。また、図書コーナー・情報室を設置する病院も増えたほか、全ての病院で職員に対する接遇やコミュニケーションの研修を実施しました。

4ページの医療ソーシャルワーカーについても、24年度は60名の増員を行いました。5ページのセカンドオピニオンについては、24年度のセカンドオピニオン窓口設置病院数とセカンドオピニオン情報提供書作成数が増加しました。また、窓口設置病院の取組状況、どのような工夫をしているかについて調査をし、その情報を機構病院全体で共有しました。

6ページの3、患者の価値観の尊重。患者の利便性を考慮した結果、「多様な診療時間の設定」「待ち時間対策」のいずれについても患者満足度調査で改善が見られました。待ち時間対策では、7ページのスタッフの配置の充実を含む取組を行った結果、特に前年度での平均値が低かった多くの病院で改善しています。

8ページ、患者や家族を対象とした勉強会の開催により、患者自身のセルフマネージメントを支援しています。同じく8ページの、「個別の診療報酬の算定項目の分かる明細書」は、正当な理由があるとして届出をしている病院を除く141病院が、全患者について対応しました。もちろんこれ以外の3病院も、患者さんから求めがあった場合に発行可能となっています。

10ページ、自己評定です。患者満足度調査について、各病院が結果を分析して様々な改善を図っており、入院の項目を中心に、前年度平均値を上回り、外来でも高い平均値を維持しており、継続して満足度の向上を果たしています。医療ソーシャルワーカーの増員を更に進めたほか、クリティカルパスの実施件数増加、セカンドオピニオン窓口設置病院の増加、多様な診療時間設定や待ち時間対策の更なる工夫など、患者のニーズに対し、きめ細やかな対応を進めたところです。以上の取組などを踏まえ、自己評定「A」を計上しています。

12ページの(2)安心・安全な医療の提供です。1医療倫理の確立。病院内の相談窓口の個室化を更に進めたほか、建替を行った病院ではプライバシーに配慮した外来ブースの設置、面談室の増設などを行い、患者満足度調査においても、プライバシーへの配慮にかかる満足度が前年度を上回る高い水準を維持しています。カルテ開示請求については、開示することが治療の妨げになるなどのケースを除き、全て開示を行っています。

13ページ、全ての病院に設置している倫理審査委員会の審査件数は、前年を上回り、活発に活動しています。倫理委員会・治験審査委員会の委員を対象とした研修会を開催し、倫理的な問題について医療従事者へ助言することのできる体制の基礎となる人材の養成に努めました。また審議内容については、本部に設置している臨床研究中央倫理審査委員会や中央治験審査委員会と同様に、各病院のホームページに掲載するなどとして公開しています。

15ページ、医療安全対策です。2の病院間相互チェック体制の整備ですが、医療安全対策について病院同士で相互に訪問し合いチェックすることで、医療安全対策の質を均てん化し、更に向上させようとするものです。3病院単位の試行を24年度は、全6ブロック18病院に拡大をし、急性期大規模の病院だけではなく、障害者医療専門病院や、規模の小さい病院にも参加を広げ、病院の種類や規模が異なる場合のチェック体制や方法などの研修を行い、その結果を踏まえて、病院間における医療安全相互チェック実施要綱を新たに作成しました。この実施要綱をもとに今後、相互チェック実施病院数を更に増やす計画が進んでおります。

16ページの院内感染防止については、全病院で院内サーベイランスを実施しているほか、院内感染対策チーム等による院内ラウンドを行っています。また、感染管理認定看護師を配置している病院数、人数ともに増加し、院内感染防止体制を強化しています。医療事故等の報告については、日本医療機能評価機構が行う医療事故情報収集に積極的に協力するとともに、国立病院機構においても、警鐘的な事例についての発生原因や再発防止策を含めた事故の情報を、国立病院機構の医療安全白書として公表し、我が国の医療安全対策の充実に資する取組を行ったところです。

17ページです。6の長期療養患者が使用する人工呼吸器は、患者のQOLと医療安全の観点から、機構として定めた基本7要件を満たす人工呼吸器を各病院が選定することによって、標準化を推進する方針を各病院に通知し普及を図りました。

18ページ、8の転倒・転落事故防止は、転倒・転落事故のアセスメントシートの改良研究を行うなど、平成20年度から2年間、集中的にプロジェクトを実施しましたが、その終了後も取組を継続しています。これによって、影響度レベル3b以上の重症事例の件数及び軽い症例も含めた全転倒・転落件数に占める重症事例の割合がプロジェクト開始時及び前年度と比較して減少、改善をしております。

19ページの、医療安全対策に係る委員会の開催や研修も、引き続き実施しているところです。

20ページは自己評定です。医療倫理についてはプライバシーに配慮した取組を進めるとともに、全病院に設置された倫理審査委員会等が外部に情報公開をしながら活動しています。医療安全については、病院間相互チェックの試行と検証を、病院数を増やし拡大して実施し、新たに実施要綱を作成するなど、医療安全対策の標準化の取組を更に先へ進めました。また、感染管理認定看護師の配置、増員や研修を通じた対策の質の向上、更に我が国の医療安全対策の充実に貢献すべく、積極的な情報発信を行いました。以上の取組などを踏まえ、評定「A」を計上しております。

23ページ、(3)質の高い医療の提供です。1クリティカルパスの活用です。実施件数は昨年を更に上回り、24年度実績は286,226件で、20年度の17.4%増となりました。地域連携クリティカルパスについても実施病院数と件数が増加しました。

24ページの2、EBMの推進です。前年度に引き続き診療情報データバンクにより、全144病院を対象として、70の臨床評価指標を計測し公表しました。また、我が国の医療の標準化にも資するよう、指標の定義や算出方法を計測マニュアルとして、一般公開をしております。国立病院機構以外の医療機関でも、同様に指標を作成して医療の質の改善に役立てられるようにいたしました。また、臨床評価指標を用いたPDCAサイクルに基づく改善活動を新たに本部と2病院が協力して実施をし、多くの医療機関の参考モデルとすべく、取組と介入の結果を公表しております。また、EBM推進のための大規模臨床研究については、関連学会等で成果の公表を行っています。

26ページ、3長期療養者をはじめとする患者のQOLの向上では、ボランティアを積極的に受け入れて、地域とのふれ合いや行事など、イベントの開催に取り組むほか、季節の特別メニューなど食事の楽しみを増やしたり、患者のQOL向上に寄与しています。在宅療養支援では、重症心身障害児等の通園事業として、放課後等のデイサービスや児童発達支援などを実施しているほか、在宅の重症難病患者の入院受け入れや、相談サービスを提供するなど、難病医療対策の充実に積極的に協力しています。また、24年度は障害者自立支援法により、重症心身障害者が福祉サービスから療養介護サービスの対象に移行するという制度の変更がありまして、サービス提供の在り方について機構として検討し、報告書をまとめたほか、療養介助職を1,076名に増員し、介護サービスを充実させました。また、新たに介護スタッフが増えたことで、それに関わる看護師、療養介助員、児童指導員、保育士を対象とした療養介護サービス研修を実施しまして、知識の向上と多職種間の連携の強化を図りました。

27ページです。老朽化した病棟については、24年度末時点で25病院が更新整備を完成、20病院が工事中、26病院が設計中など、耐震化と療養環境の改善に積極的に取り組んだところです。

29ページの4、職種間の協働、チーム医療の推進です。チーム医療の推進のための取組として、病棟薬剤師や診療看護師、専門・認定看護師の配置を進めているほか、30ページにあるように、栄養サポートチーム、がん化学療法、輸血の各分野について、複数の専門職種の合同研修を行いました。

31ページの自己評定です。全144病院を対象とした臨床評価指標の計測分析結果と、指標計測マニュアル、PDCAサイクルに基づく改善の取組と介入結果を公表し、我が国の医療の標準化に貢献しました。クリティカルパスは実施件数が更に増加し、中期計画の目標を大きく上回る達成状況にあります。長期療養患者のQOL向上に関しては、重症心身障害者病棟での療養介護サービスへの移行を受け、検討会の開催や研修の実施による質の確保を行うとともに、老朽化した病棟整備を進めました。チーム医療の研修により、多職種間の協働を推進しています。以上の取組などを踏まえ、評定「S」を計上いたしました。

34ページの(4)、個別病院に期待される機能の発揮等です。1地域医療への貢献は、地域連携クリティカルパスの実施が増えるとともに、紹介率、逆紹介率が更に前年を上回り、結果、24年度新たに4病院が地域医療支援病院として指定されるなど、地域医療機関との連携が一層進展したところです。また、新たに地域がん診療連携拠点病院、地域災害拠点病院に、合わせて3つの病院が指定を受けたほか、35ページにあるように、各都道府県が設置する医療連携体制に関する委員会への参加病院も増加するなど、地域の医療体制構築について、関係機関との協議にも積極的に参加しました。また、厚生労働省が実施するモデル事業、在宅医療連携拠点病院にも2病院が採択され、在宅医療の支援体制づくりに協力しています。8の災害対策では、東日本大震災での経験を踏まえ、国立病院機構防災業務計画を改正し、災害時の拠点病院を拡充するとともに、新たに災害急性期に情報収集をしつつ、医療救護活動を実施する「初動医療班」を創設し、その研修も開始しました。また、災害時の対策本部に関する基準等を定め、連絡手段の確保の訓練や、東海地震を想定した訓練を行いました。

38ページ、救急患者の受入総数です。受入総数自体は前年度より減少したものの、より重症度の高い救急患者数を表す救急車による受入数は増加し、20年度から15.4%増となりました。また、救急受診後の入院患者数は20年度比で8.3%増加しています。

40ページ、2政策医療の適切な実施です。重症心身障害医療については全国の病床の約4割を占めており、引き続き在宅療養支援のための通園事業や、NICUの後方支援病床としての患者受入数が増加をしています。

41ページ、心神喪失者等医療観察法に基づく医療の確保については、制度発足時より主導的な役割を担っており、併せて医療観察法関連職種研修会の実施や、ほかの設置主体が運営する医療観察法病棟の研修指導等で中心的な役割を担っています。また、薬物・アルコール依存や認知症疾患についても、機構病院の専門性を生かし、診断水準の向上に貢献しています。

42ページ、結核医療については、国立病院機構の病院がほとんどの都道府県で結核の入院医療機関として指定されており、中でも薬剤耐性の多剤耐性結核など、比較的難易度の高い患者の診療を行うことで、地域の結核医療の最終拠点となっています。

44ページ、重点施策の受皿となるモデル事業の実施です。平成22年度から東京医療保健大学と連携し、救急などクリティカル領域における「診療看護師(JNP)」、これは私どもがそういう名前をつけて呼んでいる名称ですが、その育成に取り組んでいます。これは国の看護師特定行為・業務試行事業として、大学院2年間の教育プログラムに協力という形で養成しています。24年度はこの大学院2年課程を卒業した14名の1期生が機構の10病院で診療看護師として活動しました。この10病院は国の看護師特定行為・業務試行事業の指定を受けて診療看護師の活動評価を実施し、国で行われている新たな制度の検討に寄与する報告を行いました。

45ページ、自己評定です。東日本大震災の経験を踏まえて防災業務計画の改正など、より効果的な災害対応体制を充実させました。地域医療支援病院数、地域クリティカルパス件数、紹介・逆紹介率、地域医療の委員会等への参加病院数、地域の各種拠点病院に指定された病院数がいずれも更に増加しており、地域医療の中で積極的に求められる役割を果たしています。ほかの設置主体では必ずしも実施されないおそれのある医療観察法病床の58.8%、筋ジストロフィー専門病床の95.7%、重症心身障害病床の39.1%、結核病床の37.1%を国立病院機構の病床が占めており、引き続き、セーフティーネットとしての機能を担っています。チーム医療の推進に資する看護師特定行為の業務試行など、国の重要施策の受皿となる事業に率先して取り組みました。以上の取組などを踏まえ、自己評定「S」を計上させていただいています。グループ1の説明は以上です。

 

○松尾部会長

 専門用語も結構たくさん出てきて、専門以外の方はなかなか難しかったかと思います。何でも結構ですので、御質問、御意見をいただきたいのですが、参考に、資料2-234ページに、今説明をしていただいたものが、かなりコンパクトにまとめてあります。御覧になり整理していただきながら、御質問、御意見をいただきたいと思います。どなたからでも結構ですので、いかがでしょうか。多分、委員の皆様方には医療のことについて詳しい方もいらっしゃいますが、詳しくない方もおられます。私は病院出身なのですが、いろいろなことをやらないといけないと、独立行政法人となってかなり自己財源でやっています。例えば先ほどの療養スタッフは、これを見ると200人ぐらい増えています。そういったものも全部自前で賄われていて、非常に広範囲に、かつ政策病院でもありますから、いろいろなことをやられています。

1つお伺いしたいのは、国立病院機構があって、ほかの日赤や国立大学病院、いろいろなグループがあると思いますけれども、そういった所とのベンチマークで、私の目から見ると非常によくやられていると思うのですが、機構のほうから、ほかの所と比べて特に「S」を付けられている所がありますから、その辺りを若干、ほかとの比較の関係で御説明いただければと思うのですが、いかがでしょう。

 

○国立病院機構医療部長

 特に「S」を付けさせていただいている所は、私ども国立病院機構ならではの内容を、特にほかの設置主体の病院では、なかなか取り組みにくいセーフティーネット分野の医療であったり、あるいは国のモデル事業など必要とされている新しいテーマにいち速く取り組んだり、国の医療政策の具現化をするという使命をもって、ネットワークの強みを活かして成果をあげたところです。また、設定した目標数値に比べ、大きく前進しているものも「S」として自己評価をさせていただいております。

 ほかの機関とのベンチマークに関しては、私ども全144病院からレセプトとDPCのデータを集めており、その診療情報を分析して、機構病院の中で各病院が自院の実績を自己評価をし、PDCAサイクルに基づく医療の質改善に取り組むとともに、診療情報の分析では、地域の中のほかの設置主体の病院と比べて、私どものアクティビティがどうであるか、具体的には特定の個々の診療科や疾患領域ごと、あるいはがんの手術や化学療法、放射線治療等、そういうものに対して比較をして、どのくらいのアクティビティがあるのかを可視化できるようにしております。それによって、それぞれの病院が方向性を摸索する。例えば疾患の領域によってはより連携を探ったほうがいい場合、患者の紹介、逆紹介をどこの設置主体の病院と一緒にやるのがいいかを可視化をして、各病院が調べられるようにしている。そういうスキームを動かしていることも私どもは「S」として考えているところです。

 そして、地域の医療提供体制の充実に貢献することですが、地域医療は各都道府県が医療計画を作成することになっています。ちょうど24年度は新しい5か年の医療計画を各都道府県が策定された時期で、都道府県単位で地域医療の提供体制に関する委員会が活発に行われたわけです。私どもの病院はそこに、積極的に参加させていただき、先ほど申しました診療情報の分析、これは地域の中で患者さんの、例えば同じ二次医療圏で、流入、流出がどのくらいあるか、本来であればその医療圏で完結すべき医療を、その患者さんがどこの地域に行っているか等のデータを共有しながら、都道府県が地域医療計画を立てる際に、情報発信を行い、協力をさせていただいている。そのような取組はほかではなかなかされていないと自負しています。具体的な内容として「S」を付けさせていただいた事例としては、以上のようなものを考えております。

 

○松尾部会長

 多分、これは独法化する以前と言いますか、私の印象ですと、国立病院は個々でバラバラにやっていたのが、今お聞きしてかなり機構としての全体のガバナンスを利かして、機構全体の質を上げるとか安全対策を講じる、あるいは政策医療に取り組むというのはかなり統一をした取組ができているのかという印象を受けたのですが、桐野先生、その辺りのスタンスと言いますか、いかがですか。

 

○国立病院機構理事長

 今、先生が言われたとおりだと思います。例えば144病院の経営に関しては、購買、経営方針、それからそれぞれの病院がそれぞれの医療圏の中で置かれた位置、それから疾患ごとの特徴とシェア、周りの病院との協力関係などを機構本部で分析をして提供する形で、それぞれの病院の経営をサポートする活動を相当やってきたと思っています。資金面でも、資金の内部的な提供、それぞれの病院が利益を上げた場合の資金の預託のシステムというようなことを行っており、経営をサポートしています。

 教育面では管理職に就いた方々を、本部で教育をする機会がありまして、そこに3日とか、場合によっては23週間来ていただいて、集中的にセミナーをする。年に12回は他の場所で特別な、例えばリーダーシップに関する研修をやるというような形で、教育にもかなり力を入れてきています。研究面では、何度も申したとおり、144病院がかなり連携してやっていますので、もうあと一歩、医療情報の連携と共有化を図れば、相当強力な貢献ができると考えております。

 

○松尾部会長

 何でも結構です。

 

○山口委員

 いくつか意見と、質問を2つほどさせていただきます。患者の立場で参加させていただいていますので、個々の分野のことについて関心をもって拝見いたしました。まず、144病院という数があって、その数と、地域性の違い役割の違いがある中で、とてもお互いの病院が切磋琢磨して、いいところは共有しながら、非常に前向きに取り組んでいらっしゃると感じました。特に患者の声を聞く満足度調査も、ほかの病院ではめったに拝見することのないネガティブ調査をすることによって、特にどういう問題点があるのかをとても分かりやすく洗い出していらっしゃって、それが改善に大きくつながってきているとお見受けいたしました。

 そこで、質問は、まず1つ目に、ソーシャルワーカーの増員を図ることができたことで、特に132病院308名から135病院368名と、人数もかなり増えているということですけれども、私は今、病診連携であるとか地域医療連携を考えましたときに、病院によってソーシャルワーカーの必要度の高い病院と、ほかの役割の方がソーシャルワーカーの役割を果たしていらっしゃる重症心身のような病院もあるということからしますと、ソーシャルワーカーの必要性の高い所を調べて重点的に数を増やす計画に基づいて進めてこられているのか。特にこれから必要となる役割なだけに、単純に割りますと、まだ不十分な病院もあるのではないかという気がしますので、その辺りのところの、現状として足りない所がどれぐらいあるのかを少しお聞きしたいと思いました。

2つ目の質問として、待ち時間に対していろいろな対策をお取りになっているとのことです。特に病院に行って待ち時間が長いのは、どこの病院でも一番に挙げられる問題点だと思います。そんな中で特徴的な取組ということで、様々な、有効に過ごしてもらえるような取組をされていること、こういうこともほかの病院のいいところを盗んでいけるのが144ある良さかなと思いました。そんな中で詳しい資料を拝見していますと、やはり満足度が低いのが、外来の待ち時間の中でも、待ち時間が分からないことが挙げられていまして、私も経験の中で、待ち時間の目安が分かるのと、目安が分からないのとでは、同じ待つ時間でもストレスが全く違うという気がしています。それが満足度にも大きく跳ね返ってくるのかなと思います。これはどの病院にも共通する問題だと思いますので、どのくらい待ち時間の目安がわかる取組の共有化を図る努力を具体的にされているのかをお聞きしたいと思います。

 この2点の質問と、それからもう1つだけ要望というか、医療安全の3病院で、相互チェックをするという新たな取組をされていることをこちらで読ませていただきまして、これは非常に、チェックされる側もする側も、そして準備される段階でも、とても向上につながっているということを事前にも伺いました。そんな中で、確かに準備にいろいろと費やすことで向上していく面もあると思うのですが、本当にそれが末端に行き渡っているのかを見ようと思ったときに、計画的に回られる方以外に自由に見て回るような取組も1つ入れられると、全体としてどれぐらい取り組まれているのかが、より前向きに分かるのではないかという気がしました。そういうチェックの在り方についても今後は、もう一歩踏み込んでいただければと、お願いとして申し上げたいと思います。

 

○松尾部会長

 時間の関係もありますので、今の3点について簡潔に説明、お答えいただけますか。

 

○国立病院機構企画経営部長

1点目のソーシャルワーカーですが、国立病院機構は重点的に配置を進めていまして、基本的には必要な人員案を施設のほうで出されて、それについて本部と協議して決めておりますが、ソーシャルワーカーについては必要に応じてどんどん進めています。残りの8病院ですが、中には25年度中に3病院、配置する予定がありますし、残りの5病院は重症心身障害とか、ほとんど入退院のない病院です。一方、療養指導室がソーシャルワーカーの役割を果たしているところですので、基本的に必要な所には全て配置しております。先生がおっしゃるように、重点的に配置するところは、施設が必要としたものは基本的に認める方向で進めています。ソーシャルワーカー以外にも退院調整看護師を重点的に配置して、地域との連携を重点的に進めている状況です。

 

○国立病院機構医療部長

2点目の待ち時間対策は、目安になるように表示をしている病院の実例もありますし、どのくらい実際に待っているのか、どの部門で待ち時間が発生しているかを常にモニターをしながら改善している所があります。そのような具体情報を本部で集めて、あるいはあとで出てきますが、QC活動として待ち時間を取り上げるようなこともありますので、そういう良い取組については本部からも各病院にお知らせをする形で是非参考にしていただけるような活動をやっているところです。貴重な御意見、ありがとうございました。

 

○松尾部会長

 ほかに、委員からありますでしょうか。

 

○亀岡委員

2ページ目の、24年度の業務の実績の一番上に「調査結果概要」があります。平均ポイントの23年度と24年度の比較ですが、入院の総合評価のポイントは上がっています。一方、外来の総合評価が若干下がっているかのように見えます。その下の分かりやすい説明とか、相談しやすい環境作りを見ると、更にポイントが上がっているのですが、総合評価になると若干下がる感じがあります。これはそれ以外の評価の分も何か加わっているのでしょうか。

 

○国立病院機構医療部長

 これは患者満足度調査項目の内で分かりやすい説明、相談しやすい環境づくりを特に計画の柱にしているものですから、それ以外の事項で点数が伸びなかったところもあるかと思います。総合評価の点数に関わる項目はかなりたくさんありますので、例えば、会計手続に関する満足度が下がっているなどにより、総合評価としては全体として横ばいの結果になっています。

 

○亀岡委員

1つだけよろしいでしょうか。私もずっとお聞きしていて、大変アクティブと言いますか、いい部分の評価が多いのですが、今おっしゃったような、本当は今後改善していかなくてはいけない部分のところも、もし可能であればお聞きすると適切な判断ができるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 

○松尾部会長

 十分できなかったところとかですね。よろしいでしょうか。

 

○斎藤委員

 すみません、この世界はよく分からないので教えていただきたいのですが、ほかの病院と連携、地域と連携する、協力をするというのが、例えばビジネスの場合だといろいろな利益のコンフリクトがあって、なかなか難しい。それの調整はすごく大変ですけれども、この業界ではどのくらい大変なのか、どのくらい大変なことを達成なさったのかをちょっと教えていただけると評価しやすいのですが。

 

○松尾部会長

 これは多分、めちゃくちゃ大変なのですが、どうぞ。

 

○国立病院機構医療部長

 今の医療は地域完結型医療と言われるように、1つの医療機関の中だけで全ての患者さんの医療を完結するよりは、むしろ複数の医療機関同士で連携をし合うことがよりサービスとして、あるいは医療資源の有効な利用の点で良いとされています。例えば急性期の治療であったり、あるいは急性期を脱した方の医療であったり、リハビリであったり、これらを病院・診療所間、病院・病院間でスムーズに役割分担して連携することが求められております。

 それから、同じような急性期系の大きな病院が近くに複数ある場合には、その分野で、例えばがんであってもどのがんを得意とするかというような所での住み分けをする。これは、必ずしも最初からそのような役割分担ができるわけではありませんので、関係者の協議については、なかなか難しいこともありますが、ただ競合するというよりは、何らか連携の方法を摸索するという形で取り組ませていただいているところです。

 

○松尾部会長

 なかなか難しいところで、例えば1つのやり方として、国立病院機構の各病院は、おそらくほとんどの病院が地域で中核的な病院になっていますから、地域の医療計画等々、そうしたところに絡むとか、そういうことは多分されていると思うのですが、その辺りはいかがですか。

 

○国立病院機構医療部長

 地域の医療計画では、4疾病5事業について病院名を記載されているほか、医療計画作成にあたって委員会に参加させていただいたり、情報を提供させていただいたりすることで、データに基づく地域の医療体制の構築に積極的に関わらせていただいています。

 

○松尾部会長

 それでは、時間の関係で次にいきたいと思います。重複したような内容もあとで出てきますので、また御質問、御意見等をいただきたいと思います。

 次に、第2グループの臨床研究、教育研修、総合的事項について、機構のほうから説明をお願いいたします。

 

○国立病院機構医療部長

48ページから説明させていただきます。48ページ、2の臨床研究事業です。国立病院機構の全国的なネットワークと豊富な症例数を活かして、大規模臨床研究を推進しました。24年度はこれまでに解析が終了した課題について。

 

○松尾部会長

 ちょっとすみません。私が忘れていました。一応、ここで、この診療事業について、コメントを書く時間はないと思いますので、メモ程度で結構ですので、今の質疑をお聞きになった上で、評価だけ記入をしていただければと思います。今日、必ずしも提出していただく必要はありませんし、あとで訂正していただいても構わないのですけれど、忘れないうちに書いていただければと思います。

 よろしいでしょうか。それではすみません、ちょっと中断いたしました。

 

○国立病院機構医療部長

 それでは説明します。2-348ページ、2の「臨床研究事業」です。国立病院機構は全国的なネットワークと症例数が多いという利点を活かし、大規模臨床研究を実施しております。24年度はこれまでに解析が終了した課題について学会等で成果を発表しました。また、22年度、23年度の選定課題について患者登録を進めました。新たに2課題、大規模臨床研究課題を選定しております。

50ページです。国が、危機管理対策として新型インフルエンザワクチンを備蓄しておりますが、新たな備蓄方針を決定する際に不可欠なワクチンの免疫誘導効果、安全性といった研究を率先して実施しました。

52ページの2の1です。国が実施する臨床研究中核病院の整備事業、これは国際水準の質の高い臨床研究、難病等の医師主導治験を推進し、日本発の革新的医薬品等を創出しようというもので、国立病院機構の全国ネットワークを活かした臨床研究実施支援体制について、名古屋医療センターが私どもを代表して企画立案申請を行い本年4月に臨床研究中核病院に選定されるに至りました。また、臨床研究組織の評価は、引き続き研究症例数、論文発表数等の活動実績を各病院で点数化しており、各病院内の臨床研究組織の実績ポイント合計点は、前年度を更に上回りました。研究により得られた成果については論文投稿、学会発表を進めた結果、英文原著論文数等の情報発信の件数、インパクトファクターも前年を上回っております。

 次のページです。競争的外部研究資金の獲得を推奨しており、24年度は新たに30病院の臨床研究部と本部が文科省の科学研究費補助金を申請できる指定機関となりました。6EBM推進のための診療情報分析で、レセプトデータ、DPCデータなど診療情報の収集・分析を行うシステムである診療情報データバンクによって収集した全病院のデータを活用しまして、臨床評価指標を作成し、前年データとの比較を含め公表しました。また、前年度に引き続き、全144病院の診療機能について、それぞれの地域における役割、機能等をSWOT分析等により可視化したほか、54ページの中ほどに細かく書いてありますが、24年度は新たに手術の難易度や薬剤の投与状況など診療行為の詳細な分析、患者住所地データを用いた医療圏の受療動向分析を行いました。これらの結果は、診療情報分析レポートとしてまとめ、各病院が自分の病院の機能強化に役立てるとともに、主な分析の実例は国立病院機構のホームページで一般にも公表しております。

56ページ、治験の推進です。国が実施した「新たな治験活性化5ヶ年計画」において検討された、治験の効率化方策。その1つとして、「Performance Based Payment」があり、24年度より国立病院機構において導入をしました。また、治験の窓口を本部に一本化する「ワンストップサービス」を開始し、迅速かつ円滑な治験の実施に貢献しております。

57ページ、常勤の臨床研究コーディネーター配置病院数と配置人数は更に増加しました。また、臨床研究コーディネーター、医師、治験事務担当、倫理審査委員等、治験に必要な人材の研修を実施しました。研修内容には国際共同治験のための知識、能力の修得も含んでおり、国際共同治験の実施割合が増えております。

58ページです。治験に関するパンフレットを改訂し、広く治験の普及・啓発を進めております。6の平成24年度の治験実績は、症例数こそ前年度より減少しておりますが、20年度比では8%増です。これは5%増とした中期目標を上回っております。また、我が国の新薬開発等への貢献に関しては、21年度から24年度までに、新薬として承認又は適応追加の承認が国でされた医薬品486品目のうち230品目、割合にして47.3%について、国立病院機構の病院が承認申請の前提となる治験を実施しておりました。医師自らが主導する治験については、22年度に開始した、パーキンソン病に合併する精神症状に対する治験薬の多施設共同試験で、目標を上回る症例登録を行い、24年度から2年間の投薬が始まっております。また、糖尿病性腎症進展阻止のための抗血小板薬についても症例登録が進み、投与を開始しました。

60ページです。理化学研究所が保有する高度・先端医療技術を、国立病院機構において臨床応用するという連携・協力の推進に関する基本協定を前年度に締結しましたが、24年度はこの協定に基づいて「NKT細胞を介した肺がんの治療法開発」について共同研究計画の審議を行うとともに、治療に必要な細胞培養施設の整備や技術研修を行い、治療群、非治療群の無作為化比較試験の症例登録を開始しました。高度・先端医療技術の臨床導入の推進、職務発明の権利化の推進についても積極的に取り組んだところです。

62ページ、研究倫理の確立については、各病院の臨床研究委員会及び治験審査委員会、本部の臨床研究中央倫理審査委員会、中央治験審査委員会が活発に活動し、外部への情報発信に努めました。

63ページ、自己評定です。理化学研究所との連携・協力により、新たな肺がん治療法の臨床応用を進めました。また、新型インフルエンザワクチンの研究で国のワクチン製作決定に必要なエビデンスを提供したほか、質の高い治験を効率的に実施する取組を率先して進めつつ、医師主導の治験を進捗させております。これまでに構築した臨床研究推進体制、機構のネットワークを活かし、これまで国で選定された臨床研究中核病院10か所のうちの1つに機構の病院が選定されました。承認された新薬等の約半数は、国立病院機構で治験を実施していたほか、治験、倫理審査に携わる人材を育成するなど、我が国の治験・臨床研究の活性化にも貢献しております。また、全144病院を対象とした診療情報の分析を進め、成果を公表しております。以上の取組等を踏まえ評定「S」を計上させていただいております。

68ページ、教育研修事業です。(1)の質の高い医療従事者、特に質の高い医師の育成については、24年度は初期臨床研修医を672名受け入れるとともに、機構独自の後期臨床研修制度である専修医制度において16コース、25プログラムを設定し充実を図りました。24年度は3年コース71名、5年コース20名の専修医の修了認定を行いました。

69ページ、研修医・専修医を対象として平成22年度より開始した良質な医師を育てる研修です。この研修について内容、回数ともに、更に充実を図り、急性期系の医療のみならず神経難病、障害者医療等、セーフティーネット分野についても機構病院の多くの指導医が最新の講義や実習、グループワークに参加し、若手医師の知識・技術の習得に加え、医師としてあるべき姿を学ぶ機会を設け、全人的な医療を推進できる医師の育成に努めました。

 また、平成23年度に引き続き病院幹部育成を目的としたリーダーシップ、コミュニケーションの研修を実施しました。また、地域医療再生計画等に基づき、自治体、大学との連携により、地域医療に必要とされる人材育成を推進しております。

70ページです。専修医の留学制度では、24年度に10名がアメリカのVAホスピタルにて短期研修を行いました。また、米国から臨床教授を招聘することにより、平成24年度は、8病院において臨床講義、教育回診等を通じて米国流のEBMに基づく診断法、治療決定のプロセスを学びました。精神科領域では、テレビ会議システムを活用した多施設共同研修を行っており、24年度は8病院が参加し、毎週2回は症例検討やセミナーを実施しております。また、24年度、新たに精神科レジデントフォーラムを開催し、専門病院における精神科医療について、国立病院機構内外の若手医師が研修成果の発表を行いました。連携プログラムとして、初期臨床研修においては、急性期系の病院のみならず、結核、精神、障害者医療等、セーフティーネット分野の研修も機構のネットワークを活用して組み込んでおり、幅広い能力を有する医師の育成に努めました。

 次のページ、専門医取得等、スキルアップを目指す医師が、他の機構病院にて一定期間修練する、NHOフェローシップと名付けておりますが、国内留学の仕組み、体制を新たに構築しました。

76ページです。医師キャリア支援では、研修指導責任者部会にて91名の専修医修了者を認定しました。研修医、専修医に対しては情報誌『NHO NEW WAVE』を発行し、キャリア支援の情報を発信しました。

72ページに戻り、質の高い看護師等の育成では、附属看護師養成所の教員の質の向上を図るために、研究活動を奨励することを目的とした研究費の助成を前年度より開始し、その結果、学会への参加・発表件数が大幅に増加しております。2です。22年度より東京医療保健大学と連携し、高度な看護実践とチーム医療の能力を有する看護師育成に協力しておりますが、特に同大学院が実施しているクリティカル領域の特定行為を行う診療看護師養成について、機構の医師が臨床研修プログラムの作成や臨床教授として指導に当たるとともに、複数の機構の病院で実習を受け入れて指導をしております。243月に課程を修了した第一期生は、所属病院の診療部に配置をし、院内の複数診療科で修練を行い、本部においても、その活動状況の情報共有を行う等の支援を実施しております。また、この春、253月には、第二期生が課程を修了し、機構の11病院で活躍をしております。

74ページです。附属看護学校については、第三者評価を参考にカリキュラムの充実を図っております。75ページにあるように、看護師国家試験合格率は97.7%と全国平均を上回る高い実績を上げました。

78ページの看護師のキャリアパスについては、専任の教育担当看護師長配置病院が前年度より7病院増え99病院になったほか、専門看護師、認定看護師の配置病院数も増加し、配置数は99名増の592名となりました。以下79から80ページで看護師を対象とした様々な研修を紹介しております。

81ページです。24年度から新たに診療情報を扱う職員の知識・能力向上のため、「診療情報分析研修」を開始しました。また、チーム医療推進のための研修では、職種ごとではなく、職種横断的に専門知識、技術の習得を行う研修を継続的に実施しております。また、質の高い治験を推進する臨床研究コーディネーター、CRCの研修で、初級CRCについて、国立病院機構以外の病院からも参加を受け入れ、我が国の治験活性化に貢献しております。

83ページです。地域医療に貢献する研修事業では、地域の医療従事者を対象とした研究会や一般向けの講習会等、地域のニーズを踏まえ活発に開催した結果、開催件数3,266件は、中期計画の目標値15%増を上回る44.1%の増加となりました。

84ページ、自己評定です。良質な医師の育成については、機構の指導医のネットワークを活用したテーマ別の実地研修を更に充実させるとともに、リーダー育成研修を実施しました。各自治体や大学との連携により、地域に必要とされる人材の育成を進めております。治験推進の核となる人材養成や東京医療保健大学看護学部大学院との連携により、特に大学院では、全国に先駆けてクリティカル領域の診療看護師の養成に取り組んでおります。24年度に大学院課程を修了した第一期生の診療看護師について、所属病院で研修を行い、本部にても研修支援を行いました。地域の医療従事者を対象とした研究会等も、開催件数が大幅に増加しました。以上の取組などを踏まえ、評定「S」を計上させていただいております。

88ページ、総合的事項です。2の労災病院との連携ですが、厚生労働省において取りまとめられた「国立病院・労災病院の在り方を考える検討会」報告書で、連携方策を強化することが適当とされたことを踏まえ、診療連携のみならず、24年度より医薬品や大型医療機器の共同購入を開始し、人材育成についても両法人が主催する研修への相互参加を実施しました。

89ページ、エイズについての取組では、全国8ブロック中の4つのブロックでブロック拠点病院に指定されている国立病院機構の病院が、全科対応による診療、臨床研究、HIVに関わる医療従事者の育成を実施しております。また、各都道府県のエイズ中核病院や拠点病院の医療従事者を対象とした研修や会議をブロック拠点病院が積極的に実施し、エイズ医療の普及向上や病院間の連携推進を図ったところです。

92ページ、24年度は総合研究センターにおいて、診療情報データーバンクを用いて全144病院のDPCデータ、レセプトデータを収集・解析し、その成果を臨床評価指標や診療情報分析レポートとして病院に周知し、各病院におけるPDCAサイクルに基づいた改善を促進しました。前年に引き続き、2年目になりますが、70の臨床評価指標を計測し、その結果と計測方法のマニュアルについて、広く情報発信を行うことで我が国の医療の質の向上と均てん化に努めました。また、現在、国の医療政策として機能分化と連携が推進されていますが、前年度より更に詳細な分析項目を追加した診療情報分析レポートにより、各病院が自分の病院の診療情報に関する多角的な分析結果を基にして、他の医療機関と連携しつつ自ら担う機能や今後の方向性を検討し、地域ニーズに、より即した効果的な医療提供が行えるように、そのような活動を本部として支援いたしました。更に外部競争的資金を得て、診療情報の更なる活用手法の開発研究も行いました。

94ページ、自己評定です。労災病院との連携を着実に進めたほか、エイズについてはブロック拠点病院を中心にエイズ医療の充実に努めました。総合研究センターにおいては、収集した診療情報をもとに、臨床評価指標の計測、PDCAの新たな介入、診療情報分析レポートの更なる内容拡充を行い、その情報を発信しました。以上の取組等を踏まえ評定「A」を計上させていただいております。グループ2の説明は以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。委員の皆様のほうから御意見、御質問はございますか。先ほど臨床研究で、我々も経験はありますが、目標症例は統計的にきちっとデータが取れるような症例数を設定し症例登録をしますが、これはなかなかうまくいかないのですが、目標を上回って登録されているというのは、何か特殊なことをやっておられますか。目標を達成するのは、実際、非常に難しいです。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 我が国の治験が、ほぼフラットの状態で頭打になっているところで、数を増やすのは大変難しいと思っております。私どもは、治験依頼者のほうから頂いた目標症例数についての達成率が70%前後で、正直申し上げると著しく高いかと言われると難しいと思っております。ただ難易度の高い入院治験とかがんの患者さんが、今はほぼ半分近くを占めているような状況で、できるだけ患者さん方に協力していただけるような努力を日々してはおります。

 

○松尾部会長

 もう1つ研究で、結構患者さんが多く、市場に出したときに非常に利益が上がるものについては、いわゆる企業治験を結構やりますが、希少疾患とか、あまり企業が手を出さないような治験については、いわゆる医師主導治験になります。これをやるときには、お金がすごくかかるので、財源が非常に問題になります。国立病院機構のほうでは医師主導治験をかなり積極的にやっておられますが、財源等はどうしてますか。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 先ほど提示させていただいた2つの試験、両方ともが内部の財源でやっております。両方ともプラセボ対照試験ですが、プラセボ薬について、私どもが作ることはできませんので、それは製薬企業から無償で提供していただいております。治験ですので、良い結果が出たときには私どものデータを提供し、承認申請をしていただくことを前提にして無償で提供していただいております。治験薬以外はモニタリングとかも外部のCROを使っているわけではなく、私ども機構本部の人間がモニタリングに行くことによって、治験の質を担保いたしております。そういった質の担保をしながら、国立病院機構の臨床研究の質を上げるようにPDCAサイクルを回すことも目的としております。

 

○松尾部会長

 はい、ありがとうございます。ほかに、委員のほうからいかがでしょうか。

 

○富田委員

 先ほどの臨床試験のところで「Performance Based Payment」とおっしゃいましたが、あれはどういう意味なのでしょうか。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 昔、国時代は症例を契約した段階で企業のほうからお金を頂いていて、症例を実施していない段階でもお金を頂けていた時代がありました。それでは国際的な商慣習からいっても難しいということで、一時は症例を登録した段階で1症例分全額を頂くという話になっておりましたが、だんだん細かくなっており、症例を登録した段階で、例えば30%、真ん中まできた時に残りの30%、最後終了した時に残りのお金を頂く。そのような請求方法を国のほうが提案しており、それを「Performance Based Payment」と申し上げております。

 

○松尾部会長

 はい、ありがとうございました。ほかにいかがですか、特に教育研修のところで、よろしいでしょうか。

 それでは、この第2グループについて評価シートへの記入をお願いします。もう2時間ぐらい経っておりますので記入時間5分ということでお願いします。

(休憩)

 

○松尾部会長

 引き続き、第3グループ「効率的な業務運営体制」について評価を行います。法人から10分ぐらいを目途に説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

96ページを御覧ください。本部ブロック機能の強化についてです。平成24年度も、51131センター体制で、月次決算、年度計画、増員計画、投資計画、労務管理等の管理業務のほか、医療機器等の共同入札、治験の推進、診療情報の分析等を行うことにより、各病院の業務を支援しております。特に平成24年度においては、資金管理業務を一元化するとともに、本部に経営情報分析部門を設置するなど、本部の機能強化を図っております。また、国立病院機構防災業務計画に基づく本部業務体制を見直しており、被災地域の被害状況の情報収集や医療救護支援等を迅速に行うための緊急連絡体制等を規定しました。今後も継続して本部業務体制の見直しを行うこととしております。

97ページです。再生プランの終了後の経営改善の取組として、平成23年度決算において、減価償却前収支が赤字等となっている病院を対象に、平成24年度から3年間のうちに収支相償を実現することを目的として、「機構病院リスタートプラン」を実施しました。同プランに基づき、対象病院は地域との連携強化や診療組織体制の見直しなど病院改革に取り組み、早期に経営の再建・改善を図るための経営改善計画を作成し、実行することとしております。また、本部としても、医療機器の整備等を重点的に助成するとともに、ブロック事務所と緊密に連携し、月次決算における進捗管理、助言及び指導を行っております。この結果、平成24年度の経常収支が黒字化した病院は10病院、経常収支等が前年度実績を上回っている病院は10病院となりました。

98ページ、効率的な管理組織体制についてです。本部と6ブロックの体制を維持しつつ、引き続き国立病院機構全体の事務職員の効率的配置を行いました。国家公務員の再就職についてですが、平成24年度においては、国家公務員の再就職者はおりません。また、嘱託ポストや非人件費ポストも設置しておりません。

99ページと100ページ、内部統制の充実についてです。本部における組織体制を維持しつつ、平成24年度も引き続き内部監査やコンプライアンスの推進に対応しております。2の内部監査についてですが、全病院で書面監査を実施しております。

100ページ、実地監査ですが、特に契約と収入管理、支払いに関するものを中心に重点項目として定め、47病院と本部及び1ブロック事務所を対象に実施し、業務改善を図っております。なお、内部監査計画で実地監査を計画した病院に限らず、会計処理の不適正な事案が認められた病院については、臨時の内部監査を実施しております。コンプライアンスの徹底については、新規採用職員の研修時の職員への周知に加え、各病院のホームページや院内の掲示等による取引業者等への周知も行っております。さらに、平成22年度からは、各病院において本部で作成した法令遵守状況に関する自主点検チェックシート(マニュアル)を活用し、職場内における四半期ごとの自主点検を実施しております。

101ページ、弾力的な組織の構築についてです。診療情報を基に医師、看護師など、診療部門に対してコーディネートしていく役割を担う診療情報管理士については、平成24年度から新たに基本給表を設け、事務職員とは区分し、充実を図っております。また、副院長の役割と院内での位置付けを明確化した副院長複数制については、平成24年度に新たに4病院で導入するとともに、機能に応じて特命事項を担う副院長を新たに7病院において設置し、病院経営、地域医療連携、看護師確保の特命事項にそれぞれ取り組んでおります。

102ページ、地域連携部門の体制強化についてです。平成24年度において、58病院で専任職員86名の増員を行い、これまでに138病院で専任職員499名を配置し、紹介率等の向上を図っております。また、医療安全管理部門の強化についてですが、平成23年度までに全ての病院の医療安全管理室に専任の職員を配置し、中期計画を達成しております。看護部門については、病棟部門は必要な職員数は常勤職員で配置し、外来部門は外来受付時間や外来診療時間帯に合わせた非常勤職員の配置を極力行うなど、効率的、効果的な看護師配置を行っております。また、看護師のキャリアパス制度の充実のため、専任の教育担当師長、認定看護師、専門看護師を配置し、体制整備を進めております。事務部門については、診療報酬請求事務の改善を図るなどのための医事専門職の複数配置を、平成24年度に33病院から37病院に増やしております。

103ページ、人材育成、教育研修機能の強化についてです。1のキャリアパス制度の充実については、先ほど御説明したとおりです。2の教育研修部及び教育研修室の設置については、平成24年度、新たに教育研修部1病院、教育研修室1病院を設置し、累計で教育研修部30病院、教育研修室12病院となっております。

104ページ、組織のスリム化・適正化に向けた取組についてです。1の院内組織の効率的・弾力的な構築は、先ほど御説明したとおりです。2の職員の給与水準及び諸手当については、次の評価項目で詳細に記述しておりますが、給与水準については国の給与制度等を踏まえ、通則法にのっとって適切に対応しております。諸手当についても、国の給与水準を踏まえた対応を行っており、一部の国と異なる手当については医師確保対策や国の補助制度に対応するなど、専門化・高度化した病院を運営する当機構の特性を考慮したものとしており、その趣旨及び目的を明確にしたものとしております。

105106ページです。職員配置については、各部門において業務量の変化に対応した柔軟な配置としております。育児短時間勤務については、平成19年に導入しております。平成24年度は、433名が取得しております。2の技能職常勤職員の離職後の不補充については、平成24年度は142名の削減計画でしたが、これに対し、これを上回る173名の純減となっております。そのほか、検査部門におけるブランチラボや給食業務の全面委託など、アウトソーシングを必要に応じて進めております。

107ページ、職員の業績評価等の適切な実施についてです。院長ほか年俸制の職員について、平成24年度の年俸においてもそれを反映させるとともに、年俸制以外の管理職や一般職員についても、平成24年度も継続して6月及び12月の賞与に反映しております。また、全ての常勤職員へ業績評価制度が整ったことに伴い、平成221月昇給から、業績評価結果を昇給に反映させております。なお、平成236月の賞与から全職員に個人の評価結果を知らせ、業務遂行能力及び業務実績の向上を図っております。さらに、各病院の運用状況を確認し、参考となる取組事例を全病院に周知するとともに、平成24年度においては、各ブロック事務所の業績評価担当者を本部に召集し、病院における問題点や取組について情報共有をしております。また、業績評価に係る研修については、受講者が受講しやすいようテキストをブラッシュアップするなど、研修時間の短縮及び研修内容の充実に努めるとともに、機構全体の評価結果の公表や参考となる目標設定事例の情報提供など、制度の一層の周知及びその運用の向上・充実を図っていくための施策を講じました。また、評価の質の向上のために、新たに評価者となった職員約300人のほか、既に評価者となっている者約300人に対する研修も実施しております。

108109ページです。監事監査、外部監査等の充実についてですが、1の評価委員会による評価については、各病院に周知徹底を行い、病院運営に反映させるための意識付けを行いました。2の会計監査人による病院監査の実施については、平成24年度も現地監査を本部及びブロック事務所並びに全病院を対象に実施し、業務改善を図っております。併せて、ITの利用に関する統制状況の評価も会計監査人によって行われております。そのほか、会計制度に関する説明会の実施や会計監査人からの指摘に対する対応についても、平成24年度も引き続き取り組んでおります。

109ページです。監事機能との連携の強化についてですが、平成24年度においては、内部監査に加え、10病院の抜打監査を実施しました。抜打監査においては、契約に関する監査に加え、抜打手法が最も有効と思われる現金等の取扱いに対する監査についても実施し、業務改善を図っております。

110ページ、外部評価の活用についてですが、日本医療機能評価機構の病院評価認定病院数は、平成24年度は1病院が新たに認定され、合計で51病院となりました。そのうち35病院については、最新の評価体系で更新認定されております。また、平成25年より病院機能評価の枠組みが見直されることに伴い、新たな枠組みについての通知を各病院へ発出し、受審を促しております。そのほかにも、評価シートに記載のある「ISO9001」など、平成24年度時点で5病院が認定を受けているなど、様々な外部認定を受けております。

111ページ、再編成業務等の実施についてですが、善通寺病院と香川小児病院の統合は、統合新病院の名称や運営方針の決定、職員配置計画や患者移送計画の策定・実施などの諸準備を着実に進め、平成2551日に「四国こどもとおとなの医療センター」を開設しております。

112ページからは自己評定です。各評価項目に対する平成24年度の業務実績については、御説明したとおりです。地域医療連携室への専任職員の配置を着実に進めるとともに、全病院の医療安全管理室への専任職員の配置は既に中期計画を達成しております。また、全病院を対象とした会計監査の実施などについても中期計画を達成しております。さらに、職員に対する行政評価について、研修の充実や運用の向上を図っていくための施策を講じております。以上の取組を踏まえ、「A」評価で自己評定をしております。よろしくお願いいたします。

 

○松尾部会長

 それでは、委員の皆様方から御意見、御質問をよろしくお願いします。

 

○山口委員

1つだけ質問をします。105ページの職員配置のところで、育児短時間勤務の人数の増加と書かれていますが、対象となる職員は医師を含めた職員ということでよろしいでしょうか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 全職員が対象になります。

 

○山口委員

 医師も対象ということですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 そのとおりです。

 

○高瀬委員

97ページにリスタートプランとありますが、対象24病院は減価償却前収支が赤字になっていたということで、いわゆる赤字病院ということですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 重点改善病院と要改善病院があって、減価償却前収支が赤字等になっているのは運営費が賄えない病院で、これは当初5病院です。残りの19の病院は経常収支が赤字となっております。

 

○高瀬委員

 合わせて24病院ですね。そのうちの10病院は黒字化したということですが、それとは別に5病院が赤字になったというお話がありました。それはこの対象の24病院以外ということですね。

 

○国立病院機構企画経営部長

 先ほどの説明に誤りがありましたので御説明します。平成24年度は10病院が黒字化して、5病院ではなく、4病院が赤字になっております。この赤字病院については、リスタートプランの対象外の病院です。対象外の病院で医師不足等の様々な要因がありますが、それにより赤字になった病院があります。

 

○高瀬委員

 そうすると、次の対象病院は、10減って4増える形になるわけですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 赤字になった病院については、リスタートプランの対象として指導・助言を行っております。黒字になった病院については、いわばリスタートプランを卒業した形になっております。

 

○高瀬委員

 もう1点だけ、101ページにある診療情報管理士というのは、ほかの事務職員と区別するということですから、これは事務職員なわけですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 病院における医事、あるいは会計等の様々な事務職を行うのではなく、診療情報、例えば医事データ、あるいはレセプトデータ等を分析することを専門とする職員で、一般の事務職員とは区分して配置しております。

 

○高瀬委員

 医師、看護師ではないわけですね。

 

○国立病院機構企画経営部長

 医師、看護師ではなく、診療情報管理士という資格があって、それを持っております。それを持っている者を配置しております。

 

○高瀬委員

 医師、看護師をコントロールするとなると、かなり権限を強くしないといけないのではないでしょうか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 コントロールするということではなく、診療情報の取得状況や、診療の中で更に効率的な診療を診療情報などから読み取って助言するという位置付けになるかと考えております。

 

○斎藤委員

 よく分からないので教えてください。105ページの技能職ですが、これはいわゆるリストラを行ってコストを低減させようとした試みなのか、あるいは御自分からお辞めになった人たちなのか、どういう形でお辞めになり、それを純減の形に持っていったのか、その辺りの事情を教えていただけますか。

 

○国立病院機構総務部長

 内容については、定年退職と自己都合と両方おります。今お話があったようなリストラをしたということではありません。

 

○国立病院機構企画経営部長

 ただ、退職後不補充で、基本的にはアウトソーシングしていくと。昔で言えば、ボイラーや電話交換手、自動車運転といった職種です。

 

○松尾部会長

 多分、これは技能職で、医療職以外の方ですね。ドクターや看護師などは、逆にかなり増えているということですね。

 

○富田委員

 なかなか一言では難しいかもしれませんが、このリスタートプラン。赤十字も同じぐらいの数をリスタートさせようとして苦労しております。1年で10の病院が黒字化というのは我々にはとてもまねのできない程の成績ですが、どのようなことをされているのか、もしも説明するとすると、短い言葉で言うとどんなところなのでしょうか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 国立病院も経営改善を進めておりますが、もともと独立行政法人以前から労使関係の適正化や再編成などに取り組んできて、独立行政法人の中で企業会計の導入や独立採算で経営意識を持っていただいた中で、経営改善を一貫して続けております。そういう中で、先生に申し上げるのは釈迦に説法ですが、医療機関、地域の事情、医師の確保状況など、いろいろな点で問題がある病院、あるいはその機能が若干ずれてしまった病院があるので、昨今は経営情報等を分析しつつ指導・助言を行う中で、本部、あるいはブロックと連携する中で経営改善が着実に図られているのが今のリスタートプランの現状かと思います。

 

○亀岡委員

 先ほどのリスタートプランの件で、確かに改善している病院はV字型の改善をされているかと思いますが、一方で赤字になった所は、基本的には大きく収入が下がっていると。先ほどおっしゃったように、原因は分かりませんが、医師がいないとか、そういう所だと思いますが、平成24年から3年間のリスタートプランということで、これはやっていると思いますが、今回著しく下がった所、赤字になった病院は著しく下がっているのです。少し下がったから赤字になったのではなくて、全部著しく、何億も下がっています。この病院がリスタートプランに乗ってきたときに、いつまでに黒字化を予定されているのか。リスタートプランというのは、赤字になったらすぐにまたリスタートプランを毎年作り直して、そこから3年計画をするのか、これがV字型になると大変だと思うのです。黒字の所は努力されてこういう状況になってきているのでしょうから、この辺りのお話をお聞きしたいと思います。

 

○国立病院機構企画経営部長

 先ほど申し上げたように、平成24年度で赤字になった4病院は、もともとリスタートプランの対象となっていなかった病院です。原因は、医師がいなくなり、医師がいなくなると病院も収入が途絶えるので、非常に急激に経営状況が悪くなったとか、様々な原因があります。このリスタートプランは平成26年度までありますが、それらについては、その中で重点的に指導・助言等を行って改善を図りますが、その後も計画的に経営改善を図りたいと考えています。国立病院機構は、独立行政法人化以降、全体として経常収益等を伸ばして経営改善をしましたが、今後は個別の病院の状況、地域のニーズや機能を踏まえて、個別対応ということでやっていきたいと考えており、引き続き、その点は重点的に行いたいと考えております。

 

○国立病院機構理事長

 全体的なことですが、国立病院機構は144病院あって、その起源は、一部の大きな病院は昔の海軍・陸軍病院であり、これは比較的立地の良い所にあって、大きな病院です。そのほか、傷痍軍人療養所や日本医療団の結核療養所などの病院は、比較的立地が山深き丘の上とか、もちろんその当初の目的は結核などですから、そういうところを引き継いで医療をやっているという事情があり、必ずしも立地上、経営上易しいわけではなく、難易度の高い所があります。そういう所は、いろいろな方法でサポートをして、工夫をしておりますが、例えば何かのきっかけで医者がいなくなるということが起これば、先ほどおっしゃったようにガクンと落ちます。それでもいろいろな手を使って、例えば機構の病院が相互に医者を何とか少しお願いをするなどして、少しずつ持っていくという手法で、難しいですが、やっております。

 

○松尾部会長

 資料2-3の別冊で、個々の病院について、これで全部分かるわけではありませんが、特徴などが分かるかと思いますので、御参照いただければと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、次に進みます。第4グループ「業務運営の見直しや効率化による収支改善」についてです。説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 その前に、先ほどの赤字になった要因で、1病院については建替の影響で赤字になっておりますので、その点だけ補足します。

 

○松尾部会長

 あとの3病院は医者ですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 医師関係と、それ以外の要因は、少し黒字だったのが赤字になってしまったという所もありますが、2病院ほどは医師関係が大きく響いていると思います。

 

○松尾部会長

 急激に赤字になる病院は、大抵そういう要因ですね。大量に辞めたとか、大学との関係が悪くなるとか、いろいろあります。

 それでは、第4グループをお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

115ページ、「業務運営の見直しや効率化による収支改善」について御説明します。1の収支相償を目指した収支改善の推進については、職員の適正配置等により診療報酬上の上位基準の取得を図るとともに、材料費等のコスト抑制に努め、個々の病院においても収支相償以上を目指して改善を推進しております。その結果、平成24年度の経常収支は498億円、経常収支率105.8%となっており、機構全体として収支相償を達成し、高い水準を維持しております。2の年度末賞与の実施については、平成24年度は医業収支が特に良好な98病院で支給しております。3の個別病院ごとの経営改善計画の実施及び支援については、先ほど御説明した97ページと同じ内容です。

116ページ、4QC活動による取組ですが、「できることから始めよう」をスローガンに、職員の自主的な取組の推奨を評価しております。5の事務・事業の見直しについては、全国一斉の患者満足度調査の実施、全病院での意見箱の設置と、これらの意見を参考にした業務改善を行っております。また、業務改善に取り組む職員を人事評価で適正に評価するとともに、国民のニーズとずれている事務・事業の見直しも推進し、平成24年度には病棟の稼働状況に応じた整理・集約により、11病院、362床の病棟を集約しました。

117ページ、福利厚生費の見直し関係についてですが、法定外福利費については、業務運営上必要不可欠なものに限定して支出を行っております。平成24年度も、引き続きレクリエーション費用は支出しておりません。弔電・供花は厚生労働省に準じた基準で実施しております。健康診断等については、労働安全衛生法に基づくものと感染防止を目的としたワクチン接種を実施しております。表彰制度については、厚生労働省の基準を踏まえて実施しているものと、先ほどのQC活動の奨励ということで実施しております。

118ページ、経営力の向上についてですが、平成24年度も引き続き医事業務研修を実施しております。この研修では、医事担当の職員に加え、医事経験のない若手職員や経営企画担当職員も対象とし、診療部門に対し経営的視点から積極的に助言等を行える人材を育成しました。また、病院経営の知識の習得や経営改善方策を着実に実践する能力の向上などを目的とした病院経営研修を、各病院の経営企画担当職員に加え、医師、看護師等の医療職を対象に実施しております。さらに、効率的なレセプト点検手法を習得するための診療報酬請求適正化研修を平成24年度から新たに実施しております。

119ページ、政策医療に係るコスト分析についてです。平成23年度の検証結果を踏まえ、政策医療の実施に係る経営上の課題について経営情報等を分析し、効率的な運営体制について検討することを目的として、平成251月から新たに経営情報分析部門を設置しております。

120ページ、業務運営コストの節減についてですが、材料費について平成24年度に医薬品等について国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)及び労働者福祉医療機構(労災病院)と連携して共同入札を実施し、スケールメリットを活かしたコスト抑制を図っております。また、医薬品については、平成2410月及び平成251月に市場価格の状況等を踏まえ、契約価格の見直しを行っております。これにより、更なる医薬品費の抑制を図っております。検査試薬については、平成253月に契約価格の変更を行っております。

121ページ、適正な在庫管理についてですが、SPDの導入等を引き続き推進し、共同入札の実施による経費節減と合わせて、高額医薬品の使用増などがある中で、材料費の抑制に努力しております。また、5の後発医薬品の利用促進については、平成247月から医薬品共同購入品目に後発医薬品を数多く追加しており、各施設における購入簡素化を図っております。なお、採用率の状況は金額ベースでは平成23年度の9.6%から9.8%に、数量ベースでは平成23年度の29.2%から30.5%に、それぞれ向上しております。

122ページ、人件費率についてです。1の業務委託契約の検証についてですが、全病院における業務委託契約の契約額等について調査を行い、比較検討が行えるよう、各病院に結果のフィードバックを行っております。また、2の人件費率と委託費率を合計した率の抑制についてですが、各種取組により、平成24年度は55.3%に抑制することができました。

123ページ、5の人件費の見直しについてです。技能職の退職後不補充、あるいは非常勤職員への切替え、アウトソーシング化、非効率となっている病棟の整理・集約により、収益に見合った職員配置を進めております。これにより、人件費として31億円の削減を行いました。一方で、心神喪失者等医療観察法に基づく専門病棟の運営や、障害者自立支援法に基づく筋ジストロフィー病棟における療養介護事業など、国の制度の創設・改正に伴う人材確保が必要となっております。また、救急医療、周産期医療への対応や政策医療の推進、医療サービスの質の向上、医療安全の確保のため、人材確保が必要となっております。このため、人件費として約115億円が増加しております。この結果、平成24年度の常勤職員の人件費は、前年度と比較して85億円の増という状況です。引き続き、非効率となっている病棟の整理・集約等による人件費の削減を図っていくとともに、患者の目線に立った良質な医療を提供し、国立病院機構に求められる役割を着実に果たすために必要な人材確保を行っていくこととしております。6の職員の給与水準については、国の給与制度等を踏まえ、通則法にのっとって対応しております。平成236月の閣議決定に基づく国家公務員の給与減額支給措置への対応については、医師や看護師等の人材確保が困難となっている状況を踏まえ、適切な医療水準を確保することが必要であることから、本部の全職員及び病院の幹部職員を対象として、国に勤務する職員と同様に給与引下げを実施しております。

124ページ、国と異なる手当についてですが、民間医療機関等の給与実態を踏まえ、救急医療、深夜勤務等に応ずる手当については、職務の困難性を考慮したものや国における勤務医の処遇改善を支援する補助制度の創設に対応するものになっております。医師確保等を図るための手当についても、医師不足に対応するためのものや専門化・高度化した病院を運営する国立病院機構の特性を考慮した手当となっております。また、独立行政法人に求められる能力実績主義を踏まえた手当及び俸給の調整額についても、独立行政法人における給与制度の趣旨にのっとって、独立行政法人移行時に設けたものなどがあります。こうした点で、国と異なる諸手当となっております。

125ページ、投資の効率化についてです。1の全面建替整備、病棟建替整備等についてですが、平成24年度は全面建替が1病院、病棟建替が18病院、外来等建替が3病院ありました。また、平成24年度に着工した28病院については、設計仕様の標準化の取組を引き続き行い、契約価格を平成23年度と同水準、すなわち国時代の建築コストの約5割減に抑制しております。さらに、平成24年度には「病院設計標準(手術・放射線部門編)」を作成しております。発出は平成2543日に行っております。3の建設コストの削減についてですが、整備単価の見直しや入札情報の早期の情報提供を行い、引き続き推進しております。4の大型医療機器の共同入札についてですが、平成24年度入札分については、平成23年度中から手続に着手し、早期整備を図るとともに、新たにマンモグラフィーを加えた9品目を対象機器として共同入札を実施しております。これにより、スケールメリットを活かし、保守費用を含めた総コストで市場価格を大幅に下回る購入価格となるなど、効率的な設備整備を行っております。また、平成24年度入札分については、導入費用の一層の削減を図るため、労働者福祉医療機構(労災病院)との合同実施を行いました。

126ページ、医療機器の価格情報等の共有については、平成24年度も引き続き65種類の対象医療機器について、毎月各病院に価格情報の提供を行っております。

127ページです。適正な契約事務の実施については、「契約監視委員会」での契約状況の点検として、「競争性のない随意契約」、2,048件のほか、評価シートに記載している契約について監事及び外部有識者による点検を実施しました。また、2の「随意契約等見直し計画」についてですが、平成24年度に締結する契約を契約監視委員会において事前点検しており、真に随意契約によらざるを得ないものを除き、一般競争契約への移行を進めております。その結果、平成24年度実績においては、競争性のない随意契約の件数は計画を下回っております。

128ページ、3の適正な契約事務の徹底についてですが、平成24年度も引き続き契約監視委員会による事前点検を実施しております。また、「公益法人に対する支出の公表・点検の仕方について」という行政改革実行本部決定に基づき、公益法人に対する支出については定期的に公表することとされたことを、各病院に文書により指導しております。さらに、連続一者応札・応募案件の改善を図るための対応策を、各病院に対し文書により指導を行うとともに、「『独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて』における改善状況のフォローアップについて」という総務省の事務連絡を踏まえ、2か年連続して一者応札・応募となった案件について、1件ごとに改善に向けた取組内容を記載した個票を契約監視委員会で点検し、本部ホームページで公表しております。4の契約情報の公表についても、引き続き行っております。5の会計事務に係る標準的業務フローの徹底についてですが、平成24年度においては契約、固定資産管理、旅費、交通費に関する業務フローを一部改正し、活用方法等について再度周知を行っております。

129ページ、市場化テストの実施についてです。事務消耗品等の物品調達業務について、平成237月から事業を開始しており、平成246月に行われた政府の官民競争入札等監理委員会において、本事業の経費削減効果が認められております。なお、事業費の節減効果は6か月で約3,000万円となっております。また、更なる事業費の削減を図るため、平成247月及び平成251月に価格改定を行うとともに、対象施設、対象品目の拡大のため、未参加施設に対して新たな参加を呼び掛け、参加施設に対しては要望品目アンケートを行うなど、平成25年度に行う次期入札への準備を進めております。

130ページ、一般管理費の節減についてですが、水道光熱費の費用節減など、経費の節減、縮減、見直しなどを図り、平成24年度は45,800万円となっております。

131132ページです。事業費における冗費の点検・削減についてです。既に御説明した医薬品や大型医療機器等の共同入札の実施等の取組のほか、132ページの2にありますように、平成24年度は省電力化による費用削減効果のあるLED蛍光灯の調達について、ネットを通じた競り下げ方式のリバースオークション方式を用いて共同入札を実施しております。5の冗費の点検・削減への取組、6の職員研修における周知徹底についてですが、全病院に対する経費削減への取組状況の調査及び継続的な指導、並びに各種研修における周知徹底について引き続き実施しております。なお、7の契約の適正性及び競争性の確保については、既に御説明したとおりです。

133ページから、自己評定です。各種評価項目に対する平成24年度の業務実績については、ただいま御説明したとおりです。後発医薬品の採用率の向上を着実に進めるとともに、一般管理費の削減については中期計画を大きく上回って削減しております。そのほか、大型医療機器等の共同入札の拡充、LED蛍光灯のリバースオークション方式の入札実施など、様々に工夫をしながら収支改善に取り組んでおります。以上の取組を踏まえ、「A」評価で自己評定をしております。よろしくお願いいたします。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から御質問、御意見をお願いします。

 

○田極部会長代理

123ページで、医師、看護師などの職員を確保するために、かなり御苦労されているということですが、いろいろ制約がある中で、この数値だけでは分からない御苦労の面も教えていただきたいと思います。医師、看護師については、給与水準、適正な数が予定どおり確保できているのかどうかといったところを教えていただければと思います。

 

○国立病院機構企画経営部長

 医師、看護師、薬剤師等、現在の医療職については全国的に大変不足しており、国立病院機構も同様の状況です。医師についても、国立病院機構の場合は公務員型の独立行政法人という制約がある中、確保に現場も非常に苦労しておりますが、先ほど説明のあったような様々な研修制度やフェローシップ、研究など、国立病院機構のメリットを活かしたものを用意して確保をお願いするとともに、当然、様々な大学等に対しても働き掛けを行うなどの取組を進めております。

 看護師については、現在、地域において非常に逼迫している状況があります。国立病院機構においても養成を行っていると同時に、それだけでは全く足りないので、各地域において説明会を行ったり、各病院の現場、ブロック等も含めてその確保に取り組んでいる状況です。

 

○富田委員

 医薬品の共同購入のことをお伺いしたいのですが、全医薬品の大体何%ぐらいが共同購入されているのでしょうか。

 

○国立病院機構副理事長

 調べてからお答えします。

 

○松尾部会長

 それでは、第4グループの中で医療資源の有効活用と収入の確保の説明が抜けていたので、御説明をお願いします。

 

○国立病院機構財務部長

142ページ、医療資源の有効活用です。医療機器の効率的な利用の促進として、稼働率の向上ということで、CTMRIの稼働実績について、平成20年度実績に対して142,193件の増、プラス10.7%と、稼働総数は増加しております。また、ほかの医療機関との共同での利用ということで、広報活動や院外からの予約手続の簡素化等も行い、平成20年度実績に対して11,754件、プラス21%と、目標を上回っております。

143ページ、イの病床の効率的な利用の推進です。病棟の稼働状況に応じた整理・集約ということで、先ほど来御説明がありましたが、平均在院日数の短縮化等により病床稼働が非効率となっている病棟などについて整理・集約化等をし、効率化を図っております。平成24年度の集約数としては、11病院の362床について整理・集約を行っております。

144ページ、医療の質の向上を伴った収支の改善ですが、各病院において地域医療連携の活動強化、救急患者の積極的受入れなどの取組により、病床の効率的な利用等を図っております。また、紹介率・逆紹介率の向上、クリティカルパスの推進等により平均在院日数の短縮などを図り、また診療報酬の上位基準の取得などにより、医療の質の向上を伴った収支の改善に努めております。

145ページ、保有資産の有効活用です。保有資産については、自治体、学校法人等の意向の確認などを行いながら、有効活用が図られるように進めております。平成24年度においては、東京医療センターの敷地について看護大学校への貸付を行っております。また、閣議決定を受けた基本計画に基づき、平成24年度においては旧岐阜病院跡地、旧筑後病院跡地について国庫納付を行っております。

146ページ、教育研修事業です。附属看護師養成所の入学者充足率ですが、全体で100%以上を推移しております。また、2の就職率ですが、卒業生の就職・進学率は97.5%となっており、全国の96.0%を上回っております。

147ページ、附属看護師養成所の看護師国家試験合格率ですが、こちらも先ほど説明があったように、全国平均の94.1%を上回り、97.7%となっております。

148ページ、IT化の推進です。財務会計システム、経営分析システムを使い、各病院において評価会を毎月25日を目途として行っております。この中で、各種の指標を用いて分析を行い、各病院一丸となっての経営改善を進める体制を取っております。また、4の医事会計システムの標準化については、各病院のシステム更新時を捉え、順次標準仕様の導入を進めており、平成24年度は8病院行い、実稼働した病院は105病院となっております。

150ページです。6のシステム関連ですが、次期システムの最適化ということで、平成23年度に策定をした次期最適化計画に基づいてシステムの調達等を進めており、平成26年度からの稼働に向けた構築を進めております。

151ページ、自己評定です。総合的な評定にありますように、CTMRIの高額医療機器の共同利用数については、中期目標期間中の数値目標を大きく上回っております。また、国家試験合格率についても全国平均を上回っております。医事会計システムについては、標準仕様の導入を着実に進めております。また、紹介率・逆紹介率、平均在院日数の短縮化等々の整備・集約も進めており、効率化を進めております。こうした取組から、「S」ということで自己評定を上げさせていただいています。

 

○松尾部会長

 引き続き、収入の確保についてお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

153ページ、収入の確保についてです。未収金対策の徹底についてですが、70歳未満の患者を対象とした高額療養費の現物給付化に取り組むとともに、事務担当者に加え、看護師、医療ソーシャルワーカー等の連携協力による退院時未清算の防止などを進めており、未収金の発生を未然に防止する取組を進めております。平成24年度は、未収金債権のうち破産更生債権を除いた医業未収金、すなわち新たに発生した未収金の額は、前年度と比較して6,700万円減少しております。また、医業未収金比率の高い病院については、個別にブロック事務所と連携した指導を行っております。この結果、医業収益に対する医業未収金の比率は0.05%となり、数値目標より大きく低減させる実績を出すことができております。数値目標は0.11%です。

154ページ、診療報酬請求事務の改善についてですが、1の医事業務研修については先ほど御説明したとおりです。2の院内でのレセプト点検体制の確立については、レセプトチェックシートを本部において作成し、各病院に周知し、これを活用していただいております。また、平成24年度から新たに効率的なレセプト点検の手法を習得するための研修を実施するとともに、各病院に対して医事業務を委託している業者以外によるレセプト点検の実施の指導や、請求漏れ防止のための取組事例を提供することにより、適切な診療報酬の事務処理体制の確立を図っております。

155ページ、臨床研究事業についてですが、平成24年度は約24億円の競争的研究費の獲得という実績を上げております。

157ページから自己評定です。医業未収金比率の低減については中期計画を上回る実績を上げていることなどを踏まえ、「A」評定で自己評定しております。よろしくお願いいたします。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、ディスカッションをお願いします。

 

○亀岡委員

2つあるのですけれども、1つ目は115ページの2の所で、年度末賞与の実施という所があったと思います。医業収支が特に良好な98病院とおっしゃいました。先ほどお聞きしたときに、実は機構全体として、病院においては地域性もあるし、その内容によってもなかなか難しいところもあるというようなお話がありまして、機構全体としてそれぞれ改善を図っていくのだというお話があったのですが、これを見るとある一定の所だけが、改善というよりも、収支が良い。当然もともと立地条件だとか規模によって、収支が良いということが無条件にあるような所もあると思うのですが、そういう所に勤めている人にとっては非常によく、そうではなくて、地域の大変な事情を抱えているような所の人が、苦労をしているとは言いませんが、そういう所に対してはこういうボーナスすら出てこないというような状況があるということについて、評価はどうなのかなということを1つ考えました。これは何か理由があるのなら、後で御説明を願えればと思います。

 もう1つは、先ほど、多分これは御説明があったかも分かりませんが、今、円安という1つの方向が進んでいて、いろいろな物を仕入れる場合においては大変苦しい状況があると。ですから、燃料費というのは上がっていくかと思うのですが、この辺についての計画というか、この辺が今後どのように。下がっているので非常に良いというようなことを言われていますが、私が見ている所では、結構上がる所が多いのです。どうしようもないというような、為替との関係とかあるのですが、その中で非常に改善されているように思われるのですが、その点。

 あと、最後でおっしゃっていた、未収金対策ということですが、これはよろしいのかなと思うのですが、割合というのは0.05という、これは私の考えなのですが、医業の未収金には当然確実に入ってくる部分が9割とかいう部分と、一番回収に努力しなくてはいけないところ、ここがやはり個人負担分だと思うのです。合わせて医業未収金になると思うのです。これをセットで見て、全体で0.05%の改善という見方は大変良いと思うのですが、もう少し努力が見える部分、つまりいわゆる個人負担のことを書かれていると思うのですが、その部分がどう動いてきたのかということが一番メインになるのかなと思いますが、そのことについてどうお考えになっているか。つまり、全体として見るのがノーという話ではありませんが、そのほうがより内容が分かりやすいということを含めて御検討願えればと思いますが。

 

○松尾部会長

 簡潔にお願いいたします。

 

○国立病院機構企画経営部長

1点目と3点目についてお答えいたします。まず年度末賞与についてですが、国立病院機構は、各個別病院が基本的には独立採算で経営改善を図ると。その結果として全体としての経営改善を図るという経営方針です。そういう中で独立行政法人に移行したときに、やはり経営意識をもっていただくことがインセンティブということもありまして、このような年度末賞与が設けられております。先生に御心配いただきましたとおり、立地条件が悪い等いろいろな事情がありますが、立地条件が悪い中でも経営状況の良い病院もありまして、いろいろと御努力いただいており、そういう所を評価するという意味で非常に効果があるのではないかと考えております。

 医業未収金についてですが、先生がおっしゃるとおり、患者負担分を分母にするという考え方も、もちろん当然あろうかと思います。1つは、患者負担というのは医療制度が非常に複雑で、人によって負担割合が違ったり、上限があったりと、把握するのが非常に難しく、突合が難しいという技術的な問題もあります。それと、未収金が医業収益全体にどれぐらいのインパクトがあるのかということも、1つの今の仕組みの意味かなと思っております。いずれにしても、御心配いただきましたように、もっと動きが見えるようにということでは、確かにそのとおりですが、そうした中でも医業未収金の改善を図っている状況であることを御理解いただければと思います。

 

○国立病院機構副理事長

 年度末賞与について一言だけ申し述べたいのですが、確かに病院にとって立地は重要なのですが、多くの自治体病院を見ていただいても、極めて良い立地でも多くの税金財源を使っている病院もあります。

一方、私どもは、先ほどから申し上げておりますように、診療事業に関しましては、国からの租税財源投与はないということで運用していることを御理解いただきたいのが一点です。

 年度末賞与を導入したのが平成16年、独法化のときなのですが、それまで一部の国立病院においては、自分たちは良い医療をやっているから、いくら赤字でも仕方がないではないか、国なりに補填してもらえる、それが政策医療であるという、言わば間違った考え方がありました。

やはりそれを転換する。その体質を転換して、租税財源に頼らなくて良い事業をやりたいというのが、そのときの独法化の理念でした。その理念を達成するための一つの手法としての年度末賞与です。0.5か月分という上限も設けております。その中で、これが大きな経営改善のモチベーションなりツールになったということは御理解を賜りたいと思います。

 

○松尾部会長 

 よろしいですか。2番目は。

 

○国立病院機構財務部長

 燃料費の関係ですが、御指摘がありましたように、医療の高度化や経済的な情勢だけではなく、建替などを進めることで、環境が良くなることによってエネルギー消費がかかるという傾向もあります。私どもの対応としては、まずは省エネ対策をきめ細かくやっていくということが重要だと思っておりまして、本部の中にも、専門の省エネ関連の資格を持った人間がおり、いろいろな病院のエネルギー原単位の状況などを分析して、特によくない所には重点的に声を掛けるなどしています。また、整備においても、省エネ関係は重点的に投資しようということで、LED化などのきめ細かいメニューを進めており、いろいろな上昇要因に対しては、適切に対応していきたいと思っています。

 

○松尾部会長

 私のほうから1つだけ。155ページの受託研究の実績と治験実施症例が、平成23年度より若干減っているのですが、この理由は何かありましたら、簡単で結構なのですが。

 

○国立病院機構総合研究センター臨床研究統括部長

 特にございません。

 

○松尾部会長

 分かりました。非常にシンプルな答えです。

 それでは、第5グループにいきたいと思うのですが、第3、第4の評価の評定記入を忘れておりましたので、1分か2分で御記入ください。

 もしよろしければ、第5グループの説明をお願いします。

 

○国立病院機構企画経営部長

 第5グループについて御説明いたします。159ページを御覧ください。1の経営の改善についてです。上位基準の取得や新規患者の増加等の取組により、経常収支は498億円、経常収支率は105.8%となり、年度計画における経常収支率105%を超える収支率となっております。また、総収支は419億円となっております。2の個別病院ごとの経営改善計画の実施については既に御説明いたしましたが、赤字病院についても、平成21年度の31病院から19病院と12病院が減少しております。また、平成24年度からのリスタートプランの中で、先ほども申し上げましたように、経常収支が黒字化した病院が24年度で10病院、経常収支が前年度より改善した病院が10病院となっております。

 このように中期計画を大きく上回る実績を踏まえ、160ページの自己評定は「S」評価とさせていただいております。よろしくお願い申し上げます。

 

○国立病院機構財務部長

 続きまして、162ページ、2の固定負債割合の改善です。このページの中程にありますように、固定負債残高としては、平成20年度期末では、5,971億円ありましたが、平成24年度期末においては、4,579億円ということで、着実な減少を図っています。

163ページ、医療機器・建物整備に関する計画です。医療機器整備については、中期計画期間中の投資額、1,130億円を計画しておりますが、平成24年度においては267億円の投資を行い、累計としては951億円となっています。また、建物の施設整備の関係ですが、平成24年度内に建替の投資決定をした病院は、仙台医療センター等、資料で御覧のとおりです。数字としての中期計画期間中の対応は、2,240億円の整備計画に対して、平成24年度は401億円、累計では1,420億円となっています。なお、平成25年度については、現在、建替整備中のものが完了次第支払いということで、25年度以降に支払いが出ますが、25年度は600億円程度、現在整備中のものから見込まれており、医療機器の投資と合わせ、おおむね計画水準には達するのではないかと考えています。

164ページ、建替後の償還性のフォローアップということで、建替が決定したあとにおいても、継続的に経営状況についてはフォローアップを行いまして、経営改善等を常に行うという体制です。また、整備においては、4にありますように、自己資金を積極的に活用して整備をしています。

165ページです。機構が承継する債務の償還ですが、財政融資資金、元金、利息合わせて約511億円をはじめ、約定どおり償還を確実に行っています。

166ページ、短期借入金の限度額です。こちらにつきましては、平成24年度の短期借入金はございません。

167ページ、重要財産の関係です。先ほども申し上げましたが、閣議決定を受けた基本計画に基づき、平成24年度内においては、旧岐阜病院、旧筑後病院について国庫納付を行っております。また、残る登別と西甲府の跡地については、それぞれ土壌汚染や境界確定などを現在行っておりまして、これらが終わり次第、国庫納付を進めていくこととしております。

168ページ、剰余金の関係です。平成24年度の決算においては、剰余が生じていません。

169ページ、自己評定です。総合的な評定の所にありますように、固定負債については、1,392億円の削減ということで、中期計画の目標を大幅に上回るペースでの縮減を図っています。また、医療機器、建物への投資についても、4年間の累計では2,371億円ということで、中期計画の目標達成に向けて着実に進展しています。こうした取組から、「S」評定とさせていただいております。

 

○国立病院機構総務部長

 続きまして、171ページ、1の人事に関する計画について御説明いたします。1の患者のQOLの向上及び療養介護事業の実施です。平成24年度は新たに8病院で療養介助職を57名配置し、合計で264名の増員、全体で63病院、合計1,076名を配置いたしました。今後も介護必要度に応じた療養介助職の適切な配置を図ることとしております。2の技能職の離職後の不補充並びに非常勤化及びアウトソーシング化の継続です。常勤職員の退職後は、常勤職員での補充は行わず、短時間の非常勤での後補充、又はアウトソーシング化を行ったところです。3の良質な人材の確保及び有効活用です。適材適所を徹底し、ブロック内での人事交流を促進しています。4の研修の実施です。平成24年度の研修については、評価シートの説明資料、448ページ以降に掲載しています。全体としては9,727名に対して研修を実施しました。説明いたしますのは一部ですので、併せて評価シートの説明資料を御覧いただければと思います。171ページの下段に、病院長、副院長、看護部長等に対して、病院の管理・監督者に必要な管理運営に関する知識、能力向上を図るための研修を実施しました。また、業績評価制度の評価者に対しての評価者研修、QC活動を各病院で進めてもらうためのQC手法研修、医療職と事務職を交えた20歳代の職員を対象に、チーム医療を進めるための成年共同宿泊研修、良質な医師を育てる研修等の専門研修も実施しております。このように大変多くの職員に対して研修を実施し、能力開発、人材育成を図ったところです。

172ページ、5の医師を中心とした病院におけるリーダー育成研修の実施です。前ページの下段にも記載していますが、この研修は平成23年度より開催しておりまして、24年度につきましても、将来、病院の中心として期待される人材に対して、リーダー育成共同宿泊研修を実施しました。6の障害者雇用に対する取組です。平成22年に医療業に係る除外率が引き下げられております。このような中、国立病院におきましては、基準日である61日の法定雇用率は達成をいたしまして、993名の障害者を雇用しております。7の医師確保対策の推進です。平成22年度より、「医師キャリア支援検討委員会」を設置し、平成24年度にはNHOフェローシップに関する検討を行いました。検討会の下に、「研修指導責任者部会」を設置いたしまして、医師の知識・技術の向上等のために、平成24年度は3回開催をしております。また、研修医・専修医向けの情報誌として、『NHO NEW WAVE』を発行しております。これは評価シート説明資料の303ページに掲載してありますが、8号から11号を発行いたしました。研修医・専修医を対象に講義と組み合わせて技術習得を行う実地研修としまして、「良質な医師を育てる研修」を15回、373名が受講しております。指導体制も、各専門領域に秀でた指導医126名により、指導を実施しております。その他としまして、シニアフロンティア制度による退職予定医師、既に勤務延長の医師の勤務延長に加え、平成25年度から、専門性に秀でた定年直前の医師に対して、医師確保困難な病院に勤務延長が可能かどうか確認するなど、制度の円滑な推進の実施を図り、また、精神家レジデントフォーラムを開催し、医師確保困難病院については、大学等関係機関への本部からの働き掛けを行っております。

173ページ、8の看護師確保対策の推進です。看護師確保を推進するための奨学金の貸与状況を記載しております。平成24年度においては、1,438名の看護学生が奨学金を受けており、このうち卒業した599名のうち、577名が機構病院に勤務をしております。その他として、急性期病院と慢性期病院の看護師が病院間で交流研修を行い、興味を持たせることにより、病院間異動を推進するような取組も行いました。また、潜在看護師に対して離職後のギャップを解消するということで、各病院レベルで、最近の看護の動向をテーマとした公開講座や講習会を実施しました。平成24年度においては42病院で75回、155名が参加をしております。このうち27名の方が機構病院に就職をしております。3つ目として、「けっこういいぞNHO 看護職版」です。評価シート説明資料の480ページ以降に掲載しております。平成24年度においては、約49,000部を作成しまして、配布をして積極的な採用活動をしております。

 次に174ページです。技能職の削減です。平成24年度においては124名の削減を図るという計画に対し、173名の純減を図りました。計画に対して122%という実績です。

175ページ、広報に関する事項です。これにつきましては、機構全体の総合パンフレットを作成し、また、このパンフレットをホームページに掲載をしています。内容は、国立病院機構の使命、信条、研究、研修の内容を詳細に記載しています。地域の医療機関、関係大学、看護学校等養成所に配布をして、国立病院機構の活動について、より多くの方に御理解をいただくとともに、医師、看護師等の確保のために役立っているところです。先ほど申し上げましたが、『NHO NEW WAVE』を継続的に発行するとともに、ウェブサイトにおいても情報提供しています。ホームページにおいて、新たにインフルエンザの流行状況でありますとか、診療科別の医師募集状況等を掲載し、積極的な情報発信を行っております。

176ページ、自己評定です。ただいま説明したとおりですが、1つは技能職の純減の数値目標が2割を超え、大幅に上回った173名を削減していること。病院長をはじめとした管理者に対する研修、そのほか医師、看護師の適正配置も行っております。また、約5万人に対して業績評価を実施しており、昇給、昇任等の人事も、評価結果を踏まえた上で実施しております。このようなことから、自己評定としては「A」と考えています。よろしくお願いします。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。それでは、第5グループにつきまして、御質問、御意見をよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。

 

○亀岡委員

 余りにも多いので、ちょっと戸惑っているのですが、先ほどの御説明で、多分、建物を建て替えたというのがあったとは思うのですけれども、岩国医療センターがそうなのですか。分かりました。ありがとうございます。

 それと、経常収支が非常に改善されていると。これは素晴らしいことかなと思っております。特に自己評価が「S」ということで、結果的に著しくよくなっているから「S」なのだということだと思うのですが、私が一番最初にお聞きした、中期計画ということですが、最初に作ったので直さないのかと思ったら、そうではないですと。基本的な枠組みは変わらないけれども、目標があればその都度直していきますというようなことがあったのですが、そういうことに比べても著しくよくなってきているという、これは非常にいいことなのでしょうけれども、その辺がある意味で一時的なものなのか、もっと言えば、今は一時的なところで非常にいいのか、将来にわたってこのまま続くのか、この辺の見通しはどうなっているのでしょうか。

 

○松尾部会長

 ではお願いします。診療報酬改定があったり、いろいろあるので、難しいところはあると思うのですが。

 

○国立病院機構副理事長

 診療報酬改定でございますとか、今で言えば消費税がどのような形で御処理いただけるのかとか、医師の確保、看護師の確保等々ありますので、大変難しい御質問かなと思います。

 

○松尾部会長

 独法とは言っても会計的な縛りがあって、戦略的に、例えば病院機構全体で設備投資をしたり新しい事業をしたりするのに、ある程度お金を貯めてやるとか最初に借りてしまうという方法もあるのですが、特に年度をまたいでの繰越しとか、あるいはもっと言うと中期計画をまたいでの長期的な財務計画というのを立てることは可能なのでしょうか。それとも年度ごとに使い切らないといけないとか、その辺はどうなのですか。

 

○国立病院機構企画経営部長

 病院として医療の質を維持・向上させるためには、継続的に投資をしていく必要があるのですが、正に今、部会長から御指摘がありましたとおり、独立行政法人制度の1つの限界といいますか、問題点がそこにあろうかと思っております。すなわち、独立行政法人制度は5年間の中期目標期間で運営をいたしまして、5年間の期間が終了いたしますと、利益剰余金につきましては、これを次期に繰り越すためには、国の認可が要るということで、経営する側からしますと、計画的に投資するということに対して、非常に制約があるということがあり、医療事業を行う上ではかなり制度的な問題があろうかと思っております。

 

○国立病院機構副理事長

 すみません。一言だけ。理事長からも申し上げましたが、私ども国立病院の建物は結構古いものが多うございまして、そこを何とかしませんと、患者さんにも大変失礼ですし、従業員も働きにくいということがありますので、その辺りをどのように御理解を得ていくのか、私どもの大きな課題だと思っております。

 

○斎藤委員

 様々な研修をたくさんなさっていらっしゃる努力に敬意を表したいのですが、これは何割ぐらいの方が受けていらっしゃるのか教えていただけますか。例えば医師でしたら6,000人いらっしゃるということで、そういう大きな人数からすると、数が少ないように感じられるのですが。

 

○国立病院機構副理事長

 まず幹部につきましては、院長になった年の6月に院長研修を受けるとか、そういう形のものが幹部研修です。良質な医師を育てる研修といいますのは、やはり時期を定めまして、専門家のドクターたちに手を挙げてもらう。手を挙げてもらえるようなプログラムを作って手を挙げていただく、そんな形でございます。

 

○斎藤委員

 何割ぐらいの方が受けておられるのですか。

 

○国立病院機構医療部長

 テーマ別に例えば小児科とか、循環器とか、それぞれテーマを選んでやりますので、それに該当する部門の方々で、全体でいうと若手については半分ぐらいになります。

 

○富田委員

 最終的な純利益が419億と素晴らしい成績なのですが、ここ3年の経過を全国的に見ていると、診療報酬改定が平成22年で、どの病院も収益を上げたのですが、それは全て人件費を増やすということが前提の診療報酬改定だったので、人件費が上がることによって、平成23年度はどこの病院も利益が下がっています。例えば赤十字病院グループでは平成24年度の利益は130億です。平成22年度は利益が226億ぐらいあったのが130億に落ちているのです。ですから、よそはどこも落ちているのに、どうして国立病院機構だけは落ちないのだろうという点を、本当は今日教えてもらいにきたのですが、時間がなさそうなので、また後日教えていただければと思います。もう1つ気になるのは、減価償却費が赤十字と比べると低いのです。将来に対する投資とか、建物に対する投資を相当抑制してできた利益ではないかなと私は見ております。やはり働いている人たちや患者さんたちにとって、地震の問題もありますので建物に対する投資は必要です。現在は、実は見せかけの利益ではないかと踏んでおります。

 

○国立病院機構副理事長

 御指摘の面が多々ございましたが、私どもも今後、投資あるいは人材育成等に十分意を配らなければいけないなと思っているところでございます。

 

○国立病院機構理事長

 先ほども話題になりましたが、独立行政法人制度というのは、国から運営交付金をいただいて、それで運営して、それが余って、5年間の期間に剰余が出れば、それを国がどうするか考える制度であります。しかし我々が国からお金をもらわないで、全部自力で稼いで、それで投資もしなければいけないのに、5年経ったらそれを持っていかれるのでは、全く投資不可能という話になります。一般的な運営費交付金だけで運営している独法とは全然性格が違う独法であるということを御理解いただいて、医療から生まれた利益については、医療の投資に還元するということを是非御理解いただきたい。富田先生が言われたように、私どもは投資が足りません。これをやっていかないと将来もたないというように考えております。

 

○松尾部会長

 ほかによろしければ。

 

○国立病院機構企画経営部長

1点だけ。先ほど御質問がありました医薬品についてなのですが、大変申し訳ありません。ちょっと共同入札の実績の確認が現時点でとれていませんので、大体のイメージなのですが、対象品目数が8,880品目でございまして、これは2施設以上で使っている医薬品、あるいは一定額以上の医薬品を全て入れております。薬価ベースで国立病院機構で大体2年間で1,715億円という概算を出しております。ですので、1年間はその半分で800から900億円なのですが、当然薬価ベースなので、実際の契約ベースはもっと下がると。実際に平成24年度の医薬品費が1,185億円ですから、1,100億円のうちの800から900、どれぐらい下がるかは分かりませんが、相当数は共同入札で入れているということです。以上です。

 

○松尾部会長

 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。先ほどの話で、これは国立病院機構全体で診療収入が8,000億ぐらいでしたっけ。9,000億ですか。そのうちで500億を借金返しに使った、こういうことですね、大体。

 そういうことで、設備投資等々を抑えながら、随分苦労されているという様子は分かったのですが、これで一応全ての項目の審議が終わりました。評価については、今日書かれた方は提出していただいていいのですが、後でまた書かれる方は、731日までにお願いいたします。

 それでは、このあとの取扱いにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 資料の取扱いと今後の開催日程について御案内させていただきます。まず、本日配布しております資料については、非常に分量がありますので、郵送でお送りすることも可能です。郵送を御希望される場合は、会議終了後、事務局までお申し付けください。評定記入用紙は、先ほども御案内させていただいたとおり、持ち帰って書いていただいても結構です。電子媒体をメールでお送りいたしますので、メールで提出していただくことも結構です。その場合には731日までに事務局に提出をお願いします。

 

○松尾部会長

731日提出を是非厳守していただきたいと思います。

 本日の議事は以上ですが、次回以降の開催について、事務局から御案内をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 次回の開催予定は、冒頭に資料1-4で御案内したとおり82017時から、議題は国立病院機構の総合評価、暫定評価、組織業務の見直しの当初案についてとなっております。場所はこの建物の12階専用12会議室です。事務局からは以上でございます。

 

○松尾部会長

 何か御質問はございますか。

 

○政策評価審議官

1つだけよろしいですか。先ほどから亀岡委員の、中期目標・中期計画の変更の件なのですが、一応変更する場合は、この評価委員会にかけて、最終的には主務大臣の認可ということになりますので、ころころ変わるというものではないということだけ御理解いただきたいと思います。先ほどのお話では今回は変えているということに。個別には私も知らないのですが、そういう形で、常に一度こちらの委員会にかかって、それで変更しているという形になっております。

 

○松尾部会長

 私の理解は、例えば国立大学の場合は、中期目標を変更する場合、文科省に提出して、文科大臣の承認が要るのですよね。

 

○政策評価審議官

 そうですね。要はこの委員会にかけて、それで審議をしていただいて、それを受けて、こちらの場合は厚生労働大臣、国立大学の場合は文科大臣から認可を受けるという形になります。

 

○松尾部会長 

 ということで、中期目標と中期計画そのものは非常に重いものであると思っておりますが、当然世の中が大きく変われば、それに従って変わっていくということがあると思います。よろしいでしょうか。それでは、本日は以上です。非常に活発な御議論をいただきましてありがとうございました。評価表の提出を是非よろしくお願いいたします。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会国立病院部会)> 第40回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録(2013年7月25日)

ページの先頭へ戻る