ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会> 第1回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 議事録(2013年6月13日)




2013年6月13日 第1回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年6月13日(木)15:00~17:00


○場所

中央合同庁舎第5号館専用第21会議室(厚生労働省17階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○議事

○事務局 それでは、定刻より若干早いですが、先生方がおそろいになられましたので、本日の第1回「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会」を開催いたします。

 本日の検討会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。

 また、傍聴の方々におかれましては「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、申込時の留意事項の順守をお願いいたします。

 本日御出席の構成員の先生方におかれましては、お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の検討会は、山口構成員より欠席との御連絡をいただいており、現在、7名中6名の御出席をいただいております。お配りしております本検討会の開催要領に基づき、定足数に達しており、会議は成立していることを御報告申し上げます。

 次に、開会に当たりまして、本来であれば大臣官房審議官から御挨拶するべきところではございますが、所用により本日欠席とさせていただいておりますので、安全対策課長の俵木より御挨拶申し上げます。

○俵木安全対策課長 安全対策課の俵木でございます。

 本日は、足元の悪い中、先生方にお集まりをいただきまして、大変ありがとうございます。

 今日は第1回目の検討会でございますけれども、この検討会は、サリドマイドとレナリドミドにつきまして、安全管理がどうあるべきかということについて御議論をいただくという会でございます。サリドマイドとレナリドミドにつきましては、承認の際に厳格な安全管理手順がそれぞれ定められてこれまで実施されてきておりますが、後ほど詳細にこれまでの経緯を御説明させていただきたいと思いますけれども、患者さんのアクセスを確保しながら、胎児暴露をどう防止していけばいいのかについて、3月の調査会で幾つか課題を含めて、この新たな検討会を設置して検討するよう、事務局は指示を受けておりますので、開催に至ったものでございます。

 ここでの御審議を受けまして、また調査会へお返しといいますか、御報告をしていく形で進めていきたいと考えておりますので、ここで一定の方向性をいただきましたら、またさらに具体的な行政措置へ進めていきたいと考えているものでございます。

 今日、この後、御説明をさせていただきますが、この検討会に特に2つの課題について宿題のような形でいただいておりますけれども、サリドマイド、レナリドミドの安全管理がどうあるべきかについて、深く御議論をいただければと思いますので、先生方の御協力を何とぞお願いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○事務局 本日は、第1回の検討会でございますので、御出席の構成員を五十音順で御紹介させていただきます。

 明治薬科大学医薬品安全管理学講座教授の遠藤一司構成員です。

 徳島県立中央病院血液内科部長の尾崎修治構成員です。

 東京大学大学院医学系研究科薬剤疫学講座特任教授の久保田潔構成員です。

 昭和大学研究推進室講師の田代志門構成員です。

 国家公務員共済組合連合会虎の門病院薬剤部長の林昌洋構成員です。

 東京大学医学部付属病院産婦人科学講座教授の藤井知行構成員です。

 なお、早稲田大学法学部教授の山口斉昭構成員は、本日所用のため欠席との御連絡をいただいております。

 続きまして、事務局を紹介いたします。

 本日欠席しておりますが、大臣官房審議官の平山です。

 安全対策課長の俵木です。

 安全使用推進室長の広瀬です。

 副作用情報専門官の山本です。

 医薬品医療機器総合機構安全管理監の森です。

 同じく、総合機構安全第二部長の高松です。

 同じく、総合機構安全第一部薬剤疫学課長の飯村です。

 最後になりますが、私、磯崎と申します。よろしくお願いいたします。

 本検討会の開催要綱にあるとおり「本検討会に座長を置き、構成員の互選によってこれを決める」と規定されております。

 事務局におきまして、事前に各構成員にお伺いさせていただいた結果を踏まえ、東京大学の藤井構成員に座長をお願いさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○事務局 それでは、藤井構成員に本検討会の座長をお願いいたしたいと存じます。

○藤井座長 ただ今座長を仰せつかりました、東京大学の藤井でございます。

 皆様方の御協力をいただきまして、検討会を円滑に進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、議事に入る前に、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 まず、本検討会の開催についてですが、開催要綱において原則公開とされておりますので、公開で行うことといたします。

 また、会議の議事録は後日公開されますので、構成員の皆様方には、あらかじめ御承知おきいただきたいと思います。

 なお、メディアの方におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

○藤井座長 それでは、議事に入ります。

 まず事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして、御報告をお願いします。

○事務局 まず、本検討会での審議参加規程ですが、薬事分科会審議参加規程を準用することとしたいと存じます。

 本日出席された構成員の方々の過去3年における関連企業からの寄附金・契約金等の受取状況を報告いたします。

 本日の議題は、サリドマイド製剤及びレナリドミド製剤に係るものでございますので、関連企業といたしまして、多発性骨髄腫の治療薬の製造販売業者であるセルジーン株式会社、藤本製薬株式会社、ヤンセンファーマ株式会社の3社から、過去3年度における寄附金等に受取について申告いただきました。

 なお、関係品目・関係企業につきましては、事前に各構成員に資料をお送りして御確認いただいております。

 その結果、本日御出席の構成員におきましては、今回の審議、議決に加わることのできない構成員はいらっしゃいませんでした。

○藤井座長 ただ今事務局から説明がありましたが、関係品目・関係企業の妥当性につきまして、特に御意見はございますでしょうか。ございませんか。

 御意見がないようですので、御了解いただいたものといたします。ありがとうございました。

 次に、事務局から本日の資料の確認をお願いします。

○事務局 それでは、お配りしている資料を確認させていただきます。

 検討会の議事次第の2枚目に「配付資料一覧」がございますので、そちらに沿って確認を進めさせていただきたいと思います。

 資料1 「サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会」開催要綱

 資料2 サリドマイド及びレナリドミドについて

 資料3 サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS)及びレナリドミド適正管理手順(RevMate)について

 資料4 海外におけるサリドマイド及びレナリドミドの管理状況について

 資料5 遵守状況の確認方法について

 資料6 個人情報の取扱いについて

 資料7 今後の検討の進め方について

 そのほか参考資料は、お手元にお配りしておりますファイルに順番にとじてございます。

 参考資料1 サリドマイド製剤安全管理手順(TERMS

 参考資料2 レナリドミド適正管理手順(RevMate

 参考資料3 多発性骨髄腫に対するサリドマイド適正使用ガイドライン

       (平成1516年度厚生労働省関係学会医薬品等適正使用推進事業)

 参考資料4 「サリドマイド製剤の安全管理に関する確認事項」について

       (平成20年度第2回医薬品等安全対策部会配付資料)

 参考資料5 薬剤(サレドカプセル)の家庭内管理および安全管理手順(TERMS

に関する調査(医薬品医療機器総合機構実施)調査結果抜粋

 参考資料5別添 薬剤(サレドカプセル)の家庭内管理および安全管理手順(TERMS

に関する調査 調査結果のまとめ

         (平成22年度第1回医薬品等安全対策部会安全対策調査会配付資料)

 参考資料6 薬剤(サレドカプセル)の服用及び管理の状況、安全管理手順(TERMS)に関する調査(医薬品医療機器総合機構実施)調査結果抜粋

 参考資料6別添 薬剤(サレドカプセル)の服用及び管理の状況、安全管理手順(TERMS)に関する調査 調査結果のまとめ

         (平成23年度第10回医薬品等安全対策部会安全対策調査会配付資料)

 参考資料7 TERMS第三者評価委員会により実施された、患者・医療関係者アンケートの結果概要

       (平成23年度第10回医薬品等安全対策部会安全対策調査会配付資料)

 参考資料8 レブラミド適正管理手順(RevMate)の評価と改善に向けた提言書(RevMate第三者評価委員会によるアンケート調査報告)

       (平成23年度第10回医薬品等安全対策部会安全対策調査会配付資料)

 参考資料9 患者会要望書

 参考資料10 日本臨床腫瘍薬学会意見書

 参考資料11 日本血液学会意見書

 参考資料12 パブリックコメント結果の概要

       (平成24年度第5回医薬品等安全対策部会安全対策調査会配付資料)

 なお、本日お配りしております資料のうち、参考資料5と6の別添は、傍聴者の配付資料からは省略させていただいております。

 以上が資料になります。不足や落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。

○藤井座長 よろしいでしょうか、特に落丁・乱丁はございませんか。大丈夫ですか。

 それでは、本日の議題に関する議論に移りたいと思います。

 まず初めに、事務局から資料の説明をお願いいたしたいと思うのですけれども、資料2~4について、本検討会の議論に当たって背景を説明する基礎資料となるものだと思いますので、まずはそちらについて説明をお願いします。

○事務局 それでは、事務局より、今回の検討内容の背景となる情報につきまして、資料2、3、4を用いて御説明をさせていただきます。

 まず初めに、資料2「サリドマイド及びレナリドミドについて」を御覧ください。

 今回は第1回の検討会ですので、まず初めに、今回取り上げる2つの薬剤に係る基本的な情報の資料から御用意いたしました。既に御案内のことと思いますが、改めて御説明をさせていただきます。

 サリドマイドは、もともと昭和30年代に一般用医薬品、いわゆるOTC薬の鎮静剤として販売され、当時、妊娠中の女性が服用することで胎児に重篤な先天異常を引き起こすことが判明したことから、世界各国で販売中止と回収が行われた薬剤でございます。

 日本では、昭和37年に販売停止、回収が行われております。

 その後、しばらくしまして、1990年代後半になり、多発性骨髄腫に対するサリドマイドの有効性が報告されるようになり、日本国内でも主に医師の個人輸入により、サリドマイドが使用されるようになってまいりました。

 平成10年には、米国においてサリドマイドの製造販売が承認され、その後、平成20年には、日本においても多発性骨髄腫の治療薬として再承認されました。

 その際には、胎児暴露防止を目的とした安全管理基準(TERMS)の実施が承認条件として義務付けられております。

 次に(2)レナリドミドでございます。

 こちらも同じく、多発性骨髄腫に対する治療薬として新たに開発された薬剤でございまして、動物実験においてサリドマイドと同様に催奇形性を有することが確認されております。そのため、平成22年に国内で承認された際には、TERMSと同様の管理手順として、RevMateの実施が義務付けられております。

 下の表には、サリドマイド及びレナリドミドの概要についてまとめさせていただいております。製造販売業者は、それぞれ藤本製薬株式会社とセルジーン株式会社です。それぞれの安全管理手順の名前は、先ほど申し上げたとおりTERMSRevMateというものが実施されております。また、米国での承認は1998年と2005年、欧州では2008年と2007年にそれぞれ承認、製造販売が開始されております。

 資料3を御覧ください。

 先ほど申し上げました国内で実施されております2つの安全管理手順について記載した資料でございまして、1枚目はその概要をお示ししております。

 まず、TERMSでございますが、こちらはサリドマイドの製造販売承認審査の過程において、被害者団体でありますいしずえより、米国で実施されている管理手順STEPS以上の確実性をもって日本での安全管理を行うべき。また、その検討には、厚生労働省も積極的に関与すべきといった御要望をいただきました。

 それを受け、平成20年にサリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会を設置しまして、米国のSTEPSを参考としながら、情報提供及び教育、登録、一元管理、さらに第三者による評価の実施等を構成要素とする管理手順(TERMS)が検討され、その実施が製造販売承認の条件とされたところです。

 続いて、RevMateでございます。

 レナリドミドについてもサリドマイドと同様の催奇形性があることから、製造販売承認に当たって、TERMSと同じく製造販売承認時の条件として、管理手順(RevMate)の実施が義務付けられております。TERMSRevMateも同様に米国で実施されておりますSTEPSRevAssistを参考に作成されておりますので、メーカーによる一元管理、第三者による評価体制等、制度の基本的な枠組みはTERMSRevMateで共通となっております。

 (3)といたしまして、現在の2つの手順の実施状況、実施規模を表でお示ししております。登録されている医療機関数がおよそ700800程度、登録患者数が7,000~1万と、およそ同じ程度の規模で運用されているところでございます。

 2ページ目は、TERMSRevMateの登録患者の年齢別、患者分類別の人数の表とグラフを記載しております。ここでの患者分類のA、B、Cというのは、Aは男性患者、Bは妊娠可能性のない女性患者、Cは妊娠可能性のある女性患者でございます。

 グラフを御覧いただいて分かるとおり、TERMSRevMateともにほぼ同じような年齢分布となっておりまして、7074歳の部分が最も高い割合となっております。

 また、妊娠可能な女性患者である女性Cの割合は、どちらの手順でも全体の約1%となっておりまして、こちらも共通となっております。

 3ページ目は、TERMSの仕組みを1枚の図に表したものでございます。こちらを用いて、TERMSの概要をかいつまんで御説明させていただきたいと思います。

 製造販売業者である藤本製薬がTERMS管理センターを設置しておりまして、ここが中央一元管理を行うことが特徴となっております。

 まず初めに、サリドマイドを処方する医師は、1でお示ししている矢印のとおり、藤本製薬から提供される医師向けのキットを用いまして、TERMSに関する情報を入手した後、2医師自身がTERMS管理センターに登録をいただく必要がございます。

 同様に、下の2院内の責任薬剤師についても同様に登録が必要になります。

 その後、3患者向けキットを使って、医師から患者に必要な教育を行っていただき、同意を取得していただいた上で、患者をTERMS管理センターに登録します。ここまでが処方を行う前の準備でして、ここからが毎回の処方毎に具体的に行われる手続となります。

 5処方医師と患者の間で遵守状況等確認票を用いた確認が行われます。こちらは実際の確認票の様式を用いて御説明させていただければと思いますので、ファイルにとじております参考資料を御覧いただければと思います。

 お手元の参考資料1にTERMS手順が挟んであるのですが、こちらの後半部分に様式が並んでおりまして、そのうち様式26を御覧いただければと思います。

 こちらが実際に医師が患者との間で確認をする際に使う確認票でございます。様式26の上半分、黄色い四角囲みの部分が医師記入欄となっておりまして、左上で催奇形性のリスクと妊娠回避の必要性や避妊失敗時の対応方法などについて説明をして、確認欄にチェックを入れたりですとか、こちらは女性患者C用の様式ですので、妊娠検査結果を記入していただいたり、さらにその下には、処方数量についても記載いただくこととなっております。

 その後、この用紙は院内の薬剤部に送られまして、今度は薬剤師によって下半分の青い四角囲みの部分を患者と確認しながら記入することになります。薬剤師からは、家庭内での管理・保管や不要薬の返却などについて説明を行い、同様にチェックを行います。

 また、医師記入欄が適切に記入されているかについても薬剤師がダブルチェックを行います。それぞれ医師、薬剤師の記入が終わった後、この用紙はTERMS管理センターにFAX送信され、センター側で記入内容のチェックが行われた後、確認完了のFAXが逆にTERMS管理センターから病院側に返送されてまいりますので、それを受けて、最終的に患者さんにサリドマイドが交付されるという流れになっております。

 元の資料3の図に戻っていただきまして、今、御説明した流れが、資料3の図の5~9の流れに相当します。

 さらに10としまして、右側の患者からTERMS管理センターに横に伸びている矢印、定期確認調査票がございます。こちらも、できましたら実際の様式を御覧いただきながら御説明したいと思いますので、同じく先ほどの参考資料1の様式23を御覧いただければと思います。

 こちらは、女性患者C用の定期確認調査票でございます。この用紙は、あらかじめ決められた間隔で薬剤師から患者に手渡されることとなっておりまして、患者は記載された質問、例えばサリドマイドの保管・管理を適正に行っているか、性交渉はなかったか、規定された避妊を行っているかなどの回答を御自宅で記入した上で、一緒に渡される封筒に入れて、藤本製薬宛てに返送することになります。この定期確認調査票の記入頻度は、男性患者が2カ月に1回、女性B患者が半年に1回、妊娠可能な女性患者である女性C患者は毎月となっております。

 先ほど御説明した毎処方時毎に、医師や薬剤師から確認される遵守状況等調査票とこの定期確認調査票と2つの異なるルート、頻度で患者は遵守状況の確認を受けていることになるわけでございます。

 行ったり来たりで申しわけございません。また資料3の図に戻っていただければと思います。

 このほか、TERMSの特徴としまして、藤本製薬が事務局となって社外委員を招いて、社内の委員会であるTERMS委員会を設置しておりまして、TERMSの実施状況について定期的に確認を行っております。

 さらに別途、一番左下にございます第三者評価委員会も設置されておりまして、こちらは独自に医師、薬剤師、患者向けのアンケート調査を実施するなど、TERMSが適切に運用されているか、独自の調査、評価を行っております。

 4ページ目、RevMateについて同じような図をお示ししております。

 製造販売業者であるセルジーンが主体となって実施されていること、医師、薬剤師、患者のそれぞれの事前登録が必要であること、処方毎に医師から確認されるものと、患者が自宅で記入するものと2種類の確認が行われること、社内委員会と社外の第三者評価委員会の2つの評価機関があることなど、ほとんど仕組みはTERMSと共通となっております。

 異なる点としましては、TERMSでは医師や薬剤師が分担している処方毎の患者への説明が、RevMateでは基本的に医師が行うこととなっていて、薬剤師はその確認を行うのみとなっていることや、薬剤師とRevMateセンターの間のやりとりがFAXではなく、専用の入力端末を使った通信であることなど、細かい点での違いがございます。

TERMS及びRevMateの具体的な手順書は、先ほど御覧いただきました参考資料1と2にそれぞれ配付させていただいておりますので、後ほど御覧いただければと思います。

 5ページ目、TERMS及びRevMateのこれまでの改訂の経緯についてお示ししております。

TERMSは、平成2010月のサレドカプセルが承認された際に運用が開始されておりますが、最初に運用が開始されたTERMSは、先ほど申し上げました「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」において内容が議論されまして、その際に、参考資料4としてお示ししておりますサリドマイド製剤の安全管理に関する確認事項が取りまとめられております。こちらも後ほど御覧いただければと思います。

 その後、TERMSはこれまでに3回の改訂が実施されておりますが、初めの改訂から順番に御説明いたします。

 最初は、平成22年3月に、1回の処方における最大処方量が2週間分から12週間分まで延長される改訂が実施されました。

 また、入院中における院内での誤投与事例が発生したことを受けまして、入院時における薬剤管理についても規定が追加されているところでございます。

 続いて、平成22年9月には、2回目のTERMSの改訂が実施されております。

 参考資料5を御覧いただければと思います。こちらは、平成22年に医薬品医療機器総合機構が中心となりまして実施しましたTERMSを利用されている患者さんへのアンケート調査の結果をまとめたものでございます。

 具体的なアンケートの結果は、さらに後ろの参考資料5の別添としてお配りしておりますので、御参考いただければと思います。

 参考資料5の2ページ目を御覧ください。下のほうに「2.調査結果や臨床現場の経験を踏まえた委員会からの意見」が記載されております。

 当時のTERMSは、毎回の処方毎に患者が自宅からTERMS管理センターにFAXを送り、かつ、医師と薬剤師がそれぞれFAXを送るという、計3回FAX送信を行わなければならない手順となっていたところ、2.の(1)の1にございますとおり、診察前調査票、これは患者が自宅から送るFAXのことでございますが、こちらについて適切か見直すことが必要である、3ページ目にまいりまして、3の3つ目のポツでございますが、医師と薬剤師が送るFAXの遵守状況等確認票A、Bを統合し、医師が患者に確認する、薬剤師は確認内容に間違いがないかを確認し、センターへ送信する手順としてはどうか、さらに4は、FAXを所有していない患者も多くいるなどの状況もあるので、通信手段を見直せないか、といった御提言をいただいております。

 これらの提言を踏まえまして、患者からTERMS管理センターにFAXで送る診察前調査票を郵送で送る形に見直しまして、先ほど御説明した定期確認調査票に改められております。また、その頻度も毎回の処方毎に行われていたことが、患者区分毎に4週間毎から24週間毎の間で設定をされております。

 また、医師と薬剤師それぞれがFAXしていた2種類の順守状況等確認票も、先ほど御説明したとおり、医師が記入し、さらに薬剤師も記入し、FAX回数は1回で済むという形になっております。

 そのほかにも、こちらに記載しているとおり、さまざまな御提言をいただきまして、例えば患者の身近な方を薬剤管理者として指定しなければならないという規定がございますが、独居の方等がいらっしゃることを踏まえまして、医療従事者を選定可能としたり、処方医の登録要件を緩和したりといった改訂が平成22年9月に改訂で行われております。

 次に、本年3月に行われましたTERMSの3回目の改訂について御説明させていただきます。この際には、RevMateの改訂も併せて行われております。

 この改訂も、先ほど御説明したものと同様に、総合機構の実施した2回目のアンケート調査結果を踏まえて行われておりますので、参考資料6にその結果概要をお示ししておりますので、御覧ください。

 参考資料6の6ページ目を御覧いただければと思います。こちらに調査結果や臨床現場の経験を踏まえた委員会からの意見ということで、このアンケート調査をした委員会からの御提言をいただいております。

 (1)の1女性患者C、妊娠可能な女性患者の定義について変更してはどうかということで、下に記載されております5つのポツのうち、下の2つでございます。

 産婦人科専門医が定期的に検査し、卵巣機能が廃絶していると判断できる患者や、全身状態が著しく不良あるいは入院中など、妊娠の機会がないと主治医が判断できる患者については、女性患者Cの定義から除外することが適当であるとの御提言をいただいております。

 そのほか、7ページの(3)の1理解度確認テストは、これは初回の登録時に行うものなのですけれども、同意書の記入の確認を確実に行うことで代替できるので、廃止することが適当である。

 2カプセルシートについては、毎回の処方時に空のカプセルシートの持参を求める必要はなく、自己申告による残薬確認で行うこととすることが適当であるといった提言もいただいております。

 参考資料6の別添は、そのアンケート調査結果の具体的なデータでございます。

 これらの提言を踏まえまして、本年3月の改訂が行われているところでございます。

 参考資料8を御覧いただければと思います。こちらはRevMateの第三者評価委員会が実施したアンケート調査結果と、それに基づく改善の提言をまとめたものでございます。

 参考資料8の22ページを御覧ください。こちらは、先ほど御説明したものと同じように、女性患者の定義の見直しについて提言をいただいております。

 その下に提言理由が記載されているのですが、上から7行目辺りから、女性患者の定義の見直しの理由としまして、C女性に区分されるが、現実問題として妊娠の可能性がない、または限りなくゼロに近いと判断できる状況にある患者が存在することが指摘され、そのような患者の心理的及び経済的負担を軽減することは重要であるという御指摘がなされているところでございます。

 ほかにも、残薬数の確認は患者の自己申告でもよいといった、同じような御指摘をRevMateのほうでも第三者評価委員会からいただいているところでございます。

 参考資料9を御覧ください。

 本年3月に行われた改訂につきましては、昨年3月から、安全対策調査会において議論を行ってまいりましたが、その際には、総合機構のアンケート調査や第三者評価委員会からの御提言のほかに、日本骨髄腫患者の会からの要望書もいただいております。

 全体的な要望として、1ページ目の最下段にございますとおり「現行の両手順は、患者の身体等の状況およびリスクに対する理解度の程度に関わらず、性別および年齢等によって一律に区分し、管理してきた。それを改め、胎児曝露防止に効果的かつ不可欠な要素は従前どおり保持しつつ、患者と医療者の間にあるリスクマネージメントの共同意識を信頼し、尊重する管理手順となることを強く要望する」という御要望をいただいております。

 具体的な要望事項は、2ページ目にございますが、先ほど申し上げたような妊娠可能な女性患者の定義の見直しも御要望いただいておりますし、また、その妊娠検査のあり方についても御提言をいただいております。

 また、毎回の処方時の医師や薬剤師からの説明や確認の義務を不要として、その代わり、定期的な確認に変更するなどの御要望、御提言もいただいているところでございます。

 日本臨床腫瘍薬学会及び日本血液学会の両学会からも意見書を前回の改訂の際にはいただいておりまして、それを参考資料1011としてお配りしております。

 参考資料10を御覧いただければと思います。

 日本臨床腫瘍薬学会からは、1ページ目の「1 管理手順に関する委員会からの提案に対する意見」として、第三者評価委員会から出されている提言に対する詳細な意見をいただいております。

 4ページ目では、委員会からの提案に加えて、次のような改善を提言いたしますという見出しで、第三者評価委員会から出ている提言プラス、加えての提言として、継続投与の確認手順のワンストップ化や患者の個人情報の十分な保護などについて、新たな改善策を御提案いただいております。

 参考資料11でございます。こちらは日本血液学会からの意見書でございます。

 2ページ目を御覧ください。これまでの改訂により、患者負担は軽減しているものの、依然として患者のアクセスに支障をきたしていることから、TERMS及びRevMateのさらなる改良を検討する余地があるとされております。

 2段落目以降で改善の方向性について触れられておりまして、多発性骨髄腫に対するサリドマイドの適正使用ガイドラインを参考にしながら、医師と患者の信頼関係に基づき必要な安全管理が行われることが適当とし、具体的な、患者の個人情報の登録の廃止や患者の順守状況の確認方法について合理化を図ることを検討すべきとされています。

 参考資料12を御覧ください。

 本年3月のTERMSRevMateの改訂に先立ちまして、その改訂内容に係るパブリックコメントを昨年3月~6月にかけて実施しておりまして、その結果を取りまとめたものがこちらでございます。

 合計61件の御意見をいただいておりまして、全てを御紹介することはできないのですが、意見の具体例について御紹介をさせていただきたいと思います。

20/40ページ、意見番号35番、財団法人いしずえ理事会からの御意見でございます。

 2段落目でございますが、安全対策調査会で議論されていた内容について御指摘をいただいておりまして、安全対策調査会では、男性患者の妊娠回避を確認する頻度を6カ月毎に緩和する案が出されましたが、「このような緩和を行えば、胎児の被害が起こる危険が高まると思われます。米国では、男性患者に対する確認の頻度は1カ月毎であり、6カ月の間隔を開けて確認することが被害防止に十分であるとは到底思えませんという御意見ですとか、次の段落にまいりまして、患者さんの気持ちに配慮することは重要ですが、安全管理手順の改訂によって胎児の被害発生の危険が高まることのないよう万全の対策を講じるべきです。また、改定しても、胎児の被害発生の危険が高まることはないとの十分な根拠を示すことが必要ではないでしょうか」といった御意見をいただいております。

 また、一方の御意見といたしまして、25/40ページ、意見番号42番、患者さんからの御意見でございます。

 「今後、再発した場合の治療について、主治医との話の中で、サリドマイドもレナリドミドも、使えない、スタッフが足りないから…、それらを希望するときには、ほかの医療機関を紹介するという話になります」という御意見もいただいておりまして、TERMSRevMateが患者の治療のアクセスの阻害になっているという例もあることが明らかとなっております。

 そのほかの御意見につきましては、後ほどお目通しをいただければと思います。

 また、こちらのパブリックコメントの結果につきましては、個人の特定につながる可能性があると考えられる部分については黒塗りのマスクをさせていただいておりますので、御了承いただきますようお願いいたします。

 以上が資料3でございます。

 長くて恐縮なのですけれども、続きまして、資料4について御説明をさせていただきます。1枚目が大きいA3の紙になっている資料を御覧いただければと思います。

 資料4の1ページ目のA3横の表を御覧ください。こちらは、日米欧の各国の管理制度の主要な部分を比較した表でございます。

 先ほど申し上げましたとおり、日本のTERMSRevMateは、米国で実施されておりますSTEPSRevAssistを参考に作成しておりますので、制度が大分似ていることがお分かりいただけるかと思います。

 3ページ目の図でございますが、米国で実施されておりますSTEPSを解説した図でございます。先ほど御説明させていただきましたTERMSの図と非常に似ていることがお分かりいただけるかと思います。真ん中にメーカーであるセルジーン社がいて、ここが中心となって管理をしていること、さらに医師、薬剤師、患者の登録が必要なこと、処方毎に遵守状況を確認するといった流れは、ほとんどTERMSと共通になっております。

 なお、STEPSの場合は、TERMSで行っているFAX通信の代わりに、IVRと呼ばれる電話による自動音声応答システムを用いた通信が用いられております。こちらを使って医療機関や患者とセンターのやりとりを行っております。

 続きまして、欧州の制度に関する御説明をさせていただきます。欧州の制度は若干日本や米国と異なっておりますので、こちらを少し重点的に御説明させていただければと思います。

 5ページ目は、欧州全体の薬について御説明した資料でございます。

 「1.製造販売承認時の取扱い」ですが、欧州では、サリドマイドとレナリドミドについて、承認される際に、欧州委員会の決定としてEU加盟各国とそれぞれの国内で製造販売するメーカーに対して、遵守すべき条件を欧州委員会の決定として定めております。各加盟国は欧州委員会決定で定められた遵守事項に上乗せして、独自の制度を導入することが可能となっております。「2.各加盟国の順守事項」に、欧州委員会により各加盟国に義務付けられている事項を記載しております。

 詳細につきましては、こちらに記載されているとおりでございますが、医療関係者向けの資材の内容や妊娠防止プログラムの内容について、メーカーと加盟国、国、政府の間で合意をしておくこと。資材の内容に所定の記載事項を含めること。6カ月毎に妊娠防止プログラムの実施状況を欧州医薬品庁(EMA)に報告することなどが定められております。

 この欧州委員会の決定を踏まえつつ、各国独自の規制が導入されておりますが、具体的な制度については、次のページから御説明させていただきます。

 昨年、EU加盟国のうち、ドイツとイタリアを例にとりまして現地調査を行っておりますので、その内容を簡単に御報告させていただきます。

 7ページ、ドイツにおける妊娠防止プログラムの概要を御覧ください。

 こちらは、ドイツにおける妊娠防止プログラムを示した図となっております。ドイツの場合は、日本や米国と異なりまして、メーカーであるセルジーン社は資材、患者向けキット、医師向けキットの提供だけをしておりまして、妊娠防止プログラムの実施主体は図の真ん中左側にございますドイツ連邦医薬品医療機器庁BfArMが行っております。サリドマイドやレナリドミドの処方に当たりましては、まず、処方医自身がBfArM、行政当局に対して登録を行う必要がございます。医師が登録した後、BfArMからはT-処方箋と呼ばれる特別な処方箋が送られてまいりますが、サリドマイドとレナリドミドはこのT-処方箋を使わないと処方ができないといった規則になってございます。

 その後、患者に対して日本と同様に患者用資材の交付やリスクに関する説明、患者同意書などのやりとりを行った後、T-処方箋を用いた処方を行うことになりますが、ドイツでは院外処方が認められておりますので、薬局でT-処方箋が確認された後、調剤が行われることになります。

 さらに、このT-処方箋は、2枚つづりの複写式となっておりまして、1枚は通常の調剤業務に使われ、もう一枚は薬局の中で集められまして、3カ月毎にBfArMに対して送り返さなければならないという規則になっております。BfArMでは、この返送されてきた処方箋を集計することで、ドイツ国内のサリドマイドの総処方量を把握して、EMAに報告しているということでございます。

 裏面を御覧いただければと思います。

 裏面は、T-処方箋を拡大した写しになってございます。各項目の見出しに、粗い日本語で恐縮でございますが、訳を付けております。

 左下に正方形のチェックボックスが縦に4つ並んでいる部分がございますが、こちらが通常の処方箋様式と異なる点でございまして、一番上から、全ての安全要件が満たされていること、さらにその下の四角は、患者に対して必要な情報をきちんと提供しているということを医師がチェックする欄になっております。薬局では、この欄のチェックを確認した後で調剤をすることになります。

 さらにその下の2つのチェックボックスは、in-LabelOff-Labelをチェックする欄となっております。

 その少し右側にT-処方箋番号と呼ばれる6けたの番号が記載されております。この番号は1枚ずつ異なる番号が記載されておりまして、どのT-処方箋がどの医師に提供されたかがBfArM内に記録されておりますので、返送されてきた処方箋から処方医がトレースできるようになっております。

 さらに、左上の欄には、患者の個人情報の記入欄がございますが、2枚つづりのうち2枚目、BfArMに返送されるほうの用紙については、この部分が黒塗りになっておりまして、患者情報は医療機関と薬局のみで管理され、行政当局には報告されないようになっております。

 9ページにまいりまして、イタリアの制度について御説明をさせていただきます。

 イタリアもドイツと同様に、セルジーン社は情報提供のみを行っておりまして、行政当局であるイタリア医薬品庁AIFAが主体となってプログラムを実施しております。イタリアにはCIRRと呼ばれる処方情報登録システムというものがございまして、サリドマイド等に限らず、価格の高い医薬品を処方する場合には、患者情報や処方情報、あるいは患者の検査情報等も含めて、このシステムに入力することが義務付けられております。入力項目は、医薬品毎に個別に設定されておりまして、サリドマイドとレナリドミドにつきましては、このシステムを経由して、初回の処方時のリスク説明の有無の確認ですとか、あるいは妊娠反応検査の結果などを行政当局に報告するという仕組みになっております。

 処方前に患者向け資材の提供ですとか、書面による同意の取得が行われるのは、ドイツと同様でございます。イタリアで違う点としまして、毎月の妊娠検査を尿検査ではなく、血液検査で実施することが義務付けられております。また、イタリアでは、日本と同様に院内処方のみに限定されておりますので、院内の薬局から薬剤が交付されることになります。

10ページ目には、先ほど申し上げましたCIRR、処方情報登録システムの入力画面の一例 をお示ししておりますので、御覧いただければと思います。

11ページ目は、英国及びノルウェーの妊娠防止プログラムの概要をお示ししております。こちらは現地調査は行っていないのですけれども、情報収集した結果をまとめさせていただいております。

 まず、イギリスでございますが、こちらは調剤を行う薬局のみ登録することとされておりまして、登録先は行政機関ではなく、セルジーン社となっております。処方前、初回に書面の同意書を取得する点はほかの国と同様ですか、毎回の処方時については、処方承諾様式と呼ばれる用紙に患者情報と併せて、催奇形性リスクに関する説明の確認や、妊娠検査実施日等を記載し、その内容を薬剤師が確認してから調剤をするという流れになってございます。また、この用紙については、薬局において保存することになっております。

 ノルウェーの場合でございますが、こちらは事前の登録は医師も薬剤師も不要とされております。また、処方時には、患者カードと呼ばれる様式に患者情報と併せて催奇形性リスクに関する説明の日付や妊娠検査の記録等を医師が記載し、その写しを患者に渡すとともに、患者カード本体のほうは病院内で保管をするという流れになっております。

 駆け足でございますが、資料2~資料4につきまして、事務局からの説明は以上でございます。

○藤井座長 ありがとうございました。

 国内、海外、米国及び欧州におけるサリドマイドとレナリドミドの現在の取扱いについて、事務局から御説明をいただきました。

 何か質問がございましたら、よろしくお願いします。ございませんか。

 私、ちょっと思ったのですけれども、欧州は個人情報を公的機関が管理していて、米国は日本と同じで会社が管理しているという形になるのでしょうか。欧州は個人情報も管理していないのですかね。

○事務局 欧州では、基本的には個人情報の管理等は政府は行っておりません。今回調査を行いましたイタリアにおきましては、患者氏名のイニシャルなどの個人情報を規制当局が管理しておりますが、欧州全体で規制当局が管理するという形にはなっておりませんので、その国々によって若干対応が異なっているという状況かと思います。

○藤井座長 登録数とかがどういうふうに使われているかということについては、会社は逆に分からないという状況になっているわけですね。会社は処方しているだけですね。売っているだけという感じですね。

○事務局 そうです。会社には、処方情報は行きませんで、規制当局に必要な情報が集まって、それをEMAに定期的に報告するという形になっております。

○藤井座長 日本はTERMSを作るときに、STEPSを元に作ったので、アメリカと同じような方式になっているということですね。ありがとうございます。

 それぞれ専門の先生たちはもう分かっていることかもしれませんが、先生方、質問、御意見はございませんでしょうか。

 今日御出席の構成員の中で、実際にこの運用に当たっておられる先生で、血液内科の尾崎先生はいかがでしょうか。

○尾崎構成員 徳島県立中央病院の尾崎と申します。

 実際、患者さんの処方に携わっておりまして、やはり薬剤を管理する上で、ほかの医薬品とは全く違う対応がとられていますので、患者さんへの説明、登録から処方、あるいは院内の薬剤師、いろいろなところにかなり管理体制における負担がかかっているというのは事実だろうと思うのです。

 もう一つでは、その院内での対応と、患者さんにもかなりに手間ですとか、いろいろなプライバシーのことをお聞きすることがありますので、その2つの問題が実際運用する点からは、もう少し効率的に対策を講じていただいたほうがいいのではないかという考えは持っております。

○藤井座長 ありがとうございます。

 実際に使用されている薬剤師ということで、林先生、いかがでしょうか。

○林構成員 今、医師のお立場からの説明と同じように、外来導入か入院導入かは問わず、医師の皆さんが必要な時間を使って患者さんと向き合って、情報提供並びに教育をされた上で治療されています。外来などで医師が忙しい場合には、薬剤師もそのサポートをして、初回の説明の一部を分担するとか、必要な安全管理の措置が現行でも実在するリスクに対してとられているのだと思います。

 一方で、例えば個人情報等の話は、実は薬剤部内でマッチングリストといいますか、誰がどの人で、いつ何錠ということは記録を作成していますので、組織というか、医療機関レベルで言えば、外に個人情報を出さなくても遡及性のある管理体制はできているのが現実ではないかと感じています。

 2回目以降も必要に応じて患者の皆さんにもいろいろ伺っている現実もありますので、その辺の双方の負担をどういうふうに改善していけるかは、今回ここに参加しましたので、皆さんの御意見を伺いながらより良い方法を考えたいと感じているところです。

○藤井座長 ありがとうございます。

 これは私から事務局への説明なのですが、このTERMS及びRevMateを作るときに、個人情報を登録するということが行われていますが、実際、個人情報を登録する目的及びどのようなことに使われているのかということが分かればお願いしたいです。

○事務局 個人情報の取扱い等につきましては、別に資料等を御準備させていただいておりますので、もし差し支えがございませんでしたら、残りの資料の説明に入らせていただいてもよろしいでしょうか。

○藤井座長 議論が飛んでしまって申しわけありません。それは先の話になるようですね。

 では、これまでの資料2~4について、特にございませんでしょうか。

 それでは、続きまして、今、少し入りかけてしまいましたが、残りの資料5、6、7について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、資料5「遵守状況の確認方法について」を御覧ください。遵守状況の確認方法につきまして、国内と海外の状況、これまでの議論を行ってきた内容等をまとめたものがこちらのペーパーになっております。

 まず、現在のTERMSRevMateにおける遵守状況の確認方法についてでございますが、先ほどの国内制度の説明の際にも御説明申し上げましたが、現在は両システムとも毎処方時に医療従事者からの確認を行うということと、定期的に患者自身が記入する確認票の送付という2つの方法により遵守状況の確認が行われております。

 それぞれ具体的に何を確認しているかといったものをまとめたものが、後ろの表になっております。両システムで若干確認している項目は異なっておりますが、現在、両方で確認している具体的な項目はこのようになっておりまして、患者からの申告、医師、薬剤師等からの説明で重複している項目などもあるところでございます。

 表に戻っていただきまして、海外における遵守状況の確認方法につきましては、まず、EUにおきましては、特段患者に対する確認方法の定めというものはございませんで、各国独自の運用がなされているといった実態でございます。

 具体的には、今回調査を行いましたドイツやイタリアにおきましては、具体的な確認方法は定められてはいなかったという状況でございます。

 一方、米国におきましては、日本と非常に似たような形になっておりまして、医師による教育、患者自身の電話サーベイによる遵守状況確認が義務付けられているといった状況でございます。

 この遵守状況の確認方法につきまして、これまでも安全対策調査会や両剤の第三者評価委員会で議論を行っておりまして、そのとき出た意見をまとめたものが3番になります。

 御紹介申し上げますと、患者本人が記入する確認票というものは、医師、薬剤師からの確認とは役割が異なるので、まとめるべきではないという御意見ですとか、今後、患者の年齢分布が変わる可能性もあることを考えると、慎重に考えていかなければいけないのではないか、また、確認の間隔を緩和することは適当ではないのではないかといった御意見がございました。

 そのほか、2回目以降の手法の際には、患者区分や年齢、全身状態、安全管理手順、理解度などに応じて確認項目を選択できるようにするなど、柔軟な対応ができるようにするべきではないか。

 確認項目が重複しているものについては、整理することが適当ではないか。

 患者の申告については、処方から一定期間以降は配付の間隔を見直すことが適当ではないか。

 男性患者A、女性患者Bについては、毎処方時のリアルタイムの確認はリスク管理上不要で、事後確認でも十分ではないかという御意見。

 患者に対する継続したリマインドというものは重要ではあるものの、重複する必要性は乏しいので、これらを整理統合して、ワンストップで確認するような方法に改善すべきではないかといったような御意見をいただいているところでございます。

 続きまして、資料6「個人情報の取扱いについて」を御説明申し上げます。

 こちらも国内における状況、海外における取扱い、これまでの議論における意見をまとめたものでございます。

 まず、TERMSRevMateにおける利用状況でございますが、藤本製薬、セルジーンでの個人情報の利用状況をまとめたものが裏面にございます。

 両者ともそれぞれ患者、薬剤管理者に対して、一部異なっている項目もございますが、患者情報を取得している状況でございます。

 実際、これをどのように利用しているかといった点につきまして、氏名、生年月日、薬剤管理者に関する情報は両社とも同じような利用をしているということで、氏名、生年月日に関しては同一患者の二重登録を防止するために利用しており、生年月日については登録された患者区分の確認に利用しているとのことです。

 薬剤管理者に関する情報については、患者さん御本人に連絡がつかない場合に利用するということを想定はしていますが、これまで利用実績はないと両社から報告されております。

 その他、TERMSにおきましては、住所や電話番号も利用しておりまして、実際に使用した例といたしましては、第三者評価委員会ですとか、PMDAからのアンケート調査の郵送に利用したことがこれまであったということと、患者さんからの不要薬の返却がなされておらず、医療機関では対応が難しくなった場合に、医療機関の承諾を得た上で患者又は薬剤管理者に連絡するということで、こちらも利用したことが過去にあったということでございます。

 そのほか、これまで利用経験はございませんが、妊娠ですとか、妊婦の誤飲等が発生した場合に、通常は医師等を通じてフォローアップを行いますが、もしそれが困難になった場合には、直接患者又は薬剤管理者に連絡する際に利用するということで回答を得ております。

 元に戻っていただきまして、では、両社とも現在行っている必要な確認を行うに当たって、必要最低限、どのような情報があれば今と同じ業務ができるのかということを確認いたしましたところ、患者氏名のイニシャル、生年月日、患者区分の情報を入手することで現行の通常業務は実施可能ということでした。

 また、必要な場合には、医療機関に対して確認や情報提供を依頼することにより対応できると考えているという回答を得ております。

 海外における状況でございますが、EUにおきましては、患者の個人情報は製造販売業者には提供されておりません。ただし、先ほど少しお話もございましたように、イタリアのように、一部の国によっては規制当局に個人情報の提供がなされている国もございます。

 米国におきましては、日本とほぼ同じシステムになっておりますので、患者名や住所、電話番号等の個人情報が登録されておりまして、患者の遵守状況の確認のための電話サーベイですとか、第三者機関によるSTEPS評価のためにアンケート調査を行うときに用いられているようでございます。

 これまでの第三者評価委員会等における議論についてでございますが、TERMSの第三者評価委員会においては、議論のまとめというものが出されておりまして、こちらの冒頭はそちらを抜粋したものでございます。委員会の中では、個人情報の取扱いについて検討する必要があるということで、個人情報は医療機関の中にとどめながらもTERMSが安全に運用される方法を早急に考える必要があるのではないかという意見も出たということでまとめられております。

 そのほか個別の意見といたしましては、TERMSでは藤本製薬宛ての同意書に患者が署名をしているというのが現状でございまして、患者がTERMSに参加し、遵守しなければいけないという意識を持たせるためにも、個人情報の登録は必要ではないかという御意見。

 イニシャル登録を仮に行った場合には、なりすまし登録が行われる可能性があるのではないか。

 個人情報を持つことで、企業の意識を高めるというメリットがあるのではないか。

 正確な統計がとれる、転院時のフォローアップができるというメリットがあるのではないかという御意見がございました。

 また、これに対する御意見といたしまして、必要に応じ、病院に照会することで対応できるのではないか。

 統計数に多少の誤差が出たとしても大きな問題ではなく、転院についても、別途対応手順を定めることで対応できるのではないか。

 そもそも何の目的で何が必要かということについて議論が必要ではないかという意見がこれまで出ているところでございます。

 それでは、最後に資料7「今後の検討の進め方について」、事務局の案を御説明させていただきたいと思います。

 今後の議論の進め方につきましては、こちらの資料に挙げてございます4つの順序で検討を進めていくこととしてはどうかということで御提案させていただいております。

 まず1番目といたしまして、催奇形性の強い薬剤について、患者アクセスを阻害せずに胎児暴露を防止するためのリスク管理の目的とそれを達成するための必要な要素についての確認を行ってはどうかと考えております。

 目的としましては、大きなところで、

 ・女性患者自身の妊娠防止

 ・男性患者のパートナーへの暴露防止

 ・第三者への暴露防止

 こういったことが挙げられるかと思います。

 さらに、これらを達成するための必要な要素といたしまして、例えば医療関係者への情報提供ですとか、本人や患者、パートナーへの教育といったものは、ここに挙げております3つに共通の要素になってくるのではないかと思います。

 あと、女性患者自身の妊娠防止という目的に対して直接的ではありませんが、事前に妊娠検査を行って、妊娠していないことを確認してから処方を開始することで、胎児暴露の防止が可能ですので、妊娠検査というのも1つの要素ではないかと思われます。また、第三者への暴露防止という点では、必要量のみが患者の手元にあるような形にするということで、薬剤管理を行うということですとか、容器や包装に工夫をするといったことも要素になり得るのではないかと思います。

 まず、このような目的と要素の洗い出しを行うということをやった上で、2といたしまして、TERMSRevMateにおいて行われている現在の手順や規定の目的について、上記の1の整理を踏まえつつ、それぞれの目的を達成するために、今、何をやっているのかといったことの整理、確認を行ってはどうかと考えております。

 その次に、そのような形で整理した内容のうち、遵守状況の確認と患者登録のあり方、個人情報の関連でございますが、その辺りについて、まず検討を進めていただいて、4といたしまして、そのほかの手順につきましても、手順や規定のあり方について、必要に応じて検討するといったような形で議論を進めてはいかがかと考えておりますので、この点を御議論いただければと思います。

 以上でございます。

○藤井座長 ありがとうございました。

 資料5、6、7につきまして、御説明をいただきました。

 今回の検討会の2つの大きなテーマとして、資料5にあります遵守状況の確認方法、資料6にございます個人情報の取扱いに関して、これまでの議論について御紹介をいただきました。

 今後の議論の進め方について、資料7として事務局から案を示していただきました。

 本日は、まず資料7の今後の議論の進め方について、次回の検討会以降の大きな方針として、この方針でいいのか、御確認、御意見をお願いしたいと思います。

 その中におきまして、それと併せて資料5、6についても、遵守状況の確認をどのように行うのが望ましいのか、あるいは個人情報の取扱いはどうあるべきかについて、本日はフリーディスカッションということで、御意見、御質問をいただきたいと思います。

 ただ、資料5、6の細かい議論につきましては、次回以降にさらに踏み込んでいきたいと思いますので、まず、資料7のどういう方向で検討を進めていくかということにつきまして、この案をたたき台といたしまして、御議論をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 久保田先生、お願いします。

○久保田構成員 資料7の進め方についてなのですけれども、1にあるこういう要素を確認するということなのですが、私自身もこのTERMSが走り始めるとき、何度も議論をしたメンバーの中に実は加わっておりまして、そのときには患者さんのグループもおりましたし、いしずえの方も入って、まさにこの1点目についての要素を何度も何度も確認し、そのためにこういうシステムが必要であろうということで提案されたのが、実はTERMSだったということなのです。

 そういう意味では、かなり議論をした上で、これでいいだろうということだったわけですが、今日こういう形で検討会を設けられたというのは、やはりそこで何度も議論をして、TERMSで行こうといったのだけれども、結局何かしっくりしないというか、うまくいかないというか、そこに大きな問題があるということで、しかも、検討委員会があり、調査会があり、そこでいろいろ検討したにもかかわらず、なかなか解決しない問題があるということで、この検討会が開かれているわけです。

 ですから、1の問題を問題にするというよりも、何がそもそも問題なのか。どういうところが、結局TERMSというものが現状にそぐわないのか。どこに根本的な問題があるのか。そこをきちんとするということが議論を進める上で私は重要なのではないかという気がするのです。

 そういう意味で、私はこの進め方の提案については、やや違和感があると思います。

○藤井座長 ありがとうございます。

 そういたしますと、先生の御意見としては、リスク管理の目的及び必要な要素の確認というのはもう十分にやっただろうと。それを元にやって、実際うまくいかなかったということで、この第1回が開かれているので、むしろ何が問題であるかということの抽出。それが残っているのは遵守状況の確認と患者登録のあり方の辺りでいろいろな問題が出ているのだと思いますが、そういうものを抽出して議論を進めていくのがいいのではないかということですかね。

 それでは、まず当事者ではないといいますか、医薬品のリスク管理が御専門でいらっしゃいます久保田先生に今、お話をいただきましたので、個人情報はかなり踏み込んでしまいますので、それでは、先ほども1回御意見をいただきましたけれども、血液内科の尾崎先生はいかがでしょうか。

○尾崎構成員 恐らく、先ほど久保田先生がおっしゃられたTERMSを作るときに関しましても、ここに書かれています胎児暴露の注意点ということは十分議論されたわけなのですけれども、私が個人的に思っていますのは、そのときのサリドマイドに加えて、新しくレナリドミドも出てきて、また今後もう一つ新しい薬剤も出てくる予定もあると思いますけれども、その都度別々の体系が講じられていくと、かなり現場においても煩雑なので、逆にそれで漏れがあったり、リスクが生じるのではないかという不安があります。

TERMSを最初に確立されたときには、STEPSを参考にしながらということで、非常に厳重な管理体制が敷かれたとは思うのですけれども、それから後発薬が出てくる現状におきましては、やはり別々の対応もリスクの観点からは統一していただいたほうがいいのではないかという1つの御提案です。

 それと、実際、患者さん側にとっては、先ほど問題になっています確認の頻度が多くて、それ自体が受けられないために処方を断念しないといけないですとか、あるいは患者登録の個人情報の問題とかというのが最近になって浮き彫りになったということがございますので、できれば現状のところの問題点をはっきりさせて、決して体制を緩めるというのではないのですけれども、より効果的に、統一的に、今度薬剤が増えること、あるいは適用拡大されて、もちろん若い方も受けられる可能性が出てくるということを念頭に置いたシステムをお考えいただければとは思っております。

○藤井座長 ありがとうございます。

 それでは、薬剤師の立場で、林先生、議論の進め方という観点からお願いします。

○林構成員 私自身もこの会に最初に出席するにあたり、久保田先生から御意見があったように、かねてよりずっと検討してきていることは伺っていたので、今回何を検討しなければいけないのだろうということは、フォーカスを当てて理解しなければいけないと思って、今日も参りました。

 ですので、漠然と全てを検討するというのは大変荷の重い話かもしれませんし、具体的に、私たちの検討会のミッションがあるのであれば、そこはより鮮明に意識しつつ検討出来ればと感じております。

 一方で、緩和策を考えるときに、医療関係者も、患者さんも、あるいは一般国民の皆さんも含めて、実在するリスクは未来にわたって回避していかなければいけないので、Cの人には医療関係者も、システムとしてもかなり丁寧に安全管理のためのケアをしていく必要があるかもしれないし、妊娠の可能性の低いBの方とか、あるいはAは男性なのでタイプが違うと思いますが、そういうことも含めて、何をすれば実在するリスクを回避できるのか明らかにしながら検討する必要があると考えています。そして、日米欧で管理の仕方が違うのですが、省力化したシステムでは、目的が達成できていないのであれば、やはりそこは続けなければいけないし、とってきた対策と、国民の暴露を防ぐというミッションが成功してきているのかということも踏まえて、今後どこまで安全対策を変化させられるのかという検討を進めるべきと考えます。この検討会として、何が実在するリスクで、それを回避するための対策はどこまでやったらどれだけ有効だったのかという内外の実績を踏まえて、検討会のミッションである負担軽減あるいは制度緩和措置を結論していいかどうかを議論するのが良いと考えています。その1をレビューしていただいた上で、その後に進むというのは、結果的には効率的な可能性もあるのかとは感じました。

○藤井座長 ありがとうございます。

 俵木課長、どうぞ。

○俵木安全対策課長 事務局でも今後の進め方は結構いろいろ悩んで、どうやって進めたらいいのかと思ったのですけれども、これまでの調査会での御議論等をお聞きしておりますと、例えば参考資料9で、1年前でございますが、患者会から要望書が提出されております。その1ページ目の下から7行目ぐらいのところですが、TERMSが作られた後、実際に現場でやってみて、いろいろな調査もやった中で、患者さんがどういう状況にあるのかというか、知識レベルがどうなっているのかということも踏まえた中で、現時点において、本手順の考え方の根本的な転換を求めたいということで、あのときの患者会からの御要望というのは、そもそもこういう胎児暴露を防止しなければならない薬剤というものをどう管理するのが適切なのかを一から考えてほしいというのが御要望だったと理解しています。

 また一方、前回の3月の調査会のときもそうだったと思うのですけれども、いしずえの佐藤委員からも、これはたびたび御指摘いただいているのですが、STEPSをベースにTERMSが作られていて、時間をかけて調査結果などを踏まえながら、少しずつ出っ張っているところというか、とんがっているところを削りながらやってきたのだけれども、全体として、そもそもあるべきリスク管理というものが何なのかを考えていただきたいという御発言があったと理解しております。

 そういう意味で、TERMSのときに多分繰り返し繰り返し御議論があったのだと思うのですけれども、できれば1と2につきまして、事務局で次回までに、一応頭の整理ということで、そもそもリスク管理の目的がこうで、そのためにこういうことをやらなければいけなくて、実際のTERMSRevMateではこういうことをやっていると。その中で、それぞれ実施しているものが本当にリスク管理上、どういう意味をもって必要なのかということを改めて御議論いただいた中で、今、一番まずは解決していただきたいのが、この遵守状況の確認の仕方と患者登録のあり方ということですので、そこにフォーカスをしながら、リスク管理全体のあり方を御議論いただければ、患者会にも、またはいしずえの皆様にもお答えしていくことになるのではないかと思いまして、1、2を事務局のほうで次回までに、重ねてやったことの繰り返しになる可能性も高いのですけれども、TERMSを議論したときにはまだ分からなかったその後の実態を踏まえて、もう一度頭の整理をさせていただければありがたいと思っております。

○藤井座長 ありがとうございます。

 いろいろな会議でいろいろな議論が行われてきて、胎児暴露を防止する、これがリスク管理であることは間違いなくて、そういう意味で言うと、この薬は本当はないほうがいい薬ですが、だけれども、サリドマイドは多発性骨髄腫、レナリドミドは骨髄形成症にも非常に効くというメリットがあるということで、2つの利害がぶつかるものを調整する手段として、この薬のTERMSRevMateが出てきたものだと理解しておりまして、これを根本的にやり直すというのは非常に重要ではあると思うのですが、時間がものすごくかかると思いますし、あるいはもう既に議論したのではないかという意見が多分あると思います。

 そういう意味で、今回の検討会については、回数も当然限度がございますので、やはり問題を抽出して、そういう意味では、1、2の理解の下に、3の遵守状況の確認と患者登録という方向に、その辺が問題で解決していないと。一番の出っ張りを直すだけかもしれないけれども、問題になっているのではないかと私は理解しているのですが、私の意見ばかりを言ってもしようがないので、それでは、要望書も出していただきました日本臨床腫瘍薬学会の遠藤先生からお願いします。

○遠藤構成員 我々、日本臨床腫瘍薬学会というのは、実際の現場、特に病院の薬剤師が多くて、がん領域にかかわっている薬剤師が多いので、そういう薬剤師に対して、この制度を実際に運用している立場からいろいろ意見を聞いた結果、今回、参考資料10に出させていただいたような提案をさせていただいたのです。

 確かに、TERMSRevMateもしっかりした制度だと私は認識していて、運用した結果、現在までは不幸な事故もなく、ある程度順調に動いてきているのだろうと思います。

 ただ、実際に運用している中で、やはり患者さんの立場、実際に運用している医師の立場、薬剤師の立場からすると、どこまで厳しくというか、誰にとって厳しいという話ではないですが、安全管理を続けていく必要が本当にあるのか。極論すると、本当にこの薬がないほうが絶対に大丈夫なのですけれども、そうではなくて、やはり適切に使いながら安全管理するということですので、非常に厳しいシステムをどんどん運用していくと、やはりそれが長く継続するというのも、逆に言えば大変なので、我々としては、できるだけ患者さんにとっても余り負担がなく、安全管理をしながら、医療従事者にとっても、なぜこんなことをいちいち1回1回しなければいけないのかと思いながら仕事をするのではなくて、きちんと意義を理解しながら、このシステムを運用するということを続けていきたいと思っていましたので、今回、管理手順のところの継続とかの確認事項などはワンストップ化をしたらどうかということと、あとは個人情報については、患者さんにとって非常に大きな問題で、ほかのシステムを考えると、患者さんの情報を企業にまで全て提供する必要はなくて、なくても安全管理上は問題はないのではないかと思ったので、今回この提案書の中にも書かせていただきました。

○藤井座長 ありがとうございます。

 それでは、個人情報ということが、先ほどからもいろいろと話に乗っておりますので、その取扱いや臨床研究と比較した場合の考え方等につきまして、その御専門でいらっしゃいます田代先生、お願いします。

○田代構成員 この中では一番素人ですので、余り適切なことは言えないかもしれないのですが、個人情報ということに限らない話でも構いませんでしょうか。

○藤井座長 どうぞ。

○田代構成員 私は医療現場の立場でもなく、TERMSというシステムにもかかわってきていない立場ですが、今回構成員として呼んでいただいたので、これまでの経緯についても一通り目を通して参りました。それで先ほど久保田先生のほうから、既にはっきりしていることもあるのではないかという話もあったのですが、私もこの目的自体ははっきりしていると思います。つまり、欧州では「妊娠防止プログラム」という名前が付いているように、そういう意味で胎児暴露を防止するという目的ははっきりしていて、恐らく問題になっているのは、それに対してとられている手段が適切なのか、ということだろうと思います。

 これは外から見た立場ということで聞いていただきたいのですけれども、特に日本のシステムをほかのものと比較した場合に、文書による手続というものに非常に重きを置かれているような印象があります。これまでにも既に簡素化されているとは思うのですけれども、文書による手続を課すことによってリスク管理ができるという発想がどうも私にはよく分かりません。これまでの検討の中でも何度も議論に出ている点だと思うのですが、それよりは、やはり現場の医療者の方と患者さん、御家族さんが率直な立場でコミュニケーションをとられる、そのための時間と労力がしっかり確保されるということが最も重要だろうと素人ながらに思うわけです。その点、今回遵守状況の確認方法等について、もともとのところから考えるというときには、そもそもどういう手段をとるべきか、ということを議論することになるのではないか、という気持ちで今回は出させていただきました。

○藤井座長 ありがとうございます。

 私は座長ですので、余り意見を言ってはいけないかもしれないのですが、久保田先生はちょっと違ったのですけれども、ちょっと厳し過ぎるのではないかという意見が多かったわけです。私は産婦人科医ですので、どちらかといえば、産婦人科医というのは何かあったら薬を使わない側ですので、やはりこの薬は催奇形性が非常に高い薬であるということで、実はこのシステムは非常に厳しいシステムであるので、いろいろ問題があるとは思うのですが、ひとつこのシステムのすばらしいというか、良かった点というのは、一例も妊娠がないのです。外国ではあるようですが、一例でも出てきていない。これはこのシステムの非常に良かった点であると思うのです。

 ただその一方で、逆に言うと、一例もなかったということは、それでいいのかもしれないけれども、多少緩和する余地がある。例えばこのシステムで妊娠がどんどん出ていたら、緩和するなんていうことはとても考えられないわけですが、一例もなかったという意味では非常にいいシステムだけれども、少し緩和できる余地があるのではないかということで、そういうこともありまして、既に3月の議論から6月の改訂にありますC女性の定義の見直しが行われたのだと思います。

 ただ、患者会の方々は、要望書といいますか、パブコメで出してくれる方は非常にまじめないい方なのですけれども、登録者がそれぞれ7,000人、1万人もいますと、やはりいろいろな人がいまして、私は産婦人科医で、入院中の患者がカーテンを閉めて中で性行為に及んでいたという現場に出くわしたこともあるのです。ですので、そういう状況もあるので、やはり教育とかそういうのを徹底して行わなければならないし、妊娠なんて考えもしませんなんていうのは、大多数というか、ほとんど全員はそうなのでしょうけれども、1人でもそういう方がいて何かがあると、この薬は歴史もありますし、一挙にこの薬は全面禁止になりかねないという状況になりますので、やはりそれなりの厳しさは続けていかなければいかないのではないかと思っております。座長としては余りそういうことは主張しません。

 そういうこともありまして、ただ、もう一つは、やはり私は産婦人科医と同時に女性医学の立場もとっておりますので、抗がん剤、化学療法によって卵巣機能がだめになってしまって、あなたはもう妊娠できないよと。それだけでも悲しい女性に対して、毎回毎回妊娠反応をやるのは幾らなんでもそれはかわいそうだろうという気持ちもありますし、それから、全身骨折で寝たきりなのに、先ほど言ったようなこともあるかもしれないけれども、そういう人にまで妊娠反応をやるのは幾らなんでもかわいそうだなと。人権とかそういうことはよく分からないですけれども、かわいそうだなという気がしますので、そういうのはやはり緩和してさし上げたいと思って、そういう方向で少し進みましたので、それはいいと思うのですが、やはりそういうバランスを考えつつ、もっと緩和して、緩和してと言って、一例でも妊娠が出てしまうと全ておしまいになりますので、その辺は十分に考えて議論していければいいかと思っています。

 今後の議論の検討の進め方なのですが、そうしますと、1のリスク管理の目的は、胎児暴露を防止するためというのは、みんな分かっているといいますか、これはそうだろうと思います。それを達成するために必要な要素がいろいろあって、それが多分今の話で、TERMSRevMateの元になっていると思うのですけれども、それの中でいろいろ改訂が行われてきて、その中でもう少し何とかできるのではないかというものを抽出するという作業になるわけです。

 ただ、今までのすごい議論の中では、この資料5、資料6にあります遵守状況の確認が何とかなるではないかということと、患者登録が何とかなるのではないかということが問題として残ってしまっているとなって、この会が開かれてきたのではないかと思います。

 そうしますと、先ほど課長がおっしゃったように、1、2につきましては、特に1のリスク管理の目的については、今までの最初のTERMSとかを作っているときのものを用意していただいて、必要な要素もそのときに当然確認したわけですね。

○俵木安全対策課長 はい。

○藤井座長 それを見せていただいて、それぞれに対して、きっと今の対策がどう対応しているのかというものを見せていただいて、それを元に議論していけばいいと思うのです。

 先走ってはいけないのですが、最初に久保田先生が、現状の問題点をはっきりさせるほうがいいだろうということで、限られ時間の中で議論をするためには、ここに2つ候補が書いてありますが、例えば先生、そのほかにこういうことも問題ではないかということがもしも現時点で何かありましたらお願いします。

○久保田構成員 どうもありがとうございます。

 私自身もTERMSを始めるときはSTEPSしか知りませんでしたし、これでいいのだろうと思っていたのです。その後、実はいろいろ見ていて、少し考えを変えたのです。

 そもそも論でいくと、STEPSというシステムは、1998年にアメリカでサリドマイドが承認されたときに入ってきたもので、多発性骨髄腫に対するものではなかったのです。多発性骨髄腫に関するSinghalNew England Journal of Medicineに論文が出たのは1999年で、それまでほとんど論文はなく、あれは急に出たのです。だから、1998年の時点では、実は多発性骨髄腫というのは全く考えられていなかった。そのときの適用者は、一応らいということになってはいるのですが、実際に対象になったのはエイズの患者さんだったわけです。

 どういうふうに効くのか、いまだにはっきりした文献的なものはないのですけれども、エイズの患者さんがとにかく当時はいい薬がなくて、サリドマイドを飲むと元気になるのかよく分からないのですが、それで使っていて、もちろんアメリカでは売られていなかったので、アンダーグラウンドでメキシコからの密輸品を使っていたわけです。それに対してFDAはものすごい危機感を持って、エイズの患者さんですから若いですし、セクシャルにも非常にアクティブですし、そういうものを表に出して、しかも密輸入してまでも使うというある意味でタフな人たちですから、はっきり言うと「取締り」のシステムなのです。

STEPSというのは患者さんを直接「ガン」とつかんで、そして直接コントロールするものだった。直接コントロールなのです。常にセンターである会社が許可を出す。処方するのにもセンターが許可を出す。調剤するのにも許可を出す。患者さんからの情報を直接自ら集めて、誰がどういうふうにしているということを全部つかんだ上で許可をしていくというシステムだと思うのです。

 ヨーロッパのシステムというのは、それに対して多発性骨髄腫が治療対象になって大分たってからのもので、方向としてはセンターがというよりも、どちらかというと現場の努力に任せるという方向にかなり近いものだと思うのです。サリドマイドはいまだに個人輸入されていまして、私自身、実はSMUDの登録システムをずっとやってきているのですが、やはり現場に全部というのはちょっとどうかと思います。実際いろいろ見ていると、非常にまじめにやってくださるところもあるし、かなりいい加減なところもあるし、最低限のところを確保するためには、やはり中央で一元的にという要素というのはとても重要だと思っているのです。

 そのときに、中央が一元的に直接コントロールする必要はないのではないかというのが私の考えで、この場では全く話が出ていないのですが、私が最近非常に注目しているのは、クロザピンのCPMSというものがあるのですが、そのシステムでは、企業は直接のコントロールは一切しないのです。後ろでずっと見ているのです。企業は現場の様子を見られるようになっています。現場で互いに相互承認をするのですが、そこでうまく回っていけばそれでいいということですので、患者さんの情報は直接センターに来ませんし、また、許可をするという要素も少なくとも一つ一つの処方に対してはありません。

 何かそういう間接的にウオッチしているといいますか、センターは直接コントロールするというのではない方向に持っていくような、大きな改訂が必要なのかもしれないということを最近感じるのです。それは、患者さんの個人情報の登録と非常に密接に関連しているのですけれども、CPMSなどではイニシャルだけです。個人情報は行かないです。それでもうまく行くシステムができています。

 私がちょっと危惧するのは、STEPSでは、患者さんが直接定期的に報告するというのが、患者さんの個人情報の問題と同時に、STEPSを支える1つの重要な柱になってしまっている点です。要するに、それがないとうまくSTEPSが動かないような1つの安全管理システムの柱になってしまっているのです。だから、それをぽんと単に除くということは、安全管理システムとして問題が出てくると私は考えていまして、もしそれを除くのであれば、そこの分の欠落した部分をどうやって埋めるのかという部分がきちんとされないといけないと思うのです。

 例えばTERMSの場合ですと、直接の要素というのは、患者さんが定期的に郵送で自分の状況を会社に送るわけです。単にそれを匿名化するのだけれども送るという、そこの要素は残しておくよりも、患者さんの情報が直接センターに行くという、患者さんが前面に出るようなところをむしろなくしていくほうがいいのではないかと思っておりまして、そうすると何か現場で患者さんが確かにやっているということを確認していくような仕組みが必要になります。

CPMSでは、実はコーディネーターという職種ができていまして、その人たちがものすごく重要な役割を果たしているのですが、何かそういう役割の人を設けるなど、患者さんが直接報告しないのなら、それを補うような、そして、安全管理上必要な事項がそれで確かにされているということを確認していくことが必要なのではないかということを感じています。

 ちょっと長くなって済みません。

○藤井座長 今のことは、まさに遵守状況の確認ということですね。それは、だから会社に行くのか、病院の中で完結させるのかということも含めてということになります。

 田代先生、どうぞ。

○田代構成員 コメントなのですけれども、最初の、どうしてSTEPSができてきたのかという説明を聞いて、非常に納得できました。これまでの一連の資料を読ませていただいてきて、大変違和感があったのは、やはりTERMSが前提にしている人間観がどうしても合わないというか、現実の患者さんと合っていないという印象があったわけです。つまり、服用して性交渉をしたいという人が大多数であるということを前提として作られているシステムだとしか思えないところがありましたので、そういう人はほぼいないという状況で、どうもそのシステムと対象とされている人間のイメージが実際と余り合っていないという印象を受けていたわけです。そこで今、御説明を聞いて、その違和感というのがどこから来ているのかということがよく分かったということです。システムの背景にあるどういう人を想定するのかというか、人間観というのはすごく重要だと思いますので、今の発言は私にとっては重要な情報だったということをコメントさせてください。

○藤井座長 実は、先生のこととも関連する議論というのは、第三者委員会のほうでも今まであって、これは患者会の方も、この薬を飲んでいて妊娠しようなんて思う人はいないだろうというのは、恐らくほぼ全員がそういう気持ちだと思うのですが、ほかにも危ない薬は幾らでもあるわけです。リウマチに使うリウマトレックスは流産してしまう薬ですから、絶対妊娠したら飲んではいけない薬です。そういうことを厳しくしないわけです。

 この薬の大きな特徴は、昭和30年代後半に大きな被害が出た。これはほかの薬にはない最大の特徴なのです。ですので、そういう特殊性があるから、この薬だけは絶対に同じことを起こしてはいけないということがあるし、実際、その被害で今もすごく苦しんでおられる方がいるという状況で、ですので、ゼロにしなければいけない。多分、ほかの薬はゼロにするというところまで考えていないのではないかと思うのです。ですので、そういう特殊性でこの制度が始まってしまった。だから、ほとんどの人が、こんなことをやらなくたって大丈夫だろうと思っているのだけれども、でも、1万人いるわけですから、もしもということでやっているのではないかと私は考えています。

 血液内科の先生からすると、そんなことないかもしれないのですが、尾崎先生、どうでしょうか。

○尾崎構成員 今まで久保田先生に御説明いただいたとおりだと思うのですけれども、本来、非常に危険な薬剤で、胎児暴露を防ぐという目的の下に、実際、多発性骨髄腫の患者さんの年齢層からいいますと、ほとんど妊娠可能な人はいないですね。実際、臨床の現場でも骨髄腫の患者さんの男性の患者さんのパートナーであれ、女性患者さんが出産されたというのはきわめて異例ではないかと思っています。

 それを念頭に、そういうこともあるので、恐らく承認もある程度認められた経緯があるのではないかと思いますので、逆に言いますと、そういう患者さんの方に対して、確認を毎回同じようなレベルですごく反復しているというところが非常に違和感があるというのが現場で感じているところではあります。

○藤井座長 あと、統一化という話が先ほど出たのですが、統一化というのは、今回の2つとまた違うテーマになると思うのですけれども、統一化というのは可能なのでしょうか。逆に言うと、別々になっている理由というのは何なのでしょうか。基準がほとんど同じなのですけれども、微妙に違うわけですね。この違いが起こっている理由というのは。

○俵木安全対策課長 多分、日本のシステムは、それぞれの企業に中央管理ということで責任を持っていただいて回すという形にしたので、それぞれの企業の責任の範囲で作られたがためにこういうことになっているのではないかと思うのですけれども、可能な限り、やり方であるとか、確認する内容であるとかということを合わせていくことはしていきたいと考えています。

○藤井座長 あれですね。先ほど言ったFAXと機械の確認状況のところでも違うのと、サリドマイドのほうは細かい式まで書くというのが違うわけですね。レナリドミドはそれがないのですね。錠数だけ書くのですね。

○俵木安全対策課長 足し算と引き算も変わらないです。

○藤井座長 その式を書く理由というのは、逆に言うとそれは省略できるのかどうか。確かになるべく同じほうがミスは起こらないと思うし、負担も軽減されるのですけれども、統一化というのはテーマに入れるのはまずいですか。

○俵木安全対策課長 方向としてはそうだと思うのですけれども、どこまでできるか、事務局としても、今日すぐにお答えもできないですが、方向としては、基本的に同じような手順で同じようなことが動くようにはしていきたいとは考えています。

○藤井座長 遠藤先生、いかがでしょうか。

○遠藤構成員 多分、統一だと、きっと患者さんもハッピーですし、医療従事者もハッピーなのですね。

 これはスタートしたときから、特に医療従事者のほうは、なぜ違うのかというのはずっと疑問に思いながら今まできていて、かなりいろいろ改善したのと、あとはRevMateのほうは後からスタートしているので、TERMSの欠点は最初から改善してスタートしているから少し違うのだと思います。かなり統一してきているのですが、やはりFAXとハンディ端末というところは、そこが大きく違っています。実際に医療従事者のほうからすると、かなりシステムが違うという感じで、多分、医師の皆さんからすると、ハンディ端末でやってもらったほうが、多くは薬剤師がやっていますから、血液内科の先生からすると、RevMateのほうがハッピーだと思います。薬剤師は自分たちでやらなければいけないから大変なのですが、できればハンディ端末を使用するようにしていただきたいけれども、そこはなかなか強制力があるのかどうかというのがひとつ問題としてはあると思います。

 ただ、今後もしいろいろ似たような薬が出てくるときには、最終的にできるシステムを標準としてほしいという希望はもしかしたら出せるかもしれないと思います。

○藤井座長 林先生、いかがでしょうか。

○林構成員 施設毎に取組みが違うので一概には言えませんが、調剤に従事する薬剤師が20人とかいたとしても、RevMateTERMSが的確に運用できる薬剤師は限られます。予め内部で操作等に習熟した数人に決めて実務を担当しているので、そこがシンプルになれば、それはそれでスムーズという考え方はあります。一方で、多分RevMateTERMSの仕組みを統一するためには、それなりにお金もかかったりするのかもしれません。今でも、患者さん方にとって、必要な安全管理策を含む薬事承認を経たお薬であるという安心感はあるのだと思うのですけれども、その仕組みのためも含めて、大変高い金額を払われていると感じている方もいらっしゃるので、システム統合のために更に高くなることは申し訳ないという気がします。

○藤井座長 そうしますと、統一化はできればいいけれども、議論の優先度としてはそんなに高くない。先ほどから、文章が必要かということは遵守状況の確認というところに入ると思いますし、企業は後ろにいて管理しているのではなくて、見ているだけでというのは、患者登録及び遵守状況の確認ということになるので、やはりこの辺が議論のポイントとしては大事なのかなという感じがいたしますが、それと併せて統一化というのも図れていければいいのではないかと思います。

 そうしますと、今後の検討の進め方で皆さんからさまざまな意見をいただきまして、1と2については、今までの経過を事務局のほうで整理していただいて。

○俵木安全対策課長 ここは御議論といいますか、事務局のほうで整理をさせていただければと思います。そこから議論をスタートしていただければと思います。

 あと、久保田先生からございましたクロザピンのCPMSについても、次回御用意をさせていただければと思います。

○藤井座長 メインの検討のポイントとしては、ここにありますように、結局患者登録、遵守状況。遵守状況の確認と患者登録というのは、要は、患者さんの把握と教育ということになると思うのですが、こういう辺りですかね。

 林先生、どうぞ。

○林構成員 議論の進め方の1と2に関してなのですが、ある意味、ここは久保田先生のお話のように、分かっているところではあるのですけれども、レビューしていただくことは大事かと思うのです。そのときに仕組みの説明だけではなくて、先ほど座長の藤井先生からも、他国の仕組みでは実際にfailureになって暴露してしまったケースがあるというお話もありましたが、それはどの仕組みだと、何件ぐらい実在しているのかとか、そういうこともできればここでリスクを回避するための議論をするためには分かるものであれば、材料は御提示いただけるとありがたいかと思います。

 一方で、日本で個人情報を登録するのは二重登録の防止だと目的が資料にも書いてあります。委員会で評価するためには、実際にそういう二重登録が何件あったのかということがもし分かるのであればご提示いただきたいと思います。実際にリスクを回避しようというときに、概念論だけではなくて、今までやってきた歴史がありますので、その中でどれだけのリスクを回避できてきているのかいないのか、というところも教えていただければと思うのです。

○藤井座長 大丈夫でしょうか。

○俵木安全対策課長 はい。

○藤井座長 国民性の違いも相当ある感じはしますね。日本人は、非常にまじめはまじめだと思うので、でも、やはり資料としてあればいいと思います。

 久保田先生、いかがですか。

○久保田構成員 CPMSの御用意をしていただけるということで、大変ありがとうございます。

 実は、私、先ほど触れましたけれども、SMUDという個人輸入の仕組みをまだしておりまして、実はそれはリスク管理という要素はほとんどなく登録システムでしかないのですが、妊娠可能な女性が結構いるのです。しかも、多発性骨髄腫よりもはるかに若い10代の女の子などが入っていて、何とか今年は妊娠可能な女性患者をモニターする方策を考えろというお題を私どもは厚労省からいただいていまして、その仕組みを考える上でCPMSを実際にやられている方にお会いしたりしたことがあるのです。そのときに、うまくいっているところだったのかもしれませんけれども、私が非常に衝撃的だったのは、2軒に行ったのですが、初めのうちはこんな面倒くさいものと思っていたのだけれども、やってみて、この仕組みがあって良かったという評価なのです。これは、今は絶対に必要なものであると現場で強く支持されている。結構現場ではCPMS業務に時間はかかるのですけれどもね。

 ですから、それを見て、私が非常に衝撃的だったのは、要するにTERMS委員会などでも、どちらかというと、何でこんなものをしなければいけないのかみたいな話がいつまでたっても消えないのを見ると、やはりこのシステムがあって良かったという、そこの話を聞いたときに、そういうことがあり得るのだということを思って、やはりサリドマイドなどのシステムもそういうものに近づけなければいけないし、近づけていけることができるはずだという感じがしますし、そういう意味では、何でそれがうまくいっているのかというところに、リスクの種類は全然違うのですが、ヒントになることがあるのではないかと思っています。

○藤井座長 先生、それは危ないことがあったということなのですかね。

○久保田構成員 クロザピンですか。

○藤井座長 はい。

○久保田構成員 クロザピンは非定型抗精神病薬で無顆粒球症が起こるのです。一時発売中止になった国もありますし、実質的に発売中止と同じようなことになった国もあるのですけれども、やはりクロザピンではないと効かない患者さんもかなりいて、非常に強い要望があって復活した薬なのです。そういう意味では、サリドマイドと非常によく似た面を持っています。とにかく血液検査をして、患者さんに問題が起こっていないことを確かめないと次のステップに行けないような、そういうがちがちのシステムでもあるのですが、うまく行っています。

○藤井座長 先生方、いかがでしょうか。

 田代先生、発言量が少ない感じがしますが。

○田代構成員 1点だけ。

 個人情報の取扱いについて事務局に対する確認で、いただいた資料を拝読する限りでは、やはり基本的には医療機関内にとどめるほうがベターであるということは皆さん思うことだと思うので、それで用が足りるのであればそれでいいと思うのです。

 二重登録の防止や患者区分の確認というのは、ほかで用が足りるし、薬剤管理者に関する情報はいろいろな実績はないということだったのですけれども、ちょっと教えていただきたい点があります。TERMSのほうで、患者から不要薬が返却されていない場合等であって、医療機関では対応困難となった場合に、医療機関の了解を得て住所を使ったという例があると書かれていて、これが何なのかというのがちょっと分からないのです。これは一体どういう事態でしょうか。つまり現実には、資料を見て個人情報が実際に使われたのは、ほぼこれだけではないかと思ったので、次回でも構いませんので、これが一体どういうことを意味しているのかということを教えていただければと思いました。

○事務局 今、具体的な背景の情報を持ち合わせておりませんので、次回までに調べて、御説明申し上げたいと思います。

○藤井座長 先生方、ほかに意見はございませんでしょうか。

 そうしますと、いろいろな御意見をいただきまして、この1、2の経緯とか、その辺のことも資料を用意していただいて、ただ、感じとしては、遵守状況の確認、患者登録というのがメインの検討項目になるということではないかと思います。事務局の方は済みませんが、本日の意見を踏まえまして、次回の検討会に向けてまた、今日は随分資料を作ってくれて、宿題がいっぱい出て大変かと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、事務局から連絡事項の説明をお願いします。

○事務局 次回の検討会につきましては、また追って、日程調整をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○藤井座長 以上で、本日予定しておりました議題は全て終了ですけれども、そのほかに何か御発言はございますでしょうか。ございませんか。

 ほかになければ、事務局のほうでさらに何かございますか。

○事務局 特にございません。

○藤井座長 それでは、皆さん今日はどうもありがとうございました。

 本日の検討会を閉会とさせていただきます。長い時間、御議論をいただきまして、ありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
(代表電話)03-5253-1111

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会> 第1回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会 議事録(2013年6月13日)

ページの先頭へ戻る