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2011年7月28日 第67回独立行政法人評価委員会労働部会議事録

○日時

平成23年7月28日(木)9:30~12:30


○場所

専用第12会議室


○出席者

今村部会長、宮本部会長代理、加藤委員、高田委員、松尾委員、伊丹委員、川端委員、本寺委員

○議事

(以下、議事録)

○今村部会長
 定刻になりましたので、まだ本寺委員がお見えになっていませんが、部会自体は成立しておりますので、ただいまから第67回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。本日は個別評価の2回目、労働者健康福祉機構の個別評価となります。委員の皆様にはご審議をよろしくお願いします。なお、本日は中野委員が欠席となっています。
 ここでご紹介をさせていただきます。加藤委員の横に同席いただいているのは、優成監査法人の公会計部長の宮崎さんです。委員ではございませんので、発言いただくことはございませんが、加藤委員の補佐として今後同席させていただきますので、ご紹介いたします。
 個別評価に入る前に、12日の部会の際に、部会長代理を定めておりませんでしたので、部会長代理を指名させていただきたいと思います。部会長代理は、評価委員会令の第5条第5項において「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理すること」とされております。したがいまして、部会長が指名することとされております。是非宮本委員に部会長代理をお願いしたいと思っていますが、宮本委員、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○宮本委員
 宮本でございます。それでは、部会長代理を引き受けさせていただきます。

○今村部会長
 部会長代理を宮本委員とさせていただきます。
 それでは、労働者健康福祉機構の個別評価に入ります。最初に、名川理事長からご挨拶と、平成22年度における業務実績概要の説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構理事長
 いま、ご紹介いただきました労働者健康福祉機構理事長の名川弘一と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 平成16年から独立行政法人となりまして、今年で8年目を迎えます。今回ご評価いただく事業実績は、第2期中期目標の2年目ということになります。
 当機構が行っております事業はいくつかありますが、主なものを申し上げますと、労災病院事業、産業保健推進センター事業、未払賃金立替払事業となっております。その中でもやはりウェイトを多く占めるのは労災病院事業ということになっております。
 本日ご評価あるいはご審査いただく主なポイントについてその概要を申し上げたいと思います。労災病院事業がやはり大きなウェイトを占めますので、その労災病院事業の中で、特に我々が力を入れてきたものがあります。その実績等を鑑みて、その労災病院事業の中で、3項目S評価を自己評価として付けさせていただいております。
 1点目は、勤労者医療の地域支援への貢献です。これは労災病院の近隣の診療所等から労災病院に対して紹介状を持ってくるといった紹介率、あるいは労災病院が患者さんをお預かりして治療をしたあとに、近隣の診療所等にまたお返しする逆紹介率、あるいは労災病院で行っております研修で、近隣の医師等が参加する症例検討会、あるいは非常に高価な機器、CTやMRIなどによる検査を受託して労災病院が行うという受託件数、これらに非常に積極的に取り組んでまいりましたので、S評価と自己評価させていただいております。
 2点目は、行政機関への貢献です。これは労災認定に関する審議会等へ労災病院の医師等が相当数出席しているという点、それから、労災疾病に対する意見書を相当数作成しています。また、2020年にピークを迎えると言われておりますアスベスト患者に対する対応を、アスベスト疾患センターで行っておりますが、これに積極的に取り組んでまいりましたので、S評価と自己評価させていただいております。
 3点目は、労災疾病等に関する研究・開発です。これは労災疾病に関する学会発表、あるいは論文発表、あるいは労災疾病に関する情報提供として研究成果をホームページに掲載していますが、そのアクセス件数等を鑑みまして、S評価と自己評価させていただいております。
次に、産業保健推進センター事業の関連で申し上げますと、産業保健の関係者に対する研修回数、あるいは相談件数、産業保健に関係します情報提供などへの取組も、積極的に行ってまいりましたのでS評価と自己評価させていただいております。
 最後になりますが、労災病院は経営基盤を確立するということがまずもっていちばん重要なことと考えてまいりましたので、財政上の面から見ますと、損益ベースで13億円の当期利益を出したということで、前年度が51億円のマイナスでしたので、64億円の改善ということになっています。もちろん、平成22年度は診療報酬のプラス改定がありましたが、少し分析してみますと、診療報酬の改定の影響が約3割程度、あと7割程度が自己努力によるものと自己分析しています。今日はいろいろご意見を頂戴し、ご示唆をいただいて、それをまたこれら事業に活かして頑張っていきたいと思いますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。

○今村部会長
 ありがとうございました。これからの進め方ですが、労働者健康福祉機構の個別評価については、評価シートの個別項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。まず、グループ1「高度・専門医療の提供」「勤労者医療の地域支援」及び「行政機関等への貢献」の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明が20分、委員の評定と質疑が20分の合計40分となっております。それでは、法人からの説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 総務部長の楪葉です。まずポイントを資料1-1のポンチ絵で説明させていただきます。自己評価につきましては、資料1-2「平成22年度業務実績評価シート」をご覧ください。説明に出てまいりますが、医療関係の専門用語につきましては、資料1-8「独立行政法人労働者健康福祉機構平成22年度業務実績評価参考資料」の6頁以降に出ていますが、併わせてご覧いただければと思います。
 資料1-1の1頁です。グループ1の高度・専門医療の提供ということです。内容としましては、1.地域の中核的役割の推進、2.急性期医療への対応、3.医療の高度・専門化などを示しています。
 次に2頁をご覧ください。中核医療機関としての体制構築・強化です。労災病院は全国で30病院ございます。左下の箱ですが、地域がん診療連携拠点病院が11、アスベスト疾患センターが25、災害拠点病院が8、地域医療支援病院が19となっております。これらの指定に向けた積極的な取組、4疾病・5事業等の診療機能の充実を図りまして、併わせて労災や医療に関する知見・情報の発信基地となることを目標としています。
 3頁です。急性期医療への対応です。左上の箱にありますが、入院基本料7対1についてです。平成16年度からご覧いただきますと、21年度は9施設、22年度にはプラス4施設ということで、13施設となっています。
 この内容の解説が資料1-8にあります。資料1-8の6頁の上のほうに、7対1看護体制。これは入院患者7人につき看護師1人を配置する体制であって、備考に書いてありますが、入院基本料1日について1,555点となっております。
 真ん中、左の箱にありますが、救急医療体制の強化です。これも16年度から時系列で書いてありますが、平成22年度につきましては、前年度より約4,500人増加しています。
 4頁です。医療の高度化の関係です。「学会等への積極的な参加」というタイトルになっておりますが、学会認定医数で、専門医数が相当数になっております。また、高度医療機器の計画的整備ですが、すべて自己資金で賄っておりまして、平成22年度につきましては92億円の投資を行っています。内容は上に書いてありますが、アンギオグラフィー、ガンマナイフ、リニアック、CT、MRI等です。
 5頁です。後ほど説明させていただきますが、労災疾病等13分野研究について、それぞれに医療面での評価を行っています。医療の質の評価等に関する検討委員会を開催しております。この構成委員ですが、外部有識者、あるいは労災病院関係者の方にやってもらっています。この外部有識者は、聖路加国際病院の福井先生にお願いしています。
 6頁です。労災病院グループとして、優秀な人材の確保・育成をいかにやっているかということです。医師の関係ですが、医師の募集活動は、ホームページでの公募等です。また、医師の働きやすい環境づくりということで、事務補助要員の確保、また育児のための医師短時間勤務制度をやっています。医師の育成としまして、研修医に対する集合研修や、講習会の開催を行っています。
 7頁です。次は看護師の確保・育成の関係です。看護師の確保に向けた取組としまして、合同就職説明会、あるいはホームページの活用、さらには院内保育所の整備を行っています。また、奨学金の貸与あるいは研修等を実施しています。その成果として、新規採用数が平成23年4月1日で1,004名です。また、看護師の離職率ですが、平成21年度の8.7%から22年度には7.9%へ低下をしています。平成22年度10月調査の全国平均では、11.2%ということで、若干高目の定着率となっています。
 8頁です。全国に9か所あります労災看護専門学校の関係です。この労災看護専門学校におきましては、勤労者医療というカリキュラムを導入しています。この頁の真ん中にありますが、中身として、勤労者医療概論、労働衛生の理解、あるいは労働衛生行政と関係法規、労働衛生の課題、メンタルヘルスマネジメント、さらに健康教育技法、災害看護といったことをやっています。また、いちばん下ですが、労災看護専門学校の学生の国家試験合格率ですが、第100回平成22年度は99.4%ということで、いちばん下に書いてありますが、全国平均の91.8%に比べまして、8%ほど高い。例年全国平均に比べて8%から9%高い数字になっています。
 9頁です。労災病院における患者満足度調査の結果です。提供する医療の質の評価です。左上に灰色の箱になっておりますが、平成22年度の満足度調査の結果といたしましては、平均81.5%ということです。この患者満足度調査ですが、1調査期間、2調査方法等が書いてあります。有効回答が2万7,000人です。また、この患者満足度調査の質問方法としまして、有利な回答を誘導しないよう、否定的な質問と回答を設定しております。例として、「私は診療までの待ち時間を不満に思う」それにつきまして「まったくそうだ/ややそうだ」と、こういった質問と回答にしています。
 いちばん下ですが、外部評価機関である日本医療機能評価機構による病院機能の評価です。平成16年度からの数字を時系列で並べております。20年度、21年度、さらに22年度のここ3年間は30施設が認定されています。
 10頁です。クリニカルパスあるいはDPCといった医療の標準化の関係です。まず、上のほうがクリニカルパスですが、クリニカルパスとは疾病ごとに治療内容の手順を経時的に示した計画表です。右上の折れ線グラフで、クリニカルパスの件数ですが、平成22年度につきましては、21年度に比べまして約550件の増加となっています。次にDPCですが、簡単に申し上げますと出来高払いではなくて、医療費の定額支払い制度のことです。これによりまして、最短の治療が期待されるし、また医療費の抑制も期待されるとなるわけです。
 右真ん中のグラフはDPC対象病院に向けた取組状況ですが、21年度、22年度につきましては準備病院がすべて対象病院になっているということです。
 11頁です。安全な医療の推進についてです。病院がA労災病院、B労災病院、C労災病院と書いてありますが、1グループ3から4の病院で、全11グループで相互にチェックしています。ほかの病院をチェックするという相互チェックの実施を通じまして、その効果として、自院では見落としがちな問題点の共有、あるいはほかの病院で優れているところを吸収できるという点があろうかと考えています。
 12頁です。地域支援の関係です。勤労者医療の地域支援の?ですが、左上に評価の視点というのがありまして、労災指定医療機関等の有用評価を75%以上得られたかということです。その結果、78.7%有用であった旨の評価を得ています。また、平成22年度数値目標と実績という欄があります。患者紹介率、逆紹介率、症例検討会・講習会参加人数、受託検査件数がありますが、先ほど理事長からのご挨拶の中にもありましたが、すべて計画をクリアしています。
 13頁です。地域医療支援病院の関係です。労災病院グループと労災指定医療機関との連携によりまして、患者の紹介、逆紹介、研修会の実施、機器の共同利用を行っています。右にありますように、22年度新たに2つの施設が地域医療支援病院として承認されたところです。さらに23年には4施設の申請を予定しています。右上にありますが、政策医療面での効果、地域の労災指定医療機関等とのさらなる連携強化、さらに経営面では診療報酬で1,000点加算といった効果が期待できます。
 14頁です。東日本大震災への対応です。医療チームの派遣ですが、全国の労災病院で64医療チーム、延べ281人を派遣しました。また、被災患者の受入れ、入院患者延数が305人、外来患者延数が1,509人、放射線スクリーニングが267人ということです。その下ですが、人工呼吸器を利用する在宅医療患者への緊急相談、さらに原発の被ばく初期治療体制の整備を行っています。特に今後重要になってくると思っておりますが、石綿ばく露・メンタルヘルスケア等への対応ということで、機構のホームページに以下の点を掲載しています。がれき等の除去に伴う石綿ばく露、また被災された方へのメンタルヘルスケア、また建造物解体処理に伴う粉じん被ばく、さらには被災された方において留意すべき廃用症候群などを掲載しています。
 15頁ですが、行政機関等への貢献です。アスベスト関係、労災等[中央関係]、労災等[地方関係]がありますが、国や地方の各審議会、あるいは委員会へ積極的に参加しています。また、医師不足地域における巡回診療につきましても、生活習慣病健診等を実施しています。いちばん下ですが、労災認定に係る意見書の作成の関係です。右下のグラフになりますが、労災認定の意見書の作成の関係では、平成15年度1件当たり29.3日かかったものが、平成22年度は15.6日まで短縮されてきています。
 16頁です。これは再掲になるものですが、震災に関する国、自治体からの要請を示したものです。いちばん上がDMATの派遣、また医療チームの派遣、さらに先ほど申し上げました人工呼吸器利用者の相談窓口の設置です。
 さらにいちばん下ですが、東京電力福島第一原発における作業員の健康管理ということで、5月29日から労災病院の医師を派遣しております。これによりまして、24時間体制で労働者の健康管理が可能になっているということです。
 続きまして17頁、行政機関等への貢献?です。アスベスト関係ですが、特に真ん中下の写真の石綿関連疾患診断解説のDVDを一昨年度作成したものです。診断技術の普及に努めてまいりたいと思っているところでございます。
 その他いちばん上にありますが、アスベスト小体計測や、アスベスト疾患センター等における健診・相談などを実施しています。
 さらにいちばん下に「石綿小体計測精度管理事業」への協力ということで、これを新しく22年度に実施したところです。
 以上グループ1ですが、資料1-2の評価シートの11頁をご覧ください。高度・専門的医療の提供というところです。?ですが、患者満足度調査で80%以上と計画を達成したということです。?看護師の関係ですが、7対1の入院基本料を算定する病院が増になったということです。
 また、?病院機能評価の認定率が、先ほど申し上げましたが93.8%ということになっております。?ですが、救急患者への医療体制の強化を図ったということ。?ですが、92億円の自己資金を投入いたしまして、高度医療機器の整備をしたということです。以上から自己評価をAとしております。
 続きまして19頁をご覧ください。勤労者医療の地域支援の関係です。?紹介率、あるいは逆紹介率、症例検討会、あるいは受託検査、労災指定医療機関等における満足度すべて目標値を達成しております。
 ?ですが、地域医療支援病院につきましては、新たに2つの施設が承認されまして、合計19施設となっております。それによりまして、他の病院との連携、病床共同利用、重症患者の緊急受入れの体制を強化したということです。
 ?ですが、東日本大震災の関係です。地震発生直後に災害対策本部を機構本部に立ち上げまして、独自の医療救護班を派遣するということで、迅速な対応を取ったということです。以上のことから自己評価をSとしております。
 続きまして24頁をご覧ください。行政機関等への貢献です。?ですが、国(行政等)の要請に応じまして、審議会、委員会に積極的に参画いたしまして、労災疾病に係る医学的知見を提供したということです。
 また?ですが、労災認定に係る意見書の作成について、その平均処理日数を大幅に短縮したということです。
 ?ですが、アスベスト小体計測への取組を引き続き行っているところです。
 ?ですが、震災直後に国や自治体からの医療救護班派遣等要請を積極的に受けたということから、自己評価をSとしております。以上でグループ1は終了でございます。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。ご質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○宮本委員
 質問させていただきます。6頁ですが、優秀な人材確保ということで、医師の頁ですが、その後の看護師等に関しましては離職率等々が書かれているのですが、医師の場合に、例えば医師がここの病院で勤務することにどのぐらい満足しているかとか意欲を持っているか、そのようなことは具体的に評価する数字等がないのですが、どういう形でこれを把握されているのでしょうか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 すみませんでした。医師の方々にも、これは調査ではなくて人事に関する要望を聞いております。それによりまして、その医師の方がいま自分がやっていることに一体どれぐらい満足しているか、こういった人事的な側面からは把握しています。ただ、何%の方が満足しているかなどの系統的な数字は、すみません、取っておりません。

○宮本委員
 看護師もそうですけれど、医師が定着して意欲を持って、しかも研究もして、積極的に学会活動をすることはかなり重要な評価の対象になることだと思いますので、その辺りを充実させることは大事ではないかと思います。これは要望でございます。

○労働者健康福祉機構総務部長
 その他やっておりますこととしましては、例えば、各診療科ごとにバランススコアカードというものを作成しておりまして、ある程度、診療にかかる目標値を設定して、それに向けてやっている。そこにも医師の方々のいわゆるチャレンジ精神などが反映される仕組みにしております。いまほどご指摘いただきましたような点につきましては、さらに充実させていきたいと考えております。

○伊丹委員
 高度・専門的医療の提供等ですね、いまお聞きすると、かなりいろいろと改善させているということで、私も評価できるのではないかと思います。資料1-8の参考資料に、各病院の特色なり政策的役割と併せて見る必要があるのだろうと思います。全体として改善されていたとしても、個々の病院ごとに見るといろいろなバラつきもありますので課題も多いのではないかと思います。その辺、必ずしもバラつきといったところでの評価が自己評価の中に含まれていないところがあります。例えば、病院の紹介率や逆紹介率を拝見させていただくと、かなりバラつきもあるように見えるのですが、それについてどういうご認識をされているのかをちょっとお聞かせいただければと思います。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 医療事業部長の遠藤です。紹介率については2つの要素があるのではないかと思います。1つは、非常に専門性の高い病院で、もともと紹介に頼っていないような病院があります。そういったところはやはり、紹介とは別のルートで患者さんを確保している。それからもう1つは、医師不足によって診療科が十分に機能していない病院、なかなか紹介の患者さんを受け入れる体制が取れていない病院は、やはり東北地方は特に医師不足の影響が非常に深刻にありますので、そういった2つの側面があるのではないかと思います。その他については、先ほど総務部長から説明がありましたとおり、地域医療支援病院を目指すというのは、全労災病院的に大きい姿勢として取り組もうと、指定が取れる取れないに関わらず医療機関との連携というのは非常に重要と考えておりますので、紹介率は大きい指標の1つと考えて努力しているところです。

○伊丹委員
 その意味で言うとですね、平均的に改善することは当然指標として持っていいと思うのですが、ブロックと言いますか、その労災病院の特徴に応じて、こういった病院はもっとこのレベルまで上げようとかいったような、労災病院の特徴に合わせた目標の設定の仕方があるのではないかと思うのです。そういう指標というのはお持ちだと考えてよろしいのでしょうか。目標の指標というのでしょうか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 また、後で説明させていただくことになろうかと思いますが、各施設、各病院ごとに、先ほどもちょっと触れましたが、各部門ごとにバランススコアカードというものを作成しております。また、各病院ごとにはSWOT分析もやっておりまして、そういったところから各病院の置かれた状況、あるいは、その病院が得意としている分野、そういったものを伸ばしていく、あるいは、そこをチェックしていく、評価していくことが可能になっていると考えております。

○伊丹委員
 わかりました。いい意味で評価を全体として捉えるのはいいと思うのですが、課題が少しクリアになるような自己評価もしていただいたほうが、よりニュートラルな適正な評価になるのではないか。これは要望として申し上げたいと思います。お願いします。

○松尾委員
 2点お伺いしたいのです。いま医師とか看護師不足で、優秀な人材を必要な数しっかり確保することが経営上も非常に重要ですし、恐らく、労災病院のミッションの達成に非常に重要だと思うのです。1点は、高度医療を提供されているということですが、7対1の看護体制の病院が徐々に増やされて努力はされていると思うのですが、まだ9病院です。一方で、看護師さんの離職率は非常に低いと思うのです。これは私どもの病院に比べても遥かに低くて、努力はされていると思うのです。お聞きしたいのは、いま看護師さんの採用人数などが出てきましたけれども、目標は何人ぐらいでどれぐらい採用ができたのかということです。採用人数は書いてあるのですが、目標に対してどれぐらい看護師さんが採用できたのかが1点です。
 それから、先ほどお話に出ましたけれども、たぶん都市部の労災病院と地方にある労災病院では随分状況が違うと思うのです。そういう意味で、医師確保では、例えば卒後臨床研修などで大学病院だとか他の病院と連携して、こういう労災関係の病院とプログラムなどを一緒に組んでやっておられるとか、そういう例があったらちょっと教えてほしいのですが。

○労働者健康福祉機構総務部長
 まず、私から、看護師の関係につきましてお答えします。目標数がどれだけ達成できたかですが、具体的に何%かはなかなか申し上げられないのですけれども、大体例年900名ちょっとの採用でして、平成22年度、平成23年4月1日につきましては1,000名を超えた採用になっています。その目標ですが、特に平成23年度から看護師の中夜勤、月8日をほぼ全ての病院でやろうとしまして、従前の目標から見たら極めて高い数字を採れたのですが、では月8日が完全にできたかというとそこまではいっていません。従いまして、直感的に言いますと、大体95%から97%ぐらいの数字が採れたと思っております。

○松尾委員
 研修プログラム等で何か工夫されていることがあれば教えてください。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 労災病院群として、後期臨床研修の地域への派遣をやっておりまして、地域医療を経験してキャリアアップしていただくということで、そういう制度は持っております。

○高田委員
 2点お伺いしたいのです。1つはですね、高度・専門的医療の提供の中の項目が非常に多様でかつ多岐に渡っております。全体としてどう評価するかはなかなか専門外の人間としては難しいのですけれども、この中で、これまで特に問題とされて、特に改善の効果が著しいとか、そういった重点項目がありましたら教えていただきたいと思います。

○労働者健康福祉機構総務部長
 疾病というような観点からでしょうか。

○高田委員
 いえ。ここに、要するに、マンパワー体制の問題であるとか、あるいはDPCだとか医療のクリニカルパスとかですね、そういった問題もありますし、人材育成の問題も入っていますし、非常に異なった内容のものがたくさん入っているものですから、それをどう、全体をA評価とされたかの根拠を素人にわかりやすくアピールするとすると、どういうことになるのでしょうか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 高度・専門的医療ということでいろいろ項目があるけれども、ウェイトが一体どの辺にあって、それがどういった成果を生んだとか、そういった理解でよろしいですか。

○高田委員
 そういうことです。そうご理解いただければ幸いです。

○労働者健康福祉機構総務部長
 やはりこれは、柱が何本かできてしまいます。第1位はこれである、第2位はこれであるということでは、なかなかいかないと思うのです。ものすごく簡単に言いますと、2頁に書いてある日本地図のところです。大枠で言いますと、病院ですので、地域においてその役割を果たす、これは病院としての当然の役割。もう1つは、労災病院ならではの点です。2頁の真ん中やや右上に書いてありますが、黄色の楕円形で、労災医療に関する知見・情報の発信基地、これが大きな2本柱になろうかと思います。いまほどさらに、委員のご指摘のあった点について言いますと、その地域における中核的な役割に何本かぶら下がっていくし、また、労災医療に関する知見・情報の発信基地として何本か柱がぶら下がっていく、そういった感じになろうかと思います。地域における中核的役割の推進としましては、やはり、地域医療支援病院の取得があろうかと思っています。それによりまして、紹介率あるいは逆紹介率、こういったことを通じて地域との連携を深めていく。あと、労災医療に関する知見・情報の発信基地としましては、これはまた次の項目で出てまいりますが、いわゆる疾病の研究。さらにその中でも、先ほど申し上げましたが、アスベスト関係、こういったところに重点を置いています。また、これも後でご説明させていただければと思いますが、アスベスト、さらに、メンタルヘルス。いわゆる、予防、診断、治療、最後はリハ、職場復帰、こういったところに力を置いている。こういった柱になっていると考えております。

○高田委員
 もう1点は、評価項目6の「行政機関への貢献」ということです。この中でS評価を与えられていますけれども、特に優れた成果だったとお考えのところを、もう既にお話の中に出てきたかもしれないのですが、もう一度、確認していただければ幸いです。

○労働者健康福祉機構総務部長
 この関係ですが、資料1-1の15頁からになります。まず、審議会・委員会への参画ですけれども、各々何名の医師の方が参画しているかを書いています。大体、審議会・各委員会につきましては、2割の方が労災病院の先生だと思っていただければよろしいかと思います。そういった点、また、15頁の下、これは先ほど申し上げましたが、意見書の処理日数の短縮です。29.3から15.6なので、かなり落ちたと。あと、資料03-02、東日本大震災の関係。特にこれは平成22年度の評価ではないのですが、東京電力福島第一原発への医師の派遣。さらに、アスベスト関係です。はっきり申し上げまして、あまりはっきり言わないほうがいいのですが、アスベストの関係ではやはり労災病院が日本の中核を担っていると思っております。また、これはそんなに利益が出るものでもない訳でして、逆に労災病院がやらねばならないと、こういったことが私どもの念頭にあって評価をしています。

○今村部会長
 1つだけお伺いしたいのです。人材の確保からチーム医療とかですね、例えば、パッと見ていきますと、資料の4頁の図の、多職種の協働によるチーム医療の推進として、チーム医療の実践という形で、11施設、31施設、31施設と実績を書いておられます。それから、6頁に、医師の働きやすい環境として、好循環と書いておられまして、先ほどご指摘があったように、看護師さんの退職率が少ないと書いてあります。もう1つは、11頁の左下、労災病院間医療安全相互チェックの実施として、病院を超えてお互いのコミュニケーションを取っている。こういう、しっかり持っておられる、高度な人材とか医療の実績を結び付けるデザインというか、全体の設計をどこでしていらっしゃるか。つまり、実績は数として、チームはありますし、病院を超えて相互評価しているというのですが、そのときのコミュニケーションの手段とか、その手順というか人材の配置とか、そういうものがうまく行かないと、数字だけは確かに載っているのですけれど、実際にどの程度機能的にうまくいったかがちょっとわかりにくいのです。その辺を教えていただければ。つまり、機構本部でそういうセクションがあって人材がいて、全体でそういう指導をしているとか。例えば具体的に言えば、チーム医療のときのスタッフのコミュニケーションの仕方ですね、スタッフ間のメンタルのコラボレーションの成果を上げることとか、あるいは、病院を超えてコミュニケーションするときの組織の壁を超えたより緻密なコミュニケーションとか。そういうことは、恐らく機構さんは、昔から看護師さんとか医師のキャリア開発に非常に熱心でしたのでたぶんそういうノウハウを持っておられるかと思うのですが、どうもこの報告書からはそういうところがちょっと見られないのです。その辺は、数字だけではなくて、実際にこうやっていますということをちょっとでも教えていただければと思いますが。

○労働者健康福祉機構総務部長
 まず、病院の中での医療チームになりますと、これは病院の中でそういった医療チーム、医療ができる医師を集めて、それで本部で承認するという形になっています。また、病院間になりますと、これは本部がガバナンスを発揮しなければいけないことになりますので、病院間における調整でありますとか、いろいろな役割分担、これはすべて本部でやっています。その点、後半部分で本部のガバナンスの話も出てまいりますので紹介させていただければありがたいと思っています。

○加藤委員
 どこか、業務実績シートに書いてあったと思いますが、電子カルテ等のシステムを導入なされたのが32施設中30施設と書かれています。残りの2つの施設にいて、いつ頃導入されるご予定なのか。あと、現在まだ導入されていない理由は何なのかということ。もちろん、定性的・定量的に効果はあったと読み取りますが、例えば定量的にはどの程度の費用削減効果、事務の効率化といいますかを予定されていたところを、どのぐらいの実績が上がったのか、その辺について説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構経営企画室長
 経営企画室長の山下です。お答えさせていただきます。いまご質問のありました電子カルテ、それから、オーダリング・システムですけれども、労災病院は分院も含めますと32病院になりまして、その中で2病院だけがオーダリングも電子カルテも実施していないということです。この2つの病院は、ちょっと特殊な病院といいますか、1つは単機能のせき損に特化した病院。もう1つは、ちょっと医師が不足しておりまして、どちらかというと、急性期から慢性期の病院です。この2つのうち1つ、せき損以外の所については、来年度以降の導入でいま具体的な検討に入っています。もう1つの、せき損を中心とした病院につきましては、病院の特殊性がありますので、オーダリングまで一気に持っていくかに関して病院と本部で検討中の段階です。
 実際、電子カルテなりを導入した効果です。評価シート1-2の4頁、5頁の辺りです。イで、オーダリング(電子カルテ)システムの導入状況という箇所がありまして、この4「導入後の効果の検証」があります。経営的な観点からではなくて、患者サービスの向上、医療の質の向上、経営基盤の強化、この3つから、それぞれ病院に計画を作って達成状況はどうだったかをやっております。これは実際に導入し始めたのが平成23年度以降のシステムですので、来年度からこれが非常に明確に出てくると思っておりますが、現在のところ、なかなか定量的に数字は出てきていないのですけれども、医療安全面での効果でありますとか、スタッフ間で情報を共有化することによってチーム医療の推進が図られている。あとは、PACSといいまして、医療画像の伝送システムがありまして、それと接続することによって、患者さんに、いまあなたはこういう状況ですよと画像で説明する、あるいは数値をグラフ化したもので見てもらう。いろいろなことでインフォームド・コンセントの点でも役には立っているということです。また、もう1つは、次の段落にありますが、電子カルテによりまして、カルテやフィルムが大幅に削減されているところです。

○加藤委員
 今の最後のところで、フィルムで1病院当たり約5,500万円の支出の削減効果があったと謳われていますが、そうなりますと、掛ける30病院が大体の金額と理解してよろしいのですか。

○労働者健康福祉機構経営企画室長
 すみません。これは電子カルテを導入した病院の、22年度に導入した所でこれだけということでして、概ねフィルムに関しましては、これで見ますと大体95%ぐらいの削減になっております。フィルムの購入費は病院によって随分違いますので、この金額掛ける30というわけではないのですが、概ね94~95%ぐらいの削減にはなっていると考えております。

○加藤委員
 わかりました。

○松尾委員
 簡単な質問を2つさせていただきたいのですが。数字上で見ると、大幅に改善した中に、1つは、労災認定の意見書の作成が平成15年から昨年までで29日から13日で、半分以下に短縮された、かなり大幅に短縮されているのですが、これは何か、例えば先ほどちょっと出ました電子カルテ上で非常に記入しやすくしたとか、あるいは医師の事務補助者を付けてそういう作業をして医師の負担の軽減を図ったとか、そういう具体的なことをされて短縮されたのかということ。
 もう1つは、労災病院の損益が昨年と比べて大幅に改善したことで、その約3割ぐらいが、今の名川理事長のお話で、診療報酬の改定分で、あと7割が自己努力分ということでした。その自己努力分のうち、特にどういう部分が大きかったのかをちょっとお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 まず、認定意見書のほうです。これは日頃から、全国会議等がありますと、担当者に対して常に迅速に患者さんへのサービスを考えてやってくださいということは必ずお願いしているところですし、病院の中でも、労災病院はこうした意見書等について行政への貢献をするのだと、何と言いますか、労災病院のDNAとしては浸透しておりますので、書くのが当然と思っているところもありますし、そこに事務局からもいつもお願いしているということが、段々浸透していっているのではないかと思います。
 それから、収入増の内訳です。診療報酬で大体3割ぐらい。残り7割ぐらいは経営努力によるものだと分析をしておりますが、いちばん大きいのが上位施設基準の取得です。先ほどから説明しております、地域医療支援病院、あるいは、一般病棟入院基本料7対1の取得。それから、急性期看護補助加算が取れるようになりましたので、これが取れるように、人の手配等も含めてやった。施設基準をできるだけ取りにいったところが非常に大きいと思います。それから、病診連携を推進することによって、紹介患者さんの入院者が増えたこともあります。もちろん、収入を増やすために、先ほどの説明にもありましたが、高度医療機器の整備についてはさらに積極的に行うという、投資もその裏ではやっている形で、収入を確保したと分析しております。

○松尾委員
 その前段のところですけれども、私は医師として、事務仕事がものすごく多いので、これはかなりやはり医師のモチベーションを落としているところがあって、たぶん、ここからさらに短縮していくためには、恐らくそういう建前論、ちょっと言い方は悪いのですけれども、それだけではなくて、事務補助者を付けていくとかですね、そういった工夫を是非していただきたいと思います。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。引き続きご記入いただきたいと思います。特にお時間が必要な方は、次に進む前に時間を取りますが、大丈夫でしょうか。
 次に、グループ2、「労災疾病等に係る研究・開発」、「過労死予防等の推進」及び「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営」の項目について評価を行います。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質議20分の合計40分となっています。それでは、法人から説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 労災疾病等13分野の医学研究について、ご報告申し上げます。平成16年度にスタートした本研究も平成20年度に第1期を終了して、平成21年度からは第2期に入っています。
 まず、評価の視点からご報告申し上げます。資料04-01の18頁をご覧ください。中期計画に示された数値目標の達成状況は、学会発表は国内が289件、国外が45件に達し、目標値を大きく上回っています。論文発表も和文が117件、英文が67件に達しています。また、ホームページへのアクセス件数も31万6,000件に達し、これも中期計画の目標値を大きく上回っています。
 次に、資料04-03をご覧ください。13分野の中からアスベスト関連疾患、産業中毒、過労死、職場におけるメンタルヘルス、疾病の治療と就労の両立支援の5つの分野を重点分野と定めて取り組んでいます。本日は、これらの重点分野を中心にご報告申し上げます。
 資料04-04をご覧ください。まず、アスベスト関連疾患分野からご報告申し上げます。第1期研究から中皮腫の根治手術が可能なステージ1及び2での発見率が30%と少なく、残りの70%が手遅れの状態で発見されていることが明らかとなっています。そこで、中皮腫の早期発見を可能とする遺伝子マーカーの開発を理化学研究所と行い、MSLN、LRRN4、UPK3Bなどを同定しました。今後、中皮腫症例での発現頻度を検討します。また、中皮腫の治療に取り組む必要があります。オールジャパンの研究体制で新規治療法を実用化するため、岡山労災病院を中心とした共同研究コンソーシアムの発足準備を進めました。抗体治療法、遺伝子治療法の実用化に取り組みます。
 また、この分野の新たな動きとして、アジア諸国からの協力要請があります。モンゴル国健康省から我が国の厚生労働省へ、アスベスト関連疾患とじん肺の専門家の派遣要請がありまして、平成22年8月にウランバートル医科大学にて、「炭鉱労働者のじん肺とアスベスト関連疾患の診断と治療のための実践ワークショップ」を2日間にわたり開催しました。長年の労災病院における臨床経験に基づいた症例検討を主体とした講演が大変好評で、今後毎年開催してほしいとの要望をいただいています。詳細は冊子にまとめてお手元に置いていますので、後ほどご覧ください。この他、ベトナム、中国、台湾からも同様の協力要請があります。このように、労災病院グループに蓄積されている知見を、アジア諸国が強く必要としていることが明らかとなっています。
 資料04-06をご覧ください。物理的因子による疾患分野についてご報告申し上げます。この分野では、第1期には宮城県における理・美容師の皮膚荒れについて調査しまして、理・美容師の方々が皮膚炎に苦しみ、退職を余儀なくされている実態が明らかになっています。そこで、第2期には全国規模で職業性皮膚疾患についての情報蓄積を進めるため、職業性皮膚疾患NAVIの開発に取り組んでいます。このNAVIは、職業性皮膚疾患に関する症例や文献などの情報を蓄積するデータベースを目指していて、産業中毒分野が開発した産業中毒データベースにリンクし、化学物質検索も可能です。現在のところ、登録医師数が5,617名、全国の皮膚科の医師が約1万人ですので、約半数が参加しています。登録症例81例、文献リスト1万510件、化学物質3,952件についての情報が蓄積されていて、月平均アクセス件数が101件に達しています。今後、さらに充実させてまいります。
 資料04-09をご覧ください。過労死分野です。この分野では、宮城県の亘理町におけるコホート研究から過労死を引き起こす要因について、微量アルブミン尿の有無を検討したところ、BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪、空腹時血糖が微量アルブミン尿陽性例で有意に高値を示しました。これらの結果は微量アルブミン尿を測定することにより、過労死を引き起こす要因の有無を判定し、過労死の予防が可能になることを示しています。また、この亘理町は今回の東日本大震災により被災しています。当初の研究計画書にはないのですが、亘理町健康福祉課より住民の健康状況が悪化している可能性があり、平成23年度は健診受診者をできるだけ多くしたいので、協力してほしいとの要望をいただいています。今回の震災の健康への影響、特に心身の疲労や抑うつ度についての実態を明らかにします。
 資料04-13をご覧ください。勤労者のメンタルヘルス分野です。現在、我が国では年間約3万人を超える自殺が発生しています。これを防止するためには、うつ病予備群を早期発見し、対応する必要があります。そこで、うつ病予備群の症状として不眠に着目し、不眠スコアを開発し検討を行いましたところ、この不眠スコアが3点以上の労働者では自殺願望が有意に高いことが判明しています。これらの検討結果から、不眠スコアを用いてうつ病予備群を発見することにより、自殺予防が可能になるものと考えられます。
 資料04-15をご覧ください。疾病の治療と就労の両立支援、糖尿病分野です。第1期研究から糖尿病網膜症の勤労者は、仕事が忙しく、通院加療ができず、そのため視力障害が進行してしまい、結局は失明し、失職してしまうケースが多いことが判明しています。「病気の治療と仕事の両立可能な体制」を確立する必要が明らかとなり、第2期に取り組むことになりました。
 まず、この分野では、糖尿病の勤労者のコントロール状況を職場における産業医の有無により差があるか否かを検討したところ、産業医のいる職場のほうが血糖コントロール状況が良好で、網膜症、腎症の合併症の割合も少ないことが明らかとなりました。また、常勤産業医のいる職場では就業制限の割合が多く、より厳格に糖尿病の管理をしていることも明らかとなっています。これらの結果は、糖尿病の勤労者のコントロール状況を改善するためには、職場の産業医による管理体制の確立を進める必要があることを示しています。以上、労災疾病等13分野医学研究について、平成22年度の取組状況をご報告申し上げました。ご清聴ありがとうございました。

○労働者健康福祉機構総務部長
 引き続いて、資料05-01、36頁をご覧ください。過労死予防等の推進?、勤労者予防医療の関係です。過労死予防、メンタルヘルス不調、勤労女性の健康管理対策について事業を行っています。その頁に箱が3つありますが、過労死予防対策、メンタルヘルス不調予防対策、勤労女性の健康管理対策、個別あるいは集団指導人数、講習会の参加人数等、すべて目標値を達成しています。
 37頁は、いまほど申し上げた事業の具体的な内容についてコメントをしています。まず過労死予防対策は、いくつかの例を挙げていますが、保健指導マニュアル改訂版を作成したということです。また左下は、労災病院独自の特定健診問診票の作成をしています。真ん中の箱は、勤労女性の健康管理対策として女性医療フォーラムの開催、あるいは手元にお配りしている「働く女性のためのヘルスサポートガイド」といったものを作成しています。
 38頁の資料05-03は、過労死予防等の推進?(利便性の向上)です。評価の視点として、勤労者の利便性の向上を図るため、指導・相談等の実施時間帯の設定が配慮されているか。左上に利用者・企業の声として、「時間外や休日に指導してほしい」「職場に来てやってほしい」といったものがあります。上が時間外、休日の指導・講習会の実施、企業の地域イベント等への出張による指導・講習会といったものを実施しています。左下は、80%以上の評価を得るということで、平成22年度の利用者満足度は92.7%と非常に高い水準でした。平成21年度の91.8%を上回っています。
 39頁の資料05-04は、過労死予防等の推進?(調査研究)です。代表的なものは拡充となっている「メタボに対する適切な生活指導法を確立するための労災病院共同研究」、その右は「職場における受動喫煙が健康に及ぼす影響の研究」といったものを行っていて、この頁のいちばん右の各労災病院における指導等へ反映させているというところです。
 40頁の資料05-05は、特にメンタル関係を特記しています。これは試行事業で、「職場訪問型職場復帰支援」体制(試行)の内容ということで、横浜労災病院に専門スタッフを配置して行っています。この右の箱の大きな所の赤字で「職場訪問型職場復帰支援」を試行と書いています。内容は、企業と連携し、メンタルヘルス不調者の職場復帰を支援しているということです。上の○は、連携先企業のメンタルヘルス不調による休職者101名に、職場訪問による復職支援指導を延べ115回実施とか、また休職までは至らないが、メンタルヘルス不調を訴える従業員に対して相談・指導を実施しています。
 41頁の資料06-01は、医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターです。ここでは患者の社会復帰率あるいは患者の満足度が数値目標になっていて、真ん中に茶色い箱が2つ書いてありますが、左側は医療リハビリテーションセンター、右側は総合せき損センターです。医療リハビリテーションセンターについては、社会復帰率が96.4%、患者満足度が84.5%。総合せき損センターについては、社会復帰率が80.8%、患者満足度が92.4%となっていて、目標値を達成しています。
 42頁は、社会復帰、職場復帰に向けたリハビリを示したものです。「社会復帰・職場復帰リハビリテーションへの取組」で、社会復帰・職場復帰のためのリハビリテーションの流れというものがあります。?患者本人と職場の同意といったことをまずやる。?職場へ訪問する。それはリハビリ科の医師がやるとか、担当のPT、OT等がやるということです。その下に?が2つ書いてありますが、職場への訪問結果をリハビリプログラムに反映する。例えば患部の負担を減らす自助具等の作成と、再発予防のため、良い座位姿勢の指導や筋力トレーニング。同じように、右の?職場へのアドバイスですが、再発予防のための職場環境の整備、能力に合わせた仕事量に調整するといったことをやっています。?職場訪問後、事業主に対して書面で結果報告し、?リハビリ後、必要に応じて再度職場訪問する流れになっています。以上がグループ2です。
 資料1-2の42頁をご覧ください。先ほど関原先生からお話がありました労災疾病等にかかる研究開発です。1 研究成果の普及状況の?です。学会発表の件数等ですが、目標値156件を大きく上回って、334件を達成しています。?データベースのアクセス件数です。これも平成22年度目標値が21万件でしたが、それの1.5倍となる約31万7,000件の達成を見ています。?「アスベスト関連疾患分野」あるいは「粉じん等による呼吸器疾患分野」では、アジア諸国から研究成果が高く評価されています。
 42頁の2 労災疾病等13分野医学研究・開発、普及計画の取組状況です。?アスベスト関連疾患は、早期発見が可能な遺伝子マーカーの研究開発を理化学研究所と共同で行い、研究開発を進めています。?職業性皮膚疾患は先ほど説明がありましたが、それの症例データシステムを改良して、下から2行目に書いてある約1万人の皮膚科専門医のうち約5,600人、平成21年度は5,000人でしたが、その方たちが活用して月平均アクセス数も101件となっています。
 43頁の?は、大きな社会問題となっているうつ病による自殺予防対策に必要な客観的診断法の開発を進めています。?の糖尿病について、職場における産業医の管理体制の確立を進める必要があるといったことを明らかにして、さらに今後は糖尿病のガイドラインの作成に着手することにしています。以上のことから、自己評価はSとしています。
 51頁は、過労死予防等の推進です。?の目標値がアイウエオとありますが、勤労者の過労死予防対策の指導人数、電話相談、メンタルヘルス講習会の参加人数等々があります。これは、すべて目標値を達成しています。?指導・相談の質の向上及び利便性の向上に向けた取組も、着実に進めています。特に、先ほど利便性の向上で申し上げましたが、その満足度も非常に高いということです。下から5行目ぐらいに、満足度92.7%と高い評価となっています。以上のことから、自己評価をAとしています。
 57頁は、医療リハ、せき損センターの運営です。?は、職場あるいは自宅復帰可能である退院患者の割合が96.4%あるいは80.8%となって、目標値の80%以上を確保しています。?医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターは、患者満足度調査において84.5%、92.4%で、目標値の80%以上を確保しています。以上のことから自己評価をAとしています。以上、グループ2は終了です。

○今村部会長
 ありがとうございました。委員の皆様は、評価シート、評定等の記入をお願いします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○加藤委員
 資料1-1の41頁の真ん中の左側に書かれている、医療リハビリテーションセンターの概要の中の患者満足度だけが、平成21年度に比べて下がっている。平成21年度は90.2%、平成22年度は84.5%。この数字だけが、ほかと比べても下がっている。これの主な要因みたいなものがもしあれば教えてください。

○労働者健康福祉機構総務部長
 私からお答えします。数字が下がっていますが、ほかの病院でも患者満足度調査というのはでこぼこしていて、その主立った要因というのは近くで工事をやっていたとか、病院そのものも増改築の工事をやっていたりして、ちょっと波があります。そうした中で、下がった点もあろうかと思っています。あと、患者の母数が230名ぐらいですか、他の病院と比べても小さいものですから、ちょっと動きが出てくることがあろうかと思います。

○高田委員
 資料1-1の40頁に、「過労死予防等の推進?」ということで、職場訪問型職場復帰支援の試行というのが書かれています。全体的に過労死問題も含めて、メンタルヘルスの問題は非常に深刻化していると思いますが、その場合に大きな障害になるのが、メンタルヘルス問題を起こしてしまっている企業というのは、しばしば労働時間が長いといった問題があって、職場のストレスが非常に高い例が見受けられると認識しています。そういう中で、もし企業と本当に提携してこの職場復帰支援というのができれば大変素晴らしいことですが、具体的に提携というのをどうなさっているのでしょうか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 具体的には、1つは企業に出向いて安全衛生管理者とか、産業医等への講習会とか意見交換をやっている。そのときには労働者、勤労者の方の個人のセルフコントロールについての啓発ということもやっています。これは一次予防的なものです。それから、休職までは至らないですが、メンタルヘルス不調者は専門的なカウンセリングが必要だという場合については、労災病院のスタッフにカウンセリングを依頼していただいて、その後関係者と必要な情報を共有する。ちょっと不調の人という二次予防。それから、横浜労災病院の医師、いわばカウンセラースタッフ等が実際に休職に入っている方と面談して、体調の推移や通院状況、支援状況、ご自身の要望等の聴き取りをして、企業側の担当者との橋渡し、あるいは企業側の安全衛生管理に携わっている産業医、保健師と情報共有するということで、実際休職に入っている方のサポートについて対応するという三次予防という形で、現在ケーススタディをやっている状況です。

○高田委員
 この資料の中に提携先企業という言葉が出てきますが、この提携というのは具体的にどういう意味ですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 神奈川県にあるITの企業で、結構大きい事業所です。そこが私どもがやっている事業に理解を示していただいて、メンタルヘルス対策は重要だということをそこと提携して、先ほど申し上げたようなことをやっています。

○高田委員
 それは、企業と病院との間での契約、取り決めでやっていらっしゃるということですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 契約というか一応提携をして、不調者が出た場合については必ず病院のほうで対応する状況になっています。

○高田委員
 ありがとうございました。

○宮本委員
 いまのお話と関わりますが、十分に全体の状況を理解できないのです。この病院は、例えばメンタルヘルスに関して提携した企業、先ほどお聞きすると神奈川県のIT企業1社ということですよね。そことの間で連携体制を作って試行的にというか、やっておられるということですが、そうすると企業の数は膨大にあるわけですが、そのあたりはここの病院はどういう形で多くの企業に対して、何らかの影響力を行使することができる状態にあるのでしょうか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 まだケーススタディとして期間も短いので、十分な症例が集まっていないというのが現場の医師の判断です。ここでいろいろな形のケースが集まった場合、例えばスムーズに復職ができた場合、それの支援がうまくいった場合、復職してもまたさらに休職に入った場合とかいろいろなケースが考えられると思いますので、そういったケースを積み重ねて、何かガイドライン的なものができれば、労災病院はもちろんですが、地域の医療機関等へ何かの形で返すのがいちばん理想だと思いますが、現在はその症例を積み上げている段階です。

○宮本委員
 もう一言。症例を積み重ねることは重要なことで進めていただきたいのですが、時間がかかるわけですよね。現実はどんどん進んでいるので、メンタルヘルス問題が広がっている中で労災病院のやれていることと、どのくらいの時間の中で何をしなければいけないのかのあたりは当然ギャップがあると思いますが、そのあたりはどう認識されていますか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 資料1の05-01の36頁をご覧いただきますと、過労死予防の3つの柱でメンタルヘルスが真ん中に出ていますが、そこでは先ほどの支援事業のケーススタディも含めて、メンタルヘルスに関して働いている方あるいは管理者向けの人の講習会を実施していて、ここに書いてあるように1万7,155人の方に実施しています。事業所数は、201社に対してやっています。もちろん、それで十分とは言えないのは重々承知していますが、こういったいろいろな形で研究、ケーススタディの成果を介しているということです。

○宮本委員
 201社というのは全国ですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 はい。

○松尾委員
 2点お伺いします。1点は先ほども出てきましたが、労災病院のミッションは結構いろいろあって、高度医療の提供や地域貢献とある中で、おそらく医師も看護師も検査技師たちも、そんなに十分ではないと思いますが、その中で、これだけの研究開発のアクティビティを保っておられるのはびっくりしました。そこでお伺いしたいのですが、この研究開発等をされているのは、診療をやっておられる医師が中心になってやっておられるのですか。たぶん、専門の研究員とかはそんなにおられないと思いますが、結構忙しい中でこれだけのアクティビティを保っておられるのは、医師にとって過重になっていないかという点をお伺いします。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 やっている研究テーマが日常診療に基づいた臨床研究が主体になっていますので、それぞれのドクターの日常診療や日常活動が基になっていろいろな成果が出てきているわけです。リサーチというと全く別なアカデミックな世界を連想されると思いますが、そうでなくて、この労災疾病に関しては全く臨床研究ですので、真面目に日常診療することによって研究成果が出てくるということです。その点では非常にユニークではないかと思います。

○松尾委員
 もう1点いいですか。先ほどの質問との関連ですが、当然産業保健とか労災病院が1点になることは無理ですが、例えば産業医の認定はいま日本医師会がやっていますよね。講習会等をたくさんやっていますが、おそらくそういった活動も医師会だけでは無理で、こういう労災病院関係からも相当な協力をされておられるのではないかと想像します。そういった意味での社会貢献活動や、他の組織と連携をされてこういう産業保健を推進されているあたりはいかがですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 認定産業医の研修については、講習会がたくさんありましたが、医師会と連携して単位が取れる場合にはそういったことも含めて、地域連携の中でやっています。

○伊丹委員
 研究開発に関して、非常に取組の成果は出ているのではないかと思っていますが、例えば海外の研究開発の状況、欧米先進国やそうでない所も含めて、いろいろな特徴のある研究開発をされているのではないかと思います。労災病院のそういった中での役割なり位置づけは、どう理解されているのですか。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 先ほどご説明しましたように、日常診療の中からいろいろ研究テーマを見つけて解決するような方策で研究をしているわけで、欧米に比べてそういう点では非常にユニークなのではないかと考えています。

○伊丹委員
 ユニークというのは、比較されるようなものはない日本独自の対応だと理解すべきでしょうか。

○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター
 例えばアスベストは、欧米のいろいろな文献等の検討をしていますが、日本独自のユニークなものを作り上げていくことを主体としていますので、そういう意味では非常に日常診療に基づいた独創性のある研究体制が出来上がっているのではないかと考えています。

○今村部会長
 1つだけ議論に出なかったことでお伺いしたいのです。若干先ほど出ていましたが、資料05-03で企業との連携は随分やっていらっしゃいますよね。全国展開する企業との連携とか、資料05-05でもさらに企業のニーズに応えるためとか、これ自体も職場に訪問されているわけですが、メンタルヘルスという分野に進んでいくと、かなり個別化されてくると思います。つまりお聞きしたいのは、いかに勤労者一人ひとりに寄り沿うかという視点で、勤労者の側から機構にアプローチするルートはどの程度確保されて、例えばアスペルガーとかの問題が出てくるわけですが、機構の発想としてこれを見ていると、職場とか企業の環境を上から整備して勤労者を働きやすいとする印象がありますが、個別に問題を持っているのが一人ひとりの勤労者ですが、そこからアプローチするものをどう掬い上げるかという話が書いていないような気がします。その辺はいかがですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 「心の電話相談」という事業をやっていて、専門のコンサルタントの方がいろいろな職場での悩み等、勤労者の個人の悩みを聞いて、必要に応じて労災病院を紹介する、専門病院を紹介する、あるいはこういった講習会があるからどうですかということもやっていますが、電話でできるだけ広く受けるようにするために匿名で受けていますので、具体的にそれがどのくらいの掘り起こしになっているかというのは残念ながらつかめていませんが、心の電話相談は結構件数は上がってきていると思います。

○今村部会長
 例えば、資料1-2の41頁の「勤労者医療フォーラム IN かながわ」では、患者、使用者、医療提供者、患者支援団体、行政、労働・医療政策の専門家ネットワークと、かなり多様なステークホルダーが関わって問題解決しようという試みをしていらっしゃるのは評価しますが、個別の問題が一人ひとりの職場の問題解決につながるかどうか。いまの話だと匿名だということで、そこのルートが何かないような印象があります。上からの改革というには若干限界があるような印象がしてならないのですが、その辺の取組としては現在はまだ心の電話相談というレベルでということですか。

○労働者健康福祉機構医療事業部長
 はい。

○今村部会長
 ありがとうございます。特に他にはありませんか。ご記入等は大丈夫ですか。
 次に、グループ3「労災リハビリテーション作業所の運営」「産業保健関係者に対する研修・相談及び産業保健に関する情報の提供」「産業保健助成金の支給」「未払賃金の立替払」及び「納骨堂の運営」の項目について評価を行います。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑20分の合計40分となっています。それでは、法人から説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 資料1-1にお戻りいただきまして、43頁、資料07-01です。労災リハビリテーション作業所の運営業務です。労災リハビリテーション作業所の概要については、右側に「概要」ということで書いております。要はせき損患者について、社会復帰に必要な生活・健康・作業等の管理を行いまして、社会復帰していただくことを目的としているものです。いま全国に6か所あります。
 その下のグリーンの箱に、評価の視点があります。数値目標としては、社会復帰率30%以上です。「整理合理化計画等」を踏まえ、労災リハビリテーション作業所については在所者の退所先の確保を図りつつ、縮小・廃止に取り組んでいるかということです。
 1の社会復帰率の向上の具体的な取組として、入所者ごとの社会復帰プログラムの作成、定期的なカウンセリングにより、その取組の結果、社会復帰率は32.8%ということです。
 2の縮小・廃止への取組ですが、いちばん下にある廃止時期の設定ですが、作業所の廃止については平成22年6月に以下のとおりに決定しています。?は福井作業所及び愛知作業所は、平成24年度末をもって廃止する等々です。
 44頁、資料08-01です。産業保健推進センターの活動です。産業保健推進センターは47都道府県に設置してあるとお考えになっていただければと思います。事業の概要は、産業保健の専門家、関係機関等のネットワークの形成を推進します。また、地域における産業保健活動推進の中核的役割を果たすとともに、産業保健水準の向上を図るということでして、その下に産業保健推進センターが担う役割があります。相談、研修、情報提供、産業保健調査研究、これを産業医、衛生管理者、産業看護職等の産業保健関係者とやっていくということです。また、助成金の支給もあります。
 下のほうに、宮城の産業保健推進センターですが、職場のメンタルヘルスNAVIといったものの情報提供、あるいは相談している写真、セミナーの写真、さらにいちばん右下ですが、産業医に対する実地研修の写真等を示してあります。
 45頁、資料08-02です。いまほど申し上げました産業保健推進センターの事業ですが、(1)研修の質及び利便性の向上への取組です。評価の視点は、産業保健関係者に対する研修が、中期目標期間中に延べ1万7,000回以上実施されたか。これは5年で割ると、年度計画3,500回以上ということになります。また、研修の利用者について、有用であった旨の評価が80%以上あったかどうかというようなことです。
 右側の棒グラフをご覧いただきますと、研修の回数は、平成22年度の計画の3,500回に対して4,656回と、過去最高の実績ということで、前年度水準も大幅に上回ったところです。
 いちばん右下に「有益度」という箱がありますが、93.8%ということで、非常に高い有益度を得ています。
 続いて46頁、資料08-03です。これは相談の質及び利便性の向上への取組です。相談件数ですが、評価の視点をご覧いただきますと、中期目標期間中に延べ7万2,000件以上実施されたか。年度計画は2万件以上です。有益であった旨の評価を80%以上確保されたかです。
 これも棒グラフをご覧いただきますと、相談件数は3万4,563件ということで、年度計画の2万件を大幅に上回るとともに、平成21年度実績も大幅に上回ったところです。棒グラフの右下に書いていますが、メンタルヘルスに係る相談件数について、平成21年度の1万6,276件から、平成22年度には2万2,895件と大幅なアップを示しているところです。右下の有益度ですが99.1%と非常に高い有益度を得たところです。
 47頁、資料08-04です。産業保健に関する情報提供です。評価の視点は、ホームページのアクセス件数について、中期目標期間中延べ900万件以上、年度計画は160万件あったかということです。産業保健情報誌も発行しているわけですが、右の棒グラフをご覧ください。ホームページアクセス件数は187万件で、これも過去最高の実績となったところです。
 48頁です。産業保健推進センターにおける東日本大震災への対応関係です。まず左側の箱ですが、被災労働者及びその家族等、被災者等からの相談窓口です。これはフリーダイヤルでやっているわけですが、メンタルの相談が632件、健康相談は112件です。7月1日現在では、この数字は増えていて、メンタルの相談が831件、健康相談は150件となっています。右のほうには、対応あるいは研修会に関する新聞記事、さらに左下には各地において出張相談窓口を開設している写真を載せています。
 49頁です。産業保健推進センターが扱っている助成金です。2つありまして、上のほうにあるのは、小規模事業場産業保健活動支援促進助成金です。小規模事業場(50人未満)が共同で産業医を選任する費用を助成する制度です。評価の視点ですが、申請書の受付、締切から支給日まで原則40日以内とするということです。平成22年度実績は39日ということで、目標は達成しています。
 その下の箱で、自発的健康診断受診支援助成金です。深夜業に従事する労働者が自発的に健康診断を受診する費用を助成する制度です。評価の視点は、締切から支給まで23日以内とするところ、平成22年度実績は21日ということで、中期目標は達成しています。
 資料10-01、50頁です。未払賃金立替払事業です。右の白い箱に簡単な解説があります。企業の倒産により未払いとなった賃金、退職金のうち、一定範囲を事業主に代わって支払う制度です。評価の視点は、請求書の受付日から支払日までの期間について、平均30日以内が維持されているか等です。黄色の箱で、立替払の迅速化ということで、平成22年度目標は25日以内で、実績は20.3日ということで、過去最短を更新したというところです。
 その中においても、真ん中の左に[具体的な取り組み]という箱があります。年間50回の支払いを実施等々と書いてありますが、3つ目、4つ目が新規で、新たに破産管財人向けリーフレット1万3,000部を作成し、全国の弁護士会や地方裁判所へ配付しました。また、日本弁護士連合会に立替払い制度の研修会の実施を要請しました。こういったことを新たにやっております。
 続いて51頁、資料11-01です。納骨堂の運営です。納骨堂(高尾みころも霊堂)の運営業務です。労働災害による殉職者の御霊を合祀するため高尾みころも霊堂を設置・運営しています。毎年秋に全国から遺族及び労使関係者を招いて、産業殉職者合祀慰霊式(約800人参列)を開催しているところです。評価の視点ですが、満足度の結果、遺族等から慰霊の場として相応しいとの評価が90%以上あったかどうかということです。満足度調査は92.1%ということで、前年度よりもアップしています。
 改善事項が左下の写真です。昨年度から、式場と霊堂までが坂道になっているのですが、そこにキャリーカートを運行しています。一昨年度からは、高尾駅と霊堂の間の送迎用バスを運行しているところです。右下の改善事項(予定)として、平成23年度は慰霊式の情報を後方席からも見易いように、テレビモニターを設置しようと考えております。以上、グループ3です。
 資料1-2の62頁をご覧ください。労災リハビリテーション作業所の運営です。社会復帰率が32.8%で、目標値の30%を達成しております。これにより自己評価をAとしております。
 続いて69頁です。産業保健者に対する研修、相談及び産業保健に関する情報の提供です。まず?ですが、研修は延べ4,656回、相談は延べ3万4,563件ということで、いずれも年度計画を大幅に上回る過去最高の実績を達成したところです。?です。研修で有益だった旨の評価は93.8%、?相談で有益だった旨は99.1%と、非常に高い数字を得ているところです。震災への対応として、フリーダイヤルの活用あるいは出張相談を積極的に行ったところです。こういったことから、自己評価をSとしております。
 続いて76頁ですが、産業保健推進センターが扱っている助成金の関係です。産業保健助成金の支給ですが、自発的健康診断受診支援助成金の支給日数です。この中期目標は達成しています。?の小規模事業場産業保健促進助成金の支給日数に関しても、中期目標を達成しております。以上のことから、自己評価をBとしております。
 続いて80頁で、未払賃金の立替払事業です。これは?にありますが、請求書の受付日から支払日までの期間は、平均20.3日で、これは過去最短です。また、先ほど申し上げましたが、?に中点が4つありますが、下の2つが新しく実施したものです。こうしたことから、自己評価をAとしております。
 続いて82頁は納骨堂の運営です。平成22年10月19日に慰霊式を開催したところです。また、今年度も10月19日に行う予定としております。慰霊式当日ですが、前年度の満足度調査を踏まえまして、キャリーカートの運行を新しく行い、それに併せて高尾駅と霊堂間の送迎バスを引き続き運行し、アクセスの改善を図りました。満足度は92.1%ということで、非常に高いものでありました。こういったことにより、自己評価をAとしております。以上、グループ3は終了です。

○今村部会長
 委員の皆様は、評価シートへの評定等の記入をお願いいたします。質問等がありましたら、適宜ご発言ください。

○本寺委員
 資料1の43頁ですが、こちらに出ている社会復帰率は32.8%という数字はあるのですが、その前の41頁の医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターの社会復帰率は90%、80%となっていますが、これは何でこんなに違うのでしょうか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 やはりこれは病院ではありませんで、そこら辺の性格の違いがかなり出ているのかなと思っております。病院ですと、入院して退院すると、そうしたことで自宅に戻る、あるいは職場に戻ることはあろうと、それが一般的だと思っていますが、この労災リハビリテーション作業所は、せき損、車椅子で、作業として簡単な組立て等をやっていると。それですぐに職場復帰できるかといったら、なかなかできない。かなり慢性型の方を対象にしているところがございます。
 私どもの理想としましては、通過型の施設として、ここで一定の作業を覚えていただきまして、自立していただくことを望んでいるわけですが、なかなかこれが自立が難しいということで、社会復帰の数値も低くなっているということです。
 あと、年齢層についても、かなり高い年齢層となっておりまして、43頁にありますが、下のほうに「高齢在所者」とありますが、平成21年度は60歳以上が35人、平成22年度は21人といったところで、なかなか社会復帰が難しいという実態にございます。

○宮本委員
 43頁ですが、このリハビリテーション作業所の廃止に伴って、在所者を意向に沿った形で次のところに移行させるということですが、「万全を期する」というところまで書いていますが、万全を期してうまくいっているのかどうかを具体的に示されていないので、評価がしにくいのですが、これは大変なことだとは思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 担当しております賃金援護部長の小玉と申します。労災リハビリテーション作業所については、過去平成19年度末に2か所ほど廃止したことがございまして、そのときの経験。それから、この資料には出ていませんが、先ほどの説明で現在6か所あると申し上げましたが、平成21年度の実績なので、平成21年度のうちに千葉の作業所を平成23年度末には廃止すると決めております。この3つの作業所については、全員の希望先に退所していただいたという実績がありまして、このような前例に倣って、他の作業所についても、ご希望のところに退所できるように万全を期したいと考えております。

○宮本委員
 ということは、作業所廃止というのは独立行政法人の整理合理化計画の中で廃止と決まったことですが、その先の措置を万全を期してやったことによって、何とか意向に沿った形で、その先を決めることができたということは、整理合理化したことは妥当であったという評価でよろしいのでしょうか。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 労災リハビリテーション作業所の機能として、これはあくまでも通過型施設ですので、どこかの段階では希望されるところに退所していただくということが、そもそもの目的でもありますので、合理化計画で廃止ということに伴ってということではありますが、希望先に行っていただくということ自体は、そもそもこの施設の目的に適っていると考えていただければと思います。

○松尾委員
 産業保健助成金の支給ですが、ここに「手続きが簡素化された」と書いてありますが、実際に50人以下の事業所の産業医を就けることを促進するということですが、具体的な成果は数としてはどのぐらいだったのでしょうか。手続きが簡素化された結果、どのくらいの数の産業医が配置されたかわかりますか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 産業保健部長の佐々木です。手続きの簡素化により、いちばん端的に出てくるのが、目標にありますように、どのくらいの期間で支給になるか、いわゆる受付から支給日までの日数です。その辺が具体的に算出されるということで出てくると思います。具体的な例として、例えば申請書の様式に、2回目、3回目の場合は、すでに会社名あるいは事業者名、代表者名が事前にプリントされているということで、そこにあるようなプレプリントと言っているのですが、そういうことをやることにより、手続きを簡素化しています。

○松尾委員
 具体的に支給件数などは増えたのですか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 残念ながら支給件数については減少気味ですので、そこには表れてきていないのですが。

○高田委員
 私は新入りで申し訳ないのですが、納骨堂の運営というのがありまして、比較的珍しい業務だと思いますが、この業務が行われるようになった経緯を説明していただけますか。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 法人のほうが答えるのがいいのかわかりませんが、労災保険の関係で、労災の被災者あるいはその遺族の援護ということが、法目的としてありまして、その目的の一環として、当機構がこのような納骨堂等を運営していまして、そういう趣旨に沿って私どもは仕事をしているということです。

○高田委員
 慰霊碑ではなくて納骨堂というのが、「んっ」という感じなのですが、納骨堂になった経緯をご説明いただけるとありがたいのですが。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 いま申し上げましたように、法令としては明確に「納骨」と書かれておりますが、私どもが運営する際には、あくまでも霊堂ということで、産業殉職者の御霊を合祀しているという面を、かなり前面に押し出して運営しているということです。
 先ほどの説明にもございましたが、特に、年に1回の産業殉職者合祀慰霊式を中心に運営していると理解していただくと、ありがたいと思っております。

○労働基準局労災補償部労災管理課長
 もともと慰霊の場を設けるという趣旨ではありますが、これは相当何十年も前に作られたのですが、その時代は各地でダムがつくられたり、トンネルがつくられたりして、出稼ぎ労働者が大量に労災に遭われて亡くなられたと。その方は、そもそも身寄りがわからなかったり、要するに名前を変えて働いている方もいらっしゃいますし、そういうこともありまして、その辺はお骨を引き受けなくてはいけないという事情もありました。
 ただ、いまは時代が変わっておりますので、労災に遭われた方で、身寄りはあるけれども、納骨を希望される方について、受け入れております。そのような大きな時代背景があったとご理解ください。

○宮本委員
 46頁の相談の件です。相談件数が平成21年度から平成22年度と、急増しているということで、大変結構なことだと思います。まず、この相談の対象者は産業保健関係者のみでいいのですか。これは一般の方々ではなく。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 基本的には産業保健関係者ということで、産業医の先生、会社の産業保健担当者といった人が中心であるわけですが、それ以外には事業主の方、あるいは労働者からの相談があってもそれを拒否はしておりませんで、幅広く産業保健についての相談に乗っているとご理解いただければと思います。

○宮本委員
 そうしまして、この2年間で急増した理由がいくつか想定されるのですが、1つはここに書かれているのを見ると、相談員の数を増やしたことでしょうか。増やしたことによるのも1つだと思いますが、一方ではニーズが高まるというか、相談しなければならないような、いろいろな事態が職場の中で増えて、相談が増えているということなのか。その辺りがこれだけではわからないので、整理していただければと思います。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 大きな要因としましては、社会的にもメンタルヘルスの問題が注目されているということで、46頁の右の箱の下のほうにもありますが、相談件数のうち、メンタルヘルス関係が非常に多くなっております。それが1つの社会的な背景として、増えているということだと思います。
 それに対して我々としての取組ですが、メンタルヘルスの関係で関連の委託事業をやっておりまして、そういった事業との相乗効果が1つあるかと思います。具体的に言いますと、委託事業の中で、事業場に指導や説明に行ったりということがありまして、そういう中で相談についての働きかけをやっております。
 その他、いろいろな機会を通じて、相談の機会を拡大するということで、産業保健推進センターで研修会などをやったり、いろいろなイベントをやるわけですが、そういった場に相談の場所を設けまして、相談にも応じております。
 それから、メールマガジンなどで、メール相談の数も増えていますので、そういった諸々の産業保健のセンター事業の取組が相談の増加につながっていると理解しております。

○宮本委員
 今後の動向としては、例えば相談も事前予約制を導入されているわけですが、そうすると、ニーズが高まると予約がいっぱいになることも想定されますが、実際のところはどうなのでしょうか、今後ともさらに増える状況はあると見ていますか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 予約制度については今年度から始めていますので、まだ具体的な集計結果は出ておりませんが、年々メンタルヘルスについての関心は高まっていますので、今後もそういったところを中心に相談の件数が増えていくと考えております。

○今村部会長
 宮本先生の質問で、メンタルヘルスの延べ相談件数と、実地相談延べ件数とありましたが、「実地」というのはどのような意味なのでしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 実地というのは、一般には、産業保健推進センターに来てもらって相談を受けることが多いのですが、事業場に行っての相談ということです。

○今村部会長
 機構から出向いて現地に行くことを、「実地」ということですか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 産業保健推進センターですが、担当者が行くということになります。具体的には、相談員という形で専門家を委嘱していますので、そういった方が現場に赴くことになります。

○伊丹委員
 いまのところですが、指標として、有益度の中期目標が80%以上で、99.1%ということとなっています。満足度と有益度というのは何が違うのでしょうか。語感からは、有益度というのは、大体こういうことの相談を受ければ有益かなと思う人は多いのではないかと思うので、満足している、満足していないというよりは高く出るのではないかと思うのですが、これは専門的にどのようにご理解されて、この調査をされているのでしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 単に満足するだけではなくて、何らかの役に立ったかどうかを判断してもらって、答えてもらったほうがいいだろうということで、言葉として「有益度」という言葉に直して、アンケートをやっているということです。そういう意味でご理解いただければと思います。

○伊丹委員
 そうすると、本来だったらもっと厳しく出るはずだということですか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 先ほども言いましたように、対象としますのは事業場のスタッフですので、個々の労働者というよりは、実際に産業保健を担当している人ですので、その人がその立場で役に立ったかどうかを判断してもらうという意味での言葉ということです。

○伊丹委員
 前のほうでは医療機関からの評価というときには、いわゆる患者からの満足度に比べると厳しい評価あるいは厳しい目標を設定していたと思うのです。そのことからすると、専門家の方から見て有益だという評価というのは相当高いとは思うのですが、そういう理解をすべきだと。本来は目標はもっと高い、基準が厳しい中でこれだけの高い有益度評価を得ていると評価すべきなのだということなのですね。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 事業場で産業保健を担当したスタッフの人たちの立場からということで、考えていただければと思います。

○川端委員
 いまのところで「産業カウンセラー」と「相談員」とありますが、この産業カウンセラーの方は常勤の職員ですか、それとも外部委託でしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 相談員という形で外部の専門家に委嘱する形です。

○川端委員
 通常の産業カウンセラーと、機構の特性を含んだカウンセリングが必要だと思うのですが、内部でそういうところの訓練はしているのでしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 訓練という形ではありません。専門性を重視しましてそういう方に委嘱しているので、研修会的なことはやっておりますが、特別に何か訓練することはございません。そういう専門性を勘案して、我々が委嘱するという性格のものです。

○川端委員
 カウンセリングのときに経営的な側面、心理的な側面のカウンセリングをする、医学的なところとの接点がなかなか取れないのです。医学領域に入り込めない。医師がカウンセラーの資格を持っていれば問題はないのでしょうが、その辺りのつなぎというか、整合性がどう取れているのかが気になりました。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 先生がおっしゃられるような問題がありますが、メンタルヘルスもいろいろな立場から相談に乗ることが必要ですので、そういう意味で、その人の専門性を発揮した形での指導、カウンセリングをやることで、トータルとしてうまくいくようにということで考えております。

○松尾委員
 いまのことに関して、労災病院との連携ということで、先ほどの研究開発のところで、「メンタルヘルスのチェックシステムを開発した」というのがあったのですが、相談件数でメンタルヘルス関係が多いということで、そういったシステムがどの程度活用されているのか、あるいは先ほどのカウンセラーさん達に対して、そういう研究をしている人は、どの程度教育活動をやっているのか、まだそこまでいっていないということだったら結構なのですが、もしあれば教えていただけますか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 具体的な数字はないのですが、先ほどの相談員といった立場の方、あるいは研修関係でも、労災病院の先生方にいろいろとお願いしておりますので、そういった面で、労災病院での成果が推進センターのいろいろな活動の中に活かされてきていると考えております。

○今村部会長
 チェックシートの開発が相談件数の向上に貢献しているかどうかという質問については、いかがでしょうか。

○労働者健康福祉機構産業保健部長
 具体的な数字はちょっとわかりません。

○伊丹委員
 未払賃金の件ですが、実務を迅速化するためにいろいろと取り組んでいるというのは評価できるのですが、求償の実態が必ずしもよくわかりません。ここに何か目標はあるのでしょうか安易に弁護士先生が諦めて、そのままにならないように、いろいろ活動をされているのだと思いますが、この辺の定量感のある課題があれば、教えていただきたいと思います。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 ご質問を吐き違えているかもしれませんが、私どもとしては、目標に明確に書いておりますので、審査期間を短くする、少なくともこの水準を維持するということを最大の目標としておりますが、その上で、同時平行的にいろいろな相談、ホームページ等による広報活動をやりながら、なおかつ、一方で評価の視点にも書いていますが、適正かつ効率的なという、適正のほうに入ると思いますが、それも両立したいと考えております。
 先ほどの説明にもありましたが、資料の50頁の左側に「新規」とありますが、破産管財人、弁護士連合会との連携で、こういうものはまさにそうで、いわば制度の一翼を破産管財人等に担っていただいているわけですが、どちらかというと、いままで積極的に連携したかというと、必ずしも十分ではなかったという反省の下で、平成22年度からこういうことを始めて、審査を短くすることだけではなく、全体的に整合性をもって制度を運営したいと考えております。

○伊丹委員
 その中で、求償に関しては、機構としての取組として、目標観のある課題というのはあるのでしょうか。

○労働者健康福祉機構賃金援護部長
 求償に関しましては、立替払いを行った企業から求償するということになっておりまして、わかりやすく申し上げますと、どこに立替払いをするかによって、求償の具体的な額、回収率が影響されるだろうということで、もちろん意識はしつつも明確な目標ということでは立てておりません。
 ただ、数字は採っているわけでして、これは短期的に採ってもしようがないので、制度発足以来、ずっと累積した立替払いの額に対する累積の回収率、それしか客観的な指標としてはあり得ないと考えているのですが、この数字自体は、最近は年々上昇しているということで、冒頭に申し上げましたように、どこに立替払いをするかということに影響がありますので、何パーセントに上げるという目標は立てることは難しいですし、立てること自体に意味があるのかと強く考えておりますが、できればいまの水準を維持したいと考えております。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。次にグループ4「業務運営の効率化」、「予算、収支計画及び資金計画」「短期借入金等」「人事、施設・整備に関する計画」「業績評価の実施」の項目について評価を行います。また、「監事監査報告書」に関する説明も併せてお願いいたします。法人からの説明を20分、委員の評定と質疑に20分の合計40分となっております。法人からの説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構総務部長
 資料1-1に戻って右かたで言いますと資料12-01になります。52頁、業務運営の効率化というタイトルです。1番としては、経営方針の職員への浸透度のフォローアップというものがあります。運営方針につきまして、職員に周知徹底を図っているということです。1番の箱のいちばん右ですが、職員の病院運営に対する参画意識の向上を図るということです。
 下の箱、内部業績評価制度の充実・強化ということで、右のほうにバランススコアカードです。バランススコアカードにつきましては、すぐ下にプランがありますが、事業ごと、労災病院事業、産保センター事業、未払賃金立替払事業等部門ごと、各診療科、看護部門、事務部門等、すべてバランススコアカードを作っているということです。PDCAサイクルで回しているということです。
 バランススコアカードを活用した主な成果が右下にありますが、?財務の視点、これも冒頭、理事長からの挨拶にありましたが、当期損益の改善。マイナス51億からプラス13億。あと利用者からの視点で、これも先ほど申し上げました患者満足度が81.8%、少し下がりましたが、81.5%です。クリニカルパス策定件数。?の効率化の視点ですが、一般管理費の節減であるとか、?組織の学習と成長の視点ということです。
 12-02、53頁です。53頁は経営目標の実現に向けた取組の評価です。左の箱が本部で右の箱は施設です。本部が施設に対してガバナンスを強化しているという表です。左上に経営改善推進会議、これを随時あるいは定期的にいいますと、2週間に一遍理事長を中心に行っています。
 左下、経営目標実現に向けた取組ということで、労災病院の医師不足対応。あと診療報酬の改善内容の分析、給与カーブのフラット化、賞与のカット、医療材料等の共同購入云々です。特に労災病院グループとして、ほかの団体にはないところとしては、本部と施設の間に双方向の矢印がありますが、年に一度、理事長を中心としました役員と、あと個別病院、病院長、副院長、事務局長が一対一の関係で、翌年度の予算また中期的な計画について、非常に細かいところまで詰めていくことをやっております。
 その結果、施設の項で収入関係、支出関係、収入関係の?医師の確保、平成21年度が例えば1,773名から平成22年度1,824名。?患者数の確保、新入院患者数も662名から700名、患者紹介率はアップしています。また救急搬送患者もアップしています。
 ?診療単価アップ、これは診療報酬改定があったから一部当たり前なのですが、入院診療単価を4万6,832円から4万9,362円にアップしています。また、地域医療支援病院、さらに7対1入院基本料取得病院もアップしています。右の支出関係ですが、?人件費の抑制ということで、給与カーブのフラット化を図っています。また賞与のカット。?後発医薬品の共同購入に1億8,400万円減らしている。?医療機器の共同購入2億3,600万円の減と、こういったことをやっています。
 54頁、12-03ですが、一般管理費・事業費等の効率化です。これは平成20年度と平成22年度を比較していますが、目標値が真ん中に赤い星の箱に入っています。平成22年度目標6%を達成して6.2%の節減、黄色い矢印です。事業費につきましても4%という目標に対しまして21.1%の節減ができたわけです。
 主な取組ですが、節減の主な取組のところです。例えば一般管理費ですと、本部の指導による事務職員数の抑制であるとか、期末手当支給月数0.45カ月カットという人件費節減等です。
 55頁、12-04です。医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営費交付金の割合の維持というものです。評価の視点は、センターの運営費交付金の割合について、労災リハビリテーション工学センター廃止に伴う業務移管によるものを除き、中期目標の水準を維持するための必要な取組が行われているということです。
 下のほうに円グラフが2つありますが、交付金率、平成20年度0.6%、平成22年度も交付金率0.6%ということで、平成20年度の割合を維持しているということです。
 56頁、資料13-01です。労災病院における経営基盤の確立です。平成22年度実績ですが、真ん中下の箱です。平成21年度経常損益、臨時損益がありまして、当期損益マイナス51億円でしたが、平成22年度につきましては、当期損益プラス13億円ということで、独法移行後初めての当期利益を確保いたしました。
 57頁、13-02です。これは繰越欠損金の解消に関するものです。平成22年度に黒字に転換したわけですが、57頁のいちばん下に赤色の繰越欠損金が書いてありますが、まだマイナス371億円の欠損となっています。真ん中、空色の箱ですが、そこにありますように上位施設基準の取得、一般病棟入院基本料7対1、地域医療支援病院、さらに患者数の確保、また右のほうですが、医療諸費の削減、後発医薬品の使用拡大及び、業務諸費の削減、こういったことを通じまして、その達成に向けて努力していきたいと考えています。
 58頁、資料15-01です。人事に関する計画です。評価の視点ですが、国家公務員の再就職者のポスト見直しを図っているが、特に役員ポストの公募や、平成22年度末までに廃止するよう指導されている嘱託ポストの廃止といったことです。1、人事の計画ですが、交付金事業、国からお金をもらっているところの常勤職員数ですが、平成16年度800人であったものを、その間109人削減しまして平成22年度には691名としているところです。
 3、新たな人事施策の展開ということで、役員の公募実施です。平成22年度実績、理事長1名、理事1名です。国家公務員の再就職者ですが、平成21年度2名、平成22年度2名ですが、これも平成22年度末に定年退職をして現在はゼロとなっています。
 59頁、資料16-01です。業績評価制度による具体的な改善効果です。まず右側のほうをご覧いただきますと、外部有識者による評価がございまして、機構内部に業績評価委員会を設置しております。年に2回開催していますが、その委員としましては、学識経験者の方が4名、あと労使から各2名、合計8名により構成されています。いちばん右下にその評価結果があるわけですが、例えば?労災病院間や地域医療機関との連携、?労災病院の繰越欠損金の解消、?ガバナンスの強化、?医師不足への対応等々、こういったことが指摘されているわけです。
 こういった指摘を受けまして、それをバランススコアカードに反映する形で、この左のほうに矢印がいっていますが、下のほうから組織と学習と成長の視点であるとか、質の向上、効率化、利用者の視点、財務の視点等々から、さまざまな改善をやってきているところです。以上グループ4です。
 資料1-2の92頁をご覧ください。業務運営の効率化です。まず?ですが、バランススコアカードによってPDCAサイクルによる運営の徹底を図っています。?ですが、職員給与について国家公務員の給与構造改革を踏まえた見直しといたしまして、平成22年7月1日に給与カーブのフラット化等、最大5%カットの俸給表の改定を実施したところです。
 ?平成22年度診療報酬改定の迅速かつ的確な対応、上位施設基準の取得、医師確保等に向けた取組により、大幅な増収を図ることができたということです。以上のことから自己評価をAにしております。
 102頁ですが、予算、収支計画及び資金計画ということです。?にありますが、労災病院については、プラスの13億円ということで、初めて当期利益を確保したということです。以上のことから自己評価をAとしています。
 107頁です。107頁下ですが、これはポンチ絵にありませんでしたが、短期借入金の関係です。短期借入金等とありますが、これにつきまして?ですが、資産処分を着実に進めているところで、処分予定物件18件のうち4物件について売却譲渡契約を行って、2物件について国庫納付を行い着実に進め、また2物件の売却を決定しているということです。自己評価をBとしています。
 112頁です。人事・施設・設備に関する計画等です。?ですが、交付金を充当して、人員の確保や常勤職員数、これは691人というところまで減らしています。?平成22年9月に理事長及び理事のポストについて公募を実施しています。これによりまして、いわゆる公務員OBの方の理事長、理事あるいは監事といった方の数はゼロになっています。
 ?ですが、労災リハビリテーション作業所の廃止の決定、これらのことから自己評価をAとしています。
 115頁です。115頁いちばん下ですが、業績評価の実施等です。?すべての事業を施設ごとに経営マネジメントツールであるバランススコアカードを活用している。下2行、終わりのほうですが、SWOT分析をやっています。?ですが、内部業績評価委員会の活用を図っています。以上のことから自己評価をAとしています。以上グループ4、終了です。

○今村部会長
 ありがとうございました。平成22事業年度の監事・監査の状況についてご説明をお願いいたします。

○労働者健康福祉機構監事室長
 私は監事室長の庄子でございます。平成22事業年度の監事・監査の状況につきまして、簡単にご説明をいたします。なお、ポンチ絵はございません。平成22年度の監査に当たりましては、理事会その他の重要な会議に出席するほか、役員等から事業報告を受けまして、重要文書を閲覧するとともに、労災病院につきましては10か所、産業保健推進センターについては9か所、その他の施設7か所、合計26か所の施設、それから機構本部、各部室におきまして実地監査を行いました。
 監査の結果は監査報告書という形で、監事の意見を財務諸表に添付していますが、本日の資料の1-6、68頁から70頁のところです。財務諸表につきましては、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成されております。貸借対照表、損益計算書等は正しく表示されており、決算報告書も予算の執行状況を正しく表示しており、業務は通則法、機構法、業務方法書に基づき、適正に実施されていると判断いたしました。
 監査に当たりましては、閣議決定の独立行政法人の抜本的な見直しについてや、事務事業の見直しの基本方針の趣旨を踏まえまして、さらには政・独委からの評価の視点、また本委員会からのご指導等も、十分視野に入れて監査を行っています。
 重点項目を申し上げますと、4項目、昨年とほぼ同様ですが、1つには随意契約の見直し状況、給与水準の状況、内部統制の状況、保有資産の見直し状況の4項目です。監査の結果につきましては、本日の資料1-3、平成22年度業務実績別添資料の最後になりますが、監査報告書を添付しております。その8頁から10頁に記載しております。まず随意契約の見直し関係については、平成22年度は監事及び外部有識者によって構成する契約監視委員会を3回開催しまして、随意契約、それから1者応札案件の事後点検等を実施し、その結果を機構のホームページに公表しております。また、会計課長会議等において、1者応札対策を課題としたグループ討議を行うなど、競争性確保の意識の浸透を図っており、適切に対応されております。
 給与水準につきましては、平成22年度は期末手当の支給月数の引き下げを行うとともに、職員給与について、昇給カーブのフラット化を目的とした俸給表の見直しについて、平成22年の3月の労使間での基本合意を得て、平成22年7月1日から最大で5%、平均2.5%の俸給月額を引き下げる給与改定を実施しており、適切に対応しております。
 内部統制に関しましては、内部統制の確立に関する規定、コンプライアンスの推進に関する規定を策定するとともに、内部統制委員会の下部組織として、コンプライアンス推進委員会を設置しまして、さらに公益通報制度を設けるなど、より一層の体制強化に努めております。
 また、内部監査として、監査員業務監査を実施するほか、機構本部の各部がそれぞれ担当する労災病院、予防医療センター、産保センター等の各施設に対して、計画的に業務指導を実施していまして、適切と認められます。
 最後になりますが、保有資産の見直し関係につきましては、機構が保有する資産の有効な活用、処分の適切性等について検討を行い、平成22年度は期首時点の18件に新たに2件を追加するとともに、職員宿舎など、6件について売却処分、または国庫納付をしまして、その結果、期末の件数は14件となっています。固定資産の減損にかかる会計処理は独法会計基準に基づきまして、適正に行われていると認められるところであります。また、平成22年12月7日の閣議決定、事務事業の見直しの基本方針による機構の講ずべき措置につきましても、適切に対処していると認められます。平成22年度の監査状況については以上でございます。

○今村部会長
 ありがとうございました。それでは委員の皆様は評価シートの評定等の記入をお願いいたします。ご質問等がありましたら適宜ご発言をお願いいたします。

○伊丹委員
 業務運営の効率化に関してです。バランススコアカードを用いているということは、非常に高く評価をしたいと思いますが、いま監査の中でも少し触れられた内部統制に関して、コンプライアンスだけでなく広い意味でのリスクマネージメントととして捉えられているのか、お聞きしたいと思います。例えば今回の震災などがあったときに病院はどのように相互に支援して機能させているのか。またリストラ施策を打つ中でコンプライアンス違反ではないにしても、いろいろな訴訟が起きてしまうとか、あるいは病院であれば医療過誤だとか、いろいろなトラブルが発生する。それが結果として組織運営上結構リスクになっていくことも多いのではないかと思います。そういったものに対する備えだとか、体制、マネジメントについてどのようにされているのかが必ずしも見えてこないのでお聞きしたいと思います。

○労働者健康福祉機構総務部長
 今のご質問は非常に幅の広いご質問だと理解しています。小さいところから話していきますと、例えば病院における医療事故、こういったものにつきましては、その病院、病院において弁護士を立てて、またこういったことになったということを全て本部が決裁する形で進めています。大きな話になりまして、震災のことをあまり例に出すのはあれなのですが、そうした場合にいかなることをやるかと言いますと、まさに本部が各病院を直接指導する形をとっています。
 例えばうちは理事が4人いるわけですが、その4人の理事が北海道、東北地区、関東、近畿、中国、四国地区、九州地区というふうに担当していまして、その理事が理事長の下に直接指示を出す。そうした体制をまず敷いて、何かあったときに備えておくということがございます。
 また、コンプライアンス全体につきましては、先ほど監事室長から説明がありましたが、まだ規定を新しくしたばかりではありますが、従前からもともとになるそういった規定もございまして、内部統制という名前ではないわけですが、別の規定もございまして、何か問題があったらそれはすべて本部で吸い上げて処理する仕組みを作っておりました。今回、内部統制、さらにコンプライアンスということで最近よく耳にする言葉に変えたということですが、従前からそういったことをやっていました。
 いずれにしても理事長を中心にして、各地区担当の役員がそこに行って、何か問題があったらその各地区担当役員が中心に物事を回すと、こういった体制を従前からひいております。

○伊丹委員 
 この辺の目標管理といいますか、何を強化するのかというところを、もっと明確にしながら、PDCAを回すというところを、より表現していただきたいと思います。

○労働者健康福祉機構総務部長
 例えばバランススコアカード等に、それも先ほど私が理事長を中心に病院長、副院長、あと理事長と理事、数字を一つひとつ詰めていくわけです。その基になるのは各病院における診療科が例えば内科とか外科とか、もっと細かいわけですが、そういった所がバランススコアカードを作って、それを積み上げていって、それで最終的に機構本部と病院との間で目標値を設定して、それで管理をしていくと、こういったことをやっています。

○川端委員 
 給与について削減したというのが出ているのですが、ラスパイレスが書いてないのです。医師と看護師と、職員のラスパイレスを教えていただけませんか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 職員部長の西澤でございます。平成22年度で事務、技術職員はラスパイレスが102、医師は107.3、看護師は109.8です。

○川端委員
 一般職員は102ですか。職員は102。

○労働者健康福祉機構職員部長
 ラスパイレスが3職種になっていますので、事務のほうは102ということです。

○川端委員
 これ結構、全体として高いようですが、ここは今後どういうふうにされますか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 先ほどの話にございましたように、俸給表のフラット化ということで、1つにはラスパイレスが国に比べて高いという状況と、それから総人件費の5%削減という課題もございますので、そういった中で特にうちの俸給表では年功部分がかなり強いということがございまして、そういった観点から昨年の7月に最大5%、平均で2.5%のマイナスの給与改定を行ったところでございます。これが徐々に効果が出てくるのではないかと思っております。

○川端委員
 これは先行きわかりませんけれども、国家公務員給与を更に5%なり10%下げるというような話もありますよね。そうしてみると、いまでもさらにラスパイレスを下げ、あるいはそういうことがあると、モラルにかなり影響してくるという気がするのですが、そこのところの対策を何か講じているか、あるいは講じる予定があるかどうか教えてください。

○労働者健康福祉機構職員部長
 正直申し上げまして、いまラスパイレスが高いという中で、課題となっているものに対して対応していかなければいけないということで、給料が下がって一方でまた業務もかなり過密化しておりますので、モチベーションが上がるということは、なかなか難しいのですが、その辺は機構として一体となってやっていく、このメリットを強調することで保っていきたいと思っていますけれども。

○川端委員
 その努力を是非お願いしたいのです。先ほど看護師等の就職、採用が非常にいいというのは、給料の高さというのがかなり影響しているのではないですか。

○労働者健康福祉機構職員部長
 看護師さんが就職する際に選ぶ視点としては、例えば教育制度であるとか、そういったことももちろんありますが、やはり給与も1つの大きな視点ではないかというように思っております。その点では、逆に給与が高いということはメリットにはなりますが、一方で独立行政法人ですので、やはり国との給与水準も考えていかなければなりませんので、そこは淡々とやっていかなければならないかと思っております。

○本寺委員
 3つあって、1つは効率化ということで、損益の改善というお話は報告がきているのです。こういう質問をして失礼かもしれませんが、トップラインみたいなものはあるのですか。労災病院事業のトップラインの数値目標みたいなものがあって、それを増やしているとか、そういう状況にあるのかどうか。たぶん診療単価をアップするような形でいろいろな取組をされているので、発想としてはそのトップラインも上げて、なおかつコストも落とすということで、収益改善をするという発想もあるのかなと思っているのですが、そういう状況ですね。特にトップラインの数字って、この損益計算書を見ると、前年の数字が載っていないので見えないなというのが1つです。
 これは去年の話を掘り返して申し訳ないのですが、去年は退職給付費用が収益改善のところでネガティブに効いてきたのでというようなご説明があったのですが、今期はそれはどうだったのかというのが1つです。
 最後は、いまの震災対応でいろいろな派遣とかされているのですが、そういう点がコストの影響は、来期どのぐらい出てくるのかというその見込みですね。それを教えていただけますか。

○労働者健康福祉機構総務部長
 私から総括的にお答えいたします。まず1つ目でございますが、収益の目標、トップラインでございますが、毎年先ほど言いました理事長を中心にして病院長とやっているという中で、来年度の個別病院の目標値というものを定めています。それの積み上げがいまほどおっしゃいましたトップラインというものになろうかと思っております。もちろんこのトップラインは、累積欠損解消に向けたものとして策定していくとともに、また、他方で現実を見た、ある程度現実味を持った計画にしていくというように考えております。その数字は後で出るのでしたらお示しいたします。
 昨年、一昨年と厚生年金基金の問題で、退職給付費用が足を引っ張ったと。今年も足は引っ張っております。たしか35億円のマイナスの足を引っ張っています。そうした中で当期損益がプラスの13億であるということです。
 また震災のコストがどうなるのかということですが、震災関係につきましては、医師の派遣等はすべて、これ国立病院も同じなのですが、労災病院の自前でやっていまして、そのコストがどうなるかということは、いま現在でパッと推計できるものではないのですが、例えば収支だけで見ますと、今年の4月の収支を昨年度と比較しますと、16億円ほどマイナスになっていまして、大きく響いてくる可能性はあるかなというふうに考えています。

○労働者健康福祉機構経理部長
 経理部長でございます。補足説明をさせていただきます。まず損益の関係で昨年度の退職給付費用の関係ということでしたが、これにつきましては資料56頁13-01です。これのいちばん下に記入しております。昨年、平成21年度につきましては、当期損益がマイナス51億円ということであったわけですが、いちばん下の括弧のところにありますように、平成21年度はサブプライムの関係で49億円の影響がありましたということで、これを除き医業活動に限ってみると、マイナス2億円でしたというご説明を作年度申し上げました。
 平成22年度につきましては、そこにもありますように、厚生年金基金の関係につきましては、35億円の影響が出ますということです。したがいまして平成22年度につきましては、マイナス2億円から50億円の改善をして、結果的に48億円に改善をしたということでございます。ただ、それを除きますというか、実際の当期の損益については、初めてプラスの13億円になったということです。
 震災の関係の影響ということですが、確かに被災地への医師派遣等がございます。それから被災病院、建物等の損壊がありまして、その辺の関係の影響というのが出てくるのだろうと思いますが、まだいまのところはっきりした数字が出てきていません。ですからそれについては、来年度ご報告という形になろうかと思います。以上でございます。

○松尾委員
 ちょっと人事戦略といいますか、そこでお伺いしたいのですが、確かに経営的に努力をされていることはわかりますが、先ほど私がご質問をした、例えば研究などについては、臨床研究であるので、逆に言うとそれほど人はいらないみたいなことを言われたのですが、臨床研究、実はお医者さんが例えばデータを取るのに、夜遅くまで残ってカルテからデータを整理するとか、いろいろなことをしないと臨床研究はできないわけです。今後、労災病院のミッションはたくさんあるわけですが、そういったことを発展させていこうと思うと、是非そういった周辺の基盤整備といいますか、そこにかかわる人の充実を、これは是非私から要望したい。それがないと、仕事が増えると、業務が増えるとダイレクトに、医師や看護師に直接負担がかかって、モチベーションを大きく落とす。先ほどラスパイレスの話がありましたが、それとは別に非常に苛酷な状況になるので、そういったところも是非この計画の中には含めていただきたいと思います。

○今村部会長
 どなたかご計画があれば是非。

○労働者健康福祉機構理事長
 いまの先生のご指摘は非常に重要だと思います。特に医師に関しては、給与だけではなくて、やはり働きがいと、それから自分は何をしているかということが、非常に重要だと思います。診療プラス研究という2つの側面、それからあと周囲へ教育というか研修を及ぼすと、こういう3つの仕事をバランスよく保つという意味においては、人数を限ってしまうのではなくて、増やしなさいというご意見と理解しましたので、その方向で考えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○今村部会長
 よろしいでしょうか。評定等の記入をしていただきたいと思いますが、終わりましたでしょうか。それでは以上ですべての項目の評価が終わりました。事務局からこのあとの取り扱いについて説明をしてください。

○政策評価官室長補佐
 委員の中でまだ評価の記入が終わっていない方がいらっしゃいましたら、本部会が終わりまして、そのあとこの会場で記入していただくことも可能でございますし、評定記入用紙をお持ち帰りになって、ご自宅等で記入していただくことも可能でございます。また、事前にメールで、電子媒体の評定記入用紙もお送りしていますので、それを活用していただくことも可能です。お持ち帰りになる場合には8月2日火曜日にまた部会がございますが、そこにお持ちいただくか、それまでに事務局宛に評定記入用紙をメールやファックスなりで送っていただければと思います。また、本日の資料につきましては、送付をご希望される場合には後ほど事務局宛にご連絡をいただければと思います。これで労働者健康福祉機構の個別評価は終了いたしますので、法人等所管課の方はご退席をください。お疲れさまでございました。

(法人等所管課退席)

○今村部会長
 時間も限られますので次の議題に進みたいと思います。3月の労働部会で審議決定し、政・独委へ通知していた、雇用能力開発機構の退職金にかかる業績勘案率について、今般、政・独委から解答がありましたので、経緯がある話でもありますので、事務局から簡潔に報告をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 それでは説明させていただきます。いまお手元に事務局より資料を配付させていただきました。こちらは平成23年7月25日付で、今年の3月に労働部会で業績勘案率として0.9というものを決定いたしておりまして、それにつきまして総務省に設置しています政策評価、独立行政法人評価委員会のほうに意見を聞いていました。その意見につきまして「異議はない」ということで7月25日付で政・独委から解答がきたということでございます。
 退職役員の業務勘案率につきまして、関係資料集、水色の本の9頁をご覧いただければと思います。こちらに独立行政法人の評価委員会の役割が載っていまして、それのいちばん右端です。まず法人から役員の退職がございますと、業績勘案率につきまして決定をしてほしいという依頼が、文書で評価委員会にきます。評価委員会で、部会でご審議をしていただき決定をするわけですが、その決定案に対して、決定案を総務省に設置しています政・独委に対して意見を求める。政・独委からの意見がきましたら、その意見が業績勘案率の再検査等が必要がないと認められる場合は、部会長が最終決定ができることになっていまして、最終決定をした場合は速やかに法人に結果を通知するということになっています。
 今回の件につきましては、昨年の8月に一度労働部会におきまして、雇用能力開発機構の役員退職者5名につきまして、業績勘案率についてご審議をしていただいております。その際には部会として1.0ということを決定いたしておりまして、政・独委宛に通知をしておりました。ただその後、会計検査院の平成21年度の決算検査報告等で、不当事項等について指摘がされた関係で、政・独委から再度審議をするようにということで12月に通知がきております。それを受けまして、3月に再度、労働部会におきまして審議を行いまして、この際、担当理事だけの責にするか、もしくは法人全体の責にすべきかということでご審議をしていただきまして、やはりこれは法人全体の責にするべきだろうということで、部会としまして0.9ということで、業績勘案率を見直しまして決定をしております。それに対して今回、政・独委からそれで「異存はない」ということで解答がきました。
 この通知がきましたので、速やかに部会長にこれを説明いたしまして、お諮りをしまして、了解をもらいまして雇用能力開発機構理事長宛に、今回0.9ということで通知することを決定いたしましたので、いろいろ経緯があったものですから、労働部会の委員の皆様方に改めてご報告をするということでございます。以上でございます。

○今村部会長
 これは報告事項ということですね。

○政策評価官室長補佐
 本来はこういった業績勘案率で、政・独委から異議がないということがきたのは、あまり報告は部会ではしていないのですが、今回いろいろ経緯が、1回1.0で出したあとに会計検査院から不当事項ということで、いろいろ指摘もあった関係で、再度審議をしてくれということがあって再度していただきまして、その結果ということでございますので、改めてご報告ということでございます。

○今村部会長 
 ありがとうございました。質問等がありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは当部会として、報告を承ったということにしたいと思います。本日の議事は以上となります。次回の開催等について、事務局から案内をお願いいたします。

○政策評価官室長補佐
 次回開催につきましては、8月2日火曜日13時から、場所は省内の17階専用第21会議室になります。以上でございます。

○今村部会長
 それでは本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり熱心なご審議をいただきましてありがとうございました。


(了)

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