ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(日本年金機構評価部会)> 第24回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録(2013年9月30日)




2013年9月30日 第24回社会保障審議会日本年金機構評価部会議事録

○日時

平成25年9月30日(月)13:00~15:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

本田部会長、岩瀬委員、木間委員、西沢委員

○議題

次期中期目標の論点(案)等について

○議事

○本田部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから社会保障日本年金機構評価部会を開催いたします。

 委員の皆様にはお忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。

 まず、委員の出席状況ですけれども、本日は石井委員、大山委員、斎藤委員から、あらかじめ御欠席ということで御連絡をいただいております。

 それでは、議事次第に沿って進めてまいりたいと思います。

 本日の主な議題は、まず1つ目は、「日本年金機構の次期中期目標の策定に関しての論点案について」でございます。

 現在の日本年金機構の中期目標につきましては、機構発足の平成22年1月から平成26年3月までの4年3カ月となっておるところでございますので、今年度中に平成26年度以降の次期中期目標を策定する必要がございます。

 本日は、まずその第一弾といたしまして、次期中期目標に盛り込むべき事項に関する論点につきまして、委員の皆様の御意見を伺いたいと思います。

 2つ目は、「事務処理誤り処理遅延・未処理対策について」、3つ目は「時効特例給付に関する業務不統一への対応について」でございます。

 それでは、1つ目の議題につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

 

○事業企画課長

 それでは、私のほうから1つ目の議題、「日本年金機構の次期中期目標について(論点案)」につきまして御説明をさせていただきます。

 本日は、お手元に「日本年金機構の次期中期目標について(論点案)」、資料1-1を用意させていただいております。

 これは現行の中期目標を踏まえまして、次期中期目標において取り上げるべきもののうち主要なものを論点という形で整理させていただいたものでございます。

 本日はお手元に、そのほか参考といたしまして、資料1-2で「現行の中期目標・中期計画」を対比したもの、資料1-3といたしまして、この4年3カ月の間の「業務実績評価 評価一覧」、資料1-4、これは6月11日の評価部会に提出させていただいたものでございまして、見方でございますが、一番左が日本年金機構中期目標、真ん中が日本年金機構中期計画、そして一番右が、中期計画の期間におけるこれまでの取組と今後の進め方を整理したものでございます。

 本日の説明は、次期の中期目標に向けた議論をしていただくということでございます。

PDCAサイクル、すなわちこれまでの取組を踏まえた議論とさせていただく必要があるということですので、資料1-1、資料1-4、「日本年金機構中期目標・中期計画におけるこれまでの取り組みと今後の進め方」を適宜御参照いただきつつ、御説明をさせていただきたいと思っております。

 それでは、早速でございますが、資料1-1、「日本年金機構の次期中期目標について(論点案)について」をごらんいただきたいと思います。

 まず最初に「中期目標の期間」ということでございます。

 先ほど部会長からも御紹介ありましたように、現行の中期目標の期間、これは年金記録問題の対応を平成25年度までの国家プロジェクトと位置づけておりますことから、現在は26年3月31日までの4年3カ月となっておりますが、次期中期目標の期間は26年4月1日から平成31年3月31日までの5年としてはどうかという論点でございます。

 下に「※」で書いてございますが、日本年金機構法上は、「厚生労働大臣は、三年以上五年以下の期間において機構が達成すべき業務運営に関する目標を定める」という形で規定されております。

 今般5年という形で論点と提示させていただいた主な理由は、多くの独立行政法人は、日本年金機構と同じような規定ぶり、「3年以上5年以下で定める」という形になっておりまして、5年という期間を設けているということがまず1点ございます。

 それから、もう一点、申し上げますと、社会保障と税の一体改革等を踏まえまして、各種の年金制度改正がこれから順次施行されていくわけでございますが、この制度改正が行われた後、その評価を十分な期間をもってきっちり行うという意味から5年の期間がいいのではないかという形で論点として提示させていただいているところでございます。

 引き続きまして、「中期目標の内容」ということでございます。

 まず最初に1として、今回の論点における「基本的方向」について書かせていただいているところでございます。

 まず最初の2つでございますが、国年・厚年の適用・徴収、給付事務、相談事務等の基幹業務を中心に記述してはどうか。

 年金記録問題への対応については、現行の中期目標では特記されているが、位置づけを見直し、基幹業務の中の1つとして記述してはどうかということでございます。

 お手元の資料1-4の2ページをごらんいただきたいと思います。

 一番端のところにでておりますように、日本年金機構の中期目標は、まず中期目標の期間とあって、「年金記録問題への対応(注)」という形で特記されているところでございますが、記録問題の集中取組期間はこの年度末で一応終了することも踏まえまして、基幹業務の1つとして記述してはどうかということで、これはまた後ほど具体的な場所で御説明させていただきたいと思います。

 それから、上から3つ目の「○」、今後の機構事務の改革のため、業務・システムの刷新を記述してはどうか、ということで書かせていただいております。

 それから、4つ目の「○」のところでございます。平成26年度以降に施行予定の各種の制度改正という事項がございます。

 こういうものに対する万全な対応が求められていることから、こういうものを特別に位置づけではどうかということで、以上4点という形で基本的な方向を書かせていただいているところでございます。

 それでは、「具体的な項目及び視点」について御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、「第1 提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」ということでございます。

 資料が行き来して申しわけございませんが、資料1-4のページをごらんいただきたいと思うのですが、現行の11ページでございます。

 「提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」と書いてございまして、(1)適用事務に関する事項、(2)保険料収納事務に関する事項、(2)のほうは、3段表の14ページに出てくることになっております。

 現行の中期目標のたてつけは、適用とか徴収といった事項ごとに大きく分けて記述しているわけでございますが、むしろこれを国民年金・厚生年金という制度ごとに分けたほうがわかりやすいのではないかと考えているところでございまして、お手元の資料1-1では「1 政府管掌年金事業の円滑な実施」ということで、「(1)国民年金の適用・徴収対策」「(2)厚生年金保険等の適用・徴収対策」ということで、適用・徴収という形の分け方ではなく、制度ごとの分け方にして、論点として提示させていただいているところでございます。

 具体的な内容につきましては、特に国民年金につきましては、平成24年度分の納付率につきましては、これまで下落傾向であったのが上昇傾向に変わるという成果が見られておりますが、引き続き6割を下回っておりまして、国民年金の納付率の向上を図るということが非常に重要な課題となっております。

 また厚生年金につきましても、保険料の事業所の適用をきっちり進めていく必要があるという状況になっておりまして、引き続き適用・徴収対策は非常に重要な事項となっておりますので、そちらに書いてございますように、それぞれ次期中期目標においても、基幹的な業務として位置づけさせていただくべきではないかということで論点を掲げさせていただいているところでございます。

 引き続きまして、1枚おめくりいただきまして、2ページ、「(3)年金給付業務」でございます。

 まず最初の「○」でございますが、年金給付事務について所要日数や正確性に関する目標を定め、年金給付の迅速な決定、正確な事務に努めることが必要ではないか。

 特に、年金関係の事務処理誤りが依然として発生している状況を踏まえ、要因分析や再発防止に向けた取組が必要ではないか、という2点でございます。

 資料1-4の18ページをごらんいただけたらと思います。

 こちらに給付に関する事項について、現行左に中期目標を書いております。

 今回もほぼ同じようなことを論点として挙げさせていただいておりますが、右の年金給付についてということでございます。

 設定したサービススタンダードにおいて、前年度の実績を大きく上回り改善が図れているというところでございますが、しかしながら、障害厚生年金の達成率は、いまだ最終年度の目標である90%と乖離しているという状況がございます。

 そういう状況の中、引き続き、所要日数や正確性に関する目標を定めることは重要なのではないかということで、この資料1-1の最初の「○」に挙げさせていただいているとともに、2番目の「○」の先ほど申し上げた事務処理誤り関係につきまして、現在の中期目標にはない事項ということで、昨今、機構の事務処理誤りの問題ありますので、こちらのほうは2番目を特に特記させていただいているということでございます。

 引き続きまして、2ページの「(4)年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止」でございます。

 先ほど申し上げましたように、現行は年金記録につきましては、中期目標上特記しているわけでございますが、緊急の集中取組期間もここでひと区切りつくということで、基本的に基幹業務の中で年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止ということで位置づけたらどうかということで書かせていただいているところでございます。

 論点といたしましては、年金記録の回復のため、引き続き、国民からの届出の迅速な対応を行うことが必要でないかということと、再発防止のため、ねんきん定期便及び年金ネットによる記録の情報提供、基礎年金番号の整理、届出の電子化等が必要ではないか、ということで書かせていただいているところでございます。

 引き続きまして、資料1-1の「(5)事務処理の正確性の確保」。

 これも現在の中期目標にはない事項でございます。

 この部分は、先ほどもちょっと申し上げましたが、給付に限らず事務処理誤り全体について、(5)として「事務処理の正確性の確保」を位置づけたいということで、現在の中期目標にはない事項ではございますが、重要ということで特記して書かせていただいてございます。

 引き続きまして「(6)年金相談・情報提供等」でございます。

 年金相談、情報提供につきましては、お手元の資料1-4の21ページあたりから基本的な中期目標を書かせていただいております。
 21ページの一番左に、国民が利用しやすい相談体制の整備といった記述がございますし、ちょっと飛んでいただきまして、資料1-4の28ページには、その対応として、正規職員等4割配置を計画的に進めている、コールセンターの基盤強化を図っていく必要がある、といったような対応について書かせていただいているところでございます。

 資料1-4の31ページにはインターネットを活用した年金個人情報の提供を図ること、わかりやすい効果的な情報提供を行うこと、といった部分が現行の中期目標でも位置づけられているところでございますが、これにつきましては、引き続き、今後の制度改正に対応しつつ、重要な論点として掲げさせていただいているところでございます。

 特に先ほども申し上げたように、今後、年金制度改正が順次施行されていくことで、お客様の相談、問い合わせ増えてくることが想定されますので、今後の制度改正に対応しつつ達成することが必要ではないかということと、特にねんきんネットといった部分で、これからはお客様から申し出ていただいて、年金情報を確認していただくことがますます重要になってきますので、そのことにつきましても、(6)の2番目の「○」で特に書かせていただいているところでございます。

 「(7)国民サービスの向上」につきましては、現行とほぼ同じように、国民の声を的確に把握・分析してという形で書かせていただいております。

 「(8)ICT化の推進」ということでございます。

 恐縮でございますが、資料1-4の37ページ、38ページをごらんいただきたいと思います。
 37ページ、「電子申請の推進に関する事項」ということで、現在書かれておりまして、業務品質の向上及び利便性の向上を図る観点から、社会保険関係の主要手続について、電子申請の利用促進という形で現在書かれているところですが、今回の次期中期目標の中では、電子申請の利用促進だけでなく、年金ネットの機能拡充を始めといたしまして、日本年金機構のICT化全般について推進が必要なのではないかということを考えておりまして、(8)という形で論点として提示させていただいているということでございます。

 2ページの一番最後、「2 年金制度改正等への対応」ということでございます。

 冒頭の「基本的方向」のところでも御説明させていただきましたように、次期中期目標期間中に施行が予定されている年金制度改正や社会保障・税番号制度導入について、必要な体制を整備し、円滑かつ確実に対応することが、今、機構に求められている重要な課題でございますので、これにつきましては、2で論点として提示させていただいているところでございます。

 引き続きまして、3ページ目をごらんいただきたいと思います。

 「第2 業務運営の効率化に関する事項」の、「(1)効率的な業務運営体制」ということでございます。

 これは資料1-4の38ページ、39ページに大体このあたりの話が出てきております。基本的に現行と同じ論点として挙げさせていただいておりまして、業務の効率化のために標準化を進める、国民の声や年金事務所等の職員の意見を引き続き業務運営に反映させていく、都道府県域を越えた事務の集約化に向けた事務処理体制の検討をしていく、といったあたり、現行と同じような論点を挙げさせていただいているところでございます。

 次に「(2)運営経費の抑制」ということでございます。資料1-4の41ページと43ページをごらんいただきたいと思います。

 現行、運営経費の抑制につきましては、41ページの(2)にございますように、人員体制につきまして、閣議決定の基本計画に基づいて、合理化・効率化を進めるけれども、ただし、年金記録問題の解決を確実にできる体制にするべきということと、中期目標期間の最後の事業年度において、一定の業務経費の削減が図られるようにすることが、中期目標に位置づけられておりまして、それに基づいて、中期計画で一定の削減目標等が定められているところでございます。

 これについての論点ということでございますが、そちらに書いてございましたように、基本計画策定時には想定されていなかった業務について確実に実施できる、特に年金制度改正の施行等については、閣議決定による基本計画の策定時には想定されていなかった業務でございますので、これを確実に実施できることを前提としつつ、一般管理費・業務経費について、業務の効率化により一定程度抑制することが必要ではないか、と書かせていただいているところでございます。

 下の「(3)外部委託の推進」と「(4)その他業務運営の効率化の取組」につきましては、現行の中期目標と同じような論点を挙げさせていただいているところでございます。

 引き続きまして、その下の「2 社会保険オンラインシステムの運用・開発、見直し」でございます。

 社会保険オンラインシステムの運用・開発、見直し」につきましては、2つ「○」を設けておりまして、最初が、現行の社会保険オンラインシステムの適切かつ確実な運用と制度改正や業務改善に対応した開発。

 2番目が、「公的年金業務の業務・システム最適化計画」に沿って、社会保険オンラインシステムの見直しに取り組むことが必要ではないか、ということでございます。

 2番目の「○」は現行の中期目標にも書かれていることでございますが、それだけではなくて、現行の社会保険オンラインシステムの適切かつ確実な運用、制度改正、業務改善に対応した開発が非常に重要ではないかということで、最初の「○」については、新規の事項という形で用意させていただいているところでございます。

 また、資料1-4の46ページの一番左のところをごらんいただきたいと思うのですが、現在は、社会保険オンラインシステムは、業務の運営の効率化に関する事項の5つある項目の中の1つの項目という形になっております。

 しかし、やはり社会保険オンラインシステムの見直しは非常に重要な事項でございますし、現在この運用については着実に進めていかないといけないことから、次期中期目標においては、第2の大きな二本立ての1つで、特に2という形で挙げて、ここに論点として示させていただいているところでございます。

 引き続きまして、「第3 業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項」ということでございます。

 これにつきましては、資料1-4の48ページをごらんいただきたいと思います。

 現在、中期目標ではどういう形で書かれているかといいますと、業務運営における公正性及び透明性の確保ということで、「内部統制システムの構築に関する事項」ということで、「コンプライアンス確保やリスクの未然・再発防止を重視した内部統制の仕組みを構築すること」という形で位置づけられているところでございます。

 お手元の資料1-1の論点案では、今回は、コンプライアンス確保が重要であるということから、未然・再発防止を重視するとともに、内部統制の仕組みが有効に機能するための取組を推進することが必要ではないか、ということで、内部統制の仕組みを構築するだけではなく、それが有効に機能するということを、今後の中期目標の論点として挙げさせていただいています。

 あわせて、文書の原本管理・保管の徹底につきましても、保存文書の電子データ化を含め、適切に管理・保管することが必要ではないか、と書かせていただいているところでございます。

 3ページの一番下の「(2)人事及び人材の育成」、まず最初は、本部一括管理の正規職員の異動パターンの問題、能力・実績本位の人材登用を進めるべきであるような問題、組織目標における人事評価制度の運用が必要ではないかということ、研修の充実ということでございます。

 この点につきましては、資料1-4の54ページ、56ページに具体的に現在の中期目標と中期計画の位置づけを述べさせていただいております。

 内容的にはほぼ同じような内容になっておるところでございまして、まず54ページで申し上げれば、本部での一括管理、能力・実績本位の人材登用、組織目標にあった人事評価制度といった形で、54ページの左のところを見ていただきますと中期目標が書かれているところでございます。

 これに対して日本年金機構では、正規職員の人事配置ルールを定めるとともに、各種試験によって正規職員の登用や有期雇用職員からの正規職員登用制度創設といった取組をこれまで進めてきているところでございますが、引き続き、人材確保と人材育成は非常に重要でございますので、同じように位置づけさせていただくとともに、特に本人の適性を踏まえた適材適所の人事ということで、本部一括人事管理の中ではありますが、適性を踏まえた人事が必要だということでありますので、その旨を4ページの一番上のところに書かせていただいているところでございます。

 あと、「(3)情報公開の推進」と「(4)個人情報の保護」につきましては、そちらに書いてございますように、アニュアルレポートの公表、不適正事案や事務処理誤りなどの事案の定期的な情報提供。

 個人情報の保護につきましてもセキュリティー対策を講じるといったあたり、それぞれお手元の資料1-4でも、これまでいろんな対策を講じてきているところでございますが、引き続き、重要な事項ということで、こちらのほうに論点という形で挙げさせていただいているところでございます。

 私のほうから、ちょっと長くなりましたが、現行の中期目標の位置づけと次期中期目標の論点、これまでの機構における取組を中心に御紹介をさせていただきまして、皆様のほうで御議論をいただけたらと思っているところでございます。

 以上でございます。

 

○本田部会長

 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問等がございましたらお願いいたします。

 西沢委員。

 

○西沢委員

 ありがとうございました。

 基本的方向はこれまでの年金記録から基幹業務に戻っていくということだと思いますけれども、それは非常にいいことだと思います。

 また5年間に変えるといったことも適していると思います。

 財政検証は5年に一度なので、ほぼそれとサイクル合わせるといったことはいい方向ではないかと思います。

 全体的に見て、5年間ありますので、私なりに幾つかこうしたらいいのではないかという意見を申し上げたいと思うのですけれども、1つは、全てにおいて、これから業務改善を志向されているので、この部会の中でも何度か申し上げたかもしれませんが、海外の例えばアメリカのIRSですとかイギリスのHMRCですとか、スウェーデンのタックスエージェンシーなど同様な業務を行っている組織も、ここに掲げられている同じ課題に直面していると思いますので、彼らがどうしているのかといったことを参照しながらこの5年間過ごしたらいいのではないかと思います。

 これと関連して、人材育成とも関連するのですけれども、できればこういったリサーチの機能を少し持っていただいて、自らの中でリサーチしていくと。

 これは日本年金機構職員の方は多分勉強好きな方がいると思うのですね。

 事務は苦手だけれども、勉強するのは好きだといった方がいると思いますので、そういった方にリサーチしてもらって、それを業務に反映していくといったことも、この5年間あっていいのではないかと思います。

 3ページ目に関連しますけれども、3ページ目の第2の「(2)運営経費の抑制」で、運営経費といったものは抑制していかなければいけないですし、抑制、圧力というのは、これから日本の財政状況が厳しくなる中で年々かかってくると思うのですけれども、ただ、一方で運営経費を抑制していくがために、例えばある時点で、むしろミスが起きて、そのミスのリカバリーをするコストのほうが高くなるといった時点がいつか訪れるはずなのですね。

 コストはもちろん削減したほうがいいのですけれども、それによるミスの発生確率をある程度予見して、それにかかるリカバリーのコストも見積もっておく必要があると思います。

 これは年金記録問題がそうだと思うのですけれども、確かに財源が足りないからだけではなくて、働き方の問題もあったのかもしれませんが、結局それに要するコストが何千億にのぼってしまったわけで、であると元も子もありませんから、それを見積もっておくことが必要であるかと思いますし、(2)の、今、申し上げたところに関連しまして、日本年金機構の運営コストを抑制していきますと、それが翻って被保険者や事業主の事務コストにはね返ってしまってはいけないわけであって、例えば日本年金機構で事務を減らそうとすると、それがかえって事業主にいってしまうかもしれないといったことがあり得るわけですけれども、運営経費を抑制すると同時に、それが被保険者なり事業主のコストにはね返らないといったことに留意する必要があると思います。

 もう一つ、これが3つ目で最後ですけれども、どこに入るのかちょっとわかりにくいのですが、これも何度か申し上げましたけれども、日本年金機構独自の会計を整理したほうがいいと思います。

 例えば私はかつて銀行員だったのですが、銀行ですと預金を受け入れるとそれが将来の給付義務になるわけです。

 またそれが利息がついて未払利子、負債が立っていくわけですけれども、皆さんの場合は保険料を受け入れても受け入れっぱなしだと思うのですね。

 本来であれば保険料を受け入れたら、将来の給付義務を負債に発生させて、毎年給付が行われると給付義務が減っていくと。

 そういったものを日本年金機構自体の債務・負債ではないので、日本年金機構としてのバランスシートではないのですけれども、年金勘定の会計を何らか確立をして、それと手元の現金を合わせていくようにしないと、「現金は受け入れました。支払うとき、現金を支払いました」というのと年金記録がどのようにリンクしているのかがわかりにくいので、そういった会計システム、皆さん独自の会計システムをつくりながらミスを未然に防止していくといったことが必要かと思います。

 もう一つだけ、つけ加えさせていただきますと、ミスの発生といったことは事務の正確性を追及するというと多分職場はぎすぎすすると思うのですね。

 結構緊張感の高い仕事だと思いますので、確かに職場の緊張感も必要ですけれども、精神論でミスを防止することも重要だと思いますが、極力システム、会計を始めたシステムを整備することによって、万が一、気を抜いてもミスが抑制できるような形に5年間の中でもっていけたらいいのではないかと思います。

 ちょっとぴんと外れだったのかもしれませんけれども、以上です。

 

○本田部会長

 ありがとうございました。

 今の点につきまして、何か皆さんのほうから。

 

○日本年金機構理事(事業企画部門担当)

 何点かいただきました。

 海外の動向を見ていろんな工夫をしていくということは、全くおっしゃるとおりだと思います。

 先ほどお話のアメリカのIRS、内国歳入庁ですが、有名な本があって、私も熟読しましたけれども、民間から来られた長官が改革するという、いっときすごくはやった、国税庁などもみんなで読んだと思いますが、社会保険庁末期と似たような話がいっぱいありまして非常に勉強になりました。

 もう一つ、海外の年金機関というと、内国歳入庁というより、むしろアメリカでいうと社会保障庁などの系統、あるいはイギリスなども同じような年金サービス庁、そういったところに研修で人が送れないかというトライもしているのですけれども、なかなか向こうが受け入れてくれません。

 言語の問題もありますので、英語圏以外ではなかなか難しいという状況もあります。

 そういった中で、私どもとしまして、国際的な社会保険機関が集まるISSA(国際社会保障協会)という機関がありまして、そこには職員を派遣しています。

 いろんなレポートも回ってきますし、いろんな大会、今度も秋にドーハでありますけれども、理事長にも行っていただくことにしています。

 そういう意味でいろんな多角的な国際機関を通じて社会保険の情報をとったり、あるいは発信していく、そういうことはやっていきたいと思っております。

 それから、2点目の記録問題始めいろんなミスという話をいただきました。

 記録問題を担当している立場から申し上げますと、まさにおっしゃるように、最初からシステムをきちんとやってミスを犯さなければこれだけ膨大なコストがかからなかった、それは全くおっしゃるとおりだと思います。

 そういう意味で、今回の目標にも書いてありますが、いろんな新しい事務フローを考えていく際、もちろん最後は人間で見なければいけない部分もありますが、なるべく機械で対応するようにしたいと思います。

 例えばいろんな所で審査をするにしても、この前もこちらでも議論あったと思いますが、書類を移すのではなくて、電子情報として画面を移す、それでステータス管理も同時に行う、誰がどういうふうにやっているか、ちゃんとフローする、そういうような電子的なシステムに変えていくべきだと思います。

 これにより、事務のミスなり何なりをきっちり把握する、あるいは起こさないようにする、機械的にある一定のケースについては入力制限ができるとか、あるいはアラームを発するとか、いろんなことが考えられますので、今もいろんな工夫をしていますけれども、確かに気持ちの問題は非常に大事ですが、機械的にどれだけできるかというのも大きな課題だろうと思っています。

 3点目の会計ですが、これはおっしゃいましたように、むしろ年金局において、年金制度の会計をどう考えるかということで、いっとき高山先生なども論文で大分書かれていたお話と一緒だと思います。

 ですから機構の会計というよりも、要するに年金のバランスシートみたいなものをどう考えるかということだと思いますが、これは私ども機構の範囲を超えているような感じがいたしました。

 

○本田部会長

 岩瀬委員。

 

○岩瀬委員

 中期目標としては、これでよろしいのかと思いますが、これを具体的に達成していくための業務の進め方というか、業務のルール・基準というものをもう一度この目標に合わせた形で見直す必要があるのではないかと思います。

 目標だけが表に出て、中の業務の進め方、ルールが旧態依然のままであれば、せっかくの目標が達成できないという常識的なことを感じました。

 とりわけサービススタンダードに関しては、あれが非常に現場に過重になって正確な給付及び正確な決定というか、それが雑になっていろんなミスが起こっているのではないかと感じるところがありますので、5年間の中でもう少し弾力的にサービススタンダードの期間を緩めて、事務の正確性が上がってきた段階でもう一度戻すとか、そういうのを全体的に見直していただきたい。

 それをセットで出していただいたほうがわかりやすいのではないかという感じが強くしております。

 それともう一点、西沢さんがおっしゃったように、海外の制度を参考にするというのは非常に機構に欠けていることだと思いますので、ぜひやっていただきたいのですけれども、ISSAに人を出しているというのは私も知っていますけれども、ISSAでどれだけの情報を制度運営に関してとっているのかというと非常に心もとないという気がするのですね。

 人は出しているけれども、協定に関する情報とか、向こうの制度改正についての情報はリアルタイムに入ってきているのでしょうけれども、制度をどう運営していて、それがどううまくいっていて、それをどう参考にできるか、みたいな情報までちゃんととれているのかどうか。

 もしとれているのであれば、そういうのを参考資料という形で教えていただきたい。

 お願いと希望というか、そんな感じです。

 

○日本年金機構副理事長

 1点目のお話は、中期目標は厚生労働大臣から機構にお示しをいただくものですけれども、それを受けて、私どもも中期計画をつくらなければいけない。

 きょう目標、論点が出てきましたから、私どももそれと並行する格好で、どういうふうに5年間をやっていくかということをこれから詰めていきたいと思っています。

 そういうことを、どのタイミングになるかわかりませんけれども、中期計画なり、あるいは26年度以降の計画、これはしかるべきタイミングでまた御報告させていただくことになるだろうと思っています。

 それから、ISSAの関係ですけれども、いわゆる制度面だけではなくて、業務面とか、各国の社会保障実施機関がどんなことをやっているか、いろんなベンチマーク的なものとか、そういうふうなもの、まだ試みの段階のものもございますけれども、向こうのほうでまとめたものを、もともとは英語とか、スペイン語とか、そんなものですけれども、そういうものを私どもももらっていますので、そういうのを生かしていきたいと思っています。

 

○本田部会長

 確かにきょうは目標ということでいきますけれども、基本的にはそれをどう実現していくかという計画が非常に大事なのですね。

 そういう意味で、5カ年がいいのか、3カ年がいいのか、これは制度改正のいろんなことが展望されるとすれば、余り長い期間では計画の具体性といいますか、そこらが心配だなという感じがするのですけれども、今回いろいろありました、例えばシステムの問題にしても、効率性の問題にしても、番号制の問題というのは決まっているわけですから、今後、年金制度で改革をどういうふうに見ていくか、年金制度につきましては、私はおおよその方向は定まっているかなとは思うんだけれども、そこらの展望の中で目標を定めて、今、薄井さんから話があったように、計画のほうが現実的には、それも具体的に年次計画にまで落としていかなければいけないわけですから、そういう意味で、年金局のほう、今後の年金制度問題の関係で、先ほどは長期的な展望で5年間でいいとおっしゃったのですけれども、大体そういうふうな感じで受けとめておいてよろしいのですか。

 

○事業企画課長

 先ほど御説明させていただきまして、若干説明不足だったかもしれませんが、年金制度の法改正については、社会保障と税の一体改革の中で、年金関連4法という形で法改正が出ているところでございます。

 一弾目が26年4月1日に施行されるものがありますとともに、その次は平成2710月1日、この段階では、例えば受給資格期間の短縮とか被用者年金の一元化というような事項が出てきます。
 2810月1日にはパート労働者への社会保険の適用拡大がなされて、番号制度は28年1月と29年1月という形で制度改正が立て続けて行われてくる状況になります。

 これらの制度改正と番号制というのは複雑に絡み合っているところで、非常に大きな業務上・システム上いろんな対応をしていかないといけない。

 この業務上・システム上でいろんな対応していかないといけないものの、年金機構が対応していく結果を十分に評価できるという意味でいうと、5年ぐらいのスパンがあったほうがいいのではないかと思っておりまして、途中で評価してもいろんなものが絡み合っていますので、そういう意味では一定期間を置いたほうがいいのではないかという意味で、先ほどの説明の中で、一定の長期的なスパンという形で御説明させていただいたところでございます。

 日本年金機構法上は3年以上5年以下ということになっています。

 マックスである5年を今回とらせていただいてきましたし、また独立行政法人なども大体そういう形になっておりますので、余り長くもないかなというふうには思っているところでございます。

 

○本田部会長

 わかりました。

 木間委員。

 

○木間委員

 期間と基本的方向、項目と視点、これはよろしいと思います。

 かなり細かなことになりますが、今、感じていることを何点か申し上げたいと思います。

 2ページの「(3)年金給付業務」と「(5)事務処理の正確性の確保」に関連してですが、「所要日数や正確性に関する目標を定め」とあります。

 そのとおりでありますし、これは必要なことです。

 先ほど岩瀬委員のおっしゃったことにかかわるのですが、本部やブロック本部は事務センターの処理状況を月ごとに管理し指導しているということですが、所要日数の目標達成率に目が行きがちなのではないかという感じがいたします。

 達成率は一部を除いて90%台ですから、目標の日数を超えている件数は10%未満です。

 受付進捗管理システムを稼働して、アラームが鳴るとか、そういうことがあったとしても、データを読み解くのは人です。

 ですから目標日数を超える未処理の事例を月ごとに人、それは誰になるのかわかりませんが、責任者が把握していれば遅延や紛失などが生じてもその事態に速やかに対処することが可能なのではないかと思います。

 事務処理誤りのことですが、要因分析や再発防止に向けた取組は必要です。

 事務処理誤りの防止のための対策は種々とられているようですけれども、ヒューマンエラーが起きたときどうするのか。

 私はかつて介護事故の実態調査に携わったことがあります。

 その細やかな経験から申し上げるならば、ヒューマンエラーが起きてしまったら、職員個人の不注意にとどめず、原因を究明し分析し、なぜ防げなかったのか、どうすれば防ぎ得たのか、問題点を明確にして再発防止策を機構内に周知することが一層これから求められてくると思います。

 私は年金評価部会の第1回目に申し上げたことですが、ある介護事業者はクレームの対応の方針の1つに、クレーム発生自体の責任は絶対に追及しない、としています。

 さらにクレームを報告しなかったとき、指示された対処を怠ったときは厳重なる追及を行うとあります。

 これはクレーム対応に関する方針でありますけれども、事務処理誤りなどについても、問題を潜在化させないためには大変重要な点ではないかと感じています。

 それから、3ページの「内部統制システムの有効性の確保」でありますが、コンプライアンスに関して、コンプライアンスを意識しているかといった意識調査が主に行われているのでしたら、業務による実態が明らかとなる実態調査を行うことが必要ではないかと思います。

 ヒヤリハットの事例集も出しているようですので、ヒヤリハットの事例も含めて事務処理誤りの具体的な事例をもとに設問をして、実態調査を行えば危機管理や研修などの面で有効に活用できるのではないかと思います。

 以上です。

 

○本田部会長

 ありがとうございました。

 今の目標も、具体的な計画づくりに当たってのアドバイスだと思いました。

 今の御意見に何か皆さんのほうからございますか。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 御意見いろいろいただきまして、ありがとうございます。

 我々のほうも、今回この後、兵庫事案についての御説明をさせていただきますが、総点検をしましても、結局はシステムを幾らつくってもそれに入力が徹底されてなかったり、確認ができてなかったりというのがやはり原因になっています。

 どうしてもこの点は直さないといけないと思っていまして、それは個人の問題というよりシステムで対応していくことが大切で、我々のほうとしても、具体的に根本的に対応するということがないと減らないと思います。

 これは、今ごろ言って、何だと言われるかもしれませんが、そういうふうに思っていまして、おっしゃられるとおりだと思うのですが、未処理は徹底的に早く処理をする。

 そのためには実態をつかむということが大切ですので、そういったことをこれから進めていきたいと思っています。

 システムはさらに細かくするというより、使い勝手をよくしていくというほうに何とか対応していって、効率的につかまえて、効率的にできるだけ早く処理をするというのをどうやったらできるのかというところに力を入れて、事務処理誤りが個人の問題ではなくて、組織で対応していく。

 あるいはシステムでちゃんと対応していくというやり方を徹底していきたいと思っています。

 

○岩瀬委員

 今の御説明というか、方針について質問をしたいのですけれども、徹底的にやるということはごく当たり前のことで、ずっと徹底的にやらないといけないということの認識は変わってないと思うのですね。

 それがなぜ徹底的にできないのか、これが、私、ずっとこの委員会にかかわってから不思議で仕方がないのですけれども、できない理由をどう分析しているのかというのをまず1つ教えていただきたい。

 進捗管理システム、これは別の委員会でも議論になりましたけれども、単にバーコードを貼るだけではなくて、コンビニのシステムみたいに、誰が貼ったかというのを同時に記録をとっておくとか、進捗管理システムを入れたか、入れなかったかというよりも、誰がそれを最初に処理をしたかというのがわかって、本人が一生懸命やるというふうな1つの動機づけになると思うのですけれども、そういう今ある仕組みを導入しようと思えばできるのではないかと思うのですが、それがなかなか難しい理由は何なのか、教えていただけませんか。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 難しいというより、これまでそこまでやってきてなかったということだと思っていまして、まず1つにシステムのほうの関係ですが、この前の別の委員会でも御意見いただいた点はとても重要な点だと思っていまして、我々は受付をすることを特定することはできるのですが、誰が審査をしたのか、誰が最後完了をしたのかというところを全部つかまえないといけないのですけれども、入口と出口と言われる部分は、事務センターは業者に委託してやっていますので、そこはできるのです。

 業務処理として委託で出てきているのですけれども、事務所の場合はそこを職員がやることになりますので、後でもお話がありますけれども、誰が受付をするかを明らかにする、まず最初に、決めていくということが重要だということで、そこまで徹底的にやっていこう。

 それから、事務所の場合は特に問題なのですけれども、いろんなチャンネルで郵送されてくる場合もあれば、窓口で受け付ける場合もあります。

 そういったものをどうやってシステム的に受付をちゃんとしていくか。

 非常にディテールな話になっていくのですが、そこを細かく議論をして、どうやったら一番現場の実務がちゃんと回った上で処理ができるかということを詰めていかないといけないのではないかと思います。

 何でこれが今までできてなかったかということなのですが、受付進捗管理システムを導入したのは2410月からです。

 この後、いろいろ御要望もあり、かなりの部分の改修をしないといけないと我々は思っていまして、それを、今、全部見直しをしている最中で、併せてシステムの見直しもしていきたいと思います。

 これまではそれぞれの拠点が受付簿を用意して自分たちでつくって、それに文書名を書いて、いつ受付をしたか、いつ処理が終わったかというような点をずっと書いて、エクセルみたいなもので管理をしていたのが実態なのです。

 これを受付進捗というシステムに置きかえてやったのが2410月からということですので、それまでの受付簿の管理が徹底できてなかった点がかなりあった。

 それを家捜しして書類を探す、受付簿にないものまで出てきたりしましたので、家捜しをして探すのに何度も繰り返していたということだったと思うのですね。

 残念ながら受付進捗が始まった以降も、極端に少なくなったというわけではありません。

 それは後で出てきますが、やはり一定数出ていまして、そこはまだ現場が十分それができてない点があるのだと思います。

 それをさらに効率的にできる方法をつくってあげながら、さらにそれも必ず入力するように徹底していくということをやらないと少し無理かと思っております。

 

○本田部会長

 あと、何かございますか。

 1点だけ私もお伺いしたいのですけれども、業務運営体制のことですけれども、機構がスタートするときにもともと記録問題が非常に重要ということで特別になりましたね。

 ほぼ記録問題は一生懸命やっていただいたおかげで、新聞にも出ていましたが、いろいろと問題がありますけれども、体制的な意味での変更というのはないのですか。

 例えば記録問題でかなりの人員、いろんな形で業務措置されておられたと思うのですけれども、今回、記録問題も普通の業務と同じ形に分かれ云々ということはわかるのですが、それの業務効率といいますか、体制の問題、人員計画と言ってもいいですが、そこらは何かあるのですか。

 

○日本年金機構副理事長

 機構がお答えするのが適当かどうかございますけれども、現在はいわゆる基本計画で正規と准職員1万2,000名、プラス特定有期雇用職員6,000名ぐらい、1万8,000弱ということが基本計画の数字でございますけれども、記録問題対応ということで、有期雇用職員、これはいろんなタイプございますが、それを投入していろんな仕事をやってきております。

 この仕事自体は25年度がいわば大きな取組の4年間の最終年度ということになりますけれども、現在、来年度以降の記録問題対応というのを整理をしていますけれども、例えば紙台帳とコンピュータ記録を突き合わせをして、それでお客様に御連絡する。

 今年度中にお客様への御連絡までは済ませようと思っていますが、返事が来るわけですね、場合によれば年金額の見直しが必要になると、こういったフォローの仕事というのはこれからも残るのだろうと思っています。

 それから、記録問題対応という中で今まで整理をしてきていますが、厚生年金の適用あるいは国民年金の収納対策、こういうことについては、特別に要員を手配して体制を整えて、今、やっているところがございます。
 25年度で集中処理期間は終わりますけれども、26年度以降それをどうしていくか。

 一方で、適用収納対策につきましては、政府でも政務官を中心とするチームで適用徴収対策の強化ということが言われています。

 このこと自体は基本計画の段階では想定されてなかったことです。

 それから、一連の制度改正、これもきちんとやらなければいけない。

 かなり大きな中身でございますので、実務体制も整えなければいけない。

 そういうふうなことについて、年金局と相談をしながら必要な人員体制の要求もやっていかなければいけないと思っています。

 

○本田部会長

 わかりました。

 スタートとして4年3カ月にしたのもまさに記録問題、26年度以降については、そこは大きな変化の中で、なお、どうやって充実させていくかということが基本になろうと思いますので、目標の関係は、皆さんよろしいですか。

 

(「はい」と声あり)

 

○本田部会長

 わかりました。

 それでは、一応きょう、皆さん意見があったようなこと等も踏まえながら、次回よろしくお願いします。

 なお、きょう御欠席の委員の方もおられますので、その方々の御意見もぜひお聞きになっていただきたいと思います。

 それでは、次期中期目標の策定に関する論点、おおむね委員の皆さんの御意見もいただきましたので、この意見等を踏まえながら、次期中期目標の骨子を作成し、次回御説明いただきたいと思います。

 それでは次に、2つ目の議題の「事務処理誤り 処理遅延・未処理体対策」につきまして、日本年金機構から御説明をお願いいたします。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 資料2でございます。

 「事務処理誤り 処理遅延・未処理対策について」でございます。

 前回8月9日に兵庫事務センターにおけます事務処理遅延、書類紛失などにつきまして御報告を申し上げました。

 プレス発表もさせていただいたところでございますが、その後の進捗を中心に御説明をしたいと思っております。

 まず、おめくりいただきまして、ポイントだけ復習の意味で見ていただこうと思いますが、2ページをお開けいただきたいと思うのですけれども、まず「判明の経緯」のところでございますが、1月に日本年金機構に兵庫事務センターでの事務処理遅延があるという通報があり、本部から事実確認を現場に指示をしたところでございますが、2月4日に事務所誤りとして報告があり、2月に入りまして、近畿ブロック本部による受付簿と請求書の突合確認、事務センター内の捜索を実施したということでございまして、この結果、250件の未処理届書が見つかったということでございます。

 その後でございますが、5ページをお開けいただきたいと思うのですけれども、8月9日公表後でございますけれども、その後、事実関係につきまして我々のほうで追加の調査、監査を行ってきております。

 その結果の概要でございますが、まず近畿ブロック本部におけます調査でございますが、250件の事務処理遅延はおおよそ特定のグループで発生をしているということと、そのうちの特定の職員の担当分に遅延等が多いということでございまして、ある特定の方については、事務処理遅延250件のうち、少なくとも148件はその人の担当分であったということでございまして、当該職員を含めてその上司、同グループの職員など関係者に書面あるいはヒアリング調査を実施したところでございます。

 計20名であります。

 本人以外で19名ということでございます。

 その結果、判明したことでございますが、当該特定の職員自身が書類処理の進捗管理ができてない方だったということ。

 さらに当該グループのグループ長も進捗管理が極めて不十分な状態にあったということでございます。

 併せまして、兵庫事務センターについて言えることですが、業務が担当者ごとの縦割りという形になっていたということで、担当者以外正確な進捗状況を把握できる体制にどうもなっていなかったことが大きな原因ではないかということでございます。

 なお、特定のその方につきましては、一部は自らかかわったことは認めているという状況に現在ございます。

 一方で、近畿ブロック本部の調査は、受付簿から処理未済になっているものについて全件の調査を行ったというものでありましたけれども、本部の監査部においては、その当該特定の職員が担当して事務処理を行ったと想定される22年1月以降の全ての遺族年金請求書など約4万件を全件調査して、処理が完結しているかどうかという調査を行ったところでございます。

 その結果、事務処理遅延が2件、紛失10件が新たに判明をしたということでございまして、これにつきましては、お客様に直接確認するなどの手続を行って、お客様対応は一応完了ということになっております。

 これ以外の兵庫事務センターのほかのグループにおいてはどうかということでございますが、後でも御説明いたしますが、総点検を行っていまして、事務処理遅延、紛失については、上記1(250件)、2(12件)だけが報告が行われているという状況でございました。

 おめくりいただきまして、6ページでございますが、これはこれまでの対応とお客様対応、事務処理の完了状況などの進捗度合いを表にまとめたものでございます。
 12件足しますので総数262件になっております。

 括弧内は内数として新たに判明したものを入れさせていただいております。

 このうち9月24日時点では、お客様対応は全て終わっております。

 ただ、事務処理が終わってないものが12件となっておりまして、8月時点の数字よりもかなり減ってきたというものでございます。

 次、7ページでございますが、これは前回、御説明しなかった分でございますが、262件が一体どの次期に受付をされた書類だったのかということで、いつの年代のものかを表にしてみたものでございます。

 ごらんいただければと思います。

 この場合は、24年が39.3%、4割ぐらいになっていまして、一番多い感じでございます。

 次に9ページからでございますが、これが8月9日のときにも点検を指示しているということで御説明いたしておりましたが、そのものについて、年金事務所や事務センターの処理遅延に係る総点検を行いましたので、その結果をまとめさせていただいたものでございます。

 事務処理遅延や書類の紛失がいまだ発生しているということで、8月末までに全ての年金事務所(312)、(47)の事務センターにおいて、未処理届書の総点検というか、自主的な点検を行いました。その結果が次のとおりでございます。

 まず312の年金事務所のうち29の年金事務所で1,032件の事務処理遅延がございました。

 事務センターは47のうち11の拠点で発生しておりまして、119件でございます。

 合計で1,151件の事務処理遅延が発生をしております。

 このうち100件以上と数の多かったものが下の○1にございますように4つの拠点で発生をしています。

 次の10ページが、上記以外の年金事務所、事務センターの内容でございます。

 どんな内容かというのが、10ページの(2)でございまして、再裁定の進達、各種便の回答等の処理、年金関係請求書、諸変更届等の処理、加入記録の訂正といったようなものを含めて数が多いということでございます。

 先ほど申し上げましたように〔備考1〕にございますように、受付進捗管理システムを2410月から導入いたしましたが、これ以降に発生しているものが367件ございまして、1,200件弱の中でいうとかなりの割合になっているということでございます。

 受付進捗管理システムで未入力であったものが全体で114件、未入力、つまり入力、入口が入ってなかったというものですが、これが144件ございました。

 次に11ページ、入ったのですが、進捗管理が行われてなくてそのままになっていたものが223件となっています。

 これ以外に紛失が判明したものが19件ございまして、さいたま記録突合センターと福岡事務センターの2カ所でございます。

 お客様対応につきましては、全ての案件につきまして、対応は完了いたしましたけれども、事務処理が完了してないものは134件現在のところございます。

 これはお客様に書類の提出をお願いしている、あるいは医療機関に初診日等を照会している、共済組合からの情報を待っているというようなものでございます。

 全体でどういうものが原因だったかということでございますが、届書の処理に係る管理職員の確認が十分とれてなくて出口がふさぎきれていないという点。

 それから、不備な届出が出てきますと、それを返戻していくことになるのですが、本部から返戻されたもの、あるいは事務所段階で返戻するもの、事務センターで返戻するものと幾つかのパターンがございますけれども、これらの取扱いが徹底されてないということで、我々のほうの事務処理のマニュアルのつくり方も少し不統一な部分を生んでしまった部分もございます。

 こういったものも全部直していかないといけないと思っております。

 次に受付進捗管理システムの登録、これは受付したもの、返戻で返ってきたものも含めてですが、こういったものの登録が漏れていたものがございました。

 次に12ページでございますが、こういったことから、再発防止策として、我々としては、受付進捗管理システムでしっかり管理ができるようにしていくことがどうしても不可欠と考えていまして、まず最初に受付(内部返戻)で、事務処理なり事務センターが持ったものは確実に受付進捗管理システムに登録をしていくことを徹底していきたいということと、それから、一定期間経過しても処理されないと宙ぶらりんになるものが出てきますので、そういったものについては必ず管理職員が確認をして、どういう状況になっているか、確認をすることを徹底していくことが不可欠と思っておりまして、この事務処理の徹底を図っていきたいと思っています。

 さらに、業務処理のマニュアルを上のほうで細かくつくっておりますけれども、運用のルールをはっきりさせて事務処理を徹底させていかないといけないということで、1つは、先ほど申し上げましたが、これは年金事務所のほうでございますけれども、課の誰かがやっているということではなくて、誰がやるとはっきり決めるということで、必ずその人を通るということで、登録したかどうかの間違いを防ぐことをしたい。

 それから、書類不備による届書については、返戻するのか、どういう扱いにするのかという基準を明らかにしていかないと、受け付けたままの状態になってしまっていたりします。

 そういったことで、返戻の基準を明らかにして、書類保留を長期化させないで常に管理をしていくことを徹底したいと思っております。

 次にシステムの改善を行っていかないといけないと思っていまして、どうしても受付処理などの事務がふえていきますので、そうしますと職員の作業の効率化を図る必要があります。

 そのために非常に御要望の多い点については解決を図っていきたいと思っていまして、一番重要なのは本部に進達すると、本部の管理システムの上に乗って、現場の受付進捗管理システムから、どういうステータスなのかがわからないというのが、今の状況になっていますので、本部の者もそれで通して見られるようにするということで機能強化を図りたいということと、受付処理するときに1個ずつ書類を登録していくのですけれども、そのときに、基礎年金番号を入れるとオンラインで管理している住所、氏名、生年月日が自動的に入るという仕組みにすれば、作業で打ち込む数が減りますので、そういった機能を追加をしていきたいと思っております。

 それから、今後ですが、書類の届書の管理をしていく、つまり確認をしていく立場の人間がすぐに対応できるようにということで、一定期間を経過した書類はシステムのお知らせ画面に必ず何件あるというのが出るようになっているのですが、これが1カ月過ぎたあたりから出るようにして、どれぐらい未処理のものがあるかを明らかにしていく。

 未完結届出件数というページがあるのですけれども、そこからいきなり未完結届書のほうに分野ごとに分けたもので、直接届くように検索を何回もしなくていいようにしていきたいと思っております。

 あとはこういったシステムの運用をいかに適正に行われているか、監視していかないといけないと思っておりますが、管理職員による未処理届書の定期的な確認、あるいは受付進捗管理システムの運用が適切に行われているかどうかは、監査、自治監査といいますのは、事務所、事務センターで行われる内部の監査、あともう一つは、我々本部で行います監査でございますが、こういったことの重点事項として監査の対象にしていきたいと思っております。

 残念ながら、これまでも全拠点について監査を行ってきたところでございますが、本件、例えば兵庫事案のような大量なものの発見にまでは至っておりませんで、そこの点については感度を高めて対応していくしかないと思っていますし、そこにありますように、無予告で入って、未処理届書について確認をしていく監査も6月から実施をしてきているところでございます。

 次に13ページは、先ほどの兵庫と同じでございますが、何年の受付のものかというのを時期別に分けたものでございます。

 その次、14ページに、済みません、つけさせていただきましたが、お客様にどれだけの影響があったのかということで、年金額での支払い、保険料の未徴収について幾らあったかというのをまとめさせていただいております。

 以上です。

 

○本田部会長

 ただいまの説明に対して御質問ございますか。

 岩瀬委員。

 

○岩瀬委員

 これは、いろんな事務処理の遅延があったということで、年金の直接の請求に関する書類で遅延が行われて、本来サービススタンダードでいえば1~2カ月で払われるべき年金がどれぐらいおくれていたのか、何件ぐらいおくれていたのかというのをまず教えていただきたいのと、もう一つ、監査を強化すると一言で言ってもなかなか難しいと思うのですが、どういうことを考えていらっしゃるのか、その2点、教えていただけますか。

 

○日本年金機構品質管理部長

 総点検の中で一番処理がおくれていたものは平成18年6月のものでございます。

 年金給付関係は再裁定というものが給付にかかわる内容になっておりますので、約450件強ということになっております。

 

○岩瀬委員

 その450件強の中で最長におくれたというのは何年ぐらいおくれたのでしょうか。

 

○日本年金機構品質管理部長

 それが平成18年のものです。

 

○岩瀬委員

 それは何件ぐらいあるのですか。

 

○日本年金機構品質管理部長

 1件です。

 

○岩瀬委員

 1件。

 それ以外はどれぐらいおくれたのですか。

 

○日本年金機構品質管理部長

 詳細は持っておりませんけれども、基本的には発注ベースでは、21年以降で発生しているということです。

 

○岩瀬委員
 18年6月に請求出して、おくれているということは年金が出てないわけですね。

 

○日本年金機構品質管理部長

 そうです。

 

○岩瀬委員

 当然、普通出した人はクレームなり事務所に問い合わせをしていると思うのですけれども、それについての対応はどうされたのですか。

 全く何も対応しなかったのですか。

 

○日本年金機構品質管理部長

 基本的にはそういった問合せなりクレームが入ってくるのは多い例と思っておりますが、この件についてクレームがあった、あるいは問い合わせがあったということについては、確認できておりません。

 

○岩瀬委員

 あと、監査を強化するということをおっしゃっているわけですけれども、具体的にどういう方策なりプランというものをお持ちなのか。

 

○日本年金機構理事長

 監査は私の担当でございますので、お答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、この6月から無予告の監査を入れております。

 今、56カ所ぐらいでございます、まだ完了いたしておりませんが、これは今までは事前予告をして入っておりますので、そういうものが隠れているということもあったかもしれませんが、今、無予告でやっている。

 それから、監査結果について、これは私が着任をいたしましてから全て個別に聞いております。

 それを踏まえて指示をしているという状況でございまして、かなり厳しい監査体制にはなっていると御理解いただきたいと思います。

 

○岩瀬委員

 これは別に無予告か事前予告かというのは余り関係なくて、監査というのはちゃんとルールがあってやっていらっしゃるのだと思うのですけれども、それで見つけられないというか、それで今までずっと見逃してきたわけですね。

 それを今後は漏れなくきちんとチェックをして、そういう漏れのないような、今回のケースが発生しないように監査で把握するというのは、ただ、号令をかけただけでは、今までできなかったことが一気に理事長が号令かけたからといってできるのかなというかなり疑問を持つわけですけれども、そこら辺を組織としてどう取り組むのかという姿勢と方法論みたいなものを教えていただきたいのですが。

 

○日本年金機構理事長

 まず基本は、先ほど深田理事が説明いたしましたが、システムをきちんと運用するため、今、入口と出口を全て登録させて、出口もきちんと登録させて、今、どういう書類がまだ未処理のまま残っているかということきちんと把握できる体制にすることがまず第一でございます。

 これが把握されて、例えば一定の期間を過ぎたものが何件あって、これはどういう事情によって過ぎているのかということがわかって対応がとられれば、それで問題は解決していくと思います。

 監査は、例えば全てに進捗管理システムに登録しているかどうかというのは、どういう形で監査をするように指示をしているかといいますと、全ての書類についてバーコードが貼られているかどうかを監査しなさいということを言っています。

 そうしますと、バーコードが貼られてないとすれば、それが受付進捗管理システムに登録されてないことになるわけです。

 それによって受付進捗管理システムに登録されてない書類を抽出して登録をすることになります。

 それから、一定の期限を過ぎて処理されてないものがどのくらいあるかということと、それはなぜ、どのような問題があって処理されてないかということを把握することによって、先ほどの繰り返しになりますが、それを今後どのように処理をしていくか。

 これは全て監査部の報告をとるということになります。

 そのような形でチェックをするというものが現在の方針でございます。

 

○本田部会長

 木間委員。

 

○木間委員

 大変失礼な言い方ですが、本当にあきれて物が言えないという感じです。

 ただし、問題が起きている年金事務所、事務センター合わせて40拠点であるということは、319はこういうことが起きていなかったということですか。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 報告がなかったということですので、申しわけございません。

 事務処理誤りとして、日ごろから誤りがあれば報告はされております。

 そういったものはどこでも起きやすいものであろうと思います。

 ただ、今回はそういったものではなくて、すぐわかれば出てくるわけですけれども、わからないままになっているものがないかといって調べたものということでございますので、全ての残りの事務所とか事務センターには全くそういうのはないのですかと聞かれるとそれは起きる可能性はあります。

 

○木間委員

 それはそうだと思います。

 先ほど介護の事業者のことで言いました発生自体の責任を問わないとはそういうことです。

 ヒューマンエラーというのは起きますから。

 これに戻りますと、40拠点を除く319はそういうことがなかったということは、ちゃんとやっているところが多いわけですね。

 消費者相談という業務は全国の消費生活センターが相談を受け、それが入力されるのですが、その入力されたものは関係する職員なら全国で見られます。

 関係する職員なら見られるということは、入力する段階で、個人情報は入力していないからでもあります。

 相談によっては大変な分量となりますが、相談カードの1ページ目しか入力しない。

 1ページ目には相談内容とその対応の概要、受付の日と解決した日は入っていますから、何日にそれが解決した、解決までにどのぐらいかかっているかがわかります。

 個人情報を出さないということはキーポイントだと思います。

 偉そうなことを言いますが、人材育成ということが書かれていますが、管理をする人の人材育成を実施していくことが重要ではないかと思います。

 誰が責任をこういうことにとっているのか、毎日でもいいし、週1でもいい、あるいは月1でも、徹底的にその進捗状況を管理する人がいていいはずですね。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、これまでも確かに我々のほうから、マニュアルに書いてあるようなことは言っているのです。

 ただ、それを徹底させるところが欠けていたということでございますので、とにかくこれをやらなければならないことだという意識を自然と体に身につけてもらうことが大切で、日ごろの中に必ずそれが入ってくるというふうに、今ごろ何を言っているのと言われるかと思いますけれども、そういうことではないかと思っています。

 これは正直言って、直ちにできて、直ちに直るということでは決してないかもしれませんけれども、システムを見直して、何回も何回も繰り返して言って、徹底的にそこの部分は仕事の中に、特に管理者の仕事に埋め込んでいかないと直らないと思いますので、粘り強くやっていきたいと思います。

 

○西沢委員

 質問ですけれども、11ページ目の「2.対応状況」で、お客様に書類の提出をお願いしているものがあるのですけれども、これは住民票みたいなものでしょうか。

 私も、昔、仕事をしていた経験から言うと、お客さんが完璧に書類を持ってきてくれれば、あるいは受付時点で完璧になっていると滞ることは余りないと思うのですね。

 ところがお客さん側の不注意というか、年金の書類結構難しいと思いますので、完璧でないと滞ると思いますので、窓口で受け付ければ窓口で返せばいいのですけれども、郵送でこられると、例えば遠隔地であったり、なかなか会えない人だとどうしてもこういうことになると思うんですね。

 そこで対応が分かれると思うのですけれども、お客様本位だから丁寧に対応して、自分から行かなくてはいけないとか、郵送で処理するとか、あるいは毅然と窓口への来訪を促すとか、私はもし不備があったら1回来てもらうというふうにしたほうが効率的かなと思いますし、抱え込んでいたずらに期間延ばすのはかえって事態を悪化させるので、そこら辺はどんな書類が主なもので、不備なとき、どういう対応をされているのかをお教えいただければと思います。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)
 11ページにあります事務処理が終了してないものの中のお客様に書類の提出をお願いしているものは、書類の不備で添付書類がなかったケースが多くて、その提出をお願いしているというものが中心になっております。

 先ほど申し上げましたように、どうしても返戻の扱い、返してしまったものの扱いということですので、返すというのも実はいろんなパターンが年金の場合ございます。

 来て足りないからといって返してしまうというやり方をしているところもあれば、お客様によっては、預かっておいてあげて、これ持ってきてくださいね、と言っているものもあります。

 いろんな対応になっていまして、それが実は不備なものがほんの少ししかないのに持ってきてくださいと返すというやり方が本当にいいのかどうか、お客様対応としてどうかという問題もあって、現場の職員はそこを苦慮しているということです。

 そうやってお預かりしてしまったがために、受付をしないで、何日かしたら、来られるから置いておきましょうと言って、知らぬ間にどこかに行ってしまったとか、何かに紛れてしまったというのが多いんです。

 そのやり方としては、まだいろいろ意見を現場からも聞いた上で決めようと思っているのですけれども、基本的にはどういうものを、返戻、返してしまおうが、受け付けて持っていようが必ず事跡を管理していくと。

 何日かたったら必ずそれがわかると。

 これ、どこへやったとか、何をやっているとかというのがちゃんと管理者が見て指示できるというものをつくれば、多くの場合はそこの時点でチェックが働くことになるのではないかと思いますので、そういったものをやっていきたいことと、それから、いつまでもお預かりした状態が続いてしまうとまたいけなくて、実は長い方もいらっしゃったりするのですね。

 それだともうだめですので、ある期限を切って、そこから返してしまうということをしないと、いつまでたっても事務処理の途中でとまった状態になってしまうことになりますので、そういったことも1つ考えなければいけないかと思っております。

 

○本田部会長

 木間委員。

 

○木間委員

 お客様に書類の提出をお願いしているものという中に、あるいはそれ以外のものでもなかなか出てこないという中には、例えば遺族年金などの場合は、判断能力不十分者という人がいて、なかなか出てこないというようなことがあると思うのですが、それにはどう対応しているのでしょうか。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 今回のケースは遺族年金の担当で起きていますので、遺族年金が大半なのですが、どんな書類が具体的にあったかというのはわかりにくいのですが、再裁定をして有利な年金が後で出てきたりすると、そこで年金の選択がえをしたりします。

 それはお客様には窓口で御説明していると思うのですが、なかなか判断ができなくて、どちらを選んだらいいかわからないというケースがあるのかもしれませんし、そこで何か行き違いがあるのかもしれません。

 そういったことは時どき起きてしまうので、そういったケースかなと思います。

 それは、何度も連絡を差し上げるということしか方法がないので、それは事跡をちゃんと管理して、表示されて指示を出して、とにかくどうされました、というのをやらないといけない。

 そうするためには来ていただくか、何かをするしかないということになろうかと思います。

 

○木間委員

 多分、年金事務所などは実施しているのではないかと思いますが、全国の社会福祉協議会には地域福祉権利擁護事業という事業を行っておりまして、判断能力が不十分な人たちには金銭管理や行政手続なども支援するということをしています。

 その事業を利用してない人については社協と連携するというような、心のこもった対応もしていただけたらありがたいと思います。

 

○日本年金機構理事(事業管理部門担当)

 ちょっと勉強して事務所のほうに連絡をさせていただきたいと思います。

 

○本田部会長

 よろしいですか。

 兵庫事務センターの事務処理問題は非常に残念な事案であったのですけれども、それぞれの事務所がそこの職場の危機意識、モラルというか、個別具体的にこうだといったということよりも、トータルの職場の危機意識が大事ではないか。

 ただ、兵庫事務センターはこれが起こってすぐ本部のほうで5月に全事務所にやられたということは私は非常によかったことだと思うんですね。

 ついこういうのは押さえてしまって出ないということがありますけれども、できるだけこういう問題を、1月にわかって、2月調べて、5月全国をやられたということは私はよかったと思いますので、それを今後ともやりながら、それぞれの事務所ごとに、特に管理職の人ですけれども、危機意識を持ちながら、ほかでもし仮に不祥事があったり、問題があったら、自分のところでそれを調査しながら改善をしていくという雰囲気をぜひつくっていただきたいと思います。

 よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、次の「時効特例給付に関する業務不統一の対応」につきまして、日本年金機構から説明をお願いいたします。

 

○日本年金機構理事(全国一括業務担当)

 私、全国一括業務部門担当の松田です。

 それでは、「時効特例給付の業務不統一の問題」について説明をしたいと思います。

 資料3をごらんいただきたいと思います。

 本件でありますけれども、これは業務処理の実態について4月に公表したわけでありまして、この評価部会にも、6月に業務実態の調査結果、今後どういう対応をするのかということを報告させていただきました。

 その後の状況につきましては、去る9月10日に総務省年金業務監視委員会に中間的に対応状況を整理し報告をしております。

 したがいまして、本日この評価部会におきましても、9月10日の資料に基づきまして、状況について説明をしたいと思います。

 まず、1枚紙でこの後の資料についておりますが、参考資料1をごらんいただきたいと思います。

 ケースの具体的な内容の説明は省略いたしますけれども、調査委員会の調査の結果、判明した状況でありますけれども、10ケースが調査委員会の調査対象になりまして、4ケースにつきましては追加支給が必要である。

 要するに本来支払うべき給付が不統一の結果、払われてないということでありまして、4ケースについては、1,311件追加支給が必要であるという調査結果でありました。

 6ケースにつきましては客観的に不統一ケースは判明しておりませんでしたけれども、不統一の可能性があるのではないかというのが調査委員会の調査結果でございました。

 ちょっと復習でありましたけれども、本体の資料3の1ページに戻っていただきまして、まず、10ケースについての不統一ケースの是正の関係であります。

 まず、4ケースについての追加支給の状況であります。

 2ページ目をごらんいただきたいと思います。

 上に表を書いておりますけれども、調査委員会では、先ほども触れましたけれども、追加支給が必要な件数が1,311件、金額で10億円ということで4月に公表させていただきました。

 最終的に確認した確定数字は追加支給が1,155件、追加支給額が8.5億円という状況になってございます。

 数字が違っておりますけれども、調査委員会の調査は、調査時点でまだ点検作業が終了してない状況でございましたので差異が出ております。
 1,155件につきまして7月以降、順次追加支給を進めております。

 9月までに終了した追加支給の件数は、1,0541534をトータルしまして、1,103件追加支給が終わっておりまして、残りの52件、これは支払先等照会の欄に書いてありますけれども、これは受給者の方がお亡くなりになっているケースでございまして、支払先の確認をしているということでありまして、確認ができ次第、追加支給をすることにしてございます。

 今、申し上げましたのは、調査委員会が点検対象にしておりました時効特例制度ができてから、昨年10月までの処理件数についての追加支給の件数等でございまして、(2)、2ページの下のほうに書いておりますけれども、昨年の11月以降、今年の5月までの処理件数4ケースについて不統一がないのかどうか、これを点検しております。

 この結果がここに書いてありますけれども、9件不統一が判明しておりまして、9件追加支給が必要な状況になっているということであります。

 今、申し上げました1,155件、昨年11月以降の9件につきましては、参考資料2、1枚紙がございますけれども、各ケースの内訳、11月以降、今年の5月までの9件についての追加支給額、トータルで105万円という状況になっているところでございます。また、後ほど確認いただければと思います。

 続きまして、3ページ目をごらんいただきたいと思います。

 不統一ケースの是正は追加支給とともに6ケース、4ケースと6ケース以外の10ケース以外のものですけれども、これについて不統一があるかどうかを検証する作業をしないといけないということでありました。

 対象としましては、今年の5月まで時効特例給付の処理件数、全件349万件を対象にして現在点検作業を進めています。

 詳細は省略いたしますけれども、6ケースにつきましては、年内12月までに点検を進めることにしております。
 10ケース以外についても幾つかの取組を進めておりますけれども、最終的には年度内に点検作業を終えることで、今、作業を進めているところでございます。

 4ページをごらんいただきたいと思います。

 8月末までの点検・検証作業の状況であります。

 検証作業、先ほど言いましたようなスケジュールで進めておりますので、まだ終了しておりませんが、現在のところ、不統一ケースは判明してない状況になっています。

 続きまして、5ページ以下をごらんいただきたいと思います。

 今まで説明申し上げましたのが不統一ケースの是正の関係でありまして、5ページ以下は再発防止の取組であります。

 今後、不統一が生じないように再発防止に取り組むということであります。

 まず、「(1)処理基準の整備・明確化」の関係であります。

 これは調査委員会でも御指摘ありましたけれども、審査の処理基準、これが文書化されてないという御指摘がございました。

 現在、年金局とも協議をしながら、できるだけ早くこの基準を整備すべく作業を進めているという状況にございます。

 「(2)処理基準の周知徹底」でありますけれども、これも担当者がわかりやすいような形で情報共有する仕方をルール化しております。

 具体的にはパソコン上に共有フォルダでわかりやすく、そこに格納するようなことでルール化をして周知徹底を図っているところでございます。

 次のページ、6ページをごらんいただきたいと思います。

 ○2処理基準の周知のために、研修、勉強会の充実ということでありまして、従来からも研修や勉強会もやっておりましたけれども、頻度を上げるとか、少し充実した内容で取組を進めているところでございます。

 次に「(3)疑義があった場合の対応」であります。

 これは取扱い上に疑義が生じた場合に解釈、運用を行っております機構の中、あるいは年金局の方に照会をするということであります。

 これにつきましても、メールでやったり、電話でやっているというようなことで、あるいは年金局の方で時間がかかってしまうというような御指摘がございました。

 まず、○1でありますけれども、機構では、きちんと文書でこういった疑義照会があった場合には照会をするということを徹底しております。

 ○2は、年金局の方でありますけれども、照会があれば、できるだけ早く、一応目標としては2週間以内ということで対応をいただくということで取組をいただいているところであります。

 続きまして、7ページ「(4)審査体制の改善」の関係であります。

 ○1は、担当者、これは今、複数の担当者で審査等をやっておりますけれども、迷う処理については上位者と協議をするということでありまして、これも周知徹底して、そういう事案があれば上位者と協議をすることを徹底しております。

 それから、○2担当部長等の関与でありますが、これも件数の進捗管理を中心に従来やっておったということで御指摘ありましたけれども、こういった進捗管理に加えまして、きちんと業務を遂行する上で問題がないかどうかを把握するということで、定期的に把握をして確認をすることをやっております。

 ○3は、審査をする担当者のチーム編成、これも固定化をするというのは必ずしもよろしいことではないわけでありまして、これももちろん職員の状況も見ながらチーム編成の見直しをするということをやっております。

 ○4審査が終わった処理案件について、事後点検もやるということでありまして、今年の4月以降、処理した事案について引き抜きの事後点検をやっております。

 ○5これは機構の内部の監査でありますけれども、今年度下期に監査をやる計画になっているところでございます。

 続きまして、8ページ「(5)年金局の機構に対する積極的指導・監督」の関係でありまして、厚生労働省でも、進捗管理のみならず、きちんと問題がないかどうかの監督をするということで四半期ごとに取組をいただいているところでございます。

 ○2の事項は、まさに今回の不統一の問題についての対応状況等についてフォローアップをきちんとやるということでありますけれども、これは、今、まず機構の方では、検証委員会、内部的な組織でありますが、理事長を委員長にした委員会を設けておりまして、基本的には月1回、対応状況について問題がないかどうか、きちんと進捗できているのかどうかを確認しながら取組を進めております。

 年金局でもこの検証委員会に合わせながらフォローアップをいただいているという状況になっています。

 それから「(6)コンプライアンス対応」の関係であります。

 この問題、そもそもは職員からの問題提起を契機にした問題でございましたけれども、職員の問題提起についてきちんとくみ取りができなかったということがございました。

 これについては、風通しのよい職場環境づくり、コミュニケーションの活性化等についての取組を進めているということであります。

 9ページ、最後の事項になりますけれども、「(7)機構及び年金局の責任の明確化」ということであります。

 まず、機構の方でありますけれども、今月の10日に役員、管理監督者の制裁等を公表したところであります。

 厚生労働省年金局の対応についての関係でありますが、これはここに記載してございますけれども、4月に厚生労働省の監察本部が開催されて、桝屋副大臣を主査とするワーキングチームが設置をされて、現在問題点の整理なり調査が進められているという状況になっていると聞いております。

 私からの説明は以上でございます。

 

○本田部会長

 ありがとうございました。

 何か御質問ございますか。

 一番最後に出ていました機構のほうでは責任といいますか、なされたわけですか。

 

○日本年金機構副理事長

 9月10日で公表させていただきましたけれども、管理監督者、直接の担当部長、室長につきましては制裁を行いました。

 それから、理事長、副理事長、担当理事については給与の一部カットということを講じております。

 

○本田部会長

 この案件では、一番最後のところにありましたが、「コンプライアンス対応」と書いてありましたが、職場の問題点はかなりあると思いますので、通報制度の通報者を悪者扱いしないで、いいアイディアもらったぐらいの気持ちでぜひ活用して、ここに書いてあるような感じでやっていただきたいと思います。

 もう起こったことはしようがありませんけれども、今後の改善にこれも役立てていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、御意見等ないようでございますので、一応きょう議題として挙げましたのは全て終わりましたので、次回の日程等について、事務局から。

 

○事業企画課長

 次回の日程でございますが、また後日御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

○本田部会長

 それでは、本日の会議はこれをもちまして終了させていただきたいと思います。

 委員の皆さんには長時間、どうもいろいろとありがとうございました。


(了)


(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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