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2013年8月7日 第83回独立行政法人評価委員会労働部会議事録

○日時

平成25年8月7日(水)12:58~16:56


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

今村部会長、柴田委員、松尾委員、宮崎委員、小西委員、志藤委員、松浦委員

○議事

(以下、議事録)

 

○今村部会長

 少し前ですが全員おそろいになりましたので、ただいまから第83回厚生労働省独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。本日は高田委員、関口委員が御欠席です。本日の議事について事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 本日の議事につきまして御説明申し上げます。議事としては5つありますが、前半に労働者健康福祉機構の平成24年度の業務実績に係る個別評価、後半で勤労者退職金共済機構の平成24年度業務実績に係る個別評価を主に御審議いただくこととなっています。

 また、机上配布資料として、「労働部会平成24年度実績に係る自己評定一覧表」を配布しておりますが、そちらの一番左端に、労働者健康福祉機構につきましては16の項目を、勤労者退職金共済機構につきましては、18の項目を、それぞれ4つのグループに分けております。本日は、そのグループごとに法人から説明をさせていただきますので、各委員に置かれましては、評定を付けていただければと存じます。

 なお、同資料の右側の欄には、平成24年度の各法人の自己評定を記載しており、一番右には、委員の方々にお付けいただきました平成23年度の評定結果も記載しておりますので、評定を付ける際の御参考にしていただければと存じます。

 委員の皆様方には、評定記入用紙に、労働者健康福祉機構については資料1-5、勤労者退職金共済機構については資料2-5になりますが、評定結果とその評定結果を付した理由を記入いただきながらの議事となります。仮に会議時間内に記入が終わらない場合には、本日の資料をお持ち帰りいただき御記入いただくか、評定記入用紙の電子媒体をメールでお送り致しますので、御記入の上、御提出いただくことでも結構です。その場合には大変お忙しい中、恐縮ですが812()までに事務局宛に、御提出いただきますようにお願い申し上げます。

 最後になりますが、労働者健康福祉機構につきましては、平成25年度が第2期中期計画の最終年度に該当しています。本日は平成24年度の個別評価につきまして御審議いただくことになりますが、事前に委員の皆様方にはお知らせいたしましたとおり、826()の部会におきましては、平成24年度の実績に加え、初年度から4年度までの中期目標期間の暫定評価並びに法人の組織・業務全般の見直し当初案についても御意見をいただくこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

 

○今村部会長

 それでは議事に入ります。まず労働者健康福祉機構の個別評価です。最初に理事長から御挨拶と平成24年度における、業務実績の概要説明をお願いします。

○労働者健康福祉機構理事長

 皆さんこんにちは、本日は私どもの法人のアクティビティの評価ということで、労働部会の委員の方々には大変猛暑にもかかわらず御参集いただき、御審議ありがとうございます。

 労働者健康福祉機構というのは、一言で申しますと労働者の健康や福祉に関するセーフティーネットを提供する組織です。働く方々が安心して職務に就くことができるということは、勤労者の安心感や士気を高めることにもなり、少し誇張して申し上げれば、国富、国益にもつながるものではないかと思っているわけです。

 このようなセーフティーネットが、どの程度整備されているかということは、その国の文化度や成熟度を反映しているのではないかと考えている次第です。労働者にとってのセーフティーネットは、それを要求することは当然の権利であり、自己負担を強いるものではないと、つまり国家や社会あるいは事業所がするような安全性を確保しなければいけないと思います。

 私どもの機構は厚生労働省の指導によりまして、独立行政法人という形で運営されているということです。さて私どもの職員は全員が、そのような使命の重要性を認識し自覚いたしまして、日々業務に精励しているわけですが、ともすれば当事者だけでよかれと思っていることも、第三者の有識者の方々から見れば、かなりいろいろな問題点もあろうかと思うわけです。年に1度ではありますが、こういう機会にいろいろ御指導や御助言をいただきますこと、大変有り難い貴重な機会と思っている次第です。

 私どもの事業は、労働者の健康と就労をシームレスに支援することです。具体的には職場環境を整備し職場における疾患の予防に努める、あるいは不幸にして健康を損ねた方々に対し、速やかに受診していただき治療を行うと、治療後には速やかに職場に復帰する、あるいは治療と就労を並行して進めることをお手伝いすることです。

 このような業務を支える組織として、労災病院を中心にすえており、更に産業保健推進センターいわゆる産業保健事業などが、マクロの視点で勤労者の健康を下支えしていると言えるかと思います。非常にユニークな業務を進める上で、常に変化する労働環境、労働内容、疾病構造、あるいは昨今の女性や高齢の方々の就労の増加などに対応する、先を見越した勤労者の医療に関する、先駆的な研究を進める必要があることと、その成果の普及にも努めているということです。

 労災病院に関して少し御説明をしますと、基本的には労働者のための医療を提供すると、政策医療と申していますが、公共性が非常に高いものですが、同時に各地域における基幹病院として、地域医療にも大いに貢献しているわけです。このため医療の質を高めるということを最大の眼目にしており、更に病院の経営も病院の医療の質の向上と表裏をなすものであり、経営にも相当意を注いでいるということです。

 従いまして、地域医療支援病院、地域がん診療連携拠点病院などの基準を積極的に取得しまして、さらに71看護体制あるいは在院日数の短縮、救急医療への充実などにも積極的に取り組んでいるわけです。

 平成24年度から新たにDPCの分析指標の作成、臨床評価指数に基づく評価に着手し、一定の成果を得たのではないかと判断しまして、医療業務に関する自己評価に関しましては、はばかりながら高い評価をさせていただいているということです。

 私ども医療事業は公共事業に近いものであると申しましたが、その存在意義に鑑みまして民業とは異なり各病院の経営状況のみで、その病院の存廃を決めることは、なかなか難しいということは御理解いただけるかと思います。しかしながら経営が苦しい病院に関しましては、本部内に経営改善推進委員会なるものを設置しまして、きめ細かな経営指導を行なっています。

 その結果、経常損益が3年連続して黒字を維持していることで、これはたまたまいろいろな診療報酬制度や、そのときの医療制度が偶然に左右されることもありますが、それなりの成果が得られているかと思っているわけです。

 今後も経営面でのガバナンスを発揮することが、私どもが抱えています繰越欠損金の縮減につながるものということで、この方面では大いにまた努力を傾注していきたいと思っているわけでございます。今回この部会で賜ります様々な御意見や御教授は、是非とも今後の機構の運営に反映いたす所存でございますので、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。以上でございます。

 

○今村部会長

 評価の進め方ですが、労働健康福祉機構の個別評価については、評価シートの項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行っていきます。先ほど説明があったとおりです。グループ1「高度・専門医療の提供」、「勤労者医療の地域支援」及び「行政機関等への貢献」の項目について評価を行います。評価シート(1)(3)に該当する部分です。所要時間は、法人からの説明が20分、委員の評定と質疑で10分、合計30分を予定しております。それでは、よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 総務部長の高崎です。評価シート自体は、お手元にお配りしております資料1-2です。御案内のように大部のものですので、別途御用意させていただいております資料1-1「業務実績説明資料」を基本的に使って御説明させていただきます。

 評価シート(1)「高度・専門的医療の提供」です。1ページを御覧ください。高度・専門的医療の提供というのは理事長より御説明したとおり、労災病院機能の最も重要な項目であると私どもは考えております。1ページにある8つの項目に分けて、その中身について業績を説明させていただきます。

2ページで1項目の「地域の中核的役割の推進」です。私ども機構は、労災病院として30病院、分院を含めて32施設を有しています。それらの病院が、地域の中核的医療機関として位置付けられていることの証明として、2ページの左にあるとおり、それぞれの病院が地域において、いろいろな病院に位置付けられています。地域がん診療連携拠点病院11病院ほか、一番下の地域医療支援病院24病院という現状です。これらの指定の増については別途資料を用意しておりますので、そちらで御説明いたします。

3ページで2項目の「急性期医療への対応」です。その中身は3点あります。1点目は、71看護体制の導入状況です。その下にある71看護体制対応の施設数を見ますと、平成23年度は19施設だったのが4施設増えて平成24年度は23施設で対応をしております。

2点目は平均在院日数の短縮の状況です。左下に折れ線グラフがあります。漸次短くなっていて、平成24年度においては14.5日という状況で、グラフにあるとおり短縮傾向が続いています。

3点目は救急医療体制の強化です。救急搬送患者数で申しますと、平成24年度は75,954人ということで、対前年度比約3,000人増です。

4ページで「医療の高度・専門化」の状況です。中身としては、学会等への積極的な参加の関係です。平成24年度において、学会認定医師数が1,175人で対前年度比27人増、専門医数は2,392名で対前年度比で46名増です。指導医数は867名で対前年度比で58名増です。

 専門センター化の推進の状況です。平成24年度における専門センターの数は156センターです。対前年度比で7つ増えております。平成24年度に新たに設置された7センターについては下に書いてあるとおり、人工関節センターから始まり、化学療法センター等です。

 多職種の協働によるチーム医療の推進です。私どもの病院にもチーム医療を配置してきております。キャンサーボードに始まり、そこにあるようなチームについて、それぞれの括弧書きにあるような施設において設置されております。

 高度医療機器の計画的整備の状況ですが、これらについては自己資金によって整備をしてきているものです。その総額として、平成24年度は73.7億円を投入しました。具体的に整備した機器はそこにあるように、ガンマナイフをはじめ、リニアック等々をそこにある施設において更新等を進めております。これに基づいて、高度専門的な医療に対応しております。

5ページは、「労災病院における治験の実績」の状況です。件数は表の一番下の欄で、平成24年度は合計で2,419件です。過去との比較については、右の折れ線グラフに書いてあるとおりで、基本的に増加傾向に推移しております。具体的な治験の実績については、下の欄に掲げているような状況です。

6ページは、「労災病院ネットワークをいかした治験の実施」ということで、治験を更に進めていくための体制です。そこにあるとおり、全国に設置した労災病院と治験ネットワーク推進事務局本部をネットワークで結び、迅速で質の高いデータを提供しています。治験の依頼者と、それを実施可能な労災病院でコーディネート等をしています。様々な取組をしておりますが、その1つとして、そこに掲げている表の下から2つ目の、平成24年度からは治験実施可能性調査を実施し、これに基づいて治験の契約を結んでいて、現に平成24年度においてはそれらの調査を経て、2件について契約締結までに至っています。それ以外に国立病院機構との連携についても、そこにあるような形で進めさせていただいております。

7ページは、「臨床評価指標に基づく評価」です。これについても労災病院グループの中において、臨床評価指標を策定し、平成24年度から四半期ごとに各労災病院のデータを収集し、平成25年度よりホームページで公表を予定しています。新たに設置をした臨床評価項目については、真ん中にあるとおり、医療の質の評価等に関する検討委員会の検討を踏まえて策定しているものです。大腸がん術後平均在院日数から始まり、そこにあるような36項目です。その中には、労災患者数であるとか、リハビリテーション関係の数であるとか、労災認定件数といった、私ども労災病院が持っている政策的機能に対応した項目も含まれております。

8ページは、「優秀な人材の確保・育成」です。医師の確保・育成の関係です。医師の確保については、8ページの左側の欄です。初期臨床研修医を確保していくことが何よりも大事なわけですが、それらについては合同説明会、ガイドブックの作成等をやっております。その結果、初期臨床研修マッチ率は、平成24年度については74.8%です。併せて、医師の働きやすい環境づくりにも力を入れています。医師の負担軽減の観点では、医師事務作業補助体制加算の算定施設数について、そこにあるような形で、より高度な加算施設を増やしてきています。更に育児のための医師短時間勤務制度も導入し、平成24年度における利用者は6名です。それ以外に、労災病院間で医師の都合を付け合うという意味で、労災病院間での医師派遣交流をやっていて、平成24年度の実績は18名でした。更に平成24年度からは短期に医師を派遣し合うような制度も創設をしています。

 右側は、医師の育成です。初期臨床研修医に対する研修です。もちろん全ての初期臨床研修医は、それぞれ配置された病院で研修をやっているわけですが、それに加えて集合研修という形で、一堂に集めた研修も実施しております。平成24年度の実績はそこにあるとおりで、対象者116名のうちの74名が参加しております。理解度については93.8%です。指導医についても講習会等々を実施しております。実績については下の欄に掲げてあるとおりです。

9ページは、「看護師の確保・育成」です。看護師の確保に向けた取組については、合同就職説明会、ガイドブックの作成等々をやっています。更にその欄の下から2つ目のポツで、院内保育所の計画的な整備も実施していて、現在17か所で院内保育所を持っています。育成は、キャリアアップのサポートに力を入れています。教育課程の受講に対する経費助成とか、資格更新に必要な審査料・認定料等の助成を機構として行っています。下から2つ目の○で、私ども機構の中で持っている労災看護専門学校では、私どもが有する勤労者医療という、政策医療の観点に立ち、それに関する教育カリキュラムも実施してきています。詳細については次のページで御説明いたします。

 右側に看護師確保の状況が書いてあります。平成25年度41日現在で、新規の採用者数が1,013名です。私どもの離職率は10.2%ということで、全国平均よりも低い状況です。その他に認定看護師数、専門看護師数、認定看護管理者数についてはそこにあるとおりで、増加してきております。

10ページは、先ほど言いましたカリキュラムの関係です。私どもの労災看護専門学校において提供している、勤労者医療に関するカリキュラムの内容については、10ページの真ん中の欄に掲げています。これらのカリキュラムにより、勤労者医療の専門的知識を有する看護師の育成を進めています。なお、私どもの看護学校卒業者の資格の合格率は、左下に書いてあるとおりで、平成24年度は98.6%です。

11ページは、「提供する医療の質の評価」です。これについては様々やっておりますけれども、1つには患者の満足度調査を実施していて、それに基づいて業務改善につなげています。平成24年度における満足度については、平均81.8%、対前年度プラス0.4ポイントです。全病院平均で80%以上という目標は達成しています。もう1つの評価は、下の欄にある、日本医療機能評価機構等による認定の状況です。これらについては、1つ目のポツにあるとおり、更新時期を迎えた3つの施設において、病院機能評価をバージョン5からバージョン6へ更新受審を行っています。

12ページは、「医療の標準化」です。1点目は、クリニカルパス活用の状況です。クリニカルパスとはそこにあるとおり、疾病ごとに治療内容の手順を計画表としてまとめるものです。これを作ることにより、下のチーム医療及び医療の標準化の推進の所に書いてあるとおり、標準的な医療が行えることになり、治療内容のばらつきが押さえられるほか、患者にとってもどのような治療が今後行えるかが分かりやすくなるという効果があるものです。そのクリニカルパスの作成件数及び適用の状況を、右に折れ線グラフで書いてあります。平成24年度においては、総件数4,422件、適用状況は87.8%となっていて、これについても増加傾向で推移しています。

DPC活用への取組についてですが、私どもでは全ての病院が平成21年度に対象病院となっています。そういう意味で、DPCの活用を進めてきているということです。これを進めるに当たっては、人的な体制の整備も重要なわけで、その下に書いてあるとおり、診療情報管理士の資格取得も進めているところで、現在、機構の中で有資格者146名、受講中の者23名です。

 標準化の3点目は、導入したDPCの分析を活用しています。これについては、DPCを活用して22の項目についてベンチマーク指標を四半期ごとに作成し、各病院に配布し、各病院ごとに医療の標準化に向けての業務改善につなげています。具体的な項目については、下にあるような入院栄養指導に始まり、そこにあるような項目等22項目という形で進めてきています。

14ページは、評価シート(1)の最後で、「安全な医療の推進」です。これについても様々やっておりますが、1つ目として、医療安全チェックシートを作り、各病院ごと独自に自ら医療の安全対策の状況を点検しています。2点目は、労災病院グループの中で、3つから4つの病院を1つのグループにまとめ、相互にチェックし合うという形で、相互チェックも実施しています。右の上で、職員を対象とした医療安全研修を全ての労災病院で、全職員を対象に実施しています。加えて、厚生労働省が実施している医療安全推進週間に全ての病院が参加し、そこにあるような形で講習会・研修等々をやっています。医療上の事故等が発生した場合については、基準を定めて公表しています。その発生状況を、機構ホームページで公表しています。

 以上が評価項目1です。本体の評価シートの12ページにそこが掲げてあります。私どもとしては、今までに申し上げました実績をもとに自己評価として、平成24年度は「S」とさせていただいております。以上が評価シート(1)です。

 次に評価シート(2)について御説明いたします。15ページは、「勤労者医療の地域支援の推進」の関係です。1つ目として、紹介元医療機関へ有用度の調査を行っています。それについて有用であったものの評価を75%以上受けるという目標に対し、平成24年度の実績は79.3%、対前年度比プラス0.1ポイントということで、目標を上回る評価をいただいています。アンケート全項目における満足度が、前年度を上回る結果となっています。

16ページは、冒頭に申し上げました「認定等の状況」です。実績は、地域医療支援病院の関係で2施設増えて平成24年度は24施設になっています。地域がん診療連携拠点病院に準ずる病院については5施設が承認を受け、8施設となっています。紹介率・逆紹介率で、紹介率は目標60%に対して63%、対前年度比2.1ポイント増、逆紹介率については目標40%に対して52.7%、対前年度比で3.3ポイント増です。いずれの項目についても、右の折れ線グラフのとおり、上昇傾向で推移しています。

17ページは、「モデル医療の普及」です。様々取り組んでおりますが、症例検討会・講習会への参加人数については、目標が年2万人に対し、実績は29,849名というこで、大幅に目標値をクリアしています。(5)受託検査の実施の状況についても実績を申し上げますと、目標3万件に対して32,938件ということで、過去全ての年度で目標値をクリアしてきています。

 以上が、本体評価シートの17ページにある評価項目の2シート目です。この点について、私どもの自己評価は、前年度に引き続き「S」とさせていただいております。以上が評価シート(2)です。

 評価シート(3)18ページで、「行政機関等への貢献」の状況です。労災認定基準等の見直し等々に対する貢献です。国が設置した52の審議会・委員会・検討会に95名が参画しているのが平成24年度の実績です。それに加えて中ほどで、国の要請に応じた医員・委員を受嘱しているものについて、平成24年度の実績は、中央じん肺審査医4名から始まり、そこにあるとおりです。労災認定をする際に、意見書の作成があり、それを頼まれることが多いわけですが、その1件当たりの処理日数の短縮化にも努めています。平成24年度の実績は、1件当たりの処理日数は平均15.1日ということで、右にあるとおり短縮してきています。

19ページで、行政機関等への貢献の2項目の東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応の中で、医師を継続的に派遣してきています。これについては下にあるとおり、厚生労働省からの医師派遣の要請を受け、私どもから労災病院に対して依頼し、派遣しているものです。実績は左にあるとおり、福島第一原発のサイトの中にある免震重要棟への派遣は、30病院から延べ46名を派遣し、延べ派遣日数94日です。事故対応の拠点であるJヴィレッジに対しても、30病院から延べ108名の医師を派遣し、延べ派遣日数336日です。右側で、内部被ばく線量測定への協力ということで、厚生労働省からの設置要請を受け、福島労災病院敷地内にホールボディカウンタを、平成251月から設置し、測定を開始しています。以上が福島第一原発への対応です。

20ページは、世間で問題になった、大阪の印刷事業場における職業性胆管がんの発生への対応です。「化学物質のばく露を原因とした職業性胆管がんへの対応」として、そこに赤い字で書いてあるとおり、職業性胆管がんが疑われる労働者に対しては、29労災病院で相談・診療が可能な体制を整備しました。厚生労働省からの要請を踏まえ、労災医療担当者のブロック研修を厚生労働省が実施しましたが、それについて講師を派遣するということで、実績としては6名の医師を派遣しました。

21ページは、「アスベスト関連疾患への取組」です。これまで労災病院として力を入れていた部分ですが、そこにあるような様々な分野で貢献してきています。石綿関連疾患診断技術研修の実施や、アスベスト疾患センターにおける健診相談、アスベスト小体計測の実施を進めてきています。

 以上のような状況で、本体の評価シートで23ページに評価シート(3)の項目についてあるわけですが、これらの今申し上げましたような実績を踏まえて、機構の自己評価としては引き続き「S」とさせていただいております。私どもからの説明は以上です。

 

○今村部会長

 これはお願いですけれども、事務局からそれぞれの時間が大体予定されています。現在まで、20分の予定で30分以上かかっております。高い評価が期待されるところで力が入ったのではないかと思いますが、できるだけ時間内で的確に情報提供をいただきますようお願いいたします。

 委員の皆様は、評定用紙の評価シート(1)(3)の評定結果の記入及び評定理由等の記入をお願いいたします。御質問がありましたら、この間に適宜御発言ください。

 

○松尾委員

 全国に労災病院はたくさんあるのですが、かなり都市部にある所から、地方にある所まであって、状況が随分違うと思うのです。素晴らしい取組をたくさんされているのですが、恐らく病院によってその達成度が高い所と低い所があるのかと思うのです。機構の中では、その辺りのガバナンスはどのように進められているのですか。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 医療事業部長の山下です。先生御指摘のように、都市部にある所から、相当辺鄙な所まであります。同じ水準で求めてもなかなか達成できないところがありますので、各病院から数字は取り寄せますが、それについては各病院の置かれた中で何ができるか、というところを加味しながら評価をしております。毎年1回病院協議ということで、病院長を本部に呼んで、1年のいろいろなことを相談しますが、その中でそういうことも話し合っております。

 

○松尾委員

 機構全体の指標等々を作っておられるのですが、今のお話だと、それに加えて各病院に合ったミッション、それの目標等々を作って、細かく機構の方で検討していると理解してもよろしいでしょうか。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 はい、そのようにしております。

 

○小西委員

 御報告をどうもありがとうございました。様々な値についての目標値とか、前年度の数値を上回っているというデータを見せていただきました。機構としてこの点については予想よりも、予定していたところよりも対応できていなかったという点とか、あとは目標値とか前年度の値を下回った点があれば教えてください。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 目標に掲げたものについてはおおむね達成できていると思います。ここに載っていないものとして、例えば患者数であるとか、診療単価というものも、各病院に目標を課しているわけですが、どうしても平均在院日数がこれだけ減少してきて、患者数については残念ながら目標を達成できていません。その分は診療単価が上がり、それでカバーしています。本当に細かいところでいうと、いろいろなでこぼこはありますけれども、おおむね総体としては達成できているのかと考えております。

 

○松尾委員

 資料の01-06で、治験のことについてお伺いします。治験も頑張っているということなのですが、治験に当たって機構にはネットワークがありますので、倫理審査の共同化とか症例登録の様式の統一とか、これはどこでもできていないのですけれども、もしそういう取組をしているようでしたらお伺いします。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 ネットワーク自体は昔からやっているのですが、本格的に取り組み始めたのは平成24年度からです。先生が御指摘のように、中央IRBといったものを作ると更に徹底するのですが、残念ながら申し訳ございません、今のところそこまではいっておりません。

 

○今村部会長

 今のネットワークのことで別のネットワークなのですが、資料の15ページの資料2-1で有用度の評価で、労災指定医療機関、あるいは産業医と書いてあります。日本の雇用制度の下では勤労医、職場を通じた地域医療というのを重要度としてはどうしても考えざるを得ないと思うのです。機構の産業医というネットワークに関する評価はどのようにお考えですか。この指標だと全部引っくるめて評価されていますが、その辺はどうしているのかを簡単にお話ください。この中に、あるいはどういう人を対象に取っているのか、この中の産業医はどのぐらいの割合なのかを教えてください。ここだと、ざっくりと「労災指定医療機関等」と書いてあるのですが、この辺の効果の浸透度はどのように計っているのですか。

 

○労働者健康福祉機構医療事業部長

 実は、これは紹介元の労災指定医療機関がほとんどです。産業医の所は今のところ難しい状況にあります。

 

○今村部会長

 なかなか難しいと思うのですが、こう書いてあるので、産業医にどの程度到達されているのかという興味を持って質問させていただきました。そういう統計だということで分かりました。他に何かありますか。よろしいようでしたら随時御記入いただくということで、次にグループ2「労災疾病等に係る研究・開発」、「過労死予防等の推進」及び「医療リハビリテーションセンター及び総合せき損センターの運営」の項目について評価を行います。評価シート(4)(6)に該当する部分です。所要時間は法人からの説明を20分、委員の評定と質疑10分、合計30分を予定しております。法人からの説明をお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 担当理事の加藤です。評価シート(4)「労災疾病の医学研究」について御報告いたします。俗に言う13分野研究ということです。その全てについてこの場でお話をするのは時間の制限がありますので、その中の一部の5テーマについて御報告いたします。資料4-122ページからです。今回は13分野が左に書いてありますが、そのうちのアスベスト関連疾患、過労死、筋・骨格系、職場におけるメンタルヘルス、疾病の治療と職業の両立支援について御説明いたします。

23ページの資料4-2を御覧ください。お手元に成果物がありますので、それも参考にしてください。それは、我々の研究の結果の書物です。アスベスト関連疾患の分野において、中皮腫に関する早期診断・早期鑑別法の開発に関する研究をここでは行っております。これまでの研究から悪性胸膜中皮腫の早期診断については、表1を御覧ください。胸水中のヒアルロン酸及び腫瘍マーカー検査の組合せにより、中皮腫の鑑別に有効であることを明らかにし、実際に臨床に応用しております。

2番目の○は、労災補償の対象疾患である「びまん性胸膜肥厚」や、「良性石綿胸水」を100例以上集計し、その臨床像を明確にしております。本研究班では、『アスベスト関連疾患日常診療ガイド』を5年ぶりに改訂し、石綿関連疾患診断技術研修のテキストとして、呼吸器専門医に利用されております。また、全国の労働基準監督署に労災申請された、診断が非常に困難な事案について当機構が委託され、確定診断を行うことにより、迅速かつ適正な労災給付に貢献しております。一番下で、平成24年度においても今後アスベスト被害が問題となることが予想される中国あるいはモンゴルなど東アジアの医師に対して、じん肺、アスベストの診断技術の研修等を行い、高い評価を得ております。

28ページの資料4-7を御覧ください。業務の過重負荷による脳・心臓疾患、いわゆる過労死分野において、過労死の予防に向けて長時間の労働、過重労働や心理的ストレスと、脳・心臓の血管障害の発症の関係について研究を行っております。

 最初の○の、長時間労働、過重労働がもたらす脳・心臓疾患への影響については、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県亘理町の一般住民、行政職員に対する調査から、亘理町の行政職員においては、震災後の過重労働において、脳・心臓疾患の発症リスクが増加していたこと。海外の日本人勤労者の調査においても、長時間労働は健康障害のリスクとなる可能性が示唆されております。高血圧は過労死の重要なリスクファクターでありますので、過労死の予防のためには血圧に大きな影響を及ぼす過重労働や、職場でのストレスの適切な評価と対策が極めて重要ですので、これまでの研究成果を基に、関係学会のガイドライン作成に協力するとともに、産業保健に関する研修会での啓発など、過労死予防に役立つこととしております。

29ページ、資料4-8を御覧ください。身体への過度の負担による筋・骨格系疾患分野においては、特に原因を特定できていない非特異的腰痛の発症要因について研究を行っております。図1を見ていただくとよろしいかと思いますが、全ての腰痛の約85%は非特異的腰痛と言われております。2年間の追跡調査を行ったところ、仕事に支障を来たす腰痛の発生には、過去の腰痛歴・作業内容のほかに、職場でのストレスなどの、いわゆる心理・社会的要因が強く影響することを明らかにしております。

 心因性腰痛は、平成24年度に改訂された日本整形外科・日本腰痛学会監修の『腰痛診療ガイドライン2012』に採用されるなど、学会においても心理・社会的要因が新たな腰痛原因として注目されています。また、この研究成果については、労災疾病等13分野研究サイトの研究普及サイトの腰痛予防対策マニュアルに反映させるとともに、お配りしてある『新しい腰痛対策Q&A21~非特異的腰痛のニューコンセプトと職域での予防法~』等の書籍を発刊し、普及に努めております。

32ページで、資料4-11を御覧ください。勤労者のメンタルヘルス不調が社会問題となっていることは周知の事実ですが、勤労者のメンタルヘルス分野においては、抑鬱や疲労の客観的指標に関する研究を第1とし、2番目にインターネットを用いたストレスの自覚とその対処を促すシステムの開発を行っております。第1の、抑鬱や疲労の客観的指標の確立に関する研究については表1でお示ししております。不眠スコアが高く、睡眠に問題がある勤労者が抑鬱及び疲労感が高いことを明らかにしております。この結果を踏まえ、健診において、オプションで不眠スコアやストレスチェックを取り入れ、効果的な対処法やリラクゼーションといったアドバイスを行っております。今後は、この試みを総合内科・女性外来等に拡大し、勤労者のストレス対策に役立てたいと考えております。

2番目の、インターネットを用いたストレスへの自覚とその対処を促すシステムの開発については、3番目の○で示しているように、いわゆるMENTAL-ROSAI2というソフトを開発し、その有用性をテストしております。ストレス対処の必要性及びその適切な対処法の選択、例えば発想の転換などの選択において有用性が確認されております。今後は全国の産業保健推進センターなどと連携し、勤労者や事業主への普及を促進したいと考えております。厚生労働省の受託事業として、右下に示すようにメンタル不調者の治療と就労の両立支援に取り組み、パンフレットの作成や事例集を発刊しております。これもお配りしております。

34ページ、資料4-13を御覧ください。疾病の治療と就労の両立支援分野においてです。勤労者においても罹患率の非常に高い糖尿病とがんについて、就労と治療の両立に向けて、その障害と対策に関する研究に取り組んでおります。糖尿病においては、糖尿病分野ではこれらの調査は産業保健スタッフのいる職場の方が血糖コントロールが良好であることを明らかにしておりましたが、2番目の○で、平成24年度においては更に705社へのアンケート調査を行ったところ、約4割の企業で糖尿病に罹患している従業員の治療状況を把握していない。図1に示すように、糖尿病の有病率は、小企業の方が大企業より高いということ。図2に示してあるように、従業員が健診で異常の判定を受けたにもかかわらず、特に何もしていない例が小企業に多いことが明らかになりました。このようなことから、今後は糖尿病罹患従業員と企業と医療機関とが情報交換をするために連携手帳を作成するとともに、行政機関とも連携を図り、事業者向けの治療と就労の両立のガイドラインの策定・普及を図ることとしております。

35ページ、資料4-14を御覧ください。両立支援のがんの分野です。がん治療後の離職率を調査したところ、乳がん患者の11%、大腸がん患者の20%、肝臓がんの患者の24%が離職しており、そのうちがんが直接の離職原因であるとするのが6割に上っていることを明らかにしております。現在、こうしたアンケート調査結果を踏まえ、右に示しておりますように、がん罹患勤労者の治療と就労の両立支援のための手引きを作成し、労災病院5か所において、医療ソーシャルワーカー等による支援を施行しております。

38ページで、「労災疾病に係る研究・開発の成果の普及の推進」です。労災疾病と13分野に関する目標数値の達成状況です。左下にあるように、学会発表に関しては、国内の発表が268件、国外の発表が57件と目標値を大きく上回るとともに、研究論文の研究も和文102件、英文52件に達しております。今回は御紹介いたしませんでしたが、脊髄損傷分野の研究において、平成245月に開催されたヨーロッパ頚椎学会で最優秀発表賞であるマリオボニー賞を受賞しております。右下は、研究普及サイトについてのホームページですが、勤労者医療フォーラム、メンタルヘルスに関する講習会、研究者の著作の情報など、絶えず情報を更新しており、年間の総アクセス件数は47万件を超え、中期計画の目標値を大きく上回っております。以上で、第4項目についての説明を終わります。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 続きまして私のほうから評価シート(5)について39ページの資料の御説明をいたします。今、御説明をしました、13分野の研究等を踏まえた対応ですが、過労死予防対策の関係について個別指導、集団指導を実施をしております。計画達成率だけを申し上げますと、100.7%です。メンタルヘルス不調予防対策の関係についても、医師・カウンセラーによる、相談をやっております。計画達成率126.8%です。あるいは講習会についても、達成率122.9%というような形です。勤労女性の健康管理対策ですが、女性が安心して働くための医師、保健師等からのアドバイスですが、これについての実績は約6,000人ということで、計画達成率149.8%と大幅にクリアをしているという状況です。

40ページは「最新の知見の収集と調査研究」ですが、学会等が実施する研修等に医師、保健師等が、延べ215回参加して知見を収集しておりますし、学会での発表等については、下の欄ですが、延べ79回の発表というような形で実施をしてきているということです。更にそういう指導なり、相談を受ける方の利便性を向上するという観点で、平成24年度は時間外、休日の指導実績が4,401件というような状況で、前年を上回っております。更に労災病院が近くにない地域等に対する、出張による指導・講習会ですが、出張回数991回、参加人員53,488人という状況です。右側にありますとおり、平成24年度の利用者の満足度は93.7%ということで、目標を大幅に上回っています。

 次に42ページは「職場復帰支援」ですが、これらについては、そこにあるような形で実施をしております。例えば左の下の講習会についても、平成24年度は延べ20,885人の参加をいただいておりますし、啓発活動の関係についても右にあるとおりです。訪問による啓発活動143回の実施をしてきております。以上の状況を踏まえて、評価シート(5)については、自己評価「A」とさせていただいております。

 次に 43ページの評価シート(6)、私どもが運営をしております「医療リハ(医療リハビリテーションセンター)及びせき損センター(総合せき損センター)の運営状況」ですが、これらが目標として掲げております職場復帰率、患者の満足度の状況ですが、それぞれ実績が医療リハのほうが社会復帰率が86.7%、患者満足度88.8%で、せき損センターのほうが社会復帰率が80.2%、患者満足度87%ということで、それぞれ目標値をクリアをしているという状況です。

 次に44ページは連携強化ということで、職業リハの施設を担当している高齢・障害・求職者雇用支援機構のほうとも、私どもの医療リハと年10回以上にわたりまして、連携のための対応というようなものを進めているところで、医療の部分と職業部分等を併せて実施することによって職場復帰率の向上を進めてきています。これらの状況を踏まえて、評価シート(6)については、自己評価「A」とさせていただいております。以上でございます。

 

○今村部会長

 それでは委員の皆様は、評定記入用紙の評価シート(4)(6)に評定結果及び評定理由等の記入をお願いいたします。御質問等がありましたら適宜御発言ください。

 

○松尾委員

 研究開発事業なのですが、これについては大学の研究室等で、なかなかやられていないことも研究をされていて、非常に高く評価できると思いますが、大事なことは成果です。論文発表、学会発表、あるいは冊子等を作ってやられているのですが、我々しばしば経験をするのは、エビデンスがあって、こうやってやったらいいというのは分かっているのだけど、現場ではなかなかやられていないことがあります。その辺のところを現場に還元する事業も随分やられているのですが、実際のところは、こういう成果が現場でどの程度活用をされているのかというのは、測るのは難しいと思うのですが、そのエビデンスをちょっと教えていただきたいのですが。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 御指摘のとおりで、先生がおっしゃるように発表をしても、それが実際にどのように応用をされているかが分からないということです。実は私どもそういう臨床的なことで、しかも働いている人に特化して、それの疾病の予防、そして、病気に掛かったときに悪化をさせないための2次予防、そして、治療と共存をして行うというようなことの中で、その予防医療に関しては、研究の担当の者が、例えば産業保健の分野の、産業保健推進センターの講演に行って、そして、そういうのを普及活動していると、成果をそのようにしていると、結構、平成24年度はいろいろなところに回っているというような現状です。今後、更にそういうのをきちんとして、それがどのような成果があったかということを確認することが大事だと考えております。どうもありがとうございます。

 

○松尾委員

 同じような観点からの質問ですが、この過労死予防の推進についても、啓発研修相談事業というのは、ものすごくよくやられていて、私どもはプロセスとしては、非常にすばらしいなと思っていますが、我々が医学の論文を書くときに、ハードエンドポイントと言いまして、最終的な目標はどの程度達成をされたかと、この場合ですと、実際の過労死予防がアウトカウントをして、どういうふうになったのかというのは、1つ大きなポイントだと思うのです。これも測定をするのは実際には、やった事業がどの程度効果があったのかというのは、つかむのは非常に難しいのですが、その点でもある程度は何か分かっていることがありましたら、要するにこの事業で、実際にどの程度の過労死が予防されたのかというふうなことがありましたら、ちょっと教えていただきたいと思いますが。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 これは非常に難しい質問で、バックグラウンドが何人、地域を上げてそういう事業をやってみないと分からないということではあると思いますが、その中で私どもが過労死の原因になると、このいわゆる血管障害というものをターゲットにして、そこから糖尿病、それから高血圧、特に今回は高血圧のことについて、高血圧をどのように予防したらいいかということを考えたところ、単に量的な過重労働だけではなく、質的な問題、つまり自分自身の仕事が、裁量権があるかないか、あるいは要するに強制をされたものなのか、それとも自発的なものか、それによって血圧の変化があるということが分かり、こういったことによって、更に労働の質というのを変えていこうというような取組をするように考えております。

 

○今村部会長

 それに関連をしてちょっとよろしいですか。もう少し幅の広い話なのですが、松尾先生がおっしゃった研究成果が、いかに現場の、特に勤労者、実際に医療を必要とする勤労者にどういうふうに届くかという点でお聞きしたいのですが、特に機構でメンタルヘルスとか、あるいは生活習慣病に着目されたのは非常に高く評価されるのですが、その職場にどのようにその成果が到達するかという工夫ですね。先ほど産業医について、質問をさせていただいたのですが、そういう何と言いますか、1つの質問は機構として、外に対して機構の広い組織を通じて、現場にまでどういうふうに到達するかということを管理しているかというか、チェックしている人材がいらっしゃるのか、あるいは具体的にそういう人を養成していらっしゃるのか、つまり今までは日本の組織というのは、組織内で完結をしていればそれで高い成果が上がったのですが、特にこの機構の特徴はほかの医療機関と違うのは、勤労者というキーワードがあるかと思うのですね。そこにどうやって到達をするかということについて、例えば産業医という従来の制度もあるし、幾つか教えてください。

 それからもう1つ注目すべきは、資料の5-442ページです。職場訪問型職場復帰支援ということで、より現場に近づこうとする努力は高く評価されているのですが、実際に問題を絞ると人材育成というか、組織機構全体で、そういうところの合意というか、外にどんどん伝えていくのだ、現場に浸透をさせていくのだと、どのぐらいされていらっしゃるのか、ちょっと漠然とした質問で恐縮なのですが、高い医療成果をいかに現場に活かしていくかというそういう視点から、質問をさせていただきたいと思います。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 とても大事な視点でありますし、私どもの研究成果、あるいはフィールドで得たものを病院、現場の最終的な場所で、職場にどう還元をするかということで、全てがうまくいっているわけではありません。私どもはまず研究する対象として、ある地域とか職場とか、あるいは行政職というのがありまして、そこで研究、あるいは病院から研究を行う。そして、それに関して1つは勤労者予防医療センターの所で各現場に対して、そういった成果を行って予防活動を行うということ。

 もう1つのルートは、個人に対してではなく、職場そのものの産業保健スタッフに対する普及活動について勤労者予防医療センター等を通じて行うというような構想を考えておりますし、一部はうまくいっているのではないかと思います。

 それからもう1つは、両立支援ということに関しては、これは正に病院の中であるがんの人を治療して、それをどのような形で職場に送り戻すと、そして、職場でうまく受け入れるかということに関しては、これはいろいろな組織、あるいは私ども以外でも、既に取り組み始めているというところですが、どんな人材をどのように活用したらいいかというように、今、様々な試行錯誤で、例えばMSWを使うとか、あと脳血管障害に関して、そういうPTとかそういうテクニシャンを使うとか、それからもう1つは産業保健スタッフにどのように介在をするかという今、ネットワークをどのように作るか、例えば糖尿病なら糖尿病の手帳を作るとか、そして人を介在するかということに関する、1つのモデル化をしたものを幾つか持っておりますので、それを更に発展をさせるように考えております。

 

○今村部会長

 ありがとうございます。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 御質問について付け加えさせていただきたいと思います。機構のほうで産業保健推進センターについても運営しておりまして、各32の都道府県に連絡事務所を置いておりまして、そういった所を通じて、産業保健スタッフに対して、機構の研究成果を広めていってもらうということを今やっております。産業保健推進センターについては、また厚生労働省でいろいろ検討会が行われておりまして、更にこういったことをより強化をできないかということについて、今検討をしているところです。

 

○柴田委員

 ここでの議論は目標に対しての評価ということなので、本来の趣旨から若干離れるのですが、基本的に過労死だとか、メンタルヘルスなど今すごく大切な問題は、実は本人に幾ら情宣をして、本人が自覚をしていても、実際には会社でNOと言えないことが問題。たとえ、産業医が、この人にこうしなさいと言ったとしても、その人の環境がよくなるかというと、これもうまくいかない。基本的には企業の人事がちゃんとケアをしたり、上司がケアをすることが必要。今回の評価指標の中には、企業に対する働き掛けとか、その人事担当者に対する教育とか、そういうところが若干抜けているのかなという気がすることが1つ。

 もう1つは、高齢・障害・求職者雇用支援機構でも、障害者の人たちに就職支援をするために、いろいろなノウハウを持った指導員の方がいらっしゃるのですが、そういう方たちにもこの情報を連携させてあげるという意味で、厚生労働省関連の横断的な、せっかく持ってらっしゃる種を横断的に展開しないと、すごくもったいない気がします。これは来年また総括をするということだと思うのですが、そういうふうにやって横展開をきちんとしていくこと、皆さんがやっていらっしゃる貴重なお仕事をもうちょっと社会に広め知らせることによって、更に皆様の評価が上がると思うのですね。貴重なことをなさっているので、展開をするような形にしたらいいなと思います。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 お褒めいただいてありがとうございます。これをいかに普及するかということについて、最終的なポイントが職場でどのような受け入れ体制ができて、職場がどのような環境でその人を受け入れて、しかも職場そのものが活性化するのにどうしたらいいかというようなことだと思いますが、これは私どもの、今、森岡理事が話した、産業保健の分野において、そこをうまく受け渡しをするか、あるいは産業保健は産業保健の中でそういった職場の環境、スタッフといかにそういったことに関する教育、その他を行っているという時点で、例えば、職場復帰に関しても、私どもの機構の中にある組織の産業保健推進センターと産業保健スタッフと患者が、何らかの形でそういうミーティングを行うということも、今後はあり得るのではなかろうかということで、更に発展させていくように考えているところです。

 

○今村部会長

 今の御指摘の横のつながりという言葉は大変大事だと思います。横に壁を開かない限り、機構の高い成果というのはつながらない、世の中にいかされないと思うので、是非そういう人材の育成、組織の対応を御検討いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働者健康福祉機構理事(加藤)

 そのように努めます。ありがとうございました。

 

○今村部会長

 次は、グループ3、「労災リハビリテーション作業所の運営」、「産業保健関係者に対する研修・相談及び産業保健に関する情報の提供」、「産業保健助成金の支給」、「未払賃金の立替払」及び「納骨堂の運営」の項目について評価を行います。評価シート(7)(11)に該当する部分です。所要時間は、法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分を予定しております。法人から説明をお願いします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

45ページ、評価シート(7)、「労災リハビリテーション作業所の運営」の関係です。この作業所(労災リハビリテーション作業所)については、評価の視点の2ポツにありますとおり、平成19年の閣議決定で将来廃止する方向が決まっております。これについては、それまでの間も適宜適切に運営していくということですが、社会復帰支援の充実で社会復帰率が38.3%と、過去最高となっております。また、今申し上げた廃止に向けての取組ですが、福井と愛知の作業所については、それぞれ計画を早めて廃止しております。残る3つの作業所についても、2ポツにありますとおり、在所者の退所先を確保中です。これらの取組により、平成24年度は16名が希望先へ退所し、平成24年度末の在所者数は10名までになっております。ピーク時は319名ほどおりましたが、現在10名という状況です。これを踏まえ、評価シート(7)については自己評価「A」としております。

 次に、先ほど来議論になっていた産業保健推進センターの運営の関係、評価シート(8)です。まずトピック的なものですが、胆管がんへの迅速な対応です。厚生労働省の要請を受け、712日から専用のフリーダイヤル相談窓口を設置し、医師又は保健師による相談を対応しました。対応内容については下に書いてあるとおりです。さらに、産業保健推進センターの本体業務である研修相談情報提供事業ですが、研修事業についても産業医等の産業保健スタッフに対する専門的研修5,000回余、受講者数約186,000人という状況です。計画を大幅に達成しているということです。相談については、産業医等に対する専門的な相談が46,000件余ということで、計画をはるかに上回る達成状況です。それぞれの有益度についても90%を超える状況になっております。情報提供の関係ですが、メールマガジンの延べ配信件数50万件余、ホームページのアクセスが177万件余ということです。

48ページです。産業保健推進センターについても、47都道府県にそれぞれ1か所ずつあったわけですが、段階的集約化を進めるという方針が閣議決定されており、それに向けて対応してきております。それらのことを踏まえ、平成25年度には47産業保健推進センターが15産業保健推進センターに32連絡事務所という体制まで対応してきております。併せて、この産業保健推進センターに係る運営費交付金を削減していくという状況ですが、平成24年度における交付金の額が20億円余で、平成20年度からの削減率40%を超えている状況です。

50ページです。「産業保健推進センター等における人材育成業務」の関係ですが、ニーズを把握した上での効果的・効率的な研修を実施してきており、実践的研修1,644回、土日等々の開催も含めると、実質的に5,000回を上回っている状況です。有益であった旨の評価も実績94%、労働者も97.4%という状況です。ここまでの状況を踏まえ、評価シート(8)については自己評価「S」としております。

 評価シート(9)です。小規模事業場産業保健活動支援促進助成金の支給業務です。ただ、この助成金については、既に制度自体は平成22年度末をもって廃止されており、経過措置として支給業務が平成24年度まで続いていたということです。それらについても、支給業務の処理期間を短縮していくという目標が掲げられており、平成24年度実績は34日となっており、目標を達成しております。今申し上げたとおり、制度自体廃止しているので、廃止の周知にも力を入れてきました。このような状況を踏まえ、評価シート(9)については自己評価「B」としております。

52ページ、評価シート(10)です。私どもが行っている幅広い業務のうちの「未払賃金立替払事業」です。これは特別な法律に基づいて、賃金未払いになっている労働者に、事業主に代わって賃金を立て替えるものです。その性質上、迅速に対応することが何よりも求められており、目標30日以内に支払うことを掲げておりますが、実績は17.3日で、右下に折れ線グラフを付けておりますが、短縮最短を更新してきております。他方で、倒産企業から債権を回収しなければならないわけですが、倒産しているということで、非常に困難な部分があります。累積回収率は24.9%で、回収率については右に折れ線グラフがありますが、過去最高を更新しております。これらの状況を踏まえ、評価シート(10)については自己評価「S」としております。

54ページ、評価シート(11)です。私どもは「高尾みころも霊堂」という納骨堂を持っておりますが、これについてはその事柄上的確に、あるいは慰霊の場として相応しい運営が求められます。その満足度調査の結果ですが、回答者数711名、91.4%となっております。このような状況を踏まえ、評価シート(11)については自己評価を「S」としております。以上です。

 

○今村部会長

 委員の皆様は、評定記入用紙の評価シート(7)(11)に評定結果及び評定理由等の記入をお願いします。御質問等がありましたら適宜御発言ください。

 

○松浦委員

 ホームページへのアクセス件数、あるいは相談件数、研修受講者といった数値がとても伸びていますが、これは具体的に広報活動か何かをされたのでしょうか。メールマガジンの配信件数も増えています。

 

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長

 今御質問いただいた広報の関係ですが、産業保健推進センターはこれまでに20年の歴史があり、その間労災病院、あるいは産業保健推進センター自身を通じ、いろいろな形で周知啓発活動をしております。その中でも特にメールマガジンについては、本部で適時的確な情報発信にかなり力を入れており、そういった中で各産業保健推進センター及び連絡事務所において的確な情報をメールマガジン等を通じて発信しております。さらには、各産業保健推進センター及び連絡事務所にはホームページもあり、そちらからも情報を発信しております。また、「産業保健21」という情報誌についても、本部で編集方針を年に1回、その都度アンケート等を使って見直しをしており、より利用者のニーズに合った形での工夫をして、その結果が表れているのではないかと考えております。

 

○今村部会長

48ページで、先ほど来話題になっている産業保健推進センターの数字について御質問します。センターの数の縮減は政策で決定されてやむを得ないところですが、真ん中に本部からの応援が52回、延べ102人日にわたって問題解決に当たったとあります。これはもう少し具体的に、組織全体としてはどういう対応をされているのか、あるいはコスト的に組織に対する負担はどのぐらい大きいのか、結果的に効果の浸透にマイナスの影響はないのかといった辺りについて質問します。

 

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長

 平成24年度、本部からの応援52回、延べ102人日とありますが、産業保健推進センターから連絡事務所に移していく中で、初年度は6連絡事務所でしたが、平成24年度は16連絡事務所という中で、集約化に当たって規模の大きな所があって、慣れない職員が複数の連絡事務所のフォローをするときに、人材のマッチングが難しかったところがあり、平成24年度の冒頭で本部から対応をしたということです。それ以降は、職員の配置もある程度知見のある者に配置を変えた結果スムーズに移行しており、その後はこういった支障は生じていないとの報告を受けております。

 

○今村部会長

 実際、これだけ減って業務に支障はないのでしょうか、というのが素朴な質問です。つまり、今の話では人的な対応が多いですね。また、先ほどの御説明ではネットやICTを使っての、より多様なチャンネルを使ってのコミュニケーションという話も出ていないので、そうすると人的要素がこれだけ減ることには単純に危惧を感じるのですが、いかがでしょうか。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 産業保健推進センターの事業については、連絡事務所化しております。産業保健推進センターの事業に支障が生じないように、できる限り研修の回数等は維持できるように努めておりますが、産業保健推進事業は地域における医師会や行政機関との連携の下に行うことが非常に重要な事業で、連絡事務所化することによって連携を図れる人が減ることもあって、そういったことからいわゆるパフォーマンスの維持に非常に苦労しております。その中で、できるだけ落とさないようにという目標は達成できるように努めております。

 

○松尾委員

 今の点に関して、運営費交付金は減っていますが、産業保健推進センターの事業そのものの事業規模は横ばいなのか、増えているのか、減っているのか、その辺りはいかがでしょうか。運営交付金が減っても、必要なものはやらなければいけないので、そのときの原資をマネジメントでどのようにやるのか、外部資金、先ほど医師会の話も出ましたが、あるいは自治体、場合によっては企業からお金をもらうといったこともあるかと思いますが、事業規模そのものはどうなっているのでしょうか。

 

○労働者健康福祉機構産業保健・賃金援護部長

 事業規模については、基本的に維持する形でやっております。ただ、集約化に当たっていろいろ工夫したのは、連絡事務所とそれを支援する産業保健推進センターとの関係で、会計的な部分、経理的な部分については連絡事務所の支援をするということで、人的なものは減らしますが、会計部分の集約化を中心にし、本部の支援も加えて対応しております。事業の実績については、基本的に維持させる形で進めております。

 

○柴田委員

 今の産業保健推進センターは、社会環境が変わる中で非常に重要な位置を占めるし、こちらにとってはいわゆる実質的な広報に資する大変良い場所だと思うのです。そうなったときに、旧の活動内容をそのまま続けていくために事業規模を落とさないのではなくて、もっと攻めの業務をしないといけないのではないでしょうか。対象も違うものにし、企業から来るものには費用を取ってもいいと思うのです。お金を取る形にして、活動の対象を広げていかないと、先ほどのお話でも今後は考えるとおっしゃったと思いますが、そこで起死回生の違うものを考えていかれるのがいいのではないかと思います。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 産業保健推進センターについては、先ほど部長からもお話ししましたように、経費については事務所を非常に安い所に移すといった努力をしながら、やるべきことをやるということをしております。また、今、厚生労働省でも産業保健推進センター、メンタルヘルスセンター、医師会でやっている地域産業保健事業について、当然連携をしっかり図る必要があるので、今後こういった事業をどのように連携を図って発展させるかについて御検討をいただいており、その成果も合わせて、機構においてもどうすべきかを考えていきたいと考えております。

 

○今村部会長

 今の御指摘の重要なところは、従来の発想に基づかないで、よりCost efficient、効率的なものを押し出していくという点です。そのための人材育成、新しい視点を持った人材、若い世代をいかすといったことで、ICTといった情報通信技術等はより安いコストで使えるので、そういったものも取り入れていただきながら、機構の成果をより地域に浸透させるという新しい発想を是非お願いしたいと思います。そういうことで、よろしいですか。

 

○柴田委員

 その通りです。よろしくお願いします。

 

○今村部会長

 ほかにはよろしいですか。

 それでは、最後にグループ4、「業務運営の効率化」、「予算、収支計画及び資金計画」、「短期借入金等」、「人事、施設、整備に関する計画」、「業績評価の実施」の項目について評価を行います。評価シート(12)(16)に該当する部分です。また、監事監査報告書に関する説明も併せてお願いします。所要時間は、法人からの説明15分、委員の評定と質疑5分の合計20分の予定となっております。法人からの説明をお願いします。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

55ページです。評価シート(12)、「業務運営の効率化」です。これについては、私どもが持っている運営の基本方針を浸透していく中で、本部主催会議において説明・指示等を実施し、全職員に対して周知徹底、あるいは参画意識の向上に努めております。もう1つ、内部業績評価制度の充実・強化ということで、バランス・スコアカードによる業務実績評価の仕組みを取り入れております。それを活用して様々な成果を上げておりますが、財務の点、利用者の視点、質の向上の視点、効率化の視点、組織の学習と成長の視点等々において、55ページの右にあるような成果を上げております。

56ページです。業務改善の実施体制ですが、本部においては、理事長をトップとした経営改善推進会議を実施し、経営改善の目標を掲げて取り組んでおります。取組の中身については、医師不足への対応、増収に向けた対応、あるいは共同購入を国立病院機構と併せてやってきております。他方、施設についても11の病院に経営企画課を配置しており、院長を中心にした経営改善委員会を開催し、収入の関係の医師の確保、患者の確保等々、支出の関係については各費用の縮減といったことに取り組んできております。

57ページです。「一般管理費・事業費等」の効率化の観点ですが、結果だけ言いますと、一般管理費については目標5年間で15%削減となっておりますが、4年たったところで12.1%削減という状況です。事業費についても、5年間で10%節減という目標に対し、平成24年度時点で42.5%と、目標を大幅に上回る事業費の節減を進めております。

58ページです。医療リハ及び総合せき損センターの関係です。ここについては、収支に差が出た場合にのみそこを補填する形の補助をしておりますが、当然、収支差がなければそれが不要になるので、収支差ゼロを目指すということです。これについては、平成24年度の交付金を出した額が0.6%ということで、ほぼ平成20年度の割合を維持している状況です。交付維持の取組については、そこにありますようなことです。以上のような取組を踏まえ、評価シート(12)については自己評価「A」としております。

 評価シート(13)、「予算・収支計画・資金計画」の関係です。これについては、平成24年度の実績を平成23年度の比較においてそこに図式化しております。経常収益ですが、平成24年度は対前年費で44億円の増加となっております。他方、費用については、右に吹出しを付けておりますが、厚生年金基金の財政再計算等による退職給付金が17億円増えたこともあって増えておりますが、経常損益は3にありますとおり、その17億円の退職給付費の増を含めて8億円の黒字となっております。当期損益についても15億円改善して、平成24年度は当期損益3億円という状況です。平成22年度以降、3期連続して経常損益は黒字を確保している状況です。

 繰越欠損金の解消に向けての取組ですが、これについては様々な取組を実施しております。上位施設基準の取得や診療報酬改定への迅速な対応、患者数の確保等々です。医療材料、医療機器の共同購入等も実施しております。その結果、平成24年度の繰越欠損金は380億円となっており、この解消に向けて引き続き努力していきたいと考えております。

 融資の管理・回収業務の関係です。この融資も、既に制度としては終わっているものについて回収を行っておりますが、これについては平成13年度末の残高が182億円だったものについて、平成24年度末には20億円まで進んできており、162億円の回収が終わっております。平成24年度の回収実績は20億円余ということです。以上の状況を踏まえ、評価シート(13)については自己評価を「A」としております。

 評価シート(14)、「短期借入金等」です。私どもの機構の場合には、保有資産の見直しがこの中身になります。これについては、処分の件数の推移を掲げており、計画としては18件あったということですが、平成24年度については8件の保有資産を処分し、約8,000万円の収入を得ております。このような状況を踏まえ、評価シート(14)についてはこれまで自己評価は「B」でしたが、8件というのが過去最高であったことを考慮し、自己評価を「A」としております。

 評価シート(15)、「人事に関する計画」です。これについては、1にありますとおり、年度別の交付金対象職員、常勤職員数の削減計画を設けております。平成24年度の実績は、職員数720名以内にするということでしたが、最終的には平成24年度は650名になっております。人事交流による活性化の関係ですが、医師を除く労災病院間の職員の期間限定の交流制度で、その年その年の状況があるので、毎年のように増えていくような性格ではありませんが、平成24年度は実績27名となっております。交流ではなく転任制度、こちらも医師以外の職員の関係ですが、平成24年度の実績は68名となっております。3の新たな人事施策の展開ですが、国家公務員の再就職者数はゼロです。これらの状況を踏まえ、評価シート(15)については自己評価を「A」としております。

 評価シート(16)、「業績評価制度による具体的な改善効果」です。これについては、そこにあるような利用者の視点、財務の視点、質の向上の視点、効率化の視点等々を踏まえ、勤労者医療の中核的役割、運営の効率化と経営基盤の確立というビジョンを掲げて実施しております。私どもは機構の中に第三者委員会、外部有識者による評価を受ける制度として業績評価委員会を設けており、平成19年度からは年2回開催しております。委員の内訳の8名は、そこにあるような学識経験者及び労使の代表の方々に御協力いただき、委員会を実施しております。この評価結果に基づき、様々な対応をしております。これらの状況を踏まえ、評価シート(16)については自己評価を「A」としております。

 

○今村部会長

 続いて、監査報告をお願いします。

 

○労働者健康福祉機構監事室長

 平成24年度の監事監査の状況について、報告書を基に御説明します。資料1-36970ページに監査報告書を添付しております。

 当機構の監事は、常勤監事が1名、非常勤監事が1名の2名体制となっております。第1、監査の方法として、監事は理事会など重要な会議へ出席するほか、役職員から職務の執行状況について報告を受け、重要な決裁書類を閲覧し、必要に応じ直接説明を聴取しております。また、平成24年度には、労災病院など30か所の施設に対して実地往査を行いました。そこで、病院長を初め、各施設の幹部職員等から直接説明を聴取し、業務の状況等について確認を行っております。これらを踏まえ、平成24事業年度の財務諸表、決算報告書及び事業報告書について検討しました。また、会計監査人である有限責任あずさ監査法人から職務の執行状況及び監査結果についての報告を受け、説明を聴取しました。

 第2、監査の結果ですが、財務の状況として(1)貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、行政サービス実施コスト計算書及び附属明細書は、通則法等の関係法令、業務方法書等に従い、全てのの重要な点において適正に表示しているものと認められました。(2)損失の処理に係る書類は法令に適合しており、(3)決算報告書及び(4)事業報告書についても、各々正しく表示していると認められました。会計監査人が行った監査の方法及び監査結果は、相当であると認められました。

 次のページ、2の業務運営の状況ですが、(1)年度計画の達成状況として、第2期中期目標期間の4年目に当たる年度計画については、平成24年度業務実績報告書等に記載されているとおり、おおむね達成されているものと認められました。(2)「独立行政法人整理合理化計画」等への対応、(3)「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」への対応として、機構が講ずべきとされていた事項については、継続して取り組まれていることを確認しております。(4)平成23事業年度業務実績の評価結果への対応としては、昨年指摘のあった「独立行政法人の職員宿舎見直し計画」に基づく対応状況、あるいは産業保健活動充実に向けた取組など、各項目において適切に対応されていることを確認しております。(5)独立行政法人改革への対応としては、平成251月に厚生労働省との間に厚生労働省・労働者健康福祉機構連絡会議が設置され、機構が果たすべき役割、機能等について意見交換を行い、次期中期目標、中期計画の策定に向けた検討が行われていることを確認しております。平成24年度の監事監査の状況については以上です。

 

○今村部会長

 委員の皆様は、評定記入用紙の評価シート(12)(16)に評定結果及び評定理由等の記入をお願いします。この間、御質問等がありましたら適宜御発言ください。

 

○宮崎委員

 確認だけ、資料14-0162ページの保有資産の見直しですが、評価シートのタイトルは「短期借入金等」となっていて、ここの評価する内容は短期借入金が発生したか否かではなく、中期計画に定めた資産の処分が予定どおり順調に進んでいるかで評価すればよろしいのかという点で、タイトルが「短期借入金等」となっているので、保有資産の見直しの内容との関係だけ御説明いただければと思います。

 

○労働者健康福祉機構経理部長

 今、先生がおっしゃったとおりの評価をしていただければと思います。

 

○松尾委員

 細かいところですが、63ページの2で、人事交流による活性化ということで労災病院間の医師を除く職員の期間限定交流制度ということですが、これを見ると制度適用者は必ずしも増えていなくて、どちらかというと減っているのです。この制度の目的、目標、今後まだこれを続けられるのかどうか、その辺りをお聞きしたいと思います。これは、そもそも何のために行われているのでしょうか。

 

○労働者健康福祉機構経営企画室長

 派遣制度の関係ですが、短期の派遣制度の1の期間限定の交流制度は、転居を伴って転勤という形を取るのではなく、ほかの病院のいろいろなことを学んだり、自分の病院の良いところをほかの病院に普及するといったことを目的として始めた制度です。対象者は、その年度によって多少増減があります。これは本人の希望、こういったことで手挙げしてくれませんか、という話をして始めた制度ですので、ばらつきがあることは事実です。これからも続けていきたいと思っております。

 

○柴田委員

 私も人事に関する計画でもう1つ気になったところがあります。1の交付金事業に関わる常勤職員数は、期首の職員数の720人以内とするというのが目標ですから、650人にまで下げる必要もなかったのではないかという気がしないでもありません。実際にどんな人が減ったのか、要するに交付金事業に関わる常勤職員数が減ったと書いてありますが、産業保健推進センターや労災リハビリテーション作業所等と本部と書いてありますが、どういう分野の人、どういう業務をする人が、減ったのでしょうか。現場で本当は要請がある仕事の人まで減ってしまったのかどうかが非常に心配だったのでお聞きしました。

○労働者健康福祉機構総務部長

 確かに、産業保健推進センターの集約化が非常に大きく進んだり、労災リハビリテーション作業所の廃止などもあったので、そういうものも数として上がっている部分もありますが、効率的、効果的な組織運営という中で、不断にそういう部分を見直していく中で削減を進めている部分もあります。ただ、御指摘のとおり、削減先ありきで、機構として十分な機能が果たせないということでは困るので、その辺りを見定めながら対応してきた結果としてこのような形になっているということで、それぞれのパフォーマンス、業績については、先ほど来資料で説明しているとおり、おおむねこれまでと同様、あるいは多くの項目において上回っている部分もあるということです。

 

○柴田委員

 その方たちは失業されたのですか。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 失業というか、リストラとかそういったことはしておりません。いわば退職者の不補充、あるいはサイトの閉鎖などに伴うものです。

 

○柴田委員

 基本的には、ほかに異動されたり関連する仕事をされて、自然減と。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 退職者の不補充です。

 

○今村部会長

 今の質問で気がついたのですが、この人員の大幅な削減は、産業保健推進センターの集約の効果も1つ寄与しているとおっしゃいましたが、横の異動、つまり650人まで減らす必要がなければ、産業保健推進センターの人員枠を本部なりで1回受け止めて、そこから柔軟に全国を見回るような組織変化が可能だったように直感的には思うのです。質問のポイントは、機構の職員は特定の組織に帰属して計算されるものなのか、あるいは組織が変わったときに柔軟に横の配置が可能なのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。そうであれば、こんなに減らす必要はなかったのかなという単純な質問です。

 

○労働者健康福祉機構総務部長

 もちろん、施設によっては特殊な仕事をされている部分があるので、基本的にはそれぞれ縦に分けて管理しているのではなくて、そこは当然、本人の御意向なり御事情もありますが、そういうことも踏まえて柔軟に対応できるような人事制度の下でやっております。そういうことで対応した分があるかどうかはあれですが、結果として意に反して退職を余儀なくされた方はいらっしゃらないということです。

 

○労働者健康福祉機構経営企画室長

 今の件で、平成19年に産業保健推進センター業務に関しては交付金を3割削減することになりました。決算上は、セグメントといって事業ごとに管理しているので、産業保健事業というセグメントの中で交付金を3割削減するということになり、どうしてもそこを削減せざるを得ない状況がありました。

 

○今村部会長

 事業予算で人員の配置が区切られているという理解でよろしいですか。

 

○労働者健康福祉機構経営企画室長

 いいえ、交付金自体は渡し切りになっているのですが、決算のセグメントの区分で産業保健事業という区分があって、そこを3割削りなさいということがあったので、このような結果になった次第です。

 

○労働者健康福祉機構理事(森岡)

 付け加えますと、横の異動についてはできる方には横の異動をお願いして動いております。例えば産業保健推進センターですと、産業保健推進センターの副所長は職員なのですが、労働局との連携が必要で、労働局から出向で来てもらっておりました。こういった方については、産業保健推進センターが廃止されたことによってその職がなくなっているので、出向ではなく、元に戻ってもらっているという意味で、減っている部分もあります。

 

○今村部会長

 よろしいですか。

 以上で全ての項目の評価が終わりました。事務局からこの後の取扱いについて説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 本日お配りしている資料の郵送を御希望される場合は、部会終了後に事務局までお申し付けください。また、資料をお持ち帰りになって評価していただく場合については、最初に御説明致しましたとおり、812()までに事務局に提出をお願いします。

 

○今村部会長

 それでは、次の議題に移ります。議題2「長期借入金の実績報告」についてです。まず事務局から説明し、続いて法人から説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 ピンク色の資料集の111ページに、本部会における長期借入金及び債券発行に係る意見の取扱いについてまとめたものが記載されております。中段ですが、年度を通じた長期借入金及び債券発行計画については部会の了解事項とし、当該計画に基づく長期借入金又は債券発行の個別の認可については部会長一任事項としており、部会には事後報告することとなっております。労働者健康福祉機構の平成25年度長期借入金並びに償還計画については、本年3月に御審議いただき、部会の了解をいただいております。

 このたび、この計画に基づく平成25年度第1四半期の長期借入金の実績について御報告致します。また、平成24年度第4四半期の長期借入金についても実績が確定しているので、併せて御報告致します。それでは、法人から報告をお願いします。

 

○労働者健康福祉機構経理部長

 資料1-9に基づいて御報告します。機構の長期借入金については、平成164月に私どもの機構が独法化される以前の労働福祉事業団時代に行われておりました。先ほど少し触れましたが、労働安全衛生融資の制度に関わるものです。

 民間の金融機関から長期借入れをしている理由については、労働安全衛生融資の貸付原資は、財政投融資の償還期間が15年でしたが、財投資金を借りて中小の企業に対して安全衛生融資を行っており、その償還期間が20年でした。そのタイムラグが発生しているので、民間の金融機関からお金をお借りしているということです。平成24年度の長期借入計画に関しては、平成2438日の第72回労働部会において御説明し、御承認をいただいております。

 平成253月の借入実績については、項目1の欄に記載しているように、25,1669,000円となっております。この結果、項目2に記載している平成24年度の長期借入金実績は、206,6892,000円で、御承認いただいた223,1804,000円の範囲内で対応できましたことを御報告します。

 裏面です。平成255月の借入実績については、項目3にありますとおり、36,4728,000円となっております。平成25年度の長期借入計画に関しては、項目4に記載しておりますが、31日に開催された第81回労働部会において、年度計画の全体について御説明し、御了承いただいております。長期借入金の借入れについては、民間借入金の償還時期に合わせて5月、9月、10月及び3月の計4回を計画しており、平成25年度においては御承認いただいた182,4399,000円の範囲内で借入れを行うこととしております。以上です。

 

○今村部会長

 それでは、御質問等ありましたらお願いします。

 よろしいでしょうか。それでは、報告を承ったということで、本議題は終了します。労働者健康福祉機構に係る審議は以上となります。次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えを行いますので、ここで10分ほど休憩を取ります。開始時刻は1510分からとします。時間になりましたら御着席をお願いします。お疲れさまでした。

(法人及び所管課入替え)

 

○今村部会長

 予定より少し早いですが、皆さんお揃いになりましたので、勤労者退職金共済機構の個別評価に入ります。最初に理事長から御挨拶と平成24年度の業務実績概要の説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構理事長

 理事長の額賀でございます。御審議のほどよろしくお願いします。私からは当機構の概要について御報告いたします。資料2-1、事業体系図です。当機構は中小企業事業主の相互共済の仕組みと国の援助により、手軽で安全・確実な退職金制度を確立することを目的として運営されてまいりましたが、雇用・能力開発機構の解散に伴い、平成2310月より財産形成業務の移管を受けました。現在は勤労者の財産形成を促進する事業も担当しております。当機構の課題は、中段の3つに要約されておりますので、以下、左から順番に御説明します。

 最初は「将来にわたる確実な退職金給付」です。中退共、林退共には累積欠損金がありましたが、平成24年度は中退が2,279億円、林退が2億円の当期純利益を計上しました。中退は累積欠損金が解消しまして、現在は利益剰余金となっております。また、林退の累損はまだ残っておりますが、減少しました。退職金未請求者及び長期未更新者に対しては、未請求者の住所把握や請求手続の要請により、中退の未請求率は1.7%に縮減しております。また、手帳の更新者も着実に増加いたしました。真ん中は「退職金制度への着実な加入」です。平成24年度の目標達成率は97.1%で、加入目標を下回りました。しかし適年からの移行分を除く加入実績を見ると、平成23年度を若干ながら上回っております。それから一番右の「財形持家融資制度の普及・促進」は、2の財形勘定には累積欠損金がありましたが、平成24年度は当期利益を43億円計上して、累積欠損金を解消することができました。これに伴い、平成25年度からは運営費交付金も廃止されております。

 少し計数で当機構を御説明いたします。4ページに当機構の退職金共済事業の概況が数字で示されております。当機構は向かって左、中退共、建退共、清退共、林退共と4つの事業部門が記されておりますが、この4つの共済事業から成り立っております。共済契約者数、共済契約をしている事業所数ですが、機構全体で平成253月末に542,680所となっております。被共済者数は機構全体で同じく年度末に6244,855人と膨大な数になっております。期末資産残高は49,3936,300万円に達しました。当機構は中小企業を中心として、624万人という膨大な勤労者の方々の大切な退職金を管理、運用している実務組織です。そのような組織として、財務の健全化と業務の堅確化を2本の柱として、業務実務の充実・改善を図っております。このうち財務の健全化については最初にお話しましたとおり、平成24年度は大幅に改善が見られましたが、今後とも財務の健全化と業務の堅確化を柱として、実務の充実に努めていきたいと考えております。私からは以上です。

 

○今村部会長

 続いて評価の進め方ですが、評価シートの項目を4つのグループに分け、グループごとに評価を行います。まず、グループ1、「効率的な業務実施体制の確立」から「業務運営の効率化に伴う経費節減」までの項目について評価を行います。評価シートの評価項目は15に該当する部分です。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分の合計30分を予定しております。法人から説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 勤労者退職金共済機構の総務部長です。どうぞよろしくお願い申し上げます。私から個別項目について御説明いたします。資料2-17ページです。まず、評価項目の1、「効率的な業務実施体制の確立」です。評価の視点は資産運用業務、システム管理業務の一元化に向けた取組が行われているか、業務実施体制の効率化及び人員・経費の削減が図られている等が掲げられております。

8ページ、平成24年度の業務実績です。大きく分けて業務実施体制の効率化、その下のそれ以外の取組とに分けております。まず業務実施体制の効率化及び人員・経費の縮減です。1つ目の○の本部事務所は長年にわたり移転の可能性について検討してまいり、昨年5月に移転しました。その際に経費の縮減の観点から、事務所のレイアウトに工夫を加えて、事務所面積を約30%削減しております。2つ目の○は適格退職年金から中小企業退職金制度への移行については、平成23年度末をもって終了しましたので、移行担当組織を廃止し、定員7名を削減しました。3つ目の○は資産運用業務の一元化の観点から、資金運用部を各事業本部の外に設けました。続いて4つ目の○、清酒製造業退職金共済事業、林業退職金共済事業については、業務運営を一体化するために、両部を統合しました。5つ目の○、建退共事業に係る特別事業は、中退法の対象は御案内のとおり中小企業ですが、企業を転々とする期間雇用者を対象とする建設業の退職金共済制度においては、大手企業で働いている間も加入できるように、附帯事業として大手企業を対象とした特別事業を実施しております。これまで建退共事業に係る特別事業については担当組織を置いて実施してきましたが、建退共事業全体を効率的に運営すること、併せて、加入・履行促進対策を強化することから、平成25年度から特別事業の担当組織を廃止するとともに、加入・履行促進対策について一元的に行う組織を設置しており、そのための規程の整備を行いました。

 次にそれ以外の取組として、1つ目の○、各種業務の電子化、機械処理化の推進に向けた取組についてです。業務・システム最適化計画として、メインフレームをオープン化して、汎用的なソフトウエアを活用することについては平成22年度に実施済みですが、その後も業務の効率化のための改修を行っており、平成24年度は退職金請求書の再発行業務について、従来は専用端末機1台でしかできなかったものを担当部署に設置している全ての職員端末機でできるようにシステムの改善を行いました。2つ目の○、外部委託化の推進についてです。中退共事業における退職金の未請求者への請求手続の要請業務については、平成20年度から始まった第2期の中期計画期間の中で、試行錯誤しながら取り組んできましたが、過去5年間の取組の中でどのような対応を取ればよいのか実施内容がほぼ確立してきましたので、平成24年度においては未請求者への請求手続の業務対応方法をマニュアル化して、今年度から業務の効率化を一層進めるために経費節減も勘案して、こういう定型的な業務については外部委託をすることにしております。3つ目の○、その他で本部事務所の移転を機に電話対応業務の効率化を図り、どのようなお客様から電話がかかってくることが多いかにより、中退共事業本部においては新たにコールセンターシステムを構築しました。また取引企業等々からの問い合わせの多い部署においては、ダイヤルインの導入を行いました。

 以上のとおり業務実施体制の効率化、人員・経費の縮減を図るとともに、各種業務の電子化、機械処理化、外部委託化の推進に取り組んだことから、自己評価を「A」としております。

 続いて9ページ、評価項目2、「中期計画の定期的な進行管理」です。評価の視点としては、業務の遂行状況を管理するための会議が適切に開催されているか等々です。

10ページ、職員の意識向上を図るために各事業本部の進行管理として、各事業本部においては、毎月幹部会あるいは部内会議において事業本部内の意思統一を図るとともに、中小企業退職金共済事業、建設業退職金共済事業、それぞれにおいて各4回加入促進対策委員会を開催して、地域に密着した金融機関を訪問するなどして加入勧奨をしております。また各部バラバラの取組にならないように、毎月の理事会において業務運営状況の把握、運営方針の決定等を行います。それから四半期に1回、業務推進委員会を開催しております。各事業本部の業務進捗状況を把握、検証して適宜業務運営の方針を指示しております。そして職員の意識向上を図るために、職員一人ひとりについて年度の目標管理表を作成して、年度末にはその達成状況を評価しております。これらの取組については、計画どおりということで自己評価は「B」としております。

11ページ、評価項目3、「内部統制の強化」です。評価の視点としては、職員の意識改革を図るための取組が着実に実施されているか等々となっております。

12ページは先ほど御説明のとおり、まずプランということで、計画策定で、全役員、全部長が入った理事会で業務運営方針を決定してまいります。その上で各事業本部ごとに幹部会あるいは部内会議等々を毎月開催して実行しております。これがDOに当たります。各事業本部の取組については、四半期ごとに開催する業務推進委員会、年3回の資産運用評価委員会ということで、外部の専門家に資産運用実績の評価を頂いております。契約監視委員会も外部の委員が3名入っており、競争性のある契約となっているかどうか、あるいは1者応札の改善のためにどのような対応をしているかなどについて指摘を頂いております。これらの評価を得て、業務改善をアクションで行っております。このようにPDCAサイクルを回して、そのときどきで業務の進行状況について把握をし、内部統制の強化に取り組んでおります。

平成24年度の新たな取組としては、同じ12ページのいちばん下、2つの事項を掲げております。1つ目のポツ、財形事業については平成24年度中に累積欠損金が解消されました。そういう見込みが出たので、平成2410月から貸付金利を見直ししております。それまでは累積欠損金を解消するために、貸付金利を高めに設定したわけですが、その必要がなくなったことで引き下げましたが、その際に財形部の幹部だけではなく、理事長、理事長代理、総務担当理事も加わった財形融資ALMリスク管理委員会を開催しております。2つ目のポツ、理事長と管理職員との個別面談を毎年2月に実施しておりますが、平成24年度からはコンプライアンスに係る事項についても確認をしており、問題があればコンプライアンス推進委員会で審議をするとしております。財形業務については、平成2310月に当機構に移管されたわけですが、移管の1つとして退職金共済事業と財形業務の連携がうたわれておりますが、そういう中でさまざまな取組を行ったわけですが、その中に中退共に加入している事業所に対して財形事業のパンフレットを送付する取組を行い、この際に中退共本部が保有している顧客情報が顧客の同意を得ないままに、他の業務に流用されているのではないかという誤解を与えないようにするために、中退共本部の名称で情報提供しております。こういうことで今後、財形業務と退職金共済業務とが連携して行う際の留意点について取りまとめたものです。

13ページ、評価項目4です。「一般管理費及び退職金共済事業経費」、「人件費」についてです。数値目標は1つ目、運営費交付金を充当する一般管理費及び退職金共済事業経費について平成19年度予算に比べて18%以上の削減を行うこと。2つ目、旧雇用・能力開発機構から移管される業務に係る経費のうち運営費交付金を充当する一般管理費について平成23年度の予算額と比べて人件費で1%程度、人件費以外の一般管理費で8%程度の額を削減すること。3つ目、人件費について平成17年度を基準として7%以上の削減を行うことになっております。評価の視点としては、事業費における冗費を点検し、その削減を図っているか等々となっております。

14ページ、1つ目は運営費交付金です。平成21年度の決算額で平成19年度の予算に比べて、17.5%の削減を行っております。ほぼ目標を達成いたしました。しかし運営費交付金については平成21年度末をもって廃止されましたので、その後は毎年度の予算額と決算額との比較を行う。あるいは前年度の決算額と当年度との決算額の比較をしております。中段にあるように、平成24年度は予算額に対して13.5%の削減。平成23年度の決算額と比較して、3.5%の削減となっております。

数値目標の2つ目は、旧雇用・能力開発機構から移管された業務については、退職手当を除く人件費については、平成23年度の予算額と比較して29.0%の削減。一般管理費については62.8%の削減を行いました。人件費については勤退機構への移管で人員が大幅に削減されております。一般管理費については移管に際して都道府県センターの経費が不要になるとともに、事務所の移転の際に面積を大幅に削減しております。こういうことで目標を大きく超える削減を達成しました。

数値目標の3つ目、人件費は平成24年度において平成17度比の19.3%の削減となっております。数値目標では7%削減となっておりますので、それを大きく上回っております。なお財形業務を含む場合でも、23.5%の削減となっており、目標を大きく上回っております。削減要因としては右側にあるように、超過勤務の削減、あるいは計画的な定員削減です。その下の給与水準の検証は、平成24年度の国家公務員との給与の比較では、地域勘案で104.0、地域・学歴勘案で105.0となっております。

以上のとおり、経費・人件費の両面で目標を超える削減を行ったことから自己評価は「A」評価としております。

 最後に15ページ、「随意契約の見直しについて」です。評価の視点は随意契約見直し計画に基づく取組が着実に実施されているか等々となっております。16ページ、平成24年度の随意契約の状況です。機構が策定した随意契約等見直し計画に基づいて、平成20年度は59件でしたが、この随意契約を5件に減らす目標を平成23年度に達成しております。平成24年度はさらに1件を削減して4件となっております。随意契約の内訳としては、料金後納付郵便あるいは財務諸表の公告のための官報掲載業務、こういう必要最小限のものに絞り込んでおります。

随意契約の防止のためには監視体制ということで、先ほど御説明しましたように、監事監査を四半期ごとに開催しております。また契約監視委員会も設けております。この契約監視委員会は外部の有識者3名に加えて、機構の監事を交えての随意契約の契約事由、契約価格の妥当性等々について審議を行っております。審議の概要についてはホームページにも公表しております。

こういうことで監視体制はきちんと活動しておりますし、目標も達成しているということで自己評価は「A」としております。

評価項目15の説明は以上です。よろしくお願い申し上げます。

○今村部会長

 では委員の皆さま、評価項目15について、評定記入用紙に評定結果及び評定理由等の記入をお願いします。御質問等がありましたら、適宜御発言ください。

○宮崎委員

1点質問ですが資料8ページの○3つ目、各事業本部のほかに新たに資金運用部が設置されて、資金運用業務の一元化が行われたとの記載がありますが、各共済ごとに予定運用利回りなどは異なっているかと思いますが、実際にこの資金運用部でどのような業務をなされているのか。併せてこの部門を設置されて、何か具体的な効果、取組の成果のようなものがあれば、少し御説明いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 お答え申し上げます。今、宮崎委員がおっしゃったように、各事業本部については区分経理が法定されており、資金の融通は法で禁止されている事情があるので、いわゆる資産運用業務の一元化といっても、運用を一括して合同運用することが不可能ですので、実際に何をしたかというと、4事業本部に物理的には分散して、資金運用業務がありましたが、これを業務本部の外に新たに資金運用部を作り、そこで業務を物理的にも一元的にも行っております。

具体的な効果としては、特に小さい退職金共済事業の清退共事業、林退共事業、それぞれの事業本部で資金運用を行っておりましたが、それらの負担を大きく軽減して、資金運用部に運用業務自体を移管しました。さらには資金運用業務を運用調査役という専門職が一括して行うことで、とりわけ小さい共済事業については運用能力の向上が図られたと考えております。具体的には平成24年度は清退共事業、林退共事業の運用業務を一層見直しして、例えば生命保険資産という運用も行っておりましたが、こちらは利回り的にも規模的にも効率的ではないということで、生命保険資産の運用を廃止しました。さらに林退共事業も2つのファンドで運用しておりましたが、こちらも効率的ではないということで1つのファンドを解約して、1つに集約化をしたのが具体的な効果です。中退共事業は1.7兆円の委託運用があり大きな規模ですので、こちらは効率化がかなり図られていると考えており、もっぱら建退共、清退共、林退共の3つの事業本部の運用について効率化及び運用能力の向上が図られたと考えております。

 

○宮崎委員

 ありがとうございます。

 

○今村部会長

 これはどなたかからか出ると思うので、聞かなければいけないかと思います。14ページ、旧雇用・能力開発機構から移管された業務の一般管理費が62.8%と極端に減っているのですが、これを見ると平成23年度予算額と平成24年度決算額という比較です。ほかは平成23年度決算額もしくは平成24年度予算額との比較になっています。それも含めて御説明いただければと思います。

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 旧雇用・能力開発機構から平成2310月に移管され、数値目標は平成23年度予算額と比較して人件費で1%、人件費以外の一般管理費で8%と定められております。したがってそれ以前の移管前の直前の予算額と比較してどうであったかということを見て頂く形になっております。もともとあるほかの事業と比較の仕方が異っております。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 平成23年度予算については先ほど総務部長からも説明がありましたが、移管前に人員はある程度余裕をみて予算計上されておりましたが、実際は22名とかなり削減した人員が移管されたので、コストはかなり低下しましたことと、横浜の事務所の賃料がかなり高く、移転した結果として賃料がずいぶん下がった等々があり、平成24年度決算においては、コストはずいぶん下がった状況です。

 

○今村部会長

 いかがでしょうか。

 

○松尾委員

14ページ、人件費の節減があり、削減要因の1つとして超過勤務の削減の取組を行ったとありますが、超過勤務の削減を行い、超過勤務でこなしていた業務は効率化して含めたのか、あるいは外注をしたりしてこなしているのか。これはどのようにされたのでしょうか。おそらく業務はきちんと着実に行われているわけですよね。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 そうですね。おっしゃるとおり外部委託化も進めておりますし、無駄な業務をなくすということで呼び掛けており、運営費交付金は頂いておりませんが、共済契約者からのお金でやっているわけですから、時間外は極力なくすようにと管理職員にも徹底して対応しております。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 補足すると業務上はやはり退職金請求が4月、5月に集中すると、業務の繁閑があり、一部のセクションに、決算では経理関係などかなり大きな負担があり、一部の人のみ大残業しているという状態があったのをもう少し機動的に人員異動等を行い、業務の平準化を行ったのが大きな要素だと思っております。

○今村部会長

 具体的に何か残業規制などそういう施策は行われたのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

残業規制というわけではないですが、毎月残業時間を分かるようにしており、その部分を各管理職にお伝えして、集中している所はどういう状況なのか管理職で把握するようにして対応しております。

 

○今村部会長

 いかがでしょうか。

 

○志藤委員

16ページ、随意契約の見直しです。一般的に考えると随意契約はお金が相手の言うがままというと変な言い方になりますが、競争したりお互いにレベルを高くするために、なるべく競争というようなことが一般的には考えられると思います。今回、随意契約を見直すということで、ここの文意がよく取れなかったのですが、事業の廃止が32件というのは59件随意契約をした結果、事業自体をやめたものが32件あるということだとすると、事業自体をやめる意味がよく分かりません。契約の形態を変えたのではなく、事業自体が必要なかったのかという、その辺りがよく分からないので、御説明いただければと思います。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 そこのところは平成20年度の随契ということで、このときにはシステム改修が結構入っていたということで、そこの部分の関係を廃止したということで、システム改修が59件のうちの32件がそういうもの等々でなくなったということです。

 

○今村部会長

 平成20年のときは旧式の大型コンピュータの仕組みがまだ残っていて、そのためにノウハウがそこに固定されてしまうので、止むを得ず随契していたものがもうシステムがチェンジしたので、なくなったという解釈で、これは32件のほとんどがこれに該当すると考えてよろしいのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 部会長がおっしゃるとおり、ほとんどがそういうことでございます。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 先ほどのものに関連しますが、正にシステムの合理化が残業の縮減にもつながってきております。システム化の効果が定着してきたとも言えようかと思います。

 

○今村部会長

 いかがですか。よろしいでしょうか。それでは、次のグループにまいりたいと思います。「確実な退職金支給のための取組」について評価をいたします。評価シートの項目67に該当する部分です。所要時間は、法人からの説明が15分、委員の評定と質疑が5分、合計20分となっております。それでは、法人から説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 それでは、評価項目67について説明します。17ページを御覧ください。評価項目6「一般の中小企業退職金共済事業における退職金未請求者に対する取組」です。数値目標としましては、請求権が発生した年度における退職者数に対する当該年度から2年経過後の未請求者数の比率を平成24年度までに1%程度とすることです。評価の視点としましては、未請求者の縮減に向けた取組に進捗が見られるか等々となっています。

18ページを御覧ください。「新たな未請求退職金発生の防止対策」、「累積した未請求退職者に対する取組」、「未請求者縮減のための周知」、未請求原因の「調査・分析」の4つに分けて記載しています。

まず最初に、右側の一番下の欄ですが、調査・分析の所から説明します。未請求原因を調査・分析するために、平成24年度に請求要請の際にアンケートを実施しています。後ほど説明しますが、新たに加入した被共済者には加入通知書や既に加入している被共済者には加入状況のお知らせを発行していることもあって、加入していることを知らなかった者や、退職金等を請求できることを知らなかった者が減少してきたのは対策の成果と考えておりますが、依然として加入していることを知らない者が54.2%もいること、それから、退職金等が請求できることを知らなかった者が41.6%もいることです。こういうことから、退職金の未請求発生防止のための対策を進めることが課題となっています。

そこで、左側の緑色の欄、新たな未請求退職金の発生を防止するための対策を御覧ください。引き続き実施した取組としては、今説明しましたように、未請求者の中には中退共に加入していることを知らなかった人がいることから、新たに加入した被共済者へ加入通知書を発行しております。また、既に加入している被共済者へは、加入状況のお知らせを発行することによって、従業員の方に対して中退共に加入していることの認識を深めるための取組を行いました。また、平成24年度において2年を経過した者、すなわち、平成22年度に脱退したけれども、2年間未請求である者に対して、書留や電話による請求手続等を行っております。なお、ここで2年を経過した被共済者に請求手続の要請等を行っているのは、中小企業を退職して2年間は納付月数の通算を中退法に基づいて行います。したがいまして、退職後に再就職した先が中小企業で、たまたま中退金制度に加入している場合にはこの通算制度が利用できることに配慮したものです。

それから、平成24年度に新たに実施した取組としましては、被共済者が退職した場合、事業者から被共済者退職届を出していただきますが、この退職届には被共済者の住所記入欄を設けています。未請求者に請求手続の要請を行うためには、当然被共済者の住所や電話番号が分からなければいけないわけです。これまでは、退職後3か月を経過して未請求である場合、まず事業所に対して住所の情報提供をしていただくように依頼しておりましたが、昨年5月以降、被共済者退職届に書かれている住所や電話番号を基に請求手続を寄せることになりまして、未請求者の住所手続把握が効率化されました。また、本年1月から厚生労働省令が改正されて、被共済者の退職届に住所を記載することが義務づけられまして、こうした、機構独自の先行的な取組や、厚生労働省における本年1月からの制度的な取組の成果を踏まえて、今後、未請求率は縮減するものと期待しています。

 それから、右のオレンジ色、累積した未請求退職者に対する取組を御覧ください。御案内のように、退職金の請求権は中退法の第33条で、時効により5年で消滅するとされておりまして、この法律に従うと、消滅時効の完成後、機構としては退職金をお支払いする義務はないわけです。しかしながら、機構は公的機関ですので、5年の消滅時効が完成した後に請求があった場合にも支払いを行っております。このため、最近退職した方だけではなくて、退職後5年以上経過した人、すなわち消滅時効が完成した者についても、全ての事業所に未請求者の住所の情報提供を依頼して、住所が分かった未請求者への請求手続を要請しております。平成2024年度の5年計画で対象事業所を分けて行いまして、平成24年度で全ての対象事業所に対する一連の対策を完了しました。また、消滅時効完成直前の未請求の方、平成24年度からすると4年前の方ということで、平成19年度の脱退者に対する請求手続要請も行いました。

 その下の青の欄、未請求者縮減のための周知の効果的な実施ですが、平成2410月からはモバイルサイトを構築して、加入通知書にQRコードを掲載しております。また、ホームページの加入事業所検索システムに新規加入事業所名を追加掲載する、未請求退職金に関する注意喚起を行うことなどをしております。こうして数々の取組を行っていますが、平成24年度の退職後の2年経過後の未請求率は1.7%となって、目標とする1%程度には達しておりませんので、自己評価としては「B」としています。

 続きまして、19ページを御覧ください。評価項目の7、「特定業種退職金共済事業における長期未更新者への取組」です。数値目標としては、共済証紙の販売額の累計と貼付確認額の累計の差額を、前中期目標期間の終了時、すなわち平成19年度末から130億円程度減少させること等となっています。評価の視点としては、共済手帳の長期未更新者への個別の要請等の取組を着実に実施しているか等となっております。

20ページを御覧ください。まず、長期の未更新者調査です。特定業種の退職金共済事業ですが、こちらは先ほどの中小企業の退職金共済制度と違いまして、事業所から退職するだけではなくて、それぞれの業界から引退の意思を表明した方に対して退職金を支払う制度でして、その点が異なっております。これらの被共済者に対しては共済手帳を発行しておりまして、1日働くごとに1枚の証紙を貼り付けるという制度になっております。ほぼ2年程度で共済手帳はいっぱいになりますので、通常は2年経てば手帳を更新することになりますが、3年間も手帳の更新がないことは業界から引退している可能性があるということで、手帳の更新が3年間ない被共済者を長期未更新者と呼んで対策を講じております。平成24年度の具体的な取組としましては、被共済者の住所を把握して、手帳更新あるいは退職金の請求手続を促しております。具体的な数字は20ページの表にあるとおりです。

21ページを御覧ください。「新たな長期未更新者の発生を防止するための対策」です。左側の上段の黄色の欄にあるように、新規加入の被共済者には加入通知書を発行しております。また、右側の上段にあるように、被共済者の住所データベースの取組を進めております。そのほか、中段の欄にありますように、長期未更新者を縮減するための対策ということで、各種の業界の専門紙等を活用しまして、共済手帳の更新の呼び掛けとか退職金請求等の手続を講じるように、注意喚起を行いました。これらの取組によりまして、共済証紙の販売額と貼付確認額の差額は、平成19年度末と比較して約82億円の減少となっております。平成23年度が70億円の減少で、差額の幅は圧縮したということですが、目標としては130億円程度と開きがありますので、こちらのほうも自己評価としては「B」としています。説明は以上です。よろしくお願いします。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。では委員の皆様、評価項目67について、評定記入用紙に評定結果及び評定理由等の記入をお願いします。この間に御質問等があれば適宜御発言ください。

 

○柴田委員

 質問なのですけども、まず、評価項目6の加入通知書の件なのですが、加入通知書は事業所経由で御本人に渡しているのですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 おっしゃるとおりです。

 

○柴田委員

 もう1つの、評価項目7のほう、建設の方たちは手帳を持っているということなのですけれども、こちらについては21ページで、新規の方には加入通知書を発行していて、加入済の人は手帳があるからいいのかもしれませんが、こちらは普通の未請求退職者のように実績表は送っていないのですね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 非常に紛らわしい言葉なので、大前提として確認しますと、評価項目6の中退共事業については制度上、退職した時点で退職届が出されます。

 

○柴田委員

 退職届が来るのですね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 そういうことです。

 

○柴田委員

 本人からではなくてですね。本人から企業経由で来るのですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 そうですね。退職届がないと毎月掛金として引き落としてしまいますので。事業主としては引き落とされてはたまらないということで、確実に退職届は出て来るわけです。これは中退共のほうです。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 先生の御質問のポイントは、建退共がどうなっているかということだと思いますが、建退共のほうは期間労働者で、常にA社という会社で働いている方々を対象にしておりませんので、A社でお仕事されたりB社でお仕事されたりすると。ということで、手帳は御本人に持っていただきまして、それぞれ加入されている契約企業の下で働かれれば証紙を貼付していただくので、新規加入通知は直接御本人宛にお送りしております。そうすることによりまして、副産物として加入時点の住所把握もできるというメリットがあります。

 その後ですが、更新は手帳がいっぱいになった時点で、お仕事をされている、契約者である事業所を通じて更新申請がなされます。その時点で先生の御指摘は通知しないのかと、3冊目の新しい手帳になったことを御本人に通知しないのかということですが、今のところはそこまでしておりません。ただ、更新が3年間ないと長期未更新調査で処理するという取組をしております。

 

○柴田委員

 私は2つあって。1つは、建退共のほうから言うと、多分、御本人は手帳を持っているし、加入したときは、加入通知書というのは来なかったと思います。最近は出すようになったのですね。そうなってくると、建設に入られている方は、どうして自分がこの手帳を持っているのかという意味さえ分からない人がたくさんいると思います。建設労働の人たちは会社からきめ細かいサービスがされていないので、いろいろなことを教えてもらっていない人がすごく多いと思います。だから、加入のときと、それから、「ねんきん定期便」のように自分はこれだけ払っているからお金がもらえるのだなと分かれば、手帳の重要性とか、それから、更新の重要性とか退職届の重要性が分かると思います。そういう情報が欠落しているのではないかと思ったので、お聞きしました。それから、中退金に関しては企業ベースでやっていますから、企業のほうは、機構に対し引落しの中止は言いますが、社員に対して、退職のときにきちんと説明しているかが懸念です。中小企業の場合にはそんなに手厚く退職の説明をしないと思います。会社などでもどこでもそうなのですが、退職のときにものすごくいろいろな書類があるので、本人たちにきちんと伝える仕組みが必要だと思います。中退金を退職した人たちのための、退職時に渡す何かとかチェックシートみたいなものがないと、本人は、多分自分の中からはそんなに重要なものと考えていない可能性があります。そうなってくると、加入通知書とか、あるいは退職時のお知らせというのを企業経由で、引き続き未請求者に対して送っていくようなことが必要だと思います。今のように企業頼りでは、なかなかうまくいかないと思うので、御本人に直接行くような形のことはできないのかと思ってお聞きしたのです。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 この制度、中退共制度は、機構は事業主を契約相手にしているということで、従業員とは直接関係を持っていなくて、従業員の住所を把握していないのです。それは退職が発生して、今までだと請求書が届いて初めて住所の確認が取れるという流れだったのですが、先ほど総務部長からもお話がありましたように、事業主が退職届という形で、この者が辞めたのだという連絡をしないと掛金をストップできませんから、それをされる際に住所も併せて取得できるようになるわけです。この率はかなり高くなってきまして、去年5月頃から新しいスタイルに変えて、進んできて、今は96%ぐらいが退職届に住所を書いてきております。ですから、それでもなお未請求というような状況があれば、3か月経過したところでは、その住所によって、直接請求を促すこともできますし、また、住所がないような場合については事業所に直接、文書によってお聞きして、請求を勧奨していくことができるようになったわけです。

 

○柴田委員 

3か月でよいのですか。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 余り早めになりますと、お客様というか被共済者の方も、手続に要す時間も12か月ありますので、行った、行かないというような状況になってしまいますから、3か月の期間を見て実施しております。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 補足しますと、退職届には従来から住所欄はあって、任意記載事項ということだったのですが、昨年度、厚生労働省に省令改正をしていただいて、必要記載事項、法的義務というふうに書いていただいたので、今後も住所の把握はよりいっそう可能になってくるかと考えております。

 

○柴田委員

 建設の、御本人に知らしめることは可能ではないのでしょうね。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 建設の辞書に不可能はないといいますか、全て可能なのですが、コストを伴います。今、新規加入は年間12万人です。そこの新たに加入された方は初めての方ですので、全て加入通知を差し上げております。年間の更新件数は約50万件あります。被共済者全体で300万人おります。年間の更新者全てに御通知を申し上げますと、印刷費を除きましても少なくとも80円×50万件で4,000万円になります。やはりコストを見ていかなければいけないと思います。繰返しになりますが、私どもが今、メインで取り組んでいるのは、新規加入者に御通知を申し上げて、あるいはいろいろな宣伝活動をして、例えば、10月の強化月間にNHKに放送をいただいたりしておりますが、ホームページも掲載していますし、この現場の事業は建退共の対象事業だという現場標識も設置しております。いろいろな取組をしておりますので、その辺の費用対効果を見ていきながら検討したいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 先ほど、言葉が足りなかったのですが、一般の退職金制度につきましては、事業主がこちらに退職届を提出することとか、事業主が退職金の請求書を従業員に交付することが義務づけられていますので、まずここをクリアしていただくことです。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 建設のほうからも補足させていただきますが。

 

○柴田委員

 すみません。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

20ページの資料の繰返しになりますが、平成24年度の長期未更新者調査、過去3年間更新がなかった方々全員です。その方々に対する調査をした結果としまして、手帳更新につながった者が約1割強、3,100人、もう退職していたのだけど、退職金の請求を忘れていたという方々が1,500人弱で、それなりの効果を得ているかとは思います。当然この調査は事業主を通じてやりますが、基本的には被共済者本人への調査です。

 

○今村部会長

 よろしいでしょうか。次はグループ3です。「サービスの向上」から「加入促進対策の効果的実施」までの項目について評価を行います。評価シートの評価項目811に該当する部分です。所要時間は法人からの説明20分、委員の評定と質疑10分、合計30分の予定となっております。それでは法人から説明をお願いいたします。

○勤労者退職金共済機構総務部長

22ページです。評価項目8「業務処理の簡素化・迅速化」です。数値目標は中小企業退職金共済事業におきましては受付から25日以内、建設業退職金共済事業、清酒製造業退職金共済事業、林業退職金共済事業につきましては受付から30日以内となっています。評価の視点としては加入者が行う諸手続や提出書類の合理化を図るとともに、機構内の事務処理の簡素化・迅速化を図る観点から諸手続、事務処理等の再点検を行い、必要な措置を講じているか等々となっています。

23ページです。平成24年度に取り組んだ具体的な事務処理改善策です。昨年度、復興特別の所得税等に関し税制改正が行われたところですけれども、職員の提案を受けて退職所得の源泉徴収関係の研修等を行ったところです。また、帳票類等の送付の際に機構を経由してこれまで行っていた発送業務を、委託業者から直接金融機関に送付する仕組みと改善を図りました。そのほか、ホームページ上のQ&Aにつきましては、より分かりやすいものとするために文言の統一を行ったところです。退職金の支給にかかる処理期間としては、中小企業の退職金共済事業について25日以内を維持しておりますし、特定業種の退職金共済事業については30日以内の目標以内にとどまっていることを検証しています。数値目標を達成していますので、自己評価としては「A」としています。

24ページです。評価項目9「情報提供の充実、加入者の照会・要望等への適切な対応等」です。数値目標としては第1期の中期目標の最終年度、平成19年度と比較してホームページのアクセス件数が10%以上増加しているかどうかです。評価の視点としては、ホームページの活用による情報提供の充実に向けた取組が実施されているか等々となっています。

25ページです。「ホームページの活用による情報提供の充実」です。左側の四角ですが、1つ目の○で、加入から退職金請求までの制度内容を周知するためのモバイルサイトを構築しました。2つ目の○ですが、先ほど申し上げた復興特別所得税に伴う税制改正があり、税務署長や市町村長に提出する「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」の様式が変更されましたので、新しい様式をホームページでダウンロードできるように掲載し、中退共だよりでも周知をしております。3つ目の○ですが、確実な退職金の支給のための取組として、厚生労働省において中退法の施行規則の改正が行われ、本年の1月から中退共制度において被共済者が退職した際に提出する退職届や、特退共制度における手帳を更新する際に提出する共済手帳の更新申請書ですが、こちらに住所を記載することが義務づけられましたので、これらのことを周知しています。その下の枠ですが、ホームページのアクセス件数です。赤字で書いてありますように220万件あり、77.2%増となっています。

続いて右側の欄、「相談業務の充実」です。1つ目の○ですが、相談コーナーを8か所から2か所に縮減することが独法改革の中で言われましたので、これにより相談コーナーを名古屋と大阪に集中しています。しかし相談が本部に集中することが想定されましたので、機構の本部の移転に合わせてコールセンターによる問い合わせを導入しました。コールセンターの稼働状況についてはリアルタイムで管理、把握できるシステムを導入して、回線数や要員体制を拡充しています。その結果、電話でお待たせするお客さまの数が減り、コールセンターの発足当初は事業本部に電話を回して相談を解決する率が高かったのですけれども、今年の3月はコールセンターのみで対応できる割合が半分を初めて超えたところで、そういう相談体制を充実しています。2つ目の○ですが、相談対応のQ&Aを追加・修正しており、また、専門的な相談内容についての担当部署の明確化をしています。3つ目と4つ目の○は、先ほども説明しましたけれども未請求権者にかかわるもので、共同通信等の報道を受けて問い合わせが急増しましたけれども、適切に対応したというものです。特に9月の共同通信の報道を受けての未請求退職金に関する加入の有無等の問い合わせについては9,000件近くに及んだわけですが、迅速に調査をして開示等をしています。未請求の方、161件に支払いすることができたということです。5つ目の○ですが、建退共において相談対応の応答マニュアルを作成したものです。

最後に下段の照会、要望等への適切な対応ですけれども、ホームページでの御意見、御質問、あるいはアンケートフォームを基にして相談業務の満足度を集計しています。それから今後の業務運営に反映させています。ホームページのQ&Aに付けましたアンケートフォームについて、参考にならなかったとするところが10.9%ということです。その中のコメントを確認したところ、制度そのものに対する不満が記載されていましたので、制度改正に関わるものは対応できないのですけれども、参考になる意見もありましたので、機構独自で対応できるものについては対応しています。例えば退職金についての一番最初のQ&Aが、支払いの流れはどうなっていますかというものですけれども、退職金が支払われるまでの日数が書かれていなかったという意見をいただきました。確かにこのページには支払いまでの流れだけを説明しており、日数が書いていないということについては新たにQ&Aを別に作ってやっているのですけれども、なかなか分かりづらいということでその改善をしています。

こういうことで、アクセス件数も大幅に増えたこと、あるいは相談業務の充実を図って、新聞、報道等にも的確に対応したということで、自己評価としては「A」としています。

26ページです。評価項目10「積極的な情報の収集及び活用」です。評価の視点としては関係団体の有識者から機構の業務運営に関する意見・要望等を聴取し、ニーズに即した業務運営を行っているか等々となっています。

27ページです。まず左上の欄、参与会です。外部の有識者を構成員として中退共、特退共別に各1回、合同で1回、計3回開催しています。事業概要、独法評価委員会での評価結果、あるいは昨年の場合ですと中期計画案、年度計画案についての報告をしたところです。右側に記載されていますように、主な要望としては情報管理の徹底という声もありました。機構においても、被共済者情報を始めとして情報管理の徹底は最も気を遣わなければいけない業務だと考えており、個人情報管理規程、あるいは情報セキュリティーのための対策基準を作成し、個人情報にアクセスする権限を有する者を必要最小限の職員に限定すること、それから個人情報のコピー、送信、持ち出し等を制限することを定めています。また、システム上、個人情報にアクセスする権限を有する者を必要最小限の職員に限定し、あるいはそのアクセス記録の保存といったこともやりまして情報流出を防止しています。ウイルス対策も講じているところです。

それから下の左側の段、退職金制度の実態調査ですけれども、平成24年度は加入事業所を対象としてアンケート調査を行ったところです。右側が主な結果ですが、1つ目のポツ、退職金の支給実態としては退職金一時金のみとするものが87.1%2つ目のポツ、支給については慣行としているのが61.4%と半数を超えていること。3つ目のポツですが、算出方法は中退共支給額とする割合が77.5%4つ目のポツとしては、特別加算金は特になしとするところが83.7%になっています。いずれも加入事業所に対するものですので、そういう傾向かと思います。

これらの取組は毎年度行っていますので、特別な取組とはいえないということで、自己評価は「B」としています。

28ページです。評価項目11「加入促進対策の効果的実施」です。数値目標はそこに掲げていますとおり、合計で457,030人となっています。評価の視点としては、加入目標数の達成に向けて着実に進展しているか等々となっています。

29ページです。真ん中の青紫色の欄ですが、加入促進対策の重点項目です。中退共におきましては個別事業主に対する加入勧奨、あるいは既に加入している事業所宛、全てに対して追加加入勧奨を実施しています。また平成24年度におきましては厚生労働省、あるいは日本医師会とも連携して日本医師会会員に対する加入勧奨を行いました。また建退共におきましては未加入事業主に対するダイレクトメール、マスメディアを活用した広報等を実施しています。清退共につきましては日本酒メーカーはほぼ全て加入しておりますので、全国の酒類製造名鑑から抽出した未加入事業所に対して、文書による加入勧奨を行っています。林退共につきましては緑の雇用対策事業との連携ということで、ほかに国有林事業の受託事業体の中から未加入事業所をピックアップして、機構から加入勧奨を行っています。また林野庁のお力も借りて加入指導をいただくように要請するといった取組をしているところです。

こうした取組を頑張って実施したところですけれども、その下の加入実績を見ますと、中退共で321,508人で達成率が96.7%、それから建退共につきましては12470人で達成率が98.7%、清退共が144人で達成率が110.8%、林退共が1,873人で達成率が81.4%ということで、機構全体での取組としては443,995人で達成率が97.1%となっています。清退共を除きまして加入実績が加入目標を下回るという状況になっていますけれども、その原因は一番上の「取り巻く環境」というところに記載したとおりで、中小企業、またそれぞれの業界を取り巻く環境が厳しいことにあると考えています。また中退共につきましては、これらの厳しい経済環境に加えて適格退職年金からの移行が平成23年度末で終了したことの影響が極めて大きくなっています。単純に平成23年度と比較しますと72.6%ということで、3割減少しておりますけれども、適格退職年金制度からの移行分を除きますと102.8%と、逆に平成24年度のほうが上回っております。第2期の中期目標を立てる際に平成24年度は適格退職年金分がなくなるということで、平成23年度の加入目標数が405,600人に対してそれを下回る332,600人と設定したところですが、中期計画に見込んだ以上に適格退職年金からの移行が大勢を占めていたかと思われます。この適格退職年金の制度は平成14年度に廃止が打ち出されており10年かかったわけですけれども、平成23年度末の駆け込み移行というのが想像以上に大きかったのではないかとみております。それから建退共につきましては、ここ数年建設投資額が政府、民間とも大きく落ち込んだこともあり、加入実績も目標を下回っておりましたけれども、平成24年度は建設投資額が増加に転じたこともあって、加入実績も平成23年度に比べますと7%以上上回っています。林退共については国産材の価格が更に低迷したということもあって、目標は下回っているところです。

以上中小企業やそれぞれの業界を取り巻く環境が厳しい状況にあるものの、清退共を除いて加入目標を達成できなかったということで、自己評価としては「B」としています。以上です。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。それでは委員の皆さまは811の評価項目につきまして、評定記入用紙に評定結果及び評定理由等の記入をお願いします。なお、この間質問等ありましたら適宜発言をお願いします。

 

○松尾委員

29ページですが、取り巻く環境によって対象になっている企業が大企業でなく、いわゆる中小企業、その他非常に厳しい条件にあるということは分かるのですけれども、翻って機構が企業に対する、言葉は強いかもしれないのですけど指導とかそういったことを促さないと、例えばホームページは労働者の人でどれぐらい自分で見ることができる人がいるのだろうかと考えてしまいますので、企業の責任はすごく重いと思うのですけれども、その辺りのところはどのように考えておられるのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 中退共について、加入勧奨につきましては、ホームページもさることながら制度説明会等々各地で開催し、事業主の方ですが参加いただいて勧奨活動を行っているというものです。基本的にはやはり任意加入ということですので、制度はあるけれども任意で事業主が加入していただくというものですので、それぞれの企業の経営状況に応じてというところの限界性はあるかなと考えています。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 若干補足させていただきます。今回適格退職年金制度が廃止されたことが非常に大きな影響になっているわけですけれども、新たなものとして厚生年金基金の解散という問題があります。この中で総合型には中小企業も多く含まれるということもありますので、来年の4月に制度自体は発足するということですので、まだ関係の政省令等々できておりませんけれども、中退共制度を所管しております勤労者生活課とよく連携しながら、制度面からの取組も今後やっていきたいと思っております。

 

○勤労者退職金共済機構建退共事業本部建設業事業部長

 建退共についても説明します。毎年12万人の被共済者が加入しておりますが、一方で新規に契約する事業所の加入動機を調べております。約4割が元請からの指導、あとの4割が発注者からの指導、あと2割がその他、私どもの広報活動となっております。平成11年当時、当時の建設省と労働省で連携して、少なくとも公共工事については入札手続の中で応札する参加資格として、建退共に加入していること、それから契約を落札して契約後1か月以内にその工事契約金額に見合った建退共証紙を購入して、掛金収納書を発注者に提示することということで、現在1,700ほどの地方公共団体のうち、1,600ほどで加入・履行しているという私どもの都道府県支部が発行します証明書、あるいは掛金収納書をチェックしております。それから新規の加入についてはほかの年金制度とは違い、任意のため強制のものではないわけです。

先ほど説明の中にもありましたし、先ほど柴田先生の質問に対してもお答えし忘れましたが、ダイレクトメールを毎年15,000ないし2万件、平成24年度は2万件発送しております。その2万件の選び方は、いわゆる建設業の許可を取っている業者のリストが公表されておりますので、それをオールジャパンで並べて、建退共に加入しているかどうかのチェックをして加入していない会社のうち、完成工事高の上位から2万社を選んでいます。この2万社に対してダイレクトメールを送り、実績としては約500社が加入しております。率として2.5%ですので、これは比較的コストパフォーマンスがいいやり方かなと自負しております。以上です。

 

○志藤委員

 質問ですが、とにかく加入の促進が大事な目標になっていると思うのですが、25ページの相談業務の充実で多分共同通信が地方紙に出した記事として、あなたは退職金をもらい損ねていませんかというような形のトーンでの、こういう権利があるのですよということが新聞に出て、それを読んだ方からの質問があって、それに対して迅速に対応したということですが、この数字はやっぱり驚くべき数字だと思うのですが、加入なしということが、つまり請求権があってしていない人は1.8%90%ぐらいの方は加入をしていないわけですよね。それは個人の責任ではなくて企業として加入していなかったからということなのかどうか、その辺りの追跡調査や、あるいは、その結果これだけの人が加入していなかったという事実はすごく大きいと思うので、そのことをどう受け止めて、例えばそれをどういう形で次につなげていこうとされているかということ、少しお話伺えればありがたいと思います。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 この共同通信社からの配信ですけれども、不特定多数の方からの問い合わせがありまして、もちろん退職金制度といったら国の制度の中退金に必ず自分は入っているのではないかというようなニュアンスで、私は加入しているのかなということでの問い合わせが入ってきたわけですけれども、やはり結果的にはほとんどの方が加入なしということで、87.9%、それ以外の方では実際にもう退職金をお支払いしている方もいらっしゃいました。もらったのを忘れられているかもしれないですけれども。それから実際に請求権があったのは1.8%ですので、この方については請求ができるような手はずについては、もちろんフォローしております。それ以外には12月未満で請求権がなしの方もいらっしゃいました。この共済制度は1年未満は掛捨てで、1年以上2年未満については掛けた額を下回ってしまうという共済制度なのです。いわゆる1年未満につきましては請求権なしということでした。それから実際在籍中であるという方も中にはありました。あとは中退共制度だけではなく、厚生年金という形で必ず会社は入れてくれているのかなと思われている場合もありました。また商工会議所等が運営しています特定退職金共済制度と勘違いされて問い合わせてこられる従業員もいましたけれども、その問い合わせについては一つ一つ丁寧に対応して、文書をもって回答した次第です。

 

○今村部会長

 ちょうどそのページの下にあるので、それとは直接関連がないのですが、御利用者の声アンケート用紙ということで、よく見ると51件、サンプル数としては非常に少ないのと、それから「非常によかった、又はよかった」と合計して出してはいますけど、非常によかったがこのうち何割占めるかは結構重要な情報だと思うのですが、この辺の見せ方の工夫。今、分かりますでしょうか。非常によかったが何%ぐらいかというのは。あえて隠されているのか、隠してはいないと思いますけれど。分からなければいいです。貴重な情報ですので、この辺は追加をお願いします。

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 決して何となくごまかしているという気は全くございません。

 

○今村部会長

 多いには越したことはないので、いかがですか。よろしいでしょうか。

○今村部会長

 最後がグループ4、「財産形成促進事業」から「積立金の処分」に関する事項までの項目の評価を行います。評価シートの項目の12番から18番に該当する部分です。所要時間は、法人からの説明が15分、委員の評定と質疑が5分、合計20分となっております。それでは、法人からの説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 それでは30ページを御覧ください。評価項目の12、「財産形成促進事業」の(1)融資業務について、(2)周知についてです。数値目標としては財形取扱店において借入申込書を受理した日から18日以内に、融資の貸付決定を行ったか等々となっております。評価の視点としては、制度内容等の変更後7日以内にホームページで公表する等により、利用者に対する十分な制度の周知・説明に努めたか等々となっております。

31ページを御覧ください。(1)の融資業務についてです。通信講座の受講等により、担当者の融資の審査能力の向上に努めております。また、貸付金利の設定について住宅金融支援機構、あるいは厚生労働省と意見交換を行い、適切な貸付金利の設定を行っております。東日本大震災の被災者に対する特例措置を実施したということです。右側の欄が貸付決定までの処理日数です。目標は18日以内ということにしておりますけれども、18日以内に処理できたものは99.5%となっております。これに満たないものが4件ございました。これはいずれも沖縄で申し込まれたもので、郵送日数がほかの地域に比べてかかったとか、そのうち1件は年末年始を挟んだということで、18日を超えてしまったものです。平成25年度からはこういったことがないように、金融機関と連携を密にして、目標とする処理日数で支払うことにしております。実際に今年度も既に沖縄で申し込まれたものがございますが、数値目標以内の12日で貸付決定をしております。

32ページを御覧ください。財形融資制度の周知です。ホームページの全面的な改訂を行い、これまで個人に対する財形融資の説明が中心だったものを、事業主に対して、財形貯蓄制度の導入を勧めるページ、あるいは財形貯蓄制度の取扱金融機関の一覧のページを作るなどして、財形制度の貯蓄から融資まで、個人に対しても事業主に対しても必要な情報を分かりやすく提供することにしました。また、パンフレット、リーフレットの申込みに係る手引書についても、事業主に対して財形貯蓄制度の導入を勧めるものがありませんでしたから、新たに作ったところです。

 ホームページのアクセス件数については、182,963件ということで、目標を30%ほど上回っております。5の退職金共済事業における共済契約者への情報提供、あるいは各種会議等における周知等ですが、「中退共だより」の広告掲載とか、未加入事業所に対して共同でパンフレットを送るとか、既に加入している所にパンフレットを送るといった取組を行っています。6の外部委託の活用や関係機関との連携ですが、関係機関の5,137か所にリーフレットを送付しておりますし、関係団体が行っているメールマガジンや情報誌への記事掲載を行っています。

以上のとおり、周知のための新たな取組を数多く行ったところですけれども、(1)の「融資業務について」では、18日を超えるものが4件あったということで、自己評価は「B」としたところです。

33ページを御覧ください。評価項目の13、「累積欠損金の処理」です。数値目標として、累積欠損金の解消計画の年度ごとの解消目安額が、中退共については180億円、林退共については9,200万円を達成しているかどうか、評価の視点としては、健全な資産運用や積極的な加入促進により、収益の改善が図られているか等々となっております。

34ページを御覧ください。中退共の給付経理の状況です。青い折れ線グラフが中退共の累積欠損金、赤の直線が累積欠損金の解消目安額180億円を表示しております。緑の棒グラフは上下になっておりますけれども、棒グラフの高さが赤の直線の点を上回っておりましたら、目安額を超えている状態、目標を達成したということになります。下の表の一番右側の欄が、平成24年度末の数字です。その真ん中の欄にありますように、運用等収入が2,595億円ということで、大幅に超過しております。この結果、一番上の欄にありますように、2,279億円の当期利益金を計上しております。その結果、下から2番目の欄に△になっておりますけれども、538億円の利益剰余金を計上することになり、累積欠損金は平成17年度に策定した累損の解消計画を、5年前倒しで達成することができたということです。

 続いて35ページを御覧ください。林退共の累積欠損金の解消状況を示したグラフと表です。見方は先ほどの中退共と同様です。表の一番右側、平成24年度末の欄の真ん中ですが、運用等収入が38,900万円ということで大幅に伸びて、一番上の欄にありますように、当期利益金が2800万円を計上し、下から2番目にありますように、累積欠損金は109,600万円に減少しております。林退共の場合は経理規模が小さいことと、株式等のリスク資産の割合が小さく、国内債券を中心に安定的な運用を行っておりますので、毎年度の解消目安額が9,200万円ということで、平成24年度は当期利益金がその2倍以上となっております。

 この累積欠損金の処理については、運用環境によるところが大きいのは事実ですけれども、委託運用のパフォーマンスを向上させるため、取組の成果も含まれていることと、これまでの評価においても累積欠損金が大幅に減少すれば良い評価、大幅に増加すれば悪い評価というように、この部会でも結果をもって評価されてきたということもありますので、平成24年度については、中退共は5年前倒しで累積欠損金を全て解消することができたこと、林退共も解消目安額の2倍以上上回る額を出したということで、自己評価は「S」とさせていただいております。

36ページを御覧ください。評価項目の14、「健全な資産運用等」です。数値目標は各事業本部の委託運用について、おおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたか、評価の視点としては資産の運用であって、時価又は為替相場の変動等の影響を受ける可能性のあるものについて、資産運用の実績、資産運用の基本方針が明らかにされているか等々となっております。

37ページを御覧ください。平成24年度の運用実績について、外部の専門家からなる資産運用評価委員会からいただいた評価を抜粋したものです。評価に当たっては、資産運用の基本方針に沿った運用がなされているかどうかを中心に評価いただきました。次の「運用目標の達成状況」の3つ目の○にありますように、委託運用については、全体で見ればベンチマークとほぼ同等のパフォーマンスとなっているという評価をいただいております。また、4つ目の○にありますように、累積欠損金の解消状況については、先ほど御説明したような評価をいただいております。次の「基本方針の遵守状況」についても、各事業とも全般として基本方針に沿った運用に努めているという評価ができる、という評価をいただいております。

38ページを御覧ください。評価いただいた内容について、個別に見ていきます。委託運用のパフォーマンスを向上させる取組として、委託運用機関の適切な選定、管理、評価の実施をしております。定性評価により運用機関を選定しましたし、四半期ごとの運用状況のヒアリングを行うとともに、毎年度定量・定性評価により解約を行っています。平成24年度も、中退共については2ファンドを解約、1ファンドを減額し、その分を4ファンド増額に回しております。建退共については2ファンド解約、3ファンド減額、その分6ファンドの増額に回しております。また、従来機構では民間金融機関からの出向者を中心に運用しておりましたけれども、専門性のある実務経験者を中途採用するということで、公募により平成244月から、中途採用者を受け入れております。もちろん職員の能力向上も大事ということで、職員向けの講習会の開催もして、能力向上を図っております。

 それから、平成24年度の資産運用のパフォーマンス状況も好調で、左側の四角の中退共の決算の運用利回りが6.89%、下の表の委託運用の時間加重収益率が15.45%、超過収益率が0.44%となっております。右側の建退共の給付経理については、超過収益率が0.37%ということで、中退共に比べて資産規模の小さい建退共は、委託運用機関に国内債券や国内株式といった複数の資産運用を併せて委託しております。これにより評価額が変動した場合には、リバランスもお願いしており、複合ベンチマークとの差を記載しております。

39ページを御覧ください。超過収益率の算定方法は、建退共給付経理と同様ですけれども、建退共事業・特別給付経理が△の0.08%、清退共給付経理が△の0.38%です。清退共事業・特別給付経理は自家運用のみです。林退共については0.06%となっており、全体として見れば、ベンチマークとほぼ同様のパフォーマンスと考えております。

40ページを御覧ください。評価の視点として外部の専門家から、運用実績の評価結果を事後の資産運用に反映させているかという項目がございます。平成23年度の評価結果、特に留意事項について、平成24年度にどのように対応したかを記載したものです。真ん中にその留意事項が書いてあります。欠損金の解消についての記載ですので、ここの説明は省略させていただきます。

 以上のとおり、委託運用機関に対して適切な選定、管理、評価を実施した結果、各事業本部の委託運用については、おおむねベンチマークと同等以上のパフォーマンスが達成されたと考えておりますので、36ページにありますように、評価項目の14については、自己評価は「A」とさせていただいております。

41ページを御覧ください。評価項目の15、「財産形成促進事業」「雇用促進融資事業」です。評価の視点として、財形融資について累積欠損金の解消に向けて、収益改善及び業務経費の削減等に関する具体的な計画を策定し、当該計画を着実に実行したか等々となっております。

42ページを御覧ください。上の欄が「財産形成促進事業」です。累積欠損金の解消ですが、平成24年度は利益として43億円を計上しております。その結果、累積欠損金を解消いたしました。これにより貸付金利は冒頭に説明させていただいたように、累積欠損金の解消分を見込んで金利を設定しておりましたので、10月に見直しを行い、金利の引下げを行っております。運営費交付金については平成24年度限りということで、今年度からはゼロとなっております。下の欄が「雇用促進融資」です。債権管理については業務指導を38回、法的措置を3回実施しております。財政投融資の償還についても約定どおりということで、元金と利息を返還しております。平成24年度に累積欠損金を解消したこと、貸付金利設定も見直し・引下げが実現できたこと、運営費交付金が平成24年度末をもって廃止されたことにより、41ページにございますように、評価項目の15については、自己評価「A」としております。

43ページを御覧ください。評価項目の16、「その他業務運営に関する事項」です。評価の視点としては、退職金機構ビルから同別館について早急な検討が実施されているか等々となっております。

44ページを御覧ください。本部は平成245月に移転したわけですけれども、移転に向けての打合せを頻繁に行い、5月の連休中に滞りなく移転を行いました。また、港区にあった旧本部の土地・建物については、一般競争入札を実施して落札者と売買契約を締結し、年内に物件の引渡しを行いました。その下の段の「退職金共済事業と財産形成促進事業の連携について」は、共同で情報誌に広告を掲載するなどの取組を行い、評価項目16についての自己評価は「A」としております。

 続いて45ページを開いてください。評価項目の17、「予算、収支計画及び資金計画」等々となっております。評価の視点としては、中期計画の予算の範囲内で適正に予算を執行しているか等々となっております。

46ページを御覧ください。緑の棒グラフとオレンジ色の棒グラフが並んでいます。緑の棒グラフが当該年度の予算額、右隣の棒グラフが当該年度の決算額となっております。平成24年度においても、予算額を下回る決算額となっております。この背景には業務・システムの最適化、未請求や長期未更新対策に係る調達は全て競争入札としておりますし、随意契約の適正化を図ったところです。四半期ごとに予算の執行状況を把握するということで、各事業本部への経費節減の指示もしております。第6は「短期借入金の限度額」です。財形促進事業の資金繰り上発生する資金の不足の対応のために、428億円の限度内ということで借入れを行っておりますが、平成24年度もこの限度内で対応しております。こういうことで評価項目の17については、自己評価「A」としております。

 最後の47ページが、「職員の人事に関する計画」です。評価の視点としては、職員の採用、研修、人事異動等について、適切に実施しているかということです。

48ページを御覧ください。機構のトップ、理事長と管理職職員との個別面談を実施しており、理事長側からは業務上の問題点の把握、職員側からは業務遂行における役割等を明らかにして、意識等の向上を図っております。また新任の管理職、課長代理については、民間企業の職員が参加するセミナー等にも積極的に参加させております。新規の採用職員については、応募者数が非常に多数に及んでいるということで、従来から行っていた筆記試験と、平成22年度から始めた集団討論による面接と最終個別面談に加えて、平成24年度の新たな取組としては、若手職員との初期面談を実施し、新規の採用を行っております。先ほど御説明したとおり、資産運用調査役を中途採用しており、これが平成244月から稼働しております。評価項目の18については、新規採用における新たな取組や、資産運用調査役の中途採用という新たな取組を行ったこと、あるいは機構理事長と管理職員との個別面談に取り組んでいくということで、自己評価は「A」としております。

評価項目12から18の説明は以上です。よろしくお願いします。

 

○今村部会長

 ありがとうございました。それでは委員の皆様、評価項目12から18について、評定記入用紙に評定結果及び評定理由等の記入をお願いいたします。御質問等がありましたら、適宜御発言ください。

○小西委員

34ページの「中退共の給付の経理」の下の表に関して、1点教えていただきたいことがあります。平成24年度末については、累積欠損金はマイナスになったということですけれども、その上の括弧書きの「当期利益金」という所が、掛金等収入と運用等収入に分かれていて、掛金等の収入が平成23年度末と比べて大幅に減っているのです。これは一体どういったことが理由だったのでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構中退共事業本部業務運営部長

 これは先ほど来出ております適格年金制度からの移行です。これが平成23年度末で終了しており、その部分が入ってこなくなったというところで、大分落ちております。

 

○宮崎委員

 同じく34ページで教えていただきたい。平成24年度に運用で2,279億円の利益が発生して、累損が解消されたというのは非常に良いことだと思うのですが、その結果、今度は反対に538億円ほどの利益剰余金が出たわけです。この剰余金については加入者や契約事業主への還元という観点から、掛金の削減であったり、給付増であったり、一定の財形再計算をされた上での見直しだと思うのです。今後、この利益剰余金に関してはどのように検討されていくのかという点を、御説明いただけますか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 中退法上で利益剰余金が出たときは、その半分を累損の解消に充てて、半分は付加退職金というものを払うことになっております。昨年、労働政策審議会で御議論いただいて、今年度付加退職金はお支払いしないということになったわけですけれども、平成264月に付加退職金をどうするかについては、今回の538億円の状況とか、これからの運用状況などを見て、公労使三者の委員会で御議論いただき、その分を被共済者のほうに還元するかどうかを御議論いただくことになろうかと思います。

 

○今村部会長

 この報告書には書いていないのですけれども、累積欠損金の解消について、もしかしたらということで質問します。これと機構ビルの売却との関係は何かあるのでしょうか。つまり、ただ単に市場価格が好転したのではなくて、経営判断が良かったと思うのです。機構ビルの売却によって、平成24年度中に運用資金が増加したことで、掛け算で利益が上がったということがあるのではないかと推測されるのですが、その点についてはいかがでしょうか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 部会長がおっしゃるとおりです。先ほど機構ビルの売却の金額は御説明しませんでしたけれども、78億円ほどで売れております。それも当然剰余金の中に入っておりますので、それも影響を与えております。

 

○今村部会長

 この利益は、個別勘定にはどういうように配分されたのですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 もともと中退のものということでやっていますので、売却益は中退の中に入っています。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 特別利益として計上しております。運用収入には入れておりません。

 

○今村部会長

 では、欠損金の解消とはどういう関係があるのですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 最終的には特別利益が当期利益の中の2,279億円に入っております。結論としては部会長がおっしゃるように、解消に役立っているということです。

○今村部会長

 掛け算としてなるのではなくて、当期利益で入っているだけですね。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 そうです。

 

○今村部会長

分かりました。ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 

○勤労者退職金共済機構総務担当理事

 あと、先ほどの部会長の御質問で、25ページのアンケート結果についてです。「非常によかった又はよかった」の分類ですが、「非常によかった」が36件、「よかった」が11件、それ以外が0件ですので、7割以上が「非常によかった」という分類です。

 

○今村部会長

 では、かなり高いですね。以上で全ての項目の評価が終わりました。それでは次の議題に移ります。次に議題4、「勤労者退職金共済機構の役員退職金規程の改正について」です。審議に先立ち、事務局より説明があります。

 

○政策評価官室長補佐

 独立行政法人の役員退職手当規程について御説明いたします。資料集の32ページです。「独立行政法人通則法第52条第2項の規程に基づき、役員退職手当規程を変更した場合には、法人はそれを厚生労働大臣へ届出るとともに公表すること」とされております。今般、国家公務員の退職手当の見直しに伴い、法人において役員退職手当規程を変更したため、大臣宛てに届出がございました。当該届出があった場合については、同法第53条第1項及び第2項の規程に基づき、大臣は評価委員会へ通知することとなりますが、その際に「評価委員会は、その通知に係る退職手当の支給基準が社会一般の情勢に適合したものであるかといったことについて、大臣に対して意見を申し出ることができる」となっております。このため、今回お諮りするものです。

 

○今村部会長

 役員退職金規程の改正について、法人のほうから説明をお願いいたします。

 

○勤労者退職金共済機構総務部長

 資料2-7、「役員退職金規程の改正について」を御覧いただきたいと思います。平成2411月に国家公務員の退職手当制度が改正されて、退職手当の支給基準の引下げが行われましたので、当機構の役員の退職手当についても、所要の改正を行うものです。具体的には、3ページ目にある「役員退職金規程一部改正新旧対照表」を御覧ください。その第3条ですが、退職金の額については右側の改正後の所で「及び100分の86.35の割合を乗じて」となっており、これを乗じるものです。ただし経過措置がありますので、乗じる率を段階的に実施することにしております。1ページ目の資料のように、平成2511日から平成25930日までは100分の95.45、平成25101日から平成26630日までが100分の90.90、平成2671日以降が100分の86.35ということで本則どおりになるということです。規程の改正は31日ですけれども、改正の実施時期としては本年11日に遡って実施しております。

 

○今村部会長

 それでは本件について、御意見がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

 御意見がないようですので、本部会として了承としてよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○今村部会長

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。次に議題5、「長期借入金及び債券発行の実績報告について」です。まず事務局から説明し、続いて法人から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 先ほど御審議いただいた労働者健康福祉機構と同様に、勤労者退職金共済機構のほうからも、平成25年度長期借入金計画並びに償還計画に基づく、平成25年度第1四半期の長期借入金の実績の報告がございます。では、法人から御説明をお願いします。

 

○勤労者退職金共済機構財形事業本部勤労者財産形成部長

 資料2-9をお願いいたします。勤労者退職金共済機構の長期借入金と、債券発行の実績について御説明いたします。平成256月期の調達実績です。当機構で行っている財形持家転貸融資のため、毎年度6月、9月、12月、3月の年4回、資金調達を行っております。平成256月期においては左の欄にありますように、長期借入金により128億円を621日、償還期限平成26623日、借入利率1.572%、満期一括償還で調達しております。また、財形住宅債券については右の欄にありますように、206億円を627日に、償還期限平成30627日、借入利率0.4%、満期一括償還で調達しております。6月期の長期借入金及び財形住宅債券の調達については、欄外の注にありますように、それぞれ612日に厚生労働省から認可をいただいています。6月期の実績については以上のとおりです。よろしく御審議いただきますよう、お願いしたいと思います。

 

○今村部会長

 それでは、御質問等がありましたらお願いします。よろしいですか。

 

 それでは報告を承ったということで、本議題は終了いたします。

 本日の議事は以上です。次回の開催について、事務局から連絡をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 次回の開催は、814()13時からです。場所は厚生労働省共用第8会議室です。審議内容は労働政策研究・研修機構の総合評価、高齢・障害・求職者雇用支援機構の総合評価及び最終評価です。

 

○今村部会長

 本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり、御熱心な御審議をいただきまして本当にありがとうございました。どうもお疲れ様でした。


(了)

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