ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会調査研究部会)> 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第65回)議事録(2013年8月21日)




2013年8月21日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第65回)議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成25年8月21日


○場所

共用第8会議室


○出席者

:金倉部会長代理
田宮委員
定本委員
丸山委員
中村委員
清水委員

○議事

(以下、議事録)

 

○金倉部会長代理

 それでは定刻になりましたので、ただいまから第65回独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれましてはお忙しい中、お集りいただきまして、ありがとうございます。本日は酒井部会長が欠席となっておりますので、部会長代理の私、金倉が司会を進行させていただきます。また、馬場委員が欠席となっております。

 それでは議事等について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 本日の議事でございますが、お手元に配布しております議事次第のとおりでございまして、3つの独立行政法人についての御審議をお願いいたします。

 まず労働安全衛生総合研究所、次に国立健康・栄養研究所、最後に医薬基盤研究所という流れになります。この3つの法人について共通の御審議内容として、平成24年度の財務諸表に関する意見と、業務実績に関する総合評価について御審議いただきます。また、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所については、役員の退職金に関わる業績勘案率の決定について、御審議を併せて行っていただくことになります。

 総合評価の審議の順序ですが、まず各法人の財務諸表に関する意見について、財務担当委員からの御発言いただき、それを踏まえて御審議いただければと思います。

 次に平成24年度の業務実績について、前回まで委員の皆様方に個別評価の結果に基づいて、起草委員において、起草いただいた総合評価書()について、法人ごとに御審議いただく形になります。なお、これまで皆様方に御記入いただいた評定記入用紙、評価シート及び各委員の評定結果の一覧をお手元に配布しておりますので、御活用いただければと思います。

 本日、個別の評価について確定いただく形になりますが、何点か留意点を申し上げておきます。まず1点目、本日の財務諸表等に関する報告等により、個別評価の修正が必要となった場合は、お手元に置いてあります赤鉛筆で修正をお願いいたします。また、修正があった箇所については、付箋を付けていただければと思います。

 机上に配布しております個別項目に関する評価結果集計表というものがありますが、そこに書いてあります数値については、SABCDと評価のランクごとにS5点、D1点と各段階ごとの点数化したものです。そのように御理解いただければと思います。

 なお、委員名については、空欄としてあり、各委員の御自身の所だけ配布して、分かるような形の資料という作りになっておりますので、御確認いただければと思います。

 評定記入用紙については、部会終了後に事務局で回収いたします。机の上に置いておいていただいて、お持ち帰ることがないようによろしくお願いたします。本日は以上のような流れで御審議いただければと思います。部会の途中で法人、所管課の入れ替えを行うこととなります。以上でございます。よろしくお願いいたします。

 

○金倉部会長代理

 それでは審議に入りますが、まずは総合評価書、財務諸表に関する意見の取りまとめについて、委員の皆様にはお忙しい中、御尽力いただいて、ありがとうございました。

 始めに、労働安全衛生総合研究所について審議いたします。財務諸表に関する意見についてですが、独立行政法人通則法第38条に基づいて、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。それでは財務諸表について、担当の委員である清水委員から意見書の内容も含め、御説明をお願いいたします。

 

○清水委員

 清水でございます。よろしくお願いいたします。財務諸表については、82日に財務に関する説明をお受けいたしまして、そのときに同時に財務のヒアリングをさせていただきました。いろいろお話を伺いしましたが、お話の結果、あるいは私自身が財務諸表を拝見させていただいた結果ですが、財務の概要の把握はできました。なお、かつ財務の内容について、修正を必要とする事項がないものと判断をいたしました。

 また資料の中で添付されている監事の報告書を拝見させていただき、その中で内部統制の問題について、特別の指摘がないということで、作成されている財務諸表は、適正な数字によって表現されていると、示されているという判断をいたしましたので、意見書のとおりに承認することが適当と考えました。

 なお、もろもろの数字の中で、目標の中で掲げられている数字に届かない場所が若干あると思いますが、これらについては次期以降、努力していただいて目標に近づけるような、そういう結果が出るように期待したいと思います。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ただいま御報告いただいた労働安全衛生総合研究所の財務諸表について、御意見等がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 それでは平成24年度財務諸表に対する意見としては、資料1-1の案のとおり、修正意見はないようですのでこれを取りまとめて、厚生労働大臣に提出したいと思いますが、よろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 では、御承認いただいたものとさせていただきます。

 それでは続いて、労働安全衛生研究所の総合評価について、審議いたしたいと思います。審議については、まず事務局より平成24年度の総合評価書()について、概要の説明を行っていただいて、その上で起草委員から、今回の総合評価についてのコメントを頂きまして、その後、御審議いただければと考えております。

 では、事務局より総合評価書()の概要の説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは資料1-2を御覧ください。まず1ページ目の(1)評価の視点ですが、本評価については独立行政法人労働安全衛生総合研究所における第2期中期目標の2年目である平成24年度の業務実績について、労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究実施等が図られているか、更には業務運営の効率化、財務内容の改善及びその他業務運営の改善について、十分に取り組まれているかなどの観点から、第2期中期目標の2年度の達成状況について、評価を行うものとなります。

 続いて(2)の平成24年度の業務実績全般の評価についてですが、研究業務の実施については、種々の取組によって労働現場等のニーズを把握し、研究業務に反映するとともに、プロジェクト研究等に重点的に研究資源を投入し、高い研究成果を上げており、評価できるとしております。

 一方、今後、清瀬と登戸の両研究地区での産業安全分野、労働衛生分野の統合効果が目に見えるよう促進することを期待するとしております。

 研究評価については、内部及び外部評価の実施、国内外の基準の制定、労働安全衛生法関係省令等への活用について、評価できるとしております。また、研究成果のインターネット等による発信の実績については、高く評価できるとしております。

2ページ目ですが、労働災害の原因調査等については、社会的関心を集めた災害調査の迅速な実施、厚生労働省へのデータ提供等を始め、各種災害の原因調査で、研究所は中心的役割を担っていることについて、高く評価できるとしております。

 その他、労働安全衛生分野への研究振興への貢献、研究、教育支援や若手研究者等の育成についても評価できるとしております。また、経費節減に高い実績を上げたことも評価できるとしており、今後とも外部研究資金の獲得額の向上に向け、一層の努力を期待するとしております。これらのことから経費削減を図り、効率的な業務運営体制の確立を行いつつ、ニーズに合った労働安全衛生に関する質の高い研究を実施し、その成果を普及するため、インターネット等を経由して情報発信するとともに、労働災害の原因の調査等の実施に多くの実績を上げており、全体として高い水準で業務を実施したと評価できるとしております。

 続いて2の具体的な評価内容ですが、まず(1)の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項については、研究員自らの労働現場等の訪問、学会への参加等により、労働現場や行政ニーズの把握に努め、業務に反映していること、更にはプロジェクト研究費・人員を重点的に投入して、高い研究成果を上げており、評価できるとしております。

 なお、産業安全分野、労働衛生分野の統合効果の促進のほか、喫緊の課題については一層の成果の公表と、アピールを期待するとしております。また、研究課題については、内部及び外部による評価を適切に実施し結果を公表しているほか、法令、基準等の制定・改正に活用され、科学技術的貢献に寄与しており、評価できるとしております。

 更に学会発表や論文発表、安全衛生技術講演会は目標を上回る回数を実施し、特にインターネット等を通じた研究成果の情報発信では、研究所ホームページへのアクセス数が年間1,360,000件以上を記録し、目標の2倍以上の数値を達成するなど、その実績について高く評価できるとしております。なお、査読付き論文発表の増加、社会的注目度の高い研究成果の社会への普及、講演会参加者数の増加を図ることを期待するとしております。

 知的財産の活用促進については、特許権等の積極的な出願などを行い、評価できるとしております。なお、知財を活用することの位置づけや、方針を改めて明確することを期待するとしております。

 厚生労働省からの求めに応じて開始した労働災害の原因の調査等については、社会的関心を集めた印刷工場における胆管がん発症に関する災害調査が迅速に実施され、厚生労働省へのデータの提供等、短期間で大きな成果を上げていること。そのほか、化学工場爆発災害等の原因調査でも、研究所が中心的な役割を担っていること。研究所の報告が労働基準監督署で90%を超える割合で、活用されていることなど高く評価できるとしております。

 また、学術誌の発行等により、労働安全衛生分野の研究の振興に寄与しており、特に国際学術誌「Industrial Health」の年6回の発行、同誌への年間論文投稿数の増加等、評価できるとしております。

 連携大学院協定に基づく大学等への客員教授等の派遣による教育支援や、若手研究者を受け入れ研究指導を行うなど、労働安全衛生分野における若手研究者等の育成に積極的に貢献しているほか、海外研究機関との間で研究協力協定を締結し、これに基づく共同研究、研究員の相互派遣等の活動についても、目標を上回る水準で実施しており評価できるとしております。

 次に5ページ目の(2)業務運営の効率化に関する事項については、理事長のリーダーシップの下で、理事長打合せや各種幹部会議により、年度計画に基づく業務運営の進捗管理が行われており、的確な業務運営体制の確立を行っており、評価できるとしております。

 次に(3)財務内容の改善に関する事項についてですが、競争的研究資金、受託研究等の獲得など、自己収入の確保に向けて組織的に取り組んでいることを評価できるとしております。ただし、今後とも外部研究資金の獲得額の向上に向け、より一層積極的に取り組まれることを期待すると記載しております。また、予算、収支計画及び資金計画については、一般競争入札などを徹底するなどにより、経費の節減が図られており、その結果、平成24年度決算では、予算額に対する決算額が、人件費で93.4%、一般管理費で85.9%、業務経費で93.7%にまで抑制されており、評価できるとしております。

 続いて6ページ目の(4)その他、業務運営の改善に関する事項についてですが、人事に関する計画は、期限付き研究員の採用、若手研究員等の資質向上等適切に実施され、施設整備や年度計画に沿っており、更に情報の管理、研究倫理の審査等についても、研究倫理審査委員会をはじめとした各種委員会活動を通じて適切に実施されており、いずれも評価できるものとしております。なお、研究員の募集について、一層の採用応募者の増加に努めることを期待しております。

 続いて(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応ついては、財務状況として当期総利益19,000,000円は、主として施設及び機器の貸与料によるものであることや、人件費と経費削減が数値目標を上回ったことを記載しております。 3のラスパイレス指数については、研究職員が91.4%、事務技術職員が102%ですが、100%を超えているのは公務員準拠の地域手当の影響であり、今後とも適正な水準の維持に努めるよう記載しております。

 また、7ページ目の5契約については、随意契約見直し計画が実施され、一者は応札が減少しており、今後も競争性のある契約を行う努力の継続を記載しております。

 7の事務・事業の見直しについては、外部資金の獲得が18.6%にとどまっており、一層の外部資金の獲得に努めることが必要であるとしております。

 最後に法人と監事の連携が十分に行われていることを8のほうで記載しております。以上でございます。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございました。続いて、起草委員からのコメントとなります。起草委員を代表して田宮委員から、よろしくお願いいたします。

 

○田宮委員

 起草委員を代表して、報告をさせていただきたいと思います。労働安全衛生総合研究所は産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合され、平成184月に発足いたしました。平成23年度、第2期中期目標期間2年度目に当たる今年度の評価については、その統合による効果が最大限に発揮され、国民に提供するサービスその他の業務の質の向上、特に労働現場のニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた重点的な研究実施などが図られているかどうか、また、業務運営の効率化が一層なされているかどうか、あるいは財務内容の改善及びその他業務運営の改善がなされているかどうか、そういった点について十分に取り組まれているかどうかという観点から、達成度の評価をいたしました。

 ただいま御説明いただきましたが、業務運営については、いろいろな視点から一層の効率化が図られて評価できると思っております。また、調査研究業務については、研究員自らが現場に訪問されていること、また、災害調査等の報告書の大多数が労働基準監督署において有効に活用されていること、また、印刷工場において発生した胆管がん発症に関する災害調査を迅速に実施され、短期間で大きな成果を出されたこと、また、化学工場爆発もありましたが、その災害等の原因調査でも中心的役割を担われるなど、労働現場のニーズ・実態の把握に大いに努められ、それが適切に業務に反映されたのではないかと思っております。また、それらの成果については、学術誌の発行、インターネット公表などを通じて国内外への発信や普及に努めておられる点、また、国内外の労働安全衛生機関との連携、共同研究を推進されていることで、先ほどの御説明にもありますように、行政ミッション型の研究所として、高い水準の実績と成果を上げられておられると評価できるとは思っております。今後、このような高いレベルの行政ミッションを遂行しつつ、学術研究業績の更なる向上、外部資金の獲得、また若手の人材育成に更に励まれ、統合後これまで様々な工夫を重ねて推進されてこられた産業安全分野と労働衛生分野の統合、これは米国のNIOSHに見るように、労働者を守る上で在るべき方向への統合でもありましたので、このプロセスが一定の効果を持ってきたところで、更にシナジー効果が目に見えるように促進していただき、労働者の安全・健康を守る国の研究所としての、なお一層の向上を期待しております。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。ただいま御報告いただきました総合評価書()について、委員の皆様方から御意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○中村委員

 文言なのですが、例えば2ページの上から7行目に「研究所が中心的役割を担っていることについては、高く評価できる」とあります。この「ついては」というのは限定なのでしょうか。それとも、これも含めて、担っていることを評価しているのでしょうか。前後の文脈を見ると、中心的役割を担っていることが高く評価できるということだと思います。取り方によっては、ほかは駄目だけれども、これについてはいいよ、というようなニュアンスに取れますので、「いることについては」は消しまして、「担っているなど高く評価できる」などと、誤りなく解釈できるように修正したほうがいいのではないかという気がします。

 

○金倉部会長代理

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ほかに御意見はございますでしょうか。

○中村委員

3ページの下から4行目にある、学会発表等で、査読付きが減っているというか、目標に達していないという指摘ですが、「原著論文・総説が減少しており、より一層積極的に査読付き論文発表に取り組まれることを期待したい」とあります。我々が査読付き論文発表に取り組めというのはいかがなものか、という気がします。これは法人が考えられることであって、我々は、減少していることについての改善を図るように取り組んでほしい、と言うぐらいでいいのではなでしょうか。そこは、「この面での改善に取り組まれることを期待したい」ぐらいで、さらりとしたほうがいいのではないかという気がします。

 

○金倉部会長代理

 中村委員から貴重な意見を頂きました。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 

○中村委員

 あと1点。6ページに「事業費の冗費の点検について」とありますが、ここの文章は、単に事実しか述べていません。評価になっていないので、「なっている」で終わっていますが、「なっており、中期目標を達成している」など、我々としての見解をここに加えたほうがいいと思います。

 

○金倉部会長代理

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、ただいまの御意見を参考にして修正していただき、平成24年度の業務実績の評価結果として、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、この後、誤字脱字、事実誤認などで修正が必要になった場合の対応については、私に一任いただきたく存じます。以上について、そのような取扱いでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。最後に、法人理事長よりコメントを頂けたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

○労働安全衛生総合研究所理事長

 本日は、評価いただきましてありがとうございました。何点か宿題があると思っておりますが、おおむね私どもの研究所はよくやっているという評価を頂いたように思います。本当にありがとうございました。今後も、宿題の点、またこれまで行っていることについても、引き続き一層進める所存でございます。御指導のほど、よろしくお願いいたします。今日は、どうもありがとうございました。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございました。それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、ここで修正・確定の時間を設けさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。記入時間は5分間以内でお願いできればと思います。よろしいでしょうか。

(評価シート記入中)

 

○金倉部会長代理

 各委員の先生方、よろしいでしょうか。それでは、これをもって、労働安全衛生総合研究所の平成24年度の業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。各評価書には、評価結果の別紙として、各委員の意見を集約した評価シートが添付されておりますが、本日、評価の確認・修正を行っていただいたことにより、当部会全体としてのSDの評定及び評定理由が変更になった場合、また、各委員のコメントが修正、追加等された際は、これらを反映した評価シート集約版を添付することにいたします。評価シートの集約版については、SDの評点が変更になるなどの際には、委員会全体としての評定理由も合わせて変更する必要が生ずることも考えられますが、その文章については私に御一任いただきたいと存じます。場合によっては個別に各委員の御意見を伺うこともあるかもしれませんので、その際は、よろしくお願いしたいと思います。それでは、ここで法人の入替えを行いまして、また再開したいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

(法人及び所管課入替)

 

○金倉部会長代理

 国立健康・栄養研究所の審議を行いたいと思います。財務諸表に関する意見についてです。財務諸表については独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。それでは財務諸表について、担当の清水委員から意見書()の内容も含め、御説明をお願いいたします。

 

○清水委員

 それでは御説明したいと思います。730日に財務に関する説明をお受けいたしまして、同時に財務の内容をヒアリングさせていただきました。また、私自身で財務諸表の内容を拝見させていただきまして、こちらで作成されている財務諸表について、特に概要把握の結果、修正を必要とする事項はないと判断させていただきました。また、監事の監査報告書等を拝見させていただき、この中で財務の数値に対する内部統制上の問題の指摘がないことから、適正な財務諸表が作成されていると判断し、意見書のとおり承認することが適当であると考えます。その中期目標期間に対して、諸々の努力をされていて、その結果が財務諸表に反映しているわけですが、まだ一部中期目標に届いていないような数字もあると思いますので、これらについては今後努力していただければと考えています。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ただいま御報告をいただきましたほかに、国立健康・栄養研究所の財務諸表について御意見、御質問等ございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 それでは平成24年度の財務諸表についての報告は以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 続きまして、国立健康・栄養研究所の総合評価について、審議したいと思います。事務局より総合評価書(案)の概要説明をお願いします。

 

○政策評価官室長補佐

 国立健康・栄養研究所の平成24年度の業務実績について御説明させていただきます。資料2-21ページ目を御覧ください。まず1(1)評価の視点についてです。当該研究所の目的は、国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究並びに国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究等を行うことにより、公衆衛生の向上及び増進を図ることであり、当該研究所の業績評価に当たっては、法人の設立目的に基づき、同研究所の業績が国民の健康の保持・増進に役立つものとなっているかという観点から評価を行っております。

(2)平成24年度業務実績全般の評価についてです。第3期中期計画に移行し、国の生活習慣病対策等の施策としてより効果的な反映が見込まれる研究に重点化して、これらの重点課題に係る目標を達成するため、各研究部・センターが相互に連携しながら調査研究を着実に進め、中期目標に基づく年度計画を達成し、適切に業務を実施したと評価しております。

3ページ目、2の具体的な評価内容について御説明いたします。まず(1)国民に対し提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についてです。1研究に関する実行について、国の生活習慣病対策等の施策としてより効率的な反映が見込まれる研究として、「生活習慣病の予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」、「日本人の食生活の多様化と健康への影響、及び食生活の改善施策に関する栄養疫学的研究」、「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」を実施し、いずれの課題においても年度計画に沿った実績を上げており、評価できるとしております。

 研究所の研究能力の向上及び食育推進のための調査研究においては、若手研究者の研究能力向上において、課題設定等による戦略性を持った取組が期待されます。また、食育推進のための調査研究については、東日本大震災被災者への対応として、現地の栄養士が被災者のために使用するリーフレットを作成する等、被災者の健康支援に寄与した点は、評価できるとしております。

 2の法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項について、健康増進法に基づいて「国民健康・栄養調査の集計業務」では、効率的かつ適切に業務を実施され、「特別用途食品等の分析業務」では、分析の精度管理体制の構築に向けた取組等、民間登録試験機関を含めた精度向上に努めたことは評価できるとしております。

 社会的・行政ニーズへの対応としては、社会的・行政ニーズの把握と研究業務への反映に努めていることから評価できるとしております。国際協力については、WHO研究協力センターとしての体制整備等、国際協力を推進しており、また、産学官連携による共同研究等を通じて社会還元に努めたことは評価できるとしております。

 栄養情報担当者(NR)制度については、NR資格保有者に対し移管先の第三者機関への移籍に係る情報提供を適切に行い、移籍作業が円滑に進むよう取り組まれたことは、評価できるとしております。

 3情報発信の推進に関する事項については、ホームページのリニューアルやソーシャルネットワーキングサービスの活用等、より国民の身近なサービスを通じて、国民の健康の維持・増進に寄与している点は高く評価できるとしております。以上のように、年度計画に沿った実績を上げていると評価しております。

 続きまして(2)業務運営の効率化に関する措置についてです。業務運営の効率化については、運営会議等を適宜開催して情報の共有化に努め、また予算執行管理システムの運用等による効率的な業務運営に努める等、適切に運営管理がされていることは評価できるとしております。

 研究・業務組織の最適化については、研究室の再構成、ニーズに応じたプロジェクトチームの設置等、社会的要請に応える機動的な組織編成を実施したことは評価できるとしております。職員の人事の適正化については、行政ミッションや法定業務等に重点的に研究員等を配置し、管理部門の業務効率化等に努め、経費削減を達成した点は評価できるとしております。以上のように、(2)の業務運営の効率化に関する措置については、年度計画に沿った実績を上げていると評価します。

 続きまして6ページの(3)財務内容の改善等についてです。1外部資金その他の自己収入の増加に関する事項については、研究資金の半分以上を外部から獲得するという目標に対して十分とは言えないため、今後の外部研究資金その他自己収入の積極的な拡大について、一層の努力を求めます。2経費の抑制に関する事項については、中期目標期間の数値目標に対して、一般管理費、業務経費、人件費、いずれも目標が達成されている点は、評価できるとしております。

(4)その他業務運営に関する措置については、セキュリティ対策実施手順書の見直しを行う等、年度計画に沿った適切な対応が講じられております。

(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応については、1の財務状況については、当期総利益1,200万円は、人件費に係る運営費交付金の収益化によるものです。2の保有資産の管理・運用等について、プールや運動フロアを研究の一環として設備使用料を取り民間開放しております。また、職員宿舎はありません。さらに、運営費交付金債務と欠損金等との相殺に着目した洗い出し状況については、不適切な事例は認められませんでした。

 3組織体制・人件費管理については、人件費は、中期目標、中期計画による削減率を達成していることから評価できるとしております。また、福利厚生費の状況については、健康診断費用のみの使用であることは、評価できるとしております。

 4の事業費の冗費の点検及び5の契約については、経費節減の努力、契約に係る適正な運営努力が認められ、また、公益法人等への会費等の支出は行われておりませんでした。6の内部統制については、特に問題がない旨、監事による評価を受けております。7の事務・事業費の見直し等については、NR制度について、資格保有者の移籍作業の開始及び移籍していない有資格者に対しての情報提供を行ったことは評価できるとしております。以上です。

 

○金倉部会長代理

 それでは、起草委員からコメントをお願いしたいと思います。起草委員を代表して、丸山委員からよろしくお願いいたします。

 

○丸山委員

 国立健康・栄養研究所の設立の目的というのは、国民の健康の保持・増進と、それから栄養、食生活に関する調査研究等を行うことにより公衆衛生の向上及び増進を図るということであります。ただいま御説明いただきましたように、第3期中期目標期間の前年度の課題を踏まえて、2年度目の計画を着実に達成されており、適切に業務を行われたと考えております。

 特に、調査研究業務については、生活習慣病対策に資する研究、あるいは超高齢者社会における喫緊の課題に対応した研究、また、健康食品に関する研究等において大きな成果を上げられております。また、研究成果が高いレベルで公表できており、国際社会における評価を得られたことや、あるいは国民のニーズに応える客観的な情報の発信や普及に努められたこと、また、国内外との連携や共同研究を推進されていること等が、特に高く評価されるものと存じます。特に、日本は長い間、世界一の長寿国として食生活が理想的であるとして注目されてきたわけで、その結果として超高齢社会としての様々な課題を解決しなければならない現状に今あるわけです。

 そうしますと、次年度に向けて、この超高齢社会における疾病予防と健康寿命の延伸を図るために、さらに研究を推進されることが望まれているものと存じます。なお、業務運営全体については、目標を上回る効率化を上げていると評価できますが、併せて効率化を図ったことが、今後の実績に及ぼす影響については注視していく必要があろうかと思っております。以上です。

 

○金倉部会長代理

 審議に先立ちまして、本日欠席されております酒井部会長から、総合評価書()について、意見が提出されておりますので、事務局から紹介をお願いしたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 お手元に、総合評価書()に係る酒井部会長からの御意見の資料を1枚机上配布しております。1つ目の○になりますが、資料の4ページ目の8行目から10行目までで、「公平中立な研究成果の公表、特に動物実験レベルの基礎研究成果の公表においては、国民に誤解を与えない研究成果の公表についてさらに努力することが期待される」という記述について、この文章については背景が分からないままで読むと、分かりづらいということで、補足したほうがよいのではないかという意見をいただいております。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ただいま御報告をいただいた総合評価書()について、御意見等がございましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○丸山委員

1つだけ、4ページ目の上から2行目ですが、脱字がございますのを補足いただきたいと思います。2行目の真ん中辺りです、「については、酸化物質の」とありますが、これは「抗酸化物質」の誤りですので、よろしくお願いいたします。

 

○金倉部会長代理

 ほかにいかがでしょうか。

 

○清水委員

8ページの法人の監事との連携状況のところで、1点だけ確認したいのですが、今日見せていただいている監事の監査報告書の内容を読ませていただくと、この内容は財務諸表に対する監事報告に限られているように読めるのです。監事の役割として、業務全体に対する意見を付すというのが一般的であるように思うのです。通則法では、特に監事に監査を行う旨が定められているだけだと思うので、この方式であっても、特に法律に違反するかどうかとかいう話ではないとは思うのですが、監事がカバーすべき監査の範囲ということに対して一考したほうがよろしいのではないかと思います。

 

○金倉部会長代理

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、ただいまの出ました意見を参考にいたしまして、酒井部会長と起草委員のほうで、若干修正していただき、それを案として、評価結果として法人及び政・独委にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。なお、このあと誤字脱字、事実誤認等による修正が必要になった場合には、私に御一任いただければと思います。以上につきまして、そのような取扱いでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 最後に、法人理事長よりコメントを、よろしくお願いいたします。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 国立健康・栄養研究所理事長の古野でございます。当会委員の先生方におかれましては、平成24年の財務諸表に対する報告及び業務実績につきまして、取りまとめいただき誠にありがとうございました。私どもにとりまして、平成24年度は第3期中期目標・中期計画の2年度目ということで、調査研究事業の推進と効率的な研究所の運営に努力してまいりました。その結果、おおむね目標を達成したという評価をいただいたものと考えております。

 一方で、なお努力を要する事項等、本日の審議において御指摘もいただいているところです。今後、平成25年度の事業においても第3期中期目標・中期計画の3年目でもあり、本日の御指摘・御指導を速やかに事業、研究事業に反映させ、一層の創意工夫を図った上で、よりよい研究所の運営につながるよう努力してまいる所存であります。引き続き、御指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 

○金倉部会長代理

 それでは現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、修正確定の時間を設けさせていただきますのでよろしくお願いします。5分以内でお願いしたいと思います。

(評価シート記入中)

 

○金倉部会長代理

 ほぼ修正等は終わったようですので、よろしいでしょうか。これをもちまして、国立健康・栄養研究所の平成24年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、先ほど同様に、評価シートの集約版について、修正の必要があった場合につきましては、私に御一任いただきたく存じます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、国立健康・栄養研究所の役員の退職金に係る業績勘案率について、審議いたします。事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策統括官室長補佐

 法人から、独立行政法人評価委員会委員長宛てに、役員の退職金に係る業績勘案率の算定について、依頼がございました。独立行政法人の役員の退職金については、平成151219日の閣議決定により、在職期間に応じて算出した額に、0から2.0の範囲内で定める業績勘案率を乗じた金額とされております。

 評価委員会でこの業績勘案率を決定する形になりますが、まず法人からの依頼を受け、事務局において、当評価委員会が定めている「独立行政法人の役員の退職金に係る業績勘案率の決定方法について」に基づき、業績勘案率を試算いたしましたので、その結果を御説明し、次に委員の皆様方に、この試算結果について御審議いただきます。今回決定した数値については、その後、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に通知し、同委員会から意見があれば、本部会において改めて御審議いただく形となります。なお、意見がない場合には事務局から部会長に報告し、最終決定させていただきます。

 資料2-3に沿って説明いたします。また、委員の方におかれましては、併せてこちらのピンク色の資料集の126ページもお開きください。

 役員の退職金に係る業績勘案率ですが、先ほど説明しました評価委員会において定めた方法に従い、計算を進めていく形になります。最初に、役員が在籍されていた期間の法人の年度評価等を基に数値化を行います。今回は資料2-3のとおり、徳留前理事長が審議対象となっており、在職期間が平成2141日から平成25331日までの4年間となりますので、平成21年度から平成24年度までの4年間の年度評価の結果について、委員の皆様方につけていただいたSABCDの評価を数値化し、まずはその平均をとります。評価の数値化については126ページの表1のとおり、S2点、A1.5点、B1.0という形で、平均値を算出していきます。その結果については資料2-33ページ目に記載されております。さらに、資料集の126ページの表2のとおり、この平均値が1.5以上の場合は1.50.51から1.49の場合は1.00.5以下の場合は0.5と置き換えます。今回の場合は、資料2-3(1)の表のとおり、平成21年度が1.41、平成22年度が1.43、平成23年度が1.45、平成24年度が1.48となっておりますので、全て1.0という形に置き換えます。

 これに各年度の在籍月数を掛けて、2の算式のとおり、在職期間全体の加重平均を出すことになりますが、全て1.0ですので、結果も1.0となっております。

 続いて役員の在職期間における目的積立金と、退職役員に係る職責事項についても勘案する形になりますが、目的積立金は積んでおらず、職責事項についても法人からの申し出はありませんので、最終的に、業績勘案率を1.0として試算しております。以上です。

 

○金倉部会長代理

それでは、退職役員の在任期間中の担当職務等について、法人から簡単に説明をお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 御説明いたします。徳留前理事長ですが、今説明のとおり、平成214月から今年の331日までで、4年間在任をいたしました。任期としては1期です。職務は、研究所の調査業務全般を総理するということで、研究所全体の経営並びに理事、職員の指導監督を行ってまいりました。

 徳留理事長ですが、第2期中期計画の後半の2年、第3期中期計画の次年度という、計画のはざまの間を担当いたしました。先ほども御説明がありましたが、「生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究」や、「日本人の食生活の多様化の健康への影響及び食生活の改善に関する栄養疫学的研究」、「『健康食品』を対象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究」などについて、強い指導力を発揮されました。また、厚生労働省をはじめ、内閣府、消費者庁等、国の公共政策をサポートする業務として、毎年厚生労働省が行っております国民健康・栄養調査に協力をし、食事栄養摂取状況、身体活動、運動状況、それから生活習慣状況を調べ、その動向を毎年報告する等の業務に強い指導力を発揮したところです。

 特に、2011年に発生いたしました東日本大震災の際には、当研究所といたしまして、避難生活栄養改善を目的として被災3日後に、「災害時の栄養食生活に関して」という専門家向けのホームページを立ち上げるとともに、大震災対策プロジェクトチームとして日本栄養士会と共同で、被災された方々及び専門職に向けた情報発信を行いました。併せて、現地でボランティア活動、避難所別のニーズ調査、厚生労働省と連携して避難所における栄養素摂取量の情報発信、並びに被災者の健康支援のための調査等を行い、被災された方々のQOLの向上並びにそのサポート、並びに調査研究に強い指導力を発揮していただいたと思っております。今回の退職については、任期が4年満期ということで、退職ということになりました。以上です。

 

○金倉部会長代理

 御質問等ございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。申請のありました業績勘案率については、原案のとおり「1.0」と決定することとしてよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 それでは、事務局からの説明のとおり、決定した業績勘案率については総務省政策評価独立行政法人評価委員会に通知し、意見がない旨、当委員会に通知された後は、本日決定した業績勘案率を当委員会の決定として、法人に通知することとしたいと思います。これで法人の入れ替えを行い、再開したいと思います。ありがとうございました。

(法人・所管課入れ替え)

 

○金倉部会長代理

 それでは、医薬基盤研究所について審議したいと思います。財務諸表に関する意見についてです。財務諸表については、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で厚生労働大臣が承認することとされております。それでは財務諸表につきまして担当委員の清水委員から、意見書()の内容も含め御説明をお願いいたします。

 

○清水委員

731日に担当の方から財務に対する説明をお受けいたしまして、私の方でも必要な事項を御質問させていただき、さらに、財務諸表の内容について私自身で分析させてもらい、内容を読ませていただきました。その結果、財務諸表の内容につきましては、特に修正する事項はないと判断いたしました。また、資料の中に入っておりました内部統制関係の資料も拝見させていただき、さらに、監事監査報告の結果についても見させていただいて、監事から内部統制に対する特別な指摘もありませんでした。したがいまして、こちらに示されている財務諸表が、適正な統制の中で作成された数字に基づいて公表されることになると判断いたしましたので、評価書のとおり承認することが適当であると考えました。

 なお、財務諸表を拝見させていただきますと、非常に大きな繰越損失を持っている研究振興勘定と承継勘定があります。これらにつきましても、毎年、この損失額を削減する努力はされていると思いますが、今後とも、引き続き損失の削減に努力していただければと思います。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。では、ただいま御報告いただきました他に、医薬基盤研究所の財務諸表について御質問がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、平成24年度の財務諸表についての報告は以上といたします。ありがとうございました。

 続きまして、総合評価について審議したいと思います。事務局より総合評価書()の概要説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、医薬基盤研究所の平成24年度業務実績について御説明いたします。資料3-21ページ目を御覧ください。

 まず、(1)評価の視点についてです。当該研究所の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3事業を行うことにより製薬企業や大学等における創薬研究を支援し画期的な医薬品等の研究開発を促進することであり、業績評価に当たっては、当該研究所が提供するそれらの事業が、中長期的に医薬品等の研究開発に役立つものとなっているかという観点から評価を行っております。

 次に、(2)平成24年度業務実績全般の評価についてです。当該研究所は、「次世代ワクチン対策」、「医薬品等毒性等評価系の構築」、「難病対策等」に研究分野を重点化して研究を推進しており、製薬企業やバイオベンチャー等における創薬研究を支援する「ヒトiPS細胞由来肝臓細胞」の製品化に世界で初めて成功し、内閣府の産学官連携功労者表彰において厚生労働大臣賞を受賞したこと、薬用植物に関連する詳細情報を網羅的に閲覧することができる今までにない大規模な薬用植物総合情報データベースを構築し、当該研究所のホームページにおいて一般に公開したこと、ウルトラオーファンへの助成強化や助成金交付による経済的支援、適切な指導・助言等を通じて、研究開発の促進に貢献していること等から、全体としては、適切に業務を実施したと評価できるとしております。

 次に、3ページ目の2.具体的な評価内容について御説明させていただきます。まず、(1)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置についての「A 全体的事項」についてです。1戦略的事業展開については、各研究プロジェクトの研究成果や外部研究評価を活用して組織体制の見直しや研究費の配分を行う等、社会的ニーズや国の政策課題を踏まえた事業展開がなされていること、研究事業の普及啓発の取組により大阪本所の一般公開の来場者数が過去最高となる等成果が出ていることから、高く評価できるとしております。2適切な事業運営に向けた取組については、研修会や外部有識者による評価等を実施していること等から、評価できるとしております。

4ページ、「B 個別的事項」について御説明いたします。1基盤的技術研究では、マラリアワクチンの日本初の新規核酸アジュバントの開発研究が進んでいること、先に述べたヒトiPS細胞由来肝臓細胞が製品化されたこと等から、高く評価できるとしております。今後、広く医療の分野で実用化につながることを期待するとしております。

5ページ、2生物資源研究の分野です。生物資源の収集、供給等が着実に実施されるとともに、新たな生物資源の開発等が適切に実施されていることなどから、評価できるとしております。薬用植物については、先に述べた今までにない大規模な薬用植物総合情報データベースを構築したこと等から、高く評価できるとしております。霊長類については、医科学研究用霊長類リソースの開発、供給等で中期計画を上回る成果を上げたこと等から、評価できるとしております。

6ページ、3研究開発振興です。基礎研究推進事業については、実用化が見込まれる研究プロジェクトが6割に、更に治験の段階まで進んだ研究プロジェクトが8件に達したこと、希少疾病用医薬品等開発振興事業については、助成金交付による経済的支援にとどまらず適切な指導・助言等により研究開発促進に貢献していることから、いずれも高く評価できるとしております。実用化研究支援事業等については、プログラムオフィサーを活用し、指導・助言等を適切に行い、収益の最大化を目指した活動を進めており、収益が見込まれる案件が7件得られていること等から、評価できるとしております。

(2)機動的かつ効率的な業務運営に関する措置についてですが、理事長のトップマネジメントによる迅速な方針決定の下に適切な業務運営が行われていることなどから、評価できるとしております。

7ページ、(3)財務内容の改善等についてです。一般管理費、事業費のいずれも数値目標を上回るペースで経費削減が進んでいることから評価できるとしております。

(4)その他業務運営に関する措置については、プロジェクトリーダーを対象にテニュア制度を導入していること等から、いずれも評価できるとしております。

(5)評価委員会が厳正に評価する事項及び政・独委の評価の視点等への対応についてです。1財務状況については、承継勘定で254億円、研究振興勘定で65億円の繰越欠損金が発生しております。繰越欠損金に関する計画策定委員会において当該研究所が繰越欠損金減少に向けた継続性のある指導・助言を行うとしたところであり、引き続き繰越欠損金の縮小に努めることを期待しております。2保有資産の管理・運用等については、事務・事業の見直しの基本方針に沿った措置が適切に行われていると認められます。3組織体制・人件費管理については、総人件費が数値目標を上回って達成しており、評価できるとしております。なお、事務職員のラスパイレス指数については、定型的業務について非常勤職員を活用する等、ラスパイレス指数の対象である常勤職員を抑制し非常勤職員の割合が高くなった結果、調査対象職員が極めて少数となったこと等の要因によるものであるが、高い水準にあることから、今後も人材の確保に配慮しつつ指数の改善に努めることを期待します。

9ページ、4事業費の冗費の点検及び5契約については、様々な努力が行われていると認められ、また、公益法人等への会費の支出等は行われておりませんでした。

10ページ、6内部統制については、特に問題ない旨の監事意見が出されております。

 7事務・事業の見直し等については、財団法人ヒューマンサイエンス振興財団と共同で実施している細胞分譲事業を平成25年度から当該研究所が行うこととなっており、実際に事業の円滑な移管が行われたか、今後も注視していきたいと思います。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。それでは起草委員からのコメントは私からしたいと思います。

 総合的評価書()については修正の必要がなく、今、事務局から説明していただいた内容で結構かと思います。医薬基盤研究所の3業務、つまり、研究所自らが創薬に向けた基盤的研究を実施する基盤的技術研究、創薬研究に不可欠な生物資源の資源化と提供を行う生物資源研究、大学やベンチャー企業等に対する研究開発振興のいずれにおきましても優れた成果が上がっていると思います。特にヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性等評価系の構築については、世界で初めて「ヒトiPS細胞由来肝臓細胞」を作りまして、その製品化に成功したものであり、昨年、内閣府の第10回産学官連携功労者表彰の厚生労働大臣賞を受賞しております。また、次世代インフルエンザワクチンの研究開発あるいはアジュバントの研究開発では中期計画を上回る成果を上げていると思います。重要な生薬である薬物植物オウレンの短期間での効率的な栽培を可能にしたことも高く評価できると思います。今後、画期的な医薬品等の研究開発の支援に大いに貢献していただくこと、並びに医薬基盤研究所を中心として創薬支援ネットワークが機能し、本邦における創薬に大いに貢献していくことを期待しております。以上です。

 審議に先立ちまして、本日欠席されております酒井部会長から総合評価書()について意見が提出されておりますので、事務局から紹介をお願いしたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 資料3-22ページ目ですが、まず、4行目から10行目と17行目から21行目です。「ヒトiPS細胞由来肝臓細胞」の製品化に成功し、内閣府の産学官連携功労者表彰において厚生労働大臣賞を受賞したことについてごく近接した所で2回繰り返されておりますので、一本化した方が読み手からして望ましいのではないでしょうかといった意見を頂いております。

 また、3ページ目の1戦略的事業展開の6行目から7行目ですが、「1プロジェクト少ない状況にもかかわらず査読付論文数が中期計画を上回り」と書かれているのですが、こちらも、事情が分からないと何を指しているのか理解しにくいので、補足をした方が良いのではないかといった意見を頂いております。

 さらに、6ページ目の3研究開発振興の所ですが、こちらに数値が3か所あります。5行目の「6割」と、その下の「8件」と、一番下の「7件」といった数値がありますが、これらの数値の母数があった方が、数値の意味、あるいはそのすごさが分かるのではないかということで意見を頂いております。以上です。

 

○金倉部会長代理

 それでは、ただいま報告をしていただきました総合評価書()につきまして、委員の先生方から御意見を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 

○中村委員

2ページですが、全般の評価と具体的な評価内容の関係で意見があります。全般の評価の所で帯状疱疹発症の指標となり得ること等を見出したこと等という形で成果が挙がっているわけですが、具体的な評価内容にそのことがありません。やはり総合評価で書いてある件名については、具体的な評価内容の中でも触れた方が良いのではないでしょうか。御検討いただければと思います。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、今、中村委員から指摘されました帯状疱疹についてもう少し具体的にするということと、iPSの重複を一本化するということと、プロジェクトが1つ少なくなったにもかかわらず論文が伸びているということだと思うのですが、それを書き換えるということと、母数を入れるということの修正をするということで、平成24年度の業務実績の評価結果として法人及び政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表するという方向でよろしいでしょうか。なお、この後の誤字脱字、事実誤認等による修正が必要となった場合の対応につきましては私に一任いただきたく存じます。以上につきまして、そのような取扱いでよろしいですか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきたいと思います。最後に、法人理事長よりコメントを頂けたらと思います。お願いいたします。

 

○医薬基盤研究所理事長

 理事長の米田でございます。本日は私どもの研究所の活動につきまして非常に丁寧に御審査いただきまして、どうもありがとうございました。今回は第2期中期計画の3年目ということで高く評価していただきまして、大変嬉しく思っております。一方で、幾つか御指摘いただいた点もありますので、今後、きちんと吟味して改善する努力をしたいと思っておりますとともに、今年から創薬支援戦略室という新しい機能がスタートしておりますので、そちらも全力で発展させていきたいと思っております。日本における基盤研の責務を全力で果たしていきたいと思っておりますので、これからもどうぞ御指導をよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございました。では、現在までの意見、報告等を踏まえまして個別評定を修正したい方は、評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは5分以内ぐらいでお願いしたいと思います。

(評価シート記入中)

 

○金倉部会長代理

 よろしいでしょうか、修正が終わりましたようですので。それでは、これをもって医薬基盤研究所平成24年度業務・実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきたいと思います。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について修正の必要があった場合の対応につきましては私に御一任いただきたく存じます。

 続きまして、医薬基盤研究所の役員の退職金に係る業績勘案率について審議いたします。事務局から説明をお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 こちらも、先ほどの国立健康・栄養研究所と同様に法人から独立行政法人評価委員会委員長宛てに依頼がございましたので、業績勘案率について御意見を伺えればと思います。それでは、資料3-3に沿って説明をさせていただきます。

 先ほどの国立健康・栄養研究所と同様、在職期間の法人の年度評価の結果等に基づき業績勘案率を算出する形になりますが、こちらの法人は山西前理事長が審議対象となっております。在職期間は平成1741日から平成25331日までの8年間となりますので、平成17年度から平成24年度までの8年間の業務実績評価の結果について数値化を行います。

 ただし、資料集の127ページの3にありますが、中期目標期間の全期間にわたり在籍しており、かつ、中期目標期間の評価が確定している場合は、年度評価結果ではなく、中期目標期間の評価結果を用いることとされております。この法人の第1期中期目標期間は平成17年度から平成21年度までとなっておりますので、この部分につきましては第1期中期目標期間の最終評価の評定を使って計算しております。

 今回は資料3-32(1)の表のとおり、平成17年度から平成21年度までの評定が1.42、平成22年度までが1.53、平成23年度が1.56、平成24年度が1.68となりますので、平成17年度から平成21年度までを1.0、平成22年度から平成24年度までを、それぞれ1.5と置き換えます。これに各年度の在籍月数を掛けて、(2)の算式のとおり、在職期間全体の加重平均を出すと、1.2という数字が算出されます。

 続きまして、役員の在職期間における目的積立金の状況と退職役員に係る職責事項についても勘案しますが、目的積立金は(3)にありますとおり積んでおらず、(4)のとおり退職役員に関する職責事項についても特に法人から申出はありませんので、最終的に業績勘案率を1.0として試算をしております。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございました。それでは、退職役員の任期期間中の担当職務等について法人から簡単に説明をお願いいたします。

 

○医薬基盤研究所総務部長

 それでは御説明いたします。山西弘一前理事長の在任期間ですが、当研究所の第1期中期計画の初年度目に当たる平成1741日から第2期中期計画の3年度目に当たる平成25331日まで、1回の再任を経まして8年間の在職期間でした。

 山西前理事長は、当研究所の唯一の常勤役員として強いリーダーシップを発揮しまして、創薬等に向けた基盤的研究を行う中核機関として社会からの様々なニーズや厚労省の政策課題を踏まえまして、新興・再興感染症対策、迅速な新薬等の開発、難病対策等に向けて組織的、戦略的、重点的に研究開発を推進しました。この結果、平成22年度から3年連続で内閣府の産学官連携功労者表彰を受賞する等、顕著な成果を上げたところです。また、平成18年度から平成22年度まで、当研究所の基礎研究推進事業におきまして京都大学山中教授のヒトiPS細胞研究を研究課題として採択しておりまして、その成果を基に平成24年度に山中教授がノーベル医学・生理学賞を受賞する等、研究及び開発の振興等を行ったところです。以上、当研究所の初代理事長として職責を果たされまして、平成25331日に任期満了をもちまして退任したものです。以上です。

 

○金倉部会長代理

 ありがとうございます。御質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは申請のございました業績勘案率につきましては、原案のとおり1.0と決定することとしてよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○金倉部会長代理

 それでは了承されたものとさせていただきたいと思います。事務局からの説明のとおり決定した業績勘案率につきましては、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会(政・独委)に通知し、意見がない旨委員会に通知された後は、本日決定した業績勘案率を当委員会の決定として法人に通知することにしたいと思います。

 本日御審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規定第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、法令に基づきまして、政・独委への通知及び公表の手続が行われることになります。

 それでは事務局より、連絡事項がありましたらお願いしたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の予定等について御連絡いたします。本日御審議いただきました法人の総合評価書につきましては、必要に応じて修正等の事務手続を進めさせていただき、後日、委員の皆様方には確定版を郵送させていただきます。

 なお、総会ですが、28()の午後1時から厚生労働省12階の専用第12会議室で予定しておりますので、正委員の皆様方におかれましては御出席をよろしくお願いします。開催案内につきましては以上です。

 

○金倉部会長代理

 それでは、本日の議事は以上です。長時間に渡り御審議をいただきましてありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 独立行政法人評価委員会(独立行政法人評価委員会調査研究部会)> 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第65回)議事録(2013年8月21日)

ページの先頭へ戻る