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2013年7月23日 独立行政法人評価委員会調査研究部会(第63回)議事録

政策統括官付政策評価官室

○日時

平成25年7月23日


○場所

専用18~20会議室


○出席者

酒井部会長
金倉部会長代理
田宮委員
定本委員
丸山委員
中村委員
馬場委員
清水委員

○議事

(以下、議事録)

 

○政策評価官

 それでは、定刻になりましたので、ただ今から第63回厚生労働省独立行政法人評価委員会調査研究部会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。私は、本年710日付けで政策評価官を拝命いたしました原口と申します。よろしくお願いいたします。本日は新しい任期の下での第1回の会合になりますので、後ほど委員の皆様方に部会長を選任いただくことになりますが、それまでの間、私が議事進行役を努めさせていただきます。よろしくお願いいたします。議事に入ります前に、本委員会の開催に当たりまして、政策評価審議官の山沖から御挨拶をさせていただきます。

 

○政策評価審議官

 政策評価審議官をしております山沖です。どうぞよろしくお願いいたします。皆様には御多忙のところ、当初の独立行政法人評価委員会の調査部会の委員及び臨時委員に御就任いただきありがとうございます。また、本日は夕方から雨が降りそうだという話もありますけれども、蒸し暑い中お集まりいただきまして重ねて御礼申し上げます。この建物、環境省の中に入っておりまして、厚生労働省が下のほうにありますが、上のほうがちょうど環境省ということで、温暖化にはちょっと気を使わざるを得ないということで、なかなか冷房の効きが悪いかもしれませんがその辺はご容赦いただければと思います。

 本年度の独立行政法人の評価に当たりまして、昨日、本委員会の総会を開催し、所用の審議を行っていただきました。特に、委員の皆さんには、連日、足をお運びいただきまして感謝申し上げます。本委員会では、これから8月下旬までにかけ、この調査部会を含めまして全部で8部会に分かれて総会・部会を合わせて数えてみましたら25回・68時間の予定になっておりますが、審議を予定しております。

 さて、本部会では、後ほど説明があると思いますが、今日、前半は国民健康増進や、栄養などに関する調査研究などを行っている「国立健康・栄養研究所」。医薬品・医療機器などの開発やその安全性の確保のための調査研究を行っている「医薬基盤研究所」。また、日を改めまして、職場における労働者の安全や健康の確保のための研究調査を行っている「労働安全衛生総合研究所」の3つの法人について評価していただくことになっております。

 独立行政法人の運営に当たっては自主性とともに公共性、それから一番重要なのは透明性ということが確保されているということが求められております。そのため、中期目標 ・中期計画等を定め、その業務の実績を評価すること、すなわちPDCAサイクルに基づき、不断の見直しを行うということが極めて重要でございます。

 委員・臨時委員の皆様方には、厳しいスケジュールの中ではございますが、独立行政法人に対して厳正かつ適正に御評価いただきますようお願いを申しまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官

 それでは、各委員の皆様方を御紹介いたします。皆様には、先に辞令につきまして郵送させていただきましたが、厚生労働省独立行政法人評価委員会委員又は臨時委員といたしまして、本年630日付けで厚生労働大臣の任命が発令されております。

 また、昨日22日に開催されました総会におきまして、お手元に配布してあります資料1-2にございますとおり、皆様方の調査研究部会への分属が正式に決定いたしましたことを御報告申し上げます。それでは、お手元の資料1-1に基づきまして50音順で委員の御紹介させていただきたく存じます。大阪大学大学院教授金倉譲委員留任です。財団法人労働科学研究所常務理事・所長酒井一博委員留任です。公認会計士清水至委員新任です。なお、清水委員におかれましては、本日16時に所要がございまして御退席ということで承知おきください。続いて、筑波大学大学院教授田宮菜奈子委員留任です。日本女子大学家政学部食物学科教授丸山千寿子委員新任です。続いて、臨時委員で日本女子体育大学教授定本朋子委員新任です。日本大学教授中村英夫委員留任です。兵庫医療大学教授・学長の馬場明道委員留任です。

 続いて最後になりますが、事務局を紹介いたします。室長補佐の和田です。それでは、議事に入らせていただきます。議事の(1)部会長選出、部会長代理の指名です。まず最初に部会長の御選出をお願いいたします。選出手続きを御説明いたします。お手元のピンクの資料集の50ページをお開きください。厚生労働省独立行政法人評価委員会令第5条第3項におきまして「部会に部会長を置き、当該部会に属する委員の互選により選任する」とされておりますので、委員の皆様方の互選により選任いただくことになりますが、いかがでしょうか。

 

○田宮委員

 互選ということですので、御推薦させていただきたいと思います。調査研究部会でのこれまでの深い御経験、御見識を踏まえますと、酒井委員に部会長をお願いしたいと考えております、いかがでしょうか。

 

○政策評価官

 ただ今、田宮委員から、酒井委員を部会長にという御推薦がございましたが、よろしゅうございますでしょうか。

(各委員了承)

 

○政策評価官

 ありがとうございます。それでは酒井委員に部会長をお願いしたいと思います。それでは、以後の議事進行につきましては酒井部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 

 

○酒井部会長

 部会長に御指名ですので、精いっぱい努めさせていただきます。よろしくお願いいたします。それでは本当に、この評価委員会は法人の方たちが御準備で一番大変だと思いますけれども、評価委員も結構大変な責任と時間ですけれども一生懸命やりたいと思っています。それでは、部会長代理を決めることになりますけれども、会長が指名させていただくことになっておりますので、「部会長に事故があるときは、当該部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と定められております。僭越ですけど、私のほうから指名させていただきたいと思います。部会長代理として、これまでも何年間か一緒にやってまいりましたが、御経験その他、御見識も踏まえて金倉委員にお願いしたいと思いますけど、いかがでしょうか。

 

(各委員了承)

○酒井部会長

 それでは、よろしくお願いいたします。それでは、早速ですが、これから皆様には調査研究関係独立行政法人の評価をいただくことになります。最初に国立健康栄養研究所ですけども、その前に新任の方もいらっしゃいますので各法人の概要について事務局から最初に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 それでは、調査研究部会所掌の独立行政法人について、御説明しますので、資料1-3を御覧ください。調査研究部会所掌の法人につきましては全部で3法人ありまして、全て研究所といった形の法人になります。

 まず1ページ目の国立健康・栄養研究所ですが、こちらは、平成134月に設立されました国民の健康の保持・増進や国民の栄養その他食生活に関する調査研究を行う法人になりまして、役職員数は役員4名、職員38名となっております。主な業務内容につきましては2ページで、調査研究としましては生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究や日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究、健康食品を対象とした食品成分の有効性評価と健康影響評価に関する研究などで、このほかに、健康増進法に基づきまして国民健康・栄養調査の集計業務や特別用途食品の表示許可等に係る試験業務、そのほか、国際協力や産学連携等対外的な業務を行っております。

3ページ医薬基盤研究所ですが、平成174月に設立された法人で、役職員数は84名、医薬品技術や医療機器、医療技術等の向上のための基盤整備を計ることを目的としており、4の業務概要に書かれていますとおり、医薬品、医療機器や薬用植物その他の生物資源開発に資することとなる共通的な研究の実施やその普及。基礎研究や試験研究の委託による実施や海外からの研究者の招へい。医薬品や医療機器等の技術に関する情報の収集、整理、提供及び調査。希少疾病用医薬品や希少疾病用医療機器に関する試験業務に必要な資金の助成、指導、助言等の業務を行っています。

5ページ目の「労働安全衛生総合研究所」になります。平成184月に「産業安全研究所」と「産業医学総合研究所」の2法人が統合して設立された法人で、役職員数は254月現在で105名。「職場における労働者の安全及び健康確保」を目的としており、4の業務概要に書かれておりますが、産業社会変化により生じる労働安全衛生の課題に関する研究や、産業現場における危険性、有害性に関する研究、職場のリスク評価とリスク管理に関する研究などについて重点的な研究を行うとともに、厚生労働大臣の指示を受けて、労働災害の原因の調査や立入検査なども行っております。

 それぞれの法人の詳細の業務内容は、個別評価に入る際に法人のほうから御説明いただきますが、各法人についての個別評価と総合評価という2回の評価を行っていただくことになっており、資料の1-4で、今回は国立栄養研究所、医薬基盤研究所の個別評価について審議していただく形になっております。

 労働安全衛生総合研究所につきましては、82日の調査研究部会で御審議いただくことになっておりまして、個別評価を得た3法人につきましては、821日に開催される調査研究部会で総合評価を行っていただく形になります。評価の進め方につきましては、後ほど御説明させていただきます。以上でございます。  

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。委員の方、いかがでしょうか。何か御質問等ございますか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移らせていただきます。議題の(3)です、独立行政法人の実績評価に当たりまして、まず、評価の流れであるとか、評価基準について事務局のほうから御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 個別評価の進め方について説明いたします。資料1-5-1を御覧ください。進め方は昨年と変わりませんが、改めて説明いたします。

 まず、理事長から法人全体の業務実績を説明していただきます。続きまして、個別評価を4つのパートに分けて、法人から、実績等の自己評価を説明していただきます。パートの区分については資料1-5-12ページ以降に記載されています。パートごとに質疑を行います。委員の方々は、SDの評定とその評定理由を、資料2-2、資料3-2で添付しています「評定記入用紙」に記入していただく形で進めていきます。

 評価につきましては、総務省に設置されています政策評価独立行政評価委員会、いわゆる政・独委が作成しています評価の視点などを踏まえて評価していただく必要があります。

 これを踏まえまして、法人の実績は、資料2-3、資料3-3として「業務実績評価別添資料」に取りまとめています。この別添資料に記載された事項を評価するためのチェックポイントは資料1-5-2にまとめていますので、評価に当たって御参考にしていただきたいと思います。

 法人の個別評価が終わりましたら、各委員の御評価を踏まえた評価書案を起草委員に作成していただきます。各委員の起草担当法人は資料1-5-3にある形でお願いしたいと考えています。評価書案の作成につきましては、各法人の所管課と起草委員とで調整をしながら案文の作成を行っていただきます。起草委員に作成いただきました評価書案は、821日に開催されます総合評価の部会で委員の皆様に御審議いただきます。

 個別評価を御欠席された場合などの取扱いについては、資料1-5-1の下の方の3に記載されていますとおりです。起草委員が欠席された場合については、部会終了後に個別に説明いたしまして御評価いただきます。起草担当委員以外の方が欠席された場合につきましては、事前に送付した資料を御覧いただきまして、資料を基に御自宅等で御評価いただける場合は評価結果に反映いたしますので、欠席された部会の開催日からおおむね3日以内に政策評価官室まで「評定記入用紙」の御提出をお願いいたします。

 続きまして、資料1-6について説明いたします。こちらは、調査研究部会における3法人の平成24年度実績の自己評価の一覧です。参考までに、平成23年度の評定結果を横に記載しています。事務局からは以上です。

 

○酒井部会長

 資料がたくさんありますが、お分かりいただけましたでしょうか。御質問等があればお願いいたします。冒頭にありましたように、適正かつ厳正にという御指示ですが、評価のやり方等についてはよろしいでしょうか。御質問がなければ先へ進めさせていただきます。

 早速、国立健康・栄養研究所の平成24年度の個別評価に移ります。初めに、理事長から御挨拶と、平成24年度における業務実績概要の御説明をお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 私は、4月に理事長職を拝命しました古野純典と申します。よろしくお願いします。今回は、第3期中期目標の第2年次に対する評価をいただくことになります。

 御挨拶代りに3枚ほどのスライドを用意しております。資料2-51ページの下のほうを御覧ください。「国立健康・栄養研究所の歴史と展望」という仰々しいタイトルを付けていますが、研究所は1920年に内務省栄養研究所として発足しました。初代所長は佐伯矩先生です。研究所の世界に誇れる財産は、戦後間もなく行われました「国民栄養調査」です。60年にわたって栄養の観点から国民の代表的なデータを提示し続けています。

 右下の図は、日本の食事が大変欧米化したと言われていますが、どれぐらい欧米化しているかの計量的な評価として国際的に用いられている図です。肉の増加、脂肪摂取量の顕著な増加を示しています。

 現在の研究所の第一の使命は、国の健康政策に資する研究を続けることであります。世界的あるいは国内での評価がどのようになっているかをみますと、科学技術政策研究所が2010年に報告していますように、我が国ではヒトの研究という観点ではトップですが、世界ではかなり低い所にあります。世界的な観点から研究所の研究を発展させる必要があろうかと考えています。

2ページの上は、研究所の沿革です。重要なことは2点です。まず、1989年に「栄養研究所」に「健康」という名前が付いて、運動を中心とした研究を発展させることになりました。それから、2001年に独立行政法人化されました。現在の組織は、下段の図に示したとおりで、6研究部と2センターで研究活動を進めています。

3ページの上段を御覧ください。本日評価を受けます事業の概要です。これは最初の「概要」でもお示しいたしました。ここに5つありますが、国の生活習慣病対策の施策に役立つような研究を行います。また、健康増進法に基づく業務として2つ挙げています。国際協力・産学連携の活動、情報発信の活動、栄養情報担当者制度の維持も研究所の主要な事業です。この後、それぞれについて詳しく説明させていただきます。

 

○酒井部会長

 それでは、具体的な個別評価を行います。やり方としては例年どおり、全体的にはボリュームがありますので、4つぐらいのパートに分けて、1つずつ御説明をいただき、質疑をしながら評定書に記入していただくという手順で行いたいと思います。

 まず、1番目です。今の理事長様のお話の後にありますとおり、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項を達成するための措置です。評価項目としては14番について評価を行います。所要時間の目安としては、法人からの御説明に20分、委員の評定と質疑のやり取りに10分ぐらい、合計30分で第1パートを行いたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

4月から研究企画評価主幹を務めています石見です。よろしくお願いいたします。資料2-5を中心に説明いたします。また、適宜、資料2-1「評価シート」を御覧いただきながら評価していただきたいと思います。たくさんの報告がありますが、資料2-5で重要な部分について説明いたします。

3ページの下の段を御覧ください。Part1、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項です。当研究所においては、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果、日本人の食生活の多様化に関する栄養疫学的研究、健康食品を対象とした調査研究、この3つを3本柱として研究を進めています。その下の、研究所の研究能力の向上及び食育推進のための調査研究も実施しています。順を追って説明いたします。

4ページの上を御覧ください。評価シートは13ページです。【平成24年度の計画】については、ア-aとして、生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果、bとして、生活習慣病発症における遺伝や環境リスクの相互作用を解明する研究、cとして生活習慣病の発症メカニズムの解明に関する研究です。

 下の段を御覧ください。まず、運動と食事指導の併用効果に関する研究の一環として、平成24年度は厚生労働省が策定しました「健康づくりのための身体活動基準・指針2013」のための文献研究をいたしました。すなわち、6,500本の論文をシステマティクにレビューしまして、最終的には205本の論文について身体活動量と生活習慣病予防効果の関連についてメタ分析をしています。その結果、左にあるとおり、基準値は2006年に策定したものを使うこと、また、新しい項目として、65歳以上の高齢者のための基準値を策定したこと、「今より10分増やそう」といった分かりやすい基準を策定しました。最終的には、右にあるような、国民の皆さんに分かりやすいアクティブガイドを策定し、科学的根拠の提示というところで貢献しています。

5ページの上を御覧ください。「エクササイズガイド」は2013年に改訂されましたが、その前は2006年版でした。ここで示した身体活動量に妥当性があるのかについて大規模介入研究をしています。平成24年度は1,056名の登録終了者を追跡しました。その結果は左側のとおり、活動量計を用いた1年間の介入によって、2006年に定めた1週間当たりエクササイズは、介入により23エクササイズまで増加しまして、2年目もその身体活動が維持されています。右側の図は、身体活動の介入群は非介入群と比較して14年後の腰痛の有訴率が有意に低かったことが明らかになりました。以上から、エクササイズガイドの改訂に資する、日本人を対象とした介入研究のデータを得ることができました。

 では、どのように運動したらよいかについてです。当研究所にはヒューマンカロリメータを設置していますので、これを用いて連続的・断続的な身体活動が脂質の利用に与える影響を検討しました。左の白いカラムを御覧ください。連続的に運動した場合は断続的に運動した場合と比べて呼吸商が高い。すなわち、断続的に運動したほうが呼吸商が低いため、脂質の利用が優位だったということです。この背景として、連続的に座っている時間が短くなることが関与していることが示唆されました。以上が運動と栄養の併用効果に関する研究です。

6ページの上は、bの、生活習慣病発症における遺伝・環境リスクの相互作用を解明するための研究です。この研究においては、健常人と2型糖尿病患者さんの遺伝子多型の違いについて、スニップ、1塩基多型のゲノム解析を実施しました。解析データを1000ゲノムプロジェクトのデータと照らし合わせることにより、直接シークエンスされていない部分は配列を予測しています。この解析により、AD4つの新しい2型糖尿病と関連する新規の領域を見出しています。以上より、テーラーメイドの予防法の開発が期待され、また、糖尿病予防の生活指導が可能になることが期待されています。

6ページの下は、糖尿病の発症のメカニズム解明のための分子レベルでの研究です。右の上の図を御覧ください。ヒトでもそうですが、動物も高脂肪食で飼育しますと、高インシュリン血症を発症します。これにより、インシュリンの抵抗性が惹起され、その結果、血糖値が上がるのはもちろんのこと、脂肪肝が発症します。このメカニズムを解明するために、インシュリン受容体のシグナル伝達物質であるIRS-1IRS-2の欠損動物を作り、それぞれの機能を解明しました。その結果、高脂肪食を摂取すると、選択的にIRS-2の遺伝子発現・機能が低下して血糖値が上がること、また、IRS-1については、インシュリンの作用が増加することから脂肪肝を発症することが分かりました。

7ページの上を御覧ください。ア-cです。肥満や糖尿病の発症に関連しているPPARγ2という遺伝子の上流領域をクローニングしまして、食後高脂血症マウスとそうでないマウスの上流を比較したところ、高脂血症モデルマウスの上流においてその発現が非常に強かったということです。

 これらの研究は、生活習慣病のテーラーメイド予防法の開発に貢献するものであること、また、運動と食事に関する研究は行政施策の遂行に貢献するところが大であると考えました。評価としては「S」としています。

 続いて、7ページの下を御覧ください。日本人の食生活の多様化と健康への影響及び食生活の改善施策に関する栄養疫学的研究です。評価シートは45ページです。平成24年度の計画は、イ-aとしては、日本人の食事摂取基準(2010年版)の基礎資料のデータベース化と食事摂取基準の基礎資料となるヒトを対象とした栄養疫学研究です。イ-bとしては、国民健康栄養調査の機能強化とデータ活用に関する検討です。

8ページの上を御覧ください。まず、イ-aの、日本人の食事摂取基準の策定作業への協力と普及啓発については、現在使われている2010年版の文献をデータベース化しました。99.3%データベース化しましたので、2015年版の策定に向けて活用が可能になっています。また、英語版のDRIsもオリジナルで作成しホームページで公表するとともに、論文としても発表しています。

8ページの下は、食事摂取基準の活用に関する調査研究です。2010年版のデータについて、エビデンスが不足しているライフステージを同定しました。その結果、小児や高齢者は非常にデータが不足していることが分かりました。そこで、9ページの上にあるとおり、日本人の高齢者のデータが少ないため、施設の入所者における基礎代謝量を二重標識法によって検討しました。その結果、要介護5の方は要介護12と比べて体格補正後の基礎代謝量が低いことが分かりました。

 次に、イ-bの、国民健康・栄養調査の機能強化です。この部分では、各自治体調査責任者に対する技術講習会を行うとともに、国民健康・栄養調査における方法や精度管理その他についてセミナーを開催しています。また、平成24年度は「健康日本21」の基礎的なデータとするために通常の3倍の対象者を調査することになっています。そのため、調査票のPDF管理システムの開発も行いました。

 以上、食事摂取基準の策定において、不足しているエビデンスを抽出したり、国民健康・栄養調査の効率化もいたしまして、行政へ貢献が大きいとして「A」評価としています。

 次に、10ページです。健康食品を対象とした有効性、健康影響評価に関する調査研究です。評価シートは67ページです。平成24年度の計画としては、ウ-aの、健康食品の素材成分の健康影響に関する研究と、ウ-bの、健康食品の情報提供に関する研究です。下の段を御覧ください。ウ-a、健康食品素材の健康影響に関する平成24年度の研究の1つとして、抗酸化物質の大量摂取が生体にどのような影響を与えるかについて、安全性評価をしました。ビタミンCは現在サプリメントの利用率が第1位ですが、近年、ビタミンCの大量摂取が運動による体力の増加や耐糖能の改善を妨げる可能性が報告されています。そこで、本年度は動物レベルで、ビタミンCの大量摂取が運動の有用性に及ぼす影響を検討しました。その結果、右の図にありますように、特にビタミンCを大量摂取しても体力に影響しないこと、また、耐糖能の改善を阻害しないことが分かりました。現時点で注意喚起をすべき結果は得られませんでした。

11ページの上段を御覧ください。現在、食品中あるいは健康食品中の水溶性ビタミンの分析をする場合には、微生物定量法を用いていますが、非常に時間と手間も掛かるため、分析方法の改良を行いました。その結果、通常は試験管を用いて行っていますが、マイクロプレート法を用いることで効率良く分析できることが明らかになりました。

11ページの下は、研究所の、食品成分の栄養生理学的研究を遂行する部分の研究です。β-カロテンは腸管で開裂してビタミンAに転換されます。現在、食事摂取基準では、β-カロテンの転換効率は50%とされていますが、そのメカニズムについて詳細は分かっていません。生体内のビタミンAが充足しているときはβ-カロテンは分解されませんし、足りないときはビタミンAに転換されます。その調節機構は分かっていません。そこで、律速酵素であるBCM01の遺伝子発現量調節を検討しました。その結果、その酵素の上流にはレチノイン酸の結合部位があり、恐らくプロダクツによる調節が掛かっているのではないかというところまで解明しています。この研究は、将来、β-カロテンの利用効率の科学的根拠となり得る研究だと考えています。

12ページの上も、健康食品素材の安全性に関する検討です。現在、利用が伸びているレスベラトロール、これは抗加齢効果があると言われていますが、その安全性評価の1つとして、閉経後のモデル動物を使って、肝臓の薬物代謝酵素を指標として評価しました。その結果は下の図にあるとおり、レスベラトロールの摂取により、これらの肝臓の薬物代謝酵素の遺伝子発現が低下することが分かりました。以上から、これらは医薬品との相互作用の可能性が示唆されると考えられます。

 下の図を御覧ください。こちらも利用が高いダイエットハーブです。コレウス・フォルスコリというものですが、これについても動物試験で安全性を検討しました。その結果、薬物代謝酵素を誘導する、肝障害の指標を誘導する、脂肪肝を発症させるなど、有害事象の注意深い観察に資する知見であることが示唆されました。以上、健康食品の安全性評価に関する研究においては、国民の食の安全確保に大きく貢献するものと考えています。

13ページからは、ウ-bの、健康食品に関する情報発信に関するものです。研究も一部入っています。現在、研究所では「健康食品の安全性・有効性情報」というホームページを提供しています。この内容については厚生労働省と十分に連携し、データベース上で現場の専門職との連携もしています。専門職の方がこのホームページを通じて消費者に正しい情報を伝えるという仕組みになっています。また、国民のニーズの把握、詳細な健康被害の収集等もこのホームページを用いて実施しています。その下は、提供の状況です。アクセス数の目標は8,000件ですが、平成24年度は1日当たり14,000件で、目標を上回っています。このようなことから、不確かな健康食品の情報を明確にして健康被害の未然防止・拡大防止に寄与することができたのではないかと考えています。

14ページの上を御覧ください。効果的な情報提供のあり方に関する検討です。この図は、違法製品の購入による健康被害の特徴を分析したものです。20082012年の本データベースに収載された被害関連情報を基に分析しています。その結果、女性が痩身効果を目的として、インターネットによってカプセル・錠剤の食品を購入し、数週間以上摂取した場合に健康被害が生じていることが分かりました。違法製品の解析なので混入物は医薬品の成分です。

 次に、健康食品による有害事象の収集とその活用に関する検討です。厚生労働省、消費者センター、各企業の情報を集めまして、いろいろな情報がありますので、因果関係を判断するためのアルゴリズムの作成をしてそれらを分析し整理しています。以上より、健康食品に関わる研究や公正な情報提供について当研究所の貢献度は大きいと考えておりますことから、本年度は「A」評価としています。

 続いて、研究所の研究能力の向上、食育推進のための研究です。評価シートは89ページです。15ページの下を御覧ください。研究能力の向上に関しては、そこに掲げてあります研究費を獲得しています。目標は特に定めていませんでしたが、政・独委の指摘により、平成25年度は目標値を定めました。

 オの、効果的な研究教育手法の開発については、平成24年度の実績は、高齢者を対象とした食支援や妊産婦への食事指導などを行いました。また、内閣府が主催した第7回食育推進・全国大会に参加して食育の推進に努めました。さらに、東日本大震災の被災地の栄養士・管理栄養士さんを対象として活動状況の調査を行いました。

16ページの上の図を御覧ください。食育推進基本計画に資する調査研究の推進・情報提供です。東日本大震災への対応として一般向けのリーフレットを作成しました。また、食育大会の推進状況を右に示しています。以上のとおり、生涯にわたるライフステージに応じた食生活の諸問題について調査研究を行いました。また、食育に関する情報提供に努めたことから、この部分も「A」評価としています。以上で説明を終わります。

 

○酒井部会長

 委員の皆様は評価シートの記入をお願いします。同時に、ただ今の御報告に御質問等があれば遠慮なくお願いします。

(評価シート記入中)

 

○金倉部会長代理

 糖尿病と遺伝的な背景の問題は極めて重要だと思います。1000ゲノムプロジェクトで解析されて、4か所に2型糖尿病と関連する新規の領域を発見したということですが、これはエクソンシークエンスですか、それとも、ホールゲノムのシークエンスをしているのでしょうか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 ゲノムワイドですので、ホールゲノムということです。

 

○金倉部会長代理

 単独の遺伝子として同定されているというよりは、領域として同定されているという理解でしょうか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 現在のところは領域として同定されていまして、更に単独のところをまだ解析中です。

 

○金倉部会長代理

 世界の進展状況と比較して、この結果はどのように評価されていますでしょうか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 現在のところ、2型糖尿病に関連する遺伝子は50程発見されていますが、まだ、その遺伝子だけでは糖尿病の発症の遺伝的なところを十分に説明することができないので、これからまだまだ新規の遺伝子の発見が求められていることから、非常に意義のある研究だと考えています。

 

○馬場委員

 ただ今の御発言に多少は関連します。今の御研究やそのほかの各種モデルマウスでのメカニズム、それから、食品添加物のいろいろな研究は面白い結果を出されています。しかし、このプレゼン資料に、先ほども御意見がありましたが、それらの知見がその領域で科学的に普遍性が担保されているのかどうか。例えば、論文発表をされていたらその論文名を書いて、その専門領域でこれだけの評価を受けているということを、まだ論文になっていなければ未発表でもいいと思いますが、そういったことを書いていただいたほうが全体の評価が分かりやすいのではないかと思います。是非それをお願いしたいと思います。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 御指摘ありがとうございます。この中で幾つか論文になっているものもありますので、次回からはその点も踏まえて記載させていただきたいと思います。後ほど論文の数等の報告がありますので、そちらでも評価していただきたいと思います。

 

○田宮委員

 私も、ただ今の御指摘と同じことをお願いしたいと思っていました。毎年お願いしているのですが、なかなかそうならないのです。今回は5ページに一部だけ書いてありますが、このような感じで、論文があるものはサイテイションをきちんと書いていただくよう、重ね重ねお願いします。

 それから、いつもこういう話題になったときに、追加資料として論文の一覧を見せていただいて御説明いただいたことがあったのではないかと思います。今回はこのファイルにあるのですか。それがあれば教えてください。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 資料2-4の最後にグリーンの「研究報告」が付いています。その28ページ以降が「研究成果等の公表」で、昨年度の1年間の論文あるいは学会発表等の私どもの研究発表の一覧が「業績目録」という形で入っています。

 

○中村委員

 いろいろとすばらしい研究成果を披露してくれましたが、中期目標に対してどうかという視点で説明していただけると、我々評価者としてはありがたい。例えば、研究能力の向上及び食育推進のための調査研究がですが、ここで実績としている、科研費補助金81,000万円、それから、外部資金の5500万円という結果は、適切なのでしょうか。計画どおりなのでしょうか。一つひとつの研究成果を大事にされているのは分かりますが、それが目標に対してどういう位置付けになっているのかという辺りを入れていただかないと、全ての評価委員が専門家ではありませんので、判断に迷います。説明のときにはよろしくお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 研究能力の向上の項目については、目標値を今回の中期目標・中期計画に設定していません。そこは政・独委から指摘を受けておりまして、平成25年度について既に計画を立てていますが、そこでは若手研究費は10件、助成は5件と目標値を設定しました。今後、目標をクリアできるよう業務に、研究にはげみたいと考えています。

 

○丸山委員

 健康食品に関連することでお伺いします。ほかのものも含めて、 健康・栄養研究所で御研究されている分野は、分子レベルから人々の生活まで非常に幅広い。その中でも特に健康食品などについては、アクセス件数が非常に高いように、人々からのニーズも高いお仕事なので、非常に価値が高い。ここしか頼る所がない、信頼して頼れる所がないと国民が思っていると思います。それに関連して、様々な基礎的な御研究をされるときのテーマの決め方は、どのような優先順位で決めておられるのか教えていただきたいと思います。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 テーマの決め方は、やはり、情報のデータベースを運営している中で、情報量の多いもの、それから、国民の皆さん、消費者の皆さんのニーズが高いと思われるもの、データが十分でないと思われるもの、そういうものを選択的に選びまして、基礎研究をしています。現在のところ、コレウス・フォルスコリというのは非常に利用件数が多く、科学的データが十分でないことから、この素材を選択しています。また、レスベラトロールに関しても、いろいろなデータはあるのですが、安全性に関するデータは十分でない。特に、通常の動物を用いた安全性の評価ではなくて、少し年齢の高い方、高齢者の方の利用が想定されますので、閉経後のモデルマウスを使った研究をするなど、それぞれの素材に合わせて消費者のニーズに応えられる、安全性を確保するための研究をしています。

 

○定本委員

 身体活動基準とその指針の2013年版の策定のために貢献されているというお話でした。これは運動を専門とする立場の者から見ますと、これまでの「エクササイズガイド2006」から大いなる進歩ではあると評価しています。お聞きしたいことは、大規模な介入研究を行われていて、資料5の上のほうにありますが、腰痛を訴えない人の割合が少なくなった。それは、23エクササイズをやっている人で少なくなって、より活発な人では余り差がなかったということですね。この辺は非常に興味深いデータだと思います。サルコペニアとの関係でこういう話が出てきたのだと思います。腰痛以外の効果などがありましたら、もう少し強調あるいは御披露していただきたいと思います。いかがでしょうか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 この点につきましては、評価シートには書いておりませんが、生活習慣病、特にメタボリック・シンドロームの罹患と言うとおかしいですが、メタボリック・シンドロームの基準を満たす者の割合が減っているという成果も出ています。また、サルコペニアに関しては、将来的に高齢者がサルコペニアにならないように、運動の介入が科学的に有効であるというエビデンスを積み重ねていきたいと考えています。

 

○酒井部会長

 よろしいですか。

 

○定本委員

 はい。

 

○酒井部会長

 ほかの委員の方、よろしいでしょうか。時間が少し押していますので先に進みたいのですが、私から1つだけ質問させていただきます。

 運動と食事の併用効果ですね。いつも、この併用効果も毎年期待しているのですが、進行中だということで、なかなかクリアな結果をほかのもののように見せていただいていません。そこについて一言、何かございましたら補足いただきたいのです。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 私が答えましょう。4月に来て、私も一番懸念した点です。幸い、佐久地方で行っている大規模なコホート研究がありまして、そういうもので検証できることになります。それにはもう少し時間が。

 

○酒井部会長

 掛かるということですか。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 この中期目標の期間中には何らかの形で御報告できると私自身も期待しております。

 

○酒井部会長

 是非、よろしくお願いします。

 では、記入のほうはよろしいでしょうか。先に進めます。次にグループ2です。研究成果の還元、社会的・行政ニーズ及び国際協力等に関する事項として、評価項目512についてです。法人からの御説明は、時間が短くて申し訳ありませんが、15分でお願いいたします。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 それでは、説明させていただきます。引き続き資料2-5を御覧ください。17ページの上の段です。「論文、学会発表等の促進」です。評価シートは10ページです。

 平成24年度の計画としましては、原著論文が年間80報以上(インパクトファクター2以上が30)でした。実績としましては、原著論文が106(インパクトファクター2.0以上の論文については40)で、目標を大きく上回っております。また、学会発表は目標200回以上ですが、平成24年度の実績は174回です。これにつきましては、目標を大きく上回る学術論文の掲載が英文の論文を中心になされ、また、インパクトファクターが取分け高い学術雑誌にも目標を大きく上回る掲載がなされるなど、優れた業績を上げたと判断しております。この項目については「S」評価としました。

 次に、6.「講演会等の開催、開かれた研究所」です。評価シートの1112ページを御覧ください。平成24年度の実績としましては、日本人の食事摂取基準の普及・啓発のために講師を7回派遣し、資料提供・企画支援を5回行いました。また、一般公開セミナーについては、平成24年度は500名以上の参加者がありました。これは昨年度の350名を大幅に上回っております。また、専門家セミナーについては4か所で行いました。目標は3か所です。そして、「オープンハウス」。これは研究所をオープンにして、一般の方々に来場していただくものですが、平成24年度は290名でした。昨年度は116名ですので、こちらも大幅な増加が認められました。そして、「総合的な学習時間」につきましては、中学校が35名、高等学校が122名で、こちらも昨年を大幅に上回っております。18ページの上です。オープンハウスの様子を示しております。この項目につきましては、公開セミナーやオープンハウスで昨年を大幅に上回る参加者を得たこと、また、各種団体や中高生の施設見学を積極的に受け入れたことから「S」評価としました。

 次の7.「研究実施体制等の整備に関する事項」です。評価シートの1314ページを御覧ください。平成24年度の実績につきましては、健康増進法に基づく業務に、重点的に研究員、技術補助員を配置しました。また、予算の削減の中で、運営費交付金、外部資金について、定期的にモニタリングをしながら予算の執行をしました。また、大学、民間企業・団体へ160名の研究者を派遣しております。こちらは政・独委からの指摘もありましたが、目標は100名となっております。次に、民間企業との契約共同研究が12件でした。目標は12件です。それから、連携大学院は、新たに岐阜大学との契約をしました。最後の客員研究員等については117名を受け入れております。こちらも政・独委の「将来の人材育成」の所で指摘がありましたが、目標が100名ですので、目標を上回っております。以上、ここの部分については目標を上回る努力をしたので「A」評価としました。

 次に、19ページの8.「健康増進法に基づく業務に関する事項」です。評価シートの1516ページを御覧ください。まず、アの「国民健康・栄養調査の集計業務」ですが、平成24年度の実績としては、まず平成23年度の報告を7か月以内にしております。また、平成24年度は、「健康日本21(第二次)」のベースラインのデータとするために、例年の3倍規模で実施されております。このことにつきましては、調査票をデータベース化するなど、調査の効率化を進めております。また、入力ソフト、マニュアル、電子媒体につきまして、ホームページ経由で地方自治体関連の方にダウンロードしていただくよう配布しました。その平成23年度の国民健康・栄養調査の結果の抜粋が下にあります。こちらではたくさんの表を作っておりますが、その中の1つです。

 次、20ページです。もう1つの健康増進法の業務である、特別用途食品の分析業務です。平成24年度の実績としては、特別用途食品が9検体、2か月以内に報告するという基準を設けておりまして、遅滞なく報告しております。こちらは政・独委の評価、重点事項の項目の中にある部分でして、処理時間を設定していただきたいと記載されています。そのことについてはここでお答えしています。また、栄養表示基準における栄養成分の分析法につきましては、モリブデンの分析法が収載されておりませんでしたので、平成24年度は消費者庁の事業を委託されて、モリブデン分析法の標準化、登録試験機関間の共同試験を行いました。また、特定保健用食品の申請時のヒアリング等も行っております。これらの業務を通じまして、消費者に正しい情報の提供、食品の安心・安全の確保をしております。また、イ-4ですが、登録試験機関間の外部精度管理試験を実施しております。政・独委の重点項目の中に、この業務につきまして、効率化、民間への委託が挙げられております。そこで平成24年度は、消費者庁事業におきまして、精度管理方法の確立、また、登録試験機関間の精度管理試験を実施しました。以上、この部分につきましては、国民健康・栄養調査では、通常の業務に加えて3倍の調査をしていて、また、特別用途食品の分析におきましては、通常の業務に加えて消費者庁事業を短期間で請け負って、行政施策への遂行に著しく寄与したものとして「S」評価としました。政・独委の重点項目に関する回答として、項目8というものを別紙で評価委員の先生方にお配りしておりますので、そちらを御覧ください。

 次に、21ページの9.「社会的・行政ニーズへの対応」です。評価シートの17ページです。平成24年度の実績としましては、関係団体との意見交換会として、6回行いました。消費者庁、厚労省等の行政との意見交換、目標は各1回以上です。こちらの部分は、関係団体、行政機関、その他、この他に、国や自治体の審議会における技術支援等も行っております。国や行政のニーズを把握して、それらを行政に反映させたと考えておりますので、前年とほぼ同じレベルとして、「A」評価とします。

 次に10.「国際協力、産学連携等対外的な業務」です。評価シートの1819ページです。平成24年度の実績としましては、国際機関の活動への対応として、WHOの指定研究センターの申請をしておりますが、具体的に担当官と協議をして、現在、最終段階に入っていると聞いております。人材育成につきましては、若手外国人研究者招へい事業として、インドネシアから1名、また、フォローアップ共同研究事業として、マレーシア1名のフォローアップをしております。産学連携につきましては、食品成分の健康効果についてメタ分析をしております。知的財産につきましては、費用対効果を勘案して、審査中の特許1件について審査の継続を取りやめております。

 以上、国際機関への申請、あるいは外国人研究者の受入れ等、例年どおり行っております。これらの研究活動を評価して、「A」評価としました。

 次に、22ページを御覧ください。上段の11.「栄養情報担当者制度に関する事項」です。評価シートは20ページです。平成24年度の実績としましては、最後の栄養情報担当者認定試験を実施しました。また、統合資格への移籍者は、平成24年度分については766名ありました。統合先は、第三者機関として「一般社団法人日本臨床栄養協会」を決定しておりまして、常にNRの皆様に不利にならないような対策を取りながら移管作業を進めています。更に、資格者の方のスキルアップの研修会も実施しておりますので、引き続き「A」評価とします。

 次に、下段の12.「情報発信の推進に関する事項」です。評価シートは21ページです。平成24年度の実績としましては、昨年の研究成果、並びに、国内外の健康・栄養に関連した情報を収集し、ホームページで発信しております。アクセス数は研究所全体で年間700万件です。目標値は年間300万件ですので、大幅に更新しております。また、データの更新は、目標は3,000件ですが、平成24年度は4,800件の更新をしました。先ほど、健康食品の所でも申しましたが、健康食品については8,000件/日の目標に対し14,000件/日と、大幅に上回っております。また、『健康・栄養ニュース』を年4回発行して、希望者に配信しております。また、必要な情報をより多くの方に見ていただくために、フェイスブック、ツイッター等を利用して情報提供に努めております。また、震災後、栄養・身体活動に関する情報も常に発信しております。

 右の23ページを御覧ください。こちらが研究所の機関誌『健康・栄養ニュース』のメール配信の様子です。そして、下がソーシャルネットワーキングサイト、ツィッター、フェイスブックを利用した配信です。毎日配信しております。

 以上、ホームページやニュースレターを通じて、研究成果や栄養に関する情報を迅速かつ積極的に配信しております。また、これらを通して健康の維持、増進に大きく寄与したと考えられます。そして、目標値に対して大きく上回った。特にアクセス数が上回っていることから「S」評価としました。以上でPart2の部分の説明を終わります。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。それでは、委員の皆様には評価シートの記入をお願いします。

 

○金倉部会長代理

 先ほど馬場委員も言われましたように、論文の成果、発表の成果が上がっているとのことですが。例えば、その代表的な成果がどのようなものであったかとかいうものがあると評価しやすいのですが、単にインパクトファクター、いくら以上のものが何点と言われましても、ビジブルなものがどれぐらいあるかというのがなかなか難しいので、そういうことをもう少し説明していただければ有り難いなと思いました。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 私自身は細かく見ていないので、具体的な例を挙げることはできませんが、これをパーッと見て、どれが印象的かまではまだ見ていないのです。以上です。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 先ほど、論文の部分がありましたけれども。資料2を見てください。そこに論文がありますが、赤字で示しているのがインパクトファクターの部分で、10ページの部分、糖尿病関連の所の論文が非常に高く評価されていると考えております。その他、平成24年度の報告なので、まだ論文になっていないものも多々ありますので、今後また評価していただければと思います。今年度はサイテーションのインデックスについても評価シートに書いてありますが、それも目標を大幅に上回っております。今年度の部分については来年度、また評価に載せたいと思いますので、そこで御評価いただければと思います。

 

○酒井部会長

 ほかの委員の方、いかがですか。

 

○馬場委員

 概要資料の22ページの12.「情報発信の推進に関する事項」の2段落目、健康・栄養フォーラムを活用して、一般ユーザーと研究所との双方向の意見交換があるのですけども。これは非常に重要な機能だと思いますが、先ほど来議論になっている、研究所でやられていた、健康・栄養に関する科学的なエビデンス、そういったものがベースで。例えば、一般ユーザーから、本当に特保が効くのですかとか、安全ですかとか、そういう質問があると思います。そういったときに、どういったスタンスで一般ユーザーと研究職員とのコミュニケーションはなされるか、見えてこないのです。それは逆に言うと、先ほど来議論になっている、いろいろな基本的研究がありますね。それについての結果をそこに反映させてお答えするのか、その辺のことが分からなかったのですが、もし差支えなければ。どういうようなことが、ここでは。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 先ほどの情報のところで示しましたように、私どもの健康食品のネットワークは、通常は現場の専門職への対応が第一です。消費者の方は本当にたくさんの方がいらっしゃいまして、いろいろな情報をお持ちですので、研究所としては一人ひとりの情報に応えることはなかなか難しくて、まずは現場の専門職に正しい知識を付けていただいて、その一環としてNRの制度があったわけですが、そういう専門職を通して、その専門職から消費者に伝えていただくようにしております。そして、確かに消費者の方から毎日のように問合せの電話やメールがあります。当研究所に健康食品の安全性・有効性情報のデータベースがありますので、そのようなときにはそこを見ていただいて、やはり安全性を中心に考えていただくことを基本にこのホームページを運営しています。

 

○馬場委員

 ホームページを参照してくださいと、そういう形の会話をされるのですか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 ただ、個別に聞かれたことについて、分かる範囲では応えておりますが、基本としては安全性を中心にということでお答えしております。特定保健用食品につきましては、国が実施している健康表示の制度ですから、特に当研究所が、特定保健用食品のこれがいいですよというような勧め方は一切しておりません。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。ほかに、いかがですか。

 

○定本委員

 初めてですので。これまでの外部資金の導入の数値がありますが、これは年々増えていっているのか、あるいは、例年のような状況であるのか、まずそれを教えていただければ有り難いと思います。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 お答え申し上げます。外部資金については後ほど御説明しますが、前年度より約4%ほど増えております。

 

○定本委員

 分かりました。ありがとうございます。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 何とか目標に近づいていることになります。

 

○定本委員

 もう1つ、7.「研究実施体制等の整備に関する事項」という所で、若手の研究員とか流動研究員、研修生を117名ほど受け入れていると、そして、教育の場を与えて、資質向上に資する研究所と了解しました。大体同じようなプロジェクトがたくさんありますので、この117名はどういう所にたくさんいて、あるいは、どういう所が少ないかとか、そういう配置の違い等はあるのでしょうか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 詳細につきましては、資料の中の研究報告の中で、各研究部の協力研究員、研修生等の記載があります。こちらを見てください。極端にどこが少ないとか多いとかではなくて、各研究部につきまして、可能な範囲で受け入れている状況です。詳細についてはこちらの年報を見ていただければと思います。

 

○定本委員

 分かりました。後で見せていただきます。

 

○酒井部会長

 ほかに、いかがですか。

 

○中村委員

 説明書の22ページの11番に、NR制度に対する現状が載っているわけですけれども。NR制度そのものは健康・栄養研究所さんが一生懸命育てたというふうに認識しているのですが、第三者に移管という計画に従って粛々と実行されているのがよく読めるのです。受験者の年々漸減傾向にあることについて、NR制度そのものに対して将来を危惧するのですが、これに対する見解とか何かがあれば教えてください。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 私も十分には動向を理解していませんが、知っている知識からいうと、移行しますよね。その移行の人数は一応報告があるけど、若干懸念される、数字的に減少という感じは読み取れます。

 

○中村委員

 中期計画では協力を惜しまないみたいなニュアンスが書いてあるのですが、是非、制度を何とか定着というか、そういったところにもこれから離れるわけですが、やれる範囲でアドバイスをお願いしたいと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 はい。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 ブロック単位の研修会ということは、譲り合わなくてよろしいのですか。

 

○中村委員

 そういうのは参考とはできる。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 それから、現在のNRの方々に対する情報提供と、そういうことは現在でも適時やっていますので、そういう中で円滑な移行が進むように考えております。

 

○丸山委員

 例えば、オープンハウスのような形、あるいは講師派遣のような形でというのは、ここでもたくさんされているのですが、実際にこういうことが、おいでになった方たちは恐らくよかったという、好意的な御意見をお出しになられるかと思いますが、少なくともこの少ない人数体制の職員の方々が、基礎的な研究からこういうところまでの対応をなさるのは時間的にも、一言で言えば大変なことではないかと思います。そのときに、おいでになる方たちの層といいますか、例えばジェネレーションであったり、あるいは、どういうきっかけでおいでになることができる方たちが来ていて、それが国民全体の今後の健康状態を維持することに対して、本当に役に立つレベルになっているのか、単純に情報発信だけになっているかを私は懸念するのです。要するに、本当は時間がなくて来られない人たちに来ていただきたい場所ではないかと思いますが、そういう企業とか働く人たちが積極的にここへ来て、何かを知っていただいて、自分たちから能動的に健康や栄養状態を守るような試みはこの中に入っていけるのですか。

 

○国立健康・栄養研究所研究企画評価主幹

 来訪者につきましては、まず地域の方々、それから、中学校、高校にも声を掛けていますので、学生の方、健康・栄養研究所に興味を持ってくださっている栄養士、管理栄養士の皆さんというところです。ですから、先生がおっしゃるように、中高年の男性で、本当に時間がなくて、メタボを解消しなければいけない方が多く来ているとは考えられない状況です。今後はそういう方々にも積極的に声を掛けていくべきではないかと、先生の指摘を受けまして、考えたところです。

 

○丸山委員

 是非、省庁との関連性をこういうところに誘導するために使っていただけると有り難いかと申したいのです。

 

○酒井部会長

 是非お考えいただけたら。

 御質問のほうはよろしいですか。それでは、先へ進みます。3番目ですが、「業務運営の改善及び効率化に関する事項」で、評価項目の1318番まで、前回同様、15分で御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしく。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 「業務運営の改善及び効率化に関する事項」について御説明します。資料2-1「業務実績評価シート」では22ページから、資料2-5「業務実績概要資料」は24ページを御覧ください。

 運営体制の改善に関する事項ですが、効率的な組織運営のための内部統制については、効率的な組織運営を行うために研究所の重要事項を協議する場として運営会議を開催しており、年間17回開催し、研究所幹部による意思決定及び情報の共有化を図っています。

 次に、各研究部門の連携強化を図る観点から、研究部、センターの研究員からなる研究企画委員会を開催し、研究部門の連携や事業の立案・推進を行っています。また、利益相反委員会では、研究者からヒアリング及び審査を行い、調査・研究を実施するに当たり、利益相反の管理について適切な措置が行われているか等について審議を行い、リスク管理に努めています。さらに、研究倫理審査委員会も3回開催し、医学研究の可否、臨床研究の可否について審議を行い、適切な研究となるよう必要に応じて修正・変更を指示しています。

 研究所内の情報共有については、所内のイントラネットを用いた情報共有を行い、各研究部の研究・業務の進捗状況の把握・管理に加え、予算執行状況について研究部サイドが随時把握できる仕組みを構築して運用しております。また、内部統制の一環として、法人のリスク管理として危機管理の強化に努めており、緊急の連絡体制を整備するとともに訓練を行い、その機動確認を行いました。加えて、自然災害のリスク管理の対応として、地震災害、首都直下型地震を想定した業務継続計画を平成243月に策定し、地震発生時の業務継続及び被災地対策などへの対応を整備しました。

 次に、研究所の企画及び技能強化についてです。研究部門との連携強化及び戦略的な事業立案・実施に向け、全ての研究員、特別研究員、技術補助員などが参加する研究所内のセミナーを、毎月1回以上、年間33回開催しました。研究部門間の連携を強めるとともに、事業の立案・実施に役立てることに必要な国内外の最新の研究成果を得る機会ともなっています。

 研究所の円滑な組織運営のための業務進捗管理及び評価についてですが、各研究部門の調査・研究の進捗状況については、研究企画委員会の場で各研究部長、センター長から報告が行われます。また、所内公開の報告会は11月に中間報告会を開催し、平成253月に最終報告を行い、評価を行っています。以上のことから、自己評価は「A」としております。

 「研究・業務組織の最適化に関する事項」について、評価シートでは25ページ、概要説明資料は25ページの上段です。効率的な調査・研究・業務を行うための組織の最適化については、平成24年度は研究室の再編を行いました。具体的には、健康増進研究部と基礎栄養研究部の研究室の再編を行いました。健康増進研究部に、身体活動並びに体力の評価法の開発と、それらを活用した研究を行う「身体活動評価研究室」を設置しました。一方で、健康増進部にあったエネルギー代謝研究室を基礎栄養研究部に移動させました。加えて、基礎研究部については「脂質・糖代謝研究室」を再編し、タンパク質、脂質、炭水化物などの主要栄養素に関する調査・研究を行う「主要栄養素研究室」を創設し、効率的な調査体制としました。また、当研究所の持つデータベースについては、連携を図るため、健康食品の安全性・有効性情報データベースは厚生労働省食品開発局保健対策室と、特別用途食品・栄養療法エビデンス情報については日本栄養士会と連携を図って、データの更新・提供を行ってきました。

 民間企業等との連携・交流ですが、民間企業からの受入れについては111名、外国人を含めると117名です。研究所からの派遣については、大学の客員教授や非常勤講師の派遣、大学特別講議等を49件実施しました。なお、業務改善の取組として、国民に開かれた法人運営という観点から、ホームページの健康・栄養フォーラムにおいて国民の意見や要望等を随時受け付け、受け付けた意見等を全ての職員に伝達し、個別に対応すべきことについては速やかに対応するシステムを構築しています。また、10月に研究所の施設の公開、調査・研究の紹介を行うオープンハウスの開催、2月に研究所の業務調査・研究を分かりやすく説明する講演会として一般公開セミナーを開催し、多くの方の御来場をいただいております。

 国民ニーズの把握については、オープンハウスや一般公開セミナーにおいてアンケートを実施し、その結果を全ての職員で共有し、今後の研究の運営、調査・研究に役立てております。以上のことから、この事項については自己評価を「A」としております。

 「職員の人事の適正化に関する事項」についてです。評価シートは2627ページ、概要説明資料は25ページの下段です。当研究所では、平成24年度末、平成25331日時点で、常勤の研究員が30名です。平成24年度中に、人材確保のため4人を公募・採用しました。その結果、常勤研究員30名のうち女性が15名となり、女性の多い職場となっております。なお、平成13年の創立以来、研究員の採用については研究者の流動化計画に沿って、任期付き研究員として原則公募により採用を行っております。

 重点的な業務に対する人員配置については、重点的に取り組む業務である食物摂取基準の策定、食品分析及び国民健康・栄養調査関連の調査・研究を中心に研究員等を配置し、業務を進めています。加えて、東日本大震災後の被災者支援のプロジェクトチームを設置し、研究所内の組織的横断的な組織として位置付け、必要な人材を確保し、被災者の食物摂取状況調査などを実施しております。先ほど、女性の比率が高い職場であると申し上げましたが、外国人研究者や女性が働きやすい環境ということで、フレックスタイムの導入や育児休暇制度の制度を整えております。

 最後に、管理部門である事務職員については、人事評価マニュアルに基づく人事評価を行い、業績評価を行っています。以上のことから、この事項については自己評価を「A」としております。

 「事務等の効率化・合理化に関する事項」、評価シートは28ページ、概要説明資料は26ページです。事務事業の効率化ですが、定形的な業務については可能な限り外部委託を行いました。管理部門に所属する事務補助員を1名削減しました。事務職員の資質の向上については、評価監査中央セミナーなどを初めとする国等が実施する研修会やセミナーに参加をしております。また、事務システムの効率化・最適化に向けて、所内LANシステムの活用、事務処理の電子化を進め、効率化・最適化に努めています。その結果、交付金全体で前年度比3,700万円の削減を実現しました。

 なお、平成264月に独立行政法人医薬基盤研との統合という方針が平成24年度にあり、それに向けて管理部門の組織について検討を行ってきましたが、平成251月に統合は凍結されることになり、その検討は終わっております。以上のことから、自己評価については「A」としました。

 「評価の充実に関する事項」、評価シートは29ページ、概要説明資料は26ページの下段です。研究及び業務の実績については、内部評価委員による中間評価を平成2411月、平成253月に実施しました。個人評価については、理事長などが研究部内の役割と貢献や研究活動によって評価を実施しております。外部評価委員は、概要説明資料26ページの外部評価委員名簿のとおりで、平成253月に平成24年度の評価、並びに平成25年度の事前評価を実施しました。評価に係る1年間の流れは、概要説明資料27ページの上段に「内部評価のフレームワーク」ということで書いてあります。また、評価結果は研究員に周知するとともに、ホームページに掲載し、公開をしております。以上のことから、本事項については自己評価は「A」としました。

 「業務運営全体の効率化」について、評価シートは3132ページ、概要説明資料は27ページの下段です。一般管理費については毎年度2%の削減、中期計画最終年度までに平成22年度を基準として10%の削減を計画しています。平成24年度は前年度と比較して2.3%の削減、平成22年度に比較して平成24年度末の時点で8.9%の削減となり、計画は順調に進んでおります。

 人件費については、平成24年度以降、毎年度1%以上の削減を計画し、平成22年度に比べ2%の削減を計画しています。平成24年度は、前年度に比べ11.3%の削減、平成22年度と比較して13.4%の削減を実現しました。なお、平成24年度は特例法に基づく国家公務員の給与の見直しが実施されましたので、当法人においても国家公務員と同様の減額措置を講じたことから、大きな減額となっております。

 業務経費ですが、毎年度1%の削減、中期計画最終年度までに平成22年度を基準として5%の削減を計画しています。平成24年度は、前年度に比較して2.5%の増、平成22年度に比較して平成24年度末時点で16.5%の削減となり、計画は順調に進んでいます。前年度と比較し、増加した原因については、平成23年度が震災の影響で7月から9月までの期間、節電に協力するため事業、調査、研究を自粛、あるいは延期することになり、その結果、平成23年度は大幅な経費の節減となり、平成23年度は平成22年度に比べて18.5%の削減となりました。

 平成24年度については、業務、調査及び研究について当初の計画どおり進めたため、前年度と比較すると増加になりましたが、平成22年度を基本とする比較をすると16.5%の削減となり、数値目標を達成し、目標以上の削減となっております。経費の主な削減の要因は、人件費は任期付き研究員の採用、若手研究員の採用などにより抑制、一般管理費は管理部門、事務補助員を削減したことなどによります。また、業務経費は研究資材の節約や賃貸リースにおいて再リース契約などを行い、経費の節減に努めました。また、当研究所の給与体系は国家公務員と同様になっております。その給与水準は、国家公務員を100とした場合、年齢、地域、学歴勘案指数では、事務職で92.2、研究職で97.9と、国家公務員を下回っています。このようなことから、中期計画の最終年度に向けての削減計画は、平成24年度末において人件費、業務計画の最終目標を達成し、一般管理費についても残り1.1%の削減を行えば達成可能な状況です。以上のことから、自己評価は「S」としました。以上で、グループ3の説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 それでは、委員の皆様方、評価表の記入をよろしくお願いします。御質問等はいかがでしょうか。

 

○中村委員

14番に「研究・業務実績の処遇への反映を行う」とありますが、具体的にどういったことをやられているのでしょうか。処遇へ研究や業務実績を反映させているということは、いわゆる非公務員ということを活かした施策かと思うのですが。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 一義的にはボーナスの算定、あるいは給料も職員によって等級があるので、昇級等に考慮するといった配慮をしております。

 

○中村委員

 ここに書くほど、意図的に取り組んでいるということでよろしいでしょうか。評価シートの25ページの「非公務員化の利点をいかした取組がなされているか」に該当する事例であるか否かに対する回答です。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 先生の御指摘のとおり、ほかの所と比べて、具体的にどこが特徴的なのかと言われたら、正直なところ私は答えようがありません。

 

○中村委員

 目的意識的にそういうことをやられているのか、それとも通常のルーチン枠の中で自然とそういうことが達成されたのかで、評価は全然違うと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 御指摘のとおりです。

 

○中村委員

 私は前向きの方向だと思っていますので、是非活性化させてください。

 一方で、人件費ですが、定常的に削減といったことは、研究所という性格から見て、あらかじめ目標ありきというのは、果たして良いことなのかどうかと思ってはおります。ただ、評価する立場としては、実績を評価しなければならないわけですが。幸い、貴研究所はきちんとやられていることがわかります。ただ、ベースになっているのが若手の人材、任期付き採用ということが気になります。当面はそれで達成できると思いますが、将来にわたったときに、優秀なこの研究分野での人材育成を見越してやられているかが心配です。その辺りの見解をお聞かせ願います。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 それは、私が答えなければいけない重要な点です。これはどこの施設も同じですが、人事の循環はそれほどよくはありません。これも含めて、大学などと人事交流をしながら活性化を図るということでないと、栄養学のような特殊な領域の研究の持続と発展はないだろうと考えております。

 

○中村委員

 貴重な研究分野だし、貴重な研究が行われてきたと思うので、そう簡単に「任期制ですよ」と足切りをして、結果的に人件費目標は達成できたとしても、それで喜んではいられないはずです。戦略的に取り組んでいただければと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 実際上、今の研究員の方々がどのような状況かを漠として見ると、当研究所の研究補助員という形の中で、研究をサポートしながらいろいろ自分で勉強して、業績を作っていって、研究員になったという方もいらっしゃるので、一つ一つの職としては任期制になりますが、その中でステップアップする方もいらっしゃいます。そういう形が一種のコンピテンシー・モデルになるのかなという印象を持っております。

 

○酒井部会長

 確認ですが、任期付きだけれども、研究所にとって非常に大事な人は、パーマネントに移行するということはされているのですか。それとも、任期付きだったら、自動的に3年たったらさようならということですか。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 過去にありました。平成24年度はありませんが、過去にはそういうことがありました。

 

○酒井部会長

 ないということは、平成23年度で任期が切れた方については、全員外に行かれたということですか。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 平成24年度は、任期が切れる前に、公募で研究員を募集するのですが、例えば研究員の方が室長に応募すると、外部の方も受けますが、内部の方も同じようにヒアリングをやって、技術上の内部昇格の形で引き続き勤務される方もいらっしゃいますし、任期を待たずに外へ出ていってしまう方もいらっしゃいます。

 

○酒井部会長

 その辺り、中村委員がおっしゃったように非常に大事なところで、戦略的にどうされていくかという説明をしていただけると、非常に評価はしやすいかと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事長

 現在、端的にこういう戦略でやっていますと申し上げる手立てはありません。内部で空いていれば室長とか部長ということも可能ですが、それも含めて人事交流が必要です。人材育成という視点では、日本社会のみんなが考えていることだと思います。

 

○馬場委員

 この概要説明資料で、今御説明のあった事務職員の個人評価を給料等に反映と書かれていますが、26ページの17の研究員の評価は、研究部やそのグループでの評価を主にという形で、その中で個人を評価すると書かれています。実際、研究員もその評価結果で何らかの給料やボーナスに反映するような仕組みは取っているのですか。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 はい、仕組みはあります。

 

○馬場委員

 それは実際に適用されているわけですか。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 ボーナス等で反映させております。

 

○馬場委員

 評価結果の公開というのは、「評価結果は職員に周知するとともに」とありますが、ホームページで個人の評価を出しているわけではなくて、グループの評価ですか。

 

○国立健康・栄養研究部長

 組織の評価です。

 

○馬場委員

 もう1点、今議論になっていた任期付きの研究員の話で、これはどこの組織もそうだと思いますが、改正労働法への対応は十分考慮されているのですか。かなりいろいろなところを苦慮されていると思いますが、何か具体的に考えていらっしゃいますか。

 

○国立健康・栄養研究部長

 おっしゃるとおり、私どもは改正労働法の関係が非常に厳しくて、5年後どうなるかということが非常に問題です。今年度採用される方の処遇について5年先ということを考えると、任期付き、有期雇用ですので、無期という御主張をされる可能性もあるので、どうしたらいいか非常に悩んでいるところです。できれば、研究員に関しては特例的なことを考えていただけると非常に有り難いと思っておりますが、なかなか難しいとは聞いております。

 

○田宮委員

13番の運営体制のところで、イントラネットを用いて研究の情報の共有化とあって、これは非常に大事だと思いますが、具体的にどのようにイントラネットで各研究部の研究の進捗状況の把握をされているのか教えていただければと思います。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

1つは、研究実績についてはホームページに載せて、誰でも見えるような形にしておりますし、外部からのいろいろな御質問やお問合せについては、全ての研究員、あるいは職員に流して、今の状況を伝達しております。当然、個別の質問について、答えられるところは担当部署で答えるということで、所内LANを使った活動をしております。

 

○田宮委員

 質問というのは、外部からの質問ですか。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 外部からの質問に対して、情報を共有するとともに、対応すべきところは即座にその部門で対応するということです。

 

○田宮委員

 各研究部の研究の内容の共有も。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 研究は、所内の者が見られるような仕組みにはなっています。

 

○田宮委員

 それは例えばどのような、論文発表をしたとか、そういう形ですか。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 マンスリー・レポートの形で、全部登録しております。

 

○田宮委員

 各部署がマンスリーに。栄養という非常に特化した研究所なので、そういうネットワークがとても重要かと思って質問しました。

 

○酒井部会長

 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、最後のグループ4に移ります。「財務内容の改善に関する事項」について、法人からの説明を10分でお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 評価シートは33ページ、概要説明資料は28ページの下段です。先ほどお話があった外部資金その他の自己収入の増加に関する事項については、平成24年度は厚生労働省の厚生科学研究費補助金並びに文部科学省の科学研究費補助金等で、競争的資金は前年度より6件増えて48件、金額で15,100万円、そのうち間接経費は2,379万円でした。共同研究、受託研究は前年度より3件増えて、金額で5,2881,000円、寄附研究が5件で571万円でした。その結果、外部資金比率は、競争的資金の間接経費と共同研究、受託研究及び寄附研究の合計で8,2381,000円となり、その比率は前年度と比べ4.45%増の46.75%となっております。目標は50%で、若干到達しておりませんが、増加傾向にあります。また、件数については、過去2年間の平均80%以上の件数を獲得することとしていますが、108%になり、計画は達成しています。

 「各種研究から生じる知的財産の有効活用・研究成果の社会還元を目的とした出版等による自己資金の確保」については、これまでの研究成果並びに業務実績を踏まえ、書籍の監修及びソフトからの印税収入などを得て、自己収入の増加を図りました。また、研究のための基礎データ収集のために、研究に協力を受けられる方に、運動フロアやプールなどの施設を開放して、自己収入に努めました。経費の節減については、運営費交付金について節減に努め、平成23年度比5.7%の削減を行いました。以上のことから、自己評価は「A」としました。

 「経費の抑制に関する事項」、評価シート34ページ、概要説明資料29ページ上段です。ここでは、コスト管理が適正になされ、効率的運用か、人的資源の有効な活用がなされ、経費節減につながっているか。計画と実績に差異がある場合、理由は明確か、交付金が全額収益化されず、債務として残った場合の理由はどうなっているかという観点で説明します。コスト管理については、研究部、センターごとに集計・分析を行い、その内容を所内イントラネットで公開し、コスト意識を図りました。調達に当たっては、原則一般競争入札として調達価格が低減されることにより、交付金の節減を実現しました。人的資源の活用については、国民健康・栄養調査のデータ入力や栄養情報担当者の試験監督業務、コホート研究における検体検査等を外部委託することで、人的資源の効率化、コスト削減を実現しました。計画と実績の交付金において債務として残った理由については、経費の節減によるものです。総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の下にありますが、当期の純利益は1,2468,585円で、人件費の節減の結果です。

 また、契約については、1者応募に係る改善策を策定し、ホームページで公開するとともに、調達マニュアルを整備・運用し、契約の適正化に努めています。契約の適正化を審査するため、会計監事による毎月の内部監査を実施しています。以上のことから、本事項の自己評価は「A」としました。

 「その他の業務運営に関する事項」、評価シート36ページ、概要説明資料29ページの下段です。情報セキュリティの確保についての評価です。セキュリティ対策の推進及びセキュリティの確保について、情報セキュリティの確保のため、セキュリティをハードウェアのアップデートを月1回行い、監視体制の強化を継続しています。数値目標ですが、セキュリティチェックは年2回以上ということで、自己チェックに加え、セキュリティ会社によるチェックを年12回実施しています。また、セキュリティ手順書及び「情報ネットワークセキュリティポリシーの見直し」を行い、セキュリティの強化を図りました。さらに、職員のセキュリティ意識の向上のため、年6回の新規ユーザーの講習会、継続ユーザー向けの講習会を5回開催し、意識の向上に努めました。以上のことから、自己評価は「A」としました。以上でグループ4の説明を終わります。よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 それでは、委員の皆様、御記入ください。御質問、御意見はありますか。

 

○丸山委員

 今のセキュリティに関連することですが、実際にリスクというか、イベントは起こったのでしょうか。あるいは、危害が起こり得るということはあったのですか。セキュリティ管理に関する問題です。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 ありません。今までのところでは、ありません。

 

○清水委員

 中期目標計画との関係がよく分からないのですが、今言われたようなことは、3項目ともごく普通にやられていることだと思うのです。その前のところもそういう部分が結構あるかと思いますが、例えばこれを「A」という形で評価するのは、計画に対してどういう部分で上回っていると見ているのかについてお話いただければと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 全体的に私どもがどう自己評価をしたかですが、基本的にはこのベースについて、部長以上で行う企画委員会で1項目ずつ全員で検討して、特に視点としては研究の成果がどうなっていったか、あるいは行政に対する貢献がどうなっていたかということで、全員で議論をして、評価をしております。したがって、そこについて曖昧ではないかという御指摘はあるかもしれませんが、私どもとしては内部での議論を踏まえて、それを理事長も含めた運営会議の中で最終的に意思決定して定めたという流れを取っております。

 

○清水委員

 中期計画との関係でもありますが、判定基準に、「A」は中期計画を上回っているとなっています。「S」も幾つか付いているのですが、「S」は大幅に上回っているということで、かなりのレベルのことを言っていると思われます。そうすると、評価基準で目標計画のベースがもともと高く設定されている場合には、それをそのまま達成できても「A」という考え方が、もしかしたらあるかもしれませんが、独法の評価基準はそのように作られていないと思うので、飽くまでも説明されるときに中期計画、あるいは年度計画に対してどういう視点で上回ったと言っていただかないと、私などは素人ですから、評価するとみんな「B」かとなってしまうのです。その辺りは、説明のときにもう少し注意して説明されたほうがいいのかなと、より具体的に言わないと困るという印象を持っております。特に最後の説明は、今説明されたのでは、どのように評価していいかよく分からないというのが私の印象です。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 一義的には、数値目標等のあるところに関しては数値目標の達成状況を見て、その中で特に数値が大幅に上回っているものは「S」評価を付けて、その目標をクリアして、若干高目の水準のところで、全体としてはあると。ただ、全部の評価というよりも、そこにある事項を総合的に評価する中で判断をしたということです。

 

○清水委員

 要するに、計画で設定されたレベルも判定に入っているのです。そこが高ければ、それを達成すると「A」という感じも受けています。

 もう1つ、私は素人なので、研究のことについて言及するつもりはありませんが、研究ベースのところが、数の問題もありますが、研究のレベル感や希少的な意味合いを言っていただかないと、私のように研究職でない人間は全く判断できないので、是非そういう説明をお願いできればと思います。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 そこについても、今年、私どもが心がけたのは、基本的に国の研究所ですので、特に厚生労働行政にどう貢献したかが評価として一番大きなところではないかと思います。例えば、先ほどのエクササイズのガイドや栄養の食事摂取基準、栄養調査など、国の施策として行われているものに対して、私どもの成果がどう反映されて、それに対してどのぐらい政策への寄与があったかは、評価のメルクマールとしては非常に大きいということで、自己評価を付けております。

 

○酒井部会長

 実は部会長を始めて1件目なので、最初に御説明いただいたときに、毎年問題になっているのです。「S」評価と「A」評価と「B」評価は、文書上はっきりと中期計画を大幅に上回っているものが「S」だというのですが、伺っていて、内容のレベルも非常にすばらしいものがあるけれども、先ほど清水委員がおっしゃったように、中期計画にそれが書かれているならば、かなりすばらしい評価と言っていても「B」評価になるのです。本当に「B」評価としていいのかと、以前この部会でも「B」評価をしたときに、ある理事長が憤慨したことがあるのです。何でこれだけやったものが「B」なのだと。本来は、皆さんに自己評価をしていただくことは、私たちには参考になるのですが、自己評価をするときに清水委員がおっしゃったような意味で「S」評価、「A」評価、「B」評価を付けられているのかどうかということと、私たちが評価するときに、文字どおりそれで受け止めて、相当良いと思っていても、中期計画と同等だと思ったら「B」評価にしてもいいのかということを説明いただけると有り難いと思います。

 

○政策評価審議官

 実際は、具体的にそういう基準はないと思います。というのは、そもそも中期目標なりが本当に高めなのかどうかも、皆さん決めていますが、一番あるのは、資料1-4-1のように、「S」とか「D」というのは理由が必要ということになっているので、例えば今お話があったように、普通ぐらいの目標で普通ぐらいの達成だったら「B」。ただ、目標自体がアグレッシブでチャレンジングなもので、それを達成していたら「A」と、一般的に考えていただいていいかなと思っております。

 

○酒井部会長

 そういう御説明ですが、よろしいでしょうか。今日始まったばかりで、これからずっと続いていくので、評価する側は常に決めにくいところではあります。委員の皆さんがよろしければ、先へ進めます。

 

○国立健康・栄養研究所理事

 ありがとうございます。

 

○酒井部会長

 ほかにいかがですか。御記入もよろしいでしょうか。事前に伺ったところでは、終わらなければ残ってやっていただいてもかまわないし、ある短期間の間に持っていって提出してもかまわないということですので、全部埋まっているかどうか分かりませんが、国立健康・栄養研究所の年度評価についてはこれで終了して、次の議題に進みたいと思います。よろしいでしょうか。

 

○馬場委員

 事務局にお聞きしたいのですが、記入のフォーマットは後ほどメールで送ってもらえるのですか。

 

○政策評価官室長補佐

 まだ記入されていない方については、本部会の終了まで残って記載していただいても結構ですし、フォーマットはメールでお送りしますので、メールで729()までに事務局の村瀬宛てに送っていただければと思います。

 

○酒井部会長

 それでは、年度評価についてはこれで終了します。次の議題として、「役員退職手当支給規定の変更」について、事務局から御説明をお願いします。

 

○政策評価官

 国立健康・栄養研究所理事長から、厚生労働大臣に対して役員退職手当支給規定の変更について届出がありましたので、御意見をいただくものです。評価資料集で御説明しますので、資料の32ページを御覧ください。

 独立行政法人通則法第52条第2項ですが、特定独立行政法人は、その役員に対する報酬等の基準、報酬や退職手当の支給の基準を定めて、これを主務大臣に届けること、それを公表すること、これを変更した場合も同様の取扱いとする、と記載されています。また、第53条に、「主務大臣は、この届出があった場合については、報酬等の支給の基準を評価委員会に通知する」ものとされております。その下、2項で「評価委員会は、前項の規定による通知を受けたときは、その通知に係る報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、主務大臣に対して意見を申し出ることができる」とされております。当研究所については、特定独立行政法人ではありませんが、35ページ一番下に第62条で「第52条及び第53条の規定は、特定独立行政法人以外の独立行政法人の役員の報酬等についても準用すること」とされているので、今回、報酬等の支給の基準が社会一般の情勢に適合したものであるかどうかについて、御意見を伺えればと思います。

 

○酒井部会長

 それでは、法人から御説明をお願いします。

 

○国立健康・栄養研究所事務部長

 役員手当支給規定の改正の概要について御説明します。平成248月の閣議において、独立行政法人の役職員の退職手当について、国家公務員の退職手当の見直しの動向に応じて、通則法等の趣旨を踏まえつつ、今般の国家公務員の退職制度の改正に準じて、必要な措置を講じるよう要請等を行うということが決定されました。その後、第181回国会において、国家公務員の改正退職手当法が成立しました。それを受け、当法人の役員退職支給規程も国家公務員退職手当に準じて改正をしました。

 改正の内容は、退職手当の算定に当たり、新たに調整率を追加し、経過措置を行いながら、平成267月までに13.65%の引下げを行う。施行については、平成2511日としております。よろしくお願いします。

 

○酒井部会長

 御質問、御意見はありますか。このような御提案ですが、当委員会としてはお認めするということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。

 そのほかに御発言はありますか。よろしければ、これで法人の入替をします。終了します。どうも御苦労さまでした。また総合評価でよろしくお願いいたします。

 

○政策評価審議官

315分ぐらいまで休憩します。

(法人及び所管課入替)

 

○酒井部会長

 おそろいになりましたので、始めてよろしいでしょうか。それでは、医薬基盤研究所の個別評価に入りたいと思います。最初に、理事長から御挨拶と、平成24年度における業務実績概要についての説明をお願いします。

 

○医薬基盤研究所理事長

 私は、この4月から山西前理事長の後を受けまして、医薬基盤研究所の理事長に就任しております米田と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、お忙しい中私どもの評価のためにお時間を取っていただきまして、どうもありがとうございます。これから、ここ1年間の活動状況について御報告いたしますので、御審議のほどよろしくお願いいたします。私からは、簡単に全体像を説明させていただきます。

 平成24年度をもちまして、第二期の中期計画の3年目に当たるわけですが、私どもは第二期の中期計画は、大きく3つの分野を重点的に進めてまいりました。1つは、次世代ワクチンの研究、もう1つはiPS細胞等を使った安全性評価、毒性評価による創薬に関する研究、それから難病に焦点を当てた治療のための研究を進めてまいりました。また、難病や希少疾患に対する医薬品等の開発支援についても、研究所を挙げて全力で取り組んできたところです。

 特筆すべき成果としては、1つは平成24年度にヒトiPS細胞を肝臓細胞に分化させることに成功し、大阪大学とバイオベンチャーとの共同研究の結果、その製品化にも成功し、創薬に非常に重要な肝毒性と代謝評価を行うことが可能な肝臓の細胞を常に供給できる方法の開発に成功したということで、内閣府の第10回産学官連携功労者表彰、厚生労働大臣賞を受賞するなどの成果を挙げてまいりました。また、基盤研内部の意思統一を強化するための取組として、基盤研が追い求める目標について、「創る、つなぐ、かなえる」という理念を制定し、常に所内で意思を統一しながらこの考え方の下に推進してまいりました。本日は、業務方法書等についても議論をいただくわけですが、その中の創薬支援ネットワークについては、平成24年度に政府がまとめた医療イノベーション5か年戦略において、優れたシーズを持ちながらそれが実用化に繋がらないということで、欧米に遅れを取っている医薬品医療機器分野の実用化に繋げるために、医薬基盤研究所を中心とした創薬支援ネットワークの構築を大きく位置付けしていただいたところです。これを受けて、医薬基盤研究所の中にその本部機能を担って、関係府省、関係する研究機関、更には産学官の連携を図ることができるよう創薬支援戦略室を新設し、コーディネーターを配置することによって、必要な体制を整えつつあるところです。今後は、内閣官房の健康・医療戦略室をはじめ、関係府省で構成される創薬支援ネットワーク協議会での議論を踏まえながら、創薬支援ネットワークの構築に向けてオールジャパンでの創薬の体制を、医薬基盤研を中心として実施を進めることができるように、全力を尽していきたいと考えております。これらの取組を更に進めて、これからの組織のあり方をよりよいものとするために、この評価委員会において委員の先生方から積極的な御助言、御支援をいただければと思います。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 それでは、これから先の進め方ですが、個別評価についてシートの個別項目を4つのグループに分けて、それぞれグループごとに評価を行わせていただきたいと思います。特にお願いしたいことは、自己評価で「S」評価をされている所が、なぜ「S」なのかを分かりやすく説明していただき、私たちもそれを参考に評価させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。それでは、最初に全体的事項関係として、評価項目の14についての評価を行います。説明の所用時間は、法人から15分でお願いできればと思います。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 医薬基盤研究所の平成24年度業務実績について、資料3-5を用いて報告いたします。1ページを御覧ください。医薬基盤研究所の事業体系図について説明いたします。まず、基盤研のミッションについては、基盤研は大学などの基礎研究と企業の新薬開発などの間を結ぶ橋渡し研究を推進することをミッションとしております。この橋渡し研究を実施するにあたっては、複数の製品で活用できる共通の基盤的な技術の開発を目指しており、安全性を確保しながら、難病患者などの切実な要望に応えて、画期的な創薬などに向けた基盤的研究を実施しております。創薬などをめぐる「現状と課題」としては、他の産業分野とは全く異なり、新薬開発には例えば20年程度の期間と巨額の投資が必要なことが挙げられています。また、成功率についても、約3万分の1と極めて低いことも特徴です。

 このように、創薬は最先端の知識と技術の結晶で、先進国にしか実現できません。このような現状に鑑みて、創薬に特化した公的な研究機関としての医薬基盤研究所の存在意義があるわけです。このため、基盤研では中段に掲げております3つの業務を実施するとともに、これらの業務を適切に運営するための組織などに関する事項を、事業体系図に載せております。1番目の業務は、研究所自らが創薬に向けた基盤的研究を実施する「基盤的技術研究」業務です。本項目は、パート2で説明いたします。

2番目の業務は、創薬研究に不可欠な生物資源の資源化と提供を行う「生物資源研究」業務です。本項目についても、パート2で説明いたします。3番目の業務は、大学やベンチャー企業などに対して、研究・開発資金を提供するとともに、研究の進捗について指導、助言を行う「研究開発振興」業務です。本項目については、パート3で説明いたします。最後の事項の「適切な業務運営のための組織・予算」の項目については、効率化係数による削減と業務改善の取組状況などの説明です。これは、パート1とパート4で説明いたします。

 それでは、パート1の説明に移ります。時間の都合上、ポイントとなるページのみ説明いたしますので、御了承ください。2ページを御覧ください。パート1は、大きく分けて2つの事項から成り立っています。1.「戦略的な事業の展開」の項について説明いたします。このうち、評価項目1の「社会的ニーズ及び厚生労働省の政策課題を踏まえた戦略的事業展開」については、いずれの数値も数値目標を上回った成果を達成しております。また、次に述べるような優れた研究成果を挙げていること等から、自己評定は「S」としております。

4ページを御覧ください。スーパー特区、即ち先端医療開発特区に採択された「次世代・感染症ワクチン・イノベーションプロジェクト」が最終年度を迎えましたので、その成果等を紹介いたします。近年、新型インフルエンザ等の新たなウイルス感染症が発生し、社会に深刻な影響を与えましたが、その有効な対策はワクチンの実用化です。そのワクチンの薬事承認を円滑に進めるためのインフルエンザワクチン開発に関わるガイドラインを複数作成いたしました。5ページを御覧ください。山西前理事長を研究代表者とする研究班は、世界初の大規模な帯状疱疹に関する疫学調査を実施し、皮内検査が帯状疱疹発症の指標となり得ることなどを見い出しました。この研究は、産学官連携だけでなく、住民の方も含めた協力を得て行われた先駆的な好事例です。本研究成果から今後得られるワクチンは、多くの国民の健康的な生活に寄与するものと考えております。

67ページを御覧ください。こちらは、最終年度を迎えたスーパー特区にかかる研究です。「ヒトiPS細胞を用いた新規in vitro毒性評価系の構築」についてです。本件は、世界で初めてヒトiPS細胞由来の肝臓細胞をつくり、それの製品化に成功したものです。これは、昨年内閣府の第10回産学官連携功労者表彰の厚生労働大臣賞を受賞いたしました。基盤研としては、平成22年度にも「大規模トキシコゲノミクスデータベースを活用した新規安全性バイオマーカーの開発」、それから平成23年度には「薬用植物カンゾウの水耕栽培システムの開発」に続く3年連続の産学官連携功労者表彰の受賞となりました。着実に共同研究による成果が得られつつあることを示すものと考えております。

8ページを御覧ください。これは、それぞれの事業内容に特化した外部の有識者による各種の委員会などを設置し、自ら研究する機関として、あるいは資金を配分する機関として、評価を受けております。9ページを御覧ください。所内における研究情報の交換、共有を促進するため、研究者ごとに研究を発表する所内の研究発表会などを実施し、所内の研究連携に役立てております。

10ページ以降ですが、こちらは(2)「研究成果の普及及びその促進」についてです。11ページを御覧ください。基盤研の一般公開、あるいは講演会の開催等についてです。例えば大阪本所の一般公開では、初めて1日で1,000人を超えて、過去最高となる1,065名の方が来場されました。当研究所のイベントとして、地元に定着しているものと考えており、今後も同様の取組を進めていきたいと考えております。また、薬用植物資源研究センター等も大阪にはありませんが、それぞれの場所で毎年開催をすることによって、地域の方々に対して研究の説明を行い、成果の普及に努めております。

12ページを御覧ください。査読付論文は、中期計画を上回る102報、学会発表は383回、特許出願9件となっています。いずれも、中期目標を達成するためには十分な件数となっております。

 次に、評価項目の2です。「外部との交流と共同研究の推進」についてです。共同研究等の推進や研究分野の重点化を行うなど、研究環境の整備を行ったこと、また先ほども出ました大阪大学及びリプロセル社との共同研究により、ヒトiPS細胞由来肝臓細胞の製品化に成功し、内閣府の第10回産学官連携功労者表彰の厚生労働大臣賞を受賞したことなど、中期計画を上回る成果を達成したことから、自己評定は「A」としております。

14ページでは、共同研究等の件数、金額等について示してあります。実は、前年度に大型の研究プロジェクトが幾つか終了したこともあり、トータルの金額こそ平成23年度を下回る水準となっておりますが、件数については平成23年度を超える水準となっており、基盤研の研究が多くの企業あるいは組織に関心をもたれていることを示すものと考えており、これらの共同研究について更に進めるように取り組んでまいりたいと考えております。

 次に2ですが、「適切な事業運営に向けた取組」の項についてです。このうち、評価項目3、「コンプライアンス、倫理の保持等」については、1617ページを御覧ください。コンプライアンスについては、大阪本所でも研修を行っておりましたが、それだけではなく、大阪以外、例えば筑波の施設においても研修を行うなどの取組を行い、また、人事評価の活用等を通じて、業務の改善、あるいは無駄の削減について取組を進めたことにより、中期計画を上回る成果を達成したことから、自己評定は「A」としております。

 また、評価項目4、「外部有識者による評価の実施・反映」の項については、1819ページを御覧ください。基盤的研究分科会などにおいて、外部有識者による研究のプロジェクトに対して評価を行い、相対的に評価の高いプロジェクトに対して、研究資金の追加の交付を行っております。また、本評価結果については、机上配布資料として、評価結果の一覧を配布しておりますので、そちらも参考にしていただければと思います。また、ホームページのアクセス件数は、平成24年度は166万件であり、平成23年度の133万件を大きく上回る件数となっていることから、これらを総合的に勘案しまして、自己評定は「A」としております。パート1については、以上です。よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 それでは、委員の皆さん、記入をよろしくお願いします。質問等はありますか。

 

○金倉部会長代理

 インフルエンザワクチンの開発あるいは帯状疱疹の疫学調査等の研究も進んでおりますし、iPSの研究も順調に進んでいるという高い評価が得られると思います。例えば、iPSでいいますと、肝臓への分化系はロット間での差が余りないのかどうかですね。安定的に供給できるのかどうかという問題はどうなのかということが1つです。もう1つは、昨年もお聞きしましたが、薬剤の副作用としては肝臓以外にいろいろな臓器の副作用があると思うのですが、例えば肝臓以外の細胞への神経などの研究は進展しているのかどうかをお聞きしたいと思います。

 

○医薬基盤研究所理事長

 ロット差が出てくるのは、これはiPS細胞の場合は仕方ないことの1つだと思っております。私どもで開発して製品化できている株に関しては、ほとんどそれがない状態の一番いいものを1つのロットとして貯えて、それを会社にお渡ししています。もちろん、完全に肝臓の細胞というわけにもいかないのですが、酵素活性として安定的に通常の肝臓の細胞と同じような酵素活性を有しているものに関して、製品化したということになります。それから、肝臓以外の細胞への分化誘導に関しては、神経細胞への分化誘導をやっております。ただ、先生が御心配されているような製品化するというところまでには至っていないのが実情です。

 

○馬場委員

 スーパー特区の研究はワクチン主体ペースにしろ、すばらしい成果を上げられているのは結構なことだと思います。年度計画を評価する視点に立った場合に、例えばワクチンのここに書かれてあることが平成24年度にこのうちの、何をどの部分を24年度にやられたかをもう少し明確に表現されたら評価しやすいなと感じたのですが、その辺りはいかがでしょうか。ある程度、当然継続的な仕事になりますよね。ですから、この部分は何年度にこれをやった、これはこれをやったというのは、なかなか区別はしにくいと思います。少なくとも、それぞれの年に特区の研究のこの部分をかなり重点的にやったなどという計画はあると思うのですが、その辺りに少し配慮されてプレゼン資料を表現されたら、理解しやすいかと思いますが、いかがでしょうか。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 御指摘ありがとうございます。例えば、この帯状疱疹の疫学調査など、最後の年に住民との間で成果を公表したり、住民の中で協力していただいた方に表彰したりということで、小豆島で交流を行ったり、あるいは論文を発表したりというようなことを、最後の平成24年度にまとめて行っております。これは、時間を掛けてずっとやる調査なのですが、毎年少しずつデータが溜まって、最後の年に全部まとめて統計的な評価を行って報告書をつくり、地元との交流をして、地元の方とも非常に仲良くなって終わったと。また、成果自体も今までにない知見が得られたということで、毎年やっていくことが事実です。

 

○馬場委員

 そうですね。ですから、非常に立派なお仕事なので、こういうものは毎年度の積み重ねですから、こういうことをやってきて、最終的に最終年度でトータルでまとめてこういう形になりましたとプレゼンができれば、それは非常に明確に伝わるのではないかと思いました。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 すみません、その辺りは勉強したいと思います。ありがとうございます。

 

○田宮委員

 関連していることなのですが、今ワクチンの話が出ましたが、これはとても重要な研究だと思います。もう少し詳しく、何年計画で、ワクチンは何年ぐらいで考えておられるのかと、今、1年目で、今の段階ではまだペーパー以外では全くなっていないというようなことなのかなど、もう少し教えていただけますか。先ほど論文とおっしゃっていたので、その成果が出ていればそれも教えてください。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 今のお話は、基盤研で行っているワクチン全体のお話ですか。

 

○田宮委員

 小豆島のプロジェクトを例に、今ちょうどタイムテーブルのお話が出たので、多分ワクチンの開発までにはそう簡単にはできないと思います。疫学から始まっていますので。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 これは、まだワクチンの開発の前段階の研究です。

 

○田宮委員

 サードステップと書いてありますので、どのぐらいの計画のもので、今どこまでいっているか、今年度どこまでいっているかを教えていただければと思います。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 この研究自体は、スーパー特区が平成24年度で一旦終わってしまっております。ですから、今度ワクチンを開発するとしたら、また別の研究をスタートしないといけないということになります。

 

○田宮委員

 そうすると、平成24年度までの成果は、学術論文か何かに投稿中とか何かありますか。まだこれからですか。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 確か論文にも載っているはずですし、新聞の記事になったことがあるかと思います。

 

○田宮委員

 是非論文になっていれば、先ほど話題にもいつも出ているのですが、やはりサイテイション、どんなジャーナルにきちんとアカデミックな知見として残っているのかがあると非常に判断しやすいので、付けていただければと思います。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 分かりました。参考にさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 

○酒井部会長

 ほかにいかがですか。記入のほうはよろしいでしょうか。それでは、次へ進みます。グループ2、基盤的技術研究と生物資源研究関係ということで、評価項目の5から10番まで、説明を15分程度でよろしくお願いします。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 引き続いてパート2については、本研究所で行っている基盤的技術研究及び生物資源研究に関する御報告です。昨年度の部会の委員の皆様方の御指摘を踏まえて、網羅的に全てのプロジェクトの研究成果を御説明するには時間が足りませんので、評価項目ごとの代表的な研究をまとめた資料を、2051ページに用意させていただきました。各項目を網羅しておりますので、それらについて御報告いたします。本日個別に御報告できない研究成果については、別途資料の52109ページに掲載しておりますので、適宜そちらも御参考にしていただければ幸いです。

 まず20ページを御覧いただければと思います。1.基盤的技術研究、2.生物資源研究とありますが、その中はいずれも(1)から(3)まで、3つの評価項目から成り立っております。各評価項目について、自己評定並びに代表的なプロジェクトの概要及び研究成果について御報告いたします。

22ページを御覧ください。まず基盤的技術研究の評価項目5(1)として、「次世代ワクチンの研究開発」の項についてです。本項の自己評定は「S」としております。これは、将来どのようなインフルエンザが出現しても直ちに対応できる次世代インフルエンザワクチンの研究開発、あるいはワクチンの効果を増強するアジュバントの研究開発等を行っており、中期計画を大幅に上回る成果を達成したことによるものです。

23ページを御覧ください。アジュバント開発プロジェクトでは、アジュバント開発に特化した研究を行っており、世界をリードする基礎研究成果を生かして、安全性及び有効性の高いアジュバントの実用化を目指した研究を行っております。

24ページを御覧ください。日本初の核酸アジュバント入りワクチンの開発について、アカデミアの治験チームを大阪大学医学部附属病院、大阪大学微生物病研究所、バイオベンチャーであるジーンデザイン社などと構築して、ヒトに投与する前の動物を使った非臨床試験を全て完了し、PMDAにおいて第1相治験の開始前相談を、基盤研のプロジェクトの中で初めて実施しております。また、医師主導型の第1相治験を、大阪大学医学部附属病院で開始する体制を構築しております。これについては平成25年度中に治験を開始・終了する予定です。

 さらに、厚生労働科学研究の指定型研究であるアジュバントデータベースプロジェクトを開始しました。基盤研の所内の5つのプロジェクトがお互いに協力しながら主体となり、アジュバントの安全性及び有効性の指標となる、血清バイオマーカーが探索可能なデータベースの構築に着手しており、中期計画を大幅に上回る成果を達成いたしました。

 次に26ページを御覧ください。これは基盤的技術研究の評価項目6(2)「医薬品等の毒性等評価系構築に向けた基盤的研究」の項についてです。本項の自己評定は「S」としております。これについては27ページを御覧ください。幹細胞制御プロジェクトでは、遺伝子を導入することによりヒトiPS細胞から成熟肝臓細胞等への高効率分化誘導技術を開発し、創薬研究を加速することを目的として、分化誘導した肝臓細胞等を新薬の毒性評価に用いる評価系の構築を行っております。現在、新薬の肝臓に対する毒性を調べるため、国内の製薬企業は亡くなられた方の肝臓細胞を海外から輸入して使用しておりますが、その供給は不安定で、当然ロット間のバラツキも大きいため、ヒトiPS細胞から肝臓細胞を作製することにより、品質の均一なヒト肝臓細胞の安定的且つ大量供給が可能になり、新薬の開発過程における新規肝臓毒性評価系の構築が期待されております。

28ページは、先ほど申し上げた産学官連携により、世界で初めて「ヒトiPS細胞由来肝臓細胞」の製品化に成功し、昨年、内閣府の第10回産学官連携功労者表彰において、厚生労働大臣賞を受賞いたしました。また、日本製薬工業協会が「ヒトiPS細胞応用安全性評価」コンソーシアムを立ち上げましたので、そちらとの連携も始めており、中期計画を大幅に上回る成果を達成いたしました。

30及び31ページを御覧ください。基盤的技術研究の評価項目7(3)「難病治療等に関する基盤的研究」の項についてです。本項の自己評定は「A」としております。これは企業との共同研究等による難病のバイオマーカーや治療法の創薬研究が進み、中期計画を上回る成果を達成したことによるものです。

32ページを御覧ください。免疫シグナルプロジェクトでは、悪性胸膜中皮腫の患者さんの胸腔内にがんの抑制遺伝子であるSOCSという遺伝子を投与することによって、悪性胸膜中皮腫の新規遺伝子治療法の実用化を目指した創薬研究を行っております。悪性胸膜中皮腫は肺を覆う胸膜に生じる難治性のがんであり、5年生存率が3.7%と極めて予後が悪く、有効な治療法が確立されておりません。悪性胸膜中皮腫は、我が国ではアスベストの使用及び震災後の瓦礫処理等の社会的背景に深く起因しており、今後患者数が数十倍に増加するという推定もあります。

33ページです。SOCS遺伝子の投与により、マウスの悪性胸膜中皮腫モデルにおいては、左の図(階段上のグラフ)でお示ししているとおり生命予後の改善と、右の図でお示ししているとおり腫瘍の縮小効果をもたらすことを明らかにいたしました。また、カニクイザルを用いたSOCS遺伝子投与の安全性も確認しております。これでPMDAの薬事戦略相談の事前面談も実施して、中期計画を上回る成果を達成いたしました。なお、平成25年度は追加で実施予定の非臨床試験実施計画に係るPMDAの薬事戦略相談の対面助言を予定しております。その後、追加の非臨床試験を実施し、終了後に製薬企業と共同で第1相治験の開始を目指しております。

 次に、3537ページを御覧ください。生物資源研究の評価項目8(1)難病・疾患資源研究の項についてです。本項の自己評定は「A」としております。これは、例えば難病研究の資源数、あるいは培養細胞の収集数、あるいは細胞バンクの供給数、あるいは疾患モデル動物の開発数、あるいはマウス系統の分譲数がいずれも目標を上回る成果を達成したこと等によるものです。

38ページを御覧いただきたいと思います。培養資源研究室では、厚生労働省所管の施設が有する唯一の細胞バンクとして、国内外の研究者に高品質な細胞を分譲しております。これを「JCRB細胞バンク」と申します。JCRB細胞バンクは、創薬研究や疾患研究を支える重要な細胞を収集し、一般細菌検査、マイコプラズマ汚染検査、ウイルス検査、ヒト細胞認証試験、染色体検査等の厳しい品質管理を含む、細胞の保存・分譲を行っております。また、品質検査の結果については、細胞の付加情報としてデータベース化して公開しております。

39ページを御覧ください。平成24年度は、JCRB細胞バンクから3,653アンプルの細胞を分譲し、年次目標の3,000アンプルを上回る成果を達成いたしました。平成25年度は、細胞の注文をネットオーダー形式に切り替えるとともに、クレジットカード決済対応により、海外の利用者の利便を図る予定です。今後さらに、webのページあるいは細胞情報データベースの充実を図り、国内外の利用者の利便性向上・利用拡大を目指しております。

 次に41及び42ページを御覧ください。生物資源研究の評価項目9(2)「薬用植物」の項についてです。本項の自己評定は「S」としております。43ページを御覧ください。薬用植物資源研究センターは、北海道・筑波・種子島に研究部を有する国内唯一の薬用植物に関する総合研究センターです。本センターでは、薬用植物資源を国民の健康増進に役立てるため、薬用植物の収集、保存及び供給、薬用植物に関する情報の整備及び提供、薬用植物の保存・増殖・栽培・育種に必要な技術並びに化学的・生物学的評価に関する研究開発を行っております。平成23年度には、産学官連携によって、世界で初めて薬用植物の「甘草」の水耕栽培に成功いたしました。これにより土壌汚染、あるいは残留農薬等の影響を受けないクリーンな「甘草」の国内栽培を可能にしたことによって、内閣府の第9回産学官連携功労者表彰において、厚生労働大臣賞を受賞しております。

44ページを御覧ください。厚生労働科学研究として、薬用植物総合情報データベースを構築し、基盤研のホームページにおいて平成253月より一般に公開しております。本データベースは、今までになかった大規模な薬用植物のデータベースであり、薬用植物に関連する各種情報及び含有成分等の詳細情報を網羅的に閲覧することができ、中期計画を大幅に上回る成果を達成いたしました。平成25年度からは第二期の研究事業が開始され、さらなる情報集積や新規項目の設定を予定しており、日本で使用されている全ての薬用植物に関する情報収集を目指しております。

45ページは薬用植物の「オウレン」についてです。「オウレン」は通常、畑で育てると5年以上の栽培期間が必要であるのに対し、開発した水耕栽培法ではわずか1年足らずの栽培期間で得られた根茎の乾燥物が、日本薬局方の規格値全てに適合する品質を有していることを確認しました。これにより、重要な生薬である「オウレン」の短期間での効率的な栽培が可能になり、中期計画を大幅に上回る成果を達成いたしました。平成25年度は、現在市場に流通している生薬との化学的あるいは生物学的な同等性試験を予定しており、その結果、厚生労働省における検討を通じて、「甘草」を含めた水耕栽培品が局方に適合する生薬だという認可、あるいは国内生産、流通を目指しております。

 次に47及び48ページを御覧ください。生物資源研究の評価項目10(3)「霊長類」の項についてです。本項の自己評定は「A」としております。49ページを御覧ください。霊長類医科学研究センターは、国内唯一の医学実験用の霊長類センターです。本センターでは、医科学研究の発展に役立てるため、新薬の開発における重要な実験動物であるカニクイザルを、約1,600頭飼育しており、世界で最も清浄化されたSPFカニクイザルの繁殖、育成及び供給と、カニクイザルを用いた医科学研究及び外部研究者に対する支援を行っております。なお、平成25年度中の話ですが、世界最大級の感染症実験施設の完成が予定されており、今後はこの施設において、インフルエンザや結核といった感染症の研究、あるいはワクチン開発の推進が期待されております。

50ページですが、左上の図にお示ししておりますとおり、世界的にも貴重で、人為的に有害な病原体を除去したSPFサルを、継続的に増やすことに成功しております。また、下の図にお示ししておりますとおり、安定的なカニクイザルの生産及び供給を行っております。

51ページですが、世界唯一の鼻に噴霧する経鼻噴霧型の新規結核ワクチンの実用化を目指した創薬研究を行っております。経鼻噴霧型結核ワクチンは、呼吸器粘膜に粘膜免疫を誘導して、安全性及び有効性の高い結核ワクチンとしての実用化が期待されております。平成24年度においては、カニクイザルの肺において既存の結核ワクチン以上の結核菌の感染予防効果、あるいは、肺のみならず全身的な免疫の誘導を確認しており、中期計画を上回る成果を達成いたしました。今後、これについてはビル・ゲイツ財団を始め、複数の海外のNGO法人の協力が得られることになっており、それらの協力の下、追加の非臨床試験を実施し、早期に治験の開始を予定しております。パート2については以上です。よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。それでは御記入をよろしくお願いします。どうぞ御意見を出してください。

 

○金倉部会長代理

 新規核酸アジュバントとマラリアワクチンは、フェーズ1の前まで行って素晴らしいと思うのですけれども、このマラリアワクチンの世界の中での位置付けを教えていただきたいのと、どういうマラリアにも対応するのかどうかということです。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 トラベラーズワクチンとしての開発を進めていると聞いております。

 

○医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター長

 ここで行っているワクチンというのは、熱帯熱マラリアのSERAタンパクというものです。タンパクだけを免疫すると十分なワクチン効果がないということで、今回開発したアジュバントを付けます。そうしますと、非常に高い中和抗体価が得られるということで、ヒトでの効果は既に証明されているところです。

 

○金倉部会長代理

 了解しました。

 

○馬場委員

 非常に多彩な研究を展開されているのは結構ですが、説明資料の37ページにも書いてありますように、いわゆる疾患モデル小動物の開発研究というのは、かなり特化してやられていますが。これは去年も私が質問したかもしれないのですが、例えば理研の動物バンクといったものとの差別化とか、最初に理事長が言われた基盤研の本来の目的から、疾患モデル動物の開発研究というものをどういうように位置付けられているのかが、お聞きしたいと思います。

 それに関連して、どこかにあったのですけれども、例えばNMRを用いたタンパクの構造解析、アミロイドのβとか、幾つかのものだけを特化してNMR等でタンパクの構造解析などをやっておられるのですが。その辺が全体の経緯でどういうように付けられているのかが見えにくかったものですから、御説明いただければと思います。

 

○医薬基盤研究所理事長

 他の研究所との差別化に関しては、系統的にやっています。

 

○馬場委員

 例えば特定の製薬企業等と民間との共同研究の中で、こういう遺伝子改変なり、モデル動物なりが必要だという形で開発をされていかれるのですか。37ページの「(ウ)疾患モデル小動物の開発研究」の位置付けが見えにくかったのです。

 

○医薬基盤研究所霊長類医科学研究センター長

 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、むしろその特徴としては、23の方に近いものです。モデルとしてはあるのですけれども、例えば受精卵がかえってこないものにさらに技術付加をしてあります。その基盤は何かと言いますと、今まで我々の所では卵にすると孵せなかったものが、スーパーSCIDでもかえせるようになったのです。そういうものでモデルはできたけれども、なかなか繁殖できないものをふ化しているというのが特徴だと思います。

 

○馬場委員

 分かりました。

 

○丸山委員

 薬用植物の件に関してです。「甘草」の水耕栽培に成功されたことを高く評価されているようですけれども、生薬というのは一般的に製品間と言いますか、植物の品質による差が、効能に相当の違いが起きることがよく知られています。そのような薬効に関する評価はどのようにされて、良いカンゾウが水耕栽培できるようになったと考えていらっしゃるのですか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 これは常に成分の分析をしております。有効成分が常にある一定レベルを超えているものに関して栽培しております。それをし易くする1つの方法として、水耕栽培が方法論として有用だということです。もちろん常に有効成分のチェックをしながら進めています。

 

○丸山委員

 一般に採取されるものよりも、より良いレベルのものができることを目指しているのでしょうか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 できる方法を開発しているということです。

 

○馬場委員

 評価シートの16ページを御覧ください。平成24年度の業務の実績の(4)のワクチンアジュバントの記載の中で、4行目に「意義(Nature Reviews Immunology 2012)を提唱した」とありますが、これは基盤研究の先生方がNature Reviews Immunologyに論文を出されて提唱したという意味でしょうか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 そういうことです。

 

○馬場委員

 最初の方に論文等のレベルで、IF2以上の論文が幾つと書いていましたけれども、Nature Reviews Immunologyというのは、正に世界的なトップジャーナルですから、こういう際立った成果は、そういった所に書かれた方が印象を引くのではないかと思ったのです。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 中でも特掲すべき論文は別出しで書いた方が良いということでしょうか。

 

○馬場委員

 別出ししてあるのですか。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 いや今回は、しておりません。

 

○馬場委員

 実際に本当に基盤研の研究者がやられたペーパーであれば、IFにしてもNature Reviews ImmunologyはものすごいIFですから、Nature Reviews Immunology、それを最初の所で、本当に際立った業績としてやっているという形で引用文献で書かれたら、一発でIF2以上が何編あったかと、ちょっと好意的に思いましたので。

 

○医薬基盤研究所理事長

 ありがとうございます。参考資料の方には絵を加えたりして書いておりますが、そのようにさせていただきます。

 

○酒井部会長

 他にいかがでしょうか。記入もよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは先へ進ませていただきます。グループ3の研究開発振興関係、評価項目の1113にかけて、よろしくお願いします。御説明の時間は1015分程度でお願いいたします。

 

○医薬基盤研究所研究振興部長

 では、要点に特化した形で説明させていただきたいと思います。資料3-5、パート3ということで、ページで言いますと109ページ以降です。110ページを見ていただきますと、本事業は大きく3つの柱からなっております。(1)が先駆的医薬品・医療機器研究発掘支援事業です。(2)が希少疾病用医薬品等開発振興事業です。3つ目が実用化研究支援事業及び承継事業です。サマリーを最初に付けており、評価項目11がその次のページになっております。希少疾病医薬品に関するものがその次の112ページ、実用化研究支援事業に関するものが113ページです。サマリーを見ていただくと、それぞれ「S」、「A」と付いていますが、どういった数値目標に対してどれだけ上回っているから「S」だというのが、お分かりいただけるかと思います。

 それでは、最初の先駆的医薬品事業に関してです。この事業に関しては、数値目標が2つ設定されております。1つは採択課題1件当たりの査読付発表論文数で、ベースを中期計画の初年度、今回の場合は平成22年度になりますが、平成22年度を100%として、それからどれだけ伸びたかというところを評価ポイントにしております。10%以上の増加を目指しているわけですけれども、平成24年度は29%ということで、大幅な増加をいたしました。ちなみに昨年度、平成23年度の実績としては18%ですので、昨年度に比べても大きく上昇していると言えると思います。

 数値目標の2点目が、実用化が見込まれる研究プロジェクトの割合です。今回、実用化ということが指しておりますのは、例えば知的所有権が実施許諾されたとか、共同研究がスタートする、治験がスタートするといった内容を含んでおります。これも目標は全体の4割以上と掲げておりますけれども、平成24年度終了課題12件中7件ということで、約6割達成しました。この2つの数値目標を大幅に上回ったということで、当方では今回は「S」評価が妥当ではないかと考えているところです。

 それ以外に2ポツにありますように、研究ですので今までの実績が積み上がって出てくるところがあると思います。昨年度の山中先生の受賞とか、(2)の特許の実施許諾料も増加しております。これも昨年度比で270%の増加という実績があります。

 同じページの(3)治験にまで進んだ研究プロジェクトが累積で8件に増加ということです。ほかのデータベースによりますと、一般的な研究がスタートしてから治験に至るまで、約8,000分の1の確率と言われておりますので、それを上回る確率で、現在14分の1となっております。この母数は109件支援して、そのうちの8件ということで、約14分の1の確率で実績が上がっていると考えているところです。以上が定量的な評価です。

 これに加えて、事業の評価シートでは評価の視点ということで、定性的な評価もあります。こちらは4257ページがそれに該当しております。時間の関係で幾つか簡単に御紹介させていただきます。例えば、マネージメントの観点から研究支援の簡素化ということで、研究費を助成するときの手続の簡素化とか、項目間の柔軟な運用ということで、30%以下であれば項目間流用を認めるという工夫を、平成24年度に行いました。あと、出口戦略も非常に重要ですので、それぞれ行われた研究が確実に開発の実績を上げるために、例えば大阪の地元の商工会議所と商談会をやったり、出口戦略のためのマッチングセミナーのようなものも行ったりしております。そういうことで定性的な評価の視点においても、当初の計画を上回る実績を上げておりますし、最初に申し上げた数値目標も、計画を大幅に上回っておりますので、自己評価を「S」とさせていただいているところです。

 続いて2番目の事業を見ていただきたいと思います。112ページの希少疾病用医薬品等開発振興事業です。今回初めて評価委員会に御参加される方もいらっしゃると聞いておりますので、まずは事業の全体像を見ていただきたいと思います。137ページにあります。この事業は、例えば多発性硬化症や難治性の疾患など、いわゆる医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことから医薬品の開発がなかなか進まないということで、平成5年から厚生労働大臣による希少疾病用医薬品、若しくは医療機器の指定に基づいて支援を行うもので、基盤研では大きく3つの支援を行っております。1つ目が開発にかかる助成金の交付です。2つ目が助成金交付に係る指導・助言です。3つ目が税額控除に係る試験研究費の認定です。税控除も開発業者にとっては非常に大きなメリットのある事業であると言われているものです。

 では、元に戻って112ページを御覧ください。こちらも今年、自己評価を「S」とさせていただいているところです。定量的目標と定性的な観点からも、計画を大幅に上回っていると言えると思います。まず、1つ目の定量的評価です。説明会を1回開催するということになっているのですけれども、平成24年度は4回開催して、追加的に無料のDVDを配布し、実際に説明会に来られなかった人も見られるようにしました。また、ホームページなどからもダウンロードして見られるように工夫を行いました。

 それと昨年度のこの会議で、説明会や数値目標は分かるけれども、業務実績に関する定量的目標が必要ではないかという指摘を受けました。そこで昨年度、新たに追加しました。それは平成25年度の計画の中に生かされているわけですが、研究開発の振興については、助成期間が通常3年になりますので、3年経った時点でおおむね3分の1の品目が承認申請に至るという目標を掲げました。これは3年経たないと結果が出てきませんが、平成24年度の実績値を暫定的に見ますと、4件がそれに該当して分母が14ですので、14分の4ということです。まだ目標には達しておりませんが、現時点では3年経った時期には計画の目標を達成する見込みであると考えております。

 定性的評価の部分は、112ページの指導・助言、オーファン治験ウェブ、情報発信、ウルトラオーファン助成というものが該当します。例えば指導・助言に関しては、通常の指導・助言に加えて交付前相談、申請前相談というのを新たに開始しました。これについては通常、大臣指定を受けてから相談事業が始まるのですけれども、大臣指定を受ける前から相談を無料で行っております。そのうち2品目が助成金の交付申請に至ったり、3品目程度が申請予定ということで、いわゆる従来の支援に加えて上乗せで支援しているものです。

 オーファン治験ウェブも、平成24年度から本格稼働しております。これはオーファンの患者さんがもともと少ないという状況もあり、治験も進みにくいということで、こういうウェブサイトを使って、なるべく広く皆様に治験への参加を呼びかけるといったシステムです。それから 情報発信ということでは、通常のパンフレットやホームページの紹介に加えて、英語でのパンフレットや紹介を開始しました。最近は海外の開発業者などからも問合せが増えておりますので、そういった海外の需要にも対応するということを行っております。

 こうした定量的、定性的な評価は、実際に実績に現れており、平成24年度にどれだけ最終的に承認されたかというのが、真ん中の下の黄色い所に出ております。医薬品で6品目、医療機器で2品目です。これは過去のトータルで見る必要があると思いますので、累積を表に出しております。助成金の交付品目数は全体で152のうち、承認取得品目数が95、成功率62.5ということで、先ほどの8,000分の1や開発から承認にまで至る3万分の1とは直接的には比べられませんけれども、非常に高い確率で成功しているというのが、こういう事例でお分かりいただけるのではないでしょうか。こういった状況を総合的に評価して、今年は自己評価「S」とさせていただいているところです。

 最後に、113ページの実用化研究支援及び承継事業を御覧ください。まず事業の概要です。実用化研究支援事業というのは、主に医薬品や医療機器を開発するベンチャー企業に対する支援を行っております。今までの成果としては、19テーマのフォローアップを実施しております。そのうち15テーマで臨床試験が開始されて、8テーマでライセンス契約、2テーマで承認申請済みという実績が出ております。もう1つの承継事業は、以前の医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構(旧機構)において実施していた事業です。基盤研ができたのは平成17年ですので、そのときには事業そのものは終了していたのですけれども、フォローアップを行うということで、事業を承継しております。この事業ではiPS細胞キットなどが既に発売されており、収益を得ています。それ以外にも遺伝子治療製剤の6件をライセンス契約したり、併せて融資事業も行っています。これは貸付金を計画的に回収しており、本年度に全てを回収する見込みです。

 この評価項目13の数値目標については中期計画において、収益が見込まれる案件を累積5件確保することを目指しております。今まで実用化研究支援事業において6件、承継事業において1件見込まれておりますので、合計7件です。こちらは計画を上回る水準かと思いますので、自己評定「A」です。併せて評価の視点で、定性的な部分です。今まではサンプリングで幾つかの機関に入っていたのですが、平成24年度は全施設に調査に入り、実績報告書や財務諸表の評価、ヒアリングも行い、当研究所におりますプログラムオフィサーなどが直接の指導・助言を行っています。今後の計画についても計画策定委員会がありますので、計画策定委員会の計画に基づいて、確実に、着実に実施していくということで進めているところです。簡単ですが、以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。それでは、評価の記入をよろしくお願いいたします。御質問、御意見をどうぞ。

(評価シート記入中)

 

○金倉部会長代理

 この希少疾病用の医薬品は開発振興事業が極めて重要で、支援しなければゼロだと思うのです。今、62%上がっているということなのですが。これを更に上げる手立ては、本来は、その申請のものが悪いのか、あるいは開発をしてもなかなか薬にならないのか、あるいは、もう少し援助をすれば本当に薬になるのか。そのような印象は何かありますか。

 

○医薬基盤研究所研究振興部長

 御指摘ありがとうございます。我々はいろいろな開発業者と直接お話をしたりヒアリングをしているのですが、やはりもっともっと、非常に潜在的な開発ニーズがあります。例えば平成24年度の取組ですと、ウルトラオーファンというのが1つ例示として出させていただいたものです。通常、5万人を1つのカットオフにして、それに満たない患者数の疾患を中心にオーファン指定をして支援をしていきます。一方、ウルトラオーファンは1,000人に満たないということで、やはり患者さんが少ない病気のグループのほうが圧倒的に多いものですから、そういったグループに支援を行っていくですとか、あとは、その支援の助成額です。通常、これは開発支援の38%程度を助成しているのですが、このウルトラオーファンは50%まで支援額を上げて積極的な支援を行っているところです。ただし、まだまだ潜在的に、特に難病の患者団体やオーファンの親の会や子どものグループなどの方々からは、開発の要請が寄せられておりますので、将来的には、事業を着実に実施できるように、将来的に薬に出せるような努力をもっとしていきたいと思っております。

 

○酒井部会長

 そこの点について、具体的な手立てをお考えになっているのですか。

 

○医薬基盤研究所研究振興部長

 予算については。

 

○酒井部会長

 予算というよりも、それを支援したときに成功率を高めるための質的な何か方法は。今でも随分成功率は高いというお話ですけれども、より高めるための何かを検討されているのですか。

 

○医薬基盤研究所研究振興部長

 はい。例えば、やはり治験が大きなボトルネックになっていますので、治験をどうやって進めていくかということで、治験のウェブサイトを立ち上げたりとか、あと、患者さんの会との交流をもっと深めていこうということで、定期的な連絡会を設けたり、やはりニーズオリエンテッドで、どういうニーズがあるからそれに対して開発をしていこうということがありますので、そういった発掘作業をする。それから、やはり一番大きいのは、指導・助言だと思いますので、例えばよく言われるのが特許です。知的所有権についての支援などが必要ということも言われていますので、そういったニーズに対応できるような形で、我々も質的な改善を、今後更に加えていきたいと思っております。

 

○馬場委員

 平成24年度の基盤研のいろいろな計画におかれては、本当にすばらしい成果を挙げられて順調に推移していることを大変評価しています。この評価とは関係ないのですが、これに関連して、補正予算ですか、かなりの人数の創薬の経験のあるような有識者を雇用されて、ということは。

 

○医薬基盤研究所研究振興部長

 それは創薬支援戦略室ですか。

 

○馬場委員

 具体には平成25年度以降は、平成24年度とは関係ないと思うのですが、ちょっと私平成24年からずっとやってこられたいろいろな事業の、いろいろな所に配置されるということですか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 基本的に創薬支援戦略室に人員を配置するということで。

 

○馬場委員

 また新しい機能を付加するということですか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 そういうことです。支援的な業務ができる室を1つ設けて、そこに新たに配置すると。

 

○馬場委員

 平成24年度の今回の御報告とは違う、新しい機能をスタートするということですか。

 

○医薬基盤研究所理事長

 付加させて、ということです。

 

○馬場委員

 分かりました。

 

○政策評価審議官

 今の点については、後ほどまたありますので。

 

○酒井部会長

 そうですね。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 次に進みます。最後、グループ4として、予算収支計画その他運営業務関係として評価項目の1417を、大変恐縮ですが10分ぐらいでよろしくお願いいたします。

 

○医薬基盤研究所総務部長

 説明資料の174ページをご覧ください。評価項目14「機動的かつ効率的な業務運営」です。自己評定「A」です。

175ページをご覧ください。業務運営体制の強化・トップマネジメントということで、役職員が業務に従事する上で重要な考え方を共有し、機動的かつ効率的な業務運営の促進を図るため、法人が追い求める価値観として「理念」を「理念」を具体化するための基本的な方針として「使命」をそれぞれ制定したところです。

176ページをご覧ください。業務運営体制ですが、理事長をトップとして、理事、監事、各部長、センター長等で構成する幹部会を毎月1回開催し、業務の状況把握、業務運営の重要課題について議論を行っております。また、理事長及び各部のプロジェクトリーダーから構成するリーダー連絡会を開催し、研究所の運営、研究環境などに関する理事長の指導・助言に対する意見交換を行い、基盤研全体の業務運営に的確に反映させているところです。

 また、各プロジェクト研究については、内部研究評価委員会、人事委員会などにおいて、内部評価を行い、さらに、外部有識者で構成される運営評議会、基盤的研究等外部評価委員会、研究振興業務関連委員会などを定期的に開催しておりまして、公正な判断、透明性の確保に努めているところです。

177ページをご覧ください。全体の組織図です。第二期中期計画においては、基盤的技術研究については次世代ワクチンの基盤研究、毒性等評価系構築に向けた幹細胞基盤研究、難治性疾患治療等基盤研究の3分野に重点化することとし、プロジェクトチームの再編・創設・廃止を実施しております。また、その下の難病・疾患研究についても、難病・疾患資源等研究分野の重点化を図るため、効率的な組織の再編等を行っているところです。

178ページをご覧ください。内部統制の強化ということで、理事長を最高責任者として、監事、外部監査人、コンプライアンス委員会などの連携の下、全職員へ法令等の遵守の推進を図っております。また、パワーハラスメントの防止に関する規程を制定し、平成23年度大阪本所で実施したコンプライアンス啓発のための研修を平成24年度においては、霊長類医科学研究センターや薬用植物資源研究センターの全職員を対象に実施したところです。

 以上、機動的かつ効率的な業務運営については、理事長のトップマネジメントによる迅速な業務運営、研究プロジェクト制による機動的な研究体制、また、全職員参加型の研修の実施による内部統制、ガバナンスの更なる強化などにより、中期目標を上回る成果を達成しているところから「A」評価としております。

179ページをご覧ください。評価項目15「業務運営の効率化に伴う経費節減等」です。自己評定「A」です。

180181ページをご覧ください。一般管理費、事業費の節減目標ですが、平成22年度予算を基準に一定割合を削減し、各年度予算を策定するということです。計画では、最終年度、平成26年度になりますが、一般管理費について5年間で15%削減、事業費についても5年間で6.2%削減することとしております。その中で、平成24年度予算に対しての決算実績ですが、経費節減に努めた結果、一般管理費3.4%削減、事業費5.2%削減となったところです。

182ページをご覧ください。「総人件費改革への取組状況」です。数値目標は平成17年度基準額と比較して、平成22年度実績において5%以上の削減、また、平成23年度以降においても、対前年度比1%以上の削減を継続するとなっております。平成24年度の実績ですが、人件費の支給総額は、基準年度である平成17年度と比較して7%以上目標のところを23.5%の減少となっていることから、人件費の削減については大幅に進展しているところです。

183ページをご覧ください。「給与水準」についてです。当所は、国家公務員と同一の給与体系ですが、国家公務員と比較して、事務職員の平均給与は109.5%となっております。この要因ですが、1つ目として人件費を抑制するため、定型的な業務について、非常勤職員を積極的に活用している関係で、管理職の割合が高くなっていること。2つ目として、医学、薬学、法律といった職務の専門性により、大卒者割合が高くなっていること。3つ目として、ほとんどの職員が、国、東京からの出向者ですので、異動保障として、前在職地と同様の地域手当を支給していること。こういうことから、ラスパイレス指数が高くなっているところですが、研究所としては、国家公務員の給与改正に準じた見直しを実施していく所存です。

 以上、業務運営の効率化に伴う経費節減については、一般管理費、事業費、人件費について、中期目標を上回る成果を達成していることから「A」評価としております。

185ページをご覧ください。評価項目16「財務内容の改善に関する事項」です。自己評定「A」です。

186ページをご覧ください。運営費交付金以外の自己収入として、競争的研究資金などの獲得状況です。平成24年度ですが、平成23年度と比較して全体で約5,100万円、対前年度で2.6%減少となっているところですが、おおむね平成23年度と同等規模の外部資金を獲得している状況です。

187ページをご覧ください。開発振興勘定に係る未処分利益、積立金についてです。平成24年当期未処分利益は約41,000万円となっております。また、平成24年度末積立金は約42,000万円です。なお、これら財務内容については監事監査及び監査法人からは、監査報告書に適正に処理されているとの報告を頂いております。

 以上、財務内容の改善に関する事項については、中期目標を上回る成果を達成していることから「A」評価としております。

188ページをご覧ください。評価項目17「その他業務運営に関する事項」です。自己評定は「A」です。

 まず最初に、研修の実施ですが、国内外の専門家を招いてのセミナーの開催、また、職員を対象としたコンプライアンス啓発のための研修の実施等、各種研修会、講習会を開催したことにより、所内の情報交換を進めるとともに、研究職員の連携が、より一層大きく図れたところです。

 次に「人事評価制度の実施」ですが、評価結果については、平成24年度の賞与に反映しております。

189ページをご覧ください。「職員の採用状況」です。平成24年度においては、研究者2名について広く公募を行い、公正を期するために人事委員会を開催し、任期付研究員として採用しております。また、テニュア制の導入については、平成24年度からプロジェクトリーダークラスを対象に導入・運用を開始し、2名をテニュアに移行したところです。

190ページをご覧ください。「平成24年度末常勤職員数」ですが、79名となっています。

191ページをご覧ください。「セキュリティの確保」です。当研究所はIDカードによる入室の管理システムを導入しております。新任職員等へ指導するなど、周知徹底を図っているところです。併せて、RI区域、ES細胞室などの入室管理の強化も行っております。

 「施設及び設備に関する事項」ですが、筑波にある霊長類医科学研究センター高度実験棟建設工事を平成23年度から平成25年度までの3年計画で実施しているところです。

 以上、その他業務運営に関する事項については、セミナーへの積極的参加、全職員参加型のコンプライアンス啓発のための研修の実施、テニュア制の導入など、中期目標を上回る成果を達成していることから「A」評価としております。簡単ですが、以上で説明を終わります。

 

○医薬基盤研究所監事

 続いて、監事から内部統制について一言発言させていただきます。内部統制については、監事監査報告書においても記載したとおり、特に重大な不備は認められませんでした。また、定期監事監査における役職員との面談及び期中監事監査におけるアンケートによる意識調査の中で、法令等遵守に関して、研究・業務に関与する法規制対応への意識も高いことが確認されております。

 特に期中監査では、公的研究機関としての業務内容を踏まえて質問したアンケートを、研究プロジェクトリーダー及び事務部門の係長以上の者を対象に実施いたしました。アンケートでは、コンプライアンス、情報管理、危機管理及び業務の有効性・効率性についての現状をお尋ねしております。この結果から、本研究所における特段のリスクは認められませんでした。このアンケートについては、リスクの識別はもちろんのこと、回答者が回答を考えることで、内部統制についても具体的に理解してもらうことを意図しておりまして、内部統制の更なる啓発強化についても効果があると考えております。いわゆるCSA(Control Self Assessment)という手法を参考にしております。

 このような役職員の高い意識の背景には、定期的に各種の研修を実施していることが挙げられまして、コンプライアンス研修としては服務に対する基本的研修とパワーハラスメントに関する研修が平成23年度においては大阪本所の全職員、平成24年度においては筑波の全職員を対象に実施されています。平成25年度以降についても、継続してこれらの研修を実施することが望まれます。以上、研究事業の実績及び会計に加えて、内部統制に関しても不備は全く見られないことを監事から御報告いたします。

 

○酒井部会長

 委員の皆様、御記入をよろしくお願いいたします。御質問はいかがでしょうか。

(評価シート記入中)

 

○中村委員

 質問でなくコメントなのですが、昨年は、私の印象では、やっている成果はいろいろと披露してくれ、その内容は価値があると思ったのですが、中期計画との関係は非常に分かりづらかった。それに対し、今年は改善されていて、非常に分かりやすく説明していただいた。評価する立場としては、有り難く感謝しております。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

 特に皆さんたちの業務を進めていく上で、利益相反のようなことが問題になることは現実にあるのですか。

 

○医薬基盤研究所総務部長

 利益相反委員会というものを設けていまして、基本的にそちらのほうでチェックをしています。特段、今まで問題になったことはないと承知しております。

 

○酒井部会長

 分かりました。

 御記入のほうはよろしいでしょうか。どうもありがとうございます。先ほどもあったのですが、記入に関連して補佐のほうから何かあればお伝えください。

 

○政策評価官室長補佐

 評定シートについては、まだ記入の終わっていない委員については、本部会終了後に残っていただくか、若しくは持ち帰りになって記入していただいて、後日提出していただくことも可能となっております。また、評定シートについてはメールでもお送りしますので、メールでお送りいただく際には729日までに事務局の村瀬宛てに送っていただければと思います。以上でございます。

 

○酒井部会長

729日までだそうですので、よろしくお願いいたします。

 あとは、医薬基盤研究所における役員退職手当支給規程の改定について、事務局から御説明いただきたいと思います。

 

○政策評価官室長補佐

 医薬基盤研究所理事長から厚生労働大臣に対して、役員退職手当支給規程の届出がございました。こちらも、先ほどの健康栄養研究所と同様に、役員退職規程の変更について、社会一般の情勢に適合したものであるかどうかといったところについて、評価委員会からの御意見を伺えればと思います。

 

○酒井部会長

 それでは、法人のほうから御説明をお願いいたします。

 

○医薬基盤研究所総務部長

 御説明いたします。資料3-6「役員退職手当支給規程の改正について」です。改正の趣旨ですが、「国家公務員の退職手当の支給水準引下げ等について」、平成2487日の閣議決定に基づきまして、当研究所においても、国家公務員に準じた運用を図るといったことから、役員退職手当支給規程の一部を改正するものです。

 改正の内容ですが、退職手当の額について、従来の退職手当計算式に、平成2511日から930日までの間は95.45%、平成25101日から平成26630日までの間は90.9%、平成2671日以降は86.35%の割合を乗じて退職手当の金額を算出するものです。施行日は平成2511日です。資料3-7「新旧対照表」の説明は省略させていただきます。以上です。

 

○酒井部会長

 ありがとうございます。御質問、御意見はありますか。部会としては、それで承ったということで、意見無しということで処理させていただきます。

 もう1つ、先ほど来、少し話題になっていますが、中期目標・中期計画の変更と、それに伴う業務方法書の変更について御説明いただきたいと思います。評価官、よろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 資料3-8です。こちらの独立行政法人のほうに、新規「創薬支援」という形の業務が追加されるということです。形式的な話で大変恐縮ですが、お手元の資料集の25ページをお開きください。中期目標は、独立行政法人通則法の第29条第1項に基づいて厚生労働大臣が策定・変更することになっており、法人に指示する形になっています。法人では、この指示を受けて中期計画を作成し、同法30条第1項に基づき厚生労働大臣が認可することとなっていまして、今回の中期目標を変更、一部追加する場合にも同様と考えられています。

 この中期目標・中期計画の変更に当たっては、同じく独立行政法人通則法の第29条第3項及び第30条第3項の規程に基づいて主務大臣が評価委員会の意見を聞くこととされています。こちらの内容については、前体制の委員の皆様方に御意見を伺って御了解いただいているというところです。また、中期目標・中期計画の変更に伴って、同じく業務方法書の変更が必要となります。本日は、その独立行政法人通則法第28条第1項で、業務開始の際、業務方法書を作成し、主務大臣の許可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様とすると規程されていまして、同条第3項で主務大臣は認可をしようとするときは、あらかじめ評価委員会の意見を聞かなければならないと規程されているところです。こちらは、先に御了解いただいた中期目標・中期計画に沿って生じた事項ですので、今回、委員の皆様方に御審議いただくという形です。事務局からは以上です。

 

○酒井部会長

 御説明ありがとうございます。法人のほうから業務方法書の変更内容について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○医薬基盤研究所戦略企画部長

 創薬支援戦略室の新設に伴う中期目標・中期計画の改正についての御報告、本改正に伴う業務方法書の改正案について御審議いただきたいと思います。資料3-83-93-10を用いて御説明させていただきます。本件は、3月に開催いただいた第62回の部会において、中期目標・中期計画の改正について御審議いただいた案件ですが、今回、新任の委員の方もいらっしゃることから、資料3-82枚目のパワーポイントの資料を用いて、改めて創薬支援戦略室の概略について御説明させていただきます。

 資料3-82枚目の上の図を御覧ください。これは昨年6月に策定された医療イノベーション5か年計画に基づく厚生労働省の施策について取りまとめたものです。このうち、中ほどの左側、「基盤整備」とありますが、11「創薬支援機能の強化」を御覧ください。これはアカデミアなどにある、我が国の優れた研究成果を確実に医薬品の実用化につなげるために、厚労省だけではなくて関係府省やほかの独法、研究機関等とも連携したオールジャパンでの創薬支援体制を構築しようとするものです。このネットワークの本部機能を担うために、基盤研に、創薬支援戦略室を新たに創設することになりました。

 今御覧いただいた図の下に「創薬支援業務の具体的内容」と記載されている資料がありますが、ここに書いてあるように、まず「組織体制及び予算」とありますが、役職員は常勤として18人の増員、予算としては中期目標・計画期間中の運営交付金が26.9億円、施設整備費4.5億円とされております。

 業務内容としては、有望なシーズの情報収集・調査や評価・選定、あるいは出口戦略の策定・助言、応用研究等の支援、知財管理支援、企業連携支援などとなっています。本内容をもって、中期目標・中期計画の改正について御報告をさせていただきます。

 資料3-10です。本件は3月に本部会で御審議いただいた後に、財務省等と協議が行われたものですが、その過程において、2ページの第2「業務運営の効率化に関する事項」について文言整理と若干の修正が行われておりますが、内容に関する変更はありませんでした。最終的なものとして、資料の右側()とされている内容にて、平成25年度予算が成立した日である平成25515日付けで改正されておりますので、その旨御報告いたします。

 続いて、本中期目標・中期計画の改正を受けた業務方法書の改正案について御説明いたします。資料3-91ページです。新旧対照表になっていますので、右の方の()の方ですが、目次に第6章として「創薬支援業務」というのが新しく設けられております。それから、「相談の実施」等について規定しております。

 具体的には、この資料3-92ページ目です。まず、相談支援業務の入口として「相談の実施」というのを第49条に規定しておりまして「創薬シーズの評価・支援等」として、中期計画に規定されている事項について行う旨を第50条に規定しております。また、大学等のアカデミア等のシーズを取扱うことになりますので、その情報の秘匿に関しては、特に管理が必要であることが考えられますので、知的財産権の保全に係る秘密の管理ということで第51条を規定しています。なお、そのほかの改正事項については、ただいま御説明させていただいた改正に伴う整理ですので、説明を割愛させていただきます。簡単ではございますが以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

 

○酒井部会長

 ありがとうございました。委員の皆様、御意見、御質問はありますか。本評価委員会としては本件について異存はないということでよろしいでしょうか。

(各委員了承)

 

○酒井部会長

 それでは、そういうことでよろしく頑張ってやっていただきたいと思います。

 大変長時間にわたりましたが、本日の議事は以上となります。事務局から何かございますか。

 

○政策評価官室長補佐

 今後の開催日程について御説明させていただきます。会議の冒頭でも御説明しましたが、資料1-4に調査研究部会の今後の開催日程が記載されておりまして、次回については8213時からで、場所はこの建物の12階、専用12会議室になります。議題は「労働安全衛生研究所に係る個別評価」になります。事務局からは以上でございます。

 

○酒井部会長

 ほかに何かございますか。本日は長時間にわたりありがとうございました。これで終了させていただきます。どうも御苦労さまです。

 




(了)

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