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2013年6月28日 平成25年度第1回管理濃度等検討会議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課環境改善室

○日時

平成25年6月28日(金)15:25~17:15


○場所

中央合同庁舎第4号館 共用第123会議室


○議題

1,2-ジクロロプロパン等の管理濃度の検討について等

○議事

○安達副主任 定刻より5分ほど早いですが、委員の皆様おそろいですので、「平成25年度第1回管理濃度等検討会」を開催させていただきます。本日は、大変お忙しい中、また、大変お暑い中を御参集いただきまして誠にありがとうございます。
 本日御参集の皆様は、資料番号1-1のとおり、前回本検討会と同じ委員にお願いしております。また、本日は全員の御参加をいただいています。
 前回から事務局のメンバーに変更がありました。環境改善室の亀澤室長と私、安達以外は変わりましたので御紹介いたします。まず、化学物質評価室長の角田室長です。
○角田化学物質評価室長 角田です。よろしくお願いいたします。
○安達副主任 同じく、化学物質評価室の岸室長補佐です。
○岸化学物質評価室長補佐 岸です。よろしくお願いいたします。
○安達副主任 同じく、化学物質評価室の中西化学物質情報管理官です。
○中西管理官 中西です。よろしくお願いいたします。
○安達副主任 環境改善室の沖田環境改善係長です。
○沖田係長 沖田です。よろしくお願いいたします。
○安達副主任 初めに、主催者を代表して亀澤室長から一言、御挨拶申し上げます。
○亀澤環境改善室長 委員の先生方におかれましては、日頃から労働衛生行政の推進にあたり、御指導いただいていますことに御礼申し上げます。また、この度も、御多忙にもかかわらず、本検討会の委員をお引き受けいただきまして誠にありがとうございました。
 前回の検討会では、リスク評価の結果、新しく規制対象となりましたインジウム化合物やエチルベンゼンなどの管理濃度設定について御検討いただきまして、昨年5月に報告書のとりまとめを頂きました。この報告書を基にしまして、測定基準や評価基準といった告示改正を行いまして、一部の物質につきましては本年1月1日より、残りのものにつきましては4月1日より適用になっています。
 本年の検討会では、同様にリスク評価の結果、作業環境測定等の義務付けが必要と指摘されました1,2-ジクロロプロパンなどについて御検討いただきたいと考えています。作業環境測定を行い事業場の空気環境を良好に管理することは、職業性疾病を予防する上で重要です。管理濃度は事業場の状況を確認する重要な指標と考えています。今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
○安達副主任 続いて、今年度の座長の選出です。事務局といたしましては、引き続き櫻井委員にお願いしたいと考えていますが、いかがでしょうか。
                 (異議なし)
○安達副主任 それでは、以後の議事を櫻井座長にお願いいたします。
○櫻井座長 議事進行を務めます。よろしくお願いいたします。
 まず、最初に、事務局から資料の確認をお願いします。
○安達副主任 配布資料一覧のとおり、資料番号1-1本日の「参集者名簿」、資料番号1-2「管理濃度等検討会開催要綱」、資料番号1-3「管理濃度等の設定・見直しの検討について」、資料番号1-4「検討対象物質の概要」、資料番号1-5「化学物質のリスク評価検討会報告書」の冊子、資料番号1-6「平成25年度化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書」の冊子、資料番号1-7「1,2-ジクロロプロパン標準測定分析法」、資料番号1-8「N,N-ジメチルホルムアミドの作業環境測定方法について」、資料番号1-9「ニッケル化合物の分析測定方法について」、資料番号1-10「ベリリウム及びその化合物の管理濃度等の改正経緯について」です。続きまして、参考資料です。参考資料1-1「管理濃度・抑制濃度等一覧」、参考資料1-2「1,2-ジクロロプロパンに係るACGIHの提案理由書」、参考資料1-3「N,N-ジメチルホルムアミドの作業環境測定手法の検討結果」の冊子、参考資料1-4「加熱脱着法によるN,N-ジメチルホルムアミドの分析手法の検討結果」の冊子、参考資料1-5「ニッケルおよびニッケル無機化合物」、これは産衛学会のものです。一部のものは机上配布のみとしていますので御容赦ください。その他、本日は大前委員より、1,2-ジクロロプロパンの関係で提出資料があり、これも机上配布しております。以上、過不足等あればお知らせ願います。
○櫻井座長 皆様、お手元に資料はそろっておられるようですので、本日の議題に入ります。本日は平成25年度の第1回目なので、検討会での検討の進め方について、事務局から説明してください。
○沖田係長 資料番号1-3を御覧ください。管理濃度等検討会は、ここに書かれていますように、管理濃度等の設定あるいは設定したものの見直しを行う検討会です。本日、第1回では、1,2-ジクロロプロパン、N,N-ジメチルホルムアミド及びニッケル化合物の管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件の検討などについて御議論いただきます。第2回は9月頃に、DDVP(ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト)とベリリウム及びその化合物の管理濃度等の検討を行います。第2回で報告書を取りまとめたいと考えています。第2回で報告がまとまらない場合には第3回を予定しています。
○櫻井座長 ただ今、これからの検討の進め方について説明がございました。御意見、御質問がございましたら、どうぞ。特にないようですので、早速、議事を進めます。
 説明にもありましたように、今回は、1,2-ジクロロプロパン、N,N-ジメチルホルムアミド、ニッケル化合物、それから、ベリリウム及びその化合物が検討対象になっています。本日は時間の許す範囲で検討して、時間のないものについては次回に回す予定になっています。
 まず、最初に、1,2-ジクロロプロパンについて事務局から説明してください。
○沖田係長 資料番号1-4を御覧ください。こちらは、御議論いただく化学物質について、その使われ方や使用量、現在の管理濃度等を一覧にしたものです。1,2-ジクロロプロパンについては、今まで特定化学物質障害予防規則等の特別規制の対象ではありませんでしたが、今年6月4日の健康障害防止措置検討会で局所排気装置等の設置、作業環境測定を行う必要があるとされたことを受け、今回の管理濃度等検討会で管理濃度、測定方法、局所排気装置の性能要件を設定していただきます。
 1,2-ジクロロプロパンについては、大阪の印刷工場の胆管がんの事案が発生し、日本産業衛生学会がACGIHの10ppmよりも厳しい暫定値1ppmを発表したことは記憶に新しいと思います。また、規制ではありませんが、平成23年10月28日付けで「労働安全衛生法第28条第3項の規定に基づき、厚生労働大臣が定める化学物質による健康障害を防止するための指針」が出ています。その中で、試料採取方法としては固体捕集方法、分析方法としてはガスクロマトグラフ分析方法とされています。なお、資料番号1-7の「1,2-ジクロロプロパン標準測定分析法」のサンプリングの所で、球状活性炭管が採用されています。本日の検討においては、設定する管理濃度に対応する測定方法を選んでいただく必要があります。当時の検討そのままでよいのか、ほかの手法では適さないのかといったところから御議論いただきたいと思います。リスク評価検討会と健康障害防止措置検討会で議論のあった内容について、別の担当者から説明いたします。
○中西管理官 リスク評価の関係について説明いたします。資料番号1-5の7ページを御覧ください。1,2-ジクロロプロパンについては、平成24年度のばく露の実態調査を踏まえ、今回のリスク評価を行っています。リスク評価に当たり参考として、資料番号1-6の3ページに「健康障害防止措置の検討シート」が付いていますので御覧ください。こちらがリスク評価の概要です。1,2-ジクロロプロパンについては、(2)の有害性評価結果の中で、二次評価値10ppm、これはACGIHのTLV-TWAの値をリスク評価の時点では評価値としています。(3)のばく露評価結果を御覧ください。今回はばく露実態調査を4事業場について行っています。そのうち、印刷機の洗浄・払拭に1,2-ジクロロプロパンを洗浄剤として使用している1事業場において、個人ばく露の濃度が最大値の8.99ppmでした。ただ、この値は二次評価値を上回っていません。区間推定上側限界値を算出したところ、73.64ppmで、二次評価値を上回る結果になりました。
 資料番号1-5の7ページを御覧ください。1,2-ジクロロプロパンのリスク評価結果としては、個人ばく露の測定結果が二次評価値を下回っているものの、ばらつきを考慮した区間推定では二次評価値を超えていたことから、適切なばく露防止対策が講じられていない状況では労働者の健康障害のリスクは高いものと考えられるため、制度的対応を念頭に置いてばく露リスク低減のための健康障害防止措置の検討を行うべきであるとされ、リスク評価の時点ではそのような結論になりました。特に、1,2-ジクロロプロパンについては、洗浄又は払拭の業務について措置が必要と判断されたものです。
 資料番号1-6を御覧ください。リスク評価の検討を受けて、健康障害防止措置をどのようにしたらよいかを先生方に御検討いただいた報告書です。2ページに、検討結果を記載しています。1,2-ジクロロプロパンについては、先般、規則などの改正がありましたエチルベンゼンと同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要とされています。また、1,2-ジクロロプロパンの発がん性の有害性を勘案し、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要であるとされました。その中で、具体的にどのような措置が必要かについては、「措置の検討シート」の3ページの左上の「3 健康障害防止措置」を御覧ください。(1)の必要な健康障害防止措置として、1,2-ジクロロプロパンを含有する洗浄剤を用いた洗浄・払拭の業務を対象として御検討いただき、労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生規則における措置の整理表として、情報提供や労働衛生教育が必要としています。
 次のページです。特定化学物質障害予防規則における措置の整理表です。エチルベンゼン等かつ特別管理物質として1,2-ジクロロプロパンを考える場合としています。1,2-ジクロロプロパンの含有量が1%超である場合と、1,2-ジクロロプロパン含有量が1%以下かつ1,2-ジクロロプロパンと有機溶剤の含有量の合計が重量の5%超という場合の2つのパターンに分けて考えていただきました。ここにあるとおり、作業環境測定は必要ということで御検討いただきました。
 次のページです。混合溶剤の測定については、有機則準用として、「有機溶剤中毒予防規則における措置の整理表」のとおり、第2種有機溶剤として考える場合として、作業環境測定が必要として、検討会で結論付けられています。
 先ほど、沖田から説明しました資料番号1-7は、平成24年度の実態調査を行ったときに個人ばく露測定で実際に用いたサンプリングと分析方法です。以上で、1,2-ジクロロプロパンについて簡単な概要説明を終わります。
○櫻井座長 1,2-ジクロロプロパンに関して、今までの経過について説明がありました。本日の課題は、1,2-ジクロロプロパンの管理濃度について検討することになります。本年5月に、産業衛生学会で、1,2-ジクロロプロパンの許容濃度の暫定値として1ppmが示されました。これについて、本日は大前委員に説明をお願いすることになっています。資料も大前委員から提出していただいています。よろしくお願いいたします。
○大前委員 机上配布の資料に、1,2-ジクロロプロパンの許容濃度の提案理由があります。これは5月の許容濃度委員会で数字を決めまして、多分、産業衛生学雑誌の9月号に載るものです。本日ここにあるものはまだ最終案の段階でして、印刷されるものはこれと若干違うと思います。特に、文献の引用の仕方など、幾つか違った所がありますので、それをお含み置きの上、お聞きいただきたいと思います。1,2-ジクロロプロパンの提案理由がずっとありますが、一番重要な所で、4ページに、慢性毒性、発がん性の項目があります。5ページ一番最初の、Umedaらの報告を御覧ください。これは、日本バイオアッセイ研究センターで行った発がん実験の結果です。その報告で、ラットに、0、80、200、500ppmというレベルで2年間ばく露した実験の結果、見られたのは、乳頭腫、鼻腔神経上皮腫を合わせた鼻腔内腫瘍は用量依存的に増加しています。この変化について、上から10行目ぐらいに、「今回の研究からLOAELは80ppmだった」ということで、80ppmがLOAELになっています。この成果を利用して提案理由を作っています。
 8ページの「7 許容濃度の提案」を御覧ください。これは産業用ですが、今の報告によります、前腫瘍性病変、非腫瘍性病変におけるLOAELが80ppmであることから、NOAELへの変換と種差を考慮しますと、大体100分の1ぐらいの不確実性係数を掛け、単純に言うと0.8ppmですが、丸めますと1ppm、というのが、産衛学会の提案した許容濃度1ppmの主な理由です。
 13ページを御覧ください。今回の大阪の事案で職業に起因するような発がんがありました。胆管がんです。これに関しては、オフセット印刷工程という括りで、発がん分類1、いわゆる第1群にするという提案をしています。1,2-ジクロロプロパン自身については、先ほどの日本バイオアッセイ研究センターの実験、それから、NPTの経口投与の実験があるので、この実験と両方を合わせ、今の大阪のことも含めて、1,2-ジクロロプロパンに関しては、発がん分類第2群のAという提案をしています。
 あれだけSIRやSMRが大きい所でなぜ注意しなかったかということについては、議論がありまして、まだ1,2-ジクロロプロパンに確定とは言い切れないところがあるのではないかということで、動物実験の結果で2Aとしています。ただし、ヒトでの発がんは、オフセット印刷の所で間違いなく出ていますので、現段階では、1,2-ジクロロプロパンではなく、オフセット印刷工程として、発がん分類1群としたということです。産業衛生学会は1年間の暫定期間がありますので、この提案の1ppmと発がん分類は来年の総会までの暫定です。
 ついでに、参考資料1-2に、ACGIHの10ppmの提案理由があります。4ページの最後の「TLV Recommendation」の所に、なぜ10ppmにしたのかがまとめて書かれています。上から3行目辺りに、ラットの13週間のばく露実験で、やはり同じように、上気道の刺激を基にして10ppmというものを決めたと書かれています。今回の産衛は同じ鼻腔の話で、ターゲットが同じで、片や13週間、産衛のほうは2年間ということなので、情報の質は産衛のほうがよいのだろうと思います。私見ですが、上気道の刺激による影響という観点から言いますと、多分、産衛の1ppmのほうがより妥当な数字ではないかと考えています。
○櫻井座長 これから御議論をお願いします。管理濃度等の設定の見直しの検討についてということで、今後のおおよその進め方についての説明がありましたが、資料番号1-3の3の所で、「管理濃度は次の値を指針として設定する」として、日本産業衛生学会が勧告している許容濃度とACGIHが提案しているばく露限界が挙げられています。その後に、「管理濃度等検討会における専門家による検討を踏まえ、原則として日本産業衛生学会の許容濃度とACGIHのばく露限界が一致している場合には、その値を、また両者の値が異なっている場合にはいずれか一方の値を管理濃度とする」ということで、今までも進めてきています。ただし、原則として、ということではあります。今回は、ACGIHのほうは10ppmというものが現存していて、日本産業衛生学会のほうは1ppmで、これは暫定値という状況であることを踏まえて、どのような数字にするかを本日御決定いただきたいということです。いかがでしょうか。御議論いただきたいと思います。
○和田委員 暫定値を用いて管理濃度としたことがあるのでしょうか。
○櫻井座長 暫定値を採用して管理濃度にしたことがあるかということですが、ないような気がします。ないと思います。
○中明委員 最近、全く勉強不足なので教えていただきたいのです。ACGIHの10ppmというのは2006年ですね。
○大前委員 はい。
○中明委員 それ以降、何かこれに関するデータは出てきたのですか。
○大前委員 この、Umedaのデータ、日本バイオアッセイ研究センターのデータが2010年です。
○中明委員 彼らは、その後のフォローアップをしているのかということです。
○大前委員 私の知っている限りでは特に変わっておりません。
○中明委員 特になかったのですか。
○大前委員 はい。
○中明委員 少なくとも、日本バイオアッセイ研究センターでやったときには、今、産衛が採用したような値が出たということなのですね。
○大前委員 はい。
○中明委員 そういう意味では、和田先生がおっしゃったように、暫定値を管理濃度にすることがあるのかということがあって。それは今まで多分なかったのだと思うのですが、そうすると、これでいけば10ppmぐらいではないかと、当面はですね。それで、産衛の値が決まったら、それはそれで、もう1回やらざるを得ないと言うか、やるべきだろうと思います。だから、当面は10ppmぐらいでどうかなと思います。やはり、何だかんだ言っても現場の問題がありますから。現場がそれでうまくコントロールできるかということもあるし。要するに、様子を見てはどうかと思うのです。
○名古屋委員 現場の話をしますと、もう使っている所はどこもないのです。今までの考え方でいくと、許容濃度とACGIHの値のどちらかと言ったときに、低いところを取りましょうと。もし同じだったら当然それを取るのですが、高い所があるときには、必ずその理由が要りますという形になっていますので。暫定値が変わるという確率があるのであればそうなのだけれど、まず暫定値が変わることはないと思います。変わることはありますか。それは分からないでしょうか。
○大前委員 いや、非常に可能性は小さいと思います。
○中明委員 ただ、0.5ppmぐらいというのを、何か、許容濃度として採用したらというような話も出ていたような気がしたので。でも、1ppmになる可能性はあるだろうけれど。今、名古屋先生が指摘したように、現場では、オフセット印刷は既にもうほとんど石油系の溶剤に変えてきてしまっているのです。産衛でオフセット印刷は1ppmなどと決めたことはともかくとして。現場サイドではほとんど使われないようなものについて、それをいつまで何するのというのは。使われていなければ、それはそれで決めておいても一向に構わないのですが。その辺のことをどう考えていくのかというのは、問題として残るのではないかという気はします。ですから私は、当面、10ppmで1年置いてはどうかという気がします。
○明星委員 現状はないということなので、何か値があることは今より良いのではないかと思うのです。
○中明委員 その程度のもの。
○明星委員 いや、どの値ということは私にもないのですが。ないと、そこに流れ込むということですよね。
○菅野委員 今回は発がん性が問題になっているわけなので、発がん性が考慮されていないACGIHの値をそのまま採用するというのは少しおかしいのではないかと思うのです。
○櫻井座長 ということは、ACGIHも、産業衛生学会も、発がん性は正面から取り扱っていないのですか。
○菅野委員 はい。ただ、今度決められた暫定値については、発がん性が考慮されているということではないのでしょうか。
○櫻井座長 ないのですね。
○大前委員 先ほどの提出資料の5ページの、上から5行目ぐらいの後ろのほうに、「乳頭腫、鼻腔神経上皮腫を合わせた鼻腔内腫瘍が用量依存的に増加した」うんぬん、それから、前腫瘍性の病変等々で、LOAELは80ppmですが、一応、腫瘍性の変化は見ています。再腫瘍性に関しては考慮しているということだと思います。
○櫻井座長 ACGIHも考慮していないわけではない。情報の中に書いてはありますね。しかし、IARCがLimited evidenceという結論だったということも引用して、相対的にそれを軽く見ているという感じですね。その差はあります。
○和田委員 実際に現場で1ppm以下に抑えることは可能なのですか。
○櫻井座長 どうでしょうか。
○和田委員 要するに、使うなということなのでしょうか。
○名古屋委員 リスク評価のときには、10ppmは切っていましたけれども、洗浄・払拭については1ppmは超えていました。そのときはまだ産衛学会の値が出てきていないので、二次評価値を10ppmに評価しました。要するに、ばく露全部では8ppmが最高でしたから、切っていないことで、本来的にはそこで終わるはずだったのです。区間推定してみると、二次評価値を超えているので、そこで詳細リスクを飛ばしてここに持ってきたという形です。当然、一次では全て超えていますので、記載は変わってくるのではないかと思います。
○岸化学物室評価室長補佐 ばく露評価では洗浄・払拭作業で一番低いものでも1.86ppmでしたので、管理濃度を1ppmとすれば、全部超えていることになります。
○名古屋委員 このときの、リスク評価に出てきているばく露濃度も、そのもの自体をやっているのではなくて、溶剤の中に不純物として入っているものを処理するときに出てきたものをやりましょうという形でしたね。44社か何かやりましたが、結果的には、取り扱っているものは、ばく露測定はできなくて、腫瘍細胞を測定したときは、その中の、不純物として扱っているものもありますので、それを処理するためにやりますから、実験していいですという形でした。実際、44件ぐらいのアンケートを取りましたが、結果的にはどこもやっていなくて、不純物に入ったものをやった値がこれだったと思います。リスク評価の所では、事業場にアンケートを取ったときには、もう全てやっていませんという話になっていました、ということが、リスク評価のときの結果だと思います。
○松村委員 産衛学会の勧告値というのは、種差による比率と言うか、倍率から安全率を見ると、10分の1ぐらいにされています。ACGIHと比べて、その辺の、安全率の取り方はどうなのでしょうか。それで相当大きく響いてくるのではないかという気がします。
○大前委員 そこの議論ははっきり覚えていないのですが、先生がおっしゃるように、場所が場所なので、Dynamicsはしてもよかったかもしれません。そういう意味で、10取る必要はなかったかもしれません。LOAELからNOAELは10でいいと思いますが、種差で10を取る必要は必ずしもなかったかもしれません。
○名古屋委員 暫定値の取扱いだけではないでしょうか。普通にもし決まっていれば、多分、今までの書き方では1ppmになるのだけれど、暫定値が少し違うので、そこをどう我々として決めますかということです。
○中明委員 結局、菅野先生が指摘したように、発がん性が見え見えなのに、なぜ受理しておくのかということだと思います。だから、暫定値を産衛で出しているわけですから、そちらを採用するかどうかだと思います。私は、まだそこまでは。名古屋先生がおっしゃるように、現場ではもうほとんど使われていないということでいくと。
○名古屋委員 アンケートを取った所です。取った所で使われていないということです。
○中明委員 全体的にはどれぐらいあるかは分からない。
○名古屋委員 全体的にあるかどうかは分かりません。そういう意味では、あるかもしれません。
○中明委員 そういう意味では、明星先生がおっしゃるように、数値はやはり決めておかないといけないということで。
○櫻井座長 1つステップを置いて、来年確定したら1ppmにするということで、いかがでしょうか。
○中明委員 その間に何か出てきたら、ほら見たことかって、菅野先生に言われてしまいそうですが。
○櫻井座長 このような、明確なヒトの発がんという事態を念頭に置いた場合に、10ppmというのは、一抹、勇気が出ないところもありますが。
○松村委員 ここでは管理濃度を考えていますので、マスクのことは余り議論に入ってこないのですが。ジクロロメタンが一緒にあると、防毒マスクは全く有効ではないのですが、1,2-ジクロロプロパンだけでしたら、数10ppmでも、活性炭の防毒マスクでもある程度の時間は有効です。そういう手段も考える。これは当然、臭いもあり、10ppmでも臭いはすると思いますので、補助的に呼吸用保護具も使うことを考えれば、10ppmぐらいまで緩和しておいてもいいのではないかという気がします。ジクロロメタンと共同にありますと、ジクロロメタンはもう欧州などでは禁止物質にしていますから、もう活性炭マスクは全く駄目です。
○櫻井座長 1,2-ジクロロプロパンの発がん性に閾値があるのかないのかというような問題もあり、閾値に近いような状況があるのではないかと考えている人が多いことも事実ではありますが、まだ証明されていません。そういう諸々の事情があり、1ppmまで下げる必要があるかどうかという疑問もないわけではない。しかし、来年1ppmに決定されれば、これは当然それを採用するという方向で、本日はいかがでしょうか。それでよろしいでしょうか。少し心配という方もいらっしゃいますが、それでよろしければ、本日は10ppmと決めさせていただきます。
 次に、測定方法について御意見をお願いいたします。
○亀澤環境改善室長 資料1-7です。
○櫻井座長 資料1-7ですね。
○亀澤環境改善室長 はい。これは、下に書いておりますが、昨年度の職場における化学物質のリスク評価推進事業の実施結果報告書から抜粋しておりますが、このときに使ったのが、個人ばく露測定の方法として使ったものです。サンプリングは左側の上から少し下がった所に書いておりますが、サンプラーが球状活性炭管を使っているということで、固体捕集方法になります。分析法は右側に分析方法が「ガスクロマトグラフ質量分析法」と書いています。この方法が使われたという結果が出ております。
○櫻井座長 そうしますと、特段御意見がなければ、試料採取方法は固体捕集方法、分析方法はガスクロマトグラフ分析方法とすることでよろしいでしょうか。
(了承)
○櫻井座長 では、そのように決定。
○松村委員 すみません、これは質量分析が必要なのでしょうか。
○菅野委員 多分。
○松村委員 ガスマスである必要があるのですか。
○櫻井座長 必要があるのですか。
○菅野委員 1ppmが限界ぐらいのところですので、FIDで必ず測れる保証が疑問があります。ただ、質量分析計そのものはかなり普及していますので、大丈夫だと思います。
○明星委員 作業環境測定用としても大丈夫ですか。
○菅野委員 作業環境測定とすると、これはサンプリング時間が4時間になっていますが、ですから、捕集量が24Lですが、これが1Lになるということです。そうすると、定量下限値、一番下のほうですが、ppb以下になっていますけれども、それが24倍になるということになります。
○櫻井座長 そうしたら、ガスクロマトグラフ質量分析方法と書くのですか。そこまで細かく。
○小西委員 質量分析とFIDとは区別していませんよね。ガスクロでそれも入ってしまいますからいいのではないですか。
○松村委員 検知器の一種という扱いですか。
○小西委員 そうです。
○櫻井座長 一応、標準法として分析方法はガスクロマトグラフ分析方法という表現でよろしいわけですね。では、そのように決定とさせていただきます。
 次に局所排気装置の性能要件についてはいかがでしょうか。事務局から説明をお願いいたします。
○安達副主任 若干補足をさせていただきます。局所排気装置の性能要件については、1,2-ジクロロプロパンの規制の方法にもかなり関係してきますので、もう一度、資料1-6「健康障害防止措置に関する検討会」の2ページを御覧ください。先ほど御紹介していただいたとおり、今、この1,2-ジクロロプロパンの規制のあり方については、先ほど申した特化則の規制ということなのですが、前回御議論いただいたエチルベンゼンと同様の作業環境測定や発散抑制措置を講じることが必要とされています。
 2枚先のページに、この検討会の中でも健康障害防止措置で特定化学物質障害予防規則における措置の整理表があります。こちらでは、1,2-ジクロロプロパンの局所排気装置の要件というのは、有機則における準用ということで、この物質の使われ方に着目して、有機則を準用しつつ、局所排気装置の要件を定めることが適当とされています。
 次のページの、有機溶剤中毒予防規則における措置の整理表でも、この1,2-ジクロロプロパン1%超えのところも、同じく局所排気装置の要件としては、有機則の考え方でいくということですので、エチルベンゼンと同様の形で有機則の適用という考えでいくと、制御風速方式ということになるのかなということで、少し補足を申し上げました。
○櫻井座長 いかがでしょうか。御意見を伺いたいと思います。制御風速の数字は0.5m/秒。
○安達副主任 制御風速の場合は、有機則の中に一律に風速が決まっておりますので、その値となります。
○櫻井座長 そうですね。それでよろしいでしょうか。
○中明委員 エチルベンゼンの場合には特化則で規制をやっているのですよね。これは有機則でいこうという話なのですか。
○安達副主任 はい、そうです。
○櫻井座長 いやいや、特化則。
○中西管理官 エチルベンゼンと同じように、1,2-ジクロロプロパンについては、今回、特化則に定めて、それで有機則を準用するというやり方を採っております。根拠の大元は特化則ということになります。
○名古屋委員 リスクのとき有機則で出てこないのですか。要するに、発がん物質単体でリスクをやると必ず特化則になりますよと。多分、エチルベンゼンと違うのは、エチルベンゼンのときは有機溶剤の中に入っているからああいう形になっているけれども、これは多分、単体で使っていることが多いと思いますので、そうすると、1,2-ジクロロプロパンだけ1%超えて他のものが入っていなかったら特化則でやればいいでしょう。仮に有機則で入っていたとしたら有機と併せてやりましょうという形になるだけであって、多分、エチルベンゼンほどは、使い方として混乱しないと思います。
○中明委員 エチルベンゼンの場合はキシレンか。キシレンのコンタミか。
○櫻井座長 それは単独でも使って。
○名古屋委員 エチルベンゼンの場合はキシレンの中にエチルベンゼンがいっぱい入っていたのは今まではなかったですよね、エチレン、トルエンで。エチルベンゼンはなかった。エチルベンゼンは特化則でいったのだけれども、有機溶剤の中にいっぱい入っているから有機則でいきましょうとなったのだけれども、やはりそれは駄目ですよという形で今のように変わりましたよね。今回は、もともと初めから特化則でいきましょうという形になっていましたので。ただ、もしかしたら、そういう使い方をするときに、こういうふうに決めておければ有機則も適用できるからやりましょうという形。
○中明委員 余りピンとこないな。半決めだとよくないな。
○名古屋委員 でも、これは菅野さんの委員のところで決まった話ですから。我々のところではなくて。そうですよね。
○菅野委員 私の理解では、これも混合して使用される場合が多いので、有機則としての対策を。
○名古屋委員 入れましょうという形ですよね。
○菅野委員 するということだと思いました。
○中明委員 要するにこれは、資料の何ページだか分かりませんが「設備、換気装置の性能等保護具については有機則における措置内容を準用する」と。そういうことですよね。
○菅野委員 つまり、ポイントは払拭と何とかと、作業が指定されていますので、1,2-ジクロロプロパン純品を使うことは、多分ほとんどないと思います。そういうことで、ほかの有機溶剤と混ざっている場合を想定しているのだと思います。
○中明委員 そういう意味ね。
○名古屋委員 作業業務が限られていますので。ここに書いてありますが、「洗浄剤を用いて払拭する作業」と書いてありますので、そのときに、多分、これ以外に使う可能性がありますよね。そうなると有機が入ってくるので考えておきましょうと。
○中明委員 そっちのあれで対応しようというわけですね。
○名古屋委員 はい。
○中明委員 まあ、仕様がない。
○名古屋委員 だから、エチルベンゼンと違って、完璧に混合の中に入っているわけではなくて、これだけを使っている可能性がありますよ、そのときは特化でいきましょうと。もし入ってきたら有機と併せて考えてくださいという考え方ですから。入ってこなかったら、そのまま特化でいけるのだと思います。
○櫻井座長 いつも、特化則の多くのものは、管理濃度そのものを準用するわけですよね。濃度で規制して。有機則のほうは原則として制御風速で処理していますね。実質的に、制御風速で0.5という数字だったと思いますけれども、それでいいであろうということが前提なのですね。
○松村委員 でも、もしこれが混合状態で使われるとしたら、混合されているほかの成分はほとんど有機則の対象物質ではないのですか。
○名古屋委員 印刷工場では、平成3年から8年まで混合で使うことはありましたが、現在では、単体で使うことが多くて、要するに、混ぜて使うのではなくて、ほかのものを使いますよということで、多分、混合して使うことは。
○松村委員 ない。
○名古屋委員 先生が胆管がんの補償をやられたときにそういう話はなかったですよね。多分、印刷工場ではあったけれども、単体だろうと。
○松村委員 新聞で読んでいる限りでは、ジクロロメタンと混合状態という。
○名古屋委員 混合していないですよね。平成8年に分かれていましたよね。
○大前委員 併用という感じですかね。
○名古屋委員 併用という感じでして。
○松村委員 併用ですか。
○名古屋委員 一緒に使っていることはない。
○松村委員 そうですか。でも、併用して同じ職場で使っているということですか。
○名古屋委員 多分、先生方と一緒にやった委員会ですけれども。
○松村委員 私は現場を見たことがないので分からないのですが。
○名古屋委員 多分平成8年でピタッと分かれていまして、それまではジクロロメタンでそれからは1,2-ジクロロプロパンで完全に分かれていて、それから併用してと言っても、軽油などのほかのものは使っていますが、その2つを併用してというのは余りなかったと思います。多分、今はないと思います。
○松村委員 そうですか。もし同じ職場で有機溶剤を使ったり1,2-ジクロロプロパンを特化則で使ったりというと、管理方法が違ってくるのはどうなのかなという気がしますけれども。
○菅野委員 ですから、混合と言って、つまり払拭の作業というのは、1,2-ジクロロプロパンは非常に値段の高い溶剤でして、それを払拭の作業等にわざわざ使う理由はほとんど考えられないのです。ですから、過去に使われたのは規制対象ではないからという理由だと私は思っていますけれども。ですから、今後、洗浄や払拭に使われるとすると、ほかの有機溶剤と混ざっている場合が多いので、今、松村先生がおっしゃったように、有機溶剤が混ざっていて、局排を付けるにしても1個しか付けられないわけですから、片方は特化則で片方は有機則というのは難しいということで、有機則の適用にするというふうになったと。
○松村委員 なるほど。
○小西委員 これは実際に、中災防さんで測定されたときの排気装置の風速などのデータはないのですか。その当時、計測されたときの。
○名古屋委員 どこの。
○小西委員 実際にリスク評価のときに現場の調査をやられていますよね。
○名古屋委員 はい。
○小西委員 そのときに排気装置などの風速などというのは。
○名古屋委員 それは委員会に出てきていないです。
○小西委員 そうですか。もし、今後やるのであったら、そういうものを是非測っておいてもらうと、こういうところで議論するときに、ただ制御風速でやるなどということになっても、本当に可能なのかどうかということは、設備上はすごく難しい部分もあるのではないかと思うのです。
○名古屋委員 多分、測定しているときに、リスク評価の中では8時間のばく露と、作業環境と、マスクを付けているか、局排があるかどうか、それは全部きちんと書いてあります。ですから、そこは見るのですが。
○小西委員 多分、そこのところで是非とってもらいたいと思うのは、結局、払拭だとか普通の印刷のところで一番やりにくいところなのです。
○櫻井座長 そうでしょうね。
○小西委員 いろいろな作業環境測定の中でも、事例で出てくるのは、やはり、装置としてなかなかうまく除去できないという問題があるので、そういう情報から、本当に可能なのかどうかと、ちょっと思っているのです。もし、今後やるようでしたら、そういうデータを是非取っておいてもらえると有り難いと思いますけれども。
○中明委員 でも、そのデータは持っているのでしょう、実際の現場で測ったときに。それをやってなければ余り意味がないではないですか。
○岸化学物質評価室長補佐 局排の状態については見ておりますが、報告書の中では「良好」や「不良」などという、数値的なものではなくて、判定結果のようなものは書いています。
○中明委員 数値は持っているのですか。
○岸化学物質評価室長補佐 数値は。
○中明委員 ないのですか。
○名古屋委員 ばく露を測っているだけでして、そのところに、設置されていて外付けがありますかというのがあって、これは中災防さんが持っている話でして、我々のところまでは上がってきませんよということです。それを尋ねたときに、中災防さんはデータを見ていて、幾つでしたよ、という話になりますよということです。
○中明委員 小西さんの言うように、データはどこかにきちんと残しておかないとまずいのではないですか。せっかくやったデータなので。
○松村委員 これは局所排気と言っても、要するに作業場から外に出す、出すと言っても、その出すのがすごい量だから、自然にもう全部、使っている溶剤をほとんど蒸発させるような使い方ですよね。ですから、多分、私が前に見た印刷工場は、直接出してしまうと、環境基準に引っ掛かるので、非常に苦慮していました。
○櫻井座長 大量に使って、それを全部蒸発させる。全部出してしまう。
○松村委員 ですから、それで除去ができればいいのですけれども、除去が非常に難しいのですよね。ジクロロメタンなどは。
○名古屋委員 オフセットの場合は、除去しないのです。印刷がよくなくなるので、中に還流させるのです。だから高い濃度なのだよということになるのです。
○松村委員 だからすごい濃度なのですよね。
○名古屋委員 そこが、規制がかけられないところでやっていたから、そういう形をオーケーにしたということです。多分、印刷工場の一番辛いのは、局所排気を付けると、揮発性が上がってきてというか表面が乾いてしまって、印刷が悪くなるので、なかなか付けきれないのではないかと思います。
○松村委員 そうでしょうね。排気はやりにくいというか、エンジニアリングはとても難しい作業ではないかと思います。
○櫻井座長 では大体いろいろ議論も出ましたが。
○中西管理官 すみません、1点だけ補足説明させていただいてもよろしいでしょうか。
○櫻井座長 どうぞ。
○中西管理官 先ほど御覧いただいたこちらの資料の見方ですが、上の「製造等に係る措置」のところで、注1「設備、換気装置の性能等、保護具については有機則における措置内容を準用」というのが、第1類物質の取扱い設備から局所排気装置等の稼動時の要件のところにかかっております。これはどういうことかと言いますと、「製造等に係る措置」というところは全部×が付いているのですが、これは1,2-ジクロロプロパンの含有量が1%超でも、もう1つ1,2-ジクロロプロパン含有量が1%以下で1,2-ジクロロプロパンと有機溶剤の含有量の合計が重量の5%超、両方であっても、どちらであっても、特化則上に有機則を準用するというふうに規定する予定です。
 では有機則で規定する場合、どこを準用してくるのかというのが、もう1枚先にあります。ですので、こちらは第2種有機溶剤として考えて準用すると、こういうふうになるのではないかと考えて●が打ってあるところです。
○櫻井座長 よろしいでしょうか。それでは、局排の性能要件については、前回改正されたエチルベンゼンと同様に、制御風速とするということで決定させていただきます。
(了承)
○櫻井座長 以上の1,2-ジクロロプロパンに関するものについては、できるだけ早期の改正を予定しているとのことですが、事務局から追加の説明がありますか。
○安達副主任 通常ですと、このあと御議論いただく物質も含めて最終的に報告書が出て、それを踏まえてこちらで作業環境測定基準や作業環境評価基準の改正をするのですが、御承知のとおり、この1,2-ジクロロプロパンは、できるだけ早期に改正をしたいということで、これを今、報告書が出る前に改正をさせていただきたいということで、今御議論いただいたことを復唱させていただきますので、もしそれでよければ御了承ということにしたいと思います。
 まず、管理濃度ですが、先ほど御議論いただいたとおり10ppmとさせていただきます。ただし、今、産衛学会のほうで暫定値という形が出ていますので、そちらの値が確定した段階で、また速やかに検討させていただく形にさせていただきます。
 測定方法ですが、試料採取方法は固体捕集方法、分析方法はガスクロマトグラフ分析方法とさせていただきます。
 局所排気装置の性能要件は、今御議論いただきましたが、エチルベンゼン等と同様に、先ほど準用表が出ましたが、有機溶剤中毒予防規則に基づく制御風速といたします。
 以上のとおりでよければ、今後、そういった内容について改正を進めていきたいと考えております。以上でございます。
○櫻井座長 ただいまの説明に何か御意見はありますか。ないようですので、この内容で事務局のほうで検討を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、議題2-2ですが、N,N-ジメチルホルムアミドについて事務局から説明をお願いいたします。
○沖田係長 資料1-4です。検討対象物質の概要の2つ目の物質としてN,N-ジメチルホルムアミドの欄があります。こちらに、主な用途、生産・輸入量、管理濃度などが書かれています。N,N-ジメチルホルムアミドは、現在、管理濃度10ppmの設定で日本産衛学会、ACGIHともに10ppmを示している状況です。
 詳しい説明は、資料1-8です。N,N-ジメチルホルムアミドについては、現在の作業環境測定基準において、直接捕集方法で試料を採取すると。それで、ガスクロマトグラフで分析するということになっています。ただ、この測定方法のうち、直接捕集方法が捕集容器内で濃度の低下といった保存性が低いという指摘があることから、昨年度、平成24年度において、この手法に代わって精度よく測れる方法がないかということを、委託事業として調査研究いただきました。その結果として、直接捕集方法から固体捕集方法に変更できる、固体捕集方法により精度よく測定できるという報告がまとまっています。
 さらに、その固体捕集方法の中で、溶媒脱着、加熱脱着というのがあるのですが、このいずれも可能であるという報告書がまとまっています。したがって、N,N-ジメチルホルムアミドの試料採取方法について、従来の直接捕集方法から固体捕集方法への変更、改めるということでよろしいのかという議論をお願いいたします。
○櫻井座長 測定方法のうち、試料採取方法について、現行が直接捕集方法なるものを、固体捕集方法に変更するという提案ですが、いかがでしょうか。何か御意見がありましたらお願いいたします。
 既に平成24年度の実証的検証事業報告書で、そういうことが十分可能であるという結論になっているということを踏まえての御提案のようですが。これはよろしいでしょうか。
○中明委員 資料1-8にア、イ、ウとありますが、要するにウは駄目だという話ですよね。キャニスターはやめると。加熱脱着はどうしますか。これはいいのですか。
○小西委員 これは大丈夫です。
○中明委員 これは入れるわけですか。そういうことなのか聞いているのです。アは従来からやっている方法だから、それはそれでいいのですが、加熱脱着はかなり使われていましたか。そんなに使われていないような気がするのですが。
○名古屋委員 結構、今、有機は全部加熱脱着は大丈夫でしょうと書いていますし。今、特化則も出していますから大丈夫ですよ。
○中明委員 だから、実を言うと、それが測定法というか、ガイドブックに必ずしも正確にそれぞれに書いてないのではないですか。
○名古屋委員 書いてあります。
○中明委員 書いてありますか。
○名古屋委員 改正しまして、新しいガイドブックには書いてあります。
○中明委員 いやいや、それはいろいろと苦労するところなのですよ。
○名古屋委員 多分、加熱脱着は別段、規則改正はなにも要りませんから。要するに脱着するための手法の1つだから改正は要りませんから、ガイドブックにも、今、書かれています。
○中明委員 まあいいです。ガイドブックのうんぬんは今はやめます。やりだしたらきりがないから。
○櫻井座長 一応、固体捕集方法ということで決めておいたらよろしいですね。
○名古屋委員 そうです。それで大丈夫だと思います。
○中明委員 一応、加熱脱着もいいよという話ですね。
○菅野委員 これは、どちらでもよろしいということですので。別段、チェックでやらなくてはいけないということではありませんので、問題はないかと思います。
○中明委員 分かりました。それでいいです。
○小西委員 ここでやることではないとは思うのですが、こうやっていろいろ分析方法を、新しい物質などで検討されているときに、是非とも適切な試薬という情報を必ずそこに加えてもらいたいと思うのです。試薬は何でもいいのかということになると、試薬によって駄目な場合もある可能性があるし、もう1つは、新しい物質については、これとは直接関係ありませんが、本当に標準試薬があるのですかという問題も、多分、これからいろいろな物質をやっていくと出てくると思うので、方法論を検討される部分で、是非そういうことも情報として入れておいていただきたいという気がします。
○名古屋委員 これは吉川先生の参考資料1-3で検討されていますから、これで。
○小西委員 それを今度は逆に、やる人たちのほうに反映できるような形にしておいてもらえると有り難いなと思いますけれども。
○名古屋委員 そうですよね。
○櫻井座長 ガイドラインに、できるだけ丁寧に書くということですね。
○小西委員 何か、そういうことの規制をかけなくてはいけない試薬などがあるのであれば、きちんと。
○櫻井座長 規制をかけなければならない場合もあると。
○小西委員 ええ。そこは駄目ですよなどというものが分析上で認められれば、それは駄目だということをやっておかないと、正確な分析ができなくなる可能性があるのではないかと思います。
○櫻井座長 今後の注意すべき点として、御発言ありがとうございました。
 それでは、結論としてN,N-ジメチルホルムアミドの測定方法は、試料採取方法は現行の直接捕集方法から固体捕集方法に変更するということでよろしいでしょうか。
(了承)
○櫻井座長 御同意いただいたので、そのように決定させていただきます。
 次に、議題2-3、ニッケル化合物についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○沖田係長 資料1-4です。ニッケル化合物の主な用途や生産・輸入量を示しております。その次に、ニッケル化合物の管理濃度として、ニッケルの粉状のものとして0.1mgというのが定まっています。産衛学会やACGIHとしては、水溶性と不溶性のもので分けて設定している状況にあるところを押さえていただいたら結構です。
 次に資料1-9です。こちらでニッケルの分析方法の話が出てくるのですが、まず、ニッケル化合物についてこういう話になったことの経緯を説明します。まず、ニッケル化合物の規制は、平成22年4月1日から作業環境測定が義務付けられ、ACGIHの値を参考として0.1mg/m3という値になっています。それとは別に、日本産衛学会のほうで平成21年に提案されていた許容濃度が暫定期間を経て平成23年度に決定され、数値としては水溶性が0.01mg/m3、水溶性でないものが0.1mg/m3となっています。こちらの、日本産業衛生学会の勧告値については、暫定値であった期間に、平成23年度管理濃度検討会が開催されて検討したという経過があります。その際に、本検討会で現在の日本産業衛生学会の提案理由書及びそこで検討した、動物を用いた吸入ばく露試験を検討したところ、本提案理由書は妥当と考えられました。
 仮に、日本産業衛生学会の許容濃度が勧告値として決定することとなると、水溶性のものについて、現行の管理濃度の10分の1の値であり、管理濃度の見直しに関する検討が必要となるとの議論がされたところです。そのあと、平成23年5月に日本産業衛生学会の総会時に、許容濃度として決定されたという経過があります。仮に、水溶性とそうでないものとを分けて管理濃度を定めることとなると、それぞれの物質に関する測定法が必要になることから、昨年度の委託研究において、測定法についての検討を行ったところです。
 お手元にメモのようなもので配っているのですが、管理濃度のあり方について、仮に、日本産業衛生学会の新たな勧告値を考慮に入れて管理濃度を考えると、2つの案が考えられると思います。1つは、粉じんの管理濃度のように式で表すと。作業場の中の水溶性ニッケルの割合を、その式に代入して求めるというやり方です。具体的には、管理濃度が0.1で割ることの0.09Nの水溶性ニッケルの含有率足す1(M=0.1/(0.09N+1))という式で表されていまして、こちらのほうで管理濃度を定めようという方法です。もう1つは、産衛学会やACGIHのように、水溶性とそうでないものを管理濃度でも2種類定めるという方法が考えられるかと思います。
 事業場では、水溶性のものだけや、又はその逆で、水溶性ではないものだけが使われているわけではないこと、更に、管理濃度は局所排気装置の性能要件に関係があることを考慮に入れると、2種類の管理濃度を決めるというよりは、式として1種類を決めたほうが、現場としては使いやすいと考えられるかと思います。資料の説明は以上です。
○櫻井座長 どうぞ御自由に御議論をお願いいたします。
○明星委員 この場合の水溶性のニッケルと、非水溶性のニッケルの最終的なエンドポイントというか、それが同じなら、まとめることに意味があると思うのですが、それはどうなのですか。
○名古屋委員 多分、資料1-9の次のところの、これは菅野先生が委員長のところの話で、私が言う話ではないのですが、その中で、この一連の分析をずっとしてきて、途中で出てきたものが水溶性ニッケル。そのあとで出てくるのが不溶性ニッケルということで、1つの分析をすることで2つの値が求まりますよという。その定義をどうしようかというのは、多分、前回に問題になったときに。
○明星委員 いや、私が申したいのは、水溶性ニッケルで起こる中毒と、非水溶性のニッケルで起こる中毒が、例えば何か関係があるなら足し合わせることはいいのですが、別の話ならば別ではないかなという、それだけなのです。
○亀澤環境改善室長 参考資料1-5に、産衛学会がお出しになった、許容濃度に関する提案理由書がありまして、133ページに2)「製錬粉塵職場以外でのニッケルの許容濃度」というところがあります。ここで何がエンドポイントになっているのかが書いてあります。
○櫻井座長 今、御説明がありました、51巻の133ページ、左のカラムの真ん中より少し下から始まるところで、水溶性ニッケル化合物では、硫酸ニッケルを代表として、2年間の吸入性粒子曝露試験で得られたNOAELを使っています。それから、その下は水溶性以外のニッケルについては、LOAELを使っている。両方とも動物実験の同じエンドポイントだなと思った記憶があるのですが、それがどこかに明確に書いていないか探しているのですが。
○大前委員 今の提案理由の2ページ目、129ページに発がん性以外の毒性、4.1のところですが、ここに3)でニッケル硫化物、4)でニッケル塩ということで、水溶性のニッケルと非水溶性のことが書いてありますが、3)のニッケル硫化物のところは、下から4行目ぐらいですが「肺胞上皮過形成および肺線維症・気管支リンパ過形成」、それから「鼻部上皮の炎症」。ニッケル塩のところも、下から5行目ぐらいの硫酸ニッケルと書いた所ですが、これを見ると「肺の慢性炎症」と書いてありますので、気道であることには間違いないという意味で、同じターゲットと考えていいのではないかと思います。
○櫻井座長 結局、そうだとすると、相加的に働くだろうというので、この式も妥当性は出てくるとは思います。
○菅野委員 些末なことですが、お書きになった式は、分子のほうに括弧が付くのではないかと思うのですが。0.09N+1というところは括弧が付いていないと。
○櫻井座長 両方に括弧を入れないと駄目ですね。
○菅野委員 そういうことです。
○櫻井座長 (0.09N+1)で0.1を割るわけですね。分母のほうですね。
○菅野委員 この式で、含有率が50%のときには、幾つになるでしょうか。0.06ぐらいになりますか。
○亀澤環境改善室長 今、計算をいたします。
○菅野委員 水溶性のものは、基本的に0.01なわけですよね。50%のときに、例えば0.3や0.4になると、水溶性ニッケルの量が0.01より多くなるのですが、これでいいのですよね。
○名古屋委員 半分にはならないです。式に入れていますから。公式ですから。
○菅野委員 ですけど、多くなりますよね。ちょっと計算ができないのですが。
○名古屋委員 多分、粉じんと同じで、一番強いものを0.01まで。
○菅野委員 それなら大丈夫だと思います。すみません。
○櫻井座長 0.018ぐらいです。
○亀澤環境改善室長 0.018ですか。
○菅野委員 0.1よりは。
○櫻井座長 ゼロなら0.01。式は大丈夫ですか。
○名古屋委員 式は大丈夫です。粉じんで慣れているので、使いやすいかなと。
○櫻井座長 別々に決めて、それで相加式でやっても同じ結果になるのですものね。
○名古屋委員 実態に当てはめて、これのほうがいいのかなと思います。
○櫻井座長 ただ、混ざっている場合が多いならば。
○名古屋委員 実際には不溶性のニッケル塩と書いてあるのですが、不溶性というのが、普通の感覚ですと、100mlに1g以下しか溶けないとか、ここで規制しようとしている濃度範囲よりはずっと高いところで決まっていますので、そういう意味で言うと、不溶性の塩というのはほとんどないのではないかと思います。ですから、どのぐらい溶けるかという問題が強まりますので、率直に言うと、一般的に難溶性の塩と言われていても、このレベルでは溶ける可能性があるということ。もっと溶解率が低くて、ほとんど溶けないものももちろんあるのですが。
○櫻井座長 だから、基本的に全てのニッケル化合物は一遍、水溶性とそうでないものと分けて分析するというのが必要だということですね。
○菅野委員 それで、つまり、水溶性とそうでないものを分けることはできませんで、溶けたものを水溶性部分だと考えるというふうにするしかないということで、この分析法は出来上がっております。
○櫻井座長 非常に操作的な判断ですね。ですが、多分、合理性があるのだろうと思います。水溶性のほうが、そういう炎症も起こしやすいということです。かなり新しいあれですね。
 では、皆様の御意見は、この式でいくということで一致しておられるように思いますが、それでよろしいでしょうか。
(了承)
○櫻井座長 ありがとうございました。では、この式を使って管理するということで結論とさせていただきます。
 次に、測定方法なのですが、資料1-9は事務局から説明はしていただいたのでしたか。まだですね。
○中明委員 資料1-9の説明がないですが、見れば分かるからいいですけれど。
○櫻井座長 ではメモを頂いておりますので、申し上げます。資料1-9では分析方法はICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光分析方法)で精度よく測定されたことが説明されていますが、現行の分析方法である原子吸光分析方法でも0.01mg/m3の10分の1を精度よく分析できることが確認されているとの報告もありますということです。現在の分析方法はろ過捕集方法。分析は現行は原子吸光分析法になっています。それでも10分の1を精度よく分析できることが確認されているという報告もあります。
○中明委員 平成24年度の新たな云々という、それで検討したらそうなったという話でしょう。
○亀澤環境改善室長 資料1-9は昨年度委託調査を行い、これはHSEの方法を参考にして委員の方々に御検討いただいたものです。その結果、クエン酸で抽出して、ろ液になったものが水溶性ニッケルとし、それを後で引き続き処理したものが不溶性ニッケルに分かれるとなっております。併せて定量下限についても確認していただいております。今ここで座長にお話いただいたとおりですが、ここで使った分析方法はICP-AESによる分析でして、ここでは水溶性ニッケルの許容濃度の10分の1を確実に測定分析できることが確認されておりますが、実はこれは測定基準に定めのない方法ですので、そうすると測定機器に新しい負荷をかけてしまうことから、現行の原子吸光でもできるかどうかは別途検討しております。そうするとフレームレスの原子吸光は今は定量下限が0.0014mg/m3となっております。若干の0.01の10分の1よりは濃度は高いのですが、最終の液量を今は50mlにしているのですが、それを25mlに変更することによって、0.0007mg/m3と定量下限をさらに2分の1にできるので、それで10分の1を満たしていると考えたいと思っております。
○中明委員 ではいいのね。管理濃度0.1でね。
○名古屋委員 0.01です。
○中明委員 0.01にしたんだっけ。
○小西委員 水溶性は0.01。
○名古屋委員 計算式にする。
○櫻井座長 だから一番低くて0.01。
○小西委員 これ、もしこのままいくとすると、ここに書かれている図1のニッケル水溶性と分けるプロセスがありますが、これはとても大事ですよね。だからこの方法でやらなければいけないことにしておかないと駄目だということです。
○名古屋委員 そういうことです。
○櫻井座長 これが大事です。定義が難しいので、分析方法でやりましょうという話になっているのです。
○菅野委員 ですから、使う機械だけを指定したということでしょう。
○小西委員 そうです。組み合わせだけではなく、方法論をきちんと言っておかないと駄目だということです。
○櫻井座長 その点はしっかりと方法を限定する必要がありますから。
○明星委員 妥当性を検討されたのだと思うのですが、60分などこの時間が結構クリティカルだと思うのですが、その辺は大体いけるということで60分にされたわけですか。
○名古屋委員 そうですね。これは生データがあるのですが、30分から132時間まで全部やっておいて、その中で1時間という。これは菅野先生が委員長をやっている中で検討されたデータで、そこは間違いないと思います。
○櫻井座長 温度とか時間はクリティカルですね。
○名古屋委員 全部で1時間かかる。
○中明委員 どれくらいのリン速ですか。採気速度、採気流量はどれくらいですか。
○名古屋委員 攪拌しているときがね。20、37℃で溶かすときのところを決めました。
○中明委員 分かりました。クエン酸ね。クエン酸の抽出のとき。
○櫻井座長 クエン酸アンモニウム。
○名古屋委員 それから先はあまりやっても変わらなかった。
○櫻井座長 ほかに何かありますでしょうか。
○中明委員 室長が今言ったこれでやって原子吸光でも大丈夫だよ、フレームレスなら大丈夫だよということですね。50mlでなく25mlで調整すればそれぐらいいくよという話ですね。
○名古屋委員 分離方法はそこまできて、ICPの所で原子吸光を使っても大丈夫ですよと。ただ今までどおりやっていると駄目なので、液量を半分にすることにより含流できますよということだと思います。
○中明委員 これは総粉じんでいいの。
○亀澤環境改善室長 インハラブル。
○名古屋委員 ニッケルですからインハラブルです。
○櫻井座長 そうすると表現として分析方法は現行どおり原子吸光分析方法とし、同等以上の分析方法として、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光分析方法)とするという案になっていますが、それでよろしいでしょうか。
○名古屋委員 それでいいです。
○櫻井座長 大丈夫ですね。それではそのように決定いたします。次にニッケル化合物の局排の性能要件についてです。この物質は特化則の対象物質ですので、抑制濃度で示されています。現在ニッケルとして0.01mg/m3という管理濃度と同じ数値が抑制濃度としても示されているわけですが、今回新たに管理濃度を式として使用することになるので、その場合局排の性能要件を抑制濃度として示すわけで、式の計算された数値を抑制濃度とするとしてよろしいでしょうか。
○小西委員 これ、しかし実際の管理上は。結局1回測定しないと出てこないことになりますね。
○名古屋委員 そうですよね。
○小西委員 式で与えられると、現場ではやりにくいという気がします。
○名古屋委員 最初にやってもらうしかない。
○櫻井座長 変動する可能性があるのです。
○名古屋委員 それはある。
○小西委員 意味から言うと、やはりある一定の設置要件、性能要件を求めるのなら、元が変わると管理はしづらいのではないかなという気がします。
○名古屋委員 厳しいほうになってしまう。それで0.01になってしまう。
○小西委員 0.01を適用するかですよね。
○名古屋委員 パーセントが分かっていて、例えば水溶性が多ければ0.01でもいいけれど、そうでないものがあると難しい。粉状ニッケルなどを扱っている所は0.1が多くて、0.01なんてあり得ない所も抑制濃度だけで0.01を使うというと、かなりかわいそうになってくるのです。
○櫻井座長 しかし、やむを得ないのではないですか。
○名古屋委員 それでやるしかないかもしれないですね。
○櫻井座長 やはり水溶性の高いものに変更したら、それに応じて変えてもらわないと。
○名古屋委員 式上は0.01でもいいですよね。
○櫻井座長 仕方ないです。やはり合理性はありますよね。それでいくしかないですよね。では抑制濃度は管理濃度の式で表される数値とするということでよろしいでしょうか。
○安達副主任 今のニッケル化合物の御議論ありがとうございました。非常に複雑ですので、いずれにしても次回もう1回一連のものと、先ほどおっしゃった正に分析のプロセスも非常に重要ですので、そこももう一度次回報告させていただきます。
○櫻井座長 もう1回、9月に検討しますね。今日はできるところまでという話でしたが、いろいろと進みました。時間が少しありますので、今のニッケルのように議論できるところまでやっておいて、次回最終的な詰めをする方針になっております。残っている議題がベリリウム及びその化合物です。これについては次回本格的に御検討いただきますが、今日はそのテーマについて事務局から説明をしていただき、若干の議論はしておくことになろうかと思います。ベリリウム及びその化合物については、先の検討会でも議論いたしました。それについて事務局から再度検討してほしいという提案ですので、説明をお願いします。
○安達副主任 資料1-10、今、座長からいただいたとおり、ベリリウムについては平成23年度管理濃度検討会で御報告いただき、既に管理濃度は0.002から0.001に既に改正も行っております。前回の報告書の抜粋をまず御覧ください。1-5ベリリウム及びその化合物ということで、これは御承知のとおり産衛学会の許容濃度は0.02、一方ACGIHについては0.00005ということで、非常に低い値が勧告値として示されております。前回のこの検討会でもこのACGIHの値をどう取り扱うか、あるいは現場での工学対策をどうするのか。あるいは国内の取扱い事業場の実情なども御報告して、作業環境管理の指標の管理濃度については、目標値、それまでの管理濃度の値の半分ということで、0.001という形にしております。ただその中でもいろいろ懸念材料も示されまして、報告書の中では国内の製造または取扱う事業場は限られているが、ACGIHの勧告値と感作性を考慮して、ばく露をできる限り低くする必要がある。また具体的には国内で製造または取扱う事業場のうち、ベリリウムの飛散が考えられるベリリウム合金の溶解や溶接の作業においては、作業管理として電動ファン付き呼吸用保護具の使用、皮膚の露出を防ぐ作業着の着用を指導することとし、健康管理として労働者の感作性に十分考慮するよう指導することが必要であるとされました。
 下の2とありますが、管理濃度等を改正したときの解釈通達の中で、このように記載させていただきました。ベリリウム及びその化合物については、作業環境管理に係る技術水準も踏まえ、管理濃度の値を0.001に引き下げた。一方、ベリリウムの感作性による労働者への健康影響に十分留意することが必要であることから、ばく露の可能性の高いベリリウム合金の溶解や溶接の作業を行う事業場においては、できる限りベリリウムのばく露量を抑えるためベリリウムの濃度等を踏まえ、労働者に電動ファン付き呼吸用保護具、皮膚の露出を防ぐ保護衣等の有効な保護具を着用させるとともに、ベリリウムの感作性による労働者への健康影響を定期的に確認させるよう指導することというように、こういうような指導も併せ技で行う形にして参りました。ですから現状はこういう管理濃度を引き下げることとこういう指導を行っていますが、一方で前回の議論でもありましたとおり、非常にACGIHなど低い勧告値もありますので、今は当面こういう指導ですが、今後は例えば関連規則で規制する範囲はどこかなど、そういう御議論が必要ではないかと考えております。前回、国内の取扱い事業場の実態も御報告しましたが、時間も経っておりますので、できれば次回、現状の国内のベリリウム事業場の状況なども御紹介しながら、現場での管理のあり方をどのように規制すべきかを再度是非、御議論いただきたいということで、今回御紹介させていただきました。
○櫻井座長 何か御質問等がありましたらどうぞ。
○名古屋委員 濃度は変えないのですよね。濃度はこのままで、変える可能性はあるのですか。
○安達副主任 前回の御議論ではなかなかこれ以上値を下げるのは難しいということもありましたので、場合によっては前回の報告書に書いてある作業管理のようなところを少し規則の上で規制にするなど、そういう併せ技も含めて御議論いただきたいと考えております。
○明星委員 例えばインジウムの管理などでは、電動ファン付き呼吸用保護具でいいですと言い切ってないですよね。防護係数。この場合電動ファン付き呼吸用保護具でいいくらいの濃度であるという前提がないと、例えばインジウムなどの作業管理と齟齬を来たすというようにも見えますけれども。今の話はそういう意味ではないのですか。
○安達副主任 インジウムのときも御議論がありましたが、こういう管理濃度が低くなってくるのと工学的対策とのバランスの中で、インジウムはあのような形で作業管理、防護係数での管理をしたということです。ベリリウムの場合はあのようなインジウム方式も踏まえつつ、どうするかを前回の報告書の中も踏まえながらもう一度御検討いただきたいなというところです。
○小西委員 仮にACGIHのこの濃度にするということになると、分析とかそちらを考えないと、これだけ下がってくると難しいのではないですか。もしこれを採用するとなると今の方法ではできないのではないですか。
○松村委員 そうですね、0.00005。
○名古屋委員 この前は多分0.002にしようか、それとも0.005にしようか、あるいは現状のところの中で一番、もともと管理濃度の正しい、要するにその濃度で疾病が出てこない最低限の濃度でいきましょうという形で、塩化ビニルのときに小西先生がやられたような形で本来的に、工場で一番できる管理をしている所で疾病が出てこなかったらそれでいいでしょうという形で0.001に決まった経緯があると思います。だからやはりそこは守ってあげないと本来的な形の一番現場で疾病が起こっているわけではない所に対して、また下げてくることになると、もう現場としては対応できませんね。要するにベリリウム自体がもう作れなくなってしまいますねという、その管理のところはこうだと思いました。
○松村委員 ベリリウムの有害性はアレルギー性もあるかもしれません。もっと長期の毒性もあるわけでしょう。
○名古屋委員 はい。
○松村委員 でも、そういうのはすぐには分かりませんよね。
○名古屋委員 いや、この会社はずっとやっていますから。
○松村委員 幾つも会社はないのですよね。
○名古屋委員 1社しかないです。
○小西委員 その会社がやっていた計測した濃度で大体それを参考にしてやったのですよね。管理できるだろうということで。
○名古屋委員 要するに0.02でなく、一番管理できるところでやると、ここまででしょうということです。もう1つは会社自体がクローズの中でやっていますので、一切外に出てこない。二重構造の工場になっていて、そこでやった人たち全部すべて脱いできています。それからマスクも全部洗浄しています。それで出てきているので、そこでクローズになっていれば、外に出てこないからそこで管理できる最低濃度にしなかったら、工場そのもの自体はやっていけないねという話になっている。ただそうは言っても、ベリリウムを多く含んでいるところのもので、規制がかからないところの中で、やはりベリリウムが出てくることがあるので、やはり溶接などで出てくるので、そのときは電動ファン付きを必ずしてもらって、そこで起こっていることを防ぐ形でプラスアルファとして電動ファン付き呼吸用保護具を付けてくださいよとお願いしたところになっているのだと思います。
○櫻井座長 それを規制の内容にもう含めてしまうかどうかことになる。
○松村委員 溶接作業などではベリリウムが成分として含まれているということは、作業者は分かっているのですか。
○名古屋委員 使っている所は分かっています。
○松村委員 分かっているのですか。
○名古屋委員 使っている所はそれほどないです。でもこれは業界として今までは何もないので、電動ファンにしてくださいよという業界からの多分要望がこちらにきているのだと思います。だからベリリウムのように、では濃度に応じてクライテリアを付けるかというと、そこはどうなのだろうか。
○亀澤環境改善室長 すみません、先ほど松村先生がお話になった事業場ですが、前回の管理濃度検討会のときに資料としてお配りしたものを見ておりますが、本当に少ない事業場ですが、溶解などの作業を行っている事業場は4事業場です。それも頻度はささまざまですが、1か月に3日やるなど、そのような頻度でやっているという報告がきており、測定をしている測定結果は前の管理濃度の0.0002、その値であるという報告がありました。
○松村委員 ありがとうございます。0.0002ですか。
○亀澤環境改善室長 0.0002です。
○松村委員 そうするとその作業場では、電動ファンも要らないという状況ですよね。と思っていいのですか。さらにマスクをするのですか。
○名古屋委員 電動はしています。
○松村委員 していますか。
○名古屋委員 しています。
○櫻井座長 0.0002でもACGIHの0.00005よりは高いですね。
○松村委員 よりは高いですよね。
○櫻井座長 だから電動ファン。
○松村委員 電動ファンを使えば、100分の1ぐらいはいくと期待したいのですけれども。
○櫻井座長 特化則などでは許可制というのもありますね。そういうことを考える必要はないのですか。
○亀澤環境改善室長 許可制ですか。
○櫻井座長 たった4つだから。ボツにしたって同じようなものでは。
○中明委員 なかなか難しいのではないですか。
○櫻井座長 そこまで考える必要はないのかもしれませんが。可能性としては禁止、許可、それから普通の規制と3種類あるなと頭にあるのですが。
○小西委員 そこまで考えると今、管理濃度は将来的に3か月測定の中にばく露濃度測定が体系化されて入ってきたときであれば、結局長時間のサンプリングしますから、その分だけある程度濃度を下げていくことができるのだと思います。そういう方法論との兼ね合いも今後の行政の持っていき方にも関係してくるのかなと。これだけになってくるとそういう方法をやはり選択しなければいけないのかもしれないという気がしますけれども。
○櫻井座長 そんなところで今日はよろしいですか。次回にまた若干資料の追加もあるかと思います。それを踏まえて御議論いただくことで、今日のところは議題2はこれで終ります。議題3のその他ですが、事務局は何かありますか。
○沖田係長 1点だけ、次回の日程は9月頃を考えていますが、日程調整は後日御案内させていただきます。
○櫻井座長 はい、分かりました。では日程調整の結果で多分9月頃ということですが、その折はまたよろしくお願いします。以上で今日の検討会を閉会とします。どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。


(了)

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