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2013年7月30日 第1回 積立金基本指針に関する検討会議事録
年金局
○日時
平成25年7月30日(火) 9:30~11:30
○場所
全国都市会館3階 第2会議室
東京都千代田区平河町2-4-2
○出席者
米澤 康博 (座長) |
浅野 幸弘 (委員) |
臼杵 政治 (委員) |
小島 茂 (委員) |
川北 英隆 (委員) |
山崎 泰彦 (委員) |
○議題
(1)検討会について
(2)積立金基本指針について
(3)各運用主体の資金運用の現状について
(4)その他
○議事
○森大臣官房参事官 おはようございます。事務局の資金運用担当参事官の森でございます。小島先生ちょっと遅れておりますが、定刻になりましたので、ただいまから、第1回の積立金基本指針に関する検討会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参集いただきましてありがとうございます。
本日は、第1回の検討会になりますので、初めに委員の皆様の御紹介をさせていただきます。
浅野幸弘先生。
臼杵政治先生。
小島先生、遅れております。
川北英隆先生。
米澤康博先生。
山崎泰彦先生。
以上6名の先生でございます。よろしくお願いいたします。
また、オブザーバーといたしまして、財務省大臣官房参事官の堀田参事官。
総務省自治行政局公務員部の藤原福利課長。
文部科学省高等教育局私学部私学行政課の渡部私学共済室長に御出席いただいております。
また、本日は厚生年金、国家公務員共済、地方公務員共済、私立学校教職員共済の資金運用の現状につきましてヒアリングを行うため、各団体の方々から御出席いただいています。
国家公務員共済組合連合会 其田総務部長、長谷川資金運用部長。
地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長。
日本私立学校振興・共済事業団 酒井資産運用室長でございます。
あと、GPIFのほうでございますけれども、青木審議役、清水調査室長でございます。
続きまして、事務局のほうも簡単に紹介させていただきます。
年金局長の香取でございます。
総務課長の八神でございます。
数理課長の山崎でございます。
また、本日、年金課長の度山が欠席のため、企画官の成松が代理で出席しております。
カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
小島委員、いらっしゃいました。御紹介させていただきます。委員の小島茂様でございます。
○小島委員 すみません、遅れまして申し訳ございません。
○森大臣官房参事官 では、議事に入らせていただきます。まず最初に配付資料の確認でございますが、議事次第ございまして、こちらに配付資料の一覧がございますので、御参考にしながら確認をお願いします。
資料1 積立金基金指針に関する検討会(開催要綱)
資料2 積立金基本指針に関する検討会の議事等の公開について(案)
資料3-1 一元化後の積立金の運用について
資料3-2 一元化後の積立金の運用状況の公表・評価等について
資料4 積立金基本指針の概要
資料5 厚生年金の積立金の運用について
資料6-1 国家公務員共済制度について
資料6-2 国共済の年金資産運用
資料7-1 地方公務員共済制度の概要等
資料7-2 地共連の年金資産運用
資料8 私立学校教職員共済の年金積立金運用について
参考資料1 参照条文
参考資料2 年金積立金管理運用独立行政法人中期目標
参考資料3 年金積立金管理運用独立行政法人中期計画
参考資料4 管理運用方針(年金積立金管理運用独立行政法人)
参考資料5 積立金等の運用の基本指針(国家公務員共済組合連合会)
参考資料6 長期給付積立金に関する基本運用指針(地方公務員共済組合連合会)
参考資料7 長期勘定の積立金等の運用に関する基本方針(日本私立学校振興・共済事業団)
たくさんの資料でございますが、もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入らせていただきます。
初めに、この検討会の目的等につきまして私から御説明させていただきます。
資料1「積立金基本方針に関する検討会(開催要綱)」というものでございます。
被用者年金制度につきましては、現在サラリーマン、公務員、私学教職員という形で分かれておりますが、これは被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律、これは昨年8月に成立いたしましたが、これによりまして、平成27年10月から一元化されることになります。その資金運用につきましては、各団体のほうで引き続きやっていただくことになりますけれども、同法におきまして、主務大臣は積立金の管理及び運用が長期的な観点から、安全かつ効率的に行われるようにするための基本指針、これを「積立金基本指針」と申しておりますが、これを定めるものとされております。この案につきましては、厚生労働大臣のほうで作成することになりますので、積立金基本指針に規定すべき事項を検討するために、厚生労働省年金局長が有識者皆様の参集を求め開催するものでございます。
積立金基本指針につきまして、法律で定める事項としまして4点ございます。
1 積立金の管理及び運用に関する基本的な方針。
2 積立金の資産の構成の目標(以下「モデルポートフォリオ」という。)に関する基本的な事項。
3 積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき事項。
4 その他積立金の管理及び運用に関する重要事項。
運用に係ります年金一元化につきましては、先ほど申しましたように、平成27年から施行されますが、この積立金基本指針の策定後、管理運用主体のほうで、さらにモデルポートフォリオをつくりまして、その後、個々の団体でそれぞれの管理運用方針をつくっていただく作業がございますので、大体この検討会につきましては今年度中に御議論をおまとめいただくよう考えております。
構成員につきましては、御紹介したとおりでございまして、別添につけております。
運営につきましては、先ほど申しましたように、年金局長の検討会として開催いたしまして、庶務につきましては、関係行政機関の協力を得まして、私ども年金局総務課で行うこととしております。
今の説明につきまして、御質問などございますか。
ないようでしたら、続きまして、今回は第1回の会議でございますので、座長を事務局からお願いさせていただきたいと考えておりますが、事務局といたしましては、米澤先生にお願いいたしたいと思いますが、皆さんよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○森大臣官房参事官 ありがとうございます。
それでは、米澤委員に座長を務めていただきたいと思います。米澤委員、座長の席への移動をお願いいたします。
(米澤委員座長席へ移動)
○森大臣官房参事官 これからは、米澤座長のほうに、司会進行をお願いいたしたいと思います。
○米澤座長 僣越ですが、改めまして米澤です。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま森参事官のほうから御説明がありましたとおり、法律はできておりますが、まだ細部に関しましては全く決まってないというか、積立金に関しましても細部のところは決まってないということで、そこに関して詰めるということをミッションとして理解しております。幸いなことに、この分野、最適な方にお集まりいただきましたので、大船に乗ったつもりで、かつ、いい意味での調整役に徹したいと思いますので、よろしく御自由に御議論いただければと思っております。
それでは、議事を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。
まず、この検討会の議事等の公開に関しましてですが、事務局から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○森大臣官房参事官 資料2でございます。「積立金基本指針に関する検討会の議事等の公開について(案)」でございます。内容でございますが、積立金基本指針に関する検討会の会議及び議事録は原則として公開とする。ただし、各種の市場に影響を与えるおそれがある場合等必要があると認められる場合には、座長は、会議及びその資料並びに議事録の全部又は一部を非公開するとすることができる。
なお、議事録の全部又は一部を非公開とする場合には、座長は、非公開とした部分について、議事要旨を作成し、これを公開するものとする。
ということでございまして、できましたら、これを検討会申し合わせということで考えております。
○米澤座長 いかがでしょうか。そういうような取扱いでよろしいでしょうか。原則公開ということですね。
(「はい」と声あり)
○米澤座長 そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、次の議事に移りたいと思います。本検討会においては、積立金基本指針について御議論いただくことになっておりますが、本検討会を開催するに至った経緯等につきまして、改めて事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
○森大臣官房参事官 資料3-1でございますが、まず「一元化後の積立金の運用について」ということで、仕組みについて御説明させていただきます。参考資料のほうに条文等もございますので、適宜ごらんいただければと存じます。
先ほど申しましたように、被用者の年金積立金につきましては、現在GPIF、国共連、地共連、私学事業団等で運用していただいているところでございます。一元化後につきましては、その大枠としまして、積立金の基本指針を定めることになっております。被用者年金積立金全体の運用の仕組みでございますが、主務大臣(厚生労働大臣+共済所管3大臣)は、共同で積立金基本指針を定めることになります。
もう一つ、被用者年金積立金の大きな枠組みとしまして、管理運用主体でございますGPIF、国共連、地共連、私学事業団が、この指針に適合するように、共同で、資産構成の目標、先ほど申しましたモデルポートフォリオでございますが、これを作成・公表することになっています。
それを受けまして、運用主体ごとに、積立金基本指針に適合し、モデルポートフォリオに則してそれぞれの管理運用方針を定めまして、それぞれの所管大臣の承認を得るというのが共通の仕組みとして定まっております。
これが事前にする関与でございまして、資料3-2でございますが、「一元化後の積立金の運用状況の公表・評価等について」に記載しております。
事後の関与につきましては、〔所管大臣による管理運用主体の業務の改善等の仕組み〕ということでございまして、仮に管理運用主体の積立金の管理運用状況が、御審議いただきます積立金の基本指針等に適合しない場合等におきましては、所管大臣、これはそれぞれの大臣(厚生労働大臣、財務大臣、総務大臣、文科大臣)が必要な措置命令を行うことになっております。
公表につきましては、基本は管理運用主体ということでございまして、管理運用主体は各事業年度の決算完結後、当該事業年度の業務概況書を作成・公表し、所管大臣に送付し、所管大臣は、各管理運用主体の積立金の管理及び運用の状況等につきまして評価を行い、その結果を公表することになっています。
ただし、被用者年金の共通の財源となる積立金全体につきましても、これは運用状況の公表・評価ということが重要でございますので、4主務大臣は、毎年度、積立金の管理・運用に関する報告書、これは主務大臣でございますので、厚生労働大臣と共済3大臣が共同で作成し公表することになっております。
また、報告書で評価するわけでございますが、仮に管理運用主体の管理積立金の管理運用の状況が、御審議いただきます積立金基本指針に適合しないと認められる場合におきましては、所管大臣(厚生労働大臣、財務大臣、総務大臣、文部科学大臣)に対して、4大臣のほうで必要な措置をとるよう求めることができるというのが、法的な仕組みになっております。
資料4に移らせていただきます。「積立金基本指針」というものはどういうものかということにつきまして、私どもが法案段階でいろいろ説明した内容につきまして書いてございます。一元化法におきます改正後の厚生年金保険法第79条の4におきまして、主務大臣は、積立金の管理及び運用が長期的な観点から安全かつ効率的に行われるよう基本指針を作成することとされておりまして、1~4の事項が法律で定めた事項になっております。
1 積立金の管理及び運用に関する基本的な方針
2 積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項
3 積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき事項
4 その他積立金の管理及び運用に関する重要事項
そこで、想定している内容としましては、1基本方針につきましては、厚生年金全体の積立金の運用ということでございますので、基本理念としましては、積立金の運用は、専ら被保険者のために長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、年金事業の運営の安定に資することを目的として行うこと。あと、年金財政の実質的な運用利回りを確保して行うこと等が想定された事項でございました。
2管理運用主体が定める厚生年金全体のモデルポートフォリオをどのように定めるか。基本的な事項としましては、財政検証における経済前提として設定される実質的な運用利回りを達成すること。モデルポートフォリオ理論に基づきまして作成すること。あと、市場運用以外にも共済各法の目的に沿った運用が認められておりますけれども、このような独自運用の取り扱いにつきまして、ポートフォリオ上どのように考えるかというところが想定されたところでございます。
3管理運用主体が遵守すべき事項につきましては、これはどの程度書くかという話でございますが、各運用主体がモデルポートフォリオを踏まえて基本ポートフォリオを策定すること。市場や民間活動への影響に配慮すること。議決権行使、株主行動等でございます。あとは流動性の確保に留意すること。運用実績の公開。運用実績の評価方法をどのようにするか、その記載等でございます。
4その他事項で重要なものとしましては、仮にモデルポートフォリオに対しまして、それぞれの管理運用主体のほうで、移行するとしましたら、移行ポートフォリオの策定、独自運用につきまして、一体どのような形で金銭等を評価するか。その評価方法などにつきまして検討事項として挙がるのではないかと想定していたところでございます。
積立金基本指針につきましての概要は以上でございます。
○米澤座長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、質問等がありましたらば、お願いしたいと思います。どうぞ、小島委員。
○小島委員 冒頭、遅れて申し訳ございません。基本的なところです。今回、積立金の基本指針をつくるときの範囲についてです。厚生年金の2階部分の報酬比例部分のところということですが、共済年金の3階部分である職域部分の過去の積立分については基本指針の中に含まれるのかどうか。一元化するので、新制度では共済年金の3階部分は公的年金から外れますが、過去の積立金の中には3階部分も含めて運用してきたと思います。その部分の扱いはどうするのか。それも含めて基本指針の対象にするのかどうかという基本的なところです。
○森大臣官房参事官 今回の一元化につきましては被用者年金の一元化でございまして、この法律の概要でございますけれども、これまで公務員、私学教職員につきましても、これは厚生年金の方に今後加入していただくというものでございます。今、御質問のあった検討の範囲でございますけれども、共済については1、2階部分。また、GPIFにつきましても国民年金も運用しておりますが、国民年金を除いた厚生年金の部分ということで法律上定められております。
○米澤座長 よろしいでしょうか、そういうことです。
○小島委員 はい。
○米澤座長 ほかにいかがでしょうか。浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 基本指針を議論するに当たって、基本指針がどの程度各団体に対しての拘束力を持つものなのか。かなりきついしばりになるのか、自由度がかなり認められるのか。そのあたりはここで議論されるのでしょうか。それともある程度めどが立っているのでしょうか。というのは、こういう運用で、これがいいとか、これしかないというようなものはとてもないと思うからです。むしろ運用だからいろんな見方があり、そうしたものが市場に出てきて、マーケットの中でこなされていくのではないでしょうか。相当な自由度があってもいいと思うのですが、例えばモデルポートフォリオがどの程度の位置づけになるのか。そのあたりは、これから議論していくのでしょうか。ある程度の何かお考えがあるのでしょうか。
○米澤座長 先に森参事官のほうから。
○森大臣官房参事官 まず法律上の話をさせていただきます。参考資料の「参照条文(一元化法施行後の厚生年金保険法関係)」、横長のものをご覧頂きたいと思います。そこでめくっていただきまして、4ページでございますけれども、七十九条の六ということでございまして、管理運用主体は、「積立金基本指針に適合するように、かつ、前条第一項に規定する積立金の資産の構成の目標に即して、管理及び運用の方針を定めなければならない」ということでございまして、先ほどちょっと御紹介しましたけれども、七十九条の七でございますけれども、所管大臣は「当該管理積立金の管理及び運用の状況を積立金基本指針若しくは当該管理運用の方針に適合させるための必要な措置をとることを命ずることができる」とございますので、まず1つ、ここで御議論いただきます積立金の基本指針につきましては、これは管理運用主体のほうで適合するように管理運用方針を定めていただかなければなりませんし、また、それに適合するような形で運用していただかなければならないという形で法律で決まっております。
ただし、もう一つ、ポートフォリオにつきましては、そもそも参酌すべき資産構成の割合という形になりますので、そこのところは、参酌すべき資産構成割合に即して各運用団体のほうで、これは自律性・自主性というのもございますので、勘案して定めていただく、そのような法律のたてつけになっております。
○米澤座長 おわかりになりましたか。
○浅野委員 わかったような、わからないような感じがしないでもないですけれども、解釈によってはかなり弾力的にできるということでしょうか。そのあたりはここでも議論されるという理解でよろしいですか。
○米澤座長 はいというか、ここで議論というか、基本的にはモデルポートフォリオは1つですね。それに即して各々のところで、窓口といったらおかしいですけれども、つくることになると思いますし、その辺のことは、法律ではもちろん書かれていますけれども、それに関する細かなところはここで議論していきたいと思います。最終的には各々のところで、それに即して定めるということですね。
ただ、今回はまさに一元化されるわけですから、GPIFにしても、共済にしても、今までは固有の負債項目があったわけですが、そこに関しては一元化する、融通するということですので、個別の負債はなく共通の負債のみがあるということの理解だと思います。だからといって、1つ同じものを決めなくてはいけないということではなくて、現に現在でも各アセット側では随分いろんな固有のものを持っていらっしゃいますね。ですから、そういうものの制約もありますので、そういうところは十分に考慮に入れて、ということを認めるということになると思います。
○小島委員 今のところとの関連ですが、モデルポートフォリオは、被用者年金部分、共済年金の2階部分までとなれば、3共済の管理運営主体は厚生年金2階部分のモデルポートフォリオに沿った運用方針をつくることになる。では、今までの3階部分(職域部分)は別の運用をするのか。そこは3共済の管理運営主体で一緒にモデルポートフォリオを踏まえた運用方針で運用するのか。3共済の管理運用主体に任されるということなのか。
○米澤座長 基本的には別というふうな理解でよろしいですね。
○森大臣官房参事官 さようでございます。
○浅野委員 今の小島さんの質問に関してですが、3階部分というのは旧3階と新3階があるのですが、それは1、2階部分とは全く性質が違いますね。そうすると同じような運用ということはあり得ないし、勘定も別になるわけだから、組織的にも別に運用してもらう必要があるのではないかと思うのですが、地共済、国共済などに対して、きちんと分離して運用してくださいと、こういう注文を出すことになるのですか。
○米澤座長 その理解でよろしいと思いますし、改めてここで検討するのは3階のところではなくて1、2階の主に2階のところです。
○浅野委員 3階部分については関与しないで勝手にやってくださいということですね。
○米澤座長 ここの検討の場ではないということで、よろしいでしょうか。勝手に言っているので、ちょっと語弊がありますけれども、そこに関してはライアビリティはみんな違うわけですので、そこに関してはそこで適切に決めていただくという理解だと思います。よろしいでしょうか。ほかによろしいですか。臼杵委員。
○臼杵委員 今のところと関係あるのかどうか、よくわかりませんけれども、2つ質問なんですが、1つは、モデルポートフォリオを決めた場合に、先ほどの参事官の御説明された法律の七十九条の五にありますように各運用機関は「参酌すべき」ということなのかどうか。逆に参酌していると言ってしまえば、どうやってもいいのか。何らかのしばりを当然ながらする必要があるのではないかと思うんですけれども、縛りをかけるかをここで議論していくという理解でいいのかどうかということですね。
2点目は、それと関連する面もあるのですが、どういうふうにしてモデルポートフォリオを決め、もし参酌した各共済のポートフォリオにしばりをかけるとしたら、その基準はどのようにお考えになっているのか。先ほど米澤先生から、負債というお話もありましたけれども、ここの資料4にもいろいろなことが書いてありますが、特に2のMPTに触れたところ、モデルポートフォリオをつくり、各共済のポートフォリオにそれが適当かどうかということにしばりをかけて判断すると場合にどういう手法を用いるかについては、資料4の2に書いてあることは1つの例であって、その縛りの内容もまたここでこれから議論していくと、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○米澤座長 森参事官。
○森大臣官房参事官 御指摘いただいた内容でございますが、先ほど積立金基本指針の概要で御説明させていただきましたけれども、まず法律が定める4つの項目のうち、2につきましては、モデルポートフォリオに関する基本的な事項ということでございまして、モデルポートフォリオをどのような内容で定めるかにつきまして、まさにこの検討会で御議論いただきたいという話でございます。
また、3のところで、積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき事項ということでございまして、先ほど例示いたしましたが、各運用主体がモデルポートフォリオを踏まえて基本ポートフォリオを策定することと例示させていただきました。なので、モデルポートフォリオと各運用主体が遵守すべき事項との関係につきましても、この検討会で御議論いただければと考えております。
○米澤座長 その辺が主要なテーマになるかと思います。川北委員、どうぞ。
○川北委員 それにも関係しますが、資料3-2の5に、主務大臣は、評価を行って、基本指針に適合しないと認めるときは、必要な措置をとるよう求めることができる、とあるのですけれども、何を適合しないと認めるのか、どういうふうな評価を行うのか、この点は、この検討会の検討事項になるのかどうか。もしくはこれらの評価の方針とか、そういったものに関しては、それぞれの主務大臣に任されるのか、以上に関して教えていただければと思うのですけれども。
○森大臣官房参事官 法律上のたてつけでございますが、まさに先生、御指摘いただきました5の主務大臣が評価する場合の規範、ノルムというものが積立金基本方針でございますので、ここの精粗なり具体的な内容がまさに主務大臣が評価する場合の基準になるということでございます。
○川北委員 そのときに、これは資料3-1の1に、積立金基本指針として、長期的な観点から安全かつ効率的にと書かれているのですけれども、長期という意味が毎年毎年なのか、もっと細かに見るのか、逆に3年もしくは5年といった観点で評価していくのか。もっと言うと、年金なのでもっと長期でいいのではないか、10年ぐらいの視点で見るべきではないのか、そういう意見も十分にあり得ると思うのですけれども、この点は、検討会の議論に委ねられているのかどうか、追加でお伺いしたいのですけれども。
○米澤座長 森参事官。
○森大臣官房参事官 まず、年金積立金の運用目的、被用者年金の関係でございますけれども、法律上は年金事業の安定化ということでございまして、これは釈迦に説法でございますけれども、最終年度が大体1年ぐらいの積立金の額になるよう、100年間で大体取り崩していくような形の財政計画を基本としまして運用を行っておく、これが法律上の目的でございます。
あと、評価の方法につきましては、法律上、毎年度、管理運用主体のほうで公表、もしくは主務大臣のほうで作成・公表という形になっておりますので、評価の時点としましては毎年度行う。ただし、具体的な内容につきましては、長期的な観点を踏まえまして評価していくという形になろうかと存じております。
○米澤座長 わかりましたというか、そこのところは、仮に我々のミッションだとしてもなかなか決めることは難しいかと思いますが、1つは、社債の運用などに関して、例のBBB以上とか、そういうところがむしろ具体的に入ってくるのかなという感じを私は思っていますけれども、いずれにしても、この辺のことに関しても、後半というか、何月ごろになるかわかりませんけれども、議論させていただくことになるかと思います。
この後、いろいろ差し迫っているんですけれども、浅野委員、最後に。
○浅野委員 この4つの団体が運用するという、そもそもの趣旨なのですけれども、それは既存の運用主体、組織を活用するということだったと思うのですが、基本的な考え方として、それはお互いに競争するような形で運用してもらうという趣旨なのか、単に組織を温存するためにやっているのか。それから、スタートした後、資金はそれぞれどういう範囲の資金を分担することになるのですか。すなわち、モデルポートフォリオから外れて競争を促進するのか、あるいはそういうことは考えてなくて、ただ、これまでこうだったから、それぞれの分担の部分を運用しなさいというだけなのか。そのあたりの根本的な考え方はどうなのでしょうか。
○米澤座長 それは法律のたてつけで、森参事官にお願いしましょう。
○森大臣官房参事官 資金運用主体につきましては、既にGPIF、国共連、地共連、私学事業団等がございまして、ここは運用だけではございませんで、保険料の徴収、これは医療保険等も含めて行っておりますので、効率性の観点から、この団体を生かしていく。当然、今まで運用していますので、いろいろノウハウ等もございます。そういうものを生かしつつ、一体としまして被用者年金につきまして運用していくという形のたてつけになっております。当然その中では切磋琢磨していくことは考えられます。
もう一つ、財産的な面でございますけれども、各運用主体につきましては、1、2階部分と3階部分の切り分けということでございまして、大体4.2年分の積立金が厚生年金と同じように残る形で、共通の被用者年金の財源として切り分けられるというものでございます。
○浅野委員 そうすると、今、ある部分についてはそれぞれ運用するということで、それは理解できるのですけれども、新しく入ってくる保険料とか拠出の部分もそれぞれの構成員の部分だけを担当するということになるのですか。
○米澤座長 運用に関して。
○浅野委員 例えば地共済のグループであったら、地方公務員の分をこれからも保険料が入ってきたら、その分は運用するということなのですか。もし切磋琢磨して競争するというのだったら、その資金の移動があってもいいように思うのですが、そういうことは考えてないということですか。
○森大臣官房参事官 財政的には、各資金につきましては、共通の被用者年金の年金給付のための財源という形になりますので、経過期間が過ぎた後につきましては、保険料から応能主義という形で、各資金から徴収をすることになっております。
まさにそれぞれの積立金が共通の被用者年金の財源となるということで、その一体性をどのように確保するかということで、このような積立金基本指針を定めるという形に至ったところでございます。
○米澤座長 山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 今、浅野委員が御指摘なさったことはとても重要だと思うのですが、既存の組織を活用しながら効率的な運営を行っていくことも基本にあるのでしょうが、もう一つには、お互いに切磋琢磨する競争的な関係をつくるということに加えて、運用リスクを分散するという意味もあるのではないかという気がいたします。短期的には運用の成果に若干の違いは出てくるはずですけれども、長期的に見ればそれは分散するという積極的な意味があるというふうにも考えられると思うのですが、いかがでしょうか。
○米澤座長 極端な例としては、全部GPIFにお願いしてというのが1つ案としてあったわけですけれども、それと比べて今のところで、財布は同じなんだけれども、各主体で運用するということになって、結局そちらのほうがとられたということで、いろいろ解釈の点は幾つかあろうかと思いますが、今、山崎委員がおっしゃったことが私は根本にあると思っております。それはGPIFがだめだということではなくて、仮に1つに集めたときには考えてもいなかったようなリスクがあり得なくもないので、そこのところは分散して、その上に、浅野委員がおっしゃったように、競争という言葉が入ってくるかどうかは、私も確かではないんですけれども、当然いやが応でも、競争に近いような状況は想定されますので、それはいい意味で活用していく必要があるかなと。ただ、それでもってハイリスクにならないようなところは十分注意しながら、いろんな面で個別にやっていくほうが効率的かなということが反映されているのではないでしょうかということです。
○小島委員 今の関連ですが、山崎先生が御指摘されたことです。今回の被用者年金一元化法の前に一度法案が廃案になったときも議論があった。積立金運用をどうするか。厚生年金に一本化するのだから、運用主体を一本化すべきではないかという議論もあったが、そのとき、私は、今、山崎先生がおっしゃったように、運用のリスク分散という観点から、既存の組織を活用して運用していく。しかし、運用指針については共通のものをつくるべきだと発言してきた。そういう議論の経過がありますので、今回の既存組織の活用ということになっていると思っております。私はそのように理解しています。
○米澤座長 この辺は、確かに最初のところでクリアにしておく必要があるかと思いますけれども、まだ次回以降、議論する場はあると思いますので、きょうはせっかく各共済、GPIFさんにお集まりいただいておりますので、まず我々の知識を確認するということでヒアリングのほうに入りたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
それでは、最初に、厚生年金の積立金運用について、年金積立金管理運用独立行政法人より御説明をお伺いしたいと思います。所定では15分ぐらいになっていますけれども、もう少し短ければうれしいという格好で、とりあえずお願いしたいと思います。
○年金積立金管理運用独立行政法人 青木審議役 年金積立金管理運用独立行政法人の審議役の青木でございます。それでは、お手元の資料5を使いまして、厚生年金の積立金運用について御説明申し上げます。
1ページをお開きいただきまして、厚生年金、国民年金の積立金につきましては、厚生労働大臣から寄託を受けて、年金積立金管理運用独立行政法人が管理・運用を行っております。
当法人は、平成18年4月に設立されまして、役職員は本年3月末現在で理事長のほか、理事1名、監事2名、職員72名となっております。
運用方法は、信託銀行及び投資顧問会社に運用を委託しているほか、国内債券の一部と短期資産を自家運用しております。
また、基本ポートフォリオを含む中期計画の審議、年金積立金の管理・運用業務の実施状況の監視などを任務とする運用委員会が設置されておりまして、委員は経済、金融の専門家等の学識経験者から厚生労働大臣が任命しておりまして、現在の委員は資料記載のとおりでございます。
2ページの運用の基本的な考え方でございますが、厚生年金保険法、国民年金法等の規定によりまして、年金積立金は、将来の年金給付の貴重な財源であり、専ら被保険者の利益のために運用することとされており、長期的な観点から、安全かつ効率的に運用を行っております。なお、厚生年金保険法等の規定の内容につきましては、5ページをごらんいただきますと、その一番上にも記載してあるところでございます。
ついでにこの5ページを申し上げますと、真ん中の中期目標、中期計画についてもごらんいただきたいのですけれども、厚生労働大臣は5年間の業務運営の「中期目標」を設定し、管理運用法人がこれを達成するための「中期計画」を定めております。現在は、平成22年度~26年度までの第2期でございます。
中期目標では、運用目標を定めるとともに、年金積立金の管理運用に関する基本的な考え方が示されております。
2ページに戻っていただきまして、当法人は、中期目標等に基づき「国内債券中心」、「インデックス運用を中心」、「ポートフォリオ全体のリスクを抑制」などの考え方により運用を行っております。
当法人が運用する年金積立金は、24年度末で約120兆円でございます。年金財政との関係からは長期的には賃金の伸びに対する実質的な運用利回りの確保が求められております。
運用の仕組みは右の図のとおりで、独立行政法人のスキームということで、各年度及び中期計画期間ごとの実績につきましては、厚生労働省独立行政法人評価委員会による評価が行われております。
基本ポートフォリオにつきましては、中期計画の中に含まれておりまして、法人が策定をいたします。なお、基本ポートフォリオを含む中期計画につきましては、その変更も含め、厚生労働大臣の認可が必要でございます。平成25年6月7日に変更した直近の基本ポートフォリオは資料のとおり、国内債券60%、国内株式12%などとなっておりまして、それぞれの資産について乖離許容幅も定められております。
国の特別会計にある部分を含んだ年金積立金全体の運用実績につきましては、自主運用が開始された平成13年度から23年度までの累積収益額が約25兆円でございまして、収益率につきましては、名目賃金上昇率を2.2%を上回り、これは厚生労働省が示している財政検証上の前提を上回っております。
次に3ページの中期目標と基本ポートフォリオの関係でございますが、1は厚生労働省において設定されてきたものでございます。平成16年財政再計算の前提では、平成21年度以降は物価上昇率と実質賃金上昇率の和である2.1%と名目運用利回り3.2%との差に当たる1.1%が実質的な利回りとされました。21年度以降における運用実績が年金財政に与える影響の評価をする際には、1.1%と実質的な運用利回りの実績を比較することが適当であるとされたところでございます。
平成21年財政検証の前提におきましては、右側ですが、平成31年度までは別途の数字が設定されておりますが、32年度以降は、名目運用利回り4.1%、実質的な利回りは1.6%とされております。
次に4ページ2.中期目標と基本ポートフォリオということになりますが、平成18年度から21年度までの第1期中期目標期間につきましては、1のところで申し上げました考え方に立って、運用の目標については、「年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを確保するよう、長期的に維持すべき資産構成割合を定める」こととされ、ポートフォリオの策定につきましても、「年金財政上の諸前提と整合的なものとなるよう策定すること」とされまして、「年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを確保するような資産構成とすること」とされたところでございます。
このような中期目標を踏まえて、第1期中期目標期間につきまして、左下の基本ポートフォリオを策定いたしました。
次に平成22年度から26年度までの第2期中期目標期間につきましては、この当時、政府において、年金制度の抜本的な見直しが予定されていたことなどから、運用目標につきましては、右側のほうにございますように、「暫定的なものであることに留意し、安全・効率的かつ確実を旨とした資産構成割合を定める」こととされました。このため、第1期中期計画における基本ポートフォリオについて、更新したリスク・リターンデータを用い、引き続き安全・効率的かつ確実であることを検証、確認し、第1期の基本ポートフォリオを第2期における基本ポートフォリオとして策定し、認可をいただいたものでございます。
そういうことで、第1期の基本ポートフォリオを第2期の途中まで踏襲したものでありますが、平成24年10月、会計検査院の報告書において、暫定ポートフォリオが安全・効率的かつ確実かなどについて中期目標期間に定期的に検証をすることを検討するといったことが指摘されました。これを受けて厚生労働省より、基本ポートフォリオについて定期的に検証を行うよう要請があったことから検証を行いましたところ、基本ポートフォリオの変更が必要との結論を得て、右下にあります基本ポートフォリオへの変更を厚生労働大臣の認可を受け本年6月に行ったところでございます。
最後に6ページでございますが、年金積立金自主運用開始以来の運用成績でございます。自主運用が開始されました平成13年度から24年度までの12年間の幾何平均の収益率は、右上にございますように、2.02%でございます。その左、24年度は収益率が10.23%、収益額はその下のところですが、11兆2,222億円となり、この12年間では最良ということでございました。
当法人の運用資産額は、24年度末で約120兆5,000億円となっております。
以上、御説明とさせていただきます。
○米澤座長 どうもありがとうございました。質問、御意見は後でまとめていただくことにしまして、引き続きお願いしたいと思います。国家公務員共済組合の積立金の運用等につきまして、財務省及び国家公務員共済組合連合会より説明をお願いしたいと思います。10分強でもってお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○財務省主計局給与共済課 堀田参事官 財務省の堀田でございます。私からは国家公務員共済制度について簡単に御説明させていただきたいと思います。お手元の資料6-1という横長の資料をごらんください。
「国家公務員共済制度について」でございます。
1枚、表紙をおめくりいただきまして、この資料、申しわけありません、表紙が1ページでございますので、2ページから始まっておりますが、2ページ、「国家公務員共済制度の概要」でございます。
この共済制度は、国家公務員の相互救済を目的とする制度でございます。
現在では、3の事業内容のところでございますが、国家公務員の健康保険、短期給付事業、それから、公的年金、長期給付事業でございます。この2つが事業の中心であると考えております。
駆け足でございますが、次のページへお移りいただきまして3ページでございます。国家公務員共済制度の実施主体でございます。国や独立行政法人などの職員は、まず省庁ごとに設置された、この真ん中のところでございますが、共済組合に加入することになっております。そこで、先ほどの短期の健康保険の事業などはこの共済組合ごとにそれぞれ行っております。
この検討会のテーマであります年金については、国家公務員共済全体で1つの保険単位を形成することになっておりまして、その業務を年金の記録管理、積立金運用、年金支払いといったものを含めまして、国家公務員共済連合会、一番右の連合会、KKRで実施しております。
4ページにお移りいただきまして、国家公務員共済年金の現状ということでございます。組合員数、受給権者数、収支の主要項目を記載しております。年金資産の総額は、平成24年度末で約7.8兆円ほどございます。一番下のところでございます。
駆け足で恐縮ですが、5ページにお移りいただきまして、積立金運用に関する規制等を簡単にまとめてございます。まず5ページでございますが、国共済の積立金運用に関する規制等でございまして、まず積立金運用は安全かつ効率的にしなければならないという大原則がございます。これは国家公務員共済組合法の19条でございます。それから、これは連合会の積立金の運用の基本方針で定めてございますが、組合員の利益のために長期的な観点に立って安全かつ効率的に行わればならないことになっております
それから、現在は財政融資資金への預託義務が課されております。ただし、この義務は今回の27年10月の被用者年金一元化と同時に撤廃される予定でございます。
恐縮ですが、次のページにお移りいただきまして、連合会が運用できる資産の範囲ということでございます。これは主に法律・政省令に規定されている資産運用の範囲ということでございます。
駆け足で恐縮ですが、次の7ページにお移りいただきまして、今回の被用者年金の一元化に伴ってKKRの運用に対する政府の関与がどう変わるのかということを簡単にまとめてございます。ごらんのとおりでございますが、要点を1つだけ申し上げますと、現行制度上は運用方針の策定に関して国家公務員共済の場合は政府の事前関与はございません。そのあたりがGPIF、厚生労働省の関係とは違うところでございます。ただ、一元化後には、先ほどからも御説明、御議論があったとおり、政府として定めた積立金基本指針に適合するように管理・運用の方針を連合会が定め、かつ財務大臣の承認も必要になってくるわけでございます。
簡単でございますが、私からの説明は以上とさせていただきます。
この後、国家公務員共済年金の年金資産運用につきまして、国家公務員共済組合連合会より説明させていただきます。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 それでは、お手元の資料6-2、国共済の年金資産運用について御説明申し上げます。特徴的なところを中心とさせていただきます。
まず1ページでございます。国共済連合会の概要ということでございますが、2.にもございますように、資産運用のみならず保険者としての年金の決定・支給なども行っているということでございます。
それから、また、1の括弧内にございますように、現役組合員が106万人弱、これに対しまして年金受給者124万人強という成熟度の高い年金となってございます。
これらの点を踏まえまして、後ほど御説明申し上げますが、負債サイドでございます年金給付債務を重視したALMの考え方に基づいて基本ポートフォリオを策定してございます。
なお、積立金の資産規模は時価ベースで8兆円弱ということでございまして、GPIFさんの15分の1程度ということでございます。
また、年金の長期給付事業のほか、福祉事業として病院事業等も行っています。
これを含めますと、トータルでは1万人を超える組織になりますが、本部組織は一番下でございますが、330人、うち資金運用部は13人という構成でございます。
2ページにお進みください。第1でございますが、私どもの定めてございます積立金等の運用の基本方針におきましては、積立金が将来の年金給付の貴重な財源であることから、組合員の利益のために長期的な観点に立って安全かつ効率的に行う、これを基本方針としてございます。
第2でございますが、運用目標でございますが、長期的な観点から、少なくとも5年ごとに行われる財政再計算の経済前提における予定運用利率を実質的に上回ることとしてございます。ここで実質的とは、物価上昇率勘案後ということでとらまえさせていただいているところでございます。
第3の基本ポートフォリオにつきましては、次ページで後ほど御説明申し上げます。
第4の資産運用委員会でございますが、平成13年7月に理事長の諮問機関といたしまして設置をしておりまして、資産運用上の重要事項の決定に際しましてご意見、ご助言をいただくほか、事業計画や決算確定に当たりましては、基本ポートフォリオを含む運用の基本方針の妥当性等につきまして御議論をいただいてございます。メンバーの方々については、最終ページの9ページでございますが、左半分に記載させていただいてございます。貝塚委員長を始めといたしまして、本日の検討会の委員でもいらっしゃる米澤先生、臼杵先生などこの世界に造詣の深い方々にお引き受けいただいているところでございます。
続きまして、3ページでございます。現行基本ポートフォリオの内容、策定プロセスということでございます。平成21年財政再計算の経済前提に基づきまして、想定の利回りが安定する平成32年度までの11か年の平均利回りといたしまして、CPI勘案後で1.6%、これを中長期の運用目標とさせていただいておりまして、資産ごとに経済前提の計数、あるいは過去の実績等に定性的に判断を加味いたしましたリスク・リターン特性、あるいは相関係数を設定いたしまして、平均分散法により最適化計算を行って基本ポートフォリオを策定しているところでございます。
この際、国共済の特徴でございますが、負債サイドでございます年金給付債務と資産サイドを合わせて管理いたしますALM、LDI(負債対応型投資)の考え方を採用してございます。すなわち負債のベンチマークといたしまして、超長期債券、Nomura-BPIの超長期11年超でございますが、これを採用いたしまして、リスク・リターン特性がこれに近づくように、サープラスの最適化により資産構成を導出いたしてございます。
その結果の基本ポートフォリオは、ごらんいただいているとおりでございますが、国内債券の比率が相対的に高くなってございます。このような基本ポートフォリオで長期的に見て、他と比較いたしまして、安定した利回りを確保してございますのは、(注1)にもございますように、資産サイドのデュレーション、負債サイドのデュレーション15年程度に近づけまして、実質的に金利リスクを中立化すべく超長期投資を実施してきたことが大きく寄与していると考えているところでございます。
資料の最後から2ページ目の8ページに参考2がございますが、こちらをごらんください。超長期投資を行うことで、金利の期間プレミアムを獲得し、上から2つ目の線で示しました国共済の国内債券インカム利回りでございますが、一番上の破線で示しました超長期債のベンチマークのインカム利回りに近接していることがおわかりいただけると思います。
3ページにお戻りいただいて、下の(参考)、基本ポートフォリオの変更プロセスでございます。ここにございますように、平成21年財政再計算に基づきまして、資産運用委員会におきまして5回ほど議論を賜りまして意見書を取りまとめていただきました。これに基づきまして、基本ポートフォリオを含む運用の基本方針を御了解いただき、次のステップといたしまして、労使の代表で構成されますところの運営審議会の議を経た上で改正案を連合会理事長が決定いたしまして、財務大臣あて提出したということでございます。
4ページにお進みください。基本ポートフォリオと、23年度、24年度の簿価・時価の状況でございます。許容乖離幅を設けてございまして、この範囲内にいずれもおさまっているという状況でございます。
評価損益につきましては、23年度末までは評価損ということでございましたが、24年度末では約1,800億円の評価益に転じているところでございます。
最下段に運用利回りを掲載させていただいておりまして、23年度、24年度の単年度ではCPI勘案後で我々が想定といたします目標のCPI勘案後の実質目標利回りを達成しているということでございますが、さらに24年度の右側には、5年の移動平均、10年の移動平均もつけさせていただいてございます。財政再計算で想定するCPI勘案後の実質目標利回りを確保しているというような状況を御確認いただけると思います。
7ページの参考1をごらんください。自主運用開始後の平成13年度以降の状況を示させていただいてございます。総合収益ベースの時価利回りベースでも、あるいは実現収益ベースの簿価利回りベースでも比較的安定した利回りを確保しておりますことがおわかりいただけると思います。
次に5ページでございます。連合会の資産運用体制ということでございます。連合会理事長が最高責任者、資金運用部担当常務理事を執行責任者といたしまして、実際の実務は資金運用部が担っているということでございます。
国家公務員共済組合法上、連合会の監督権限は財務大臣にございまして、毎年度の事業計画や決算に関する認可・承認を受けることとされてございます。
その他の行政府の関与といたしましては、下にございますとおり、会計検査院の検査がございます。
また、財務大臣が任命した監事によります業務監査を受けてございます。加えて先ほど御説明申し上げました資産運用委員会のほか、第三者の評価機関といたしまして評価委員会がございまして、そのメンバーの方々は9ページの右半分に記載させていただいております。特に資産運用につきましては、慶應大学の吉野先生に御指導を受けているところでございます。
以上、駆け足で大変恐縮でございますが、国家公務員共済組合連合会からの御説明とさせていただきたいと思います。
○米澤座長 どうもありがとうございました。
それでは、引き続きまして、地方公務員共済組合の積立金運用等につきまして、総務省及び地方公務員共済組合連合会より説明を伺いたいと思います。それではよろしくお願いします。
○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 それでは、まず最初に、地方公務員共済制度の概要等につきまして、総務省から資料7-1に基づいて御説明申し上げます。
資料7-1の1ページでありますけれども、先ほど国家公務員共済制度について財務省さんから御説明があったのと同じたてつけでございますが、地方公務員等共済組合法に基づいて地方公務員の相互救助を目的とする制度として設けられております。
事業内容としては、健康保険制度等の短期給付、公的年金の長期給付、さらに福祉事業、この3つの事業を三位一体的に実行しているというのが特徴でございます。
2ページをごらんください。地方公務員共済組合の組織のもう一つの特徴といたしまして、職域ごとに設けられました公立学校、警察等々を始め幾つかの大きな組合グループに分立しているというのがございます。それの全体の円滑な実施を行っていくために地方公務員共済組合連合会が組織され、長期積立金の運用等を行っているという現況にございます。
それぞれ黄色で塗っております地方職員共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、都職員共済組合、全国市町村共済組合連合会は、今般の被用者年金一元化後も実施機関としてそれぞれ積立金の運用も行っていく組織でございます。それぞれの構成人員等は記載のとおりでございます。
3ページ目をごらんいただきますと、そのトータルでの現状でありますけれども、組合員数が284万人、年金受給権者数がほぼそれに見合った数字になってまいりまして291万人。収支の概況はごらんのとおりでございまして、平成24年度末の資産総額、時価ベースで38兆4,509億円となっております。
次に4ページをごらんいただきますと、積立金運用に関する規制等ということでありますが、これも地共済法に基づくもの、さらには政令・省令等に基づきまして、安全かつ効率的な方法により、かつ組合員の福祉の増進又は地方公共団体の行政目的の実現に資するよう運用しなければならない。
これは法律の規定なのですが、それをベースに以下、一番下の「○」で「・」をたくさん打っておりますようなものへの運用が政省令等において定められております。
それから、5ページ目をごらんいただきますと、そのトータルとしての運用実績及び資産構成割合につきまして、過去10年余の累計、平均等々を掲げております。
まず収益率につきましては、平成24年度8.81%、10年平均で2.63%となっております。
収益額、ごらんのとおり、運用資産時価総額が38兆円余になったというのもごらんのとおりでございます。
これを国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、短期資産という資産構成ごとに区分いたしますと、4掲記のとおりとなっております。
一番最後のところにポンチ絵的に地方公務員共済組合における積立金管理・運用のしくみというのを掲げております。これは被用者年金一元化法施行後、したがって、本検討会での検討も経て積立金基本指針もできて、モデルポートフォリオもできてというところでございますが、施行後の1、2階部分に関する仕組みでございます。管理運用主体につきましては、地方公務員共済組合連合会、そのもとにおきまして、公立学校共済組合、警察共済組合等々が実施機関として任に当たっていくことになっております。
このように分立しております仕組みとしまして、先ほど御議論もございましたけれども、昨年の被用者年金一元化法の折にも、山崎委員、小島委員からもお話もありました管理・運用リスクの分散、あるいは今までの管理・運用ノウハウの活用といった観点からこういう整理が行われたものと承知をいたしております。
そこで、そういうふうにたくさんあるわけですけれども、今般、被用者年金一元化法施行後、管理・運用主体として全体を見ていただきます、また最大の資金運用主体でもある地方公務員共済組合連合会から、現在の状況について御説明を申し上げます。
○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 それでは、お手元の資料7-2に基づきまして説明させていただきます。地共済連合会資金運用部長の川島でございます。
まず資料の2ページをお願いいたします。当連合会の概要でございます。連合会は、地方公務員共済組合の長期給付に係ります適正かつ円滑に運営を図る目的で59年の4月1日に設立されております。
役職員の内訳でございますが、理事長以下常勤、非常勤合わせて理事が8名、監事が3名ございます。以上が役員でございまして、そのもとに事務局がありまして、4月1日現在で56名の職員が在籍しています。
資金運用は、事務局に置かれております資金運用部のラインで行ってございます。
事業の概要でございますけれども、地共済連合会は地方公務員共済組合の中で資金が不足している団体が生じた場合に必要な額を交付していくというような事業を行ってございます。そのために、各共済組合から積立金増加額の一定額が地共連に払い込まれまして、これが運用の原資となってございます。また、資金運用につきましては、当連合会と各単位共済組合がそれぞれ保有する資産をみずから運用しておりまして、地共済全体の資産総額は24年度末現在の時価で38兆4,500億円でございます。地共連はそのうち45%に当たります17兆5,000億円程度を運用しているところでございます。
当連合会でございますが、資金運用のみではなくて、このほか、組合の長期給付に係りますいわゆる財政再計算でありますとか、年金事務に関する標準システムの開発、提供等の各共済組合への支援も事業の大きな柱でございます。
積立金の運用方法でございますけれども、信託銀行や投資顧問会社など民間の運用機関に運用を委託してございますほか、国内債券の一部を自家運用してございます。後に説明いたしますけれども、総務大臣の認可をいただきました基本運用方針に沿って運用いたしてございます。
また、連合会には法令に基づきまして運営審議会を設置いたしております。委員は組合員のうちから、組合を代表する者とそれ以外の者を同数、つまり労使同数が総務大臣によって任命されてございます。
議決事項といたしましては、定款の変更、運営規則の作成、変更、事業計画、予算、決算等となってございます。
資金運用につきましては、予算、決算の審議の際に長期給付経費において審議されますほか、決算の際にも当該年度の運用状況について報告を行っているところでございます。
また、連合会の資金運用の基本問題を研究するために、積立金の安全かつ効率的な運用に資するために資金運用基本問題研究会を設けております。経済学者で現在ミシガン大学の三井生命金融研究所理事をされております若杉座長や本日いらっしゃっていただいております浅野座長代理等外部の有識者の先生にお願いいたしてございます。基本ポートフォリオ、コーポレートガバナンス、そのほかに関することにつきまして、この研究会に諮った上で、意見をいただいた上で決定するという運びになってございます。
次に3ページをお願いいたします。長期給付積立金の運用についてでございます。まず基本的な考え方といたしまして、長期給付積立金は、地方公務員共済組合法や同法の施行令に基づいて作成し、総務大臣が承認いたします基本運用方針に基づいて運用するものでございます。
運用の目的でございますけれども、長期給付に要する資金が不足している地方公務員共済組合への交付金の交付を円滑に行っていくために必要な総合収益を確保することでございます。
この目的を達成するために基本となる投資対象資産の基本ポートフォリオを長期的観点から策定いたしております。これに基づく資産配分を維持するよう努めてございます。
3ページの左側でございますけれども、当連合会の基本ポートフォリオが示してございます。詳しくは後に触れたいと思います。なお、この基本ポートフォリオにつきましては、策定時の前提条件を毎年1回検証し、必要に応じて見直すこととしてございます。この基本ポートフォリオに基づく運用を行ってまいりました結果、前回の財政再計算の初年度である17年度以降、8年間の実質運用利回りの実績は2.78%となってございまして、これは財政再計算上の前提の数値でございます1.14%を上回ってございます。
3ページの右側でございますけれども、運用の概要ということで、関係者からのガバナンス体制が図示してございます。まず総務大臣が予定運用利率を設定いたします。連合会はそれを踏まえまして、資金運用基本研究会の意見を聴取しながら基本ポートフォリオを設定いたします。この基本ポートフォリオを含む基本運用方針について、総務大臣の承認をいただきまして、この運用方針に基づいて委託運用、インハウス運用を実施いたしてございます。
また、運営審議会でございますけれども、予算、決算の審議の際に長期給付経理について、主に資金の出入りの観点から審議を行っていただいているところでございます。
次に4ページをお願いいたします。基本運用方針と基本ポートフォリオについてでございますけれども、資料の文言は基本方針からの抜粋でございます。
運用利回りの目標でございますけれども、長期的な観点から、少なくとも5年ごとに行われます財政再計算において大臣の定める予定運用利率を上回ることであるとされてございます。これは予定運用利率を実質的に上回るということでございまして、実質利回りとは時価利回りから物価上昇率を控除した利回りをいうものとしてございます。
運用利回りでございますけれども、総務大臣が定める予定運用利率を下回る局面にございましては、乖離幅を極力縮小するものといたしますけれども、この場合、運用上のリスクを過度にとる運用を行ってはならないと定めてございます。
前のページでお示ししてございました運用の目的でございますけれども、これを達成するために基本となる投資対象資産の基本ポートフォリオを長期的観点から策定しまして、これに基づく資産配分を維持するよう努めているところでございます。先ほどお示ししたのと同じでございますけれども、内訳が国内債券64%、国内株式14%、以下見てのとおりでございます。
当連合会では、いわゆる、5、3、3規制が緩和された平成9年に分散投資を進めていくために、暫定的ではありますけれども、初めて基本ポートフォリオを策定いたしました。このときの国内債券の割合は約8割でございましたけれども、その後、10年から本格的なポートフォリオ運用を始めておりまして、開始時点では、国内債券が68.5%、17年には64%と徐々に国内債券の比率を減らしまして、かわりにリスク性資産の比率を高める方向で基本ポートフォリオの見直しを行ってまいったところでございます。
次に5ページをお願いいたします。本年3月末現在で連合会の保有いたします時価総額ベースの資産構成でございます。
まず義務運用資産でございますけれども、当連合会では組織の性質から積立金の一定割合を特定の資産の取得により運用するよう努めなければならないという法令上の義務がございます。具体的には地方公共団体金融機構債、これが義務運用の大半を占めるものでございますけれども、これが地方公共団体のさまざまな公共事業、プロジェクトに最終的には充当されていくというものでございます。このほか、地方債、財政融資資金への預託金がございます。総額で3兆6,100億円と資産全体の20%強になってございます。
次に義務運用以外の自主運用資産でございますが、自家運用が4兆682億円の全体の2割強、これは一部の短期資産を除いては国債や地方債といった国内債券による運用でございます。あとは委託運用の一種でございますが、生保会社の一般勘定による運用、これが315億円、全体の0.2%でございます。信託銀行、投資顧問会社による委託運用が9兆7,418億円、全体の55.8%を占めてございます。
次に6ページをお願いいたします。本年3月末現在の資産の時価総額の構成と基本ポートフォリオからの乖離率を資産区分ごとに示したものでございます。
まず国内債券が全体の60.5%、国内株式が全体の15.1%、外国債券が全体の10.6%、外国株式が全体の11.7%となってございます。それぞれ基本ポートフォリオとの乖離幅でございますけれども、表の一番右の列にお示ししたとおりでございます。許容乖離幅につきましては、±5%までと定めておりまして、いずれも許容乖離幅の中におさまっています。
最後に7ページでございますが、当連合会では名目運用利回りから物価上昇率を控除したものを実質運用利回りとしてございまして、直近24年度の運用成績は名目、実質ともに9.80%となってございます。現在の基本ポートフォリオに係る運用開始しました17年度から昨年度までの直近8年間の平均の実質運用利回りで2.78%となってございます。また、直近の10年間の実質の運用利回りで3.58%となっているところでございます。
以上、資料に沿いまして、当連合会の現在の資金運用についての説明でございます。私からの説明は以上でございます。よろしくお願いします。
○米澤座長 どうもありがとうございます。
それでは、引き続きまして、私立学校教職員共済の積立金運用につきまして、文部科学省及び日本私立学校振興・共済事業団より御説明をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○文部科学省高等教育局私学部私学行政課 渡部私学共済室長 文部科学省でございます。資料8をごらんください。私立学校教職員共済の年金積立金運用ということでございますが、1ページをお開きいただきまして、初めに共済制度の概要でございます。
目的としましては、私学教職員の相互扶助事業、これを通じまして、教職員の福利厚生を図り、もって私立学校教育の振興に資するということでございます。基本的には国公立学校教職員と同等の待遇を図っていきたいということでございます。
事業の内容といたしましては、公務員の共済制度と同様でございまして、短期給付事業・健康保険でございます。それから、年金であります長期給付事業、そして福祉事業とこの3つを一体的に運営してございます。
この制度の実施主体は日本私立学校振興・共済事業団でございますけれども、概要につきましては、2ページ以降で触れたいと思います。現在、加入者数が約50万人、年金受給権者数が41万人という状況でございます。
2ページでございますが、事業団の概要でございます。平成10年に旧日本私学振興財団と旧私立学校教職員共済組合を統合して設けられたものでございます。
役職員でございますが、理事長以下、理事9名、監事2名、本部職員339名ということでございまして、このうち資産運用の担当は7名ということでございます。
事業の概要でございますが、1つは、旧振興財団由来の助成事業ということでございまして、私立大学等への経常費補助金の交付、学校法人等への融資事業等々を行っております。もう一つが、旧私学共済組合由来の共済事業ということでございます。
年金積立金の運用に関します長期給付事業の収支状況でございますけれども、収入、支出の額はごらんのとおりでございまして、年度末の資産総額が3兆6,000億円余ということでございます。
それから、3ページが資金運用に関します規制といいますか、関係法令の概要を掲載させていただいております。事業団法では、助成事業、共済事業に共通いたします資金運用の方法といたしまして、一号から三号まで掲げてございます。ただし、共済関係は、従来より幅広めの運用を行っておりましたものですから、「○」の2つ目で、政令でさらに幅を広げた形の特例を規定しております。
これを受けまして施行令、省令等によりまして、資産運用の範囲を共済関係のものにつきまして規定しておりまして、他の共済と同様の運用範囲が設けられておるところでございます。
それから、一番下にございますように、事業団におきましては、年金積立金の運用に関します基本的な方針、これを策定いたしまして、文部科学大臣に提出いただいておるわけでございますけれども、この方針の中におきまして、運用の基本的な考え方や基本ポートフォリオ等々につきましての内容を定めていただいておるところでございます。
4ページ以降が、具体的な年金積立金の運用の内容でございますが、これ以降につきましては、事業団のほうから説明をお願いしたいと思います。
○日本私立学校振興・共済事業団 酒井資産運用室長 日本私学事業団の資産運用室長の酒井でございます。引き続き御説明いたします。4ページをごらんください。
運用の基本的な考え方、目標、及び基本ポートフォリオ等は、運用に関する基本方針に定め、これをもとに運用をしております。
まず運用の基本的な考え方ですが、年金積立金は、長期給付事業を安定的に運営していく財源として必要とされる収益を確保することを目的とし、長期的な観点から、安全かつ効率的に運用することを定めています。具体的な運用につきましては、「国内債券を中心」、「パッシブ・アクティブ運用の併用」及び「ポートフォリオ全体のリスクを抑制するための分散投資」などの考え方により運用を行っております。
次に長期的な運用の目標ですが、財政再計算の前提となった予定運用利回りを基本とし、賃金上昇率を踏まえた実質的な利回りを確保することにあります。ただし、市場環境の悪化等により、目標を達成することが難しいと判断される局面にあっても、運用上のリスクを過度にとる運用は行わないことを定めております。
基本ポートフォリオ及び資産規模につきましては、下段の表のとおりでございまして、国内債券中心の運用を行っており、その資産配分は国内債券等で65%、許容乖離幅±9%。リスク資産であります国内株式、外国債券及び外国株式につきましては、それぞれ10%、許容乖離幅は±3%となっています。短期資産の資産配分は5%でございます。
私学事業団の資産規模でございますが、平成24年度末で国内債券が2兆1,038億円、時価構成比で57.8%、国内株式が3,819億円、10.5%、外国債券が4,043億円、時価構成比11.1%、外国株式が4,142億円、11.4%、短期資産3,363億円、9.2%、資産総計で3兆6,405億円となっています。
次に5ページをごらんください。運用の仕組みでございますが、事業団は自家運用と委託運用を行っております。
まず自家運用でございますが、国内債券を中心に運用しておりまして、主に国債・地方債・政府保証債・事業債等の購入を資産運用室において行っております。自家運用の短期運用ですが、これは年金の支払いに合わせまして、あと拠出金等の支払い、これらに合わせまして、2か月程度の短期間の運用を主に大口定期預金、1か月未満は譲渡性預金による運用を行っています。
委託運用につきましては、国内株式、外国債券、外国株式とも信託銀行、投資顧問会社へ運用を委託しています。
資産運用検討委員会でございますが、私学事業団の年金資産の運用に関する基本的な考え方、資産の構成、目標及び評価、その他必要な事項について意見や助言を受けるため、理事長の諮問機関として設置されております。委員は本日、出席いただいております川北先生を始め、経済・金融の専門家などの学識経験者及び私学関係者から、理事長が委嘱しております。下段の枠内に記載している5名の方が現在の委員の方々でございます。
6ページをお開きください。私学事業団の年金積立金の運用体制でございます。主なものを御紹介いたします。
共済運営委員会ですが、これは法令に定めがございまして、理事長は私学事業団の事業計画・予算・決算及び重要事項については、あらかじめ共済運営委員会の意見を聴かなければならないとされ、その設置がされております。
資産運用につきましては、基本ポートフォリオを含む基本方針の変更及び資産運用実績等について同委員会に報告をしております。
資産運用検討委員会につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。
資産運用部会は、私学事業団の資産の健全な運用を図るため設置されております。その業務は毎月定例で開催され、毎月の資産運用の検証、監督、その他資産運用に係る事項について審議しております。
行政府の関与等につきましては、文部科学省の特殊法人として認可等を受けております。
また、私学事業団は会計検査院の受検機関となっております。
最後に7ページをごらんください。私学事業団の積立金運用の過去10年間の運用実績でございます。
上段の表、1収益率では、24年度においては9.17%でございました。10年間幾何平均では2.36%の収益率となっています。
2段目の表、2収益額ですが、10年間の累積収益額は7,948億円となっています。
3段目、3運用資産額でございますが、平成24年度末残高として、時価で約3.6兆円となっております。
以上、私学事業団の説明でございました。
○米澤座長 どうもありがとうございました。
以上できょう報告していただきます各ところの説明は終わりましたので、残りの時間で、皆様方に質問、確認したいことがございましたらば、御意見いただければと思います。浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 これからの運用を考える場合、どうしてもGPIFのこれまでの運用がベースになって、そこから議論していくことになろうかと思うのですが、その意味でGPIFに関して確認しておきたいことがあります。資料の4ページによりますと、第1期の中計では、ポートフォリオの策定という項目の中で、年金財政上の諸前提における実質的な運用利回りを確保するということが明記されているのですが、第2期のほうにはそれがなくなっています。今回、資産構成を見直すに当たっては、きょうの資料にはついてないのですけれども、債券のリスクと同程度のリスクで期待リターンができるだけ高いというか、効率的なという形で見直しをされたと理解しています。明示的なリターンとしての目標がない中で、かわりにリスクを基準にして運用するという方法をとられているのかと思いますが、そうした運用についてどのようにお考えになっているか。目標について何かお考えがあったらお教えいただけないかと思います。
○年金積立金管理運用独立行政法人 清水調査室長
お答えいたします。今、御指摘のように、この7月に基本ポートフォリオを変えたわけですけれども、この変更につきましては、あくまでも我々に対して示されました中期目標自体は変わってない中での検証ということでございますので、今、御指摘のように、あくまでも安全かつ効率的というような定性的な目標に基づきまして、国内債券並みのリスクの範囲で効率的と、こういう観点に立ってポートフォリオを変更したということでございます。
これはあくまでも公的年金の運用でございますので、私ども2期のポートフォリオを向けての検討の中でも、特に長期的な年金財政との関係ということで、これは第1期と同様、実質的ないわゆる運用利回り、そういう運用目標が出されるのではないかという観点から検討していた経緯がございますので、今現在、若干そこから離れた運用目標ということでございますけれども、今後、次の財政検証に向けて、現在、厚生労働省で検討が進められているということでございますので、それを踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○米澤座長 よろしいですか。
○浅野委員 はい。
○米澤座長 ほかにいかがでしょうか。小島委員。
○小島委員 2点ほど、1点目は国共済連合会で、基本ポートフォリオを最近変更されたのかどうか。もしされているとすれば、どういう理由で変更したのか。
2点目は、地共済ですけれども、連合会では全体の資産総額38.5兆のうち45%、17.5兆円ぐらいを運用しているとのことで、残りの55%はどこが運用しているのか。そのときに、運用の基本方針は連合会と同じような基本方針に基づいて運用しているのかどうか。
○米澤座長 最初に国共済。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長
それでは、お答え申し上げます。先ほどの資料の6-2の3ページをごらんください。現行基本ポートフォリオの策定というところで御説明申し上げたのでございますが、平成22年4月に新しい基本ポートフォリオを改正してございます。これは、平成21年財政再計算に伴いまして、経済前提がそれまでの16年財政再計算から変更されました。それを踏まえたものと、直前で平成20年度のリーマン・ショックがございましたので、そういった市場の大変動を含めて基本ポートフォリオの見直しをさせていただいたという経緯がございます。
以上でございます。
○米澤座長 では、地共済のほうから。
○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 地共済関係でございますけれども、38兆円で地共連以外がというところでございます。先ほど申し上げましたような幾つかの共済組合あるいは連合会にまたがっておるのですが、大ざっぱな概略の額を申し上げますと、全国市町村共済組合連合会、これは市町村職員の共済組合の連合体ですけれども、ここが約9兆7,000億円余、それから、地方職員共済組合、都道府県あるいは団体職員のものですが、ここが約9,000億円余、公立学校共済組合が5兆6,000億円余、さらに警察共済組合が2兆5,000億円余、あとは都職員共済組合が約7,000億円ございまして、さらに27年までは指定都市の職員共済組合もそれぞれ少しずつ持っておりますので、この累計が1兆3,000億余ということになっております。トータルで38兆円余。
そこで運用の基本方針につきましては、特にポートフォリオをつくっておりますような大きな市町村連合会等々につきましては、基本的には地共連と同様の基本方針を定めて総務大臣に承認をとっているというのが現況でございます。
○米澤座長 ほかはいかがでしょうか。
○浅野委員 国共済のLDIについてお伺いしたいと思います。年金の運用ですから、債務を考慮するということは重要で、非常に興味を持っているのですが、公的年金の特に賦課方式の場合、債務をどうとらえるかというのは非常に難しいと思います。国共済ではどのように債務はとらえられているのでしょうか。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 これは平成17年度からALMの方式で基本ポートフォリオの策定をさせていただいているのでございますが、直近の21年度で改正して、22年から適用させているものを例にとって申し上げさせていただきますと、資産運用委員会意見書にも取りまとめていただいたところでございますが、少なくとも積立金が国共済単独、あるいは地方公務員共済組合様との合算ベースの公務員共済トータルでも積立金が相応のタイミングまで累増していくというような格好になってございます。したがって、その期間につきましては、ALMアプローチは引き続き有効であろうというふうな取りまとめをしていただきまして、その観点で年金給付債務というのをとらまえさせていただきました。
年金給付債務の具体的なとらまえ方につきましては、これは実績の国共済のデータを活用させていただいた上で、確定値というわけにはいかないわけでございまして、モデルケースを、コンサル会社のほうで推計をしていただきまして、その中で、一番妥当性が高いというところで、企業年金方式の積立金方式で推計をいたしました年金給付債務を割り出していただいたというところでございます。
○浅野委員 公的な年金の場合、給付はインフレにスライドしたり、他の要因で変動したりするのですが、そういう要因はどんなふうに織り込んでいらっしゃるのでしょうか。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 これはあくまでも平成21年の財政再計算の経済前提でCPIはそれなりの数字が織り込まれてございますので、それを織り込んだ格好でございます。
○浅野委員 それは固定的にとらえられている、つまり確定した1つの数字としてとらえられていて、それが変動するという要因は織り込まれていないということですか。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 それはおっしゃるとおりですけれども、若干補足させていただきますと、それを変動させるというようなシミュレーションもやってございます。
○米澤座長 臼杵委員、どうぞ。
○臼杵委員 1つコメントと2つ質問があります。コメントは、先ほどから浅野先生もいろいろおっしゃっているとおりで、この基本ポートフォリオを決める上ではALMのような、完全積立方式のようなものではできませんけれども、今後100年間のキャッシュフローを考えた場合に、100年後のバランスシートが1年の積立金を残してきちんと形づくられるようになるためには運用に期待される利回りがあるわけで、それを考慮しながら、あとは物価や賃金を、確率変数として変動させるかどうかがあると思いますが、そういう形でのALMのようなものを考えていくことが必要です。そして、私の理解では、GPIFの今回のポートフォリオの変更に当たっても、一応ALM的なアプローチをとって、そういう意味で年金財政を全く考慮しないで、ただ単にアセットサイドだけで最適化したということではないと理解しています。
その上で、私の質問は2点ありまして、1つは、地共連さんのほうで、5ページのところで、義務運用資産ということをおっしゃっていたのですけれども、地共連さんにはこれが一元化後にどういった形になるのか、こういう義務的なものが残るのかどうかをお伺いしたいのと、ほかの共済の方には、同じようなものがそれぞれ独自であるのかどうか。それが一元化後にどういう扱いを受けるとお考えになっているのか。
2点目の質問は、国共済やほかのところでもあると思うのですが、運用の評価に当たって、今まで簿価評価が時価評価と一緒に用いられていたように理解していますが、それはこの新しい一元化後にどういう扱いを受けるのか、運用に当たって簿価利回りを考慮する必要はなくなるのかどうか。これは全共済にお伺いしたほうがいいのか、あるいは森参事官にお伺いしたほうがいいのか、よくわかりませんけれども、以上2点です。
○米澤座長 まず前者のほう、義務運用に関しまして、今、お話のあった地共連のほうから、その後、国共連のほうも少なからずあるのか、財政融資預託金のことに関して、これに関して御説明をお願いしましょう。
○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 5ページの資料に則して回答させていただきますと、上にあります機構債と地方債の部分の義務運用につきましては、これは努力義務でございます。努力義務につきましては一元化後も引き続き残るというような形でございます。
3番目の財政融資の預託金については、一元化の法制度の制定によりまして、これは廃止されるというようなところでございます。
以上でございます。
○米澤座長 国共連のほうも、財政融資預託金はなくなるという理解でよろしいわけですね。
○国家公務員共済組合連合会 長谷川資金運用部長 34%相当部分のものは、これは一元化と同時に撤廃という格好でございます。
○米澤座長 そういうことでよろしいでしょうか。私学共済のほうも引き続きお願いします。
○文部科学省高等教育局私学部私学行政課 渡部私学共済室長 先ほどの資料8の3ページをごらんいただきたいと思います。下から2つ目の箱に財務会計省令というのがございまして、この中で政府保証債による運用義務が義務づけられておりまして、積立金の増加額の3分の1程度となっております。ただし、これは助成勘定への貸付もあわせての3分の1というのが義務づけられておりますけれども、これはある意味、財投協力的なところがございますものですから、今回、一元化に伴いまして、公務員共済のほうへの預託金の廃止という状況を踏まえまして、今後、この省令のあり方については関係機関との調整、協議等を経てどうするのか、対応を検討していきたいと思っています。
○米澤座長 ということで、まずそちらのほうは、まだ全部決まってないところもありますけれども、今そういうような状況ですと。それから、評価に関して、簿価評価が残っているけれども、どうなるかということ、森参事官のほうにお伺いしましょう。
○森大臣官房参事官 評価につきましては、先ほど積立金基本指針の概要で、4番のところで、例えばその他積立金の管理及び運用に関する重要事項としまして、独自運用の評価方法ということでございまして、必ずしもお挙げいただいたものは独自運用ではないかと思いますが、また資産の性格等に応じて、また評価方法をこちらの検討会で御検討いただければと考えております。
○臼杵委員 もちろん独自運用以外でも全体的に簿価評価が残っていると私は理解しているのですけれども、それは残るんですか。
○米澤座長 というか、これもこちらで検討させていただくという理解でいいのかしら。
○森大臣官房参事官 おっしゃるとおりです。
○米澤座長 ということですので、前広に検討させていただきましょう。山崎委員、どうぞ。
○山崎委員 厚生年金につきましては、被保険者への貸付というのはなくなったわけですけれども、住宅資金の貸付でございますが、共済はそれぞれ残っていて、その辺がちょっと気になりますが、今後どうなるのかなという気がいたします。
○米澤座長 改めまして、これに関しては、まず森参事官、共済関係の貸付等に関してはどういうような扱いを想定されているのか。
○森大臣官房参事官 共済の貸付等につきましては、これは1つの考え方としましては、国内債券の一部とする考え方がございますし、また別途のアセットクラス等で考えていただくという考え方もあるかと思いますけれども、この取り扱いにつきましては、本検討会で御検討いただきたいと考えております。
○川北委員 よろしいですか。
○米澤座長 川北委員、どうぞ。
○川北委員 地共済の関連で、7-2の2ページで、事業の概要に関してで、長期給付に要する資金が不足している地方公務員共済組合への交付金の交付とあるのですけれども、これは結局運用されている資産を売却するなり、短期運用の資金で工面するなり、そういうことをされて、不足している共済組合に交付されていると思うのですけれども、これは運用に関してかなりの制約条件になっているのか、それとも余り関係ないというか、淡々とできる範囲なのか、この点をお教えいただきたいのですけれども。
○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 現段階におきましては、政令市の1組合が資金交付を受けているような状況で、60億程度ですので、キャッシュフローとしてはポートフォリオに影響を与えるような段階にはございませんけれども、将来的にはここの部分が大きくなることもございますので、今後の財政再計算とか、そういったときにポートフォリオを見直すに当たっては十分検討していかなければならない課題であると認識しております。
○川北委員 それに関連してなのですけれども、下部の共済組合というと語弊がありますけれども、それぞれは独自にポートフォリオを決められて運用されていますね。その関連で、それが地共済連合会自身の運用の制約になることもあり得るのではないか。各下部の共済組合に対するポートフォリオのコントロールというか、このあたりはどうされているのでしょうか。
○地方公務員共済組合連合会 川島資金運用部長 現時点においては、総務大臣の予定利率を実質的に上回ることを目標にしておりますので、特にそういった点は大きく考えておりません。当然キャッシュフローがまだ大きくは生じてないような状況ですので、できているのですけれども、今後、そういったこともしっかり考えていかなければならないと考えておりまして、一元化後のモデルポートフォリオ、具体的なポートフォリオの策定に当たってはキャッシュフローも十分考えていかなければならないというふうに考えております。
○米澤座長 ありがとうございます。浅野委員、どうぞ。
○浅野委員 地共済グループの一元化後の運用についてお伺いしたいのですが、今は全国市町村、地職、警察それぞれ分かれて運用しています。その一部を地共連のほうに預託して運用されているという構造になっているのですけれども、一元化後も1、2階部分をそれぞれ分けて運用するのでしょうか。本来、地共連は地共済グループの中の各団体のいわば保険的な役割を果たしていたと思うのですが、一元化したら、もっと大きなプールで1、2階部分というか、2階と言ったほうがいいかもわかりませんが、それを運用することになるわけだから、保険的な機能はなくなってしまうのではないでしょうか。まだ3階部分の保険的機能は残るかもわかりませんが、従来のやり方から変えるべきではないかと思うのですが、そのあたりどうでしょう。
○米澤座長 お答えできる範囲内でお答えお願いしたいと思います。
○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 全体を見る必要があるということはそのとおりだと思います。全体のバッファー、先ほど川北先生から御質問ありましたように、足りなくなれば地共連が補填するという法制度がございますので、その役割を果たしていくことは当然だと思っております。一元化後どうなるのかというと、一元化後には、検討会で御議論いただきます1、2階部分に関して申しますと、地共済全体の管理をする役割が地共連に法律上与えられます。これは新しく付与されることに今回の一元化法でなりました。それに基づいて地共連は実施機関積立金と言っていますが、例えばほかの実施機関の管理運用状況に対して、例えば自分たちの管理運用方針に従ってなければ、ちゃんとそれに基づいてくれと求めることができるとか、それを求めたと総務大臣に報告することができるとか、そういう制度的な枠組みも一緒に設けております。
浅野先生から御質問のありました一元化後の運用については、地方公務員共済組合連合会がより主体的な役割を果たしていただいて、全体の、総務大臣は総務大臣で所管大臣としての役割はございますけれども、一緒になって地共済グループ全体の資金管理に当たっていくというようなスキームを組んでおりますという状況でございます。
今後、それぞれの組合の成熟度の違い等によりまして、実質的に地共連が相対的に大きな役割を担うことも想定されますけれども、他方で10兆円余の資産を別途運用しているような団体もございますので、そういうところにつきましては、それぞれの全体の管理・運用を総務大臣は総務大臣の立場で、そして管理運用主体としての地共連の立場で被用者年金一元化後は法律に基づいても行っていただくというようなスキームを考えております。
○米澤座長 私、まだ整理できなくて、今回、ここの場では、地共連までの話を想定しているわけですけれども、したと言ったらおかしいですけれども、各個別のところも、地共連の責任のもとでそう違わないようなポートフォリオの運用のほうに、指示するというふうな理解でよろしいのでしょうか。
○総務省自治行政局公務員部 藤原福利課長 例えばということで申し上げますと、新しい被用者年金一元化法の112条の7という条文がございまして、実施機関積立金の管理、その中の地方公務員等共済組合法でございますので、すみません、ついておりませんが、地共連は他の実施機関の実施機関積立金の管理及び運用の状況が管理運用方針等に適合しないと認めるときは、当該実施機関に対し、当該実施機関積立金の管理及び運用の状況を管理運用方針等に適合させるために必要な措置をとるよう求めることができる。この措置を求めたときにはその旨を総務大臣に通知するというような仕組みがございます。ですので、総務大臣は総務大臣としての権限に基づく管理をしてまいりますけれども、地共連は自分たちが定めました管理運用方針に基づきまして、そのとおり、そういう状況になっているかどうかを確認していくと。
逆に言うと、各実施機関のほうからは、地共連に対してこういうふうにやっているという報告義務をあわせて定めておりますので、トータルとしては絵はできています。それをしっかりやっていきたいという状況でございます。
○米澤座長 地共連マターの細かいところは多分ここの会議では表面的には出てこないかと思いますけれども、そういうのは裏に担保されているという理解かなということで、一応整理できましたけれども、臼杵委員。
○臼杵委員 今のお話に似ているかもしれないのですけれども、より大きな話で、各共済のキャッシュフロー、これは1、2階部分については、今までと同じような計算で出し入れがあるのでしょうか。例えば国庫負担分の基礎年金拠出金、給付金もあるでしょうし、今まで国家公務員共済と地方公務員の間で資金の相互の、制度の名前、私、忘れたのですけれども、制度の資金の。
○米澤座長 財政調整。
○臼杵委員 財政調整があったと思うんですが、そのあたりは一元化後も同じで、基本的には、その上でそれぞれの制度の中の給付と拠出でキャッシュフローが決まってくると、そういう理解でいいんですか。
○米澤座長 森参事官、よろしいでしょうか。
○森大臣官房参事官 厚生年金の中で拠出がどうされるかにつきましては、先ほど簡単に触れましたけれども、経過措置後につきましては、大体保険料から8割、積立金から2割という形で、応能主義で按分し各団体のほうから負担いただくことになります。また、その中で地共済のほうで、どのように負担いただくかにつきましては、また後でお調べして提出したいと思います。
○臼杵委員 今までとは変わるということですか。
○米澤座長 被用者年金全体で調整させていただくということですね。ほかにいかがでしょうか。実際、今、例えばポートフォリオを拝見させていただくと、国共済の内債の比率が多少高いかなという程度がありますけれども、ほかは似たようなと言ったら表現がおかしいですが、そんなに離れてないということですね。ですから仮にモデルポートフォリオをつくるとしても、そんなにどこかが大きく考え方を変えなくてはいけないということではないということで、そんな非現実的なことではないという感じはしております。とは言いながら、どこにおいても違ったものができてくるわけですので、それなりのいろいろ考えなくてはいけないことも多々あるかと思いますので、モデルポートフォリオをどうつくるかは、そこまでは行かないかもしれませんけれども、つくる際に当たってはいろんなことを考えなくてはいけないということで、この場で今後いろいろ御検討いただければいいかなと思っております。
時間になりましたので、よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事は以上ですので、事務局から今後の予定等につきまして御連絡いただければと思います。
○森大臣官房参事官 本日は大変ありがとうございました。次回の日程につきましては、座長とも御相談させていただきますが、日程調整させていただきまして、また御案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○米澤座長 それでは、きょうはどうもありがとうございました。説明のほうを急がせてしまいまして、どうも恐縮です。どうも御苦労さまでした。
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