ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会)> 第4回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録(2013年8月2日)




2013年8月2日 第4回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会議事録

○日時

平成25年8月2日(金)15:30~17:00


○場所

都道府県会館4階 401会議室 
東京都千代田区平河町2-6-3


○出席者

岩村委員長、池田委員、大橋委員、菊池委員、斎藤委員、首藤委員、鈴木委員、諸星委員

○議題

各論点について議論

○議事

○岩村委員長
 それでは、定刻より少し早いのですけれども、委員の皆様方がおそろいでいらっしゃいますので始めたいと思います。「第4回年金個人情報の適正な管理のあり方に関する専門委員会」を始めさせていただきたいと思います。
 きょうは、皆様、お忙しいところをお集まりいただきましてまことにありがとうございます。
 本日の委員の出席状況でございますけれども、山本委員から御欠席という御連絡をいただいております。それから、年金管理審議官が若干遅れて来られるということです。
 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 その前に資料の確認をさせていただきたいと思いますので、事務局からお願いいたします。

○政策企画官
 お手元に、きょうは、まず、議事次第と座席表のほか、資料1と資料2、それから、参考資料1と参考資料2でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。皆様、お手元に資料がおそろいでございましょうか。
 それでは、カメラの方はここで退出ということでお願いしたいと思います。
(カメラ退室)
○岩村委員長
 きょうは、前回議論ができませんでした論点2から、まず議論をお願いしたいと思います。
 まず最初に、事務局から資料の説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 年金局の梶野と申します。よろしくお願いします。
 それでは、まず、この横の資料1ですけれども、1枚おめくりいただきまして、右下1ページです。今、委員長からありましたように、考えられる主な論点、前回は、この1のほうをやりましたので、きょうは、まず、2の4年金個人情報の適正な管理のあり方について」ということでございます。ですので、資料を飛びまして、18ページをお願いします。
 3つほど検討の論点をここに書いております。1つ目が、年金個人情報の正確性の向上に資する取り組み、2つ目として、本人自身による年金個人情報の確認の推進、3つ目として、年金個人情報の厳格な保護と利用提供範囲、この3つの検討をお願いしたいということでございます。
 続きまして、19ページですけれども、まず、その論点に入る前に、年金個人情報を扱う社会保険業務の実施体制の現状の資料をつけております。19ページですけれども、この図の真ん中にあります年金事務所、それから都道府県事務センターと右の機構本部をオンラインシステムで結び、それぞれの拠点で、その役割に応じた事務処理を実施しているということでございます。年金事務所は年金相談や徴収などの窓口業務、窓口機能、それから事務センターは届け出の審査、決定等の集約的な処理、それで、本部で大量集中処理、そういう役割に応じてやっております。
 それから、続きまして20ページですけれども、これは厚生年金と健康保険の適用・徴収業務の流れを示しております。左の事業所から真ん中の年金事務所に提出された適用届が、事務センターに集約されて、そこで審査して、決定すると。それが、三鷹の機構本部とオンラインで結ばれて、情報が管理されているということであります。
 それから、次の21ページの国民年金も、市区町村を通じてということでございますけれども、基本的には同じような流れであります。
 それから、続きまして22ページです。22ページは、「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」についてということでありまして、これも第1回のときに御説明させていただいておりますけれども、ねんきん定期便とねんきんネットを比較した資料ということで、まず、ねんきん定期便のほうですけれども、原則、毎年1回、はがきで郵送されると。節目のときは封筒でお送りさせていただいています。ねんきんネットのほうは、被保険者、受給者が、いつでも、どこでも、最新の年金記録を確認できるということでございます。基本的に、はがきで送られているねんきん定期便のほうですと、例えば加入期間とかは1年分を見ることができますけれども、ねんきんネットですと、全部の今までの加入期間を見ることができたり、それから、年金見込み額の試算とかといったことができるようになっております。
 それから、23ページ、24ページは、それぞれ、ねんきん定期便、ねんきんネットのポイントをつけております。
 以上が現状であります。
 それで、次に論点でございますけれども、25ページです。3つの論点ですけれども、この25ページは、1枚の図にイメージを、取り組み案を示しております。
 まず、論点1というのが真ん中にあります。真ん中が厚生労働省で、左上が事業主、右上が本人、下が国・地方自治体ということで、このうち実線の矢印は、今、既に行われている取り組みで、点線の矢印が、これから行おう、取り組もうというものでございます。
 それで、まず、論点1に関しましては、ちょっとちらちらしますけれども、まず、右上の本人様から、右にグレーの点線の図がありまして、「年金個人情報の確認訂正の請求」というものがあります。御本人から年金個人情報の確認訂正の請求がございまして、下の厚生労働省に来まして、具体的な事例・事案が判明します。そして、左のグレーの箱に移りまして、年金個人情報の訂正を行うというのが前回御議論いただいたところでございますけれども、その中で、事例・事案の分析をして、これをこの点線、論点1のところですけれども、左のほうに点線で事業主のほうに矢印が向かっていますけれども、この事業所調査や適用対策に活用することで、届け出誤りや届け出漏れを未然に防ぐことができるのではないかということが論点1でございます。
 それから、論点2というのがこの図の右のほうにございますけれども、この論点2というのは、今度は被保険者の取り組みでして、今、左上の事業主様から本人へ、「各種届出内容の通知義務」がございますけれども、これが現実的にはなかなか本人に届いていないという実情もありますので、厚生労働省、機構から、そういう届け出があったときに情報提供というか情報が見られるような仕組みが必要なのではないかというのが、論点2の一つであります。
 それから、もう一つが、論点2の下のほうに、やはり「事例・事案の分析」ということがありまして、これが事業主だけではなくて、被保険者にも、この事例・事案の分析で、届け出が誤らないように、そういった分析事例がありましたら、被保険者にもそういったことが活用できるのではないか、これが論点2でございます。
 資料の26ページをめくっていただきまして、今、図で御説明した内容が文字で書いてありますのが、この26ページでございます。26ページの左、論点1ということで、「年金個人情報の正確性の向上に資する取組」ということで、この菱形のところですけれども、具体的事案や事例を分析し、事業所調査や適用対策に活用することで、届け出誤りや届け出漏れを未然に防ぐ取り組みが必要ではないか。
 それから、右の論点2でございますけれども、「本人自身による年金個人情報の確認の推進」ということで、菱形の1点目ですけれども、事業主が各種届け出書を年金事務所に届けた内容、または届けた旨を御本人に情報提供する取り組みの検討も必要ではないか。それから、2点目として、確認訂正手続の過程で得た具体的事案や事例の分析を被保険者への周知・広報に活用することが必要ではないか。それから、3点目ですけれども、ことし社会保障・税番号制度の法律が通りましたので、これが将来施行されますので、これを活用した年金個人情報の情報提供・確認の推進についても検討が必要ではないかということでございます。
 それから、続きまして27ページです。論点の3点目でございます。年金個人情報の目的外の利用・提供についてどのように考えるかということであります。現状等にございますとおり、年金個人情報は、特に厳格に保護される必要性がありますので、災害時も含みますけれども、目的外のために利用・提供することについては、厚生労働大臣や日本年金機構の裁量の余地は少ないということであります。
 ただ、一方で、現実的な問題として、御意見をいただいたように、認知症である方の年金が搾取されている場合に、権利擁護の観点から年金額等の情報提供が必要ではないかとか、それからまた、災害等で市町村役場が被害を受けて、氏名とか、そういった情報をその地域で機構しか持っていないような状況とか、そういう災害等の緊急時における情報の有効的活用、それから民事訴訟法第186条に基づく裁判所の調査嘱託に対する情報の提供などの要請が現実的にあるところでございます。
 そこで、この白丸ですけれども、年金個人情報の目的外に利用・提供できる範囲につきまして、事案の緊急性や公益性を踏まえて再検討する必要があるのではないかと。その際、情報提供により本人に不利益が生じるおそれがある場合、情報提供の可否は、情報提供により得られる公益と本人の不利益の比較衡量により判断することとなるかということでございます。
 それで、次のページですけれども、28ページでございます。この年金個人情報の目的外の利用・提供を求める規定例ということで、現在、老人福祉法の36条では、市町村は、官公署に、福祉の措置に関し必要があると認めるときは、報告を求めることができます。この件につきましては、運用で、本人の利益がある場合と解釈して、限定的に情報を今現在提供しているところでございます。
 それから、2点目、災害対策基本法ですけれども、これは、東日本大震災を受けまして改正が行われ、まさに6月21日に施行されたばかりでございます。この4項をごらんいただきますと、「市町村長は、被災者台帳の作成のため必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長その他の者に対して、被災者に関する情報の提供を求めることができる。」となっております。そうなのですけれども、今のこの機構法に照らしますと、この規定によっても、年金個人情報はなかなか提供できない状況になっています。それをちょっと29ページから説明したいと思います。
 まず、29ページですけれども、「日本年金機構法における年金個人情報の規定について」ということで、これは、個人情報保護法との比較の資料でございます。これも第1回かに御説明しているものであります。おさらいになりますけれども、まず1点目として、個人情報の範囲は、「死亡した者の情報も生存者と同様に扱う」と。それから、2点目なのですけれども、利用目的外の利用・提供の制限ということで、個人情報保護法の場合は、この表の左下ですけれども、「法令に基づく場合を除き」と書いてあります。それから、右の日本年金機構法においては、「法律の規定に基づき、年金個人情報を自ら利用し、又は提供しなければならない場合を除き」ということになっておりまして、左の個人情報保護法と比較して厳しい状況になっています。ですので、先ほどの災害対策基本法で「求めることができる」という「できる」という規定ですと、この38条では提供できないと。「法律に基づいて提供しなければならない」という規定でないと提供できないということになっています。
 それから、次、30ページですけれども、3点目として、目的外での利用・提供が可能な範囲の限定ということで、「判断の余地が生じないよう、より具体的に限定」ということであります。たくさん書いてありますけれども、左の行政機関個人情報保護法の一番下なのですけれども、下の3行に、「明らかに本人の利益になるとき、その他保有個人情報を提供することについて特別な理由のあるとき」と、「その他」という規定がございますけれども、右の年金機構法のほうですと、四、やはり右下の3行ですが、「専ら統計の作成」云々と書いてありまして、「又は本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるとき」ということで限定しておりまして、「その他」というのがございません。
 先ほどの実際の高齢者の虐待事案の場合は、この「本人の利益になる」という解釈をして年金個人情報を限定的に提供させていただいているという状況でございます。
 以上がこの2の論点のところでございます。
 以上でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 これから論点2についての議論に入りたいと思いますけれども、年金管理審議官も到着されましたので、事務局にこの7月に人事異動がありましたということですから、議論に先立って、まず事務局からその点の御紹介をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 では、手短に紹介させていただきます。
 樽見年金管理審議官でございます。

○年金管理審議官
 樽見でございます。ちょっとおくれまして済みません。どうぞよろしくお願いいたします。

○政策企画官
 次に、赤澤事業企画課長でございます。

○事業企画課長
 赤澤でございます。よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 私が、年金局年金記録回復室の梶野でございます。よろしくお願いします。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 それでは、議論のほうに戻りたいと思います。
 今、事務局から論点2について説明をいただいたところでございますが、大体1時間ほどという予定で委員の皆様から御意見、御質問などをいただきたいと思います。
 論点としては、先ほど事務局からも説明がありましたけれども、大きく言うと3つということになりますが、最初の2つの論点というものと、それから、3つ目の論点がちょっと性格が違うかという気がいたしますので、先に、まず論点1と論点2、つまり年金個人情報の正確性の向上に資する取り組みの点と、それから、本人自身による年金個人情報の確認の推進というこの2つについて、御意見あるいは御質問などをいただければと思います。
 ちょっと私から若干全体的な質問ですが、論点1で、年金個人情報の確認訂正手続の過程で取得した具体的事案・事例の分析ということが上がっているのですけれども、そうしますと、これは、その前提として、年金個人情報そのものを使うわけですよね。そうすると、これは、先ほどの論点3の年金個人情報の適正な管理というものには引っかからないという理解でいいのでしょうか。
 事務局、お願いいたします。

○事務局
 事業企画課事務局でございます。
 基本的には、年金個人情報、そうですね、参考になるのが、30ページの規定のところをごらんいただければと思いますが、右側の日本年金機構法の38条のところで、真ん中あたり、基本的には、政府管掌年金事業の運営に関する事務というところについては、年金個人情報を利用させていただけるということで、省令で限定列挙する形で使わせていただくという整理になっておりますので、基本的には、この「政府管掌年金事業の運営に関する事務」ということで、法令的にも適正に使わせていただくという整理になろうかと考えております。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 いかがでございましょうか。では、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員
 1点感想と、1点質問というか確認なのですが、今回のこの議論の中で確認手続のあり方が1つ論点になっていますが、やはり基本的には、事後的な訂正というよりは、事前的にきちんと年金情報が管理されることが望ましいわけでして、その意味では、この今回、今、議論しているこちらの特に論点1、こちらのほうが、むしろ重要なのではないかと考えます。
 その中で、感想といいますのは、やはり公的年金もこれから、特例水準が解消された後で、マクロ経済スライドが課題になっていますし、さらに企業年金の中で厚生年金基金もかなり縮減の方向で決まっていますし、その意味では、これから老後の所得保障という意味では、やはり国民一人一人がきちんと自分の将来のことを考えていかざるを得ないという社会にならざるを得ない面があるわけで、その意味では、今回、情報を提供する、情報を保障するというサービスの提供面ももちろんですが、そういった情報をその都度届けることで、国民の皆さん一人一人が、自分の将来の老後の所得保障のあり方というものを少しでも考える、そういう一助にもなるという面も私は評価したいと思っています。
 それからもう一点、確認ですが、論点2のところで、各種届け出を情報提供という、これはまさに大いに推進していただきたいところですが、先ほどの御説明の中で情報を見られるようにするという表現を使われたのですが、例えば、ねんきんネットで見られるようにするとか、あるいは直接届ける、通知をするという、ここはいろいろなやり方があると思っていまして、その提供の仕方によって、これは番号制度ともかかわってくると思いますが、この仕方によっては随分効果が違ってくるかなと。この辺の具体的な制度設計の仕方が重要になってくるのかなという気がいたします。まだそこまで詰めておられないかもしれませんが、もし何かありましたらお伺いできればと存じます。
 以上です。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 前半のほうは御意見ということだと思いますけれども、御質問のほうについては、事務局で何か今のところ検討しているようなこと、具体的に考えているようなことがあればお話しいただければと思います。

○政策企画官
 そこまでまだ具体的に考えておりませんで、私が申し上げたのは、まさに先生おっしゃるとおり、事業主が改定を通知したときに、ねんきんネットでもその情報を見られるようにするとかというパターンもありますし、何らか、もっと提供していくという場合もありますし、そこはまだ具体的ではないのですけれども、まずはそこも含めて御意見をいただければありがたいと思っているところでございます。

○岩村委員長
 よろしいでしょうか。

○菊池委員
 少なくとも今の段階では、ねんきんネットはまだ百数十万件という状況の中で、どうやって実質的に届けるかというのは、やはり費用の問題もありますけれども、できるだけ情報が届くように考えていく工夫が必要かと思います。
 以上です。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 では、年金のほうをお願いします。

○日本年金機構事業企画部長
 1点だけ、機構の事業企画部でございますが、補足いたしますと、例えば、電子版のねんきん定期便とかというサービスは行っております。それで、まずは現物で、物で、手紙もしくは封筒で、ねんきん定期便ということで誕生月ごとにお送りさせていただいていると。それから、ねんきんネットでは、電子版のねんきん定期便というものを作成しております。作成しましたら、作成しましたという形でのメールをお送りしております。これはメールアドレスで、送っていいよというところにだけお送りさせていただいて、それで、閲覧していただくというサービスをしております。
 また、いろいろな諸届が出たときに、それが反映されているのかどうかというのは、若干その手続のタイムラグがありますけれども、まさにねんきんネットというのは、例えば氏名の変更がされているとか、いろいろなステータスが変わりました、こういうものも反映させていこうということでやっていますので、それを、基本的には、リアルタイムまでは言いませんけれども、ある程度、手続が終わりましたらすぐに反映するような形にしております。
 これをどういうふうに使うのかというところが、やはり今後、使い方をいろいろ示させていただいて、こう使えば、こういう形で自分の記録を活用できますよというのも1つあるのかなとは思っております。

○岩村委員長
 首藤委員、どうぞ。

○首藤委員
 今おっしゃったねんきんネットのメールが、たまたまきのう私の手元に届きまして、それは、まさに電子版ねんきん定期便を見てくださいというメールなのですけれども、やはりこういうものが来ると確認するものなのですね。私は、きょうこれがあるというのもありまして電子版を見てしまったのですけれども、そういうふうに、今おっしゃったように、通知が来ると、見てみようという動機が必ず人間は働くわけでありまして、そういう導線といいますか、いろいろな各種届、自分の届は変更でもしない限り、恐らくねんきんネットに行こうという動機がなかなか出てこないということもあると思いますので、そういうメール等を活用して本人に通知していくというのは、これから大変いいことなのではないかと考えます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。では、斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 この論点1、論点2、両方ともに共通することだと思うのですが、自己責任ということをもっと打ち出してもいいと私は考えます。メールが来たら、それを開封して読むというのは、年金を受け取る人の権利であると同時に責任でもあるという啓蒙活動をもっとしてしかるべきではないかと思います。それをぜひ推進していただきたいと思います。
 論点2で、本人自身による確認の推進とあります。まさにそこだと思うのですが、雑事にかまけて確認をしない人は必ず出てきますので、ある程度、事業主のほうでも、本人に対して確認を促すとか、事業主の責任も少し担保させるような形の工夫をしてもいいのかなと思います。
 社保庁のころには、記録がなくなったり、正確でなかったりという、いわば負い目を負っていたので、自己責任と余り声高には言えなかったとは思うのですが、新たに年金機構が始まり、今これだけの取り組みをしているところですので、もう少しそのあたりを強く打ち出してもいいのかなと考えます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。今、斎藤委員が御指摘になった問題は、年金に関する教育の問題とも結びついているところでございまして、それ自体としては、この検討会の委員会の所掌の範囲外に出てしまうのですが、重要な問題ではあると思いますので、年金局、そして日本年金機構のほうでぜひ御検討をいただいて、幾らかでも年金の教育ということが行われるようになればいいなと思います。
 いかがでございましょうか。では、諸星委員、どうぞ。

○諸星委員
 論点1、論点2にかかわることなのですが、それぞれ、先ほど斎藤委員がおっしゃったように自己責任、まさにそうだと思うのですけれども、きょうの参考資料のところで、日本年金機構さんが、「届出にあたって「もれ」や「誤り」が多い事例」ということで、具体的に事業主側の誤りについていろいろお知らせをされているということで、この内容は、まさに先日、私が報告申し上げたような内容とイコール、やはりこれについて御本人側で理解があるのかどうかちょっと難しい部分があるのですけれども、今回の論点1と2の問題で言えば、やはり事業主側の問題がある部分、具体的事案や事例等の分析については、ここの部分も再度確認する必要があるのではないかと思います。
 実は私、7月に算定の調査の立ち会いで5カ所ほど、年金事務所に実地といいますか行ってまいりました。担当者の方々にそれぞれいろいろお話を伺ったのですけれども、やはりここに機構さんがまとめられたような漏れもまだまだ見られるということ、それで、特に月額変更の誤りのよる遡及事案が多いとのことでした。それから、地域差がかなりあるということですね。特に、飲食店が多いところは、実は入れかわりが激しくて算定届がそもそも出てこない。そうなると、保険者算定にならざるを得なくなってしまって、一般的には保険者算定というのは、資料が何もないわけですから前年度の金額で行ってしまう。それが、本人が多分わかっているかわかっていないかわかりませんけれども、そういった問題も非常にあるということなどを御指摘されていました。それから、職種によっても、事業主さんが、入らなければいけないから入りましょうと言っても、例えば手に職的なもの、一人親方的な方々を採用した場合は、社会保険加入について非常に抵抗が高いということもいろいろお聞きしております。
 やはりこのように日本年金機構さんが事業主側にいろいろ広報はされていますけれども、現場でも、もうちょっと、より広報の仕方の工夫が必要ではないかとの声もありました。ですので、事業主と、先ほどお話があったように、個人に対する広報方法を、先ほどネットでとおっしゃっていましたけれども、私も1回利用しましたが、先ほど首藤委員がおっしゃっていましたけれども、メールでその後連絡が来るのですが、、なかなか忙しくて見られないということなので、このあたりをやはり論点1、2を進める上では考慮していただきたいと思います。
 それから、論点3のところですが、これから個人情報の関係で、30ページ、日本年金機構の第38条、この具体的なものを、私は政省令、省令のほうを見てきたのですけれども、かなり限定列挙されているということです。先ほど、例えば27ページに戻りますと、認知症とか災害等の緊急時とか、民事訴訟法の関係と一応ありますけれども、限定列挙するとなると、やはりよくあるのは、レアなケースが出た場合どうなのかということがあるので、そこのあたりをどこまで広げるのか。あくまでも、でも、やはり限定列挙のほうが、やはり個人情報保護で言えばふさわしいと思いますけれども、レアなケースについてはどう考えられるのかということもちょっと疑問に思いました。
 先ほど、あともう一つ、27ページ、同じところに丸ポツの2番目で、「情報提供の可否は、情報提供により得られる公益」、この「公益」というのが一体何を言っているのかが私もよくわからなくて、どこまでの公益という、その解釈の仕方ですね、そこについてもし何かお考えがあるようでしたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
 以上です。

○岩村委員長
 ありがとうございます。論点1、2、それから3にわたってというとだったと思います。
 ちょっと私からで済みませんが、今の諸星委員の御指摘に絡めてなのですが、きょう、別紙1ということで日本年金機構さんから、先ほど諸星委員も触れられた事例であるとか、それから年金機構からのお知らせというのでまとめて出していただいているのですが、これは事業主サイドにはどういう形で届けていらっしゃるのかということをちょっとお聞かせいただければと思います。

○日本年金機構厚生年金保険部長
 厚生年金部長の鈴木と申します。よろしくお願いいたします。
 こちらのほうにつきましては、何かと時期、例えば基礎届を出す時期とか、そういった時期をとらまえまして、できるだけタイムリーな形になるように出しております。ですから、例えば年に1回しか送らないとか、そういうことではなくて、何かイベントがあるたびに、それに間に合うような形で送っているということでございます。
 せっかく発言の機会をいただきましたので、ちょっと申し上げますれば、あと、こういったチラシを送る以外にも、また、私ども事業所のほうに調査にお伺いした際に、いろいろ中身を見せていただいてやっておるということで、諸星委員からいろいろお話を伺いまして、例えば地域差がある、業種によってもいろいろ違うということで、なかなかいろいろなパターンがあるのだなという貴重な御意見をいただいたと思います。なかなかオーダーメードの指導というのも難しいとは思いますが、ただ、そこは、今申し上げたような調査とかの機会を通じてやっていきたいと考えておりますので、どうぞ御理解のほど、よろしくお願いしたいと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。追加の質問ですが、例えば「日本年金機構からのお知らせ」というものが2枚目から入っていますけれども、これは、事業主に悉皆的にばらまいているのですか。

○日本年金機構事業企画部長
 納入告知書を毎月、事業主様にお送りするときに同封するという形で送らせていただいております。だから、平成24年4月号とか、5月号とか、基本的には毎月、例えば6月であれば、賞与の支払い届の時期ですので、これは季節ものみたいなもので、毎年、「『賞与支払届』について」と書いて、下にまたトピック的なものも入れたりという形でのコミュニケーションの手段として使わせていただいています。

○岩村委員長
 ありがとうございました。
 多分、論点1と2との関係でいいますと、多分論点1のところでいろいろな事例を分析していただいて、この事業所調査あるいは適用対策に活用する。そして、先ほど菊池委員も指摘されましたように、記録が間違ってしまうのを未然に防ぐということは重要であると思いますので、多分ここのところは、皆さん余り御異論ないのではないかと思います。
 あとは、特に事業主サイドの関係で言えば、今、御紹介ありましたように、納入告知につけてこういうチラシを配っておられるということなので、そういったところをよりどう効果的にしていくかとか、そういった工夫を御検討いただくのかなと思います。
 それから、論点2のところは、やはり斎藤委員が御指摘のように、被保険者御自身で、自分の記録とか、そういったものがどうなっているかというところに関心を持っていただくということが、どうしてもここは不可欠になるだろうとは思います。あと、御本人にどうやって情報を届けるかということになると、先ほど菊池委員も言われたように、コストの問題もあり、なかなかできる範囲というのがどうしても限られてくるかなというようには思います。
 インターネットを使ってのウエブとか、それから電子メールというのは有効なツールであることは確かなのですが、これも、御本人が、例えばメールアドレスを変えたときも含めて機構のほうに連絡をいただかないと、もうその点でアウトになってしまうとか、いろいろなことがあって、やはりどうしても限界があるかなと思います。機構のほうでいろいろと取り組みをいただくにしても、どうしても限界があって、最後、御本人の自覚で行動していただかなければいけないというところが残ってしまうということはあろうと思いますし、そこは、やはり一般向けに広報して理解を求めるということがどうしても必要かとは思います。
 もちろん、多分事業主と同じように、被保険者についても具体的事案・事例を分析して活用していただくということについても、余り御異論はないかと思います。
 最後、マイナンバーの利用ですけれども、これは、うまく使えば有効なツールになるかなとは思いつつ、やはり最終的には御本人が自覚されない限りはどうしようもないという部分があるかという気がするのですが、ちょっとお尋ねしたいのは、マイナンバーの使い方ということについては、何か事務局あるいは年金機構のほうで、今の段階でのアイデアなりお考えというものがおありかどうかなのですが。
 では、年金機構さん、お願いいたします。どちらでも。では、企画課長、お願いします。

○事業企画課長
 マイナンバー自体は、平成28年1月に恐らく施行で、情報連携システムというものがもう1年後ぐらいおくれという形での施行となっていると思います。実際には、マイポータルという自分の情報を閲覧できるシステムができるということになっていて、それをどういうふうに利用するかという部分は、政府全体として、今、全体で検討しているということになります。
 情報連携システムのほうは、個人がそれぞれ個人の番号を持つわけで、それをもって各種の年金の届け出書類を省略するとか、そういう議論を今、進めておりまして、そこも今、政府全体の中で検討しているという状況で、ここで具体的に御報告できるという話ではないのですが、ただ、そういう中で、今回御議論になっているような話というのも、我々としては考えていく必要があるのではないかと思っております。
 具体的には、年金機構のほうから、いいですか。

○岩村委員長
 では、年金機構、お願いします。

○日本年金機構事業企画部長
 済みません、補足になるかどうかというのがありますが、実際法案自体が、先ごろ通常国会で通ったばかりですので、これから政令や省令や各種手続、こういうものを進めていこうということです。実際マイナンバーが付与されるのが平成28年1月、そして、情報連携システムで利用可能になるのが、たしか平成29年1月だったと思います。それにあわせて、私たちの年金機構でもシステムの改修等を進めていこうということにしています。
 1つは、マイナンバーが成ったときにどうなるかと。特にねんきんネットとの関係で少し私たちも検討する必要がございます。現在、ねんきんネットにつきましては、IDを私たちのほうから払い出させていただいて、それにパスワードとともに、それでアクセスをしていただくと。その際に、私どものほうは、例えばアクセスキーを御本人の御住所にお送りして、そしてネットで手続をしていただく、もしくは基礎年金番号で、アクセスキーなしに、申請していただくとID番号を御住所のほうにお送りするということで、1つは本人の確認手段という形でとらせていただけると。
 実際、個人番号ができたときに、個人番号を使ってどういうふうにして利用できるか。まさに個人番号自体は、行政機関の間での情報連携にまずは使わせていただいて、だからこそ、所得情報とかも情報連携でとることによって、添付書類を省略しましょうとか、そういう流れになるわけですが、実際は、例えばねんきんネットにアクセスをされるときに個人番号をどう使うのか、ここは、恐らくマイポータルのときに、本人の認証をどこまで進めるのかによってくるのかなということです。
 実際、日本年金機構でも関係の役所と意見交換を始めているところですので、その中でだんだん決まってくるのだろうと思います。ただ、例えば個人番号を持っているからといって、ねんきんネットに直ちにアクセスできるかといったら、それはちょっとなかなか難しいのではないかと。それからもう一つは、やはり御本人が情報をコントロールするとはいえ、実際、年金の情報まで御自身がどこまで操作できるか、ここら辺は非常に慎重に考えるところだと思います。そこは、記録というものをどう持つのか、それから、どういうふうにアクセスして、どこの範囲まで管理していただけるのかというところだと思いますので、今のところそんな感じで検討を進めているということでございます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 何か今の点について御意見あるいは御質問があれば。では、首藤委員、どうぞ。

○首藤委員
 これはまさに意見になってしまうのですけれども、先ほど自己責任が大切であると。まさに本人が気づかないとどうしようもないといいますか物事が前に進まない、それは非常によくわかるのですけれども、果たしてその自己責任を貫徹しなければならないほど人間は賢いのかというのは、私、常に思っていまして、卑近な話になってしまうのですが、例えばダイエットとか、お金をためるということ、何でもいいのですけれども、原理原則は考えてみれば簡単なことなんですね。ダイエット、入れるエネルギーより出すエネルギーを多くすればいい。誰でもわかっているのですけれども、ところが、誰でも原理原則はわかっているのに、成功する人が多いかというと、ほとんどの人が失敗するのですね。だからダイエット本が売れるということになるのですけれども、私は常々、人間というのは、原理原則がわかっていても、そのとおりに実行できない動物ではないかという仮説を立てておりまして、事ほどさように、それほど人間は優秀ではないのではないかと考えております。
 それをこの、例えばねんきん個人情報、今、ねんきんネットの、とにかくねんきんネットにアクセスしないと始まらない。ねんきんネットの時代だというのは私もわかっているのですけれども、やはり一度見てしまうと、先ほど諸星さんもおっしゃっていましたけれども、見に行かないと。しかし、見ないと更新情報も確認できないということですから、そういう仕掛けを、やはり見に行くような環境あるいは仕掛け、先ほどのメールもそうですけれども、そういうものは、やはりつくり続けなければいけないと思うのですね。そういうふうにくれぐれも、そんなに強い人ばかりではないので、情報弱者といいますか、まだパソコンを使えない人もいっぱいいらっしゃいますので、ぜひぜひゆっくりと、ねんきんネットとねんきん定期便と今、並行して走っていますので、その体制を当分崩すことなく慎重に進めていっていただければと感じました。

○岩村委員長
 ありがとうございます。私も、自己責任が全てだと言ったつもりはございませんで、やはりどうしても、例えばメールでやるにしても、やはり限界があるのでというので、そこから先はどうしても自己責任の部分になってしまうところがありますという、そういうことでお話をしたつもりです。
 では、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員
 あえてというか、今のお話に続けてということになるのですけれども、これは1つの仮説にすぎませんけれども、きちんとこういった年金情報の管理をしておられる事業主さんがおられると思うのですね。そこは、ひょっとすると余り事業に移動がない、安定した雇用が多いかもしれない。必ずしもそうではない事業主さん、それが中小だということは言いませんけれども、そこで、ひょっとすると労働者の方の移動も総体的に多いかもしれない。そうすると、やはり、本当は最も情報をしっかり持っていていただきたい方に、意識づけの面でも、置かれた状況の面でも、最も情報が届きにくいという可能性が常にあるので、やはりそれは念頭に置きながら進めていく必要があるなと、今、首藤委員のお話を伺っていて感じた次第です。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 では、斎藤委員、どうぞ。

○斎藤委員
 少し前の話になりますけれども、別紙のところにある年金機構からのお知らせのチラシ、私は愛読しております。今、会社を2つやっているのですが、1つは経理の人間がベテランではないので、こういうものは全て私の手を通してから担当者に渡すようにしています。ですので、このチラシはよく読んで、それで、担当者に指示を出すようにしています。もう一つの会社のほうは担当者がきちんとしていて、また、社労士にも来ていただいているので、そちらのほうは私の目に入ってきません。小さな組織で、経理の担当者がベテランでないと、事業主のところには、きちんと届いているのではないかと私の経験から思います。
 それから、マイナンバーのことなのですけれども、お願いがございます。マイナンバーの番号がある、それから、ねんきんネットの番号があると、いろいろな番号が入ってくると、また間違いのもとになります。どちらかは更新されたけれども、どちらかが更新されないというような事態になることがありますので、そのひもづけの仕方、あるいはマイナンバーに統一するとか、何かそのあたりのことを今後お考えいただけたらと思います。
 それから、メールアドレスというのは、もう生活の一部になりつつあります。まだそういうものを御利用なさっていない高齢者の方、あるいは目の御不自由な方、いろいろいらっしゃるかと思いますけれども、大半の方はメールアドレスをお持ちになっている時代であるということを考えれば、届け出に、住所その他記載を求めていますが、メールアドレスも記載を求めることを考えていいのではないでしょうか。
 会社をやめたときには、会社のアドレス、ドメインネームが変わりますので、それを年金機構のほうにお届けするという仕組みをつくっておくというのも1つ必要なのかなと思います。メールはなくても、携帯のショートメッセージなら、別にアドレスがなくても通じるわけです。何か簡便な形で、いつもコミュニケーションを年金機構のほうからできるようなプッシュ型のコミュニケーションをいろいろ工夫していただけたらと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 多分、メールというのは有効な手段になることは、私もそう思うのですが、一番厄介なのは、本人の確認の問題とか、そういうところが、恐らく一番厄介かと思いますが、年金機構、お願いします。

○日本年金機構事業企画部長
 先ほどの電子版定期便ができましたということで、メールでお送りします。首藤委員もお受け取りになられて、御存じかと思いますが、あれは、できましたという情報だけをお渡ししておりまして、定期便自身をお渡しするというのはやっておりません。できたので見ていただきたいということです。
 メールアドレスは非常に有効でございますし、私どもも、基本的にはねんきん定期便を郵送するのではなくて、御希望によっては、郵送ではなくて、ネットでごらんになられるという希望であれば、そういう形で対応を進めているところでございます。そういうこともあるので、やはりこれから先は、このアドレスをどういうふうに活用するかということについては、機構としてもよくよく考えたいと思っておりますし、どういう形でやるのか、そういう基本的な考え方も整理したいと思っております。

○岩村委員長
 多分有効だと考えられるのは、よく企業などでやっているように、御案内のメールを送っていいですかというのがあって、それにチェックすると、定期的に何か案内が来るというのがあるので、1つ考えられるのは、ひょっとすると、個人情報そのものではなくて、啓発的な内容のメールを時々お送りするというのは考えられるのかもしれませんし、それは有効なのかもしれないということはあるかと思いますが、いずれにしろ、その辺もまた含めて、機構のほうで御検討をいろいろお願いするということかと思います。
 あと、やはり社会保障・税番号との関係で言うと、これが施行されて、一般化していくと、皆さん、一般的にこれを念頭に置いていろいろなことを行動するようになっていくだろうなとは思いますので、既存のいろいろな基礎番号、基礎年金番号はやめられないとか、いろいろな問題がありますけれども、そういった問題をシステム上解決しつつ、やはりこの社会保障・税番号というものが、今後普及して一般化していくということを念頭に置きながら、制度設計とシステム設計を考えていただくのがいいかと個人的には思います。
 何せ、システムは、1回つくると、つくり直すのは大変なことになるので、なかなか先を見通してつくるというのは難しいのですが、ちょっとその辺もぜひ御検討いただければと思います。
 1、2がよろしければ、先ほど諸星委員もお触れになっておられたのですが、論点3についてお願いしたいと思います。
 諸星委員から先ほどちょっと御質問、コメントがありましたので、もし事務局でお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

○事業企画課長
 先ほど諸星委員から1点目にございました、細かくケースを書くと、その他の部分が漏れてしまうのではないかという御指摘でございます。この問題の問題点というのは、現行の機構法はかなり細かく書いているわけですけれども、先ほども事務局から御説明させていただきましたように、例えば本人の利益になる場合とか、それから、特別な理由がある場合とか、そういう個別ケースを書いていないケースで物事をやろうとすると、えてして行政、いろいろな部分で萎縮した情報提供になってしまうということではないかと思っています。
 本日の資料の27ページで「災害等の緊急時における情報の有効な活用」と書いてございますが、事務局から御説明させていただきましたこの28ページの災害対策基本法の経緯も、いわゆる災害時の要援護者、高齢者の方とか、障害者の方とか、そういう方に対して、情報の提供を個人情報保護法上できないことはないのだけれども、明確に書いていないので、どうしても行政機関が萎縮してしまうという現象が生じていたことでなされた改正だと私も理解しておりまして、そういう意味では、今回、日本年金機構法の中で御指摘いただいたようなケース、まさしく今回上げさせたようなケースを個別列挙することによって、安心をもって情報提供できるのではないかと考えているところの点を上げさせていただいたということがございます。
 一方、諸星委員おっしゃっていらっしゃいますように、個別で書いてきますと、大きな部分がなくなってしまうということも、それはそのとおりでございまして、まさしくそこは、やはり今もあります本人の利益になるという部分のような規定とか、それから、特別の理由があるという、今、個人情報保護法にあるような規定、こういう部分を残して、そういう部分をできるだけ広げるような形にしつつ、しかし、実際の世の中において、非常に必要性が高いと思われるものについては、レベルは法律、政令などでいろいろあると思いますが書き込んでいくという対応が必要なのではないかということで御議論いただきたいということでございます。
 それから、ちょっと私の理解が足りないのかもしれませんが、先ほどの公益という議論でございますけれども、まさしくこの27ページに出ております案件で見ていただきますと、この一番最後の「民事訴訟法186条における裁判所の調査嘱託」というのは、いわゆる民事訴訟における裁判所の調査という部分ですが、これは必ずしも本人の利益にならないような場合も当然出てくるわけでございまして、だけど、全体から見れば、裁判所が関与しているのだから、調査をお願いしているのだから、やはり情報提供すべきではないかというような判断もあるのかと思います。一般的に公益というのがどこまでになるかというのは、まさしく本日こちらに来ていただいている先生方のほうが非常にお詳しいのではないかと思いますが、そういう観点から、そういう特別の理由がある場合、本人に不利益が生じても、特別の理由があって、社会全体で見ればやはり情報提供すべきだという部分について、本人の不利益も比較衡量しながら判断する必要があるのではないかと考えているところでございます。
 以上でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 今の事務局から説明いただいたことに関連して、もう少し具体化できればと思うのですが、「民事訴訟法第186条に基づく裁判所の調査嘱託に対する情報の提供」ということで、差し支えない範囲で、具体的にはどういったものが問題になるのかというのが、イメージを持つために、もし可能であれば御説明いただければと思いますが。

○事務局
 過去、実例としてありましたのは、亡くなられた方の年金額について裁判所から照会されたことがございます。その訴訟事件のほうが、遺産相続の関係だったと思いますけれども、遺産相続の関係で争っていらっしゃったものについて、裁判所から、亡くなられた方の年金額についてということで照会が過去にあったと記憶しております。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 今の例だと、問題そのものは私益なのですよね。私の利益なのですが、多分、そこで言っている場合の、ここでの公益というのは、そういう問題ではなくて、やはり裁判所が判断をするのに必要であるという意味での、つまり司法の権限行使にとって必要であるという意味での多分公益ということなのだろうと思います。したがって、同様に、例えば行政の職務の遂行上必要であるというようなものとかというのも、ここで言う公益ということの中身として考えられるということになるのかなとは思います。
 どうぞ、池田委員。

○池田委員
 虐待案件のことでもよろしいでしょうか。

○岩村委員長
 どうぞ。

○池田委員
 28ページに老人福祉法を書いていただきまして、この36条のところを書いていただいたのですが、実際にこの措置というところでは、実は、別にあります高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の9条で、これも措置に関係することが出てくるわけですが、これも読み込んで、虐待を含む措置と考えてよろしいでしょうか。確認させていただきたいと思いますのは、この30ページのところの日本年金機構法の38条で、先ほど来出ております、明らかに本人の利益になるときと解釈することによってということを先ほど強調していただいているのですが、この虐待のときは、本人の利益になる、つまり、自治体が虐待案件として審査・認定している場合には、改めてこの年金機構で、本人の利益になるのだというところで、二重に判断することなく、自治体が虐待案件として認めている場合は、それはもう本人の利益となると読んでそれをしていただけると考えてよろしいでしょうか。また二重にそこで判断をされるといって、自治体は虐待案件として認定しているけれども、そこはそうでもなさそうなのでというようなことになってしまうと、実質的に進まないということもありますし、現実に私は虐待の対応関係で、自治体等のバックアップをしているときに、これに関するところで、認知症等によって委任状等に署名できないために、本人の同意ができないということを証明するために、認知症であることを証明してからでないと虐待対応としては、でも、その認知症の、本人が現実にそうであったとしても、診断を受けに行けるような状況でないところから認定しているということになっていますので、そこいら辺の確認をさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

○事務局
 池田委員からの御指摘につきまして、今現在、いわゆる高齢者虐待事案の関係での情報提供を市町村から求めていただいている根拠条文としましては、まさにこの老人福祉法の36条に基づくところで情報提供をお求めいただいているというところでございます。その場合、情報提供を求める理由というものを書面に書いていただいた上で照会を受けている、現状、そういう形で運用はされているところでございますので、基本的には、市区町村から、こういう虐待事案の調査のためという形でその理由をお付けいただいておりますので、その個別の判断を年金事務所の側で更にやるというのは、逆に余り現実的ではないのかなと考えている次第でございます。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 質問ですが、私もよくわからないのですが、一般法である行政機関の個人情報保護法のほうだと、「法令に基づく場合を除き」となっていて、全部個別法令に投げてしまっているのですが、この場合は、一般法の解釈としては、要するに開示要請があれば、今、池田委員が御指摘になったように、それを受けた行政機関のほうで本当に開示の要件を満たしているのかどうかをもう一度判断するということは、一般法としてはしていないのでしょうか。

○事務局
 通常、一般法では、そこまではしていないと承知しております。

○岩村委員長
 していない。一般法がやっているのにとなるとちょっと話が変わってくるのですが、一般法でしていないのであれば、今おっしゃったような運用ということでも問題はないかと思います。
 大橋委員、この個人情報のほうの開示の問題、情報提供のほうですが、目的外で何か御意見なりございましたらお願いしたいと思います。

○大橋委員
 多分この目的外の利用・提供という意味では、大きく分けて、本人の利益になる場合と、それから、公益上必要な場合という2つのグループがあると思うのですね。先ほど、例えば公益上必要な利用・提供について制限列挙にすると、やはりレアケースが落ちてしまうおそれもあるのではないかと。必ずしも公益性についてだけではなかったかもしれませんけれども、その制限列挙に関してレアケースというお話があって、それはもちろん非常に重要な話だとは思うのですけれども、やはり公益性を理由として情報開示する場合というのは、まさに本当にこの年金個人情報というものが、なぜこれだけ厳格な保護を受けているかということをきちんと踏まえた上で考えなければいけない話であって、余り包括規定で、個別の判断で開示できたりできなかったりすると、その人が、その場合の開示の必要性と、それから、その開示されることによって害される個人の利益が不安定な状態になってしまう可能性があるかなと。
 やはりこの公益を理由とする利用・提供については、きちんと一定の法令レベルなり明らかな形で、余り現場でも迷いがないような形できっちり、こういった場合にはできるとリストアップしておいたほうがいいのかなと。その場、その場で公益と本人の不利益の利益衡量をするというのは、余りよろしくないのかなという気もしたのですけれども。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 多分つくり方としては、もともと今のこの年金機構法の38条が、きょうは抜粋になっていますけれども、30ページにも具体的ケースを列挙するというような形になっているので、したがって、きょう、今、問題になっているようなものも、法律で書くかどうかはともかくとして、政省令に落とすにしても、やはり列挙するというような、具体的ケースとして指定できるものは列挙するということになると思うのですが、最終的には、先ほど来問題になっているレアケースの扱いをどうするかというのが問題になるのかなと思います。既にわかっているような、きょう例として上げられている認知症のケースであるとか、緊急時の問題であるとか、民事訴訟法のこの調査嘱託というようなものについては、これは、例えば政省令で列挙するということができると思うのですが、最終的にぎりぎり詰めていったときに、まだないけれども、ひょっとするとほかにもあるかもしれないというものをどうするかというのは、最後ぎりぎり残ると思うのですね。
 ですから、列挙できるものは列挙したほうがいいと思うのですが、最後ぎりぎりのところは、一般法である個人情報保護法のほうでは、保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるときというような、若干、かなり限定的ではあるけれども、一般情報的なものを置いてレアケースをカバーするような形にしておくというのが、1つの考え方ではあるのですね。
 多分、「特別の理由があるとき」と書くと、「その他これに準ずる場合」というよりは狭いのでしょうね。法技術的にはどうなのですか。法制局的には、狭いという意味ですよね。
 どうぞ、諸星委員。

○諸星委員
 先ほどの質問に関しては企画課長からの回答で私は納得しました。実は、限定列挙というのはやはり必要でありまして、私は、審査会に行ったときに、すごく困ったことがあるのですね。限定列挙はそれでいいのですけれども、そうでない場合の、先ほどちょっとレアケースにこだわったのは、実は、年金の中身では、本当にあり得ないだろうと思うぐらいのレアケースが出る場合があるのですね。鈴木委員が所属されていた第三者委員会でも、多分そういうケースがあって、その都度対応していたと思います。ですので、基本的に限定は必要なのだけれども、では、レアケースをどこで見てあげるのかという部分で、先ほど回答いただいたので、私はそれでお願いしたいと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 大体きょう列挙されたものについては、それほど皆さん御異論がないと思いますが、ただ1つ、恐らく認知症の高齢者等への対応について、情報の活用ということで、年金事務所のレベルでそれをやると、年金事務所が今度は家族間の紛争に巻き込まれる、そういう別の問題も発生するので、実務的にはそこのところをどうするかというのが1つ考えどころかとは思います。
 どうぞ、鈴木委員。

○鈴木委員
 幾つかあるのですけれども、まず、今、委員長が言われた認知症の高齢者の対応の問題なのですけれども、やはり虐待が絡む、特に経済的虐待が絡む場合は、もうその関与している家族が物すごく抵抗が強いですし、成年後見人として弁護士なり第三者が関与する場合には、それまでお財布を握っていた御家族から、後見人がついた段階ですら、かなり抵抗が厳しいような状況ですので、きちんと権限のある後見人がついてもそうなのですから、そうではない、もっと緊急的なその前段階の場合でも、ある程度考えて対応するのがいいのかなと思いまして、限定列挙で対応される場合でも、その対応の仕方を考えたほうがいいかとは考えています。
 その点については私の意見ということで述べさせていただければと思うのですが、あともう一つ、いわゆる調査嘱託に関してですけれども、先ほど公益性ということで、裁判所の判断に必要という意味での公益性ということなのですが、実際の調査嘱託の流れを言いますと、まず、民事訴訟法ですので、当事者、原告、被告がおりますけれども、どちらかの申し立てで裁判所が採用して行うということなのですが、そうしますと、先ほど死亡された方の年金額を、要するに、多分遺産分割ないし遺産確認の訴えか何かで申し立てされたのであろうと思うのですけれども、御本人は亡くなられているので相続人の利益ということになるかと思うのですが、訴訟ですので、誰かの利益になって、誰かの不利益になると。両方の不利益になる場合もありますし、どっちにもならないケースもあるので、利益というよりは、訴訟上、当事者が立証に必要だから申し立てるというような観点でいうと、やはり私益に近いのかなという感想はちょっと持っています。
 裁判所の判断という意味では公益性なのですけれども、結局のところ、調査嘱託を申し立てた段階で、恐らく一方の当事者もそれでいいですよということで、事実上、了解している場合が多いので、関係者、当事者であったり、利害関係人であったりする人の事実上の同意が得られているケースが多いので、余り問題がないかとは考えています。
 以上です。

○岩村委員長
 ありがとうございます。調査嘱託も、おっしゃるようになかなか、いろいろ微妙な問題はあるのだろうと思うのですが、他方で、裁判所から要請があったときに、断るというのも非常に難しいのかなという気はするのですね。そこはどうでしょうか。民事訴訟法の186条でもう条文があるので。

○鈴木委員
 そうですね、実際に申し立てする場合に、断られるのでやらないで、こういうものをそろえてくださいと事前に裁判所から言われることはあります。例えば、銀行の預金絡みで、本人の同意がとれないケースですね。例えば、相手方の預金の履歴を取り寄せたいというような、幾らありますかみたいなものを申し立てる場合に、一方の当事者が拒否した場合には、銀行は、申し立てたとしても、本人の了解がなければ出せませんというような一方的な回答をするだけになりますので、そういうケースはあります。
 もう一つあるのは、カルテですね。カルテは調査嘱託ではないのですけれども、送付嘱託という形で、コピーの申し立てを行いますと、病院によっては、了解が、同意書がなくても送ってきますけれども、病院の対応によっては、患者さんの同意書がなければ送れませんということで一方的に拒否されることもあるので、必ずしも裁判所が言ったから拒否しづらいという環境ではないのですね。

○岩村委員長
 ありがとうございます。それは、もしこの民事訴訟法の186条に基づく調査嘱託に対しての対応というものを考える上での非常に参考になるお話だったと思いますので、事務局のほうでも考慮していただければと思います。
 そうしましたら、論点3は大体よろしいでしょうか。

○池田委員
 済みません、もう一つだけ。

○岩村委員長
 では、池田委員、どうぞ。

○池田委員
 先ほど虐待のことを鈴木委員も言っていただきましたけれども、私、先ほど来聞いておりまして、第1の論点も第2の論点もそうですが、60代ぐらいの年金をいただくころの方が皆、メルアドをなかなか持てる環境とは考えづらいところ、特に地方ですとか、特に第3次産業の方々も含めてそうでない方々も多い中で、情報アクセスの不平等性には十分注意していただきたいとともに、年金も、先ほど来から虐待のことですとか出ておりますし、認知症ということでわざわざ書いていただいていますけれども、本人のものだけれども、自分でその年金の権利を守れるという方だけが、その年金をずっと持てるということは困るのです。やはりこれは、年金情報については、そういうときには自治体が虐待防止法に基づいて、もしくは独居認知症ということで、その方の状況を確認させていただかないと、現に、独居の認知症の方が遺族年金とかをもらっているのに、生活保護措置で入所から入院になりまして、その間の期間、全額、後で、後見人が1年以上もたってから確認したら、遺族年金で10割負担で、生活保護費の医療費ですから払わなければいけないというようなことができていまして、自治体で確認できなかったのか、逆に、後見人として不作為を自治体に問いたいぐらいだと言ったら、確認できなかったというようなことがありました。先ほど来の虐待対応などでは年金機構等が巻き込まれないようにすることも大切ですけれども、必要なことについては、きちんと自治体というところで認定していくというところでは、対応していただかなければいけないことについては、改めて、この年金個人情報というところの重要性が大きくなっていますので、再確認させていただきたかったので発言させていただきました。

○岩村委員長
 ありがとうございます。多分2つの問題があって、1つは、もちろん年金機構なり年金制度側の問題なのですが、他方では、市町村の老人福祉関係あるいは高齢者虐待との関係の行政の実務ないし法の枠組みの問題かと思いますので、年金のほうで対応できるものは可能な限り対応できるだろうと思います。

○池田委員
 情報開示について。

○岩村委員長
 はい、ありがとうございます。
 そうしましたら、特によろしければ、残り時間がそれほどないのですけれども、論点1にちょっと戻らせていただいて、前回いただいた議論について事務局で整理していただいています。それについて御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○政策企画官
 それでは、資料1の1ページですけれども、この1でございます。
 それで、済みません、4ページに前回の議論の方向性を整理しておりますので、御説明させていただきます。4ページの(1)、これは、確認訂正手続の法的位置づけについてどう考えるかという論点、それから、5ページですけれども、これは国民年金の確認訂正手続をどう考えるか、この2つの論点です。きょうの新しい資料はこの6ページです。
 前回の議論の方向性でございますけれども、菱形の1つ目、事業主の届け出漏れ・誤りが起きている現状を踏まえれば、被保険者等が厚生労働大臣に対して「直接」確認を求める請求とすることが妥当ではないか。それから、2つ目ですけれども、記録訂正の根拠となる行政処分を請求することとする場合、厚生年金については、現行の資格の得喪の確認請求に類する手続を行政処分ごとに設けることになるのではないかと。それからまた、国民年金については、被保険者資格の得喪や保険料の納付状況の確認等において、今、処分を伴わないため、制度の仕組みや考え方自体を変えることが必要とならないか。それから、3つ目でございますけれども、むしろ請求者の利便性を考慮すれば、記録の正確性の確認を求める請求とするのが簡便ではないか。記録の正確性を確認した結果、これを受けて行政機関みずから過去に行った行政処分について変更等を行って、記録を訂正する旨規定することは、法的に可能ではないかということでございました。
 それから次に、7ページ目、これは、確認訂正手続の対象範囲について御議論いただきました。
 8ページ目ですけれども、前回の議論の方向性としては、年金個人情報の訂正範囲につきましては、現行の総務省の第三者委員会においても、資格の得喪とか種別の変更など、要は給付額の決定等に反映される事項を調査審議しているということでございますので、当該事項を確認訂正手続の対象とすることが妥当ではないかという御意見が多かったと認識しております。
 それから、9ページですけれども、「国民の立場に立った調査審議」ということで、(1)ということで、これは、その証拠収集を行う主体について御議論いただきました。
 それで、10ページ目が新しい資料ですけれども、前回いただいた議論ということで、菱形の1点目、第三者委員会での経験も踏まえ、年金個人情報の確認手続につきましては、本人の証拠に加え、行政機関側が調査することを明確にすることが重要ではないかと。行政機関等が国民の立場に立った調査を行う場合、現行の総務省の第三者委員会の調査範囲が参考となりますが、一部の場合を除き、当該委員会の調査は相手方の任意に基づいて行われているものであるため、法律上、調査対象機関に情報を求める根拠規定を設けることが必要ではないか。それから、3点目、調査に係る規定を法的に設ける場合、調査・情報収集の対象となる関係機関への義務を課する程度・範囲については、対象となる関係機関に応じて慎重に考える必要があるのではないかという御意見だったと認識しております。
 それから次、11ページですけれども、(2)ということで、年金個人情報の確認訂正の調査審議に必要な「判断基準」について御意見をいただきました。
 それで、12ページですけれども、前回いただいた御議論として、2の(1)の論点、証拠収集を行う主体の論点での議論を踏まえ、行政機関側が収集すべきだということですから、仮に年金個人情報の確認訂正手続において、行政機関等が国民の立場に立った調査を行うことを法的に位置づけるのであれば、疎明レベルとされるケースは限りなく少なくなるのではないか。米印、「明らかに不合理ではなく一応確からしい」という基準で判断するかどうかの検討に当たりましては、まずは、むしろ国民の立場に立った調査を実施することが重要だという御意見がありました。
 それから、次ですけれども、(3)年金個人情報の確認訂正に必要な調査審議のあり方についてということで、ここの前回の御議論ですけれども、14ページでございます。
 14ページ、公的な決定に際しまして、通常、民間有識者(第三者)が関与するものにつきましては、専門的な知識が必要な場合や、利害関係者の意見を考慮する場合などが想定されますが、これまでの年金記録問題の経緯を踏まえ、公平性・公正性を高める仕組みとすることにより、公的年金制度の信頼の確保につながることに鑑みれば、民間有識者が関与する手続としたほうがよいのではないか。ちょっと長いですけれども、民間有識者の関与の手続をしたほうがいいということでございます。
 それから、15ページです。3点目として、「司法手続きへの移行も考慮した確認訂正手続き」ということで、まず1点目、その処分性ですね。(1)確認訂正に処分性を持たせることについてということで、それから、次の16ページです、(2)確認訂正の不服申し立てについてどのように考えるか、この2つの論点でございます。
 17ページ、前回御議論いただいたものでありますけれども、菱形の1点目、2の(3)の論点、民間有識者の会議による審議という論点でございますけれども、仮に決定に当たり民間有識者が関与する仕組みとするのであれば、迅速な確認訂正手続を確保する観点から、社会保険審査官・社会保険審査会制度の対象としない考え方もあるが、どうするか。また、同じ民間有識者(第三者)で構成される審議機関が再度不服申し立てを受けるという考え方もありますが、決定にかかわった審議機関が不服申し立てを受けることは、妥当ではないのではないか。それから、不服申し立ては、厚生労働大臣に対して行うこととすることも考えられるのではないか。それから、2点目ですけれども、民間有識者(第三者)の審議を経た厚生労働大臣の回答(処分)を争う場合、不服申し立てとするか訴訟提起とするかは、本人の選択とすべきではないか。それから3点目ですけれども、厚生労働大臣の回答に処分性を持たせない場合であっても訴訟への移行は可能という考え方もありますが、個人情報保護法において処分としての訂正決定等が規定されているところ、それに類似するものとして、処分性を持たせる仕組みとするほうがわかりやすいのではないかという御議論を前回いただいたということでございます。
 以上です。
○岩村委員長
 ありがとうございました。
 今、論点1については、前回の議論をまとめていただいたということで、きょう資料を御用意いただいておりますけれども、今、御説明いただいたことにつきまして、何か御意見あるいは御質問ございますでしょうか。菊池委員、どうぞ。

○菊池委員
 前回、私は最初に非常にかたい議論を申し上げて、そのまま言いっ放しで帰ってしまいまして、その後、委員の皆様の御議論を議事録で読ませていただいて、よくその内容がわかりまして、この議論の方向性で私自身も異論はございません。
 1点だけちょっと感想を述べさせていただきますと、14ページで第三者性の話で、これは仕方ないと思っていますが、ただ、本来、公平性・公正性を担うのは行政であるはずであって、それを第三者にゆだねざるを得ないというところが、何とも仕方ないのかなというところでありますが、さらに、要するにこの部分で、ちょっと言い方が変ですが、行政は汗をかかないという、ここのところでですね、ぼんと投げてしまうことができる。
 それを、今までの緊急避難的な仕組みであればさておき、恒常的な年金法の仕組みとして入れるということは、やや違和感がなくはないです。ですから、これが5年後、10年後にここで議論して仕組みづくりを考えるということであれば、私は、こうではない、行政がしっかり責任を持ってこの分を担保するということもあり得るのではないかと考えたりもするのですが、しかし、だからといって、この現在の状況で、まさに書いていますように、これまでの年金記録問題の経緯を踏まえますと、今この時点では、やはりこうせざるを得ないのかなということで、決論的には納得しております。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 きょうのこの事務局でつくっていただいた資料、議論の取りまとめというのは、要約というのは、各論点についての一定の方向性というものが大体出ていると思うのですが、実は両論併記になっているところが1カ所ありまして、17ページでございます。今、菊池委員がおっしゃった、確認あるいは訂正の決定を民間有識者で構成する委員会か何かが関与する仕組みとしたときの、その不服申し立てのルートをどうするかという問題がありまして、社会保険審査会のほうにのせるのか、それとも厚生労働大臣に対する不服申し立てとするのかという論点がございます。
 前者は、多分問題点としてあるとすると、民間有識者が既に関与して行った仕組みについて、さらに審査官・審査会というような、今の2段階の不服申し立てルートをつくるのかという問題があって、例えば社会保険審査官は飛ばして社会保険審査会に行くようにするとか、そういう考え方もあるのかもしれない。後者は、厚生労働大臣に行うということになるとすると、逆に、もう一つの問題としては、民間有識者で審議して一定の結論を得ているものを、さらにもう一回、今度は厚生労働大臣に対して行うということが妥当なのかという別の問題が出てきてしまって、難しい話なのですが、何か感触だけでも伺えればという気がいたしますけれども。
 では、菊池委員、どうぞ。

○菊池委員
 素人なのですが、若干気になったのですけれども、一方では、この従来型の処分をもとにするとかちっとした仕組みがあって、1つ気になったのは、これはこれ、あれはあれなので両立できるということなのだと思うのですが、こういうふうに両方かませてしまって、その点がどうなるのかなというのがやや気になったのですけれども。

○岩村委員長
 審査会をかませる場合ですか。

○菊池委員
 はい。

○岩村委員長
 それは、多分、法制度のつくり方によってということになりますが、多分、問題となるのは、社会保険審査会のほうも、そういった不服申し立てを受けられるような審査会に改組する必要が出てくるかもしれないということかとは思います。今の社会保険審査会というのは、基本的にはほとんどが医学的な問題をやっていますので、必ずしも法的な問題をそれほどやるという体制にはなっていないものですから、前者のルートにするとすると、審査会自体を少し、そういう法的な判断もできるような枠組みに変えなければいけないということが出てくるとは思います。
 大橋委員、どうぞ。

○大橋委員
 この今回の確認訂正の不服申し立ての手続というのは、私は前回も似たようなお話をさせていただいて、あくまで個人情報の訂正制度の年金バージョンという位置づけであって、保険審査官とか審査会が行う、いわゆる処分の内容には立ち入らないというような位置づけという整理で今まで議論がされてきたような気がするのですね。やはりそういった形で、あくまで本当に情報の正しさだけを担保するための仕組みとしてするのであれば、やはりそれについて不満を持ったときに、保険審査官・保険審査会制度を経由するというのは、若干、法制度としてきれいに整理できる可能性はもちろんあるのですけれども、やはり一般国民の目から見てちょっと混乱してしまうかなと。もし違う性質のものだということにするのであれば、もうぱっかり分けてしまったほうが気持ちがいいのかなという気がするのですけれども。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ほかによろしいでしょうか。ありがとうございます。
 時間にもなっておりますので、もしきょう、論点1、論点2、全体を通して、ほかにもう少し発言したかったというようなことを後でお気づきでありましたら、個別にで結構ですので事務局にお寄せいただきたいと思いますし、また、事務局から、場合によっては、個別論点について委員の皆様方のところに御意見等をあるいは伺うということがあるかもしれませんが、その節は御協力をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本日の審議はここまでということにさせていただきまして、次回の専門委員会でございますけれども、これについて事務局から何か連絡がございますでしょうか。

○事業企画課長
 本委員会の次回の開催日時でございますが、追って事務局から連絡させていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。

○岩村委員長
 ありがとうございます。
 ちょっと委員長の不手際で若干時間をオーバーしてしまいまして申しわけございませんでした。本日の審議はここまでということにさせていただきます。
 御多忙の中、御参集をいただきまして本当にありがとうございました。


(了)


※(連絡先)
厚生労働省年金局事業企画課
03-5253-1111(内線3574)

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