ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成25年度化学物質のリスク評価検討会> 第2回 平成25年度化学物質のリスク評価検討会 議事録(2013年5月24日)




2013年5月24日 第2回 平成25年度化学物質のリスク評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成25年5月24日(金)  15:30~


○場所

厚生労働省 19階 専用第23会議室


○議事

○岸室長補佐 本日はお暑い中、また大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより第2回化学物質のリスク評価検討会を開催いたします。本日は西川先生と津田先生が所用のために欠席でございます。
 それでは以下の議事進行を名古屋先生にお願いいたします。
○名古屋座長 それでは事務局から資料の確認をよろしくお願いします。
○岸室長補佐 資料につきましては、お手元に配布しておりまして、議事次第の後ろに配布資料一覧がございます。
 資料といたしましては、資料1~資料5までで、資料1が「フタル酸ビス(2エチルヘキシル)の初期リスク評価書(案)」、資料2が「リフラクトリーセラミックファイバーの初期リスク評価書(案)」、資料3は「ジメチル-2,2ジクロロビニルホスフェイト(DDVP)の詳細リスク評価書(案)」、資料4としましては「発がん性を有する有機溶剤の今後の対応(案)」、資料5としては「今後の予定について」ということです。
 参考資料としましては、参考資料1、2、3とございまして、その後ろにその他資料として、1冊、数枚ホチキスでとじたものを一緒に付けております。
 また机上配付としましては参考資料4、5があります。それとそのあとにA4の資料1枚とA3の資料1枚を配布しております。資料としては以上です。
○名古屋座長 資料は大丈夫でしょうか。よろしいですか。
 それでは本日の議事に入りたいと思います。第1で、平成24年度ばく露実態調査対象物質のリスク評価ということで、事務局から1物質ずつ、よろしくお願いいたします。
 まず最初にフタル酸ビスということで、よろしくお願いいたします。
○角田化学物質評価室長 それではまず、フタル酸ビスについて御説明いたします。右下のページ番号で1ページからがリスク評価書です。2ページ目ですが、物理化学的性質ということで化学物質の基本情報、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、別名フタル酸ジオクチル、DEHP、DOPです。(2)で物理的化学的性状ですが、外観は特徴的な臭気のある無色から淡色の粘稠液体でして、ここに書いてあるとおりの性状です。(3)ですが、生産・輸入量、使用量、用途をまとめておりますが、生産量は、2010年で14万3,539トンです。それから輸入量は1万6,005トンです。用途では機能性樹脂の可塑剤で、硬質ウレタンフォーム、断熱材等の用途が書かれています。後段にありますが、特に塩化ビニル製品との相溶性が良いということで、塩化ビニル製シート、レザー、電線被覆材の農ビ用フィルム、ペーストに適するというところです。
 次の2番で、有害性評価の結果です。(1)の発がん性では、IARCは2B、ヒトに対する発がん性が疑われるというところです。IARCのモノグラフ77(2000)では、ラットやマウスの反復投与試験で見られるペルオキシソームの増生が霊長類では必ずしも生じないこと等から3(ヒトに対する発がん性について分類できない)ということで分類をしていました。しかし、2012年のモノグラフ101ですが、PPARαがラットやマウスへのフタル酸ビスの作用において重要な役割を果たすことは分かりましたが、動物のモデルやヒトのデータからフタル酸ビスによるラットやマウスの肝臓腫瘍発生のメカニズムには、いくつかの肝臓の細胞タイプにおける多数のシグナルや経路が関与していることが示唆されることから、ヒトとの関係が除外できないとされて2Bに分類されたところです。日本産業衛生学会では2B、ヒトに対して恐らく発がん性があると判断できる物質、証拠が比較的十分でない物質。それからACGIHはA3というところです。それから閾値の有無の判断ですが、閾値有りということで、in vitro、in vivoの試験においてほとんど陰性であり、遺伝毒性はないと判断されるためです。
 (2)ですが、発がん性以外の有害性ということで、急性毒性、経口毒性につきましては、このように動物実験で数値が出ています。それから皮膚刺激性/腐食性はわずかな刺激性有り、目に対する重篤な損傷性/刺激性はわずかな刺激性有り。反復投与毒性や生殖・発生毒性は有りということです。遺伝毒性は無しということです。
 許容濃度等につきましては、ACGIH、それから日本産業衛生学会などで5mg/m3という設定がなされているところです。ほかも御覧のとおりです。
 評価値につきましては、一次評価値は1.8mg/m3ですが、これは3月27日に有害性評価小検討会で御検討いただいた結果ということで整理をしています。生殖毒性に係る動物実験のNOAELの値から算出した評価値、1.8mg/m3と発がん性に係る動物実験のNOAELの値から算出した評価値2.4mg/m3の内、値の小さい方を一次評価値としたところです。
 二次評価値につきましては、ACGIH、日本産業衛生学会で勧告しているばく露限界値、許容濃度を二次評価値としたということで5mg/m3というところです。
 次に、3のばく露実態調査です。(1)有害物ばく露作業報告の提出状況で、平成22年度におけるフタル酸ビスの有害物ばく露作業報告は、344の事業場から653作業についてなされたところです。主な用途は「触媒又は添加剤として利用」「他の製剤等の原料として利用」等でして、また主な作業は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」「ろ過、混合、攪拌、混練又は加熱の作業」「成型、加工又は発泡の作業」等でした。653作業のうち、1日当たりの作業時間が1時間未満のものが全体の35%、1時間以上3時間未満が23%となっています。また、局所排気装置、全体換気装置が設置されている作業ですが、それぞれ48%、30%でした。このデータは別添3に付けてあります。
 それから(2)のばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあったフタル酸ビスを製造・取り扱う事業場の中から「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に基づきまして、平成23年度に6事業場を、平成24年度に2事業場を選定してばく露実態調査を実施したところです。対象事業作業場におきましては、製造・取扱作業に従事する27人に個人ばく露測定を行いますとともに、9単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行いまして、21地点についてスポット測定を実施しました。個人ばく露測定結果についてはガイドラインに基づきまして8時間加重平均濃度、8時間TWAを算定したところです。この測定分析法ですが、分析法は別添4に添付していますが、サンプリングはグラスファイバーフィルターにTENAX TAを使いまして、分析法はガスクロマトグラフの質量検出器の形で分析しています。
 対象作業場における作業の概要ですが、フタル酸ビスの用途は「対象物質を製造」でした。フタル酸ビスのばく露の可能性のある作業は、「原料投入」「サンプリング」「分析」「塗料製造」「塗布」「切断」等の作業で、また一部は局所排気装置が設置されていない屋内で行われていたところです。
 次の5ページの測定結果です。個人ばく露測定の最大値は他製剤の製造原料として使用している事業場における粉砕作業で、0.098mg/m3でした。調査で得られたTWA値(20データについて)はKS検定で対数正規分布に適合しないため、上記の0.098という最大値をリスク評価に供しましたところ、二次評価値5mg/m3よりも低い水準になっています。
 4番のリスクの判定及び今後の対応ですが、以上のことからフタル酸ビスの製造・取扱事業場におけるリスクは低いと考えられますが、当該物質はヒトに対する発がん性が疑われるとされている物質ですので、事業者は当該作業に従事する労働者等を対象として、自主的なリスク管理を行うことが必要ではないかという整理をしております。
 以下、別添1以降、関係の資料をとじてあります。有害性総合評価表が7ページからで、13ページからは有害性評価書です。それから飛びまして33ページにはばく露作業報告の集計表が付いておりまして、35ページには別添4で分析法が載っています。説明は以上です。
○名古屋座長 ただいまの説明につきまして御意見、御質問等ありますでしょうか。
 このままいきますと初期リスク評価で終了の形になりますけれども、かなり二次評価値に比べるとばく露は低いということになりますが、それはさておきまして、分析法等はその辺、何かありますでしょうか。よろしいですか。
○宮川委員 細かいことで申し訳ありませんけれども、添付の別添1の評価表の8ページ、オの生殖・発生毒性のところで、1行目に「参考:吸入毒性情報では評価できる定量的な情報が無い」ということですが、最初の評価書にもありますように、3ページの25行目に生殖・発生毒性有りとなっています。これは生殖・発生毒性有りの結論が正しいと思います。それで使われたデータは、この評価表の一番最初に書いてあるNOAEL3mgというのが使われていると思います。恐らく1行目の参考として書いてあるのは何かの誤植かミスで入ったものと思いますので、確認の上、削除していただくほうがよろしいかと思います。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。
○角田化学物質評価室長 はい。
○名古屋座長 オのところですね。よろしくお願いいたします。あとほか、どうですか。
○大前委員 今の所、すみません。これ、吸入毒性情報はないという意味だと思うので。今、指摘されたところですね。8ページのオの生殖・発生毒性、参考:吸入毒性情報では。
○宮川委員 そこではなくて、一番下のほうのところの、多分3つ目のデータですか。参考で「吸入による下記情報がEUの云々」というところについての記述では?
○名古屋座長 9ページのところでしょうか。
○大前委員 あっ、9ページですか、すみません、はい、分かりました。
○宮川委員 一般的には吸入がないからといって生殖毒性は取らないということにはしていなかったと思いますので。
○名古屋座長 ちょっと出始めの文章が似ていたものですから。では、これを削除という形でよろしいでしょうか。
 あと、よろしいでしょうか。
○花井委員 読んでいなくて申し訳ないのですが、この4の評価値として一次評価値1.8とか、二次評価値5と出ている、どういうデータからこの1.8とかが出てきているかというのは、この後ろの評価書のどこかに書いてあるものなのですか。
○角田化学物質評価室長 まず、1.8ですが、22ページを御覧になっていただきたいのですが。
○花井委員 書いてあるのでしたらあとで読みますから。どうもすみません。
○角田化学物質評価室長 ここの22ページの「Wisterラットの妊娠7日目から」というところで、ずっと次のページのカの上までのところで入れております。それからもう1つの発がん性のほうの2.4は24ページの「経口投与-ラット」というのが真ん中辺からありますが、ここのところでF-344ラットというところから次ページの次の黒ポツの前までです。
○名古屋座長 よろしいでしょうか。宮川委員、何かありますか。いいですか。
○宮川委員 細かいところ、ちょっと、あとで事務局まで数字等について確認します。
○名古屋座長 よろしくお願いいたします。一応、ここに書いてあるということでよろしいでしょうか。ほかによろしいでしょうか。そうしましたらフタル酸ビスは初期リスク評価で終了ということでよろしくお願いします。ありがとうございました。
 そうしましたら、資料2で、リフラクトリーセラミックファイバーをよろしくお願いします。
○岸室長補佐 資料2を御覧ください。資料のページ数からいきますと38ページからが説明箇所になります。リフラクトリーセラミックファイバーはアルミナとシリカを主成分とした非晶質の人造鉱物繊維である。一般的なリフラクトリーセラミックファイバーの化学組成は酸化アルミニウム30~60重量%、酸化珪素40~60重量%、ジルコニウム又はクロームの酸化物が0~20重量%ということです。ここの表記については、セラミックファイバー工業会から修正と提案があり、このとおり修正したところです。
 別名、セラミック繊維、RCFとも呼ばれています。労働安全衛生法施行令別表9の名称を通知する対象物質ともなっております。セラミックファイバーについては成分による種類分けが行われており、RCF1~4まであります。1についてはカオリンベースのセラミックファイバー、RCF1aについてはRCF1のうち粒子状物質を取り除いたもの、2についてはアルミナジルコニウムシリカベースのもの、3については高純度のもの、4についてはカオリンベースのものということで、組成については下に組成表があります。
 39ページでは標準のセラミックファイバーということで、径と長さによってRFの1~3までの分類分けがされております。物理化学的性状としては、外観は無臭の繊維状の固体で、1000℃を超えると結晶性の物質となる。物理的状態としてはウール状、繊維、色としては白色、平均繊維径としては2~4μm、発火点としては不燃性、溶解性としては水、有機溶剤に不溶です。生産量は1万6,000トン以上で、これは輸入量を含む17年度の実績です。用途としては炉のライニング材、防火壁の保護材、高温用のガスケット・シール材、タービン、絶縁保護材、伸縮継手の耐熱性充填材、炉の絶縁材、熱遮蔽板、耐熱材、熱によるひび、割れ目へのつぎあて、炉・溶接プラス溶接場のカーテンなどに使われております。
 有害性の評価としては発がん性がIARCでは2Bということで、ヒトに対して発がん性の可能性が疑われるということになっております。勧告の根拠としては、ヒトでの証拠については米国におけるRCFの労働者の死因分析による疫学研究の中間集計の報告です。しかし、データからはRCFへのばく露による発がんリスクを十分に評価できないため、ヒトでの証拠は不十分とした。実験動物での証拠については、適切にデザインされたラットを用いたRCFの長期吸入試験で肺腫瘍の統計学的に有意な発生増加及び少数の中皮腫の発生、又、適切にデザインされたハムスターを用いたRCFの長期吸入試験で、有意な中皮腫の発生増加が示されている。また気管内投与では、2つの研究で、ラットに腫瘍の発生増加が示されている。ラットとハムスターを用いた腹腔内投与では、腫瘍の発生は繊維の長さと用量に相関が見られた。これらの結果からRCFの実験動物での発がん性の証拠は十分とした。よって、RCFのヒトに対する発がん性の総合評価はグループ2Bとしたということです。
 その他の評価としては産衛学会が第2群のB、EUではカテゴリーが2、NPTでは設定なし、ACGIHではA2、DFGではローマ数字IIIA2、ECではCOEL発がん分類Cの発がん物質となっております。
 閾値の有無の判断としては3月27日の検討結果で有りということで、根拠としては2つの試験結果があり、1つはラットへの2年間の吸入ばく露試験において、NOAELが30mg、最大容量で発がん性を示すというもの。第2の試験としては0~16mg/m3のばく露試験で、16mg/m3の部分でも有意な増加が見られなかったため、NOAELとして16mgを設定という、2つの試験から導いて労働補正、不確実係数を掛け合わせて評価レベルとして0.12mg/m3、0.9WHOf/cm3を設定したということです。ただ、これについては二次評価値よりも大きい値となっております。
 発がん性以外の有害性については、ヒトに関するものについて記載しております。急性毒性については、調査した範囲では報告は得られない。刺激性、腐食性については有り。感作性については報告は得られていない。反復ばく露毒性については、肺機能については肺機能障害が生じることが報告されている。じん肺については、相異になる結果が報告されている。胸膜肥厚斑については、セラミックファイバーの製造作業において胸膜肥厚斑の過度の出現を認めている。滞留性については、米国とヨーロッパからそれぞれ1報ずつケースレポートが報告されている。神経毒性については報告されていない。生殖・発生毒性についても、遺伝毒性についても報告は得られていないとのことです。
 許容濃度については、ACGIHがTLV-TWAとして2001年に、吸入性繊維として0.2f/ccということで、設定しております。根拠としては、RCFは1970年代から普及されてきたにすぎず、ヒトへのばく露は比較的短い。疫学的報告に関して、悪性疾病や肺の線維化を評価するには、潜伏期間が20~30年必要である。これらの繊維の長期ばく露については観察期間が短く、ばく露された集団での評価は十分ではない。ラットへの長期のばく露では肺の線維化、胸膜肥厚及び肺がんと中皮腫が誘発されることが示された。疫学的な研究は進んでいない。RCFにばく露されるほとんどの労働者のばく露期間が短いため、現在の研究結果から、悪性腫瘍や線維化の発生増加について予測することは非現実的である。しかし、胸膜肥厚の潜伏期間は短く、RCFの製造工程の労働者に発生が認められる。加えて、喫煙している労働者ではRCFのばく露と肺機能の変化の関連も認められている。RCFは他のSVFs、合成ガラス質繊維よりも溶解性が低く、RCFは主に吸入可能なサイズの繊維であることから、これらの観察は難しい問題をはらんでいる。
 以上のことから、RCFの毒性は他のSVFsとアスベストの中間に位置すると考えられ、更にヒトへの毒性はアスベストに近いものと考えられる。したがって、RCFのTLV-TWAは、他のSVFsより低く、ヒト発がん物質の疑いを付した0.2f/ccとする。利用できるデータは乏しいが、0.2f/ccは、ばく露を受ける個人を、発がん及び非発がん性の健康影響から十分保護するものと考えられるということで、0.2f/ccと設定しているところです。
 その他の設定としては、産衛学会としては情報無し、NIOSHについては1日10時間の労働で週40時間の労働で0.5f/cm3の値を勧告。DFGでは設定無し。UKでは1f/mLとなっております。
 他の国での職業性ばく露限界値としては下の表にありますとおり、0.1~1.0f/mLの範囲で設定されているところです。
 評価値については3月27日の有害性評価検討会で検討をいただき、一次評価値については評価値無し。これは先ほども説明しましたが、動物試験より導き出された値が二次評価値を超えるため、二次評価値については0.2f/cm3ということで、ACGIHが提案しているばく露の限界値を二次評価値としたものです。
 次に、ばく露実態評価についてです。有害物ばく露作業報告の提出状況については、平成22年の作業の状態を平成23年1月から3月まで、報告いただいたものです。報告数は合計398事業場から850の作業についてなされました。作業従事の労働者数は合計延べで826名でした。主な用途としては他の製剤等の原料として使用したもの、対象物の製造等です。主な作業としては「成型、加工又は発泡の作業」「保守、点検、分解、組立又は修理の作業」等でした。成型、加工又は発泡の作業のうち、作業時間が月20時間以上の作業が79%、局所排気装置が設置されている作業が54%、全体換気装置の設置がされている作業は16%でした。
 それに基づき、次にばく露実態調査を行ったところです。ばく露評価ガイドラインに基づき、コントロールバンディングを用いて8事業場を選定しました。40人の労働者に対しばく露測定を行うとともに、20の地点についてスポット測定を行いました。測定結果については8時間のTWAを算出し、最大値も推計したところです。測定方法については個人ばく露測定についてはろ過捕集装置による捕集、スポット測定についても同様です。分析法については位相差顕微鏡を用いた計数法を行っております。
 対象事業場の作業の概要としては、耐熱接着材料を製造する事業場、超高温用無機繊維断熱材を製造する事業場等、以下のような8事業場です。リフラクトリーセラミックファイバーのばく露の可能性のある主な作業としては、秤量、投入、研磨、切断、梱包巻取等の作業がありました。
 測定結果については、40人に対し行った結果、8時間TWAの最大値は1.841f/cm3で、切断作業に従事していた方です。また、全データを用い、信頼率90%で区間推定した上限値(上側5%)については、1.700f/cm3でした。このことから推定のばく露最大値は1.841f/cm3としました。発散防止措置については、屋内の作業場では42%の作業で局所排気装置が設けられており、66%の作業において防じんマスクが着用されておりました。スポット測定結果においては、対象物質を含有する製品を製造する事業場では原料の投入作業が最大値で1.846f/cm3、作業時間は1日140分でした。ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値が二次評価値、0.2f/cm3を上回っており、区間推定上側限界値についても、二次評価値を上回っておりました。
 リスクの判定と今後の対応については、以上のことからRFCについては今後更なるリスク評価が必要であるということで、その際にはこれを取り扱う作業、特に秤量、投入、研磨、切断、梱包、巻取などの作業を行う事業場に対して、追加調査を行い、作業工程に共通した問題があるかどうかなどについて、詳細に分析する必要があるということで、詳細評価の実施にかかわらず、これを取り扱う労働者に対しては自主的なリスク管理を行うことが必要であると最後結ばしていただきました。
 次のページは、ばく露濃度測定のデータがグラフと表にしてあります。次のページからは別添1として「有害性総合評価表」、51ページからは別添2として「有害性評価書」、別添3としてばく露作業の集計表、別添4として標準分析法を添付しており、この物質についての資料一式となります。以上です。
○名古屋座長 ただいまの説明について御意見、御質問等はありますか。
○鷹屋委員 資料の通しのページでいうと52ページについて、2つあります。1つは、「文献46)に詳述されている」とあるのですが、文献リストは45番までしかないので、これは多分抜けだと思いますということが1つです。
 なぜここが気になったかというと、このRFシリーズの方はいいと思うのですが、3番のアルミナシリケートセラミックファイバーが幾何平均径0.2μm、これだとこの位相差顕微鏡の測定法で完全に測り切れるのかなということが若干不安があるので、使っている材料によってはやはり濃度を測るときに電顕の併用とか、そういったことも検討事項として考えたほうがいいのかなという気がします。
○名古屋座長 これは製品として出来るものが平均径は0.2ということですか。これは工業会からもらった資料ですか。
○岸室長補佐 ここは、有害性評価書にあった、元からの部分です。
○名古屋座長 これは現場のデータがもらえるので、それのほうが良いと思います。もし、平均径が0.2ということになってしまうと、位相差顕微鏡で見られなくて電顕で見るようになってしまうと、また大変なことになるので、そこはきちっとされたほうがいいです。電顕ではなくて位相差できちっと見られる範囲のものだったらそれはいいのですが、どうしてもこの物質のときに電顕を併用する様になると、大変なことになるので、ちょっと確認していただいて、きちっとしたほうがいいです。要するに、詳細リスク評価のときにどういう方法でいいかという、分析法とも絡むので、きちっとされていたほうがいいかと思います。あとよろしいですか。
○清水委員 41ページの16行目ですが、遺伝毒性は「調査した範囲内では、報告は得られていない」と書かれてますが、これは訂正しておかないと、56、57ページに、実際にはin vitroとin vivoの報告があるものですから、書き換えていただいたほうがいいと思います。報告有りです。
○岸室長補佐 ここですが、ヒトに対する部分を抽出して書いたもので。
○清水委員 ヒトですか、では、ことわらない。
○岸室長補佐 動物について書くと、ちょっと書き切れなかったものですので。
○清水委員 では、ヒトに対するということですね。それを書き加えればいいと。
○岸室長補佐 そうですね。
○花井委員 一般的なことで申し訳ないのですが、この「リフラクトリーセラミックファイバー」という名称が、私、不勉強で知らなかったのですけれども、何かこういう英語をそのまま訳した言葉だけでなくて、例えば、産衛学会でも「人造鉱物繊維」という日本語を当てていますから、標題かどこかにそういうのを並列して書くことをやっていただいたほうが、いろいろな意味でいいのではないかと思うのですが、どんなものでしょうか。
○名古屋座長 これ、別名「セラミック繊維」ではいけませんか、RCF、その下にありますよね。名称としては「リフラクトセラミックファイバー」ですが、その下に、別名「セラミック繊維」。
○花井委員 中に入っていけばいいのですが、その前のタイトルですね。御検討いただければ。
 それから、リスクの判定及び今後の対応という意味ではこれからの問題なのかもしれないのですが、やはり詳細リスク評価うんぬんというのはかなり時間が掛かりますよね。それで、実際現場も使われているというような意味であれば、できるだけ問題が起こらないような使い方をガイドするというか、そういう議論もあったほうがいいのではないかと思うのです。そういう意味では、セラミックファイバー工業会が使い方ということでいろいろ議論されている資料もあるみたいなので、そういうものへのガイドというか、引用も検討されたほうがいいのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○名古屋座長 これは「自主的なリスク管理を行うことが必要である」と書いてありますが、インジウムのときもそうでしたけれど、途中で発がん性で評価が高いとき、比べて現場が高いときには一応作業されたところという形で通知する、その間に詳細リスク評価しますよという形ですね。なるべく伝えたほうがいいですよということですね。では、それをよろしくお願いします。
 39ページの11行目で、1000℃を超えると結晶性物質になると書いてありますが、できたら「(クリストバライト)」と書いてもらうとありがたいです。というのは、炉の耐火被覆を行うときには、確かにセラミックファイバーなのですが、今度は炉を修理りや、解体するときに発生する粉じんは、セラミックファイバーではなくて、長期に渡り高温にさらされることのより、変化したクリストバライトですから、作製時と解体時では発生する物が違うので全然違う作業になってくる。やはりここは周知してあげないと、セラミックファイバーで作られているから解体するときにファイバーだなと思ったら、ファイバーではなくてクリストバライトになっている。とてもシリカの含有率が高いですから、それは余り知られてないので、そういう意味でも「(クリストバライト)」と書かれて、注意されたほうがいいかと思います。よろしくお願いいたします。
 あと73ページのところ、ありがとうございます。前処理のところで、前回の資料では全て低温灰化処理することになったのですが、今回きちんと灰化処理のところを灰化処理無し、灰化処理有りに分けてくれたので、よかったです。ありがとうございます。あと、お気づきの点はよろしいですか。
○中西化学物質情報管理官 清水先生が御指摘されたところと同じところで、実は西川先生からもコメントがありましたので、いただいた御意見ですので、読み上げさせていただきます。「RCFの遺伝毒性に関して、調査した範囲内では報告は得られていない」とありますが、実際にはいくつかの陽性結果が出ていますので、正確な記載に修正すべきです。
 また、2つのラット吸入試験の結果を総合して、発がん性の閾値有りと判断していますが、仮に、1つの試験であったとしても、通常そのようには判断しないはずです。ほかの物質の評価と同様に、遺伝毒性の有無を基本とし、発がん機序を考慮して、閾値の有無を判断すべきと思います、という御意見をいただいております。
○名古屋座長 後々の詳細リスク評価のときに、また出たときに、遺伝毒性のところの記載をきちんと見てもらうという形で、よろしいですか。
○大前委員 今の前半は、清水先生のことなのであれなのですが、後半の方で、48ページのカを御覧ください。遺伝毒性のところです。今回のこの物質の遺伝毒性に関しては、ダイレクトにDNAを損傷するのではなくて、活性酸素を発生させて、それを介してDNAを損傷するということで、それで閾値有りというような判断にしたということです。
○名古屋座長 はい、分かりました。では、その旨伝えておいたらよろしいですね。そうしましたら、あとはよろしいですか。これはそのままそこに書かれているとおり、これから詳細リスク評価にいきますが、その前に言われたように、評価値が低いですので、自主的な管理ということで業界を通じて啓蒙していただくということと、あと詳細リスク評価にいかれたときに、そこに書かれた作業についてより詳細なデータを集めていただき、詳細リスク評価のところでまた評価するという形で。では、詳細リスク評価という形で取りまとめたいと思います。どうもありがとうございました。
 次は資料3ということで、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイトについて、事務局よろしくお願いします。
○中西化学物質情報管理官 そうしましたら、ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(DDVP)の詳細リスク評価書(案)について、説明させていただきます。資料は3、75ページを御覧ください。76ページから本文です。
 1 物理的性状等、(1)化学物質の基本情報は名称ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト、別名ジクロルボス、DDVP。労働安全衛生法施行令別表9、名称を通知すべき有害物第291号です。(2)物理的化学的性状、外観ですが、特徴的な臭気のある無色、琥珀色の液体です。蒸気圧が1.6Paです。(3)生産・輸入量、使用量、用途です。生産量については原体や50%乳剤など、それぞれ使用量が記載されています。用途としては茶、桑など残留毒を嫌う作物の殺虫剤として使われております。
 2 有害性評価の結果です。詳細は別添1、別添2に添付しております。(1)重視すべき物質性状とばく露ルートです。ジメチル-2,2-ジクロロビニルホスフェイト(以下DDVPという)は、常温で液体であり、一定の蒸気圧があることから蒸気の吸入ばく露が問題となる。また、皮膚への刺激性があること、経皮ばく露によって有機リン中毒症状を生じること、吸入、経口及び経皮のいずれのばく露経路においても、神経毒性が発現することから注意が必要である。
 (2)重視すべき有害性、<1>発がん性、ヒトに対する発がん性が疑われる。IARCでは2B、ヒトに対する発がん性が疑われるに区分されるとともに、日本産業衛生学会で2B、ヒトに対して恐らく発がん性がある物質で、証拠が十分でない物質に区分されている。なお、ACGIHではA4、ヒト発がん性因子として分類できないに区分されている。閾値の有無は判断できないとしており、根拠としてはin vitro試験において微生物や哺乳動物細胞で陽性結果が示されているが、in vivo試験では遺伝毒性が認められないので、遺伝毒性に関しては結論できないということです。
 <2>発がん性以外の有害性です。急性毒性についてはラット、マウス、ウサギなどで、それぞれ毒性の値が出ています。ヒトへの影響で、DDVPによりコリンエステラーゼ活性が阻害される。経皮及び経口ばく露により、神経毒性が見られることもある。皮膚腐食性、刺激性あり。眼に対する重篤な損傷性/刺激性、報告無し。皮膚感作性は有り。変異原性は判断できない。生殖毒性は判断できない。反復投与毒性については、ラット吸入ばく露104週間試験で、NOAEL0.05mg/m3。また、イヌ経口投与52週間試験でNOAEL0.05mg/kgというデータが示されております。78ページを御覧ください。2行目、神経毒性については、ヒト及び動物において、吸入ばく露、経口投与及び経皮投与のいずれのばく露経路においても、DDVPによりコリンエステラーゼ活性が阻害され、種々の神経毒性が発現される。
 (3)許容濃度等です。ACGIH、TLV-TWAが0.01ppmとして示されております。また、「Skin」ということで経皮吸収性に注意となっております。根拠については、ヒト及び動物のデータに基づき、TLV-TWAとして、0.1mg/m3を勧告をしている。この値はコリン作動性影響から作業者を安全に防護するための十分な余地を与える。TLV-STELを付すには十分なデータは得られていない。経皮ばく露により有機リン中毒症状を生じていることから、経皮吸収性「Skin」表記を付すとなっております。また、日本産業衛生学会、DFG MAKについては、それぞれ記載のとおりです。
 (4)評価値です。有害性評価小検討会で御検討いただき、一次評価値は評価値無し、二次評価値は0.01ppm(0.1mg/m3)です。根拠としては米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が提言しているばく露限界値、TLV-TWAを二次評価値としたということでした。
 3 ばく露評価の結果です。(1)主なばく露作業、詳細は別添3に添付しております。平成21年におけるDDVPの有害物ばく露作業報告は合計13事業場から39作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は223人(延べ)、また、対象物質の取扱量の合計は402トン(延べ)であった。それぞれ主な用途、主な作業などについて記載しております。79ページを御覧ください。一番上に、ばく露実態調査により把握したばく露作業は次の図のとおりということで、今回調査した事業場について、作業の概要を示しております。
 (2)ばく露実態調査結果の概要です。まず平成22年度ですが、こちらの記載は初期リスク評価でも記載しておりますが、ばく露実態調査においては、選定した事業場に既にDDVPの取扱いをやめている事業場が含まれていたことから、調査を実施したのは2事業場に留まっております。その2事業場の8人の労働者に対して、個人ばく露測定を行い、1単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、7地点についてスポット測定を実施しております。
 26行目ですが、平成22年度ばく露実態調査事業場におけるDDVPの用途は、他の製剤等の製造を目的とした原料としての使用(板状の蒸散型殺虫剤の原料としての使用)であった。また、DDVPへのばく露の可能性のある主な作業は、原料の投入、製剤の巻き取り、製剤の一時保管と一時保管後のライン戻し、製剤の誘導、サンプリング等であった。初期評価の結果、1事業場の3名について、二次評価値を上回るばく露が確認された。また、個人ばく露濃度が二次評価値を下回ったもう1つの事業場においても、一部の作業場ではスポット測定で高い測定値が見られた。
 詳細調査ということで、平成23年度においてはDDVPに共通した問題か、作業特有の問題かを分析するため、DDVPを混合して殺虫剤の製造を行う1事業場と、DDVPの板状の蒸散型殺虫剤を成形加工する1事業場の計2事業場を調査対象に追加し、対象物質の製造・取扱作業に従事する5人の労働者に対する個人ばく露測定を行いました。A測定は3単位事業場、スポット測定は5地点について行っております。
 80ページを御覧ください。その結果ですが、板状の蒸散型殺虫剤を成形加工する事業場の3名について、二次評価値を上回るばく露が確認されております。しかしながら、今回成形工程では、もともと成形品作業環境への露出時間が短いことから、低ばく露が予測されており、二次評価値を上回るばく露となった原因が、調査時に発生した成形機のトラブルによるものではないかと推定しております。このため、改めて平成24年度において、平成23年度と同一の板状の蒸散型殺虫剤を成形加工する事業場を調査しております。9行目からが平成24年の調査結果です。平成24年度は、実は2日間行っております。平成24年度のばく露実態調査においては、測定時間中に混練機のトラブルが発生したため、翌日改めて再測定を行った。両日とも、それぞれ3人の労働者に対する個人ばく露測定を行い、A測定は2単位作業場所、スポット測定は1地点をそれぞれ行っております。ですので、個人ばく露測定は、延べ6名、A測定は延べ4単位作業場所、スポット測定は延べ2地点を実施しております。
 22行目、<1>測定分析法です。サンプリング、グラスファイバーろ紙、XAD2で捕集しております。分析法はガスクロマトグラフィー質量分析法です。<2>測定結果です。3年間のばく露実態調査における5事業場の19人の個人ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値及び対数変換データを用い、信頼率90%で区間推定した上側限界値(上側5%)は次のようになった。最大値の推定として、測定データの最大値は0.627mg/m3。全データの区間推定上側限界値は1.022mg/m3となっております。
 (3)ばく露の高い作業の詳細です。3年間のばく露実態調査の結果、8時間TWAの値が二次評価値を超えたのは、平成22年度の1事業場で3名、平成23年度の1事業場で3名、平成24年度の1事業場(平成23年度と同一事業場)で6名(延べ)であり、最大0.627mg/m3のばく露が確認されたということです。
 81ページの1行目、これらの事業場のDDVPの用途については、いずれもDDVPをほかの原料(合成樹脂、着色剤など)と混合溶融し、成形加工することにより板状の蒸散型殺虫剤を製造する用途であったということです。なお、5行目にあるように、平成22年度の1事業場については、8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の主な作業は、原料投入、半製品ライン戻し、半製品一時保管の作業でした。平成23年度の1事業場については13行目に記載しております。8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の主な作業は、計量・移送、樹脂成形、包装、成形機トラブル処理の作業でした。平成24年度については18行目から記載しております。1日目に8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の主な作業は、樹脂成形、樹脂成形清掃、計量・移送、包装、混練機のトラブル処理の作業でした。2日目については22行目に記載しております。また、2日目に8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の主な作業は、樹脂成形、樹脂成形清掃、包装の作業でした。
 27行目を御覧ください。なお、これらの作業については屋内で行われており、一部は局所排気装置が設置されていない場所で行われていた。ほぼ全ての作業において、手作業で行われているものが多く、呼吸用保護具として有機ガス用防毒マスクが使用されていた。特に、成形加工の工程では、DDVPと樹脂等を加温すること、また板状の加工や小さく切断する等によって表面積が大きくなることから、包装されるまでの間にDDVPが作業場内に発散しやすい状況であると考えられる。以上からDDVPを含有する製剤を成形加工し、包装する業務については、事業場に共通したリスクの高い作業があると考えられるとしております。
 4 リスク評価の詳細です。(1)評価値との関係です。82ページを御覧ください。DDVPを製造し取り扱う労働者の個人ばく露測定の結果、測定を実施した延べ19人中延べ3事業場の延べ12人、63%が二次評価値を超えた。個人ばく露濃度の最大値は二次評価値を上回る0.627mg/m3であり、これらの事業場においてはリスクが高いと考えられる。また、個人ばく露測定の全データについて、信頼率90%(上側5%)で区間推定した上側限界値については1.022mg/m3となり、二次評価値を上回ったということで、記載しております。
 83ページ、5 ばく露要因の解析です。ここについてはDDVPは取扱時に発散した状況、吸入するおそれがあり、発散源近傍での高いばく露の見られた作業では、ばく露レベルを低減させるための取組が考慮されるべきであるということで、記載の表のとおりです。
 9行目、6 結論(まとめ)です。一通り読み上げいたします。ばく露の高い作業の詳細と、その要因解析の結果、リスクの高い作業としてはDDVPを含有する製剤の成形加工又は包装の業務が確認された。当該業務のばく露レベルは二次評価値0.1mg/m3を超えるものであった。また、その要因を解析したところ、DDVPを含有する製剤の成形加工又は包装の業務については、作業工程に共通する問題であり、当該作業工程については健康障害防止措置の導入が必要と考える。また、DDVPについては皮膚の刺激性、経皮ばく露による有機リン中毒症状や神経毒性が指摘されており、健康障害防止措置の検討に際しては開放系で作業する場合における皮膚の保護等の措置を併せて検討する必要がある。一方、DDVPを含有する製剤の成形加工又は包装の業務以外の業務については、個人ばく露濃度が二次評価値を超えるような状況にはないため、ばく露による健康障害のリスクは比較的低いと考えられるものの、DDVPを製造し、又は取り扱うその他の業務においても、当該業務に従事する労働者に対する自主的なリスク管理を行うことが望ましい、とまとめております。
 以下、後ろについては85ページから別添1「有害性総合評価表」、91ページに別添2「有害性評価書」、109ページに別添3「ばく露作業報告集計表」、111ページに別添4、DDVPの標準測定分析法を添付しております。DDVPの詳細リスク評価書(案)については以上です。
○名古屋座長 ただいまの説明について、御質問等ありますでしょうか。
○江馬委員 87ページに、「児動物の行動に影響がみられた」という報告で、胎児期の影響か出生後の影響かは判断できないと書いてあるのですが、その参考のところを見ると、「児動物への投与は離乳から生涯にわたって」と書いてあります。何か抜けているのですか、妊娠中に投与したということも。だから、根拠のところと参考のところの記載が合わないのです。参考のところの記載でいうと、胎児期の影響ではなくて、離乳以降の投与の影響ということになると。

○圓藤委員 その前に、「妊娠1日から」とある。
○江馬委員 「母動物は」と書いてあります。
○圓藤委員 そこから生まれた児動物にまた投与を続けたということではないのですか。
○江馬委員 ここで切れているのですよ、投与で。経口投与で児動物の投与がまた次に書いてあります。
○圓藤委員 出産後も投与を続けたということかと思いましたけど。
○宮川委員 ここは恐らくこれを作ったときの議論だと、余り明確に覚えているわけではないのですが、普通と違って、児動物になってからの離乳後もそのまま継続して投与をしていたという、ちょっと変わったものだったので、その場合にはそこの離乳後だけの影響で出てくるのだとすると、通常の意味での生殖毒性といえないので、分からないという結論になったような気がしました。
○江馬委員 2行目の児動物は、児動物にも離乳から生涯にわたって投与したということですか。
○圓藤委員 その後ということですね。
○大前委員 今、宮川先生がおっしゃったことでいいのではないかと思っているのですが、文章がちょっとあれなのですよね、これ。多分妊娠中ももちろん胎児はばく露を受けていて。それから出産後も続けて投与したので、ここに出てきたのが妊娠中に受けた話の、いわゆる本当の生殖毒性のことか分からないというような解釈でよろしいのではないかと思うのですが。ただ、文章が確かに分かりにくい。
○宮川委員 その基の論文が107ページの14番のSchulzのものだとすると、Life-time exposure to dichlorvosと書いてあって、このタイトルから見ると、そういうことだと思います。
○名古屋座長 では、文章は少し直していただけるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。あとほかに何かありますでしょうか。
○花井委員 ここに書いてあるような作業現場でのばく露が評価されているのですが、実際にこれを殺虫剤として使う作業におけるばく露というか、その辺はちょっと出てきていないでしょうか。
○名古屋座長 測定場所の。
○東久保氏(中災防) 今回は、工場として作っているという所だけを調査対象にしております。殺虫剤として使うということであれば、多分農家の方が多いと思うのですが、そういう方々についてはどれだけ取り扱っているかというデータは入手できないこともありまして、対象から漏れていると考えていただいたほうがいいかと思います。
○名古屋座長 基本的に報告書から上がってこないということですね。聞けない。だから、測定対象になり得なかったということでしょう。
○東久保氏 そうですね。
○圓藤委員 これ、多分板状のつるしてやるものですね。そうしますと、博物館というか、そういう所ではつるして使っているようです。ただ、そんなに濃度は高くならないと思います。
○花井委員 と思うのですが、何かそういう実績データか何かあるのかと。
○圓藤委員 市販品を買って使うという形なので、ちょっと難しいと思いますね、調査が。
○花井委員 使用する作業のリスク評価というか、それはこの場での対象にはならないということですか。
○名古屋座長 1点、5ページで気になったのがあって、これ皆さんで議論しましょう。5ページで、工場でトラブったデータがそのまま入ってますよね。例えば7ページの高いところから2番目と3番目と5番目は、これトラブったデータなのですよね。それが入っているのはちょっと。それでなくても元々健康障害防止措置にいかなくてはいけないことなのですが、これがなくても詳細にいかなくてはいけないのですが、トラブったデータということが分かっているのに入っているのは違うかなという。明らかに原因が調査時に発生した製品のトラブルによるものと推定されると書いてあるから、そうなのだろうと思うのだけれども。その辺の扱いがよく分からなくて。それがなくても間違いなく健康障害防止措置にはいくのですが、これを見られた人がどう思われるのかと、ちょっとだけご意見を聞きたかったのです。どうでしょう。

○圓藤委員 何回も起こっていますね。
○名古屋座長 トラブルがね、そうなのです。では、入れておきますか。
○圓藤委員 トラブルが起こりやすいのではないですか。
○名古屋座長 分かりました、そういうことですので、このままいきましょう。ここのところは、私たちの後の菅野先生が委員長になられています健康障害防止措置のところにお願いするという形で、よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 そうしましたら3物質のところは終わりまして、資料の4で、発がん性を有する有機溶剤の今後の対応について、事務局からよろしくお願いします。
○岸室長補佐 113ページの資料4を御覧ください。これはリスク評価とはちょっと異なっておりますが、今、胆管がんの問題などもありますが、発がん性を有する有機溶剤の今後の対応についてどうするかということについて御検討いただきたいということで議題としております。趣旨等につきまして、資料4について読み上げさせていただきます。
 有機溶剤中毒予防規則で規制の対象としている有機溶剤については、中枢神経系に対する中毒を予防するための措置を義務付けているところであるが、有機溶剤の一部には、別表1のとおり、発がん性を有するおそれのあるものがある。これらの有機溶剤については、同規則において作業環境測定及び有機溶剤等特殊健康診断の実施を義務付けているが、作業環境測定においては、別表2のとおり、測定の評価結果が第2管理区分又は第3管理区分に区分される作業場があり、また、有機溶剤特殊健康診断においては、別表3のとおり、生物学的モニタリングに関する検査で分布3に区分される健診結果があるなど、発がん性を有する有機溶剤のばく露が懸念される。今般発生した胆管がん事案を踏まえ、既に有機溶剤中毒予防規則で規制されている化学物質であっても、発がん性を有するおそれのあるものについては、大量又は長期ばく露による職業がんの予防を観点とした管理が必要であるため、以下により対応することとする。
 1対象となる有機溶剤。職業がんの予防の観点から管理が必要な有機溶剤は、平成25年度化学物質のリスク評価検討会(第1回有害性評価小検討会)の検討結果を踏まえ、IARCで発がん性が1、2A又は2Bに区分される以下の有機溶剤とする。クロロホルム、四塩化炭素、1,4-ジオキサン、1,2-ジクロルエタン、ジクロロメタン、スチレン、1,1,2,2-テトラクロルエタン、テトラクロルエチレン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトンという10物質です。
 対象となる業務の内容です。職業がんの予防の観点から管理が必要な業務内容は、発がん性を有する有機溶剤のばく露が懸念される作業環境測定及び有機溶剤特殊健康診断の対象である有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第6号に掲げる有機溶剤業務とする。
 下にありますのは、有機則第1条第1項第6号に掲げてあります有機溶剤業務をそのまま引用しているものです。
 イ有機溶剤等を製造する工程でのろ過、混合、攪拌、加熱、容器等への注入。ロ染料や医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂等の製造する工程におけるろ過、混合、攪拌又は加熱の業務。あとは、印刷、文字の書込み、描画、つや出し、防水、面の加工、有機溶剤等の塗布又は接着、洗浄、払拭、塗装、乾燥、試験・研究、タンク等の内部における業務というようなものが有機溶剤業務の対象となっております。
 今後の対応です。発がん性を有する有機溶剤については、一定のばく露低減措置は講じられている一方で、職業がんの予防の観点から健康障害防止措置が講じられていないことから、これらの溶剤を使用し、有機溶剤業務を行う事業場においては、職業がんの予防の観点から、必要な措置を講じるものとする方向で検討することとする。ということとしております。
 次のページ、別表1です。今回、リストアップしました有機溶剤の名称と用途、製造量、発がん性の評価区分、その他の有害性、作業環境測定での管理濃度、備考としては、他の規制状況などを記載しております。
 別表2は、今回の対象物質の作業環境測定の状況です。データとしましては、日測協(日本作業環境測定協会)が平成17年度と平成18年度に取りまとめた全国での対象物質における作業環境測定の実施状況です。特に管理区分3につきましては、当該単位作業場での有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えるような状況であるということ、またB測定であっては、管理濃度の1.5倍を超える状況であるというもの、第2管理区分につきましては、気中有害濃度の平均が管理濃度を超えない状態ですが、B測定にあっては、管理濃度は超え、1.5倍以下の状態というものです。見てみますと、トリクロルエチレンやジクロルメタンなどは、年によっては第3管理区分になる割合が10%を超えるようなものもありますので、改善を要する作業環境の状態が占める割合は結構な数があるというようなことはこのデータからも言えるかと思います。
 次のページ、別表3は対象有機溶剤についてです。有機溶剤の特殊健康診断で物質によっては生物学的モニタリングの代謝物の検査を義務付けているものもありますが、その検査結果の分布状況です。分布3にいくほど体内に取り込んでいる量が多いということで、ばく露量が多いということを裏付けるものです。テトラクロルエチレンの尿中総三塩化物などでしたら、1.4%が分布3であること、トリクロルエチレンにつきましては、同じく尿中総三塩化物においては1.6%というようなデータが出ております。この数値につきましては、ACGIHのBEIなどを参考にして決めているということです。以上、このような対応案を作成いたしましたので、御議論のほどお願いいたします。
○名古屋座長 これにつきまして説明等に質問等はありますでしょうか。
○花井委員 この「対応について」というのは誰が誰に出す文書なのですか。
○岸室長補佐 行政として、今後どうしていくかということを決める中で専門家の先生に御意見を頂きたいということです。
○花井委員 省内の考え方をまとめていると、そういうことですか。
○岸室長補佐 そうです。
○花井委員 そうするとここに書いてある、有機溶剤中毒予防規則に挙げられている10物質、かつ作業もここに書いてある具体的な作業に限定した中での話ということですよね。
○岸室長補佐 そうです。
○花井委員 そうすると、ここに「胆管がん」と書いてありますが、例えば1,2-ジクロロプロパンなどは問題として挙がってこないわけですね。
○名古屋座長 リスクはこの前、もう終わりましたので。
○花井委員 ええ、リスクとしては終わって。
○岸室長補佐 1,2-ジクロロプロパンは、有機則の有機溶剤には入っていませんので。それで、前回のリスク評価で既にリスクは高いので健康障害防止措置を講ずるべきということで結論を頂いていますので、これとはまた別というように考えていただいて。
○花井委員 はい、それはいいのですが。そうすると、「発がん性を有する有機溶剤の今後の対応について」というタイトルはもっと限定した、有機則の何とかで。
○名古屋座長 現在の有機則の中に書かれている物質ですよということです。
○花井委員 そういうことですね。
○名古屋座長 そういうことです。
○花井委員 ただ、それ以外の有機溶剤は非常にたくさんあるわけですし、そこをどうするかという議論はなくていいのですか。もうやられているわけですか、省として。
○岸室長補佐 今やっているリスク評価が正にそれなのですけれども。
○花井委員 これをやっていけばいいという。
○岸室長補佐 ええ。ですからそれはそれで、今、順番にずっとやっているということです。これまで有機則にある有機溶剤についてはリスク評価の対象にしてこなかったわけです、規制があるということで。でも、中には発がん性があるということで、そのままにしていいのかというところがありましたので。
○花井委員 そういう背景を聞いて分かりました。どうも。
○名古屋座長 平成18年にリスク評価が始まったときに、要するに、規制されているものはやりません、それ以外のものについてやりましょうという決まりがありました。でも、胆管がんの問題が起こったのでやはり有機則の中に発がん性物質についても。多分これのほかに、そのあとは行政に聞かないと分かりませんが、多分これについても改めてリスク評価をやって。もしかしたらそれから、有機則から特化則に移るものが出るのかどうか、これは分かりませんが、ベンゼンと同じような扱いになるかもしれません、ということになるかもしれませんよね。自分の考えを言って申し訳ないけれども。
○岸室長補佐 今、これらのほとんどの物質についてばく露作業報告の対象にしていますので、これについてはリスク評価を行うことにしております。それが1つと、その結果が出るまでの間にほかに何かできることはないだろうかということです。例えば作業記録の保存などでしたら、発がん性だと、30年という長期間、保存しなければいけないということもあります。ばく露措置などは有機則でしっかりと規定されていますから、それに何か足すものがあるのかというようなことです。その辺はまた後々の措置検討会などの検討になるのかもしれませんが、そういうことについて、この業務、この物質について検討を進めていくかどうかということです。
○名古屋座長 エチルベンゼンのように有機の物質と混合で使っているときがやっかいなのですが、これは混合で使わないで、単体物質ですから。
○大前委員 いや、使えます。
○名古屋座長 そうするとやっかいですね。
○大前委員 スチレンなどは。
○名古屋座長 スチレンはそうですね。そうすると、また同じような問題が起こる。
○圓藤委員 エチルベンゼンのときにとても困ったことがあったように、有機溶剤の中にも。例えば今、1種、2種とありますが、その中の、一種と言わないですが、何か1つ群分けとして発がん性というものを作るという考え方は行政にはないのですか。でないと、特化に入ると、何か有機則と特化則といっても、またエチルベンゼンみたいなことが起こるのかなと思って。
○奈良化学物質対策課長 我々として、正直言ってまだ具体的な案として持っているわけではありませんが、特化物、有機溶剤を含めて化学物質としての管理のための規制のあり方は、多分そんな遠くない時期に一度見直した方がいいのではないかという気持ちはございます。ただ、申し上げましたように、組織としてそういう決定をしているわけではありませんが、我々の問題意識としてはそういうものがございます。
○櫻井委員 もちろん全体としてこの方向で反対するということではなくて、小さなことなのですが。1ページ目の1行目、2行目で、現在、規制の対象としている有機溶剤については「中枢神経系に対する中毒を予防するための措置を義務付けている」というように非常に限定的に書いてありますが、実際はそうでなくて、その他のいろいろな慢性中毒を予防するものなので。この書き方ですね。
○名古屋座長 文章を少し。
○櫻井委員 ええ、「中枢神経系に対する中毒等の有機溶剤に共通性の高い明確な毒性を予防するため」というようにでも書くのかなというように思います。発がん性だってもし共通性があって、しかも明確なら、当然、それを取り入れていたと思いますが、十分明確でなかったからこそこういうことになっているので。
○名古屋座長 では、そこはそのような形で修正するという形で。
○岸室長補佐 「中枢神経系等慢性中毒」。
○櫻井委員 「中枢神経系に対する中毒」。「毒性」にしますかね。「中枢神経系に対する毒性等の有機溶剤に共通性の高い明確な毒性を予防する」。「毒性を予防する」というのはおかしいですかね。「毒性による中毒」。
○圓藤委員 中毒。「影響を」。
○櫻井委員 「影響を」。
○圓藤委員 「影響を」。「悪影響を予防する」。
○名古屋座長 いずれにしても、これというものをどこかの形で先に通達として出して注意喚起をするという形のものは要るのかなという気はします。ただ、急に記録を30年保存しろと言ってもなかなか難しいのかなと。その辺はどうなのでしょうか、現場としてそういう形のものが、発がん性があるから有機を扱っていた所が急に、通達が出て、それを30年という形で管理しろというのが出てきたときには、どうでしょう。
○圓藤委員 特化はやっていましたよね。
○名古屋座長 いいですか、大丈夫ですか、特化則を扱っている所はもう当然やっているから、同じ形で今のうちからやっておくという形。
○圓藤委員 ただ、それをやると、健康手帳をどうするかですね。
○岸室長補佐 そうですね、当然、遅発性のものということになれば長期間の健康管理が必要になってくると思いますので。その辺りはまた労働衛生課とも相談しながら進めていきたいと思います。
○名古屋座長 あと、今の形のものはこれで終わるのではなくて、健康措置の方でもう一度議論されるのですよね。
○岸室長補佐 そうです、はい。
○名古屋座長 要するに、ここではこういう意見がありましたという形で上に上げていただいて、そこでもう一度話すという形で。
○岸室長補佐 はい。
○名古屋座長 分かりました。ありがとうございます。では、我々の希望としてはそういう形でよろしいですか。一応、注意喚起をするということと、やはり特化則と同じ扱いで、手帳とか30年の記録とか、そういう形のものを付記してくださいというお願いをするという形でよろしいですか。
○原委員 今後、混合有機溶剤としての管理は,やはりしっかり真剣に検討会でしておかないと管理から抜けてしまいます。今後、本当は混合有機溶剤の問題として非常に厳しい管理が必要なのに、この物質は特化則、これも特化則で除外されて、結局、よく管理されているという評価になってしまうのを非常に恐れるので、検討項目に入れていただきたいと思います。
○名古屋座長 それは、今もう一度リスク評価が始まりますが、そのときでもよろしいのですか。
○原委員 それでいいと思うのですが、今後、混合有機溶剤の検討も併せてというようにお願いします。
○名古屋座長 エチルベンゼンがあるのでいい教訓になっていますので、詳細リスク評価のところに行くときにそれを含めてという形で。分かりました。ありがとうございます。ほかに何かありますか。
○内山委員 一般的に言えるかどうか分からないのですが。いわゆる発がん性と同時に、この頃は生殖毒性を見るようにしていますね。
○名古屋座長 はい。
○内山委員 、有機溶剤の中に生殖毒性を持っているものがどの程度あるか分からないのですが、発がん性だけに注目すると、最近の環境省等の優先取組物質などの選定の際には発生毒性、生殖毒性の観点を入れるようになっていますので、そちらの方も見ながら候補物質を挙げていただければいいと思うのです。
○名古屋座長 ここの。
○内山委員 発がん性というだけに限っているので、「発がん性等の重篤な健康影響」か何かにしておいていただければ。
○名古屋座長 分かりました。多分ここのリスクのところも、今までは発がん性がセラミックサーベイで終わってしまって、その後はやはり生殖毒性を入れようという流れになっていますから、これと同じ形の中でもう一度見直していただいて、有機の中でも生殖毒性のあるものはできるだけ入れ込んでもらって検討するという形でしょうか。取りあえず調べていただくという形でよろしくお願いいたします。あとはよろしいですか。では、その辺のところをまとめて健康障害防止措置の方に送っていただければという形です。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。あと、「その他」として事務局で用意するものはありますか、よろしいですか。
○角田化学物質評価室長 それでは、「その他」で1点御報告がございます。資料ですと、135ページを御覧になっていただきたいのです。これは前回、御審議いただきましたフェニルヒドラジンの初期リスク評価書ですが、実は数値に訂正があります。恐縮ですが、その修正の御報告とその変わった点について御検討をお願いしたいということで用意させていただきましたので、御説明させていただければと思います。
 135ページ、136ページ、137ページは変わっていないのですが、138ページを御覧になっていただきますと、見え消しで修正している所があります。ここの部分で消したものが、前回、御提示しました案で、「0.00035ppmとするのが妥当と判断される」と書いていたところです。
 それから、やはり消している所ですが、なお、スポット測定においても「高い濃度は確認されなかった」ということでまとめさせていただいていたわけです。今回、この見え消しのように修正をした経緯ですが、お手元にもう1つ、机上配布ということで配布しております資料を御覧になっていただきたいのです。これは、個別の事業所のデータが入っておりますので先生方の机上配布ということでしているのですが、その最後のページともう1枚前のページです。終わりから2枚目にA4の表があります。「初期リスク評価書におけるばく露濃度(TWA8hの最大値)の訂正について」ということで、フェニルヒドラジンということでまとめている表がありますが、お分かりでしょうか。この中で表の一番上の行に書いてありますのが前回、4月26日ですが、リスク評価検討会で提示させていただいた案です。「算定方法」という欄の所に分析時の検出下限。これは0.073μgから算出した数字で、定量下限からはじいたものではありませんでした。それで、その数値から算出した結果、左の方にあります測定値が0.0014ppmとなりまして、それをTWA8hに換算しますと0.00035ppmということで、この数字をもって先ほどの文章を書いていた次第です。
 それから、スポット測定結果につきましても、分注、および空き容器の洗浄ということで、それぞれ、0.0023と0.0085でしたので、これは二次評価値が、表の左下に「二次評価値0.1ppm」と書いておりますので、これに比べても小さい値だということで「スポット測定においても高い濃度は確認されなかった」という表現にした次第です。
 ただ、今回、検出下限から算出するのはちょっとおかしいのではないかということもありまして、今回、修正ということで下に整理しました。測定分析法の資料が先ほどの本文のあった方の後ろに付いておりますが、その中の定量下限を0.151μg/mLとしております。これは1mL当たりですので、スケールをアップして10mL単位で見ますと、1.51μgですが、その数値ではじいて計算をいたしますと、定量下限値から計算をいたしますと、測定値としては0.0292、TWA8hの最大値としましては、0.0071となります。その案ということで修正をしましたのが先ほどの文章の見え消しの部分です。
 右の方にスポット測定の結果があります。今回の修正案ということで計算してみますと、それぞれ、分注で0.0488、空き容器の洗浄で0.1708となっております。空き容器の洗浄の方は0.1ppmを超えてしまっておりますので、「高い濃度は確認されなかった」というのは実態に合いませんので、「空き容器洗浄の作業で0.1708ppmとなり、二次評価値を上回った」という表現にしているところです。
 表の3つ目の行は参考ということで、その「分析時の定量下限値から算出する」ということの数字もはじいております。それによりますと、TWA8hの最大値は0.0011ということになっている次第です。
 前回、数字がそのようにちょっと違っていたということで恐縮ですが、今回、訂正ということでさせていただくと同時に、御検討も頂けたらということで用意をいたしました。また今日、分析を実施しました中災防からも御出席いただいておりますので、適宜、補足なりしていただければとは思っております。説明は以上です。ありがとうございました。
 それからすみません、今、御説明しました表の次のページにばく露のA3の紙があります。これは前回の検討会でも机上配布で出しておりますが、そのときの数字は欄外にある数字でした。それが今回、上の方の表の中の数字に変わっているというところです。以上です。
○名古屋座長 前回は多分、ばく露評価は当然、評価値は下がっているしスポットも下がっているから詳細リスク評価で終わりだという話をしたのですが、今回の場合は、ばく露は超えていないけれどもスポットが超えているのでという形で。
○原委員 でも、こういう書き方はあり得ないと言うのでしょうか、そもそも数字がない状態でこのように断言して書くというのはあり得ない表現だと思うのです。つまり、定量下限値から空気量で割ったらこういう値になっただけであって、これが求まったわけではないわけですよね。ですから、こういう形、以下であったとかということは書けるかもしれませんが、「作業で0.1708ppmとなり」というのは、書き方としてはあり得ないと思うのです。ですから少なくとも「二次評価値を上回った」という書き方は、あり得ないというか、書けないと思うのです。
○名古屋座長 もっと下かもしれないということですよね。
○圓藤委員 ただ、こんなにずれますか。
○名古屋座長 計算の仕方。
○圓藤委員 検出下限と定量下限が違い過ぎるのですけれども。
○名古屋座長 2、3倍ぐらいですよね。
○圓藤委員 そうです、定量下限と検出下限は普通は3倍ですね。多分、一番下の「参考」の分析時の定量下限でやるのが普通ではないかと思うのです。多分、検出下限値の3倍ぐらいが定量下限値になると思うのです。それを使うのが普通ではないかと。そうでないと、逆に言うと、これは二次評価値を測定できていないということですよね、スポット測定。
○名古屋座長 そうですね。スポット測定が出てこなかったから定量下限を使って15分で計算したと、そのこと自体がまず問題だから、普通はスポット測定、要するに、測定値なしでいいのですよね、ということだと思います。
○圓藤委員 逆に言うと、こういう数値を使うときは、そのまま使うときと2分の1という数値を使うと、いろいろあります。それはそれとして、何を使ったかというのを書けばいいと思います。ただ、真ん中の数値でない方がいいのではないかとは思います。
○鷹屋委員 このやり方でいくと、結局、短いスポットがあると必ず超えてしまうというような論理矛盾に陥って。
○名古屋座長 ないものはないでいい。基本は、やはり8時間のばく露で測ってどうしましょうかということで。あと、もう1つあるのは、短時間のスポットで高かったときは短時間評価があるかどうかで。それがなかったときには、スポットは多分ありますから、8時間のばく露を超えていなかったらいいですよと過去の事例ではしていますので、多分、ここのところはあえてこう書かずに、スポット測定の値は測定できませんでしたという形で書かれていて、初期リスク評価で終わりですという形の方が皆さんの納得は得られるのではないでしょうか。それでよろしいでしょうか。結果的にはそのようになると思うのですが、表記の問題で、これを見たときに、やはりこれは値があると思ってしまいますから、違いますよと。説明を聞くと、ない値を作っているということと、出てきた値は違いますので、では、これはやはり、スポット測定のときは、要するに、定量はできませんでしたという形の扱いにしましょうということで、それでよろしいでしょうか。
○角田化学物質評価室長 では、先ほどの御指摘のとおり、数字としては下の数字、0.0011で整理した方がよろしいという。
○圓藤委員 これ、測定法がよく分かっていないので。
○東久保氏 実は、皆様方にお示しした標準分析法の方ですが、これは、実際にやる前にサンプリング流量を0.2Lから1L/分で空気を吸ってインピンジャーの方に液体捕集をしようという方法で開発しました。ところが、実際に作業者に液体捕集法で付けてしまいますと、その中の液が飛んでしまうという問題がありましたので、なるべく流量を少なくして0.1Lで引きたいということで、現場では、それでも2時間ぐらい引けるかなというような形で対応させていただきました。
 その経緯があって、分析手法のときには定量下限が0.151μgまではできるということだったのですが、それでは実際の分析のときには使えなくなりますので、手法として、実際に0.1L/分でサンプリングした状態でも定量下限が出るか、もう一度機器で調整してもらっています。そういうことをしたために、実際の当日の分析感度で言いますと、検出下限が0.073μgになって、定量下限が0.243μgと、実際に分析方法を報告したときよりも数段いい感度で分析できるという形になっております。そのようなことで、ちょっと値が違うというお話がありましたが、その辺のところが生じております。
 そして、もともとのこの報告書の最初の問題としましては、検出下限のところで濃度を算出してしまったということがありましたので、今回は、分析報告書での検出感度と当日の感度の定量下限での検出濃度という形で、両方、私どもの方はお知らせしたということで訂正させていただきたい、ということを御提案させていただいたということです。
 それと、スポット測定の場合ですが、今、お話があったように、スポット測定になりますと、どうしても20分以内の作業についてスポット測定をしなさいと。それ以上であれば個人ばく露のところで取れるであろうということですので、スポット測定の場合は、どうしてもそのように二次評価値よりも高くなる、測定できる濃度がどうしても高くなるという弊害はあります。ですので、今までの例でいきますと、スポット測定の値は、使うときもあるし使わないときもあったというのが現状です。
○圓藤委員 今おっしゃったのは、個人ばく露濃度の長いときは0.1だけれども、スポットのときは1Lでは引けなかったのですか。
○東久保氏 このときも0.1Lで引いております。もちろん1Lでも引けるのですが、機器の調整のためにいろいろ。ばらばらに調整しますとミスをすることが多くなりますので、取りあえず今回の場合は、0.1L/分で引ける機器を数台準備していたということです。
○名古屋座長 変えている。
○東久保氏 はい。
○圓藤委員 でも、それは困ったことですよね。
○東久保氏 ええ。過去もそのような例があったということです。
○圓藤委員 ということは。
○名古屋座長 理解できていない。
○鷹屋委員 結局、実際に測ったときには測定法を検討したときよりもいい定量下限が得られているけれども、それは、定量下限を求めるだけの実験は得ていないからということですね。
○東久保氏 ですので今回、当日のデータと、当初、分析方法を報告したときの両方の濃度で再度訂正の案を出させていただいたということです。
○鷹屋委員 これは逆に言えば、その当時、分析に使ったときの調整のデータというもので再度、例えばこの分析法そのものの、この分析法の性能はここまでできるというように、上書きできるほどデータを取れるのですか。
○東久保氏 はい、それは大丈夫だと思います。
○鷹屋委員 では、そこも修正してということでいった方が矛盾がないような気がするのですけれども。普遍的かどうか。
○名古屋座長 例えば、今、余り理解していなくて申し訳ないのですが、今回は初期リスク評価で終わるけれどもその方法が、例えばこれが詳細リスク評価にいったときには、この方法でやらなくてはいけなくなったときにその分析方法が、要するに、ずっとつながるような分析方法ではないように思われるのです。そのときによって臨機応変にやっていることであって、本来は工程表になってきてきちんとやらなければいけないときにちょっと違うのかなという気がするのですが、大丈夫ですか。
○東久保氏 いや、この方法で1Lで通ってしまえばこの検出下限は出るのです。
○名古屋座長 でも、そのときは、多分、長くやっていると液量が少なくなってくるからしょっちゅう変えていかなくてはいけないよねということですよね。
○東久保氏 そうですね、はい。
○名古屋座長 そうするとそれは、例えば何本か持っていて、見ていて、少なくなったら変えていくよと、あと、全部まとめてという形になると。
○東久保氏 はい。
○圓藤委員 ただ、この標準分析法の分析のところの流量は0.2~1.0mL/minuteと書いてあって、検出下限値が1つしかないということ自体がおかしいのですよね。これは1Lの検出下限値なのですよね。
○東久保氏 そうです、1Lの検出下限値で計算しています。
○圓藤委員 ですから、検出できなかったのですね。
○名古屋座長 検出できなかったら検出できなかったで別に、Cスポットはできなかったということで数値がなければいいだけですが、数値が出てくるとその議論になってきて。そうすると今のところ、検出下限の1Lのところを0.1だったときどうなるかという議論が出てくると思うのです。今回はもともとなかったからそれを使ったのだから、逆に言うと、C測定のところについてはなかったという形でも。そうでしょう。
○東久保氏 はい、基本的には。
○名古屋座長 その方が分かりやすいのではないかと思うのですが。
○圓藤委員 検出されなかったで、括弧でこれ以下ということですね。
○名古屋座長 そうです、それの方がいいと思います。だから表のところは、要するに、検出で求めたらこのぐらいの数値ですよ、実際は求まりませんでしたよ、でも、計算からいくとこうですよ、という形にされた方がいいのかなと。
○東久保氏 ありがとうございます。
○圓藤委員 だから、下の文章は書けないですね。
○名古屋座長 ええ、「結果」の所の文章は直さないといけないと思いますけれども。それは、また事務局と相談して直すという形で了解していただければ有り難いと。いずれにしても、リスク評価の中では初期リスク評価の中で終了という形でよろしいでしょうか。ありがとうございました。
 そうしましたら、最後の「今後の予定」にいきます。よろしくお願いいたします。
○岸室長補佐 資料5の123ページを御覧ください。次回は6月21日(金)、午後3時半から第3回目のリスク評価検討会を予定しております。その際には、昨年度のリスク評価物質で残っております酸化チタンのナノ粒子やN,N-ジメチルアセトアミドなどを予定しております。
○名古屋座長 あと、よろしいですか。そうしましたら、以上で本日のリスク評価検討会を閉会いたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

電話番号: 03-5253-1111(内線 5511)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働基準局が実施する検討会等> 平成25年度化学物質のリスク評価検討会> 第2回 平成25年度化学物質のリスク評価検討会 議事録(2013年5月24日)

ページの先頭へ戻る