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第12回有期労働契約研究会議事録
日時
平成22年2月24日(水)18:00~20:00
場所
中央合同庁舎4号館共用123会議室(1F)
出席者
〈委員〉 阿部委員、荒木委員、奥田委員、鎌田委員、佐藤委員、橋本委員、 藤村委員、山川委員 〈事務局〉 渡延労働基準局審議官 前田労働基準局総務課長 青山労働基準局総務課労働契約企画室長 丸山労働基準局監督課中央労働基準監察監督官
議題
(1)中間取りまとめ(案)について (2)その他
議事
○鎌田座長 定刻近くとなりましたので、ちょっと荒木先生が遅れるという御連絡をいただきましたので、ほかの委員の皆様には、もうお集まりいただいていると思いますので、ただいまから第12回「有期労働契約研究会」を開催したいと思います。
委員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、中間とりまとめに向けて御議論いただきたく存じます。
それでは、まず、中間とりまとめ案について、事務局で資料を用意していただいていますので、御説明をお願いいたします。
○青山室長 では、御説明します。御説明の前に事務的な御連絡で、今、座長からもありましたとおり、ワイヤレスマイクが4つございます。先生、委員、お二人ずつ1台でお使い願えれば幸いでございます。
では、中身に入ります。
今回、事務局の方で中間とりまとめ案として資料2を用意しております。御説明いたします。
これは、これまで御議論いただき、かつ前回これまでの議論を整理した論点整理表を基に更に御議論いただきましたので、それらの議論を基に、中間とりまとめという形で案をつくっております。
表紙を開いていただきますと、目次がございます。構成を申しますと「はじめに」は別としまして、第1が総論的事項で総論でございまして、第2項が各論になっておりまして、これまで議論いただいた論点を第2から第6までの論点に整理して記述しております。
では、中身に入ります。
開いていただいて「はじめに」ですが「はじめに」の詳しい説明は省略いたしますが「はじめに」の前半3パラ目くらいまでは、これまでの現行法制の内容や過去の法改正での宿題、本研究会のやってきたことを書かせていただきましたが、最後のパラグラフの本中間とりまとめの趣旨を書いています。
最後のパラグラフをごらんいただきますと、中間まとめは、有期労働契約に係る施策の方向性についての検討の状況を論点ごとに中間的に整理したというものでございます。
本研究会として調査研究を深めるべき点は、なお尽きないものと考えるが、これを明らかにして、今後労使関係者等の意見を聞くことなどにより、更に検討を深めるということで趣旨が書いております。
そういう趣旨でまとめたものということでございます。では、本文に入ります。
2ページ以降ですが「第1 総論的事項」でございます。
初めに御説明しますが、この資料の構成として第1のところにありますように、点線囲みの部分がございます。
これは、10月以降、この研究会で御議論いただいたときに用いました論点ペーパーの内容をそのままの形で入れております。その上で、点線の外の本文の方で、その点線の中の論点について議論した内容を整理して記述するという形を取っております。そういうこともありますので、説明上は点線の中の説明は省きまして、点線の外の説明をこれも量が結構ございますので、要点、要点になって恐縮ですが、かいつまみながら御説明させていただきます。
1の「現状と課題」でございます。第1パラグラフでございますが、これは我が国企業の雇用が正社員を中心とした長期雇用システムを基本としてきた一方で、有期契約労働者というものは、企業にとっては需要変動等の場合の雇用調整を弾力的に行う、人件費を削減することを目的あるいは専門的な人材を受け入れるなどのために、また、労働者にとっては、自らの都合に合った働き方、多様な働き方の選択肢などの1つなどとして、労使の多様なニーズにより用いられてきたということでございます。
次のパラグラフは、特に、近年の状況でございますが、国際競争の激化等の中で、雇用情勢等に備え、有期を活用するニーズが高まっているということで、この研究会でも行いました、有期労働契約に関する実態調査で明らかになった企業が有期を活用する理由等々のデータも載せております。
データの詳細は省略いたしまして、2ページの一番下の行からですが、また、労働者の意識の変化等によりまして、めくっていただきまして、就業形態の多様化が進行しているということで、3ページになりますが、こうした事情から有期労働者は増加している。
特に平成12年から3年ほど増加のピッチが上がり、高どまりしているという状況でございます。
その中には、いわゆる就職氷河期に正社員となれないままやむを得ず就いた有期労働契約者等の職にとどまったものが多数存在しているという背景も書いております。
次のパラですが、勤務の実態を見ると、というところでございますが、これは企業としては有期についても継続雇用する方針になるところも少なくないということとか、契約更新回数が11回以上、継続年数が10年超など、一時的、臨時的でない仕事についても有期労働契約の反復更新に対応している実態というものを挙げております。
次の一方のパラグラフは、現行法制の内容でございますが、我が国の現行法制は労働基準法の1回の契約期間の上限等々の規定はありますが、労働契約について期間の定めのない契約、無期労働契約を原則とする旨を定めている規定はなく、更新回数、期間の上限を限定している規定もないということでございます。
契約の終了の局面につきましては、雇止めというものは、無期雇用契約の解雇と同等の規制には服していないということが事実でございます。
次のパラグラフに行きまして「他方で」とあります。ここは、今、雇止めの話をしましたが、他方で有期労働契約のうち、実質的に無期労働契約と異ならない状態に至ったものと認められる等の雇止めにつきましては、無期契約の解雇権濫用法理が類推適用されるという判例が形成されているという事実があったり「また」以降でございますが、労働基準法に基づく締結更新、雇止め基準、大臣告示によりまして、法定の明示事項等を超えた内容の明示、雇止め予告等に関するルールがつくられてきている。
ということで、法の規制は最低限のものとしつつ、一定の場合に、無期労働契約に係るルールを準用するなどの形で対処されてきたという法制や、それに関するルールについての説明でございます。
4ページでございますが、そうした中で最近生じる実態を説明しております。
4ページの1パラですが、いわゆる20年末以降の非正規切りいった雇用不安が問題となっているということで、実態調査などを見ましても、雇止め等の不満が多く上っているということや、加えて労働条件が低位にあるということの指摘も紹介しております。
次の「また」のパラグラフですが、また、労働市場の話ですが、我が国の労働力人口が減っているということで、中長期的に労働力供給が制約されることが見込まれる中で、労働者の能力形成とか、職場定着を促すこと、幅広い人材を労働市場に参加させていくことが必要になっているということとともに、労働者にとっても充実した職業生活を送るということが必要となっているということでございます。
そうした中で「一方で、現状を見ると」とありますけれども、実態調査を見ても、正社員としての働き口がなかったというような正社員を希望しながらやむを得ず、有期労働になっている者がいるという実態も種々の調査でわかっているということでございまして、こうしたものを典型にしまして、先が見えない不安や、ステップアップが見込めないということなどから、意欲の向上、能力形成の取組みが十分でないという実態が見られるという実態の説明でございます。
以上までが現状の認識でございまして、4ページの下に1行空けてある6行ですが、ここが課題ということで、こうした雇用の不安定さ、待遇の低さ等に不満を有し、これらの点について、正社員との格差が顕著な有期労働者の課題に対して、政策的に対応することが、今、求められていると、すなわち雇用の安定、公平、公正な待遇等を確保するため、有期労働契約法制の整備を含め、有期契約労働を巡るルールの在り方を検討し、方向性を示すことが課題ということで、課題についての基本的な考え方をここで書かせていただいております。
5ページ以降は、総論の2番目でございまして、今の基本に立ち返って検討するのに当たっての考え方でございます。
2の(1)は、我が国の労働市場が公正を確保しつつ機能するためのルールづくりでございまして、1パラ目は、先ほどと多少重複しますが、労働者の方でも、その能力を十分に発揮し、充実した職業生活を送ることができるようにして、雇用・生活の安定・向上や待遇等の公正さの確保の重要性をといております。
「また」のパラグラフは、雇用の安定という場合に、現下の雇用情勢の中、なかなか労働者全員が正社員となることが困難な状況の中で、有期労働契約というものは、求人雇用の場の確保、特に無業、失業状態から安定的雇用に至るまでのステップという点での役割を果たしているので、それを評価することも必要ということを提示しております。
「一方で」のパラグラフですが、これは労働市場における有期労働契約の機能を考えた場合に、企業側の方からは中長期、短期を含めた需要変動等に伴うリスクに対応するといった労働市場全体における柔軟性への要請というものがあるというのは事実でございます。これにつきましては、そうした変動へのリスクというものを専ら労働者の側に負わせるということは、公正・公平とは言わないと考えられて、そうしたリスク配分の公正さにも配慮しつつ検討すべきということを書いております。
次のパラグラフは、有期労働契約を考える場合に、有期労働契約が多く存在すると思われる派遣労働者、パートタイム労働者の関係の法制との関係にも留意が必要ということが書いてあります。
最後になお書きでございますが、正社員、無期雇用契約のルールとの関係ですが、例えば正社員、無期雇用契約に適用される解雇権濫用法理というものは、正社員が果たしている役割等を踏まえて、裁判例を積み重ねてきたものということでございますので、こうした正社員についてのルールを立法で見直すということは、今回、有期をやるに際して見直すということは、有期の問題の解決には直結しないという考えを明らかにしております。
次に考え方の2番目ですが、6ページの(2)でございますが、2つ目としまして、有期契約労働者の多様な実態を踏まえるということでございます。
この研究会では、有期契約労働者を4つの職務タイプに区分して実態調査をいたしました。その結果、実態や企業が活用する理由や労働者が選択する理由など労働者のニーズ等が職務タイプに応じて明らかになったかと思っております。こうした多様な実態を踏まえて検討するということも必要ということをここでは言っております。
(3)が「労働契約の原則を踏まえ発展と」あります。ここは、無期、有期に共通する労働契約の原則として、労働契約法3条に労使対等や均衡考慮、仕事と生活の調和等々の原則が書かれておりまして、こういう考え方もより機能するよう発展させることが必要だということも書いております。
以上が検討に当たっての考え方でございますが、次の6ページの3は、総論の最後ですが、検討に当たってのその他の留意事項でございます。
1つ目が、予測可能性の向上を旨として、紛争の予防・迅速な解決ということでございまして、具体的には、ルールの内容の明確さを確保して、予測可能性を高めるということで、紛争防止、解決の促進を図ることの重要性を説明しております。
7ページに書いてございますが、(2)でございます。これは施策の相互関係やその効果等を考慮するということでございまして、締結時点の規制、施策、更新や雇止め時点の施策などそれぞれの局面における施策の相互関係に留意しながら検討が必要だということでございます。
「また」以降の方は、ルールを設けた場合に、規制を回避するための行動を誘発するなどの副作用といったものについても留意しながら、その緩和や防止策も考えるということについての必要性が書かれております。
(3)は比較法的検討についてでございます。この研究会でも諸外国の法制についての研究を深めながら議論いただいたところですが、そうする場合に、各国が持つ労働市場や賃金決定システムなど、雇用、労働を巡るシステムの全体像やその中での有期契約や法制の位置づけや機能といったもの、おのおのについても我が国との相違にも十分留意すべきということでございます。
(4)でございますが、さまざまな性格の規定・行政手法の総合的な活用ということで、在り方を考える場合に、例えば罰則付きの最低基準を定める労基法とか、民事法規である労働契約法とか、あとパートタイム労働法を始めとする雇用・労働条件管理に関わる立法例、そこに取られている指導、援助といった手法とか、さまざまな手法を視野に入れて検討すべきということでございます。
「また」以降にありますとおり、特に一定のルールを課すという方法のほか、当事者による実質的な創意工夫を取り込める余地を残したルールの在り方を視野に入れるべきということでございます。
以上が総論的事項でございます。
次は、第2項の各論に入ってまいりますが、8ページ以降でございます。
8ページ、9ページの前半までは、点線囲み、既存の論点ですので割愛させていただきます。
9ページの1、基本的考え方でございます。第2の論点は、有期労働契約の範囲、勤続年数等の上限、更新、雇止めでございます。
「1 基本的考え方に」ありますように、今、言ったような締結の範囲といったような入り口の部分の規制、年数等の上限とか、雇止めといった出口規制ということで、そういう締結のルールや回数、年数のルール等が論じられることが多いですが、そういう入り口規制と出口規制は連続的でセットで議論する必要があるということでございます。
「例えば」と次のパラになりますけれども、例えば有期、無期の法的位置づけに差がなく両者の合意により幅広い事由で締結を認めつつも、行使の状況等に応じて解雇規制の潜脱等の濫用を防止するということで、更新回数や利用可能期間の規制を行う出口も考えられるということとか「または」とありますように、一方で無期が原則であるという考え方を前提にすれば、締結の段階での入り口のルールのみならず、回数や利用可能期間の規制ということもあり得るということでございます。
基本的な施策の組み合わせ等についての説明でございました。
この第2に掲げた論点についてが2以降でございます。10ページの2ですが、まずは入り口規制、締結事由の規制でございます。
1パラ目は、それに関する実態を整理しておりますが、締結されている実際の事由を見ますと、労働者側は、正社員としての働き口がなかったということと、自分の希望に合っていたということの理由がほぼ拮抗しておることがわかっております。
一方、企業側に聞きますと、中長期的あるいは急激な需要変動への対応とか、人件費の削減といった理由が多く、有期が雇用できなくなると、事業が成り立たないとするところも多いということでございます。
また、契約更新回数や勤続年数が多数回、長い年限にわたるというところも見られるということで、恒常的に存在する業務についても利用されている実態が見られるということで、こうした実態の中でどう考えるかということでございます。
次のパラグラフが、それに関連する諸外国の例を紹介しておりますが、締結事由を規制する例としては、事由を一時的な事業活動等に限定しているフランスの法制があります。これは、同国におきましては、労働法典において労働契約は期間の定めなく締結されると規定して、有期の利用は法律上、認められた場合に限って許されているということでございます。
それを考えた場合に、一方、次のパラですが、我が国の現行法は、こうした無期雇用労働契約の原則を採用していなく、締結については事由に委ねているという現実がございます。
続きまして、次のパラですが、そういうことで、締結事由を規制する場合には、実質上、無期原則の採用ということが明らかになるが、そうした考え方、我が国にとっては考え方の転換の是非についての議論が必要となるということで、具体的には、無期原則のコンセンサスや労働慣行がなく、有期労働契約は、あくまでも雇用の中心である長期雇用の補完するものとして機能してきた我が国でございますので、そこにそういう締結の規制自体を導入することの合理性については、有期の果たしてきた機能や、その一方で抱えている課題の双方を踏まえて十分に議論する必要があるということでございます。
例えばですが、先ほども出てきましたが、有期契約というものは無業、失業状態から安定雇用のステップとしての機能とか、企業にとってはさまざまなニーズに応える雇用形態としての機能がありますので、それをどう評価するかということでございます。
「すなわち」とありますように、締結が制限されれば新規の雇用が抑制される、企業の海外移転が加速するなどの影響が生じないかということ、労働者が希望した場合でも認めないのか等々の点に意を払う必要があるということでございます。
それについては、ドイツにおいて締結事由の規制を判例においてした後に、質疑を問題が深刻化して立法で、その後緩和したという事例も紹介されております。
次のパラですが、締結事由を規制する場合のやり方としてフランスのように自由を限定列挙する場合、方式あるいは合理的な理由が必要という一般的に規定する方式等が考えられる。例えば事由を列挙した場合には、その業務が事由に該当するかをめぐって争いが生じ得るという可能性、一方で合理的な理由が必要とした場合には何が合理的かということについて、複雑な法律問題を惹起するということで、こうしたやり方が、予測可能性の確保、紛争の発生防止等の観点から、有効に機能し得るか研究が必要かということでございます。
他方のところで、そういう紛争が雇止めの有効性をめぐって生ずることが回避し切れないことを想定すれば、そういう締結自体を規制する手法のほか、利用の濫用を規制するために雇止めにおけるルールによって対応することで、その弊害に対処する手法も考えるとしております。
締結事由については、以上でございます。
次に、12ページに行っていただきまして、更新回数・利用可能期間に係るルールでございます。
これは、まず、1パラ目は、実態から入っておりますが、更新や雇止めの実態といいますのは、勤続年数が長い労働者が存在したりという現実がある中で、更新回数や利用可能期間の上限を設定して、それを超えてなお存在する業務であれば、無期契約と同様のルールに従うものとすることが公平に適うという考え方があるとしております。
次のパラは、海外の法制ですが、イギリスや韓国、またドイツでは4年、2年といった期間を定め、それを超えた場合に無期とみなすという法制がございます。
そうした考え方を踏まえて、我が国で受容されるものとなるよう検討が必要でございますが、その次のそれに関連してのパラにありますように、関連して考えますと、現在の労働基準法14条の1回の契約期間の上限である3年というものが、最終的な利用可能期間の規定として誤解されたり、リスク回避的考慮から利用されたりという形で、利用可能期間の事実上の上限として機能しているという雇用管理の実例が、この研究会でも報告されております。
ということで、その点も踏まえて留意して考えていくことが必要ということでございます。
なお書きの部分を飛ばしまして、その次の下から2番目の更新回数や利用可能期間の規制でございますが、この規制のやり方は一義的に明確でございまして、予測可能性が非常に高いものとなるため、紛争の未然防止につながるということや、ステップアップの道筋が見える意欲の向上にもつながり得るということが考えられることと思います。
一方ということで12ページの一番下ですが、一定の期間の上限といった区切りを設けた場合に、その手前で雇止めを誘発するという副作用の懸念が、本研究会によっても指摘されました。13ページに行っております。
ということで、こういう諸外国の例も参考にしながら、検証する必要があるということでございます。
またのところは具体的な内容を考える場合に、一見区切りを超えた場合に法的効果をどうするのかということについては、無期とみなすということのほか、無期契約の変更の申し込みがあったものとみなすや、無期契約への変更の申し込みを義務づけるといったこと。あるいは解雇権濫用法理と同様のルールが適用される等々さまざまな選択肢が考えられます。
なお書きでございますが、無期としてみなされた場合には、従前の労働契約のうち期間を定めた部分のみが変更されるということで、その他の労働条件全般が直ちに正社員と同様になるということは別の問題であるという指摘もございました。
3は以上でございます。
4番、解雇権濫用法理の類推適用でございます。これは、反復更新を重ねた後の雇止めに関しましては、一定の場合、判例法理によって解雇について形成された濫用法理が類推適用されるという、いわゆる雇止め法理として確立しております。
ということで、2パラ目にありますように、このルールを法律で明確化するということは、個別の判断となりますので、事案に応じた妥当な処理が可能となるということや、先ほどの前のルールで指摘したような手前での雇止めの誘発という可能性は低いということが考えられます。
「一方」のパラでございますが、この法理を当てはめる場合に、事案ごとに業務の内容等の客観的要素のみならず、言動、期待・認識といった主観的要素を勘案して、最終的に裁判所に判断を委ねるということになりますので、14ページに行きますが、予測可能性に欠けるという問題点は指摘されました。更に検討が必要ということでございます。
以上が第2の論点でございます。
次に、第3に行きます。15ページです。労働条件明示等の契約締結時の課題でございます。
これも点線囲みの部分を飛ばしまして、15ページの下の方でございますが、そのうち1つ目が契約締結時の明示事項等でございます。これは、契約締結時の明示事項として労基法15条に基づくもののほかに、先ほど紹介しました基準という大臣告示において、使用者が締結時に明示する事項がございますが、その履行状況を見ますと、ほぼ定着し、または定着しつつあるということが調査結果からうかがえました。
他方で、例えばその中の更新の判断基準を明示するというルールについては守られていない等のヒアリングでの意見もあったところでございます。
16ページに行きますが、そうした中で紛争防止を図るためにも、このルールを法律に規定することによって規範性を高めるということが1つの方向性かと考えられます。
その場合に明示事項について追加すべきものがあるか、あと、どの程度具体性を求めるのか等についての検討、あるいはこれを法律に規定させる場合に労基法上の取締法規的な義務とするのか、労働契約ルールとするのかなどの複数の選択肢を更に検討すべきということでございます。
「また」のところは、これは雇止め、更新のルールでございますので、先ほどの第2の論点の真ん中にありました更新回数、期間の上限の規制を設ける場合には、明示のルールに期待する役割というものは相対的には軽減し得るということで、留意点として書いてございます。
16ページの2番目でございます。これは契約期間について書面明示がなされなかった場合の効果でございます。
契約期間の書面明示は労働基準法上義務づけられておりますが、書面明示がなかった場合には、無期労働契約として扱われるような効果を付与することが考えられるということが議論されました。
2パラ目ですが、その場合の法的効果については、書面の欠如で期間の定めが無効として、無期労働契約とみなすという立場あるいは口頭では有期の合意があったものの書面での明示がなかったという場合などに当事者の意思を解釈するという趣旨で、反証で覆せるような無期労働契約と推定するという立場とか、その他、申し込みの疑問を課すといった立場など、これもさまざまな選択肢があるということでございます。
「また」のパラグラフのところで中身を考える場合に、書面明示をどの時点で求めるかということも議論がございました。契約締結時にするのか、ほかの国の例にありますように締結後一定期間内に明示すればよいのか等の選択肢がございますので、それも検討していく必要があるということでございます。
次が第4でございます。17ページでございます。これは有期労働契約の終了(雇止め等)に関する課題でございまして、先ほど更新回数等のルールや解雇権濫用法理で取り上げました部分を除く終了に関する問題でございます。
17ページの下の1でございますが、まず1つ目が契約期間の設定でございます。これは何かと申しますと、1パラ目にありますように、1回の契約期間の短縮化、いわゆる細切れ化が進んでいるという事態への対応でございます。これについては現行労働契約法17条2項において、契約期間を必要以上に短い期間に定めることのないよう配慮するという規定が書かれております。
これについては3パラ目ですが、経営上の必要性が指摘される他方で労働者にとっては、雇用が一層不安定になるという問題もございます。この状況が更に継続して進行するのか、必ずしも見通せない現状では、推移を見守りつつ、必要な場合に、必要以上に短い期間を定めることのないよう方策を検討することが必要ということでございます。
2点目でございますが、18ページに行っていただきまして、雇止めの予告等でございます。雇止めについては予告や理由の明示というのは大臣告示で求めておりますが、それについては徹底されていないという声もあるということで、2パラ目にありますように、今、告示で定めている予告等についても法律に基づくものとすることなどについて検討が必要ということでございます。
「すなわち」の部分でありますが、その場合に、高度技能タイプに見られますように、長い契約期間で更新を経ないようなものまで予告制度対象にするのかといったことの留意も一方で指摘されております。
他方のところですが、軽易職務型の方の家計補助的な場合にありますように、家庭状況に応じて労働条件を見直しをする節目として更新に先立つ意思確認により利用しているというケースがありますので、意義があるということを書いております。
3番目でございますが、雇止め後の生活安定等とあります。まず1つ目でございますが、雇止め予告というものは、これも告示で求めているんですが、先ほどの論点でございましたが、それに関連して予告手当に相当する手当も考えられる。解雇については労働基準法で予告がない場合の手当というのが義務づけられておりますので、それとの関係でございますが、ただ、解雇予告というものと違いまして、有期については、1回の契約の終期があらかじめ明記されているということについての留意が必要でございます。
「また」のところはまた別の話をしておりますが、フランスにおきましては、雇止めの際に一定の手当の支払いを事業主に求めるという例がございます。
次のページに移りますが、これについては、フランスの契約終了手当と呼ばれている制度がこの国の無期原則といった考えを背景に、有期労働契約自体に内在する不安定さへの補償としての考え方に立っているのではないかなとの指摘もありまして、その手当の目的、趣旨を整理するとともに実態も含めて更に研究が必要かと考えられます。
雇止め等に関しては以上でございます。
次の論点が20ページですが、第5の均衡待遇、正社員への転換等でございます。点線囲みの既存の論点が少し長いんですが、21ページでございます。
1は、この論点の基本的な考え方でございますが、1パラ目は実態を整理しております。労働条件が正社員より低位に置かれていたり、その水準が低いといった不満が挙げられております。
「また」のところですが、一方で、頑張ってもステップアップが見込めないという不満が有期の中で高い水準を示しております。
このため、次のパラですが、均衡の取れた待遇を推進するとともに、無期化や正社員転換等を推進するという施策が考えられるところでございます。
次のなお書きでございますが、ここで正社員転換等といった言葉を使っておりますが、正社員というものは、報告書の冒頭でも無期で働くということのほか、直接雇用、フルタイム、長期雇用を前提とした待遇を受けるという前提で整理しております。
この項目で言う正社員転換という場を考えた場合は、そういう意味での正社員に限定して考えることはハードルが高くなり過ぎるということもこの議論の中で指摘されました。後ほどこの関連の議論も少し入ってきております。
少し飛ばしまして22ページに行っていただきまして個別の話に入りますが、まず1つ目が、均衡待遇など待遇の問題でございます。
初めのパラは、均衡待遇を求めるやり方の問題ですが、規制方法として、EU諸国のような有期であることを理由とした合理的理由のない差別の禁止といった規定を一般的におきまして、適用は裁判所が判断するという枠組みが1つの例となりますが、我が国においては諸外国のような職務給体系となっておらず、人材活用の仕組み、運用を含めて待遇が決定されるということでございますので、単に職場が同じというだけで正社員との比較は困難であり、何が合理性がない差別かという判断も難しいということが懸念されるという意見がございました。
「一方」のところにありますように、パートタイム労働法の枠組みを参考に、職務の内容や人材活用の仕組みなどの面から正社員と同視し得る場合には、厳格な均等待遇を求め導入しつつ、その他の有期労働者についても均衡を考慮しつつ職務の内容、能力等を勘案して待遇を決定するということを促したりする均衡待遇の仕組みがあります。この仕組みは多様な者を対象とできるということとか、実情に即した対応が可能ということが考えられます。
今の仕組みを考える場合ということで次のパラでございますが、厳格な均等待遇を措置する場合に、現行のパートタイム労働法についてはその要件の1つとして無期契約労働者か、実質無期である有期労働者ということを求めております。
同じような措置を有期労働者について今回考える場合に、パートタイム労働法で言う、実質無期の要件をどう考えるべきかについては議論があり、更に検討が必要ということでございます。
次の「正社員への転換等」でございます。22ページからの初めのパラは、これも実態でございまして、正社員を希望しながら、必ず有期となっている者が存在しているということとか、実証分析において、正社員転換の可能性が高いほどインセンティブが高いという指摘もございました。
こういうことを踏まえて労働契約の無期化、正社員への登用制度を設ける等の正社員の機会の提供等の正社員への転換等の促進方策は効果的と考えられるとしております。
この場合のやり方としましては、次のパラですが、事業主に対して転換の推進のための措置を義務づけるほか、何らかのインセンティブを与えるなど、これもさまざまな選択肢を検討する必要があるということでございます。
最後のパラですが、先ほども出てきた論点に関連するのですが、その場合に、現在の正社員の処遇をそのままに考えると一挙にそうした正社員へ転換するということは非常にハードルが高いということとか、労働者の側にも責任、拘束度などの面から、そういう正社員には望まない場合もあることから、無期契約への転換ということで雇用の安定を図りながら、一方で勤務地限定、職種限定の無期契約など多様な雇用モデルを労使が選択し得るよう視野に入れることも検討が求められるという指摘もございました。
以上が第5でございます。
次に第6でございます。24ページですが、1回の契約期間の上限でございます。
24ページの下半分でございますが、1つ目が15年労基法改正の影響等でございますが、これは15年労基法改正で改正しました1回の契約期間の上限を原則1年から3年に延長したということに関するものでございますが、その影響調査で見ますと、1年を超える有期契約の利用は総じて低調であるということがわかっております。3年を超えるものは更に少ない利用だということも明らかになっております。
「更に」のパラでございますが、ヒアリングで聞きましても企業から上限延長の必要性は薄いとの意見が出されたり、労働組合からは、上限延長には反対という意見が出されるなど、上限を延長する労使のニーズを把握するには至っていないということが言えます。
最後のページに行っていただきまして、この点については、更に検討を尽くすべきではありますが、1回の契約期間の上限としては、現行の内容を維持することを基本としながら検討することが1つの方向と考えられると書いております。
論点の2つ目「2 暫定措置についての取扱い」でございます。
まず、この暫定措置は労働者の方は1年を超えたら退職できるという措置についての扱いでございますので、労働者の拘束を解いている規定でございますので、労働が拘束される事態が生じているかということを実態調査で見ましたら、余りそれはうかがえなかったということでございます。
「今後」のパラでございますが、そう考えた中で、有期労働契約というのは、期間の定めというものについて労使双方が互いに義務、拘束を負うと、その義務に見合う待遇をすることを約し、同時に、期間途中の解雇の方は厳しく制限されるということを徹底することが欠かせないのではないかと考えます。
以上の点を踏まえて、最後のパラにありますように、先ほど説明しました暫定措置、当分の間として設けられた措置につきましては、具体的には1年を経過した後においては、労働者はいつでも退職できるという規定ですが、そういう労働者からは一切予告なく、退職できるという措置については、役割を終えたものと考えてよいかどうかを更に議論を深めるべきと考えられ、そのように結んでおります。
御説明長くなりましたが、以上でございます。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。今、御説明いただいた中間とりまとめ、座長として
はこれまでの委員の皆様の議論をおおむね反映したものとなっていると思っておりますが、改め
て中間とりまとめにつきまして、御質問、御意見がありましたら御発言いただきたいと思います。
よろしくどうぞ。
○阿部委員 基本的には何も言うことはないと思っているんですが、非常によく議論をまとめていただいていい中間報告になっていると思うんですが、本当に字句なんですけれども、10ページ目の締結事由の規制の上から4行目、急減な変動というのと、人件費の低減と出てくるんですが、どういう意味としてとらえられるかというのがちょっと不明なので、業務量の中長期的あるいは急減な変動というのは、ちょっと。
○青山室長 急激な変動の間違いでございます。申し訳ございません。
○阿部委員 それから、人件費の低減も人件費の削減か、そういう意味でよろしいですか。
○青山室長 はい。
○阿部委員 それは、多分、入力ミスとかいろいろあったのではないかと思いますが、それから16ページ目の一番下の段落の1行上ですけれども、「課すこと』」立場となっているので、多分「とする」というのが入るのかなと思ったんですが、本当に字句しか私はなくて、非常によくまとまっているんではないかと思います。
以上です。
○鎌田座長 ありがとうございます。表現ぶりにつきましては、御意見をいただきながら、もう少し調整します。でも、先生の御指摘を活かしながら考えていきたいと思います。
どうぞ。
○奥田委員 全体的に非常にたくさんのことをまとめていただいて、ありがとうございます。ごく単純に何点か質問をさせていただきたいと思うのですが、確認ですけれども、13ページの上から9行目のところで、あるいは同ルール、これは解雇権濫用法理と同様のルールということですね,同ルールは適用可能な状況にあることを推定するというのは、現在の判例法理で言いますと、例えば期間の定めのない契約と実質的に異ならないとか、あるいは雇用継続の期待があるとか、そういうふうに解雇権濫用法理が類推適用されるような状況にあるということを推定するという理解でよろしいでしょうか。
○青山室長 はい。
○奥田委員 それから、19ページの上から2行目ですが、非常に細かいことで恐縮ですけれども、フランスの法制では更新と継続というのが基本的に違う概念ですので、更新の場合ではなくて、訳語として的確かどうかわかりませんが、継続された場合というふうにしておいていただきたいと思います。
○青山室長 はい。
○鎌田座長 上から2行目のところですね。
○奥田委員 はい。19ページの上から2行目のおしりの方にある「契約が更新された場合」というところですが、継続というふうに御紹介してきたところです。
それと最後の点ですけれども、これはまた議論の対象にしていくということで具体的にどうするかという意見ということではないのですが、この間の調査やヒアリング等で言いますと、原則3年になったからといって1年契約を3年にしてきたりとかそういうふうなことは余り多く見られなかった。だから、現状の3年でいいのではないかということなんですが、これは1年が3年になったときの議論と、それで経過を見てそれを見直すというそのときの議論から考えた場合に、現状を3年か、それとももう少し延ばす必要があるという議論をすべきなのか、あるいは3年に延ばしても余り需要がなかったとすれば、元の1年でよかったんではないかという議論なのか、そこまで含めて議論していくというふうに考えておいていいということなんでしょうか。ここで書いていただいているので言うと、現状の3年で1年の暫定措置はもう要らないかという議論が一応提示されていると思うのですが、この間のいろんなヒアリング等からすると、そもそも3年でなくてもいいのかもしれないという選択肢もあるのかなと思うんですが、その辺りも含めてと、とりあえず理解してよろしいですか。
○青山室長 もともとこの論点設定の際に、確かに延ばす方なのか、短くするのかというのははっきりせずに論点設定をしておりますが、皆さんの御議論も、法改正の経緯から延ばしてきたということがあることとか、例えば、24ページの点線囲いの中に、注で更に10年という意見もある。
そういう延ばすことについてどう考えるかという議論があったかと思ってまとめております。短くすることの議論が排除されるわけではないと思いますけれども、これまでの議論を整理すればこうなのかなと思ってまとめた次第です。
○鎌田座長 よろしいですか。どうぞ。
○橋本委員 11ページの下から2段落目の部分です。下から6行目のドイツのように有期労働契約の利用の濫用を規制するために雇止めにおけるルールによってという部分なのですけれども、ドイツは、有期契約の締結には、客観的な事由が必要であるという規定がありまして、そこに客観的な事由が8つほど例示列挙されているわけですが、その規定について、民事法規であること、そして、これらの事由を契約締結時に明示することは要請されていないこと、そして実際には雇止めに当たって紛争になっていて、最後の契約締結において、これらの客観的事由が存在していたのかどうかが裁判所で審査されていることから、雇止めのルールと解してよいということを確かに申し上げたのですが、雇止めルールと書いてしまうと書き過ぎかなという気がしまして、簡単に直すとしたらドイツの部分を外してしまうか、ドイツのようにというのを削除する修正があるかとも思います。少し気になったところです。修正についてはお任せいたします。
○鎌田座長 もう少し言葉を補っていただくと、訂正をすると、どういうふうな形で入れたらいいんですかね。
○橋本委員 「ドイツのように」というのを外すのが一番簡単な修正かとは思います。私の理解では雇止めルールだと思っているのですが、客観的な事由が法律に列挙されているので、労働契約の期間の定めには客観的事由が必要であるということで、いわゆる入り口規制として理解されている面も一般的ですので、ここは違うだろうと言われるかもしれないと思いまして。
○鎌田座長 わかりました。でも、議論の中でおおむね皆さんも理解して進めていったように思いますので、わかりました。これは後で少し表現ぶりを書き直すかもしれません。
どうぞ。
○山川委員 よくまとめられておりますので、内容というよりも表現ぶりに関わることですが、6ページの下から2行目、当事者の行為規範として妥当するようなものとすることとある部分ですが、これも議論にありましたように、あるいはほかのところでも書いてあるんですが、さまざまな規律手法を用いるとしても、何か行為規範としてということのみが強調されているように見えますが、実際は労働審判の申立件数が三千数百件ということもありますので、やはり契約ルールとして、裁判規範ともなるということも少し書き込んだ方がいいかと思います。例えばですが、当事者の行為規範としての前に、必要に応じ裁判等により紛争解決規範として機能するとともにとか、そんなことを入れてはいかがかと思います。 2点目が、これもまた表現ぶりですが、14ページの最後から4行目、雇用の不安定さとありますが、これもそのとおりなんですが、雇用の不安定さというのは相対的なものなので、言わば無期労働契約との格差とするくらいの方がよろしいのではないかと思います。
あと、22ページの2の均等待遇など公正な待遇というところで、これは若干、論旨の進め方にも関係があるんですが、第1段落目のところで、EU諸国のような有期契約労働者であることを理由とした合理的理由のない差別の禁止のような一般的な規定を法に置くということから始まり、その段落の最後の辺りでは、単に職務の内容が同じというだけでは正社員との比較は困難であるということが書いてあります。ここが論理的につながっていないんです。つまり、EU諸国が職務の内容が同じというだけで正社員との比較をしているのだとすれば、このような論理的の流れになるんですが、別にそういうことでは必ずしもない書き方になっていますから、文章上の形式的な論理性という点で厳密に一致させるとすれば、有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別に当たるかどうかの判断が困難であるということになるはずではないかと思います。しかし、その前にかかれていることは確かですので、例えば何をもって正社員と比較するのか、また、何か合理的理由のない差別に当たるかの判断を行うことが難しくなり、民事裁判における判断も区々となることが懸念されるという形にしてはどうか。何と何を比較するかの問題と、合理的な問題の理由をの問題はそれぞれ論理的には別の次元の問題ですので、中身は同じ
ことでも、それぞれが課題があるという書き方の方がつながりとしてはいいのではないかと思います。
○鎌田座長 ありがとうございます。確かにそのとおりですね。
○阿部委員 今の点に関連して、私も今、山川先生がおっしゃったとおりだと思うんですが、特にここで、やはり賃金がずっと出てきているんですが、やはり均衡待遇というと賃金以外の側面もあると思いますので、賃金ばかりではない方がいいかもしれません。ですから山川先生が先ほどおっしゃったような書きぶりに改めるというのも一つのいい案かもしれません。
○鎌田座長 どうぞ。
○荒木委員 気づいた点で、質問に入りますけれども、5ページの下から3行目なんですけれども、解雇権濫用法理を始めとする正社員について形成されてきたルールを立法により見直すことは、有期労働契約者について生じている問題の解決に直結しないものと考えられる。この趣旨が私はよくわからなかったものですから説明していただけますか。
○青山室長 なお書きのところなんですが、真ん中の方で、解雇権濫用法理をとっても、裁判例の積み重ねで今は法律にはなっておりますけれども、もともとは裁判例の積み重ねであるということで、そうしたものを、急遽立法で変えるということはどうかということなんですが、正社員についての役割等を考えると、どうかと思われる、それが有期労働者の問題の原因ということではなかろうという趣旨で直結しないというふうにつなげているつもりでございます。
○渡延審議官 若干補足しますと、いわゆる無期の正社員を前提に、その人たちが実際に果たしている役割を前提に一定のルールができてきた。それと比較すると、昔のいわゆる期間工的な人たちを考えた場合などは、求められる役割なりが正社員に比較すれば薄いことを前提にして、保護が相対的に薄いというのができてきたんだろう。
正社員の方のルールをいじったところで、有期の方で働いている、いわゆる非正規の人たちの就労の実態、負っている責任、貢献の度合い、義務、そういったものが変わらなければ、それに応じた形での保護あるいはそのルールは変わらないんではないかという気持ちなんです。
もう一つ、判例の積み重ねででき上がったものが今、例えば契約法にしても、でき上がりの条文として字ずらで書かれているけれども、そういうものだからといって字ずらをいきなり改正法という形で直せるものなのだろうか。確かにその2つの要素のことが入って縛っているかと思います。
○荒木委員 そうすると、正社員の雇用保障自体について、立法で何か改正することを前提に議論がされているわけですか。この場では有期契約の規制の問題だと思って考えてきましたので、有期契約を規制することでそれが反射的に正社員の雇用問題に関係するという議論だったらよく了解できるんですが、そこは正社員について形成されてきたルールを立法により見直すと書いてありますので、そういう議論は、ここでは考えてこなかったんではないかと思いましたので、そういう誤解がちょっとどうかと思ったので、ちょっと表現を工夫していただければということだと思います。
○渡延審議官 気持ちとしては、仮に見直すとしてもということです。なおの書き出しのところで、正社員に適用されるルールとのバランスというのを意識するということを言っているわけなんですけれども、そのバランス論の論理的選択肢の1つとして仮に見直すとしても、その気持ちなんですけれども、確かに先生方からこういうことを見直せという御指摘は全く出ておりませんでしたので、確かにこの表現が一人歩きする可能性はあるように思います。その点で、確かに議論の範囲としては不正確だと思います。
○鎌田座長 私の方からも、この部分については、今、荒木先生から御指摘いただいたように、研究会の中の私の理解では、正社員の雇用の在り方についての議論を正面から取り扱うということではないわけで、まさにそのとおりだと思います。
この文章につきましては、そういう意味では、やや正社員についての立法の在り方についても言及したような表現になっておりますが、そういったもののいかんを問わず、有期労働者について生じている問題の解決に検討を加えるべきであると、こういうようなことで書かれているものだと思いますので、そういった趣旨で、少し表現を考えてみたいと思っています。
○荒木委員 それから、ほかの点ですけれども、11ページの真ん中、締結事由を規制する方式という段落があるんですけれども、その4行目の最後の方に、また争いがある場合、すなわち締結事由が法の規定するものに該当するかどうかに関する争いがある場合には、締結に至らない可能性が高いと考えられると書いてあるんですが、そうなるのかなという疑問がございます。
労働者は雇われたいと思っているわけですね。そして締結事由を規制していたら、それに該当するかどうかは争いになったとしても、これは法の規定した有期契約締結事由に該当しないから自分は無期契約として扱われるべきだという主張は出てくることはあり得ると思いますけれども、入口の場面で、有機契約締結事由に該当するかどうかをめぐって紛争が生じて締結に至らないということは余りないんではないかと思われますので、ここは削除されてもいいのではないかという気がします。
それから、13ページの4の上の2つ目の段落ですが、なお、更新回数や利用可能期間の評価に当たっては、クーリング期間についてルールの公平な遵守との関係で検討が必要となるとなっているんですけれども、おっしゃっている趣旨は、更新回数や利用可能期間というものを規制するとした場合には、一定の間隔を置いて、後に雇ったときに、更新回数というのは通算するのか、あるいは利用可能機関として一定限度超えたことになるのかということを言われていると思いますが、この評価に当たってはという意味がそういう意味に取られないのではないかと思いますので、少し表現を工夫していただいた方がよろしいではないかという気がしています。
これは単純な変換ミスだと思うんですけれども、22ページの2のところの段落の上から6行目でしょうか。職務遂行能力という要素を中間ではなくて、これは中核に据えという表現の方がより適切ではないかと思いましたので、御検討ください。
以上です。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。どうぞ。
○藤村委員 私は17ページの第4、有期労働契約の終了(雇止め等)に関する課題というところで、一番下のパラグラフ、契約期間の細切れ化については云々というところなんですけれども、ここで、市場の需給変動の予測が難しくなる中で、経営上の必要性が指摘されて、そうなっているんだと、それで、労働者にとってはマイナスがあるという表現なんですが、通常は、働く側はリスクヘッジを非常にしにくい、経営側は同時に複数の事業を運営することによって、ある部分がだめでも別のところが大丈夫で全体としてはプラスになる。労働者はそれは非常にやりにくいですね。
ということは会社側の必要性があるから、それを認めるというのは、ちょっと労働者側にとっては辛いなというふうに思います。ですから、ここはこういう表現でいいと思うんですが、その次の「しかし」のところです。契約期間の細切れの事実が更に継続して進行するのが必ずしも見通すことができない現状では、推移を見守りつつ、これはこうなんでしょうが、多分放っておくとこの傾向は余り変わらないであろうと。ですから、余りにも短い契約を更新していくこと自体は、実は余りいいことではないというのをもう少し強く書けないかなという気がしています。
具体的に何をどうすればいいかという案はないんですけれども、ここの部分は余りにも中立的であるとかえって経営側にとってプラスというか、やや経営寄りの表現になってしまいそうなので、実はリスクヘッジが難しい労働者にとっては、そういう状況が起こるということは対応が非常に困難なんだと、経営側の方は、そこはやりやすいはずだから、一定の配慮が必要であろうという、何かそんな表現があってもいいかなと思いました。
以上です。ほかはちゃんとしていると思います。
○鎌田座長 ありがとうございました。どうぞ。
○荒木委員 私もその点は少し議論した方がいいかなと思った点でありましたので発言させていただきます。
細切れ化の問題は、実は一定期間内の更新回数と連動する問題だろうと思います。例えば、ドイツのように2年間に3回という更新回数を規制すれば、細切れでやることは不可能になります。ですので、表現がそれをしないという決断をここでするのであれば別ですけれども、ちょっとしないというようなニュアンスが出ているような気がしますので、この点については、ほかの改正規制とか、利用期間規制との関係を含めて検討すべき課題というようなとらえ方の方がいいのではないかという気がします。
○鎌田座長 荒木先生、18ページの上のなお書き、これは今、先生がおっしゃったこととの対応で受け入れられるんではないかと思っているんですけれども、どうでしょうか。
○荒木委員 まさにそうなんですけれども、なおと書いてあると、見守りつつと言い切ってしまっているような気がするので、それはちゃんと両方複合して考えるということがわかるようになっているといいかなと思います。
○鎌田座長 やはりそこは表現ぶりのことになるんですね。藤村先生の御発言は要するに経営上の必要性があり、一方、労働者にとって不安定になるというふうにフラットに書くのではなくて、労働者にとっての過酷さがより重いということで表現ぶりを整えられるかと。もし皆さんよろしかったらそういうようなことで、少し整理したいと思います。
○奥田委員 先ほどから先生方から出された御意見との関係で、また、わからなくなった点がありますので、2点ほど質問させていただきます。先ほど荒木先生がおっしゃった13ページのちょうど真ん中辺の「なお」というところの3行ですが、私はこれを読んだときに、更新回数とか利用可能期間というものを制限するということを考えたときに、クーリング期間を置くことによってそれが解除されるような場合もあり得ると、これは外国法制でもあると思うんですけれども、そういうことをもし考えときに、そのルールをどう公平に遵守していくかということの検討が必要なんだというふうに理解して、この3行を読んでいたんですけれども、先ほどのお話だと若干違うように思ったんですけれども、少しその辺りが若干不明になりましたので、この3行の意味を、もう一度御説明いただけるとありがたいです。
○鎌田座長 違うように理解したというところを少し補って。
○奥田委員 私が理解したということですか。
○鎌田座長 いや、今、奥田先生が理解されたということについては、そうではないというふうに別な理解があるということが懸念されるということですね。
○奥田委員 懸念というか、先ほどのお話のやりとりですと、私が理解した内容とはちょっと違ったのかなと思ったので、そこを確認させていただきたいと思います。
○鎌田座長 その違いというのはどういう違いですか。
○奥田委員 よくその中身がわからなかったということです。
○鎌田座長 では、もう一度御説明いただければいいのかな。
○青山室長 これはもともとクーリング期間というものの話があったときに、クーリング期間というのは一定期間勤続した後、雇用しない期間を置いて再び同じところに雇用されるという問題をどうするかというものがもともと論点にありまして、その話を考えるというのは、結局、更新回数とか年限が限られている場合に出てくる問題ではないかということで、回数や期間のルールのときにこういう問題があるという議論があったかと思います。これを踏まえてこういうルールを考える場合には、クーリング期間についても、考える必要があるという趣旨で書いたと考えております。
○奥田委員 わかりました。そうしたら別に理解の違いがないということですね。済みません。
もう一点は、これも最初に荒木先生が御質問された点で、私も少しわかりにくかったところ、5ページの下の3行なんですけれども、具体的に何を考えていくかということは全くまた別個の議論として、例えば有期労働契約について無期化を考えるかどうかという議論をしていたときに、そういう諸外国の例などを見ても有期契約で法違反があったときに無期化を考えるかどうかというのは、そもそもの違法解雇の効果とかとも関係があるという議論があって、そういうことを含めてそもそものルールということの見直しではなくて、有期契約の労働者について生じている問題の範囲内でというふうに書かれている、そういう趣旨かなと思ったんですが、そこまで限定的な意味ではないということなんですね。そういうふうな具体的な議論を前提にしてということではなくて、もう少し一般的に、この研究会の議論内容の対象分けがされているという理解でいいわけですね。
○青山室長 はい。先ほどこちらも申しましたとおり、有期労働契約自体に内在する問題というんでしょうか、確かに正社員のルールと有期のルールは、当然違っているという事実はあるとしても、正社員のルールがどうあるかいかんを問わず、有期労働契約自体の問題というのは、有期労働契約のルールとして考えなければいけないということを書いた趣旨でございます。
もともと論点の方にも、正規労働者の解雇規制についての議論を紹介してどう考慮すべきかというのもあったものですから、その影響も受けまして、それについての答え的なものとして、皆さんの議論を整理したものでございます。
○鎌田座長 よろしいですか。
○奥田委員 はい。
○鎌田座長 どうぞ。
○山川委員 これも言葉の統一の問題になると思うんですが、4ページ目の最後の段落の「このような」で始まるところです。この研究会の中間とりまとめとしてではあれ、方向性というか、理念を示した部分であるというか、基本スタンスだと思うんですが、ここで雇用の安定、公平、公正な待遇等を確保するためとあります。これがキーワードにもしなるとしますと、その次のページに、2の(1)の1段落目の最後には、雇用・生活の安定・向上や待遇等の公正さと、それから3段落目には、公正・公平とは言えないと書いてあり、公正と公平が2つ使われていて、何か深遠な意味があるのか、あるいは別にそういうことではなく同様の意味なのか。それから、雇用の安定と生活の安定についてはどうか。この辺りを、もし特に意味があるのであれば内容をご検討いただいて、そうでなければ、単に整理の問題としてご対応をいただきたいと思います。
○青山室長 整理をする方向で考えたいと思います。
○荒木委員 表現の問題になってきますので、私も妙案がないんですけれども、12ページの真ん中より少し上で、一定の区切り(上限)という表現があります。区切りと言われているのは、上限としてそれは超えられない絶対的な限界であるのに対して、解雇権濫用法理が適用され得る状況にあるという、そういう基準として作用するということも考えると、上限というのは適切でないというので、区切りという表現を使われているのかと思いますが、区切りというのは、どうかという気もしますので、上限ないし一定の基準とか、何かいい表現があればというくらいのことなんですけれども、このままでいいかどうか、ほかになければ、これでも仕方がないかと思いますけれども、更にいい表現があれば、御検討いただければと思います。
それから、正社員という言葉が非常に難しいと思うんですけれども、報告書では、21ページの下から2段落目では、括弧付きの正社員というのが、年功システムで非常に厚遇される、そういう人を指して括弧付きとして、そうではない、無期で雇われ、フルタイムで直接雇用という人を括弧なしの正社員ということで統一されているのか、そうでもないのか、そこら辺はどうなんでしょうか。
○鎌田座長 よろしいですか。まず、区切れのところだけについて私からちょっと、実は私もこれは悩んだところで、要するに、例えば更新回数で言うと回数制限、利用可能期間であると期間の上限規制ですね。そういうようなことがありまして、どういう表現がいいのか、荒木先生がおっしゃった基準というふうにいたしますと、これもやや法律上の規範的な要素が伴っていくのかなと、そこまで少し特定がなかなかできないところで、ある意味はっきりどのような制度を想定していけば具体的にできるんですけれども、この段階ではそこまで特定していないものですから、そこで区切りという表現がいいのかなと私の方で考えさせていただいたんですが、よろしくお願いいたします。
○荒木委員 結構です。
○鎌田座長 正社員の方は。
○青山室長 正社員は、先ほどの定義の統一ということもありますので、この報告書の冒頭に定義させていただきましたように、2ページの一番上の初めの行ですね。直接雇用、期間の定めがないフルタイム、あと、長期雇用全体としての待遇ということで考えてはおります。確かに、正社員転換の方になると、ハードルとか、本人希望の問題で、少し概念についての御議論はありましたので、そこは無期化・正社員転換という形で書いたり、正社員転換等という形で、少し広がりを持ち得るようにも読めるように、多少工夫をさせていただいているところかなと思っています。
○渡延審議官 21ページの下から2つ目の段落の中で「正社員」が使われているんですけれども、では、それ以外のところと平仄があっているかというと、ここは、かぎを取って正社員を限定してでも意味が通る、というか、第1の1で記した正社員に使っているだけなんです。
前のところで確かにかぎ正社員というのが出てくるところがあるんですけれども、それは実態調査の選択肢を紹介するところのかぎ正社員なので、ここの使い方は厳密に言うと、かぎが付かないのは正しいということになるのかもしれないんですけれども。
○荒木委員 23ページの方では、また、現在の正社員の処遇はそのままに、有期契約労働者を一挙にそのような正社員に転換するという、ここで議論したのは恐らく処遇のかなり低い、しかし無期の人ではなくて、非常に処遇も手厚い、そういう人に一挙に転換するのは、現実的ではないだろうという、ここでは、かぎかっこ付きの正社員を想定しているような気もしましたので、もし統一できるのであれば、統一した方がいいと思いますし、統一が難しいのであればいわゆるとか、ここで言うとか、そういう形容をして、いろんなタイプを想定しているのがわかるようにするというのも1つかなと思います。
○鎌田座長 これは整理できると思いますのでお願いしたいと思います。
ほかに何か、先生方でないでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○佐藤委員 基本的には皆さんから御指摘がありましたので確認的なことだけで申し上げますと、総論のところで4ページのところですが、ここで働く側から見た有期契約労働者の課題、現状認識に基づいて整理し、後での各論も展開の中でのある種のスタンスを明確化していくということですね。
その上で、5ページ以降の基本的考え方の1、2、3の原則といいますか、とらえ方の視点を明示し、3番目で、留意事項を4点ほど整理するということで、今までの議論が非常にバランスよく反映されているし、論点が尽くされているのかなと思いました。
したがって、そういう原則にのっとって、それぞれ2以降の範囲とか上限とか、雇止めとか、出口のところ、回数とか、上限規制のところについては、それぞれそういう明快さもありながら、しかし、波及効果の問題というか、副次効果の問題とか、日本の中で形成されてきた慣行や文化と、欧米諸国との違いだとか、そういうことを非常に慎重に分析され、記述されていると、そういう構成で展開されていると印象として持ちました。
そういうことで言いますと、構成については、私の方からは特に異論はなくて、よく整理されているなという印象を持ちました。
ただ、細かなことで言いますと、書きぶりということで修正の必要はないんですけれども、例えば先ほど来出ている22ページの、均衡待遇のところのベースなってきている。6行目の我が国においては、外国のように職務ごとの賃金が決定される職務体系にはなっていないということになっていますけれども、これも現状の賃金制度のこの間の企業の改革の方向性は、必ずしもまだ職務給与体系にはなっていないんですけれども、そういう方向に向けた改革の動きがあったということもありますので、いわゆる仕事給ベースの処遇という方向性ですね。そういうような経緯もありますので、そういう取組みはこれまであったところではあるけれども、しかしながら、なお、まだそこが支配的なものにはなっていないということを少し補足しておく必要があるのかなと、これは特に修正する必要はないと思いますけれども、認識のところで、そういう認識が私としてはありました。
あと、23ページ目の、一番下から3行目のところですけれども、ハードルは高いということで、ある種の限定的なタイプでの雇用モデルを選択肢として開発して、メニューを提示するという考え方の検討を示されておりますけれども、勤務地限定とか職種限定は非常にわかりやすいんですが、私は不勉強であれなんですが、時間限定というのが余り聞かなかった言葉なので、通常は余り残業がないとか、短時間正社員とか、そういうものであるとややポピュラーなタームだと思うんですけれども、時間限定というのはなかなか聞かなかったんですけれども。
○青山室長 そういったイメージで書いております。
○佐藤委員 その辺は、これでも通じると思いますけれども、ポピュラーかどうかというと、そういうことの方がということです。
以上です。
○鎌田座長 ほかに御発言はないでしょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 ありがとうございました。本日、先生方から多くは表現ぶりのところだったと思うんですけれども、幾つか御指摘をいただきまして、この議論を踏まえまして、私と事務局に一任をしていただきまして、最終案を作成したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 ありがとうございます。最終案ができました時点、速やかに最終案はつくりたいと思っております。速やかに作成した最終案を公表するというような手はずを考えております。この点についてもよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 それでは、次回の日程について事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○青山室長 次回の日程と進め方に関してなんですが、前回の研究会でも御説明しましたとおり、中間とりまとめを座長御一任の上でなされた後には、労使関係者からのヒアリングということを考えております。そういうことも踏まえまして、日程については調整し、改めて御連絡させていただきます。
○鎌田座長 ありがとうございます。皆さんの本当にさまざまな御意見と努力でこのような中間とりまとめができたということに本当に感謝申し上げたいと思います。ただ、今、説明がありましたように、これから労使の方からの御意見もいただきながら、更に私どもは最終報告に向かって議論を重ねていきたいと思っておりますので、今後とも御協力よろしくお願いいたします。
それでは、本日これをもって終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
(照会先)労働基準局総務課政策係(内線:5587)
委員の皆様方には、御多忙のところ、御出席いただき誠にありがとうございます。
本日は、中間とりまとめに向けて御議論いただきたく存じます。
それでは、まず、中間とりまとめ案について、事務局で資料を用意していただいていますので、御説明をお願いいたします。
○青山室長 では、御説明します。御説明の前に事務的な御連絡で、今、座長からもありましたとおり、ワイヤレスマイクが4つございます。先生、委員、お二人ずつ1台でお使い願えれば幸いでございます。
では、中身に入ります。
今回、事務局の方で中間とりまとめ案として資料2を用意しております。御説明いたします。
これは、これまで御議論いただき、かつ前回これまでの議論を整理した論点整理表を基に更に御議論いただきましたので、それらの議論を基に、中間とりまとめという形で案をつくっております。
表紙を開いていただきますと、目次がございます。構成を申しますと「はじめに」は別としまして、第1が総論的事項で総論でございまして、第2項が各論になっておりまして、これまで議論いただいた論点を第2から第6までの論点に整理して記述しております。
では、中身に入ります。
開いていただいて「はじめに」ですが「はじめに」の詳しい説明は省略いたしますが「はじめに」の前半3パラ目くらいまでは、これまでの現行法制の内容や過去の法改正での宿題、本研究会のやってきたことを書かせていただきましたが、最後のパラグラフの本中間とりまとめの趣旨を書いています。
最後のパラグラフをごらんいただきますと、中間まとめは、有期労働契約に係る施策の方向性についての検討の状況を論点ごとに中間的に整理したというものでございます。
本研究会として調査研究を深めるべき点は、なお尽きないものと考えるが、これを明らかにして、今後労使関係者等の意見を聞くことなどにより、更に検討を深めるということで趣旨が書いております。
そういう趣旨でまとめたものということでございます。では、本文に入ります。
2ページ以降ですが「第1 総論的事項」でございます。
初めに御説明しますが、この資料の構成として第1のところにありますように、点線囲みの部分がございます。
これは、10月以降、この研究会で御議論いただいたときに用いました論点ペーパーの内容をそのままの形で入れております。その上で、点線の外の本文の方で、その点線の中の論点について議論した内容を整理して記述するという形を取っております。そういうこともありますので、説明上は点線の中の説明は省きまして、点線の外の説明をこれも量が結構ございますので、要点、要点になって恐縮ですが、かいつまみながら御説明させていただきます。
1の「現状と課題」でございます。第1パラグラフでございますが、これは我が国企業の雇用が正社員を中心とした長期雇用システムを基本としてきた一方で、有期契約労働者というものは、企業にとっては需要変動等の場合の雇用調整を弾力的に行う、人件費を削減することを目的あるいは専門的な人材を受け入れるなどのために、また、労働者にとっては、自らの都合に合った働き方、多様な働き方の選択肢などの1つなどとして、労使の多様なニーズにより用いられてきたということでございます。
次のパラグラフは、特に、近年の状況でございますが、国際競争の激化等の中で、雇用情勢等に備え、有期を活用するニーズが高まっているということで、この研究会でも行いました、有期労働契約に関する実態調査で明らかになった企業が有期を活用する理由等々のデータも載せております。
データの詳細は省略いたしまして、2ページの一番下の行からですが、また、労働者の意識の変化等によりまして、めくっていただきまして、就業形態の多様化が進行しているということで、3ページになりますが、こうした事情から有期労働者は増加している。
特に平成12年から3年ほど増加のピッチが上がり、高どまりしているという状況でございます。
その中には、いわゆる就職氷河期に正社員となれないままやむを得ず就いた有期労働契約者等の職にとどまったものが多数存在しているという背景も書いております。
次のパラですが、勤務の実態を見ると、というところでございますが、これは企業としては有期についても継続雇用する方針になるところも少なくないということとか、契約更新回数が11回以上、継続年数が10年超など、一時的、臨時的でない仕事についても有期労働契約の反復更新に対応している実態というものを挙げております。
次の一方のパラグラフは、現行法制の内容でございますが、我が国の現行法制は労働基準法の1回の契約期間の上限等々の規定はありますが、労働契約について期間の定めのない契約、無期労働契約を原則とする旨を定めている規定はなく、更新回数、期間の上限を限定している規定もないということでございます。
契約の終了の局面につきましては、雇止めというものは、無期雇用契約の解雇と同等の規制には服していないということが事実でございます。
次のパラグラフに行きまして「他方で」とあります。ここは、今、雇止めの話をしましたが、他方で有期労働契約のうち、実質的に無期労働契約と異ならない状態に至ったものと認められる等の雇止めにつきましては、無期契約の解雇権濫用法理が類推適用されるという判例が形成されているという事実があったり「また」以降でございますが、労働基準法に基づく締結更新、雇止め基準、大臣告示によりまして、法定の明示事項等を超えた内容の明示、雇止め予告等に関するルールがつくられてきている。
ということで、法の規制は最低限のものとしつつ、一定の場合に、無期労働契約に係るルールを準用するなどの形で対処されてきたという法制や、それに関するルールについての説明でございます。
4ページでございますが、そうした中で最近生じる実態を説明しております。
4ページの1パラですが、いわゆる20年末以降の非正規切りいった雇用不安が問題となっているということで、実態調査などを見ましても、雇止め等の不満が多く上っているということや、加えて労働条件が低位にあるということの指摘も紹介しております。
次の「また」のパラグラフですが、また、労働市場の話ですが、我が国の労働力人口が減っているということで、中長期的に労働力供給が制約されることが見込まれる中で、労働者の能力形成とか、職場定着を促すこと、幅広い人材を労働市場に参加させていくことが必要になっているということとともに、労働者にとっても充実した職業生活を送るということが必要となっているということでございます。
そうした中で「一方で、現状を見ると」とありますけれども、実態調査を見ても、正社員としての働き口がなかったというような正社員を希望しながらやむを得ず、有期労働になっている者がいるという実態も種々の調査でわかっているということでございまして、こうしたものを典型にしまして、先が見えない不安や、ステップアップが見込めないということなどから、意欲の向上、能力形成の取組みが十分でないという実態が見られるという実態の説明でございます。
以上までが現状の認識でございまして、4ページの下に1行空けてある6行ですが、ここが課題ということで、こうした雇用の不安定さ、待遇の低さ等に不満を有し、これらの点について、正社員との格差が顕著な有期労働者の課題に対して、政策的に対応することが、今、求められていると、すなわち雇用の安定、公平、公正な待遇等を確保するため、有期労働契約法制の整備を含め、有期契約労働を巡るルールの在り方を検討し、方向性を示すことが課題ということで、課題についての基本的な考え方をここで書かせていただいております。
5ページ以降は、総論の2番目でございまして、今の基本に立ち返って検討するのに当たっての考え方でございます。
2の(1)は、我が国の労働市場が公正を確保しつつ機能するためのルールづくりでございまして、1パラ目は、先ほどと多少重複しますが、労働者の方でも、その能力を十分に発揮し、充実した職業生活を送ることができるようにして、雇用・生活の安定・向上や待遇等の公正さの確保の重要性をといております。
「また」のパラグラフは、雇用の安定という場合に、現下の雇用情勢の中、なかなか労働者全員が正社員となることが困難な状況の中で、有期労働契約というものは、求人雇用の場の確保、特に無業、失業状態から安定的雇用に至るまでのステップという点での役割を果たしているので、それを評価することも必要ということを提示しております。
「一方で」のパラグラフですが、これは労働市場における有期労働契約の機能を考えた場合に、企業側の方からは中長期、短期を含めた需要変動等に伴うリスクに対応するといった労働市場全体における柔軟性への要請というものがあるというのは事実でございます。これにつきましては、そうした変動へのリスクというものを専ら労働者の側に負わせるということは、公正・公平とは言わないと考えられて、そうしたリスク配分の公正さにも配慮しつつ検討すべきということを書いております。
次のパラグラフは、有期労働契約を考える場合に、有期労働契約が多く存在すると思われる派遣労働者、パートタイム労働者の関係の法制との関係にも留意が必要ということが書いてあります。
最後になお書きでございますが、正社員、無期雇用契約のルールとの関係ですが、例えば正社員、無期雇用契約に適用される解雇権濫用法理というものは、正社員が果たしている役割等を踏まえて、裁判例を積み重ねてきたものということでございますので、こうした正社員についてのルールを立法で見直すということは、今回、有期をやるに際して見直すということは、有期の問題の解決には直結しないという考えを明らかにしております。
次に考え方の2番目ですが、6ページの(2)でございますが、2つ目としまして、有期契約労働者の多様な実態を踏まえるということでございます。
この研究会では、有期契約労働者を4つの職務タイプに区分して実態調査をいたしました。その結果、実態や企業が活用する理由や労働者が選択する理由など労働者のニーズ等が職務タイプに応じて明らかになったかと思っております。こうした多様な実態を踏まえて検討するということも必要ということをここでは言っております。
(3)が「労働契約の原則を踏まえ発展と」あります。ここは、無期、有期に共通する労働契約の原則として、労働契約法3条に労使対等や均衡考慮、仕事と生活の調和等々の原則が書かれておりまして、こういう考え方もより機能するよう発展させることが必要だということも書いております。
以上が検討に当たっての考え方でございますが、次の6ページの3は、総論の最後ですが、検討に当たってのその他の留意事項でございます。
1つ目が、予測可能性の向上を旨として、紛争の予防・迅速な解決ということでございまして、具体的には、ルールの内容の明確さを確保して、予測可能性を高めるということで、紛争防止、解決の促進を図ることの重要性を説明しております。
7ページに書いてございますが、(2)でございます。これは施策の相互関係やその効果等を考慮するということでございまして、締結時点の規制、施策、更新や雇止め時点の施策などそれぞれの局面における施策の相互関係に留意しながら検討が必要だということでございます。
「また」以降の方は、ルールを設けた場合に、規制を回避するための行動を誘発するなどの副作用といったものについても留意しながら、その緩和や防止策も考えるということについての必要性が書かれております。
(3)は比較法的検討についてでございます。この研究会でも諸外国の法制についての研究を深めながら議論いただいたところですが、そうする場合に、各国が持つ労働市場や賃金決定システムなど、雇用、労働を巡るシステムの全体像やその中での有期契約や法制の位置づけや機能といったもの、おのおのについても我が国との相違にも十分留意すべきということでございます。
(4)でございますが、さまざまな性格の規定・行政手法の総合的な活用ということで、在り方を考える場合に、例えば罰則付きの最低基準を定める労基法とか、民事法規である労働契約法とか、あとパートタイム労働法を始めとする雇用・労働条件管理に関わる立法例、そこに取られている指導、援助といった手法とか、さまざまな手法を視野に入れて検討すべきということでございます。
「また」以降にありますとおり、特に一定のルールを課すという方法のほか、当事者による実質的な創意工夫を取り込める余地を残したルールの在り方を視野に入れるべきということでございます。
以上が総論的事項でございます。
次は、第2項の各論に入ってまいりますが、8ページ以降でございます。
8ページ、9ページの前半までは、点線囲み、既存の論点ですので割愛させていただきます。
9ページの1、基本的考え方でございます。第2の論点は、有期労働契約の範囲、勤続年数等の上限、更新、雇止めでございます。
「1 基本的考え方に」ありますように、今、言ったような締結の範囲といったような入り口の部分の規制、年数等の上限とか、雇止めといった出口規制ということで、そういう締結のルールや回数、年数のルール等が論じられることが多いですが、そういう入り口規制と出口規制は連続的でセットで議論する必要があるということでございます。
「例えば」と次のパラになりますけれども、例えば有期、無期の法的位置づけに差がなく両者の合意により幅広い事由で締結を認めつつも、行使の状況等に応じて解雇規制の潜脱等の濫用を防止するということで、更新回数や利用可能期間の規制を行う出口も考えられるということとか「または」とありますように、一方で無期が原則であるという考え方を前提にすれば、締結の段階での入り口のルールのみならず、回数や利用可能期間の規制ということもあり得るということでございます。
基本的な施策の組み合わせ等についての説明でございました。
この第2に掲げた論点についてが2以降でございます。10ページの2ですが、まずは入り口規制、締結事由の規制でございます。
1パラ目は、それに関する実態を整理しておりますが、締結されている実際の事由を見ますと、労働者側は、正社員としての働き口がなかったということと、自分の希望に合っていたということの理由がほぼ拮抗しておることがわかっております。
一方、企業側に聞きますと、中長期的あるいは急激な需要変動への対応とか、人件費の削減といった理由が多く、有期が雇用できなくなると、事業が成り立たないとするところも多いということでございます。
また、契約更新回数や勤続年数が多数回、長い年限にわたるというところも見られるということで、恒常的に存在する業務についても利用されている実態が見られるということで、こうした実態の中でどう考えるかということでございます。
次のパラグラフが、それに関連する諸外国の例を紹介しておりますが、締結事由を規制する例としては、事由を一時的な事業活動等に限定しているフランスの法制があります。これは、同国におきましては、労働法典において労働契約は期間の定めなく締結されると規定して、有期の利用は法律上、認められた場合に限って許されているということでございます。
それを考えた場合に、一方、次のパラですが、我が国の現行法は、こうした無期雇用労働契約の原則を採用していなく、締結については事由に委ねているという現実がございます。
続きまして、次のパラですが、そういうことで、締結事由を規制する場合には、実質上、無期原則の採用ということが明らかになるが、そうした考え方、我が国にとっては考え方の転換の是非についての議論が必要となるということで、具体的には、無期原則のコンセンサスや労働慣行がなく、有期労働契約は、あくまでも雇用の中心である長期雇用の補完するものとして機能してきた我が国でございますので、そこにそういう締結の規制自体を導入することの合理性については、有期の果たしてきた機能や、その一方で抱えている課題の双方を踏まえて十分に議論する必要があるということでございます。
例えばですが、先ほども出てきましたが、有期契約というものは無業、失業状態から安定雇用のステップとしての機能とか、企業にとってはさまざまなニーズに応える雇用形態としての機能がありますので、それをどう評価するかということでございます。
「すなわち」とありますように、締結が制限されれば新規の雇用が抑制される、企業の海外移転が加速するなどの影響が生じないかということ、労働者が希望した場合でも認めないのか等々の点に意を払う必要があるということでございます。
それについては、ドイツにおいて締結事由の規制を判例においてした後に、質疑を問題が深刻化して立法で、その後緩和したという事例も紹介されております。
次のパラですが、締結事由を規制する場合のやり方としてフランスのように自由を限定列挙する場合、方式あるいは合理的な理由が必要という一般的に規定する方式等が考えられる。例えば事由を列挙した場合には、その業務が事由に該当するかをめぐって争いが生じ得るという可能性、一方で合理的な理由が必要とした場合には何が合理的かということについて、複雑な法律問題を惹起するということで、こうしたやり方が、予測可能性の確保、紛争の発生防止等の観点から、有効に機能し得るか研究が必要かということでございます。
他方のところで、そういう紛争が雇止めの有効性をめぐって生ずることが回避し切れないことを想定すれば、そういう締結自体を規制する手法のほか、利用の濫用を規制するために雇止めにおけるルールによって対応することで、その弊害に対処する手法も考えるとしております。
締結事由については、以上でございます。
次に、12ページに行っていただきまして、更新回数・利用可能期間に係るルールでございます。
これは、まず、1パラ目は、実態から入っておりますが、更新や雇止めの実態といいますのは、勤続年数が長い労働者が存在したりという現実がある中で、更新回数や利用可能期間の上限を設定して、それを超えてなお存在する業務であれば、無期契約と同様のルールに従うものとすることが公平に適うという考え方があるとしております。
次のパラは、海外の法制ですが、イギリスや韓国、またドイツでは4年、2年といった期間を定め、それを超えた場合に無期とみなすという法制がございます。
そうした考え方を踏まえて、我が国で受容されるものとなるよう検討が必要でございますが、その次のそれに関連してのパラにありますように、関連して考えますと、現在の労働基準法14条の1回の契約期間の上限である3年というものが、最終的な利用可能期間の規定として誤解されたり、リスク回避的考慮から利用されたりという形で、利用可能期間の事実上の上限として機能しているという雇用管理の実例が、この研究会でも報告されております。
ということで、その点も踏まえて留意して考えていくことが必要ということでございます。
なお書きの部分を飛ばしまして、その次の下から2番目の更新回数や利用可能期間の規制でございますが、この規制のやり方は一義的に明確でございまして、予測可能性が非常に高いものとなるため、紛争の未然防止につながるということや、ステップアップの道筋が見える意欲の向上にもつながり得るということが考えられることと思います。
一方ということで12ページの一番下ですが、一定の期間の上限といった区切りを設けた場合に、その手前で雇止めを誘発するという副作用の懸念が、本研究会によっても指摘されました。13ページに行っております。
ということで、こういう諸外国の例も参考にしながら、検証する必要があるということでございます。
またのところは具体的な内容を考える場合に、一見区切りを超えた場合に法的効果をどうするのかということについては、無期とみなすということのほか、無期契約の変更の申し込みがあったものとみなすや、無期契約への変更の申し込みを義務づけるといったこと。あるいは解雇権濫用法理と同様のルールが適用される等々さまざまな選択肢が考えられます。
なお書きでございますが、無期としてみなされた場合には、従前の労働契約のうち期間を定めた部分のみが変更されるということで、その他の労働条件全般が直ちに正社員と同様になるということは別の問題であるという指摘もございました。
3は以上でございます。
4番、解雇権濫用法理の類推適用でございます。これは、反復更新を重ねた後の雇止めに関しましては、一定の場合、判例法理によって解雇について形成された濫用法理が類推適用されるという、いわゆる雇止め法理として確立しております。
ということで、2パラ目にありますように、このルールを法律で明確化するということは、個別の判断となりますので、事案に応じた妥当な処理が可能となるということや、先ほどの前のルールで指摘したような手前での雇止めの誘発という可能性は低いということが考えられます。
「一方」のパラでございますが、この法理を当てはめる場合に、事案ごとに業務の内容等の客観的要素のみならず、言動、期待・認識といった主観的要素を勘案して、最終的に裁判所に判断を委ねるということになりますので、14ページに行きますが、予測可能性に欠けるという問題点は指摘されました。更に検討が必要ということでございます。
以上が第2の論点でございます。
次に、第3に行きます。15ページです。労働条件明示等の契約締結時の課題でございます。
これも点線囲みの部分を飛ばしまして、15ページの下の方でございますが、そのうち1つ目が契約締結時の明示事項等でございます。これは、契約締結時の明示事項として労基法15条に基づくもののほかに、先ほど紹介しました基準という大臣告示において、使用者が締結時に明示する事項がございますが、その履行状況を見ますと、ほぼ定着し、または定着しつつあるということが調査結果からうかがえました。
他方で、例えばその中の更新の判断基準を明示するというルールについては守られていない等のヒアリングでの意見もあったところでございます。
16ページに行きますが、そうした中で紛争防止を図るためにも、このルールを法律に規定することによって規範性を高めるということが1つの方向性かと考えられます。
その場合に明示事項について追加すべきものがあるか、あと、どの程度具体性を求めるのか等についての検討、あるいはこれを法律に規定させる場合に労基法上の取締法規的な義務とするのか、労働契約ルールとするのかなどの複数の選択肢を更に検討すべきということでございます。
「また」のところは、これは雇止め、更新のルールでございますので、先ほどの第2の論点の真ん中にありました更新回数、期間の上限の規制を設ける場合には、明示のルールに期待する役割というものは相対的には軽減し得るということで、留意点として書いてございます。
16ページの2番目でございます。これは契約期間について書面明示がなされなかった場合の効果でございます。
契約期間の書面明示は労働基準法上義務づけられておりますが、書面明示がなかった場合には、無期労働契約として扱われるような効果を付与することが考えられるということが議論されました。
2パラ目ですが、その場合の法的効果については、書面の欠如で期間の定めが無効として、無期労働契約とみなすという立場あるいは口頭では有期の合意があったものの書面での明示がなかったという場合などに当事者の意思を解釈するという趣旨で、反証で覆せるような無期労働契約と推定するという立場とか、その他、申し込みの疑問を課すといった立場など、これもさまざまな選択肢があるということでございます。
「また」のパラグラフのところで中身を考える場合に、書面明示をどの時点で求めるかということも議論がございました。契約締結時にするのか、ほかの国の例にありますように締結後一定期間内に明示すればよいのか等の選択肢がございますので、それも検討していく必要があるということでございます。
次が第4でございます。17ページでございます。これは有期労働契約の終了(雇止め等)に関する課題でございまして、先ほど更新回数等のルールや解雇権濫用法理で取り上げました部分を除く終了に関する問題でございます。
17ページの下の1でございますが、まず1つ目が契約期間の設定でございます。これは何かと申しますと、1パラ目にありますように、1回の契約期間の短縮化、いわゆる細切れ化が進んでいるという事態への対応でございます。これについては現行労働契約法17条2項において、契約期間を必要以上に短い期間に定めることのないよう配慮するという規定が書かれております。
これについては3パラ目ですが、経営上の必要性が指摘される他方で労働者にとっては、雇用が一層不安定になるという問題もございます。この状況が更に継続して進行するのか、必ずしも見通せない現状では、推移を見守りつつ、必要な場合に、必要以上に短い期間を定めることのないよう方策を検討することが必要ということでございます。
2点目でございますが、18ページに行っていただきまして、雇止めの予告等でございます。雇止めについては予告や理由の明示というのは大臣告示で求めておりますが、それについては徹底されていないという声もあるということで、2パラ目にありますように、今、告示で定めている予告等についても法律に基づくものとすることなどについて検討が必要ということでございます。
「すなわち」の部分でありますが、その場合に、高度技能タイプに見られますように、長い契約期間で更新を経ないようなものまで予告制度対象にするのかといったことの留意も一方で指摘されております。
他方のところですが、軽易職務型の方の家計補助的な場合にありますように、家庭状況に応じて労働条件を見直しをする節目として更新に先立つ意思確認により利用しているというケースがありますので、意義があるということを書いております。
3番目でございますが、雇止め後の生活安定等とあります。まず1つ目でございますが、雇止め予告というものは、これも告示で求めているんですが、先ほどの論点でございましたが、それに関連して予告手当に相当する手当も考えられる。解雇については労働基準法で予告がない場合の手当というのが義務づけられておりますので、それとの関係でございますが、ただ、解雇予告というものと違いまして、有期については、1回の契約の終期があらかじめ明記されているということについての留意が必要でございます。
「また」のところはまた別の話をしておりますが、フランスにおきましては、雇止めの際に一定の手当の支払いを事業主に求めるという例がございます。
次のページに移りますが、これについては、フランスの契約終了手当と呼ばれている制度がこの国の無期原則といった考えを背景に、有期労働契約自体に内在する不安定さへの補償としての考え方に立っているのではないかなとの指摘もありまして、その手当の目的、趣旨を整理するとともに実態も含めて更に研究が必要かと考えられます。
雇止め等に関しては以上でございます。
次の論点が20ページですが、第5の均衡待遇、正社員への転換等でございます。点線囲みの既存の論点が少し長いんですが、21ページでございます。
1は、この論点の基本的な考え方でございますが、1パラ目は実態を整理しております。労働条件が正社員より低位に置かれていたり、その水準が低いといった不満が挙げられております。
「また」のところですが、一方で、頑張ってもステップアップが見込めないという不満が有期の中で高い水準を示しております。
このため、次のパラですが、均衡の取れた待遇を推進するとともに、無期化や正社員転換等を推進するという施策が考えられるところでございます。
次のなお書きでございますが、ここで正社員転換等といった言葉を使っておりますが、正社員というものは、報告書の冒頭でも無期で働くということのほか、直接雇用、フルタイム、長期雇用を前提とした待遇を受けるという前提で整理しております。
この項目で言う正社員転換という場を考えた場合は、そういう意味での正社員に限定して考えることはハードルが高くなり過ぎるということもこの議論の中で指摘されました。後ほどこの関連の議論も少し入ってきております。
少し飛ばしまして22ページに行っていただきまして個別の話に入りますが、まず1つ目が、均衡待遇など待遇の問題でございます。
初めのパラは、均衡待遇を求めるやり方の問題ですが、規制方法として、EU諸国のような有期であることを理由とした合理的理由のない差別の禁止といった規定を一般的におきまして、適用は裁判所が判断するという枠組みが1つの例となりますが、我が国においては諸外国のような職務給体系となっておらず、人材活用の仕組み、運用を含めて待遇が決定されるということでございますので、単に職場が同じというだけで正社員との比較は困難であり、何が合理性がない差別かという判断も難しいということが懸念されるという意見がございました。
「一方」のところにありますように、パートタイム労働法の枠組みを参考に、職務の内容や人材活用の仕組みなどの面から正社員と同視し得る場合には、厳格な均等待遇を求め導入しつつ、その他の有期労働者についても均衡を考慮しつつ職務の内容、能力等を勘案して待遇を決定するということを促したりする均衡待遇の仕組みがあります。この仕組みは多様な者を対象とできるということとか、実情に即した対応が可能ということが考えられます。
今の仕組みを考える場合ということで次のパラでございますが、厳格な均等待遇を措置する場合に、現行のパートタイム労働法についてはその要件の1つとして無期契約労働者か、実質無期である有期労働者ということを求めております。
同じような措置を有期労働者について今回考える場合に、パートタイム労働法で言う、実質無期の要件をどう考えるべきかについては議論があり、更に検討が必要ということでございます。
次の「正社員への転換等」でございます。22ページからの初めのパラは、これも実態でございまして、正社員を希望しながら、必ず有期となっている者が存在しているということとか、実証分析において、正社員転換の可能性が高いほどインセンティブが高いという指摘もございました。
こういうことを踏まえて労働契約の無期化、正社員への登用制度を設ける等の正社員の機会の提供等の正社員への転換等の促進方策は効果的と考えられるとしております。
この場合のやり方としましては、次のパラですが、事業主に対して転換の推進のための措置を義務づけるほか、何らかのインセンティブを与えるなど、これもさまざまな選択肢を検討する必要があるということでございます。
最後のパラですが、先ほども出てきた論点に関連するのですが、その場合に、現在の正社員の処遇をそのままに考えると一挙にそうした正社員へ転換するということは非常にハードルが高いということとか、労働者の側にも責任、拘束度などの面から、そういう正社員には望まない場合もあることから、無期契約への転換ということで雇用の安定を図りながら、一方で勤務地限定、職種限定の無期契約など多様な雇用モデルを労使が選択し得るよう視野に入れることも検討が求められるという指摘もございました。
以上が第5でございます。
次に第6でございます。24ページですが、1回の契約期間の上限でございます。
24ページの下半分でございますが、1つ目が15年労基法改正の影響等でございますが、これは15年労基法改正で改正しました1回の契約期間の上限を原則1年から3年に延長したということに関するものでございますが、その影響調査で見ますと、1年を超える有期契約の利用は総じて低調であるということがわかっております。3年を超えるものは更に少ない利用だということも明らかになっております。
「更に」のパラでございますが、ヒアリングで聞きましても企業から上限延長の必要性は薄いとの意見が出されたり、労働組合からは、上限延長には反対という意見が出されるなど、上限を延長する労使のニーズを把握するには至っていないということが言えます。
最後のページに行っていただきまして、この点については、更に検討を尽くすべきではありますが、1回の契約期間の上限としては、現行の内容を維持することを基本としながら検討することが1つの方向と考えられると書いております。
論点の2つ目「2 暫定措置についての取扱い」でございます。
まず、この暫定措置は労働者の方は1年を超えたら退職できるという措置についての扱いでございますので、労働者の拘束を解いている規定でございますので、労働が拘束される事態が生じているかということを実態調査で見ましたら、余りそれはうかがえなかったということでございます。
「今後」のパラでございますが、そう考えた中で、有期労働契約というのは、期間の定めというものについて労使双方が互いに義務、拘束を負うと、その義務に見合う待遇をすることを約し、同時に、期間途中の解雇の方は厳しく制限されるということを徹底することが欠かせないのではないかと考えます。
以上の点を踏まえて、最後のパラにありますように、先ほど説明しました暫定措置、当分の間として設けられた措置につきましては、具体的には1年を経過した後においては、労働者はいつでも退職できるという規定ですが、そういう労働者からは一切予告なく、退職できるという措置については、役割を終えたものと考えてよいかどうかを更に議論を深めるべきと考えられ、そのように結んでおります。
御説明長くなりましたが、以上でございます。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。今、御説明いただいた中間とりまとめ、座長として
はこれまでの委員の皆様の議論をおおむね反映したものとなっていると思っておりますが、改め
て中間とりまとめにつきまして、御質問、御意見がありましたら御発言いただきたいと思います。
よろしくどうぞ。
○阿部委員 基本的には何も言うことはないと思っているんですが、非常によく議論をまとめていただいていい中間報告になっていると思うんですが、本当に字句なんですけれども、10ページ目の締結事由の規制の上から4行目、急減な変動というのと、人件費の低減と出てくるんですが、どういう意味としてとらえられるかというのがちょっと不明なので、業務量の中長期的あるいは急減な変動というのは、ちょっと。
○青山室長 急激な変動の間違いでございます。申し訳ございません。
○阿部委員 それから、人件費の低減も人件費の削減か、そういう意味でよろしいですか。
○青山室長 はい。
○阿部委員 それは、多分、入力ミスとかいろいろあったのではないかと思いますが、それから16ページ目の一番下の段落の1行上ですけれども、「課すこと』」立場となっているので、多分「とする」というのが入るのかなと思ったんですが、本当に字句しか私はなくて、非常によくまとまっているんではないかと思います。
以上です。
○鎌田座長 ありがとうございます。表現ぶりにつきましては、御意見をいただきながら、もう少し調整します。でも、先生の御指摘を活かしながら考えていきたいと思います。
どうぞ。
○奥田委員 全体的に非常にたくさんのことをまとめていただいて、ありがとうございます。ごく単純に何点か質問をさせていただきたいと思うのですが、確認ですけれども、13ページの上から9行目のところで、あるいは同ルール、これは解雇権濫用法理と同様のルールということですね,同ルールは適用可能な状況にあることを推定するというのは、現在の判例法理で言いますと、例えば期間の定めのない契約と実質的に異ならないとか、あるいは雇用継続の期待があるとか、そういうふうに解雇権濫用法理が類推適用されるような状況にあるということを推定するという理解でよろしいでしょうか。
○青山室長 はい。
○奥田委員 それから、19ページの上から2行目ですが、非常に細かいことで恐縮ですけれども、フランスの法制では更新と継続というのが基本的に違う概念ですので、更新の場合ではなくて、訳語として的確かどうかわかりませんが、継続された場合というふうにしておいていただきたいと思います。
○青山室長 はい。
○鎌田座長 上から2行目のところですね。
○奥田委員 はい。19ページの上から2行目のおしりの方にある「契約が更新された場合」というところですが、継続というふうに御紹介してきたところです。
それと最後の点ですけれども、これはまた議論の対象にしていくということで具体的にどうするかという意見ということではないのですが、この間の調査やヒアリング等で言いますと、原則3年になったからといって1年契約を3年にしてきたりとかそういうふうなことは余り多く見られなかった。だから、現状の3年でいいのではないかということなんですが、これは1年が3年になったときの議論と、それで経過を見てそれを見直すというそのときの議論から考えた場合に、現状を3年か、それとももう少し延ばす必要があるという議論をすべきなのか、あるいは3年に延ばしても余り需要がなかったとすれば、元の1年でよかったんではないかという議論なのか、そこまで含めて議論していくというふうに考えておいていいということなんでしょうか。ここで書いていただいているので言うと、現状の3年で1年の暫定措置はもう要らないかという議論が一応提示されていると思うのですが、この間のいろんなヒアリング等からすると、そもそも3年でなくてもいいのかもしれないという選択肢もあるのかなと思うんですが、その辺りも含めてと、とりあえず理解してよろしいですか。
○青山室長 もともとこの論点設定の際に、確かに延ばす方なのか、短くするのかというのははっきりせずに論点設定をしておりますが、皆さんの御議論も、法改正の経緯から延ばしてきたということがあることとか、例えば、24ページの点線囲いの中に、注で更に10年という意見もある。
そういう延ばすことについてどう考えるかという議論があったかと思ってまとめております。短くすることの議論が排除されるわけではないと思いますけれども、これまでの議論を整理すればこうなのかなと思ってまとめた次第です。
○鎌田座長 よろしいですか。どうぞ。
○橋本委員 11ページの下から2段落目の部分です。下から6行目のドイツのように有期労働契約の利用の濫用を規制するために雇止めにおけるルールによってという部分なのですけれども、ドイツは、有期契約の締結には、客観的な事由が必要であるという規定がありまして、そこに客観的な事由が8つほど例示列挙されているわけですが、その規定について、民事法規であること、そして、これらの事由を契約締結時に明示することは要請されていないこと、そして実際には雇止めに当たって紛争になっていて、最後の契約締結において、これらの客観的事由が存在していたのかどうかが裁判所で審査されていることから、雇止めのルールと解してよいということを確かに申し上げたのですが、雇止めルールと書いてしまうと書き過ぎかなという気がしまして、簡単に直すとしたらドイツの部分を外してしまうか、ドイツのようにというのを削除する修正があるかとも思います。少し気になったところです。修正についてはお任せいたします。
○鎌田座長 もう少し言葉を補っていただくと、訂正をすると、どういうふうな形で入れたらいいんですかね。
○橋本委員 「ドイツのように」というのを外すのが一番簡単な修正かとは思います。私の理解では雇止めルールだと思っているのですが、客観的な事由が法律に列挙されているので、労働契約の期間の定めには客観的事由が必要であるということで、いわゆる入り口規制として理解されている面も一般的ですので、ここは違うだろうと言われるかもしれないと思いまして。
○鎌田座長 わかりました。でも、議論の中でおおむね皆さんも理解して進めていったように思いますので、わかりました。これは後で少し表現ぶりを書き直すかもしれません。
どうぞ。
○山川委員 よくまとめられておりますので、内容というよりも表現ぶりに関わることですが、6ページの下から2行目、当事者の行為規範として妥当するようなものとすることとある部分ですが、これも議論にありましたように、あるいはほかのところでも書いてあるんですが、さまざまな規律手法を用いるとしても、何か行為規範としてということのみが強調されているように見えますが、実際は労働審判の申立件数が三千数百件ということもありますので、やはり契約ルールとして、裁判規範ともなるということも少し書き込んだ方がいいかと思います。例えばですが、当事者の行為規範としての前に、必要に応じ裁判等により紛争解決規範として機能するとともにとか、そんなことを入れてはいかがかと思います。 2点目が、これもまた表現ぶりですが、14ページの最後から4行目、雇用の不安定さとありますが、これもそのとおりなんですが、雇用の不安定さというのは相対的なものなので、言わば無期労働契約との格差とするくらいの方がよろしいのではないかと思います。
あと、22ページの2の均等待遇など公正な待遇というところで、これは若干、論旨の進め方にも関係があるんですが、第1段落目のところで、EU諸国のような有期契約労働者であることを理由とした合理的理由のない差別の禁止のような一般的な規定を法に置くということから始まり、その段落の最後の辺りでは、単に職務の内容が同じというだけでは正社員との比較は困難であるということが書いてあります。ここが論理的につながっていないんです。つまり、EU諸国が職務の内容が同じというだけで正社員との比較をしているのだとすれば、このような論理的の流れになるんですが、別にそういうことでは必ずしもない書き方になっていますから、文章上の形式的な論理性という点で厳密に一致させるとすれば、有期契約労働者であることを理由とした合理的な理由のない差別に当たるかどうかの判断が困難であるということになるはずではないかと思います。しかし、その前にかかれていることは確かですので、例えば何をもって正社員と比較するのか、また、何か合理的理由のない差別に当たるかの判断を行うことが難しくなり、民事裁判における判断も区々となることが懸念されるという形にしてはどうか。何と何を比較するかの問題と、合理的な問題の理由をの問題はそれぞれ論理的には別の次元の問題ですので、中身は同じ
ことでも、それぞれが課題があるという書き方の方がつながりとしてはいいのではないかと思います。
○鎌田座長 ありがとうございます。確かにそのとおりですね。
○阿部委員 今の点に関連して、私も今、山川先生がおっしゃったとおりだと思うんですが、特にここで、やはり賃金がずっと出てきているんですが、やはり均衡待遇というと賃金以外の側面もあると思いますので、賃金ばかりではない方がいいかもしれません。ですから山川先生が先ほどおっしゃったような書きぶりに改めるというのも一つのいい案かもしれません。
○鎌田座長 どうぞ。
○荒木委員 気づいた点で、質問に入りますけれども、5ページの下から3行目なんですけれども、解雇権濫用法理を始めとする正社員について形成されてきたルールを立法により見直すことは、有期労働契約者について生じている問題の解決に直結しないものと考えられる。この趣旨が私はよくわからなかったものですから説明していただけますか。
○青山室長 なお書きのところなんですが、真ん中の方で、解雇権濫用法理をとっても、裁判例の積み重ねで今は法律にはなっておりますけれども、もともとは裁判例の積み重ねであるということで、そうしたものを、急遽立法で変えるということはどうかということなんですが、正社員についての役割等を考えると、どうかと思われる、それが有期労働者の問題の原因ということではなかろうという趣旨で直結しないというふうにつなげているつもりでございます。
○渡延審議官 若干補足しますと、いわゆる無期の正社員を前提に、その人たちが実際に果たしている役割を前提に一定のルールができてきた。それと比較すると、昔のいわゆる期間工的な人たちを考えた場合などは、求められる役割なりが正社員に比較すれば薄いことを前提にして、保護が相対的に薄いというのができてきたんだろう。
正社員の方のルールをいじったところで、有期の方で働いている、いわゆる非正規の人たちの就労の実態、負っている責任、貢献の度合い、義務、そういったものが変わらなければ、それに応じた形での保護あるいはそのルールは変わらないんではないかという気持ちなんです。
もう一つ、判例の積み重ねででき上がったものが今、例えば契約法にしても、でき上がりの条文として字ずらで書かれているけれども、そういうものだからといって字ずらをいきなり改正法という形で直せるものなのだろうか。確かにその2つの要素のことが入って縛っているかと思います。
○荒木委員 そうすると、正社員の雇用保障自体について、立法で何か改正することを前提に議論がされているわけですか。この場では有期契約の規制の問題だと思って考えてきましたので、有期契約を規制することでそれが反射的に正社員の雇用問題に関係するという議論だったらよく了解できるんですが、そこは正社員について形成されてきたルールを立法により見直すと書いてありますので、そういう議論は、ここでは考えてこなかったんではないかと思いましたので、そういう誤解がちょっとどうかと思ったので、ちょっと表現を工夫していただければということだと思います。
○渡延審議官 気持ちとしては、仮に見直すとしてもということです。なおの書き出しのところで、正社員に適用されるルールとのバランスというのを意識するということを言っているわけなんですけれども、そのバランス論の論理的選択肢の1つとして仮に見直すとしても、その気持ちなんですけれども、確かに先生方からこういうことを見直せという御指摘は全く出ておりませんでしたので、確かにこの表現が一人歩きする可能性はあるように思います。その点で、確かに議論の範囲としては不正確だと思います。
○鎌田座長 私の方からも、この部分については、今、荒木先生から御指摘いただいたように、研究会の中の私の理解では、正社員の雇用の在り方についての議論を正面から取り扱うということではないわけで、まさにそのとおりだと思います。
この文章につきましては、そういう意味では、やや正社員についての立法の在り方についても言及したような表現になっておりますが、そういったもののいかんを問わず、有期労働者について生じている問題の解決に検討を加えるべきであると、こういうようなことで書かれているものだと思いますので、そういった趣旨で、少し表現を考えてみたいと思っています。
○荒木委員 それから、ほかの点ですけれども、11ページの真ん中、締結事由を規制する方式という段落があるんですけれども、その4行目の最後の方に、また争いがある場合、すなわち締結事由が法の規定するものに該当するかどうかに関する争いがある場合には、締結に至らない可能性が高いと考えられると書いてあるんですが、そうなるのかなという疑問がございます。
労働者は雇われたいと思っているわけですね。そして締結事由を規制していたら、それに該当するかどうかは争いになったとしても、これは法の規定した有期契約締結事由に該当しないから自分は無期契約として扱われるべきだという主張は出てくることはあり得ると思いますけれども、入口の場面で、有機契約締結事由に該当するかどうかをめぐって紛争が生じて締結に至らないということは余りないんではないかと思われますので、ここは削除されてもいいのではないかという気がします。
それから、13ページの4の上の2つ目の段落ですが、なお、更新回数や利用可能期間の評価に当たっては、クーリング期間についてルールの公平な遵守との関係で検討が必要となるとなっているんですけれども、おっしゃっている趣旨は、更新回数や利用可能期間というものを規制するとした場合には、一定の間隔を置いて、後に雇ったときに、更新回数というのは通算するのか、あるいは利用可能機関として一定限度超えたことになるのかということを言われていると思いますが、この評価に当たってはという意味がそういう意味に取られないのではないかと思いますので、少し表現を工夫していただいた方がよろしいではないかという気がしています。
これは単純な変換ミスだと思うんですけれども、22ページの2のところの段落の上から6行目でしょうか。職務遂行能力という要素を中間ではなくて、これは中核に据えという表現の方がより適切ではないかと思いましたので、御検討ください。
以上です。
○鎌田座長 どうもありがとうございます。どうぞ。
○藤村委員 私は17ページの第4、有期労働契約の終了(雇止め等)に関する課題というところで、一番下のパラグラフ、契約期間の細切れ化については云々というところなんですけれども、ここで、市場の需給変動の予測が難しくなる中で、経営上の必要性が指摘されて、そうなっているんだと、それで、労働者にとってはマイナスがあるという表現なんですが、通常は、働く側はリスクヘッジを非常にしにくい、経営側は同時に複数の事業を運営することによって、ある部分がだめでも別のところが大丈夫で全体としてはプラスになる。労働者はそれは非常にやりにくいですね。
ということは会社側の必要性があるから、それを認めるというのは、ちょっと労働者側にとっては辛いなというふうに思います。ですから、ここはこういう表現でいいと思うんですが、その次の「しかし」のところです。契約期間の細切れの事実が更に継続して進行するのが必ずしも見通すことができない現状では、推移を見守りつつ、これはこうなんでしょうが、多分放っておくとこの傾向は余り変わらないであろうと。ですから、余りにも短い契約を更新していくこと自体は、実は余りいいことではないというのをもう少し強く書けないかなという気がしています。
具体的に何をどうすればいいかという案はないんですけれども、ここの部分は余りにも中立的であるとかえって経営側にとってプラスというか、やや経営寄りの表現になってしまいそうなので、実はリスクヘッジが難しい労働者にとっては、そういう状況が起こるということは対応が非常に困難なんだと、経営側の方は、そこはやりやすいはずだから、一定の配慮が必要であろうという、何かそんな表現があってもいいかなと思いました。
以上です。ほかはちゃんとしていると思います。
○鎌田座長 ありがとうございました。どうぞ。
○荒木委員 私もその点は少し議論した方がいいかなと思った点でありましたので発言させていただきます。
細切れ化の問題は、実は一定期間内の更新回数と連動する問題だろうと思います。例えば、ドイツのように2年間に3回という更新回数を規制すれば、細切れでやることは不可能になります。ですので、表現がそれをしないという決断をここでするのであれば別ですけれども、ちょっとしないというようなニュアンスが出ているような気がしますので、この点については、ほかの改正規制とか、利用期間規制との関係を含めて検討すべき課題というようなとらえ方の方がいいのではないかという気がします。
○鎌田座長 荒木先生、18ページの上のなお書き、これは今、先生がおっしゃったこととの対応で受け入れられるんではないかと思っているんですけれども、どうでしょうか。
○荒木委員 まさにそうなんですけれども、なおと書いてあると、見守りつつと言い切ってしまっているような気がするので、それはちゃんと両方複合して考えるということがわかるようになっているといいかなと思います。
○鎌田座長 やはりそこは表現ぶりのことになるんですね。藤村先生の御発言は要するに経営上の必要性があり、一方、労働者にとって不安定になるというふうにフラットに書くのではなくて、労働者にとっての過酷さがより重いということで表現ぶりを整えられるかと。もし皆さんよろしかったらそういうようなことで、少し整理したいと思います。
○奥田委員 先ほどから先生方から出された御意見との関係で、また、わからなくなった点がありますので、2点ほど質問させていただきます。先ほど荒木先生がおっしゃった13ページのちょうど真ん中辺の「なお」というところの3行ですが、私はこれを読んだときに、更新回数とか利用可能期間というものを制限するということを考えたときに、クーリング期間を置くことによってそれが解除されるような場合もあり得ると、これは外国法制でもあると思うんですけれども、そういうことをもし考えときに、そのルールをどう公平に遵守していくかということの検討が必要なんだというふうに理解して、この3行を読んでいたんですけれども、先ほどのお話だと若干違うように思ったんですけれども、少しその辺りが若干不明になりましたので、この3行の意味を、もう一度御説明いただけるとありがたいです。
○鎌田座長 違うように理解したというところを少し補って。
○奥田委員 私が理解したということですか。
○鎌田座長 いや、今、奥田先生が理解されたということについては、そうではないというふうに別な理解があるということが懸念されるということですね。
○奥田委員 懸念というか、先ほどのお話のやりとりですと、私が理解した内容とはちょっと違ったのかなと思ったので、そこを確認させていただきたいと思います。
○鎌田座長 その違いというのはどういう違いですか。
○奥田委員 よくその中身がわからなかったということです。
○鎌田座長 では、もう一度御説明いただければいいのかな。
○青山室長 これはもともとクーリング期間というものの話があったときに、クーリング期間というのは一定期間勤続した後、雇用しない期間を置いて再び同じところに雇用されるという問題をどうするかというものがもともと論点にありまして、その話を考えるというのは、結局、更新回数とか年限が限られている場合に出てくる問題ではないかということで、回数や期間のルールのときにこういう問題があるという議論があったかと思います。これを踏まえてこういうルールを考える場合には、クーリング期間についても、考える必要があるという趣旨で書いたと考えております。
○奥田委員 わかりました。そうしたら別に理解の違いがないということですね。済みません。
もう一点は、これも最初に荒木先生が御質問された点で、私も少しわかりにくかったところ、5ページの下の3行なんですけれども、具体的に何を考えていくかということは全くまた別個の議論として、例えば有期労働契約について無期化を考えるかどうかという議論をしていたときに、そういう諸外国の例などを見ても有期契約で法違反があったときに無期化を考えるかどうかというのは、そもそもの違法解雇の効果とかとも関係があるという議論があって、そういうことを含めてそもそものルールということの見直しではなくて、有期契約の労働者について生じている問題の範囲内でというふうに書かれている、そういう趣旨かなと思ったんですが、そこまで限定的な意味ではないということなんですね。そういうふうな具体的な議論を前提にしてということではなくて、もう少し一般的に、この研究会の議論内容の対象分けがされているという理解でいいわけですね。
○青山室長 はい。先ほどこちらも申しましたとおり、有期労働契約自体に内在する問題というんでしょうか、確かに正社員のルールと有期のルールは、当然違っているという事実はあるとしても、正社員のルールがどうあるかいかんを問わず、有期労働契約自体の問題というのは、有期労働契約のルールとして考えなければいけないということを書いた趣旨でございます。
もともと論点の方にも、正規労働者の解雇規制についての議論を紹介してどう考慮すべきかというのもあったものですから、その影響も受けまして、それについての答え的なものとして、皆さんの議論を整理したものでございます。
○鎌田座長 よろしいですか。
○奥田委員 はい。
○鎌田座長 どうぞ。
○山川委員 これも言葉の統一の問題になると思うんですが、4ページ目の最後の段落の「このような」で始まるところです。この研究会の中間とりまとめとしてではあれ、方向性というか、理念を示した部分であるというか、基本スタンスだと思うんですが、ここで雇用の安定、公平、公正な待遇等を確保するためとあります。これがキーワードにもしなるとしますと、その次のページに、2の(1)の1段落目の最後には、雇用・生活の安定・向上や待遇等の公正さと、それから3段落目には、公正・公平とは言えないと書いてあり、公正と公平が2つ使われていて、何か深遠な意味があるのか、あるいは別にそういうことではなく同様の意味なのか。それから、雇用の安定と生活の安定についてはどうか。この辺りを、もし特に意味があるのであれば内容をご検討いただいて、そうでなければ、単に整理の問題としてご対応をいただきたいと思います。
○青山室長 整理をする方向で考えたいと思います。
○荒木委員 表現の問題になってきますので、私も妙案がないんですけれども、12ページの真ん中より少し上で、一定の区切り(上限)という表現があります。区切りと言われているのは、上限としてそれは超えられない絶対的な限界であるのに対して、解雇権濫用法理が適用され得る状況にあるという、そういう基準として作用するということも考えると、上限というのは適切でないというので、区切りという表現を使われているのかと思いますが、区切りというのは、どうかという気もしますので、上限ないし一定の基準とか、何かいい表現があればというくらいのことなんですけれども、このままでいいかどうか、ほかになければ、これでも仕方がないかと思いますけれども、更にいい表現があれば、御検討いただければと思います。
それから、正社員という言葉が非常に難しいと思うんですけれども、報告書では、21ページの下から2段落目では、括弧付きの正社員というのが、年功システムで非常に厚遇される、そういう人を指して括弧付きとして、そうではない、無期で雇われ、フルタイムで直接雇用という人を括弧なしの正社員ということで統一されているのか、そうでもないのか、そこら辺はどうなんでしょうか。
○鎌田座長 よろしいですか。まず、区切れのところだけについて私からちょっと、実は私もこれは悩んだところで、要するに、例えば更新回数で言うと回数制限、利用可能期間であると期間の上限規制ですね。そういうようなことがありまして、どういう表現がいいのか、荒木先生がおっしゃった基準というふうにいたしますと、これもやや法律上の規範的な要素が伴っていくのかなと、そこまで少し特定がなかなかできないところで、ある意味はっきりどのような制度を想定していけば具体的にできるんですけれども、この段階ではそこまで特定していないものですから、そこで区切りという表現がいいのかなと私の方で考えさせていただいたんですが、よろしくお願いいたします。
○荒木委員 結構です。
○鎌田座長 正社員の方は。
○青山室長 正社員は、先ほどの定義の統一ということもありますので、この報告書の冒頭に定義させていただきましたように、2ページの一番上の初めの行ですね。直接雇用、期間の定めがないフルタイム、あと、長期雇用全体としての待遇ということで考えてはおります。確かに、正社員転換の方になると、ハードルとか、本人希望の問題で、少し概念についての御議論はありましたので、そこは無期化・正社員転換という形で書いたり、正社員転換等という形で、少し広がりを持ち得るようにも読めるように、多少工夫をさせていただいているところかなと思っています。
○渡延審議官 21ページの下から2つ目の段落の中で「正社員」が使われているんですけれども、では、それ以外のところと平仄があっているかというと、ここは、かぎを取って正社員を限定してでも意味が通る、というか、第1の1で記した正社員に使っているだけなんです。
前のところで確かにかぎ正社員というのが出てくるところがあるんですけれども、それは実態調査の選択肢を紹介するところのかぎ正社員なので、ここの使い方は厳密に言うと、かぎが付かないのは正しいということになるのかもしれないんですけれども。
○荒木委員 23ページの方では、また、現在の正社員の処遇はそのままに、有期契約労働者を一挙にそのような正社員に転換するという、ここで議論したのは恐らく処遇のかなり低い、しかし無期の人ではなくて、非常に処遇も手厚い、そういう人に一挙に転換するのは、現実的ではないだろうという、ここでは、かぎかっこ付きの正社員を想定しているような気もしましたので、もし統一できるのであれば、統一した方がいいと思いますし、統一が難しいのであればいわゆるとか、ここで言うとか、そういう形容をして、いろんなタイプを想定しているのがわかるようにするというのも1つかなと思います。
○鎌田座長 これは整理できると思いますのでお願いしたいと思います。
ほかに何か、先生方でないでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○佐藤委員 基本的には皆さんから御指摘がありましたので確認的なことだけで申し上げますと、総論のところで4ページのところですが、ここで働く側から見た有期契約労働者の課題、現状認識に基づいて整理し、後での各論も展開の中でのある種のスタンスを明確化していくということですね。
その上で、5ページ以降の基本的考え方の1、2、3の原則といいますか、とらえ方の視点を明示し、3番目で、留意事項を4点ほど整理するということで、今までの議論が非常にバランスよく反映されているし、論点が尽くされているのかなと思いました。
したがって、そういう原則にのっとって、それぞれ2以降の範囲とか上限とか、雇止めとか、出口のところ、回数とか、上限規制のところについては、それぞれそういう明快さもありながら、しかし、波及効果の問題というか、副次効果の問題とか、日本の中で形成されてきた慣行や文化と、欧米諸国との違いだとか、そういうことを非常に慎重に分析され、記述されていると、そういう構成で展開されていると印象として持ちました。
そういうことで言いますと、構成については、私の方からは特に異論はなくて、よく整理されているなという印象を持ちました。
ただ、細かなことで言いますと、書きぶりということで修正の必要はないんですけれども、例えば先ほど来出ている22ページの、均衡待遇のところのベースなってきている。6行目の我が国においては、外国のように職務ごとの賃金が決定される職務体系にはなっていないということになっていますけれども、これも現状の賃金制度のこの間の企業の改革の方向性は、必ずしもまだ職務給与体系にはなっていないんですけれども、そういう方向に向けた改革の動きがあったということもありますので、いわゆる仕事給ベースの処遇という方向性ですね。そういうような経緯もありますので、そういう取組みはこれまであったところではあるけれども、しかしながら、なお、まだそこが支配的なものにはなっていないということを少し補足しておく必要があるのかなと、これは特に修正する必要はないと思いますけれども、認識のところで、そういう認識が私としてはありました。
あと、23ページ目の、一番下から3行目のところですけれども、ハードルは高いということで、ある種の限定的なタイプでの雇用モデルを選択肢として開発して、メニューを提示するという考え方の検討を示されておりますけれども、勤務地限定とか職種限定は非常にわかりやすいんですが、私は不勉強であれなんですが、時間限定というのが余り聞かなかった言葉なので、通常は余り残業がないとか、短時間正社員とか、そういうものであるとややポピュラーなタームだと思うんですけれども、時間限定というのはなかなか聞かなかったんですけれども。
○青山室長 そういったイメージで書いております。
○佐藤委員 その辺は、これでも通じると思いますけれども、ポピュラーかどうかというと、そういうことの方がということです。
以上です。
○鎌田座長 ほかに御発言はないでしょうか。よろしいですか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 ありがとうございました。本日、先生方から多くは表現ぶりのところだったと思うんですけれども、幾つか御指摘をいただきまして、この議論を踏まえまして、私と事務局に一任をしていただきまして、最終案を作成したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 ありがとうございます。最終案ができました時点、速やかに最終案はつくりたいと思っております。速やかに作成した最終案を公表するというような手はずを考えております。この点についてもよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鎌田座長 それでは、次回の日程について事務局から御説明をお願いしたいと思います。
○青山室長 次回の日程と進め方に関してなんですが、前回の研究会でも御説明しましたとおり、中間とりまとめを座長御一任の上でなされた後には、労使関係者からのヒアリングということを考えております。そういうことも踏まえまして、日程については調整し、改めて御連絡させていただきます。
○鎌田座長 ありがとうございます。皆さんの本当にさまざまな御意見と努力でこのような中間とりまとめができたということに本当に感謝申し上げたいと思います。ただ、今、説明がありましたように、これから労使の方からの御意見もいただきながら、更に私どもは最終報告に向かって議論を重ねていきたいと思っておりますので、今後とも御協力よろしくお願いいたします。
それでは、本日これをもって終わりにしたいと思います。
ありがとうございました。
(照会先)労働基準局総務課政策係(内線:5587)