第1回有期労働契約研究会議事録

日時

平成21年2月23日(月)18:00~

場所

三番町共用会議所第1会議室

議事

○山越課長 ただいまから第1回「有期労働契約研究会」を開催いたします。委員の皆様方には、大変ご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。私は厚生労働省の山越と申します。この会の座長が定まるまでの間進行させていただきます。まず、開催にあたりまして、金子労働基準局長よりご挨拶を申し上げます。
○金子局長 労働基準局長の金子です。この度は皆さん大変ご多用中のところ、ご参集をいただきましてありがとうございます。部屋が狭いようで息苦しい状態ですが、次回以降はきちんとした会場を確保しますので、どうかご容赦いただきたいと思います。
 ご案内のとおり、昨年の3月には労働契約法が施行されました。4月には改正パート労働法ということで、この間、順次労働法制の整備を進めてきております。この点につきましても、先生方にはいろいろな形でお世話になっているところです。
 こうした一連の労働法制の整備の一環として、懸案の改正労働基準法も昨年の臨時
国会で成立して、平成22年4月の施行に向けて準備しているところです。一方、この間、大変非正規労働者が増えているということで、国会、マスコミ等でも、この非正規労働者の問題が問題点として指摘をされているところです。いわゆる非正規と言った場合の1つの大きな横串を刺した考え方として、有期契約があるわけです。この有期契約につきましては、平成15年の労働基準法の改正の際の附則において、また平成18年に労働政策審議会からご答申をいただいて、その中で今後必要な検討を加えていくということとされております。こうしたことで、専門的な見地から調査検討をお願いしたいということで、今回ご参集をお願いした次第です。
 ただ、この問題は一朝一夕に解決できて、答えが出てくるものではないと思います。地に足を着けて取り組むべき課題だろうと考えております。今後の施策の大きな方向性につきまして、いろいろな議論もあるわけですので、是非、そうしたことにつきまして先生方のご尽力をいただけたらと考えております。
 少し長丁場の検討になる可能性もあるかと思いますが、先生方には是非ともよろしく趣旨をご理解の上、ご協力をいただけますよう重ねてお願いを申し上げ、開会に当たってのご挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○山越課長 金子労働基準局長は所用がございますので、恐縮ですが、ここで退席をさせていただきます。
○金子局長 すみません。よろしくお願いいたします。申し訳ありません。
○山越課長 続きまして、ご出席をいただいている委員の皆様方をご紹介いたします。獨協大学経済学部教授の阿部正浩委員、東京大学大学院法学政治学研究科教授の荒木尚志委員、京都府立大学公共政策学部准教授の奥田香子委員、東洋大学法学部教授の鎌田耕一委員、法政大学キャリアデザイン学部教授の佐藤厚委員、学習院大学法学部教授の橋本陽子委員、慶應義塾大学院法務研究科教授の山川隆一委員、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の藤村博之委員です。よろしくお願いいたします。
 引き続いて、事務局の担当をご紹介いたします。厚生労働省出席者です。労働基準局審議官の渡延、監督課調査官の富田、監督課中央労働基準監察監督官の黒澤、私は総務課長の山越です。大変お世話になります。よろしくお願いいたします。
 続きまして、この研究会の開催要綱についてご説明いたします。資料1をご覧ください。有期労働契約研究会は、1.「趣旨・目的」にあるように、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年)、この改正法律附則第3条に基づきまして、契約期間について検討することとされております。また、労働政策審議会、平成18年12月27日の報告では、「今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について」、この報告の中で有期労働契約について「就業構造全体に及ぼす影響も考慮し、有期労働契約が良好な雇用形態として活用されるようにするという観点も踏まえつつ、引き続き検討をすることが適当」とされております。こういったことも踏まえて、今般有期労働契約研究会を開催させていただきました。 2.「検討事項」は、有期契約労働者の就業の実態、有期契約労働者に関する今後の施策の方向性をご検討いただきたいと考えております。
 3.「運営」については、(4)本研究会の座長は、参加者の互選により選出するとされております。この要綱に従って、座長の選出をお願いしたいと思います。これにつきましては、事前に事務局のほうで、各委員の皆様にご相談をさせていただいており、鎌田先生に座長をお願いしたいと考えておりますが、よろしいですか。
                (異議なし)
 
 ご異論はないようですので、本研究会の座長を鎌田委員にお願いして、今後の議事進行をお願いしたいと思います。鎌田先生、よろしくお願いします。
○鎌田座長 この研究会の進行役を仰せ付かった鎌田です。何卒、よろしくお願い申し上げます。この研究会は、「有期契約労働者の就業の実態」と「今後の施策の方向性」を探究するという大きな課題を与えられております。有期労働契約法制の在り方については、すでに労働契約法の制定に当たって議論がなされておりますが、いまなおさまざまな意見の違いが見られるところです。
 参集された皆様には、学識経験などを遺憾なく発揮して、忌憚のないご意見をいただきまして、意義のある成果を目指したいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは進行を進めさせていただきます。議事に入る前に、まず、本研究会の開催に当たり、会議の公開等について事務局からご説明をお願いします。
○富田調査官 監督課調査官の富田と申します。よろしくお願いします。資料3をご覧ください。議事の公開についてまとめた資料です。本研究会につきましては、いちばん下の※で書いておりますが、厚生労働省が定める「審議会等会合の公開に関する指針」における公開の考え方に準拠して、公開することとしたいと考えております。読み上げますと、研究会は、原則公開とする。ただし、以下に該当する場合、座長が非公開が妥当であると判断した場合には、非公開とする。(1)個人に関する情報を保護する必要がある。(2)特定の個人等にかかわる専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等により、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるとともに、委員の適切な選考が困難となるおそれがある。(3)公開することにより、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を生ずるおそれがある。(4)公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある。このようなことに該当すると判断した場合には非公開の扱いとしております。以上です。
○鎌田座長 ただいまの説明について、皆様から何かご質問、ご意見等はあります
か。よろしいですか。それでは、会議の公開については、事務局から説明があったように取り扱うこととします。
 次に、本日の議題に入ります。本日は、本研究会の今後の進め方についてご議論をいただくことにしておりますが、まず、有期労働契約に関する法制度の現状や、これまでの議論の経緯等について事務局で資料を用意しておりますので、説明をお願いします。
○富田調査官 資料4から資料8-3までについて、説明を申し上げます。資料の一覧と
なりますと、資料7が欠番になっていますが、事務局の準備の手違いで、資料7は存在しないものとして恐縮ですが扱っていただきたいと思います。
 資料4、「有期労働契約に関する参照条文」を付けております。労働基準法第14条を付けており、これは冒頭で、局長ないし総務課長から説明を申し上げたとおり、労働基準法第14条の改正に伴って、本研究会がそうした事項をこなすということが1つの課題となっております。
 第14条については、労働契約期間の定めを書いております。これは原則3年。専門的な知識、技術又は経験等を有する者であって、厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識を有する労働者との間に締結された契約とか、あるいは高齢者の方との契約については5年となっております。
 こちらにつきましては、第2項において、期間の定めのある労働契約の締結時及び期間の満了時において紛争を末然に防止するために、使用者が講ずべき基準を定めることができるとしております。これが参考資料1で、リーフレットとともに用意しておりますので、後ほどご参照をいただければと思います。
 附則第137条は、平成15年の労働基準法改正、これはいま14条をご覧いただいておりますが、原則1年を原則3年と改正したものです。期間の定めのある労働契約を締結した労働者が、平成15年改正の附則第3条というのを下に付けておりますが、この措置が講じられるまでの間、民法628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者が申し出があったときはいつでも退職することができる。
 附則第3条は、改正法の附則です。政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、14条の規定について施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとなっております。
 最後に労働契約法を付けております。解雇に関する規定の部分と、有期につきましては、期間が満了するまでの間においては、やむを得ない事情がなければ、解雇することはできないといったような規定があります。
 資料5-1、「有期労働契約に係る指摘等」を付けております。これは重複しますが、本研究会が立ち上がるきっかけとなったようなものですが、附則第3条で、この法律の施行後この法律による改正後の14条の規定について、施行の状況を勘案しつつ検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
 そのあと、平成18年12月27日の「労働政策審議会労働条件分科会答申(抄)」というものを付けております。附則第3条を受けて、一部検討を行っておりますし、さらに労働契約法制定をこのあとに議論をいただいたわけです。その契約法制定の契機となった答申です。この中に有期労働契約に係る項目があり、それが有期労働契約者については、今回講ずることとなる上記(1)から(3)までの施策です。これは先ほどご覧いただいた契約期間中の解雇の問題等については、就業構造全体に及ぼす影響も考慮し、有期労働契約が良好な雇用形態として活用されるようにするという観点を踏まえつつ、引き続き検討をすることは適当となっております。こういったことも、今回、検討を行う際には、参考にするのではないかと思っております。
 資料5-2については、長くなりますので、詳しい説明は省きます。「有期労働契約」に関するこれまでの提言を、いくつかの団体等から出されているものを付けております。冒頭にあるのが、「今後の労働契約法制の在り方に関する研究会報告書」です。これも労働契約法が制定される前に厚生労働省において検討を行ったものです。その中に「第5 有期労働契約」の項目が入っております。そのほかにも「労働政策審議会建議」の中における労使側の意見といったものも付けておりますので、ご参照をいただければと思います。
 資料6については、「主な裁判例」を付けております。ここに整理しておりますが、期間の定めのある労働契約の雇止めに関する裁判例です。反復更新によりまして、それが雇止めでは有効か無効かといったようなことが争われたものです。東芝柳町工場事件というのは、調査の中では実質無期契約タイプと整理されております。日立メディコ事件というのは、期待保護タイプで整理されております。平安閣事件というのは、期待保護タイプですが、どちらかといいますと、継続特約タイプということで整理しております。亜細亜大学事件というのは、純粋有期契約タイプで整理しております。
 期間の定めのある労働契約の契約期間中の解雇に関する裁判例を2つ付けております。
どちらとも、やむを得ない事由があったのか、ないのかといったものについて争われたものです。その他の裁判例を3つ付けております。平成2年の神戸弘陵学園事件というのは、試用期間に関する裁判例です。近畿システム管理事件というのは、個別契約の観点から少し外れるかもしれませんが、不当労働行為のことが争われた事件です。丸子警報器事件については、均衡待遇の問題が取り扱われたものです。
 資料8-1では、有期労働契約の現状についていくつかご紹介をさせていただきます。これから調査等を委員の皆様にお願いしたいと考えているのですが、現在ある数字がどういうものがあるのかご紹介させていただきます。資料8-1は、「労働力調査」です。ご覧いただいたらわかるように、これは1985年から2007年までの推移をまとめたものです。1985年あたりについては、下のほうにあるのが正規型の労働者で、白い所が非正規です。正規型が1985年は大体3,000万人ぐらい、非正規の方は655万人程度といったものが、2007年になると、正規型の方は3,441万人ということです。一方、非正規と呼ばれる方については、1,732万人ということで、大幅に増加している状況です。
 右側に内訳が書いてありますが、これは呼称で整理しているものです。アルバイト、パートと呼ばれている方がかなり大きな部分を占めており、派遣社員が133万人程度、契約社員や嘱託と呼ばれる人については435万人といったものです。
 次の頁には、同じ労働力調査の数字ですが、今度は有期労働契約というもので、これは1年以内の期間を定めて雇われている者に限定して整理したものです。これをご覧いただきますと、平成9年あたりから平成19年までの間において、少し有期契約労働者の割合が増えているということです。平成19年現在の雇用者と有期契約労働者の数字は、下の表にまとめてありますが、雇用者が5,500万人ぐらいの中で、有期契約労働者は773万人といった数字となっております。
 資料8-2は、「平成17年有期契約労働に関する実態調査結果の概況」の資料を付けております。これは平成17年に統計情報部におきまして行った調査で、こちらには概要のみを付けております。詳細は後ほどご覧いただくとして、こちらをご覧いただくと、かなりそれぞれの契約期間がどうだとか、勤続年数がいかがか、あるいは雇用の理由は何だろうかといったものについて説明がなされております。
 資料8-3は、平成20年に発表した統計情報部において調査を行った「平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査結果の概況」です。これは先ほどの有期契約の実態調査と比べて、非正規労働者全体をその推移、あるいは今後はどうなるのかといったものについて詳しくまとめております。これも詳細は時間の関係上省略いたしますが、参考にしていただければと思います。取りあえず、これまでの経緯等についての私の説明は以上です。○鎌田座長 ただいまのご説明についてご質問、ご意見がありましたら自由にご発言をお願いします。
○橋本委員 統計の理解の仕方についてわからないところがありましたので、教えていただきたいと思います。資料8-1、非正規労働者が現在3割以上だという数字が出て、その内訳が呼称でアルバイト、パート等とあるのですが、おそらくみんな有期契約だと思われるのですが。次の頁で、先ほど1年以内の期間に限定した有期契約労働者だというご説明があったのですが、それで14%と数字が減っていると思うのですが、1年以内というのは、当初、締結した契約が1年以内の期間という理解ですか。短期の契約を反復更新して雇用期間が長くなることもあり得るのですか。それが1年以内という理解なのか、どちらでしょうか。
○富田調査官 これにつきましては、資料の調査のところでご説明を申し上げようと思っていたところです。資料11の下に、さらに「各種統計調査における有期労働契約の就業形態の定め方」という、A4の1枚紙でエクセルでまとめた表を付けています。この左側に、労働力調査がどういったものか書いてあります。先ほど資料8-1でご覧いただいたものは、※で「総務省」の下に書いてありますが、あくまでも呼称です。したがって、1,732万人の方全員が有期契約労働者かというと、実はそうとは限らないと。無期の方であっても、パートと呼ばれていればここに入ってくるわけです。あるいは派遣社員の方については、必ずしも資料8-1の次の資料のところと一緒とは限らないということです。
○鎌田座長 よろしいですか。それでは、ほかの方からご質問はありませんか。
○藤村委員 資料4に、いろいろな法律の有期契約に係る条文をまとめていただいていますが、労働契約法の17条を素直に読むと、「雇用期間の途中で辞めさせてはいけない」と書いてありますが、昨今、話題になっている派遣期間の途中で切るというのは、この法律に反しているという理解になるのですか。
○鎌田座長 どなたでも結構ですから、お答えいただければと思います。
○富田調査官 私のほうからお答えします。資料4に「労働契約法」を付けておりますが、17条第1項というものは、「期間の定めがある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することはできない」ということですので、有期の方を途中で解雇することがすべて駄目というわけではなくて、やむを得ない事由がある場合でなければできないといったことです。ただ、私どもの理解では、16条の「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」となっております。こういった規定よりも、有期ということをお互いに合意して雇い入れるわけですので、より厳しい理由が必要になってくるのではないかと整理しております。
○藤村委員 仮に裁判になったら、ここの解釈が争われるということになるのです
か。
○鎌田座長 「やむを得ない」という部分についてはですね。藤村委員のご質問の中に「違反」という言葉もありましたが、契約法の中で「違反」という表現も使ってよろしいのですか。あとのほうで議論するというなら、それで結構ですが。
○富田調査官 おそらく労働基準法のような、どちらかというと若干刑罰で担保しているような法律ですが、それと違って労働契約法というのは、民事的な効力を定めたような法律ですので、「違反」という言葉を仮に使うとしても、労働基準法と全く同じような効果があるかというと、そういうわけではないということだと思っております。
○鎌田座長 後ほど、議論の中で戻って、あるいはさらに深く議論をされることもあると思いますので、一応、この程度ということでよろしいですか。あとほかにありませんか。
○奥田委員 資料8-1の2枚目ですが、平成14年度で少し数字が増えて、それ以降は14.いくらかで推移しているのですが、これは平成15年に改正があったことを考えると、ここで言う臨時雇いというのは、1年以内の期間を定めて雇われている者ということですので、例えば、1年を超える3年未満の有期契約労働者が、平成15年以降で増えたというか、出てきたかどうかは、この資料からは一応外れていると理解してよろしいのですか。
○富田調査官 そうですね。これだけではちょっと分からないですね。
○奥田委員 それが分かるものというのは、必ずしも統計としてはないのですか。
○富田調査官 先ほど資料8-2で、「契約期間」というのを付けておりまして、資料8-2の7頁に表6というのがあります。ここで1回当たりの契約期間といったものがあって、これを見ますと、例えば契約社員で言いますと、6カ月超1年以内が69.3%で最も多い。一方、3年超といったものは、おそらく法律をそのまま守っていただけるのであれば、専門的な仕事をやられているか、高齢者ではないかと思いますが4.2%と。ただ、時間を追ってこれが増えたのか、減ったのかというのは、いま手元にはありません。
○鎌田座長 もしご質問があれば戻って結構ですので、それでは少し先に進めたいと思います。次に、本研究会の今後の進め方についてご議論をいただきたいと思います。また事務局で資料を用意していただいておりますので、説明をお願いします。
○富田調査官 資料9と資料10をご覧ください。資料9が、委員の先生方にお諮りしたいもので「研究会のスケジュール(案)」です。第1回ということで、本日、今後の進め方についてご議論をいただきたいということで、論点と今後の実態調査を行った上で、検討を行うということですが、どのような実態調査をするのかということについて、少し入口の議論をお願いしたいと思います。
 第2回目以降は、実態調査を具体的にやっていこうということで、来年度の早々に実態調査を行って、できれば夏休み明けとか、その後結果を出して、それから検討をお願いしたいと思います。その間、併せて関係者からヒアリングができればよいのではないかと事務局としては考えております。
 平行する部分もあるのでしょうが、調査結果やヒアリングを含めて、有期労働契約に係る施策の在り方等の各論点について検討をお願いしたいと思います。
 ここでご議論をいただきたいのは、「施策の在り方等」と書いてあって、もちろん私どもは法的な枠組みをどうするのか、議論をいただこうと思っております。それ以外に、例えばガイドラインやソフトの手法もあろうかと思いますが、そういったことも含めて、幅広くどういったことが必要なのかご議論をいただければと思います。予定としては、平成22年の夏頃を目処に報告書のとりまとめができればと思います。
 資料10は、「研究会で議論していただく論点(案)」を事務局でまとめたものです。ここに書いてあるとおり、1.「有期労働契約に係る施策の在り方」ということで、法的なもの、あるいはそれ以外のソフトを含めてご検討をお願いしたいと思います。冒頭に書いてありますが、(1)契約期間(上限制限)は、平成15年に労働基準法改正の附則に書いてあるものです。これについては、ご議論をいただく必要があるのではないかと思います。
 それ以外のものについては、各方面からいろいろな提言等がなされておりまして、最低このぐらいは検討をする項目ではないかと考えて挙げております。(2)有期労働契約の範囲、どういった場合に有期労働契約を締結すると考えるのか。あるいは職種ごとの期間制限というのは考えられるのかどうか。(3)契約締結時の労働条件等の明示をどのようにするのか。(4)通常の労働者との処遇の均衡等といったものです。有期契約労働者につきましては、必ずしも十分ではないというご議論もありますが、それを挙げております。
 それから(5)契約の更新、雇止めについて現在、大臣告示等がありますが、そういったものをどのように取り扱うのか。(6)その他有期契約労働者の待遇の改善対策として、どのようなものが考えられるのか。2.「その他」、必要に応じて、もちろんヒアリング等を進めていくわけですから、適宜論点を追加していくことになるのではないかと思います。私からは以上です。
○鎌田座長 ありがとうございました。いまご説明をいただいた今後の研究会の進め方について、スケジュールの部分と資料10の研究会で議論をしていだく論点について、ご質問、あるいはご意見があればお願いします。特に、スケジュールと論点は分けませんので、自由にご発言をいただければと思います。
 先ほどの資料に関連しても結構ですので、自由にご質問をお願いします。
○山川委員 有期労働契約にもいろいろなパターンがあるというご紹介でしたが、例えば、パートタイム労働者でも有期契約を結んでいる方はかなりおられるし、派遣労働者の場合は、むしろ、かなりの割合で有期労働契約である。そうすると、この研究会の焦点の当て方として、パートの問題とか派遣の問題が出てくるときにどうするのかということで、基本的には有期労働契約であるが故の問題を中心に取り扱うという理解でよろしいのですか。派遣は別途、法改正の案が提示されているところですし、パートは改正があったということで、焦点の当て方について伺いたいと思います。
○富田調査官 私どもの考え方としては、パートタイム労働者の問題については、山川委員がおっしゃるとおり有期の方もおられるわけですが、労働時間が短い方がパートタイム労働ですので、労働時間が短いことに着目して整備されている法律がパートタイム労働法と考えております。派遣労働者につきましても、派遣という間接的な雇用に着目して整理された法律が労働者派遣法であると思っております。私どもとしては、有期労働契約に伴う諸問題といったことにご議論をいただく。もちろんその中にはパートの方も有期の方がおられますので、有期という切り口で出てくる問題はあろうかと思います。
○鎌田座長 確認ですが、いま労働者の種類はパートとか派遣というふうにいろいろな切り方があると思いますが、いまのご説明では、要するに期間を定めている労働者というところで対象にしていくという理解でよろしいですか。特に、パートだから外すとかそういうのではなくて。よろしいですか。
○富田調査官 そうですね。
○鎌田座長 ということのようです。
○奥田委員 そういうことで言いますと、これからの議論の中で、もう少しいろいろな考え方というのが広がってくると思うのですが、ここの論点だけで見ていくと、例えば(1)、(2)、(5)、(6)、(6)は少し微妙ですが、(1)、(2)、(5)というのは有期の特有の問題で、ただ(3)、(4)というのは、他の労働者にも共通するような問題ですが、(3)、(4)に関してもそういう共通性も念頭に置きながら、例えば、有期であることによって待遇に差が出るということについて検討するのが、この研究会での均等の考え方の基本的な論点だと、基本的にはそういうふうに理解していいわけですか。
○富田調査官 そこのところにつきましては、まさしく委員の先生方にご議論をいただきたい部分です。有期だから待遇が低いということが論理必然的に結び付くものなのかどうなのかということについては、1つご議論をいただきたいという気がしております。これはひょっとしたら、経済学者の先生からすると、有期だから、むしろ、無期の方よりも待遇が高くていいのではないかとプレミアム的なことがあろうかと思いますので、それがどうなのかというのがあろうと思います。ただ、実態として待遇に差があるという問題がありますので、そこは理論的な問題と実態の問題を双方見ていく必要があるのではないかと個人的には思っておりますが、委員の先生方がどう捉えるのかということもお聞かせ願いたいと思います。
○鎌田座長 いかがでしょうか。最初の設計図というか、結構重要なところですので忌憚のないご意見、ご質問もあればいただきたいと思います。
○阿部委員 有期労働契約の範囲というところですが、ちょっとくだらないことを言うかもしれませんが、実際に有期労働なのか、それとも期間の定めのない雇用なのか、わからない人をどう扱うかというのは意外と重要ではないかと思うのです。
 資料8-2、「有期契約労働に関する実態調査」というところで、個人調査では全員が当然ながら有期契約労働者になっているわけですが、たぶん調査する中には有期契約なのか、期間の定めがないのか、わからないような人も結構いたのではないかと思うのですが、その辺りはどれぐらいいるのかという把握はなされているのですか。
○富田調査官 私どもはこの資料を見るだけですので、阿部先生がおっしゃっていることは、場合によっては、それは契約締結時にきちんとやっていなかったという問題ではないかと思います。もちろんそれに伴う法的な問題点もあろうかと思います。そこは今回調査も予定しておりますし、ヒアリングも考えておりますので、その中で明らかにできればよいのではないかと思います。
○阿部委員 わかりました。
○鎌田座長 ほかにありませんか。私のほうから論点1の(2)「有期労働契約の範囲、職種ごとの期間制限」ということの論点の意味ですが、先ほどのお話では、要するに期間の定めを設けることについて何らかの制限が必要かどうかという趣旨のご説明でしたか。
○富田調査官 こういった範囲というのは、いろいろな意味が考えられると思います。一般に考えているのは、有期労働契約を締結するときに締結事由が必要なのかとか、あるいは今日は諸外国の法制の整理を付けておりませんが、諸外国においては、そのような客観的な理由がなければ、有期契約は締結できないという法制もあったりしますので、そういったことも含めた意味で範囲という言葉を用いております。
○鎌田座長 さらにしつこいようですが、職種ごとの期間制限というのはどういった趣旨ですか。
○富田調査官 例えば、これは諸外国の法制をご議論いただく中で出てくるかと思いますが、たしかデンマークではなかったかと思いますが、学校の先生は契約期間の定めがあっても合理的とみなされるとか、そういったことを抱えている部分もありますので、これもご議論の対象になるのではないかと思います。
○荒木委員 タイトルとしては、有期労働契約の締結事由という整理のほうがわかりやすいような気もするのですが。
○富田調査官 それは、そういうふうに研究会で決めていただいたら、そのように今後は整理したいと思います。
○鎌田座長 説明のご趣旨は、荒木委員がおっしゃったようなご説明だったですよね。
○富田調査官 そうですね。
○鎌田座長 例えば、ここに括弧を付けるとか、そのような形でより明確にしておけばいいし、先ほどのご説明では、期間の定めだけではなくて、もう少し制限範囲ということで広がった議論もあるのかもしれないというご説明だった気もします。
○富田調査官 お任せします。
○藤村委員 企業が人を雇うという実態から見ると、例えば、ある案件が発生して、これを処理するために誰かを雇いたい。そういうときに雇うという方法と、請負で出すという方法の両方があると思います。
 現実には、雇うといろいろ面倒くさいことがあるから、これは請負契約にしてということで済ませてしまう。でも実態は相当雇用されているという意味合いが強い。そういったところの整理はどうするのですか。
○鎌田座長 難しいな。でも本当にそのとおりですので。何かご用意があればどうぞ。
○富田調査官 1つ考えているのは、私どもは労働契約関係ですので、もちろん雇用を念頭に置いているわけですが、1つ考えられるのは、企業の方からヒアリングをやって直接雇用と請負いとの関係をどのように考えておられるのか聞くことができれば、そういったことも踏まえて直接雇用を考えるにしても、法制ないし施策の検討ができることになるのではないかと思います。
○藤村委員 世の中ではインディペンデント・コントラクターとか、あるいはSOHOとか一時流行りましたが、労働実態を見ると、時間当たり賃金に直すと最賃以下という請負金額は現実にありますよね。そういうのはここに対象として入るのですか。
○鎌田座長 いまの藤村委員のご発言は、それが対象としてこの研究会で議論するかどうかということで言えば、直接には対象にはならないのではないかと思うのです。ただ、調査をするのにあたって、例えば調査の仕方ですが、いまおっしゃったような人たちが実は有期契約労働者として回答してくるということもあり得るわけです。そうすると、そこの仕分けはしておかなければいけないなという、とりあえず、それは調査をする上で混乱しないようにすることは必要という感じはします。その上で、いまおっしゃったような労働者性に係るような問題というのは、先ほどの趣旨から申しますと、直接それについて何かこの研究会で施策についてご議論をいただくことではないと思います。関連するところでは、ちゃんとそれが明確に私たちの対象として一応区切れるものはクリアに区切っておく必要は出てくるだろうと思います。
○藤村委員 厳しく規定すればするほど、その回りのグレーの所が増えてきそうな気がするのです。
○鎌田座長 そうですね。後ほど、調査項目についてご議論があると思いますので、そのときにご発言をいただければと思います。私の思いで違っていれば、事務局としてご意見をいただければと思います。よろしいですか。もちろん調査にあたって、論点についても戻るということも必要だと思いますので、さらにいまのご質問、ご意見を踏まえながら、先へ進みたいと思います。
 今後の実態調査の進め方について、ご議論いただきたいと思います。それも事務局のほうで資料を用意していただいておりますのでご説明をお願いします。
○富田調査官 資料11をご覧ください。今回の研究会につきましては、実態調査を行って、その結果を分析した上で必要な施策の検討を行うということですので、検討を進める中で、早い段階で実態調査を行う必要があると考えております。
 資料11は、その調査の案で、本当に方向性だけをまとめたものです。1「スケジュール」ですが、できれば来年度の早い時期から開始して、「夏頃」と書いてありますが、夏休み明けぐらいには集計したいと考えております。
 2.「調査方法」についてもご議論はあろうかと思いますが、私どもとして考えているのは、郵送配付して回収するやり方がよいのではないかと考えております。後ほど「事業所調査」「個人調査」と出ておりますが、個人調査をすることになりますと、これもご議論をいただきたいのですが、事業所の人事課等を通じて、個人の方何人かに配って回収するという方法と思っております。もちろんこれ以外の個人につきましてはweb調査とか、そういうやり方もあるかもしれませんので、そこはご意見をいただきたいと思います。
3.「サンプル数」は十分な数を得たいと思いますが、まだ予算は未確定の部分がありますので未定としております。
 4.「有期契約労働者の定義」については重要なところですが、3か月、1年、3年など、雇用期間を定めて契約している労働者のことを言うとしております。派遣元については、派遣元に直接おられる労働者だけではなくて、他の事業所へ派遣している派遣労働者の方も雇っている責任は派遣元にあるわけですので、派遣元のほうで抑えたいということです。
 5.の「有期契約労働者の就業形態」については、先ほど橋本委員からご質問があったところで使ったエクセルの資料をご覧いただきたいと思います。現在ある調査が、最近のものに限定して付けておりますが、こういったようなものがあります。労働調査であったりとか、平成19年の就業形態の多様化に関する総合実態調査、これは先ほど付けております。これは東京都の調査ですが、契約社員に関する実態調査。先ほど説明した平成17年の有期契約の調査。同じく、平成17年の時期で委託調査をしたUFJ総研の調査等があります。労働調査等の特徴は、呼称で調査しているものが多い。平成17年の有期の調査もそうですが、契約社員やパートタイマーというものがありますが、どちらかというとこれも呼称に近いものがあります。それを如実に表わしているのが、「その他のパートタイマー」というのは、要するにフルタイムの方のパートのことで、かなり呼称に近いものだと思います。こういった呼称での調査はあるのですが、ご案内のとおり、有期契約労働者というのは非常に多様な集団ですので、こういった呼称で取ったのではうまく実態が浮き彫りにならないのではないか、というのが事務局の問題意識です。
 
 資料11の5.で「事業所における呼称により分類することとした場合、多様な労働者が同じ就業形態中に混在することになり、実態の把握が困難となるため、就業形態ごとに定義を与え、それに基づき労働者を区分、分類することが適当ではないか」と問題提起の形でご提案しております。そのタイプというのは、これもわかりやすく5つにまとめました。AからCが正社員との比較でどうなんだということが書いてあります。Aタイプは正社員と職務の内容が異なる者。その内容が正社員に比べ高度な者。この具体的なイメージというのはデザイナーとかかなり能力が高い方で、場合によっては正社員よりも給料が高い方もおられると思います。これがいま現在の調査で、実際はどのような方で、どのぐらいおられるのか必ずしも明らかになっていないということです。
 Bタイプとしては、正社員と職務の内容が異なる者で同じですが、その内容が正社員に比べ、高度とは言えないが専門的な者。この具体的なイメージというのは、例えば、証券会社といった所で専門知識を活かした外交員みたいな形で働いている方が有期契約労働者でおられるわけですが、決して単純な作業というわけではないと。ただ、正社員と比べて、それほど高度というわけでもないと。しかし、有期の方は専門的な能力を活かして働いておられる。どっちが高度で、どっちが低いのか、なかなかそれは判断しにくいので異なる。ただ、専門的ということで整理してはどうかと。
 Cタイプとしては、正社員と職務の内容が異なる者までは一緒ですが、その内容が正社員に比べ軽易な者としております。これは非専門的な者と整理しても構わないかと思います。わかりやすく高度がAになっておりますので、「軽易」という感じでまとめてあります。
 DタイプとEタイプについては、正社員との比較で職務の内容が同等である者ということです。Dタイプの内容は、専門的な者と正社員の方と有期の方が同じように専門的な仕事に従事していると。Eタイプにつきましては、正社員の方も有期の方も同じように非専門的な仕事に従事しているということで整理しております。このことによって、呼称によらず、その人が働いている位置づけを正社員との比較で整理することが適当ではないかと考えております。
 6.「フルタイム有期契約労働者とパートタイム有期契約労働者」ということで書いてあります。有期の方と言っても、先ほどご質問があったように、いろいろな方がおられるわけで、パートと呼ばれている中にも有期の方がおられます。したがって、有期の中でもフルタイムとパートタイムで実態が異なるのではないかという者が調査の中で明らかになればいいのではないかと考えて、このように問題提起をしております。
 7.「主な調査項目」については、今日が第1回目の研究会ですので、本当に簡単なものしか載せてありません。本日、是非ともこういった項目はやるべきではないのか、といったことを出していただければと思います。ここでは(1)事業所調査と(2)個人調査と分けてあります。事業所調査としては、まず事業所の属性、事業所の属する企業全体の規模はどのくらいなのか。その中で、就業形態別労働者がそれぞれどうなっているのか。正社員、パート、先ほどのAからEのカテゴリーがありますが、そういった形態別がどのようになっているのか調べることが有益ではないか。
 2番目の○の就業状況については、事業主の方は有期契約で雇用する主な理由はどういうものを考えているのか。次のポツで、1回あたりの契約期間及び何でそういう契約期間にしたのかといったものも聞いてみてはどうか。労働条件等については、1日及び1週の所定労働時間、これは基本的なデータなのでお聞きするとして、これは均衡とかを扱うこともありますので、正社員と比較して、業務の内容、責任がどうなっているのか。あるいは人材活用の方針がどうなっているのかといったものについても聞いておく必要があるのではないかと考えております。
 次のポツは、正社員と比較した賃金制度の内容です。これは、同じ賃金制度に乗っていると比較が簡単なわけですが、おそらく賃金表が別になっているとか、そういったこともあろうかと思いますので、それがどうなっているのかを聞いてみてはどうか、もちろん、これに併せて待遇そのものについても、賃金水準等についても聞いてみてもいいのではないかと思っております。
 正社員登用制度の有無、応募状況等ですが、これも均衡待遇というと、次に登場するのが、当然正社員転換のあり方はどうなっているのかということですが、そういった状況についても聞いてみてはどうかということで挙げております。
 契約更新ですが、これは平成17年の調査と少し重複している部分がありますので、もし委員の先生方からこれは要らないとか、そういうことがあれば、ご意見をいただきたいと思いますが、更新の有無は基本的な情報だと思いますので、聞いていく必要があるのかなと思います。あるいは、更新をする場合の判断基準ですが、それがきちんと明示されているのかどうかについても聞いてみてはどうかと。
 契約更新回数及び勤続年数ですが、これも先ほどご覧いただきましたが、こういったものも基礎的なデータとして取っておく必要があるのではないかということで挙げております。
 次の雇止めについては、説明の有無・時期・方法といったものが1つの例示として挙げてありますが、ほかにもこういったことが必要だということがありましたら、挙げてくださればと思っております。
 (2)個人調査ですが、もちろん事業所調査と重複する部分もあるかと思いますが、特に聞いておかなければならないものがあるのではないかということで、少し挙げておきます。1つは、「期間を定めて就業している理由は何ですか」と、「なぜ、あなたは有期で働いているのですか」ということを聞いてみたいと。また、「継続で勤めたい期間」、例えば事業主からは2カ月で提案されたとしても、本当に働きたいのどのぐらいの期間ですか、ということを聞いてみてはどうかと。「希望する就業形態」、これはひょっとしたら正社員で働きたかったと、あるいはパートタイマーで働きたかったというのがあるかもしれませんが、それにもかかわらず現在有期で働いていることがあろうかと思いますので、そういったことを聞いてみてはどうか。「仕事に求めること等」、キャリアアップとか、そういうことがあれば初めから正社員に応募するかもしれませんし、生活を少し楽にするために働いているのだということであれば、有期でもかまわないという結論が出るかもしれませんので、そういったことを聞いてみてはどうかということで挙げております。簡単ですが、調査については以上です。
○鎌田座長 ありがとうございました。それでは、いまご説明いただいた実態調査の進め方の各項目について、ご質問、ご意見があればいただきたいと思います。
○佐藤委員 資料11の1頁で提案されている「有期契約労働者の就業実態」は、先ほども出ましたように、実はいろいろグレーな部分があるし、ほかの非正規とのラップというか、短時間だけれど有期だとか、派遣元での契約が有期であるとか、これはラップですね。できるだけ事前にタイプを明示して捕捉するというのが提案なのですが、私はそれは賛成です。ここにあるAタイプの中身等々については、もう少し精査する必要があるかと思いますが、賛成とした上で、タイプ分けをするときに正社員との、特に職務の相当性という観点からの、高度であるとか単純であるとかという識別基準があるのですが、実態のほうからいくと、正社員もいくつかのタイプがあるので、いわゆる転勤ありの総合職的な、そういう呼称が適切かどうかわかりませんが、そういうものが地域限定でありながら、両方とも正規である場合には、しかしながらその2つの間で職務が違っている。どちらと比べた場合の相当性なのかということがあるので、その辺は工夫する必要があるかなというのが1つです。
 それと関連して、2頁の就業状況で、特に事業所調査と個人調査を実施予定だというのは賛成です。活用する側からいくと、ポツの2つ目のところで有期契約で雇用する理由とあって、これはとても大事なのですが、たぶん非正規を活用している事業所について言うと、正規のほかに有期だけ雇っているのではなくて、実はパート短時間もあり、派遣もあり、あるいは呼称で言う嘱託があり、有期がありという中で、複数の非正規の組合せで雇用しているケースが多いと思うのです。そのようなときに、雇う方から見たときになぜ有期かというのは、有期だけ雇って有期の理由を聞くというよりは、ほかの非正規の雇用理由も含めてフォローする必要があるのではないかと。
この組合せで考えている可能性があると思われるので、雇用する者、あるいは有期以外も含めて考えたほうがいいのではないかと思います。
 2つ目は、教育訓練機会というか、特に有期で契約更新していく、ある程度スキルが身についていく、その先どうなるのかというところが、実際問題としてはそこで雇止めなのか、さらに正規にスキルアップするのかが、実態としては重要な論点になってくると思われますので、それをフォローするような訓練機会があるのかどうかということも必要かなと思います。
 個人調査は賛成です。ただ、ここで何を聞くかとなると、これも有期のみというよりも、ほかの非正規とのラップの問題がありますので、希望する就業形態も正規だけに限定しないで、ほかの非正規の雇用形態への希望など、複数の選択肢を想定した上で設問を設けていくのがよろしいかなという感じがします。全体として有期に軸足があるのですが、実態からいくと非正規が非常にラップしている、混在している中でということなので、実態としては少し広めに補捉しながら、有期の雇用の問題をアプローチするスタンスが必要かなという印象です。
○鎌田座長 ありがとうございました。全体としてこの案には賛成ということですね。いま佐藤委員がおっしゃったことの確認なのですが、1頁でタイプがA、B、C、D、Eと分かれています。このようなタイプで聞いていくのは基本的に賛成だけれど、有期のほかにも派遣とかパートとかあるので、タイプとの組合せをどのようにしていくか。有期だけ、つまり派遣でもなくパートでもない人たちと限定して回答者が理解していれば、これでいくかもしれないけれど、実際には派遣とかパートも含めてといった場合に、回答者の立場に立った場合に、うまくこちらの意図が伝わるかどうかという趣旨ですね。
○佐藤委員 そうです。経営者のほうの事前の識別基準が回答者にうまく伝わるように、その辺のグレーのラップも含めた点もわかるようにという意味です。併せて、正規もいくつかのタイプがあるので。
○鎌田座長 この点について、さらに皆さんにお聞きしたいのですが、例えばいま正社員にもいろいろなタイプがあるという話がありましたが、どのように仕込めばいいか、何かアイデアがあれば、なければ後日でも結構ですが。
○佐藤委員 1つは、雇用区分の多元化という先行調査もありますが、職務の相当性、つまり高度か単純かというのと、移動の範囲というか、転勤の有無のようなものも含めた形で、正社員も類型化するというのが1つです。
 また、職務の内容が相当であるかどうかも、ある一時点での相当性の問題を超えて、キャリアの中でどうかというところが非常に錯綜してくるのです。ある時点においては、正社員も易しいスーパーのレジのような業務から始めますから、その時点でると、たしかにパートと相当なのだということになるのだけれど、それが将来的には正社員の場合は伸びていくと、有期契約の場合には伸びていかないと。その場合においては、ある時点では相当なのだけれど、将来のキャリアを含めたときには大きな違いが出てくるというところを、うまく捕捉できるようなということなので、いまは具体的に設問としてこれだ、というビシッとしたものをお示しすることはできませんが、そういう問題意識です。
○鎌田座長 結局どのタイプを捉えるかは、いまお話いただいたように少し工夫が要るのですが、調査項目のところで佐藤委員がおっしゃった教育訓練、キャリアパスの視点はここには出ていなかったようなので、それは入れなければいけないのかなと私も考えます。そういうご趣旨ですね。
○佐藤委員 はい。
○鎌田座長 7の(1)の2つ目の○の有期労働契約で雇用する主な理由も、他の就業形態に比較して有期を利用する理由は何かと、少しきめ細かく聞いたらどうかということですね。
○佐藤委員 はい。
○山川委員 資料11の5~7の関係なのですが、5で呼称よりも実態に着目するというのはいいことではないかと思うのですが、これは分析の視点なのか調査項目なのか。6も同じで、つまり各調査の質問ごとに縦軸があって、A~Eタイプ、さらに派遣かどうか、パートかフルタイムか、それぞれが調査項目の分類の中に入ってくるものなのか、それとも分析の視点なのか。7の調査項目の中には、正社員と比較した業務の内容、責任、これを合わせると職務になるとすると、聞くべきことの中に入ってきている。つまり、AからEまで、さらに派遣か否か、パートか否かが、すべてそれが調査項目に入るのか、分析の視点になるのか。
 もし調査項目の中に入るとすると、一事業所で大体従業員を選んで調査票をまいてくださいと頼むのですが、そうすると、普通は有期の人とかパートの人とか、できるだけ含めるように分けてくださいと頼むと思うのです。これはAからEまで全部含めてくださいと、予算とか調査規模の関係で具体的にどうするのか、調査票を見ないとわからない点もあるのですが、要は調査項目で機械的にやってしまうか、分析の視点なのか、その辺りはいかがでしょうか。
○富田調査官 まさしく、先ほど佐藤委員がご指摘された点は非常に鋭い点で、正社員と言ってもいろいろな方がおられるので、そこをどうするのかは考えなければいけないことかなと思っております。
 一方、私どもとしては、できればA~Eタイプのようなものをあまり膨らませたくないというのがあります。そうしないと、それぞれのタイプごとの実態を把握するのが、山川委員がおっしゃったようにそれぞれタイプごとにばらまくのが、例えば10タイプとしてしまうと、10人にばらまかなければならなくなるわけですから、できるだけ簡便にしたいと。イメージとしては、資料No.8-2で付けている平成17年のものでも、これは呼称で整理していますが、例えば契約社員とか嘱託社員ごとに契約期間とかそういったことを書いておりますので、タイプごとにこういったものがアウトプットで出てくることが望ましいと思っております。ですから、そこはひょっとしたら事業所経由でばらまく調査もありますし、場合によってはweb調査みたいに個人から追跡していく調査もあるかもしれませんので、そこは委員の先生方のご意見を賜りながら検討したいと思っております。
○鎌田座長 ご説明の趣旨は、タイプ分けそのものが調査票に出てくるということですね。
○富田調査官 そういうことです。
○荒木委員 山川委員も示唆されたと思うのですが、これは分析の視点と位置づけて、こういう視点がわかるような調査項目を仕組むということで、2頁の調査項目の中に正社員と同じような専門的な業務ですかとか、そういうことを聞くと。最後にそれをクロスすれば浮き彫りになるというのがいいのではないかという気がしております。
 有期契約の場合、どれだけ満足している方がおられるかは調査してみないとわかりませんが、いまの働き方で満足している人がカテゴライズできてどうかというのと、現状に非常に不満がある方について何が不満なのか、それがわかるような調査項目を作って、最後にその観点から分析をするというアプローチのほうが適当ではないか。1頁のA~Eを見ると、受け取ったほうで回答するのにうんざりして、こんなこと分からないとなってしまってもよくないと思いますので、その点を工夫していただいたほうがいいと思います。
○鎌田座長 これは、要するに従来はまさに呼称でやっていたわけですね。呼称ではなく実態でということで、その際に切り口をこのようにしていきたいという趣旨だと。そうすると、分析の視点だということになると、質問表自体は呼称か何かで分けていく感じになりますか。
○富田調査官 これは有期に限りますから、有期契約の方で。
○鎌田座長 ただ、パートとか派遣も一応、一応射程に入っているのです。
○荒木委員 そこが気になったのですが、先ほどの橋本先生のご指摘のように、パート労働者だと、いつでも有期の方と同じように雇止めできると誤解している使用者がいる可能性があります。しかし、期間の定めをきちんと明示していなければ、契約の解釈としては期間の定めのない契約となるはずですね。そこをどう捕捉するかということで、法的に裁判所に行けば無期契約となる人を、この調査ではどのように扱うかが、1つ考えなければいけない点だと思います。それをクリアしたあとは、これは非正規の調査ではなくて有期の調査ですので、有期で雇われている方について調査するということでよろしいのかなと思います。
○鎌田座長 先ほどの定義からいくと、資料11-4の「有期契約者の定義」というのは調査の定義なのですが、同時に本研究会のいわば調査対象ということだと思うのです。これでいくと、いまの事務局のご説明を聞いていると、パートも派遣も含むことになるのです。有期と言っても、派遣を除くことにはならない。そうすると、呼称でいろいろと調査票をばらまいて、派遣は派遣だけれど、おそらく登録型が有期になると思うのですが、常用型は除くけれど、登録型については調査票を集めて、それを有期ということでこちらの調査項目を整理していくと、場合によってはクロスすると。このようなイメージで聞いていたのですが、いま荒木委員がおっしゃったのは、もう少し絞ったほうがいいのではないかということですか。
○荒木委員 派遣については、どちらで見るのですか。派遣元の有期と見るのですか。
○鎌田座長 はい。
○荒木委員 では、派遣業者にアンケート調査をするということですか。そうしたら、ここは全員派遣ですね。それはそれで問題ないと思いますし、派遣を受け入れている企業については直接雇用ではないからということだと、派遣を除いた調査になってかまわないと。それは紛れはあまり生じないと思います。パートに続きということは、パートと有期の方には当然聞くべきだろうと思いますから、そこも分けなくてもいいのではないでしょうか。
○山川委員 荒木委員が言われていることで、そういうこともあり得るかと思っていたのは、呼称と実態の間に法的な定義というか、期間を定めているかどうかを端的に聞く。わからないというのはあるかもしれませんが、それはわからないという認識が出てくることに意味があるという感じもするので、主観的な段階もあるのではないかという気がするのです。
○鎌田座長 一応、聞き方としては期間を定めている方について調査をお願いします、ということになるのですね。そうすると、派遣元のところに行けば、当然常用は省いていいのですね、みたいな感じになるのですね。
○富田調査官 今回均衡みたいなものも扱っているものですから、均衡の対象となっている人たちを比較してどうなのかというのは取りたいと思っているのです。ですから、例えばそれぞれの就業形態的に労働者がどれだけいるのですか、ということは当然聞きたいし、有期の方との比較の対象をしている人は、待遇の差であればどのぐらいの待遇の差があるのですか、といったものについては浮き彫りにしたいと思っています。常用の方は、調査対象かというと外れるということですね。
○鎌田座長 ただ、その際調査の項目としては、正社員と言ってもいろいろなタイプがいるという話もありますが、それとの比較でどのような待遇なのかは、当然聞くということですね。
○山越課長 いまのところはご相談させていただいて進めたいと思うのですが、いま山川委員がおっしゃったのは、意識として有期労働契約なのだけれど、事業者のほうは有期労働契約だと思っているのだけれど、労働者に聞いてみたら有期とは思っていなかったというカテゴリーを設けるかどうかという議論だと思うのです。そこはご相談だと思いますが、有期契約者のデータも一定集めなければいけないことの均衡があると思います。そういうものがあるのだとしたときに、無期のほうばかり集めてきても困るので、そのようなことがなければ、労働者調査の中で「期間の定めのない」という項目があってもいいのではないかという感じはしますが、そういうことでしょうか。
○山川委員 特にその点を強調するという趣旨ではなくて、むしろ回答できないということがあったとしたら、そのような解釈になるのかなということで、特にそれが必要ではないかという趣旨ではありません。むしろA~Eタイプは有期契約であるということが前提になっているのだとすると、客観的な有期契約が存在して、それぞれA~Eがあって5つですね。そうすると、派遣とパートがあるとすると、派遣とパートとそれ以外で3×5ということになるのですか。それとも、派遣とパートは除いてしまって、それ以外の中で5つの項目ができるということですか。
○鎌田座長 呼称とクロスさせれば。
○富田調査官 1つ考えているのは、これもまたご相談なのですが、私どもが当初考えていたのは、A~EタイプもD、Eはまとめられるかなと思っていたのです。要するに、同様が同様であることだけわかれば、あとは専門か非専門かは二の次かなと。そうすると、4タイプになるということはあろうかと思います。
 パートかどうかは、ひょっとしたら所定労働時間を聞くと出てくる可能性もあるのではないかと思いますので、あえてパートと聞かなくてもよいのではないかと考えております。派遣については派遣元に聞くわけですから、これはあまり紛れることはないのではないかと思っております。
○鎌田座長 呼称ごとに聞くこともないわけですね。
○富田調査官 呼称はいまのところ聞く予定はないですが、これも聞いたほうがいいというのであれば、ご議論いただければと思います。
○鎌田座長 今日全部決める必要はないのですが、議論を整理する上で、例えば資料11のスケジュールと調査方法とサンプル数、サンプル数は未定ですが、4の定義までで、何かこれではまずいというのはありますか。
○佐藤委員 おおかた異論はないし、1頁のAタイプ、Bタイプというのもそんなに厳密にこだわっているわけではないので、そこはいいのですが、郵送調査のサンプリングのところで有期契約がいるかいないかというときに、いないとまずいですね。いる事業所をうまくセレクションできるのかどうかが1つです。それは技術的な問題なのですが。
○鎌田座長 それは、事前に何か調査する感じになりますか。そういうものが要るかどうか。
○佐藤委員 このサンプリングの対象層企業の規模にもよりますが、チラとも入れるのであれば、まずいるかいないかの調査をやって、いる所と確定した所に有期はいますねと、これについてどうですかという2つがあり得るかと思います。ただ、それがわからないと、いない場合もありますね。
○阿部委員 前の有期労働の調査では、50%・50%ぐらいですね。有期契約労働者がいる事業所といない事業所は51%、49%ですから、半分半分だと。有期契約労働者を雇用している事業所だけを少し多めにというのは、私は実は反対です。どうしてかというと、ここで考えなければいけないのは、有期労働契約をしている方たちが問題を持っているかどうかを知るためには、有期契約をしていない方とどういう違いがあるかをもっと浮き彫りにしていかないといけないと思うのです。そうだとすると、事業所で有期契約労働者を雇っていない事業所はどういう特徴があってというのも、実は大事なポイントではないかと思うのです。
 労働者のところも先ほどいろいろ議論がありましたが、私は正社員も有期契約以外の人も全部含めてどういう問題があるのかを、有期契約だけ調べるとわからないと思うので、うまく調査設計しないといけないのではないかと思っております。
○富田調査官 そこは予算との相談もあるので。確かに、阿部委員がおっしゃるとおり調べられればいいと思います。場合によっては、有期のサンプリングができないのであれば、有期でない事業所の場合こちらのほうからお答えくださいとか、専門家ではないので少し違うかもしれませんが、そういう書き方もあるのかなと思います。
 質問項目については、あまり多くなりすぎると回収率が下がりますので、その範囲内で重要な項目をどれだけ出せるのかは、調査票をこれからもっと具体化したいと思いますが、またご相談させていただきたいと思っております。
○奥田委員 1点だけ、先ほどからのお話で、派遣の場合には派遣元事業所を対象にして、鎌田先生のご意見ではそういうものは大体登録型を想定できるということですと、登録型の派遣労働者を対象としたこの調査で、調査項目にかかってきてしまうのですが、例えば有期で雇用する理由とか契約期間、更新の有無などは、派遣でない労働者と事情がかなり違ってくるように思うのです。事業者間の派遣労働契約によるものがかなり影響しますので。ですから、私はこういう分析は専門でもないので、分析はできるのかもしれないですが、通常の有期契約労働者と登録型の有期契約労働者が調査の中で混じってくると、異質な感じがするのですが、その辺りはいかがでしょうか。分けて分析できる項目だけは分けて分析するとか、そういうことがもしあるのでしたら、入れることに関して全く問題はないと思いますが。
○富田調査官 そこは調査票を設計する段階でもご議論いただきたいと思いますが、1つ考えられるのは、派遣もいろいろとあるわけですが、通常は臨時応急な仕事のために派遣として活動されている場合もあります。有期契約労働者も臨時的な理由に応じて、例えばイベントのために雇い入れている場合もありますから、そこで理由としては重複している場合はあるかなと思います。ただ、もし派遣独自の理由があるということであれば、私どもの検討の対象から外れてしまうわけですが、調査の段階では浮き彫りになるようなもので項目として適当なものがありましたら、ご提案いただければ考えてみたいと思っております。
○鎌田座長 派遣であっても、この調査項目で言えばそこそこ回答はしてくれるのではないかと思うのです。ただ、派遣で言うと困るのは、正社員といった場合に一体誰を相手にするか、つまり派先の正社員なのか、自分が派遣されている所。事業所に配るのだから事業所の中の正社員と比較してとなると、同種の仕事をしている人はいないということですが、調査としては派先の正社員と比較としてというのは、わからないから、おそらく派遣元としては回答できないということになると思うのです。そうすると、派遣元の正社員と比較してでいいのではないか、あるいは回答欄に当該事業所の正社員との比較で結構です、とすればいいのではないかと思います。項目についての回答は、派遣でも出てくるのではないかと。ただ、それをどう分析するかは、いま奥田委員がおっしゃったように、普通の契約社員と一緒にすると具合の悪いことがあるかもしれないということだと思います。
○山川委員 別といえば別なのですが、これは調査票を見たほうが、ある意味ではイメージをつかんで議論しやすいので、そういう機会もこれからまだあるのでしょうか。
○鎌田座長 そうですね。その辺のスケジュールを教えていただけますか。
○富田調査官 今日骨格のようなものをお示ししたのは、調査票を作るよりも、今日ご議論いただいたようなそもそもの枠組みをご議論いただいたほうがいいのではないかということで、こういったものをお示ししたわけです。先ほど奥田委員からご提案があったようなことは、調査票を見ないと、実際この項目は違うのではないかというのが具体的にイメージできない部分もあろうかと思いますので、それは今後、早ければ次回にでももう少し調査票に近いものを、時間を考えると次回には調査票があったほうがいいのかもしれませんが、そういったものをご提案したいと思っております。
○山川委員 あとは時間的なスケジュールとの関係で、まず事業所調査をやって、有期契約の労働者を雇用している所に向けて個人調査を依頼するとか、そういうプロセスも時間的には可能なのでしょうか。有期契約労働者を雇っていない所も意図して集めるのでしたらまた別ですが。
○鎌田座長 それは先ほど佐藤委員からもご提案があったので、お魚がいる所を探すということでしょうけれど、それをどのようにするかも、いないとわかっていてもバーッとやってしまう手もあるのでしょうけれど。ですから、今日は大枠として実態調査の、例えば呼称ではなくてタイプでいきたいとか、主な調査項目で加えてみたらどうかということもいくつか入れてもらうというところで、あとは事務局のほうで整理して、あるいは諸先生にいろいろご意見を伺いながら、少し修正したものをお出しして議論していただくということかと思います。この段階では、調査項目についてこれを入れてみたらどうかということが他にあれば。
○藤村委員 1点だけ、こういう調査をやるときに2つ考え方があって、1つはこちら側である枠組みを設定して、それを回答者に何とか理解してもらって合わせてもらう。これをやると、たぶん回収率が下がるのです。それはそれで意味はあると思います。逆に、回答者が答えやすい質問にしていくと。例えば、この調査票を事業所に配ると、総務の人事担当の所に行くのです。総務の人事担当は従業員の台帳を持っていて、それを基本に彼らは回答するであろうと。そうすると、こちら側があらかじめ設定したタイプを持っていくと、非常に答えにくいだろうと思うのです。例えば、正社員以外で非常に高い給料を取っている人たちについてまずお伺いします、とすると、彼らは非常に具体的にイメージしやすいですね。そのような人はどういう仕事をしていますか、どういう雇用形態ですか、有期ですか、と聞いていくと、割とすんなり答えてくれます。逆にいちばん賃金の低い層の人たちについてお伺いしますというと、それはそれで答えられると。どちらのアプローチをするのかで、調査票の作り方は相当違うと思うのです。
 官庁がやる統計は、あらかじめ枠組みをパッと決めておいて、これに合わせろという感じのものが多いのですが、それを今回も踏襲するのか、こういう機会だから回答者の回答のしやすさ、あるいは彼らが普段仕事をしていて、このような労働者をつかまえているときの思考パターンを尊重しながら調査票を作るのか、私は好みは後者のほうなのですが。
○鎌田座長 これは、得られたものを施策にどう活かそうかという視点とも結びついてきますね。
○富田調査官 1つコメントしますと、今日はわかりやすくするためにAタイプからEタイプまで並べたわけですが、場合によっては正社員と職務の内容が一緒の人がいるかどうか、正社員と言うとまた微妙なのですが、順番に聞いていって、最終的に荒木委員がおっしゃったように項目を最後に集計すると、タイプごとに統計が出てくるとか、やり方があるかもしれません。AタイプからEタイプでそのまま聞かないとうまくデータが取れないというのであれば、それは考えなければいけませんが、できる限り回収率が上がるように工夫をしなければいけないかなとは思っておりますので、ご相談させていただきたいと思います。
○鎌田座長 私もあまり調査の仕方はわからないのですが、要するに調査票を作るというテクニカルな問題を含めてのお話だったので、事務局のほうでご相談しながら、少し調査票に落としてみることをイメージしながら作ってみて、また議論するということで。
○富田調査官 わかりました。
○鎌田座長 よろしいですか。項目なのですが、いくつか項目を追加したらどうかということがあります。先ほど、藤村委員からいわゆる雇用でないものはどうするのかというお話があったので、別に雇用でないものを調査の対象にするわけではないですが、そういうものが混ざり込むと困るなということがあって、雇用形態、契約形式を聞くことはできないでしょうか。意味がないですか。つまり、有期雇用なら雇用に決まっているのだといけば問題はないのですが、場合によっては委託の人も、先ほどのA~Eのタイプに入れてしまったり、デザイナーなどはあまり委託とかイメージもなくて、デザイナーということでやられると、実際には契約形式としては委託の方も入ってしまうと。それは除くということで、質問項目の中に入れてみたらどうかと。採用するかしないかはまた別で、私の思いだけで言っています。
 先ほどもどなたかがおっしゃいましたが、中途解約なども非常にあるということであれば、これは雇止めだけですね。中途解約は、どこかで聞いておくことはないですか。期間満了前の解雇になると思うのですが。
 思いついたことだけ忘れないうちに言ってしまいますが、対象としては、製造業の期間工や臨時工の人たちも入るのですね。そうすると、寮に住んでいる方もいるのです。あるいは、会社に宛がわれた借上げ施設に住んでいる方もいるのです。生活に結びついた部分も、特に個人調査では聞いておかれたほうがいいのではないかなと思うのです。これを全部採用してくれと言っているのではなくて、いま思いついたところで言ったのですが。あと、先生方で何かこういった項目もあったらどうかということはありますか。
○佐藤委員 ここに書かれている項目で、すでに今日の詳細な検討は難しいとしても、先行調査がいくつかありますね。かなりわかっているものが、この間の景気変化があるからというのはもちろんあるのですが、大体の傾向としてこの項目についてはこうだろうというものが、先行調査が複数ある中でわかっているものがありますので、そのある程度わかっているものと、この調査で今回このように深めたほうがいいものという濃淡があると思うので、その点はレビューも含めて、項目の精査のときに是非ご用意いただけないかと思います。
 論点の検討の所で、もちろん(1)から(6)までどれも大事なのですが、とりわけ重要な論点の比重の高いもの、是非ともこの論点についてはというものがあれば、それに則した調査票の設計になるのが自然ですので、その論点の検討も、調査票の設計と同時並行でやるようにご配慮いただければと思っております。
○富田調査官 先行調査にどのような項目があるかは、事務局内部でもいま整理しておりますので、委員の先生方とご相談しながら進めたいと思っております。
○鎌田座長 いままでのご議論の中では、研究会のスケジュールについてはかなり抽象的な書き方になっていますが、皆さんご了解いただいたと思います。論点についても、荒木委員から1の(2)の表現で少し工夫はないかとのご発言もありましたが、一応現段階ではこういった論点で進めてみたらどうかということでした。ただ、これからの議論でもあると思うのですが、(1)から(6)までの論点のウエイトづけも、調査する上で議論をしておいたらどうかというご指摘だったと思います。
 実態調査の仕方、資料11に関しては、もう少し細かいスケジュールについてはまたご提案いただいて、具体的な作業の段取りも教えていただきたいということ。また、調査方法については、2段階で考えるのか、いるかいないか分からないけれどやっていくのかということで、そこは工夫だと。予算との関係もあるとのことでしたので、この辺りは事務局のご判断になろうかと思います。
 4の定義も、おおむねいま言ったようなところで、こういった定義でいいのではないかと。
 5は呼称でやるのか実態でいくのかというところで、ここでの議論はAからEまで分けましたが、その辺の議論がどのような方向にいくかは、今日の段階ではすっきりしていなかった気がします。もう少しその辺の議論をしておく必要があるかなと。つまり、この部分は宿題というか、もう少し議論したほうがいいのではないかと思っております。項目については、先生方にいまいろいろ挙げていただいた中で、皆さんと追加なり削除をしていくということだろうと思います。あと、先生方、いかがでしょうか。
○荒木委員 先ほど座長がおっしゃったように、労働者かどうかわからない、委託とか独立契約者としてやっている、事業者はそのつもりかもしれませんが、客観的には労働者かもしれない人がいるわけですので、それは何らかの形で、期間を定めた契約を結んで一定の業務をやってもらっているという人を、調査でも拾ってみたほうがいいのではないかという気がします。
 また、有期契約を反復継続していって、雇止めのときに何らかの退職金のようなものを払っている企業があるのかないのか。実際何もなしなのか、場合によっては一定の退職金みたいなものを払っているような事例があれば、知りたい気がします。
○鎌田座長 そうですね。退職金というか慰労金というか、どのような名前なのかはわかりませんが、何らかの金銭的な保証というか、趣旨はわかりますね。
 少し視点は違うのですが、先ほど佐藤委員からもあったように、これまでの調査でわかっていることもあるということで、これを読めばいいのですが、この表でまとまっているもので大体わかるのでしょうか。
○富田調査官 表は、いままではどのような切り口で調査をしているのかを整理したもので、それ以外にも事務局内では項目ごとにどういう調査がいま拾われていて、どういうものが足りないのかは整理しております。それを全部お出しすると非常に細かい資料になってしまうので、次回調査票をお出しできれば、そこで補足説明できる形に使おうかと思っております。
○鎌田座長 それは、もし可能であればということで、あまり細かいものはドンと渡されて自分で読むだけのことですが、議論の共通土台を作る意味で、ポイントをご説明いただければありがたいと思います。あと、何かこんな資料がほしいということがあれば。
○奥田委員 東京都の調査というのは入手できますか。「契約社員に関する実態調査」というものですが。
○富田調査官 コピーして、次回にでも配付します。
○奥田委員 お願いします。
○荒木委員 今後のことかもしれませんが、諸外国の状況などはここで議論することになるのでしょうか。
○富田調査官 今日は付けることができなかったのですが、口頭で申し上げたとおり、諸外国との比較とか比較法的分析も出てくるかと思いますので、それぞれのテーマごと、簡単なものについては次回か次々回ぐらいにはお示ししたいと思います。ただ、私たちも諸外国の法制を詳細まで存じているわけではありませんので、特にフランス法制やドイツ法制については、今後先生方のご知見をいただきながらご議論いただきたいと思っております。
○荒木委員 たしか、韓国で有期契約について規制を導入していて、もうすぐ、この7月で期間の2年が終了するということで、それがどのようなインパクトを持っているのかが、立法論を考えるときに関心の高いところです。そのような情報があれば参考になると思います。
○鎌田座長 外国の法制については、資料としてお出しいただけるものはお出しいただいて、もし議論の中で必要であれば、時間を取ってお話をしていただくと。基本は、先生方の持っている比較法の知識なりバックグラウンドを用いて、日本の法制についてお話をしていただくというメインストリートで進んでいきたいと思っております。それについては次回出るのですね。
○富田調査官 そうですね。次回には何らかの資料をお出ししたいと思います。
○鎌田座長 その際には、韓国のものと中国のもの、ほかには先進国のものも付いていますか。
○富田調査官 その辺のものを見繕ってお出ししたいと思っております。
○鎌田座長 あと何か、今日の話題と直接結びつかないことでも結構ですので、ご意見があればお聞きしたいと思います。
○佐藤委員 これからの論点の検討の具体的な中身のイメージなのですが、調査票の検討や先立つレビューと併せて、判例の分析などはあるのでしょうか。
○富田調査官 今日、少し裁判例も付けておりますが、基本的に私どもとしては、おそらく調査が進んでいく段階で、調査が終わったあとになるかもしれませんが、各論点ごとにご検討いただくことになりますが、そこでは各論点ごとに裁判例にどういったものがあるのか、参考になるものがあれば、雇止めについてはすでにたくさんありますので、お出しすることは可能かと思います。その他の論点についても、参考になる裁判例があればお出ししたいと思っております。
○藤村委員 少し気になるというか、範囲になるかどうかわからないのですが、こういう契約の人たちが社会保険に加入するかしないかとか、また別の論点になるのかもしれませんが。いま世間的に問題になっているのは、失業保険や雇用保険があるけれど、実はそういう人たちは入っていなくて、カバーできていないと。だから、有期契約の場合に、そこを視点に入れたほうがいいのかなという気がするのです。
○富田調査官 調査の中で、社会保険に入っていますか、という項目を、問題数が多くならない程度に入れることが可能であれば、検討材料にしたいと思います。社会保険をどうするかは、この研究会でご議論いただくにはあまりにもテーマが重すぎるかなと、もっと適当な別のフォーラムがあるのではないかと思っておりますので、社会保険そのものは扱いにくいと思います。
○奥田委員 細かいことなのですが、先ほど判例という話も出ましたので、1つだけ気になっていることとの関係で、最近は契約を更新している途中であと何回が上限であるとか、あるいは次回で終わりであるとか、更新を制限するような条項を入れていくと。例えば、当初は更新が「ある」となっていたのだけれど、途中でそれが「ない」になってしまうとか、そういうケースが紛争になってきていると思うのです。それ自体は合意の問題もありますので、あまり細かくは見ていけないのですが、調査のところで更新の有無に含めて、更新の上限回数を制限するとか、そういうこともできれば聞いていただけるとありがたいと思いますので、お願いします。
○山川委員 先ほどのご説明の中で、ソフトなやり方というのも、検討の範囲には含まれるのではないかとのご指摘だったのですが、もちろん指針や基準は了解していますが、助成金などで有期雇用に係るものがあるかどうかが不勉強でわからないのと、あるいは先ほど荒木委員が言われた、外国の調査の中で支援的な色彩のある制度を取っている例があったら、それも知りたい感じもしますので、支援的なものの議論の資料も付け加えていただければと思います。
○富田調査官 助成金については、職業安定局のほうでフルタイムの有期契約労働者に係る助成金がありますので、職業安定局とも相談の上で、必要な資料を次回お出ししたいと思っております。諸外国は存じませんが、わかる範囲で当たってみたいと思います。
○鎌田座長 よろしいでしょうか。今日で全部この話が終わるわけではありませんし、宿題もありますので、私と事務局で相談しながら資料等を用意したいと思っております。
 それでは、今後の日程について、事務局から説明をお願いします。
○富田調査官 次回の研究会の日程ですが、この場では現在調整中として、委員の皆様には改めてご連絡させていただきます。
○鎌田座長 そういうことで、よろしくお願いします。では、以上をもちまして第1回の研究会は終了させていただきます。本日は、貴重なご意見をありがとうございました。
 
照会先:労働基準局総務課政策係(内線:5587)