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2013年5月23日 第9回労働分野経済協力に係る政労使懇談会

大臣官房国際課国際協力室協力調整係

○日時

平成25年5月23日(木)
10:00~11:30


○場所

厚生労働省国際課会議室


○議題

1 労働分野の国際協力の実施状況について
2 今後の労働分野国際協力の進め方について
3 平成25年度予算等について
4 その他

○議事

議事要旨

※ 事務局から資料1~4について説明を行った後、意見交換が行われた。参集者からの主な意見等は次のとおりである

ILOアジア太平洋地域事務所(ROAP)よりILOの活動状況と、日本への要望について説明
(ILO)
(1) ILOの活動状況
ア ILOROAPの域内においては、バングラデシュをはじめ、非常に過酷な労働環境の中、不幸な事故がおこっており、ILOとして、支援策、資金調達の面で今後対応が必要となっている。現在、バングラデシュの労働法改正などにもILOが積極的に関わっており、ILOの意見を反映させていきたい。
イ ミャンマーについては、日本だけでなく、世界の関心が高まっていることから、ミャンマー事務所の体制を強化しようと考えているところ、今後、関連の支援事業も積極的に増やしていきたい。

(2)日本への要望
ア ILO/日本社会セーフティネット基盤整備支援基金(SSN基金)については、素晴らしい事業であるとの認識。全ての事業に支出はできないので、事業の優先順位を付けてどう戦略的に運営していくかが重要である。
イ ASEANとの協力については、我々としては、ILOの特徴を生かした事業をしていきたい。ASEANと積極的に情報交換ができる会議に出席し、どういった分野で効果的な援助ができるか、協力していけるか探っていきたい。なお、社会的保護の土台、ジェンダーなどが課題と考えている。
ウ ミャンマーにおいては、JICA、日本政府のプレゼンスが高まっており、現地の労働環境、労使関係、慣行を把握することにより、今後の日本企業の海外進出にも有効であると感じた。また、決議を待ってだが、SSN基金を有効に使って、シニアアドバイザー等を先方に派遣することも検討している。JICA現地事務所からもILOと協力していきたい旨要望があったところである。
エ 技能のミスマッチと強化は世界中で問題となっている。技能の向上と雇用環境の向上の双方について、日本の技術移転も含め、協力関係を築ければと思う。また、これと関連して、ハコモノや機械の援助はILOではできないので、日本のODAで積極的に支援してもらいたい。
オ ILO ROAPとして、ガイライダーILO事務局長に対して、人材育成等の日本のシステム・技術の良さを報告したい。
カ これだけ技術協力を行っている日本について、ILO内部での人材が少ないために、十分に成果が伝わっていないのが非常に残念である。

議題1
(1)事業全体について
(労働者側)
アジア各国に社会対話の仕組みを根付かせ、促進することが建設的で安定的な労使関係を築き、労働安全衛生水準や生産性の向上につながる。労使関係に関わる人材育成というソフト面の支援が重要であり、とりわけ、労働組合リーダーのキャパシティービルディングは重要である。また、取組みが遅れているアジア・太平洋地域の中核的労働基準の批准促進と適用遵守に対する支援の強化が必要である。

(2)ILO/日本社会セーフティーネット基盤整備基金(SSN基金)について
(政府)
 NGO、各国政府、政府関係機関、ILO地域事務所など実施主体はさまざまで、事業の実施にあたっては、実施主体というよりも、事業内容を精査し、どの事業を実施するのが国に裨益するかという観点から戦略的に事業を選定している。
(使用者側)
 事業の取組について、世界やILO内で積極的に発信していくべきである。

議事2、3
※ 事務局から資料について説明を行った後、意見交換が行われた。参集者からの主な意見等は次のとおりである。

(1)社会セーフティネットの構築のためのアジア・太平洋地域の域内協力の推進等について
(使用者側)
 ミャンマーに対する支援について、今進んでいる民主化の流れを定着させるには経済成長を含めた様々なサポートが必要で、労働面も含めて官民連携でオールジャパンで取り組んでいく必要がある。
(政府)
 ミャンマーについては、制度は政府にしか変えられないので、どういうチャンネルが有効かを見極め、全体として国益にかなうような支援をしていきたい。
 (労働者側)
 ミャンマーは、「ILO/日本社会セーフテイーネット基盤整備支援基金」の具体的な対象となっており、前回のこの会合でも説明があったが、具体的な検討状況を教えていただきたい。また、同国は、労働安全衛生基準の整備も課題である。建設現場などの労働安全衛生は劣悪であり、労働安全衛生基準の向上に是非取り組んでもらいたい。「国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業」は、JILAF(国際労働財団)として、政府及び使用者団体とも協力して進めているところ。平成26年度以降の事業継続も含めて事業運営上の課題は様々あるが、支援が継続的になされ十分成果があげられることが重要であると考えている。
(政府)
 ミャンマーについては、現在インフラのニーズを調査しながら、強制労働に対する事業を実施しているところ。加えて、「ILO/日本社会セーフテイーネット基盤整備支援基金」で実施する第3回目の選考委員会が開催されるところ、ミャンマーの重要性に鑑み、積極的に採用していきたい。また、安全衛生については同様の認識。JILAFの事業については、効果的に実施いただいていることに謝意、予算の単年度主義、補助率等の問題も認識しており、今後とも情報共有等をさせていただきたい。

(2)日系企業に対する支援について
(政府)
 先般5月に実施された経協インフラ会議において、日系企業が直面する賃金労使関係問題に対処するためのビジネス環境の整備が資料に盛り込まれたところ。

(使用者側)
 日本企業の海外進出が円滑に進むようビジネス環境の整備を進めていくとの御説明だが、日本の中で詳しい専門家を探すのは難しい状況。日本では途上国に比べて労使関係があまり問題にならなかったことも影響しているのではないか。今後は使用者側として、こうした専門家の必要性についても主張していくので、こういう分野への協力を是非積極的に実施していただきたい。また、モンゴルも市場化されて20年経過しているが、まだまだ制度が不十分、モンゴルへの支援も要請したい。

(3)その他
(使用者側)
 「東日本大震災からの復旧における雇用労働対策の国際公共財としての発信」事業や「地球環境の問題に配慮した雇用戦略支援事業」については、事業成果を各国でシェアしていく必要がある。また、事業全体の成果について、きちんと把握していかなければならない。
(使用者側)
 「南アジアにおける労働者保護の確保された雇用への移行事業」について、インフォーマルセクターの問題は来年のILO総会でも議題になっている。政労使三者による専門家会議も予定されているので、そこでの議論も活用してもらいたい。
(労働者側)
 JICAを通じた技術協力には労働に関わるプロジェクトも含まれているが、労使関係や労働組合の関与の観点が十分意識されているとはいえないので、今後、改善していくべき。


<紹介先>

国際課国際協力室協力調整係
03-5253-1111(内線7314)

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