2018年6月7日 平成30年度第3回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

医薬・生活衛生局

○日時 平成30年6月7日
○場所 TKP新橋カンファレンスセンター ホール2A(東京都港区西新橋1丁目15-1 大手町建物田村町ビル2F)
○議題
1.テーマ毎の検討2(医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実)について
2.テーマ毎の検討1(革新的な医薬品・医療機器等への迅速なアクセス確保・安全対策の充実)について
3.その他

議事

 

○屋敷総務課長 定刻より少し早いですが、これから開催させていただきます。
まず、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に御案内をしております注意事項をお守りくださるようお願いいたします。
ただいまから、平成30年度第3回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。
委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、御礼を申し上げます。現時点で、20名中19名の御出席をいただいております。本日は、荒井委員からは御欠席の連絡をいただいております。また、山本委員につきましては16時前に、本田委員につきましては16時半ごろに所用により御退席される旨をお伺いしております。
なお、今回の部会から新しく委員として御参画いただきます方がお二方いらっしゃいますので、御紹介させていただきたいと存じます。
まず、お一人目は、大日本住友製薬株式会社の野村博委員にかわりまして、塩野義製薬株式会社上席執行役員東京支店長の加茂谷佳明委員でございます。
○加茂谷委員 加茂谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○屋敷総務課長 お二人目に、一般社団法人日本医薬品卸売業連合会薬制委員会委員長の一條宏委員でございます。
○一條委員 一條でございます。よろしくお願いいたします。
○屋敷総務課長 また、本日は参考人としまして、全国薬害被害者団体連絡協議会から、増山ゆかり参考人。
○増山参考人 よろしくお願いいたします。
○屋敷総務課長 泉祐子参考人。
○泉参考人 泉です。よろしくお願いします。
○屋敷総務課長 お二方に御出席いただいております。
続きまして、本日の配付資料の確認をいたします。座席表、議事次第と、資料1、資料2、そして参考資料1と参考資料2、計6点を準備しております。卓上には紙で配付しておりますし、またタブレットのほうでは、資料1と資料2は続きで格納しております。資料1と2は、通しのページ番号になっておりますので、あらかじめ御承知おきください。
資料につきましては、前回に続きまして試行的にペーパーレス化を実施しております。タブレット端末の使用方法につきましては、お手元の横紙、「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」をごらんいただければと思います。なお、前回同様、紙資料も机上に配付しております。お好きなほうを用いていただければと思います。
それでは、間もなく議事に入りますので、冒頭のカメラ等撮影はここまでとさせていただきます。
それでは、以後の進行は森田部会長、よろしくお願いします。
○森田部会長 皆様、こんにちは。森田でございます。前回は失礼いたしました。
それでは、早速ですけれども、議題に入りたいと思います。まず、議題1ですが、最初に本日の議題そのものにつきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○屋敷総務課長 議事次第を見ていただきますと、議題1と2を準備しております。この制度部会のテーマを4月に3ジャンル設定しておりまして、テーマ1から3までございます。本日は、テーマ2の「医薬品・医療機器等の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実」について御議論いただきたいと思います。
また、テーマ1については、前回、御議論いただいておりますが、前回は現状を説明させていただいたということでございます。具体的な課題は、本日お示しして御議論をお願いしたいと考えております。
本日の順番でございますが、山本委員が早退されることに伴いまして、法的な取り扱いの点が議題には多く含まれている関係上、テーマ2を先に議論をお願いし、その後、本日は安全対策に関連しまして参考人にお越しいただいております。参考人からお話を伺い、質疑応答の後、テーマ1のほうをお願いしたいと考えております。
○森田部会長 ありがとうございます。
それでは、ただいま説明がございましたが、テーマ2に関する議論に入りたいと思います。事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○佐藤医薬安全対策課長 医薬安全対策課でございます。
皆様、お手元の資料1の1ポツの1の部分、ガバナンスを強化するための「三役」の要件・責任明確化についての御説明を申し上げます。お手元の資料、電子版も含めまして、3ページからになります。
平成14年の医薬品医療機器法の前身である旧薬事法の改正によりまして、医薬品の製造販売業者には総括製造販売責任者の設置が義務づけられ、医薬品の安全管理、品質管理を適切に実地を行う責任者ということで、こういった責任者が設置されたとともに、製造販売業の許可要件としまして、品質保証責任者、安全管理責任者の、トータルでこの3つの責任者の体制が、医薬品医療機器の規制制度の、企業の中でのコンプライアンス・ガバナンスの体制ということで設定されているという仕組みになってございます。
資料、4ページでございますけれども、製販におけるガバナンスということで、この三役制度というものができてきたわけでありますが、副作用報告の報告遅延の事案ですとか、承認書との齟齬ということで、承認書上の製造工程と異なる製造工程で製造が行われていたといった薬機法違反の事案を経験してきているということです。
そういう中で、この三役制度の運用に関しての問題の洗い出し、改善の方策を検討しまして、資料の5ページですけれども、昨年6月ですが、三役の留意事項というものを発出いたしまして、特に企業の中での三役の位置づけですとか責任体制というものに関しての留意事項をこの中で規定してございます。ここに1番から4番まで示しているような事項ということで、総括製造販売責任者に対する位置づけですとか経験・資格的要件な部分。また、三役の連携といったものがこの中で示されております。
6ページ目でございますけれども、現在の三役の関係の法令・通知上の規定の位置づけをお示しさせていただいてございます。総括製造販売責任者については、薬機法17条で位置づけがなされており、品質保証責任者・安全管理責任者については、それぞれ省令の中で位置づけをされています。ただ、この品質保証責任者・安全管理責任者については、従事経験とか業務の遂行能力という部分が要件として規定されてございますが、総括製造販売責任者については、この三役事項通知という形になってございます。
この現状で、三役というものが実際の組織としての指揮系統と整合性がとれているか、また、何かあった場合の責任という部分で、この備考欄にございますけれども、法律上は変更命令の対象ということで、総括製造販売責任者に対しての変更命令はかけられる仕組みになってございますけれども、その企業のガバナンスという観点で見たときに、経営者等に対して責任をとる仕組みになっているかというところが一つの課題であろうということで認識してございます。
下に検討が必要な事項と書いてございますけれども、総括製造販売責任者について、資格要件等を法律上規定する必要はないか。また、品質保証責任者・安全管理責任者等についても法律上に規定して、それぞれの責任を明確にする必要はあるかどうかということが論点だろうと考えてございます。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 では、監視指導・麻薬対策課長でございますが、私のほうから説明を続けさせていただきます。
資料、7ページからでございます。ガバナンスを強化するための行政措置の見直しということでございます。
8ページ目のスライドをごらんいただきまして、そもそも行政措置にはどのようなものがあるかということで、左側は一般的にいろいろな行政行為、行政上の義務履行確保のため、どのような命令、免許付与などがあるのかということを成書からとらせていただいております。
また、薬機法にどのようなものが行政措置として規定されているかということで、右側にその関係を記載させていただいております。
次のページ、9ページでございます。ガバナンスの観点からみた不正事例の類型ということでございます。私どものほうで、この6年ほどの間に起こった事例、行政処分、製造販売事業者、製造事業者における処分事例の分析をさせていただいてございます。大きく種別すれば、この類型に大体はまるということでございます。許可業者の役員による適切な監視・監督やガバナンス体制の構築がなされていなかった等に問題があるということでございました。先ほど三役のお話がございましたけれども、三役の意見を受けて、社としての監督体制をつくるということは、これは事業者としての責務でございますし、事業者の役員が責任を負うということになります。
1番目が、そういった違法状態にあることを役員として認識しながら、その改善を怠り、漫然と違法行為を継続する類型。それから、そうではないのだけれども、適切な業務運営体制や管理・監査体制が構築されていないということで、違法行為を発見または改善できなかった類型ということで、その下に類型(1)にはまるもの、類型(2)にはまるものを挙げさせていただいてございます。
承認書と異なる製法で医薬品の製造が行われていることを役員が認識しながら改善しなかった事例や、2番目のポツですが、一部変更承認が必要なのだけれども、しなかった。また、不適切な広告資材を使ってしまった。
また、類型(2)においては、副作用報告でございますが、その管理するシステムや報告をするという社内体制の構築がないために、こういうことが放置されてしまった。また、販売情報提供資材に関しての社内でのチェック体制がなくて、不適切なものを使ってしまった。また、総括製造販売責任者にそのような権限がちゃんと与えられていないということで、社内体制の構築、内部監査、自己点検等の実施が十分でなかったような事例。こういうものがあるわけでございます。
それで、下の10ページをごらんいただきまして、今の状況でございます。先ほどお話がありました総括製造販売責任者につきましては、現行法で管理者・責任者の変更命令ということで、その方が適切に業務を行っていないということ、法令の違反や不適当と認められる場合には変更命令があるということでございます。そのため、総括製造販売責任者のほうから事業者に対して、こういうふうに体制を構築すべきだ、こういうふうにやるべきだという意見を述べる義務があるわけであり、それについて事業者の役員については意見尊重義務があるということでございますが、その役員につきましては、その責任を問うような処分規定がないというのが現状でございます。
続いて、11ページをごらんいただきまして、欧米はどうなっているかということでございます。特に米国の事例でございますが、FDC Act、アメリカの薬事法の中では、役員個人に対する行政処分として制裁金を科すことができるといった規定がございまして、現実にそれが運用されているということでございます。
こういったことを受けまして、12ページの検討が必要な事項でございますが、このような医薬品等を取り扱う許可業者の役員については、人の生命・身体に直接影響を及ぼす製品を取り扱う者の最終的な責任者ということで、必要な監視・監督、ガバナンス体制の構築を行うことが求められるということでございますけれども、先ほど申し上げたような実質的な管理者に対する変更命令が存在するのに対しまして、役員の責任に関する規定がない。そういったことを受けまして、許可業者が薬機法を遵守して業務を運営するため、役員が果たすべき責務や、それを促すための措置をどう考えるのかということを挙げさせていただいてございます。
13ページ、14ページはざっとごらんいただいて、次に15ページをごらんいただきたいと思います。広告に関する処分等の事例ということでございます。広告というものは、売り上げを上げるという手段として行う行為とみなされるわけでございますけれども、そういった売り上げを上げていくために行った違法行為ということで、実際に刑事告発や行政処分が行われた事例もございます。
事例1と2と挙げてございますが、どちらも高血圧の薬でございます。臨床研究におけるデータ改ざん、事例2においては、その資材について誇大広告に該当するような事例がございますし、また無許可医薬品ですね。食品でありながら医薬品的な効能効果を標榜するという未承認薬の広告や販売を行っている事例、これについては警察に検挙されるケースが枚挙にいとまがないという状況でございます。
それで、特に先ほど申し上げた事例1、事例2と続いたこともございまして、この関係では、国会でも、ここに記載してございますような御意見をいただいているところでございますし、また、これら虚偽・誇大広告の罰金水準というものは200万円以下ということであり、薬機法全体の最高額は個人300万円、法人は1億円ということでございますけれども、こういった違法な行為を行ったことに伴う収益を取り上げるべきではないかという御指摘もいただいているところでございます。
続いて、17ページをごらんいただきまして、欧米ではどうなのかということでございます。先ほど申し上げた薬事関連法規に規定はございませんけれども、薬事関連法規の違反事例に関しましても、米国では刑事罰としての罰金の算定要素、EUでは行政罰としての制裁金の算定要素に、経済的利得の接収を含んで算定するということが可能な規定になってございます。
最後でございますが、19ページをごらんいただきまして、私どものほうといたしましては、このような違法行為によって得られた経済的利得を徴収するべきという御指摘をいただいており、また欧米では、それを徴収できるような罰則や行政処分がある。
では、薬機法では、このような経済的利得の確保が目的とされるような違法行為を抑止するために、どのような行政措置があり得るのか。また、先ほど例示では広告違反ということを取り上げましたけれども、どのようなケースについてまで考えられるのかということについて検討が必要な事項として挙げさせていただいてございます。
私のほうは以上でございます。
○屋敷総務課長 次に、3の適正流通確保に向けた卸売販売業者の規制の見直しについて御説明いたします。
スライド21ページ目でありますが、事の発端といいますか、いわゆるハーボニーの偽造品が流通したということでございます。今週初めにも追加的な逮捕者が出たということで、まだ捜査が続いているということでございますが、医療用医薬品がこのような形で流通チェーンの中に投入されたという、ゆゆしき事態が生じたということでございます。
その後の対応としまして検討会を設置しまして、当面の対応で10月に省令を公布しまして、秘密厳守取引の根絶でありますとか、販売・授与のルールの明確化、あるいは品質に疑念のある医薬品を発見したときのルールの明確化、失礼しました。スライド22でございます。ルール化し、施行しているという状況でございます。
その後、省令の当面の手当てを打っているということですが、スライド23ページ目でございます。こちらのほうは、検討会の最終報告で、引き続き検討すべき項目ということで大きく3点ほどありまして、GDPガイドラインの作成と、本制度部会に関しましては、2の規制の法令上の位置づけのあり方、卸売販売業者の業務を行う体制に関する検討。体制に関する許可基準をできるだけ早く位置づけるべきであるとか、その際の内容として、医薬品営業所管理者による管理が適切に行われるよう、それぞれの役割・勤務体制について検討すべきであるという指摘がなされているということでございます。
その前提となります今の状況ですが、スライドの24ページ目をごらんいただきますと、卸売販売業の許可については、下のほうに、薬局・店舗販売業と比べますと、構造・設備について許可基準になっているというのは同じですが、業務の体制につきましては、薬局・店舗販売業は許可基準となっている一方で、卸売販売業は一部遵守事項になっているということでありますし、こちらのほうは、営業所の管理につきましては、原則薬剤師による管理が必要ということで、実地の管理とまではされていないということでございます。
また、今のルールの内容ということになりますが、スライドの25で、卸売販売業者、医薬品営業所管理者について業務・責務が規定されている。薬剤師により営業所を管理させること。また、医薬品営業所管理者の意見具申業務、それに対応します意見の尊重。また、社内の指針の策定、手順書を作成すること。また、それを受けまして、営業所管理者が実際に試験検査をしたり、個々のものを取り扱うルールが定められているというのが現状でございます。
実際、個々の営業所で何をするのかということが恐らく大切になるかと思いますが、スライドの26ページ目をごらんいただきますと、まず卸売販売業者の許可要件として、薬剤師要件がなく、法人の役員等につきましては、薬機法34条2項2号に定められているという、ごく当たり前の要件が定められているということでございますし、医薬品営業所管理者につきましては、薬剤師が原則として求められているということ。
また、それぞれ違反があった場合には、卸売販売業者につきましては許可取消に該当し、管理者につきましては変更命令の規定が定められているという状況でございます。
それで、検討が必要な事項としまして、スライドの27でございますが、ハーボニーの事件をきっかけに、卸売販売業でも、さまざまな規模でありますとか社内のガバナンスの体制でありますとか、あるいは流通の実態に即した管理のあり方があるだろうと考えております。卸売販売業者の許可基準、営業所管理者のあり方について、業務の実態を踏まえた上で、この検討会での最終取りまとめで、指摘があるような許可基準として位置づけるべきかどうかとか、そのときの中身をどのようにするかといったところを、業務実態等を踏まえて必要な整備を考えていきたいというところを提示させていただきます。
説明は以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして御意見、御質問があれば御発言をお願いしたいと思います。
山口委員。
○山口委員 資料の6ページに三役についての法律等々が書いてございますけれども、スライドの3を見ますと、総括製造販売責任者の果たす役割が非常に大きいのではないかと考えます。以前伺ったとききに、総括製造販売責任者は薬剤師ということが法律に書かれていて、品質保証責任者と安全管理責任者は特に書かれていなくて、安全管理責任者はほぼ薬剤師さんがされているけれども、品質保証責任者はそうでない場合もあるという御説明を聞いたことがございます。
ここで薬剤師を充てているからこそ、会社の中で責任を持ってできる人がいなくて、本当の意味での責任者という役割を果たせていないような実態があるように聞き及んでおります。私は、これは薬剤師というよりも、きちんと責任を果たせる立場の人が責任者になるべきではないかと思っているのですけれども、どのあたりまで薬剤師でない人でもできる範囲があるのか、そのあたりをまずお聞かせいただきたいと思います。
○森田部会長 どうぞ、事務局。
○佐藤医薬安全対策課長 事務局でございます。
今、山口委員から御指摘いただいた薬剤師要件の部分ですけれども、総責として責務を全うするに当たりまして、医薬品という物の品質の部分、そして物としての安全性という部分、これらについては、薬学的な知見から、薬事全般に対して適切な業務に対する判断が必要だろうということで、薬剤師を原則として要件に置いているところです。その点については御理解いただいているものだろうと思っております。
一方で、薬剤師要件があることによって、社内の人材確保、人のローテーションということを考えていったときに、能力はある、もう少し適切な方がいても、その方が総責につけないような人事上の制約になっているのではないかという意見も聞かれているというのは、委員御指摘のとおりだろうと思っております。
ただ、これにつきまして、薬剤師というものを原則としつつ、今、申し上げましたようなケースが実際どういうところにあるのかとか、どういう点で製造販売業者が困っていて、こういう方であれば、薬剤師でなくても管理者たることができるのではないかといった、職務経験とか能力という点から見て、どういう方がいらっしゃるのかということについて、代替する方の条件のようなものも含めて、我々も製造販売業者の実態についてもう少し調べて、この審議会のほうにもお出しできるような形で条件等も精査していきたいと思っております。
○森田部会長 どうぞ。
○山口委員 ぜひそれをしていただいて、きちんと責任をとれる体制にしていただきたい。意見もなかなか通らないような人が責任者になっていたのでは、患者の側としても安心できません。どのような要件を満たせばいいかということが明確になれば、必ずしも薬剤師ということでなくてもいいのではないかと思いますので、そのあたり、また出していただければと思います。
○森田部会長 関連して、乾委員、どうぞ。
○乾委員 今、山口委員のお話をお聞きいたしまして、確かにそういう責任がとれない者が製造販売責任者になっているのか。いや、そうではないのではないかと思うわけでございまして、平成14年に法律ができたときに薬剤師というものを規定したということは、そのときに薬剤師でないと責任がとれないのではないかということで規定されたのではないかと考えます。
また、それとともに、スライドを見ておりますと、製造販売業者の総責だけが従事経験や遂行能力といった資格要件が、三役留意事項通知、いわゆる法令上規定されていないということがあります。これは、医薬品等の品質管理・安全管理の適正化という面では問題があるのではないかと考えます。三役の法令上の責任の明確化ということを考えれば、設置義務だけではなく、従事経験や遂行能力といった資格要件を含めて整合性を図る必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。
○森田部会長 山口委員、よろしいですか。
○山口委員 私は、できれば企業の方に実態としてどうなっているのかをまず出していただいて、果たせているところももちろんあると思いますけれども、不十分なところがあるとしたら、なぜ不十分なのか明らかにしていただきたいと思います。例えば、多くの薬剤師を雇用することができなくて、雇用している中から選ばざるを得ないという現状があるのだとしたら、それが少数派なのか、多くなっているのか、そのあたりの現状がわからないと判断できないかなと思っていますので、まずは実態を明らかにしていただければと思っています。
○乾委員 1点だけ。確かにそれはそのとおりだと思います。ただ、製造販売業者が企業努力されていると思いますけれども、薬剤師が総括責任者としてしっかり養成するというか、育てる責任があると考えますので、その辺もぜひしっかりとやるべきではないかと思います。
○森田部会長 では、中川委員、どうぞ。
○中川委員 質問ですが、3ページの三役を置くという対象は製薬メーカーを想定しているのですね。
○森田部会長 事務局、どうぞ。
○佐藤医薬安全対策課長 これは、薬機法上はいわゆる医薬品の製造販売業者、あと医療機器の製造販売業者、医薬部外品の製造販売業者、化粧品、再生医療等製品、それぞれいずれのカテゴリーの製造販売業者でも、構造的には同じ形になってございます。
○中川委員 質問をわかりやすくするために製薬メーカーと聞いたのですが、一定規模以上の上場企業を想定していますね。
○佐藤医薬安全対策課長 この三役要件については、上場している、していないにかかわらず、全ての製造販売業者に対してかかっていますが、医薬品製造販売業者でも1種、2種という形で、医療用医薬品を扱っているところと、そうでないところとか、種別が一応ありまして、そういう中では、管理者を一部兼務できるとか、そういう形での規制の運用もされているところでございます。
○中川委員 いや、何を言いたいかというと、先ほどの議論の中で薬剤師がたくさん雇えないという話があったので、この三役を置く対象の企業は、多分、薬剤師は山ほどいるのだろうと私はイメージとして思っているのですよ。そういう前提なのか、そうでないのかで議論の方向性が違うと思うのです。どうですか。
○佐藤医薬安全対策課長 ありがとうございます。
本日、お配りしております資料ですと、例えば32ページに、これは一昨年に日本製薬団体連合会において会員企業様にアンケートをとりまして、370社から御回答いただいているものの結果がございます。特に、この32ページの左上、総責の職位はというところを見ると、役員、部長職、その他管理職というものに並びまして、9%、係長を含めた一般社員というところがございます。
責任を果たしていただくという意味では、それなりの職位の方がついているのが普通は期待されるのですが、係長を含めた一般社員というのが実際にあるというところからすると、こういう状況になっている企業というのは、薬剤師の雇用も含めてどういう現状になっているのかというところをもう少し掘り下げていかないといけないだろうと思っておりまして、今、委員御指摘いただいたように、この前回のアンケートも踏まえまして、そのあたりの状況を我々のほうでもう少し正確に把握できるように、改めて調査をしてみようと思っております。
○中川委員 職位ではなくて、薬剤師がどのぐらいいるのかと聞いているのですよ。
○佐藤医薬安全対策課長 恐らく、この職位のところを見ると、薬剤師の数ですとか実態を反映した結果になっているのではないかと我々、推測していましたので、ちょっと御紹介さしあげました。
○中川委員 わかりやすく聞くと、製薬メーカーで薬剤師が社長になれるのですね。そういうことを聞きたいのです。となれば、薬剤師だから上に物を言いづらいという議論が、たしか前回もあったような気がするのですけれども、考え方が全く変わってくると思うのです。それで、6ページの総責が薬剤師というのがあって、品質保証責任者、安全管理責任者は薬剤師でなくてもいいと。私は、逆ではないかという気がします。品質保証責任者だって薬剤師の知識が必要だと思うし、安全管理責任者も薬剤師が必要だと思うし、むしろ総責のほうが薬剤師でなくてもいいかなというイメージがありますけれども、せっかく書いてあるのだから、このままでいいと思いますけれどもね。
それで、経験年数のところで、品質保証責任者が3年以上の品質管理の経験、安全管理責任者が安全管理の3年以上の責任なのですね。そうすると、三役留意事項通知の総責の経験は、3年の従事経験というのは何の経験ですか。
○佐藤医薬安全対策課長 済みません、この表は簡潔に記載させていただいていますけれども、例えば3年の従事経験という部分については、社内の薬事業務に関しての総合的な理解力・判断力を持つにふさわしい従事経験ということで、例えば今、申し上げた安全管理部門ですとか品質管理部門だけでなくて、いわゆる申請業務を行っているような薬事業務ですとか信頼性保証業務ですとか、治験もそうですけれども、開発業務も含めて、薬事全般にかかわる業務の従事経験として3年ということをこの通知の中では規定してございます。
○中川委員 そうなると、広く浅く、いろいろなことがわかっているということを言いたいわけですね。
3ページの図を見ると、総責が品質保証責任者・安全管理責任者の上司なのですね。それは、その認識でいいですか。上司が広く浅くの経験でよくて、部下が一定の部署で3年以上というのはどうも違和感があるかなと。安全管理責任者・品質保証責任者の部門の深みというか、それを理解できないのではないか。だから、いろいろな問題が起こるのかなと想像しているのですが。
この総責の経験年数のところ、いろいろなものを3年でなくて、もちろん品質保証責任者、品質管理とか安全管理も含めた、少なくとも部下よりも経験がはるかに多いのだということが必要だと思いますよ。そうでないと、上司としての威厳というか、ガバナンスというか、掌握力を発揮できないのではないかと思います。ぜひ検討してください。
○佐藤医薬安全対策課長 検討させていただきます。ありがとうございます。
○森田部会長 今の件は、これでよろしゅうございますか。
では、加茂谷委員、どうぞ。
○加茂谷委員 医薬品企業の立場で、今の議論に対してコメントさせていただきたいと思っております。
先ほど課長のほうからスライド32の状況を御紹介いただいたわけでございますが、私どもの認識として、総責の職位が役員あるいは部長職でない方々が29%もいるという問題については、じくじたる思いでございます。
という観点から、前回、本部会で日本製薬団体連合会の要望書というものを御紹介させていただいたかと思いますけれども、今後、総責としての責務を全うするため、どうあるべきかという観点からの御議論は継続してお願いしたいということとあわせて、総責あるいは製造管理者のような業許可上の責任者が組織内で十分に高い位置、ちゃんと責任を果たせる位置にいるということは必要と認識し、前回の要望書の中でも、役割と責任を果たせる者を任命できるように制度の改正をお願いしたいと要望したところでございますので、その方向で御議論を進めていただければなとコメントさせていただきます。
以上です。
○森田部会長 今の点は、事務局のほうは十分認識されていますね。
それでは、特にこれに関して御発言なければ、いずれにしてももう少し調べてみるということのようですので、御検討をお願いいたします。
それでは、別件ということで、花井委員、どうぞ。
○花井委員 今の件は、このように進めていただきたい。
この件にちょっと触れますと、私たちの経験からすると、営業の力が強過ぎてとか、化血研の場合は技術者が現場を仕切ってということで、この役割を全く果たせなかったと、見てきたところはそうなっていますので、こういうガバナンスをちゃんと法で規制していただくという方向性は歓迎いたします。
私が申し上げたいのは、8ページのいろいろなペナルティーで事後的ペナルティーの件です。もちろん緊急命令とか回収命令、報告、この辺はいいのですけれども、例えば業務停止というペナルティーです。一般的に業務停止されても、患者がいるので人質をとられているので、必要な医薬品はとめないということになっていますね。実名を出して申しわけないですが、化血研の場合はワクチンの出荷を早速許しているわけです。このワクチンと血液製剤に関しては、あの場合は承認書と異なるから停止なのに、その異なったままの医薬品を出荷していて、それを定価販売というか、保険側からいえば同じ値段で買うのかという議論もあったと思うのですが。
結局、患者を人質にとられている限り、そういうものがきかない。大事な薬を売っている企業は、これがなくていいのですかと言われたら、それは売っていいですよと言わざるを得ないので、ペナルティーとしてはお金ということをちゃんとしないと事後的ペナルティーにならないと。事実上、今までの停止命令というのはほとんどザルで、結局、全部出荷しているわけですね。患者がいるから仕方がない。これではペナルティーの効果がないので、きちんと罰金という形でやっていただきたい。
それから、広告の件ですが、広告も事後的にモニター制度で、まずい広告があった場合に、ある種広報上のペナルティーとしてどうするかという話なので、ちょっと抑制的だと思います。広報上のペナルティーというのはかなり啓示的なものなので、本当に広告が薬機法上の違反になるのかということを認定した上で強いペナルティーを出すので、それだけではまずいと思います。
1つ、OTCに関してはCM等々がどうなのかという議論がありますし、医療用医薬品に関しまして、事実上、広告といいましても、MR活動が問題であるわけですね。そうすると、問題があるMR活動に対して事後的にやるのではだめで、私どもとしては、資材とかMRが提供できる情報の範囲を事前にレギュレートしていただきたいというのが意見です。そうであれば、事後的にすごく悪いことをした場合にということは必要。それは重罰にすべきというのはさっき言ったとおりですが、事前にMRはどこまで言えるのか。オフラベル情報をどこまで言えるのか。言ってはだめだと思いますけれども、厳密に言えば添付文書の範囲外のことをしゃべったら違法だとしてくれればよいとか。
そうすべきだと思いますが、それが難しいということであれば、少なくても資材については国が全部チェックしていただきたい。国がそれまでできないのであれば、チェックする組織をつくって、そこで資材を全部チェックしていただきたい。そういう制度をつくらない限り、MR活動は必要だと言いながらまずいと、いつもダブルバインドがはまっていて、私も非常に困るのですが、MR活動の範囲というものが法でレギュレートされていないからそういうことが起こるわけで、事前のMRの権限、情報提供できる範囲と使える資材、これは事前にチェックして、チェックされたもの以外は市場で使えない形にしていただければ、大分改善すると思いますので、ここについて強く要望いたします。
以上です。
○森田部会長 事務局、どうぞ。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課でございます。
今の後段の部分の、企業から情報提供されるような資材のチェック、どういうふうにしていくのかということでございます。これは、第1回目のこの部会で論点を提起させていただきまして、種々、御意見もいただいたところでございます。
その際に、これまでそういった規制のベースがない中で、どのようにやっていくのかということで、まずはガイドラインとして、今、花井委員がおっしゃった、どういう内容のことを守らなければいけないのか。また、どのようなチェック体制ができるのかといったことを取り決めて、ガイドラインとしてまずは進めていこうということでお話しもさせていただいて、今、進めさせていただいているところ。まずは、その状況を見て、またどうしていくのかということを検討させていただければと思います。
それから、前段の部分に関しまして、業務停止を受けても、医療上、患者さんのことを考えたら、安全性に問題なければ出荷を認めたケースがあったわけでございますが、そういった場合のお金に関してのペナルティーというか、罰金はどうなのかということでございます。
実は、ある意味で違法なことをやってしまって、それで収益を上げているということについて、例えばほかの法令などを見たときにどのようなことができるのかということで、内部的にもいろいろ検討させていただいているところでございますが、多く見ていきますと、それが不当利得を行うための行為である、言ってみれば経済犯的なものをやっているケースに対して特に不当な利得を剥奪する。それが違法行為で得られた収益について、それを剥奪するという視点で、特に能動的な行為について、かなり限定的な部分について行われているのが、国内他法令の現状でございます。
花井委員がおっしゃったのは、その類型とも少し違ってくるような部分になると思います。そういった部分まで我が国の法令ででき得るのか。私どもなりにまた研究を積み重ねてさせていただきたいと思ってございます。
以上でございます。
○花井委員 後段の部分ですけれども、経済云々、おっしゃることはわかりますし、実名を出して悪いですけれども、例のディオバンのときも中医協でも議論がありましたね。つまり、ある不当な広告によって、どれだけ医師の処方行動が変わり、その変わった調剤がどれだけあって、それが幾らだということを算定しようとしても明らかに難しいし。
それから、例の化血研の製剤に関しては、安全を確認して。安全を確認するために承認書があるのではないですか。承認書と異なるのに安全と言うと言い出したら、では、承認書は何ですかという話になるわけで、そういったことで事後的にやると、たてつけとルールが全部崩れていくと思うのですね。なので、幾ら利益を得したかとか、そういうことによってやるということではなくて、そもそもそのような不当な活動ができないように事前にやるという制度が必要。だから、結論から言うとガイドラインでは生ぬるい、これは強く意見として申し上げておきます。
それから、前者のペナルティーという部分については、強化していただいてやるしかないと思います。だから、それがないと、結局のところ、痛くもかゆくもないということになりますし。なので、ぜひそこはもうちょっと御再考いただけないかと思います。ガイドラインよりも、もうちょっと強いレギュレーションが要るように思います。
では、質問ですけれども、MRさんはどこまで言っていいのですか。添付文書に書いていない効能効果を一言でも言ったらアウトですか。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 事実上、適用外の情報提供に関して、どこまでが可能かということについては、業界の中で一定のルールもございまして、客観的な各種の文献などは今でも御提供できると思います。つまり、広告にならないということでございます。一番最初の部会の際に村島委員から御指摘もいただきました。特に小児の場合とか、用法用量について承認書の中だけで議論できるのかということがあると思います。ですから、私どもの問題意識としては、我々としても野放しという言葉は悪いですが、どういった場合ならよくて、どういった形にするのかということについては、もっとはっきりさせていくべきだと考えております。
もともと法律上は、68条で未承認のものについては禁止という規定がございます。では、どういう場合に広告にならないのかとか、どういう場合に情報提供が必要なのかとか、どうなのかということについては、国としての規定が明確なものがまだないということが現状でございまして、私どもの研究班も以前やっておりまして、その中で、業界のほうでもいろいろな取り組みをやっていただいているのが現状でございますけれども、よりそれをはっきりさせていく必要があるだろうということで、先ほどの中でオフラベルの問題についてもきちんと記載しようということで、今、準備をさせていただいているというのが現状でございます。
○花井委員 畳みかけて悪いのですけれども、今度、この薬はこのがんでも使えるようになりそうなのですよというのは、アウトですか、インですか。
○磯部監視指導・麻薬対策課長 ですから、先ほど申し上げたように、法律の規定は、68条で未承認のものの広告は禁止と。ですから、今のケースが広告なのかどうかという該当性を個別に判断して対応させていただきます。大ざっぱなケースでいいとか悪いとか言うと、いろいろなことがあると思いますので、それはちょっと控えさせていただければと思います。
○花井委員 まさに、このやりとりがそういうお答えにならざるを得ないところに、私どもは問題を感じています。これを聞いたら、現場のMRもこの辺のあんばいみたいな感じでやると思うので、そこをきっちりしていただくというのが重要なので、ぜひお願いいたします。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
手が挙がっておりますが、この件、法律関係の問題になるので、山本委員が4時までということですので、御見解を開陳いただければと思います。
○山本委員 大変申しわけございません。
まず、サンクションの件に関しましては、資料で申しますと、17ページに米国とEUの例がございますけれども、1つは刑罰、罰金を取るということがございますが、これは手続がかなり重くなります。要するに、起訴して裁判して決めるということです。
それから、もう一つは、罰金の制度を入れることになりますと、いろいろな制度との横並びの問題が出てきまして、医薬品とほかの場合とのバランスを検討しなくてはいけなくなるということで、高額にするとしてもどうしても限界があるということがあって、それで今回、資料の中にもう少し別のものが考えられないかということが19ページに記載されているのではないかと思います。
EUでは制裁金と書かれていますが、EUは行政処分でサンクションを科すということで、手続が刑罰に比べるともう少し簡単にできるということがあり、また金額に関しても、利得の分をとにかく全部吐き出させることができるという内容の面でも、実効性がよりあるのではないかということがあります。
日本で言うと、これは先ほどちょっと話がございましたけれども、課徴金制度がこれに該当いたします。一番これに近いもので申しますと、景品表示法の例が18ページに出てございますが、景品表示法違反の一定の類型に対して、課徴金の制度が4年ぐらい前でしょうか、新たに入っております。これは、誇大広告等をしたことによって、それだけ利得を得たという場合には課徴金として取るというやり方でございまして、まさに医薬品などの広告の場合であっても、それは当然同じような考え方をとるべきなのではないかと思いますので、これとそろえてと申しますか、景品表示法の場合に倣って、医薬品の場合にもぜひこれは入れていただくとよろしいのではないかと思います。
ただ、他方で、日本のこの課徴金の法制度というのはまだまだおくれているところがありまして、違法行為があって、その違法行為によって一定の利得を得たということがある程度一般的に言える場合に制度化しているということがあります。ですから、法律の要件を満たさない違法行為がまずあって、それによって一定の利得が得られており、それが一般的に書ける、規定できるという条件がないといけないということがあります。それを考えると、広告規制の場合はこれでいけると思うのですけれども、それ以外の場合にどれだけできるかというと、なかなか難しいところがあるのではないかと思います。
あるいは、個別に、いや、こういう場合は書けるということがあれば検討すべきかと思いますけれども、そういう条件がないと課徴金の制度を入れることには限界があるのではないかと思います。
あと、事前の規制の話がちょっと出ましたけれども、これも段階があって、ガイドラインの定めをする。それから、法令上書く。さらに、事前に個別の商品等について個別に判断するという段階がありまして、上のほうの段階になりますと、それだけ資源を要するということがあります。
特に、法令に書くということになりますと、ある程度一般的に書かなくてはいけないことになりますので、個別にこの場合はどうだ、ああだという判断がしにくくなるということがありますので、そういうことをしなくても一般的に書けるということであれば、法令上規定することが考えられますけれども、個別の事案によって判断せざるを得ないという部分が多く残るとすると、一気に法令で書き切るのは難しいのではないかという感じがしております。
差し当たって以上です。
○森田部会長 どうぞ、中川委員。
○中川委員 山本先生の今の御説明、私、法律には素人なので、全部はなかなか理解できなかったのですが、商品名を出して恐縮ですが、例えばディオバンの場合、データを改ざんして、効かないものを効く、効果がないものを効果があると言ってたくさん売った。これは、誰の目にも明らかなのです。そういうときに何らかのことができないかというのは、国民的な視点から見ても無理筋の話ではないのです。むしろ、国民的合意を得やすい仕組みだと思うのです。広告によってたくさん売り上げたのではなくて、過大な効果を捏造して宣伝して売ったということは、極めて悪質なのです。こういうことにも何もできないということであれば、この国の医療の未来は本当にないなと思うのです。
この制度部会の存在価値として、存在意義として、この違法なデータによって売り上げを伸ばした、その不当利得を社会に還元するという仕組みをぜひ考えてほしいですね。それは、我々としては、法でもいいし、行政処分でも何でもいいです。そして、その回収した売り上げの一部を国庫に返納するのではなくて、貴重な医療費を使ったのですから、医療費に戻すという仕組みであるべきだと私は思います。いかがでしょうか。
○森田部会長 最後の部分はともかくとしまして、御指摘は大変重要ではないかと思います。
○山本委員 広告規制ということで広く入れば、当然課徴金を科すといった制度は十分考えられると思いますし、それから、悪質性の程度によって額を変えるという考え方などは、これは現在の課徴金制度の中にも一部入っております。これは、当初は余りなかったのですけれども、事情によって課徴金の額をだんだん変えると。どれだけもうけたかということに厳密に対応しなくても、悪質性が高いものであれば、高く取るという考え方が出てきていますので、今、御指摘のあった点は十分対応できるのではないかと思います。
あとのほうの回収したものをどうするかという点は、景品表示法のときにも若干議論があったのですけれども、ほかの制度との関係もあって、かなりこれは検討しないと、そういうふうにするのはなかなか難しいかなと思います。ただ、議論としては、課徴金の議論をすると、常にそんな話は出てまいります。
○森田部会長 今の点ですけれども、私は山本さんとかつて同僚だったのですけれども、行政はよくわからないので、ちょっとお尋ねしたいのですけれども、例えば英米などの考え方ですと、罰則を科するときに抑止できるかどうかというのが一つの判断基準になるかと思っておりまして、横並びにどれぐらいの罰則を科すかという絶対的な尺度ではなくて、基本的にこれくらいのペナルティーがあると次からやりたくなくなるであろう。したがって、直接的な被害額ではなくて、収益の何%という形での課徴金の制度もあるかなと思いますけれども、日本ではそういう仕組みを導入するのは難しいのでしょうか。
例えば、犯罪経済学、ベンサムで有名ですけれども、発生確率掛けるペナルティーで期待値を高くする。それによって抑止を図るという考え方がありまして、これは日本の場合に発見が非常に難しいとか、今までの方法で摘発することが難しいような犯罪。特に、刑罰のペナルティーが軽過ぎて効果がないような場合には、そういう方法も考えていかないと、むしろ公共的な利益が守られないかなという気もするのですけれども、いかがでしょうか。
○山本委員 その点で言うと、アメリカが抑止ということで、刑罰に関しても非常に重い刑罰を科すということがあります。ヨーロッパの場合には、アメリカほどはいかないのですけれども、それでも先ほどの制裁金のような形で抑止をかなり前面に出して行政的な制裁をするということがあります。ですから、今の御指摘に関して申し上げれば、理屈の上では十分考えられるところだと思います。実際、研究者も、こういう金銭的なペナルティーをもっと拡充して抑止を実効的にさせるようにということを言っているわけですが、現実的な法制度のつくり方から考えた場合に、一気にそこまで持っていくのは難しいだろう。
恐らく、これは医薬品だけの問題ではなく、あらゆる違法行為について言えることですので、かなり大がかりな議論をしていかないと、現在の日本の状況は変えられないのではないかと思います。ですから、私も今の御意見に関しては、日本でも違法行為の抑止のための金銭的なペナルティーをもう少し拡充していくべきであると思うのですけれども、現実的に、まず何かすぐに制度化するという話になると、そこまで一気に行くのは難しいのではないかという趣旨で申し上げました。
○森田部会長 ありがとうございました。
行政法の専門家にぜひ大がかりに仕掛けていただきたいと思います。余計なことを失礼しました。
どうぞ。
○早乙女委員 今の意見に続いてですけれども、私ども行政も、違反の広告を見つければなるべく早くとめるようにしているのですけれども、結果的に流れているのです。流れたところを見つけてとめるわけです。そうすると、テレビCMにしても何日か流れる、不適切なパンフレットにしても何百部、何千部というものが場合によっては医療機関に流れてしまう。ですので、これは課徴金がいいかどうか、ハードルがどのぐらいかというのは私もわかりませんけれども、とにかく違反広告がやり得にならないようなスキームをつくっていただきたいなと思いますので、これはぜひお願いしたいと思います。
それから、もう一点、ガバナンスを強化するための行政措置の見直しの中で役員のお話が出ていましたけれども、こちらもこういう場なので余り細かい話はできないですけれども、資料に「役員が認識しながら」という表現がありましたけれども、私どもの知っている事例では、まれではありますが、役員が率先しという事例も残念ながらありますので、こういったところもしっかり手当てをしていただけるとありがたいなと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
どうぞ、北澤委員。
○北澤委員 誇大広告あるいは誤った広告に対して罰を与えるべきということには、私も賛成ですけれども、一方で、先ほどのお話にもあったように、既に広告は出回っています。医療用医薬品の広告、つまり薬剤師や医師など専門家が見る広告なのですから、広告を見た側が「こんな広告、おかしい」とすぐにおかしさを指摘して、安易にそれに乗らないような専門家であってほしいと思います。
そのために、薬剤師や医師の方々を対象に、広告だけでなく、全般に企業とのCOIに関して、もっと教育・研修を行っていただきたい。例えばグラフの縦軸を伸ばして効果を大きく印象付けるとか、検査値がよくなっただけなのに、あたかも病気にならずに済むように思わせるなど、素人でも簡単にわかるようなトリックにはだまされないように教育・研修を徹底していただいて、安易な誇大広告が出回らないようにしてもらいたいと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
はい。
○山本委員 最後になりますが、先ほど役員の話が出ましたけれども、現在のほかの法令上も、厳しいものとしては役員の解任命令等の制度がございます。これは、それぞれの組織のあり方について行政が介入するものですから、かなり重いものです。ですから、そんなにたくさんあるわけではないのですけれども、役員の責任が非常に重い分野であれば、役員の解任命令等を定める例はありますので、そういうことを検討することは現実に可能ではないかと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
予定した時間を少し過ぎておりますので、この件について特に御発言なければ。
加茂谷委員、最後にしたいと思います。
○加茂谷委員 本日デビューして、針のむしろに座っているような状況でございますけれども、スライド9に示されているような昨今の事例、まことに遺憾であります。このような事例を二度と起こさないよう、業界としても各企業とも真摯に取り組んでいっているということをまず表明させていただきます。
その上で、適切な品質管理、安全管理並びに情報提供活動を行うためには、企業が適切なガバナンス体制を構築していくのは当然であり、必須であります。そのような観点から、今、御提案いただいております三役のあり方、あるいは行政措置の見直しといった点が必要ではないかという点につきまして、検討の方向性については一定の理解をするものでございますので、今後、具体的な話等々がございましたときには、またコメントさせていただきますが、理解するということをコメントさせていただきます。
○森田部会長 では、一言だけ。
○早乙女委員 すみません、次のテーマに行ってしまいそうなので一言だけ。
卸の話が出ているのですけれども、偽造薬の話です。これは、私どもの経験ですと、卸の協会さんに入っているような大きなところは大丈夫なのですけれども、残念ながら小さなところに無通告で行きますと、薬剤師さんにお会いすることはほとんどできない状況ですので、現行の法令では対応は困難かなと思っています。このあたりもしっかり今後の議論の中で手当てを検討していただけるとありがたいなと思います。
つけ加えて要望です。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、次の議題2に入りたいと思います。事務局から資料の説明をいただく前に、安全対策の充実の関連で、増山参考人と泉参考人から、それぞれ医薬品医療機器法の検討に当たっての御意見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、先に増山参考人、よろしくお願いいたします。
○増山参考人
御紹介いただきまして、ありがとうございました。全国薬害被害者団体連絡協議会の増山と申します。所属は、公益財団法人いしずえといって、サリドマイドの福祉センターに当たる組織ですけれども、そこの理事をしております。
きょう、参考人として呼んでいただきました。ただ、テーマの幅が非常に広いということもありまして、何か個別の案件に対して、こうあるべきだという話になるというよりは、今ほどの議論にもあったような、医療全般の中であるべき姿というのが本当にきちんと実現できているのだろうかという趣旨で話をさせていただこうと思います。時間も限られておりますので、原稿を読むような形にはなってしまいますけれども、御了承いただければと思います。
医薬品医療機器の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律、現行の薬機法が制定されたのは、1960年にさかのぼるわけですけれども、まさにその時期というのが、当時、夢の新薬とうたわれ、サリドマイドが発売され、その中で多くの子供たちの命が奪われるという時期でもあるわけですね。その後、薬害は幾度となく繰り返されて、大体10年に一度のスパンで繰り返されていると言われていますけれども、そういう中で薬害被害が起きるたびに、何が問題だったのかということが裁判の中であぶり出されていく中で、薬事法が薬害事件によって少しずつ改定されていったという歴史もあるのではないかと思います。
ただ、1960年ですので、相当昔になるわけで、その後、日本の経済もどんどん発展していき、医療技術は確かに飛躍的に向上して、その当時、亡くなるような病気だった患者さんも、今では救うことができるという時代になったということを実感できるような時代になったのではないかということはあるかと思います。
ただ、そうは言っても、残念ながら医薬品の副作用というのは、努力とか知識で回避することは困難で、一般的な、消費者にとって一番身近な家電製品などの商品と違い、消費者みずからが医薬品という商品そのものを自分が服用したからといって、そのよしあしを判断するのは難しいということには変わりないのではないかと思いますし、またほかの商品と違うところは、開発に膨大なお金がかかってくるわけですね。
そうすると、承認を受けて商品となった瞬間に、それまでにかかってきた開発費、あるいはこれからかかる宣伝費などを回収しなければいけない。相当な努力をもって回収しなければいけないという宿命を持ったものであるということが、いろいろな医薬品を取り巻く問題のベースにあるのではないかと感じています。
また、認可した医薬品に問題が起きれば、責任が問われる国とか製薬会社とか専門家がその問題を収拾していかなければいけない。でも、その人たちこそが問題があるということになれば打撃を受けるという構造の中にあるために、これまでの薬害事件の中では、結果としては情報分析を非常に曖昧なものにしてしまったり、誤らせたり、曖昧にすることで被害の拡大を加速させたということが指摘されていると思います。つまり、副作用による健康被害を人災という域に到達させたというのが薬害事件というものだと言われているわけですね。社会構造が薬害事件を生んでいると言われているわけです。
ところが、それまでの時代とはまたちょっと変わった、薬機法に影響を与えたものというのは、もともと薬というのは国策だと思うのですけれども、とりわけ2000年以降は経済がずっと低迷していた中で、行政全般を見直して新たにそこに経済の活路を見出していこうというかじ取りが行われたと思いますが、その中で医薬品販売制度というものが非常に大きく変わっていきました。
当時、どんなふうに言われて見直しを行っていたのかというと、環境が変化していく中で、制度もそれに合わせるべきだということ。それから、情報提供が不十分なので、登録販売者を設置して消費者に、患者さんにと言いかえてもいいですね。十分な情報提供ができるようにということで、ちょうど薬学も6年制になったということもあって、より専門家の力を発揮できるような環境づくりをしようという話だったと思うのです。しかし、私はこの改正のときに参加したのですが、今、ここで申し上げられることは、猛省を促したいということです。どういうことなのかというと、今のこの状態に納得できていないということになるわけです。
一般的にこういう場で個人の体験を話すということで、例えば制度の評価に体験をベースにするということは余り適切ではないと思うのですが、今回、参考人として来ていただきたいということを言っていただいたときに、資料の中にも、安全性に関して、どのように考えるべきだというものがなかなかなくて、余りにも範囲が広いので、自分の体験を話しながら、現状、これはどうなのかという問いかけをさせていただきたいと思います。
患者のための医療と言われるようになって久しいわけですけれども、私はちょうどこの改正にかかわった後に、命にかかわる病気の告知を受けるという経験をしました。がんですけれども、そのときに私自身が、この改正が本当に患者にとってどういうものだったのかということを、治療を通して濃厚な病院とのかかわりがあり、その中で、これはどうだったのだろうかということを非常に考えるきっかけにもなりました。私の場合は、まだ術後、痛みがある中、1週間ぐらいで退院させられるわけですけれども、そのときに通院しながら治療を一生懸命受けることになります。5年ほど通院するのですけれどもね。
そこの中で、例えば実際に自分が病院にいたときの状況を知らない薬剤師さんに薬をもらうことになるわけですけれども、その中でも、例えば体調の悪い日も雨の日も風の日も、長い診察が終わって、ようやく薬局まで出向いて自分の薬をもらうことになるわけですけれども、そこでも30分以上、待たなければいけないということがある。そこで十分な情報提供をできるようになっているのかというと、自分の背後には薬を待つたくさんの患者さんがいて、何もパーティションのない中で、自分がどんな病気で、どのような治療を受けてきたのかという経緯を時として説明しなければいけないという実態があるわけですね。
では、そんな中で患者さんが自分の聞きたいこと、相談したいことができるのだろうかというと、できないような状況の中にあるということで、これは患者が安心して安全が確保されている中で治療を受けるということが担保されているのだろうかということを、毎度思いました。
また、せっかく新設した登録販売者も、当時は薬剤師が非常に忙しく、十分に対応し切れないということから、一部を担うという話でしたけれども、実際には登録販売者のほとんどは、例えば家電店やスーパー等で医薬品販売に携わっていて、当初考えていた情報提供を十分に受けるという環境をつくることができなかったのではないかと思います。
済みません、時間がかなり迫ったので、ちょっと飛ばさせていただくと、こういう個人的な経験が、いろいろな薬の今、起きているさまざまな問題に普遍的にそこに通ずるものが何かあるということを言っているわけではありません。ただ、これが患者さんの現状だと私は感じています。
私、治療を受けたときに、時として、例えば駐車場とか病院のロビーでうずくまる人を見かけることがあって、どうしたのかと尋ねると、例えば再発して、今後どうしたものかと本当に肩を震わせ、涙する人の姿を何度も見ることがありました。そのときに、そばには医師も薬剤師も看護師も専門家もいない。そういう中で、患者がどれだけ心細い思いで病気と闘っているのかということを本当に思い知らされることが多々ありました。
例えば、ここに多くの専門家の皆さんがいて、医療制度について考えるわけですが、薬機法ができた当初は、安全基準とか衛生基準といった国際基準に合わせるということが主な制度改正であったと思いますが、2000年以降は、制度の見直しがどちらかというと医療に携わる、言ってみれば専門家は、もう一方で受益者でもあるわけですね。そういう人たちが、例えばネット販売とか一般用医薬品販売といった多くの販売制度あるいは薬事行政に携わっていくということに、そこにいろいろな今、起きている問題の根源があるように思っています。つまり、そこに限界を感じるということがあります。
医療がどうあるべきかということは、いろいろな視点で見るとさまざまな意見もあるかと思いますけれども、少なくても患者自身が常に医療というのは患者のためにあるということを実感できるような、そういう医療行政であってほしいと思いますし、これまでの医療行政の改革が本当に患者のためになっていたのかどうなのかということを、いま一度、行政官も含め、本当にこれでよかったのか。例えば、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師。あえて具体的に言うと、お薬手帳といった制度が患者のためになっていると患者が実感できているのかどうかということも含めて、患者が医療を信頼して初めて安全が担保されると思っていますので、ぜひそのあたりを御検討いただければと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、泉参考人、お願いいたします。
○泉参考人 全国薬害被害者団体連絡協議会の肝炎の世話人をやっております、薬害肝炎の全国原告団の泉祐子と申します。
きょうは、意見書としてペーパーを見ながらお話しさせてもらいたいと思います。薬被連は、10の薬害の被害者団体が加入して構成されていますが、きょうは、私は薬害肝炎の被害を受けた立場から、現在、薬機法改正の御議論をされています先生方、厚生労働省に私の意見を述べさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
なお、本来、紙面で出したかったのですが、薬被連の会議が本日以降の日程にあって、また医薬品医療機器制度部会はこの先、かなりハイピッチで審議がされることから、その会議を傍聴し、団体名で出す必要があれば、その手続をとることとし、本日は、先ほど申し上げましたように、加盟の1団体、薬害肝炎被害を受けた遺族としてお話を申し上げます。よろしくお願いします。
まず、私たちはかつて、世の中から薬害がなくなるように全力で取り組むという言葉を、薬害肝炎訴訟で厚労省と和解し、そのときの基本合意で設置された薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会、非常に長いので検討委員会と言いますが、この結果、最終提言をまとめて厚生労働大臣に提出したときに、先ほどの言葉は厚生労働大臣が発した言葉でした。
この委員会は、パブリックコメントはもちろん、被害者あるいは企業関係者からヒアリング、PMDA並びに厚労省職員へのアンケート調査報告。もちろん、薬害肝炎がなぜ起きたかの検証班を厚労科研費で報告をまとめ、薬事行政全体に対しての意見具申をまとめていたものです。23回の委員会では、医薬品行政のあり方をできる限り多岐にわたって検討し、提言書をまとめましたが、前置きが長くなりましたが、その11カ月後の平成23年3月から、本日と同じように医薬品等制度改正検討部会が設置され、改正薬事法を目指して委員会が始まっています。
このときの取りまとめの「はじめに」の一部を抜粋すると、「本検討部会で『最終提言』を踏まえ、医薬品・医療機器等の安全対策の強化について議論してきた」とあります。この成果が現在の薬機法となります。平成25年度に成立した現在の薬機法から5年がたとうとしておりますが、薬事行政では、その間に幾つもの大きな薬事法違反、薬機法違反がありました。先ほど説明がありました、本日、資料1の31ページには、いろいろな違反が書かれています。
その中でどうしても許せない、怒りがおさまらないのが、承認書と異なる申請で血漿分画製剤をつくり続けてきた化血研問題の話です。この問題は、厚生労働省側の責任でもあると強く思います。なぜ長いこと、これができたのか。しかも、つくり方は承認書と違っていたかもしれないけれども、安全性には何も問題ない。よいものをつくろうとしてやっていたという意識だったと、第三者委員会報告書にありました。隠せるものは隠してしまうなど、医薬製造業者になっては絶対いけないと思います。
私たちの被害も、製造者は気づきながら、厚労省の回収命令が出るまで厚労省の後ろに隠れるように存在していました。承認取消や発令がおくれただけでなく、特に私たちの場合は、厚生労働省が418人の患者のリストをメーカーから提出させて持っていながら、それを患者に知らせず、重篤のまま亡くなった人も何人かいます。私の姉もその418リストにあって、亡くなった1人でした。
資料1のページ6の下のところです。検討が必要な事項等と書いてありますが、下の丸に、品質保証責任者及び安全管理責任者について、現状、省令に規定されているが、これを法律上に規定し、総括製造販売責任者等の関係性を追記するとともに、それぞれの責務を明確化する必要はないかと書かれていますが、ぜひ責務を法律で規定してほしいと強く願います。責任はどこにあるのかをわかりやすく示すことができるのであれば、ぜひ検討ください。
また、同じく資料1のページ11の下段の注2に米国における例が書かれていますが、先ほど委員の先生にも御意見を伺いましたが、注2にはこのように書かれています。「このほか、米国においては、役員等の個人が、医薬品の開発・承認等に関して違法行為を行い、有罪判決を受けた場合に、当該役員等の個人に対し、医薬品の承認を受けた者又は承認申請者に対する一切の業務の提供を禁止する処分(Debarment)も存在する」とあります。FDAのホームページには、このDebarment List Updatesとして、ホームページに会社名だけでなく、個人名も公開されているようです。
このように断固として違反したものは許さないというのは、必要なときもあると思います。これを徹底的にやるには、無罪・有罪にかかわらず、日本で言えば薬事法違反で法令違反をする者は、どういうふうに許可を与えないのか、どういうふうに罰するか。こんなことに規制緩和は絶対しないでほしいと強く望みます。
さらに、1の16ページと17ページには、先ほども話がありましたが、違法行為による経済的利得に対する是正措置についてで言えば、人的処罰があっても、経済的利得をそのままにしていては、もしこれらで重篤な副作用被害が出ていたとして、この不正事例をこのままでよいのでしょうか。副作用の重篤性を二度と繰り返さない体制をつくるには、過去に学んでもらいたいと思います。経済的利得をそのままにしていては、絶対にいけないと思います。
資料の中に平成29年4月24日の参議院決算委員会のどなたか議員の先生の発言が出ていましたが、うそや改ざんなどで薬事法の制裁を受けても、それでも利益を上げるということであったのであれば、精査・還元されるべきだと思うという発言はそのとおりで、先ほど委員の先生方もその措置を考えるようにと注文を出されていましたが、私も厚生労働省には、ぜひここをしっかりと考えていただきたいと思います。
この後、資料2をなさると思うのですが、私は資料2のページ55にある副作用・感染症報告件数の推移について、これは医薬品関係者の報告義務化はもちろんですが、患者に薬を使用するとき、患者の状態と使う薬の適応性を判断するのは、医療機関というよりも、ここは医療機関からさらに踏み込んで医者とすべきではないでしょうか。報告義務化が病院単位であるとしても、いまだにPMDAとはどのような組織か知らない医者もたくさんいます。まず、医師にPMDAのアクセス登録を全登録させるべきではないでしょうか。被害は報告して終わりではないのですから、救済制度があるのです。
この救済制度は、医師によるところの診断報告が必要であり、PMDAや救済制度を知らない医師に、それはできません。一方、患者はこの制度を知ったとしても、かかりの医師が協力してくれなくてはどうにもできません。副作用救済制度は何のためにあるのかということを原点に戻って考えれば、これを一般的、誰にでもわかるような形で設置されているものと考えるべきです。
お医者様の話をすると、医薬局ではなく、厚生労働省内の垣根をまたぐと思うのですが、この制度を徹底するためには、病院単位ではなく、医者全てを対象に登録して、添付文書はもちろん、副作用の被害救済及び報告、そういうものを知らないお医者様がまだいるという現実を考えてください。この副作用救済制度があっても、これを使えない状況にしておくのは、私は厚生労働省の怠慢だと思います。アクセスしやすいように、患者のみでなく、医者にもそれを勧めるように義務づけてください。
さて、今回のメーンテーマの条件付き早期承認制度について、最後に話をさせてください。まず、平成29年10月20日に医薬品審査管理課長通知で、これから次の薬機法でつくろうとしているときに、なぜこの事案を先に通知したのでしょうか。検証的臨床試験の成績を求めることなく、市販後に承認条件として調査をするということは、これまでも個別取り扱いがあったのですから、わざわざこの時期に出すことがあったのでしょうか。今回は、それを治験薬単独群の臨床試験データのみで最初から正式認証するという、新たな制度の取り組みになるのですから、慎重にやっていただきたいと思いました。
厚労省は、産業強化総合戦略として、2017年12月に改定された薬事規制改革などを通じて、コスト低減の戦略とグローバル展開を目指しています。これは、患者にも早期に利用できるのであれば有意義ですが、医薬品の評価をリアルワールドデータに、今、始まったばかりのデータをどのぐらいまで頼ったらいいのでしょうか。始まったばかりです。頼り過ぎてはいないか、一度振り返ってみる必要があると思います。これがランダム化比較臨床試験で証明できて販売をする承認が得られてきた医薬品の、有効性・安全性にかわることが100%できるか。これはとても大切で、世界に先駆ける必要は余りないと。ここで下手な競争をするよりも、米国も欧州やようやく着手しているところですから、日本は日本で実験的に繰り返して成果を出していってもらいたいと思います。
時間が余りないので、この辺で終わりとしますが、せっかくAMEDもでき、そして新たな取り組みを日本として戦略的にやろうとしているわけですが、その基盤となるところをおろそかにすると取り返しがつかないことになると思います。私たち薬害被害者は、そういう形の人的被害でここまで被害を増加させてしまった過去を考えていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○森田部会長 貴重なお話、ありがとうございました。
それでは、ただいまの参考人の御説明について御意見、御質問があれば御発言をお願いしたいと思います。ただ、これはいずれも大変重い課題でございまして、議論を続けておりましたら、私が予定した時間よりも20分から30分ぐらいおくれております。その意味で言いますと、その点も御配慮いただきたいと思います。
それでは、どなたか御発言ございますでしょうか。
どうぞ、北澤委員。
○北澤委員 貴重なお話ありがとうございました。
泉さんが最後に言われた、前回の議題であった早期承認制度ですけれども、私も全く同感です。つまり、患者レジストリを用いた観察研究で本当に有効性が証明できるのか、ランダム化比較試験を代替できるのかについては、かなりの議論があるものと思います。RCTの実施が難しいからという理由で本当に代替できるのかについて、もっと専門的な議論も必要ですし、検討を重ねてもらいたいと思います。そうでないと、有効性があるのかどうかわからない薬が承認されることにならないだろうかと大変危惧しております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、本田委員、どうぞ。
○本田委員 済みません、本当に一言だけ意見というか、感謝の言葉と思っているのですけれども、増山さんがおっしゃっていた、患者が医療を信頼できて初めて安全が担保できるのだという思いは、私も患者経験者としてすごく感じています。いろいろ言いたいことはいっぱいあるのですけれども、時間がないということだったので、かかりつけ薬剤師の問題にしても、お薬手帳の問題にしても、制度のための制度みたいなことがどんどんできてきて、それが本当に患者の役に立っているのか、ひいては医療全体の役に立っているのかということを受けとめて、同じように考えて議論したいと思っています。
きょうは、本当にありがとうございました。
○森田部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
赤池委員。
○赤池部会長代理 私も薬学、それから薬剤師の制度にかかわってまいりまして、今のお二方の御発言を非常に重く感じました。
ただ、かかりつけ薬局等につきましても、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、私どもも、患者さんのためになるということを前提に制度について考えておりますので、その点につきましては、さらに御意見をいただきたいと思います。これは当然ですけれども、薬剤師・薬局のためではございません。そういった点で、御発言の中にございましたけれども、最終的に患者さんが実感できるということが非常に重要だろうと思います。ただ、それは当事者だけではどうしてもできないものですので、いろいろと御意見をいただくことが非常に重要かと考えておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
あと、先ほどの条件付き早期承認制度につきましても、私も非常に慎重な検討は絶対にすべきであると思います。ただ、一方で、例えば個別化医療ですとか、従来のランダム化試験ということが大規模に行えないような医療も進んできているということがございます。もちろん、過ちを繰り返してはいけない。また、その可能性はどんどんつまないといけないということではございますが、焦って行うということではないですけれども、しっかりと真剣に検討していくということは重要かと考えております。
以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。よろしいでしょうか。
時間も押しておりますので、御意見はまだあろうかと思いますけれども、次の議題に移らせていただきます。事務局から資料2の説明をお願いいたします。その後、また御議論をお願いいたします。
どうぞ。
○佐藤医薬安全対策課長 医薬品安全対策課でございます。
資料2、テーマ1に関する現状の(2)ということで、承認整理時の安全性情報等の取扱い、添付文書の電子化、トレーサビリティの向上について御説明申し上げます。
お手持ちの資料37ページでございます。承認整理時の先発医薬品の情報ということでございますけれども、薬価改定におきまして、後発品が一定程度市場に普及したものについて、長期収載の先発品について市場から撤退することができる仕組みに今後なっていくということでございますけれども、そうした場合に、先発企業の医薬品をどなたかに承認を承継するということではなくて、承認の整理、つまり承認を取りやめてしまうというケースも出てくるだろうということでございます。
38ページに、そういった場合の今後、起こり得る部分での問題点というものも書いてございますけれども、必要な情報、副作用情報ですとか安全対策措置の根拠ですとか、過去のそういった情報の蓄積について、承認整理をしてしまった後にアクセスができなくなってくるような事態が起こるのではないか。そういったケースを踏まえまして、先発医薬品の承認整理後であっても、その情報が必要に応じて活用できるように、先発医薬品、後発医薬品、その他のいずれかの製造販売業者に適切に保管を義務づける制度が必要ではないかという問題意識を示させていただいてございます。
続きまして、40ページでございます。添付文書の取扱いということですけれども、さきの法律改正、平成25年の改正で、添付文書の記載内容について、届出をする、PMDAのホームページに掲載するという仕組みができ上がってございます。現在は、製品に同梱される添付文書、紙の情報と、こういう形で届出をいただいてPMDAのホームページを通じて公表されるものと、2ルートの情報提供がなされてございます。
41ページでございますけれども、さきの25年の改正の中で、添付文書の同梱の省略ということで、医療機器とか体外診断用医薬品については、医療機関の承諾を得ている場合には添付を省略できるということが規定されてございます。
一方で、納入先の医療機関の求めというものが現実にある状況の中で、製品として出荷時に同梱しているものと、していないもの、双方を製造するのは逆に非効率になるということで、結果として添付文書を同梱することとなって、この特例はほとんど活用されていないという現状であります。
諸外国の状況でございますけれども、欧州については、医療従事者向けの添付文書については、電子的な提供がされており、米国についても、そういった方向での改正を検討しているという状況でございます。
43ページですけれども、添付文書の電子化等につきましては、前回のこの部会でも業界団体からの意見・要望もございましたけれども、添付文書の改訂の情報が速やかに現場に届いているかという部分、また、紙資源の浪費という御指摘もございます。一方で、電子的な添付文書については、医療機関等の情報検索の業務負担とかインターネット情報等へのアクセス等の確保というものも課題になってくるということで、論点を書いてございますけれども、紙媒体の封入による提供方法においても、例えばプッシュ方式で御案内を行うことなどによって、更新情報については電子的な最新版を参照いただくような仕組みが有効であるか。
また、仮に一歩進めて、電子的な添付文書を主とする場合について、並行して必要に応じ紙媒体を提供するなどの安全性情報が適切・確実に伝達されるようなことを確保する方策があるかどうかという状況を踏まえて、この電子化について御検討いただきたいと思ってございます。
あと、45ページですけれども、医薬品におけるトレーサビリティというところです。現在、医薬品・医療機器にバーコードを表示する。それが、物流ですとか医療現場での、例えば取り違え防止とか回収ロットの特定ですとか、そういう情報にも活用されることが期待されるということで、医薬品・医療機器ともにGS1規格のバーコードが振られることがだんだん進んできている状況にございます。
46ページに医薬品・医療機器のバーコード表示の実例を絵で示させていただいてございます。
47ページですけれども、欧米の規制においても、このバーコード表示を製品に義務づけるという新しいルールを施行してございまして、おおむね10年ずつぐらいの経過措置期間をとりながら、こういったものを付番していくという形になってございます。
翻って日本の現状ですけれども、48ページです。医薬品も現在、法律ではございませんけれども、通知ということで行政指導でバーコード表示をお願いしていますけれども、調剤包装単位、販売包装単位については、商品コード100%、ほぼこういう状況で表示されてございます。
続きまして、49ページ、医療機器のほうの現状ですけれども、医療機器も通知によりましてバーコードを普及している状況でございますけれども、GS1バーコードの表示割合ということで、特定保険医療材料で98.7%、高度管理医療機器では69.8%等々の状況になってございます。
50ページ、検討が必要な事項ということですが、こういったバーコード表示は一定程度進んできているところでございまして、行政指導により普及しているところでございますけれども、さらに制度的な枠組みが必要かどうか。
また、そのバーコードを活用したトレーサビリティの向上について、運用のメリットやコストの分析を含めて、さらに普及するためにどういった課題があるのかを検討する必要があるのではないか。
また、ビッグデータの活用において、こういった商品コードを紐づけることにも今後活用できるのではないかといった観点での検討が必要ではないかということで、お示しさせていただいてございます。
事務局からは以上になります。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明につきまして御意見、御質問があればお願いいたします。
では、三村委員、どうぞ。
○三村委員 先ほどのバーコードの話でございますが、厚労省も熱心に取り組んでいただいておりますし、それをある意味で後押しする形で、制度的な対応をぜひやっていただきたいと思っております。これは、明らかにトレーサビリティに当然、貢献すると思います。また。本日の議論の中に入っていなかったのですが、卸売業者の営業所における安全管理の話も先ほどございました。
従来でありますと、確かに営業所ごとに商品が置いてありますし、そこで取引先とか薬局ごとにMSの方が取り揃えなど対応しなければいけないということも当然あったのだろうと思うのですけれども、情報システムの高度化が進みますと、一つのサプライチェーンとして商品は流れていきますので、現状にあわせて管理薬剤師配置の必要性とか、それから管理薬剤師の役割をもう少し精査していくことをお願いしたいと思います。先に、この情報システムの高度化、それにあわせたサプライチェーンの整備ということが進められていきますと、卸の営業所のあり方がもう少し明確にされるという感じがします。
それから、もう一つ、先ほどありましたように、返品の問題と関連した安全性の問題が当然入ってきますので、返品処理にどういうふうに対応するかという議論もそこと関係いたします。先ほど、営業所の担当者、薬剤師の方が返品処理について個別に判断するという文書が入っていたのですが、そうではなくて、もう少し一元的に処理されるような方法が出てくるとよいと思いますから、これと卸の営業所における安全管理とか安全対策、トレーサビリティのあり方とあわせて検討していただくほうが現実的かなと思っております。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、山口委員。
○山口委員 私は2つございます。
まず、添付文書の電子化ですけれども、添付文書は患者もネットで見られる時代になっていて、更新されたもの、改定されたもの、一番新しいものはインターネットで検索したときに出てくるものだと思います。そういうことからすると、紙媒体で常に新しいアップデイトされたものを手元に置いておくことは、ちょっと非現実的ではないかと思います。今、全面的に全てを電子化するということはいろいろな意味で無理かもしれませんけれども、電子化に今後移行していくというのは当然の流れではないかなと思いますので、古いものを見るのではなくて、一番新しいものを見て患者に情報提供していただくためにも、電子化ということはぜひ進めていただきたいなと思います。
それから、もう一つがバーコードのことですけれども、最終的に患者の安全ということを確保することと、何かあったときに追跡できるということからしますと、多少コストとか手間はかかるかもしれませんけれども、企業の側の保険だと思っていただいて、患者の安全を守るために寄与するという面でも、このバーコードというのは義務化するぐらいのきちんとしたものに進めていただきたいということが意見でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
乾委員、どうぞ。
○乾委員 まず、添付文書の電子化についてでございますけれども、医薬品を取り扱う立場といたしましては、常に最新の情報に基づいて業務を遂行するということが不可欠でございます。そのようなことを考えれば、添付文書の電子化によって得られるメリットは非常に大きいと思いますし、その大きな方向性については、当然ながら理解できるところです。
ただし、いきなり全て電子化というのは、先ほど山口委員からもありましたけれども、オール・オア・ナッシングは現場の混乱を来すことになりますので、ぜひ医療機関・薬局の必要な人に必要な情報が確実に届く方策の担保を前提に、製薬企業にとっては紙と電子の2つの媒体が存在するのは非効率かもしれませんけれども、電子化を推進するという大きな方向性のもとで、当面は共存が必要ではないか。大きな流れとしては、もちろん電子化へ進んでいくべきだと思います。
それと、もう一つは、トレーサビリティについても高度化というのは当然ながら進んでいくと思いますけれども、ビッグデータの集積・解析への活用というところだけ、個人情報等、極めて慎重に対応した上で進めていただきたいと考えています。
よろしくお願いします。
○森田部会長 ありがとうございます。
では、村島委員。
○村島委員 多分、この中では少数派の処方をしております医師の立場から、まだこの電子化について議論していることにむしろ驚いているぐらいで、5年ぐらい前にPMDAのホームページにアクセスして添付文書を確認していた覚えがありますが、最近は身近に添付文書があったとしても、若い先生も私ぐらいの世代もみんなスマホとかで検索して、添付文書を外来でも見るような現状がありますので、私は紙の資源、人間の資源、いろいろな資源を考えると、製薬会社さんももうちょっと効率よく使っていただきたいと思います。ですので、紙の添付文書をアップデイトする作業等を考えましたら、その能力をもっと有効に使っていただきたいというのが医師としての意見です。
○森田部会長 ありがとうございます。
では、中川委員。
○中川委員 今の議論の流れに反しますが、紙の添付文書は製薬メーカーのコストという面以外に何か問題ありますか。若い人は、もちろん電子化して、先生がおっしゃったようにどんどん見ますよ。だけれども、高齢の医師とか現場の医師は、まず紙を見るのです。その上で、更新情報は電子化のデータを見ることで、何の問題もないのではないか。そして、新しく製造、梱包するときには、リニューアルした紙の添付文書を同包する。そのぐらいの安全性を考えると、いろいろな医師がいるのですから、医師でも若くてICTリテラシーの高い人ばかりじゃないですよ。そういうことも考えながら、両方やってください。
メーカーは、そのぐらいの利益は上がっているし、余力は十二分にあるはずです。むしろ、全てデジタル化しろと言うこと自体が、製薬メーカーの視点から、ちょっと上から目線だなという気がしてなりません。デジタル化自体は全く賛成ですが、紙も絶対残すべきだと。時期が来たら紙はなくなるでしょうけれども、時期尚早だと思います。
以上です。
○森田部会長 はい。
○村島委員 私も移行時期はあってもいいと思いますけれども、資源というのは限りがあると思うのですね。今回、この審議会の委員にさせていただきまして、いろいろな議論に参加させていただいていますけれども、いろいろなことに取り組まなければいけない中で、取捨選択が必要な場面もあると思いますので、ぜひこれは電子化に向けて速度を上げて移行していただきたいと思います。
○森田部会長 どうぞ、久芳委員。
○久芳委員 医療機器産業会の立場でコメントさせていただきます。
まず、今の添付文書の電子化についてでございます。42ページで医薬品についての欧米の状況は紹介していただきましたけれども、医療機器関係の状況を御紹介しますと、結論としては、両方とも既に、欧州は2012年から、米国は2002年からだと認識しておりますけれども、電子化が認められているということでございます。
それと、もう一つ、医療機器としては、その多様性というところがございまして、添付文書だけで良い機器と、添付文書に加えて取扱説明書が必要な機器と2種類ございますが、欧米の例で言いますと、取扱説明書が必要な機器について添付文書という追加の概念そのものがないという認識をしております。そういった医療機器としての多様性も考慮していただきたいと考えております。
それから、電子化については、前回、業界として提案させていただきましたけれども、求めがあれば紙の添付文書を届けるという条件を、これは欧米についても同じですけれども、そういう条件をつけた上で、ぜひ電子化を明確に認めていただければありがたいと考えております。
それから、同じく改訂についての最新情報を得るという点だけが記載されておりますけれども、実際には最初の製品発売のときも、当然ですけれども、承認番号を添付文書に入れるということですので、承認番号が決まってから最終的な印刷。それから、例えば海外でつくっているものですと、その後に船便で持ってくる等々考えると、すぐ何カ月かかかってしまうということもございますので、そういったこともあわせて、ぜひ業界としては電子化を推進するということを希望しております。
もう一つ、UDIについても、先ほど申し上げました医療機器の種類の多さといいますか、性格の違うものがいろいろあるというところで、例えば本体表示というところも検討事項として挙げていただいておりますけれども、いわゆる鋼製器具等と、例えば画像診断システムのようなものと一律に扱っていいのかという点をぜひ検討していただきたいと考えております。
決定に当たっては、ここで挙げていただいていますように、実際にどういうメリットがあるのか、それから、そのためのコストがどうなるのかというところを考えながら、医療機器としての多様性も考慮していただいて、ぜひ議論を進めていきたいと考えております。
よろしくお願いいたします。以上です。
○森田部会長 では、中川委員。
○中川委員 医療機器については、私、必ずしも反対じゃないのですけれども、医療機器においては取扱説明書と添付文書はどういうふうに違うのですか。
○久芳委員 取扱説明書というのは、機器を実際に操作する上での手順といったものを全て漏れなく記載するものになりますが、添付文書の場合は分量も限定されておりますので、その中で禁忌・禁止事項ですとか重要な要件を絞ってまとめた文書という扱いでございます。
○中川委員 医療機器の場合は、想定は1回1回ディスポーザブルじゃないですね。繰り返し使用する医療機器。
○久芳委員 両方ございます。
○中川委員 繰り返し使用する医療機器について、私は添付文書を電子化することには反対ではありません。ということです。
○森田部会長 では、阿真委員、どうぞ。
○阿真委員 医薬品の添付文書の話に戻ってしまうのですけれども、中川先生とか村島先生とか、紙で届いてもPMDAのホームページからでも、最新情報をとっていこうという先生方ばかりでは実際なくて、先ほども参考人の方がおっしゃったように、PMDAのホームページにもアクセスを余りしなかったり、最新情報をとりにいこうということも余りしてくださらない先生も実際にはいらっしゃって、そういうことを減らしたいという観点から言うと、紙がないというのもメリットというか、紙がないということで、最初からそこに最新の情報をとりにいかなければいけないという感覚を持っていただける。
すごく失礼なことを言っているのは自覚しているのですけれども、実際には最新の情報をきちんととりにいこう、副作用の情報がどうなっているかをとりにいこうという先生ばかりじゃ、本当に残念ながらないのもあると思うのです。そうすると、紙がないとなったら、まずはそこにアクセスしなくてはいけないという感覚を持っていただけるのではないかと、その希望のようなものを感じるので、すごく失礼なことを言っていると思うのですけれども、先生方のことではなくて、こういうことに全然参加してくださらない先生について意見を言いました。
○森田部会長 中川先生、終わりに近づくと議論が盛り上がってくるようですけれども、その辺も御配慮願います。
○中川委員 盛り上げるつもりはないのですけれども、今の意見はそのとおりではあるのですが、最新の情報が出たということが現場の医師はなかなかわからないのです。だから、最新の情報、添付文書の更新情報が出たというのは、メーカーの責任として、全医療機関というのは不可能ですけれども、そういう医薬品を使っている医療機関にはプッシュ型で情報発信しなければいけないのです。そして、デジタルのものにアクセスするとしなければだめです。紙があるからアクセスしないのではないのです。最新の情報が出たということがわからなければならないのです。
その努力は、非常にメーカーの負担になると思いますけれども、やっていると思うし、これからもぜひもっとやってください。加茂谷さん、そうですね。
○森田部会長 どうぞ。
○平井委員 ごめんなさい、ちょっと違う観点でバーコードの件ですけれども、よろしいですか。
○森田部会長 では、ちょっと後にして。今の添付文書の件ですか。
○山口委員 阿真委員のご意見について。恐らく紙が入っていたとしても、御指摘のようなドクターは紙もあけないと思います。入っていてもあけない人がいるということを聞いています。そうすると、もし紙がなければ最新の情報にアクセスするということが出てきたときには、そっちにアクセスしたほうが確かな情報になるのではないかと思います。残念ながら梱包されているから、みんな見ているかというと、恐らく最新のものにアクセスする方は両方ごらんになると思います。あけて見ようとしない方がいるところに問題があるのではないかと私は思います。
○森田部会長 加茂谷委員。
○加茂谷委員 今、中川委員のほうからメーカーへ期待ということで、速やかな情報提供というお話がございました。私どもが属している日本製薬団体連合会では、DSU、ドラッグ・セーフティー・アップデイトという冊子を月1回程度、発行しております。その内容を約24万軒の医療機関、調剤薬局や薬局の先生方を含めて郵送している状況でございますので、そういった意味では網羅性の高い安全性情報を私どもとしては提供させていただいている現状を報告させていただきます。
○森田部会長 ありがとうございました。
今の関連で。では。
○牧野委員 添付文書のお話が出ていますけれども、今、医療機関から薬自体が医薬分業でなくなってきているのですね。ですから、私のところも薬は置いていなくて、薬局への処方箋ということですから、添付文書というよりは、ほとんどの医療機関はデジタルデータで見ると思います。ただ、きょうもそうですけれども、資料のタブレットがありながら紙も配っているわけですよ。我々の世代は、プリントアウトしないと頭に入ってこないということもあるので、何か一つに限定するというのはちょっと難しい面はあるかなと思います。
それから、我々、医療機関ではイエローカードと言っているのですけれども、DSUなる黄色い冊子が毎月送られてきていますので、それで自分の使っている薬の情報で新しいものが出たのだなというアップデイトはしているつもりであります。
○森田部会長 お待たせしました。どうぞ。
○平井委員 バーコードの話ですけれども、非常に重要なことで、これを進めていただくのはありがたい。ただ、たまに変わったりすることがありますね。そのとき、医療機関は結構大変なので、変更するというときには、ある程度の準備期間をちゃんと置いていただかないといけないのと。
それから、病院にいたころの経験ですけれども、バーコードを読む機器が余りよろしくないのです。看護師さんがやっているのですけれども、うまく当てないと読んでくれない。最新のデータのアップデイトの話もあるのですけれども、機器の開発に関してもあわせて指導していただきたいなと。神戸大学がケチって、いい器械を使っていなかったのかもしれないですけれども、電子カルテとの関連性もあって、みんな現場で苦労していたみたいなので、そのあたりもあわせて検討していただきたいなと思います。
よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
予定された時間はもう過ぎておりますので、これくらいにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございました。それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。まだ尽きないところだと思いますけれども、それはまた改めてということで。
最後に、事務局から連絡事項がございましたら、お願いいたします。
○屋敷総務課長 ありがとうございます。
次回、第4回となりますが、7月5日木曜日、16時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○森田部会長 ありがとうございました。
ということでございますので、本日はこれにて閉会とさせていただきたいと思います。
参考人のお二人もありがとうございました。また、ほかの委員の方も御出席ありがとうございました。これで終わらせていただきます。