雇用・労働労働協約の拡張適用について

労働協約

 労働協約とは、労働組合と会社との間の約束のことをいい、双方の記名押印等がある書面で作成された場合にその効力が発生します。ここに定める労働条件等に違反する労働契約や就業規則は、その部分が法的に無効とされます。
 また、労働協約は、一定の要件を満たすことで拡張して適用されます。

ページの先頭へ戻る

一般的拘束力

 労働組合法第17条において、「一の工場事業場に常時使用される同種の労働者の四分の三以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の労働者に関しても、当該労働協約が適用されるものとする。」とされています。
 労働協約は原則として、労働協約の締結当事者である使用者並びに労働組合及びその構成員のみに適用されるものですが、本条は、労働協約が所定の要件を満たす場合には、その労働者側の適用範囲を協約の当事者以外の者にも拡張するというものです。
 この制度は、多数労働者により組織される労働組合が、いわゆるアウトサイダーの存在によってその団結が侵されることを防止すること等を目的としています。

ページの先頭へ戻る

地域的拡張適用

 労働組合法第18条第1項において、「一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該労働協約の当事者の双方又は一方の申立てに基づき、労働委員会の決議により、厚生労働大臣又は都道府県知事は、当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約(略)の適用を受けるべきことの決定をすることができる。」とされています。
 この決議及び決定については、労働組合法施行令第15条において、
● 申立てのあった一の地域が、一の都道府県内にあるときは、当該都道府県労働委員会及び当該都道府県知事が行い、
● 申立てのあった一の地域が、二以上都道府県にわたるとき、又は中央労働委員会において当該事案が全国的に重要な問題に係るものであると認めたときは、中央労働委員会及び厚生労働大臣が行う(注)
ものとされています。
 本条は、労働協約が一定の要件を満たし、拡張適用を申し立てた上で厚生労働大臣又は都道府県知事が拡張適用の決定したときは、労働協約の適用範囲を一の地域内で従業する他の同種の労働者及び使用者にも拡張するというものです。
 この制度は、所定の要件が満たされた場合に、申立てのあった労働協約に定める労働条件を地域における公正労働条件とみなして、協約当事者である労使以外の労使にも適用することで、労働条件の切下げ競争を防止し労働条件の維持改善を図るとともに、労働者間、使用者間の公正競争を確保しようとすることを目的としています。


 
  •  注)厚生労働大臣が決定した事案はこちらをご覧ください。

ページの先頭へ戻る