第74回WHO総会結果(概要)

1 概要

  • 期間:2021(令和3)年5月24日(月)~5月31日(月)
  • ビデオ会議
  • 日本政府代表団:田村憲久厚生労働大臣、井内雅明総括審議官(国際担当)、武井貞治国際保健福祉交渉官等
  • 本会議では、7日間にわたり、全61議題(管理(35)、技術(25)、進捗報告(1))について協議。17の決議と14の決定を採択。
  • WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関。毎年5月に開催され、保健医療に関する重要な政策決定を行う。

2 政府代表演説

WHO総会では、田村憲久厚生労働大臣が政府代表演説を行い、
  • COVID-19ワクチンへの公平なアクセスの確保を全面的に支援しており、本年6月2日(水)に日本はCOVAXワクチン・サミット※1をGaviと共催すること
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を推進し、WHOが地域や国の多様性に沿った支援に取り組むことを期待すること
  • 今般のパンデミックの検証・改革を進めることは、国際的な感染症対応の強化につながること
  • COVID-19により、発育阻害をはじめとする栄養不良の問題が一層深刻化している中、我が国は、東京栄養サミット※2の開催を通じて、世界でこれらの課題への取組が進むよう後押ししていく考え等を述べた。
    (大臣発言:https://m.youtube.com/watch?v=HSYYLyNk2Y8
  1. ※1COVAXワクチンサミットとは、6月2日に日本とGaviが共催するオンライン形式の会議で、COVAXファシリティを通じた途上国へのワクチン供給等に必要な資金動員等について議論する予定。
    https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ghp/page1_000966.html
  2. ※2東京栄養サミットとは、世界的な栄養改善の現状と課題を確認し栄養課題に向けた各国の今後の国際的取組を促進することを目的とした会合。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に合わせて開催予定。栄養サミットは、これまでにロンドン(2013年)及びリオデジャネイロ(2016年)で開催されている。
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000089299_00001.html

3 主な成果

  1. (1)公衆衛生危機 準備と対応:日本が共同提案国となった、健康危機における備えと対応に関するWHO強化に関する決議が採択された。また、11月29日から12月1日にパンデミックへの備えと対応について、WHO特別総会を開催する決議も採択された。我が国は、パンデミックへの備えと対応にはUHCを念頭においた首脳レベルのコミットメントや公衆衛生機能と保健・医療システムの連携が重要であることや、WHOのガバナンス強化による透明性と説明責任の確保と事務局のリーダーシップ強化が必要であること等を述べた。
  2. (2)保健医療人材:医療・介護従事者の保護、防護、投資に関する決議および看護と助産のグローバル戦略の方向性2021-2025に関する決議が採択された。我が国は、保健人材のモニタリングと適切な派遣はCOVID-19パンデミック下では不可欠で、看護師の人材利用促進のために国と自治体、専門組織が連携し人材確保に努めたこと、および包括的な人材開発システム構築を西太平洋地域やアフリカ諸国とともに実施していることを述べた。
  3. (3)2022-2023年の事業予算:2022-2023年の2カ年の予算が承認された。我が国は、WHOに対し透明性と説明責任のある効果的な予算執行を要請し、加盟国とともにWHOの資金ニーズを踏まえた予見可能で持続可能な資金拠出に協力していくことを述べた。
  4. (4)執行理事の選出:日本が選出され、2021年から3年任期で執行理事会理事を務めることとなった。