歯周疾患検診

  WHO の研究1)によると、糖尿病やアルツハイマー型認知症、脳卒中等とともに口腔疾患(う蝕、歯周病、歯の喪失等)が高齢者の健康寿命を喪失させる10大原因の一つと報告されています。
 厚生労働省では、口腔疾患の早期発見・重症化予防等を図り、歯・口腔の健康を保持する観点等から歯周疾患検診をはじめとした歯科検(健)診の機会の充実に取り組んでいます。

歯周疾患検診について

 お住まいの市区町村では、健康増進法に基づいて、歯周疾患検診を実施しています。ほとんどの市区町村では、歯周疾患検診の費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で歯周疾患検診を受けることが出来ます。




【実施内容】
 1 問診
   歯周病に関連する自覚症状の有無等を聴取します。
 
 2 歯周組織検査
   歯及び歯周組織等口腔内の状況について検査します。 
   <検査項目>
   ・ 歯の状況(むし歯、被せ物)
   ・ 歯肉の状態(歯肉出血、歯周ポケット、歯石の付着状況)
   ・ 歯列・咬合の状態
   ・ 顎関節の症状
   ・ 口腔粘膜(粘膜の色・形状)
   ・ 口腔衛生状態

【判定について】
 検査結果から「異常なし」、「要指導」、「要精密検査」のいずれかに判定されます。
 ○「要指導」と判定された場合
   問診の結果に基づき、歯みがきの方法など、特に改善が必要な日常生活習慣について指導を受けます。
 
 ○「要精密検査」と判定された場合
   歯科医療機関において精密検査を受けるよう指導を受けます。

 なお、検診にかかる費用や実施時期等の具体的な内容については、お住まいの市区町村にご確認ください。

歯周病について

 歯周病とは、歯肉、セメント質、歯根膜及び歯槽骨から構成される歯周組織に起こるすべての疾患のことを総称で、炎症の進行範囲に応じて「歯肉炎」「歯周炎」に分けられます。



 ⑴ 歯肉炎
  歯肉に炎症が限局した状態であり、セメント質、歯根膜及び歯槽骨は破壊されていません。
 主たる原因は細菌性プラークで、プラークの長期間にわたる持続的な刺激により、歯肉炎から歯周炎へ進行します。

 ⑵ 歯周炎
  歯肉の炎症がセメント質、歯根膜、歯槽骨等の歯周組織の深部に波及したものです。
 主たる原因は細菌性プラークですが、歯石や不適合な被せ物、歯列不正等を有する場合、歯周炎は進行しやすくなります。

【歯周病と関連する全身疾患について】
 歯周病は全身疾患(糖尿病2,3) 、関節リウマチ 4,5) 、脳梗塞(脳卒中)6)、動脈硬化に伴う狭心症・心筋梗塞等2,7-9))、呼吸器疾患10)、慢性腎臓病11)、生活習慣(喫煙等)2,12,13) 、妊娠11,14,15)や内臓脂肪型肥満16,17)等との関連が報告されていることから、全身の状態や生活習慣についても聴取し、検診後の歯科口腔保健指導とともに、必要に応じて、歯科医療機関への受診勧奨やかかりつけ医との医科歯科連携につなげる必要があります。

 

 詳しくは下記のサイトをご参照ください。
 健康日本21アクション支援システム Webサイト
 歯周病Q&A | 日本歯周病学会

【参考文献】
1. Global, regional, and national burden of diseases and injuries for adults 70 years and older: systematic analysis for the Global Burden of Disease 2019 Study. 
2. 特定非営利活動法人 日本歯周病学会. 歯周治療のガイドライン 2022. 医歯薬 出版, 2022.
3. 特定非営利活動法人 日本歯周病学会. 糖尿病患者に対する歯周治療ガイドライン 改訂第3版  2023. 医歯薬出版, 2023.
4. Kässer, U R , et al. Risk for periodontal disease in patients with longstanding rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum, 1997. 40(12).
5. 小林哲夫ら. 歯周炎と関節リウマチ―関連性と臨床対応―. 日歯周誌 2012, 2012. 54(1).
6.令和 4 年度厚生労働科学研究「成人期における口腔の健康と全身の健康の関係性の解明のための研究」 
7. Wu, T, et al. Periodontal disease and risk of cerebrovascular disease. The first national health and nutrition examination survey and its follow-upstudy. Arch Intern Med, 2000. 160.
8. 栗原伸久ら. 動脈疾患における新しい危険因子―歯周病菌と動脈病変の関連性 について―. 脈管学, 2004. 44(12).
9.Kurihara, N, et al. Detection and localization of periodontopathic bacteria in abdominal aortic aneurysms. Eur J Vasc Endovasc Surg, 2004. 28(5).
10.令和元年度厚生労働科学研究「口腔の健康と全身の健康の関連の文献レビューと因果推論手法の提案」
11.特定非営利活動法人 日本歯周病学会.歯周病と全身の健康. 医歯薬出版, 2015.
12.U.S. Department of Health and Human Services. A Report of the Surgeon General 2014, 2014.
13.Joshi, Vinayak, et al. Smoking decreases structural and functional resilience in the subgingival ecosystem. J Clin Periodontol, 2014. 41(11).
14.Nakagawa, S, et al. A longitudinal study from prepuberty to puberty of gingivitis.Correlation between the occurrence of Prevotella intermedia and sex hormones. J Clin Periodontol, 1994. 21(10).
15.Jeffcoat, Marjorie K, et al. Periodontal disease and preterm birth: results of a pilot intervention study. J Periodontol, 2003. 74(8). 
16.Matsuzawa, Yuji . Therapy Insight: adipocytokines in metabolic syndrome and related cardiovascular disease. Nat clinical practice Cardiovascular medicine, 2006. 3(1).
17.Periodontal disease and diabetes mellitus: the role of tumor necrosis factor-alpha in a 2-way relationship. Nishimura, Fusanori, et al. J periodontology, 2003. 74

歯周疾患検診に携わる皆様へ

 歯科検診データを用いた地域分析、地域間比較等が可能になるよう、質問項目や口腔内診査項目の標準化等を進める観点から、有識者の検討を踏まえ、今般、「歯周病検診マニュアル 2023」をとりまとめ、新たなマニュアル及び歯科健康診査票を用いた歯周疾患検診を令和8年度から実施します。
 歯周病検診マニュアル2023

 
 歯科健康診査票  

【最大コードについて】
 歯肉出血(BOP)及び歯周ポケット(PD)に関しては検査結果から「最大コード」を算出していただきます。
 ⑴ BOP(最大値)
  最大コードの選択に関する優先順位
  1:出血あり → 0:健全 
   (0:健全  1:出血あり  9:除外歯  X:該当歯なし)

 ⑵ PD(最大値) 
  最大コードの選択に関する優先順位
   2:6mm以上  → 1:4mm以上6mm未満 → 0:4mm未満
   (0:4mm未満  1:4mm以上6mm未満  2:6mm以上  9:除外歯  X:該当歯なし)

※ 9:除外歯 、X:該当歯なしは6分画すべてに9または Xとならない限り、最大コードになりません。

 参考:Oral health surveys: basic methods - 5th edition (75ページ参照)

【歯周病検診に関する検討】
 「歯周病検診マニュアル2023」の作成に際し、行われた検討です。
 歯科口腔保健の推進に係る歯周病対策ワーキンググループ|厚生労働省